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特許7089629風力発電装置の劣化検知システム、劣化検知方法およびブレード
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-14
(45)【発行日】2022-06-22
(54)【発明の名称】風力発電装置の劣化検知システム、劣化検知方法およびブレード
(51)【国際特許分類】
   F03D 17/00 20160101AFI20220615BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20220615BHJP
【FI】
F03D17/00
G01N21/17 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021196835
(22)【出願日】2021-12-03
【審査請求日】2021-12-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】馬場 好孝
(72)【発明者】
【氏名】鴻野 太郎
(72)【発明者】
【氏名】西田 蓉子
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111579591(CN,A)
【文献】特開2018-021491(JP,A)
【文献】特開2013-148021(JP,A)
【文献】特開2010-085117(JP,A)
【文献】特開2002-168782(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 1/06
F03D 17/00
G01N 21/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電装置のブレードの内側へ光を照射する照射手段と、
前記照射手段により照射され前記ブレードの外側へ漏れた光により当該ブレードの劣化を検知する検知手段と、
を有し、
前記検知手段は、前記ブレードの外側へ漏れた光の強度により前記ブレードの劣化を検知することを特徴とする、風力発電装置の劣化検知システム。
【請求項2】
前記照射手段は、前記検知手段による検知の際に前記ブレードの内側へ光を照射することを特徴とする、請求項1に記載の風力発電装置の劣化検知システム。
【請求項3】
前記検知手段により検知される前記ブレードの劣化状態は、当該ブレードを構成する部材の厚さの低下であることを特徴とする、請求項に記載の風力発電装置の劣化検知システム。
【請求項4】
前記ブレードを前記外側から撮影したブレード画像を取得する取得手段をさらに有し、
前記検知手段は、前記照射手段により照射された光が漏れた前記ブレードが撮影されたブレード画像から、当該ブレードの劣化を検知する
ことを特徴とする、請求項1に記載の風力発電装置の劣化検知システム。
【請求項5】
前記検知手段は、前記ブレードにおける前記劣化が生じた劣化領域を前記ブレード画像により特定することを特徴とする、請求項4に記載の風力発電装置の劣化検知システム。
【請求項6】
前記照射手段により照射される光は、赤外光であることを特徴とする、請求項1に記載の風力発電装置の劣化検知システム。
【請求項7】
風力発電装置の劣化を検知する劣化検知方法であって、
前記風力発電装置のブレードの内側へ光を照射し、
照射され前記ブレードの外側へ漏れた光の強度により当該ブレードの劣化を検知する
ことを特徴とする劣化検知方法。
【請求項8】
前記ブレードの内側へ照射される光は、可視光であることを特徴とする、請求項7に記載の劣化検知方法。
【請求項9】
風力発電装置のブレードであって、
内側に空洞を有する外皮と、
前記外皮により形成される前記空洞に光を照射する光源と、
を有し、
前記光源により照射され前記外皮の外側に漏れた光の強度により劣化が検知されることを特徴とするブレード。
【請求項10】
前記外皮よりも外側に設けられ、当該外皮が透過した光を減衰させる塗膜をさらに備え
前記外皮の外側かつ前記塗膜の外側に漏れた光の強度により劣化が検知されること
を特徴とする、請求項9に記載のブレード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電装置の劣化検知システム、劣化検知方法およびブレードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、風力発電装置のブレードが中空構造であることを利用して、ブレードの劣化を検知する技術が存在する。例えば、特許文献1には、風車翼内部の圧力を計測する圧力センサと、計測された圧力に基づいて損傷を検知するナセル側制御装置とを具備する風車翼の外皮損傷検知装置について記載されている。また例えば、特許文献2には、風車翼の外皮内面の主要4個所に赤い顔料が長さ方向に付着されており、外皮に亀裂が生じるとその亀裂から着色剤がにじみ出るために、亀裂の検知が容易な風車翼について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-108391号公報
【文献】実開平5-17174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ブレードの内部の圧力を計測する方法では、亀裂の有無を判断するに留まり、亀裂の大きさや個数等の詳細を把握することはできない。また、圧力を計測する方法と着色剤のにじみ出し観測する方法とは何れも、亀裂や割れ等のブレードの外皮の破壊を伴う劣化を検出するに留まり、例えばブレードの表面に形成された塗膜の薄膜化を検知することはできない。
本発明の風力発電装置の劣化検知システム等は、ブレードの内部の圧力や着色剤を利用する劣化検知方法に比べ、風力発電装置のブレードの劣化をより詳細に検知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、風力発電装置のブレードの内側へ光を照射する照射手段と、前記照射手段により照射され前記ブレードの外側へ漏れた光により当該ブレードの劣化を検知する検知手段と、を有し、前記検知手段は、前記ブレードの外側へ漏れた光の強度により前記ブレードの劣化を検知することを特徴とする、風力発電装置の劣化検知システムである。
請求項2に係る発明は、前記照射手段は、前記検知手段による検知の際に前記ブレードの内側へ光を照射することを特徴とする、請求項1に記載の風力発電装置の劣化検知システムである。
請求項3に係る発明は、前記検知手段により検知される前記ブレードの劣化状態は、当該ブレードを構成する部材の厚さの低下であることを特徴とする、請求項に記載の風力発電装置の劣化検知システムである。
請求項4に係る発明は、前記ブレードを前記外側から撮影したブレード画像を取得する取得手段をさらに有し、前記検知手段は、前記照射手段により照射された光が漏れた前記ブレードが撮影されたブレード画像から、当該ブレードの劣化を検知することを特徴とする、請求項1に記載の風力発電装置の劣化検知システムである。
請求項5に係る発明は、前記検知手段は、前記ブレードにおける前記劣化が生じた劣化領域を前記ブレード画像により特定することを特徴とする、請求項4に記載の風力発電装置の劣化検知システムである。
請求項6に係る発明は、前記照射手段により照射される光は、赤外光であることを特徴とする、請求項1に記載の風力発電装置の劣化検知システムである。
請求項7に係る発明は、風力発電装置の劣化を検知する劣化検知方法であって、前記風力発電装置のブレードの内側へ光を照射し、照射され前記ブレードの外側へ漏れた光の強度により当該ブレードの劣化を検知することを特徴とする劣化検知方法である。
請求項8に係る発明は、前記ブレードの内側へ照射される光は、可視光であることを特徴とする、請求項7に記載の劣化検知方法である。
請求項9に係る発明は、風力発電装置のブレードであって、内側に空洞を有する外皮と、前記外皮により形成される前記空洞に光を照射する光源と、を有し、前記光源により照射され前記外皮の外側に漏れた光の強度により劣化が検知されることを特徴とするブレードである。
請求項10に係る発明は、前記外皮よりも外側に設けられ、当該外皮が透過した光を減衰させる塗膜をさらに備え、前記外皮の外側かつ前記塗膜の外側に漏れた光の強度により劣化が検知されることを特徴とする、請求項9に記載のブレードである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の風力発電装置の劣化検知システム等は、ブレードの内部の圧力や着色剤を利用する劣化検知方法に比べ、風力発電装置のブレードの劣化をより詳細に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施の形態が適用される劣化検知システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】風力発電装置について説明する図であり、(A)は風力発電装置の全体構成、(B)はブレードの断面構造の概略図である。
図3】本実施の形態に係るユーザ端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】本実施の形態に係るユーザ端末の機能構成の一例を示す図である。
図5】劣化検知の対象となるブレードの例を示す図であり、(A)は光源がOFFの状態のブレード、(B)は光源がONの状態のブレードの図である。
図6】ブレードの長さ方向の位置と、長さ方向に並ぶ画素の輝度との関係を示すグラフである。
図7】ユーザ端末における処理手順の一例を示すフローチャートである。
図8】ユーザ端末における検知結果の表示例を示す図である。
図9】部材の厚さxとブレード画像における輝度yとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
[劣化検知システム1の全体構成]
図1は、本実施の形態が適用される劣化検知システム1の全体構成の一例を示す図である。
劣化検知システム1は、所謂ウインドファーム等の風力発電施設に設置された風力発電装置30の劣化を検知するために利用されるシステムである。より詳しくは、本実施の形態が適用される劣化検知システム1は、風力発電装置30のブレード31に生じた劣化を検知して、検知した結果をユーザへ提供する。ユーザは、本サービスを利用することで、ブレード31の劣化状態を把握し、補修の要否の判断等に活用することができる。
なお、劣化検知の対象となる風力発電装置30およびブレード31については図2を用いて詳細を後述する。
【0009】
図1に示すように、劣化検知システム1は、劣化検知の結果(以下、「検知結果」と呼ぶ。)をユーザに提供するユーザ端末10と、ブレード31を撮影するためのカメラ21を備えたドローン20と、ユーザ端末10とドローン20とを通信可能に接続するネットワーク90とを備えている。
【0010】
ネットワーク90は、ユーザ端末10とドローン20との間のデータ通信に利用可能であれば特に限定されず、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等を用いて良い。また、ユーザ端末10とドローン20とは、ゲートウェイ装置やルータ等の中継装置を用い、複数のネットワークや通信回線を介して接続されても良い。なお、本実施の形態においては、ドローン20の移動を妨げないように、無線通信によってネットワーク90を実現している。
【0011】
ドローン20は、飛行による移動が可能な装置であり、ブレード31を撮影するためのカメラ21を備えている。本実施の形態に係るドローン20は、飛行によりブレード31へ接近し、カメラ21によりブレード31を撮影する。そして、カメラ21により生成された、ブレード31を被写体とするブレード画像を、ネットワーク90を介してユーザ端末10へ送信する。
【0012】
ドローン20は、例えば、コントローラ等の入力装置(不図示)を介して入力されるユーザ操作に応じて飛行および撮影を行う。この場合、ユーザは、ドローン20がブレード31の撮影に適切な場所や高度に位置するように操作し、撮影の指示を行う。なお、この「適切な場所や高度」とは、ユーザ端末10による劣化検知のための画像処理(後述)に適したブレード画像を撮影可能な場所や高度を指す。
また例えば、ドローン20は、ユーザにより予め定められた運転プログラムに従って飛行および撮影を行っても良い。この場合、運転プログラムには、ドローン20の移動経路や撮影を行う場所や高度、撮影の予定日および予定時間等が定義されているものとする。
【0013】
カメラ21は、可視領域および赤外領域の光を感受して被写体の撮影を行う撮影装置である。本実施の形態に係るカメラ21は、赤外領域の光を遮蔽する赤外カットフィルタ(不図示)を用い、可視領域の光を感受してブレード31を撮影し、ブレード画像を生成する。また、この赤外カットフィルタを用いずに、赤外領域の光を感受してブレード31を撮影し、ブレード画像に対応する赤外画像を生成する。なお、「ブレード画像に対応する」とは、ブレード画像においてブレード31が映っている領域と、赤外画像においてブレード31が映っている領域が一致することを指す。
ここで、「可視領域の光」とは、下限を360~400nm、上限を760~830nmとする波長帯の光を指し、本実施の形態に係るカメラ21は例えば、400~800nmの光を感受して撮影を行う。また、「赤外領域の光」とは、0.7~1000μmの波長帯の光を指し、本実施の形態に係るカメラ21は例えば、0.7~1.0μmの、いわゆる近赤外領域の光を感受して撮影を行う。
【0014】
カメラ21により生成されたブレード画像には、例えば、撮影した日時(以下、「撮影日」と呼ぶ。)の情報と、撮影した場所や高度の情報(以下、「位置情報」と呼ぶ。)とが付与される。
本実施の形態に係るドローン20は、撮影日の情報および位置情報が付与されたブレード画像と赤外画像とを紐づけて、ユーザ端末10へ送信する。
【0015】
ユーザ端末10は、ブレード31の劣化を検知し、検知結果をユーザに提供する情報処理装置である。より詳しくは、本実施の形態に係るユーザ端末10は、ドローン20から受信したブレード画像に基づいてブレード31の劣化状態を検知し、検知結果を表示部16(後述)に表示することにより、ユーザへ提供する。
ユーザ端末10としては、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等が挙げられる。
【0016】
以降、本実施の形態では、ドローン20は、毎週同じ曜日の同じ時間に、ユーザ操作に基づいて飛行および撮影を行い、その都度撮影したブレード画像をユーザ端末10へ送信するものとして説明する。すなわち、ユーザ端末10は、1週間毎に最新のブレード画像を取得する。なお、撮影を行う時間は、1年を通して日の入り後且つ日の出前となる時間(夜間)に設定し、ドローン画像および赤外画像における太陽光の影響を無視できるようにする。なお、ブレード画像の撮影は、風力発電装置30が稼働している状態で行われても、停止している状態で行われても良い。
【0017】
[風力発電装置30]
次に、劣化検知の対象となる風力発電装置30について説明する。図2は、風力発電装置30について説明する図であり、(A)は風力発電装置30の全体構成、(B)はブレード31のIA-IA断面構造の概略図である。
【0018】
図2(A)に示すように、風力発電装置30は、風力を受ける羽根である複数のブレード31および回転軸となるハブ32により構成されるロータ33と、増速機や発電機等(不図示)が格納されたナセル34と、ロータ33およびナセル34を支える支柱であるタワー35と、を備えている。
風力発電装置30においては、ブレード31が風力を受けると、ロータ33がハブ32を中心に回転し、この回転エネルギーがナセル34内の発電機により電気エネルギーへと変換されることで、風力発電が行われる。
【0019】
図2(B)に示すように、ブレード31は、ブレード31全体の羽根型を形成する外皮311と、外皮311の外側の表面に形成された塗膜312と、外皮311の中空構造を支持する支持構造313と、ブレード31の内側へ光を照射する光源40とを備えている。なお、本実施形態では、外皮311や塗膜312等によりブレード31を構成する層構造を部材310と呼ぶことがある。
【0020】
外皮311は、ブレード31全体の羽根型を形成する層であり、内側に空洞を有する中空構造を有している。図2(B)に示すように、本実施の形態に係る外皮311は、上側外皮311aおよび下側外皮311bを接着剤等によって接合することで構成されている。外皮311は例えば、ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂等を母材とするガラス繊維強化樹脂複合材料、または炭素繊維強化樹脂複合材料を基材として製造される。
本実施の形態に係る外皮311は、ポリエステル樹脂を母材とするガラス繊維強化樹脂複合材料を基材としており、半透明である。したがって、外皮311は、光源40が照射した光の一部を透過する。このように、本実施の形態に係る外皮311は、光源40が照射する光の少なくとも一部を透過するように構成された第1層の一例である。
【0021】
塗膜312は、外皮311の外側の表面に形成された層であり、外皮311の略全体を覆うようにして形成されている。この塗膜312を形成するための塗料としては、例えば、フッ素樹脂塗料やウレタン樹脂塗料が用いられる。本実施の形態では、塗膜312は、フッ素樹脂塗料を外皮311の表面に塗布することで形成されている。
この塗膜312は、可視領域の光を吸収および反射して、外皮311を透過した光を減衰させる。このように、本実施の形態に係る塗膜312は、外皮311(第1層の一例)よりも外側に設けられ、外皮311が透過した光を減衰させる第2層の一例である。
【0022】
支持構造313は、上側外皮311aと下側外皮311bとの間において、ブレード31の長さ方向に沿って設けられ、外皮311の中空構造を支持している。本実施の形態においては、図2(B)に示すように、ブレード31の回転方向に並ぶ2つの支持構造313a,313bが設けられ、中空構造を3つの領域に分けている。
【0023】
光源40は、ブレード31の内側の中空構造へ可視光を照射する。先述したように、本実施の形態に係るブレード31の内側の中空構造は、支持構造313により3つの領域に分けられているので、この3つの領域の夫々に光源40a,40b,40cが設けられている。なお、光源40の数は特に限定されるものではなく、支持構造313により分けられた夫々の領域に光を照射できれば良い。
また、光源40は、可視光を含む光を照射可能であれば特に限定されず、ハロゲンランプやキセノンランプ、発光ダイオード等を用いて良い。
光源40の電力としては、例えば、ナセル34により発電された電力を用いて良い。また例えば、バッテリ等を利用して外部から電力を供給しても良い。
【0024】
光源40は、少なくともカメラ21がブレード画像を撮影する際に光を照射すれば良く、風力発電装置30の駆動中は常時光を照射する構成としても良い。
本実施の形態においては、リモートコントローラ等の入力装置にて入力されるユーザ操作に基づいて、光源40のON/OFFを切り替えることができる。ユーザは、ドローン20を用いた撮影の前に光源40をONにする操作を行い、光源40により光が照射された状態におけるブレード画像が生成されるようにする。
【0025】
なお、図2(B)では、上記したように、フッ素樹脂塗料により一層の塗膜312を形成する例を示したが、複数の種類の塗料を用いて2層以上の塗膜312を形成しても良い。
また、図示した風力発電装置30の構成は一例であって、内部に光源40を有するブレード31を1つ以上備えていれば、劣化検知システム1による検知の対象とすることができる。
【0026】
本実施の形態に係るブレード31の新品状態においては、外皮311の厚さが約4~10mm、塗膜312の厚さが約300μmである。この新品状態において、光源40から照射される光は、ブレード31の外側へ漏れることがない。より詳しくは、光源40が照射する光は、外皮311および塗膜312により吸収および反射され、ブレード31の外側まで透過しない。
なお、本明細書において、「新品状態」とはブレード31の劣化が生じていない、または無視できるほど小さい状態を指し、例えば風力発電装置30の設置直後且つ風力発電装置30の稼働前の状態を指す。
【0027】
風力発電装置30が稼働を開始すると、ブレード31は、回転や風力による摩擦や歪み、飛来物の衝突、雨や雪といった降水等の負荷を受ける。そして、これらの負荷により、外皮311および塗膜312に亀裂や割れが発生し、厚さがゼロとなる領域が生じる。また、塗膜312が剥離または消耗して薄膜化し、新品状態に比べ厚さが低下した領域が生じる。本実施の形態が適用される劣化検知システム1は、このようなブレード31を構成する部材310の厚さの低下を伴う劣化を検知し、検知結果をユーザへ提供する。
【0028】
[ユーザ端末10のハードウェア構成]
図3は、本実施の形態に係るユーザ端末10のハードウェア構成の一例を示す図である。
本実施の形態に係るユーザ端末10は、自装置全体を制御するCPU(Central Processing Unit)である制御部11と、演算に際して作業エリアとして用いられるRAM(Random Access Memory)等のメモリ12と、各種データ等の記憶に用いられるHDD(Hard Disk Drive)や半導体メモリ等の記憶装置である記憶部13と、ネットワーク90を介してデータの送受信を行う通信部14とを有している。更に、ユーザからの入力操作を受け付けるキーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル等の操作部15と、ユーザに対して画像やテキスト情報等を表示する液晶ディスプレイ等からなる表示部16と、表示部16への表示を制御する表示制御部17とを有している。
なお、記憶部13には、ドローン20から受信した画像データ等が記憶される他、劣化検知に際し実行されるプログラムが記憶されている。劣化検知に際しては、制御部11がこのプログラムを読み込むことによって、ユーザ端末10の各処理が実行される。また、記憶部13は、各種データを格納するための格納場所を提供し、格納されたデータを記憶する。
【0029】
[ユーザ端末10の機能構成]
図4は、本実施の形態に係るユーザ端末10の機能構成の一例を示す図である。
本実施の形態に係るユーザ端末10は、ドローン20との情報の送受信に係る処理を行う通信処理部111と、ブレード画像を取得するブレード画像取得部112と、ブレード画像においてブレード31が映っている領域を特定するブレード領域特定部113と、ブレード画像における輝度の情報を取得する輝度情報取得部114と、ブレード画像における輝度からブレード31の劣化を検知する劣化検知部115と、表示部16に検知結果として表示するための情報を出力する情報出力部116とを有している。
また、ユーザ端末10は、各種データを格納するための格納場所として、ブレード画像が格納されるブレード画像データベース131と、劣化検知部115にて用いられる基準値が格納される基準値データベース132と、情報出力部116により出力された検知結果が格納される検知結果データベース133とを有している。
【0030】
ブレード画像データベース131には、ドローン20から受信したブレード画像が格納される。また、対応する赤外画像が、ブレード画像に紐づけて格納される。
本実施の形態におけるドローン20は、1週間に1度撮影を行うため、ブレード画像データベース131には、1週間毎に最新のブレード画像が格納されることになる。なお、格納されたブレード画像は、撮影日により管理される。
【0031】
基準値データベース132には、劣化検知部115にて用いられる各種基準値が格納されている。この基準値は、例えば、ユーザにより予め定められた輝度の基準値L,L,Lである。なお、輝度の基準値L,L,Lについては、図6を用いて詳細を後述する。
【0032】
検知結果データベース133には、情報出力部116が出力した検知結果が格納される。本実施の形態においては、検知結果は、ブレード画像の撮影日ごとに管理される。ユーザは例えば、検知結果データベース133にアクセスし、所望の撮影日を指定することにより、過去に出力された検知結果を表示部16に表示させて参照することができる。
【0033】
通信処理部111は、ドローン20との通信部14を介した情報の送受信に係る処理を行う。例えば、ドローン20からブレード画像を受信し、ブレード画像データベース131に格納する処理を行う。
【0034】
ブレード画像取得部112は、ドローン20により撮影されたブレード画像を取得する。本実施の形態においては、ブレード画像取得部112は、ユーザにより指定されたブレード画像と、そのブレード画像に紐づけられた赤外画像とを、ブレード画像データベース131から取り出して取得する。例えば、ブレード画像データベース131に格納されたブレード画像について、表示部16に撮影日の一覧を表示し、ユーザにより何れかの撮影日が指定された場合に、その撮影日のブレード画像および赤外画像を取り出して取得する。
【0035】
ブレード領域特定部113は、ブレード画像取得部112が取得したブレード画像において、ブレード31が映っている領域(以下、「ブレード領域」と呼ぶ。)を特定する。
本実施の形態においては、夜間に撮影を行っており、ブレード画像からブレード領域を特定することが困難な場合がある。このため、ブレード領域特定部113は、対応する赤外画像に基づいてブレード領域を特定する。赤外画像は、ブレード31から輻射された赤外線を感受して生成されるため、ブレード31が映っている領域の輝度が、他の領域の輝度に比べ高くなる。したがって、ブレード領域特定部113は、赤外画像において輝度が閾値以上である領域を抽出し、ブレード画像の対応する領域をブレード領域として特定する。
また、ブレード領域特定部113は、ユーザが表示部16に表示されたブレード画像の少なくとも一部の領域を指定する操作を行った場合に、指定された領域をブレード領域として特定しても良い。
【0036】
輝度情報取得部114は、ブレード画像における各画素の輝度の情報を取得する。より詳しくは、輝度情報取得部114は、ブレード領域特定部113が特定したブレード領域における各画素の輝度の値を取得する。
ここで、輝度情報取得部114が取得する輝度の情報と、ブレード31の劣化との関係について、図5,6を用いて説明する。
図5は、劣化検知の対象となるブレード31の例を示す図であり、(A)は光源40がOFFの状態のブレード31、(B)は光源40がONの状態のブレード31の図である。
図6は、図5(B)のIIB-IIB領域におけるブレード31の長さ方向の位置(横軸)と、ブレード画像において長さ方向に並ぶ画素の輝度(縦軸)との関係を示すグラフである。
【0037】
図5(A),(B)に示すように、劣化検知の対象となるブレード31は、図中矩形で示す劣化領域を有している。
図5(A)に示すように、劣化領域においては、亀裂が発生した領域Aと、塗膜312の薄膜化が進行した領域B(薄膜化大)と、領域Bよりも程度は小さいものの塗膜312の薄膜化が発生している領域C(薄膜化小)とがブレード31の長さ方向に並んでいる。また、劣化領域以外の領域に関しては、略新品状態であるとする。
【0038】
光源40をONにすると、図5(B)に網掛けで示すように、劣化領域において光源40の光が漏れる。劣化領域のうち、領域Aでは、外皮311および塗膜312の厚さがゼロのため、光が遮られることがなく、漏れる光の強度が大きくなる。また、領域Cでは、外皮311および塗膜312により光が減衰し、漏れる光の強度が小さくなる。さらに、領域Bでは、領域Cに比べ光の減衰が小さく、漏れる光の強度は中程度になる。
一方、劣化領域以外の領域は略新品状態のため、光源40がONであっても光の漏れは発生せず、強度はゼロとなる。
【0039】
ここで、ブレード画像の各画素における輝度は、ブレード31から漏れる光の強度に対応する。したがって、図5(B)のブレード31を撮影した場合、図6に示すように、光の強度が大きい領域Aに対応する画素の輝度は最も高くなる。また、光の強度が小さい領域Cに対尾する画素の輝度は低くなる。さらに、光の強度が中程度である領域Bに対応する画素の輝度は、領域Aよりも低く領域Cよりも高くなる。また、劣化領域以外の領域では、画素の輝度は略ゼロとなる。
このように、輝度情報取得部114が取得する輝度の情報と、ブレード31の劣化とは、劣化により部材310の厚さが低下するほど輝度が高くなる、という関係を有している。
また、ユーザは、図6に示すような輝度の情報とブレード31との劣化との関係を実験により把握し、亀裂の発生を判定するための輝度の基準値Lと、薄膜化の進行を判定するための輝度の基準値Lと、薄膜化の発生を判定するための輝度の基準値Lとを定めることができる。
【0040】
次に、図4の劣化検知部115は、輝度情報取得部114が取得した輝度の情報に基づいて、ブレード31の劣化を検知する。より詳しくは、劣化検知部115は、輝度の基準値L,L,Lを取り出し、ブレード領域における各画素の輝度と比較する。まず、ブレード領域において輝度がL以上である画素が存在することに基づいて、ブレード31に劣化が発生していると判定する。そして、輝度がL以上である領域を、亀裂が発生した領域として特定する。また、輝度がLよりも小さくL以上である領域を、薄膜化が進行している領域(薄膜化大)として特定する。さらに、輝度がLよりも小さくL以上である領域を、薄膜化が発生している領域(薄膜化小)として特定する。
その他、本実施の形態に係る劣化検知部115は、補修が必要な領域の面積を算出する。例えば、亀裂が発生した領域および薄膜化が進行している領域(薄膜化大)を補修が必要な領域として、面積の算出を行う。面積の算出方法は限定されないが、例えば補修が必要な領域の画素数とブレード領域全体の画素数との比を算出し、実際のブレードの面積と乗することにより、補修が必要な領域の面積を算出することができる。
【0041】
情報出力部116は、検知結果として表示部16に表示するための情報を出力する。より詳しくは、情報出力部116は、劣化検知部115が検知した劣化領域や補修が必要な領域の情報を纏め、表示部16に表示するための画像またはテキスト等として出力する。本実施の形態に係る情報出力部116は例えば、ブレード画像において、ブレード領域の輪郭を描画し、亀裂が発生した領域、薄膜化が進行している領域(薄膜化大)、薄膜化が発生している領域(薄膜化小)を強調する処理を施して出力する。
なお、情報出力部116が出力した情報は、表示部16への表示に用いられる他、検知結果として検知結果データベース133に格納されて管理される。
【0042】
[ユーザ端末10が行う処理]
ブレード31の劣化検知およびユーザへの検知結果の提供に際し、ユーザ端末10が行う処理について、図3~8を用いて説明する。
図7は、ユーザ端末10が行う処理手順の一例を示すフローチャートである。
図8は、ユーザ端末10における検知結果の表示例を示す図である。
【0043】
まず、ユーザ端末10は、ユーザから、検知結果を表示する旨の指示を受け付ける(ステップ701)。本実施の形態においては、表示部16に表示されたブレード画像の撮影日の一覧のうち、yyyy年mm月dd日(yyyy/mm/dd)がユーザにより指定されたことを、検知結果を表示する旨の指示として受け付ける。
ステップ702では、ブレード画像取得部112は、ユーザにより指定された撮影日yyyy年mm月dd日のブレード画像を、ブレード画像データベース131から取り出して取得する。また、ブレード画像に紐づけられた赤外画像を取り出して取得する。
【0044】
次に、ブレード領域特定部113(図4参照)は、ブレード画像取得部112にて取得されたブレード画像において、ブレード31が映っている領域(ブレード領域)を特定する(ステップ703)。
ステップ704では、輝度情報取得部114は、ブレード領域の各画素における輝度の情報を取得する。換言すると、輝度情報取得部114は、ブレード31の各位置において、外側に漏れる光の強度の情報を取得する。
【0045】
ステップ705にて、劣化検知部115は、ブレード31の各位置における劣化状態を検知する。より詳しくは、劣化検知部115は、ブレード領域の各画素の輝度と、基準値データベース132から取り出した輝度の基準値L,L,Lを比較して、劣化が発生しているか否かの判定、および、亀裂が発生した領域A、薄膜化が進行した領域B(薄膜化大)、薄膜化が発生した領域(薄膜化小)の特定を行う。また、劣化検知部115は、補修が必要な領域の面積を算出する。
【0046】
次に、ステップ706にて、情報出力部116は、劣化検知部115が検知した劣化領域や補修が必要な領域の情報を纏め、検知結果として表示するための画像および適すypを出力する。なお、ステップ705にて劣化が発生していないと判定された場合は、その旨をテキスト等により出力する。
そして、表示制御部17の制御により、情報出力部116から出力された検知結果が表示部16に表示される(ステップ707)。
【0047】
ここで、図8を用いて、検知結果の表示について具体例を説明する。
図示するように、検知結果の表示に際しては、ブレード画像においてブレード領域の輪郭が描画され、亀裂が発生した領域Aと、薄膜化が進行している領域B(薄膜化大)と、薄膜化が発生している領域C(薄膜化小)とが強調して表示される。この例では、領域A、領域B、領域Cの夫々が着色(図中では網掛けで表現する。)により強調されている。この「強調」の態様は限定されるものではなく、例えば各領域の輪郭線の描画や、他の領域に比べ領域の内部の明度/彩度/輝度等を大きく異ならせる処理、明滅表示等であって良い。また、図示するように、ブレード画像の撮影日を示すためのテキストmsg1や、ユーザに対して劣化の詳細と補修の推奨とを通知するテキストmsg2が表示される。さらに、テキストmsg3のように、補修が必要な領域の面積が表示される。
【0048】
以上記載したステップ701~707の処理手順により、本実施の形態が適用される劣化検知システム1では、ドローン20が撮影したブレード画像に基づいて、ブレード31の劣化の検知が行われ、検知結果がユーザに提供される。ユーザはこの検知結果を参照することで、劣化検知システム1を用いない場合に比べ、ブレード31の補修の要否や、いつ補修を行うかという補修時期等の判断をより適切に行うことができる。
【0049】
[変形例等]
(劣化検知の方法)
上記した本実施の形態では、ブレード画像における各画素の輝度と、輝度の基準値L,L,Lとを比較して、劣化の検知を行った。他の実施の形態では、例えば、各画素の輝度から部材310の厚さを算出し、劣化を検知しても良い。先述したように、ブレード31が劣化して部材310の厚さが低下するほど、ブレード画像における画素の輝度は大きくなる。すなわち、部材310の厚さxと、ブレード画像における画素の輝度yとは、負の相関を有している。したがって、この相関を示す関係式を用いることで、ブレード画像の各画素の輝度から、ブレード31の各位置における部材310の厚さを算出することができる。
図9は、部材310の厚さxと輝度yとの関係を示すグラフである。ユーザは例えば、部材310の厚さを異ならせた複数のサンプルを用意し、カメラ21により撮影することで、図中の各プロット(実験により求めた値)を得ることができる。そして、得られたプロットから、図中破線で示す近似曲線の式y=f(x)が導出できる。このy=f(x)を、先述した関係式として用いることができる。
この場合、ユーザ端末10は、算出した部材310の厚さがユーザにより予め定められた基準値以下であることに基づいて、ブレード31の劣化を検知しても良い。また、検知結果として、ブレード31の各位置における部材310の厚さの二次元分布を表示しても良い。
【0050】
(ブレード画像の撮影)
上記した本実施の形態では、カメラ21を備えたドローン20によりブレード画像を撮影したが、限定されない。例えば、地表に三脚等を用いて設置したカメラ21を用いて撮影しても良い。また例えば、ユーザがカメラ21を用いて撮影を行っても良い。ただし、本実施の形態に係るドローン20のように、カメラ21に移動手段を設けることで、複数の風力発電装置30を対象とした撮影が容易になる。また、飛行による移動を可能にすることで、風力発電装置30が洋上に設置されている場合のように、地上走行による移動が困難な場合であっても、風力発電装置30への接近および撮影が可能になる。
【0051】
(太陽光の存在下での撮影)
上記した本実施の形態では、夜間にブレード画像の撮影を行う場合の例について説明したが、朝や昼等に撮影を行っても良い。この場合、輝度の補正を行って太陽光の影響を排除することが好ましい。補正の方法としては、劣化が生じていない部分の輝度の値をゼロとするゼロ点補正が挙げられる。
適切な管理が行われている風力発電装置30においては、通常、劣化が生じていない部分(もしくは、無視できる程度の劣化が生じている部分)が存在する。そして、この劣化が生じていない部分では、光源40からの光が漏れないため、ブレード領域において最も輝度が低くなると考えられる。したがって、ブレード領域において最も低い輝度の値を、劣化が生じていない部分の輝度の値と見做してゼロ点補正を行うことで、太陽光の影響を排除することができる。
【0052】
(光センサによる検知)
上記した本実施の形態では、ブレード31の外側に漏れた光を、ブレード画像を撮影することにより検出したが、例えば光センサ等を用い、光の漏れが検出されたことに基づいて劣化を検知しても良い。しかしながら、本実施の形態のようにブレード画像を用いることで、ブレード31の各位置において漏れた光の強度を把握することができ、劣化の種類の区別や、劣化領域の特定を行うことができる。
【0053】
(光源40が照射する光)
また、光源40が照射する光の種類は限定されない。例えば、赤外領域の光を照射しても良い。この場合、ドローン20が備えるカメラ21は、赤外領域の光のみを感受するように構成しても良く、撮影された赤外画像をブレード画像として用いることで、劣化の検知を行うことができる。また例えば、光源40により紫外領域の光を照射し、カメラ21が紫外領域の光のみを感受するように構成しても良い。ただし、例えば外皮311や塗膜312等に樹脂系の材料を含む場合、紫外領域の光が樹脂系の材料を劣化させる恐れがある。したがって、光源40からの光が照射され得る部分に樹脂系の材料を含む場合には、可視光や赤外光を用いることが好ましい。
【0054】
(ブレード領域の特定)
さらに、ブレード領域の特定を行わずに、ブレード画像の全体について輝度の情報を取得し、劣化検知を行っても良い。しかしながら、本実施の形態のように、ブレード領域の特定を行い、その領域内のみを検知の対象とすることで、より精度良く補修領域の検出等を行うことができる。また、検知結果の表示に際し、ユーザにとって分かり易い表示を行うことができる。
【0055】
(補修時期の予測)
また、劣化検知システム1は、時間の経過に応じた輝度の変化から、補修時期の予測を行っても良い。例えば、上記した本実施の形態では、1週間間隔で輝度の情報が蓄積されるため、経過時間と輝度との関係式を導出することができる。そして、この関係式から、輝度が基準値以上となる時期を算出することで、補修時期が予測できる。
【0056】
(複数の装置による処理)
上記した本実施の形態では、各種データベース(データベース131,132,133)の管理、および、ブレード画像の取得から検知結果の表示までの一連の処理を、単独の情報処理装置(ユーザ端末10)にて行う構成について説明したが、各処理は複数の情報処理装置により分担または協働して行われても良い。例えば、ネットワーク90に接続されたサーバ装置にて、各種データベースの管理、および、ブレード画像の取得から検知結果として表示するための情報の出力までを行い、ユーザ端末10は検知結果の表示のみを行う構成としても良い。またこの場合、ネットワーク90に接続された複数のユーザ端末10において、各種データベースへのアクセスや検知結果の表示を可能にしても良い。
【0057】
(劣化検知方法)
また、上記した本実施の形態は、風力発電装置30の劣化を検知する劣化検知方法としても理解される。より詳しくは、本実施の形態は、風力発電装置30のブレード31の内側へ光を照射し、照射されブレード31の外側へ漏れた光によりブレード31の劣化を検知する劣化検知方法と捉えることができる。
この劣化検知方法は、上記した本実施の形態のようにユーザ端末10にて劣化検知を行うものに限定されない。例えば、ブレード31の外側に漏れた光を、ユーザが目視することにより、劣化検知を行っても良い。この場合、ブレード31の内側に照射される光が可視光であることにより、肉眼でも検知を行うことができる。
【符号の説明】
【0058】
1…劣化検知システム、10…ユーザ端末、11…制御部、20…ドローン、21…カメラ、30…風力発電装置、31…ブレード、40…光源、112…ブレード画像取得部、113…ブレード領域特定部、114…輝度情報取得部、115…劣化検知部、310…部材、311…外皮、312…塗膜
【要約】
【課題】ブレードの内部の圧力や着色剤を利用する劣化検知方法に比べ、風力発電装置のブレードの劣化をより詳細に検知する。
【解決手段】風力発電装置の劣化検知システムは、風力発電装置のブレードの内側へ光を照射する照射手段と、照射手段により照射されブレードの外側へ漏れた光によりブレードの劣化を検知する検知手段と、を有する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9