(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】車両用温度調整装置
(51)【国際特許分類】
B60H 1/22 20060101AFI20220616BHJP
【FI】
B60H1/22 611B
B60H1/22 611D
(21)【出願番号】P 2018107614
(22)【出願日】2018-06-05
【審査請求日】2020-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080768
【氏名又は名称】村田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100166327
【氏名又は名称】舟瀬 芳孝
(74)【代理人】
【識別番号】100106644
【氏名又は名称】戸塚 清貴
(72)【発明者】
【氏名】横田 和也
(72)【発明者】
【氏名】金石 純司
(72)【発明者】
【氏名】大住 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】吉末 知弘
(72)【発明者】
【氏名】落合 洸矢
(72)【発明者】
【氏名】加嶋 利浩
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-219136(JP,A)
【文献】特開2003-231411(JP,A)
【文献】特開2008-209077(JP,A)
【文献】特開2013-060200(JP,A)
【文献】特開2017-032268(JP,A)
【文献】特開2018-062297(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0187211(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00 - 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調風を用いて車室内温度を調整する空調手段が備えられている車両用温度調整装置において、
車室内における所定部位の内装の表面温度を調整する内装昇温手段と、
前記内装の表面温度を検出する内装表面温度検出手段と、
乗員の着衣温度を検出する着衣温度検出手段と、
乗員の皮膚温度を検出する皮膚温度検出手段と、
前記着衣温度検出手段が検出した着衣温度と前記内装表面温度検出手段が検出した内装表面温度との差分を第1温度指標として、該第1温度指標に応じて前記内装昇温手段を制御すると共に、前記皮膚温度検出手段が検出した皮膚温度と前記着衣温度検出手段が検出した着衣温度との差分を第2温度指標として、該第2温度指標に応じて前記空調手段を制御する制御手段と、
が備えられ、
前記制御手段は、前記第1温度指標が前記第2温度指標よりも大きいと判断したときには、前記内装昇温手段による加温を前記空調手段による加温よりも優先するように設定されている、
ことを特徴とする車両用温度調整装置。
【請求項2】
空調風を用いて車室内温度を調整する空調手段が備えられている車両用温度調整装置において、
車室内における所定部位の内装の表面温度を調整する内装昇温手段と、
前記内装の表面温度を検出する内装表面温度検出手段と、
乗員の着衣温度を検出する着衣温度検出手段と、
乗員の皮膚温度を検出する皮膚温度検出手段と、
前記着衣温度検出手段が検出した着衣温度と前記内装表面温度検出手段が検出した内装表面温度との差分を第1温度指標として、該第1温度指標に応じて前記内装昇温手段を制御すると共に、前記皮膚温度検出手段が検出した皮膚温度と前記着衣温度検出手段が検出した着衣温度との差分を第2温度指標として、該第2温度指標に応じて前記空調手段を制御する制御手段と、
が備えられ、
前記制御手段は、前記第1温度指標が前記第2温度指標よりも大きいと判断したときには、車室内の目標温度に対する昇温負担に関し、前記空調手段よりも前記内装昇温手段の方を大きくするように設定されている、
ことを特徴とする車両用温度調整装置。
【請求項3】
空調風を用いて車室内温度を調整する空調手段が備えられている車両用温度調整装置において、
車室内における所定部位の内装の表面温度を調整する内装昇温手段と、
前記内装の表面温度を検出する内装表面温度検出手段と、
乗員の着衣温度を検出する着衣温度検出手段と、
乗員の皮膚温度を検出する皮膚温度検出手段と、
前記着衣温度検出手段が検出した着衣温度と前記内装表面温度検出手段が検出した内装表面温度との差分を第1温度指標として、該第1温度指標に応じて前記内装昇温手段を制御すると共に、前記皮膚温度検出手段が検出した皮膚温度と前記着衣温度検出手段が検出した着衣温度との差分を第2温度指標として、該第2温度指標に応じて前記空調手段を制御する制御手段と、
が備えられ、
前記制御手段は、前記第1温度指標が前記第2温度指標よりも大きいと判断したときには、車室内の目標温度に対する昇温負担に関し、前記内装昇温手段のみが関与するように設定されている、
ことを特徴とする車両用温度調整装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項において、
前記内装昇温手段が、前記内装のうち、乗員下肢に対向した状態で近接する部分に設けられている、
ことを特徴とする車両用温度調整装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記内装のうち、乗員下肢に対向した状態で近接する部分が、コンソールの側壁領域、ステアリングハンドルの背後に位置されるインストルメントパネルの下面領域、サイドドアのドアパネル領域、シートにおける座部の前面領域の少なくともいずれかである、
ことを特徴とする車両用温度調整装置。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか1項において、
前記制御手段は、前記内装昇温手段を制御して、前記第1温度指標が0以下に向うように設定されている、
ことを特徴とする車両用温度調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用温度調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用温度調整装置には、特許文献1、特許文献2に示すようなものが提案されている。特許文献1には、熱負荷に対応した空調制御を向上させるべく、外気温度の影響を受けて変化する部位の車室内表面温度、日射の影響を受けて変化する部位の表面温度、乗員により設定される車室内設定温度、及び実際の車室内温度を利用することにより、熱負荷を精度よく推定するものが開示され、特許文献2には、エアコン作動中にシートヒータを作動させることによって消費電力が増大することを抑制するべく、通電されているシートヒータの数が多いときほどエアコンの送風量を低減したものが開示されている。
【0003】
ところで、一般に、車室内において乗員が寒さを感じるとき、乗員が空調装置の車室内設定温度を上げれば、車室内の実際の温度は、空調風をもって車室内設定温度まで上昇され、乗員は、温熱快適性を確保できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-191779号公報
【文献】特開2010-143468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、車室外の外気温度が低く、これに伴い、車室内の内装の表面温度も低くなっているときには、前述の如く、空調風をもって車室内を暖めても、直ちに暖かさを実感できないことがある。
【0006】
本発明者は、このような現象に対して研究を行ったところ、内装が乗員の着衣から熱(輻射熱)を奪う場合(内装表面温度<乗員着衣温度)、乗員の着衣温度が低下し、それに基づき、車室内空間への移動熱量の放熱(対流)が促進されることを見出した。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、その目的は、乗員が感じる温熱快適性を迅速に向上させることができる車両用温度調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために本発明にあっては、下記(1)~(6)とした構成とされている。
(1)空調風を用いて車室内温度を調整する空調手段が備えられている車両用温度調整装置において、
車室内における所定部位の内装の表面温度を調整する内装昇温手段と、
前記内装の表面温度を検出する内装表面温度検出手段と、
乗員の着衣温度を検出する着衣温度検出手段と、
乗員の皮膚温度を検出する皮膚温度検出手段と、
前記着衣温度検出手段が検出した着衣温度と前記内装表面温度検出手段が検出した内装表面温度との差分を第1温度指標として、該第1温度指標に応じて前記内装昇温手段を制御すると共に、前記皮膚温度検出手段が検出した皮膚温度と前記着衣温度検出手段が検出した着衣温度との差分を第2温度指標として、該第2温度指標に応じて前記空調手段を制御する制御手段と、
が備えられ、
前記制御手段は、前記第1温度指標が前記第2温度指標よりも大きいと判断したときには、前記内装昇温手段による加温を前記空調手段による加温よりも優先するように設定されている構成とされている。
【0009】
この構成によれば、乗員の着衣から内装に向けて放射される放射熱(輻射熱)が、乗員の着衣温度と内装表面温度(着衣温度>内装表面温度)との差分が大きいほど大きくなることに着目し、その差分を第1温度指標として、その第1温度指標に応じて内装昇温手段を制御して内装表面温度を迅速且つ適切に調整できることから、乗員の着衣から内装に向けて放射される放射熱に基づく着衣放射損失を抑えて、乗員の着衣温度が低下することを早期に抑制することができる。これに伴い、乗員の皮膚温度と着衣温度との差分(第2温度指標)が増大することを速やかに抑制でき、乗員の皮膚から着衣に向けて移動する移動熱に基づく着衣熱伝導損失を減少させて、乗員が寒さを感じることを速やかに抑えることができる。
【0010】
その一方で、乗員の着衣から車室内空間への放熱(対流)が、基本的に、乗員の皮膚温度と着衣温度との差分が大きいほど大きく関与することに着目し、その差分を第2温度指標として、その第2温度指標に応じて空調手段を制御し、乗員の着衣温度を、上記差分が小さくなる方向(負となる領域を含む)に調整できることから、乗員に対して的確に暖かさを実感させることができる。
【0011】
しかもこの場合、内装昇温手段に基づく内装表面温度の調整により、乗員の着衣放射損失に基づく乗員の着衣温度の低下を迅速に抑えることができることから、空調手段が、乗員に暖かさを感じさせるために供給する熱量を少なくすることができ、これに伴い、内装昇温手段により内装を昇温させない場合に比べて、乗員が暖かさを感じるに至る時間を短縮することができる。
【0012】
したがって、乗員が感じる温熱快適性を迅速に向上させることができる。
【0013】
また、前記制御手段は、前記第1温度指標が前記第2温度指標よりも大きいと判断したときには、前記内装昇温手段の制御を前記空調手段の制御よりも優先するように設定されている構成とされている。このため、第1温度指標と第2温度指標とを用いて、乗員の着衣から内装に向けて放射される着衣放射損失(内装が乗員の着衣から奪う輻射熱)の影響力と、乗員の皮膚温度と着衣温度との差分に基づく着衣熱伝導損失の影響力との相対的関係を判断し、着衣放射損失の影響力が着衣熱伝導損失の影響力よりも大きいと判断したときには、乗員が感じる温熱快適性を迅速且つ効率的に向上させる観点から、着衣放射損失の影響力をなくす必要性が、着衣熱伝導損失の影響力をなくすことよりも高いことから、その着衣放射損失の影響力が、着衣熱伝導損失の影響力よりも優先的に減少させられる。このため、乗員が感じる温熱快適性を迅速且つ効率的に向上させることができる。
【0014】
(2)空調風を用いて車室内温度を調整する空調手段が備えられている車両用温度調整装置において、
車室内における所定部位の内装の表面温度を調整する内装昇温手段と、
前記内装の表面温度を検出する内装表面温度検出手段と、
乗員の着衣温度を検出する着衣温度検出手段と、
乗員の皮膚温度を検出する皮膚温度検出手段と、
前記着衣温度検出手段が検出した着衣温度と前記内装表面温度検出手段が検出した内装表面温度との差分を第1温度指標として、該第1温度指標に応じて前記内装昇温手段を制御すると共に、前記皮膚温度検出手段が検出した皮膚温度と前記着衣温度検出手段が検出した着衣温度との差分を第2温度指標として、該第2温度指標に応じて前記空調手段を制御する制御手段と、
が備えられ、
前記制御手段は、前記第1温度指標が前記第2温度指標よりも大きいと判断したときには、車室内の目標温度に対する昇温負担に関し、前記空調手段よりも前記内装昇温手段の方を大きくするように設定されている構成とされている。
この構成によれば、第1温度指標と第2温度指標とにより、乗員の着衣から内装に向けて放射される放射熱に基づく着衣放射損失の影響力が、乗員の皮膚温度と着衣温度との差分に基づく着衣熱伝導損失の影響力よりも大きいと判断したときには、内装昇温手段と空調手段とは、その各影響力の大きさに応じた昇温負担をもって調整されることになり、乗員が感じる温熱快適性を迅速かつ効率的に向上させることができる。
【0015】
(3)空調風を用いて車室内温度を調整する空調手段が備えられている車両用温度調整装置において、
車室内における所定部位の内装の表面温度を調整する内装昇温手段と、
前記内装の表面温度を検出する内装表面温度検出手段と、
乗員の着衣温度を検出する着衣温度検出手段と、
乗員の皮膚温度を検出する皮膚温度検出手段と、
前記着衣温度検出手段が検出した着衣温度と前記内装表面温度検出手段が検出した内装表面温度との差分を第1温度指標として、該第1温度指標に応じて前記内装昇温手段を制御すると共に、前記皮膚温度検出手段が検出した皮膚温度と前記着衣温度検出手段が検出した着衣温度との差分を第2温度指標として、該第2温度指標に応じて前記空調手段を制御する制御手段と、
が備えられ、
前記制御手段は、前記第1温度指標が前記第2温度指標よりも大きいと判断したときには、車室内の目標温度に対する昇温負担に関し、前記内装昇温手段のみが関与するように設定されている構成とされている。
この構成によれば、乗員の着衣から内装に向けて放射される放射熱に基づく着衣放射損失が、乗員が感じる寒さに関して最も影響力のあるものとみなし、それを集中してなくすことができる。このため、内装の低温状態に基づいて乗員が寒さを感じることを迅速に解消できる。
【0016】
(4)前記(1)~(3)のいずれかの構成の下で、
前記内装昇温手段が、前記内装のうち、乗員下肢に対向した状態で近接する部分に設けられている構成とされている。
この構成によれば、外気温度が低いことに伴い内装が低い温度状態の場合であっても、いわゆる頭寒足熱の要請に基づき、乗員下肢に寒さを感じることを迅速に抑制して、乗員が感じる温熱快適性を速やかに向上させることができる。
【0017】
(5)前記(4)の構成の下で、
前記内装のうち、乗員下肢に対向した状態で近接する部分が、コンソールの側壁領域、ステアリングハンドルの背後に位置されるインストルメントパネルの下面領域、サイドドアのドアパネル領域、シートにおける座部の前面領域の少なくともいずれかである構成とされている。
この構成によれば、内装のうち、乗員下肢に寒さを感じることを迅速に抑制する観点から最良の具体的位置に内装昇温手段が設けられることになり、乗員下肢における寒さの迅速な抑制を具体的に実現できる。
【0018】
(6)前記(1)~(5)のいずれかの構成の下で、
前記制御手段は、前記内装昇温手段を制御して、前記第1温度指標が0以下に向うように設定されている構成とされている。
この構成によれば、内装表面温度を速やかに高めて、最終的に、内装表面と乗員の着衣との間で温度差が生じないか、或いは内装表面の温度の方を着衣の温度よりも高めることができ、内装表面の低温状態(乗員着衣からの放射熱の吸収)に基づいて乗員が寒さを感じることを迅速に解消できる。このため、内装昇温手段により内装を昇温させない場合に比べて、空調手段が、乗員に暖かさを感じさせる熱量として供給する熱量を少なくすることができ、乗員が暖かさを感じるに至る時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、乗員が感じる温熱快適性を迅速に向上させることができる車両用温度調整装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】実施形態に係る車室内において、温風ヒータから送り出される温風の吹出し口の配置位置及び吹出し方向を説明する説明図。
【
図5】乗員から内装へ放射熱(輻射熱)が放射されると共に、乗員から車室内空間へ放熱が行われる状況を説明する説明図。
【
図6】内装の表面温度が、種々の車室内温度の下で、乗員の熱エネルギ消費にどのように影響を及ぼすかを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0022】
図1、
図2において、符号1は、車両としての自動車を示す。この自動車1の車室2は、前席側においては、車幅方向全長に亘って伸びるインストルメントパネル3と、そのインストルメントパネル3の左右両側から車体後方に伸びるようにして配置される左右のドア4(左側ドアについては図示略)とにより区画されている。この車室2内には、車幅方向中央においてコンソール5が車体前後方向に延びるようにして設けられており、そのコンソール5の前端はインストルメントパネル3に至っている。このため、車室2は、コンソール5を中心として右左に運転手席空間6と助手席空間7とに区画され、運転手席空間6には、運転手席シート8が配置されると共に、その運転手席シート8の車体前方であってインストルメントパネル3の車体後方側においてステアリングハンドル9が配置され、助手席空間7には、助手席シート(図示略)が配置されている。勿論この場合、運転手席シート8及び助手席シートは、シート座部11(座部)と、そのシート座部11の後部から起立するシート背部12とにより構成されている。
【0023】
自動車1には、
図4に示すように、車両用温度調整装置13が組み込まれている。その車両用温度調整装置13には、それを構成すべく、内装昇温手段としての内装昇温ヒータ14と空調手段としての温風ヒータ15とが備えられており、この内装昇温ヒータ14及び温風ヒータ15は、運転手席及び助手席において同様の構成をもって設けられている。このため、以下の説明では、重複した説明を避けるために、運転手席側の構成についてだけ行う。
【0024】
前記内装昇温ヒータ14は、
図3に示すように、車室2内の内装16(内装表皮21)の表面温度を高めるために、バッテリ(図示略)からの電力を得てその内装16に熱を供給するものである。その内装昇温ヒータ14としては、種々のものを用いることができ、本実施形態においては、内装昇温ヒータ14として、
図3に示すように、フィルムヒータ14Aを内装表皮21と遮熱材22とで積層挟持した構造のものが用いられ、それが、配置すべき内装16の構造母材23に取付けられる。この場合、内装表皮21としては、入熱に対して高応答で温度変化して熱放射を制御できるようにすべく、厚みが十分に薄い低熱容量表皮が用いられ、遮熱材22としては、表皮の高応答温度変化をサポートすべく、高遮熱材が用いられる。
【0025】
このような構造の内装昇温ヒータ14は、前記運転手席空間6(車室2)を区画する内装16のうち、前記運転手席シート8に着座する運転手の下肢に臨む領域に組み込まれている。具体的には、内装16のうち、内装昇温ヒータ14が組み込まれる領域は、
図1に示すように、コンソール5の側壁領域17、ステアリングハンドル9背後(車体前方側)におけるインストルメントパネル3の下面領域18、ドア4のドアパネル領域19、シート座部11の前面領域20において設定されており、これらは、運転手の下肢周辺を囲んでいる。
【0026】
尚、
図1においては、内装16の各領域17~20が他の領域と区別して図示されているが、それは、その内装16の各領域17~20の存在域を明確に把握するために便宜上、行われているのであり、内装16の各領域17~20とその各周囲域とは、外観上、区別がつかなくなっている。
【0027】
前記温風ヒータ15は、空気の温度と風量とを調整することにより、温風を生成して、その温風を、車室2内に開口する吹出し口24に送り出すものである。本実施形態においては、この温風ヒータ15として、電気式のものが用いられている。温風の吹出し口24は、
図2に示すように、前記コンソール5の側壁前部に設けられており、その吹出し口24により、温風ヒータ15から送り出された温風は、
図2の矢印に示すように、運転手席
シート8に着座する運転手に向けて吹出されるように設定されている。
【0028】
前記車両用温度調整装置13には、
図4に示すように、内装昇温ヒータ14及び温風ヒータ15を制御すべく、マイクロコンピュータを利用して構成された制御手段としての電子制御ユニットECUが備えられている。このため、電子制御ユニットECUから内装昇温ヒータ14(駆動回路)及び温風ヒータ15(駆動回路)に制御信号がそれぞれ出力される一方、この電子制御ユニットECUには、各種センサあるいは機器類D1~D5からの信号が入力される。D1は、車室内空気温度を検出する車室内空気温度検出センサである。D2は、サーミスタ等を用いて内装16の表面温度を検出する内装表面温度検出センサであり、この内装表面温度検出センサD2は、
図1に示すように、前記内装16の各領域17~20にそれぞれ配置されて(
図1においては一部を図示)、その各領域17~20の表面温度を検出する。D3は、インストルメントパネル3における車幅方向中央部に配置されて乗員(運転手席乗員及び助手席乗員)の温度情報を検出するサーモカメラであり(
図1参照)、そのサーモカメラD3からの温度情報は、皮膚温度判別部25と着衣温度判別部26とを経て電子制御ユニットECUに入力されることになっている。この場合、皮膚温度判別部25は、サーモカメラD3が検出した温度情報のうち、運転手席乗員及び助手席乗員の顔部分の温度情報を皮膚温度情報として取り出すものであり、着衣温度判別部26は、サーモカメラD3が検出した温度情報のうち、運転手席乗員及び助手席乗員の顔以外の部分の温度情報を着衣温度として取り出すものである。D4は、乗員(ユーザ)の入力操作により車室2内の温度を設定する車室内設定温度入力スイッチであり、この車室内設定温度入力スイッチは、コンソール5の前部上壁に、サーモカメラD3の下方側において設けられている。D5は、サーミスタ等を用いて運転手の手の温度を検出する皮膚温度センサであり、この皮膚温度センサD5は、ステアリングハンドル9のうち、運転手が把持する部分に設けられている。運転手の皮膚温度に関しては、皮膚温度センサD5又はサーモカメラD3のいずれの検出温度を用いてもよいが、本実施形態においては、皮膚温度センサD5の検出温度が用いられることになっている。
【0029】
前記電子制御ユニットECUには、
図4に示すように、コンピュータとしての機能を確保すべく、記憶部38と、出力設定部39とが備えられている。
【0030】
記憶部38は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶素子をもって構成されており、その記憶部38には、内装昇温ヒータ14及び温風ヒータ15の作動制御に必要な各種プログラム、後述の
図7におけるS3の実験値「10」等の設定情報が格納されている。これら各種プログラム等は、必要に応じて、出力設定部39により読み出され、また、必要な情報が記憶部38に適宜、記憶される。
【0031】
出力設定部39は、CPU(Central Processing Unit)をもって構成されており、その出力設定部39は、記憶部38から読み出されたプログラムの下で、各内装昇温ヒータ14及び温風ヒータ15に対して所定の制御信号を出力する。
【0032】
前記電子制御ユニットECUが行う制御には、本発明者が見出した知見等が反映されている。このため、先ず、その知見等について説明し、その後、その知見等が反映された制御の概要について説明する。
(1)本発明者が得た知見等
一般に、車室外の外気温度が低い場合には、車室2内を空調風により暖房しても、迅速に暖かさを感じないことを経験する。本発明者は、この現象に関して、
図5に示すように、外気温度の低下に伴い内装16(
図5では、乗員Pに対向したインストルメントパネル3)の表面温度が低下すると、乗員Pの着衣Pclの温度(乗員Pの着衣温度>内装16の表面温度)と内装16の表面温度との差分が大きくなるため、乗員Pの着衣Pclと内装16との間の熱移動に基づく着衣放射損失が大きくなって、その着衣放射損失により乗
員の着衣温度が低下し、その結果として、乗員Pの人体(スキン)Pskから着衣Pclへの熱移動が促進されると考えている。
【0033】
図6は、そのことを裏付けるものである。その
図6には、本発明者が、人の温熱メカニズムに基づく車室内温熱制御を行うために、温熱快適性を人体エクセルギー損失によって評価した結果が示されている。この
図6において、人体エクセルギー損失とは、人体が摂取した食物を消費する過程で産出した人体深部の熱エネルギーが、人体深部から人体表面、ひいては人体周辺へと熱移動することで生じるエネルギー損失のことであり、その人体エクセルギー損失は、熱移動の過程を考慮し、コア損失と、スキン損失と、着衣熱伝導損失と、着衣放射損失の4要素からなる定義付けをもって特定することができる。
【0034】
ここで、コア損失とは、代謝熱や呼気・吸気や血流循環といった人体内部での熱移動に伴う人体エクセルギー損失である。スキン損失とは、人体深部から皮膚への熱伝導や血流循環や汗の蒸発によって生じる、着衣と皮膚表面との間での熱移動に伴う人体エクセルギー損失である。着衣熱伝導損失とは、人体周辺の空気と着衣との間の熱移動(熱伝導)に伴う人体エクセルギー損失である。着衣放射損失とは、前記空気の周辺にある内装と着衣との間での熱移動(放射)に伴う人体エクセルギー損失である。
【0035】
【0036】
(i)
図6によれば、内装16が低温(低温壁10℃)である場合には、乗員の着衣放射損失が、内装16が高温(高温壁20℃)である場合に比して大きくなることを示す(
図6中、左図における放射損失大の領域において、上下長さ参照)と共に、乗員Pの着衣熱伝導損失が大きくなることを示した(
図6中、左図における熱伝導損失大の領域において、上下長さを参照)。これは、上述の通り、内装16の表面温度が低いほど(内装16表面温度<乗員着衣温度)、乗員Pの着衣放射損失が大きくなって、乗員Pの着衣温度が低下し、これに伴い、乗員Pの皮膚温度(人体温度)とその乗員Pの着衣温度との差分が大きくなることで、皮膚表面と着衣Pclとの間の熱移動に基づくスキン損失が大きくなったためと考えられる。
【0037】
(ii)これに対して、内装16を高温(高温壁20℃)とした場合には、乗員Pの着衣放射損失がかなり小さくなることを示す(
図6中、右図における放射損失小を領域参照)と共に、乗員Pの着衣熱伝導損失が小さくなることを示した(
図6中、右図における熱伝導損失小の領域を参照)。これは、前記説明とは逆に、内装16の表面温度が高くなればなるほど、乗員Pの着衣放射損失が小さくなるため、乗員Pの着衣温度の低下が抑えられ、これに伴い、乗員Pの皮膚温度(人体温度)とその乗員Pの着衣温度との差分が小さくなることで、スキン損失が小さくなったためであると考えられる。この場合、内装16が低温及び高温のいずれの状態においても、内装16と乗員Pとの間の車室内空気温度の温度状況は、上記基本的関係にほとんど影響を及ぼさなかった(
図6における放射損失及ぶ熱伝導損失の上下長さを横軸全体に亘って参照)。
【0038】
(iii)このことから、次のことが知見等として得ることができる。
【0039】
(iii-1)内装16の表面温度が低い場合には、内装16の表面温度を高めることにより、内装16が乗員の着衣から放射熱(輻射熱)を奪うことをなくして乗員の着衣温度の低下を抑制することが、乗員が寒さを感じないようにするために有効である。
【0040】
(iii-2)またこの場合、内装16が、その低温状態に基づいて乗員Pに寒さを感じさせる領域は、その内装のうち、乗員着衣Pclに臨む領域であり、その乗員着衣Pclに臨む内装16の一部の領域(該当領域)だけを局部的にしかも直接的に加温して、その内装
表面温度を乗員着衣温度以上にすれば、内装16による乗員着衣Pclからの放射熱の吸収を抑制又は防止できる。このため、内装16の一部自体を直接的に加温する場合の方が、空調風をもって車室2内全体の加温を経て内装16の表面温度を高める場合に比して、内装16の該当領域の表面温度を迅速に所望の温度に至らせて、内装16の低温状態に基づいて乗員が寒さを感じることを速やかに解消できる。
【0041】
(iii-3)しかも、空調風による加温を併せて行えば、内装16の該当領域の加温により乗員着衣温度の低下が迅速に抑制されることから、空調風によって乗員が暖かさを感じるまでの供給熱量を、当初から空調風だけをもって乗員に暖かさを感じさせるまでの場合に比して少なくでき、これに伴い、乗員が暖かさを感じる時間を短縮することができる。
(2)電子制御ユニットECUの制御の概要
(i)電子制御ユニットECUは、車室2内の温度調整を行うに当たって、先ず、乗員の寒さに及ぼす内装各領域17~20の影響力を判断する。この判断は、乗員の着衣放射損失の大きさと、乗員の着衣熱伝導損失の大きさとの相対的関係をもって行われ、このため、乗員の着衣放射損失の大きさとして、乗員の着衣温度Tclと内装各領域17~20の表面温度Twとの差分(Tcl-Tw)である第1温度指標Rが算出され、着衣熱伝導損失の大きさとして、乗員の皮膚温度Tskと乗員の着衣温度Tclとの差分(Tsk-Tcl)である第2温度指標Cが算出される。
【0042】
(ii)電子制御ユニットECUは、上記第1温度指標Rが上記第2温度指標Cよりもかなり大きいと判断したときには(具体的にはR-C>10)、乗員の寒さに及ぼす内装各領域17~20の影響力がかなり大きい状態にあり、その乗員の寒さに及ぼす内装各領域17~20の影響力を集中してなくすことが重要であるとして、内装昇温手段としての内装昇温ヒータ14だけをもって、内装各領域17~20に、加温目標(ユーザ設定温度Tcnt-実際の車室内空気温度Tref)Hに相当するだけの熱量を供給させる。これにより、その内装各領域17~20の昇温をもって、その内装各領域17~20が乗員に及ぼす寒さの影響力を迅速になくすことができる。
【0043】
(iii)電子制御ユニットECUは、第1温度指標Rが第2温度指標Cよりも大きいと判断したときには(具体的にはR>C)、乗員の寒さに及ぼす内装各領域17~20の影響力が、前述の(ii)の場合ほどでないにしても、大きい状態にあり、内装昇温ヒータ14に関しては、加温目標Hのうち、第1温度指標Rが第1温度指標Rと第2温度指標Cとの和に対して占める割合分を昇温すべきとして、それに相当する熱量を内装昇温ヒータ14により内装各領域17~20に供給させる。他方、温風ヒータ15に関しては、加温目標Hのうち、第2温度指標Cが第1温度指標Rと第2温度指標Cとの和に対して占める割合分を昇温すべきとして、それに相当する熱量を温風ヒータ15の制御(温度又は風量制御)により空調風をもって車室2内空間に供給させる。
【0044】
(iv)電子制御ユニットECUは、第1温度指標Rが第2温度指標Cよりも小さいと判断したときには(R<C)、前記(iii)とは逆に、乗員の寒さに及ぼす内装各領域17~20の影響力(乗員の着衣放射損失の影響力)よりも、乗員の着衣熱伝導損失の影響力の方が大きい状態にあり、温風ヒータ15に関して、加温目標Hのうち、第2温度指標Cが第1温度指標Rと第2温度指標Cとの和に対して占める割合分を昇温すべきとして、それに相当する熱量を温風ヒータ15の制御(温度又は風量制御)により空調風をもって車室2内に供給させる。他方、内装昇温ヒータ14に関しては、加温目標Hのうち、第1温度指標Rが第1温度指標Rと第2温度指標Cとの和に対して占める割合分を昇温すべきとして、それに相当する熱量を内装昇温ヒータ14により内装各領域17~20に供給させる。
【0045】
但しこの場合には、乗員の寒さに及ぼす内装各領域17~20の影響力(乗員の着衣放射損失の影響力)が着衣熱伝導損失の影響力に比して小さいことから、内装各領域17~
20に供給される熱量は、空調風として供給される熱量よりも小さくなる。
【0046】
上記電子制御ユニットECUの制御内容を、
図7に示すフローチャートに基づいて具体的に説明する。尚、Sはステップを示す。また、内装各領域17~20が各内装昇温ヒータ14により個別に加温制御されるが、説明の便宜上、内装該当域16Aが内装各領域17~20を代表するものとして用い、その内装該当域16Aが内装昇温ヒータ14により加温制御されるものとして説明する。
【0047】
電子制御ユニットECUが起動されると、先ず、各種情報としてデータが読み込まれる。具体的には、乗員(ユーザ)の入力操作により入力されるユーザ設定温度Tcnt、実際の車室内空気温度Tref、乗員の皮膚温度Tsk、乗員の着衣温度Tcl、内装該当域16Aの表面温度Tw、後述のS3の実験値(閾値)「10」が読み込まれる。
【0048】
各種情報が読み込まれると、S2において、上記S1の情報に基づき、第1温度指標R、第2温度指標C及び加温目標Hが算出される。第1温度指標Rについては、乗員の寒さに及ぼす内装該当域16Aの影響力の強さを示すものとして、乗員の着衣温度Tclと内装該当域16Aの表面温度Twとの差分(Tcl-Tw)が求められる。第2温度指標Cについては、乗員から車室2内空間への放熱の影響力の強さを示すものとして、乗員の皮膚温度Tskと乗員の着衣温度Tclとの差分(Tsk-Tcl)が求められる。加温目標Hについては、ユーザ設定温度Tcntと実際の車室内空気温度Trefとの差分(Tcnt-Tref)が求められる。
【0049】
第1温度指標R、第2温度指標C及び加温目標Hが算出されると、S3において、第1温度指標Rと第2温度指標Cとの差分(R-C)が10以上であるか否かが判別される。この判別は、内装該当域16Aの表面温度Twが、乗員の着衣温度Tclとの比較上、かなり低いものとなっている状況か否かを判別するものであり、これにより、乗員の寒さに及ぼす内装該当域16Aの影響力(乗員の着衣放射損失の影響力)によりその乗員の着衣温度Tclが低下させられ、それに基づき乗員の着衣熱伝導損失がかなり増大されるか否かが判断される。上記「10」は実験値(経験値)である。
【0050】
上記S3がYESのときには、乗員の寒さに及ぼす内装該当域16Aの影響力が大きく、それを集中してなくすことが重要であるとして、S4において、前記S2における加温目標Hに対する内装昇温ヒータ14の加温目標負担値(昇温負担)がHとされ、同加温目標Hに対する温風ヒータ15の加温目標負担値(昇温負担)が0とされる。つまり、上記S3がYESである限り、内装昇温ヒータ14だけをもって内装該当域16Aに、加温目標Hに相当する熱量が供給され、温風ヒータ15により空調風を通じて熱量は供給されない。
【0051】
上記S3がNOのときには、S5において、第1温度指標Rが第2温度指標Cよりも大きいか否かが判別される。この判別は、前記S3がYESの場合ほどではないものの、乗員の着衣放射損失の影響力により、乗員の着衣熱伝導損失を増大させるか否かを判断するものである。
【0052】
上記S5がYESのときには、S6において、前記S2における加温目標Hに対する内装昇温ヒータ14の加温目標負担値(昇温負担)、同加温目標Hに対する温風ヒータ15の加温目標負担値(昇温負担)が、第1温度指標Rと第2温度指標Cとの比例配分をもってそれぞれ求められる。すなわち、加温目標Hに対する内装昇温ヒータ14の加温目標負担値は、H×R/(R+C)として求められ、その加温目標負担値に相当する熱量が、内装昇温ヒータ14の温度制御により内装該当域16Aへ供給される。加温目標Hに対する温風ヒータ15の加温目標負担値は、H×C/(R+C)として求められ、その加温目標
負担値に相当する熱量が、温風ヒータ15の温度又は風量等の制御により空調風を通じて供給される。勿論この場合も、内装昇温ヒータ14及び温風ヒータ15による各負担が、第1温度指標Rが第2温度指標Cよりも大きい状況に応じたものとなっていることから、内装該当域16Aの低温状態に基づく乗員の寒さの影響力が優先的に減少させられることになり、乗員が感じる温熱快適性を効率的に実現できる。
【0053】
上記S5がNOのときには、S7においても、前記S2における加温目標Hに対する内装昇温ヒータ14の加温目標負担値(昇温負担)、同加温目標Hに対する温風ヒータ15の加温目標負担値(昇温負担)は、第1温度指標Rと第2温度指標Cとの比例配分をもってそれぞれ求められ、加温目標Hに対する内装昇温ヒータ14の加温目標負担値が、H×R/(R+C)とされると共に、加温目標Hに対する温風ヒータ15の加温目標負担値が、H×C/(R+C)とされる。但し、この場合には、内装昇温ヒータ14及び温風ヒータ15による各負担が、第1温度指標Rが第2温度指標Cよりも小さい状況に応じたものとなっていることから、乗員からの放熱の影響力が優先的に減少されることになり、この場合にも上記状況に応じて、乗員が感じる温熱快適性を効率的に実現できることになる。
【0054】
以上実施形態について説明したが本発明にあっては次の態様を包含する。
(1)空調手段として、エンジン冷却水を温風ヒータ15の熱源として利用すること。
(2)内装各領域17~20における各内装昇温ヒータ14の制御を一律に行うこと(例えば、内装各領域17~20のうち、最も低い温度のものを基準として加温制御すること)。
(3)サーモカメラD3により、運転手席乗員及び助手席乗員の着衣温度、皮膚温度をそれぞれ検出し、その各検出温度を、運転手席乗員、助手席乗員に対するものとして用いること。
(4)内装昇温ヒータ14により内装各領域17~20の表面温度を、乗員着衣温度とその内装表面温度との差分が小さくなるように制御すること(差分が、0又は負の状態を含む)。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、車室2内における乗員の温熱快適性を向上させるために利用できる。
【符号の説明】
【0056】
1自動車
3インストルメントパネル(内装16)
4ドア(内装16)
5コンソール(内装16)
8運転手席シート(内装16)
13車両用温度調整装置
14内装昇温ヒータ(内装昇温手段)
14Aフィルムヒータ(内装昇温手段)
15温風ヒータ(空調手段)
16内装
16A内装該当域
17コンソール5の側壁領域
18ステアリングハンドル背後におけるインストルメントパネルの下面領域
D1車室内空気温度検出センサ(車室内空気温度検出手段)
D2内装表面温度検出センサ(内装表面温度検出手段)
D3サーモカメラ(皮膚温度検出手段、着衣温度検出手段)
D4車室内設定温度入力スイッチ
D5皮膚温度検出センサ(皮膚温度検出手段)
R第1温度指標
C第2温度指標
ECU電子制御ユニット(制御手段)