(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】積層造形と表面コーティングの複合成形システム及び方法
(51)【国際特許分類】
C23C 24/04 20060101AFI20220616BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20220616BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20220616BHJP
B22F 3/105 20060101ALI20220616BHJP
B22F 3/16 20060101ALI20220616BHJP
B22F 10/50 20210101ALI20220616BHJP
B22F 12/82 20210101ALI20220616BHJP
【FI】
C23C24/04
B33Y30/00
B33Y10/00
B22F3/105
B22F3/16
B22F10/50
B22F12/82
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020144045
(22)【出願日】2020-08-28
【審査請求日】2020-09-29
(31)【優先権主張番号】201910809421. 1
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510268554
【氏名又は名称】▲華▼中科技大学
【氏名又は名称原語表記】HUAZHONG UNIVERSITY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】100180781
【氏名又は名称】安達 友和
(74)【代理人】
【識別番号】100182903
【氏名又は名称】福田 武慶
(72)【発明者】
【氏名】張海鴎
(72)【発明者】
【氏名】胡暁圻
(72)【発明者】
【氏名】戴福生
(72)【発明者】
【氏名】王桂蘭
【審査官】萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-036484(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109161886(CN,A)
【文献】特開2011-122213(JP,A)
【文献】特表2019-518865(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0056395(US,A1)
【文献】国際公開第2018/091000(WO,A1)
【文献】特開2017-025385(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0010469(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 24/00-30/00
B33Y 10/00-99/00
B22F 1/00-8/00
B22F 10/00-12/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層成形装置(7)とレーザー支援コールドスプレー装置(9)と作業台(1)が含まれ、ここで、前記積層成形装置(7)とレーザー支援コールドスプレー装置(9)は、作業台(1)の上方に配置され、加工中、前記積層成形装置(7)は、前記作業台(1)の上で成形しようとする部品(5)を層ごとに成形し、前記レーザー支援コールドスプレー装置(9)は、前記成形プロセス中に、成形しようとする部品の複合加工と製造を共同で完了するように、成形しようとする部品の内面及び外面(6)に対してコーティングと強化処理を実行す
る積層造形と表面コーティングの複合形成システム
であって、
前記複合成形システムには、マイクロローリング装置(4)とミリング・研磨複合装置(3)がさらに含まれ、前記複合成形システムは、5軸リンケージ工作機械に設置されて、ダブルガントリー又はロボットアームと連携し、
前記積層成形装置(7)、前記マイクロローリング装置(4)、及び前記ミリング・研磨複合装置(3)は、一つのダブルガントリー又はロボットアームに配置され、前記レーザー支援コールドスプレー装置(9)がもう一つのガントリー又はロボットアームに配置され、
さらに、前記マイクロローリング装置(4)とミリング・研磨複合装置(3)は、前記作業台(1)の上方に配置され、前記マイクロローリング装置(4)とミリング・研磨複合装置(3)は、積層成形装置(7)が成形しようとする部品(5)を層ごとに成形するプロセスで、成形しようとする部品(5)に対して仕上げ加工を行うことを特徴とする積層造形と表面コーティングの複合成形システム。
【請求項2】
前記レーザー支援コールドスプレー装置(9)には、順次接続されているガス圧縮乾燥ユニット、粉体貯蔵供給ユニットとリングレーザーユニットが含まれ、加工中、粉体貯蔵供給ユニット内の塗料粉体は、ガス圧縮乾燥ユニットに圧縮乾燥されたガスによってリングレーザーユニットに送られて、リングレーザーユニットで加熱された後に、成形しようとする部品の内面及び外面(6)にコーティングされることを特徴とする請求項1に記載の積層造形と表面コーティングの複合成形システム。
【請求項3】
前記粉体貯蔵供給ユニットには、2つ以上の粉体貯蔵供給タンクが含まれることを特徴とする請求項2に記載の積層造形と表面コーティングの複合成形システム。
【請求項4】
前記粉体貯蔵供給ユニットの粉末供給速度は40~70g/分、粉末粒径は5~60μm、予熱温度は400~800℃であることを特徴とする請求項2に記載の積層造形と表面コーティングの複合成形システム。
【請求項5】
成形しようとする部品(5)の3次元モデルに従って、積層成形軌道とコーティング強化軌道をプリセットするステップS1と、
積層成形装置(7)は、プリセットされた積層成形軌道に従って前記作業台(1)の上で、層ごとに複数層の成形しようとする部品(5)を成形し、次に、レーザー支援コールドスプレー装置(9)は、プリセットされたコーティング強化軌道に従って、成形しようとする部品の内面及び外面(6)にコーティング及び強化処理を実行するステップS2と、
部品の製造が完了するまでステップS2を数回繰り返すステップS3と、を含み、請求項1~
4のいずれか1項に記載のシステムによって実施されることを特徴とする積層造形と表面コーティングの複合成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数材料複合積層造形の分野に属し、より具体的には、積層造形と表面コーティングの複合成形システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複雑な構造の部品の積層造形方法には、主に高出力レーザー溶融成形、電子ビーム自由成形法、プラズマアーク溶融などの成形方法がある。
【0003】
その中で、高出力レーザー溶融成形は、高出力レーザーを使用して、基板に送られた金属粉末を層ごとに溶融し、それを急速に凝固及び堆積させて、最後に、最終形状に近い成形部品を得ることであり、該方法は成形精度が高く、得られたワークピースの密度は選択的レーザー焼結部品の密度よりはるかに高いが、成形効率、エネルギー、材料の利用率が高くなく、完全な密度に到達することは容易ではなく、設備投資と運用コストが高い(非特許文献1参照)。
【0004】
電子ビーム自由成形法は、高出力電子ビームを使用して粉末材料を溶融し、コンピューターモデルに従って電磁界を印加し、電子ビームの動きを制御して、部品全体が成形されるまで層ごとにスキャンすることであり、該方法は、成形精度が高く、成形品質が優れているが、プロセス条件が厳しく、成形プロセス全体を真空で行う必要があるため、成形のサイズが制限され、設備投資と運用コストが高く、また、選択焼結と同じレイヤーバイレイヤーというパウダー設置方式を採用しているため、傾斜機能の材料部品を成形に使用するのは難しい(非特許文献2参照)。
【0005】
プラズマ溶融成形方法は、高度に圧縮された高クラスタリングのプラズマビームを使用して、同期に供給される金属粉末又はワイヤーを溶融し、それを基板上に層ごとに堆積させて、金属部品又は金型を成形することであり、該方法は、上記2つの方法に比べて、成形効率と材料使用率が高く、完全な密度を簡単に取得でき、設備と運用コストが低いが、アーク柱の直径が上記2つの方法より大きく、成形されるサイズと表面精度が上記2つの方法ほどよくないため、ほとんどが成形後に仕上げする必要があるという点で高出力レーザー溶融成形法と似ている(非特許文献3、非特許文献4参照)。
【0006】
しかしながら、直接成形された加工困難な材料部品は、急速に凝固及び固化するため、表面硬度が高くなり、非常に加工されにくくなり、複雑な形状の部品は何度もクランプする必要があるため、加工時間が長くなり、製造サイクル全体の60%以上を占めることさえあり、高性能で機械加工困難な部品を低コスト、ショートプロセスで製造するのを制限するボトルネックになっている。
【0007】
従来の成形部品の表面強化対策には、主に溶射、コールドスプレー、電気スパーク溶融、化学気相成長などがある。
【0008】
その中で、溶射技術はプラズマアーク、アーク、火炎及びその他の熱源を使用して、粉末又はワイヤーを溶融、半溶融、又は高温の固体状態に加熱し、溶射粒子が閉じ込められた圧縮ガスで高速ジェットを成形し、これが基板と衝突して堆積して特殊機能を持つコーティングを成形し(非特許文献5参照)、再製造エンジニアリングの主要なサポート技術の1つとして、溶射技術は、幅広いスプレー可能な材料、無制限の基板、高速堆積速度、高い柔軟性、及びワークピースへの制御可能な加熱温度という利点があり、主に、部品表面の保護、サイズ回復及び積層造形に使用され(非特許文献6参照)、航空宇宙、ガスタービン、石油化学、輸送及び他の分野で幅広いアプリケーションの見通しを持っている。
【0009】
コールドスプレーは、金属、セラミックの溶射プロセスであるが、スプレーする金属粒子を溶かす必要がないという点で従来の溶射とは異なる。加速ガスとして高圧ガスが使用され、スプレーガンに送られ、同時に、スプレーされる粉末は、粉末供給ガスを通じてスプレーガンに送られ、特別に設計されたラバル(Laval)タイプの収縮膨張ノズルは、超音速気固二相流の成形を加速し、スプレーされた粒子は固体状態で基板に衝突し、激しい塑性変形の後に堆積してコーティングを成形し(非特許文献7参照)、新規の固体コーティング準備方法として、コールドスプレー技術は、高性能の金属又は金属ベースの複合コーティングを準備する際に卓越した利点を示している。
【0010】
電気スパーク溶融は、電極材料と金属ワークピースの表面との間のパルス火花放電を使用して、導電性材料を電極として金属表面に浸透させ、高硬度、耐摩耗性、良好な物理的及び化学的特性を持つ堆積層を成形することで、金型、工具、大型機械部品の局所的な強化と修理などに幅広い用途がある(非特許文献8参照)。
【0011】
化学気相成長技術は、気体状の物質を使用して、固体上で化学反応を起こし、固体の堆積物を生成するプロセスである。その主な内容は、揮発性物質を成形し、それらを堆積領域に移動し、最終的に固体で化学反応を起こして固体物質を生成するプロセスを含み、貴金属膜とコーティングの成形に重要な役割を果している(非特許文献9参照)。
【0012】
上記の4つの表面強化プロセスは、それぞれ異なる観点から部品と金型の表面性能を向上させる問題を解決したが、それぞれに厚くて高密度のコーティングを得るのが困難であることや、コーティング材料が酸化や相変化を起こしやすいなどの欠点もあり、ハイエンドの航空宇宙部品のショートプロセス製造と高温耐食性表面に対する現在の需要を同時に満たすことは困難である。
【0013】
さらに、航空宇宙、エネルギー、電力などの産業の部品は、構造が複雑であり、また、組織のパフォーマンスと表面の特性について高い要件があり、従来のダイレス積層成形方法では急速な加熱、急速な固化、及び自由成長成形の特性により、積層成形プロセスにおける亀裂、及び細孔は回避するのが難しく、部品の積層造形が完了した後に表面コーティング工程を行うと、複雑な部品の場合、コーティングが困難であったり、コーティング効果が不十分であったり、部品の構造や表面の特性が要件を満たさなかったりするなどの問題がある。上記の問題は、ショートプロセス直接添加成形技術のさらなる発展と工業用途の実現を制限する主要な技術的困難とボトルネック問題になり、部品の製造効率、成形性、組織の機能、及び部品の表面特性を効果的に改善できる新しい方法を開発する必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【文献】A . J . Pinkkerton , L . Li ,Effects of Geometry and Composition in Coaxial Laser Deposition Of 316L Steel for Rapid Protyping,Annals Of the CIRP,Vol.52,1(2003),p181-184)。
【文献】Matz J . E . ,Eagar T.W.Carbide formation In Al loy 718 during electron-beam solid freeform fabrication. Metallurgical and Materials Transactions A:Physical Metallurgy and Materials Science,2002,v33(8):p2559-2567
【文献】Haiou Zhang,Jipeng Xu,Guilan Wang,Fundamental Study on Plasma Deposition Manufacturing,Surface and Coating Technology,v. 171(1-3)2003,pp .112~118
【文献】Zhang Haiou、Wu Hongjun、Wang Guilan、Chen Jing、プラズマ溶融で直接成形した超合金部品の微細構造に関する研究、華中科学技術大学ジャーナル(Natural Science Edition)、v 33、n 11、2005、p54-56
【文献】Pawlowski L.The science and engineering of thermal spray coatings, second edition[M].New York:John Wiley & Sons,2008:15
【文献】Baranovski V E,Baranovski AV.Gas dynamic cold spray method and apparatus:US, 20160047052[P].2016-02-18
【文献】Li Wenya、Zhang Dongdong、Huang Chunjie、Guo Xueping、積層造形及び修理再製造の分野でのコールドスプレー技術の応用研究状況[J]、溶接、2016、(4):2-8、73
【文献】Liu Jiyan、Ma Shining、Li Changqing、et al、電気スパーク溶融コーティングの特性と応用[C]、第7回全国(中国)表面工学会議及び第2回表面工学青年学術フォーラム議事録、2008:123-126
【文献】Fan Baohu、Peng Bonan、Zhang Hengchao、特許文献から化学溶融ダイヤモンドフィルムテクノロジーの進行状況の分析[J] .真空、2016(05):37~40
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来技術の上記の欠陥又は改善要件を考慮して、本発明は、レーザー支援コールドスプレー装置によって、この積層成形装置で層ごとに成形しようとする部品を成形するプロセスで、部品の表面強化処理を完了して、部品の積層造形と表面強化の効率を向上させ、複雑な構造と高い表面強化要件を持つ部品の直接積層造形と表面コーティングの複合成形の技術的なボトルネックを克服する、積層造形と表面コーティングの複合成形システム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するために、本発明一方の側面によれば、積層成形装置とレーザー支援コールドスプレー装置と作業台が含まれ、ここで、上記積層成形装置とレーザー支援コールドスプレー装置は、作業台の上方に配置され、加工中、上記積層成形装置は、作業台上で成形しようとする部品を層ごとに成形し、上記レーザー支援コールドスプレー装置は、上記成形プロセス中に、成形しようとする部品の複合加工と製造を共同で完了するように、成形しようとする部品の内面及び外面に対してコーティングと強化処理を実行する、積層造形と表面コーティングの複合成形システムを提案する。
【0017】
さらに好ましくは、上記レーザー支援コールドスプレー装置には、順次接続されているガス圧縮乾燥ユニット、粉体貯蔵供給ユニットとリングレーザーユニットが含まれ、加工中、粉体貯蔵供給ユニット内の塗料粉体は、ガス圧縮乾燥ユニットに圧縮乾燥された高圧ガスによってリングレーザーユニットに送られ、リングレーザーユニットで加熱された後に、成形しようとする部品の内面及び外面にコーティングされる。
【0018】
さらに好ましくは、上記粉体貯蔵供給ユニットには、2つ以上の粉体貯蔵供給タンクが含まれる。
【0019】
さらに好ましくは、上記粉体貯蔵供給ユニットの粉末供給速度は40~70g/分、粉末粒径は5~60μm、予熱温度は400~800℃である。
【0020】
さらに好ましくは、上記複合成形システムには、マイクロローリング装置とミリング・研磨複合装置がさらに含まれ、上記マイクロローリング装置とミリング・研磨複合粉砕装置は、上記作業台の上方に配置され、上記マイクロローリング装置とミリング・研磨複合装置は、積層成形装置によって成形しようとする部品を層ごとに成形するプロセスで、成形しようとする部品に対する仕上げ加工を行う。
【0021】
本発明の他方の側面によれば、
成形しようとする部品の3次元モデルに従って、積層成形軌道とコーティング強化軌道をプリセットするステップ1と、
積層成形装置は、プリセット積層成形軌道に従って上記作業台の上で、層ごとに成形しようとする部品を複数層成形し、次に、レーザー支援コールドスプレー装置は、プリセットされたコーティング強化軌道に従って、成形しようとする部品の内面及び外面にコーティング強化処理を実行するステップ2と、
部品の製造が完了するまでステップ2を数回繰り返すステップ3と、を含む上記システムを使用して実現される、積層造形と表面コーティングの複合成形方法を提案する。
【発明の効果】
【0022】
概して、従来技術と比較して、本発明によって着想された上記の技術的解決策は、主に以下の技術的利点を有する。
1.本発明は、部品についてショートプロセスの積層造形及び表面強化複合加工を行う場合、積層造形プロセス中に、成形しようとする部品の外面、又は内部キャビティに対して層ごと、又は間隔層ごと(つまりある層を加工する後、その直後の層を加工しなくてもっと後の層を加工する方式)にコーティング及び強化をするのに対し、従来の表面塗装工程は、部品の積層造形が完了した後に行われるため、複雑な部品の場合、塗布が困難、塗布効果が悪いなどの問題があるが、本発明は、複雑な内部キャビティ及び外壁構造、且つ高い表面強化要件を有する既存の航空エンジン部品などの直接積層造形及び表面コーティング複合成形における技術的ボトルネックを効果的に克服できる。
【0023】
2.本発明は、ショートプロセス積層造形によって部品を迅速に成形するという利点を最大限に活用することに基づいて、表面コーティング強化プロセスをこのシステムに統合すると同時に、成形しようとする部品の表面強化処理プロセスを完了し、部品の複合積層造形と表面強化の効率を改善し、従来の表面強化を必要とする複雑な金属コンポーネントの直接ショートプロセス積層造形のサイクルを大幅に短縮する。
【0024】
3.本発明のシステムによって加工して得られた部品の構造及び性能は優れており、鍛造品の性能基準に達し、細孔、スラグの混入、収縮、非溶融、相変化、亀裂、流動などの不良特性の発生を回避し、また、様々な積層造形熱源の適用により、本発明は、様々な直接積層造形材料に適し、同時に、調整可能なレーザー支援コールドスプレー表面強化プロセスにより、本発明は様々なコーティングに適し、高エネルギー熱源のレーザーのコーティングの適用により、本発明によって、より厚いコーティングが得られて、より良い表面強化性能を達成すると同時に、堆積率の直線的な低下と高い設備コストと運用コストにつながるコールドスプレー後のコーティング表面のテーパー表面の問題を克服できる。
【0025】
4.本発明のシステムは、積層成形装置、レーザー支援コールドスプレー装置、マイクロローリング装置、ミリング・研磨複合装置を同時に組み合わせるので、準備された部品を使用の要件に直接適合させ、後続の仕上げ及び表面強化プロセスを必要とせずに、形態と性能の包括的な特性に達して、迅速な成形を実現する。
【0026】
5.本発明の粉体貯蔵供給ユニットは、複数の粉体貯蔵供給タンクで構成されているので、粉体供給サーボモーターは、粉体供給量の精密制御を実現して、更に勾配又は複合材料のコーティングを実現する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施形態における積層造形及び表面コーティング複合成形方法のフローチャート、
【
図2】本発明の実施形態における積層造形及び表面コーティング複合成形システムの概略図、
【
図3】本発明実施形態における複数の粉体貯蔵供給器の粉体供給サーボの概略図。
【0028】
(記号の表記)
すべての図面において、同じ図面の記号は同じ素子又は構造を示すために使用され、その中で、1作業台、2基板、3ミリング・研磨複合装置、4マイクロローリング装置、5成形しようとする部品、6成形しようとする部品の内面及び外面、7積層成形装置、8積層成形表面、9レーザー支援コールドスプレー装置である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の目的、技術的解決策、及び利点をより明確にするために、以下では、図面及び実施形態を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。ここで説明される特定の実施形態は、本発明を説明するためだけに使用され、本発明を限定するものではないことを理解されたい。また、以下に説明する本発明の様々な実施形態に含まれる技術的特徴は、互いに矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。
【0030】
本発明の実施形態によって提供される積層造形及び表面コーティング複合成形システムは、
図2に示すように、積層成形装置7とレーザー支援コールドスプレー装置9と作業台1が含まれ、上記の積層成形装置7とレーザー支援コールドスプレー装置9は、作業台1の上方に配置され、作業台1の上には基板2が配置され、加工中、積層成形装置7は、基板2の上で成形しようとする部品5を層ごとに成形し、レーザー支援コールドスプレー装置9は、この成形プロセス中に、成形しようとする部品5の複合加工と製造を共同で完了するように、成形しようとする部品の内面及び外面6に対してコーティングと強化処理を実行する。
【0031】
具体的には、
図3に示すように、レーザー支援コールドスプレー装置9には、順次接続されているガス圧縮乾燥ユニット、粉体貯蔵供給ユニットとリングレーザーユニットが含まれ、加工中、粉体貯蔵供給ユニット内の塗料粉体は、ガス圧縮乾燥ユニットに圧縮乾燥されたガスによってリングレーザーユニットに送られ、リングレーザーユニットで加熱された後に、成形しようとする部品の内面及び外面6にコーティングされ、さらに具体的に、リングレーザーユニットには、表面コーティング用のレーザー支援コールドスプレーガンが含まれ、コーティングプロセス中に、コーティング材料の異なる融点に応じて、補助の加熱レーザーを使用するかどうか、及び補助の加熱レーザーのパワーを選択することによって、異なる融点を持つ材料の表面コーティングを実現し、
好ましくは、粉体貯蔵供給ユニットには、2つ以上の粉体貯蔵供給タンクが含まれ、粉体貯蔵供給ユニットの粉末供給速度は40~70g/分、粉末粒径は5~60μm、予熱温度は400~800℃である。
【0032】
さらに、該複合成形装置には、マイクロローリング装置4とミリング・研磨複合装置3が含まれ、マイクロローリング装置4とミリング・研磨複合装置3は、作業台1の上方に配置され、マイクロローリング装置4とミリング・研磨複合装置3は、積層成形装置7によって成形しようとする部品5を層ごとに成形するプロセスで、成形しようとする部品の内面及び外面6に対する仕上げ加工を行う。
具体的に、該複合装置は5軸リンケージ工作機械に設置され、ダブルガントリー又はロボットアームと連携して、ショートプロセスの複合積層造形を実現し、このうち、積層成形装置7、マイクロローリング装置4、及びミリング・研磨複合装置3は、一つのダブルガントリー又はロボットアームに配置され、同時に、各装置には昇降装置が装備されているため、各装置は独立して動作し、必要な機器を自由に切り替えることができ、レーザー支援コールドスプレー装置9がもう一つのガントリー又はロボットアームに配置され、同時に、作業台1は工作機械のC軸とA軸に従って回転できるため、加工中に成形しようとする部品5の加工面は、加工設備と垂直になり、より良い成形品質と効果が達成できる。
【0033】
複合成形は、上記のシステムを使用し、
図1に示すように、具体的には、
成形しようとする部品5の幾何学的形態とコーティング強化領域の要件に応じて、成形しようとする部品5の3DのCADモデルについて層状スライス処理をして、複数の層状スライスのデータを取得し、層状スライスデータに従って積層成形軌道及びコーティング強化軌道をプリセットするステップS1と、
積層形成装置7は、レーザー及び電気アークなどの速い成形方法を使用して、プリセットされた積層成形軌道に従って基板2上に形成しようとする部品5を層ごとに複数層成形するステップS2と、
レーザー支援コールドスプレー装置9は、プリセットされたコーティング強化軌道に従って、成形しようとする部品の内面及び外面6についてコーティング強化処理を実行し、具体的には、コーティング中に、レーザー支援コールドスプレーガンが成形しようとする部品5と干渉しないように、レーザー支援コールドスプレーガンはコーティングされる表面の法線ベクトルと特定の角度を形成するテップS3と、
部品の製造が完了するまでステップS2からステップS3までのステップを数回繰り返すステップS4と、を含む。
【0034】
さらに、上記の加工プロセスでは、成形しようとする部品5のサイズ、表面精度及び密度をリアルタイムで検測し、所定の条件を満たさない場合は、マイクロローリング装置4又はミリング・研磨複合装置3で、成形しようとする部品5は、部品又は金型のサイズと表面精度の要件に達するまで、仕上げ加工される。
【0035】
上記の複合成形システムと方法は、次のようなさまざまなタイプの部品製造に適し、
(1)上記システムを使用して、高強度鋼の基板部品の表面に銅又は銅合金をコーティングすることで、部品の表面潤滑を強化し、部品の耐摩耗性を向上させ、得られた部品は、エンジン及び航空宇宙分野の部品に対する完全性、軽量性、強度、及び安定性の要件を満たし、
(2)上記のシステムは、勾配機能と高融点材料のクラッドに特に適しており、例えば、セラミック材料は高融点、耐摩耗性、耐食性などの利点があるが、その脆さと加工の難しさなので高性能材料の製造に適用されにくくなり、同時に、セラミックと金属の特性の違いにより、強固な接合を生成することが困難になり、また、セラミック金属材料と金属の物理的適合性が低く、密着結合を形成することが困難であるが、上記のシステムを使用することで、金属部品の表面にセラミック、又はセラミック金属材料をコーティングして、傾斜機能を有するセラミックコーティングの金属部品を製造できる。
【0036】
上記の説明は本発明の好ましい実施形態に過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の中核及び原理の範囲内で行われる修正、同等の置換及び改良は、本発明の保護される範囲内に含まれることは、当業者にとっては、自明できる。