(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】軸受け部材
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20220616BHJP
B29C 45/16 20060101ALI20220616BHJP
F16C 17/02 20060101ALI20220616BHJP
F16C 33/20 20060101ALI20220616BHJP
F16C 33/74 20060101ALI20220616BHJP
F16C 13/02 20060101ALI20220616BHJP
F16J 15/18 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
G03G15/08 390B
B29C45/16
F16C17/02 Z
F16C33/20 A
F16C33/74 Z
F16C13/02
F16J15/18 C
(21)【出願番号】P 2018086110
(22)【出願日】2018-04-27
【審査請求日】2020-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】501415682
【氏名又は名称】株式会社横井製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(72)【発明者】
【氏名】横井 慎一
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-349326(JP,A)
【文献】特開2011-164287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
B29C 45/16
F16C 17/02
F16C 33/20
F16C 33/74
F16C 13/02
F16J 15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを攪拌するあるいは搬送するスクリューの回転軸を封止状態で回転自在に受けるようにハウジング内に設けら
れ、
熱可塑性樹脂組成物からなる部材本体部と、熱可塑性樹脂エラストマーからなるシール部を備え、
前記部材本体部が、一側に開口部を有し、他側に設けられた底に前記回転軸の貫通孔を有する筒状部を備え、
前記筒状部が、前記底の前記開口部を臨む位置に肉盗み用凹部を有し、
前記シール部が、前記筒状部に内接する筒状をしたベース筒部と、このベース筒部の内側で前記貫通孔に連通状態で前記ベース筒部に一体化され、前記筒状部の底側から前記開口部側に向かって前記貫通孔と同心円状に徐々に縮径し前記回転軸が回転可能に嵌合するシール本体部を有し、かつ、前記シール部を構成する熱可塑性樹脂エラストマーの一部が前記肉盗み用凹部に密に嵌合している
電子写真装置の軸受け部材であって、
前記シール部が、ベース筒部の中心軸に平行で、断面形状がシール部の半径方向外側に向かって大きくなる複数のリブを外壁面に沿って間欠的に備え、
前記部材本体部が、その筒状部の内壁に、筒状部の開口端から底方向に延びる前記リブが嵌合するリブ嵌合溝を備えていることを特徴とする軸受け部材。
【請求項2】
前記部材本体部が、前記底側に外周方向に延出するフランジ部を有する請求項1に記載の軸受け部材。
【請求項3】
前記部材本体部が、前記筒状部の底近傍に筒状部の内外に貫通する抜け止め孔を有し、
前記シール部が、ベース筒部の外周面から突出し、前記抜け止め孔に嵌合する抜け止め突部を備えている請求項1または請求項2に記載の軸受け部材。
【請求項4】
前記部材本体部が、前記底側に外周方向に延出するフランジ部を有し、
前記フランジ部が前記抜け止め孔より前記底側に設けられているとともに、
前記フランジ部に沿うように前記部材本体部に外嵌され、前記抜け止め突部を介して前記シール部に一体成形された環状パッキン部を備えている請求項3に記載の軸受け部材。
【請求項5】
部材本体部を射出成形したのち、シール部を射出成形する請求項1~請求項4のいずれかに記載の軸受け部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、ハウジング内に内蔵されたトナーを含む現像剤の攪拌や搬送に使用されるスクリューを、その回転軸を介してのトナーの漏れを防止した状態で前記スクリューを回転可能に前記ハウジングに支持する電子写真装置の軸受け部材に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式の複写機やプリンタなどの電子写真装置においては、トナーカートリッジのハウジング内に、内部のトナーを含む現像剤を撹拌あるいは搬送するために、スクリューが設けられている(たとえば、特許文献1参照) 。
上記スクリュー200は、
図16に示すように、例えば、回転軸210に、回転軸210の周方向に突出するように螺旋状をしたスクリュー部211が設けられており、回転軸210の両端が、軸受け部材300を介してハウジング110に回転自在に支持されている。
【0003】
軸受け部材300は、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂で形成された部材本体部310と、部材本体部310に一体に設けられた熱可塑性樹脂エラストマーからなるシール部320を備えている。
そして、スクリュー200が、その回転軸210の端部がシール部320のシール部本体321を介して回転自在にシールされた状態で部材本体部310に軸孔311に支持されている。
また、部材本体部310は、通常、ひけなどを防止するために、
図16に示すように、シール部320と反対側のハウジング110外側に向く面に肉盗み用凹部312が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、昨今は、省エネルギー駆動のニーズから、トナーの低温定着化が進んでいるため、スクリューと軸受け部材との間で発生する摩擦熱がトナーにできるだけ影響を及ぼさないように放熱させる必要が高くなっている。
【0006】
一方、従来の電子写真装置では、ファン等の多数の冷却手段が設けられていたが、これらは電子写真装置の小型化や低コスト化の障害になっている。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みて、スクリューの回転軸との摩擦によって発生する摩擦熱をハウジング外に放熱しやすい軸受け部材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発明者は、上記目的を達成するために、研究を重ね、上記肉盗み用凹部312の存在により、軸受け部材のシール部で発生した摩擦熱をハウジングの周壁側に伝える部分の熱容量が小さいため、摩擦熱がハウジングの外側に逃げにくく、ハウジングの内側に熱がこもり、トナーの変質を招くことがわかり、鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに到った。
【0009】
すなわち、本発明にかかる軸受け部材(以下、「本発明の軸受け部材」と記す)は、トナーを攪拌するあるいは搬送するスクリューの回転軸を封止状態で回転自在に受けるようにハウジング内に設けられ、熱可塑性樹脂組成物からなる部材本体部と、熱可塑性樹脂エラストマーからなるシール部を備え、前記部材本体部が、一側に開口部を有し、他側に設けられた底に前記回転軸の貫通孔を有する筒状部を備え、前記筒状部が、前記底の前記開口部を臨む位置に肉盗み用凹部を有し、前記シール部が、前記筒状部に内接する筒状をしたベース筒部と、このベース筒部の内側で前記貫通孔に連通状態で前記ベース筒部に一体化され、前記筒状部の底側から前記開口部側に向かって前記貫通孔と同心円状に徐々に縮径し前記回転軸が回転可能に嵌合するシール本体部を有し、かつ、前記シール部を構成する熱可塑性樹脂エラストマーの一部が前記肉盗み用凹部に密に嵌合している電子写真装置の軸受け部材であって、前記シール部が、ベース筒部の中心軸に平行で、断面形状がシール部の半径方向外側に向かって大きくなる複数のリブを外壁面に沿って間欠的に備え、前記部材本体部が、その筒状部の内壁に、筒状部の開口端から底方向に延びる前記リブが嵌合するリブ嵌合溝を備えていることを特徴としている。
【0010】
本発明の軸受け部材において、肉盗み用凹部は、部材本体部の成形時にひけなどにより、部材本体部の成形精度を損なわないように設けられ、成形精度が確保できれば、その深さや大きさは特に限定されない。また、放熱性を考慮すれば貫通孔周りに均一に複数個所設けられることが好ましい。
部材本体部を構成する熱可塑性樹脂組成物としては、特に限定されないが、たとえば、主成分としてポリプロピレン樹脂、AS樹脂、ABS樹脂などのスチレン系樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられ、これらが単独であるいは複合して用いられても構わない。
また、上記熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、熱伝導性付与を目的として熱伝導性の高い熱伝導性付与用充填剤が配合してもよいし、従来から射出成形品の熱可塑性樹脂組成物に添加される公知の添加剤を加えるようにしても構わない。
熱伝導性付与用充填剤としては、特に限定されないが、酸化アルミニウムや窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素、石英、水酸化アルミニウムなどの金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物、黒鉛などが挙げられ、黒鉛が好ましい。
また、シール部を構成する熱可塑性樹脂エラストマーとしては、特に限定されないが、たとえば、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、アクリル系エラストマー等の熱可塑性エラストマー等が挙げられ、必要に応じて、熱伝導性付与を目的として熱伝導性の高い熱伝導性付与用充填剤が配合してもよい。
【0013】
本発明の軸受け部材は、特に限定されないが、部材本体部が、前記筒状部の底近傍に筒状部の内外に貫通する抜け止め孔を有し、前記シール部が、ベース筒部の外周面から突出し、前記抜け止め孔に嵌合する抜け止め突部を備えている構造としてもよい。
すなわち、かかる構造とすることによって、シール部の筒状部からの抜けを防止できるとともに、スクリューの回転軸の回転に伴って、シール部が共回りすることを防止できる。
【0014】
本発明の軸受け部材は、特に限定されないが、フランジ部が前記抜け止め孔より前記底側に設けられているとともに、前記フランジ部に沿うように前記部材本体部に外嵌され、前記抜け止め突部を介して前記シール部に一体成形された環状パッキン部を備えている構造としてもよい。
すなわち、環状パッキンが、ハウジングに嵌合するので、ハウジングの成形精度に左右されず、軸受け部材をハウジングの所定位置に確実にセットすることできる。
【0015】
本発明の軸受け部材は、特に限定されないが、部材本体部が、前記筒状部の開口部側に、前記筒状部の内部に連通する略扇形あるいは異型の切欠部を有し、前記シール部が、前記シール部本体部の前記開口部側端部から外側に突出し、前記切欠部に嵌合する嵌合部を前記シール部本体部に一体成形されている構成としてもよい。
すなわち、かかる構造により、シール部本体部と、筒状部との間に隙間が生じないように保持することができる。
【0016】
本発明の軸受け部材に軸支されるスクリューの材質としては、特に限定されないが、熱伝導性の高い熱可塑性樹脂組成物や金属材料で形成されていることが好ましい。
【0017】
本発明の軸受け部材は、特に限定されないが、たとえば、部材本体部を射出成形したのち、シール部を射出成形する二色成形によって製造することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる軸受け部材は、以上のように、トナーを攪拌するあるいは搬送するスクリューの回転軸を封止状態で回転自在に受けるようにハウジング内に設けられ、熱可塑性樹脂組成物からなる部材本体部と、熱可塑性樹脂エラストマーからなるシール部を備え、前記部材本体部が、一側に開口部を有し、他側に設けられた底に前記回転軸の貫通孔を有する筒状部を備え、前記筒状部が、前記底の前記開口部を臨む位置に肉盗み用凹部を有し、前記シール部が、前記筒状部に内接する筒状をしたベース筒部と、このベース筒部の内側で前記貫通孔に連通状態で前記ベース筒部に一体化され、前記筒状部の底側から前記開口部側に向かって前記貫通孔と同心円状に徐々に縮径し前記回転軸が回転可能に嵌合するシール本体部を有し、かつ、前記シール部を構成する熱可塑性樹脂エラストマーの一部が前記肉盗み用凹部に密に嵌合している電子写真装置の軸受け部材であって、前記シール部が、ベース筒部の中心軸に平行で、断面形状がシール部の半径方向外側に向かって大きくなる複数のリブを外壁面に沿って間欠的に備え、前記部材本体部が、その筒状部の内壁に、筒状部の開口端から底方向に延びる前記リブが嵌合するリブ嵌合溝を備えている。
【0019】
すなわち、部材本体部が、肉盗み用凹部を備えているので、部材本体部の成形時にひけ等を防止することができ、部材本体部の成形精度がよい。
また、シール部を構成する熱可塑性樹脂エラストマーの一部が、肉盗み用凹部内に密に嵌合しているので、部材本体のシール部とは逆側に肉盗み用凹部を備えたものに比べ、軸受け部材の熱容量が大きくなる。
【0020】
したがって、部材本体部のシール部とは逆側に肉盗み用凹部を備えたものに比べ、ハウジング外に熱が逃げやすくなり、スクリューの回転軸と軸受部の摩擦による熱によるハウジング内にトナーの変質を抑えることができる。
しかも、部材本体部を射出成形後、シール部を射出成形する二色成形によって容易に得ることができ、生産性がよい。
また、リブによってベース筒部を補強するとともに、ベース筒部の回り止めも図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の軸受け部材の第1の実施の形態をあらわし、その斜視図である。
【
図9】
図1の軸受け部材の部材本体部の正面図である。
【
図11】
図1の軸受け部材がスクリューの軸受け状態でハウジング内にセットされた状態をあらわす断面図である。
【
図12】本発明の軸受け部材の第2の実施の形態をあらわし、その正面図である。
【
図14】検証実験に用いた装置を概略的に表す図である。
【
図16】従来の軸受け部材がスクリューの軸受け状態でハウジング内にセットされた状態をあらわす断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1~
図8は、本発明の軸受け部材の第1の実施の形態をあらわしている。
図1~
図8に示すように、この軸受け部材1aは、部材本体部2と、シール部3aを備えている。
【0023】
部材本体部2は、ポリプロピレン樹脂組成物で形成されていて、筒状部21とフランジ部22を備えている。
筒状部21は、一側に開口部を有する有底筒状をしていて、
図9および
図10に示すように、軸支されるスクリューの回転軸が回転可能に嵌り込む軸孔となる貫通孔21aが底21bの中央に穿設されているとともに、円弧状をした4つの肉盗み用凹部21cが貫通孔21aを囲むように凹設されている。
【0024】
また、筒状部21は、
図9に示すように、その開口部側の端面にゲート位置となる2つの段落ち部21dが筒状部21の中心軸を挟んで対称に設けられるとともに、段落ち部21dと段落ち部21dとの間に開口部側の端面から略底近傍まで達する内壁面に3つずつの横断面略台形をしたリブ嵌合溝21eが間欠的に凹設されている。
フランジ部22は、筒状部21の底21b側で筒状部21の外側に延設されている。
筒状部21は、フランジ部22の筒状部開口側端面に沿うように、筒状部21を貫通する4つの抜け止め孔21fが筒状部21の周方向に間欠的に設けられている。
【0025】
シール部3aは、ポリエステル樹脂系エラストマーで形成されていて、ベース筒部31と、シール部本体32と、6つのリブ33と、2つゲート跡覆い部34と、4つの嵌合脚部35と、4つの抜け止め突部36とを備えている。
ベース筒部31は、その外周面が筒状部21の内周面に沿う円筒状をしていて、その一端面が筒状部21の底21bに当接するともに、他端面が筒状部21の開口端にほぼ一致している。
【0026】
シール部本体32は、貫通孔21aと同心円状に設けられ、筒状部21の底21b側から開口部側に向かって徐々に縮径するリップ形状をしている。
6つのリブ33は、ベース筒部31の外壁面から突設されていて、それぞれリブ嵌合溝21eに密に嵌り込んでいる。
【0027】
2つのゲート跡覆い部34は、ベース筒部31に外壁面から突設されていて、それぞれ段落ち部21dに嵌り込んで、
図7に示すゲート跡21gを覆い隠している。
4つの嵌合脚部35は、それぞれ肉盗み用凹部21cに密に嵌り込んでいる。
【0028】
4つの抜け止め突部36は、ベース筒部31の外壁面から突設されていて、それぞれ抜け止め孔21fに密に嵌合し、先端面が筒状部21の外壁面とほぼ一致している。
【0029】
そして、この軸受け部材1aは、たとえば、
図9に示すように、トナーカートリッジ4のハウジング41内にセットされて、攪拌スクリュー5aおよび供給スクリュー5bの回転軸51を軸支することができる。
【0030】
この軸受け部材1aは、上記のように構成されているので、以下のような優れた効果を奏する。
(1)肉盗み用凹部21cに、シール部3aの一部を構成する嵌合脚部35が密に嵌合しているので、軸受け部材1aのハウジング41の外壁側部分の熱容量が従来の軸受け部材300より大きなものになる。
すなわち、回転軸51と軸受け部材1aで発生する摩擦熱をハウジング41を介してハウジング41の外側に放熱しやすくなる。
したがって、ファンなどの冷却装置を用いなくても、ハウジング41内のトナーを変質させることがないようにできる。
(2)部材本体部2が肉盗み用凹部21cを備えているので、部材本体部2を精度よく成形することができる。
(3)シール部3aがリブ33を備え、このリブ33が嵌合凹溝に密に嵌合した状態になっているので、シール部3aの共回りを防止することができるとともに、リブ33によってシール部本体32がしっかりと部材本体部2の筒状部21に密着状態に支持される。
(4)部材本体部2の筒状部21の開口端側にゲートが設けられる段落ち部21dを設け、この段落ち部21dのゲート跡21gをゲート跡覆い部34で覆い隠すようにしたので、ゲート跡21gが外部から見えず、見栄えがよいとともに、シール部3aの共回りを防止することができる。
(5)シール部3aが、抜け止め突部36を備え、この抜け止め突部36が部材本体部2の筒状部21に設けられた抜け止め孔21fに密に嵌り込んだ状態になっているので、シール部3aの共回りを防止できる。
【0031】
図12、
図13は、本発明の軸受け部材の第2の実施の形態をあらわしている。
図12、
図13に示すように、この軸受け部材1bは、シール部3bが、フランジ部22に沿って筒状部21に外嵌された状態のパッキン部37を備えている以外は、上記軸受け部材1aと同様になっている。
【0032】
パッキン部37は、
図13に示すように、抜け止め突部36に一体成形されている。
なお、
図12、
図13において、軸受け部材1aと同様の構成部分は、軸受け部材1aと同じ符号を付している。
【0033】
この軸受け部材1bは、上記のように、パッキン部37を備えているので、上記第1の実施の形態の軸受け部材1aと同様の効果を備えているとともに、ハウジング41の軸受け部材1bの装着部の成形精度が少し悪くても、トナーが漏れ出ないようにハウジング41に装着することができるという効果も備えている。
【0034】
(検証実験)
軸受け部材サンプルとしての、外径16mm、厚み3mm、軸孔内径6mmのアセタール樹脂製のサンプルAと、厚み方向の一方の面に深さ2mm、断面積8.5mm
2の肉盗み用凹部を軸孔の周囲に9個設けた以外は、サンプルAと同じ寸法のサンプルBを作製した。
そして、上記サンプルA、Bをそれぞれ、
図14に示すように、モータ61に接続したポリプロピレン樹脂製の軸62を支持部63に支持させたサンプルSに軸受け状態にセットしたのち、軸62にサンプルSの部分で上方向に0.05mmの負荷を掛けながら、軸62を500rpmで回転させるとともに、サンプルSから露出した軸62の温度上昇をサーモグラフで測定し、その結果を
図15に示した。
【0035】
なお、サンプルBは、肉盗み用凹部の開口側を軸62に開放端側に向けてセットした。
また、
図14中、64はベアリングである。
図15中、○はサンプルAのモータ61側、●はサンプルAの軸開放端側、△はサンプルBのモータ61側、▲はサンプルAの軸開放端側の温度をそれぞれあらわしている。
【0036】
図13から、肉盗み用凹部を設けていないサンプルAの方が、サンプルBに比べ、サンプルS前後のいずれにおいても温度上昇が少ないことがわかる。
すなわち、中実のサンプルAの方が、熱容量が大きいため温度上昇を防ぐことができると考えられる。
【符号の説明】
【0037】
1a,1b 軸受け部材
2 部材本体部
21 筒状部
22 フランジ部
21a 貫通孔(軸孔)
21b 底
21c 肉盗み用凹部
21d 段落ち部
21e リブ嵌合溝
21f 抜け止め孔
21g ゲート跡
3a,3b シール部
31 ベース筒部
32 シール部本体
33 リブ
34 ゲート跡覆い部
35 嵌合脚部
36 抜け止め突部
37 環状パッキン部
4 トナーカートリッジ
41 ハウジング
5a 攪拌スクリュー
5b 供給スクリュー
51 回転軸