(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-14
(45)【発行日】2022-06-22
(54)【発明の名称】タイヤ製造ドラム上のカーカスパッケージに1つまたは複数のプライを移送するための移送装置および方法
(51)【国際特許分類】
B29D 30/26 20060101AFI20220615BHJP
【FI】
B29D30/26
(21)【出願番号】P 2021517681
(86)(22)【出願日】2020-01-27
(86)【国際出願番号】 NL2020050039
(87)【国際公開番号】W WO2020171694
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-05-26
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】595090635
【氏名又は名称】ヴェーエムイー ホーランド ベー. ヴェー.
【氏名又は名称原語表記】VMI HOLLAND B. V.
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】パポット デイブ
(72)【発明者】
【氏名】デ グラーフ マーティン
【審査官】松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-049283(JP,A)
【文献】特開2016-074173(JP,A)
【文献】特開2001-198987(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103009651(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104441718(CN,A)
【文献】中国実用新案第207345108(CN,U)
【文献】韓国登録特許第10-1595487(KR,B1)
【文献】中国特許出願公開第109291483(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/26-30/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ製造ドラム上のカーカスパッケージに1つまたは複数のプライを移送するための移送装置であって、
前記移送装置が、複数の第1のリングセグメントを有する移送リングを備え、前記移送リングが、前記複数の第1のリングセグメントの各々をそれぞれの第1の角度位置に保持するための中心軸のまわりに円周方向に延在するフレームを備え、前記複数の第1のリングセグメントの前記第1の角度位置が、前記フレームに沿って前記円周方向に配分され、前記複数の第1のリングセグメントが、第1の半径方向距離から、前記第1の半径方向距離よりも小さい前記中心軸からの第2の半径方向距離まで、前記中心軸に垂直な半径方向に前記フレームに対して移動可能であり、前記移送装置が、前記円周方向の複数の前記第1の角度位置の間に挿入された第2の角度位置に配置可能な第1の圧延装置をさらに備え、前記移送装置が、前記中心軸から前記第2の半径方向距離にある前記第2の角度位置に配置可能な第2のリングセグメントをさらに備える、
移送装置。
【請求項2】
前記第2のリングセグメントおよび前記第1の圧延装置が同時に前記第2の半径方向距離にある前記第2の角度位置にあるとき、前記第2のリングセグメントが前記第1の圧延装置を収容するように適合される、
請求項1に記載の移送装置。
【請求項3】
前記第1の圧延装置が、前記第2の半径方向距離から、前記第2の半径方向距離よりも小さい前記中心軸からの第3の半径方向距離まで移動可能であり、前記第2のリングセグメントが前記第2の半径方向距離にある前記第2の角度位置にあるとき、前記第2のリングセグメントが、前記第2のリングセグメントを超えて前記第3の半径方向距離までの前記第1の圧延装置の少なくとも一部の通り抜けを可能にする、
請求項1または2に記載の移送装置。
【請求項4】
前記第2のリングセグメントが、前記第1の圧延装置全体が前記第2のリングセグメントを通り抜けることを可能にする、
請求項1から3のいずれか一項に記載の移送装置。
【請求項5】
前記第2のリングセグメントが、前記第2の半径方向距離から前記第1の半径方向距離に向かって前記半径方向に引き込み可能であり、前記第2のリングセグメントが、前記第1の圧延装置が前記第2の半径方向距離にあるときに、前記第1の圧延装置に沿って前記半径方向に通るために配置される、
請求項1から4のいずれか一項に記載の移送装置。
【請求項6】
前記第1の圧延装置および前記第2のリングセグメントが、前記半径方向に同軸上で移動可能である、
請求項1から5のいずれか一項に記載の移送装置。
【請求項7】
前記第2のリングセグメントが、前記第1の圧延装置の第1の側面で前記円周方向に延在する第1の脚部と、前記第1の圧延装置の第2の側面で前記第1の側面と反対の前記円周方向に延在する第2の脚部とを備える、
請求項1から6のいずれか一項に記載の移送装置。
【請求項8】
前記第2のリングセグメントが、前記第1の圧延装置の第1の側面で前記中心軸に平行な軸方向に延在する第1の脚部と、前記第1の圧延装置の第2の側面で前記第1の側面と反対の前記軸方向に延在する第2の脚部とを備える、
請求項1から6のいずれか一項に記載の移送装置。
【請求項9】
前記第2のリングセグメントが、それぞれ、前記中心軸に平行な軸方向の前記第1の圧延装置の第3の側面にあり、前記第3の側面と反対の前記軸方向の前記第1の圧延装置の第4の側面にある、前記第1の脚部と前記第2の脚部を相互接続する第1の接続部材および第2の接続部材をさらに備える、
請求項7に記載の移送装置。
【請求項10】
前記第1の脚部、前記第2の脚部、前記第1の接続部材、および前記第2の接続部材が、前記第2のリングセグメントおよび前記第1の圧延装置が同時に前記第2の半径方向距離にあるときに、前記第1の圧延装置の前記第1の側面、前記第2の側面、前記第3の側面、および前記第4の側面のまわりにシェルを形成する、
請求項9に記載の移送装置。
【請求項11】
前記第2のリングセグメントが、前記第1の半径方向距離から前記第2の半径方向距離まで第1のリングセグメントとともに移動するように配置される、
請求項1から10のいずれか一項に記載の移送装置。
【請求項12】
前記第1のリングセグメントまたは前記第2のリングセグメントが、前記フレームに対する回転に対して固定される、
請求項1から11のいずれか一項に記載の移送装置。
【請求項13】
前記第1のリングセグメントまたは前記第2のリングセグメントが、前記1つまたは複数のプライを保持するための1つまたは複数の保持要素を備える、
請求項1から12のいずれか一項に記載の移送装置。
【請求項14】
前記1つまたは複数の保持要素が、磁石、真空開口部、または針を含む、
請求項13に記載の移送装置。
【請求項15】
前記第1の圧延装置がローラーを備える、
請求項1から14のいずれか一項に記載の移送装置。
【請求項16】
前記第1の圧延装置が、前記タイヤ製造ドラム上の前記カーカスパッケージに前記1つまたは複数のプライを縫い付けるためのセンターローラーを備える、
請求項15に記載の移送装置。
【請求項17】
前記第1の圧延装置が、前記タイヤ製造ドラム上の前記カーカスパッケージに前記1つまたは複数のプライを縫い付けるための1つまたは複数のショルダーホイールを備える、
請求項1から14のいずれか一項に記載の移送装置。
【請求項18】
前記移送装置が、前記円周方向の複数の前記第1の角度位置の間に挿入された第3の角度位置に配置可能な第2の圧延装置をさらに備え、前記移送装置が、前記中心軸から前記第2の半径方向距離にある前記第3の角度位置に配置可能な第3のリングセグメントをさらに備える、
請求項16に記載の移送装置。
【請求項19】
前記第2の圧延装置が、前記タイヤ製造ドラム上の前記カーカスパッケージに前記1つまたは複数のプライを縫い付けるための1つまたは複数のショルダーホイールを備える、
請求項18に記載の移送装置。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の移送装置を使用して、タイヤ製造ドラム上のカーカスパッケージに1つまたは複数のプライを移送するための方法であって、
前記方法が、前記中心軸から前記第2の半径方向距離にある前記第2の角度位置に前記第2のリングセグメントを配置するステップを含む、
方法。
【請求項21】
前記中心軸から前記第2の半径方向距離にある前記第2の角度位置に前記第2のリングセグメントを配置する前記ステップの前、それと同時、またはその後に、前記方法が、前記第2の半径方向距離にある前記第2の角度位置に前記第1の圧延装置を配置するステップを含み、前記第2のリングセグメントおよび前記第1の圧延装置が同時に前記第2の半径方向距離にある前記第2の角度位置にあるとき、前記第2のリングセグメントが前記第1の圧延装置を収容する、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記方法が、前記第2のリングセグメントが前記第2の半径方向距離に留まる間に、前記第2の半径方向距離から、前記第2の半径方向距離よりも小さい前記中心軸からの第3の半径方向距離まで前記第1の圧延装置を移動させるステップをさらに含み、前記第1の圧延装置が、前記第2のリングセグメントが前記第2の半径方向距離にある前記第2の角度位置にあるときに、前記第2のリングセグメントを少なくとも部分的に超えて前記第3の半径方向距離まで突き出る、
請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記方法が、前記第2のリングセグメントの中を完全に前記第1の圧延装置を通すステップをさらに含む、
請求項20から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記方法が、前記第1の圧延装置が前記第2の半径方向距離に留まる間に、前記第2の半径方向距離から前記第1の半径方向距離に向かって前記半径方向に前記第2のリングセグメントを引き込むステップをさらに含み、前記第2のリングセグメントが、前記第1の圧延装置が前記第2の半径方向距離に留まるときに、前記半径方向に前記第1の圧延装置に沿って通る、
請求項20から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記第2のリングセグメントが、前記第1の半径方向距離から前記第2の半径方向距離まで第1のリングセグメントとともに移動する、
請求項20から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の圧延装置がローラーを備え、前記ローラーが、前記タイヤ製造ドラム上の前記カーカスパッケージへの縫い付け中に前記1つまたは複数のプライ上を回転する、
請求項20から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記移送装置が、前記円周方向の複数の前記第1の角度位置の間に挿入された第3の角度位置に配置可能な第2の圧延装置をさらに備え、前記移送装置が、前記中心軸から前記第2の半径方向距離にある前記第3の角度位置に配置可能な第3のリングセグメントをさらに備える、
請求項20から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記移送装置が、前記円周方向の複数の前記第1の角度位置の間に挿入された第3の角度位置に配置可能な2つのショルダーホイールをさらに備え、前記方法が
、前記中心軸に平行な軸方向
に前記第2の半径方向距離で前記2つのショルダーホイールを離して移動させ
て、前記軸方向の前記1つまたは複数のプライの幅に一致させるステップをさらに含む、
請求項20から26のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ製造ドラム上のカーカスパッケージに1つまたは複数のプライを移送するための移送装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既知の移送装置は、タイヤ製造ドラム上のカーカスパッケージにブレーカプライを移送するための移送リングを備える。移送リングは、複数のリングセグメント、およびフレームに沿って円周方向に配分された複数の角度位置に複数のリングセグメントを保持するための中心軸のまわりに円周方向に延在するフレームが設けられている。リングセグメントは、ブレーカプライを保持および解放するために、フレームに対して半径方向に移動可能である。移送リングは、タイヤ製造ドラムの中央領域内のタイヤ製造ドラムのカーカスパッケージにブレーカプライを縫い付けるためのセンターローラー、および形成されるタイヤのショルダーに沿ってブレーカプライを縫い付けるための2つのショルダーローラーをさらに備える。
【0003】
既知の移送装置の欠点は、センターローラーおよび2つのショルダーローラーが、通常、移送リングの上部において移送リングの円周の一部を占有することである。その角度位置にはリングセグメントを取り付けるスペースがない。結果として、フレームに沿った円周方向のリングセグメントの配分が局所的に割り込まれる。一方で、業界は薄いブレーカプライをますます要求しているが、それは移送リングのリングセグメントによって適切にかみ合わされていないときに変形する可能性が高い。詳細には、比較的薄いブレーカプライは、センターローラーおよび2つのショルダーローラーの位置にリングセグメントがない場合、予測できない動作をしたり、かつ/またはかなり膨らんだりする傾向がある。
【0004】
問題を解決しようとして、出願者は、センターローラーを下げて、リングセグメントがない位置にあるブレーカプライに追加の支持体を設けることを検討した。しかしながら、センターロールの円筒形状および/または自由回転の性質により、実際には、比較的薄いブレーカプライの予測できない動作が増加する。
【0005】
したがって、既知の移送装置では、タイヤ製造ドラム上のカーカスパッケージに前記ブレーカプライを確実に移送するために、比較的薄いブレーカプライを円形に保つことは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、タイヤ製造ドラム上のカーカスパッケージに1つまたは複数のプライを移送するための移送装置および方法を提供することであり、移送の信頼性を改善することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様によれば、本発明は、タイヤ製造ドラム上のカーカスパッケージに1つまたは複数のプライを移送するための移送装置を提供し、移送装置は、複数の第1のリングセグメントを有する移送リング、および複数の第1のリングセグメントの各々をそれぞれの第1の角度位置に保持するための中心軸のまわりに円周方向に延在するフレームを備え、複数の第1のリングセグメントの第1の角度位置は、フレームに沿って円周方向に配分され、複数の第1のリングセグメントは、第1の半径方向距離から、第1の半径方向距離よりも小さい中心軸からの第2の半径方向距離まで、中心軸に垂直な半径方向にフレームに対して移動可能であり、移送装置は、円周方向の複数の第1の角度位置の間に挿入された第2の角度位置に配置可能な第1の圧延装置をさらに備え、移送装置は、中心軸から第2の半径方向距離にある第2の角度位置に配置可能な第2のリングセグメントをさらに備える。
【0008】
第2のリングセグメントは、第2の角度位置で第1の圧延装置と交互になるか、またはそれを補足することができる。詳細には、第2のリングセグメントは、タイヤ製造ドラム上のカーカスパッケージに前記1つまたは複数のプライを移送するときに、第2の角度位置で1つまたは複数のプライを接触、係合、および/または保持することができる。したがって、1つまたは複数のプライは、円周方向により均等に、より均一に、またはより確実に移送装置によって保持および/または支持することができ、それにより、第2の角度位置に第1のリングセグメントが存在しないことによる悪影響が低減および/または防止される。1つまたは複数のプライは、このように移送中により円形に保つことができ、それにより、前記移送の信頼性が向上する。これは、1つまたは複数の比較的薄いブレーカプライを移送するときに特に有利であり得る。
【0009】
好ましい実施形態では、第2のリングセグメントおよび第1の圧延装置が同時に第2の半径方向距離にある第2の角度位置にあるとき、第2のリングセグメントは第1の圧延装置を収容するように適合される。したがって、第2のリングセグメントは、第2の半径方向距離にあるように第1の圧延装置と交互になる必要はない。言い換えれば、第2のリングセグメントが第2の半径方向距離にある第2の角度位置に移動するために、第1の圧延装置は、第2の半径方向距離から離れて移動する必要はない。これにより、タイヤ製造ドラム上のカーカスパッケージへの1つまたは複数のプライの移送から縫い付けに切り替えるときの貴重な時間を節約することができる。
【0010】
別の実施形態では、第1の圧延装置は、第2の半径方向距離から、第2の半径方向距離よりも小さい中心軸からの第3の半径方向距離まで移動可能であり、第2のリングセグメントが第2の半径方向距離にある第2の角度位置にあるとき、第2のリングセグメントは、第2のリングセグメントを超えて第3の半径方向距離までの第1の圧延装置の少なくとも一部の通り抜けを可能にする。したがって、第2のリングセグメントが第2の半径方向距離に留まる間に、第1の圧延装置は、タイヤ製造ドラム上のカーカスパッケージに1つまたは複数のプライを加え、かつ/または押し付けるために、第2のリングセグメントを超えて半径方向内向きに縫い付け位置まで移動することができる。
【0011】
別の実施形態では、第2のリングセグメントは、第1の圧延装置全体が前記第2のリングセグメントを通り抜けることを可能にする。第1の圧延装置は、このように第2のリングセグメントを完全に通り抜けることができる。その結果、第2のリングセグメントは、衝突することなく第1の圧延装置に沿って完全に通り抜けることができ、したがって、第1の圧延装置から独立して移動することができる。言い換えれば、第1の圧延装置および第2のリングセグメントは、位置を交互にし、かつ/または切り替えることができる。
【0012】
別の実施形態では、第2のリングセグメントは、第2の半径方向距離から第1の半径方向距離に向かって半径方向に引き込み可能であり、第2のリングセグメントは、第1の圧延装置が第2の半径方向距離にあるときに、第1の圧延装置に沿って半径方向に通るために配置される。第2のリングセグメントは、このように第1の圧延装置が所定の位置に留まる間に引き込むことができる。これにより、1つまたは複数のプライの移送から縫い付けに切り替えるときの貴重な時間を節約することができる。
【0013】
別の実施形態では、第1の圧延装置および第2のリングセグメントは、半径方向に同軸上で移動可能である。言い換えれば、第1の圧延装置および第2のリングセグメントは、半径方向に同じ軸に沿って擦れ違うことができる。したがって、第1の圧延装置および第2のリングセグメントは、両方とも第2の角度位置に整列し、半径方向に、すなわち、第1の半径方向距離と第2の半径方向距離との間を移動することができる。
【0014】
別の実施形態では、第2のリングセグメントは、第1の圧延装置の第1の側面で円周方向に延在する第1の脚部と、第1の圧延装置の第2の側面で第1の側面と反対の円周方向に延在する第2の脚部とを備える。第1の脚部および第2の脚部は、前記第1の圧延装置の動作を妨げることなく、円周方向に第1の圧延装置の反対側で第2の半径方向距離にある1つまたは複数のプライに接触することができる。
【0015】
好ましくは、第2のリングセグメントは、それぞれ、中心軸に平行な軸方向の第1の圧延装置の第3の側面にあり、第3の側面と反対の軸方向の第1の圧延装置の第4の側面にある、第1の脚部と第2の脚部を相互接続する第1の接続部材および第2の接続部材をさらに備える。第1の脚部と第2の脚部を相互接続することにより、第2のリングセグメントの脚部を互いに対してより正確に配置することができる。言い換えれば、第2のリングセグメントをより剛性にすることができる。
【0016】
より好ましくは、第1の脚部、第2の脚部、第1の接続部材、および第2の接続部材は、第2のリングセグメントおよび第1の圧延装置が同時に第2の半径方向距離にあるときに、第1の圧延装置の第1の側面、第2の側面、第3の側面、および第4の側面のまわりにシェルを形成する。第1の圧延装置は、第2の半径方向距離にあるシェル内部でネストすることができる。シェルを有することにより、第1の圧延装置が1つまたは複数のプライに不注意に接触することを防止することができる。
【0017】
別の実施形態では、第2のリングセグメントは、第1の半径方向距離から第2の半径方向距離まで第1のリングセグメントとともに移動するように配置される。第2のリングセグメントは、このように第1のリングセグメントと同じまたは実質的に同じ方法で動作することができる。
【0018】
別の実施形態では、第1のリングセグメントおよび/または第2のリングセグメントは、フレームに対する回転に対して固定される。第1のリングセグメントおよび/または第2のリングセグメントは、このように中心軸から特定の半径方向距離にあるときに、それらのそれぞれの角度位置で静止状態に保つことができる。対照的に、以下に指定されるように、第1の圧延装置は、回転可能、すなわちローラーであってよい。
【0019】
別の実施形態では、第1のリングセグメントおよび/または第2のリングセグメントは、1つまたは複数のプライを保持するための1つまたは複数の保持要素を備える。好ましくは、1つまたは複数の保持要素は、磁石、真空開口部、および/または針を含む。1つまたは複数のプライは、このように、接触のみによって保持される状況と比較して、より確実に保持することができる。これは、それ自体に円形を保つのに十分な剛性がない可能性がある比較的薄いブレーカプライと組み合わせると特に有利である。
【0020】
別の実施形態では、第1の圧延装置はローラーを備える。ローラーは、前記タイヤ製造ドラムが回転しているときに、タイヤ製造ドラム上のカーカスパッケージへの縫い付け中に1つまたは複数のプライ上を回転するために使用することができる。詳細には、ローラーは、タイヤ製造ドラムの回転軸に平行または実質的に平行なローラー軸のまわりを回転可能であってよい。
【0021】
好ましくは、第1の圧延装置は、タイヤ製造ドラム上のカーカスパッケージに1つまたは複数のプライを縫い付けるためのセンターローラーを備える。前記センターローラーは、前記1つまたは複数のプライの中央領域内のタイヤ製造ドラム上のカーカスパッケージに1つまたは複数のプライを押し付けるか、または縫い付けるように配置される。
【0022】
あるいは、第1の圧延装置は、タイヤ製造ドラム上のカーカスパッケージに1つまたは複数のプライを縫い付けるための1つまたは複数のショルダーホイールを備える。1つまたは複数のショルダーホイールは、タイヤ製造ドラム上に成形されたカーカスに対して、すなわち、前記カーカスのいわゆる「ショルダー」の輪郭に従うことにより、1つまたは複数のプライを押し付けるか、または縫い付けるために使用することができる。
【0023】
第1の圧延装置がセンターローラーである実施形態の場合、移送装置は、円周方向の複数の第1の角度位置の間に挿入された第3の角度位置に配置可能な第2の圧延装置をさらに備えてよく、移送装置は、中心軸から第2の半径方向距離にある第3の角度位置に配置可能な第3のリングセグメントをさらに備える。第2のリングセグメントと同様に、第3のリングセグメントは、第3の角度位置において第2の圧延装置と交互になるか、またはそれを補足することができる。詳細には、第3のリングセグメントは、タイヤ製造ドラム上のカーカスパッケージに前記1つまたは複数のプライを移送するときに、第3の角度位置で1つまたは複数のプライを接触、係合、および/または保持することができる。したがって、1つまたは複数のプライは、移送装置によって円周方向により均等に保持および/または支持することができ、それにより、第3の角度位置に第1のリングセグメントが存在しないことによる悪影響が低減および/または防止される。
【0024】
好ましくは、前記第2の圧延装置は、タイヤ製造ドラム上のカーカスパッケージに1つまたは複数のプライを縫い付けるための1つまたは複数のショルダーホイールを備える。1つまたは複数のショルダーホイールは、タイヤ製造ドラム上に成形されたカーカスに対して、すなわち、前記カーカスのいわゆる「ショルダー」の輪郭に従うことにより、1つまたは複数のプライを押し付けるか、または縫い付けるために使用することができる。
【0025】
第2の態様によれば、本発明は、前述の実施形態のいずれか1つによる移送装置を使用して、タイヤ製造ドラム上のカーカスパッケージに1つまたは複数のプライを移送するための方法を提供し、方法は、中心軸から第2の半径方向距離にある第2の角度位置に第2のリングセグメントを配置するステップを含む。
【0026】
方法は、移送装置の実際の実装形態に関連し、したがって、移送装置およびそのそれぞれの実施形態と同じ技術的利点を提供する。前記技術的利点は、簡潔にするために以後繰り返されない。
【0027】
好ましい実施形態では、中心軸から第2の半径方向距離にある第2の角度位置に第2のリングセグメントを配置するステップの前、それと同時、またはその後に、方法は、第2の半径方向距離にある第2の角度位置に第1の圧延装置を配置するステップを含み、第2のリングセグメントおよび第1の圧延装置が同時に第2の半径方向距離にある第2の角度位置にあるとき、第2のリングセグメントは第1の圧延装置を収容する。
【0028】
別の実施形態では、方法は、第2のリングセグメントが第2の半径方向距離に留まる間に、第2の半径方向距離から、第2の半径方向距離よりも小さい中心軸からの第3の半径方向距離まで第1の圧延装置を移動させるステップをさらに含み、第1の圧延装置は、第2のリングセグメントが第2の半径方向距離にある第2の角度位置にあるときに、第2のリングセグメントを少なくとも部分的に超えて第3の半径方向距離まで突き出る。
【0029】
別の実施形態では、方法は、第2のリングセグメントの中を完全に第1の圧延装置を通すステップをさらに含む。
【0030】
別の実施形態では、方法は、第1の圧延装置が第2の半径方向距離に留まる間に、第2の半径方向距離から第1の半径方向距離に向かって半径方向に第2のリングセグメントを引き込むステップをさらに含み、第2のリングセグメントは、第1の圧延装置が第2の半径方向距離に留まるときに、半径方向に第1の圧延装置に沿って通る。
【0031】
別の実施形態では、第2のリングセグメントは、第1の半径方向距離から第2の半径方向距離まで第1のリングセグメントとともに移動する。
【0032】
別の実施形態では、第1の圧延装置はローラーを備え、ローラーは、タイヤ製造ドラム上のカーカスパッケージへの縫い付け中に1つまたは複数のプライ上を回転する。
【0033】
別の実施形態では、移送装置は、円周方向の複数の第1の角度位置の間に挿入された第3の角度位置に配置可能な第2の圧延装置をさらに備え、移送装置は、中心軸から第2の半径方向距離にある第3の角度位置に配置可能な第3のリングセグメントをさらに備える。
【0034】
追加または代替として、移送装置は、円周方向の複数の第1の角度位置の間に挿入された第3の角度位置に配置可能な2つのショルダーホイールをさらに備え、方法は、前記軸方向の1つまたは複数のプライの幅に一致するように、中心軸に平行な軸方向の第2の半径方向距離で2つのショルダーホイールを離して移動させるステップをさらに含む。2つのショルダーホイールは、その長手方向の縁部にある移送中の1つまたは複数のプライに追加の支持体を提供することができる。
【0035】
本明細書に記載および図示された様々な態様および特徴は、可能な限り個別に適用することができる。これらの個別の態様、詳細には、添付の従属請求項に記載される態様および特徴は、分割特許出願の対象とすることができる。
【0036】
本発明は、添付の概略図に示される例示的な実施形態に基づいて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】タイヤ製造ドラム上のカーカスパッケージに1つまたは複数のプライを移送するための方法の異なるステップの間に、本発明の第1の実施形態による、移送リング、第1の圧延装置、第2の圧延装置、第1のリングセグメント、および第2のリングセグメントを有する移送装置の側面図である。
【
図2】タイヤ製造ドラム上のカーカスパッケージに1つまたは複数のプライを移送するための方法の異なるステップの間に、本発明の第1の実施形態による、移送リング、第1の圧延装置、第2の圧延装置、第1のリングセグメント、および第2のリングセグメントを有する移送装置の側面図である。
【
図3】タイヤ製造ドラム上のカーカスパッケージに1つまたは複数のプライを移送するための方法の異なるステップの間に、本発明の第1の実施形態による、移送リング、第1の圧延装置、第2の圧延装置、第1のリングセグメント、および第2のリングセグメントを有する移送装置の側面図である。
【
図4】タイヤ製造ドラム上のカーカスパッケージに1つまたは複数のプライを移送するための方法の異なるステップの間に、本発明の第1の実施形態による、移送リング、第1の圧延装置、第2の圧延装置、第1のリングセグメント、および第2のリングセグメントを有する移送装置の側面図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態による、代替の移送装置の側面図である。
【
図9】本発明の第3の実施形態による、さらなる代替の移送装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1~
図4および
図6~
図8は、本発明の第1の実施形態による移送装置1を示す。移送装置1は、1つまたは複数のプライ(図示せず)、詳細には1つまたは複数のブレーカプライを、タイヤ製造ドラム9上のカーカスパッケージ(図示せず)に移送するために使用される。
【0039】
タイヤ製造ドラム9は、それ自体が知られている方式でカーカス(図示せず)を成形するために、いくつかの半径方向に拡張可能なドラムセグメント90を備える。タイヤ製造ドラム9は、ドラムセグメント90上に配分された複数の磁石を備える。複数の磁石は、1つまたは複数のプライの前部の先端もしくは端部および/または後部の先端または端部を保持するための1つまたは複数の先端磁石91を備える。磁石は、異なるタイプ、サイズ、または強度のものであってよい。あるいは、すべての磁石は、同じタイプ、サイズ、および/または強度であってよいが、磁石の数は、ドラムセグメントごとに変化してよい。通常、先端磁石91は、最大または最強の磁場を生成する。
【0040】
図1および
図6に示されたように、移送装置1は、タイヤ製造ドラム9上のカーカスパッケージに向かって、かつ/またはその上に移送する間に、1つまたは複数のプライを保持するための移送リング2を備える。移送リング2は、複数の第1のリングセグメント3と、複数の第1のリングセグメント3を保持するための中心軸Sのまわりに円周方向Cに延在するフレーム20とを備える。フレーム20は、複数の第1のリングセグメント3の各第1のリングセグメント3をそれぞれの第1の角度位置A1に保持するために配置される。複数の第1のリングセグメント3の第1の角度位置A1は、フレーム20に沿って円周方向Cに配分される。本発明の文脈において、「角度位置」は、中心軸Sのまわりに1つの向きから他の向きに変化するために必要な回転量によって表される、基準位置に対する物体、この場合は第1のリングセグメント3の向きとして解釈されるべきである。第1の角度位置A1は、たとえば、ゼロ位置(通常、移送リング2の上部)に対する度またはラジアンで表されてよい。この例示的な実施形態では、第1の角度位置A1は、約40度の等間隔になっている。
【0041】
第1のリングセグメント3を保持する目的で、フレーム20自体が円形である必要がないことに留意されたい。この例示的な実施形態では、フレーム20の内側輪郭は円形であるが、外側輪郭は、移送装置1の構成に応じて任意の適切な形状を有することができる。フレーム20は、たとえば、移送装置1の動作および/または移動を制御するための1つまたは複数のドライブを保持することができる。その上、フレーム20は、たとえば上部に示されたように、円周方向Cで割り込まれる場合がある。したがって、フレーム20は必ずしも閉じた環を形成するとは限らない。
【0042】
複数の第1のリングセグメント3の各第1のリングセグメント3は、グリッパヘッド30と、前記グリッパヘッド30をフレーム20内のそれぞれの第1のリングセグメント3の半径方向ドライブ(図示せず)に接続するアーム31とを備える。
【0043】
図1と
図3または
図6と
図8を比較すると示されるように、複数の第1のリングセグメント3は、第1の半径方向距離R1(
図3)から、第1の半径方向距離R1よりも小さい中心軸Sからの第2の半径方向距離R2(
図1)まで、中心軸Sに垂直な半径方向Rでフレーム20に対して移動可能である。言い換えれば、複数の第1のリングセグメント3は、
図1では中心軸Sに向かう伸張状態にあり、
図3では中心軸Sから離れる収縮状態にある。第2の半径方向距離R2は、移送される1つまたは複数のプライの直径に実質的に一致するように選択されてよい。したがって、第2の半径方向距離R2において、複数の第1のリングセグメント3のグリッパヘッド30は、1つまたは複数のプライに隣接および/または接触するように配置される。第1のリングセグメント3は、1つまたは複数のプライをそれぞれの第1のリングセグメント3に保持するための1つまたは複数の保持要素(図示せず)が設けられる場合がある。グリッパヘッド30は、たとえば、1つまたは複数のプライと係合するために、1つまたは複数の磁石、真空開口部、および/または針が設けられる場合がある。
【0044】
複数の第1のリングセグメント3は、好ましくは、フレーム20に対する回転に対して固定されている。より詳細には、第1のリングセグメント3は、ローラーなどの回転体のように振る舞うことはない。言い換えれば、複数の第1のリングセグメント3は、1つまたは複数のプライと隣接または接触するように移動することができ、その後、転送中にフレーム20に対して静止または実質的に静止して、前記1つまたは複数のプライを確実に保持することができる。
【0045】
図1および
図6に示されたように、移送装置1は、第2の角度位置A2に配置可能な第1の圧延装置4と、第3の角度位置A3に配置可能な第2の圧延装置5とをさらに備える。この例示的な実施形態では、第2の角度位置A2および第3の角度位置A3は、フレーム20の上部またはその近くに位置する。第2の角度位置A2および第3の角度位置A3はまた、代替の位置、すなわち、フレーム20の側面の1つもしくはその近く、または底部にさえあってよい。第2の角度位置A2および第3の角度位置A3は、円周方向Cの複数の第1の角度位置A1の間に挿入または配置される。詳細には、第2の角度位置A2および第3の角度位置A3は、2つの連続する第1の角度位置A1の間の円周方向Cに位置する。示された例では、第2の角度位置A2および第3の角度位置A3は、互いに近くに、すなわち、2つの連続する第1の角度位置A1の間のグループとして位置する。あるいは、第2の角度位置A2および第3の角度位置A3は、分離され、かつ/または連続する第1の角度位置A1の異なるペアの間にあってよい。
【0046】
第2の角度位置A2は、移送中の1つまたは複数のプライにおける高調波効果を防止するために、円周方向Cの複数の第1の角度位置A1のうちの2つの連続する第1の角度位置A1の間の中心からずれて位置する。
【0047】
好ましくは、圧延装置4、5は、1つまたは複数のプライ上で回転して、タイヤ製造ドラム9にあるカーカスに対してそれらを押し付け、縫い付け、かつ/または接合するように配置される。この例では、両方の圧延装置4、5はローラーを備える。詳細には、第1の圧延装置4は、それ自体が知られている方式で、1つまたは複数のプライの中央領域をタイヤ製造ドラム1にあるカーカス(図示せず)に押し付け、縫い付け、かつ/または接合するためのセンターローラー40を備える。センターローラー40は、軸方向Xに平行なローラー軸のまわりに回転可能である。第1の圧延装置4は、フレーム20に対してセンターローラー40を保持するためのアーム41をさらに備える。
図6に最もよく見られるように、第2の圧延装置5は、それ自体が知られている方式で、タイヤ製造ドラム1に形成されたカーカス(図示せず)のいわゆる「ショルダー」のまわりに1つまたは複数のプライを押し付け、縫い付け、かつ/または接合するための2つのショルダーローラー51、52を備える。ショルダーローラー51、52は、中心軸Sに平行な軸方向Xにおいて可変幅Wにわたって離間することができる。
【0048】
図3および
図7に示されたように、第1の圧延装置4および/または第2の圧延装置5は、場合によっては、移送中に1つまたは複数のプライを保持することに寄与するように、中心軸Sから第2の半径方向距離R2に配置可能である。この例示的な実施形態では、
図1に示されたように、移送装置1は、それぞれ、第1の圧延装置4および第2の圧延装置5を駆動するための第1のローラードライブ81および第2のローラードライブ82を備える。第1の圧延装置4および/または第2の圧延装置5は、第2の半径方向距離R2に向かって、かつそれを超えて半径方向Rで移動可能である。より詳細には、第1の圧延装置4および/または第2の圧延装置5は、第2の半径方向距離R2よりも小さい第3の半径方向距離R3まで移動可能である。前記第3の半径方向距離R3において、第1の圧延装置4および/または第2の圧延装置5は、前記タイヤ製造ドラム9にあるカーカス(図示せず)に対して1つまたは複数のプライを押し付け、縫い付け、かつ/または接合するために、第1のリングセグメント3の半径方向内側に、タイヤ製造ドラム9に、またはその近くに配置される。
【0049】
第1のリングセグメント3は、それぞれ、第2の角度位置A2および第3の角度位置A3にある第1の圧延装置4および第2の圧延装置5の位置に存在しないことに留意されたい。それぞれの角度位置A2、A3に従来の第1のリングセグメント3を収容するためのスペースがないだけである。したがって、少なくとも局所的に第2の角度位置A2および/または第3の角度位置A3において、1つまたは複数のプライは、複数の第1のリングセグメント3によって保持することができない。これは、1つまたは複数のプライの変形につながる可能性がある。本発明は、以下で明らかにされるように、この問題を解決することを目標とする。
【0050】
図1および
図6に示されたように、移送装置1は、第2の角度位置A2に、したがって第1の圧延装置4と同じ角度位置に配置可能な第2のリングセグメント6をさらに備える。詳細には、第2のリングセグメント6は、中心軸Sから第2の半径方向距離R2に配置可能である。そのため、第2のリングセグメント6は、複数の第1のリングセグメント3がそうすることができない位置において、移送中の1つまたは複数のプライの保持に寄与することができる。第2のリングセグメント6は、1つまたは複数のプライを第2のリングセグメント6に保持するための1つまたは複数の保持要素(図示せず)が設けられる場合がある。第2のリングセグメント6は、たとえば、1つまたは複数のプライと係合するために、1つまたは複数の磁石、真空開口部、および/または針が設けられる場合がある。
【0051】
図1と
図4または
図6と
図8を比較すると示されるように、第2のリングセグメント6は、第2の半径方向距離R2から第1の半径方向距離R1に向かって半径方向Rに移動可能であり、その逆も同様である。より詳細には、第1の圧延装置4および第2のリングセグメント6は、両方とも前記半径方向Rに移動可能である。この例示的な実施形態では、第1の圧延装置4および第2のリングセグメント6は、半径方向Rに同軸上で移動可能である。言い換えれば、第1の圧延装置4および第2のリングセグメント6は、第2の角度位置A2と整列するか、または同一直線上にある軸である、同じ軸に沿って移動可能である。
【0052】
第2のリングセグメント6は、第1の半径方向距離R1から第2の半径方向距離R2まで第1のリングセグメント3とともに移動するように配置されてよい。言い換えれば、移送装置1は、第1のリングセグメント3のドライブおよび第2のリングセグメントドライブ6を制御して、対応するリングセグメント3、6を同時に同じ範囲まで移動させる制御ユニット(図示せず)が設けられてよい。
【0053】
図1に概略的に示されたように、移送装置1は、第1の圧延装置4の第1のローラードライブ81および/またはアーム41の側面に配置された第2のリングセグメントドライブ83を、それが第1のローラードライブ81の制御も、第1の圧延装置4の動作にも妨げないように備える。したがって、第1の圧延装置4および第2のリングセグメント83は、単独で動作、制御、および/または移動することができる。
【0054】
図3および
図7に示されたように、第2のリングセグメント6および第1の圧延装置4が同時に第2の半径方向距離R2にある第2の角度位置A2にあるとき、第2のリングセグメント6は、第1の圧延装置4を収容するように適合、構成、形成、および/または寸法決めされる。詳細には、第2のリングセグメント6は、第1の圧延装置4の少なくとも一部が第2のリングセグメント6の中を通ることを可能にする。詳細には、第2のリングセグメント6は、第1の圧延装置4の全体が第2のリングセグメント6を越えて、またはその中を通ることを可能にする。第1の圧延装置4は、このように、
図4に示されたように、中心軸Sから第3の半径方向距離R3まで、部分的または完全に第2のリングセグメント6を通って移動するか、またはそれを越えて突き出ることができる。第2のリングセグメント6はまた、
図4および
図8に例として示されたように、第2の半径方向距離R2にある定位置に留まるので、第1の圧延装置4に沿って通りながら、第2の半径方向距離R2から第1の半径方向距離R1に向かって引き込まれてよい。
【0055】
図6に最もよく見られるように、第2のリングセグメント6は、第1の圧延装置4の第1の側面で円周方向Cに延在する第1の脚部61と、第1の圧延装置4の第2の側面で第1の側面と反対の円周方向Cに延在する第2の脚部61とを備える。2つの脚部61、62は、前記第1の圧延装置4の動作を妨げることなく、円周方向Cの第1の圧延装置4の反対側で第2の半径方向距離R2にある1つまたは複数のプライに接触することができる。好ましくは、脚部61、62は、複数の第1のリングセグメント3のグリッパヘッド30と同様の方法で1つまたは複数のプライと相互作用する、1つまたは複数のプライに接触するための接触面を形成する。詳細には、脚部61、62は、中心軸Sに直線的に平行に延在する接触面を形成する。複数の第1のリングセグメント3のグリッパヘッド30は、第2の半径方向距離R2と比較してわずかに凹状であり、したがって、2つの直線的に延在する平行な接触面に沿った1つまたは複数のプライにも接触する。
【0056】
第2のリングセグメントの1つまたは複数の保持要素は、脚部61、62の中またはそこに設けられてよい。
【0057】
第2のリングセグメント6は、それぞれ、中心軸Sに平行な軸方向Xの第1の圧延装置4の第3の側面にあり、第3の側面と反対の軸方向Xの第1の圧延装置4の第4の側面にある、第1の脚部61と第2の脚部62を相互接続する第1の接続部材63および第2の接続部材64をさらに備える。第1の脚部61と第2の脚部62を相互接続することにより、第2のリングセグメント6の脚部61、62を互いに対してより正確に配置することができる。言い換えれば、第2のリングセグメント6をより剛性にすることができる。加えて、第1の脚部61、第2の脚部62、第1の接続部材63、および第2の接続部材64は、第2のリングセグメント6および第1の圧延装置4が同時に第2の半径方向距離R2にあるときに、第1の圧延装置4の第1の側面、第2の側面、第3の側面、および第4の側面のまわりにシェルを形成することができる。言い換えれば、第2のリングセグメント6は、第1の圧延装置4をその外側境界の内部に少なくとも部分的に収容するように中空である。
【0058】
図1に最もよく見られるように、第2のリングセグメント6は、フレーム20に対して第2のリングセグメント6を保持するために、第1の圧延装置4の側面のうちの1つに沿って円周方向Cに延在するアーム65をさらに備える。詳細には、第2のリングセグメント6のアーム65は、第2のリングセグメント6を対応する第2のリングセグメントドライブ83に動作可能に接続する。アーム65は、半径方向Rの前記第1の圧延装置4の動きを妨げないように、第1の圧延装置4の側面に配置される。第2のリングセグメント6のアーム65は、代替として、中心軸Sに平行な軸方向Xの第1の圧延装置4の側面に配置されてよい。
【0059】
第2のリングセグメント6は既存の移送装置に組み込まれてよく、その場合、第2のリングセグメント6の前述の特徴のすべては、前記既存の移送装置の第1の圧延装置と組み合わせた既存の移送装置での使用に適していると解釈されるべきである。
【0060】
図5は、本発明の第2の実施形態による代替の移送装置101を示し、移送装置101は、中心軸Sから第2の半径方向距離R2にある第3の角度位置A3に配置可能な第3のリングセグメント7を備えるという点で前述の移送装置1とは異なる。第3のリングセグメント7は、前述の第2のリングセグメント6と同じ特徴を有してよく、第2の圧延装置5を部分的または完全に収容するように適合、構成、成形、および/または寸法決めされるだけである。第3のリングセグメント7は、このように、第3の角度位置A3の位置にある1つまたは複数のプライに追加の支持体を提供するために使用することができる。この目的のために、代替の移送装置101は、第2の半径方向距離R2から第1の半径方向距離R1に向かって半径方向Rに、またその逆に第3のリングセグメント7を駆動するために、第3のリングセグメントドライブ84を備える。
【0061】
図9は、本発明の第3の実施形態によるさらなる代替の移送装置201を示し、移送装置201は、その第2のリングセグメント206が中心軸Sに平行な軸方向Xに第1の圧延装置4の第1の側面で延在する第1の脚部261と、第1の側面と反対の軸方向Xに第1の圧延装置4の第2の側面で延在する第2の脚部62とを備えるという点で、前述の移送装置1、101とは異なる。2つの脚部261、262は、前記第1の圧延装置4の動作を妨げることなく、中心軸Sに平行な軸方向Xに第1の圧延装置4の反対側で第2の半径方向距離R2にある1つまたは複数のプライに接触することができる。第2のリングセグメント206は、この場合、脚部261、262に設けられ得る1つまたは複数の保持要素が再び設けられてよい。
図6に示された脚部61、62と同様に、
図9の脚部261、262は、この特定の例において、それぞれ、円周方向Cの第1の圧延装置4の第3の側面に沿って、前記円周方向Cの第3の側面とは反対の第1の圧延装置4の第4の側面に沿って、延在する相互接続部材263、264によって相互接続される。ほとんどの特許請求の範囲の内容において、第2のリングセグメントは、
図1~
図4および
図6~
図8に示された第2のリングセグメント6、または
図5に示された第3のリングセグメント7のいずれかであってよい。その上、特許請求の範囲は、転送中の1つまたは複数のプライの支持体をさらに最適化するために、同じ移送装置1、101、201において
図1~
図4および
図6~
図8に示された第2のリングセグメント6と
図5に示された第3のリングセグメント7の両方を提供する可能性を排除しないことが指摘される。これは、第1の圧延装置4および第2の圧延装置5が別々の間隔を置いて離れた角度位置A2、A3にあるときに特に効果的であり得る。
【0062】
1つまたは複数のプライ、詳細にはブレーカプライをタイヤ製造ドラム9のカーカスパッケージに移送するための方法が、
図1~
図4および
図6~
図8を参照して以下で簡単に明らかにされる。
【0063】
図1および
図6は、第2のリングセグメント6が、中心軸Sから第2の半径方向距離R2にある第2の角度位置A2で半径方向Rに配置および/または移動される状況を示す。前述されたように、第2のリングセグメント6は、第1の半径方向距離R1から第2の半径方向距離R2まで第1のリングセグメント3と一緒に、すなわち同時に、移動することができる。
図1および
図6では、第1の圧延装置4は、第1の半径方向距離R1に向かって、そこで、またはその近くで引き込まれたままである。あるいは、第1の圧延装置4は、第2の半径方向距離R2にある第2の角度位置A2で第2のリングセグメント6を位置決めするステップより前またはそれと同時に、第2の半径方向距離R2に向かってまたはそれに移動できることに留意されたい。その場合、第2のリングセグメント6は、第2の半径方向距離R2で第1の圧延装置4を収容するか、または収容するための位置に移動するはずである。
【0064】
この例では、
図2に示されたように、第2のリングセグメント6が第2の半径方向距離R2にあった後にのみ、第1の圧延装置4は第2の半径方向距離R2に向かって移動する。第1の圧延装置4が1つまたは複数のプライに意図せず接触することを防止するために、第1の圧延装置4は、第2の半径方向距離R2のすぐ手前で停止できることに留意されたい。詳細には、第1の圧延装置4は、第2のリングセグメント6の内側に配置されてよく、第2のリングセグメント6の脚部61、62は、第1の圧延装置4を超えて半径方向Rに第2の半径方向距離R2まで突き出る。
【0065】
図3および
図7は、第1の圧延装置4および第2のリングセグメント6が、両方とも中心軸Sから第2の半径方向距離R2に移動するか、またはそこにある状況を示す。
【0066】
図4および
図8は、第1の圧延装置4が第2のリングセグメント6を通って中心軸Sから第3の半径方向距離R3に向かって、またはそこに移動した状況を示す。この場合、第2のリングセグメント6は、第2の半径方向距離R2から第1の半径方向距離R1に向かって、またはそこまで引き込まれ、それにより、第1の圧延装置4に沿ってまたはその上を通る。言い換えれば、第1の圧延装置4は、第2のリングセグメント6の中を完全に通ってしまう。あるいは、第2のリングセグメント6は、第2の半径方向距離R2にある定位置に留まることができ、その場合、第1の圧延装置は、第2のリングセグメント6を通って部分的にのみ延在するだけで、第3の半径方向距離R3で1つまたは複数のプライに接触する。
【0067】
方法の前述のステップは、必要な変更を加えて
図5の第3のリングセグメント7に適用されることが当業者には諒解されよう。
【0068】
場合によっては、方法は、
図6に示されたように、第2の半径方向距離R2にある第3の角度位置A3に2つのショルダーホイール51、52を配置し、それらを前記軸方向Xの1つまたは複数のプライの幅と一致するか、または実質的に一致する幅Wまで、中心軸Sに平行な軸方向Xに移動または離間させるステップを含む。このようにして、2つのショルダーホイール51、52は、その長手方向の縁部にある移送中の1つまたは複数のプライに追加の支持体を提供することができる。この原理は、本発明とは独立して、すなわち、第2のリングセグメント6または第3のリングセグメント7を使用せずに適用されてよいことに留意されたい。
【0069】
さらなるオプションとして、方法は、
図1に示されたように、タイヤ製造ドラム9を移送リング1内で同心円状に、すなわち、その回転軸が移送装置1の中心軸Sと同一直線上にあるように設け、中心軸Sのまわりを移送位置までタイヤ製造ドラム9を回転させるステップを含んでよい。前記移送位置では、1つまたは複数の先端磁石91は、90度から180度の範囲、好ましくは、140度から180度の範囲のオフセット角度Hだけ、第2の角度位置A2から円周方向Cにオフセットされる。先端磁石91は、通常、最も強い磁場を有するタイヤ製造ドラム9上の磁石である。1つまたは複数の先端磁石91をオフセットすることにより、第2の角度位置A2にある1つまたは複数のプライの位置に対するこの強い磁場の影響は、低減および/または最小化することができる。この原理も、本発明とは独立して、すなわち、第2のリングセグメント6または第3のリングセグメント7を使用せずに適用されてよいことに留意されたい。
【0070】
上記の説明は、好ましい実施形態の動作を例示するために含まれ、本発明の範囲を限定することを意味しないことを理解されたい。上記の説明から、本発明の範囲によってさらに包含されるはずの多くの変形形態が当業者には明らかであろう。
【符号の説明】
【0071】
1 移送装置
2 移送リング
20 フレーム
3 第1のリングセグメント
30 グリッパヘッド
31 アーム
4 第1の圧延装置
40 センターローラー
41 アーム
5 第2の圧延装置
51 ショルダーローラー
52 ショルダーローラー
6 第2のリングセグメント
61 第1の脚部
62 第2の脚部
63 第1の接続部材
64 第2の接続部材
65 アーム
7 第3のリングセグメント
81 第1のローラードライブ
82 第2のローラードライブ
83 第2のリングセグメントドライブ
84 第3のリングセグメントドライブ
9 タイヤ製造ドラム
90 ドラムセグメント
91 先端磁石
101 代替の移送装置
201 さらなる代替の移送装置
206 第2のリングセグメント
261 第1の脚部
262 第2の脚部
263 第1の相互接続部材
264 第2の相互接続部材
A1 第1の角度位置
A2 第2の角度位置
A3 第3の角度位置
C 円周方向
H オフセット角度
R 半径方向
R1 第1の半径方向距離
R2 第2の半径方向距離
R3 第3の半径方向距離
S 中心軸
W 幅
X 軸方向