(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】デジタルスノーゾンデ
(51)【国際特許分類】
G01W 1/14 20060101AFI20220616BHJP
G01N 21/359 20140101ALI20220616BHJP
【FI】
G01W1/14 J
G01N21/359
(21)【出願番号】P 2018119748
(22)【出願日】2018-06-25
【審査請求日】2021-04-15
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人科学技術振興機構 イノベーションハブ構築支援事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】501138231
【氏名又は名称】国立研究開発法人防災科学技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119220
【氏名又は名称】片寄 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】100088041
【氏名又は名称】阿部 龍吉
(72)【発明者】
【氏名】山口 悟
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-066957(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0366648(US,A1)
【文献】特開平08-159962(JP,A)
【文献】登録実用新案第3190353(JP,U)
【文献】T. Hyvarinen, J. Lammasniemi,Infrared Measurement Of Free-Water Content And Grain Size Of Snow,OPTICAL ENGINEERING,1987年,Vol. 26, No. 4,p. 342-348,[検索日:2022/1/27], <DOI: https://doi.org/10.1117/12.7974077>, <https://www.spiedigitallibrary.org/journals/optical-engineering/volume-26/issue-4#JournalArticles でダウンロード可能>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01W 1/14
G01N 21/359
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積雪に対して鉛直下方に差し入れることで、積雪の各層におけるセンシングデータを取得するデジタルスノーゾンデにおいて、
ロッドと、
積雪に対して差し入れる際に積雪と最初に接触する円錐状先端部と、積雪に対し近赤外光を照射すると共に、積雪からの反射光を受光する窓が設けられ、前記円錐状先端部から離間するに連れて拡径するテーパー部と、を含み、前記ロッドの一端側に設けられるプローブ部と、
からな
り、
前記窓から近赤外光を照射する位置は、前記円錐状先端部の先端から所定距離離間した位置であり、
近赤外光は前記ロッドの長手方向と平行でない方向に照射されることを特徴とするデジタルスノーゾンデ。
【請求項2】
前記円錐状先端部に係る荷重を検知するロードセルを有することを特徴とする請求項1に記載のデジタルスノーゾンデ。
【請求項3】
前記円錐状先端部に一対の電極が設けられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のデジタルスノーゾンデ。
【請求項4】
積雪の表層からの前記プローブ部の深度を検出する深度検出部が設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のデジタルスノーゾンデ。
【請求項5】
前記深度検出部が加速度センサーを含むことを特徴とする請求項4に記載のデジタルスノーゾンデ。
【請求項6】
積雪に対して照射する近赤外光が、1200nm以上1400nm以下の波長を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のデジタルスノーゾンデ。
【請求項7】
積雪からの反射光から反射率を演算し、当該反射率から雪粒子の粒径を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のデジタルスノーゾンデ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積雪に対して鉛直下方に挿し入れることで、積雪の各層におけるセンシングデータを取得するデジタルスノーゾンデに関する。
【背景技術】
【0002】
表層雪崩の予測にとって重要な積雪の垂直方向の構造観察には、観測地点で穴を掘り、積雪層の断面構造を目視により観察する方法や、所定の錘を間欠的に落下させ、雪中に棒を貫入してその貫入抵抗を測定するラムゾンデによる観測方法、或いは、円錐形状の先端部を積雪層に貫入し、その貫入抵抗をストレンゲージにより測定する方法が用いられる。
【0003】
しかしながら、積雪層断面構造を目視により観察する方法は穴を掘る関係上、手間がかかり、かつ垂直方向に連続したデータを得ることが困難であった。また、ラムゾンデによる測定方法も時間がかかる上、同様に垂直方向の連続データが得られにくい、という問題がある。さらに、ストレンゲージにより貫入抵抗を測定する方法は、積雪に対する貫入抵抗それ自体を測定するものであるから、積雪層構造を直接検知し得ない、という問題がある。
【0004】
そこで、上述した諸問題を解消するために、特許文献1(特開平6-66957号公報)においては、貫入棒の積雪層に対する貫入深度レベルを検出するとともに、光拡散反射率、貫入抵抗、及び電気伝導度を検出、記録し、これにより積雪の光学的性質、力学的性質、及び電気的性質の物理量を同時的に把握し、これら三種の物理量を相互補完して積雪層構造の垂直方向の雪質状態を正確に、しかも、連続的に検知し得る複合センサー付き積雪検層ゾンデが提案されている。
【文献】特開平6-66957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の従来のる複合センサー付き積雪検層ゾンデにおいては、光拡散反射光は、可視光を先端から投射し、雪粒子による乱反射を測定する方法が採られていた。
【0006】
しかしながら、可視光の反射特性は、粒径変化に敏感ではないために、特に、細かい雪の粒子の大きさはわからない、という問題があった。
【0007】
また、従来の複合センサー付き積雪検層ゾンデでは、円錐形状の先端に光拡散反射光検出部(15)が設置されているために、硬い層(氷板や密度の高い層)に刺すと破損するため、測定できる雪が、柔らかい雪に限られている、という問題もあった。
【0008】
また、従来の複合センサー付き積雪検層ゾンデでは、状況によっては雪と、光拡散反射光検出部(15)との距離が変わってしまう、などの問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するものであり、本発明に係るデジタルスノーゾンデは、積雪に対して鉛直下方に差し入れることで、積雪の各層におけるセンシングデータを取得するデジタルスノーゾンデにおいて、ロッドと、積雪に対して差し入れる際に積雪と最初に接触する円錐状先端部と、積雪に対し近赤外光を照射すると共に、積雪からの反射光を受光する窓が設けられ、前記円錐状先端部から離間するに連れて拡径するテーパー部と、を含み、前記ロッドの一端側に設けられるプローブ部と、からなり、前記窓から近赤外光を照射する位置は、前記円錐状先端部の先端から所定距離離間した位置であり、近赤外光は前記ロッドの長手方向と平行でない方向に照射されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るデジタルスノーゾンデは、前記円錐状先端部に係る荷重を検知するロードセルを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るデジタルスノーゾンデは、前記円錐状先端部に一対の電極が設けられることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るデジタルスノーゾンデは、積雪の表層からの前記プローブ部の深度を検出する深度検出部が設けられることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るデジタルスノーゾンデは、前記深度検出部が加速度センサーを含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るデジタルスノーゾンデは、積雪に対して照射する近赤外光が、1200nm以上1400nm以下の波長を含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るデジタルスノーゾンデは、積雪からの反射光から反射率を演算し、当該反射率から雪粒子の粒径を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るデジタルスノーゾンデは、雪粒子の粒径変化の検知に敏感である近赤外光を、先端部ではなく、テーパー部に設けられた窓から照射するので、氷板や密度の高い、硬い層に対しても脆弱でなく、常に積雪に密着した状態で、雪粒子の反射特性を取得することが可能となり、雪粒子の粒径に関するデータを的確に取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係るデジタルスノーゾンデ1の概要構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るデジタルスノーゾンデ1のブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るデジタルスノーゾンデ1のプローブ部10の形状を説明する図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るデジタルスノーゾンデ1のプローブ部10の内部構造を説明する図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るデジタルスノーゾンデ1の利用形態を説明する図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るデジタルスノーゾンデ1におけるデータ取得処理のフローチャートを示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るデジタルスノーゾンデ1によって取得されるデータの一例を示す図である。
【
図8】雪粒子の粒径による反射率の波長依存性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の実施形態に係るデジタルスノーゾンデ1の概要構成を示す図である。
図2は本発明の実施形態に係るデジタルスノーゾンデ1のブロック図である。
図1及び
図2において、点線で囲まれた(A)部、及び(B)部はそれぞれ対応している。
【0019】
また、
図3は本発明の実施形態に係るデジタルスノーゾンデ1のプローブ部10の形状を説明する図であり、
図4は本発明の実施形態に係るデジタルスノーゾンデ1のプローブ部10の内部構造を説明する図である。
図4(A)はプローブ部10の赤外線透過窓19を正面に見た図であり、
図4(B)は
図4(A)のプローブ部10を側方から見た図である。
図4における内部構造図には、図面の煩雑さを避けるために、(A)又は(B)のいずれかにしか図示されない構成が含まれている。
【0020】
本発明に係るデジタルスノーゾンデ1は、積雪に対して鉛直下方に差し入れることで、積雪の各層におけるセンシングデータを取得するものである。このために、デジタルスノーゾンデ1は長尺状のロッド50と、このロッド50の一端側に設けられ、積雪に係るセンシングデータを取得するプローブ部10と、ロッド50の他端側に設けられ、制御回路基板(不図示)やバッテリーなど収納される制御系収納部90とを有している。
【0021】
プローブ部10においては、積雪の表面からプローブ部10がどの深度に存在するのかを検出する深度検出部として、加速度センサー30が設けられている。加速度センサー30で取得される加速度データは主制御部100に送信され、主制御部100で加速度データが時間積分をすることにより深度データとされる。
【0022】
なお、本実施形態では、積雪の表面からプローブ部10がどの深度に存在するのかを検出する深度検出部として、加速度センサー30を用いる構成を採用しているが、プローブ部10の深度を検出することができれば他の構成を採用してもよい。例えば特許文献1(特開平6-66957号公報)に記載の環状磁石を用いる方法を採用することもできる。
【0023】
主制御部100はマイクロコンピューターなど演算を行ったり、制御指令を発したりすることが可能な汎用のものを利用することができる。
【0024】
主制御部100と通信可能に接続される入出力部103は、ユーザーが主制御部100に対して入力を行うキースイッチ(不図示)や、主制御部100からユーザーが情報を取得する表示パネル(不図示)である。キースイッチ(不図示)や表示パネル(不図示)は、制御系収納部90に設けられている。
【0025】
また、記憶部105は主制御部100と通信可能に接続されている不揮発性のメモリなどであり、プローブ部10で取得される積雪に係るセンシングデータなどが格納される。また、通信部107は、データを無線通信により送受することが可能な構成である。本発明に係るデジタルスノーゾンデ1で取得されたデータは、このような通信部107を介して、スマートフォンやタブレット端末などの情報処理端末200に送信され、当該情報処理端末200のタッチパネル210などに表示されるように構成されることが好ましい。
【0026】
プローブ部10においては、絶縁樹脂で構成された円錐状先端部15には、電極対20が埋設された構造を有している。また、制御系収納部90側に設けられている電極制御部110は、電極対20に対してケーブル41を介して所定の電圧を印可すると共に、このときに流れる電流を計測し、この電流データを主制御部100に送信するようになっている。
【0027】
プローブ部10においては、円柱状基部11とテーパー部12とは一体的にロッド50に対して固着されているが、円錐状先端部15は、緩衝部13を介して前記テーパー部12に対して可動的に取り付けられている。円錐状先端部15にかかる加重は、力伝達棹25を介して円錐状先端部15に接続されているロードセル23によって検出される。ロードセル23で検出される加重データは、主制御部100に送信するようになっている。このようなロードセル23で取得されるデータは、デジタルスノーゾンデ1が積雪に対して挿し入れられる際の貫入抵抗データとして利用される。
【0028】
制御系収納部90においては、主制御部100によって制御される発光部120を有している。この発光部120は、1300nmに波長のピークを有する近赤外光を所定強度で出力する構成となっている。なお、本実施形態では発光部120は1300nmに波長のピークを有する近赤外光を出力する構成であるが、発光部120は1200nm~1400nmの波長域の近赤外光を用い得る。
【0029】
1200nm以上1400nm以下の波長域の近赤外光のうち、特に1300nmの近赤外光は、雪粒子に照射した際、雪粒子の粒径によって、反射率が変化する。本発明に係るデジタルスノーゾンデ1においては、このような近赤外光を利用することで、従来より精度の高い雪粒子に係るデータを取得することが可能となる。
【0030】
本発明に係るデジタルスノーゾンデ1が、上記のように1200nm以上1400nm以下の波長域の近赤外光のうち、特に1300nmの近赤外光を用いる具体的な根拠について説明する。
図8は雪粒子の粒径による反射率の波長依存性を示す図である。なお、
図8は当該波長依存性を模式的に示している。
図8に示すように、1200nm以上1400nm以下の波長域においては、雪粒子の粒径を判別する際に好適な特性を有していることが分かる。特に、1200nm~1400nmの中心である1300nmの近赤外光を用いると、より精度の高い雪粒子の粒径情報を得ることが出期待できる。
【0031】
発光部120で出力された近赤外光は、送光ファイバー45によってプローブ部10側に送出され、プリズム17を介して赤外線透過窓19から外部に照射される。ここで、赤外線透過窓19は、プローブ部10におけるテーパー部12に設けられていることも本発明の特徴点なっている。テーパー部12は、円錐状先端部15から離間するに従って径が大きくなる形状を有している。このようなテーパー部12に赤外線透過窓19が設けられ、データ取得対象の雪に近赤外光が照射されるようになっている。
【0032】
テーパー部12においては、積雪に対してプローブ部10が挿し入れられた際、雪が常に密着するような構成となる。従って、テーパー部12に設けられた赤外線透過窓19が設けられると、赤外線透過窓19と雪との間の距離は一定して、安定したデータの取得を行うことが可能となる。
【0033】
なお、
図3に示すように、赤外線透過窓19から近赤外光が照射される位置は、円錐状先端部15の先端から距離Dの位置とされている。このような距離Dはデータ取得処理の際に補正がなされる。
【0034】
赤外線透過窓19から照射された近赤外光の反射光は、赤外線透過窓19、プリズム17を介して、受光ファイバー46で受光され、受光部125に送出される。受光部125で、受光された近赤外光の強度データを取得し、主制御部100に送出される。
【0035】
主制御部100では、発光部120における近赤外光の発光強度と、受光部125で受光された強度データとから反射率が演算される。
【0036】
上記のように構成される本発明に係るデジタルスノーゾンデ1は、雪粒子の粒径変化の検知に敏感である近赤外光を、円錐状先端部15ではなく、テーパー部12に設けられた赤外線透過窓19から照射するので、氷板や密度の高い、硬い層に対しても脆弱でなく、常に積雪に密着した状態で、雪粒子の反射特性を取得することが可能となり、雪粒子の粒径に関するデータを的確に取得することが可能となる。
【0037】
次に、以上のように構成される本発明に係るデジタルスノーゾンデ1によるデータ取得例について説明する。
図5は本発明の実施形態に係るデジタルスノーゾンデ1の利用形態を説明する図である。
【0038】
積雪の表面からプローブ部10を積雪中に挿し入れる際には、
図5(A)に示すように、入出力部103を利用して、現在の深度が0であることを入力する(0リセットを行う)。これにより深度検出部を構成する加速度センサー30が、0リセット以降の加速度データを積算していくことで、深度を求めることが可能となる。
図5(A)に示すように0リセットを行った後は、
図5(B)に示すように、プローブ部10を鉛直下方に挿し入れていき、積雪層のデータを取得していく。
【0039】
図6は本発明の実施形態に係るデジタルスノーゾンデ1におけるデータ取得処理のフローチャートを示す図である。
【0040】
図6において、ステップS100でデータ取得処理が開始されると、続いて、ステップS101に進み、加速度センサー30からの加速度データを取得し、次のステップS102で、当該加速度データを時間積分することで、プローブ部10の深度データに変換する。
【0041】
続いて、ステップS103では、ロードセル23からの荷重データを取得し、次のステップS104では、先の深度データに対応して荷重データを記憶部105に記憶する。
【0042】
続いて、ステップS105では、電極対20から電気伝導度データを取得し、次のステップS106では、先の深度データに対応して電気伝導度データを記憶部105に記憶する。
【0043】
続いて、ステップS107では、受光部125から受光強度データを取得し、次のステップS108では、発光部120の発光強度で、当該受光強度データを除することで反射率を演算する。次のステップS109では、距離Dを差し引いた深度データ対応して、当該反射率を記憶部105に記憶する。このような距離Dの補正を行うことで、本発明においては、円錐状先端部15の先端で取得されるデータと、円錐状先端部15から距離Dの位置にある赤外線透過窓19で取得されるデータとの一致を図っている。
【0044】
ステップS110では、積雪の鉛直方向全域へのプローブ部10差し入れが完了したか否かが判定される。ステップS110における判定がNOであればステップS101に戻り、ステップS110における判定がYESであれば、ステップS111に進み、データ取得処理を終了する。
【0045】
本発明に係るデジタルスノーゾンデ1の主制御部100においては、例えば
図8に示す関係に基づいて、記憶部105に記憶された反射率(ステップS109)から、雪粒子の粒径を算出することができる。
【0046】
図7は本発明の実施形態に係るデジタルスノーゾンデ1によって取得されるデータの一例を示す図である。
図7に示すように、本発明に係るデジタルスノーゾンデ1によれば、深度に対応した近赤外光の反射率に係るデータ、深度に対応した貫入抵抗に係るデータ、及び、深度に対応した電気伝導に係るデータを取得することができる。
【0047】
本発明に係るデジタルスノーゾンデ1の記憶部105に蓄積された上記のような各データは、通信部107を介して、情報処理端末200に送信し、当該情報処理端末200のタッチパネル210などに表示する構成とすることもできる。
【0048】
以上、本発明に係るデジタルスノーゾンデ1は、雪粒子の粒径変化の検知に敏感である近赤外光を、先端部ではなく、テーパー部12に設けられた窓から照射するので、氷板や密度の高い、硬い層に対しても脆弱でなく、常に積雪に密着した状態で、雪粒子の反射特性を取得することが可能となり、雪粒子の粒径に関するデータを的確に取得することが可能となる。
【0049】
以上述べたように本発明に係るデジタルスノーゾンデ1によれば、プローブ部10の貫入深度レベルを検出するとともに、雪質状態を識別可能な波長の近赤外光を用いて光拡散反射率を測定し、貫入抵抗、及び電気伝導度を同時的に検出し、これらの光学的、力学的、及び電気的性質を示す検出物理量を深度レベルと共に記録装置により各別に記録する構成であるから、貫入深度レベルに対応する雪質状態を示す3物理量の垂直分布を同時的に、かつ連続的に検知することができる。また、
図7に示すような、同一深度レベルにおける、光拡散反射率、雪質に基づく反射率テーブル、貫入抵抗、及び電気伝導度の値を相互比較し、かつ、相互補完しながら単一物理量のみでは判別し得ない雪質の判別が行えるため、雪質状態の判別を正確に行うことが可能となり、さらに、表層雪崩の発生の原因となる霜ざらめ雪層の存在の有無を正確に判別することができ、表層雪崩の発生予測を一層確実なものにすることが可能となる。
【符号の説明】
【0050】
1・・・デジタルスノーゾンデ
10・・・プローブ部
11・・・円柱状基部
12・・・テーパー部
13・・・緩衝部
15・・・円錐状先端部
17・・・プリズム
19・・・赤外線透過窓
20・・・電極対
23・・・ロードセル
25・・・力伝達棹
30・・・加速度センサー
41・・・ケーブル
45・・・送光ファイバー
46・・・受光ファイバー
50・・・ロッド
90・・・制御系収納部
100・・・主制御部
103・・・入出力部
105・・・記憶部
107・・・通信部
110・・・電極制御部
120・・・発光部
125・・・受光部
130・・・バッテリー
200・・・情報処理端末
210・・・タッチパネル