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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】物干し用ピンチ
(51)【国際特許分類】
   D06F 55/00 20060101AFI20220616BHJP
【FI】
D06F55/00 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018237099
(22)【出願日】2018-12-19
(65)【公開番号】P2020096756
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】391007758
【氏名又は名称】キクロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(72)【発明者】
【氏名】中川 真吾
【審査官】山田 由希子
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-028990(JP,A)
【文献】実開昭51-072431(JP,U)
【文献】特開2008-253695(JP,A)
【文献】実開昭63-046092(JP,U)
【文献】実開昭60-119398(JP,U)
【文献】特開2014-171848(JP,A)
【文献】特表2003-512870(JP,A)
【文献】米国特許第2871538(US,A)
【文献】中国特許出願公開第104988702(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 55/00-57/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して配置される一対の挟持部材と、前記一対の挟持部材の外側から押圧する弾性部材とが備えられるとともに、前記各挟持部材には、長手方向の一端部側に挟持部が、他端部側に操作部が、中間部に前記挟持部を開閉する支点部がそれぞれ備えられた物干し用ピンチにおいて、
前記一対の挟持部材における前記支点部から前記挟持部方向に所定距離離れた箇所に、前記一対の挟持部材における一対の挟持部に前記弾性部材の閉方向の付勢力が作用している状態で、前記一対の挟持部材同士の内側が当たる当たり面が形成されており、
前記弾性部材の付勢力の作用部が前記一対の挟持部材における前記当たり面の外側に位置されており、
前記一対の挟持部の間には、前記一対の挟持部材同士の当たり面が当たっている状態で、隙間が存することを特徴とする物干し用ピンチ。
【請求項2】
前記操作部の当接により前記一対の挟持部材における前記挟持部が最大開口状態に位置されている際に、前記挟持部と前記当たり面との間の挟持部材の内側に被挟持物が前記挟持部の開口部側から前記当たり面側に挿入されることを阻止する阻止片が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の物干し用ピンチ。
【請求項3】
前記阻止片は前記一対の挟持部材のそれぞれに幅方向の一方の片側から立設され、幅方向の他方の片側に前記阻止片が出入り可能な孔部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の物干し用ピンチ。
【請求項4】
前記操作部の当接により前記一対の挟持部材における前記挟持部が最大開口状態に位置されている状態で、前記阻止片は先端部が前記孔部から離れて空隙が生じる大きさに形成されており、前記各挟持部材における前記孔部の前記挟持部側の近傍に前記空隙を塞ぎ被挟持物が前記挟持部の開口部側から前記当たり面側に挿入されることを阻止する補助阻止片が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の物干し用ピンチ。
【請求項5】
前記一対の挟持部材における前記挟持部と前記阻止片との間には、各挟持部材の内面が外側に湾曲して空所が形成されており、
前記空所の前記挟持部に繋がる面がなだらかな丸み面に形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の物干し用ピンチ。
【請求項6】
前記一対の挟持部材における前記挟持部と前記阻止片又は前記補助阻止片との間には、各挟持部材の内面が外側に湾曲して空所が形成されており、
前記空所の前記挟持部に繋がる面がなだらかな丸み面に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の物干し用ピンチ。
【請求項7】
前記一対の挟持部材における前記各挟持部には、複数の凹部と複数の凸部とが形成されるとともに、一方の挟持部の各凹部と各凸部とに他方の挟持部の各凸部と各凹部とが、前記一対の挟持部材同士の当たり面が当たっている状態で、前記隙間をあけて位置されていることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の物干し用ピンチ。
【請求項8】
前記一対の挟持部材における前記各挟持部には、幅方向で二分された一側に長手方向に直交する一方凹部と一方凸部とが交互に形成されており、幅方向で二分された他側に長手方向に直交する他方凸部と他方凹部とが交互に形成され、
前記各凸部は半円柱状であり、前記各凹部は半円柱状の窪みであることを特徴とする請求項7に記載の物干し用ピンチ。
【請求項9】
前記隙間は、0.1mm~0.3mmであることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の物干し用ピンチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に洗濯物を挟む物干し用ピンチに係り、特に、一対の挟持部の間には、弾性部材の閉方向の付勢力が作用して一対の挟持部材同士の当たり面が当たっている状態で、隙間が存するようにした技術である。
【背景技術】
【0002】
従来、洗濯物を挟む物干し用ピンチは、洗濯物をピンチから取外す際に、片手で洗濯物を引っ張って取り込むことができる機能が望まれており、各種構造の物干し用ピンチが提案されている。
すなわち、従来、挟持部を内側方向に片持ち状に付勢するとともに、後方に円弧状に延設される弾性挟持片で形成し、回動支点部を回動凹凸支点と、回動逃げ部と、回動ストッパー部とで構成し、挟持片を閉じた状態で乾いた洗濯物を容易にかつ素早く取り込むようにした物干し用ピンチが知られている(例えば、特許文献1参照。)
【0003】
また、従来、楕円形状で一部平滑な平面を持つギザ歯を備えたローラーを、各挟持部に回転可能に取り付けた物干し用ピンチが知られている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、従来、周面に基部と挟持弾圧片を有する複数の羽根部を備えた基体から形成された回転体を、挟持部材に枢支された物干し用ピンチが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5676799号公報
【文献】特開2007-29683号公報
【文献】特許第3637432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された従来の物干し用ピンチは、挟持部及び回動支点部の構造が複雑で、かつ、洗濯物を干しているときに確実に挟持しながら、乾いた洗濯物を容易に素早く取り込むという相反する機能が必ずしも達成できないという課題があった。
特許文献2に記載された従来の物干し用ピンチは、一対のギザ歯を備えたローラーの間に、洗濯物を挟むために洗濯物を確実に保持できながら、回転によって洗濯物の取り込みが容易であるが、構造が複雑で、かつギザ歯に洗濯物の縁からの糸が絡まって、洗濯物がほつれるという課題があった。
【0006】
さらに、特許文献3に記載された従来の物干し用ピンチは、一対の羽根部を備えた回転体の間に、洗濯物を挟むため洗濯物を確実に保持できながら、回転によって洗濯物の取り込みが容易であるが、構造が複雑で、かつ羽根部に洗濯物の縁からの糸が絡まって、洗濯物がほつれるという、特許文献2に記載のものと同様な課題があった。
本発明は、このような従来の構成が有していた課題を解決しようとするものであり、簡単な構成でありながら、洗濯物を確実に保持し、一対の挟持部の間には、弾性部材の閉方向の付勢力が作用して一対の挟持部材同士の当たり面が当たっている状態で、隙間が存するようにして、洗濯物を取外す際に糸が挟持部に絡まないようにした物干し用ピンチとすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る本発明の物干し用ピンチは、対向して配置される一対の挟持部材と、前記一対の挟持部材の外側から押圧する弾性部材とが備えられるとともに、前記各挟持部材には、長手方向の一端部側に挟持部が、他端部側に操作部が、中間部に前記挟持部を開閉する支点部がそれぞれ備えられた物干し用ピンチにおいて、
前記一対の挟持部材における前記支点部から前記挟持部方向に所定距離離れた箇所に、前記一対の挟持部材における一対の挟持部に前記弾性部材の閉方向の付勢力が作用している状態で、前記一対の挟持部材同士の内側が当たる当たり面が形成されており、
前記弾性部材の付勢力の作用部が前記一対の挟持部材における前記当たり面の外側に位置されており、
前記一対の挟持部の間には、前記一対の挟持部材同士の当たり面が当たっている状態で、隙間が存するようにしたものである。
【0008】
請求項2に係る本発明の物干し用ピンチは、請求項1に係る本発明の物干し用ピンチの構成に加え、前記操作部の当接により前記一対の挟持部材における前記挟持部が最大開口状態に位置されている際に、前記挟持部と前記当たり面との間の挟持部材の内側に被挟持物が前記挟持部の開口部側から前記当たり面側に挿入されることを阻止する阻止片が設けられているようにしたものである。
【0009】
請求項3に係る本発明の物干し用ピンチは、請求項2に係る本発明の物干し用ピンチの構成に加え、前記阻止片は前記一対の挟持部材のそれぞれに幅方向の一方の片側から立設され、幅方向の他方の片側に前記阻止片が出入り可能な孔部が形成されているものである。
【0010】
請求項4に係る本発明の物干し用ピンチは、請求項3に係る本発明の物干し用ピンチの構成に加え、前記操作部の当接により前記一対の挟持部材における前記挟持部が最大開口状態に位置されている状態で、前記阻止片は先端部が前記孔部から離れて空隙が生じる大きさに形成されており、前記各挟持部材における前記孔部の前記挟持部側の近傍に前記空隙を塞ぎ被挟持物が前記挟持部の開口部側から前記当たり面側に挿入されることを阻止する補助阻止片が設けられているものである。
【0011】
請求項5に係る本発明の物干し用ピンチは、請求項2又は3に係る本発明の物干し用ピンチの構成に加え、前記一対の挟持部材における前記挟持部と前記阻止片との間には、各挟持部材の内面が外側に湾曲して空所が形成されており、
前記空所の前記挟持部に繋がる面がなだらかな丸み面に形成されているものである。
【0012】
請求項6に係る本発明の物干し用ピンチは、請求項4に係る本発明の物干し用ピンチの構成に加え、前記一対の挟持部材における前記挟持部と前記阻止片又は前記補助阻止片との間には、各挟持部材の内面が外側に湾曲して空所が形成されており、
前記空所の前記挟持部に繋がる面がなだらかな丸み面に形成されているものである。
【0013】
請求項7に係る本発明の物干し用ピンチは、請求項1~6のいずれかに係る本発明の物干し用ピンチの構成に加え、前記一対の挟持部材における前記各挟持部には、複数の凹部と複数の凸部とが形成されるとともに、一方の挟持部の各凹部と各凸部とに他方の挟持部の各凸部と各凹部とが、前記一対の挟持部材同士の当たり面が当たっている状態で、前記隙間をあけて位置されているものである。
【0014】
請求項8に係る本発明の物干し用ピンチは、請求項7に係る本発明の物干し用ピンチの構成に加え、前記一対の挟持部材における前記各挟持部には、幅方向で二分された一側に長手方向に直交する一方凹部と一方凸部とが交互に形成されており、幅方向で二分された他側に長手方向に直交する他方凸部と他方凹部とが交互に形成され、
前記各凸部は半円柱状であり、前記各凹部は半円柱状の窪みであるものである。
【0015】
請求項9に係る本発明の物干し用ピンチは、請求項1~8のいずれかに係る本発明の物干し用ピンチの構成に加え、前記隙間は、0.1mm~0.3mmであるものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る本発明の物干し用ピンチは、前記一対の挟持部材における前記支点部から前記挟持部方向に所定距離離れた箇所に、前記一対の挟持部材における一対の挟持部に前記弾性部材の閉方向の付勢力が作用している状態で、前記一対の挟持部材同士の内側が当たる当たり面が形成されており、前記弾性部材の付勢力の作用部が前記一対の挟持部材における前記当たり面の外側に位置されており、前記一対の挟持部の間には、前記一対の挟持部材同士の当たり面が当たっている状態で、隙間が存するようにしたから、被挟持物である洗濯物の糸が挟持部に絡まないで糸が隙間を通過することができ、かつ、洗濯物が確実に保持されるように隙間の大きさを形成することにより、構造が簡単でありながら、洗濯物を取外す際に糸が挟持部に絡まず、ほつれが生じないようにすることができるのである。
すなわち、弾性部材の付勢力の作用部が一対の挟持部材における当たり面の外側に位置されているから、当り面が一対の挟持部材における挟持部を開閉する支点部として作用することはなく、洗濯物を引っ張って取外すときに、洗濯物が物干しピンチを離れる直前にも一対の挟持部の間には糸が通過できる隙間があいているのである。
【0017】
請求項2に係る本発明の物干し用ピンチは、請求項1に係る本発明の物干し用ピンチの効果に加え、前記操作部の当接により前記一対の挟持部材における前記挟持部が最大開口状態に位置されている際に、前記挟持部と前記当たり面との間の挟持部材の内側に被挟持物が前記挟持部の開口部側から前記当たり面側に挿入されることを阻止する阻止片が設けられているから、被挟持物である洗濯物が支点部近傍に噛み込むことを阻止して洗濯物を一対の挟持部で保持することができるのである。
【0018】
請求項3に係る本発明の物干し用ピンチは、請求項2に係る本発明の物干し用ピンチの効果に加え、前記阻止片は前記一対の挟持部材のそれぞれに幅方向の一方の片側から立設され、幅方向の他方の片側に前記阻止片が出入り可能な孔部が形成されているから、阻止片を形成した物干し用ピンチがコンパクトとなるのである。
【0019】
請求項4に係る本発明の物干し用ピンチは、請求項3に係る本発明の物干し用ピンチの効果に加え、前記操作部の当接により前記一対の挟持部材における前記挟持部が最大開口状態に位置されている状態で、前記阻止片は先端部が前記孔部から離れて空隙が生じる大きさに形成されており、前記各挟持部材における前記孔部の前記挟持部側の近傍に前記空隙を塞ぎ被挟持物が前記挟持部の開口部側から前記当たり面側に挿入されることを阻止する補助阻止片が設けられているから、被挟持物である洗濯物が支点部近傍に噛み込むことを一層確実に阻止して洗濯物を一対の挟持部で保持することができるのである。
【0020】
請求項5に係る本発明の物干し用ピンチは、請求項2又は3に係る本発明の物干し用ピンチの効果に加え、前記一対の挟持部材における前記挟持部と前記阻止片との間には、各挟持部材の内面が外側に湾曲して空所が形成されており、前記空所の前記挟持部に繋がる面がなだらかな丸み面に形成されているから、被挟持物である洗濯物を取外す際の引っ張る力を小さくすることができ、かつ、洗濯物の糸が挟持部に絡むことを一層確実に防止できるのである。
【0021】
請求項6に係る本発明の物干し用ピンチは、請求項4に係る本発明の物干し用ピンチの効果に加え、前記一対の挟持部材における前記挟持部と前記阻止片又は前記補助阻止片との間には、各挟持部材の内面が外側に湾曲して空所が形成されており、前記空所の前記挟持部に繋がる面がなだらかな丸み面に形成されているから、被挟持物である洗濯物を取外す際の引っ張る力を小さくすることができ、かつ、洗濯物の糸が挟持部に絡むことを一層確実に防止できるのである。
【0022】
請求項7に係る本発明の物干し用ピンチは、請求項1~6のいずれかに係る本発明の物干し用ピンチの効果に加え、前記一対の挟持部材における前記各挟持部には、複数の凹部と複数の凸部とが形成されるとともに、一方の挟持部の各凹部と各凸部とに他方の挟持部の各凸部と各凹部とが、前記一対の挟持部材同士の当たり面が当たっている状態で、前記隙間をあけて位置されているから、被挟持物である洗濯物を一対の挟持部の凹部と凸部との間に屈曲状に挟持するので洗濯物を一層確実に保持することができるのである。
【0023】
請求項8に係る本発明の物干し用ピンチは、請求項7に係る本発明の物干し用ピンチの効果に加え、前記一対の挟持部材における前記各挟持部には、幅方向で二分された一側に長手方向に直交する一方凹部と一方凸部とが交互に形成されており、幅方向で二分された他側に長手方向に直交する他方凸部と他方凹部とが交互に形成され、前記各凸部は半円柱状であり、前記各凹部は半円柱状の窪みであるから、滑らかな凹部と凸部であり、被挟持物である洗濯物を取外す際の引っ張る力を小さくすることができながら、凹部と凸部の個数を多く形成でき洗濯物をさらに確実に保持することができるのである。
【0024】
請求項9に係る本発明の物干し用ピンチは、請求項1~8のいずれかに係る本発明の物干し用ピンチの効果に加え、前記隙間は、0.1mm~0.3mmであるから、被挟持物である洗濯物が薄くても一対の挟持部で洗濯物を確実に保持することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施の形態1に係る物干し用ピンチを示す正面図である。
図2図1の断面図である。
図3図1の側面図である。
図4図1の挟持部が最大開口状態に位置した図である。
図5図4の下方からの斜視図である。
図6】本発明の実施の形態1に係る物干し用ピンチにおける片方の挟持部材の内側からの側面を示す図であり、(a)は側面図及び(b)は斜視図である。
図7】本発明の実施の形態1に係る物干し用ピンチにおける片方の挟持部材の部分拡大図であり、(a)は図6(a)のA部を示す図及び(b)は(a)のB-B線断面図である。
図8】本発明の実施の形態1に係る物干し用ピンチの使用例を示す説明図であり、被挟持物として薄物の洗濯物を保持した図である。
図9】本発明の実施の形態1に係る物干し用ピンチの使用例を示す説明図であり、被挟持物として厚物の洗濯物を保持した図である。
図10】本発明の実施の形態1に係る物干し用ピンチの変形例を示す図であり、(a)は図7(a)の変形例を示す図及び(b)は(a)の変形例を示す図である。
図11】本発明の実施の形態2に係る物干し用ピンチを示す正面図である。
図12図11の断面図である。
図13図11の側面図である。
図14図11の挟持部が最大開口状態に位置した図である。
図15図14の下方からの斜視図である。
図16】本発明の実施の形態2に係る物干し用ピンチにおける片方の挟持部材を示す図であり、(a)は正面図、(b)は内側の側面図及び(c)は内側の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を添付した図面により詳細に説明する。
図1図9は本発明の実施の形態1に係る図面、図11図16は本発明の実施の形態2に係る図面であり、図1は物干し用ピンチの正面図、図2図1の断面図、図3図1の側面図、図4図1の挟持部が最大開口状態に位置した図、図5図4の斜視図、図6は片方の挟持部材の内側からの側面図と斜視図、図7は片方の挟持部の部分拡大図と断面図、図8及び図9は使用例を示す説明図、図11は物干し用ピンチの正面図、図12図11の断面図、図13図11の側面図、図14図11の挟持部が最大開口状態に位置した図、図15図14の斜視図、図16は片方の挟持部材の正面図及び内側の側面図と斜視図である。
【0027】
<実施の形態1>
物干し用ピンチ1は、図1に示すように、対向して配置される一対の挟持部材2と、一対の挟持部材2の外側から押圧する弾性部材3とが備えられるとともに、各挟持部材2には、長手方向の一端部側に挟持部4が、他端部側に操作部5が、中間部に挟持部4を開閉する支点部6がそれぞれ備えられている。
一対の挟持部材2は形状が同一であり、材質がポリカーボネート樹脂であり、弾性部材3は直径が約2mmの錫めっき鋼線を円弧状に形成したものである。
【0028】
一対の挟持部材2における支点部6から挟持部4の方向に所定距離(約18mm)離れた箇所に、一対の挟持部材2における一対の挟持部4に弾性部材3の閉方向の付勢力が作用している状態で、一対の挟持部材2同士の内側が当たる当たり面21が形成されている。
弾性部材3の付勢力の作用部22は、一対の挟持部材2における当たり面21の外側に位置されている。
【0029】
そして、一対の挟持部4の間には、弾性部材3の閉方向の付勢力が作用して一対の挟持部材2同士の当たり面21が当たっている状態で、隙間7が存するようにしている。
また、弾性部材3の付勢力の作用部22が一対の挟持部材2における当たり面21の外側に位置されているのは、当り面21が一対の挟持部材2における挟持部4を開閉する支点部として作用することをなくすためである。
【0030】
仮に、弾性部材3の付勢力の作用部22が一対の挟持部材2における当たり面21よりも挟持部4側の外側に位置している場合、弾性部材3の付勢力は、一対の挟持部材2の当たり面21における挟持部4側の端部を支点部として作用し、弾性部材3の付勢力が隙間7を閉じる方向に働き、隙間7を形成する技術的意義がなくなるからである。
このように、一対の挟持部材2同士の当たり面21が当たっている状態で、隙間7が存するようにしているから、洗濯物を引っ張って取外すときに、洗濯物が物干しピンチ1を離れる直前にも一対の挟持部4の間には洗濯物の糸が通過できる隙間があいているのである。
【0031】
そして、図4に示すように、一対の操作部5の当接により一対の挟持部材2における挟持部4が最大開口状態に位置されている際に、挟持部4と当たり面21との間の挟持部材2の内側に被挟持物である洗濯物が挟持部4の開口部43側から当たり面21側に挿入されることを阻止する阻止片8が設けられている。
阻止片8は一対の挟持部材2のそれぞれに幅方向の一方の片側から舌片状に立設され、幅方向の他方の片側に阻止片8が出入り可能な孔部81が形成されている。
【0032】
一対の阻止片8は、被挟持物である洗濯物9(図8図9参照)が支点部6の近傍に噛み込むことを阻止して洗濯物9を一対の挟持部4で保持されるようにしているとともに、幅方向の他方の片側に阻止片8が出入り可能な孔部81が形成されているから、阻止片81を形成した物干し用ピンチ1がコンパクトとなるのである。
なお、阻止片8は、図5に示すように、一対の操作部5の当接により一対の挟持部材2における挟持部4が最大開口状態に位置されている状態で、先端部8aが孔部81から離れて空隙82が生じる大きさに形成されている。
【0033】
また、前記一対の挟持部材2における挟持部4と阻止片8との間には、各挟持部材2の内面が外側に湾曲して空所23が形成されており、空所23の各挟持部4に繋がる面がなだらかな丸み面24に形成されている。
空所23の各挟持部4に繋がる面がなだらかな丸み面24に形成されていることにより、被挟持物である洗濯物9を取外す際の引っ張る力を小さくすることができ、かつ、洗濯物9の糸が挟持部4に絡むことを一層確実に防止できるのである。
【0034】
さらに、一対の挟持部材2における各挟持部4には、複数の凹部41と複数の凸部42とが形成されるとともに、一方の挟持部4の各凹部41と各凸部42とに他方の挟持部の各凸部42と各凹部41とが、一対の挟持部材2同士の当たり面21が当たっている状態で、隙間7をあけて位置されている。
一対の挟持部材2における各挟持部4の各凹部41と各凸部42の具体的構成は、図6及び図7に示すように、幅方向で二分された一側に長手方向に直交する一方凹部41aと一方凸部42aとが交互に形成されている。
【0035】
また、幅方向で二分された他側に長手方向に直交する他方凸部42bと他方凹部41bとが交互に形成されている。
各凸部42、42a、42bは半径が0.4mmの半円柱状であり、各凹部41、41a、41bは半径が0.45mmの半円柱状の窪みであり、各凸部42、42a、42bと各凹部41、41a、41bとの隙間7は0.2mmで、各挟持部4における平面部44の隙間7は0.1mmである。
【0036】
隙間7は0.1~0.3程度であれば、被挟持物である洗濯物9が薄くても一対の挟持部4で洗濯物9を確実に保持することができながら、洗濯物9の糸が挟持部4に絡まないで隙間を通過することができるのである。
以上のように形成した物干し用ピンチ1の使用例を図8及び図9の説明図により説明する。
【0037】
被挟持物として薄物の洗濯物91を物干し用ピンチ1で挟持するときは、図8に示すように、一対の挟持部4はほとんど開口しないが、薄物で軽量のため、洗濯物91が挟持部4の凹部41、41a、41bと凸部42、42a、42bで確実に保持されるようにしている。
また、被挟持物として厚物の洗濯物92を物干しピンチ1で挟持するときは、図9に示すように、一対の挟持部4は開口した状態で、厚物の洗濯物92が挟持部4の凹部41、41a、41bと凸部42、42a、42bで確実に保持されるようにしている。
【0038】
なお、図8及び図9において、93は物干し具の枠及び94は物干し具の枠93に物干しピンチを吊るすための吊り具である。
以下、本発明の実施の形態1の変形例について、説明する。
【0039】
以上の実施の形態1では、挟持部材2の挟持部4における半円柱状の凹部41、41a、41bと半円柱状の凸部42、42a、42bとを横方向に水平状に形成したが、図10(a)に示すように、縦方向に垂直状に形成してもよい。
縦方向に垂直状に形成する場合、図10(a)では上下方向に二分したが、図10(b)に示すように上下を一体化した半円柱状の連結凹部41cと半円柱状の連結凸部42cとしてもよい。
【0040】
図10(a)又は図10(b)の場合、一対の挟持部材4は、形状が同一であり、金型が1個にできるのである。
以上の実施の形態1では、一対の挟持部材2における各挟持部4の各凹部41と各凸部42とは、幅方向で二分された一側に長手方向に直交する一方凹部41aと一方凸部42aとが交互に形成され、幅方向で二分された他側に長手方向に直交する他方凸部42bと他方凹部41bとが交互に形成されるようにしたが、二分することなく、凹部41a、41bと凸部42a、42bとを一体化してもよい(図示せず)。
【0041】
この場合、一対の挟持部材2は、上下方向に形成される凹部と凸部の順序が異なる挟持部材であることが必要なため、金型が2個必要となり、少量生産の場合には問題であるが、量産の場合には、問題とはならない。
また、以上の実施の形態1では、凸部と凹部の形状は、半円柱状としたが、半球状、角柱状、截頭円錐状、截頭角錐状などでもよい。
【0042】
以上の実施の形態1では、阻止片は一対の挟持部材のそれぞれに幅方向の一方の片側から立設され、幅方向の他方の片側に阻止片が出入り可能な孔部が形成されるようにしたが、阻止片の形状・構造は被挟持物である洗濯物が当たり面側に挿入されることを阻止できればよく、阻止片を設けなくてもよい。
以上の実施の形態1では、挟持部と阻止片の間の空所の形状を、外側に湾曲した空所としたが、側面視で三角状でもよい。
【0043】
また、以上の実施の形態1では、一対の挟持部の間には、一対の挟持部材同士の当たり面が当たっている状態で、一対の挟持部の間の隙間は、0.1~0.3程度としたが、被挟持物である洗濯物により適宜選択してもよい。
以上の実施の形態1では、一対の挟持部材の材質をポリカーボネート樹脂としたが、材質をポリプロピレン樹脂などの各種合成樹脂にしてもよい。
【0044】
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2を図11図16に基づいて説明する。
実施の形態2は、実施の形態1における一対の阻止片8により被挟持物である洗濯物9(図8図9参照)が支点部6の近傍に噛み込むことを阻止するようにした構成を改良して、洗濯物9の噛み込みを一層確実に防止できるようにしたものである。
【0045】
以下、実施の形態1と同様な構成については、同一の符号を付して説明を省略ないし簡略にし、実施の形態1と相違する構成について詳細に説明する。
実施の形態2のピンチ1(挟持部材2)は、実施の形態1のピンチ1(挟持部材2)よりも長手方向の寸法が実施の形態1の約80mmから実施の形態2の約70mmに小形に形成されている。
【0046】
また、実施の形態2における一対の挟持部材2における支点部6から挟持部4の方向に所定距離(約13mm)離れた箇所に、一対の挟持部材2における一対の挟持部4に弾性部材3の閉方向の付勢力が作用している状態で、一対の挟持部材2同士の内側が当たる当たり面21が形成されており、実施の形態1における所定距離の約18mmよりも小さく形成されている。
そして、実施の形態2における実施の形態1を改良した構成は、実施の形態1における被挟持物である洗濯物が支点部6の近傍に噛み込むことを阻止するようにした一対の阻止片8に係る構成についてのものである。
【0047】
すなわち、実施の形態1では図5に示すように、操作部5の当接により一対の挟持部材2における挟持部4が最大開口状態に位置されている状態で、阻止片8は先端部8aが孔部81から離れて空隙82が生じる大きさに形成されている。
このため、実施の形態1では、薄い洗濯物9が空隙82から支点部6の近傍に噛み込むことが稀に生ずるおそれがあり、実施の形態2では、以下のように、洗濯物の噛み込みを一層確実に防止できるようにしたものである。
【0048】
図14に示すように、操作部5の当接により一対の挟持部材2における挟持部4が最大開口状態に位置されている状態で、阻止片8は先端部8aが孔部81(図13参照)から離れて空隙82が生じる大きさに形成されている。
そして、各挟持部材2における孔部81の挟持部4側の近傍に空隙82を塞ぎ被挟持物が挟持部4の開口部43側から当たり面21側に挿入されることを阻止する補助阻止片83が設けられている。
【0049】
また、一対の挟持部材2における挟持部4と阻止片8又は補助阻止片83との間には、各挟持部材2の内面が外側に湾曲して空所23が形成されており、空所23の挟持部4に繋がる面がなだらかな丸み面24に形成されている。
このように、実施の形態2は、阻止片8の先端部8aと孔部81との間に形成される空隙82を塞ぐ補助阻止片83により、洗濯物の噛み込みを一層確実に防止できるようにしている。
【0050】
さらに、実施の形態2は、実施の形態1と同様に、一対の挟持部材2における挟持部4と阻止片8又は補助阻止片83との間の空所23における挟持部4に繋がる面がなだらかな丸み面24に形成されているから、被挟持物である洗濯物を取外す際の引っ張る力を小さくすることができるとともに洗濯物の糸が挟持部4に絡むことを一層確実に防止できるようにしている。
以上のように、実施の形態2は、実施の形態1における一対の阻止片8により被挟持物である洗濯物9が支点部6の近傍に噛み込むことを阻止するようにした構成を改良して、洗濯物9の噛み込みを一層確実に防止できるようにしたものであり、他の構成については実施の形態1と略同様であるので説明を省略する。
【0051】
また、実施の形態2における物干しピンチ1の使用例及び変形例についても、実施の形態1の使用例及び変形例と同様であるので、説明を省略する。
【符号の説明】
【0052】
1 物干し用ピンチ
2 挟持部材
21 当たり面
22 作用部
23 空所
24 丸み面
3 弾性部材
4 挟持部
41 凹部
41a 一方凹部
41b 他方凹部
41c 連結凹部
42 凸部
42a 一方凸部
42b 他方凸部
42c 連結凸部
43 開口部
44 平面部
5 操作部
6 支点部
7 隙間
8 阻止片
8a 阻止片の先端部
81 孔部
82 空隙
83 補助阻止片
9 洗濯物
91 薄物の洗濯物
92 厚物の洗濯物
93 物干し具の枠
94 吊り具
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
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