(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】木材シートを用いて形成した装飾品、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A41G 1/00 20060101AFI20220616BHJP
B27M 3/00 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
A41G1/00 B
A41G1/00 W
B27M3/00 Z
A41G1/00 C
(21)【出願番号】P 2017169049
(22)【出願日】2017-09-03
【審査請求日】2019-06-12
(73)【特許権者】
【識別番号】517309722
【氏名又は名称】相原木材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129159
【氏名又は名称】黒沼 吉行
(72)【発明者】
【氏名】相原 吉郎
(72)【発明者】
【氏名】寺崎 将太
【審査官】石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭48-089086(JP,A)
【文献】登録実用新案第3164208(JP,U)
【文献】okada,"ソラフラワーって何?",BLOG Flower Times,日本,Flower Education Japan,2017年01月19日,インターネット<URL : https://flowereducation.net/blog/2017/01/33457>
【文献】Orange Porte,"カンナ屑フラワー作り♪",朝霞市のワークショップスペース&ハンドメイド雑貨店 Orange Porte,日本,CyberAgent. Inc.,2017年08月03日,インターネット<URL : https://ameblo.jp/orange-porte/entry-12298291567.html>
【文献】h.ma-ko,"かんなくずアート",「今日の一枚」,日本,Exite Blog,2013年11月12日,インターネット<URL : https://dairyphoto.exblog.jp/21451376>
【文献】デザイン室 真田,"削り華フラワー",スタッフブログ,日本,株式会社森本工務店,2017年06月02日,インターネット<URL : https://www.morimoto-koumuten.jp/staff-blog/11044>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41G 1/00
B27M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材シートを用いて形成された装飾品の製造方法であって、
当該木材シートは、
鉋屑を用い形成された0.2mm以下の肉厚であるとともに、1又は2以上の形状に裁断された複数のチップ状部材からなり、
少なくとも何れかのチップ状部材は、その端部側が木材の繊維に交差する向きに
折り曲げることにより、当該チップ状部材の割れを無くすと共に、前記鉋屑を用いて形成された木材シートにおける空気中の水分による木材の繊維方向への巻回を利用した上で、
その基端側を接着して造形物を形成しており、
前記チップ状部材の基端側は、
核となる、立体形状に形成された中心部材に対して、水分又は可燃性の溶剤を含まないホットメルト接着剤で接合することにより、木材からなるチップ状部材の吸水による変形を阻止した上で積層一体化されると共に、当該ホットメルト接着剤は、チップ状部材同士を離間するスペーサとしても機能していることを特徴とする装飾品の製造方法。
【請求項2】
前記チップ状部材は
花部分及び葉部分を構成しており、
当該花部分は花弁状に裁断されており、
当該花弁状に裁断されたチップ状部材の少なくとも何れかは、その先端側が木材の繊維に斜めに交差する向きに屈曲されると共に、基端側を重ね合わせて接着しており、接着されるチップ状部材同士は、その繊維方向が上下方向に揃えられて
おり、
前記葉部分は、木材シートを、水分含有量が60wt%以上、80wt%以下の酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤で貼り合わせて形成している、請求項1に記載の装飾品の製造方法。
【請求項3】
前記複数のチップ状部材は、種類が異なる木材から形成した木材シートを用いて形成された、様々な模様や色合いのチップ状部材を用いている請求項1に記載の装飾品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉋屑などのように薄く形成した木材シートを用いて形成した造花や模型などの装飾物と、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
木材の加工に際しては様々な切削屑が発生する。特に材木の表面を平滑に仕上げるために鉋で削った際には、薄い木屑である鉋屑が発生する。かかる鉋屑は、一般には廃棄されることになるが、従前においては当該鉋屑を利用して造花を形成する技術も提案されている。
【0003】
例えば特許文献1(特開2005-200781号公報)では、自然な形状を有する造花等の細工物をひのきシート等の木材シートを使用して容易に作製できる製造方法として、長尺状木材に対する切削によって得られる木材シートであって波状に繰り返し湾曲することによって長手方向に縮んだ状態の木材シートを波状木材シートとして生成するシート生成工程と、前記波状木材シートをロール状に巻くことによりロール状木材シートを作製する巻回工程と、前記ロール状木材シートの端部の一方を結紮する結紮工程と、端部の一方が結紮された前記ロール状木材シートに、それを加熱可能な温度を有する水蒸気を与えることにより、前記ロール状木材シートの端部の他方側を開花状に開かせる展開工程とを含む製造方法が提案されている。
【0004】
また特許文献2(特開2005-089962号公報)では、ひのきを製材する際の廃棄物であるひのきシートの、芳香性、殺菌、防カビ作用、美観等の長所を生かして芳香を発散する美しい造花を得る技術が提案されている。即ち、この文献では、ひのきの木質部をスライスして得られた厚さ10~200μmのひのきシートを、湿潤状態で花芯及び花弁を裁断し、花芯を中心に複数の花弁が巻き付けられて根元が結紮されているひのきシートの造花が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-200781号公報
【文献】特開2005-089962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の通り、従前においても鉋屑などの木材シートを用いて造花を形成する技術はいくつか提案されている。しかしながら、前記特許文献1で提案されている製造方法では、端部の一方が結紮された前記ロール状木材シートに、それを加熱可能な温度を有する水蒸気を与えることにより、前記ロール状木材シートの端部の他方側を開花状に開かせるものとなっていた。また前記特許文献2で提案されている造花は、湿潤状態で花芯及び花弁を裁断するものとなっていた。即ち何れの先行技術においても、その成形に際しては水乃至は水蒸気を使用するものとなっていた。
【0007】
しかしながら、鉋屑などの肉薄の木材シートの場合には、湿潤状態から乾燥させる段階において変形してしまい、意図する形状に形成するのが困難であった。
【0008】
そこで本発明は、製造後における変形の問題を無くし、安定した形状で保持することのできる木材シートからなる装飾品およびその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するべく、本発明では、木材シートを折り曲げて加工することにより、任意の形状の造形物とすることのできる装飾品を提供するものである。
【0010】
即ち本発明では、木材シートを用いて形成された装飾品であって、当該木材シートは、1mm以下の肉厚であるとともに、1又は2以上の形状に裁断された複数のチップ状部材からなり、少なくとも何れかのチップ状部材は、その端部側が木材の繊維に交差する向きに屈曲されており、基端側を接着して造形物を形成している装飾品を提供する。
【0011】
かかる造形物は、花や昆虫、あるいは動物や建築物など、様々な形態であって良い。特に、当該造形物は木材シートを裁断して形成したチップ状部材を用いて形成されることを鑑みれば、チップ状部材を花弁や昆虫の羽に見立てた造形物である場合に、一層装飾的効果を高めることができる。
【0012】
また、上記造形物が花などの植物である場合には、前記チップ状部材は花弁状に裁断されており、当該花弁状に裁断されたチップ状部材の少なくとも何れかは、その先端側が木材の繊維に交差する向きに屈曲されると共に、基端側を重ね合わせて接着しており、接着されるチップ状部材同士は、その繊維方向が上下方向に揃えられている装飾品として形成することができる。チップ状部材の先端側を、木材の繊維に交差する向きに屈曲させることにより、当該チップ状部材の割れを無くすことができる。また、接着されるチップ状部材同士の繊維方向を上下方向に揃えることにより、当該チップ状部材の曲げや変形方向を揃えることができる。これにより、仮に吸湿などによって水分を含んだり、これが乾燥した場合であっても、その変形方向を揃えて意匠効果を高めることができる。
【0013】
また、上記本発明の装飾品では、前記チップ状部材の基端側は、ホットメルト接着剤で接合することにより積層一体化されていることが望ましい。かかるホットメルト接着剤は、水分によるチップ部材の変形を抑えるとともに、チップ部材同士を離間するスペーサとして機能することができるためである。かかるホットメルト系接着剤は、主成分としてEVA、オレフィン、合成ゴム、ポリアミド、ポリエステルなどをベースとして構成されており、接合する対象物に応じて適宜選択することが望ましい。
【0014】
また、上記本発明の装飾品では、更に、前記チップ状部材を酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤で接合してなる積層チップ状部材を用いて形成することもできる。かかる酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤は、水分含有量が60wt%以上、80wt%以下であることが望ましい。当該水分含有量を60wt%以上とすることにより、木材シート(チップ状部材)を柔らかくして自然なシワを生じさせることができ、また水分含有量を80wt%以下とすることにより、木材シート(チップ状部材)同士の接合を確実に行うことができる。従って当該水分量になるように、市販の酢酸ビニル系接着剤に水を配合することが望ましい。このような水分含有量の酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤を使用することにより、水分が木材シート(チップ状部材)を変形させるとともに、当該変形した状態で貼り合わされることにより、自然な形で葉脈などの形状を出現させることができる。
【0015】
また、上記本発明の装飾品において、前記積層チップ状部材は、接合するチップ状部材同士の繊維方向を相互に交差させることもできる。繊維方向を揃えて張り合わせることにより、貼り合わせ時に使用した酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤の水分による変形を分散させることができ、これにより複雑な形状の造形物も形成することができる。
【発明の効果】
【0016】
上記本発明に係る木材シートからなる装飾品は、木材シートを用いて形成された装飾品であって、当該木材シートは、1mm以下の肉厚であるとともに、1又は2以上の形状に裁断された複数のチップ状部材からなり、少なくとも何れかのチップ状部材は、その端部側が木材の繊維に交差する向きに屈曲されており、基端側を接着して造形物を形成している。よって、造形物の成形には水乃至は水蒸気を使用する必要性を無くしていることから、鉋屑などの肉薄の木材シートにおいて、湿潤状態から乾燥する段階における変形の問題を無くして、意図した形状の造形物を製造することができる。更に、製造後における変形の問題を無くすことができ、安定した形状で保持することのできる木材シートからなる装飾品およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1の実施形態に係る花を模した造形物からなる装飾物を示す斜視図
【
図2】第1の実施形態に係る花を模した造形物からなる装飾物の製造工程図
【
図3】
図1の装飾物に設置することのできる葉の製造工程図
【
図4】第2の実施形態に係る装飾物を示す分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本実施の形態にかかる装飾品10を具体的に説明する。特に
図1~3に示す第1の実施形態は、花を模した造形物として形成した装飾品10の例を示しており、
図4に示す第2の実施形態は、昆虫を模した造形物として形成した装飾品10の例を示している。
【0019】
先ず、
図1は、第1の実施形態に係る花を模した造形物からなる装飾品10を示す斜視図である。この実施の形態に係る装飾品10は、花部分11及び葉部分12を木材シート20からなるチップ状部材14で形成しており、茎部13にも木材シート20を貼付していることから、全体として木材シート20で形成された造花として認識することができる。
【0020】
かかる装飾品10の製造に際して、花弁は、木材シート20を所定の大きさに裁断してチップ状部材14を形成するとともに、このチップ状部材14を木材の繊維方向(又は木目の延伸方向)に交差する向きに折り曲げて形成することができる。この折り曲げ線は、
図2(B)に鎖線で示している。特に木材シート20が鉋屑を用いて形成されている場合には、空気中の水分によってロール状に巻いた形状となる。その際、当該木材シートは木材の繊維方向に巻回することから、この繊維方向に交差する向き、望ましくは斜めに交差する向きに折り曲げることにより、この巻回を利用しながら、目的とする形状に成形することができる。特に、当該折り曲げ線を交差又は屈曲させた形状とすることにより、この吸湿に巻回も阻止することができる。
【0021】
図2は、この花弁の製造工程図である。この
図2(A)に示すように、当該花弁は、木材シート20を任意の形状に裁断してチップ状部材14を形成する。本実施の形態では、厚さ1mm以下、更に0.5mm以下、特に0.2mm以下の厚さの木材シート20を用いて形成することが望ましく、例えば鉋屑を用いて形成することができる。かかる木材シート20は、三角形、四角形等の多角形形状や、円形、楕円形、ハート形等、各種形状に裁断することができる。特に本実施の形態では、凧形(カイト形状)に裁断しているが、これに限定することなく様々な形状に形成することができる。また、造形物の形成に際して、当該チップ状部材14は複数使用される場合もあるところ、当該複数のチップ状部材14は相互に異なる形状のものを組み合わせたり、2種以上の形状に裁断した複数のチップ状部材14を用いて形成したりすることもできる。
【0022】
更に、複数のチップ状部材14の製造に際して、使用する木材シート20の種類を異ならせることもできる。例えば種類が異なる木材から形成した様々な木材シート20を用いて形成することができ、この場合には、木材の種類によって、木材シート20の木目の間隔や色合いを異ならせることができる為、これらを組み合わせることによって、様々な模様や色合いのチップ状部材14を用いた装飾品10を形成することができる。特に装飾物が造花である場合には、使用する木材シート20の材質に基づいて、各花弁毎に模様(木目など)や色合いを異ならせることができ、また造花の花束を形成する際には、各花ごとに模様(木目など)や色合いを異ならせることができる。
【0023】
そして、以上のように裁断して形成したチップ状部材14は、
図2(B)に示すように、その先端側または基端側等の端部側を、木材シート20の繊維に交差する向きに折り曲げて花弁の形状を形成する。この
図2(B)において、当該折り曲げ線は鎖線で示している。特に本実施の形態では、造形した際に先端側に存在する部位を折り曲げており、これにより花弁の形状を形成している。即ち、凧形(カイト形状)に裁断した状態において、2つの上辺に沿うように、当該上辺の下側を折り曲げている。
【0024】
そして以上のように裁断して先端部側を折り曲げたチップ状部材14は、
図2(C)の貼り付け状態を示す要部端面図示すように、その基部側を接合させて一体化させる。この接合に際しては、ホットメルト接着剤15を使用することが望ましい。かかるホットメルト接着剤15は、EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)、オレフィン、合成ゴム、ポリアミド、ポリエステルなどを主成分として構成されており、本実施の形態ではEVAを主成分とするホットメルト接着剤15を使用している。かかるホットメルト接着剤15は、水分や可燃性の溶剤を含まないことから、木材からなるチップ状部材14の吸水による変形を阻止することができるとともに、装飾品10として使用した際にも有機溶剤による汚染などの問題を生じさせることは無い。そして、当該ホットメルト接着剤15は硬化後においても一定の厚さを保持することができるため、積層させたチップ状部材同士に最適な隙間を確保することができ、開花時における花弁の自然な広がりを実現することができる。
【0025】
そして、上記チップ状部材14の積層一体化に際して、各チップ状部材14は、核となる中心部材30に対して貼り付けることができる。
図2(D)は、中心部材30に対して複数のチップ部材を貼り付けた状態を示すd-d断面図である。この中心部材30は立体形状を有する様々なものであって良いが、本実施の形態では球体に形成した中心部材に対して、前記のように先端側を折り曲げたチップ状部材14の基端側を貼り合わせている。このように中心部材30に対して各チップ状部材14を貼り合わせる際、その基端側を木材の繊維方向に沿う向きに折り畳んだ上で貼り合わせることもできる。木材の繊維方向にも折り畳んで中心部材に貼り合わせた場合には、当該花弁に対して膨らみをもたせることができ、これにより自然な花弁の形態を表現することができる。
【0026】
以上のようにして、鉋屑などの木材シート20を裁断して、その繊維方向に交差する向きに折り曲げ、そしてその基端部側をホットメルト接着剤15で接合して積層させることにより、全体として前記
図1(A)に示したような造花を形成することができる。かかる造花は、その製造に際して水分を使用することなく花弁を成形していることから、製造後の乾燥などによって変形するおそれはなくなり、製造時の形態を長期的に維持することができる。
【0027】
図3は、上記の造花の形態に形成した装飾品10に設置することのできる葉の製造工程図である。この
図3(A)に示すように、葉の形成に際しては、最初に木材シート20を貼り合わせて曲げ強度を高めることが望ましい。この木材シート20同士の貼り合わせには、水分を含有する接着剤、望ましくは酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤21を使用する。かかる酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤21は、更に水分含有量が60wt%以上、80wt%以下であることが望ましく、市販の酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤21に対して、水を添加して形成することができる。かかる水分を含有する接着剤を使用することにより、貼り合わせた木材シート20に自然なシワを形作ることができる。ここで、十分な曲げ強度を確保する上では、当初から肉厚な木材シート20を使用することも考えられる。しかしながら、この場合には葉脈などの凹凸を形作ることが困難になるため、本実施の形態に示すように、水分を含有する接着剤により、薄手の木材シート20を貼り合わせることが望ましい。
【0028】
また、木材シート20の貼り合わせに際しては、貼り合わせる木材シート20の繊維方向を同じ向きに揃える他、交差する向きに貼り合わせることもできる。木材シート20の繊維方向を同じ向きに揃えて張り合わせた場合には、葉全体の曲がり具合を表現することができる。一方で貼り合わせる木材シート20同士の繊維方向を交差させた場合には、相互の曲がりを抑止することができるため、曲がり具合の少ない葉を作成することができる。貼り合わせる木材シート20の繊維方向は、形成する葉の種類(植物の種類など)に応じて適宜選択することができる。
【0029】
以上のように水分を含有する接着剤により貼り合わされた木材シート20は、当該水分の乾燥によって葉脈などのシワを形作ることができるが、当該接着剤の硬化後における変形は阻止することができる。そこで、当該接着剤の硬化によって貼り合わされた木材シート20は、
図3(B)に示すように葉の形に裁断又は打ち抜くことにより、前記造花の装飾品10に設けることのできる葉を製造することができる。当該造花に対する葉の接合は、各種の接着剤を使用することができ、例えば前記ホットメルト接着剤15を使用することができる。
【0030】
図4は第2の実施の形態に係る装飾品10を示す分解斜視図である。この実施の形態に示す装飾品10は特に蝶を模した形状に形成した造形物であるが、トンボや鳥、あるいは魚や猫など、他の生き物を模した形状であっても良い。特に本実施の形態では、蝶の羽部分を、木材シート20を裁断して形成したチップ状部材14によって形成している。そしてこの実施の形態においても、図面中に鎖線で示した箇所で、当該チップ部材を折り曲げることにより、羽の立体感を表現することができるとともに、当該羽の吸湿による変形を阻止することができ、室内環境において、安定した形態で設置することができる。
【0031】
なお、本実施の形態において、蝶の羽部分は、前記第1の実施の形態に示した植物の葉の部分と同様に、2枚以上の木材シート20を貼り合わせ、これを裁断して形成することもできる。更に、当該羽部分は、木材シート自体を厚めに形成して、これを裁断するように形成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明にかかる装飾品は、木材シートの新しい利用分野を提供するものであり、木材加工分野及び装飾品の製造分野において利用することが可能である。なお、当該装飾品は、室内装飾品に限らず、屋外において使用することもでき、更にアクセサリーなどの身飾品として、身の回りの装飾品として利用することもできる。
【0033】
更に、本発明に係る木材シートを、解体される木造建築物や、神社仏閣に関係する木材を用いて形成し、これを使用して本発明に係る装飾品を形成することにより、記念品乃至は授与品として利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
10 装飾品
11 花部分
12 葉部分
13 茎部
14 チップ状部材
15 ホットメルト接着剤
20 木材シート
21 酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤
30 中心部材