(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】製菓用転写モールドの製造方法
(51)【国際特許分類】
A23G 1/04 20060101AFI20220616BHJP
A23G 1/30 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
A23G1/04
A23G1/30
(21)【出願番号】P 2017219597
(22)【出願日】2017-11-15
【審査請求日】2020-09-23
(73)【特許権者】
【識別番号】509098331
【氏名又は名称】株式会社 常陽産業
(74)【代理人】
【識別番号】100090413
【氏名又は名称】梶原 康稔
(72)【発明者】
【氏名】平井 伸子
(72)【発明者】
【氏名】小竹 俊徳
【審査官】村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】特公昭53-012589(JP,B1)
【文献】特開平02-175127(JP,A)
【文献】特開2004-050739(JP,A)
【文献】特開平04-287639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G、B29C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明シートの一方の主面に、該透明シートを加熱しながら、チョコレートもしくは食用インクにより装飾層を印刷する工程と、
上方に向けて広がった凹部を有する金型及びその周囲に配置されるテーブルと、該金型及びテーブルの上方に配置された固定手段とによって、前記工程で装飾層が印刷された透明シートを、前記装飾層側を上向きにした状態でその周囲を挟んで固定する工程と、
該工程で前記金型及びテーブルと、固定手段とによって挟まれた透明シートを、前記金型を加熱しながら、該金型の凹部に設けられた吸引孔
がつながる吸引室から真空吸引し、前記装飾層が形成された部分を、前記金型の凹部に沿って変形させて充填部を形成する工程と、
前記金型及びテーブルと、前記固定手段を離して、前記充填部が形成された透明シートを取り出す工程と、
を含むことを特徴とする製菓用転写モールドの製造方法。
【請求項2】
前記テーブル及び前記固定手段には、それらの開口部を分割する枠が対応して設けられており、前記金型には、前記テーブルの枠が嵌るスリットが設けられており、
前記透明シートの周囲を挟んで固定する工程において、前記テーブルの枠と、前記固定手段の枠とによって、前記透明シートを挟むことを特徴とする請求項1記載の製菓用転写モールドの製造方法。
【請求項3】
前記装飾層を印刷する工程において、
前記透明シートの温度を55℃~65℃,好ましくは60℃程度に加熱することを特徴とする請求項1又は2記載の製菓用転写モールドの製造方法。
【請求項4】
前記装飾層を印刷する工程において、
チョコレートを装飾層として使用する場合に、装飾層を印刷する際のチョコレートの温度を60~80℃,好ましくは65~75℃としたことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の製菓用転写モールドの製造方法。
【請求項5】
前記充填部を形成する工程において、
前記透明シートとしてポリカーボネートを使用する場合に、
前記金型の温度を160℃~180℃,好ましくは175℃程度としたことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の製菓用転写モールドの製造方法。
【請求項6】
前記充填部を形成する工程において、
前記金型における吸引時間を、2~5秒,好ましくは3秒程度としたことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の製菓用転写モールドの製造方法。
【請求項7】
前記装飾層が、色の異なる複数の層からなることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の製菓用転写モールドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製菓用転写モールドの製造方法に関し、例えば、チョコレートに模様を転写する場合に好適な製菓用転写モールドの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
チョコレートに装飾を施す技術としては、例えば、下記特許文献1に記載の装飾チョコレート及びその製造方法がある。当該特許文献1には、成型し固化したチョコレートの表面層を柔らかくし、この柔らかくされた表面層に水性の可食性インクにより適宜の表示を印刷することが開示されている。具体的には、インクジェット印刷法によって、柔らかくした表面層に接触することなく、水性の可食性インクを表面層に噴射することにより行っている。
【0003】
また、下記特許文献2に記載の模様付きチョコレートの手作り用キットがある。当該特許文献2によれば、平坦な底面に予め可食性インクによる転写層を設けたチョコレートの流し込み型と、前記転写層から前記チョコレートの流し込みレベルを超える高さを有して前記流し込み型に嵌め込まれ、固化後のチョコレートを前記転写層と共に分割可能に区画する仕切り板とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-29064号公報
【文献】実用新案登録第3201327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1及び特許文献2に記載の技術は、いずれも、チョコレート自体で装飾を施すものではない。また、特許文献1に記載の技術では、家庭などで簡単にチョコレートを製作するには不向きである。
【0006】
本発明は、以上のような点に着目したもので、チョコレート自体で装飾でき、家庭などでも簡単にチョコレートを製作可能な製菓用転写モールドの製造方法を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、透明シートの一方の主面に、該透明シートを加熱しながら、チョコレートもしくは食用インクにより装飾層を印刷する工程と、上方に向けて広がった凹部を有する金型及びその周囲に配置されるテーブルと、該金型及びテーブルの上方に配置された固定手段とによって、前記工程で装飾層が印刷された透明シートを、前記装飾層側を上向きにした状態でその周囲を挟んで固定する工程と、該工程で前記金型及びテーブルと、固定手段とによって挟まれた透明シートを、前記金型を加熱しながら、該金型の凹部に設けられた吸引孔がつながる吸引室から真空吸引し、前記装飾層が形成された部分を、前記金型の凹部に沿って変形させて充填部を形成する工程と、前記金型及びテーブルと、前記固定手段を離して、前記充填部が形成された透明シートを取り出す工程とを含むことを特徴とする。
【0008】
主要な形態の一つは、前記テーブル及び前記固定手段には、それらの開口部を分割する枠が対応して設けられており、前記金型には、前記テーブルの枠が嵌るスリットが設けられており、前記透明シートの周囲を挟んで固定する工程において、前記テーブルの枠と、前記固定手段の枠とによって、前記透明シートを挟むことを特徴とする。他の形態の一つは、前記装飾層を印刷する工程において、前記透明シートの温度を55℃~65℃,好ましくは60℃程度に加熱することを特徴とする。あるいは、チョコレートを装飾層として使用する場合に、装飾層を印刷する際のチョコレートの温度を60~80℃,好ましくは65~75℃としたことを特徴とする。
【0009】
更に他の形態の一つは、前記充填部を形成する工程において、前記透明シートとしてポリカーボネートを使用する場合に、前記金型の温度を160℃~180℃,好ましくは175℃としたことを特徴とする。あるいは、前記金型における吸引時間を、2~5秒,好ましくは3秒としたことを特徴とする。更に他の形態の一つは、前記装飾層が、色の異なる複数の層からなることを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、透明シートの一方の主面に、該透明シートを加熱しながら、チョコレートもしくは食用インクにより装飾層を印刷する工程と、上方に向けて広がった凹部を有する金型及びその周囲に配置されるテーブルと、該金型及びテーブルの上方に配置された固定手段とによって、前記工程で装飾層が印刷された透明シートを、前記装飾層側を上向きにした状態でその周囲を挟んで固定する工程と、該工程で前記金型及びテーブルと、固定手段とによって挟まれた透明シートを、前記金型を加熱しながら、該金型の凹部に設けられた吸引孔がつながる吸引室から真空吸引し、前記装飾層が形成された部分を、前記金型の凹部に沿って変形させて充填部を形成する工程と、前記金型及びテーブルと、前記固定手段を離して、前記充填部が形成された透明シートを取り出す工程とを含むこととした。このため、チョコレート自体で装飾でき、家庭などでも簡単にチョコレートを製作可能な製菓用転写モールドが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例1を示す図であり、(A)は透明シートの平面図,(B)は製造装置の主要部を示す分解斜視図である。
【
図2】前記
図1(B)を#A-#A線に沿って切断した図であり、(A)及び(B)は端面図,(C)は断面図である。
【
図3】前記実施例1の転写モールドの切断前の状態を示す外観斜視図である。
【
図4】前記実施例1の転写モールドを利用してチョコレートに装飾を転写する様子を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
最初に、
図1~
図4を参照しながら本発明の実施例1を説明する。
図1(A)は本実施例で使用する透明シート(樹脂シート)の平面図,
図1(B)は製造装置の主要部を示す分解斜視図である。
図2は、本実施例による製菓用転写モールド(以下「転写モールド」とする)の製造工程の一例を示す図であり、(A)及び(B)は前記
図1(B)を#A-#A線に沿って切断し矢印方向に見た端面図,(C)は断面図である。
図3は、本実施例の転写モールドの切断前の状態を示す外観斜視図である。
図4は、本実施例の転写モールドを利用してチョコレートに装飾を転写する様子を示す外観斜視図である。本発明は、チョコレートを所望の形に成型するモールドに、転写用の装飾層を設けたものであり、装飾層自体をチョコレートで形成しているものである。
【0014】
図1(A)に示すように、本実施例の製造方法で使用する転写モールド用の透明シート10は、例えば、ポリカーボネート製のシートが用いられる。また、前記透明シート10を成型する装置は、例えば、
図1(B)に示す金型20,テーブル30,固定板(固定枠)50と、
図2(A)~(C)に示す受部40と、図示しない吸引手段により構成される。
【0015】
前記金型20は、
図1(B)に示すように、スリット22,24によって複数(図示の例では4つ)のブロックに分かれており、各ブロックの上面20A側に、複数の凹部26が設けられている。該凹部26は、図示の例では、上部に向けてやや広がったハート型となっている。前記受部40は、
図2(A)~(C)に示すように、前記金型20の底面20Bとの間に、真空減圧するための吸引室44を形成し、周囲の立設した側面の上部42でテーブル30の周縁を受ける。一方、前記凹部26には、前記吸引室44につながる孔28が形成されている。前記吸引室44は、図示しない吸引手段によって真空減圧可能となっている。
【0016】
前記テーブル30は、
図1(B)に示すように、略正方形であって、中央部が開口しており、該開口部は、十字状に配置された枠32,34により、4つの開口部36に分割されている。前記枠32,34が、前記金型20のスリット22,24に嵌るとともに、金型20の各ブロックが、前記開口部36に嵌るようになっている。なお、前記金型20の昇降は、例えば空気圧を利用した図示しない昇降手段により自動で行われる。
【0017】
前記固定板50は、前記テーブル30と同様の構成となっており、
図1(B)の例では略正方
形であって、中央部が開口しており、該開口部は、十字状に配置された枠52,54により、4つの開口部56に分割されている。該開口部56と前記テーブル30の開口部36の位置を合わせることにより、前記金型20と固定板50によって、前記透明シート10を挟んで固定することが可能となる。なお、前記固定板50は、前記金型20及びテーブル30に対して、図示しない昇降手段によって昇降可能となっている。
【0018】
次に、
図1~
図4を参照しながら、本実施例による転写モールドの製造方法について説明する。まず、
図1(A)に示すように、透明シート10に、装飾層12~16を施す。このとき、透明シート10をチョコレートが溶解する温度以上に保つとともに、装飾用のチョコレートの温度を溶解温度以上とする。一般的にチョコレートは、種類にもよるが45~50℃で溶解するので、透明シート10もチョコレートもそれ以上の温度とするが、透明シート10上におけるチョコレートの印刷を良好に行うためには、45~50℃よりも高めの温度設定が望ましい。例えば、透明シート10については、55~65℃程度、好ましくは60℃前後に設定する。チョコレートについては、60~80℃程度、好ましくは65~75℃程度とする。
【0019】
装飾用のチョコレートは、スクリーン印刷等により透明シート10の一方の主面(図示の例では、上面10A)に所望の形状に印刷する。例えば、装飾層12は星形,装飾層14はハート形,装飾層16は、二つのハート形の装飾層16A,16Bが一部重なった形状となっている。これら装飾層12~16A,16Bを構成するチョコレートの色は、転写モールド70(
図4参照)を使用して成型するチョコレート80と異なる色であればよい。
【0020】
また、装飾層16のように、2つの装飾層16A,16Bを重ねる場合には、下層側の装飾層16Aを印刷したあと、次に重ねる装飾層16B用のチョコレートの温度管理が重要となり、装飾層16Bの温度が高すぎると、装飾層16Aが溶けてしまうなどの不都合が生ずる。下層の装飾層16Aが溶けることなく装飾層16Bを重ねるためには、チョコレートの溶解温度以上であって、比較的低い温度、例えば45℃~55℃、好ましくは50℃程度とすると、きれいに積層した装飾層16を得ることができる。
【0021】
次に、
図1(B)に示すように、装飾層12~16を印刷した透明シート10を、印刷面(上面10A)を上にして、前記テーブル30に載せる。このとき、金型20の凹部26と、前記装飾層12~16を施した位置が合うように、手動で位置決めを行う。次に、図示しない昇降手段により、前記固定板50を下降させて、透明シート10を前記テーブル30上に固定する。次いで図示しない他の昇降機構により、前記金型20を上昇させ、金型20の各ブロックを、前記テーブル30の各開口部36に嵌める。
【0022】
このように、透明シート10を、金型20及びテーブル30と、固定板50の間に挟んで固定した状態で、前記金型20を加熱し、透明シート10を柔らかくする。透明シート10を加熱する金型20の温度としては、透明シート10の素材にもよるが、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)であれば70℃~90℃,ポリカーボネートであれば160℃~180℃(好ましくは175℃程度)とする。透明シート10として、特にポリカーボネートを使用すると、高熱に強い素材であることから、短時間で変形可能である,凹凸の細かい複雑な形状が可能となる,といった利点があり、例えばコミックのキャラクタなどの変形加工ができるようになる。
【0023】
透明シート10が加熱により軟らかくなったところで、
図2(A)に示すように、前記吸引室44を図示しない減圧装置で真空吸引する。すると、同図に点線の矢印で示すように、金型20の凹部26内の空気が、前記孔28から吸引され、
図2(B)に示すように、透明シート10の前記装飾層12~16を施した部分が、金型20の凹部26の内面に沿うように変形し、後にチョコレート80を充填するための凹んだ充填部60が形成される。なお、このような真空吸引は、例えば2秒~5秒,好ましくは3秒程度行うものとする。
【0024】
以上のようにして、充填部60が形成されたら、
図2(C)に矢印FAで示すように図示しない昇降手段により金型20を下降し、ついで、図示しない昇降手段により、固定板50を同図に矢印FBで示すように上昇させて、充填部60が形成された透明シート10を取り出す。
【0025】
次に、
図3に示すように、充填部60が多数形成された透明シート10を、一つのブロックに複数の充填部60が配置されるように、切断ラインL1,L2に沿って、プレス機で切断する。図示の例では、一つのブロックに、4つの充填部60が含まれるように切断する。以上の工程によって、
図4(A)に示す転写モールド70が製造される。転写モールド70の凹んだ充填部60には、チョコレートによって形成された装飾層
16が配置されている。
【0026】
前記転写モールド70を使用して、チョコレートを成型するには、成型用のチョコレートを適宜温度に加熱して溶かし、
図4(B)の右上側に示すように、充填部60に溶かしたチョコレートを注ぎ充填する。この場合において、充填するチョコレートの温度が高すぎると、装飾層16A,16Bが溶けてしまう恐れがあるし、逆に低すぎると装飾層16A,16Bの転写が上手く行われないので、例えば、60℃~90℃、好ましくは80℃程度の温度とする。そして、チョコレートの充填した状態で一定時間冷却してチョコレート80を固化した後(同図の左上側参照)、転写モールド70からチョコレート80を取り出すと、同図の左下に示すように、上面に装飾層16A,16Bが転写されたハート型のチョコレートが得られる。
【0027】
このように、実施例1によれば、透明シート10の上面10Aに、加熱しながらチョコレートにより装飾層12~16A,16Bを印刷し、該装飾層12~16A,16Bが印刷された透明シート10を、装飾層側を上向きにして、上方に向けて広がった凹部26を有する金型20及びテーブル30と、前記透明シート10の周囲をおさえる固定板50により挟む。そして、前記金型20を加熱しながら、該金型20の凹部26に設けられた孔28により真空吸引して、前記装飾層12~16A,16Bが形成された部分が、前記金型20の凹部26に沿って凹むように変形させて充填部60を形成する。その後、金型20と固定板50を離して、前記充填部60が形成された透明シート10を取り出し、所望の寸法に切断することとした。このため、チョコレート自体で装飾でき、家庭などで簡単にチョコレートを成型可能な製菓用転写モールド70が得られる。また、装飾層16のように、2つの色の異なる装飾層16A,16Bを用いることにより、装飾のデザインの幅が広がる。
【0028】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例で示した形状,寸法は一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。例えば、前記実施例では、金型20の凹部26及び転写モールド70の充填部60をハート型としたが、これも一例であり、円形,楕円形,四角形,星形,その他の形状とすることを妨げるものではない。
(2)前記実施例では、装飾層12~16A,16Bを模様としたが、これも一例であり、他の図形や数字,文字,記号などを印刷するようにしてもよい。
【0029】
(3)前記実施例では、装飾層16を、装飾層16A,16Bからなる2層構造としたが、これも一例であり、3層以上とすることを妨げるものではない。また、多層にしなくても、複数の色のチョコレートを用いて、装飾層を形成するようにしてもよい。
(4)前記実施例では、通常のチョコレート80を成型する場合を例に挙げて説明したが、これも一例であり、例えば、ホワイトチョコレートなどを成型する場合にも、本発明は適用可能である。他の着色が施されたチョコレートの成型の場合も同様である。加えて、チョコレートの代わりに食用インクを装飾層として用いるようにしてもよい。
(5)前記実施例では、一つの転写モールド70に4つの充填部60が含まれるように加工後の透明シート10を切断することとしたが、これも一例であり、一つの転写モールド70に含まれる充填部60の数は、適宜増減可能である。また、複数の充填部60の形状は、必ずしも同一である必要もなく、異なる形状としてよい。
(6)前記実施例における透明シート10は、必ずしも無色透明である必要はなく、有色透明でもよいし、半透明であってもよい。
(7)また、前記実施例では、装飾層をチョコレートに転写したが、チョコレート以外のゼリーなどのお菓子に転写するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明によれば、透明シートの一方の主面に、該透明シートを加熱しながら、チョコレートもしくは食用インクにより装飾層を印刷する工程と、上方に向けて広がった凹部を有する金型及びその周囲に配置されるテーブルと、該金型及びテーブルの上方に配置された固定手段とによって、前記工程で装飾層が印刷された透明シートを、前記装飾層側を上向きにした状態でその周囲を挟んで固定する工程と、該工程で前記金型及びテーブルと、固定手段とによって挟まれた透明シートを、前記金型を加熱しながら、該金型の凹部に設けられた吸引孔がつながる吸引室から真空吸引し、前記装飾層が形成された部分を、前記金型の凹部に沿って変形させて充填部を形成する工程と、前記金型及びテーブルと、前記固定手段を離して、前記充填部が形成された透明シートを取り出す工程とを含むこととしたので、製菓用の転写モールドの用途に適用できる。特に、容易に装飾層の転写が可能なため、家庭などでのチョコレートの成型に使用される転写モールドの用途に好適である。
【符号の説明】
【0031】
10:透明シート
10A:上面
12~16,16A,16B:装飾層
20:金型
20A:上面
20B:底面
22,24:スリット
26:凹部
28:孔
30:テーブル
32,34:枠
36:開口部
40:受部
42:上面
44:吸引室
50:固定板
52,54:枠
56:開口部
60:充填部
70:転写モールド
80:チョコレート