(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-14
(45)【発行日】2022-06-22
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11C 16/24 20060101AFI20220615BHJP
G11C 16/04 20060101ALI20220615BHJP
H01L 27/11568 20170101ALI20220615BHJP
H01L 27/11521 20170101ALI20220615BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20220615BHJP
H01L 29/788 20060101ALI20220615BHJP
H01L 29/792 20060101ALI20220615BHJP
【FI】
G11C16/24 100
G11C16/04 170
H01L27/11568
H01L27/11521
H01L29/78 371
(21)【出願番号】P 2021101306
(22)【出願日】2021-06-18
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】511062254
【氏名又は名称】ウィンボンド エレクトロニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】両角 直人
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-22413(JP,A)
【文献】特開2006-147111(JP,A)
【文献】特開2011-134380(JP,A)
【文献】特開2019-204570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 16/24
G11C 16/04
H01L 27/11568
H01L 27/11521
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のビット線の各々に接続された複数のNANDストリングと、前記複数のビット線と同一のピッチのビット線に接続されたビット線選択回路とを含むメモリセルアレイと、
前記ビット線選択回路に接続されたページバッファ/センス回路とを含み、
前記ビット線選択回路は、偶数ビット線と奇数ビット線のペアを選択し、選択されたペアに隣接するビット線のペアを非選択とし、選択されたペアが前記ページバッファ/センス回路に接続される、半導体記憶装置。
【請求項2】
前記複数のビット線は、第1ないし第4のビット線を1単位としたとき、当該単位を複数含み、
前記ビット線選択回路は、第1ないし第4のビット線を選択または非選択するための第1ないし第4のトランジスタを含み、
第1ないし第4のトランジスタは、第1ないし第4のビット線の各ビット線の列方向に沿うように直列に配置され、第1ないし第4のトランジスタの各ゲートは、行方向に延在する第1ないし第4のゲート線にそれぞれ共通に接続される、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記ビット線選択回路は、第1ないし第4のゲート線に基づき第1ないし第4のビット線の中から偶数ビット線と奇数ビット線のペアを選択し、残りのペアを非選択とする、請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
選択ペアの一方のビット線と非選択ペアの一方のビット線とが第1の出力ノードを共有し、選択ペアの他方のビット線と非選択ペアの他方のビット線が第2の出力ノードを共有し、第1の出力ノードおよび第2の出力ノードが前記ページバッファ/センス回路に接続される、請求項1ないし3いずれか1つに記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
第1ないし第4のビット線は、第1ないし第4のコンタクトを介して対応する第1ないし第4のトランジスタの拡散領域に電気的に接続される、請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
第1のコンタクトは、第1のトランジスタに関し行方向に4ビット線のピッチで形成され、第2のコンタクトは、第2のトランジスタに関し行方向に4ビット線のピッチで形成され、第3のコンタクトは、第3のトランジスタに関し行方向に4ビット線のピッチで形成され、第4のコンタクトは、第4のトランジスタに関し行方向に4ビット線のピッチで形成される、請求項5に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記ビット線選択回路は、第1の出力ノードを形成する第1のノード層と、第2の出力ノードを形成する第2のノード層とを含み、第1のノード層は、第1の下部導電層を介して選択ペアの一方のビット線と非選択ペアの一方のビット線に接続され、第2のノード層は、第2の下部導電層を介して選択ペアの他方のビット線と非選択ペアの他方のビット線に接続される、請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記ビット線選択回路は、第1ないし第4のビット線を仮想電源に接続または非接続するための第5ないし第8のトランジスタを含み、
第5ないし第8のトランジスタは、第1ないし第4のビット線の各ビット線の列方向に沿うように直列に配置され、第5ないし第8のトランジスタの各ゲートは、行方向に延在する第5ないし第8のゲート線にそれぞれ共通に接続される、請求項1または2に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記ビット線選択回路は、第5ないし第8のゲート線に基づき非選択ペアのビット線を前記仮想電源に接続する、請求項8に記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
読出し動作時、前記ページバッファ/センス回路は、選択ペアのビット線に流れる電流を検出する、請求項1または2に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体記憶装置に関し、特に、NAND型フラッシュメモリのビット線選択方式に関する。
【背景技術】
【0002】
NAND型のフラッシュメモリにおいて、ページの読出しまたはプログラムを行うとき、ビット線間の容量カップリングによるノイズを抑制するため、1つのワード線を偶数ページと奇数ページに分けて動作させている。例えば、偶数ページの読出しを行うとき、奇数ページを接地し、奇数ページの読み出しを行うとき、偶数ページを接地し、また、偶数ページのプログラムを行うとき、奇数ページをプログラム禁止にし、奇数ページのプログラムを行うとき、偶数ページをプログラム禁止にしている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1は、従来のNAND型フラッシュメモリのページバッファ/センス回路とビット線選択回路の接続関係を示す図である。メモリセルアレイのNANDストリングは、それぞれビット線BL0、BL1、…BL7(ここでは、8つのビット線を例示)に接続され、これらのビット線は、ビット線選択回路10を介してページバッファ/センス回路20に接続される。ビット線BL0、BL2、BL4、BL6が偶数ビット線であり、ビット線BL1、BL3、BL5、BL7が奇数ビット線であり、メモリアレイの1つのワード線は、偶数ページと奇数ページとを含む。
【0005】
ビット線選択回路10は、ノードBLS0、BLS1、BLS2、BLS3を介してページバッファ/センス回路20に接続される。ノードBLS0、BLS1、BLS2、BLS3は、隣接する偶数ビット線と奇数ビット線とによって共有される。ビット線選択回路10は、偶数ビット線を選択するためのトランジスタと奇数ビット線を選択するためのトランジスタとを含み、偶数ビット線を選択するトランジスタの各ゲートには、選択ゲート線BLSEが接続され、奇数ビット線を選択するためのトランジスタの各ゲートには、選択ゲート線BLSOが接続される。便宜上、選択ゲート線BLSEが接続されるトランジスタをトランジスタBLSE、選択ゲート線BLSOが接続されるトランジスタをトランジスタBLSOと称す。また、
図1には図示しないが、ビット線選択回路10は、非選択ビット線を仮想電源VIRPWR(読出し動作時はGND)に接続するためのトランジスタを含む。
【0006】
ページバッファ/センス回路20は、ビット線の接続/非接続を切り替えるためにゲート線BLCN、/BLCNに接続されたトランジスタ、ビット線にクランプ電圧を生成するためのゲート線BLCLAMP、/BLCLAMPに接続されたトランジスタ、センスアンプSA、センスアンプSAでセンスされたデータを保持するラッチLT0、LT1、LT2、LT3を含み、偶数ビット線のセンシングと奇数ビット線のセンシングを交互に行う。
【0007】
フラッシュメモリの高集積化に向けてビット線選択回路の小型化が重要な課題の一つになっている。ビット線選択回路をメモリセルアレイ内に形成することで、ビット線選択回路の小型化を図ることが可能であるが、従来のように偶数ビット線と奇数ビット線を交互にセンシングする方式は、メモリセル間のFGカップリングやビット線間のカップリングの影響を無視することができなくなる。
【0008】
本発明は、このような従来の課題を解決し、高集積化を図りつつ信頼性を改善した半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る半導体記憶装置は、複数のビット線の各々に接続された複数のNANDストリングと、前記複数のビット線と同一のピッチのビット線に接続されたビット線選択回路とを含むメモリセルアレイと、前記ビット線選択回路に接続されたページバッファ/センス回路とを含み、前記ビット線選択回路は、偶数ビット線と奇数ビット線のペアを選択し、選択されたペアに隣接するビット線のペアを非選択とし、選択されたペアが前記ページバッファ/センス回路に接続される。
【0010】
ある態様では、前記複数のビット線は、第1ないし第4のビット線を1単位としたとき、当該単位を複数含み、前記ビット線選択回路は、第1ないし第4のビット線を選択または非選択するための第1ないし第4のトランジスタを含み、第1ないし第4のトランジスタは、第1ないし第4のビット線の各ビット線の列方向に沿うように直列に配置され、第1ないし第4のトランジスタの各ゲートは、行方向に延在する第1ないし第4のゲート線にそれぞれ共通に接続される。ある態様では、前記ビット線選択回路は、第1ないし第4のゲート線に基づき第1ないし第4のビット線の中から偶数ビット線と奇数ビット線のペアを選択し、残りのペアを非選択とする。ある態様では、選択ペアの一方のビット線と非選択ペアの一方のビット線とが第1の出力ノードを共有し、選択ペアの他方のビット線と非選択ペアの他方のビット線が第2の出力ノードを共有し、第1の出力ノードおよび第2の出力ノードが前記ページバッファ/センス回路に接続される。ある態様では、第1ないし第4のビット線は、第1ないし第4のコンタクトを介して対応する第1ないし第4のトランジスタの拡散領域に電気的に接続される。ある態様では、第1のコンタクトは、第1のトランジスタに関し行方向に4ビット線のピッチで形成され、第2のコンタクトは、第2のトランジスタに関し行方向に4ビット線のピッチで形成され、第3のコンタクトは、第3のトランジスタに関し行方向に4ビット線のピッチで形成され、第4のコンタクトは、第4のトランジスタに関し行方向に4ビット線のピッチで形成される。ある態様では、前記ビット線選択回路は、第1の出力ノードを形成する第1のノード層と、第2の出力ノードを形成する第2のノード層とを含み、第1のノード層は、第1の下部導電層を介して選択ペアの一方のビット線と非選択ペアの一方のビット線に接続され、第2のノード層は、第2の下部導電層を介して選択ペアの他方のビット線と非選択ペアの他方のビット線に接続される。ある態様では、前記ビット線選択回路は、第1ないし第4のビット線を仮想電源に接続または非接続するための第5ないし第8のトランジスタを含み、第5ないし第8のトランジスタは、第1ないし第4のビット線の各ビット線の列方向に沿うように直列に配置され、第5ないし第8のトランジスタの各ゲートは、行方向に延在する第5ないし第8のゲート線にそれぞれ共通に接続される。ある態様では、前記ビット線選択回路は、第5ないし第8のゲート線に基づき非選択ペアのビット線を前記仮想電源に接続する。ある態様では、読出し動作時、前記ページバッファ/センス回路は、選択ペアのビット線に流れる電流を検出する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、メモリセルアレイ内にビット線選択回路を配置することで半導体記憶装置の高集積化を図ることができる。さらにビット線選択回路が偶数ビット線と奇数ビット線のペアを選択または非選択し、選択ペアの一方のビット線を隣接する非選択ペアによりシールドし、選択ペアの他方のビット線を隣接する非選択ペアによりシールドし、かつ選択ペアと選択ペアとの間に非選択の2本のビット線を介在させることで、メモリセルのFGカップリングやビット線間のカップリングの影響を軽減する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】従来のNAND型フラッシュメモリのページバッファ/センス回路とビット線選択回路を示す図である。
【
図2】従来のビット線選択回路の構成を示す図である。
【
図4】
図3に示すビット線選択回路のA-A線断面およびB-B線断面図である。
【
図5】本発明の第1の実施例に係るNAND型フラッシュメモリのビット線選択回路の回路図である。
【
図6】第1の実施例に係るビット線選択回路により選択される奇数組と偶数組との関係を示すテーブルである。
【
図7】
図7(A)は、仮想電源とビット線との接続関係を例示するテーブル、
図7(B)は、ノードBLSとビット線との接続関係を例示するテーブルである。
【
図8】
図8(A)は、第1の実施例に係るビット線選択回路の平面図、
図8(B)は、活性領域とポリシリコンゲートとを示す平面図である。
【
図9】
図9(A)は、
図8(A)の下部配線層M0を示す平面図、
図9(B)は、
図8(A)の上部配線層M1を示す平面図である。
【
図10】
図8(A)のビット線BL0が延在する方向の断面図とビット線BL1が延在する方向の断面図である。
【
図11】本発明の第2の実施例に係るビット線選択回路の回路図である。
【
図12】第2の実施例に係るビット線選択回路の平面図である。
【
図13】
図11のビット線BL0が延在する方向の断面図とビット線BL1が延在する方向の断面図である。
【
図14】本発明の実施例に係るフラッシュメモリの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明に係る半導体記憶装置は、NAND型フラッシュメモリ、あるいはこのようなフラッシュメモリを埋め込むマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、ロジック、ASIC、画像や音声を処理するプロセッサ、無線信号等の信号を処理するプロセッサなどを含む。以下の説明では、NAND型フラッシュメモリを例示する。なお、添付する図面は、発明を分かり易くするために強調してあり、必ずしも実際のデバイスのスケールと同じではないことに留意すべきである。
【実施例】
【0014】
次に、本発明の実施例について詳細に説明する。本実施例に係るNAND型フラッシュメモリは、ビット線選択回路の小型化を図るため、ビット線選択回路をメモリセルアレイ内に形成し、ビット線選択回路のビット線のピッチや活性領域のピッチをメモリセルアレイと同じにする。さらに本実施例のビット線選択回路は、ペアービット線センス方式を採用し、従来のように偶数ビット線または奇数ビット線を選択するのではなく、偶数ビット線と奇数ビット線をペアで選択し、選択するペアに隣接するペアを非選択とし、選択ペアの各ビット線を非選択ペアでシールドすることで読出し時のノイズを抑制する一方で、選択ペアと選択ペアとの間に非選択の2つのビット線を介在させることでメモリセルのFGカップリングやおよびビット線間カップリングの影響を軽減し、動作の信頼性を向上させる。
【0015】
また、ページバッファ/センス回路は、ビット線間のカップリングの影響をさらに低減するために電流センス方式を用いることが望ましい。センス回路が電圧検出型である場合、ビット線の放電された電位を検出するため、一方のビット線の電位が変化せず他方のビット線が放電されるとき、ビット線間の容量結合により他方のビット線の電位が放電され難くなり、センス回路によってビット線の電位を迅速にかつ正確に検出することができない事態が生じ得る。センス回路が電流検出型である場合には、ビット線の電位を検出しないので、電圧検出型よりはビット線間の容量結合の影響を受けない。電流検出型のセンスアンプは、例えば、シャント抵抗の両端の電圧を測定する。
【0016】
図2は、従来のビット線選択回路の一部を例示し、偶数ビット線が選択されるときのトランジスタの動作状態を示している。同図に示すように、偶数ビット線BL0、BL2が選択されるとき、トランジスタBLSEがオンし、トランジスタBLSOがオフし、偶数ビット線BL0がページバッファ/センス回路への出力ノードBLS0に接続され、偶数ビット線BL2が出力ノードBLS1に接続される。他方、トランジスタYBLOがオンし、トランジスタYBLEがオフし、奇数ビット線BL1、BL3が仮想電源VIRPWR(読出し時はGND)に接続される。奇数ビット線BL1、BL3が選択される場合には、トランジスタのオン/オフが上記と反転する。
【0017】
図3は、
図2のビット線選択回路の平面図、
図4は、
図3のビット線選択回路のA-A線断面およびB-B線断面を示している。各トランジスタ(ダミーを含む)のゲートは、ポリシリコン層で構成され、出力ノードBLS0、BLS1、ビット線BL0~BL3は、金属層M1で構成される。BC0は、活性領域AAとコンタクトC1との間のコンタクト、C1は、コンタクトBC0とビット線BLとの間のコンタクトである。なお、活性領域AAのトランジスタのソース/ドレイン領域は省略してある。
【0018】
次に、本実施例のビット線選択回路について説明する。従来のビット線選択回路では、コンタクトBC0、C1が2ビット線のピッチに配置され、金属層M1のみが配線に使用され、全ての偶数ビット線または全ての奇数ビット線が一度に選択される。この構成は、偶数ビット線とこれに隣接する奇数ビット線をペアとして選択する、ペアービット線センス方式に適用することはできない。
【0019】
本実施例では、メモリセルアレイ内にビット線選択回路を形成し、フラッシュメモリの高集積化を図る。ビット線選択回路は、隣接するビット線間でページバッファ/センス回路への出力ノードBLSを共有し、かつ偶数ビット線と奇数ビット線のペアを選択する。偶数ビット線と奇数ビット線をペアで選択するためには、コンタクトBC0、C1を4BLピッチ(4ビット線の間隔)で配置する必要があるが、4BLピッチのBC0の形成は、プロセス難易度が高いため、コンタクトBC0は、従来と同様に2BLピッチで配置し、コンタクトC1のみを4BLピッチで形成する。2BLピッチで形成したコンタクトBC0のうち、半分にコンタクトC1を配置せず、活性領域AAと下層の金属層(M0)とのみ接続される状態にすることで、偶数ビット線と奇数ビット線のペアでの選択を可能にする。また、従来のビット線選択回路と異なり、金属層M1よりも下層の金属層M0を使用する多層配線構造とする。
【0020】
図5は、第1の実施例のビット線選択回路の一部を示し、ここには、4つのビット線BL0~BL3が例示されている。
図6(A)は、ビット線BL0~BL7を例示し、ビット線のペアとして奇数組が選択されるときの各ビット線の状態を示し、
図6(B)は、ビット線のペアとして偶数組が選択されるときの各ビット線の状態を示している。ここでは、便宜上、BL0、BL3、BL4、BL7を奇数組と定義し、BL1、BL2、BL5、BL6を偶数組と定義している。なお、先頭のビット線BL0に関しては、ペアの選択または非選択とせず、単一のビット線の選択または非選択としているが、これは一例であり、ビット線BL0、BL1をペアとして選択または非選択としてもよい。また、連続する4つのビット線を1単位として、それぞれのビット線を左から順にBLeO、BLeE、BLoE、BLoOと定義する。これにより、奇数組の選択では、読出し対象としてビット線BLeO、BLoOが選択され、偶数組の選択では、読出し対象としてBLeE、BLoEが選択されることになる。
【0021】
図6(A)に示すように、奇数組が選択されるとき、ビット線BLeO、BLoOがページバッファ/センス回路への出力ノードBLSに接続される。つまり、ビット線BL0が出力ノードBLS0に接続され、ビット線BL3が出力ノードBLS1に接続され、ビット線BL4が出力ノードBLS2に接続され、ビット線BL7が出力ノードBLS3に接続される。他方、非選択のビット線BLeE、BLoEは、仮想電源VIRPWR(読出し動作時はGND)に接続される。
【0022】
また、
図6(B)に示すように、偶数組が選択されるとき、ビット線BLeE、BLoEがページバッファ/センス回路の出力ノードBLSに接続される。つまり、ビット線BL1が出力ノードBLS0に接続され、ビット線BL2が出力ノードBLS1に接続され、ビット線BL5が出力ノードBLS2に接続され、ビット線BL6が出力ノードBLS3に接続される。非選択のビット線BLeO、BLoOは、仮想電源VIRPWRに接続される。
【0023】
再び、
図5を参照する。ビット線選択回路100は、ビット線BLeO、BLeE、BLoE、BLoOを、それぞれ対応する出力ノードBLS0、BLS1に接続するためのNMOSタイプのトランジスタBLSeO、BLSeE、BLSoO、BLSoEを含む。ビット線BLeO、BLeE、BLoE、BLoOは、それぞれ列方向に延在し、これらのビット線のピッチに対応するように、トランジスタBLSeO、BLSeE、BLSoO、BLSoEが列方向に直列に配置される。各トランジスタBLSeOのゲートには、行方向に延在する選択ゲート線BLSeOが共通に接続され、各トランジスタBLSeEのゲートには、行方向に延在する選択ゲート線BLSeEが共通に接続され、各トランジスタBLSoOのゲートには、行方向に延在する選択ゲート線BLSoOが共通に接続され、各トランジスタBLSoEのゲートには、行方向に延在する選択ゲート線BLSoEが共通に接続される。
【0024】
トランジスタBLSeOの一方の拡散領域がビット線BLeOに電気的に接続され、他方の拡散領域が出力ノードBLS0に電気的に接続され、トランジスタBLSeEの一方の拡散領域がビット線BLeOE電気的に接続され、他方の拡散領域が出力ノードBLS0に電気的に接続される。また、トランジスタBLSoEの一方の拡散領域がビット線BLoEに電気的に接続され、他方の拡散領域が出力ノードBLS1に電気的に接続され、トランジスタBLSoOの一方の拡散領域がビット線BLoOに電気的に接続され、他方の拡散領域が出力ノードBLS1に電気的に接続される。
【0025】
ここでは、奇数組が選択された例として、トランジスタBLSeO、BLSoOがオンされ、ビット線BLeO、BLoOがノードBLS0、BLS1にそれぞれ接続される。トランジスタBLSeE、BLSoEはオフされ、ビット線BLeE、BLoEは、出力ノードBLS0、BLS1から隔離される。
【0026】
また、ビット線選択回路100は、ビット線BLeO、BLeE、BLoE、BLoOを、それぞれ仮想電源VIRPWR_0、VIRPWR_1、VIRPWR_2(仮想電源を総称するときはVIRPWRと称す)に接続するためのNMOSタイプのトランジスタYBLeO、YBLoE、YBLeE、YBLoOを含む。トランジスタYBLeO、YBLoE、YBLeE、YBLoOは、各ビット線に対応するように列方向に直列に配置され、仮想電源VIRPWR_0と仮想電源VIRPWR_1との間にトランジスタYBLeO、YBLoEが直列に配置され、仮想電源VIRPWR_1と仮想電源VIRPWR_2との間にトランジスタYBLeE、YBLoOが直列に配置される。各トランジスタYBLeOのゲートには、行方向に延在する選択ゲート線YBLeOが共通に接続され、各トランジスタYBLoEのゲートには、行方向に延在する選択ゲート線YBLoEが共通に接続され、各トランジスタYBLeEのゲートには、行方向に延在する選択ゲート線YBLeEが共通に接続され、各トランジスタYBLoOのゲートには、行方向に延在する選択ゲート線YBLoOが共通に接続される。
【0027】
ここでは、奇数組が選択された例として、トランジスタYBLeE、YBLoEがオンされ、ビット線BLeE、BLoEが仮想電源VIRPWRにそれぞれ接続される。トランジスタYBLeO、YBLoOがオフされ、ビット線BLeO、BLoOが仮想電源VIRPWRから切り離される。
【0028】
図7(A)に、奇数組、偶数組が選択されたときのトランジスタYBLeO、YBLoE、YBLeE、YBLoOの動作状態を示し、
図7(B)に、奇数組、偶数組が選択されたときのトランジスタBLSeO、BLSeE、BLSoO、BLSoEの状態を示す。ビット線選択回路100のトランジスタYBLeO、YBLoE、YBLeE、YBLoO、トランジスタBLSeO、BLSeE、BLSoO、BLSoEの動作は、図示しない列選択回路からの選択ゲート線YBLeO、YBLoE、YBLeE、YBLoO、選択ゲート線BLSeO、BLSeE、BLSoO、BLSoEによって制御される。なお、ビット線選択回路100はレイアウト等を考慮し、トランジスタBLSeOとトランジスタYBLoOとの間や、トランジスタBLSoEに隣接した位置にダミートランジスタが配置される。ダミートランジスタは、通常は、オフ状態である。
【0029】
図8(A)は、本実施例のビット線選択回路の一部の平面図を示し、ここには、ビット線BL0~BL7が例示されている。
図8(B)は、金属層M1のレイアウト、
図9(A)は、金属層M0のレイアウト、
図9(B)は、拡散領域とポリシリコン層とのレイアウト、
図10は、
図8(A)のビット線BL0とビット線BL1の列方向の断面図である。BC0は、活性領域AAとコンタクトC1との間のコンタクト、C1は、コンタクトBC0とビット線BLとの間のコンタクトであり、コンタクトBC0、C1は、導電性材料から構成される。また、金属層M0、M1は、必ずしも金属材料に限らず、他の導電性材料であってもよい。
【0030】
図8(B)に示すように、金属層M1は、列方向に延在するビット線BL0~BL7を形成するとともに、出力ノードBLS0~BLS3の電極パターンBLS0~BLS3を形成する。ビット線BL0~BL7は、上記したように対応するトランジスタの拡散領域にコンタクトC1、BC0を介して電気的に接続される。電極パターンBLS0、BLS2は、ビット線BL0、BL4の列方向にそれぞれ延在し、コンタクトC1を介して下層の金属層M0に接続され、さらにその直下のコンタクトBC0を介してトランジスタBLSoEの一方の拡散領域にも電気的に接続される。電極パターンBLS1は、ビット線BL2、BL3の列方向に延在し、コンタクトC1、BC0を介してビット線BL2のトランジスタBLSoEの拡散領域、ビット線BL3のトランジスタBLSoEの拡散領域に接続される。また、電極パターンBLS3は、ビット線BL6、BL7の列方向に延在し、コンタクトC1、BC0を介してビット線BL6のトランジスタBLSoEの拡散領域、ビット線BL7のトランジスタBLSoEの拡散領域に接続される。
【0031】
図9(A)に示すように、金属層M0は、ビット線BL0、BL1、およびビット線BL4、BL5の列方向にそれぞれ延在する屈曲した中継電極パターンQ0、Q1を形成する。中継電極パターンQ0、Q1は、コンタクトC1を介してビット線BL0、BL4に接続され、さらにコンタクトBC0を介して対応するトランジスタの拡散領域に電気的に接続される。中継金属パターンQ0は、ビット線BL0、BL1が電極パターンBLS0に共通に接続することを可能にし、中継金属パターンQ1は、ビット線BL4、BL5が電極パターンBLS2に共通に接続することを可能にする。金属層M0はさらに、行方向に延在する仮想電源VIRPWRを形成するとともに、コンタクトC1とコンタクトBC0との間の中継を形成する。
【0032】
図9(B)に示すように、ビット線BL0~BL7に対応するように活性領域AAが列方向に形成される。また、活性領域AAを横切るようにポリシリコン層からなる各トランジスタのゲート電極が行方向に形成される。なお、ここにはトランジスタのソース/ドレインを形成する拡散領域は示されていないが、列方向に隣接するトランジスタの拡散領域は共通に形成され得る。
【0033】
図9(A)から分かるように、トランジスタBLSeO、BLSeE、BLSoO、BLSoEのコンタクトBC0は、2BLピッチで形成されているが、中継電極パターンQ0、Q1を用いることでコンタクトBC0の半分にコンタクトC1を4BLピットで形成し、プロセスの簡素化を図っている。このように本実施例によれば、メモリセルアレイ内にビット線選択回路100を配置させることでフラッシュメモリの小型化、高集積化を図ることができる。さらに選択ペアの各ビット線を隣接する非選択ペアでGNDにシールドし、選択ペアと選択ペアとの間に非選択ペアの2つのビット線を介在させることで、読出しノイズが抑制され、メモリセルのFGカップリングやビット線間のカップリングの影響が抑制される。
【0034】
次に、本発明の第2の実施例に係るビット線選択回路について説明する。第1の実施例では、金属層M0をビット線の接続配線(中継電極パターンQ0、Q1)として使用するが、コンタクトBC0と金属層M0の接続により中継電極パターンQ0、Q1の形状が変化し、微細ピッチの下では金属層M0のショート等の問題が発生する可能性がある。そこで、第2の実施例は、コンタクトBC0と金属層M0との接続を使用することなく、偶数ビット線と奇数ビット線のペアの選択を可能にする。
【0035】
図11は、第2の実施例のビット線選択回路の一部を示し、ここには、4つのビット線BL0~BL3が例示されている。第2の実施例のビット線選択回路100Aでは、トランジスタYBLeOとトランジスタYBLeEとの共通の拡散領域に行方向に延在する仮想電源VIRPWR_0が共通に接続され、ビット線BLeOがトランジスタYBLeOの他方の拡散領域に接続され、ビット線BLeEがトランジスタYBLeEの他方の拡散領域に接続され、また、トランジスタYBLoEとトランジスタYBLoEとの共通の拡散領域に行方向に延在する仮想電源VIRPWR_1が共通に接続され、ビット線BLoEがトランジスタYBLoEの他方の拡散領域に接続され、ビット線BLoOがトランジスタYBLoOの他方の拡散領域に接続される。これにより、第1の実施例のビット線選択回路100のときよりも仮想電源VIRPWRの配線数が減少される。
【0036】
また、出力ノードBLS0は、偶数ビット線BL0(BLeO)、BL2(BLeE)で共有され、出力ノードBLS1は、奇数ビット線BL1(BLoE)、BL3(BLoO)で共有される。図の例は、奇数組が選択される場合を示しており、ビット線BLoE、BLeEが仮想電源VIRPWR_0、VIRPWR_1に接続され、ビット線BLeOが出力ノードBLS0に接続され、ビット線BLoOが出力ノードBLS1に接続される。
【0037】
図12は、第2の実施例のビット線選択回路の平面図を示し、ここには、ビット線BL0~BL7が例示されている。
図13は、
図12のビット線BL0とビット線BL1の列方向の断面図である。
【0038】
図12(A)、(B)に示すように、金属層M1は、列方向に延在するビット線BL0~BL7を形成するとともに、出力ノードBLS0~BLS3の電極パターンBLS0~BLS3を形成する。電極パターンBLS0、BLS3は、コンタクトC1を介して金属層M0の中継電極パターンQ3、Q4にそれぞれ接続され、中継電極パターンQ3がコンタクトC1を介してビット線BL0、BL2に接続され、中継電極パターンQ4がコンタクトC1を介してビット線BL4、BL6に接続される。ビット線BL0、BL4がコンタクトC1、BC0を介してトランジスタBLSeOの一方の拡散領域に接続され、ビット線BL2、BL6がコンタクトC1、BC0を介してトランジスタBLSeEの一方の拡散領域に接続される。
【0039】
電極パターンBLS1、コンタクトC1、BC0を介してビット線BL1、BL3に接続され、電極パターンBLS3は、コンタクトC1、BC0を介してビット線BL5、BL7に接続される。ビット線BL1、BL5は、トランジスタBLSoEの一方の拡散領域に接続され、ビット線BL3、BL7は、トランジスタBLSoOの一方の拡散領域に接続される。
【0040】
金属層M0は、電極パターンBLS0、BLS2を偶数ビット線BL0、BL2、BL4、BL6に接続するための中継電極パターンQ3、Q4を形成するとともに、分断された奇数ビット線BL1、BL3、BL5、BL7を中継する中継電極パターンQ5を形成する。ビット線を分断することで、ビット線の一部を配線として利用する。
【0041】
このような構成によりコンタクトBC0と金属層M0との接続が回避され、コンタクトBC0と金属層M0とを接続したことによる形状の変化に起因する短絡等の発生を極力防止することができる。
【0042】
次に、
図14に、本実施例のNAND型フラッシュメモリの全体構成を示す。フラッシュメモリ200は、行列状に配置された複数のメモリセルや先の実施例のビット線選択回路100、100Aを含むメモリセルアレイ210と、読出しデータを外部に出力したり外部から入力されるデータを取り込む入出力回路220と、データの誤り検出・訂正を行うECC回路230と、入出力回路220を介してアドレスデータを受け取るアドレスレジスタ240と、入出力回路220を介して受け取ったコマンドデータや端子に印加された制御信号に基づき各部を制御するコントローラ250と、アドレスレジスタ240から行アドレス情報Axに基づきブロックの選択やワード線の選択等を行うワード線選択回路260と、メモリセルアレイ210から読み出されたデータを保持したり、プログラムするデータを保持するページバッファ/センス回路270と、列アドレス情報Ayに基づきページバッファ/センス回路270内の列の選択やビット線選択回路100/100Aのトランジスタの選択ゲート線の選択を行う列選択回路280と、データの読出し、プログラムおよび消去等のために必要な種々の電圧(書込み電圧Vpgm、パス電圧Vpass、読出しパス電圧Vread、消去電圧Vers、内部供給電圧VDDなど)を生成する内部電圧発生回路290とを含んで構成される。
【0043】
メモリセルアレイ210は、複数のブロックを有し、1つのメモリブロックには、複数のビット線の各々に接続された複数のNANDストリングが形成される。さらにメモリセルアレイ210は、メモリセルアレイのビット線と同じピッチで形成されたビット線に接続されたビット線選択回路100/100Aを含む。メモリセルは、1ビット(2値データ)を記憶するSLCタイプでもよいし、多ビットを記憶するタイプであってもよい。
【0044】
ページバッファ/センス回路270は、ビット線選択回路100/100Aによって選択されたペアのビット線に接続され、選択メモリセルから読み出されたデータをセンシングし、その結果をラッチに保持する。
【0045】
コントローラ250は、マイクロコントローラあるいはステートマシンによりフラッシュメモリ200の動作を制御する。読出し動作では、ビット線に或る正の電圧を印加し、選択ワード線に或る電圧(例えば0V)を印加し、非選択ワード線にパス電圧Vpass(例えば4.5V)を印加し、ビット線側選択トランジスタ、ソース線側選択トランジスタをオンし、共通ソース線に0Vを印加する。プログラム動作では、選択ワード線に高電圧のプログラム電圧Vpgm(15~20V)を印加し、非選択のワード線に中間電位(例えば10V)を印加し、ビット線側選択トランジスタをオンさせ、ソース線側選択トランジスタをオフさせ、「0」または「1」のデータに応じた電位をビット線に供給する。消去動作では、ブロック内の選択ワード線に0Vを印加し、Pウエルに高電圧(例えば20V)を印加し、フローティングゲートの電子を基板に引き抜くことで、ブロック単位でデータを消去する。
【0046】
以上のように本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0047】
10:ビット線選択回路
20:ページバッファ/センス回路
100、100A:ビット線選択回路
Q0、Q1、Q3、Q4:中継電極パターン
200:フラッシュメモリ
【要約】
【課題】 高集積化を図りつつ信頼性を改善した半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】 本発明のフラッシュメモリのビット線選択回路100は、ビット線BL0~BL3の列方向にトランジスタBLSeO、BLSeE、BLSoO、BLSoEを含み、これらのトランジスタを介して偶数ビット線BL0と奇数ビット線BL3のペアを選択し、選択するペアに隣接するペアのビット線BL1、BL2を非選択とし、選択されたペアBL0、BL3をページバッファ/センス回路のノードBLS0、BLS1に接続する。
【選択図】
図5