IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 西谷 均の特許一覧

<>
  • 特許-アームストッパー 図1
  • 特許-アームストッパー 図2
  • 特許-アームストッパー 図3
  • 特許-アームストッパー 図4
  • 特許-アームストッパー 図5
  • 特許-アームストッパー 図6
  • 特許-アームストッパー 図7
  • 特許-アームストッパー 図8
  • 特許-アームストッパー 図9
  • 特許-アームストッパー 図10
  • 特許-アームストッパー 図11
  • 特許-アームストッパー 図12
  • 特許-アームストッパー 図13
  • 特許-アームストッパー 図14
  • 特許-アームストッパー 図15
  • 特許-アームストッパー 図16
  • 特許-アームストッパー 図17
  • 特許-アームストッパー 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】アームストッパー
(51)【国際特許分類】
   E05C 17/28 20060101AFI20220616BHJP
   E05C 17/26 20060101ALI20220616BHJP
   E05F 5/10 20060101ALI20220616BHJP
   E05F 5/08 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
E05C17/28
E05C17/26
E05F5/10
E05F5/08
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018187818
(22)【出願日】2018-10-02
(65)【公開番号】P2020056235
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】599107201
【氏名又は名称】西谷 均
(72)【発明者】
【氏名】西谷 均
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】実開平3-29679(JP,U)
【文献】実開昭60-22659(JP,U)
【文献】実開平4-18178(JP,U)
【文献】特開2009-191484(JP,A)
【文献】特開2015-190309(JP,A)
【文献】特開2018-35650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05C 17/24-17/28
E05F 5/10
E05F 5/08
E05D 15/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体に対して扉を所定の位置で停止させるためのアームストッパーであって、縦枠取り付け面とアーム取り付け水平面とアーム停止片とアーム回転軸を有する枠側ベース部材と、板形状で片端部にスライドピンを他端部に回転軸挿入孔を備えた長尺のアームと、長孔と傾斜当接部分を有した扉側プレートとからなり、スライドピンが扉側プレートの長孔内を移動可能な状態でアームと扉側プレートを組み付け、扉下部面に扉側プレートを装着し、吊元側の縦枠の下部に枠側ベース部材を装着し、アーム回転軸にてアームをアーム取り付け水平面に対して水平に回転可能に組付け、扉の開放動作と共にアームがアーム回転軸を中心に回転移動し、同時にスライドピンが扉側プレートの長孔内を移動するように構成したことを特徴とするアームストッパー。
【請求項2】
扉の閉鎖状態においては、枠側ベース部材のアーム取り付け水平面は扉下部面の下方に配置されており、扉側プレートは扉下部面に装着されており、アームは扉の厚み内の下部位置に配置されており、全体として扉下部面と床面の間の扉の厚み内に隠れた状態になっており、扉の停止位置までの動作範囲においても、アームは角度が変化しつつも常に扉の厚み内の下部位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のアームストッパー。
【請求項3】
アーム停止片は枠側ベース部材のアーム取り付け水平面の手前側位置から上方向に起立した状態で形成され、アーム回転軸はアーム取り付け水平面の奥側位置に配置されており、アームはアーム取り付け水平面に乗せた状態でアーム回転軸により装着されており、扉が所定の角度にまで開放された段階で、アーム側面がアーム停止片に当接することにより、扉を停止させることが可能になることを特徴とする請求項1に記載のアームストッパー。
【請求項4】
扉側プレートは扉下部面に密着した状態で装着されており、傾斜当接部分は扉側プレートからさらに下向きに突出して形成されており、アームは扉側プレートの下面に面対した状態で配置されており、扉が所定の角度にまで開放された段階で、アーム側面が傾斜当接部分に当接することにより、扉を停止させることが可能になることを特徴とする請求項1に記載のアームストッパー。
【請求項5】
扉の開放と共に扉側プレートの長孔内をアームに装着されたスライドピンが移動し、扉が所定の角度にまで開放された段階で、スライドピンが長孔端部に当接することにより、扉を停止させることが可能になることを特徴とする請求項1に記載のアームストッパー。
【請求項6】
前記枠側ベース部材のアーム停止片とアーム側面が当接する停止動作と、扉側プレートの傾斜当接部分とアーム側面が当接する停止動作と、アームに装着されたスライドピンが扉側プレートの長孔端部に当接する停止動作の、いずれか2動作かもしくは3動作全てを同時に得ることにより、扉が所定の角度にまで開放された段階で停止させることが可能になることを特徴とする請求項3乃至5いずれか1項に記載のアームストッパー。
【請求項7】
前記扉側プレートの長孔の内側面を摩擦面として形成し、扉の開放と共にスライドピンが扉側プレートの長孔内を移動するように構成しておき、扉の停止位置の所定手前角度から摩擦面とスライドピンが擦れ合う動作による抵抗力で、扉の減速動作が得られることを特徴とする請求項1に記載のアームストッパー。
【請求項8】
扉側プレートに凹状長孔を有するブロック部材を一体化し、凹状長孔に幅広形状の摩擦部材を設け、スライドピンをブロック部材の凹状長孔に挿入し、扉の開放と共にスライドピンが凹状長孔内を移動するように構成し、扉の停止位置の所定手前角度から摩擦部材とスライドピンが擦れ合う動作による抵抗力で、扉の減速動作が得られることを特徴とする請求項1に記載のアームストッパー。
【請求項9】
扉側プレートに凹状長孔を有するブロック部材を一体化し、凹状長孔に設けられた摩擦部材が内側方向に押し付けられる配置でさらにばね部材を設け、スライドピンをブロック部材の凹状長孔に挿入し、扉の開放と共にスライドピンが凹状長孔内を移動するように構成し、扉の停止位置の所定手前角度からスライドピンとばね部材により押し付けられた摩擦部材が擦れ合う動作による抵抗力で、扉の減速動作が得られることを特徴とする請求項1または8に記載のアームストッパー。
【請求項10】
扉側プレートに凹状長孔と直動ダンパーを装着する部分を有するブロック部材を一体化し、ロッド棒が没する際に負荷が発生する構成の直動ダンパーを設け、ロッド棒が凹状長孔内に突出した向きで直動ダンパーをブロック部材に装着し、スライドピンをブロック部材の凹状長孔に挿入し、扉の開放と共にスライドピンが凹状長孔内を移動するように構成し、扉の停止位置の所定手前角度からスライドピンが直動ダンパーのロッド棒に当接し、ロッド棒が没する際の負荷で、扉の減速動作が得られることを特徴とする請求項1に記載のアームストッパー。
【請求項11】
扉側プレートに凹状長孔と直動ダンパーを装着する部分を有するブロック部材を一体化し、凹状長孔に幅広形状の摩擦部材を設け、さらに摩擦部材が内側方向に押し付けられる配置でばね部材を設け、ロッド棒が没する際に負荷が発生する構成の直動ダンパーをロッド棒が凹状長孔内に突出した状態でブロック部材に装着し、スライドピンをブロック部材の凹状長孔に挿入し、扉の停止位置の所定手前角度から、スライドピンとばね部材により押し付けられた摩擦部材が擦れ合う動作による抵抗力と、スライドピンが直動ダンパーのロッド棒に当接して没する際に発生する負荷との両方により、扉の減速動作が得られることを特徴とする請求項9または10に記載のアームストッパー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は枠体に対して扉を所定の位置で停止させるためのアームストッパーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から枠体と扉とからなるドアにおいては、枠体に扉を開閉自在に吊り込む手段としては丁番やピボットヒンジが使用されており、通常は軸心を扉面から持ち出した位置に配置した持ち出し吊が扉の開閉の条件として最もよく、そのままで180度まで開くことができるようになっている。しかし90度程度までしか開放できない納まり等では、通常の丁番やピボットヒンジ自体には一定の角度で停止する機構は付いていないため、扉が壁面に衝突してしまわないように別途停止部材が必要になる。
【0003】
この扉を停止させるために従来から頻繁に用いられている部材としては、大きく分類するとドアストッパーとアームストッパーに分かれる。そしてドアストッパーに関しては非常に多くの種類や機構が提案されているのであるが、基本的には扉面を床面や壁面に固定した受け部材に当てることでその位置にて扉を停止させる構成になっている。その最も単純な構成では特開2001-279997号公報に示すように、扉が約80度開いた位置の床面にドアストッパーを固定し、扉を開放したときに扉の下部がドアストッパーに当たって停止するようになっている。そして停止時の衝撃を緩和するためにドアストッパーの先端部にゴムのような軟質の当接部材を設けているものが一般的である。またドアストッパーには扉を停止させた位置でそのまま保持させておく機構も必要とされており、扉側にフックのような部材を設けておき、ドアストッパー自体にも突起部分を設けておき、フックを突起部分に引っ掛けることで扉を保持する構成が多く用いられている。
【0004】
ここで近年住宅等におけるバリアフリーの要求が重要になってきており、上記の特開2001-279997号公報においてはドアストッパー自体が床面からの突起物になってしまい、この構成は好ましくないと判断されるようになってきた。そこで特開2004-84202号公報や特開2018-31194号公報に表記されているような、床面に上下にスイングする金属製のフラップを有した床面装置を配置し、扉下部位置に受け部分と磁石を配置した本体装置を装着し、扉の停止位置に近づいた段階で磁石によりフラップが引き寄せられて持ち上がり、本体装置の受け部分に当接して扉が停止する機構を有するドアストッパーが最近では頻繁に使用されている。この構成の最大の特徴は、床面装置自体が板状のフラップを主部材としており、全体として非常に薄い形状にて形成できることにあり、バリアフリーの観点からも優れていると想定される。また停止位置にて扉を保持する機構も兼ね備えているものが多数提案されている。
【0005】
しかしながら、床面に装着された床面装置と扉に装着された本体装置の互いの位置が適正に施工されなくてはならないことが重要であり、特に磁力にてフラップを持ち上げる動作が繊細なため、両者の位置設定や高さ方向の調整も難しい。また床面装置は薄い形状であるとしても、最も薄いとされているものでも4ミリ程度が限界であり、通行時に足の指先が引っかかることもありえる。さらには掃除の際に掃除機の吸引力でフラップがカチャカチャと上下するのも好ましくないとされている。そして床面装置を床面にねじ等で固定しなければならないという施工自体が好ましくないという点も指摘されており、その最たるケースとしては毛足の長いカーペット床の場合で、カーペットを床面装置の大きさでくり抜いて、補助板等を挟んで高さを合わせて装着する等の手間がかかることが挙げられる。さらにはフラップの先端が受け部分に当接する構成のためその際の衝撃が大きく、扉を開け放った場合等での停止時の衝撃を吸収させるような機構を併せ持つことも望まれる。
【0006】
またサイズやデザインにおける意匠面においては、本体装置は扉の開いてくる側の戸先下部に面付にて装着されることが多く、本体装置には磁石を内包させる必要があるため幅や高さや厚みにおいてコンパクトになりにくい点があげられる。また磁力はより強いことが求められ、安価ではあるが磁力が弱いフェライト磁石を用いると必要な磁力を得るためにはサイズが大きくなる傾向になり、小さいサイズで磁力の強いネオジウム磁石は高価であり、どちらを用いるかにおいては選択肢としても難しいと想定される。そして実際にはデザイン性を重視してネオジウム磁石を用いているコンパクトな構成の方が多く使用されているのであるが、そうするとコスト面での負担が大きくなり、できれば磁石を用いないタイプが望まれる。そこで特開2015-196988号公報のような構成も報告されているが、この構成は床面装置の厚みが大きくなりその点で不十分と想定される。またさらにデザイン性を向上させる点においては、特開2005-9151号公報に報告されているような、本体装置を扉の先端下部に彫り込んだ状態で配置する構成もあるが、大きく彫り込んでしまうと扉の残った面の強度に不安があり、本体装置をさらに薄く構成することも容易ではない。
【0007】
また扉を停止させる別の構成としては、従来から扉の上部と上枠に配置されるアームストッパーがある。このアームストッパーは特開2010-285858号公報に報告されているような、2本のアームが重なって伸縮する構成で、片方のアームの先端を上枠に、他方のアームの先端を扉上部に装着し、扉の閉鎖状態では両者は最も重なり合って縮んでおり、扉の開放と共に2本のアームが伸びていき、完全に伸びきったところで扉の開放動作が停止する構成になっている。また特開2010-1684号公報に報告されているようなレールとアームを用いて両者を上枠と扉上部に装着し、アームに配置されたスライドピンがレール内を移動する構成で、レール内の停止位置にまでスライドピンが移動した段階で扉の開放が停止されるタイプも用いられている。
【0008】
しかしながら両者ともに扉の上部に面付にて比較的長いアームやレールが露出した状態で配置される点で意匠面において好ましくなく、デザイン性が最も重要視される室内ドアにおいては、使用頻度は低いと想定される。また扉の上部厚み面と上枠内面の間にアームストッパーを配置する構成も可能であるが、その場合には扉の上部と上枠内面との隙間が極端に大きくなってしまい、通常の木製の室内ドアにおいてはこの隙間は非常に小さく設定されているものがほとんどであり、納まりにおいて無理が生じると想定される。さらには停止時に両アームが伸びきったときの衝撃吸収等においてもあまり考慮されていないのが現状である。
【文献】特開2010-1684号公報
【文献】特開2010-285858号公報
【文献】特開2015-196988号公報
【文献】特開2005-9151号公報
【文献】特開2018-31194号公報
【文献】特開2004-84202号公報
【文献】特開2001-279997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、デザイン性に優れた新しい構成のドア用のアームストッパーを提供することを第一の目的とし、さらに停止時の衝撃を吸収する構成を併せ持つことを第二の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では上記目的を達成するために次の技術手段を設けた。まず縦枠取り付け面とアーム取り付け水平面とアーム停止片とアーム回転軸を有する略L型形状の枠側ベース部材と、板形状で片端部にスライドピンを他端部に回転軸挿入孔を備えた長尺のアームと、長孔と傾斜当接部分を有した扉側プレートとを設ける。そして扉と枠体からなるドアの、縦枠内面の吊元側下部に枠側ベース部材を装着し、扉下部面に扉側プレートを装着する。次にスライドピンを扉側プレートの長孔に挿入した状態で保持し、さらにアーム回転軸にてアームがアーム取り付け水平面に対して水平に回転可能になるように組付ける。このときスライドピンを扉側プレートの長孔内で移動可能な状態にしておく。すると扉の閉鎖状態においては、アームは扉の厚み内の下部位置に配置され、開放動作と共にスライドピンが扉側プレートの長孔内を移動しながらアームがアーム回転軸に対して回転移動する動作が得られる。
【0011】
またアーム停止片を枠側ベース部材のアーム取り付け水平面の手前側位置から上方向に起立した状態で形成し、アーム回転軸はアーム取り付け水平面の奥側位置に配置しておき、なるべく両者の距離が離れるように設定しておく。そしてアームをアーム取り付け水平面に乗せた状態でアーム回転軸にて装着する。すると扉が所定の角度にまで開放された段階で、アーム側面がアーム停止片に当接することにより、まずアームの回転動作が停止する。そして扉側プレートの長孔は扉の面と平行方向に設定されており、アームと長孔も平行に近い状態になっているため、アームが停止した段階でほぼ同時に扉の回転を停止させることができる。また、上記での所定の角度はとくには限定されないが、通常の床面に装着するドアストッパーやドアの上部に装着するアームストッパーと同様に約80度開放した位置にて停止するように設定しておくとよい。
【0012】
次に扉側プレートは扉下部面に密着した状態で装着されており、傾斜当接部分は扉側プレートからさらに下向きに突出して形成されている。またスライドピンは扉側プレートの長孔内に挿入されているのであるが、抜け落ちないようにスライドピンの形状をつば付きにて形成し、長孔の形状も段付きにしておくとよい。したがってアームは扉側プレートと面対した状態で配置されることになり、アームは枠側ベース部材のアーム取り付け水平面に乗った状態で、扉側プレートの下面に面対しており、この状態でアームが水平状態になるように設定しておく。そしてこの状態から扉を開放すると、扉自体は丁番の軸心位置を中心に回転するのであるが、アームはスライドピンが長孔内を移動しながらアーム回転軸を中心として回転し、扉に対するアームの角度が徐々に変化しながらアーム側面が傾斜当接部分に接近していく動作になる。そこで扉を停止させたい約80度開放したときのアームの位置にてアーム側面が傾斜当接部分に当接するように傾斜当接部分の位置を設定しておくとよい。するとその位置で扉を停止させることが可能になる。
【0013】
また上記のように扉の開放と共に扉側プレートの長孔内をアームに装着されたスライドピンが移動するため、停止させたい約80度の位置で長孔が終了するように設定しておくとよい。すると扉が開放された段階で、スライドピンが長孔端部に当接することになり、その位置で扉を停止させることが可能になる。また上記での枠側ベース部材のアーム停止片とアーム側面が当接する停止動作と、扉側プレートの傾斜当接部分とアーム側面が当接する停止動作と、アームに装着されたスライドピンが扉側プレートの長孔端部に当接する停止動作の、いずれか2動作もしくは3動作全てを同時に実施させることにより、扉をより確実に停止させることが可能になる。
【0014】
しかし上記の扉を停止させるだけの構成で強く扉を開け放った場合においては、停止位置にて衝撃を持って当接する動作になってしまう。そこでスライドピンが扉側プレートの長孔内を移動する動作の最中にて抵抗力や負荷を与えると、扉の開放速度を低減させると共に停止時の衝撃を緩和させることが可能になると想定される。その手段としては、扉側プレートの長孔の内側面を摩擦面として形成し、スライドピンが扉側プレートの長孔内を移動する際に、摩擦面とスライドピンが擦れた状態で抵抗力を発生させるように設定しておく構成が容易である。
【0015】
またさらに具体的な構成としては、まず扉側プレートに凹状長孔を有するブロック部材を一体化し、上方向に伸ばしたスライドピンを扉側プレートの長孔を通してブロック部材の凹状長孔に挿入した状態で移動するように構成するとよい。そして凹状長孔の所定の範囲に幅広の摩擦部材を設け、扉の停止位置の所定手前角度からスライドピンと摩擦部材が擦れ合う動作による抵抗力で、扉の開放時に減速動作が得られるように設定しておくと、さらに停止の際の衝撃を大きく緩和させることができる。さらにはばね部材を設けて摩擦部材と併用し、扉の停止位置の所定手前角度からばね部材により押し付けられた摩擦部材がスライドピンと擦れ合う動作による抵抗力で、より大きな減速動作が得られることになる。またこの摩擦による減速動作はスライドピンをその位置で動かなくすることでもあるため、約80度位置での扉の停止保持機構を兼ね備えることにもなる。
【0016】
また上記の減速動作をさらに確実にする別の構成としては、扉側プレートに凹状長孔と直動ダンパーを装着する部分を設けたブロック部材を一体化し、上方向に伸ばしたスライドピンが扉側プレートの長孔を通してブロック部材の凹状長孔に挿入されて移動するように構成しておくとよい。そしてロッド棒が没する際に負荷が発生する構成の直動ダンパーを設け、凹状長孔内にロッド棒が突出した状態で直動ダンパーをブロック部材に装着しておく。すると扉の停止位置の所定手前角度からスライドピンが直動ダンパーのロッド棒に当接し、扉が停止するまでの間に減速動作が得られることになる。この直動ダンパーは強い力で一気にロッド棒を押し込もうとするとより大きな負荷が発生するため、扉を急激に開け放った際などにおいてより効果的であると想定される。
【0017】
また、ブロック部材の凹状長孔に摩擦部材をばね部材により長孔内面方向に押し付けた構成と、凹状長孔内にロッド棒が突出した状態になるように直動ダンパーをブロック部材に装着した構成の両方を同時に設けると、扉の停止位置の所定手前角度から、スライドピンとばね部材により押し付けられた摩擦部材が擦れ合う動作による抵抗力と、スライドピンが直動ダンパーのロッド棒に当接して没する際に発生する負荷との両方が得られ、さらに効果的な扉の減速動作が実施できることになる。
【発明の効果】
【0018】
扉が所定の角度にまで開放された段階で、枠側ベース部材のアーム停止片とアーム回転軸に近い位置のアーム側面が当接することにより、扉を停止させることが可能になる。
【0019】
扉が所定の角度にまで開放された段階で、扉側プレートからさらに下向きに突出して形成されている傾斜当接部分にアーム側面が当接することにより、扉を停止させることが可能になる。
【0020】
扉が所定の角度にまで開放された段階で、アームに装着されたスライドピンが扉側プレートの長孔端部に当接することにより、扉を停止させることが可能になる。
【0021】
枠側ベース部材のアーム停止片とアーム側面が当接する停止動作と、扉側プレートの傾斜当接部分とアーム側面が当接する停止動作と、アームに装着されたスライドピンが扉側プレートの長孔端部に当接する停止動作の、いずれか2動作もしくは3動作全てを同時に実施することにより、扉を所定の角度にまで開放された段階でより確実に停止させることが可能になる。
【0022】
扉側プレートの長孔の所定の範囲の内側面を摩擦面として形成しておくことで、扉の停止位置の所定手前角度から摩擦面とスライドピンが擦れ合う動作になり、その抵抗力により扉の減速動作を得ることができる。
【0023】
扉側プレートに凹状長孔を有するブロック部材を一体化し、凹状長孔の所定の範囲に摩擦部材やばね部材を設けておくことで、扉の停止位置の所定手前角度からスライドピンと摩擦部材が擦れ合う動作になり、その抵抗力により扉の減速動作を得ることができる。またその摩擦力により停止位置にて扉を保持させることも可能になる。
【0024】
扉側プレートに凹状長孔と直動ダンパーを装着する部分を有するブロック部材を一体化し、ロッド棒が没する際に負荷が発生する構成の直動ダンパーを装着しておくことで、扉の停止位置の所定手前角度からスライドピンが直動ダンパーのロッド棒に当接し、ロッド棒が没する際の負荷により扉の減速動作を得ることができる。
【0025】
ブロック部材の凹状長孔に摩擦部材やばね部材を設けると共に、ロッド棒が没する際に負荷が発生する構成の直動ダンパーを併せて設けた構成では、扉の停止位置の所定手前角度から、スライドピンとばね部材により押し付けられた摩擦部材が擦れ合う動作による抵抗力と、スライドピンが直動ダンパーのロッド棒に当接して没する際に発生する負荷との両方により扉の減速動作を得ることができる。
【0026】
枠側ベース部材は縦枠内面の下部に配置されており、扉側プレートとアームは扉の厚み部分の下部位置に装着されているため、共に隠れて見えにくい配置になっており、ドア全体のデザインに影響を及ぼすことがない。
【0027】
アームストッパー全体としても、枠側ベース部材のアーム取り付け水平面とアームと扉側プレートが重なっただけの厚みで構成されるため、床面と扉下部面の間に十分納めることが可能である。
【0028】
枠側ベース部材と扉側プレートとアームを備えた停止機構のみの構成では部品点数は極端に少なく、ばね部材や摩擦部材や直動ダンパーを追加した停止時の衝撃を吸収できる構成においても十分安価に提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明のアームストッパーの斜視図であり、略L型形状の枠側ベース部材1と、細長い板状のアーム6と、同じく板状で矩形の扉側プレート9とを主部材としている。図2は枠側ベース部材1の分解斜視図であり、取り付け孔20を設けた縦枠取り付け面2とアーム取り付け水平面3とアーム停止片4とアーム回転軸5を有している。そしてアーム停止片4はアーム取り付け水平面3の手前側位置に上方向に起立した状態で形成され、アーム取り付け水平面3の奥側位置にアーム回転軸5を着脱可能な構成で設けておく。ここでアーム回転軸5を装着する手段は限定されないが、実施形態ではアーム回転軸5に雄ねじ部を設けておき、アーム取り付け水平面3に雌ねじ部を設け、アーム回転軸5の上面に十字孔部を設けてドライバー等で着脱可能なように構成しておくとよい。
【0030】
図3はアーム6の斜視図であり、長尺の板形状で片端部につば付形状のスライドピン7を装着し、他端部に回転軸挿入孔8を設けておく。次に図4は扉側プレート9の斜視図であり、矩形の板状で段付の長孔10と傾斜当接部分11を有し、四隅に取り付け孔20を形成しておく。このとき傾斜当接部分11は扉側プレート9の下面からさらに下向きに突出して形成しておく。そして図1に示すように、スライドピン7の軸部分が扉側プレート9の長孔10の段の狭い側に挿入され、スライドピン7のつば部分が長孔10の段の広い部分に挿入された状態で、扉側プレート9の下面とアーム6が面対した配置で樹脂等の摩擦係数が低いワッシャ21を介してスライドピン7をアームに固定する。するとスライドピン7が長孔10から抜けることなく長孔10内を円滑に移動させることができる。そしてアーム6の回転軸挿入孔8側をアーム取り付け水平面3に載せた状態で、アーム回転軸5の雄ねじ部を回転軸挿入孔8に貫通させた状態でアーム取り付け水平面3の雌ねじ部に螺合して、回転自在な状態で組み付ける。このとき同様にアーム回転軸5の動作面に適宜樹脂等のワッシャ21を組み込んでおくと耐久性を高めることが可能になる。
【0031】
ここで実際のドアに本発明のアームストッパーを取り付ける際には、あらかじめアーム回転軸5を抜いておき、枠側ベース部材1と、アーム6を扉側プレート9に組み付けた状態とに分割しておく。そして縦枠内面24の吊元側下部に枠側ベース部材1を、縦枠取り付け面2の取り付け孔20を通して木ねじ等で装着しておく。さらに扉下部面23にアーム6を組み付けた状態の扉側プレート9を扉下部面23に密着した状態で同様に取り付け孔20を通して木ねじ等で装着しておく。そしてこの状態で枠体に扉26を丁番22等にて吊り込み、その後にアーム回転軸5にてアーム6がアーム取り付け水平面3に対して水平に回転可能になるように組付ける。図5はその状態でのドアの下部のみを表記した正面図であり、図6が同じ状態での上面図であり、共に扉26が閉鎖している状態を示している。その結果、図5に示すように傾斜当接部分11は扉側プレート9の下面からさらに下向きに突出した状態になっており、アーム6は枠側ベース部材1のアーム取り付け水平面3に乗った状態で、扉側プレート9の下面に面対しており、この状態でアーム6が水平状態になるように設定しておくとよい。また扉26に対する位置や方向を明確にするために、図6での丁番22の軸側を手前、その反転方向である戸当たり側を奥、と以降表記する。
【0032】
するとアームストッパー全体の高さは、枠側ベース部材1のアーム取り付け水平面3にアーム6が乗り、扉側プレート9と面対するだけの構成で非常に薄くでき、図5に示すように床面27と扉下部面23の間にも十分配置することが可能になる。また扉側プレート9の厚み分を扉下部面23に掘り込んで装着することも可能であり、さらに床面27と扉下部面23が狭い場合にも対応可能になる。また図5では枠側ベース部材1の縦枠取り付け面2を縦枠内面24に面付にて装着した状態で表記しているが、縦枠取り付け面2の厚み分のみを縦枠内面24に掘り込んで配置することもでき、吊元側の扉26と縦枠内面24の隙間寸法をより広く確保することが可能になる。
【0033】
また図6に示すように扉26が閉じた状態では、枠側ベース部材1と扉側プレート9とアーム6は扉26の厚み内の下部位置に配置されており、すなわちアームストッパー全体が扉26の下部に隠れた状態になっている。したがって通常の立ち位置からの目線においてはほぼ見えることはなく、ドア全体としてのデザイン面で非常に優れていると想定される。そこで図6に示すように、アーム取り付け水平面3の手前位置のアーム停止片4を扉26の手前面から飛び出ないぎりぎりの位置に形成しておき、奥側に配置するアーム回転軸5は扉26の奥面ぎりぎりの位置に形成しておき、なるべく両者の距離が離れるように設定しておくとよい。また図6図7図8図14ではアームストッパー自体が扉26の下方に位置しており、上面視で表記しているため本来は破線にて表示するべきであるが、そうすると線の重なりが多くて判りにくくなるため、あえて実線で表示している。
【0034】
次に扉26の停止位置を約80度に設定した構成での、図6に示す閉鎖状態から扉26を開放したときの軌跡を、扉26が約20度、約40度、約60度、約80度の位置にて図7に表記する。閉鎖状態ではアーム側面13と扉側プレート9の傾斜当接部分11は離れた位置になっており、同時にアーム回転軸5から近い位置のアーム側面13と枠側ベース部材1のアーム停止片4も離れた位置になっている。この状態から徐々に開放すると、扉26は丁番22の軸心位置を中心に回転することになる。しかしアーム6はアーム回転軸5を中心に回転し、丁番22の軸心とアーム回転軸5の位置が手前と奥方向に離れているため、スライドピン7は約20度、約40度、約60度と開放されるにしたがって扉側プレート9の長孔10内を長孔端部12の方向に移動する動作になる。そしてアーム側面13も徐々に傾斜当接部分11近づいていく軌跡になる。またアーム回転軸5から近い位置のアーム側面13も徐々にアーム停止片4に接近していく軌跡になる。
【0035】
そして扉26を停止させようとする約80度開放した段階で、アーム側面13と傾斜当接部分11が当接し、同時にアーム回転軸5に近い位置のアーム側面13とアーム停止片4が当接し、さらにはスライドピン7が長孔端部12に当接するように設定しておくとよく、この3個の当接動作のそれぞれにより扉26を停止させる動作が得られることになる。ここで図8は、約80度に設定した扉26の停止位置よりさらに約90度にまで無理やり開放しようとしたときの扉26とアーム6の仮想的な位置を示しており、アーム側面13と傾斜当接部分11に関しては両者が斜線部分に重なってしまうことになり、アーム回転軸5に近い位置のアーム側面13とアーム停止片4も両者が斜線部分に重なってしまうことになり、スライドピン7と扉側プレート9の長孔端部12においても両者が斜線部分に重なってしまうことになる。ところが実際の動作としては重なることはないため、この3個の動作でより確実な約80度での扉26の停止動作が得られることがわかる。
【0036】
また図7での扉26の開放範囲においても、アーム6は約80度に接近する位置以外は全て扉26の厚み内の下部位置で角度が少しだけ変わるだけの移動になり、その間扉下部面23から露出することがないため、開放動作中においてもドア全体に与えるデザイン性に影響はなく、またアーム6と扉面等による指はさみ等の危険性もない。
【0037】
ここで、上記での3個の当接動作でそれぞれに扉26を停止させることが可能になるのであるが、各々の当接時での衝撃を受ける方向や程度には違いがある。まずアーム回転軸5に近い位置のアーム側面13とアーム停止片4との当接における停止動作においては、枠側ベース部材1の縦枠取り付け面2の奥側を縦枠内面24から引き剥がそうとする方向に力がかかり、アーム回転軸5とその当接位置が近いため、その力は非常に大きくなると想定される。そこで縦枠内面24に固定する木ねじ等は長めのものを用い、取り付け孔20を介してより強固に固定しておく必要があると想定される。またアーム側面13と傾斜当接部分11との当接における停止動作においては、アーム6を水平方向に撓ませる力と共に丁番22の軸心に対して戸先方向に力がかかることになる。したがって丁番22の縦枠25に固定する羽根の面強度を高めておくとよいことになる。そしてスライドピン7が扉側プレート9の長孔端部12に当接する際の停止動作に関しては、扉26自体を約80度開いた状態のまま奥方向に引っ張ろうとする力がかかることになり、スライドピン7が高強度であるとすると扉26に装着された丁番22の羽根に力がかかるため、やはり丁番22の羽根の面強度を高めておくとよい。
【0038】
以上により扉26の停止動作が得られるのであるが、上記の構成のみでは扉26を開け放った場合などでは、停止時には強い衝撃と共に突然停止するような動作になってしまう。またその停止時の衝撃で扉26が跳ね返ってしまうことも懸念される。そこで停止位置の所定手前角度から扉26の開放速度を減速させ、停止時の衝撃を緩和させる構成が望まれる。この減速動作においては扉側プレート9の長孔10内をスライドピン7が移動する動作を利用すると効果的であると想定される。その最も単純な構成としては、扉側プレート9の長孔10の内側面の所定範囲を若干狭く設定してそのまま摩擦面として形成し、スライドピン7が扉側プレート9の長孔10内を移動する際に、摩擦面とスライドピン7が強く擦れた状態で摩擦を発生させるようにしておくと、その抵抗力により扉26を減速させることができる。また、その減速動作を開始する所定手前角度は特に限定されるものではないが、通常の通行時には開閉が重くならないほうがよいため、扉26の開放角度において約60度から減速させる構成がよいと想定される。すると扉26を開け放った際にも、約60度位置から速度を低減させつつ約80度位置にて完全に扉を停止させることが可能になる。
【0039】
しかし上記の摩擦面のみの構成では、重量扉を強く開け放った場合等ではどう考えても減速量が足らなくなると思われ、より強い抵抗力が得られる構成が必要になってくると想定される。そこでその具体的な構成としては、図9に示すように凹状長孔17を有したブロック部材16を設け、扉側プレート9の長孔10と凹状長孔17を重ねた状態で一体化しておく。そして凹状長孔17の端部に、磨耗しにくい樹脂等にて形成された上下方向に幅広の摩擦部材14を設けておくとよい。この摩擦部材14の一例としては、図10に示すような表面に細かい凹凸面15を有した、ウレタン等の硬度が低い素材が優れており、2個の摩擦部材14で凹状長孔17を両側から挟みこむようにしてブロック部材16に配置しておくとよい。そしてさらにばね部材としての皿ばね18を設け、摩擦部材14の凹凸面15を内側に押し出すような配置で併せて組み込んでおくとよい。図11はその上面図であり、扉側プレート9に一体化されたブロック部材16の、凹状長孔17内に配置された両摩擦部材14の凹凸面15間の幅が、凹状長孔17の幅より皿ばね18のたわみ分だけ狭くなるように設定されている。
【0040】
そして図12に示すように、スライドピン7をつば部分のさらに上方向に伸ばした形状にて形成し、伸ばした部分の径を凹状長孔17内でぎりぎり移動できる寸法に設定しておき、ブロック部材16の凹状長孔17に挿入した状態で配置する。図13はその状態を示したドアの下部のみを表記した正面図であり、ブロック部材16のみを扉下部面23から掘り込んで内蔵させ、扉側プレート9は扉下部面23に面付けにて装着している。そして摩擦部材14と皿ばね18は凹状長孔17の端部に配置されている。次に図14は上記の構成での扉26の開放によるアームストッパーの軌跡図であり、開放角度が約60度位置からスライドピン7が摩擦部材14に挟まれた幅の狭い範囲に差し掛かり、皿ばね18により押し付けられながら凹凸面15との擦れによる抵抗力で減速動作が得られ、そのまま約80度にて扉26が停止する動作が得られる。またこの図14での約80度の開放状態ではスライドピン7が両摩擦部材14に挟み込まれているため、この位置での停止保持機能をも兼ね備えることができる。さらには図示はしないが、この停止位置で凹凸面15にへこみ部分を形成しておくと、スライドピン7がへこみ部分に入り込み停止保持力をさらに強くすることも簡単である。
【0041】
しかし上記の構成では一定の減速量を得ることはできるのであるが、重量扉と軽量扉では減速度合に差ができてしまうことは避けられず、重量扉に合わせて減速量をさらに大きくしてしまうと、今度は常に約60度から約80度にまで解放する段階で開放動作が重くなってしまうことになり、この点においてまだ改良の余地が残っていると想定される。そこで図15に示すようにブロック部材16をさらに横方向に長く設定して直動ダンパーを装着する部分を設けておき、凹状長孔17内にロッド棒が突出した状態で直動ダンパー19をブロック部材16に装着しておく。ここで用いる直動ダンパー19は、ロッド棒が没する際に負荷が発生する構成で、強い力で一気にロッド棒を押し込もうとするとより大きな負荷が発生し、弱い力でロッド棒を押し込もうとした場合は小さな負荷しか発生しないタイプのものが優れている。そして扉26の開放段階での約60度からスライドピン7が直動ダンパー19のロッド棒に当接し、約80度での停止位置でロッド棒が完全に没するように直動ダンパー19のストロークを設定しておくとよい。すると扉26を急激に開け放った際には大きな負荷が発生し、ゆっくりと開放する際にはそれほど大きな負荷は発生しないため、より適切な減速動作が得られることになる。
【0042】
しかし図15の構成では約80度での停止保持動作がないため、やはり図9に示す摩擦部材14による抵抗力を得る構成と、図15に示す直動ダンパー19による負荷を得る構成の両方を併せ持った、図16に示すような構成が優れていると想定される。そして図17図16の構成でのスライドピン7の移動による動作を示した断面模式図である。まず図17(a)は扉26が閉鎖している状態を示しており、扉26を開放させて約60度の位置になると、図17(b)に示すようにスライドピン7が凹状長孔17を移動して摩擦部材14に接触するとともに直動ダンパー19のロッド棒の先端に当接する動作になる。そしてさらに開放すると図17(c)に示すようにスライドピン7がさらに移動して、皿ばね18を圧縮しながら摩擦部材14を押し込んで抵抗力を発生させるとともに、直動ダンパー19のロッド棒を没する動作による負荷も同時に得られ、その結果扉26を急激に減速させる効果が得られることになる。したがってこの構成は重量扉等を急激に開け放った際などにおいてより効果的であると想定されるが、軽量扉においても手で開放するような低速度での操作の場合は直動ダンパーの負荷は非常に小さくなるため、操作が重過ぎるような現象にはならない。
【0043】
また以上では、ブロック部材16を扉下部面23から掘り込んだ状態で配置し、扉側プレート9を扉下部面23に面付けにて装着した構成で説明してきたが、この納まりでは扉下部面23を掘り込む手間が必要になる。そしてこの構成でのアームストッパーの取り付け作業と扉26の吊り込み作業での施工順序としては、扉26を枠体に吊り込む前に、まずアーム6を組み付けた状態の扉側プレート9を扉下部面23の掘り込んだ部分にあらかじめ装着し、次に枠側ベース部材1を縦枠25の下部位置に装着しておく。そして扉26を上下の丁番22を用いて枠体に吊り込み、最後にアーム6の回転軸挿入孔8にアーム回転軸5を差し込んで枠側ベース部材1のアーム取り付け水平面3にアーム6を組み付ける手順になる。したがってこの構成の特長としては、ドア全体のデザイン性を向上させるためにアームストッパー自体が極力露出しないことを重要視しているのであるが、その反面扉26の施工後からではアームストッパーを装着できない構成になっている。
【0044】
そこで図18に示すように、扉側プレート9を扉26の奥面より所定寸法はみ出た幅広形状にて設定し、凹状長孔17と摩擦部材14や直動ダンパー19を備えたブロック部材16をそのはみ出た部分に乗せた状態で一体化しておき、扉下部面23には傾斜当接部分11のみを形成し、アーム6をスライドピン7の位置から斜めに首折れの形状にて形成した、扉下部の奥面方向に取り付ける面付けタイプも実施可能である。そしてこの図18に示す面付けタイプの取り付け手順は、まずブロック部材16を一体化した扉側プレート9に、さらにアーム6を組み付けておき、扉26の下部位置にブロック部材16の両端を面付けにて木ねじ等で固定する。このとき扉側プレート9の傾斜当接部分11の面を扉下部面23に密着させておく。次に扉26を大きく開けた状態で縦枠内面24の下部位置に枠側ベース部材1を同様に木ねじ等で固定する。そして最後にアーム6を枠側ベース部材1にアーム回転軸5にて組み付けることで、施工後のドアにも簡単にアームストッパーを面付けにて取り付けることができることになる。
【0045】
また上記では扉26の下部位置にアームストッパーを配置した構成で説明してきたが、扉26の上面と上枠との隙間を大きく設定できる場合においては上部に配置することも可能であり、同様にデザイン性のよいアームストッパーを提供することができる。さらには扉26の上下両方に配置することもでき、より確実な扉26の停止動作を得る構成が実現できることになる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明のアームストッパーの斜視図である。
図2】本発明のアームストッパーの、枠側ベース部材の分解斜視図である。
図3】本発明のアームストッパーの、アームの斜視図である。
図4】本発明のアームストッパーの、扉側プレートの斜視図である。
図5】本発明のアームストッパーをドアの下部に装着した閉鎖状態の正面図である。
図6】本発明のアームストッパーをドアの下部に装着した閉鎖状態の上面図である。
図7】本発明のアームストッパーの、扉を開放したときの上面軌跡図である。
図8】本発明のアームストッパーの、扉の停止位置を越えて開放したときの仮想位置を示す上面図である。
図9】本発明のアームストッパーの、扉側プレートに摩擦部材と皿ばねを有したブロック部材を一体化した構成の斜視図である。
図10】本発明のアームストッパーの、摩擦部材の斜視図である。
図11】本発明のアームストッパーの、扉側プレートに摩擦部材と皿ばねを有したブロック部材を一体化した構成の上面図である。
図12】本発明のアームストッパーの、上方向に伸ばして形成したスライドピンの斜視図である。
図13】本発明のアームストッパーの、扉側プレートに摩擦部材と皿ばねを有したブロック部材を一体化した構成を、扉に掘り込んで配置した状態の正面図である。
図14】本発明のアームストッパーの、扉側プレートに摩擦部材と皿ばねを有したブロック部材を一体化した構成での、扉を開放したときの上面軌跡図である。
図15】本発明のアームストッパーの、扉側プレートに直動ダンパーを有したブロック部材を一体化した構成の斜視図である。
図16】本発明のアームストッパーの、扉側プレートに摩擦部材と皿ばねと直動ダンパーを有したブロック部材を一体化した構成の斜視図である。
図17】本発明のアームストッパーの、扉側プレートに摩擦部材と皿ばねと直動ダンパーを有したブロック部材を一体化した構成での、スライドピンの移動に伴う動作を示す断面模式図である。
図18】本発明のアームストッパーの、面付けタイプの上面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 枠側ベース部材
2 縦枠取り付け面
3 アーム取り付け水平面
4 アーム停止片
5 アーム回転軸
6 アーム
7 スライドピン
8 回転軸挿入孔
9 扉側プレート
10 長孔
11 傾斜当接部分
12 長孔端部
13 アーム側面
14 摩擦部材
15 凹凸面
16 ブロック部材
17 凹状長孔
18 皿ばね
19 直動ダンパー
20 取り付け孔
21 ワッシャ
22 丁番
23 扉下部面
24 縦枠内面
25 縦枠
26 扉
27 床面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18