(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220616BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
(21)【出願番号】P 2017036150
(22)【出願日】2017-02-28
【審査請求日】2020-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】小川 慎也
(72)【発明者】
【氏名】林 孝政
(72)【発明者】
【氏名】近藤 憲吾
【審査官】中村 祐一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-206126(JP,A)
【文献】特開2016-158994(JP,A)
【文献】特開2016-105837(JP,A)
【文献】特開2013-017730(JP,A)
【文献】特開2017-006716(JP,A)
【文献】特開2016-158986(JP,A)
【文献】特開2016-135317(JP,A)
【文献】特開2016-106789(JP,A)
【文献】特開2012-139485(JP,A)
【文献】特開2010-259643(JP,A)
【文献】特開2006-102218(JP,A)
【文献】特開2003-320114(JP,A)
【文献】特許第6299998(JP,B1)
【文献】特許第6372834(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者の操作とモーターの駆動との何れによっても第1位置から第2位置に移動可能な可動部を有し、
前記可動部は、前記モーターからの動力を弾性部材を介して伝達されると共に、前記モーターの励磁時に遊技者の操作で前記第1位置から前記第2位置側へ移動することを前記弾性部材により許容され、
前記可動部が、遊技者の操作を受けて前記第1位置から前記第2位置側へと移動した場合に前記モーターの励磁を停止させるモーター制御手段を備え、
前記可動部は、前記モーター制御手段により前記モーターの励磁が停止してから引き続き遊技者
の操作を受けると、さらに前記第2位置に向かって移動可能になっている遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動部材を備える遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の遊技機では、可動部材がモーターにより駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の遊技機において、可動部材を遊技者の操作によっても移動させようとすると、モーターが損傷するという問題が起こり得る。即ち、特許文献1の遊技機では、モーターにより駆動される部材を遊技者の操作によっても移動可能にすることが困難であった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、モーターにより駆動される部材を遊技者の操作によっても移動可能な遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1手段は、遊技者の操作とモーターの駆動との何れによっても第1位置から第2位置に移動可能な可動部を有し、前記可動部は、前記モーターからの動力を弾性部材を介して伝達されると共に、前記モーターの励磁時に遊技者の操作で前記第1位置から前記第2位置側へ移動することを前記弾性部材により許容され、前記可動部が、遊技者の操作を受けて前記第1位置から前記第2位置側へと移動した場合に前記モーターの励磁を停止させるモーター制御手段を備え、前記可動部は、前記モーター制御手段により前記モーターの励磁が停止してから引き続き遊技者の操作を受けると、さらに前記第2位置に向かって移動可能になっている遊技機である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、モーターにより駆動される部材を遊技者の操作によっても移動可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】第1可動部材が第1始端位置に配置され、第2可動部材が第2始端位置に配置されたときの可動役物ユニットの側面図
【
図4】第1可動部材が第1終端位置に配置され、第2可動部材が第2始端位置に配置されたときの可動役物ユニットの側面図
【
図5】第1可動部材が第1終端位置に配置され、第2可動部材が第2終端位置に配置されたときの可動役物ユニットの側面図
【
図9】第1可動部材が第1始端位置にあるときの駆動機構を(A)表側から見た概略構成図、(B)裏側から見た概略構成図
【
図10】モーターにより第1可動部材を上側に移動させるときの駆動機構を(A)表側から見た概略構成図、(B)裏側から見た概略構成図
【
図11】第1可動部材を上側に引き上げるときの(A)表側からみた駆動機構の概略構成図、(B)裏側から見た駆動機構の概略構成図
【
図12】第1可動部材を上側に引き上げるときの(A)表側からみた駆動機構の概略構成図、(B)裏側から見た駆動機構の概略構成図
【
図13】第1可動部材が第1始端位置にあるときの駆動機構を(A)表側から見た概略構成図、(B)裏側から見た概略構成図
【
図14】モーターにより第1可動部材を下側に移動させるときの駆動機構を(A)表側から見た概略構成図、(B)裏側から見た概略構成図
【
図15】第1可動部材を下側に押し下げるときの(A)表側からみた駆動機構の概略構成図、(B)裏側から見た駆動機構の概略構成図
【
図16】第1可動部材を下側に押し下げるときの(A)表側からみた駆動機構の概略構成図、(B)裏側から見た駆動機構の概略構成図
【
図17】第1終端位置に配置された第1可動部材と第2始端位置に配置された第2可動部材の側面図
【
図18】第1終端位置に配置された第1可動部材と第2終端位置に配置された第2可動部材の側面図
【
図19】第1可動部材と第2可動部材を幅方向に沿って切断したときの断面図
【
図21】第1可動部材に搭載された受け部材の斜視図
【
図22】(A)受け部材が待機位置に配置された状態の一体化機構の概要を示す断面図、(B)受け部材が受止位置に配置された状態の一体化機構の概要を示す断面図
【
図23】(A)受け部材が待機位置に配置された状態の第1可動部材と第2可動部材の概略構成図、(B)第1可動部材のみが移動するときの第1可動部材と第2可動部材の概略構成図
【
図24】(A)受け部材が待機位置に配置された状態の第1可動部材と第2可動部材の概略構成図、(B)受け部材が受止位置に配置された状態の第1可動部材と第2可動部材の概略構成図
【
図25】(A)受け部材の受け面が受け対向部と当接したときの第1可動部材と第2可動部材の概略構成部、(B)一体的に移動する第1可動部材と第2可動部材の概略構成図
【
図26】(A)第1可動部材が第1始端位置へ向かう途中の第1可動部材と第2可動部材の概略構成図、(B)第1可動部材が第1始端位置に配置されたときの第1可動部材と第2可動部材の概略構成図
【
図27】引抜演出時における表示画面の表示を示す図
【
図28】引抜演出で引抜操作が行われたときの(A)可動役物ユニットの側面図、(B)表示画面の表示を示す図
【
図29】引抜演出で引抜操作が行われたときの(A)可動役物ユニットの側面図、(B)表示画面の表示を示す図
【
図32】(A)第1終端位置に配置された第1可動部材と第2ケース部の配置を説明するための図、(B)第1始端位置に配置された第1可動部材と第2ケース部の配置を説明するための図
【
図33】ケース縁部の(A)平面図、(B)側面図、(C)A-A’断面図
【
図34】第1可動部材と第2ケース部の間の指の挟まれを説明するための図
【
図35】(A)第1終端位置に配置された第1可動部材と第2始端位置に配置された第2可動部材の配置を説明するための図、(B)第1始端位置に配置された第1可動部材と第2始端位置に配置された第2可動部材の配置を説明するための図
【
図36】(A)位置決めシャフトが突出位置に配置された状態の位置決め部材の側断面図、(B)位置決めシャフトが退避位置に配置された状態の位置決め部材の側断面図
【
図37】第1可動部材と第2可動部材の間の指の挟まれを説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、本実施形態の遊技機10は、前面枠10Zを前面に備え、その前面枠10Zに形成されたガラス窓10Wを通して、
図2に示す遊技盤11の前面に形成された遊技領域R1が視認可能になっている。
【0010】
前面枠10Zのうちガラス窓10Wより下方には、上皿26と下皿27が上下2段にして設けられ、下皿27の右側には、発射ハンドル28が備えられている。そして、発射ハンドル28が回動操作されると、上皿26に収容された遊技球が遊技領域R1(
図2)に向けて弾き出される。
【0011】
図2に示されるように、遊技領域R1は、遊技盤11の前面から突出したガイドレール12に四方を囲まれることで形成されている。遊技領域R1の中央には、遊技盤表示窓11Hが貫通形成されており、その遊技盤表示窓11Hに遊技盤11の後面側から表示装置13が対向している。表示装置13は、例えば、液晶モジュールで構成され、その前面が遊技に関する演出を行う表示画面13Gとなっている。表示画面13Gには、後述する特別図柄当否判定の判定結果、その判定結果を示唆する演出等が表示される。
【0012】
遊技盤11の前面中央には、表示画面13Gを囲むように表示装飾枠23が取り付けられている。表示装飾枠23は、遊技盤11の前面側から遊技盤表示窓11Hに嵌め込まれて、遊技盤表示窓11Hの内側に張り出すと共に、遊技盤11の前面から突出している。そして、遊技領域R1を流下する遊技球が、表示装飾枠23の前側を通過して表示装飾枠23の内側に進入しないように構成されている。
【0013】
表示装飾枠23の下側には、第1と第2の始動入賞口14A,14Bが上下に並べて設けられ、それら始動入賞口14A,14Bの左側には、ガイドレール12に沿って一般入賞口20が複数設けられている。表示装飾枠23の右側には、始動ゲート18が備えられている。また、表示装飾枠23の右下側、即ち、第1と第2の始動入賞口14A,14Bの右側には、大入賞口15が設けられ、この大入賞口15のさらに右側にサイド入賞口21が備えられている。
【0014】
一般入賞口20及びサイド入賞口21は、所謂、ポケット構造をなし、遊技球が1つずつ入ることが可能な大きさで上方に開口している。一般入賞口20又はサイド入賞口21へ遊技球が入球(入賞)すると、その遊技球は遊技盤11の後側に取り込まれ、例えば、1個の入球につき15個の賞球が上皿26に払い出される。
【0015】
始動ゲート18は、遊技球が潜って通過可能な門形構造をなしている。始動ゲート18を遊技球が通過すると、普通図柄当否判定が行われる。本実施形態の遊技機10では、通常の遊技状態では、普通図柄当否判定で当りとなる確率は低く設定されており、後述する「大当り遊技」後に、普通図柄当否判定で当りとなる確率が高くなる「時短遊技」に突入する。
【0016】
第1の始動入賞口14Aは、一般入賞口20やサイド入賞口21と同様に、ポケット構造になっていて、遊技球が1つずつ入ることが可能な大きさで上方に開口している。第2の始動入賞口14Bは、遊技球が1つずつ入ることが可能な大きさで前方に開口し、通常は、開閉扉14Tにて前方が閉塞されることで、遊技球の入球(入賞)が規制されている。開閉扉14Tは、上述した普通図柄当否判定の結果が当りとなったときに、下端部を中心に回動して所定時間だけ前側に倒される。
【0017】
始動入賞口14A,14Bに遊技球が入球(入賞)すると、所定個数の賞球が上皿26に払い出されると共に、特別図柄当否判定が行われる。その判定結果は、表示装置13の表示画面13Gにて表示される。そして、特別図柄当否判定の結果が大当りであると、大当り遊技が実行される。
【0018】
大入賞口15は、横長矩形状をなし、通常の遊技状態では、可動扉15Tにて閉塞されている。上述の大当り遊技が実行されると、可動扉15Tが所定期間に亘って前側に倒される。すると、大入賞口15が前方に開放し、可動扉15Tを案内にして大入賞口15に多くの遊技球が入賞可能となる。大入賞口15に遊技球が入賞すると、例えば、1個の入賞につき15個の遊技球が上皿26に払い出される。
【0019】
上述した各入賞口14A,14B,15,20,21の何れにも入賞しなかった遊技球は、排出口16に全て取り込まれる。排出口16は、遊技領域R1の下端部に配置されて、前方に開口している。排出口16に取り込まれた遊技球は、図示しない球回収装置に回収される。
【0020】
図1に示されるように、前面枠10Zの右側辺部には、可動役物ユニット30が取り付けられている。
図3~5に示されるように、可動役物ユニット30は、第1可動部材100と、第2可動部材200と、固定ベース300と、を備えている。第1可動部材100と第2可動部材200は共に、上下方向に沿って長くなった形状をなしている。そして、第1可動部材100と第2可動部材200は、その長手方向が鉛直方向に対して前側に若干傾斜するように設けられ、当該傾斜した方向に沿って移動する。なお、
図3に示されるように、第1可動部材100は、通常は、可動ストロークの最も下側に配置され、第2可動部材200は、通常は、可動ストロークの最も下側に配置される。以下では、第1可動部材100が最も下側に配置された位置を第1始端位置(
図3に示す第1可動部材100の位置)、最も上側に配置された位置を第1終端位置(
図4に示す第1可動部材100の位置)と称し、第2可動部材200が最も下側に配置された位置を第2始端位置(
図3,17に示す第2可動部材200の位置)、最も上側に配置された位置を第2終端位置(
図5,18に示す第2可動部材200の位置)と称する。また、可動役物ユニット30において前面枠10Zの枠内に臨む側を「表側」、前面枠10Zの枠外に臨む側を「裏側」と、適宜、称することにする。
【0021】
図1に示されるように、固定ベース300は、前面枠10Zに固定され、前面枠10Zの右側辺部から前側に突出している。具体的には、
図3~5に示されるように、固定ベース300は、前面枠10Zの右側辺部に沿って延在する第1ケース部301と、第1ケース部301における下側部分から前側に迫り出した第2ケース部302と、で構成されている。第1ケース部301は、第1可動部材100及び第2可動部材200の後側に配置されて、第1可動部材100を駆動するための駆動機構400(
図6参照)を収容する。第2ケース部302は、上側に開放した開口302Aを上部に有し、第1始端位置に配置された第1可動部材100の下側部分と第2始端位置に配置された第2可動部材200の全体を収容する。なお、第2ケース部302は、剣の鞘を象るように形成されている。
【0022】
図6に示されるように、第1可動部材100は、固定ベース300に対して移動可能な可動ベース110と、可動ベース110と一体的に移動する装飾部120と、を備えている。装飾部120は、持ち手を上向きにした剣を象った形状をなして、剣の持ち手を象った第1装飾部121と、剣の鍔を象った第2装飾部122と、剣の刃を象った第3装飾部123と、第3装飾部123の下端部を支持する土台部124と、を備える。なお、第1装飾部121、第2装飾部122、第3装飾部123及び土台部124は、可動役物ユニット30(
図3)の表裏方向で扁平になっていて、装飾部120は、全体的に帯状に形成されている。
【0023】
可動ベース110は、固定ベース300の第1ケース部301の内部に備えられた支持シャフト430に直動可能に支持される。支持シャフト430は、装飾部120の厚み方向(即ち、可動役物ユニット30の表裏方向)に対をなして設けられていて、各支持シャフト430は、装飾部120の長手方向に沿って延在する。
【0024】
図7に示されるように、可動ベース110は、支持シャフト430に沿った長辺部と可動役物ユニット30(
図3)の表裏方向に沿った短辺部を有するプレート部111を備えている(
図7における手前側が可動役物ユニット30の表側となっている。)。プレート部111の上端部は、固定ベース300の第1ケース部301側に折れ曲がって支持シャフト430,430が挿通される上側折曲片111Aとなっていて、プレート部111の下端部は、第1ケース部301側に折れ曲がって支持シャフト430,430が挿通される下側折曲片111Bとなっている。
【0025】
プレート部111の上端寄り部分には、ブラケット112が固定されている。ブラケット112は、可動役物ユニット30の表側に開放するコの字形状をなし、1対の対向板113、113(
図7には、一方の対向板113のみが示されている。)によって支持シャフト430を挟む。1対の対向板113,113のうちプレート部111から遠い側の対向板113には、ワイヤ固定突片114とバネ係止突片115が設けられている。具体的には、ワイヤ固定突片114及びバネ係止突片115は、対向板113において可動役物ユニット30の表側の端部に設けられて、プレート部111から離れる方向に突出する。なお、バネ係止突片115は、ワイヤ固定突片114より下側に配置されている。
【0026】
図6,7には、第1可動部材100を駆動するための駆動機構400が示されている。駆動機構400は、モーター401と、モーター401によって支持シャフト430と平行に移動するスライダ403と、を備えている。具体的には、駆動機構400には、支持シャフト430と平行に配置されたボールネジ402が備えられ、このボールネジ402にスライダ403が螺合している。そして、ボールネジ402がモーター401によって回転駆動されることで、スライダ403がボールネジ402に沿って移動する。なお、駆動機構400には、ボールネジ402とは別に、スライダ403を移動可能に支持する補助シャフト405が設けられている。
【0027】
図8に示されるように、駆動機構400には、1対の駆動用センサ406,406がボールネジ402の延在方向に沿って設けられている。1対の駆動用センサ406,406は、近接センサで構成され、スライダ403を検出する。そして、スライダ403は、上側の駆動用センサ406によって検出される位置と下側の駆動用センサ406によって検出される位置との間を移動する。
【0028】
駆動機構400では、スライダ403の動力が中間部材410を介して可動ベース110に伝達される。
図7に示されるように、中間部材410は、ボールネジ402と2本の支持シャフト430,430の間の空間を支持シャフト430と平行に移動可能に構成され、支持シャフト430に沿った長辺部と可動役物ユニット30(
図3)の表裏方向に沿った短辺部を有するプレート部411を備えている。
【0029】
プレート部411の上端部は、ボールネジ402側に折れ曲がってスライダ403に下側から当接可能な上側折曲片411Aとなっている。プレート部411の下端部は、支持シャフト430側に折れ曲がって2本の支持シャフト430,430が挿通される下側折曲片411Bとなっている。このように、支持シャフト430,430は、可動ベース110と中間部材410の両方を直動可能に支持するので、可動ベース110と中間部材410の移動スペースを共通化することが可能となり、省スペース化が図られる。
【0030】
また、プレート部411の下側部分には、第1バネ係止突片412と第2バネ係止突片413がボールネジ402側に突設されている。第1バネ係止突片412と第2バネ係止突片413は、プレート部411の短辺方向にずれて配置されている。なお、第1バネ係止突片412と第2バネ係止突片413は、プレート部411の長辺方向にもずれて配置されている。
【0031】
図7,9(B)に示されるように、スライダ403と中間部材410は、第1引張バネ421によって連結されている。具体的には、スライダ403の裏側(
図9(B)における手前側)には、支持シャフト430側に突出するバネ係止突片404が設けられている。このバネ係止突片404と中間部材410の第1バネ係止突片412とは、スライダ403の移動方向に重ねて配置される。そして、バネ係止突片404と第1バネ係止突片412とに第1引張バネ421が引っ掛けられることで、スライダ403と中間部材410とが連結されている。
【0032】
また、
図7,9(A)に示されるように、可動ベース110と中間部材410は、第2引張バネ422によって連結されている。具体的には、上述した可動ベース110のバネ係止突片115と中間部材410の第2バネ係止突片413とは、可動ベース110の移動方向に重ねて配置される。そして、バネ係止突片115と第1バネ係止突片413とに第2引張バネ422が引っ掛けられることで、可動ベース110と中間部材410とが連結されている。
【0033】
本実施形態では、第1引張バネ421と第2引張バネ422とは、自然長及びバネ定数が同じ引張バネで構成されている。また、第1可動部材100(可動ベース110)が停止している状態で、第1引張バネ421と第2引張バネ422は同じ長さになっている。即ち、第1可動部材100が停止している状態では、第1可動部材100の移動方向において、バネ係止突片404と第1バネ係止突片412の間隔が、バネ係止突片115と第2バネ係止突片413の間隔と同じになっている。
【0034】
図9~10には、モーター401(
図6)の駆動によって第1可動部材100を第1始端位置から第1終端位置側へ移動させるときの駆動機構400の動作の概要が示されている。
図9(A),9(B)に示されるように、第1可動部材100が第1始端位置に配置されている状態では、スライダ403は可動ストロークの下端位置に配置されている。このとき、第1引張バネ421の付勢力によって中間部材410の上側折曲片411Aがスライダ403に下側から押し付けられ(
図9(B))、第2引張バネ422の付勢力によって可動ベース110の下側折曲片111Bが中間部材410の下側折曲片411Bに上側から押し付けられている(
図9(A))。なお、第1引張りバネ421が中間部材410をスライダ403に押し付ける力は、第2引張バネ422が中間部材410を可動ベース110に押し付ける力と同じになっている。
【0035】
図9(B)から
図10(B)への変化に示されるように、モーター401(
図6)により駆動されてスライダ403が上側に移動すると、そのスライダ403の動力が第1引張バネ421を介して中間部材410に伝達され、中間部材410が上側に移動する。このとき、中間部材410の下側折曲片411Bが可動ベース110の下側折曲片111Bを押し上げ、可動ベース110が上側に移動する。なお、このとき、スライダ403と中間部材410を連結する第1引張バネ421の長さは変化しない。また、
図9(A)から
図10(A)への変化に示されるように、可動ベース110と中間部材410を連結する第2引張バネ422の長さは変化しない。
【0036】
また、
図13~14には、モーター401の駆動によって第1可動部材100を第1終端位置から第1始端位置側へ移動させるときの駆動機構400の動作の概要が示されている。
図13(A),13(B)に示されるように、第1可動部材100が第1終端位置に配置されている状態では、スライダ403は可動ストロークの上端位置に配置されている。このとき、第1引張バネ421の付勢力によって中間部材410の上側折曲片411Aがスライダ403に下側から押し付けられ(
図13(B))、第2引張バネ422の付勢力によって可動ベース110の下側折曲片111Bが中間部材410の下側折曲片411Bに上側から押し付けられている(
図13(A))。なお、第1引張りバネ421が中間部材410をスライダ403に押し付ける力は、第2引張バネ422が中間部材410を可動ベース110に押し付ける力と同じになっている。
【0037】
図13(B)から
図14(B)への変化に示されるように、モーター401(
図6)により駆動されてスライダ403が下側に移動すると、そのスライダ403によって上側折曲片411Aが押し下げられ、中間部材410が下側に移動する(
図14(B))。このとき、中間部材410の動力が第2引張バネ422を介して伝達され、可動ベース110が下側に移動する(
図14(A))。なお、スライダ403と中間部材410を連結する第1引張バネ421の長さは変化しない。また、
図13(A)から
図14(A)への変化に示されるように、可動ベース110と中間部材410を連結する第2引張バネ422の長さは変化しない。
【0038】
本実施形態の遊技機10では、第1可動部材100は、モーター401(
図6)の駆動によって可動する可動演出部材としての役割だけでなく、遊技者によって操作される操作部材としての役割も担っている。本実施形態の例では、第1可動部材100に対し、第1始端位置から第1終端位置側へ移動させる「引抜操作」と、第1終端位置から第1始端位置側へ移動させる「押込操作」の2種類の操作が行われる。
【0039】
ここで、第1可動部材100が停止している状態では、モーター401の励磁によって第1可動部材100の位置が固定される。従って、モーター401の励磁を解除しなければ、第1可動部材100の引抜操作及び押込操作が困難となる。そこで、本実施形態では、第1可動部材100の操作を検出するための操作用センサ407(
図8)を備え、その操作用センサ407による検出を契機にしてモーター401の励磁を解除するようになっている。
【0040】
図8に示されるように、操作用センサ407は、近接センサで構成され、第1可動部材100に形成された検出用突片160T(
図20)を検出する。具体的には、操作用センサ407は、第1可動部材100の移動方向に1対設けられていて、下側の操作用センサ407は、第1可動部材100が第1始端位置に配置されたときの検出用突片160Tを検出し、上側の操作用センサ407は、第1可動部材100が第1終端位置に配置されたときの検出用突片160Tを検出する。従って、下側の操作用センサ407によって引抜操作における第1可動部材100の初動(即ち、第1始端位置の第1可動部材100の第1終端位置側への移動)を検出することが可能となり、この下側の操作用センサ407による検出があったときに、モーター401の励磁が解除される。また、上側の操作用センサ407によって押込動作における第1可動部材100の初動(即ち、第1終端位置の第1可動部材100の第1始端位置側への移動)を検出することが可能となり、この上側の操作用センサ407による検出があったときに、モーター401の励磁が解除される。
【0041】
図11~12には、引抜操作時の駆動機構400の動作の概要が示されている。第1可動部材100の引抜操作が行われた直後では、操作用センサ407(
図8)によって検出用突片160T(
図20)の移動が検出されず、モーター401が励磁状態のままである。従って、
図11(A),11(B)に示されるように、スライダ403の位置が固定される。一方、可動ベース110は、第2引張バネ422が伸びることで、上側への移動が許容される。即ち、第1可動部材100は、モーター401が励磁状態であっても第1終端位置側(上側)への移動を許容される。なお、このとき、中間部材410は、上側折曲片411Aとスライダ403との当接によって上側への移動を規制される。
【0042】
第1可動部材100の移動量が大きくなって、操作用センサ407によって検出用突片160Tの移動が検出されると、モーター401の励磁が解除される。すると、スライダ403の上側への移動が許容され、中間部材410の上側への移動も許容される。そして、
図11(A)から
図12(A)への変化に示されるように、第2引張バネ422の付勢力によって、中間部材410が上側へ移動し、その中間部材410によってスライダ403が押し上げられる。なお、
図11(B)から
図12(B)への変化に示されるように、スライダ403と中間部材410を連結する第1引張バネ421の長さは変化しない。
【0043】
図15~16には、押込操作時の駆動機構400の動作の概要が示されている。第1可動部材100の押込操作が行われた直後では、操作用センサ407(
図8)によって検出用突片160T(
図20)の移動が検出されず、モーター401が励磁状態のままである。従って、
図15(A),15(B)に示されるように、スライダ403の位置が固定される。一方、可動ベース110及び中間部材410は、第1引張バネ421が伸びることで、下側への移動が許容される。即ち、第1可動部材100は、モーター401が励磁状態であっても第1始端位置側(下側)への移動を許容される。なお、このとき、可動ベース110は、下側折曲片111Bが中間部材410の下側折曲片411Bに上側から当接することによって中間部材410を押し下げる。
【0044】
第1可動部材100の移動量が大きくなって、操作用センサ407によって検出用突片160Tの移動が検出されると、モーター401の励磁が解除され、スライダ403の下側への移動が許容される。そして、
図15(B)から
図16(B)への変化に示されるように、第1引張バネ421の付勢力によって、スライダ403が下側へ移動する。なお、
図15(A)から
図16(A)への変化に示されるように、可動ベース110と中間部材410を連結する第2引張バネ422の長さは変化しない。
【0045】
このように、駆動機構400では、可動ベース110とスライダ403との間に第1引張バネ421及び第2引張バネ422が介在する。そして、引抜操作時には、第2引張バネ422によって操作力が吸収され、押込操作時には、第1引張バネ421によって操作力が吸収される。ここで、第1可動部材100の操作力がモーター401に直接的に伝達される場合、モーター401が損傷するという問題が起こり得る。しかしながら、駆動機構400では、引抜操作時には、第2引張バネ422によって第1可動部材100の操作力がモーター401に直接的に伝達されなくなり、押込操作時には、第1引張バネ421によって第1可動部材100の操作力がモーター401に直接的に伝達されなくなる。これにより、本実施形態では、引抜操作及び押込操作におけるモーター401の損傷が抑えられる。
【0046】
なお、
図6に示されるように、駆動機構400には、第1可動部材100の引抜操作を補助するためのアシストバネ440を備えている。アシストバネ440は、ワイヤ441を介して可動ベース110に連結され、可動ベース110を上側に付勢する。なお、アシストバネ440から延びるワイヤ441は、複数の滑車442に架けられて、ワイヤ固定突片114(
図7)に固定されている。
【0047】
図17に示されるように、第2可動部材200は、剣の刃の一部を象った装飾部211と、装飾部211を下側から支持する土台部212と、を備えている。第2可動部材200の装飾部211が象る刃の幅は、第1可動部材100の第3装飾部123が象る刃の幅よりも太くなっている。また、土台部212は、装飾部211よりも幅狭に形成されている。
【0048】
図17~19に示されるように、第2可動部材200は、第1可動部材100の第3装飾部123と土台部124(
図6)を外側から囲む扁平筒状に形成されている。
【0049】
図19及び
図20に示されるように、第2可動部材200は、表側構成体201と、裏側構成体202と、で構成されている。表側構成体201は、装飾部211の表側部分を構成する表側装飾部201Aと、土台部212の表側部分を構成する表側土台部201Bと、からなる。また、裏側構成体202は、装飾部211の裏側部分を構成する裏側装飾部202Aと、土台部212の裏側部分を構成する裏側土台部202Bと、からなる。
【0050】
また、表側構成体201と裏側構成体202の互いの対向面には、第2可動部材200の長手方向に沿って延びるガイド溝205,205が形成されている(
図20には、裏側構成体202のガイド溝205のみ示されている。)。ガイド溝205,205は、第1可動部材100の表裏の両面に設けられたガイド突部125,125を受容する。詳細には、ガイド突部125は、第1可動部材100の移動方向に沿って複数並べられ、各ガイド溝205は、第1可動部材100の移動方向に並ぶ複数のガイド突部125を受容する。これにより、第2可動部材200は、第1可動部材100の移動方向と同じ方向に移動可能となっている。
【0051】
上述したように、第2可動部材200は、通常は、
図17に示される第2始端位置に配置される。第2可動部材200の第2始端位置への位置決めは、位置決め部材340によって行われる。位置決め部材340は、固定ベース300の第2ケース部302(
図3)内に備えられていて、第2可動部材200の土台部212を下側から受け止める。位置決め部材340によって、第2可動部材200は、第2始端位置より下側へ移動することを抑制され、第2始端位置に位置決めされる。
【0052】
第2可動部材200は、第1可動部材100の移動に伴って第1可動部材100に追従して移動する。具体的には、第2可動部材200と第1可動部材100は、
図22(A),22(B)に示される一体化機構130によって一体的に移動可能となっている。
【0053】
図22(A),22(B)に示されるように、一体化機構130は、受け部材150と、受け部材150を駆動するための駆動源140と、を備えている。本実施形態では、受け部材150及び駆動源140は、第1可動部材100の土台部124に搭載されている(
図21)。
【0054】
図22(A),
図22(B)に示されるように、駆動源140は、ソレノイドで構成されていて、励磁ブロック141と、プランジャ142と、を備えている。励磁ブロック141には、下側に開放した図示しないプランジャ受容孔が形成されている。プランジャ142は、当該プランジャ受容孔に挿通され、励磁ブロック141から下側に突出している。プランジャ142の下端部には、可動ベース143が固定されている。可動ベース143は、第1可動部材100の移動方向に沿って移動可能に構成され、可動ベース143と励磁ブロック141の間に介装された圧縮コイルバネ144によって下側に付勢される。駆動源140がオンされると、
図22(A)から
図22(B)への変化に示されるように、プランジャ142が励磁ブロック141に引き込まれ、可動ベース143が上側へ移動する。
【0055】
受け部材150は、可動ベース143に回動自在に取り付けられている。具体的には、受け部材150は、可動ベース143に突設された支持突部143Tに軸支される基端軸部151と、基端軸部151から上側に延設されたピン挿通部152と、ピン挿通部152の上端部からさらに上側に延設された先端受け部153と、で構成されている。ここで、支持突部143Tは、可動ベース143の表側部分と裏側部分の2箇所に、第1可動部材100の幅方向、即ち、第1可動部材100の移動方向と表裏方向とに直交する方向に沿って配置され、受け部材150は、第1可動部材100の表側と裏側とに対をなして搭載される。
【0056】
ピン挿通部152は、基端軸部151から上側へ向かうにつれて第1可動部材100の表裏方向外側へ向かうように配置されている。ピン挿通部152には、ピン挿通部152を第1可動部材100の幅方向に貫通すると共にピン挿通部152の延在方向に沿って延びる長孔152Aが形成されている。長孔152Aには、第1可動部材100に固定された固定ピン152Pが挿通される。なお、駆動源140がオフされた状態(可動ベース143が可動ストロークの下端に配置された状態)では、固定ピン152Pは、長孔152Aの上端に配置されている(
図22(A))。
【0057】
先端受け部153は、直線状に形成され、ピン挿通部152に対して上側に屈曲するように配置される。後に詳述するが、先端受け部153の先端面は、第2可動部材200を受止可能な受け面154となっている。受け面154は、先端受け部153が第1可動部材100の移動方向と略平行に配置されたときに、第1可動部材100の表裏方向内側に下るように傾斜する(
図22(A))。
【0058】
駆動源140がオンされて可動ベース143が第1可動部材100の移動方向に沿って上側に移動すると、
図22(A)から
図22(B)への変化に示されるように、支持突部143Tが固定ピン152Pに近づき、固定ピン152Pが長孔152Aに対して長孔152A内を下側に相対移動する。そして、長孔152A内の固定ピン152Pの移動に伴って、受け部材150が第1可動部材100の表裏方向外側へと倒れるように回動して、受止位置に配置される。このとき、受け部材150は基端軸部151を中心に回動するが、その基端軸部151は可動ベース143の移動に伴って上側に移動する。その結果、受け部材150における先端受け部153の先端部は、第1可動部材100の移動方向と略直交する方向に移動する。そして、先端受け部153の受け面154が、第1可動部材100の移動方向に略直交配置される。駆動源140がオフされて可動ベース143が下側に移動すると、支持突部143Tが固定ピン152Pから離れ、固定ピン152Pが長孔152Aに対して長孔152A内を上側に相対移動する。そして、長孔152A内の固定ピン152Pの移動に伴って、受け部材150が第1可動部材100の移動方向に沿って立ち上がり、待機位置に配置される。なお、受け部材150が待機位置に配置されたときに、先端受け部153が第1可動部材100の移動方向に沿って配置される(
図23)。
【0059】
また、一体化機構130は、受止位置の受け部材150と係合する係合孔131を第2可動部材200に備えている。
図20に示されるように、係合孔131は、第2可動部材200の表側構成体201と裏側構成体202のそれぞれに、表裏方向に貫通形成されている。係合孔131は、第2可動部材200の移動方向(即ち、第1可動部材100の移動方向)と平行な辺を有する長方形状に形成されている。また、係合孔131は、表側土台部201Bと裏側土台部202Bに形成されていて、
図22(A)に示されるように、各係合孔131は、第2可動部材200が第2始端位置に配置されている状態で、第1始端位置に配置された第1可動部材100の受け部材150に表裏方向で対向する。なお、係合孔131は、第1可動部材100の表裏方向から見て待機位置に配置された受け部材150の全体を内側に収容可能な大きさとなっている。
【0060】
図22(A)から
図22(B)への変化に示されるように、係合孔131の上縁部は、受け部材150が待機位置から受止位置へ移動するときに先端受け部153が通過する領域よりも上側に配置される。そして、係合孔131の内周面のうち上辺部を構成する部位が、受け部材150が受止位置に配置されたときに先端受け部153の受け面154と対向する(詳細には、正対する)受け対向部132となっている。受け面154と受け対向部132との間には、隙間133が形成されている。
【0061】
次に、一体化機構130の動作について説明する。
図23(A)には、第1可動部材100と第2可動部材200が第1始端位置と第2始端位置に配置され、駆動源140がオフされた状態が示されている。この状態では、受け部材150は、待機位置に配置され、表裏方向(
図23(A)の横方向)で第1可動部材100の内側に収まって配置されている。
【0062】
駆動源140がオフの状態のまま第1可動部材100が第1終端位置側(上側)へ移動すると、
図23(A)から
図23(B)への変化に示されるように、第1可動部材100のみが移動し、第2可動部材200は、第2始端位置に配置されたままとなる。
【0063】
図24~
図25には、第2可動部材200が第1可動部材100と一体的に移動するときの一体化機構130の動作が示されている。
図24(A)に示される状態は、
図23(A)に示される状態と同じになっている。
図24(A)に示される状態から駆動源140がオンされると、
図24(B)に示されるように、受け部材150は、受止位置に配置され、表裏方向(
図24(B)の横方向)で第1可動部材100の外側に突出する。そして、受止部材150の先端受け部153が第2可動部材200の係合孔131に受容され、受け面154が第2可動部材200の受け対向部132に下側から対向する。このとき、受け面154と受け対向部132との間に、隙間133が形成される。
【0064】
駆動源140がオン状態のまま第1可動部材100が第1終端位置側(上側)へ移動すると、
図25(A)に示されるように、受け部材150の受け面154が第2可動部材200の受け対向部132と当接する。そして、さらに、第1可動部材100が第1終端位置側へ移動すると、受け部材150に受け止められた第2可動部材200が第1可動部材100と一体的に第2終端位置側(上側)へ移動する。
【0065】
ここで、
図25(B)に示されるように、一体化機構130によって第1可動部材100と第2可動部材200が一体化された後、節電を図るために駆動源140がオフされることがある。このとき、受け部材150は、受け面154が第2可動部材200の受け対向部132に下側から当接した状態になっていることにより、上側へ移動することが抑制され、受け部材150の受止位置から待機位置への移動が規制される。従って、駆動源140がオフされても、第2可動部材200の受止が解除されず、第2可動部材200がずり落ちることが抑制される。
【0066】
受け部材150の待機位置への復帰は以下のようにして行われる。即ち、
図26(A)に示されるように、駆動源140がオフ状態のまま、第1可動部材100が第1始端位置側(下側)へ移動すると、第1可動部材100と一体的に移動する第2可動部材200に位置決め部材340が第2始端位置側(下側)から当接する。このとき、受け部材150の受け面154は第2可動部材200の受け対向部132と当接したままである。
【0067】
図26(A)から
図26(B)への変化に示されるように、第1可動部材100が更に第1始端位置側(下側)へ移動すると、第1可動部材100に対して第2可動部材200が上側にズレる。そして、受け部材150の受け面154と受け対向部132との当接が外れる。その結果、受け部材150は、受止位置から待機位置への移動を許容され、圧縮コイルバネ144の付勢力を受けて待機位置へと復帰する。このように、受け部材150は、第1可動部材100が第1始端位置へ戻るときに、自動的に待機位置に復帰する。
【0068】
ところで、
図3に示されるように、第1可動部材100と第2可動部材200が第1始端位置と第2始端位置に配置された状態では、第1可動部材100の第3装飾部123と第2可動部材200の装飾部211が固定ベース300の第2ケース部302に収まっている。そして、
図4,17に示されるように、第1可動部材100のみが上側に移動した場合には、第1可動部材100の第3装飾部123が象る刃が第2ケース部302が象る鞘から出現する。一方、
図5,18に示されるように、第1可動部材100と第2可動部材200が一体的に上側に移動した場合には、第2可動部材200の装飾部211が象る刃が第2ケース部302が象る鞘から出現する。このとき、第1可動部材100の第1装飾部121と第2装飾部122が象る剣の持ち手と鍔に、第2可動部材200の装飾部211が象る刃が付いた状態となり、第1可動部材100の第3装飾部123が象る刃が第2可動部材200の装飾部211が象る刃に切り替わった印象を遊技者に与えることが可能となる。
【0069】
ここで、本実施形態の遊技機10では、上述したように、第1可動部材100が遊技者の引抜操作によって第1始端位置から第1終端位置へ移動可能に構成されている。そして、遊技機10では、可動役物ユニット30を用いた演出として、遊技者に第1可動部材100の引抜操作を促す引抜操作演出を実行可能となっている。引抜操作演出では、第2ケース部302から出現する部位が第1可動部材100の第3装飾部123であるか、又は、第2可動部材200の装飾部211であるかによって(即ち、第2ケース部302から出現する部位の態様によって)、例えば、大当りに対する期待度が異なるようになっている。
【0070】
引抜操作演出が実行されると、表示装置13の表示画面13G(
図2)において、
図27に示されるように、引抜操作を遊技者に促す引抜操作促し画像が表示される。引抜操作促し画像は、第1可動部材100を模した第1可動部材要素100Gと、第2ケース部302を模した第2ケース部要素302Gと、人の手を模した手要素TGと、を備えている。引抜操作促し画像の第1可動部材要素100Gは、第1可動部材100の第1装飾部121に対応する第1装飾部要素121Gと、第2装飾部122に対応する第2装飾部要素122Gと、で構成されている。
【0071】
引抜操作促し画像の表示中に引抜操作が行われると、表示画面13Gには、その引抜操作に応じて第1可動部材要素100Gが上側に移動して第2ケース部要素302Gによって隠されていた部位が出現する引抜操作画像が表示される。引抜操作画像には、第2ケース部302から出現する部位の態様に対応した2種類が設けられている。具体的には、
図28(A),28(B)に示されるように、第2ケース部302から第1可動部材100の第3装飾部123が出現する場合、引抜操作画像では、第3装飾部123に対応する第3装飾部要素123Gが第2ケース部要素302Gから出現する。また、
図29(A),29(B)に示されるように、第2ケース部302から第2可動部材200の装飾部211が出現する場合、引抜操作画像では、第2可動部材200の装飾部211に対応する第2可動部材要素200Gが第2ケース部要素302Gから出現する。
【0072】
ここで、引抜操作画像における第1可動部材要素100Gの移動は、実際の第1可動部材100の移動に連動して行われる。
図31には、引抜操作画像の連動を達成するための遊技機10の電気的な構成が示されている。
【0073】
図31における符号50は、主制御回路50であって、CPU50A、RAM50B、ROM50C及び複数のカウンタを備えたマイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータとサブ制御回路52を結ぶ入出力回路と、大入賞口15等が接続された中継回路及び払出制御回路等を結ぶ入出力回路とを備え、遊技に関わる主制御を行う。CPU50Aは、当否判定部、制御部、演算部、各種カウンタ、各種レジスタ、各種フラグ等を備え、演算制御を行う他、特別図柄当りや普通図柄当りに関する乱数等も生成し、制御信号をサブ制御回路52等へ出力(送信)可能に構成されている。RAM50Bは、CPU50Aで生成される各種乱数値用の記憶領域、各種データを一時的に記憶する記憶領域やフラグ、CPU50Aの作業領域を備える。ROM50Cには、制御データ、特別図柄及び普通図柄の変動表示に関する図柄変動データ等が書き込まれている他、特別図柄当り及び普通図柄当りの判定値等が書き込まれている。
【0074】
サブ制御回路52は、主制御回路50と同様に、CPU52A、RAM52B、ROM52C及び複数のカウンタを備えたマイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータと主制御回路50を結ぶ入出力回路と、表示制御回路54等を結ぶ入出力回路を備えている。CPU52Aは、制御部、演算部、各種カウンタ、各種レジスタ、各種フラグ等を備え、演算制御を行う他、制御信号を表示制御回路54等へ出力(送信)可能に構成されている。RAM52Bは、各種データの記憶領域とCPU52Aによる作業領域を有している。ROM52Cには、特別図柄の変動パターンテーブル、各種演出のデータ等が記憶されている。
【0075】
表示制御回路54は、表示装置13に設けられていて、CPU54A、RAM54B及びROM54Cを有している。CPU54Aは、サブ制御回路52からの制御信号に基づき、画像データをROM54Cから取得し、その画像データに基づいて表示画面13Gに画像を表示する。
【0076】
サブ制御回路52には、上述した1対の操作用センサ407,407(
図8)の検出信号が入力されるようになっている。そして、サブ制御回路52は、引抜操作による第1可動部材100の初動を下側の操作用センサ407が検出したときに、駆動機構400のモーター401(
図6)の励磁を停止すると共に、表示制御回路54に引抜操作画像を表示画面13Gに表示させる信号を出力する。ここで、サブ制御回路52は、一体化機構130の駆動源140のオンオフ制御も実行するようになっている。従って、サブ制御回路52は、引抜操作時に第2ケース部302から出現する部位が第1可動部材100の第3装飾部123であるか第2可動部材200の装飾部211であるかに応じて、その出現部位に対応した引抜操作画像を表示させる信号を出力可能となっている。
【0077】
本実施形態の遊技機10では、引抜操作演出に続いて押込操作演出が行われる。押込操作演出では、引抜操作演出において第2ケース部302から出現した部位を第2ケース部302内に押し込む押込操作を遊技者に促す。具体的には、押込操作演出が実行されると、
図30に示されるように、押込操作を遊技者に促す押込操作促し画像が表示される。
図30(A)には、引抜操作演出において第1可動部材100の第3装飾部123が出現したときの押込操作促し画像が示されていて、
図30(B)には、引抜操作演出において第2可動部材200の装飾部211が出現したときの押込操作促し画像が示されている。このように、本実施形態では、押込操作演出において、引抜操作で第2ケース部302から出現した部位の対応に応じた画像が表示されるようになっている。
【0078】
押込操作演出の表示中に押込操作が行われると、表示画面13Gに押込操作画像が表示される。押込操作画像では、実際の第1可動部材100の押込操作に連動して第1可動部材要素100Gが移動する。サブ制御回路52は、押込操作による第1可動部材100の初動が上側の操作用センサ407により検出されたときに、駆動機構400のモーター401の励磁を停止すると共に、押込操作画像を表示画面13Gに表示させる信号を表示制御回路54に出力する(
図31)。
【0079】
本実施形態の遊技機10においては、第1可動部材100が第1終端位置(
図32(A)参照)から第1始端位置(
図32(B)参照)に移動するときに、第1可動部材100の第2装飾部122と第2ケース部302の上部(詳細には、開口302Aの開口縁)との間に遊技者の指が挟まれると、遊技者が指を怪我するという問題が想定される。第1可動部材100の移動は、モーター401の駆動により行われても、遊技者の操作により行われてもよいが、特に、前者の場合に、怪我の問題が起こり得る。このような問題を防ぐべく、本実施形態の遊技機10は、以下に説明する構成を備えている。
【0080】
図32(A),32(B)に示されるように、第2ケース部302は、第1可動部材100の移動方向に開放した上部開口360A(
図33(C))を有するケース本体360と、ケース本体360の上部開口360Aの縁部に固定されたケース縁部350と、で構成されている。ケース本体360は、硬質の材料(例えば、PP、PC、ABSといった汎用プラスチック)で構成され、ケース縁部350は、弾性部材(例えば、ゴム)で構成されている。詳細には、
図33(A),33(B)に示されるように、ケース縁部350は、平面視U字形状に形成されていて、U字形状における直線部を構成する1対の第1ケース縁部351,351と、U字形状における円弧部分を構成する第2ケース縁部352と、で構成されている。なお、第2ケース縁部352は、各第1ケース縁部351の一端部の上に重ねられる。
【0081】
図33(C)に示されるように、ケース縁部350は、第1可動部材100の移動方向に沿って延びる起立部位350Aと、起立部位350Aの上端部からケース縁部350の内側に向かって張り出す上側張出部位350Bと、起立部位350Aの下端部からケース縁部350の内側に張り出す下側張出部位350Cと、下側張出部位350Cの先端部から下側に延設された下側延長部位350Dと、を有している。下側張出部位350Cは、ケース本体360の上面(即ち、上部開口360Aの縁部の上面)に重ねられ、下側延長部位350Dは、上部開口360Aの内周面に重ねられている。そして、下側張出部位350Cと下側延長部位350Dが接着剤やボルト等によりケース本体360に固定されることで、ケース縁部350がケース本体360固定されている。なお、起立部位350Aは、ケース本体360の外側面と略面一に配置される。
【0082】
図34(A)に示されるように、第1終端位置に配置された第1可動部材100と第2ケース部302との間に遊技者の指があるときに、第1可動部材100が第1始端位置側(第2ケース部302側)に移動すると、第1可動部材100の第2装飾部122と第2ケース部302の上部との間に指が挟まれる。ここで、本実施形態では、第2ケース部302の上部を構成するケース縁部350が弾性部材によって構成されているので、
図34(A)から
図34(B)への変化に示すように、ケース縁部350が第1可動部材100の移動方向の第1始端位置側(下側)に弾性変形することが可能となる。このように、本実施形態では、ケース縁部350が弾性変形して遊技者の指分のスペースが形成されるので、遊技者が指を怪我することが抑えられる。しかも、ケース縁部350は、起立部位350Aと、起立部位350Aの上端部から張り出す上側張出部位350Bと、を有することにより、上側張出部位350Bで指を受け止めつつ、起立部位350Aを撓ませることが可能となり、弾性変形が容易となる。
【0083】
また、本実施形態の遊技機10では、第1可動部材100が第1終端位置(
図35(A)参照)から第1始端位置(
図35(B)参照)に移動するときに、第2可動部材200が第2始端位置に配置されている場合がある。この場合においても、第1可動部材100の第2装飾部122と第2可動部材200との間に遊技者の指が挟まれると、遊技者が指を怪我するという問題が想定される。このような問題を防ぐべく、本実施形態の遊技機10では、上述した位置決め部材340(
図17,18)が以下に説明する構成を備えている。
【0084】
図36(A)に示されるように、位置決め部材340は、第2可動部材200の移動方向に沿って配置される位置決めシャフト341と、位置決めシャフト341を第2可動部材200の移動方向に沿って移動可能に支持する支持ベース342と、を備えている。位置決めシャフト341には、下側を段付き状に縮径する段差面341Dが形成されていて、位置決めシャフト341のうち段差面341Dより上側の部分が大径部341Aとなり、段差面341Dより下側の部分が小径部341Bとなっている。
【0085】
支持ベース342は、位置決めシャフト341の軸方向に長くなったケース状をなし、支持ベース342の天井壁342Tには、位置決めシャフト341の大径部341Aが挿通される大径挿通孔342Aが形成されている。また、支持ベース342には、内部空間を上下に仕切る仕切壁342Hが設けられている。仕切壁342Hには、位置決めシャフト341の小径部341Bが挿通される小径挿通孔342Bが設けられている。
【0086】
位置決めシャフト341は、位置決めシャフト341の段差面341Dと仕切壁342Hとの間に介装された圧縮コイルバネ343によって上側に付勢され、
図36(A)に示される突出位置に配置される。第2可動部材200が第2始端位置に配置された状態では、突出位置の位置決めシャフト341の下面と支持ベース342の底壁342Sとの間に隙間が形成されている。この隙間は、指1本分の太さよりも大きくなっている。そして、位置決めシャフト341が下側に押圧されると、圧縮コイルバネ343の変形により、位置決めシャフト341が当該隙間分だけ下側へ移動して、
図36(B)に示される退避位置に配置される。
【0087】
図37(A)に示されるように、第1終端位置に配置された第1可動部材100と第2始端位置に配置された第2可動部材200との間に遊技者の指があるときに、第1可動部材100が第1始端位置側に移動すると、第1可動部材100の第2装飾部122と第2可動部材200の上部との間に指が挟まれる。ここで、本実施形態では、位置決め部材340の位置決めシャフト341が第2可動部材200の移動方向で下側へ移動可能となっている。従って、第1可動部材100の第2装飾部122と第2可動部材200との間に指が挟まれても、
図37(A)から
図37(B)への変化に示すように、第2始端位置に配置された第2可動部材200が第1可動部材100から離れるように下側へ移動する。このように、本実施形態では、第2可動部材200が第2始端位置側(下側)に逃げて遊技者の指分のスペースが形成されるので、遊技者が指を怪我することが抑えられる。
【0088】
本実施形態の遊技機10では、第1可動部材100と第1ケース部301との間に、第2可動部材200が移動可能なスペースを確保する必要がある。ここで、第1可動部材100の装飾部120は、上述の如く、上下方向に沿って長くなっている。このため、装飾部120の横搖れが生じ易く、装飾部120の安定的な支持が困難になるという問題が想定される。このような問題を防ぐべく、本実施形態の遊技機10は、以下に説明する構成を備えている。
【0089】
図20に示されるように、第1可動部材100には、装飾部120から固定ベース300側に張り出す張出部160が設けられている。張出部160は、固定ベース300に移動可能に支持された可動ベース110(
図6,19)に連絡している。具体的には、張出部160は、装飾部120から張り出して表裏方向に薄くなったプレート部161と、プレート部161の固定ベース300側の端部から起立した重なり固定片162と、を備えている。そして、重なり固定片162が可動ベース110のプレート部111(
図7)に重ねられた状態で固定されている。このように、本実施形態では、第1可動部材100の装飾部120から固定ベース300側に張り出した張出部160のプレート部161を介して装飾部120が固定ベース300に支持されるので、第1可動部材100の移動方向に長くなった装飾部120を安定的に支持することが可能になる。なお、引抜操作時又は押込操作時の第1可動部材100の移動を検出するための検出用突片160Tは、張出部160のプレート部161に突設されている。
【0090】
図19に示されるように、第2可動部材200のうち固定ベース300側(
図19では右側)を向く部位には、第1可動部材100の張出部160(プレート部161)が挿通される挿通溝206が形成されている。そして、第2可動部材200の表側構成体201と裏側構成体202が、張出部160のプレート部161を挟むように配置されている。
【0091】
ここで、第2可動部材200には、表側構成体201と裏側構成体202を連絡する連絡軸部204が備えられることで、第2可動部材200の強度アップが図られている。また、プレート部161には、連絡軸部204が第2可動部材200の移動方向に移動することを許容する長孔163が設けられている(
図20)。これにより、連絡軸部204が第2可動部材200の移動の妨げになることが抑制される。なお、連絡軸部204は、表側構成体201と裏側構成体202の互いの対向面から突出した連絡突部203,203が連結されることにより形成されている。
【0092】
図20に示されるように、プレート部161は、第1可動部材100の表側から見てL字状に形成され、長孔163は、第3装飾部123との間に形成される。これにより、第2可動部材200と装飾部120を近接させることが可能となり、第2可動部材200と装飾部120が占めるスペースをコンパクトにすることが可能となる。また、プレート部161におけるL字の一辺部は土台部124に連絡し、他辺部は第2装飾部122に連絡している。このように、本実施形態では、装飾部120のうち直線状の部位(第3装飾部123と土台部124)と、当該直線状の部位から側方に張り出す部位(第2装飾部122)とがプレート部161によって連絡されるので、第1可動部材100の強度アップが図られている。
【0093】
なお、第1可動部材100の詳細な構造は、以下のようになっている。
図38に示されるように、第1可動部材100は、第1可動部材100の骨格となる骨格部170と、装飾部120の外装を構成するカバー部180と、を備えている。骨格部170は、第1装飾部121を構成する第1の骨格部171と、第2装飾部122を構成する第2の骨格部172と、第3装飾部123及び土台部124を構成する第3の骨格部173と、張出部160を構成する張出骨格部174と、を有すると共に、第2の骨格部172と第3の骨格部173と張出骨格部174とに囲まれる部分に、長孔163を形成する打抜き孔175を有している(各装飾部121~123及び土台部124については、
図6,20を参照)。
【0094】
また、張出骨格部174は、第1~第3の骨格部171~173よりも厚くなっている。具体的には、骨格部170は、ベース板170Aの表裏に補助板170Bを重ねてなる3層構造になっていて、第1~第3の骨格部170~173はベース板170Aのみで構成され、張出骨格部174は、ベース板170Aと補助板170B,170Bとで構成されている(
図19)。
【0095】
以上説明した本実施形態の遊技機10によれば、以下の効果を奏することが可能となる。
【0096】
本実施形態の遊技機10では、モーター401の駆動によって第1可動部材100が第1始端位置側へ移動するときには、第2引張バネ422を介して第1可動部材100に動力が伝達される一方、モーター401の駆動によって第1可動部材100が第1終端位置側へ移動するときには、第1引張バネ421を介して第1可動部材100に動力が伝達される。また、遊技者の操作によって第1可動部材100が第1始端位置側へ移動するときには、第1引張バネ421を介してスライダ403に動力が伝達される一方、遊技者の操作によって第1可動部材100が第1終端位置側へ移動するときには、第2引張バネ422を介してスライダ403に動力が伝達される。このように、本実施形態によれば、第1可動部材100からの動力が第1引張バネ421及び第2引張バネ422を介してモーター401に伝達されるので、第1可動部材100の操作力が直接モーター401に伝わることがなくなり、モーター401の損傷が抑えられる。
【0097】
また、本実施形態では、モーター401の励磁時に操作用センサ407が第1可動部材100の操作(詳細には、引抜操作又は押込操作に伴う第1可動部材100の移動)を検出すると、モーター401の励磁が停止されるので、第1可動部材100を操作してもモーター401の励磁によって第1可動部材100が移動しないという事態が避けられる。このように、本実施形態によれば、モーターにより駆動される可動部材を遊技者の操作によっても移動可能にすることが可能となる。
【0098】
また、第1引張バネ421と第2引張バネ422とは、自然長及びバネ定数が同じ引張バネで構成され、第1可動部材100が停止している状態における第1引張バネ421の長さと第2引張バネ422の長さが同じになっているので、第1可動部材100を第1始端位置側に移動させる場合と第1終端位置側へ移動させる場合とで、移動に必要なモーター401の駆動力を同じにすることができると共に、遊技者の操作による操作力においても同じにすることが可能となる。
【0099】
[他の実施形態]
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0100】
(1)上記実施形態では、操作用センサ407が、第1可動部材100の初動を検出する近接センサであったが、遊技者による第1可動部材100への接触を検出するタッチセンサであってもよい。
【0101】
(2)上記実施形態では、第1可動部材100とモーター401との間で動力を伝達する弾性部材が、バネ(第1引張バネ421、第2引張バネ422)であったが、ゴムベルトや輪ゴムであってもよい。上記弾性部材は、バネである場合には、圧縮バネであってもよいし、上記実施形態のように引張バネであってもよい。
【0102】
(3)上記実施形態では、第1可動部材100が、引抜操作と押込操作とのうち両方の操作を行うことが可能に構成されていたが、何れか一方の操作のみ行うことが可能に構成されていてもよい。この場合、引張バネは1つ設けられていればよい。具体的には、第1可動部材100が引抜操作のみ行うことが可能に構成されている場合には、第2引張バネ422が設けられていればよい。また、第1可動部材100が押込操作のみ行うことが可能に構成されている場合には、第1引張バネ421が設けられていればよい。
【0103】
(4)上記実施形態において、第1可動部材100の可動ベース110、スライダ403及び中間部材410の移動方向は、特に限定されず、上下方向であってもよいし、前後方向又は左右方向であってもよいし、前後方向又は左右方向に対して斜めに交差する方向であってもよい。
【0104】
(5)上記実施形態では、第1可動部材100が剣を象っていたが、第1可動部材100の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、円柱状、角柱状、ドーム状等、任意の形状であってもよい。なお、第1可動部材100は、扁平な操作ボタンであってもよい。
【0105】
(6)上記実施形態では、第1可動部材100が、直動する構成であったが、回動する構成であってもよい。この場合の例として、第1可動部材100が、操作レバーや操作ダイヤルとなっている構成が挙げられる。
【0106】
<付記1>
以下、上述した各実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0107】
<特徴A群>
以下の特徴A群は、「可動部材を備える」遊技機に関し、「特許文献A(特開2014-117477号)の遊技機では、可動部材がモーターにより駆動される。」という背景技術について、「特許文献Aの遊技機において、可動部材を遊技者の操作によっても移動させようとすると、モーターが損傷するという問題が起こり得る。即ち、特許文献Aの遊技機では、モーターにより駆動される部材を遊技者の操作によっても移動可能にすることが困難であった。」という課題をもってなされたものである。
【0108】
[特徴A1]
モーター(モーター401)により駆動されて第1方向(第1可動部材100の移動方向、即ち、支持シャフト430の延在方向)に移動する可動部材(第1可動部材100)と、
前記可動部材と前記モーターとの間で動力を伝達する弾性部材(第1引張バネ421、第2引張バネ422)と、
前記モーターの励磁時に前記可動部材が操作されたことを検出するための検出手段(操作用センサ407)と、
前記検出手段による検出があったときに、前記モーターの励磁を停止するモーター制御手段(サブ制御回路52)と、を有して、
前記可動部材は、遊技者の操作によっても前記第1方向に移動可能となっている遊技機(遊技機10)。
【0109】
本特徴に示す構成では、可動部材とモーターとの間で動力を伝達する弾性部材を備えているので、可動部材の操作力が直接モーターに伝わることがなくなり、モーターの損傷が抑えられる。また、本構成では、モーターの励磁時に検出手段が可動部材の操作を検出すると、モーターの励磁が停止されるので、可動部材を操作してもモーターの励磁によって可動部材が移動しないという事態が避けられる。このように、本構成によれば、モーターにより駆動される可動部材を遊技者の操作によっても移動可能にすることが可能となる。
【0110】
[特徴A2]
特徴A1に記載の遊技機において、
前記検出手段は、前記モーターの励磁時に前記可動部材が前記第1方向に移動したことを検出するものである。
【0111】
本特徴の構成では、可動部材の移動が検出されて、モーターの励磁が停止されるので、遊技者の操作によって可動部材を移動させることが可能となる。
【0112】
[特徴A3]
特徴A2に記載の遊技機において、
前記検出手段は、前記可動部材が可動ストロークの一端(第1始端位置と第1終端位置のうちの一方)から他端(第1始端位置と第1終端位置のうちの他方)側へ移動したことを検出する。
【0113】
本特徴に示す構成によれば、遊技者の操作によって可動部材を可動ストロークの一端から他端側へ移動させることが可能となる。
【0114】
[特徴A4]
特徴A3に記載の遊技機において、
前記検出手段は、さらに、前記可動部材が可動ストロークの他端から一端側へ移動したことを検出する。
【0115】
本特徴に示す構成によれば、遊技者の操作によって可動部材を可動ストロークの一端側と他端側の両方向に移動させることが可能となる。
【0116】
[特徴A5]
モーター(モーター401)により駆動されて第1方向(第1可動部材100の移動方向、即ち、支持シャフト430の延在方向)に移動する可動部材(第1可動部材100)と、
前記可動部材と前記モーターとの間で動力を伝達する弾性部材(第1引張バネ421、第2引張バネ422)と、
前記可動部材が前記第1方向に操作されたときに、前記モーターの励磁を停止するモーター制御手段(サブ制御回路52)と、を有する遊技機(サブ制御回路52)。
【0117】
本特徴に示す構成によれば、モーターにより駆動される可動部材を遊技者の操作によっても移動可能にすることが可能となる。
【0118】
[特徴A6]
遊技者の操作により第1方向(第1可動部材100の移動方向、即ち、支持シャフト430の延在方向)に移動可能な操作部材(第1可動部材100)と、
前記操作部材が遊技者により操作されていない状態で、前記操作部材を前記第1方向に駆動可能なモーター(モーター401)と、
前記操作部材と前記モーターとの間で動力を伝達する弾性部材(第1引張バネ421、第2引張バネ422)と、
モーターの励磁時に前記操作部材が操作されたことを検出するための検出手段(操作用センサ407)と、
前記検出手段による検出があったときに、前記モーターの励磁を停止するモーター制御手段(サブ制御回路52)と、を有する遊技機。
【0119】
本特徴に示す構成では、可動部材とモーターとの間で動力を伝達する弾性部材を備えているので、可動部材の操作力が直接モーターに伝わることがなくなり、モーターの損傷が抑えられる。また、モーターの励磁時に操作部材の操作が検出されると、モーターの励磁が停止されるので、操作部材を操作してもモーターの励磁によって操作部材が移動しないという事態が避けられる。これにより、モーターにより駆動される部材を遊技者の操作によっても移動可能にすることが可能となる。
【0120】
[特徴A7]
モーター(モーター401)により駆動されて第1方向(第1可動部材100の移動方向、即ち、支持シャフト430の延在方向)に移動する可動部材(第1可動部材100)と、
前記可動部材と前記モーターとの間で動力を伝達すると共に、前記モーターの励磁時に前記可動部材が前記第1方向に移動することを許容する弾性部材(第1引張バネ421、第2引張バネ422)と、
前記モーターの励磁時に前記可動部材が前記第1方向に移動したことを検出するための検出手段(操作用センサ407)と、
前記検出手段による検出があったときに、前記モーターの励磁を停止するモーター制御手段(サブ制御回路52)と、を有して、
前記可動部材は、遊技者の操作によっても前記第1方向に移動可能となっている遊技機(遊技機10)。
【0121】
本特徴に示す構成によれば、特徴A1と同様に、モーターにより駆動される可動部材を遊技者の操作によっても移動可能にすることが可能となる。
【0122】
[構成A8]
遊技者の操作により第1位置(第1始端位置)から第2位置(第1終端位置)に移動可能な操作部材(第1可動部材100)と、
前記操作部材が遊技者により操作されていない状態で、前記操作部材を駆動可能なモーター(モーター401)と、
前記操作部材と前記モーターとの間で動力を伝達すると共に、前記モーターの励磁時に前記操作部材の前記第1位置から前記第2位置側への移動を許容する弾性部材(第1引張バネ421、第2引張バネ422)と、
モーターの励磁時に前記操作部材が前記第1位置から前記第2位置側へ移動したことを検出するための検出手段(操作用センサ407)と、
前記検出手段による検出があったときに、前記モーターの励磁を停止するモーター制御手段(サブ制御回路52)と、を有する遊技機(遊技機10)。
【0123】
本特徴に示す構成によれば、特徴A6と同様に、モーターにより駆動される可動部材を遊技者の操作によっても移動可能にすることが可能となる。
【0124】
なお、特徴A5~A8に示す構成に、特徴A2~A4に示す構成が組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0125】
10 遊技機
52 サブ制御回路
100 第1可動部材
401 モーター
407 操作用センサ
421 第1引張バネ
422 第2引張バネ
430 支持シャフト