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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20220616BHJP
【FI】
A63F7/02 320
A63F7/02 315A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017143235
(22)【出願日】2017-07-25
(65)【公開番号】P2019022628
(43)【公開日】2019-02-14
【審査請求日】2020-07-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000241234
【氏名又は名称】豊丸産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大輝
(72)【発明者】
【氏名】黒田 修弘
【審査官】永田 美佐
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-086643(JP,A)
【文献】特開2015-192759(JP,A)
【文献】特開2017-018453(JP,A)
【文献】特開2014-030636(JP,A)
【文献】特開2015-167830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤と、
前記遊技領域内に打ち出されて流下する遊技球が通過し得る第一始動領域および第二指導領域と、
前記第一始動領域または前記第二指導領域を遊技球が通過した場合に乱数を取得する取得手段と、
前記取得手段に取得された前記乱数が、予め当りと決められて遊技者に有利な遊技状態である有利状態を生起する当選乱数であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づき、前記第一始動領域の通過に対応する第一特別図柄および前記第二指導領域の通過に対応する第二特別図柄を並行して変動表示し、且つ並行して停止表示する同時変動手段と、
前記判定手段によって前記当りと判定され、且つ前記同時変動手段によって前記第一特別図柄および前記第二特別図柄が停止表示された場合に、前記有利状態を生起する生起手段と、
前記遊技盤に設けられ、開閉部材を有し、前記開閉部材の開放時に遊技球が入賞可能な可変入賞口と、
前記生起手段によって前記有利状態が生起されている場合に、前記開閉部材の開閉状態を制御可能な開閉制御手段と、
前記可変入賞口に遊技球が入賞した場合、遊技者に所定数の遊技球を払い出す払出手段と、
を備えた遊技機であって、
前記払出手段が遊技球を払い出す度に、前記払出手段が払い出した遊技球の数である払出数を、前記有利状態において遊技者が獲得した遊技球の数である獲得球数に加算する加算手段と、
前記遊技盤に設けられ、前記獲得球数を表示する表示手段と、
前記加算手段が前記獲得球数に前記払出数を加算する度に、前記獲得球数を更新して前記表示手段に表示する表示制御手段と、
を備え、
前記有利状態は、
前記開閉制御手段による前記開閉部材の制御によって、前記遊技領域内に打ち出される数よりも多くの遊技球が払い出され、遊技者が前記有利状態において獲得する遊技球の数を増やすことができる強有利状態と、
前記遊技領域内に打ち出される数を越えない数の遊技球が払い出され、遊技者が、前記有利状態が生起されていない通常状態と比べて遊技球の数の減少を抑制できる弱有利状態と、
を含み、
前記当りは、
前記開閉制御手段が前記可変入賞口の前記開閉部材を所定の開閉パターンで開閉する小当り遊技状態を生起する小当りと、
前記開閉制御手段が前記可変入賞口の前記開閉部材を所定の開閉パターンで開閉する動作を複数回繰り返す大当り遊技状態を生起する大当りと、
を含み、
前記強有利状態は、
前記判定手段によって前記小当りと判定された場合に前記第二特別図柄の変動表示が行われる時間が他の遊技状態よりも短い小当り連続遊技状態と、
前記大当り遊技状態の一形態であって、前記開閉制御手段が前記可変入賞口の前記開閉部材を、前記小当り連続遊技状態において前記開閉部材が開閉するタイミングに見せかけた開閉パターンで開閉する動作を複数回繰り返し、且つ前記大当り遊技状態の終了後に前記小当り連続遊技状態に移行する疑似大当り遊技状態と、
前記大当り遊技状態の一形態であって、前記開閉制御手段が、前記開閉部材の一回の開放時間が前記疑似大当り遊技状態よりも長くなる開閉パターンで前記開閉部材を開閉する動作を複数回繰り返し、且つ前記大当り遊技状態の終了後に前記小当り連続遊技状態に移行する獲得大当り遊技状態と、
を含み、
前記表示制御手段は、
前記強有利状態のとき、前記獲得球数を前記表示手段に表示し、
前記弱有利状態のとき、前記獲得球数を前記表示手段に表示せず、
且つ、
前記獲得大当り遊技状態における前記獲得球数の表示を、前記小当り連続遊技状態よりも小さく表示し、
前記疑似大当り遊技状態における前記獲得球数の表示を、前記小当り連続遊技状態よりも大きく表示すること
を特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記生起手段によって、前記通常状態から前記大当り遊技状態が生起された場合に、前記獲得球数を初期化する初期化手段を備えたことを特徴とする請求項に記載の遊技機。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記加算手段が前記獲得球数に前記払出数を加算する度に、前記獲得球数が1個単位で増加する過程を前記表示手段に表示した後、加算後の前記獲得球数を前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1または2に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一特別図柄と第二特別図柄の変動表示を並行して行うことができる遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の特別図柄の変動表示を並行して行う、いわゆる同時変動する遊技機において、遊技者が獲得した遊技球数を表示することができる遊技機が知られている。例えば特許文献1に記載の遊技機は、小当りタイム(KT)状態において遊技者が獲得した獲得玉数を、画像表示装置の右下の領域に表示する。特許文献1において、KT状態はKT期間フラグがオン状態のときであり、大当り終了後に大当り種別に応じてオン状態にされる。KT状態では、第2特図ゲームの実行頻度が向上し、結果的に第2特図ゲームでの「小当り」が発生しやすくなって、遊技者が遊技球を獲得しやすい。獲得玉数カウンタのカウント値は、KT期間フラグがオフ状態の場合にリセットされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-30636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、大当りが発生すると獲得玉数がリセットされるため、獲得玉数の表示がKT状態においてのみ行われる。このため、獲得玉数の表示が単調となり、遊技者が、獲得玉数を増やすことに対する興趣を損なうという問題があった。
【0005】
本発明は、有利状態中において遊技球の獲得形態が異なる遊技状態ごとに異なる態様で獲得球数を表示することができる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤と、前記遊技領域内に打ち出されて流下する遊技球が通過し得る第一始動領域および第二指導領域と、前記第一始動領域または前記第二指導領域を遊技球が通過した場合に乱数を取得する取得手段と、前記取得手段に取得された前記乱数が、予め当りと決められて遊技者に有利な遊技状態である有利状態を生起する当選乱数であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に基づき、前記第一始動領域の通過に対応する第一特別図柄および前記第二指導領域の通過に対応する第二特別図柄を並行して変動表示し、且つ並行して停止表示する同時変動手段と、前記判定手段によって前記当りと判定され、且つ前記同時変動手段によって前記第一特別図柄および前記第二特別図柄が停止表示された場合に、前記有利状態を生起する生起手段と、前記遊技盤に設けられ、開閉部材を有し、前記開閉部材の開放時に遊技球が入賞可能な可変入賞口と、前記生起手段によって前記有利状態が生起されている場合に、前記開閉部材の開閉状態を制御可能な開閉制御手段と、前記可変入賞口に遊技球が入賞した場合、遊技者に所定数の遊技球を払い出す払出手段と、を備えた遊技機であって、前記払出手段が遊技球を払い出す度に、前記払出手段が払い出した遊技球の数である払出数を、前記有利状態において遊技者が獲得した遊技球の数である獲得球数に加算する加算手段と、前記遊技盤に設けられ、前記獲得球数を表示する表示手段と、前記加算手段が前記獲得球数に前記払出数を加算する度に、前記獲得球数を更新して前記表示手段に表示する表示制御手段と、を備え、前記有利状態は、前記開閉制御手段による前記開閉部材の制御によって、前記遊技領域内に打ち出される数よりも多くの遊技球が払い出され、遊技者が前記有利状態において獲得する遊技球の数を増やすことができる強有利状態と、前記遊技領域内に打ち出される数を越えない数の遊技球が払い出され、遊技者が、前記有利状態が生起されていない通常状態と比べて遊技球の数の減少を抑制できる弱有利状態と、を含み、前記当りは、前記開閉制御手段が前記可変入賞口の前記開閉部材を所定の開閉パターンで開閉する小当り遊技状態を生起する小当りと、前記開閉制御手段が前記可変入賞口の前記開閉部材を所定の開閉パターンで開閉する動作を複数回繰り返す大当り遊技状態を生起する大当りと、を含み、前記強有利状態は、前記判定手段によって前記小当りと判定された場合に前記第二特別図柄の変動表示が行われる時間が他の遊技状態よりも短い小当り連続遊技状態と、前記大当り遊技状態の一形態であって、前記開閉制御手段が前記可変入賞口の前記開閉部材を、前記小当り連続遊技状態において前記開閉部材が開閉するタイミングに見せかけた開閉パターンで開閉する動作を複数回繰り返し、且つ前記大当り遊技状態の終了後に前記小当り連続遊技状態に移行する疑似大当り遊技状態と、前記大当り遊技状態の一形態であって、前記開閉制御手段が、前記開閉部材の一回の開放時間が前記疑似大当り遊技状態よりも長くなる開閉パターンで前記開閉部材を開閉する動作を複数回繰り返し、且つ前記大当り遊技状態の終了後に前記小当り連続遊技状態に移行する獲得大当り遊技状態と、を含み、前記表示制御手段は、前記強有利状態のとき、前記獲得球数を前記表示手段に表示し、前記弱有利状態のとき、前記獲得球数を前記表示手段に表示せず、且つ、前記獲得大当り遊技状態における前記獲得球数の表示を、前記小当り連続遊技状態よりも小さく表示し、前記疑似大当り遊技状態における前記獲得球数の表示を、前記小当り連続遊技状態よりも大きく表示することを特徴とする遊技機が提供される。
【0007】
加算手段は、有利状態において獲得球数を加算する。表示制御手段は、有利状態が継続する間、獲得球数を表示する。さらに、表示制御手段は、有利状態において、遊技球の獲得形態が異なる遊技状態ごとに異なる態様で獲得球数を表示する。故に遊技者は、獲得球数の表示態様の変化をみて、遊技球の獲得に対して期待を増すことができる。よって遊技機は、獲得球数を増やすことに対する遊技者の興趣を高めることができる。
弱有利状態では、可変入賞口が開放されないので、獲得球数は増えない。故に弱有利状態においては獲得球数の表示を行わないことで、遊技機は、獲得球数を増やすことに対する遊技者の興趣を損なうことを防止することができる。
【0008】
【0009】
小当り連続遊技状態は、小当り遊技状態が図柄変動の度に生起されやすく、その都度遊技球が少量ずつ増えていくため、獲得球数が緩やかに増加する。獲得大当り遊技状態においても獲得球数が増加するが、獲得大当り遊技状態では大当り遊技の演出が行われる。故に遊技機は、獲得大当り遊技状態において、獲得球数の表示を小当り連続遊技状態よりも小さく表示することで、遊技者の注目を大当り遊技の演出に集め、遊技者の興趣を高めることができる。疑似大当り遊技状態は、小当り連続遊技状態にみせかけた大当り遊技状態である。すなわち、疑似大当り遊技状態中は、他の種別の大当り遊技状態が生起することがないので、終了することのない小当り連続遊技状態にみせかけることができる。故に、疑似大当り遊技状態における獲得球数の表示を、小当り遊技状態よりも大きく表示することで、獲得大当り遊技状態において獲得球数を増やすことに対する遊技者の興趣をより高めることができる。
【0010】
本態様において、前記生起手段によって、前記通常状態から前記大当り遊技状態が生起された場合に、前記獲得球数を初期化する初期化手段を備えてもよい。獲得球数は、通常状態から大当り遊技状態が生起されなければ初期化されない。よって、例えば、強有利状態から弱有利状態に移行した後、再度、強有利状態に移行した場合には、初期化されない。故に遊技機は、遊技状態が有利状態である限り獲得球数を継続加算するので、遊技者が有利状態において獲得した遊技球の総数を示すことができる。
【0011】
【0012】
本態様において、前記表示制御手段は、前記加算手段が前記獲得球数に前記払出数を加算する度に、前記獲得球数が1個単位で増加する過程を前記表示手段に表示した後、加算後の前記獲得球数を前記表示手段に表示してもよい。変動中の払出数を溜めて変動終了時にまとめて獲得球数に加算する場合と比べ、1回分の払い出しごとに払出数を獲得球数に加算するため、獲得球数の表示に時間差を生じない。また、1個単位で払出数を加算し、獲得球数が増える過程を遊技者に見せることで、大量の遊技球を獲得した感覚を得させることができる。故に遊技機は、獲得球数を増やすことに対する遊技者の興趣を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】パチンコ機1の正面図である。
図2】パチンコ機1の電気的構成を示すブロック図である。
図3】第一大当り情報記憶エリア110の概念図である。
図4】第一特別図柄決定テーブル140の概念図である。
図5】第二特別図柄決定テーブル150の概念図である。
図6】第一変動パターン決定テーブル160の概念図である。
図7】第二変動パターン決定テーブル170の概念図である。
図8】パチンコ機1において実行される遊技の説明図である。
図9】メイン処理のフローチャートである。
図10】第一特別図柄処理のフローチャート(1/3)である。
図11】第一特別図柄処理のフローチャート(2/3)である。
図12】第一特別図柄処理のフローチャート(3/3)である。
図13】遊技状態移行処理のフローチャートである。
図14】第二特別図柄処理のフローチャート(1/2)である。
図15】第二特別図柄処理のフローチャート(2/2)である。
図16】特別電動役物処理のフローチャートである。
図17】払出処理のフローチャートである。
図18】サブ制御基板処理のフローチャートである。
図19】報知演出開始時制御処理のフローチャートである。
図20】報知演出終了時制御処理のフローチャートである。
図21】大当り遊技演出処理のフローチャートである。
図22】入賞演出処理のフローチャートである。
図23】獲得演出処理のフローチャートである。
図24】大当り遊技終了処理のフローチャートである。
図25】大当り遊技中に獲得した賞球数の加算状況を説明するための図である。
図26】小当りラッシュ中に獲得した賞球数の加算状況を説明するための図である。
図27】疑似小当りラッシュ中に獲得した賞球数の加算状況を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る遊技機の一実施形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。
以下の説明では、図1の手前側、奥側、上側、下側、左側、右側を、それぞれ、パチンコ機1の前側、後側、上側、下側、左側、右側とする。
【0015】
パチンコ機1の機械的構成について説明する。図1に示すように、パチンコ機1の上側部分には遊技盤2が設けられる。遊技盤2は正面視略正方形の板状であり、透明なガラス板を保持した前面枠10によって前面を保護される。前面枠10には、ガラス板を取り囲むように電飾部材35が設けられる。電飾部材35は、遊技の進行等に応じて点灯または点滅する。
【0016】
遊技盤2の下側部分には上皿5と下皿6が設けられる。上皿5は、遊技球発射装置37(図2参照)に金属製の遊技球を供給し、且つ賞球を受ける。上皿5の上部中央には、遊技者によって操作される操作ボタン9Cと左右ボタン9L,9Rが設けられる。下皿6は上皿5の直下に設けられ、上皿5から溢れたり排出されたりする賞品球を受ける。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられる。発射ハンドル7は、遊技者が回転操作できるように設けられる。遊技者が発射ハンドル7を回転させて発射操作を行うと、遊技球発射装置37は、発射ハンドル7の回転角度に応じた発射強度で遊技球を発射する。前面枠10の上部の左右両角部と、上皿5の左右両角部のそれぞれには、スピーカ48が設けられる。
【0017】
遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成される。ガイドレール3は、遊技領域4の左側に形成される。遊技領域4の略中央には、各種演出を実行するセンター飾り8が設けられる。
【0018】
センター飾り8は、可動体31(図2参照)、表示画面28等を主に備える。可動体31は、表示画面28の周囲に設けられる。可動体31は、可動部を動作させることで各種演出を行う。
【0019】
表示画面28は、センター飾り8の略中央に配置される。表示画面28は、例えばLCD等によって構成されており、様々な画像、映像、文字、数字等を表示可能である。表示画面28は、演出背景に重ねて、第一演出図柄281、第二演出図柄282、主演出図柄283、第一保留図柄284等を表示する。第一演出図柄281は、後述する第一大当り判定の結果を報知するための複数(本実施形態では3つ)の演出用の図柄である。第二演出図柄282は、後述する第二大当り判定の結果を報知するための複数(本実施形態では3つ)の演出用の図柄である。パチンコ機1は、第一報知演出または第二報知演出のうちの一方を表示画面28にて実行できる。第一報知演出は、第一演出図柄281を変動表示させた後に、第一大当り判定の結果を示す組合せで停止表示(確定表示)することで、第一大当り判定の結果を遊技者に報知する演出である。第二報知演出は、第二演出図柄282を変動表示させた後に、第二大当り判定の結果を示す組合せで停止表示(確定表示)することで、第二大当り判定の結果を遊技者に報知する演出である。主演出図柄283は、第一演出図柄281または第二演出図柄282のうち、遊技状態に応じて主に報知を行う図柄を画面の中央部にて大きく表示した複数(本実施形態では3つ)の演出用の図柄である。第一報知演出が行われる場合、第一演出図柄281が主演出図柄283として画面中央部に表示される。第二報知演出が行われる場合、第二演出図柄282が主演出図柄283として画面中央部に表示される。以下、第一報知演出と第二報知演出を総称する場合、またはいずれかを特定しない場合、「報知演出」ともいう。第一保留図柄284は、第一始動口14または始動電動役物15(後述)に入賞し、第一大当り判定の結果がまだ表示されていない遊技球の数を表示するための演出用の図柄である。
【0020】
センター飾り8の略中央下方には、第一始動口14が設けられる。第一始動口14の右斜め下方には、第二始動口16が設けられる。第二始動口16の右斜め上方には、大入賞口17が設けられる。大入賞口17の右斜め上方には、始動電動役物15が設けられる。始動電動役物15の上方には、普通図柄作動ゲート12が設けられる。始動電動役物15と大入賞口17は、それぞれ開閉部材を備える。遊技球は、開閉部材が開放された場合にのみ、始動電動役物15と大入賞口17のそれぞれに入賞できる。以下、開閉部材が閉塞されたときの大入賞口17の状態を、「閉鎖状態」ともいう。開閉部材が開放されたときの大入賞口17の状態を、「開放状態」ともいう。遊技盤2の最下部には、アウト口18が設けられる。遊技領域4には、上記以外に、各種の電飾部材、複数の一般入賞口19、風車、遊技くぎ等が設けられる。
【0021】
遊技盤2の右下部には、図柄表示部24が設けられる。図柄表示部24は、第一特別図柄表示部、第二特別図柄表示部、普通図柄表示部、第一特別図柄記憶数表示LED、第二特別図柄記憶数表示LED、普通図柄記憶数表示LEDを備える。第一特別図柄表示部と第二特別図柄表示部は、それぞれ1つの7セグメントLEDからなり、第一大当り判定と第二大当り判定の結果を示す第一特別図柄と第二特別図柄を表示する。以下、第一大当り判定と第二大当り判定を総称する場合、またはいずれかを特定しない場合、「大当り判定」ともいう。第一特別図柄と第二特別図柄を総称する場合、またはいずれかを特定しない場合、「特別図柄」ともいう。パチンコ機1は、第一特別図柄として、大当りを示す大当り図柄とハズレを示すハズレ図柄を備え、第二特別図柄として、大当り図柄とハズレ図柄に加え、小当りを示す小当り図柄を備える。
【0022】
普通図柄表示部は、LEDの点灯と消灯によって普通当り判定の結果を表示する。第一特別図柄記憶数表示LEDと第二特別図柄記憶数表示LEDは、大当り判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数である特別図柄保留球数を表示する。普通図柄記憶数表示LEDは、普通当り判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数である普通図柄保留球数を表示する。また、遊技盤2の後面側には、遊技の主制御、各種演出等を制御する制御部40(図2参照)が設けられる。
【0023】
遊技球発射装置37によって発射された遊技球は、ガイドレール3によって遊技領域4へ導かれ、遊技領域4内を流下する。所定の強度未満の第一発射強度で発射された遊技球は、遊技領域4内で、センター飾り8左側の左領域4L内を流下する。以下、左領域4L内を流下するように発射ハンドル7の回転角度を調整して遊技球を発射することを「左打ち」という。左打ちされた遊技球は、センター飾り8の右側に設けられた始動電動役物15、第二始動口16よりも、センター飾り8の下方に設けられた第一始動口14や、一般入賞口19に入賞しやすい。所定の強度以上の第二発射強度で発射された遊技球は、遊技領域4内で、センター飾り8右側の右領域4R内を流下する。以下、右領域4R内を流下するように発射ハンドル7の回転角度を調整して遊技球を発射することを「右打ち」という。右打ちされた遊技球は、第一始動口14よりも始動電動役物15と第二始動口16に入賞しやすい。
【0024】
大入賞口17は、センター飾り8の右下方に設けられるので、開放中の大入賞口17には、左打ちされた遊技球よりも右打ちされた遊技球の方が入賞しやすい。遊技領域4を流下する遊技球のうち、第一始動口14、始動電動役物15、第二始動口16、大入賞口17、その他の一般入賞口19のいずれにも入賞せず遊技領域4の下部まで流下した遊技球は、アウト口18を通過し、遊技領域4外へ排出される。
【0025】
また、詳しくは後述するが、パチンコ機1は、大入賞口17が閉鎖されており、始動電動役物15の開閉部材が開放されにくい遊技状態である通常遊技状態(以下、「通常状態」という)を備える。通常状態において右打ちされた遊技球は、大入賞口17には入賞不可能であり、始動電動役物15にもほぼ入賞しないので、第二始動口16に入賞するか、もしくはアウト口18を通過する。本実施形態では、通常状態において右打ちされた遊技球は、約25%が第二始動口16に入賞する。また、通常状態において左打ちされた遊技球は、約6%が第一始動口14に入賞する。つまり、パチンコ機1では、通常状態において右打ちされた遊技球が第二始動口16に入賞する割合は、通常状態において左打ちされた遊技球が第一始動口14に入賞する割合よりも高い。
【0026】
また、パチンコ機1では、第一始動口14、始動電動役物15、第二始動口16、大入賞口17、一般入賞口19に遊技球が入賞した場合、賞球払出装置49(図2参照)によって、それぞれ、所定数(本実施形態では、4個、1個、3個、10個、10個)の賞球が払い出される。なお、賞球数はこれらに限定されない。
【0027】
次に、パチンコ機1における遊技を概略的に説明する。まず、パチンコ機1の当り遊技を説明する。パチンコ機1には、大当り遊技、小当り遊技、普通当り遊技が設けられる。大当り遊技では、大入賞口17が複数回開閉される遊技(いわゆるラウンド遊技)が行われる。大入賞口17の1回の開閉を「1ラウンド(1R)」という。大入賞口17は、各ラウンドにおいて最大開放時間(本実施形態では30秒)の経過、規定上限数(本実施形態では9個)の遊技球の入賞のいずれかの条件が満たされると閉鎖される。遊技者は、大入賞口17に遊技球が入賞しやすい右打ちで大当り遊技を消化する。遊技者は、大入賞口17に遊技球を入賞させることにより、多数の賞球を獲得できる。
【0028】
本実施形態の大当り遊技は、15R大当り遊技、5R大当り遊技、2R大当り遊技を含む。15R大当り遊技では、1回の大当り遊技中に大入賞口17が15回開閉され、1Rあたり最大30秒間開放される。5R大当り遊技では、1回の大当り遊技中に大入賞口17が5回開閉され、1Rあたり最大30秒間開放される。2R大当り遊技では、1回の大当り遊技中に大入賞口17が2回開閉され、1Rあたり最大0.6秒間開放される。ラウンド数が多い大当り遊技の方が、獲得可能な賞球数が多くなるので、遊技者にとって有利である。なお、詳しくは後述するが、本実施形態では大当り遊技の前後で遊技状態が変化する場合がある。
【0029】
小当り遊技では、大入賞口17が開閉される遊技が少なくとも1回(本実施形態では、1回)行われる。大入賞口17は、最大開放時間(本実施形態では、1.2秒)の経過、規定上限数(本実施形態では9個)の遊技球の入賞のいずれかの条件が満たされると閉鎖される。なお、本実施形態では、遊技球発射装置37によって遊技球が発射される所定の間隔が0.6秒であるので、9個の遊技球が発射されるのに必要な時間は少なくとも5.4秒である。小当り遊技における大入賞口17の最大開放時間1.2秒は、9個の遊技球が発射されるのに必要な時間5.4秒よりも短い。このため、本実施形態では、小当り遊技中に規定上限数(9個)の遊技球が大入賞口17に入賞することは実質ない。
【0030】
遊技者は、大入賞口17に遊技球が入賞しやすい右打ちで小当り遊技を消化する。遊技者は、大入賞口17に遊技球を入賞させることにより、賞球を獲得できる。小当り遊技における大入賞口17の1回の最大開放時間(1.2秒)は、大当り遊技における大入賞口17の1回の最大開放時間(30秒)よりも短い。すなわち、最大開放時間が長いほど獲得可能な賞球数が多くなるので、大当り遊技の方が小当り遊技よりも遊技者にとって有利である。なお、1回の小当り遊技における大入賞口17の最大開放時間(1.2秒)は、遊技球発射装置37によって遊技球が発射される所定の間隔(0.6秒)よりも長い時間に設定される。これにより、小当り遊技では、遊技球発射装置37によって発射された遊技球が大入賞口17に1個以上入賞しやすくなる。また、本実施形態では、遊技球が大入賞口17に入賞した場合に払い出される賞球数が10個であるので、遊技者の持ち球は小当り遊技によって増加する。なお、小当り遊技は、小当り遊技の前後で遊技状態が変化しない点においても、大当り遊技とは異なる。
【0031】
普通当り遊技では、始動電動役物15が少なくとも1回(本実施形態では、3回)開閉される。本実施形態では、遊技球が始動電動役物15に入賞した場合に払い出される賞球数は1個であるので、普通当り遊技が継続して行われていたとしても、遊技者の持ち球は減少する。パチンコ機1は、普通当り遊技が継続して行われる場合に単位時間あたりに遊技者が獲得可能な賞球数が、小当り遊技が継続して行われる場合に単位時間あたりに遊技者が獲得可能な賞球数よりも少なくなるように構成される。
【0032】
次に、パチンコ機1の遊技状態を説明する。以下、大当り判定によって大当りと判定される確率を、「大当り確率」という。パチンコ機1は、大当り確率が通常の確率(本実施形態では、約1/319)である非確率変動状態(以下、「非確変状態」という)と、通常の確率よりも高い確率(本実施形態では、約1/48)である確率変動状態(以下、「確変状態」という)とを、大当り遊技の終了後に生起させることができる。また、パチンコ機1は、始動電動役物15が開放状態にされる割合が通常の割合である非時短状態と、始動電動役物15が開放状態にされる割合が非時短状態よりも高くなる時短状態とを、大当り遊技の終了後に生起させることができる。パチンコ機1は、これらの組合せにより、「非確変非時短状態」(上記の通常状態)、「非確変時短状態」、「確変非時短状態」、「確変時短状態」の4つの遊技状態のいずれかを、大当り遊技の終了後に生起する。なお、パチンコ機1は、本実施形態に限られず、少なくとも2つの遊技状態に区分けされていれば、5つ以上の遊技状態に区分けされてもよい。
【0033】
普通当り判定を説明する。遊技球が普通図柄作動ゲート12を通過すると、普通当りまたはハズレを判定する普通当り判定が行われる。普通当り判定の結果が普通当りであれば、普通当り遊技が実行される。以下、普通当り判定によって普通当りと判定される確率を、「普通当り確率」という。本実施形態では、時短状態の普通当り確率(本実施形態では、99/100)を非時短状態の普通当り確率(本実施形態では、1/100)よりも高くすることにより、時短状態において始動電動役物15が開放状態にされる割合が非時短状態よりも高くなるように構成される。なお、パチンコ機1は、時短状態において始動電動役物15が開放状態にされる回数や時間を非時短状態よりも増加させることにより、時短状態において始動電動役物15が開放状態にされる割合が非時短状態よりも高くなるように構成されてもよい。
【0034】
第一大当り判定を説明する。遊技球が第一始動口14、または普通当り遊技中に開放された始動電動役物15に入賞すると、第一大当りまたはハズレを判定する第一大当り判定が行われる。第一大当り判定の結果が第一大当りであれば、大当り遊技が実行される。なお、本実施形態では、第一大当り判定において小当りと判定されることはないが、小当りと判定され得る構成が採用されてもよい。
【0035】
第二大当り判定を説明する。遊技球が第二始動口16に入賞すると、第二大当り、小当り、またはハズレを判定する第二大当り判定が行われる。第二大当り判定の結果が第二大当りであれば、大当り遊技が実行される。また、第二大当り判定の結果が小当りであれば、小当り遊技が実行される。なお、第二大当り判定によって小当りと判定される小当り確率(本実施形態では、約1/1.03)は、遊技状態によらず一定であり、確変状態の大当り確率(本実施形態では、約1/48)よりも高く設定される。
【0036】
本実施形態では、大当り遊技が実行されておらず、且つ第一特別図柄の変動表示が実行されていない場合に、第一大当り判定が行われる。パチンコ機1は、第二特別図柄の変動表示が実行されていても第一大当り判定を実行可能である。また、本実施形態では、大当り遊技が実行されておらず、且つ第二特別図柄の変動表示が実行されていない場合に、第二大当り判定が実行される。パチンコ機1は、第一特別図柄の変動表示が実行されていても第二大当り判定を実行可能である。つまり、本実施形態のパチンコ機1は、第一特別図柄と第二特別図柄を同時に変動可能な機種である。
【0037】
図2を参照し、パチンコ機1の電気的構成について説明する。パチンコ機1の制御部40は、主制御基板41、サブ制御基板58、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、払出制御基板45、中継基板47、電源基板42を主に備える。
【0038】
主制御基板41は、パチンコ機1の主制御を司る。主制御基板41は、主制御基板CPUユニット50を備える。主制御基板CPUユニット50は、各種の演算処理を行うCPU51と、データを一時的に記憶するRAM52と、制御プログラム等を記憶したROM53とを備える。主制御基板CPUユニット50は、割込信号発生回路57と電気的に接続する。主制御基板41は、割込信号発生回路57から割込信号が入力される毎にプログラムを実行する。
【0039】
主制御基板41は、I/Oインタフェイス54を介して、サブ制御基板58、払出制御基板45、中継基板47、出力ポート55、第一始動口スイッチ71、始動電動役物スイッチ72、第二始動口スイッチ73と電気的に接続する。出力ポート55は、パチンコ機1の外部に設けられたホールコンピュータ(図示略)にパチンコ機1を接続するためのインタフェイスである。主制御基板41は、出力ポート55を介して、ホールコンピュータに各種情報を出力する。ホールコンピュータは、遊技場にある全遊技機を統括的に管理する。第一始動口スイッチ71は、第一始動口14に設けられ、第一始動口14に入賞した遊技球を検出する。始動電動役物スイッチ72は、始動電動役物15に設けられ、始動電動役物15に入賞した遊技球を検出する。第二始動口スイッチ73は、第二始動口16に設けられ、第二始動口16に入賞した遊技球を検出する。
【0040】
サブ制御基板58は、主制御基板41から出力される制御コマンドに従って、演出等の総合的な制御を行う。サブ制御基板58は、CPU61、RAM62、ROM63を備え、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、操作ボタン9C、スピーカ48と電気的に接続する。ランプドライバ基板46は、前面枠10の電飾部材35、センター飾り8の各種照明、操作ボタン9Cに内蔵するLED等の発光動作、および可動体31の動作等を制御する。演出制御基板43は、CPU431、CGROM432等を備え、サブ制御基板58から受信する制御コマンドに従って表示画面28の表示を制御する。CGROM432は、各種演出に用いるための動画および静止画の画像データを記憶する。操作ボタン9C、左右ボタン9L,9Rは、遊技者の操作に応じて検出信号をサブ制御基板58に出力する。スピーカ48は、サブ制御基板58から送信されるデジタルの音信号をアナログの音に変換して出力する。
【0041】
払出制御基板45は、CPU451等を備える。払出制御基板45は、主制御基板41から出力される制御コマンドに従って賞球払出装置49の動作を制御し、遊技球の入賞に応じた所定数の遊技球を賞球として払い出させる。
【0042】
中継基板47は、普通電動役物開閉ソレノイド69、大入賞口開閉ソレノイド70、普通図柄作動スイッチ74、大入賞口スイッチ75、複数の一般入賞口スイッチ76、図柄表示部24と電気的に接続する。普通電動役物開閉ソレノイド69は、普通当り遊技中に始動電動役物15の開閉部材を開閉する。大入賞口開閉ソレノイド70は、大当り遊技中に大入賞口17の開閉部材を開閉する。普通図柄作動スイッチ74は、普通図柄作動ゲート12に設けられ、普通図柄作動ゲート12を通過した遊技球を検出する。大入賞口スイッチ75は、大入賞口17に設けられ、大入賞口17に入賞した遊技球を検出する。複数の一般入賞口スイッチ76は、それぞれ対応する一般入賞口19に入賞した遊技球を検出する。
【0043】
電源基板42は、主制御基板41、遊技球発射装置37と電気的に接続し、各基板と遊技球発射装置37に直流の安定化した電力を供給する。遊技球発射装置37は、一定間隔(本実施形態では0.6秒)毎に、遊技球を1個ずつ遊技領域4へ向けて発射する。なお、第一発射強度で遊技球が発射された場合も、第二発射強度で遊技球が発射された場合も、発射間隔は一定である。
【0044】
図3を参照し、RAM52に記憶する第一大当り情報記憶エリア110について説明する。第一大当り情報記憶エリア110は、第一特別図柄処理(図9、S6参照)において使用される。第一大当り情報記憶エリア110には、第一始動口14または始動電動役物15に遊技球が入賞した場合に取得される乱数が記憶される。第一大当り情報記憶エリア110には、エリア番号に対応付けた複数の記憶エリアが設けられる。エリア番号は例えば昇順に設定され、エリア番号記憶エリア111に記憶される。第一大当り情報記憶エリア110には、エリア番号記憶エリア111に対応付けて、第一大当り乱数記憶エリア112、第一普通図柄決定乱数記憶エリア113、第一変動パターン決定乱数記憶エリア114、ポインタ記憶エリア115が設けられる。
【0045】
遊技球が第一始動口14または始動電動役物15に入賞すると、第一大当り乱数カウンタ、第一特別図柄決定乱数カウンタ、第一変動パターン決定乱数カウンタのそれぞれの値が乱数として取得される。第一大当り乱数は、第一大当り判定に用いられる。第一特別図柄決定乱数は第一特別図柄の決定に用いられる。第一変動パターン決定乱数は第一変動パターンの決定に用いられる。第一変動パターンは、図柄表示部24の第一特別図柄表示部に表示される第一特別図柄の変動時間を示す。第一大当り乱数とともに取得されて第一大当り情報記憶エリア110に記憶される各種乱数を総称し、「第一乱数」ともいう。第一始動口14または始動電動役物15に入賞した遊技球に対し、第一大当り判定を保留して第一乱数を記憶しておくことのできる数(最大第一保留球数)は「4」である。なお、最大第一保留球数は、「4」に限らず、「0」でもよいし、「1」~「3」または「5」以上であってもよい。遊技球が第一始動口14または始動電動役物15に入賞した際に、最大第一保留球数が4未満(0~3)であれば、エリア番号の小さい記憶エリアから順に、第一乱数が記憶される。
【0046】
ポインタ記憶エリア115には、取得された第一乱数に対する処理が未だ行われていない記憶エリアに対応するエリア番号を指し示すポインタが記憶される。ポインタ記憶エリア115には、第一乱数の取得順に、保留[1]~保留[4]の4つのポインタが設けられる。保留[1]~保留[4]の各ポインタは、エリア番号を、その値が小さい順にそれぞれ指し示す。
【0047】
主制御基板41のCPU51は、保留[1]のポインタが示すエリア番号に対応する第一乱数を判定エリア118に書き込み(シフトされ)、ポインタを更新して、第一大当り判定等の各種処理を行う。CPU51は、第一変動パターンに従って、第一特別図柄の変動を開始する。パチンコ機1において、第一特別図柄の変動時間は、第一大当り判定の結果を遊技者に報知する報知演出の演出時間に等しい。サブ制御基板58は、主制御基板41で決定された第一変動パターンに従って報知演出を制御する。サブ制御基板58は、第一特別図柄の変動開始に同期して、第一演出図柄281の変動表示を開始する。
【0048】
主制御基板41のCPU51は、変動を開始した第一特別図柄の変動時間が終了すると、変動させていた第一特別図柄を、所定の時間(本実施形態では、0.8秒)の間、停止表示させる。サブ制御基板58は、第一特別図柄の停止表示に同期して、第一演出図柄281を停止表示させる。また、サブ制御基板58は、第一演出図柄281による演出の他、表示画面28に表示する背景画像や主演出図柄283、また、前面枠10の電飾部材35、センター飾り8の各種照明、操作ボタン9Cに内蔵するLED等の発光動作、可動体31の動作、スピーカ48の発音等によっても、第一変動パターンと同期した報知演出を実行する。
【0049】
報知演出が終了すると、主制御基板41のCPU51は、更新後の保留[1]のポインタが示すエリア番号に対応する第一乱数を判定エリア118に書き込み、第一大当り判定等の処理を繰り返す。なお、処理が終了した第一乱数は、適宜消去してもよい。
【0050】
また、RAM52には、第二大当り情報記憶エリア(図示略)と普通当り情報記憶エリア(図示略)も記憶される。第二大当り情報記憶エリアは、第二特別図柄処理(図9、S7参照)において使用される。第二大当り情報記憶エリアには、第一大当り情報記憶エリアと同様に、複数の記憶エリアが設けられる。第二始動口16に遊技球が入賞した際に、第二特別図柄が変動中または停止表示中でなければ、第二大当り乱数カウンタ、第二特別図柄決定乱数カウンタ、第二変動パターン決定乱数カウンタのそれぞれの値が乱数として取得される。第二大当り乱数とともに取得される各種乱数を総称し、「第二乱数」ともいう。取得された第二乱数は、エリア番号の小さい記憶エリアから順に記憶される。本実施形態では、第二大当り判定を保留して第二乱数を記憶しておくことのできる数(最大第二保留球数)は「0」である。従って第二乱数は、第二大当り情報記憶エリアに記憶されると、判定エリアにも書き込まれ、第一大当り判定と同様に、第二大当り判定が行われる。そして、第二大当り判定の結果の報知が終了するまで、新たな第二乱数は取得されない。なお、パチンコ機1は、第二始動口16に入賞した遊技球に対して、大当たり判定を保留して乱数を記憶できてもよい。
【0051】
以下の説明では、第一大当り乱数と第二大当り乱数を総称する場合、またはいずれかを特定しない場合、「大当り乱数」ともいう。また、第一変動パターン決定乱数と第二変動パターン決定乱数を総称する場合、またはいずれかを特定しない場合、「変動パターン決定乱数」ともいう。また、第一大当り情報記憶エリアと第二大当り情報記憶エリアを総称する場合、またはいずれかを特定しない場合、「大当り情報記憶エリア」ともいう。また、大当り情報記憶エリアに記憶された状態で大当り判定が保留される大当り乱数、大当り判定が保留される大当り乱数とともに取得されて大当り情報記憶エリアに記憶される各種乱数を総称して「保留乱数」という。保留乱数のうち第一大当り情報記憶エリアに記憶される第一保留乱数の数は、第一保留球数に対応する。
【0052】
普通当り情報記憶エリアは、普通図柄処理(図9、S10参照)において使用される。普通当り情報記憶エリアには、普通図柄作動ゲート12への遊技球の通過時に取得される普通当り乱数が記憶される。普通図柄作動ゲート12を通過した遊技球に対し、普通当り判定を保留して普通当り乱数を記憶しておくことのできる数(最大普通保留球数)は「4」である。なお、最大普通保留球数は、「4」に限らず、「0」でもよいし、「1」~「3」または「5」以上であってもよい。普通当り情報記憶エリアは第一大当り情報記憶エリア110と同様に構成され、遊技球が普通図柄作動ゲート12を通過した際に、最大普通保留球数が4未満(0~3)であれば、エリア番号の小さい記憶エリアから順に、普通当り乱数が記憶される。
【0053】
図4図5を参照し、ROM53に記憶する第一特別図柄決定テーブル140と第二特別図柄決定テーブル150について説明する。パチンコ機1は、大当り判定の結果が大当りである場合に、大当り判定の種別に応じ、第一特別図柄決定テーブル140または第二特別図柄決定テーブル150を参照する。第一特別図柄決定テーブル140は、第一大当り判定によって第一大当りと判定された場合に参照される。第二特別図柄決定テーブル150は、第二大当り判定によって第二大当りと判定された場合に参照される。
【0054】
第一特別図柄決定テーブル140と第二特別図柄決定テーブル150には、複数種類の第一特別図柄または第二特別図柄が割り当てられており、各特別図柄と特別図柄決定乱数の値(0~99)とが対応付けられる。各特別図柄は、複数の大当り種別のいずれかに分類される。大当り判定によって大当りと判定されると、特別図柄決定乱数の値に対応する特別図柄が決定される。決定された特別図柄に対応する大当り種別に応じて、ラウンド数、大当り遊技の終了後に確変状態が生起されるか否か、生起される時短状態の継続条件等が決定される。パチンコ機1では、第一大当り判定の結果が第一大当りの場合に「大当りA~C」となる割合は、それぞれ、35%、15%、50%である。第二大当り判定の結果が第二大当りの場合に「大当りD~H」となる割合は、それぞれ、10%、25%、25%、35%、5%である。
【0055】
「大当り種別」欄の「確変状態/非確変状態」は、大当り遊技の終了後に確変状態が生起されるか否かを示す。「大当り種別」欄の「時短回数」は、大当り遊技の終了後に生起される時短状態の継続条件を示す。「40回」は、時短回数が40回であることを示し、大当り遊技の終了後に行われた第一大当り判定、第二大当り判定によって連続して大当り以外と判定された回数(以下、「判定回数」という)が40回に達するまで時短状態が継続することを示す。「次回まで」は、大当り遊技の終了後から次回の大当り遊技が開始されるまで、時短状態が継続することを示す。本実施形態では、時短回数として「65535回」がセットされることによって、実質的に、「次回まで」時短状態が継続する。「0回」は、大当り遊技の終了後に時短状態が生起されない(つまり、非時短状態が生起される)ことを示す。「大当り種別」欄の「ラウンド数」は、1回の大当り遊技中に繰り返される大入賞口17の開閉回数を示す。
【0056】
図6図7を参照し、ROM53に記憶する第一変動パターン決定テーブル160と第二変動パターン決定テーブル170について説明する。パチンコ機1は、大当り判定の種別に応じて、第一変動パターン決定テーブル160または第二変動パターン決定テーブル170を参照する。第一変動パターン決定テーブル160は、第一大当り判定が行われた場合に参照される。第二変動パターン決定テーブル170は、第二大当り判定が行われた場合に参照される。
【0057】
第一変動パターン決定テーブル160、第二変動パターン決定テーブル170は、大当り判定時の遊技状態(通常状態、確変時短状態、確変非時短状態、非確変時短状態)と、大当り判定の結果(大当り、小当り、ハズレ)に応じて、複数のテーブルを備える。各テーブルには1または複数種類の変動パターンが割り当てられており、各変動パターンと変動パターン決定乱数の値(0~511)とが対応付けられる。例えば第一大当り判定が行われると、第一変動パターン決定テーブル160において、その時点の遊技状態と判定結果とに応じたテーブルが参照され、大当り乱数とともに取得される変動パターン決定乱数の値に対応する変動パターンが1つ決定される。
【0058】
通常状態、確変時短状態または非確変時短状態において第一大当り判定が行われると、判定結果と変動パターン決定乱数に応じて非リーチまたはリーチ演出A~Gのいずれかの変動パターンが決定される。また、確変非時短状態において第二大当り判定が行われると、判定結果と変動パターン決定乱数に応じて非リーチまたはリーチ演出HもしくはIの変動パターンが決定される。「リーチ演出」とは、例えば3つの主演出図柄283(第一演出図柄281または第二演出図柄282)のうち2つが同じ図柄で停止するリーチ状態が構成された後に、大当りの可能性があることを示す演出を実行する報知演出である。「非リーチ」の変動パターンは、リーチ状態に至ることなく演出が終了する報知演出であり、本実施形態では、大当り判定の結果がハズレの場合にのみ決定される。
【0059】
第一変動パターン決定テーブル160において、確変非時短状態における第一大当り判定の結果が第一大当りの場合には、非表示パターンAの変動パターンが割り当てられ、ハズレの場合には、非表示パターンBの変動パターンが割り当てられる。また、第二変動パターン決定テーブル170において、通常状態、確変時短状態または非確変時短状態における第二大当り判定の結果が第二大当りの場合には、非表示パターンCの変動パターンが割り当てられる。「非表示パターン」の変動パターンが決定されると、報知演出が行われない。
【0060】
通常状態、確変時短状態または非確変時短状態において、第二大当り判定の結果がハズレまたは小当りの場合には、長時間パターンAまたはBが割り当てられる。「長時間変動パターン」は、リーチ演出における最も長い変動時間(本実施形態ではリーチ演出Dの30秒)よりも長い、変動時間が600秒以上の変動パターンである。パチンコ機1は、第一特別図柄と第二特別図柄を同時に変動可能であるが、通常状態、確変時短状態または非確変時短状態においては主に第一大当り判定が行われ、確変非時短状態では主に第二大当り判定が行われる。故に、通常状態、確変時短状態または非確変時短状態における第二大当り判定の結果がハズレまたは小当りの場合、変動時間を長くすることで、パチンコ機1は、第二大当り判定が頻繁に行われないようにしている。
【0061】
通常状態、確変時短状態または非確変時短状態において第二大当たり判定が行われた場合に決定される長時間変動パターンの変動時間の平均は、通常状態において第一大当たり判定が行われた場合に決定されるリーチ演出A~Dの変動時間の平均よりも長い。また、確変非時短状態中において第二大当たり判定が行われた場合に決定されるリーチ演出H,Iの変動時間の平均は、通常状態において第一大当たり判定が行われた場合に決定されるリーチ演出A~Dの変動時間の平均よりも短い。
【0062】
パチンコ機1において、主制御基板41は、決定した変動パターンに応じて決められる変動時間だけ、第一特別図柄または第二特別図柄を変動させる。サブ制御基板58は、主制御基板41で決定された変動パターンに従って報知演出を制御する。サブ制御基板58は、通常状態、確変時短状態または非確変時短状態においては第一報知演出を行い、確変非時短状態においては第二報知演出を行う。第一特別図柄、第二特別図柄の変動時間は、それぞれ、第一報知演出、第二報知演出の演出時間に等しい。
【0063】
具体的に、主制御基板41は、第一変動パターン決定乱数に基づく第一変動パターンに従って、第一特別図柄の変動を開始する。また、主制御基板41は、第二変動パターン決定乱数に基づく第二変動パターンに従って、第二特別図柄の変動を開始する。主制御基板41は、変動パターン決定テーブルが参照されて決定された変動パターンを指定する制御コマンドである変動パターン指定コマンドを、サブ制御基板58へ送信する。サブ制御基板58は、通常状態、確変時短状態または非確変時短状態においては第一特別図柄の変動開始に同期して、第一演出図柄281と主演出図柄283の変動表示を開始する。また、確変非時短状態においては第二特別図柄の変動開始に同期して、第二演出図柄282と主演出図柄283の変動表示を開始する。
【0064】
主制御基板41は、変動を開始した第一特別図柄、第二特別図柄の変動時間が終了すると、それぞれ、変動させていた第一特別図柄、第二特別図柄を、所定の停止表示時間(本実施形態では0.8秒)の間、停止表示させる。サブ制御基板58は、第一特別図柄または第二特別図柄の停止表示時間に同期して、第一演出図柄281または第二演出図柄282と主演出図柄283を停止表示させる。また、サブ制御基板58は、第一演出図柄281、第二演出図柄282、主演出図柄283による他、電飾部材35、表示画面28、可動体31、スピーカ48等によっても、変動パターン指定コマンドによって指定された変動パターンに応じて報知演出を実行する。
【0065】
図8を参照し、パチンコ機1の遊技の流れと遊技状態の遷移について、通常状態において大当りした場合を例に挙げて説明する。前述したように、通常状態において第二大当り判定が行われた場合に決定される長時間変動パターンの変動時間の平均は、通常状態において第一大当り判定が行われた場合に決定されるリーチ演出A~Dの変動時間の平均よりも長い。変動時間が短い程、大当り判定によって単位時間あたりに判定される回数は多くなる。よって、通常状態では、単位時間あたりに第二大当り判定がなされる回数は、単位時間あたりに第一大当り判定がなされる回数よりも少ない。また、通常状態において、第一大当り判定における大当り確率と第二大当り判定における大当り確率は等しい。よって、単位時間あたりに大当り判定がなされる回数が多い程、単位時間あたりに大当り遊技が実行される可能性が高くなる。
【0066】
また、前述したように、始動電動役物15の開閉部材は、普通当り判定の結果が普通当りである場合に開放される。そして、時短状態における普通当り確率は、通常状態(つまり非時短状態)における普通当り確率より高い。故に、通常状態において始動電動役物15の開閉部材が開放される割合は、時短状態において始動電動役物15の開閉部材が開放される割合よりも低い。故に、通常状態において、遊技球が始動電動役物15に入賞することはほとんどない。
【0067】
さらに、本実施形態では、通常状態において右打ちされた遊技球の約25%(すなわち4個中1個)が第二始動口16に入賞する。第二始動口16に遊技球が入賞した場合の賞球数は3個である。よって、通常状態において右打ちが継続して行われた場合には、遊技者の持ち球は微減する。加えて、通常状態において、第二大当り判定の結果がハズレまたは小当りの場合、変動時間が600秒以上の長時間変動パターンが決定されるので、第二大当り判定はおよそ10分に1回しか行われない。さらに、第二大当り判定の保留が行われないので、第二特別図柄の変動中に第二始動口16に入賞した遊技球に対して第二乱数は取得されない。従って、通常状態では、右打ちを行うよりも左打ちを行う方が遊技者にとって有利である。よって、遊技者は、通常状態には左打ちを行うことで遊技を進める。その結果、通常状態に実行される大当り判定は、ほぼ第一大当り判定となる。
【0068】
通常状態において第一大当り判定によって第一大当りと判定されると、5R大当り遊技が行われる。この大当り遊技が終了すると、遊技状態は、非確変時短状態(35%)、確変時短状態(15%)、確変非時短状態(50%)のいずれかに移行する。以下、各遊技状態に移行した場合について、場合分けをして説明する。
【0069】
通常状態から第一大当りに基づく大当り遊技を介して非確変時短状態に移行した場合について説明する。非確変時短状態では普通当り確率が高いので、始動電動役物15の開閉部材が開放される割合は非時短状態よりも高い。このため、非確変時短状態では、左打ちされた遊技球が第一始動口14に入賞する割合よりも、右打ちされた遊技球が始動電動役物15に入賞する割合の方が高い。故に非確変時短状態では、左打ちよりも右打ちを行う方が、遊技者にとって有利である。よって遊技者は、非確変時短状態には右打ちを行うことで遊技を進める。
【0070】
第二始動口16は始動電動役物15の下方に位置するので、右打ちされた遊技球のうち、始動電動役物15に入賞しなかった遊技球は、第二始動口16に入賞し得る。ただし、時短状態において右打ちされた遊技球は、その一部が始動電動役物15に入賞する。故に、始動電動役物15に入賞せずに第二始動口16に入賞する遊技球の割合は、通常状態において第二始動口16に入賞する割合(約25%)よりも低い。なお、本実施形態では、非確変時短状態において右打ちされた遊技球が第二始動口16に入賞する割合は、約10%である。
【0071】
ところで、非確変時短状態において第二大当り判定の結果がハズレまたは小当りの場合には、変動時間が600秒以上の長時間パターンが決定される。従って、非確変時短状態では、遊技球が第二始動口16に入賞し得るものの、入賞したとしても実質的に第二大当り判定はほぼ行われない。なお、前述したように、本実施形態のパチンコ機1は、第二大当り判定に基づいて第二特別図柄の変動表示が実行されていても、第一大当り判定を行うことができる。その結果、非確変時短状態に実行される大当り判定は、ほぼ第一大当り判定となる。
【0072】
非確変時短状態では、判定回数が時短回数(本実施形態では40回または65535回)に達すると、大当り遊技を介さずに非確変時短状態から通常状態に移行する。一方、判定回数が時短回数に達するまでに第一大当り判定によって第一大当りと判定された場合には、5R大当り遊技が行われる。この大当り遊技が終了すると、通常状態において第一大当り判定によって第一大当りと判定されたときと同様に、遊技状態は、非確変時短状態、確変時短状態、確変非時短状態のいずれかに移行する。
【0073】
通常状態から第一大当りに基づく大当り遊技を介して確変時短状態に移行した場合について説明する。確変時短状態では、非確変時短状態のときと同様に、遊技者は右打ちを行うことで遊技を進める。確変時短状態では、上記した非確変時短状態のときと比べて大当り確率が高くなる点、時短状態が次回の大当りまで継続する点(つまり判定回数が時短回数に達して通常状態に移行することが実質的にない点)が異なる。よって、詳細については説明を省略する。なお、本実施形態では、確変時短状態において右打ちされた遊技球が第二始動口16に入賞する割合は、約10%である。
【0074】
通常状態から第一大当りに基づく大当り遊技を介して確変非時短状態に移行した場合について説明する。前述したように、確変非時短状態において第二大当り判定が行われた場合に決定されるリーチ演出H,Iの変動時間の平均は、通常状態において第一大当り判定が行われた場合に決定されるリーチ演出A~Dの変動時間の平均よりも短い。つまり、上記した非確変時短状態、確変時短状態のときと異なり、第二大当り判定の結果を報知するためのリーチ演出H,Iの変動時間は3秒~5秒と短い。よって、確変非時短状態において、単位時間あたりに第二大当り判定がなされる回数は、単位時間あたりに第一大当り判定がなされる回数よりも多い。従って、確変非時短状態では、左打ちを行うよりも右打ちを行う方が遊技者にとって有利である。よって遊技者は、確変非時短状態には右打ちを行うことで遊技を進める。また、確変非時短状態では普通当り確率が低いので、始動電動役物15の開閉部材が開放される割合は時短状態よりも低い。よって確変非時短状態では、遊技球が始動電動役物15に入賞することはほぼない。その結果、確変非時短状態に実行される大当り判定は、ほぼ第二大当り判定となる。
【0075】
第二大当り判定では、小当り確率は約1/1.03と非常に高く設定される。このため、第二大当り判定の多くが小当りと判定される。小当りと判定されると、小当り遊技が行われる。前述したように、小当り遊技の前後では遊技状態は変化しないので、遊技者は、第二大当りと判定されるまで、頻発する小当り遊技にて賞球を獲得することとなる。つまり、確変非時短状態は、小当り遊技が頻発して実行される、いわゆる小当りラッシュの状態である。小当りラッシュ中は大入賞口17が頻繁に開放されるので、大入賞口17に入賞せずに第二始動口16に入賞する遊技球の割合は、通常状態において第二始動口16に入賞する割合(約25%)よりも低い。なお、本実施形態では、確変非時短状態において右打ちされた遊技球が第二始動口16に入賞する割合は、約23%である。
【0076】
第二大当り判定によって第二大当りと判定されると、15R大当り遊技、5R大当り遊技、または2R大当り遊技が行われる。この大当り遊技が終了すると、遊技状態は、通常状態(25%)、非確変時短状態(10%)、確変非時短状態(65%)のいずれかに移行する。確変非時短状態に移行した場合、小当りラッシュの状態が継続する。
【0077】
以上のように、本実施形態では、大当り種別が「大当りC、F~H」の場合、大当り遊技の終了後から次回の大当り遊技の実行開始まで、確変非時短状態が継続する。また、大当り種別が「大当りA、D」の場合、次回の大当り遊技の実行開始まで、または判定回数が時短回数(本実施形態では40回)に達するまで、非確変時短状態が継続する。判定回数が時短回数に達した場合には、遊技状態は通常状態へ移行する。大当り種別が「大当りB」の場合、時短回数が65535回に達するまで、すなわち実質的に、大当り遊技の終了後から次回の大当り遊技の実行開始まで、確変時短状態が継続する。大当り種別が「大当りE」の場合、大当り遊技の終了後に確変状態、時短状態のいずれも生起されず、通常状態となる。なお、時短状態と確変状態は、大当り遊技開始時にも終了する。
【0078】
なお、時短状態の判定回数は、本実施形態の時短回数に限られない。また、確変状態の終了条件は、本実施形態の例に限られない。例えば、パチンコ機1は、判定回数が所定回数に達することで確変状態が終了するいわゆるST機であってもよい。また、パチンコ機1は、大入賞口17の内部に特定領域を設け、大当り遊技中に遊技球が特定領域を通過することを契機として、大当り遊技の終了後に確変状態を生起することとしてもよい。また、パチンコ機1は、1回の大当り判定ごとに確変状態を終了させる転落抽選を行い、転落抽選に当選した場合に確変状態を終了させてもよい。
【0079】
また、本実施形態のパチンコ機1では、通常状態には左打ちを行い、通常状態以外の遊技状態には右打ちを行うことで遊技を進める構成が採用される。パチンコ機1は、例えば通常状態に右打ちを行い、確変時短状態に左打ちを行う遊技を採用してもよい。
【0080】
また、通常状態と非確変時短状態とを比較すると、上述したように非確変時短状態では、左打ちされた遊技球が第一始動口14に入賞する割合よりも、右打ちされた遊技球が始動電動役物15に入賞する割合の方が高くなる。さらに、第一特別図柄の変動時間の平均時間が通常状態よりも非確変時短状態の方が短くなるように設定される。従って、非確変時短状態の方が通常状態よりも第一大当り判定が実行される頻度が高くなる。結果として、大当り遊技が実行される頻度は非確変時短状態の方が通常状態よりも高くなる。すなわち、非確変時短状態の方が通常状態よりも遊技者にとって有利である。
【0081】
また、非確変時短状態と確変時短状態とを比較すると、確変時短状態の方が非確変時短状態よりも大当り確率が高い。従って、大当り遊技が実行される頻度は確変時短状態の方が非確変時短状態よりも高くなる。さらに、非確変時短状態では、判定回数が40回に達すると時短状態が終了して通常状態に移行する一方で、確変時短状態では、実質的に次回の大当りまで時短状態が継続する。従って、確変時短状態の方が非確変時短状態よりも遊技者にとって有利である。
【0082】
また、確変時短状態と確変非時短状態とを比較すると、主に実行される大当り判定の種別が異なる。そのため、確変非時短状態では、第二大当りと判定されるまで頻発する小当り遊技にて賞球を獲得することで遊技者の持ち球が増加する一方で、確変時短状態では、第一大当りと判定されるまで遊技者の持ち球は増加しない。従って、確変非時短状態の方が確変時短状態よりも遊技者にとって有利である。
【0083】
以上より、パチンコ機1では、複数の遊技状態の中で、確変非時短状態が最も遊技者にとって有利であり、確変時短状態、非確変時短状態、通常状態となるに従って、遊技者にとって不利となる。なお、各遊技状態の有利度の序列は本実施形態に限定されず、パチンコ機1は、例えば確変時短状態が最も遊技者にとって有利になるように構成されてもよい。
【0084】
本実施形態のパチンコ機1は、大当りと小当りによって払い出された遊技球の個数をポイント数として表示画面28に表示する。すなわちポイント数は、主に小当りラッシュ中に獲得した賞球数を示す。遊技球が大入賞口17に入賞した場合に払い出される賞球数は10個である。本実施形態のパチンコ機1では、小当りラッシュ中に賞球が払い出される度に、一度に10ポイントがまとめてポイント数に加算されるのではなく、1ポイントずつ加算される様子が表示画面28に表示される。ポイント数の増加が段階的でなくリニアになされると、1回分の賞球に対するポイント数の加算処理に時間がかかるため、処理負荷は比較的高くなる。しかし、小当りラッシュ中に次々と賞球が獲得される状況においては、ポイント数の増加をリニアに行うことにより、1回分の賞球に対するポイント数の加算処理の終了後、続けて次の賞球に対するポイント数の加算処理を行う状況となる。このため、パチンコ機1は、ポイント数の加算が絶え間なく行われるように演出することができる。故に遊技者は、賞球がじわじわと絶え間なく増える出玉感を満喫することができる。このような、ポイント数の加算処理は、後述するサブ制御基板処理において、サブ制御基板58のCPU61が行う。
【0085】
図9図17を参照し、パチンコ機1の主制御基板41が行う処理について説明する。パチンコ機1の主制御は、ROM53に記憶される制御プログラムによって行われる。制御プログラムのメイン処理(図9参照)は、割込信号発生回路57(図2参照)が4ms毎に発生する割込信号をCPU51が感知した際に、CPU51において実行される。以下、フローチャートの各ステップについて「S」と略記する。
【0086】
図9に示すように、メイン処理が開始されると、まず、コマンド出力処理が行われる(S1)。コマンド出力処理では、主制御基板41からサブ制御基板58、払出制御基板45、中継基板47等に制御コマンドが出力される。ここで出力される制御コマンドは、前回実施されたメイン処理においてRAM52に記憶された制御コマンドである。
【0087】
次いで、スイッチ読込処理が行われる(S2)。スイッチ読込処理では、普通図柄作動ゲート12、第一始動口スイッチ71、始動電動役物スイッチ72、第二始動口スイッチ73、普通図柄作動スイッチ74、大入賞口スイッチ75、一般入賞口スイッチ76等の各種スイッチから検出信号が供給されるかが検出される。検出信号が検出された場合は、各種スイッチに対応するフラグ(大入賞口入賞フラグ、第一始動口入賞フラグ、始動電動役物入賞フラグ、第二始動口入賞フラグ、一般入賞口入賞フラグ等)が「ON」となる。このフラグの情報は、後述する第一特別図柄処理、第二特別図柄処理等において参照される。
【0088】
次いで、カウンタ更新処理が行われる(S3)。カウンタ更新処理では、RAM52に記憶される各種乱数のカウンタ(第一大当り乱数カウンタ、第一特別図柄決定乱数カウンタ等)の値が加算され、且つ第一特別図柄変動時間カウンタと第二特別図柄変動時間カウンタの値がそれぞれ減算される。第一特別図柄変動時間カウンタと第二特別図柄変動時間カウンタは、各特別図柄の変動時間を計測するためのタイマカウンタである。なお、第一特別図柄変動時間カウンタの値は、後述する計測停止フラグの状態に基づき、小当り遊技の実行中には減算されない。
【0089】
次いで、特別電動役物処理が行われる(S5)。詳細は後述するが、特別電動役物処理では、大当り遊技、小当り遊技の動作(主に、大入賞口17の開閉部材の開閉動作)を制御するための処理と、大当り遊技の終了後の遊技状態に関する処理とが行われる(図16参照)。
【0090】
次いで、第一特別図柄処理が行われる(S6)。詳細は後述するが、第一特別図柄処理では、第一大当り判定、第一特別図柄の変動パターンの決定、第一特別図柄の決定、遊技状態の移行処理等が行われる(図10図12参照)。
【0091】
次いで、第二特別図柄処理が行われる(S7)。詳細は後述するが、第二特別図柄処理では、第二大当り判定、第二特別図柄の変動パターンの決定、第二特別図柄の決定、遊技状態の移行処理等が行われる(図14図15参照)。
【0092】
次いで、普通電動役物処理が行われる(S8)。普通電動役物処理では、普通当りとなった場合に普通当り遊技の動作を制御するための処理が行われる。CPU51は、時短状態が生起されていれば、非時短状態中よりも長く、始動電動役物15の開閉部材を開放させる。なお、CPU51は、時短フラグが「ON」とされていれば、時短状態中であると判断する。
【0093】
次いで、普通図柄処理が行われる(S10)。普通図柄処理では、普通図柄作動スイッチ74が遊技球を検出することを契機として、普通当り乱数が取得される。取得された乱数に基づいて、普通当り判定、普通図柄の変動を制御するためのコマンドの記憶等の処理が行われる。前述したように、普通当り判定は、時短状態が生起されるか否かに応じて、それぞれの普通当り確率(99/100または1/100)で判定される。
【0094】
次いで、払出処理(S11)、エラーチェック(S12)、情報出力処理(S13)が行われる。詳細は後述するが、払出処理では、賞球の払い出しが制御される。エラーチェックでは、エラーが発生している場合に、表示画面28、スピーカ48等を用いてエラーが報知される。情報出力処理では、ホールコンピュータに各種の情報が出力される。
【0095】
図10図13を参照し、第一特別図柄処理の詳細について説明する。まず、第一特別図柄処理で使用されるフラグについて説明する。RAM52には、前述した第一始動口入賞フラグ、始動電動役物入賞フラグ、第二始動口入賞フラグ、一般入賞口入賞フラグに加えて、大当り遊技状態フラグ、小当り遊技状態フラグ、第一特別図柄表示状態フラグ、確変フラグ、時短フラグ、計測停止フラグ等が記憶される。
【0096】
大当り遊技状態フラグは、大当り遊技中に「1」が記憶されて「ON」となり、大当り遊技中でない場合には「0」が記憶されて「OFF」となる。小当り遊技状態フラグは、小当り遊技中に「1」が記憶されて「ON」となり、小当り遊技中でない場合には「0」が記憶されて「OFF」となる。第一特別図柄表示状態フラグは、第一特別図柄が変動している場合(変動中)に「1」、第一特別図柄が停止表示される場合(停止表示中)に「2」、第一特別図柄が変動中、停止表示中のいずれでもない場合に「0」が記憶される。確変フラグは、確変状態中に「1」が記憶されて「ON」となる。時短フラグは、時短状態中に「1」が記憶されて「ON」となる。計測停止フラグは、第一特別図柄と第二特別図柄の変動時間を計測するためのタイマカウンタである第一特別図柄変動時間カウンタと第二特別図柄変動時間カウンタの値の減算を停止する場合に「1」が記憶されて「ON」となり、減算を停止しない場合には「0」が記憶されて「OFF」となる。なお、後述する第二特別図柄処理においては、第二特別図柄表示状態フラグが使用される。第二特別図柄表示状態フラグは、第一特別図柄表示状態フラグと同様に、第二特別図柄が変動している場合(変動中)に「1」、第二特別図柄が停止表示される場合(停止表示中)に「2」、第二特別図柄が変動中、停止表示中のいずれでもない場合に「0」が記憶される。
【0097】
図10に示すように、第一特別図柄処理が開始されると、第一始動口入賞フラグの状態によって、第一始動口14に遊技球が入賞しているか否かが判断される(S21)。第一始動口入賞フラグが「OFF」の場合(S21:NO)、始動電動役物入賞フラグの状態によって、始動電動役物15に遊技球が入賞しているか否かが判断される(S22)。始動電動役物入賞フラグが「OFF」の場合(S22:NO)、処理はS31(図11参照)へ移行する。
【0098】
第一始動口入賞フラグが「ON」の場合(S21:YES)、もしくは始動電動役物入賞フラグが「ON」の場合(S22:YES)、第一保留球数が「4」であるか否かが判断される(S23)。RAM52に記憶される第一保留球数が「4」であれば(S23:YES)、第一保留球数が最大第一保留球数に達しているので、処理はS31へ移行する。
【0099】
第一保留球数が「4」でない場合には(S23:NO)、RAM52に記憶される第一保留球数に「1」が加算される(S25)。各種乱数が取得され、第一大当り情報記憶エリア(図3参照)におけるエリア番号の小さい空の記憶エリアに記憶される(S26)。具体的には、第一大当り乱数記憶エリア112、第一普通図柄決定乱数記憶エリア113、第一変動パターン決定乱数記憶エリア114に、第一大当り乱数カウンタ、第一特別図柄決定乱数カウンタ、第一変動パターン決定乱数カウンタの値がそれぞれ記憶される。
【0100】
図11に示すように、当り遊技状態(大当り遊技状態または小当り遊技状態)であるか否かが判断される(S31)。大当り遊技状態フラグまたは小当り遊技状態フラグが「ON」の場合、当り遊技状態中であると判断されて(S31:YES)、処理はメイン処理へ戻る。大当り遊技状態フラグと小当り遊技状態フラグがともに「OFF」の場合、当り遊技状態中でないと判断され(S31:NO)、第一特別図柄が変動中か否かが判断される(S32)。第一特別図柄表示状態フラグが「1」でない場合には、第一特別図柄が変動中でないと判断されて(S32:NO)、処理はS51(図12参照)へ移行する。
【0101】
図12に示すように、S51では、第一特別図柄が停止表示中か否かが判断される(S51)。第一特別図柄表示状態フラグが「2」でない場合は、第一特別図柄が停止表示中でないと判断されて(S51:NO)、第一保留球数が「1」以上か否かが判断される(S52)。RAM52に記憶される第一保留球数が「0」であれば(S52:NO)、処理はメイン処理へ戻る。第一保留球数が「1」以上の場合には(S52:YES)、第一大当り情報記憶エリア110にて保留[1]のポインタが示す記憶エリア番号に対応する第一乱数が判定エリア118に書き込まれる(S57)。ポインタが更新され、RAM52の第一保留球数は1減算される(S58)。
【0102】
次に、確変状態であるか否かに応じて第一大当り判定が行われる(S60)。S60では、確変フラグの状態が参照され、現時点において確変状態が生起されているか否かが特定される。図示しないが、ROM53には、第一大当り判定を行うためのテーブルとして、第一低確率判定テーブルと、第一高確率判定テーブルとが記憶される。第一低確率判定テーブルは、非確変状態中の第一大当り判定に用いられるテーブルであり、「大当り」または「ハズレ」に対応する大当り乱数の乱数値が定義される。第一高確率判定テーブルは、確変状態中の第一大当り判定に用いられるテーブルであり、「大当り」または「ハズレ」にそれぞれ対応する大当り乱数の乱数値が定義される。第一高確率判定テーブルにおいて大当りに対応する乱数値の数(例えば65536個中1365個)は、第一低確率判定テーブルにおいて大当りに対応する乱数値の数(例えば65536個中205個)よりも多い。確変状態が生起されている場合には第一高確率判定テーブルが選択され、生起されていない場合には第一低確率判定テーブルが選択される。選択された第一低確率判定テーブルまたは第一高確率判定テーブルが参照され、判定エリア118に記憶される第一乱数のうち、第一大当り乱数が「大当り」または「ハズレ」であるかが判定される。
【0103】
なお、本実施形態では、第二大当り判定の結果が第二大当りの場合の第二特別図柄の変動中に、第一大当り判定が行われる場合がある。この場合、第一大当りと第二大当りとが重複して判定されることを回避するため、大当りを排除して第一大当り判定が行われる。すなわち、「大当り」に対応する乱数値を「ハズレ」に対応する乱数値と定義して第一大当り判定が行われる。これにより、定義される大当り乱数の乱数値がすべて「ハズレ」に対応することになるので、パチンコ機1は、第二大当りと判定されたことに基づく第二特別図柄の変動中に第一大当りと判定されることを回避できる。
【0104】
次いで、第一特別図柄決定処理が行われる(S61)。第一特別図柄決定処理では、第一大当り判定の結果に応じて第一特別図柄が決定される。具体的には、第一大当り判定の結果が大当りの場合、第一特別図柄として大当り図柄が決定される。より詳細には、第一特別図柄決定テーブル140(図4参照)が参照され、判定エリア118に記憶される第一乱数のうち、第一特別図柄決定乱数の値に対応する第一特別図柄が決定される。これにより、大当り種別が決定される。一方、第一大当り判定の結果がハズレである場合、第一特別図柄としてハズレ図柄が決定される。
【0105】
次いで、第一変動パターン決定処理が行われる(S)。第一変動パターン決定処理では、第一特別図柄の変動パターンが決定される。詳細には、ROM53に記憶される第一変動パターン決定テーブル160(図6参照)のうち、第一大当り判定時の遊技状態(時短状態または非時短状態)と、第一大当り判定の結果(大当りまたはハズレ)に応じたテーブルが参照され、判定エリア118に記憶される第一乱数のうち、第一変動パターン決定乱数の値に対応する第一特別図柄の変動パターンが決定される。
【0106】
第一変動パターンが決定されると、決定された第一変動パターンを指定するための第一変動パターン指定コマンドがRAM52に記憶される(S63)。第一変動パターン指定コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理(S1)において、サブ制御基板58に送信される。決定された第一変動パターンに応じて定められる第一特別図柄の変動時間が、第一特別図柄変動時間カウンタにセットされる(S65)。第一特別図柄が変動中であることを示す「1」が第一特別図柄表示状態フラグに記憶されて(S66)、処理はメイン処理へ戻る。
【0107】
また、図11に示すように、第一特別図柄表示状態フラグに「1」が記憶される場合には、S32の判断で第一特別図柄が変動中であると判断される(S32:YES)。この場合、計測停止フラグが「ON」であるか否かが判断される(S33)。計測停止フラグが「ON」の場合(S33:YES)、第一特別図柄の変動が維持された状態で、処理はメイン処理へ戻る。計測停止フラグが「OFF」の場合(S33:NO)、第二特別図柄が停止表示中であるか否かが判断される(S35)。第二特別図柄表示状態フラグに「0」または「1」が記憶されている場合は停止表示中でないので(S35:NO)、処理はS41へ移行する。
【0108】
S41では、S65(図12参照)でセットされた第一特別図柄変動時間カウンタの値に基づき、第一特別図柄の変動時間が経過したか否かが判断される(S41)。第一特別図柄変動時間カウンタの値が「0」でない場合には、変動時間がまだ経過していないと判断され(S41:NO)、処理はメイン処理へ戻る。変動時間が経過した場合には(S41:YES)、RAM52に第一特別図柄停止コマンドが記憶される(S42)。第一特別図柄停止コマンドは、コマンド出力処理(S1)によって中継基板47、サブ制御基板58に送信され、第一特別図柄、表示画面28の第一演出図柄281の変動停止を指示する。処理はS46に移行し、所定の停止表示時間が第一特別図柄停止時間カウンタに記憶される(S46)。第一特別図柄が停止表示中であることを示す「2」が、第一特別図柄表示状態フラグに記憶され(S47)、処理はメイン処理に戻る。
【0109】
S35の判断において、第一特別図柄の変動中に、第二特別図柄表示状態フラグに「2」が記憶され、第二特別図柄が停止表示中になった場合(S35:YES)、第二特別図柄が大当り図柄か否かが判断される(S36)。第二特別図柄が大当り図柄の場合(S36:YES)、RAM52に第一特別図柄強制停止コマンドが記憶される(S37)。第一特別図柄強制停止コマンドは、コマンド出力処理(S1)によって中継基板47、サブ制御基板58に送信される。第一特別図柄強制停止コマンドは、第一大当りと第二大当りが重複しないように、変動中の第一特別図柄と第一演出図柄281を、強制的にハズレの態様で変動停止させることを指示するコマンドである。この場合、第一特別図柄は大当り図柄からハズレ図柄に書き換えられる。処理はS46に移行し、第一特別図柄をハズレの態様で停止表示するため、所定の停止表示時間が第一特別図柄停止時間カウンタに記憶される(S46)。第一特別図柄表示状態フラグに「2」が記憶され(S47)、処理はメイン処理に戻る。
【0110】
S36の判断において、第二特別図柄が大当り図柄でない場合(S36:NO)、第二特別図柄が小当り図柄か否かが判断される(S38)。第二特別図柄がハズレ図柄の場合(S38:NO)、処理はS36に移行し、上記同様、変動時間が経過するまで第一特別図柄の変動が継続される。第二特別図柄が小当り図柄の場合(S38:YES)、計測停止フラグが「ON」となり(S40)、処理はメイン処理に戻る。これにより、小当り遊技実行中、第一特別図柄変動時間カウンタの減算が停止され、第一特別図柄は変動状態に維持される。
【0111】
次に、図12に示すように、S51の判断において、第一特別図柄表示状態フラグが「2」の場合、第一特別図柄が停止表示中であると判断されて(S51:YES)、停止表示時間が経過したか否かが判断される(S53)。停止表示時間の経過の有無は、S47でセットされた第一特別図柄停止時間カウンタの値に基づいて判断される。第一特別図柄停止時間カウンタの値が「0」でない場合には、停止表示時間がまだ経過していないと判断され(S53:NO)、処理はメイン処理へ戻る。停止表示時間が経過した場合には(S53:YES)、第一特別図柄が変動中でも停止表示中でもないことを示す「0」が、第一特別図柄表示状態フラグに記憶される(S55)。次いで、遊技状態移行処理が行われる(S56)。詳しくは後述するが、遊技状態移行処理では、大当りと判定された場合には遊技を大当り遊技へ移行させ、所定の終了条件が成立した場合には時短状態を終了させるための各種のフラグの制御が行われる。その後、処理はメイン処理へ戻る。
【0112】
図13を参照し、遊技状態移行処理について詳細に説明する。遊技状態移行処理が開始されると、まず、大当り判定の結果が大当りであるか否かが判断される(S71)。大当りの場合(S71:YES)、大当り遊技状態フラグが「ON」となる(S72)。Rカウンタに大当り種別に対応付けられたラウンド数がセットされる(S73)。Rカウンタは、大当り遊技において実行するラウンド数を計数するカウンタであり、RAM52に記憶される。具体的には、大当り種別が「大当りA~C、G」のいずれかの場合には、Rカウンタに「5」が記憶される。大当り種別が「大当りD~F」のいずれかの場合には、Rカウンタに「2」が記憶される。大当り種別が「大当りH」の場合には、Rカウンタに「15」が記憶される。
【0113】
次に、大当り種別に応じた開閉パターンがRAM52に記憶される(S75)。具体的には、「大当りD~F」の場合は、大入賞口17を1Rにおいて最大0.6秒開放する開閉パターンが記憶される。「大当りA~C、H」の場合は、大入賞口17を1Rにおいて最大30秒間開放する開閉パターンが記憶される。「大当りG」の場合は、大入賞口17を1Rにおいて1.2秒間の開放と5秒間の閉鎖を4回繰り返す開閉パターンが記憶される。また、開閉パターンに基づいて、大当り遊技開始後に最初に大入賞口17が開放されるまでの待ち時間(開始デモ等にかかる時間)が、閉鎖時間カウンタにセットされる。閉鎖時間カウンタは、後述する特別電動役物処理で使用されるタイマカウンタである。
【0114】
次いで、大当り遊技が開始することを示す大当り遊技開始コマンドが、RAM52に記憶される(S76)。大当り遊技開始コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理(S1)において、サブ制御基板58に送信される。本実施形態の大当り遊技開始コマンドは、大当り種別を示す情報を含む。次いで、判定回数カウンタの値に「0」、「40」または「65535」がセットされる(S77)。判定回数カウンタは、時短中に大当り判定を行った判定回数を、セットされた回数から減算によって計数するカウンタであり、RAM52に記憶される。具体的に、「大当りA、D」の場合は「40」がセットされ、「大当りB」の場合は「65535」がセットされ、それ以外の大当りの場合は「0」がセットされる。判定回数カウンタに65535がセットされた場合、次回の大当り遊技が開始されるまでにカウンタの値が0に達する確率は限りなく0に近い。故に、大当りBの場合、実質的に、次回の大当り遊技まで、時短状態が継続する。次いで、「ON」となっている時短フラグ、確変フラグがあれば、ともに「OFF」となる(S78、S80)。つまり、大当り遊技中の遊技状態は通常状態である。処理は第一特別図柄処理に戻り、メイン処理へ戻る。
【0115】
S71の判断において、大当り判定の結果が大当りでない場合(S71:NO)、大当り判定の結果が小当りであるか否かが判断される(S81)。小当りの場合(S81:YES)、小当り遊技状態フラグが「ON」となり(S82)、処理はS83へ移行する。大当り判定の結果がハズレであり、大当りでも小当りでもない場合(S81:NO)、処理はS83へ移行する。
【0116】
次いで、確変状態中であるか否かが判断される(S83)。確変フラグが「ON」の場合(S83:YES)、処理は第一特別図柄処理に戻り、メイン処理へ戻る。確変フラグが「OFF」であり確変状態でない場合(S83:NO)、時短状態中であるか否かが判断される(S85)。時短フラグが「OFF」であり時短状態でない場合(S85:NO)、処理は第一特別図柄処理に戻り、メイン処理へ戻る。
【0117】
時短フラグが「ON」の場合(S85:YES)、判定回数カウンタの値が「1」減算される(S86)。判定回数カウンタの値によって、判定回数が「0」であるか否かが判断される(S87)。判定回数カウンタの値が「0」でない場合(S87:NO)、時短状態を継続するため、処理は第一特別図柄処理に戻り、メイン処理へ戻る。判定回数カウンタの値が「0」の場合(S87:YES)、時短状態を終了するため、時短フラグが「OFF」となる(S88)。処理は第一特別図柄処理に戻り、メイン処理へ戻る。
【0118】
図14図15を参照し、第二特別図柄処理の詳細について説明する。図14に示すように、第二特別図柄処理が開始されると、大当り遊技状態フラグ、小当り遊技状態フラグの状態によって、当り遊技状態(大当り遊技状態または小当り遊技状態)であるか否かが判断される(S91)。大当り遊技状態フラグまたは小当り遊技状態フラグが「ON」の場合、当り遊技状態中であると判断されて(S91:YES)、処理はメイン処理へ戻る。大当り遊技状態フラグと小当り遊技状態フラグがともに「OFF」の場合、当り遊技状態中でないと判断されて(S91:NO)、第二特別図柄が変動中か否かが判断される(S92)。第二特別図柄表示状態フラグが「1」でない場合には、第二特別図柄が変動中でないと判断されて(S92:NO)、第一特別図柄が停止表示中か否かが判断される(S106)。第二特別図柄表示状態フラグが「2」でない場合は、第二特別図柄が停止表示中でないと判断されて(S106:NO)、処理はS121(図15参照)へ移行する。
【0119】
図15に示すように、S121では、第二始動口16に遊技球が入賞したか否かが判断される(S121)。第二始動口入賞フラグが「OFF」の場合(S121:NO)、遊技球が第二始動口16に入賞していないので、処理はメイン処理へ戻る。第二始動口入賞フラグが「ON」の場合(S121:YES)、各種乱数が取得され、第二大当り情報記憶エリア(図示略)においてポインタが示す記憶エリア番号に対応する空の記憶エリアに第二乱数が記憶される(S122)。次いで第二乱数は、第二大当り情報記憶エリア(図示略)の判定エリアに書き込まれる(S123)。ポインタが更新され、第二大当り情報記憶エリアにおける空の記憶エリアのうち、番号が最も小さい記憶エリアの記憶エリア番号がポインタにセットされる(S125)。
【0120】
次に、確変状態であるか否かに応じて第二大当り判定が行われる(S126)。S126では、確変フラグの状態が参照され、現時点において確変状態が生起されているか否かが特定される。図示しないが、ROM53には、第二大当り判定を行うためのテーブルとして、第二低確率判定テーブルと、第二高確率判定テーブルとが記憶される。第二低確率判定テーブルは、非確変状態中の第二大当り判定に用いられるテーブルであり、「大当り」、「小当り」または「ハズレ」に対応する大当り乱数の乱数値が定義される。第二高確率判定テーブルは、確変状態中の第二大当り判定に用いられるテーブルであり、「大当り」、「小当り」または「ハズレ」にそれぞれ対応する大当り乱数の乱数値が定義される。第二高確率判定テーブルにおいて大当りに対応する乱数値の数(例えば65536個中1365個)は、第二低確率判定テーブルにおいて大当りに対応する乱数値の数(例えば65536個中205個)よりも多い。なお、第二低確率判定テーブルと第二高確率判定テーブルにおいて、小当りに対応する乱数値の数は、例えば65536個中63627個である。確変状態が生起されている場合には第二高確率判定テーブルが選択され、生起されていない場合には第二低確率判定テーブルが選択される。選択された第二低確率判定テーブルまたは第二高確率判定テーブルが参照され、判定エリアに記憶される第二乱数のうち、第二大当り乱数が「大当り」、「小当り」または「ハズレ」であるかが判定される。
【0121】
なお、本実施形態では、第一大当り判定の結果が第一大当りの場合の第一特別図柄の変動中に、第二大当り判定が行われる場合がある。この場合、第一大当りと第二大当りとが重複して判定されることを回避するため、大当りを排除して第二大当り判定が行われる。すなわち、「大当り」に対応する乱数値を「ハズレ」に対応する乱数値と定義して第二大当り判定が行われる。これにより、定義される大当り乱数の乱数値がすべて「ハズレ」に対応することになるので、パチンコ機1は、上記同様、第一大当りと判定されたことに基づく第一特別図柄の変動中に第二大当りと判定されることを回避できる。
【0122】
次いで、第二特別図柄決定処理が行われる(S127)。第二特別図柄決定処理では、第二大当り判定の結果に応じて第二特別図柄が決定される。具体的には、第二大当り判定の結果が大当りの場合、第二特別図柄として大当り図柄が決定される。より詳細には、第二特別図柄決定テーブル150(図5参照)が参照されて、判定エリアに記憶される第二乱数のうち、第二特別図柄決定乱数の値に対応する第二特別図柄が決定される。これにより、大当り種別が決定される。一方、第二大当り判定の結果がハズレである場合、第二特別図柄としてハズレ図柄が決定される。第二大当り判定の結果が小当りである場合、第二特別図柄として小当り図柄が決定される。
【0123】
次いで、第二変動パターン決定処理が行われる(S128)。第二変動パターン決定処理では、第二特別図柄の変動パターンが決定される。詳細には、ROM53に記憶される第二変動パターン決定テーブル170(図7参照)のうち、第二大当り判定時の遊技状態(時短状態または非時短状態)、第二大当り判定の結果(大当り、小当りまたはハズレ)に応じたテーブルが参照されて、判定エリアに記憶される第二乱数のうち、第二変動パターン決定乱数の値に対応する第二特別図柄の変動パターンが決定される。
【0124】
第二変動パターンが決定されると、決定された第二変動パターンを指定するための第二変動パターン指定コマンドがRAM52に記憶される(S130)。第二変動パターン指定コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理(S1)において、サブ制御基板58に送信される。決定された第二変動パターンに応じて定められる第二特別図柄の変動時間が、第二特別図柄変動時間カウンタにセットされる(S131)。第二特別図柄が変動中であることを示す「1」が第二特別図柄表示状態フラグに記憶されて(S132)、処理はメイン処理へ戻る。
【0125】
また、図14に示すように、第二特別図柄表示状態フラグに「1」が記憶される場合には、S92の判断で第二特別図柄が変動中であると判断される(S92:YES)。この場合、第一特別図柄が停止表示中であるか否かが判断される(S93)。第一特別図柄表示状態フラグに「0」または「1」が記憶されている場合は停止表示中でないので(S93:NO)、処理はS97へ移行する。
【0126】
S97では、S131(図15参照)でセットされた第二特別図柄変動時間カウンタの値に基づき、第二特別図柄の変動時間が経過したか否かが判断される(S97)。第二特別図柄変動時間カウンタの値が「0」でない場合には、変動時間がまだ経過していないと判断され(S97:NO)、処理はメイン処理へ戻る。変動時間が経過した場合には(S97:YES)、RAM52に第二特別図柄停止コマンドが記憶される(S98)。第二特別図柄停止コマンドは、コマンド出力処理(S1)によって中継基板47、サブ制御基板58に送信され、第二特別図柄、表示画面28の第二演出図柄282の変動停止を指示する。処理はS100に移行し、所定の停止表示時間が第二特別図柄停止時間カウンタに記憶される(S100)。第二特別図柄が停止表示中であることを示す「2」が、第二特別図柄表示状態フラグに記憶され(S101)、処理はメイン処理に戻る。
【0127】
S93の判断において、第二特別図柄の変動中に、第一特別図柄表示状態フラグに「2」が記憶され、第一特別図柄が停止表示中になった場合(S93:YES)、第一特別図柄が大当り図柄か否かが判断される(S95)。第一特別図柄がハズレ図柄の場合(S95:NO)、処理はS97に移行し、上記同様、変動時間が経過するまで第二特別図柄の変動が継続される。第一特別図柄が大当り図柄の場合(S95:YES)、RAM52に第二特別図柄強制停止コマンドが記憶される(S96)。第二特別図柄強制停止コマンドは、コマンド出力処理(S1)によって中継基板47、サブ制御基板58に送信される。第二特別図柄強制停止コマンドは、第一大当りと第二大当りが重複しないように、変動中の第二特別図柄と第二演出図柄282を、強制的にハズレの態様で変動停止させることを指示するコマンドである。この場合、第二特別図柄は大当り図柄からハズレ図柄に書き換えられる。処理はS100に移行し、第二特別図柄をハズレの態様で停止表示するため、所定の停止表示時間が第二特別図柄停止時間カウンタに記憶される(S100)。第二特別図柄表示状態フラグに「2」が記憶され(S101)、処理はメイン処理に戻る。
【0128】
次に、S106の判断において、第二特別図柄表示状態フラグが「2」の場合、第二特別図柄が停止表示中であると判断されて(S106:YES)、停止表示時間が経過したか否かが判断される(S107)。停止表示時間の経過の有無は、S100でセットされた第二特別図柄停止時間カウンタの値に基づいて判断される。第二特別図柄停止時間カウンタの値が「0」でない場合には、停止表示時間がまだ経過していないと判断され(S107:NO)、処理はメイン処理へ戻る。停止表示時間が経過した場合には(S107:YES)、第二特別図柄が変動中でも停止表示中でもないことを示す「0」が、第二特別図柄表示状態フラグに記憶される(S108)。次いで、前述した遊技状態移行処理が行われ(S110)、処理はメイン処理へ戻る。
【0129】
図16を参照し、特別電動役物処理の詳細を説明する。まず、特別電動役物処理で使用されるフラグを説明する。RAM52には開閉中フラグ等が記憶される。開閉中フラグは、ラウンドごとの開閉パターンに従い大入賞口17の開閉動作が行われる場合には「1」が記憶されて「ON」となり、ラウンドが終了して次のラウンドが開始されるまで大入賞口17が閉鎖状態である場合には「0」が記憶されて「OFF」となる。
【0130】
特別電動役物処理が開始されると、まず、大当り遊技状中か否かが判断される(S141)。大当り遊技状態フラグが「ON」の場合、大当り遊技状態であると判断され(S141:YES)、大入賞口17が開放状態であるか否かが判断される(S142)。開閉中フラグが「OFF」の場合、大入賞口17の開閉動作が行われておらず、大入賞口17は閉鎖状態であると判断される(S142:NO)。この場合、大入賞口17の閉鎖時間が経過したか判断される(S161)。例えば大当り遊技の開始デモ中であり、S75(図13参照)でセットされた閉鎖時間カウンタの値が「0」でない場合には、閉鎖時間がまだ経過していないと判断されて(S161:NO)、引き続き大入賞口17を閉鎖させておくため、処理はメイン処理へ戻る。開始デモが終了し、閉鎖時間カウンタの値が「0」となった場合には、閉鎖時間が経過したと判断されて(S161:YES)、RAM52に記憶されるRカウンタの値が「0」であるか否かが判断される(S162)。Rカウンタは、S73(図13)でセットされ、後述のS163でラウンド毎に1ずつ減算される。
【0131】
Rカウンタの値が「0」でなく、大入賞口17の開閉動作が大当り種別に応じたラウンド数分実施されていないと判断された場合(S162:NO)、Rカウンタの値が「1」減算される(S163)。ラウンドに応じた大入賞口17の開閉パターンが読込まれ(S165)、開閉中フラグがONとなる(S166)。次いで、入賞数カウンタの値が「0」にクリアされ(S167)、処理はメイン処理へ戻る。
【0132】
S142の判断で、開閉中フラグが「ON」の場合、大入賞口17が開閉動作中であると判断されて(S142:YES)、大入賞口17に遊技球が入賞したか否かが判断される(S143)。大入賞口入賞フラグが「OFF」の場合、大入賞口17に遊技球が入賞していないと判断されて(S143:NO)、処理は146へ移行する。大入賞口入賞フラグが「ON」の場合、大入賞口17に遊技球が入賞したと判断されて(S143:YES)、RAM52に記憶される入賞数カウンタの値に「1」が加算される(S145)。入賞数カウンタは、大入賞口17の1回のラウンドにおける一連の開閉動作で、大入賞口17に入賞した遊技球の入賞数をカウントする。
【0133】
次いで、入賞数カウンタの値によって、大入賞口17への遊技球の入賞数が規定上限数(本実施形態では9個)以上であるか否かが判断される(S146)。入賞数カウンタの値が「8」以下の場合(S146:NO)、そのラウンドに応じた開閉パターンに基づく大入賞口17の開閉動作が終了したか判断される(S147)。開閉パターンに基づく大入賞口17の開閉動作が終了していなければ(S147:NO)、大入賞口17の開閉処理が行われる。開閉パターンに従い、閉鎖中の大入賞口17を開放する場合は(S148:YES)、RAM52に開放コマンドが記憶され(S150)、処理はメイン処理へ戻る。開放コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理において、中継基板47に送信される。開閉パターンに従い、開放中の大入賞口17を閉鎖する場合は(S148:NO、S151:YES)、RAM52に閉鎖コマンドが記憶され(S152)、処理はメイン処理へ戻る。閉鎖コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理において、中継基板47に送信される。開閉パターンに従い、開放中または閉鎖中の大入賞口17の開閉状態を維持する場合は(S148:NO、S151:NO)、処理はそのままメイン処理へ戻る。
【0134】
開閉パターンに応じた大入賞口17の開閉動作が終了する前であっても、入賞数カウンタの値が「9」以上になった場合は(S146:YES)、RAM52に閉鎖コマンドが記憶される(S153)。開閉中フラグは「OFF」となる(S155)。開閉パターンが参照されて、次のラウンドの開始までの閉鎖時間が閉鎖時間カウンタにセットされ(S156)、処理はメイン処理へ戻る。また、入賞数カウンタの値が「9」未満であっても(S146:NO)、開閉パターンに応じた大入賞口17の開閉動作が終了した場合には(S147:YES)、S153~S156の処理が行われ、メイン処理へ戻る。
【0135】
大当り遊技が進行し、S162の判断において、Rカウンタの値が「0」であり、大入賞口17の開閉動作が大当り種別に応じたラウンド数分実施されたと判断された場合(S162:YES)、大当り遊技を終了させる処理が行われる。大当り遊技状態フラグに「0」が記憶されて「OFF」とされる(S171)。次いで、大当り種別に応じた遊技状態が生起される(S172)。具体的に、大当り遊技終了後に非確変時短状態になる「大当りA、D」場合、時短フラグのみが「ON」となる。大当り遊技終了後に確変時短状態になる「大当りB」の場合、確変フラグと時短フラグがそれぞれ「ON」となる。大当り遊技終了後に確変非時短状態になる「大当りC、F~H」のいずれかの場合、確変フラグのみ「ON」となる。大当り遊技終了後に通常状態になる「大当りE」の場合、確変フラグ、時短フラグのいずれも「OFF」のままである。次に、大当り遊技の終了を指示する大当り遊技終了コマンドがRAM52に記憶される(S173)。大当り遊技終了コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理(S1)において、サブ制御基板58に送信される。処理はメイン処理へ戻る。
【0136】
次に、S141の判断において、大当り遊技状態フラグが「OFF」の場合、大当り遊技状態でないと判断されて(S141:NO)小当り遊技状態であるか否かが判断される(S181)。小当り遊技状態フラグが「OFF」の場合、小当り遊技状態でないと判断されて(S181:NO)、処理はメイン処理へ戻る。小当り遊技状態フラグが「ON」の場合、小当り遊技状態であると判断されて(S181:YES)、小当り遊技における大入賞口17の開閉動作が制御される。
【0137】
開閉中フラグが「OFF」の場合、大入賞口17の開閉動作が行われておらず、大入賞口17は閉鎖状態であると判断される(S182:NO)。この場合、RAM52に開放コマンドが記憶され(S191)、開放時間カウンタに小当りの場合の大入賞口17の最大開放時間(1.2秒)がセットされる(S192)。閉鎖時間カウンタはタイマカウンタである。開閉中フラグがONとなり(S193)、処理はメイン処理へ戻る。
【0138】
S182の判断で、開閉中フラグが「ON」の場合、大入賞口17の開閉動作が行われており、大入賞口17は開放状態であると判断される(S182:YES)。この場合、大入賞口17の開放時間が経過したか否かが判断される(S183)。S192でセットされた開放時間カウンタの値が「0」でない場合には、開放時間がまだ経過していないと判断され(S183:NO)、引き続き大入賞口17を開放させておくため、処理はメイン処理へ戻る。
【0139】
開放時間カウンタの値が「0」である場合、小当り遊技における大入賞口17の開放時間が経過したと判断される(S183:YES)。この場合、RAM52に閉鎖コマンドが記憶され(S185)、開閉中フラグがOFFとなり(S186)、小当り遊技状態フラグと計測停止フラグがOFFとなって(S187)、処理はメイン処理へ戻る。
【0140】
図17を参照し、払出処理の詳細を説明する。払出処理では、スイッチ読込処理において各種スイッチに対応するフラグが「ON」となった場合に、対応するフラグに応じた制御コマンドがサブ制御基板58と払出制御基板45に送信されるように処理が行われる。各種スイッチに対応するフラグ(大入賞口入賞フラグ、第一始動口入賞フラグ、始動電動役物入賞フラグ、第二始動口入賞フラグ、一般入賞口入賞フラグ)がいずれも「OFF」の場合(S201:NO、S205:NO、S208:NO、S212:NO、S216:NO)、処理はメイン処理に戻る。
【0141】
大入賞口入賞フラグが「ON」の場合(S201:YES)、RAM52に大入賞口入賞コマンドが記憶される(S202)。大入賞口入賞コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理において、サブ制御基板58と払出制御基板45に送信される。大入賞口入賞フラグはOFFとなり(S203)、他のフラグがONでなければ、処理はメイン処理に戻る。
【0142】
第一始動口入賞フラグが「ON」の場合(S205:YES)、RAM52に第一始動口入賞コマンドが記憶される(S206)。第一始動口入賞コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理において、サブ制御基板58と払出制御基板45に送信される。第一始動口入賞フラグはOFFとなり(S207)、他のフラグがONでなければ、処理はメイン処理に戻る。
【0143】
始動電動役物入賞フラグが「ON」の場合(S208:YES)、RAM52に始動電動役物入賞コマンドが記憶される(S210)。始動電動役物入賞コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理において、サブ制御基板58と払出制御基板45に送信される。始動電動役物入賞フラグはOFFとなり(S211)、他のフラグがONでなければ、処理はメイン処理に戻る。
【0144】
第二始動口入賞フラグが「ON」の場合(S212:YES)、RAM52に第二始動口入賞コマンドが記憶される(S213)。第二始動口入賞コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理において、サブ制御基板58と払出制御基板45に送信される。第二始動口入賞フラグはOFFとなり(S215)、他のフラグがONでなければ、処理はメイン処理に戻る。
【0145】
一般入賞口入賞フラグが「ON」の場合(S216:YES)、RAM52に一般入賞口入賞コマンドが記憶される(S217)。一般入賞口入賞コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理において、サブ制御基板58と払出制御基板45に送信される。一般入賞口入賞フラグはOFFとなり(S218)、処理はメイン処理に戻る。
【0146】
図18図23を参照し、サブ制御基板58が実行するサブ制御基板処理について説明する。サブ制御基板処理は、パチンコ機1が起動すると、ROM63に記憶されるプログラムに従って、CPU61によって実行される。サブ制御基板処理では、主制御基板41から送信された各種コマンドに従って、主に演出制御に関する処理が実行される。
【0147】
まず、サブ制御基板処理において使用されるフラグ、カウンタ等について説明する。サブ制御基板58のRAM62には、初当りフラグ、状態フラグ、時短回数カウンタ、獲得球数カウンタ、未加算カウンタ等が記憶される。初当りフラグは、非確変時短状態、確変非時短状態、確変時短状態、大当り遊技状態において「0」が記憶されて「OFF」になり、通常状態において「1」が記憶されて「ON」になる。初当りフラグがOFFの場合、大当り遊技中や小当りラッシュ中に獲得される賞球の数(獲得球数)が計数され、ONの場合には計数されない。
【0148】
状態フラグは、通常状態中に「0」が記憶され、時短状態(確変時短状態または非確変時短状態)中に「1」が記憶される。確変非時短状態でない場合に大当り判定で大当りA,B,D,Eとなった場合に「2」が記憶され、確変非時短状態(小当りラッシュ)中に大当り判定で大当りA,B,D,Eとなった場合に「3」が記憶される。大当り判定で大当りC,F,Hとなった場合に「4」が記憶され、確変非時短状態(小当りラッシュ)中に「5」が記憶され、大当りGの大当り遊技中に「6」が記憶される。
【0149】
時短回数カウンタは、時短状態において大当り判定結果の報知演出がなされた回数を計数するカウンタである。獲得球数カウンタは、大当り遊技中や小当りラッシュ中の獲得球数を計数するカウンタである。未加算カウンタは、大入賞口17に遊技球が入賞する度に行われる賞球獲得の演出(入賞演出)が完了していない数を計数するカウンタである。
【0150】
本実施形態のパチンコ機1は、大当り遊技中や小当りラッシュ中に、賞球の獲得球数が、ポイント数として、表示画面28の右上角部に表示される。本実施形態のサブ制御基板処理では、報知演出や大当り中の演出等、各種演出の制御に加え、獲得球数の表示制御と、獲得時のアニメーション表示の制御が行われる。
【0151】
図18に示すように、サブ制御基板処理が開始されると、初期設定が行われる。具体的に、初当りフラグに「1」が記憶されて「ON」になり、状態フラグに「0」が記憶される。時短回数カウンタ、獲得球数カウンタ、未加算カウンタはそれぞれリセットされて「0」が記憶される(S251)。
【0152】
サブ制御基板58のCPU61は、主制御基板41から制御コマンドを受信するまで待機する(S252:NO、S255:NO、S257:NO、S260:NO、S262:NO、S265:NO、S267、S252)。なお、詳細は後述するが、S267の獲得演出処理では、状態フラグが4以上でなく、且つ未加算カウンタが0である限りは、そのままサブ制御基板処理に戻る。
【0153】
主制御基板41から第一変動パターン指定コマンドまたは第二変動パターン指定コマンドを受信した場合(S252:YES)、後述する報知演出開始時制御処理が実行される(S253)。主制御基板41から第一特別図柄停止コマンドまたは第二特別図柄停止コマンドを受信した場合(S255:YES)、後述する報知演出終了時制御処理が実行される(S256)。主制御基板41から第一特別図柄強制停止コマンドまたは第二特別図柄強制停止コマンドを受信した場合(S257:YES)、変動中の第一演出図柄281または第二演出図柄282をハズレの態様で強制停止する処理が行われる(S258)。主制御基板41から大当り遊技開始コマンドを受信した場合(S260:YES)、後述する大当り遊技演出処理が実行される(S261)。主制御基板41から大当り遊技終了コマンドを受信した場合(S262:YES)、後述する大当り遊技終了処理が実行される(S263)。主制御基板41から大入賞口入賞コマンドを受信した場合(S265:YES)、後述する入賞演出処理が実行される(S266)。
【0154】
以下では、サブ制御基板58が主制御基板41から受信する制御コマンドに応じて実行する各処理について、遊技状態にあわせて説明を行う。
【0155】
[通常状態]
通常状態では、主に左打ちによる遊技が行われるので、主制御基板41では、主に、第一始動口14への遊技球の入賞に伴う第一大当り判定が行われ、第一変動パターン指定コマンドが送信される。サブ制御基板58では、主制御基板41から第一変動パターン指定コマンドを受信し(S252:YES)、報知演出開始時制御処理が開始されると(S253)、図19に示すように、状態フラグが「5」であるか否かが判断される(S271)。通常状態では状態フラグが0であり5ではないので(S271:NO)、受信した制御コマンドが第一変動パターン指定コマンドか否かが判断される(S272)。
【0156】
受信した制御コマンドが第一変動パターン指定コマンドであった場合(S272:YES)、状態フラグが「0」であるか否かが判断される(S275)。通常状態のとき、状態フラグは0であり(S275:YES)、通常時の第一報知演出を制御する処理が開始される(S276)。第一特別図柄に同期して第一演出図柄281と主演出図柄283の変動表示が開始され(S277、S278)、処理はサブ制御基板処理に戻る。
【0157】
なお、通常状態においても、右打ちされた場合には第二始動口16に入賞することがある。この場合、主制御基板41では、第二始動口16への遊技球の入賞に伴う第二大当り判定が行われ、第二変動パターン指定コマンドが送信される。サブ制御基板58では、通常状態において受信した制御コマンドが第二変動パターン指定コマンドであった場合(S272:NO)、第二特別図柄に同期させて第二演出図柄282の変動表示が開始される(S273)。主演出図柄283による報知演出は第二特別図柄と同期しては行われない。処理はサブ制御基板処理に戻る。
【0158】
第一特別図柄または第二特別図柄の変動時間が経過し、主制御基板41から第一特別図柄停止コマンドまたは第二特別図柄停止コマンドを受信して(S255:YES)、報知演出終了時制御処理が開始されると(S256)、図20に示すように、状態フラグが「5」または「0」であるか否かが判断される(S301、S311)。通常状態では状態フラグが0であり5ではないので(S301:NO、S311:YES)、受信した制御コマンドが第一特別図柄停止コマンドか否かが判断される(S312)。
【0159】
受信した制御コマンドが第二特別図柄停止コマンドであった場合(S312:NO)、第二演出図柄282のみが停止表示され(S317)、処理はサブ制御基板処理に戻る。受信した制御コマンドが第一特別図柄停止コマンドであった場合(S312:YES)、通常時の第一報知演出を制御する処理が終了される(S313)。第一特別図柄に同期して第一演出図柄281と主演出図柄283が停止表示され(S315、S316)、処理はサブ制御基板処理に戻る。
【0160】
通常状態において行われる第一報知演出では、上記のように、第一演出図柄281と主演出図柄283が変動表示された後に、第一大当り判定の結果を示す態様で停止表示(確定表示)される。第一大当り判定の結果が大当りの場合には、複数の第一演出図柄281と複数の主演出図柄283が、それぞれ、全て同じ図柄(ぞろ目)で停止する。ハズレの場合には、複数の第一演出図柄281と複数の主演出図柄283が、それぞれ、そのうち少なくとも1つの図柄が他の図柄と異なる図柄で停止する。また、第一報知演出では、第一演出図柄281と主演出図柄283の変動中に、予告演出、リーチ演出等が実行される。これにより、遊技者は第一大当り判定の結果を把握するとともに、遊技を楽しむことができる。
【0161】
ところで、第一特別図柄、第二特別図柄が並行して実行される場合に、第一報知演出と第二報知演出とが同時に実行されると、遊技者は混乱する可能性がある。そこで、サブ制御基板58のCPU61は、第一報知演出、第二報知演出のうちいずれか一方のみを主体にして報知演出を実行する。具体的には、通常状態、確変時短状態または非確変時短状態においては、CPU61は、第一報知演出を主体に報知演出を行い、確変非時短状態においては、第二報知演出を主体に報知演出を行う。非主体となる報知演出については、第一特別図柄と第二特別図柄とが並行して実行されるか否かに関わらず、対応する特別図柄が変動されても、実行されない。ただし、第一特別図柄と第二特別図柄のそれぞれに対応する第一演出図柄281と第二演出図柄282の変動表示および停止表示は行われる。これにより、パチンコ機1は、生起される遊技状態において主として実行される大当り判定の結果を適切に遊技者に報知でき、複数の報知演出が並行して実行されて遊技者が混乱することを抑制できる。
【0162】
[大当り遊技状態]
遊技が進行し、第一大当り判定の結果が第一大当りの場合、大当り遊技状態に移行し、主制御基板41から大当り遊技開始コマンドが送信される。サブ制御基板58では、主制御基板41から大当り遊技開始コマンドを受信し(S260:YES)、大当り遊技演出処理が開始されると(S261)、図21に示すように、初当りであるか否かが判断される(S341)。初当りフラグは初期設定でONとなっているので(S341:YES)、初当りフラグがOFFにされ、獲得球数カウンタと未加算カウンタに0が記憶されてリセットされる(S342)。そして、大当り種別に応じた大当り遊技中の演出処理が行われる。
【0163】
第一大当りの大当り種別は大当りA~Cのいずれかであり、例えば大当りCであった場合(S346:YES)、大当りCに対応する大当り遊技演出を制御する処理が開始される(S347)。後述するが、表示画面28に、獲得球数をポイント数で示すポイント数画像285が、本来の表示倍率を1倍とした場合の、例えば0.7倍の大きさで表示される(S348)。状態フラグには「4」が記憶され(S357)、処理はサブ制御基板処理に戻る。
【0164】
図25(A)に示すように、ポイント数画像285は、表示画面28の右上角部に表示される。ポイント数画像285は、例えば6桁の数字を示す画像である。後述するが、ポイント数画像285は、小当りラッシュ中に、本来の表示倍率である1倍の大きさ表示される。主演出図柄283は画面の右下角部にて若干小さめに表示され、且つ第一演出図柄281とともに大当りを示す組合せで停止表示した状態で表示される。第二演出図柄282は、第二特別図柄が変動中であれば変動表示した状態が維持され、第二特別図柄が非変動中であれば、最後に行われた第二大当り判定の結果を示す図柄の組合せで停止表示した状態が維持される。なお、大当り終了後に第二大当り判定が行われていない場合には、第二演出図柄282は表示されない。また、表示画面28には、大当り遊技中の演出を行う大当り背景画像286が表示される。
【0165】
大当り遊技中には大入賞口17が開閉パターンに従って開放され、遊技球が入賞すると、主制御基板41から大入賞口入賞コマンドが送信される。サブ制御基板58のCPU61は、大入賞口入賞コマンドを受信すると(S265:YES)、入賞演出処理を実行する(S266)。
【0166】
図22に示すように、入賞演出処理が開始されると、状態フラグが「4」以上であるか否かが判断され(S401)、さらに4以上の場合は、状態フラグが「5」以上であるか否かが判断される(S402)。大当りCに対応する大当り遊技中は状態フラグが4であるので(S401:YES、S402:NO)、処理はS406に移行する。未加算カウンタに1が加算され(S406)、処理はサブ制御基板処理に戻る。また、大入賞口入賞コマンドに基づき払出制御基板45の制御によって賞球払出装置49が動作し、10個の賞球が払出される。
【0167】
サブ制御基板処理では、制御コマンドの受信待機中に、獲得演出処理が実行される(S267)。図23に示すように、獲得演出処理では、状態フラグが「4」以上であるか否かが判断され(S411)、さらに4以上の場合は、状態フラグが「5」以上であるか否かが判断される(S412)。上記同様、大当りCに対応する大当り遊技中は状態フラグが4であるので(S411:YES、S412:NO)、処理はS415に移行する。未加算カウンタが1減算され(S415)、表示画面28にポイント加算アニメーションが表示される(S416)。
【0168】
図25(B)に示すように、サブ制御基板58のCPU61は、大当り遊技中の獲得球数の加算時に、ポイント数画像285が、ポイント数を10ポイントずつ加算するアニメーション画像として表示されるように制御を行う。これにより、CPU61は、大当り中の賞球払出しのペースに遅滞することなくポイント数が加算される演出を行うことができる。図23に示すように、獲得球数カウンタに10が加算されて(S417)、処理はサブ制御基板処理に戻る。
【0169】
大当り遊技が終了し、主制御基板41から大当り遊技終了コマンドを受信して(S262:YES)、大当り遊技終了処理が開始されると(S263)、図24に示すように、状態フラグが「3」であるか否かが判断される(S381)。S357で状態フラグに4が記憶され、3ではないので(S381:NO)、大当り遊技終了時の演出処理(終了デモ)が行われる(S383)。処理はS385に移行し、時短状態と確変状態の成立の有無が判断される。大当りCは大当り遊技終了後に確変非時短状態に移行するので、時短状態ではなく(S385:NO)、確変状態であり(S388:YES)、状態フラグに「5」が記憶される(S390)。処理はサブ制御基板処理に戻る。
【0170】
[確変非時短状態(小当りラッシュ)]
確変非時短状態では、右打ちによる遊技が行われる。遊技球が第二始動口16に入賞すると、第二大当り判定が行われ、第二変動パターン指定コマンドが送信される。図19に示すように、報知演出開始時制御処理において、確変非時短状態では状態フラグが5であるので(S271:YES)、受信した制御コマンドが第二変動パターン指定コマンドか否かが判断される(S285)。受信した制御コマンドが第二変動パターン指定コマンドであった場合(S285:YES)、小当りラッシュ時の第二報知演出を制御する処理が開始される(S287)。表示画面28には、獲得球数を示すポイント数画像285が、本来の表示倍率である1倍の大きさで表示される(S288)。第二特別図柄に同期して、第二演出図柄282と主演出図柄283の変動表示が開始される(S290、S291)。処理はサブ制御基板処理に戻る。
【0171】
図26(A)に示すように、表示画面28の右上角部には、ポイント数画像285が大当り遊技中よりも大きく表示される。主演出図柄283は画面の右下角部にて若干小さめに表示され、且つ第二演出図柄282とともに第二大当り判定の結果を表示する。小当りラッシュ中は、第二大当り判定の結果を主体に報知演出が行われるので、第二演出図柄282と主演出図柄283は同期して変動表示される。第一演出図柄281は、第一特別図柄が変動中であれば変動表示した状態が維持され、第一特別図柄が非変動中であれば、大当り終了後に行われた最後に行われた第一大当り判定の結果を示す図柄の組合せで停止表示した状態が維持される。なお、大当り終了後に第一大当り判定が行われていない場合には、第一演出図柄281は表示されない。表示画面28には、小当りラッシュ中の演出を行うラッシュ背景画像287が表示される。
【0172】
なお、大当り遊技終了直後には、第一大当り判定がなされる前の第一保留球が残る場合がある。また、確変非時短状態においても、左打ちされた場合には第一始動口14に入賞し、第一保留球数が加算されることがある。この場合、主制御基板41では、第一保留球に対する第一大当り判定が行われ、第一変動パターン指定コマンドが送信される。図19に示すように、サブ制御基板58では、確変非時短状態において受信した制御コマンドが第一変動パターン指定コマンドであった場合(S285:NO)、第一特別図柄に同期させて第一演出図柄281の変動表示が開始される(S286)。主演出図柄283による報知演出は第一特別図柄と同期しては行われない。処理はサブ制御基板処理に戻る。
【0173】
第一特別図柄または第二特別図柄の変動時間が経過すると、主制御基板41から第一特別図柄停止コマンドまたは第二特別図柄停止コマンドが送信される。図20に示すように、報知演出終了時制御処理において、確変非時短状態では状態フラグが5であるので(S301:YES)、受信した制御コマンドが第二特別図柄停止コマンドか否かが判断される(S302)。受信した制御コマンドが第一特別図柄停止コマンドであった場合(S302:NO)、第一演出図柄281のみが停止表示され(S307)、処理はサブ制御基板処理に戻る。受信した制御コマンドが第二特別図柄停止コマンドであった場合(S302:YES)、小当りラッシュ時の第二報知演出を制御する処理が終了される(S303)。第二特別図柄に同期して第二演出図柄282と主演出図柄283が停止表示され(S305、S306)、処理はサブ制御基板処理に戻る。
【0174】
確変非時短状態において、第二大当り判定では、約1/1.03で、小当りと判定される。図26(A)に示すように、第二大当り判定の結果が小当りの場合、第二演出図柄282と主演出図柄283には、「L,L,L」の図柄が表示される。大入賞口17が約1.2秒開放され、遊技球が入賞すると、入賞の都度、主制御基板41から大入賞口入賞コマンドが送信される。サブ制御基板58のCPU61は、大入賞口入賞コマンドを受信すると(S265:YES)、入賞演出処理を実行する(S266)。
【0175】
図22に示すように、入賞演出処理が開始されると、確変非時短状態では状態フラグが5であるので(S401:YES、S402:YES)、表示画面28にて賞球を獲得した時の演出が行われる。
【0176】
図26(A)に示すように、賞球獲得の演出は、払い出される10個の遊技球数をポイント数で表した「+10pt」を示す獲得画像288の表示によって行われる。獲得画像288は、表示画面28内で第一演出図柄281、第二演出図柄282、主演出図柄283、ポイント数画像285とは干渉しない位置にて出現し、表示サイズを拡大した後、ポイント数画像285へ向けて素早く移動するポイント獲得アニメーション表示を行う。複数の獲得画像288が同一箇所で重ならないようにするため、獲得画像288を出現させる領域には、あらかじめ複数の領域が設定されている。図22に示すように、賞球獲得の演出では、獲得画像288を、その時点で使用されていない領域がランダムに選択され(S403)、選択された領域にて出現した獲得画像288が拡大した後、ポイント数画像285へ向けて移動するアニメーション表示が行われる(S405)。獲得画像288が移動してポイント数画像285に衝突する時には、ポイント数画像285がフラッシュするエフェクトが表示される。次いで未加算カウンタに1が加算され(S406)、処理はサブ制御基板処理に戻る。
【0177】
サブ制御基板処理では、制御コマンドの受信待機中に、獲得演出処理が実行される(S267)。図23に示すように、獲得演出処理において、確変非時短状態では状態フラグが5であるので(S411:YES、S412:YES)、ポイント獲得アニメーション表示が終了した状態にある獲得画像288があるか否かが判断される(S413)。アニメーション表示がポイント数画像285に衝突した状態に進行した獲得画像288がなければ(S413:NO)、処理はサブ制御基板処理に戻る。アニメーション表示がポイント数画像285に衝突した状態に進行した獲得画像288がある場合(S413:YES)、未加算カウンタが1減算され(S415)、表示画面28にポイント加算アニメーションが表示される(S416)。
【0178】
図26(B)に示すように、サブ制御基板58のCPU61は、小当りラッシュ中の獲得球数の加算時に、ポイント数画像285が、ポイント数を10ポイントではなく1ポイントずつ加算するアニメーション画像として表示されるように制御を行う。これにより、CPU61は、ポイント数の加算が絶え間なく行われるように演出を行う。図23に示すように、獲得球数カウンタに10が加算されて(S417)、処理はサブ制御基板処理に戻る。
【0179】
このように、小当りラッシュ中は、第二大当り判定が小当りであり、開放された大入賞口17に遊技球が入賞する度に、ポイント獲得アニメーション表示が行われる。そして、獲得画像288がポイント数画像285に衝突した状態に進行すると、ポイント加算アニメーション表示が行われ、ポイント数画像285が、1ポイントずつ、加算されるアニメーションが行われる。
【0180】
[確変非時短状態中の大当り]
小当りラッシュ中に行われた大当り判定の結果が大当りであり、主制御基板41から大当り遊技開始コマンドを受信した場合、図21に示すように、大当り遊技演出処理では、初当りフラグがOFFになっているので(S341:NO)、処理はS346に進む。
【0181】
第二大当り判定の結果が大当りHであった場合(S346:NO、S350:YES)、大当りHに対応する大当り遊技演出を制御する処理が開始される(S351)。表示画面28に、獲得球数をポイント数で示すポイント数画像285が、表示倍率0.7倍で表示される(S352)。状態フラグには「4」が記憶され(S357)、処理はサブ制御基板処理に戻る。大当りHの遊技中は状態フラグが4であるので(S411:YES、S412:NO)、遊技球が大入賞口17に入賞する度に、表示画面28にポイント加算アニメーションが表示され、ポイント数画像285が10ポイントずつ加算される(S416)。大当り遊技終了後には確変非時短状態に移行し、小当りラッシュが継続される。
【0182】
第二大当り判定の結果が大当りFであった場合(S346:NO、S350:NO、S353:YES)、大当りFに対応する大当り遊技演出を制御する処理が開始される(S355)。表示画面28に、獲得球数をポイント数で示すポイント数画像285が、表示倍率0.7倍で表示される(S356)。状態フラグには「4」が記憶され(S357)、処理はサブ制御基板処理に戻る。大当りFの遊技中は状態フラグが4であるので(S411:YES、S412:NO)、遊技球が大入賞口17に入賞する度に、表示画面28にポイント加算アニメーションが表示され、ポイント数画像285が10ポイントずつ加算される(S416)。大当り遊技終了後には確変非時短状態に移行し、小当りラッシュが継続される。
【0183】
第二大当り判定の結果が大当りGであった場合(S346:NO、S350:NO、S353:NO、S361:YES)、大当りGに対応する大当り遊技演出を制御する処理が開始される(S362)。表示画面28に、獲得球数をポイント数で示すポイント数画像285が、本来の表示倍率を1倍とした場合の、例えば1.5倍の大きさで表示される(S363)。状態フラグには「6」が記憶され(S365)、処理はサブ制御基板処理に戻る。
【0184】
図27(A)に示すように、表示画面28の右上角部には、ポイント数画像285が小当りラッシュ中よりもさらに大きく表示される。主演出図柄283は表示されず、第二演出図柄282は大当りを示す組合せで停止表示した状態で表示される。大当りGの遊技中は、第一演出図柄281は、第一特別図柄が変動中であれば変動表示した状態が維持され、第一特別図柄が非変動中であれば、最後に行われた第一大当り判定の結果を示す図柄の組合せで停止表示した状態が維持される。
【0185】
大当りGは、小当りラッシュに見せかけた開閉パターンで大入賞口17の開閉を行う大当り遊技(疑似小当りラッシュ)である。故に、大当りGの遊技中に大当り判定は行われず、よって小当りラッシュが終了する契機となる大当りA,B,D,Eに当選することもない。故に、疑似小当りラッシュ(大当りG)は、遊技者にとって、小当りラッシュよりも有利である。上記のように、ポイント数画像285が小当りラッシュ時よりも大きく表示されることによって、遊技者は、小当りラッシュ時よりも有利な状態であることを認識することができる。そして、小当りラッシュ中に獲得球数を増やすことに対する遊技者の興趣をより高めることができる。表示画面28には、疑似小当りラッシュ中の演出を行うラッシュ背景画像289が表示される。
【0186】
図27(B)に示すように、大当りGの遊技中、遊技球が大入賞口17に入賞したときには、状態フラグが6であるので、確変非時短状態中と同様に、獲得画像288によるポイント獲得アニメーション(図22、S405)と、ポイント加算アニメーション(図23、S416)が表示される。大当り遊技終了後には確変非時短状態に移行し、小当りラッシュが継続される。
【0187】
[非確変時短状態または確変時短状態]
図21に示すように、第二大当り判定の結果が大当りD,Eであった場合、または第一大当り判定の結果が大当りA,Bであった場合(S346:NO、S350:NO、S353:NO、S361:NO)、状態フラグが「5」であるか否かが判断される(S371)。確変非時短状態中の状態フラグは5であるので(S371:YES)、状態フラグに「3」が記憶される(S372)。
【0188】
ここで、大当り判定の結果が大当りA,BまたはDであった場合(S375:YES)、大当りA,BまたはDのそれぞれに対応する大当り遊技演出を制御する処理が開始される(S376)。処理はサブ制御基板処理に戻る。
【0189】
図22に示すように、大当りA,BまたはDの遊技中の入賞演出処理では、状態フラグが3であるので(S401:NO)、獲得球数カウンタに10が加算され(S407)、処理はサブ制御基板処理に戻る。図23に示すように、大当りA,BまたはDの遊技中の獲得演出処理では、状態フラグが3であるので(S411:NO)、未加算カウンタが0か否かが判断される(S421)。小当りラッシュ中に獲得した賞球に対応するポイント加算アニメーション表示がすべて完了する前に大当りA,BまたはDの遊技が開始された場合、未加算カウンタが0でないことがある。未加算カウンタが1以上であれば(S421:NO)、未加算カウンタが1減算され(S422)、獲得球数カウンタに10が加算されて(S423)、処理はS421に戻る。未加算カウンタが0になれば(S421:YES)、処理はサブ制御基板処理に戻る。
【0190】
図24に示すように、大当りA,BまたはDの遊技が終了したときの大当り遊技終了処理では、状態フラグが3であるので(S381:YES)、小当りラッシュ終了時の演出処理が行われる(S382)。表示画面28には、獲得球数カウンタの値が総獲得球数として表示される。大当りAまたはDの遊技終了後には非確変時短状態に移行し、大当りBの遊技終了後には確変時短状態に移行する(S385:YES)。大当りAまたはDの遊技終了後は、時短回数カウンタに40がセットされ、大当りBの遊技終了後には、時短回数カウンタに65535がセットされる(S386)。状態フラグに「1」が記憶されて(S387)、処理はサブ制御基板処理に戻る。
【0191】
非確変時短状態または確変時短状態では、右打ちによる遊技が行われる。遊技球が普通図柄作動ゲート12を通過すると、約99/100で普通当りと判定されて、始動電動役物15が開放される。遊技球が始動電動役物15に入賞すると、第一大当り判定が行われ、第一変動パターン指定コマンドが送信される。図19に示すように、非確変時短状態または確変時短状態における報知演出開始時制御処理では、状態フラグが1であるので(S271:NO、S272:YES、S275:NO)、時短時の第一報知演出を制御する処理が開始される(S280)。第一特別図柄に同期して第一演出図柄281と主演出図柄283の変動表示が開始され(S281、S282)、処理はサブ制御基板処理に戻る。
【0192】
図20に示すように、第一特別図柄または第二特別図柄の変動時間が経過すると、報知演出終了時制御処理において、状態フラグが1であるので(S301:NO、S311:NO)、時短回数カウンタが1減算される(S321)。受信した制御コマンドが第一特別図柄停止コマンドであれば(S322:YES)、第一演出図柄281と主演出図柄283が停止表示され(S323、S325)、第二特別図柄停止コマンドであれば(S322:NO)、第二演出図柄282のみが停止表示される(S326)。
【0193】
次に、時短回数カウンタが0か否かが判断される(S331)。時短回数カウンタが1以上であれば(S331:NO)、非確変時短状態または確変時短状態における報知演出の内容を更新する処理が行われ(S335)、処理はサブ制御基板処理に戻る。非確変時短状態または確変時短状態は継続される。
【0194】
なお、非確変時短状態または確変時短状態では、大入賞口17の開閉動作が行われないので、遊技球は増加しない。そして、始動電動役物15への入賞が頻繁に行われるが、賞球の払い出しは1個であるため、遊技者の手持ちの遊技球は微減する。故に、本実施形態では、非確変時短状態または確変時短状態において、表示画面28への獲得球数の表示は行われない。これにより、獲得球数を増やすことに対する遊技者の興趣を損なわない。
【0195】
非確変時短状態または確変時短状態における遊技が進行し、時短回数カウンタが0になると(S331:YES)、状態フラグに「0」が記憶され、初当りフラグがONになり(S332)、非確変時短状態または確変時短状態における報知演出を終了する処理が行われる(S333)。処理はサブ制御基板処理に戻る。遊技状態は通常状態に移行する。
【0196】
なお、図21に示すように、非確変時短状態中または確変時短状態中の大当り判定で大当りとなった場合は、初当りフラグがOFFであるので、獲得球数カウンタがリセットされない(S341:NO)。故に、非確変時短状態または確変時短状態における遊技中に行われた第一大当り判定の結果が大当りCであった場合(S346:YES)、大当りCの遊技中に、獲得球数が再び表示される(S348)。そして、大当りCの遊技終了後は、再び、確変非時短状態(小当りラッシュ)に移行し、いわゆる引き戻しとなる。
【0197】
また、非確変時短状態中または確変時短状態中に、大当り判定の結果が大当りA,B,DまたはEであった場合、S371の判断において、非確変時短状態中または確変時短状態中の状態フラグが1であるので(S371:NO)、状態フラグに「2」が記憶される(S373)。この場合には、図24に示すように、大当り遊技終了時の演出処理(終了デモ)が行われ(S383)、小当りラッシュ終了時の演出処理は行われない。
【0198】
ところで、図21に示すように、確変非時短状態(小当りラッシュ)中に、第二大当り判定の結果が大当りEとなる場合がある(S375:NO)。大当りEは、大当り遊技の終了後に通常状態に移行する大当りである。故に、初当りフラグがONにされ(S377)、大当りEに対応する大当り遊技演出を制御する処理が開始される(S378)。処理はサブ制御基板処理に戻る。
【0199】
そして図24に示すように、小当りラッシュ中に生起した大当りEの遊技が終了したときの大当り遊技終了処理では、状態フラグが3であるので(S381:YES)、小当りラッシュ終了時の演出処理が行われる(S382)。上記同様、表示画面28には、獲得球数カウンタの値が総獲得球数として表示される。大当りEの遊技終了後には通常状態に移行するので(S385:NO、S388:NO)、状態フラグに「0」が記憶されて(S391)、処理はサブ制御基板処理に戻る。
【0200】
以上説明したように、サブ制御基板58のCPU61は、確変非時短(小当りラッシュ)中と大当りC,F~Hの遊技中に、獲得球数を加算する。獲得球数は、小当りラッシュと大当りC,F~Hが継続する間、表示される。さらに、獲得球数は、大当りC,F,Hの遊技中と、確変非時短状態中と、大当りGの遊技中とで異なる表示倍率で表示される。故に遊技者は、獲得球数の表示倍率の変化をみて、遊技球の獲得に対して期待を増すことができる。よって遊技機は、獲得球数を増やすことに対する遊技者の興趣を高めることができる。
【0201】
確変非時短状態(小当りラッシュ)は、小当り遊技状態が図柄変動の度に生起されやすく、その都度遊技球が少量ずつ増えていくため、獲得球数が緩やかに増加する。大当りC,Hの遊技中も獲得球数が増加するが、大当りC,Hの遊技中は大当り遊技の演出が行われる。故に遊技機は、大当りC,Hの遊技中、獲得球数の表示を確変非時短状態よりも小さく表示することで、遊技者の注目を大当り遊技の演出に集め、遊技者の興趣を高めることができる。大当りG(疑似小当りラッシュ)は、確変非時短状態にみせかけた大当り遊技状態である。すなわち、大当りGの遊技中は、他の種別の大当り遊技状態が生起することがないので、終了することのない小当りラッシュにみせかけることができる。故に、大当りGの遊技中、獲得球数の表示を、確変非時短状態よりも大きく表示することで、大当りGの遊技中に獲得球数を増やすことに対する遊技者の興趣をより高めることができる。
【0202】
獲得球数は、通常状態から大当り遊技状態が生起されなければ初期化されない。よって、例えば、小当りラッシュから時短状態に転落した後、再度、小当りラッシュを引き戻した場合には、初期化されない。故にパチンコ機1は、遊技状態が通常状態に転落しない限り獲得球数を継続加算するので、遊技者が大当りと小当りラッシュが連続する状態において獲得した遊技球の総数を示すことができる。
【0203】
時短状態では、大入賞口17が開放されないので、獲得球数は増えない。故に時短状態においては獲得球数の表示を行わないことで、パチンコ機1は、獲得球数を増やすことに対する遊技者の興趣を損なうことを防止することができる。
【0204】
小当りラッシュ中、1回分の払い出しごとに、獲得球数に払出数が加算される。このため、変動中の払出数を溜めて変動終了時にまとめて獲得球数に加算する場合と比べ、払出しの時期と、獲得球数の表示とに時間差を生じない。また、払出数を1個単位で加算し、獲得球数が増える過程を遊技者に見せることで、大量の遊技球を獲得した感覚を得させることができる。故に遊技機は、獲得球数を増やすことに対する遊技者の興趣を高めることができる。
【0205】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能である。第一始動口14、第二始動口16は遊技球が入賞可能な入賞口であるが、遊技球が通過可能なゲートであってもよい。また、普通図柄作動ゲート12は、入賞口であってもよい。普通図柄作動ゲート12、第一始動口14、始動電動役物15、第二始動口16、大入賞口17等の遊技盤2への配置位置は、上記実施形態に限定されない。例えば大入賞口17は、始動電動役物15よりも上方に配置されてもよい。
【0206】
本実施形態では、獲得球数の表示をポイント数画像285によって行い、大当りC,F,Hの遊技中と、確変非時短状態中と、大当りGの遊技中とで表示倍率を異ならせた。これに限らず、例えば、ポイント数画像285の色、形、字体等をそれぞれの状態において異ならせてもよい。大当りA,B,D,Eの場合にも、表示画面28に獲得球数を表示してもよい。確変時短状態または非確変時短状態においても、表示画面28に獲得球数を表示してもよい。
【0207】
また、ポイント獲得アニメーションは、なくてもよいし、異なる形態のアニメーションであってもよい。例えば、キャラクターが矢を放ち、矢がポイント数画像285に当るとポイント加算アニメーションが表示される形態であってもよい。
【0208】
また、大当りA,Dの時短回数は、40回に限らず、例えば、39回以下でもよいし、41回以上でもよい。大当りBの時短回数である65535回は一例に過ぎず、例えば無限回数としてもよいし、あるいは大当りBの場合にのみ時短回数カウンタの減算を停止する処理を行ってもよい。
【0209】
パチンコ機1は、一方の特別図柄の変動中に他方の特別図柄が変動可能ないわゆる同時変動機であるが、1回の普通当り遊技を契機として複数回の普通当り遊技が連動して行われる、いわゆる一般電役タイプと呼ばれる遊技機等、特別図柄を用いない他の遊技機にも本発明は適用できる。
【0210】
第一大当り判定では、大当りまたはハズレが決定されたが、さらに小当りが決定されてもよい。第二大当り判定の結果が小当りの場合、第二演出図柄282と主演出図柄283には、「L,L,L」の図柄が表示されたが、図柄の組合せは適宜変更できる。例えば、「1,3,5」や「7,3,7」など、ぞろ目以外の奇数の図柄の組合せを小当りとしてもよい。この場合、ハズレの図柄の組合せには、必ず、偶数の図柄が含まれるようにすればよい。
【0211】
特許請求の範囲、明細書および図面に記載される全ての要素(例えば、表示装置、普通電動役物、図柄作動口等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、各要素につけられた名称(要素名)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。従って、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。例えば、「表示手段」は、ハード単体でも、ソフトを含んだものであっても構わない。更には、上記全ての要素のうちの複数の要素を適宜一体的に構成するか、もしくはひとつの要素を複数の要素に分けて構成するかは、特許請求の範囲等において特定していない限り、何れも当業者であれば極めて容易に考えられる事項であるため、あえて明細書等において全パターンを記載しなくても何れのパターンも想定範囲内であることは明らかであることから、本発明に係る権利範囲に含まれることは勿論である。従って、その程度の範囲内での構成上の差異を有する遊技機を、本実施形態に記載がなされていないことを理由に採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはならない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施形態から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。
【0212】
なお、上記実施形態において、第一始動口14、始動電動役物15が、本発明の「第一始動領域」に相当する。第二始動口16が、本発明の「第二始動領域」に相当する。S26、S122の処理を行うCPU51が、本発明の「取得手段」に相当する。S60、S126の処理を行うCPU51が、本発明の「判定手段」に相当する。S66とS47、S132とS101の処理を行うCPU51が、本発明の「同時変動手段」に相当する。S72、S82の処理を行うCPU51が、本発明の「生起手段」に相当する。大入賞口17が、本発明の「可変入賞口」に相当する。S150、S152、S153、S185、S191の処理を行うCPU51が、本発明の「開閉制御手段」に相当する。S202の処理を行うCPU51が、本発明の「払出手段」に相当する。S407、S417、S423の処理を行うCPU61が、本発明の「加算手段」に相当する。表示画面28が、本発明の「表示手段」に相当する。S416の処理を行うCPU61が、本発明の「表示制御手段」に相当する。
【0213】
確変非時短状態と、大当りC,G,Hの遊技状態が、本発明の「強有利状態」に相当する。確変時短状態または非確変時短状態が、本発明の「弱有利状態」に相当する。確変非時短状態が、本発明の「小当り連続遊技状態」に相当する。大当りGの遊技状態が、本発明の「疑似大当り遊技状態」に相当する。大当りC,Hの遊技状態が、本発明の「獲得大当り遊技状態」に相当する。S342の処理を行うCPU61が、本発明の「初期化手段」に相当する。
【符号の説明】
【0214】
1 パチンコ機
2 遊技盤
4 遊技領域
14 第一始動口
15 始動電動役物
16 第二始動口
17 大入賞口
28 表示画面
41 主制御基板
51 CPU
58 サブ制御基板
61 CPU
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