(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-14
(45)【発行日】2022-06-22
(54)【発明の名称】CDI装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/48 20060101AFI20220615BHJP
【FI】
C02F1/48 B
(21)【出願番号】P 2020186071
(22)【出願日】2020-11-06
【審査請求日】2021-08-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591001282
【氏名又は名称】大同メタル工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今岡 奏司
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-336864(JP,A)
【文献】国際公開第2014/083755(WO,A1)
【文献】特開2005-219045(JP,A)
【文献】特開2001-162283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/46-1/48
H01G11/00-11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活物質を向き合わせてそれらの間に流路を形成し、細孔内で活物質の表面に形成される電気二重層に基づきイオンを吸着する正極および負極と、
前記細孔内で前記電気二重層の干渉を回避する閾値以上に、前記流路に流入する液体に含まれるイオンの濃度
を維持する濃度制御装置と、
検出されるイオンの濃度に応じて決められる上限値未満に前記正極および前記負極に印加される電位を制御する制御回路と、
を備えることを特徴とするCDI装置。
【請求項2】
請求項1に記載のCDI装置において、前記イオンを含有する溶液の通路に希釈液の通路を結合し前記溶液に前記希釈液を混合する流路をさらに備え、前記濃度制御装置は、前記溶液および前記希釈液の混合比に基づき前記閾値以上に前記イオンの濃度を維持することを特徴とするCDI装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活物質を向き合わせてそれらの間に流路を形成し、細孔内で活物質の表面に形成される電気二重層に基づきイオンを吸着する正極および負極を備えるCDI(Capacitive Deionization)装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は電気二重層を用いた排水処理システムを開示する。排水処理システムは、直流電圧の印加に応じて電気二重層を形成する正極および負極を備える。正極および負極は活性炭繊維の表面に形成される電気二重層に基づきイオンを吸着する。吸着したイオンは逆方向の電位に応じて正極および負極から脱離することができる。こうしてイオンは回収されることができる。こうした手法は一般にCDI(Capacitive Deionization)と呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【文献】臼井進之助外,「微粒子の分散と凝集」,資源・素材学会誌,1991年12月25日,107巻,第13号,p.585-591
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
CDI装置では、正極および負極の間で作用する直流電位が特定の値を超えると、溶液中で水の電気分解が引き起こされてしまう。こうして電気分解で生成される水素や酸素といった気体は正極や負極の活性炭繊維を劣化させる。劣化に応じてイオンの吸着効率は低下する。直流電位の上限値は自ずと設定される。さらに効率的にイオンを吸着する条件が模索される。
【0006】
本発明は、電気分解を回避しながら、さらに効率的にイオンを吸着することができるCDI装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態によれば、活物質を向き合わせてそれらの間に流路を形成し、細孔内で活物質の表面に形成される電気二重層に基づきイオンを吸着する正極および負極と、前記流路に流入する液体に含まれるイオンの濃度を決められた閾値以上に維持する濃度制御装置と、検出されるイオンの濃度に応じて決められる上限値未満に前記正極および前記負極に印加される電位を制御する制御回路とを備えるCDI装置は提供される。
【0008】
活物質の表面がイオンを含有する液体に接触し、正極および負極の間に直流電位が作用すると、活物質の細孔内で活物質の表面に電気二重層は形成される。電気二重層に基づき細孔内にイオンは捕獲される。このとき、液体ではイオンの濃度は決められた閾値以上に維持されることから、活物質の表面では電気二重層の厚みは細孔の大きさに応じて決められた厚み以下に抑えられることができる。その結果、細孔内で電気二重層の干渉は回避されることができる。こうして細孔内で良好に電気二重層は維持されることができる。活物質は効率的にイオンを吸着することができる。イオンの濃度に応じて液体の導電率が変化しても、正極および負極に印加される電位は上限値未満に制御されるので、水の電気分解は回避されることができる。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、電気分解を回避しながら、さらに効率的にイオンを吸着することができるCDI装置は提供されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る回収システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【
図2】CDIユニットの構造を概略的に示す断面概念図である。
【
図3】活物質の細孔内で形成される電気二重層の概念図である。
【
図4】イオンの濃度が閾値を下回る場合に活物質の細孔内で形成される電気二重層の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施形態に係る回収システムの構成を概略的に示す。回収システム11は、第1流路12を形成するCDI(Capacitive Deionaization)ユニット13と、第2流路14でCDIユニット13の第1流路12に接続される第1液槽15と、第2流路14に合流する第3流路16でCDIユニット13の第1流路12に接続される第2液槽17とを備える。第1液槽15には、回収したいイオン(例えば金属イオン)を含む溶液18が湛えられる。そういった溶液18には、例えば電解めっき処理で用いられた電解液が含まれることができる。溶液18には、決められた濃度以上でイオン(例えばビスマスといったイオン金属)が含有される。
【0013】
第2液槽17には、第1液槽15の溶液18に混合された際に溶液18中のイオンの濃度を低下させることができる希釈液19が湛えられる。そういった希釈液19には例えば水が含まれることができる。希釈液19は溶液18の溶媒であればよい。
【0014】
第2流路14は、第1液槽15からCDIユニット13に至る配管で形成され、決められた濃度以上でイオンを含有する液体の通路を形成する。第3流路16は、第2液槽17から第2流路14の配管に合流する配管で形成され、溶液18の通路に希釈液19の通路を結合し溶液18に希釈液19を混合する。
【0015】
第2流路14には、通路を流通する溶液18の流量を調整する第1流量制御弁21が配置される。第1流量制御弁21は、例えば制御信号の供給に応じて制御信号で設定される開き度で開く電磁弁で構成されることができる。第1流量制御弁21の開き度に応じて溶液18の流量は調整されることができる。
【0016】
第3流路16には、通路を流通する希釈液19の流量を調整する第2流量制御弁22が配置される。第2流量制御弁22は、例えば制御信号の供給に応じて制御信号で設定される開き度で開く電磁弁で構成されることができる。第2流量制御弁22の開き度に応じて希釈液19の流量は調整されることができる。
【0017】
回収システム11は、CDIユニット13の第1流路12から第2液槽17に至る第4流路24をさらに備える。CDIユニット13から流出する希釈液19は第2液槽17に戻る。第4流路24には、通路を流通する希釈液(以下「戻り希釈液」という)の流量を調整する第1開閉弁25が配置される。第1開閉弁25は、例えば制御信号の供給に応じて開閉する電磁弁で構成されることができる。第1開閉弁25の開閉に応じて戻り希釈液の流通は停止され許容される。
【0018】
回収システム11は、CDIユニット13および第1開閉弁25の間で第4流路24から分岐する第5流路26でCDIユニット13の第1流路12に接続される第3液槽27をさらに備える。第3液槽27には、CDIユニット13で脱離されたイオンを含む希釈液(以下「濃縮液」という)が湛えられる。
【0019】
第5流路26には、通路を流通する濃縮液の流量を調整する第2開閉弁28が配置される。第2開閉弁28は、例えば制御信号の供給に応じて開閉する電磁弁で構成されることができる。第2開閉弁28の開閉に応じて濃縮液の流通は停止され許容される。
【0020】
第2液槽17、第3流路16、CDIユニット13(第1流路12)および第4流路24は循環経路を形成する。希釈液19は循環経路を循環する。循環経路には液流ポンプ29が配置される。液流ポンプ29は決められた圧力で希釈液19の循環を生み出す。液流ポンプ29は例えば第2液槽17と第2流量制御弁22との間で第3流路16に設置されればよい。
【0021】
第2流路14には、第1液槽15から溶液18の流出を促す液流ポンプ31が配置されてもよい。液流ポンプ31は決められた圧力で溶液18を吐出する。液流ポンプ31は例えば第1液槽15と第1流量制御弁21との間で第2流路14に設置されればよい。
【0022】
図2に示されるように、回収システム11は、第2流路14に流入する溶液18のイオンの濃度を検出する第1センサー32と、第3流路16に流入する希釈液19のイオンの濃度を検出する第2センサー33と、第1センサー32および第2センサー33に電気的に接続されて、第1センサー32および第2センサー33でそれぞれ検出される濃度に基づき第1流量制御弁21および第2流量制御弁22の開き度を制御する制御回路34とをさらに備える。第1センサー32は例えば第1液槽15に設置されればよい。第2センサー33は例えば第2液槽17に設置されればよい。第1センサー32および第2センサー33は例えばTDS(Total Dissolved Solids)メーターで構成されることができる。
【0023】
CDIユニット13は、第1流路12を形成する筒体35内に配置される第1電極36および第2電極37を備える。第1電極36および第2電極37は決められた電極間距離DEで離れる。第1電極36および第2電極37は、それぞれ、表裏に活物質38a、38bを保持する導電材シート39で形成される。活物質38a、38bは、例えば導電材シート39の表裏面に貼り付けられる活性炭シートで形成されることができる。導電材シート39にはカーボンシートが用いられることができる。裏側の活物質38bの表面は絶縁体41で覆われる。第1電極36および第2電極37が重ねられると、絶縁体41は第1電極36および第2電極37を絶縁する。絶縁体41はメッシュ構造に構成されることから、第1電極36および第2電極37の間に液体は流通することができる。第1電極36および第2電極37は幾重にも積層されることができる。
【0024】
絶縁体41は、例えば活性炭シートの表面に貼り合わせられるポリエチレンメッシュと、ポリエチレンメッシュの表面に貼り付けられるPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)シートとで形成されることができる。PTFEシートはメッシュ構造に構成される。ポリエチレンメッシュは、仮に活物質38bから破片が生じた際に、第1電極36および第2電極37で絶縁を確保する役割を担う。PTFEシートは、第1電極36および第2電極37の間で距離を確保しながら液体の流路を形成する役割を担う。ポリエチレンメッシュは例えば0.1[mm]の厚みを有することができる。
【0025】
ここでは、
図3に示されるように、活物質38a、38bは例えば多孔質体で形成される。第1電極36および第2電極37の間で直流電位が作用すると、細孔42内で活物質38a、38bの表面には電気二重層43が形成される。電気二重層43に基づき細孔42内にイオン44は捕獲される。このとき、電気二重層43の厚み(=debye length κ
-1)は次式で与えられる。
【数1】
「ε」は液体の誘電率を示し、「k」はBoltzmann定数を示し、「T」は絶対温度を示し、「n」はイオン密度を示し、「e」は電子電荷を示し、「v」はイオンの値数(対イオンの価数)を示す。細孔42内ではイオンの濃度の調整に基づき電気二重層43の干渉は回避されることができる。
【0026】
第1電極36および第2電極37には、第1電極36および第2電極37に直流電力を供給する電源45が接続される。電源45の働きで第1電極36および第2電極37の間に電位は生成される。電源45は、第1流路12で第1電極36から第2電極37に向かって直流電流を形成する第1モードと、第1流路12で第2電極37から第1電極36に向かって直流電流を形成する第2モードとで切り替えられることができる。すなわち、第1モードでは第1電極36は正極として機能し第2電極37は負極として機能する。第2モードでは第1電極36は負極として機能し第2電極37は正極として機能する。電源45の第1モードでは、絶縁体41を流通する液体中の陰イオンは第1電極36の活物質38a、38bに吸着される。液体中の陽イオンは第2電極37の活物質38a、38bに吸着される。第1電極36に付着する陽イオンは第1電極36から脱離する。第2電極37に付着する陰イオンは第2電極37から脱離する。電源45の第2モードでは、絶縁体41を流通する液体中の陰イオンは第2電極37の活物質38a、38bに吸着される。液体中の陽イオンは第1電極36の活物質38a、38bに吸着される。第2電極37に付着する陽イオンは第2電極37から脱離する。第1電極36に付着する陰イオンは第1電極36から脱離する。ここでは、絶縁体41は例えば第1電極36および第2電極37の間に少なくとも10[mm]の電極間距離DEを保持する。電極間距離DEが10[mm]を超えると、液体の流通時に電気抵抗値が過度に増大してしまい、陰イオンおよび陽イオンの吸着に十分な電流が確保されることができない。
【0027】
制御回路34には、第1センサー32および第2センサー33のほか、第1流量制御弁21や第2流量制御弁22、第1開閉弁25、第2開閉弁28、液流ポンプ29、31が電気的に接続される。制御回路34は、第1流量制御弁21や第2流量制御弁22、第1開閉弁25、第2開閉弁28、液流ポンプ29、31の制御信号を生成する。制御回路34は、第1流量制御弁21および第2流量制御弁22の開き度の設定にあたって、第2流路14から第1流路12に流入する溶液18と、第3流路16から第1流路12に流入する希釈液19との混合比を算出する。この混合比に基づき、決められた濃度未満でイオンを含有する液体が確立される。加えて、イオンの濃度は決められた閾値以上に維持される。ここでは、制御回路34、第1流量制御弁21および第2流量制御弁22は、第1流路12に流入する液体に含まれるイオンの濃度を決められた閾値以上に維持する濃度制御装置として機能する。濃度制御装置はCDIユニット13に組み合わせられてCDI装置を構成する。
【0028】
制御回路34は、検出されるイオンの濃度に応じて決められる上限値未満に第1電極36および第2電極37に印加される電位を制御する。電位の制御にあたって制御回路34は第1センサー32および第2センサー33の検出値から第1流路12に流入する液体の導電率を算出する。制御回路34は、算出された導電率に基づき決定される電位の上限値を特定する制御信号を生成する。生成された制御信号は電源45に供給される。
【0029】
次に回収システム11の動作を説明する。制御回路34では吸着モードが設定される。吸着モードでは第1開閉弁25は開放され第2開閉弁28は閉じられる。第2液槽17には希釈液19が導入される。液流ポンプ29が作動すると、希釈液19は第2液槽17、第3流路16、CDIユニット13(第1流路12)および第4流路24を循環する。
【0030】
第1液槽15には溶液18が導入される。液流ポンプ31が作動すると、第2流路14に溶液18は流入する。このとき、制御回路34は第1流量制御弁21の開き度と第2流量制御弁22の開き度とを制御する。こうして溶液18の流量と希釈液19の流量とが調整されることで、第1流路12に流入する液体ではイオンの濃度は決められた濃度未満に設定される。流量の調整にあたって制御回路34は第1センサー32および第2センサー33から検出信号を受領する。検出信号では例えば導電率に基づきイオンの濃度は特定される。
【0031】
制御回路34は電源45に第1モードを設定する。第1電極36(正極)および第2電極37(負極)の間で直流電位が作用すると、活物質38a、38bの細孔42内で活物質38a、38bの表面には電気二重層43が形成される。電気二重層43に基づき細孔42内にイオン44は捕獲される。第1流路12を流通する液体から第1電極36および第2電極37にイオンが吸着される。第1流路12ではイオンの濃度は決められた濃度未満に設定されることから、活物質38a、38bは効率的にイオンを吸着することができる。
【0032】
このとき、第1流路12に流入する液体ではイオンの濃度は決められた閾値以上に維持されることから、活物質38a、38bの表面では電気二重層43の厚みは細孔42の大きさに応じて決められた厚み以下に抑えられることができる。その結果、細孔42内で電気二重層43の干渉は回避されることができる。こうして細孔42内で良好に電気二重層43は維持されることができる。活物質38a、38bは効率的にイオンを吸着することができる。その一方で、仮にイオンの濃度が決められた閾値を下回ると、
図4に示されるように、細孔42内で電気二重層の厚みが増大し、電気二重層の干渉47が生じる。こうした電気二重層の干渉47はイオンの吸着を阻害する。吸着の効率は低下してしまう。
【0033】
続いて制御回路34では脱離モードが設定される。脱離モードでは第1開閉弁25は閉じられ第2開閉弁28は開かれる。液流ポンプ29が作動すると、希釈液19は第2液槽17から第3流路16、CDIユニット13(第1流路12)および第5流路26を経て第3液槽27に流入する。液流ポンプ31は停止する。第1流量制御弁21は閉じる。
【0034】
ここでは、制御回路34は電源45に第2モードを設定する。第1電極36および第2電極37では正極および負極は入れ替わる。第1電極36(負極)および第2電極37(正極)の間で直流電位が形成されると、第1流路12を流通する希釈液19に第1電極36および第2電極37からイオンが脱離する。濃縮液は第3液槽27に流入する。こうしてイオンは濃縮液として回収される。
【0035】
本実施形態に係る回収システム11は、溶液18に希釈液19を混合し、第1流路12に向かって決められた濃度未満でイオンを含有する液体を導入する第3流路16を備える。正極および負極の間で直流電位が形成されると、第1流路12を流通する液体から正極および負極にはイオンが吸着される。第1流路12ではイオンの濃度は決められた濃度未満に設定されることから、イオンの析出は良好に回避され(抑制され)ることができる。正極および負極からイオンは効率的に回収されることができる。
【0036】
本実施形態では、第2流路14に流入する溶液18のイオンの濃度を検出する第1センサー32と、第3流路16に流入する希釈液19のイオンの濃度を検出する第2センサー33と、第2流路14に配置されて、通路を流通する溶液18の流量を調整する第1流量制御弁21と、第3流路16に配置されて、通路を流通する希釈液19の流量を調整する第2流量制御弁22とを備える。制御回路34は、第1センサー32および第2センサー33でそれぞれ検出される濃度に基づき第1流量制御弁21および第2流量制御弁22の開き度を制御する。溶液18に含まれるイオンの濃度と、希釈液19に含まれるイオンの濃度とに基づき第1流量制御弁21および第2流量制御弁22の開き度は制御される。こうして溶液18と希釈液19との混ざり具合は調整される。第1流路12に流入する液体に含まれるイオンの濃度は調整されることができる。
【0037】
本実施形態では、イオンの吸着にあたってCDIユニット13への導入に先立ち希釈液19に溶液18は混合される。仮に回収する溶液18の流量や総量が少なくても、希釈液19で十分に第1流路12を流通する液体の流量は確保されることができる。第1流路12では第1電極36および第2電極37は流通する液体に浸ることができる。こうしてイオンは効率的に吸着されることができる。気体に対して活物質38a、38bの暴露は回避されることができる。
【0038】
本実施形態に係る回収システム11では、希釈液19および溶液18の混合に基づきCDIユニット13に流入する液体のイオンの濃度は調整されることができる。溶液18の希釈化に応じてCDIユニット13から流出する液体のイオンの濃度は第2液槽17内の希釈液19のそれに合わせ込まれることができる。こうしてイオンの吸着時でも第2液槽17内では希釈液19のイオンは一定の濃度に維持されることができる。第2液槽17ではイオンの滞留は回避されることができる。溶液18からイオンの全量は回収されることができる。
【0039】
本実施形態に係る制御回路34は、第1センサー32および第2センサー33の検出値から第1流路12に流入する液体の導電率を算出し、算出された導電率に基づき第1電極36および第2電極37に印加される電位を制御する。イオンの濃度に応じて液体の導電率が変化しても、第1電極36および第2電極37に印加される電位は上限値未満に制御されるので、水の電気分解は回避されることができる。水溶液の導電率はイオンの濃度の上昇に応じて高まることから、イオンの濃度が高まるにつれて上限値は高く設定されることができ、その結果、効率的にイオンの吸着は実現されることができる。
【符号の説明】
【0040】
12…流路(第1流路)、21…濃度制御装置の1構成要素(第1流量制御弁)、22…濃度制御装置の1構成要素(第2流量制御弁)、34…濃度制御装置の1構成要素(制御回路)、36…正極または負極(第1電極)、37…負極または正極(第2電極)、38a…活物質、38b…活物質、42…細孔、43…電気二重層、44…イオン。