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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-14
(45)【発行日】2022-06-22
(54)【発明の名称】ポリイミド-ポリアリーレンポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08G 61/12 20060101AFI20220615BHJP
   C07D 209/48 20060101ALI20220615BHJP
   C07D 519/00 20060101ALI20220615BHJP
【FI】
C08G61/12
C07D209/48 CSP
C07D519/00 311
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020190837
(22)【出願日】2020-11-17
(65)【公開番号】P2021080450
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2020-11-17
(31)【優先権主張番号】62/937,405
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アーロン・エー.・ラッチフォード
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・アール.・キンジー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ケー.・グラファー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ジルモア
(72)【発明者】
【氏名】ヨンスク・キム
【審査官】内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】仏国特許出願公開第02428655(FR,A1)
【文献】特開2021-080451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 61/12
C07D 209/48
C07D 519/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチニル部分で置換された2つ以上のアリール部分、及びそれぞれ1つ以上の極性置換基を有する2つ以上のアリール部分を含むビス-イミド化合物であって、前記ビス-イミド化合物は、式1aを有する化合物、式1bを有する化合物、及び式1cを有する化合物からなる群から選択され、
【化1】
式中、
は、(Zで置換された二価の芳香族連結基であり、
ベンゼン環、縮合芳香族又は脂環式環であり、
は二価の連結基であり、
及びZは出現ごとに同じか又は異なり、且つ極性基であり、
Arは、出現ごとに同じか又は異なり、且つC~C30アリール基からなる群から選択され、
x1、x2、x3、及びyは同じか又は異なり、且つ0~の整数であり;
vは0~2の整数であるが、但し、Lが脂環式環である場合は、vは0であることを条件とし、
wは0~3の整数であり、
x1+yは2~6の整数であり、
x2+vは2~4の整数であり、
x3+wは2~6の整数であり、
ただし、前記式1aにおいて極性基Z 及びZ は、OH、CO H、CO R、OR、CF 、F、Cl、SH、SR、S(O) R、S(O) OH、S(O) OR、S R、NR 、NH(O)R、及び
【化2】
からなる群から選択され、
式中、
Rは、H、ハロゲン、C 1~30 アルキル、C 1~30 ヘテロアルキル、C 2~30 アルケニル、C 7~30 アラルキル、C 6~30 アリール、及びC 4~30 ヘテロアリールからなる群から選択され、並びに、
nは1~2の整数である、ビス-イミド化合物。
【請求項2】
は、炭化水素アリール基、ヘテロアリール基、及びこれらの置換誘導体からなる群から選択される、請求項1に記載のビス-イミド化合物。
【請求項3】
は、4~6員環の脂環式環、ベンゼン環、及びナフタレン環からなる群から選択される、請求項2に記載のビス-イミド化合物。
【請求項4】
極性基Z及びZは、OH、COH、COR、OR、CF、F、Cl、SH、SR、S(O)R、S(O)OH、S(O)OR、SR、NR、NH(O)R、及び
【化3】
からなる群から選択され、
式中、
Rは、H、ハロゲン、C1~30アルキル、C1~30ヘテロアルキル、C2~30アルケニル、C7~30アラルキル、C6~30アリール、及びC4~30ヘテロアリールからなる群から選択され、
nは1~2の整数である、請求項3に記載のビス-イミド化合物。
【請求項5】
Arは出現ごとに同じか又は異なり、且つC~C18アリール基からなる群から選択される、請求項4に記載のビス-イミド化合物。
【請求項6】
(a)エチニル部分で置換された2つ以上のアリール部分と、それぞれ1つ以上の極性置換基を有する2つ以上のアリール部分と、を含むビス-イミド化合物を含む1つ以上の第1のモノマーであって、式1aを有する化合物、式1bを有する化合物、及び式1cを有する化合物からなる群から選択される1つ以上の第1のモノマーと、
【化4】
(式中、
は、(Z で置換された二価の芳香族連結基であり、
はベンゼン環、縮合芳香族環又は脂環式環であり、
は二価の連結基であり、
及びZ は出現ごとに同じか又は異なり、且つ極性基であり、
Ar は、出現ごとに同じか又は異なり、且つC ~C 30 アリール基からなる群から選択され、
x1、x2、x3、及びyは同じか又は異なり、且つ0~3の整数であり;
vは0~2の整数であるが、但し、L が脂環式環である場合は、vは0であることを条件とし、
wは0~3の整数であり、
x1+yは2~6の整数であり、
x2+vは2~4の整数であり、及び、
x3+wは2~6の整数である。)
(b)2つ以上のシクロペンタジエノン部分を含む1つ以上の第2のモノマーであって、式3を有する1つ以上の第2のモノマーと、のモノマー混合物から重合されたコポリマーを含む、ポリマー組成物
【化5】
(式中、
は、出現ごとに同じか又は異なり、且つH、置換もしくは非置換C 1~6 アルキル、置換もしくは非置換C 6~20 アリール、及び置換もしくは非置換C 4~20 ヘテロアリールからなる群から選択され、並びに、
Ar は置換又は非置換C 6~20 アリール基である。)。
【請求項7】
Arは式4を有し、
【化6】
式中、
qは1~3の整数であり、
rは0~2の整数であり、
Arは出現ごとに同じか又は異なり、且つ式5及び式6からなる群から選択され、
【化7】
式中、
は出現ごとに同じか又は異なり、且つハロゲン、置換又は非置換C1~6アルキル、アリール、及びアリールオキシからなる群から選択され、
cは0~4の整数であり、
d及びeは出現ごとに同じか又は異なり、且つそれぞれ0~3の整数であり、
Zは、出現ごとに同じか又は異なり、且つ
単共有結合、アルキル基、O、C(O)、C(S)、CF、及びC(CFからなる群から選択される、請求項に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
前記コポリマーは、
【化8】
【化9】
からなる群から選択される、請求項に記載のポリマー組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
1.開示及び請求される発明概念の分野
本明細書で開示されるプロセス、手順、方法、生成物、結果、及び/又は概念(以下では集合的に「本開示」と称する)は、広義には、ポリマーを製造するためのモノマー成分として用いられ得る新規な有機化合物に関する。具体的には、官能化ビス-イミド化合物は、シクロペンタジエノン含有種と共重合されて、エレクトロニクス及びディスプレイ用途によく適した特性を備えるポリマーを生成することができる。
【0002】
2.開示及び請求される本発明概念の背景及び適用できる態様
より従来型の現行の材料に勝る、これらの広範に変化可能な特性及び加工性の利点の結果、エレクトロニクス及びディスプレイ用途におけるポリマーの使用は益々増え続けている。ポリフェニレンポリマーは、1つのこうした材料の分類を代表する。これらは、多くのエレクトロニクス及びディスプレイ用途に求められる、良好な耐化学性と、高いTと、機械的靱性との効果的な組み合わせを示すように製造され得る。更に、ポリフェニレンポリマーの分子量及び溶液濃度は、普遍的に重要な生産加工法であるスピンコーティングによる正確且つ便利な堆積を可能にするように調整され得る。硬化膜の芳香族炭化水素構造は、低い誘電率、高い熱安定性、及び低い吸湿性を提供する。ヘテロ原子の含有、コポリマー形成などによりもたらされる合成可撓性により、使用中の特異性の高い用途のために調製され得る材料のファミリ-が利用可能となる。
【0003】
ポリイミドは、初めて導入されて以来、エレクトロニクス及びディスプレイ用途において広範な用途を見出したポリマー材料の別の部類である(例えば(特許文献1)を参照されたい)。これらの材料は、低い誘電率、低い吸湿性、高いT、良好な熱安定性、低い熱膨張率(CTE)、優れた耐化学性、及び柔軟な加工性を示し得る。
【0004】
これら2つのポリマー材料の部類の重要性に鑑みて、エレクトロニクス及びディスプレイ用途で用いるためのハイブリッドなポリフェニレン-ポリイミドポリマーを製造するための努力が払われてきた。ポリアリーレンは、一般に、都合よく低い誘電率に対するその寄与が認められているが、ポリイミドは、高弾性であり、且つ調節可能な熱特性及び機械特性に寄与し得る。材料の2つの部類は、特定の最終用途のエレクトロニクス及びディスプレイ用途に合わせて調節可能なハイブリッド特性を備えた、両方のポリマー種の長所を示し得る単一の非分岐ポリマー鎖へと組み合わせられてよい。ポリフェニレン-ポリイミドポリマーは、スピン及びスロットダイコーターとの適合性、高いコーティング均一性、低い欠陥及び表面粗さ、低い脱ガス、短い硬化時間、並びに低い硬化後応力、並びにその他の有用な特性を示すことが更に知られている。エレクトロニクス及びディスプレイ用途で典型的な加工条件に関連する高度な可撓性及び硬度、高い伸長率、並びに高温時の熱安定性を示す、これらの組成物に関連する膜を調製することができる。
【0005】
しかしながら、ポリフェニレン-ポリイミドポリマーのより広範な産業的用途は、エレクトロニクス及びディスプレイ用途で一般的に用いられる溶媒系中における典型的な組成物の相対的な不溶性により制限され得る。例えば、特定の極性を有するプロトン性溶媒系は、ポリフェニレン-ポリイミドポリマーを可溶化するには効果的でない。これまでの研究は、こうした産業上重要な溶媒中のポリフェニレン-ポリイミドポリマーの溶解度を改善しながら、同時に全体的な材料の利点を維持することに向けられてきた。より低分子量のポリマーの使用、及び/又はモノマーの官能化のどちらも、この点に関しては限定的な成功しか収めていない。
【0006】
かくして、エレクトロニクス及びディスプレイ用途において有用となる特性を保持しながらも、極性を有するプロトン性溶媒中における改善された溶解度を呈する新規なポリフェニレン-ポリイミドポリマーに対する継続的な必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第8,653,512B2号明細書
【文献】米国特許第5,965,679号明細書
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本開示は、その用途を以下の説明に記載される構成の詳細及び構成要素又は工程若しくは方法論の配置に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、又は種々の方法で実施若しくは実行されることが可能である。更に、本明細書で用いられる専門語及び専門用語は、説明を目的としており、限定するものと見なされるべきではないことを理解されたい。
【0009】
本明細書で特に定義されない限り、本開示に関連して用いられる技術用語は、当業者によって共通して理解される意味を有するものとする。更に、文脈上異なる解釈を要する場合を除き、単数形の用語は複数形を含むものとし、複数形の用語は単数形を含むものとする。
【0010】
本明細書で言及される全ての特許、公開特許出願、及び非特許文献は、本開示が属する技術分野の当業者の水準を示すものである。本出願の任意の部分で参照される全ての特許、公開特許出願、及び非特許文献は、参照により、各個々の特許又は文献が参照により組み込まれると具体的且つ個別に示される場合と同じ程度で、その全体が明示的に本願に組み込まれる。
【0011】
本明細書で開示される全ての物品及び/又は方法は、本開示を考慮すれば過度の実験を行うことなく作製及び実施することができる。本開示の物品及び方法は、好ましい実施形態の観点から説明されているが、当業者には、本開示の概念、趣旨、及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される物品及び/又は方法、並びに方法の工程、又は一連の工程に変更が加えられ得ることが明らかになるであろう。当業者に明白な全てのこうした同様の代替物及び修正も、本開示の趣旨、範囲、及び概念に含まれるものとみなされる。
【0012】
本開示に従って用いられる場合、以下の用語は、特に断りのない限り、以下の意味を有するものとして理解される。
【0013】
用語「含む(comprising)」に関連して使用する場合、用語「1つの(a)」又は「1つの(an)」の使用は、「1つ」を意味し得るが、「1つ以上(one or more)」、「少なくとも1つ(at least one)」、及び「1又は2つ以上(one or more than one)」の意味とも一致する。用語「又は」の使用は、代替物が相互排他的である場合にのみ、代替物を指すと明示的に示されていない限りは「及び/又は」を意味するものとして使用されるが、本開示は代替物及び「及び/又は」のみを指す定義を支持する。本出願全体を通して、用語「約」は、ある値が、定量装置の誤差の固有の変動、その値を決定するのに用いられる方法、又は研究対象間に存在する変動を含むことを示すために用いられる。例えば、限定するものではないが、用語「約」が使用される場合、指定される値は、プラス又はマイナス12%、又は11%、又は10%、又は9%、又は8%、又は7%、又は6%、又は5%、又は4%、又は3%、又は2%、又は1%で変動し得る。用語「少なくとも1つ」の使用は、1、のみならず、1、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、100などが挙げられるがこれらに限定されない1を超える任意の量を含むことが理解されよう。用語「少なくとも1つ」は、それが伴われる用語に応じて、100若しくは1000又はそれ以上まで拡大され得る。加えて、100/1000の量は、より低い下限又はより高い上限が十分な結果を生む場合もあるため、限定的とみなされるべきではない。加えて、用語「X、Y及びZのうち少なくとも1つ」の使用は、X単体、Y単体、及びZ単体、並びに、X、Y、及びZの任意の組み合わせを含むものとして理解されよう。序数用語(すなわち、「第一」、「第二」、「第三」、「第四」など)の使用は、2つ以上の項目を区別することのみを目的としており、特に指定のない限り、ある項目の別の項目に対する任意の配列若しくは順序若しくは重要度、又は任意の追加の順序を示唆することを意味していない。
【0014】
本明細書で使用するとき、「含む(comprising)」(並びに「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」など「含む(comprising)」の任意の形態)、「有する(having)」(並びに「有する(have)」及び「有する(has)」など「有する(having)」の任意の形態)、「含む(including)」(並びに「含む(includes)」及び「含む(include)」など「含む(including)」の任意の形態)、又は「含有する(containing)」(並びに「含有する(contains)」、「含有する(contain)」など「含有する(containing)」の任意の形態)という語は、包含的又はオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素又は方法工程を除外しない。本明細書で使用するとき、用語「又はこれらの組み合わせ」及び「及び/又はこれらの組み合わせ」は、用語に先行して列挙される項目の全ての順列及び組み合わせを指す。例えば、「A、B、C、又はこれらの組み合わせ」は、以下のうちの少なくとも1つを含むことが意図される:A、B、C、AB、AC、BC、又はABC、また、特定の内容において順番が重要である場合は、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、又はCAB。この例を続けると、1つ以上の項目又は用語の繰り返しを含む組合せ、例えば、BB、AAA、AAB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなどが明示的に含まれる。当業者であれば、文脈から明らかでない限り、典型的には、いかなる組み合わせにおいても項目又は用語の数に制限がないことが理解されよう。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「実質的に」は、続いて説明される状況が完全に起こること、又は、続いて説明される状況が、大きな範囲若しくは程度で起こることを意味する。
【0016】
以下の詳細な説明を目的として、任意の操作実施例(operating examples)、又はその他の指示がある場合を除き、本明細書及び特許請求の範囲で用いられる、例えば成分の量を表す数は、いかなる場合も用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。明細書及び添付の特許請求の範囲に記載された数値パラメータは、本発明を実施する中で得られるべき所望の特性に応じて変動し得る近似値である。
【0017】
用語「脂環式」は、芳香族ではない環状基を指す。この基は飽和であっても不飽和であってもよいが、これは芳香族性を示さない。
【0018】
用語「アルキル」は、1~50個の炭素からなる飽和直鎖又は分岐鎖炭化水素基を指す。これは、置換及び非置換の炭化水素基の両方を更に含む。この用語は更に、ヘテロアルキル基を含むことが意図されている。
【0019】
用語「非プロトン性」は、酸性水素原子を欠如し、そのため水素供与体として作用することができない溶媒の一部類を指す。一般的な非プロトン性溶媒としては、アルカン、四塩化炭素(CCl)、ベンゼン、ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、酢酸プロピレングリコールメチルエーテル(PGMEA)、アニソール、シクロヘキサノン、安息香酸ベンジル、及びその他の多くが挙げられる。
【0020】
用語「芳香族化合物」は、4n+2の非局在化π電子を有する少なくとも1つの不飽和環状基を含む有機化合物を指す。この用語は、炭素及び水素原子のみを有する芳香族化合物、並びに環状基内の炭素原子の1つ以上が窒素、酸素、硫黄などといった別の原子によって置換されているヘテロ芳香族化合物の両方を包含することが意図されている。
【0021】
用語「アリール」又は「アリール基」は、芳香族化合物から1つ以上の水素(「H」)又は重水素(「D」)を除去することによって形成される部分を指す。アリール基は、単数の環(単環式)であってもよく、又は一緒に縮合若しくは共有結合した複数の環(二環式又はそれ以上)を有してもよい。「炭素環アリール」は、芳香族環中に炭素原子のみを有する。「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの芳香族環中に1つ以上のヘテロ原子を有する。
【0022】
用語「アルコキシ」は、式中のRがアルキルである基-ORを指す。
【0023】
用語「アリールオキシ」は、式中のRがアリールである基-ORを指す。
【0024】
特に明記しない限り、全ての基は、置換又は非置換であり得る。アルキル又はアリールなどであるがこれらに限定されない任意選択的に置換された基は、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の置換基で置換され得る。好適な置換基としては、アルキル、アリール、ニトロ、シアノ、-N(R’)(R’’)、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルコキシカルボニル、ペルフルオロアルキル、ペルフルオロアルコキシ、アリールアルキル、シリル、シロキシ、シロキサン、チオアルコキシ、-S(O)-、-C(=O)-N(R’)(R’’)、(R’)(R”)N-アルキル、(R’)(R’’)N-アルコキシアルキル、(R’)(R’’)N-アルキルアリールオキシアルキル、-S(O)-アリール(式中、s=0~2である)、又は-S(O)-ヘテロアリール(式中、s=0~2である)が挙げられる。各R’及びR’’は、独立して、任意選択的に置換されたアルキル、シクロアルキル、又はアリール基である。特定の実施形態では、R’及びR’’は、それらが結合している窒素原子と共に、環系を形成することができる。置換基は、架橋基でもあり得る。
【0025】
用語「アミン」は、塩基性窒素原子を孤立電子対と共に含有する化合物を指す。用語「アミノ」は、官能基-NH、-NHR又は-NRを指し、式中、Rは、出現ごとに同じか又は異なり、且つアルキル基又はアリール基であってよい。用語「ジアミン」は、2個の塩基性窒素原子を関連する孤立電子対と共に含有する化合物を指す。用語「芳香族ジアミン」は、2つのアミノ基を有する芳香族化合物を指す。
【0026】
用語「芳香族ジアミン残基」は、芳香族ジアミン内の2つのアミノ基に結合した部分を指す。これを下記で更に例示する。
【化1】
【0027】
用語「ジアミン残基」は、2つのアミノ基に結合した部分を指し、この部分は脂肪族又は芳香族である。
【0028】
用語「線形熱膨張係数(CTE又はα)」は、温度の関数として材料が膨張又は収縮する量を定義するパラメータを指す。線形熱膨張係数は、1℃当たりの長さの変化として表され、一般的にはμm/m/℃又はppm/℃の単位で表される。
α=(ΔL/L0)/ΔT
【0029】
CTE値は、第1又は第2の加熱走査の間に既知の方法を介して測定され得る。材料の相対膨張/収縮特性についての理解は、電子及びディスプレイ装置の作製及び/又は信頼性において重要な検討事項であり得る。
【0030】
層又は材料に関する場合の用語「電気活性」は、装置の動作を電子的に促進する層又は材料を指す。電気活性材料の例としては、電子か正孔かのいずれでもあり得る電荷を伝導する、注入する、輸送する、若しくは阻止する材料、又は放射線を発する材料若しくは放射線を受ける時に電子-正孔対の濃度の変化を示す材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
芳香族又は脂環式環に適用される場合の用語「縮合」は、単一の原子、2つの隣接原子、又は3つ以上の原子を共有し得る2つ以上の接合環を含有する芳香族又は脂環式種を指す。
【0032】
用語「ガラス転移温度(又はT)」は、非晶質ポリマー又は半結晶ポリマーの非晶質領域内で可逆性変化が発生して、材料が硬質、ガラス質、又は脆性の状態から可撓性又は弾性の状態へと突然変化する温度を指す。微視的には、ガラス転移は、正常なコイル状の静止ポリマー鎖が自由に回転するようになり、相互に通過できる場合に発生する。Tは、示差走査熱量測定法(DSC)、熱機械分析法(TMA)、若しくは動的機械分析法(DMA)、又は他の方法を使用して測定され得る。
【0033】
用語「ハロアルキル」は、ハロゲン原子によって置換された1つ以上の水素原子を有するアルキル基を指す。
【0034】
用語「ハロアルコキシ」は、ハロゲン原子によって置換された1つ以上の水素原子を有するアルコキシ基を指す。
【0035】
接頭辞「ヘテロ」は、1つ以上の炭素原子が異なる原子で置換されている状況を指す。いくつかの実施形態では、ヘテロ原子はO、N、S、又はこれらの組み合わせである。
【0036】
用語「高沸点」は、130℃を超える沸点を指す。
【0037】
用語「イミド」は、中心窒素に結合した2つのアシル基、すなわちRCO-NR’-CORを含有する官能基を指す。用語「ビス-イミド」は、単一の分子、ポリマー、又は他の種内における2つの同一であるが分離したイミド基の存在を指す。
【0038】
用語「マトリックス」は、例えば電子装置を形成する際に、その上に1つ以上の層が配置される土台を指す。非限定的な例としては、ガラス、シリコン及びその他が挙げられる。
【0039】
用語「モノマー」は、重合中に同じか又は異なる種類の1つ以上のモノマーと化学結合してポリマーを形成する小分子を指す。
【0040】
用語「非極性」は、共有結合した原子間での電子の分布が均等であり、したがって原子間に正味電荷が存在しない分子、溶媒、又は他の種を指す。いくつかの実施形態では、非極性分子、溶媒、又は他の種は、構成原子が同じ又は同様の電気陰性度を有する場合に形成される。
【0041】
用語「有機電子装置」、又は場合によっては「電子装置」は、本明細書では1つ以上の有機半導体層又は材料を含む装置を指す。
【0042】
用語「極性」は、共有結合した原子間の電子の分布が均等ではない、分子、溶媒、又は他の種を指す。したがって、こうした種は、顕著に異なる電気陰性度によって特性決定される原子間の結合から生じ得る大きな双極子モーメントを示す。
【0043】
用語「ポリイミド」は、1つ以上の二官能性カルボン酸構成要素と1つ以上の一級ジアミン又はジイソシアネートとの反応から得られる縮合ポリマーを指す。ポリイミドは、ポリマー骨格の主鎖に沿った直鎖状又は複素環式単位としてイミド構造-CO-NR-CO-を含有する。
【0044】
用語「ポリマー」は、共有化学結合によって接続された1つ以上の種類のモノマー残基(繰り返し単位)を含む大分子を指す。この定義によれば、ポリマーは、モノマー単位の数が、より一般的にはオリゴマーと呼ばれ得る非常に少ないから、非常に多いまでの範囲であり得る化合物を包含する。ポリマーの非限定的な例としては、ホモポリマー、並びにコポリマー、ターポリマー、テトラポリマー、及びより高次の類似体などの非ホモポリマーが挙げられる。
【0045】
用語「ポリアリーレン」は、ポリマー骨格の主鎖に沿った炭素-炭素結合によって互いに直接接合したベンゼノイド芳香族成分を含有するポリマーの部類を指す。
【0046】
用語「プロトン性」は、酸性水素原子を含有し、そのため水素供与体として作用することのできる溶媒の一部類を指す。一般的なプロトン性溶媒としては、ギ酸、n-ブタノール、イソプロパノール、エタノール、メタノール、酢酸、水、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、酢酸プロピレングリコールメチルエーテル(PGMEA)、及びその他が挙げられる。プロトン性溶媒は、単独で用いられてもよく、又は様々な組み合わせで用いられてもよい。
【0047】
用語「満足できる」は、材料の特性又は特徴に関する場合、特性又は特徴が使用中の材料に対する全ての要件/要求を満たすことを意味することが意図されている。例えば、12重量%で4.5の衝撃試験評点を示す30:1希釈ポリマー溶液は、本明細書で開示されるポリマーとの関連において「満足できる」特性の非限定的実施例と見なすことができる。
【0048】
用語「衝撃試験」は、ポリマーが適切な溶媒系中に指定された濃度で配合され、任意選択的に濾過され、希釈され、且つ対象の試験溶媒系に供される、ポリマーの溶解度を評価するための方法を指す。ポリマー/溶媒系は、圧延混合され、混合の程度及び沈殿の量に関する目視検査によって溶解度評点が評価される。いくつかの実施形態では、適切な溶解度評定尺度は、本明細書で詳細に開示されるものである。
【0049】
用語「溶解度」は、所与の温度において溶媒に溶解することのできる溶質の最大量を指す。いくつかの実施形態では、溶解度は、任意の数の定性的又は定量的方法によって測定又は評価され得る。
【0050】
用語「基板」は、剛性又は可撓性のいずれかであり得、ガラス、ポリマー、金属、若しくはセラミック材料、又はこれらの組み合わせが挙げられ得るがこれらに限定されない1つ以上の材料の1つ以上の層を含み得る基礎材料を指す。基板は、電子部品、電子回路、又は導電性部材を含んでいても又は含んでいなくてもよい。
【0051】
用語「テトラカルボン酸成分」は、以下のうちの任意の1つ以上を指す:テトラカルボン酸、テトラカルボン酸一無水物、テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸モノエステル、及びテトラカルボン酸ジエステルのうちの任意の1つ以上を指す。
【0052】
用語「テトラカルボン酸成分残基」は、テトラカルボン酸成分中の4つのカルボキシ基に結合した部分を指す。これを下記で更に例示する。
【化2】
以下に示される置換基の結合が1つ以上の環を通過する構造において、
【化3】
置換基Rが1つ以上の環上の任意の利用可能な位置で結合し得ることが意味される。
【0053】
語句「に隣接した」は、装置中の層を指すために使用される場合、1つの層が別の層の直接隣にあることを必ずしも意味しない。一方で、語句「隣接したR基」は、化学式中で隣同士であるR基(すなわち結合によって連結した原子上にあるR基)を指すために使用される。例示的な隣接したR基を以下に示す。
【化4】
【0054】
本明細書で用いる全てのパーセンテージ、比率、及び割合は、特に指定のない限り、重量基準である。
【0055】
本開示は、エチニル部分で置換された2つ以上のアリール部分と、それぞれ1つ以上の極性置換基を有する2つ以上のアリール部分と、を含むビス-イミド化合物を目的とする。アリール部分は、6~60個の環炭素原子を含み、且つヘテロ原子も含み得る任意の数の群から選択される。エチニル部分は、炭素-炭素三重結合を含有する任意のものであってよい。極性置換基は、本明細書で開示されるように、共有結合原子間の電子の分布が均等ではない任意のものであってよい。
【0056】
非限定的な一実施形態では、本開示のビス-イミド化合物は、式1aによって表すことができ、
【化5】
式中、Lは、(Zで置換された二価の連結基であり、Z及びZは極性基であり、
X1及びyは同じか又は異なり、且つx1+yが2~6の整数となるような0~4の整数である。
【0057】
非限定的な一実施形態では、Lは、炭化水素アリール基、ヘテロアリール基、及びこれらの置換誘導体からなる群から選択され得る二価の芳香族連結基である。別の非限定的な実施形態では、Lは、非置換炭化水素アリール、又は6~30個の環炭素を有する炭化水素アリール、若しくは6~18個の環炭素を有する炭化水素アリールであり得る二価の連結基である。別の非限定的な実施形態では、Lは、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、及びこれらの置換誘導体からなる群から選択される。
【0058】
別の非限定的な実施形態では、Lは、ヘテロアリールからなる群から選択され、ここでヘテロアリールは、O、N、及びSからなる群から選択される少なくとも1つの環原子を有する。非限定的な一実施形態では、Lは、Oである少なくとも1つの環原子を有するO-ヘテロアリールである。別の非限定的な実施形態では、O-ヘテロアリールは、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、及びこれらの置換誘導体からなる群から選択される化合物から誘導される。非限定的な一実施形態では、Lは、Sである少なくとも1つの環原子を有するS-ヘテロアリールである。別の非限定的な実施形態では、S-ヘテロアリールは、チオフェン、ベンチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、及びこれらの置換誘導体からなる群から選択される化合物から誘導される。
【0059】
式1aの別の非限定的な実施形態では、Lは式2aを有し、
【化6】
式中、Z及びyは本明細書の別の箇所で定義されるとおりであり、*は式1aのイミド窒素に結合する点を示す。
【0060】
式1aの別の非限定的な実施形態では、Lは式2bを有し、
【化7】
式中、Z及びyは本明細書の別の箇所で定義されるとおりであり、*は式1aのイミド窒素に結合する点を示す。
【0061】
式1aの別の非限定的な実施形態では、Lは式2c又は式2dを有し、
【化8】
式中、R1a及びR1bは同じか又は異なり、且つH、ハロゲン、C1~30アルキル、C1~30ヘテロアルキル、C2~30アルケニル、C7~30アラルキル、C6~30アリール、及びC4~30ヘテロアリールからなる群から選択され得、Z、y、及び*は、本明細書の別の箇所で定義されるとおりである。
【0062】
式2c及び式2dの非限定的な一実施形態では、R1a及びR1bはF又はCFである。
【0063】
別の非限定的な実施形態では、Lは、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、ビシクロウンデカン、デカリン、ハウサンなど、及び類似の種からなる群から選択される脂環式環である。
【0064】
式1aの別の非限定的実施形態では、Lは、以下の種からなる群から選択されてもよく、
【化9】
式中、nは出現ごとに同じか又は異なり、且つ0、1、又は2であり、mは0又は1である。
【0065】
式1aの別の非限定的実施形態では、式1aは式1a’によって与えられ、
【化10】
式中、Ar基は出現ごとに同じか又は異なり、且つC~C30アリール基からなる群から選択され、Zは出現ごとに同じか又は異なり、且つ極性基であり、Xは、S、O、SO、SO、及びNRからなる群から選択され、Rは、H、ハロゲン、C1~30アルキル、C1~30ヘテロアルキル、C2~30アルケニル、C7~30アラルキル、C6~30アリール、及びC4~30ヘテロアリールからなる群から選択される。
【0066】
式1a’のいくつかの非限定的実施形態では、Ar基は出現ごとに同じであるか若しくは出現ごとに異なり、又はC~C30ヘテロアリール基からなる群から選択される。式1a’のいくつかの非限定的実施形態では、Ar基は、出現ごとに同じか又は異なり、且つC~C18アリール基からなる群から選択される。式1a’のいくつかの非限定的実施形態では、Ar基は、出現ごとに同じか又は異なり、且つベンジル、ナフチル、フェナンスリル、及びテルフェニルからなる群から選択される。式1aのいくつかの非限定的実施形態では、Xは、S又はO又はSO又はSO又はNRである。式1aのいくつかの非限定的実施形態では、Rは、H又はハロゲン又はC1~30アルキル又はC1~30ヘテロアルキル又はC2~30アルケニル又はC7~30アラルキル又はC6~30アリール又はC4~30ヘテロアリールである。
【0067】
式1a又は式1a’のいくつかの非限定的実施形態では、極性基Z及びZは出現ごとに同じである。式1a又は式1a’のその他の非限定的実施形態では、極性基Z及びZは出現ごとに異なる。式1a又は式1a’のいくつかの非限定的実施形態では、極性基Z及びZは、OH、COH、COR、OR、CX、F、Cl、Br、SH、CONH、CONHR、CONR、及びSRからなる群から選択されてもよく、式中、Rは本明細書の別の箇所で開示されるとおりであり、Xはハロゲンである。
【0068】
式1a又は式1a’のその他の非限定的実施形態では、極性基Z及びZは、NRからなる群から選択され、
【化11】
式中、Rは本明細書の別の箇所で開示されるとおりであり、n=1又はn=2である。
【0069】
式1aのいくつかの非限定的実施形態では、x1=0又はx1=1又はx1=2又はx1=3又はx1=4であり、y=0又はy=1又はy=2又はy=3又はy=4であり、x1+y=2又はx1+y=3又はx1+y=4又はx1+y=5又はx1+y=6である。
【0070】
式1a及び式1a’の上述の実施形態のいずれも、相互排他的でない限り、1つ以上の他の実施形態と組み合わせることができる。例えば、Lが炭化水素アリール基である式1aの実施形態は、ZがOHである式1aの実施形態と組み合わせることができる。同じことが、上記で考察した他の相互排他的でない実施形態についても言える。当業者は、いずれの実施形態が相互排他的であるかを理解し、その結果、本出願によって考えられる実施形態の組み合わせを容易に決定できるであろう。
【0071】
式1aを有する化合物のいくつかの非限定的な例は以下のとおりである。
【化12】
【0072】
非限定的な一実施形態では、本開示のビス-イミド化合物は、式1bによって表すことができ、
【化14】
式中、Lは縮合芳香族又は脂環式環であり、Z及びZは極性基であり、Arは出現ごとに同じか又は異なり、且つC~C30アリール基であり、x2は0~4の整数であり、vは0~2の整数であるが、但し、Lが脂環式環である場合は、vは0であり、x2+vは2~4の整数である。
【0073】
式1bの非限定的な一実施形態では、Lは、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、フェナレン、テトラセン、クリセン、トリフェニレン、ピレン、ペンタセンなどからなり、より多くの縮合環を備える種を含む群から選択される縮合芳香族環である。別の非限定的な実施形態では、Lはフェニル基である。式1bの別の非限定的な実施形態では、Lはナフチル基である。式1bの別の非限定的な実施形態では、Lは、1つ以上のヘテロ原子を含有する縮合芳香族環構造体である。式1bの別の非限定的実施形態では、Lは、以下の種からなる群から選択されてもよく、
【化15】
式中、nは出現ごとに同じか又は異なり、且つ0、1、又は2であり、mは0又は1である。
【0074】
式1bの別の非限定的な実施形態では、Lは脂環式環である。式1bの別の非限定的な実施形態では、Lは、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、ビシクロウンデカン、デカリン、ハウサンなど、及び類似の種からなる群から選択される脂環式環である。式1bの別の非限定的な実施形態では、Lは、シクロブタン、シクロペンタン、及びシクロヘキサンからなる群から選択される。式1bの別の非限定的な実施形態では、Lは、4~6員環の脂環式環、ベンゼン環、及びナフタレン環からなる群から選択される。式1bの別の非限定的な実施形態では、Lは、1つ以上のヘテロ原子を含有する。式1bの別の非限定的な実施形態では、Lは、N、O、及びSからなる群から選択されるヘテロ原子を含有する。
【0075】
式1bの別の非限定的な実施形態では、Lは以下のとおりであり、
【化16】
式中、A及びBは出現ごとに同じか又は異なり、且つCH、CF、C(CH、C(CH)(CF)、C(CF、C(O)、O、S、SO、SO、及びフルオレニルからなる群から選択される。
【0076】
式1bの別の非限定的実施形態では、式1bは式1b’によって与えられ、
【化17】
式中、Ar基は出現ごとに同じか又は異なり、且つC~C30アリール基からなる群から選択され、Zは極性基であり、Xは、S、O、SO、SO、及びNRからなる群から選択され、Rは、H、ハロゲン、C1~30アルキル、C1~30ヘテロアルキル、C2~30アルケニル、C7~30アラルキル、C6~30アリール、及びC4~30ヘテロアリールからなる群から選択される。
【0077】
式1b’におけるAr、Z、及びXの非限定的な特定の実施形態は、本明細書で開示される式1a’に関連して特定されるものと同じである。
【0078】
式1bの非限定的な一実施形態では、Arは出現ごとに同じか又は異なり、且つC~C30アリール基からなる群から選択される。式1bの別の非限定的な実施形態では、Arは出現ごとに同じか又は異なり、且つベンジル、ナフチル、フェナンスリル、トリフェニルなどからなり、より多くの縮合環を備える種を含む群から選択される。式1bの別の非限定的な実施形態では、Arは出現ごとに同じか又は異なり、且つC~C30ヘテロアリール基からなる群から選択される。式1bの別の非限定的な実施形態では、Arは出現ごとに同じか又は異なり、且つヘテロ原子としてN、O、又はSを含有する。
【0079】
式1b’のいくつかの非限定的実施形態では、Xは、S又はO又はSO又はSO又はNRである。式1b’のいくつかの非限定的実施形態では、Rは、H又はハロゲン又はC1~30アルキル又はC1~30ヘテロアルキル又はC2~30アルケニル又はC7~30アラルキル又はC6~30アリール又はC4~30ヘテロアリールである。
【0080】
式1b又は式1b’のいくつかの非限定的実施形態では、極性基Z及びZは出現ごとに同じである。式1b又は式1b’のその他の非限定的実施形態では、極性基Z及びZは出現ごとに異なる。式1b又は式1b’のいくつかの非限定的実施形態では、極性基Z及びZは、OH、COH、COR、OR、CX、F、Cl、Br、SH、CONH、CONHR、CONR、及びSRからなる群から選択されてもよく、式中、Rは本明細書の別の箇所で開示されるとおりであり、Xはハロゲンである。
【0081】
式1b又は式1b’のその他の非限定的実施形態では、極性基Z及びZは、NRからなる群から選択され、
【化18】
式中、Rは本明細書の別の箇所で開示されるとおりであり、n=1又はn=2である。
【0082】
式1bのいくつかの非限定的実施形態では、x2=0又はx2=1又はx2=2又はx2=3又はx2=4であり、Lが芳香族環である場合はv=0であり、若しくはLが縮合脂環式環である場合はv=0であり、又はv=1若しくはv=2であり、x2+v=2又はx2+v=3又はx2+v=4である。
【0083】
式1b又は式1b’の上述の実施形態のいずれも、相互排他的でない限り、1つ以上の他の実施形態と組み合わせることができる。例えば、Lが縮合芳香族環である式1bの実施形態は、ZがCFである式1bの実施形態と組み合わせることができる。同じことが、上記で考察した他の相互排他的でない実施形態についても言える。当業者は、いずれの実施形態が相互排他的であるかを理解し、その結果、本出願によって考えられる実施形態の組み合わせを容易に決定できるであろう。
【0084】
式1bを有する化合物のいくつかの非限定的な例は以下のとおりである。
【化19】
【0085】
非限定的な一実施形態では、本開示のビス-イミド化合物は、式1cによって表すことができ、
【化20】
式中、Lは二価の連結基であり、式1a及び式1bに関して本明細書で開示されるAr、Z、及びZの全ての実施形態は、式1cにおけるAr、Z、及びZに対しても等しく適用され、x3は0~4の整数であり、wは、x3+wが2~6の整数となるような0~3の整数である。
【0086】
式1cの非限定的な一実施形態では、Lは、単共有結合、アルキル基、O、S、C(O)、C(S)、S(O)、SO、CF、及びC(CFからなる群から選択される。
【0087】
式1cのいくつかの非限定的実施形態では、x3=0又はx3=1又はx3=2又はx3=3又はx3=4であり、w=0又はw=1又はw=2又はw=3であり、x3+w=2又はx3+w=3又はx3+w=4又はx3+w=5又はx3+w=6である。
【0088】
式1cの上述の実施形態のいずれも、相互排他的でない限り、1つ以上の他の実施形態と組み合わせることができる。例えば、Lが-C(CFである実施形態は、x3=2である実施形態と組み合わせることができる。同じことが、上記で考察した他の相互排他的でない実施形態についても言える。当業者は、いずれの実施形態が相互排他的であるかを理解し、その結果、本出願によって考えられる実施形態の組み合わせを容易に決定できるであろう。
【0089】
式1cを有する化合物のいくつかの非限定的な例は以下のとおりである。
【化21】
【化22】
【0090】
本開示は更に、(a)エチニル部分で置換された2つ以上のアリール部分と、それぞれ1つ以上の極性置換基を有する2つ以上のアリール部分と、を含むビス-イミド化合物を含む1つ以上の第1のモノマーと、(b)2つ以上のシクロペンタジエノン部分を含む1つ以上の第2のモノマーと、のモノマー混合物から重合されたコポリマーを含むポリマー組成物を目的とする。エチニル部分で置換された2つ以上のアリール部分と、それぞれ1つ以上の極性置換基を有する2つ以上のアリール部分と、を含むビス-イミド化合物を含む1つ以上の第1のモノマーは、本明細書で開示される式1aを有する化合物、式1bを有する化合物、及び式1cを有する化合物からなる群から選択される。
【0091】
ポリマー組成物の、2つ以上のシクロペンタジエノン部分を含む1つ以上の第2のモノマーは、式3によって表すことができ、
【化23】
式中、Rは、出現ごとに同じか又は異なり、且つH、置換又は非置換C1~6アルキル、置換又は非置換C6~20アリール、及び置換又は非置換C4~20ヘテロアリールからなる群から選択され、Arは置換又は非置換C6~20アリール基である。
【0092】
式3の非限定的な一実施形態では、Rは出現ごとに同じであってもよく、又は出現ごとに異なっていてもよい。別の非限定的な実施形態では、Rは、H、又は非置換C1~6アルキル若しくは置換C1~6アルキル、若しくは非置換C6~30アリール若しくは置換C6~30アリール、若しくは非置換C5~30ヘテロアリール若しくは置換C5~30ヘテロアリールであってもよい。
【0093】
式3の非限定的な一実施形態では、Arは置換又は非置換C6~20アリール基である。多種多様な芳香族部分がArとしての使用に好適である。これらのうちの多くが、(特許文献2)に開示されている。
【0094】
式3の非限定的な一実施形態では、Arは式4を有し、
【化24】
式中、qは1~3の整数であり、rは0~2の整数であり、Arは出現ごとに同じか又は異なり、且つ式5及び式6からなる群から選択され、
【化25】
式中、Rは出現ごとに同じか又は異なり、且つハロゲン、置換又は非置換C1~6アルキル、アリール、及びアリールオキシからなる群から選択され、cは0~4の整数であり、d及びeは出現ごとに同じか又は異なり、且つそれぞれ0~3の整数であり、Zは出現ごとに同じか又は異なり、且つ単共有結合、アルキル基、O、C(O)、C(S)、CF、及びC(CFからなる群から選択される。
【0095】
式4の別の非限定的実施形態では、Zは出現ごとに同じか又は異なり、且つCH、CF、C(CH、C(CF、フルオレニル、O、S、SO、SO、NR、PR、P(=O)R、C(=O)、CR1011、SiR1011からなる群から選択され、
【化26】
式中、Rは本明細書の別の箇所で定義されるとおりであり、R、R10、及びR11は同じか又は異なり、且つH、置換又は非置換C1~4アルキル、及びアリールからなる群から選択される。
【0096】
式5及び式6のいくつかの非限定的実施形態では、Rのうち1つ以上は、ハロゲン、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、フェニル、フェノキシ、フルオロ、C1~4アルキル、C1~4フルオロアルキル、及びC1~4フルオロアルコキシからなる群から選択される。
【0097】
式5及び式6のいくつかの非限定的実施形態では、c=0又はc=1又はc=2又はc=3である。
【0098】
式5及び式6のいくつかの非限定的実施形態では、d及びeのそれぞれは独立して0又は1又は2である。
【0099】
式5及び式6の別の非限定的実施形態では、d+eは0又は1又は2又は3又は4である。
【0100】
式4のいくつかの非限定的実施形態では、q=1又はq=2である。
【0101】
式4のいくつかの非限定的実施形態では、r=0又はr=1である。
【0102】
式4の別の非限定的実施形態では、各Zは独立してO、S、NR、C(O)、C1011、及びSiR1011からなる群から選択され、R、R10、及びR11のそれぞれは、独立してH、又はC1~4アルキル若しくはC1~2フルオロアルキル若しくはフェニルである。
【0103】
エチニル部分で置換された2つ以上のアリール部分と、それぞれ1つ以上の極性置換基を有する2つ以上のアリール部分と、を含むビス-イミド化合物を含む1つ以上の第1のモノマーのいくつかの非限定的な例は、本明細書で開示される式1aを有する化合物、式1bを有する化合物、及び式1cを有する化合物からなる群から選択される。
【0104】
2つ以上のシクロペンタジエノン部分を含む1つ以上の第2のモノマーのいくつかの非限定的な例は、以下のとおりである。
【化27】
【化28】
【化29】
【0105】
(a)エチニル部分で置換された2つ以上のアリール部分と、それぞれ1つ以上の極性置換基を有する2つ以上のアリール部分と、を含むビス-イミド化合物を含む1つ以上の第1のモノマーと、(b)2つ以上のシクロペンタジエノン部分を含む1つ以上の第2のモノマーと、のモノマー混合物から重合されたコポリマーを含むポリマー組成物のいくつかの非限定的な例は、以下のとおりである。
【化30】
【化31】
【0106】
本開示は更に、(a)エチニル部分で置換された2つ以上のアリール部分と、それぞれ1つ以上の極性置換基を有する2つ以上のアリール部分と、を含むビス-イミド化合物をそれぞれ含む2つ以上の第1のモノマーと、(b)2つ以上のシクロペンタジエノン部分を含む1つ以上の第2のモノマーと、のモノマー混合物から重合されたターポリマー及びより高次のポリマーを含むポリマー組成物を目的とする。エチニル部分で置換された2つ以上のアリール部分と、それぞれ1つ以上の極性置換基を有する2つ以上のアリール部分と、を含むビス-イミド化合物をそれぞれ含む2つ以上の第1のモノマーは、本明細書で開示される式1aを有する化合物、式1bを有する化合物、及び式1cを有する化合物からなる群から選択される。
【0107】
こうしたポリマー組成物は、エレクトロニクス及びディスプレイ用途に最適化され得る最終ポリマー特性に関して追加的な可撓性を提供する新規な材料を生産する可能性を提供する実施形態を有する。モノマー材料及びそれぞれの相対量を慎重に選択することによって作製される本明細書で開示される材料は、これらの加工性、熱安定性、CTE、溶解度、及び本明細書で開示されるその他の特性に関して調節され得る。(a)エチニル部分で置換された2つ以上のアリール部分と、それぞれ1つ以上の極性置換基を有する2つ以上のアリール部分と、を含むビス-イミド化合物をそれぞれ含む2つ以上の第1のモノマーと、(b)2つ以上のシクロペンタジエノン部分を含む1つ以上の第2のモノマーと、のモノマー混合物から重合されたターポリマー及びより高次のポリマーを含むポリマー組成物の非限定的な例は以下のとおりである。
【化32】
【0108】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるポリマー組成物は、現行のポリフェニレン-ポリイミドポリマーと比較して、これらの構成成分上に追加の極性基を組み込んだ結果として、極性を有するプロトン性溶媒中における改善された溶解度を示す。官能化ビス-イミド化合物及びモノマーは、本明細書で開示されるコポリマー組成物に組み込まれると、様々なエレクトロニクス及びディスプレイ用途に望ましいその他の特性を犠牲にすることなく材料の溶解度を改善する。本明細書で開示される特定の合成アプローチは、より多岐にわたる極性のプロトン性基に適用可能であり、したがって、その他の最終用途における応用を見出すこともできる。
【0109】
いくつかの実施形態では、極性官能基を本明細書で開示されるコポリマー組成物のモノマー構成成分に組み込むための方法は、1つ又は複数の極性基を含有するジアミン残基に基づく合成スキームを採用する。いくつかの非限定的な実施形態では、ヒドロキシル化又はカルボキシル化ジアミンは、反応して、現行の材料と比較して、極性を有するプロトン性溶媒における改善された溶解度を備えた対応するポリマーを更に生成することのできるビス-イミドモノマーを調製するのに用いることができる。いくつかの非限定的な実施形態では、一般的な合成経路は以下のとおりに始まり、
【化33】
2当量の4-エチニルフタル酸無水物で適切に官能化されたジアミンの反応が、所望のビス-イミドモノマーを作製する。極性官能基を含有する残基を含むジアミンのいくつかの非限定的な例は、
【化34】
(式中、X及びYは同じか又は異なってもよく、且つ単結合、CO、S、SO、C(CF、C(CH、又はフルオレニルからなる群から選択されてもよく、Zは、Z及びZに関して本明細書の別の箇所で開示されたとおりである)、及び同様のもの、並びにこれらの組み合わせであり、材料特性、対象の溶媒などに応じてその他のものが選択されてもよい。
【0110】
別の非限定的な実施形態では、モノマー二無水物の官能化により、本明細書で開示される化合物及びポリマー組成物に至る経路が提供される。いくつかの非限定的な実施形態では、2当量のAEBzOHを任意の数の市販の二無水物と反応させることにより、1つのビス-イミドモノマーごとに2つのカルボン酸基が組み込まれる。
【化35】
【0111】
好適な二無水物のいくつかの非限定的な例としては、以下のものが挙げられる:
【化36】
及び更なるピロメリト酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s-BPDA)、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、ビス(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-カルボン酸)1,4-フェニレンエステル(TAHQ)、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、4,4’-ビスフェノールA二無水物(BPADA)、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)ナフト[1,2-c]テトラカルボン酸二無水物(TDA)、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物(CpODA)、ヒドロキノンジフタル酸無水物(HQDEA)、エチレングリコールビス(トリメリト酸無水物)(TMEG-100)、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物(DTDA)、4,4’-ビスフェノール-A二無水物(BPADA)、キサンテンテトラカルボン酸二無水物など、並びにこれらの組み合わせ。
【0112】
本開示による化合物及びポリマー組成物、並びにこれらに関連する特性は、以下に記載する実施例に従って調製及び使用することができる。本明細書で提示される実施例は、本開示を例示することを目的としており、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例
【0113】
合成実施例1
この実施例は、式1aを有するビス-イミド化合物である化合物1の調製を説明する。
【化37】
【0114】
窒素雰囲気下、電磁撹拌棒を装備した500mLの丸底フラスコ内の氷酢酸(200mL、2Mビス-AP-AF)中で、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(ビス-AP-AF)(15.00g、40.95mmol、1当量)及び4-エチニルフタル酸無水物(14.10g、81.91mmol、2当量)を組み合わせた。丸底フラスコに、反応混合物内に延在する温度計プローブが固定されたClaisenアダプタ、及びサイドアームに取り付けられた水冷コンデンサを取り付けた。電磁撹拌しながら、自動調節式温度制御装置を用いて24時間かけて混合物温度を118℃(還流)に上昇させた。
【化38】
【0115】
室温に冷却した後、分液漏斗を介して、100mL部の反応混合物を800mLの撹拌した室温の脱イオン水中にゆっくりと滴下することによって生成物を沈殿させた。固体を真空濾過して湿った生成物を得た(薄いピンクがかった白色の固体)。組み合わせられた固体沈殿物を、1Lのビーカー内で1時間電磁撹拌することによって、750mLの室温の脱イオン水で洗浄した。真空濾過した固体を室温の真空チャンバ内に置き、高真空下で48時間乾燥させた。固体生成物(化合物1)(24.97g、37.02mmol、90.39%)を、H及び13C NMRによって確認した。残留の酢酸が検出された場合は、固体を脱イオン水で更に洗浄して乾燥させた。酢酸が検出されなくなるまでこのプロセスを繰り返した。
【0116】
合成実施例2
この実施例は、式3を有するモノマーである化合物M2-1の調製を例示する。化合物M2-1は式3の実施形態であり、
【化39】
式中、R=フェニルであり、Arは式4によって与えられ、
【化40】
式中、Ar=フェニルであり、Z=Oであり、x=y=1である。この材料の合成は、例えば(特許文献2)及びその他に記載されている。化合物M2-1は以下のとおりである。
【化41】
【0117】
合成実施例3
この実施例は、ビス-イミドモノマー1a及びDPO-CPDに基づくポリマーであるポリマー1の調製を例示する。
【化42】
窒素雰囲気下、電磁撹拌棒を備えた50mL丸底フラスコ中で、化合物1のモノマー(2.000g、2.965mmol、1.1当量)及び化合物M2-1(2.110g、2.696mmol、1当量)を、16mLのγ-ブチロラクトン(gamma-butryolactone)(GBL)と組み合わせた。丸底フラスコに、反応混合物内に延在する温度計プローブが固定されたClaisenアダプタ、及びサイドアームに取り付けられた水冷コンデンサを取り付けた。電磁撹拌しながら、自動調節式温度制御装置を用いて24時間かけて混合物温度を150℃に上昇させた。室温に冷却した後、アセトンで反応混合物を元の体積の4倍に希釈した。
【化43】
【0118】
固体ポリマーを、分液漏斗を介して希釈溶液を200mLの撹拌した室温の脱イオン水中に滴下することによって、ゆっくりと沈殿させた。得られた固体ポリマーの濁った懸濁液を、真空濾過して湿った固体ポリマーを得、これを、1Lのビーカー中で1時間撹拌することによって、500mLの室温の脱イオン水で洗浄した。固体を真空濾過し、60℃に加熱された真空オーブン内に置き、高真空下で48時間乾燥させた。乾燥したポリマー(3.358g)を、配合及び溶解度衝撃試験に用いた。GPCを用いてポリマーの分子量を判定した。
【0119】
合成実施例4
この実施例は、式1cを有するビス-イミド化合物である化合物16の調製を説明する。
【化44】
【0120】
合成実施例4a
メチル3-ブロモ-5-ニトロベンゾエートの調製。
【化45】
3-ブロモ-5-ニトロ安息香酸(25.00g、98.6mmol)をメタノール(400mL)中に溶解し、0.5mLの硫酸を添加した。混合物を還流条件下で24時間加熱した。小アリコート(約1mL)を回転式蒸発器上で乾燥させ、陽子NMRを実施して反応進行を評価した。比5:1のエステル:酸をNMRスペクトルから判定した。反応混合物を更に24時間還流させ、この時点で、同じプロセスによって示されるように、酸からエステルへの変換が完了した。水性NaOHを添加することによって、pHをpH4に調節した。真空中の回転式蒸発器上でメタノールを除去した。300mLの酢酸エチルで粗生成物を抽出し、有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、真空中の回転式蒸発器上で濃縮した。薄黄色の固体としてメチル3-ブロモ-5-ニトロベンゾエートを単離し(23.17g、89.1mmol、90.38%)、これを次の工程のために直接使用した。生成物をH NMRを用いて確認した。
【0121】
合成実施例4b
3-ニトロ-5-(トリメチルシリルエチニル)ベンゾエートの調製。
【化46】
合成実施例4aからのメチル3-ブロモ-5-ニトロベンゾエート(22.88g、88.0mmol、1等量)をトリエチルアミン(300mL)に溶解した。窒素雰囲気下で、ヨウ化銅(I)(335mg、1.76mmol、0.02当量)及びビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(ii)二塩化物(1.235g、1.76mmol;0.02当量)、並びにトリメチルシリルアセチレン(25mL、17.28g、175.97mmol;2当量)を室温で添加した。混合物を室温で20時間撹拌し、続いてシリカゲルプラグで濾過して沈殿固体を除去した。シリカプラグを50mLの酢酸エチル(貫流)ですすいだ。濾液を真空中で濃縮して可能限り多くのトリエチルアミンを除去した。粗残渣を300mLの酢酸エチルに溶解させ、50mLの水で2回洗浄し、続いて50mLの飽和塩化ナトリウムで1回洗浄した。有機相をMgSOで脱水し、濾過し、真空中の回転式蒸発器上で濃縮した。高真空で終夜乾燥した後、固体のメチル-3-ニトロ-5-(トリメチルシリルエチニル)ベンゾエート(24.02g、86.6mmol、98.45%)を単離して、次の工程のために直接使用した。生成物をH NMRを用いて確認した。
【0122】
合成実施例4c
3-エチニル-5-ニトロ安息香酸の調製。
【化47】
合成実施例4bからのメチル3-ニトロ-5-(トリメチルシリルエチニル)ベンゾエート(23.04g、83.07mmol、1等量)をメタノール(300mL)に溶解し、LiOHaq溶液(208mL、2M、416mmol、5当量)を添加した。混合物を60℃で1時間撹拌した。TLCを用いて反応進行を監視した。1時間の加熱期間の終了前に出発物質の消失が観察された。続いて、水性の希釈HCl(1M)でpHを4に調節した。生成物を酢酸エチルで抽出し、MgSOで乾燥させ、濾過し、真空中の回転式蒸発器上で濃縮した。固体の3-エチニル-5-ニトロ安息香酸(15.78g、82.56mmol、99.38%)を得、これを次の工程のために直接使用した。粗固体は、ソノガシラ反応から得られたピンク/紫色を保っており、生成物の正体をH NMRを用いて確認した。
【0123】
合成実施例4d
3-アミノ-5-エチニル安息香酸の調製。
【化48】
合成実施例4cからの3-エチニル-5-ニトロ安息香酸(5.00g、26.16mmol、1当量)を、酢酸エチル(100mL)に溶解させ、氷酢酸(2滴)、SnCl(24.80g、131mmol、5当量)、及び水(4.7mL、262mmol、10当量)を添加した。混合物を2時間還流させてから、素早く撹拌しながら氷水中にゆっくりと注ぎ入れた。次に、水性の飽和重炭酸ナトリウム(NaHCO)で懸濁液をpH5に調節した。得られた懸濁液をHOで希釈し、生成物を200mL(抽出毎)の酢酸エチルで3回抽出した。組み合わせた有機相を水及び飽和塩化ナトリウムで洗浄し、最終的にMgSOで乾燥させ、濾過し、真空中の回転式蒸発器上で濃縮した。薄黄色の固体として3-アミノ-5-エチニル安息香酸(2.17g、13.46mmol、51.47%)が形成され、H NMRを用いて生成物を確認した。
【0124】
合成実施例4e
この実施例は、式1cを有するビス-イミド化合物である化合物16の最終調製を説明する。
【化49】
【0125】
窒素雰囲気下、電磁撹拌棒を装備した100mLの丸底フラスコ内の氷酢酸(20mL)で、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)(1.812g、4.080mmol、1当量)を、合成実施例4dからの3-アミノ-5-エチニル安息香酸(1.315g、8.160mmol、2当量)と組み合わせた。丸底フラスコに、反応混合物内に延在する温度計プローブが固定されたClaisenアダプタ、及びサイドアームに取り付けられた水冷コンデンサを取り付けた。電磁撹拌しながら、自動調節式温度制御装置を用いて24時間かけて混合物温度を118℃(還流)に上昇させた。室温に冷却した後、分液漏斗を介して、反応混合物を200mLの撹拌した室温の脱イオン水中にゆっくりと滴下することによって生成物を沈殿させた。固体を真空濾過して湿った生成物を得た(薄いピンクがかった白色の固体)。組み合わせられた固体沈殿物を、500mLのビーカー内で1時間撹拌することによって、200mLの室温の脱イオン水で洗浄した。固体を真空濾過し、室温の真空チャンバ内に置き、高真空下で48時間乾燥させた。固体モノマー生成物(化合物16)(2.864g、3.920mmol、96.09%)を、H及び13C NMRを用いて生成物として確認した。残留の酢酸が検出された場合は、固体を脱イオン水で更に洗浄して、全く検出されなくなるまで乾燥させた。
【0126】
合成実施例5
この実施例は、ビス-イミドモノマー1c及びDPO-CPDに基づくポリマーであるポリマー2の調製を例示する。
【化50】
【0127】
窒素雰囲気下、電磁撹拌棒を備えた50mL丸底フラスコ中で、合成実施例4eで調製した化合物16のモノマー(2.500g、3.422mmol、1.01当量)及び化合物M2-1(DPO-CPD)(2.653g、2.696mmol、1当量)を、25mLのγ-ブチロラクトン(GBL)と組み合わせた。丸底フラスコに、反応混合物内に延在する温度計プローブが固定されたClaisenアダプタ、及びサイドアームに取り付けられた水冷コンデンサを取り付けた。電磁撹拌しながら、自動調節式温度制御装置を用いて24時間かけて混合物温度を165℃に上昇させた。室温に冷却した後、アセトンで反応混合物を元の体積の4倍に希釈した。固体ポリマーを、分液漏斗を介して希釈溶液を200mLの撹拌した室温の脱イオン水中に滴下することによって、ゆっくりと沈殿させた。得られた固体ポリマーの濁った懸濁液を、真空濾過して湿った固体ポリマーを得、これを、1Lのビーカー中で1時間撹拌することによって、500mLの室温の脱イオン水で洗浄した。固形分を真空濾過し、60℃に加熱された真空オーブン内に置き、高真空下で48時間乾燥させた。乾燥したポリマー(3.641g)を、次の工程で配合及び溶解度衝撃試験に用いた。GPCを用いてポリマーの分子量を判定した。
【0128】
比較実施例合成1
この実施例は、比較のビス-イミド化合物である化合物Aの調製を例示する。
【化51】
【0129】
窒素雰囲気下、電磁撹拌棒を装備した100mLの丸底フラスコ内の氷酢酸(22.5mL)で、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)(2.000g、4.502mmol、1当量)を、4-エチニルアニリン(1.055g、9.004mmol、2当量)と組み合わせた。丸底フラスコに、反応混合物内に延在する温度計プローブが固定されたClaisenアダプタ、及びサイドアームに取り付けられた水冷コンデンサを取り付けた。電磁撹拌しながら、自動調節式温度制御装置を用いて6時間かけて混合物温度を118℃(還流)に上昇させた。室温に冷却した後、分液漏斗を介して、反応混合物を200mLの撹拌した室温の脱イオン水中にゆっくりと滴下することによって生成物を沈殿させた。固体を真空濾過して湿った生成物を得た(白色の固体)。固体沈殿物を、500mLのビーカー内で1時間撹拌することによって、200mLの室温の脱イオン水で洗浄した。固体を真空濾過し、室温の真空チャンバ内に置き、高真空下で48時間乾燥させた。固体モノマー生成物(2.775g、4.319mmol、95.9%)を、H及び13C NMRを用いて生成物として確認した。残留の酢酸が検出された場合は、固体を脱イオン水で更に洗浄して、全く検出されなくなるまで乾燥させた。
【0130】
比較合成実施例2
この実施例は、ビス-イミド化合物A及びDPO-CPDに基づくポリマーである比較ポリマーAの調製を例示する。
【化52】
【0131】
窒素雰囲気下、電磁撹拌棒を備えた50mL丸底フラスコ中で、比較実施例合成1で調製した化合物Aのモノマー(2.000g、3.113mmol、1.01当量)及び化合物M2-1(DPO-CPD)(2.412g、3.082mmol、1当量)を、25mLのγ-ブチロラクトン(gamma-butryolactone)(GBL)と組み合わせた。丸底フラスコに、反応混合物内に延在する温度計プローブが固定されたClaisenアダプタ、及びサイドアームに取り付けられた水冷コンデンサを取り付けた。電磁撹拌しながら、自動調節式温度制御装置を用いて24時間かけて混合物温度を165℃に上昇させた。室温に冷却した後、アセトンで反応混合物を元の体積の4倍に希釈した。固体ポリマーを、分液漏斗を介して希釈溶液を200mLの撹拌した室温の脱イオン水中に滴下することによって、ゆっくりと沈殿させた。得られた固体ポリマーの濁った懸濁液を、真空濾過して湿った固体ポリマーを得、これを、1Lのビーカー中で1時間撹拌することによって、500mLの室温の脱イオン水で洗浄した。固形分を真空濾過し、60℃に加熱された真空オーブン内に置き、高真空下で48時間乾燥させた。乾燥したポリマー(3.742g)を、次の工程で配合及び溶解度衝撃試験に用いた。GPCを用いてポリマーの分子量を判定した。
【0132】
比較実施例合成3
この実施例は、比較のビス-イミド化合物である化合物Bの調製を例示する。
【化53】
【0133】
窒素雰囲気下、電磁撹拌棒を装備した250mLの丸底フラスコ内の氷酢酸(84mL)で、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)(5.000g、20.935mmol、1当量)を、3-エチニルアニリン(5.000g、41.869mmol、2当量)と組み合わせた。丸底フラスコに、反応混合物内に延在する温度計プローブが固定されたClaisenアダプタ、及びサイドアームに取り付けられた水冷コンデンサを取り付けた。電磁撹拌しながら、自動調節式温度制御装置を用いて6時間かけて混合物温度を118℃(還流)に上昇させた。室温に冷却した後、分液漏斗を介して、反応混合物を200mLの撹拌した室温の脱イオン水中にゆっくりと滴下することによって生成物を沈殿させた。固体を真空濾過して湿った生成物を得た(白色の固体)。固体沈殿物を、500mLのビーカー内で1時間撹拌することによって、200mLの室温の脱イオン水で洗浄した。固体を真空濾過し、室温の真空チャンバ内に置き、高真空下で48時間乾燥させた。固体モノマー生成物(12.50g、19.455mmol、92.9%)を、H及び13C NMRを用いて生成物として確認した。残留の酢酸が検出された場合は、固体を脱イオン水で更に洗浄して、全く検出されなくなるまで乾燥させた。
【0134】
比較合成実施例4
この実施例は、ビス-イミド化合物B及びDPO-CPDに基づくポリマーである比較ポリマーBの調製を例示する。
【化54】
【0135】
窒素雰囲気下、電磁撹拌棒を備えた250mL丸底フラスコ中で、比較実施例3で調製したモノマー(10.000g、15.564mmol、1.025当量)及び化合物M2-1(11.888g、15.184mmol、1当量)を、75mLのγ-ブチロラクトン(gamma-butryolactone)(GBL)と組み合わせた。丸底フラスコに、反応混合物内に延在する温度計プローブが固定されたClaisenアダプタ、及びサイドアームに取り付けられた水冷コンデンサを取り付けた。電磁撹拌しながら、自動調節式温度制御装置を用いて24時間かけて混合物温度を165℃に上昇させた。室温に冷却した後、アセトンで反応混合物を元の体積の4倍に希釈した。固体ポリマーを、分液漏斗を介して希釈溶液を1Lの撹拌した室温の脱イオン水中に滴下することによって、ゆっくりと沈殿させた。得られた固体ポリマーの濁った懸濁液を、真空濾過して湿った固体ポリマーを得、これを、1Lのビーカー中で1時間撹拌することによって、500mLの室温の脱イオン水で洗浄した。固形分を真空濾過し、60℃に加熱された真空オーブン内に置き、高真空下で48時間乾燥させた。乾燥したポリマー(18.665g)を、次の工程で配合及び溶解度衝撃試験に用いた。GPCを用いてポリマーの分子量を判定した。
【0136】
溶解度実施例
配合物を衝撃試験に供して、エレクトロニクス及びディスプレイ産業で一般に用いられている溶媒系とのこれらの相溶性を判定することによってポリマーの溶解度を評価した。ポリマーを、最初に、61.75:33.25:5の比のメチル3-メトキシプロピオネート(MMP)、アニソール、及びγ-ブチロラクトン(GBL)からなる溶媒系中に、12又は30重量%のいずれかの固体ポリマー濃度で配合し、続いて0.2μmのPTFEフィルタで濾過した。より粘性の高い溶液を、0.45μmのPTFEフィルタ又は5μmのナイロンフィルタで濾過した。試験溶媒系は、70:30比のプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とから構成されていた。少量のポリマー配合物を、試験溶媒系に対して溶解して且つ30:1及び200:1で希釈することを試みることによって衝撃試験を実施した。続いて混合物をロール混合した。次に、両方の希釈の視覚検査のための表1の以下の基準に基づいて溶解度評点を割り当てた。いくつかの実施形態では、使用中の要件により、衝撃試験評点における4.5の合格閾値が設定される。
【0137】
【表1】
【0138】
本明細書で開示されるポリマーの代表的な結果を表2にまとめる。
【0139】
【表2】
【0140】
ポリマー1及びポリマー2の両方が、本明細書で開示される溶媒系中で、比較ポリマーA及び比較ポリマーBに対して改善された溶解度を示すことが見出された。更に、これらのポリマーのより高い分子量の変種は、対象の溶媒中で好ましい溶解度特性を保持する。
【0141】
一般的な説明又は実施例において上述した作業の全てが必要であるわけではなく、特定の作業の一部は、必要でない場合があり、1つ以上の更なる作業は、記載されている作業に加えて行われ得ることに留意されたい。また更に、作業が列挙される順序は、必ずしも作業が行われる順序ではない。
【0142】
上記の本明細書において、本概念は、特定の実施形態を参照して説明された。しかしながら、当業者であれば、以下の特許請求の範囲で説明する本発明の範囲から逸脱することなく様々な修正及び変形がなされ得ることを理解するであろう。したがって、本明細書及び図面は、限定的ではなく例示的な意味と見なされるものであり、全てのこのような修正が、本発明の範囲に含まれることが意図される。
【0143】
効果、その他の利点、及び問題に対する解決法が、特定の実施形態に関連して上記で説明された。しかしながら、効果、利点、問題に対する解決法及び、任意の効果、利点、若しくは解決法を生じさせ得る、又はより顕著なものとする任意の特徴は、特許請求の範囲のいずれか又は全ての、重要な、必要な、又は不可欠な特徴として解釈されるものではない。
【0144】
明確さのために、別々の実施形態に関連して本明細書で説明される特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせで提供されてもよいことを理解されたい。反対に、簡潔にするために、単一の実施形態に関連して記載された様々な特徴は、個別に、又は任意の副組み合わせでも提供され得る。本明細書で指定された様々な範囲の数値の使用は、所定範囲内の最小値及び最大値が両方とも「約」という語によって先行されるかの如く、近似値として記載される。こうすることにより、所定範囲からの上下のわずかな変動は、範囲内の数値と実質的に同じ結果を達成するように用いることができる。また、これらの範囲の開示は、1つの値の成分の一部が異なる値の成分の一部と混合されると生じ得る小数値を含む、最小平均値と最大平均値との間のあらゆる値を含む連続した範囲であることが意図されている。更に、より広い及びより狭い範囲が開示されるときに、1つの範囲からの最小値を別の範囲からの最大値と一致させること、及びその逆は、本発明の意図の範囲内に含まれる。