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特許7089774無線アクセスポイント、無線通信システム、無線通信方法、及び無線通信プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】無線アクセスポイント、無線通信システム、無線通信方法、及び無線通信プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 74/04 20090101AFI20220616BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20220616BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20220616BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20220616BHJP
【FI】
H04W74/04
H04W72/04 131
H04W64/00 173
H04W84/12
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019164136
(22)【出願日】2019-09-10
(65)【公開番号】P2021044640
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-02-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500112146
【氏名又は名称】サイレックス・テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】香川 忠與
【審査官】桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-530817(JP,A)
【文献】特表2015-519788(JP,A)
【文献】特表2016-524849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線通信端末のそれぞれと無線通信可能であり、ビーコンフレームを反復して送信する無線アクセスポイント無線通信部と、
前記無線通信端末の送信が、ビーコン間隔を複数に分割したタイムスロットの何れかにおいて可能となるように制御する無線アクセスポイント制御部と、
を備え、
前記無線アクセスポイント制御部は、前記無線通信端末が有するアソシエーションIDと、割り当てられる前記タイムスロットと、の関係に基づいて、無線到達距離を上回って離れて配置された前記無線通信端末同士に互いに異なる前記タイムスロットが割り当てられるように、複数の前記無線通信端末のそれぞれにアソシエーションIDを付与することを特徴とする無線アクセスポイント。
【請求項2】
請求項1に記載の無線アクセスポイントであって、
前記アソシエーションIDを前記無線通信端末のMACアドレスと対応付けて記憶する記憶部を備え、
前記無線アクセスポイント制御部は、前記無線通信端末のMACアドレスに対応付けて記憶されている前記アソシエーションIDを、当該無線通信端末に付与することを特徴とする無線アクセスポイント。
【請求項3】
請求項1に記載の無線アクセスポイントであって、
前記無線通信端末の位置を取得する端末位置取得部を備え、
前記無線アクセスポイント制御部は、前記端末位置取得部が取得した前記無線通信端末の位置に基づいて、当該無線通信端末に前記アソシエーションIDを付与することを特徴とする無線アクセスポイント。
【請求項4】
請求項3に記載の無線アクセスポイントであって、
前記無線通信端末のMACアドレスと、当該前記無線通信端末の位置と、の関係を予め記憶する記憶部を備え、
前記端末位置取得部は、前記無線通信端末の位置を前記記憶部の記憶内容に基づいて取得することを特徴とする無線アクセスポイント。
【請求項5】
請求項3に記載の無線アクセスポイントであって、
前記端末位置取得部は、前記無線通信端末との通信により、当該無線通信端末の位置を取得することを特徴とする無線アクセスポイント。
【請求項6】
請求項5に記載の無線アクセスポイントであって、
前記無線通信端末の位置が、GNSS(Global Navigation Satellite System)を用いて取得されることを特徴とする無線アクセスポイント。
【請求項7】
請求項6に記載の無線アクセスポイントであって、
前記無線通信端末の相対位置が、CSI(Channel State Information)を用いて取得されることを特徴とする無線アクセスポイント。
【請求項8】
請求項3に記載の無線アクセスポイントであって、
前記無線アクセスポイント制御部は、前記無線アクセスポイントの周囲が分割された複数のエリアのうち何れに前記無線通信端末が位置するかを、当該無線通信端末の位置に基づいて判定し、
前記無線アクセスポイント制御部は、互いに異なる前記エリアにある前記無線通信端末に、互いに異なる前記タイムスロットが割り当てられるように、当該無線通信端末に前記アソシエーションIDを付与することを特徴とする無線アクセスポイント。
【請求項9】
請求項1から8までの何れか一項に記載の無線アクセスポイントと、
前記無線通信端末と、
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項10】
複数の無線通信端末のそれぞれと無線通信可能であり、ビーコンフレームを反復して送信し、ビーコン間隔を複数に分割したタイムスロットの何れかにおいて前記無線通信端末が送信可能となるように制御する無線アクセスポイントの無線通信方法であって、
前記無線通信端末が有するアソシエーションIDと、割り当てられるタイムスロットと、の関係に基づいて、無線到達距離を上回って離れて配置された前記無線通信端末同士に互いに異なる前記タイムスロットが割り当てられるように、複数の前記無線通信端末のそれぞれにアソシエーションIDを付与する第1工程と、
前記アソシエーションIDに基づいて、前記無線通信端末の送信可能時間を、ビーコン間隔を複数に分割したタイムスロットの何れかに割り当てる第2工程と、
を含むことを特徴とする無線通信方法。
【請求項11】
複数の無線通信端末のそれぞれと無線通信可能であり、ビーコンフレームを反復して送信し、ビーコン間隔を複数に分割したタイムスロットの何れかにおいて前記無線通信端末が送信可能となるように制御する無線アクセスポイントの無線通信プログラムであって、
前記無線通信端末が有するアソシエーションIDと、割り当てられるタイムスロットと、の関係に基づいて、無線到達距離を上回って離れて配置された前記無線通信端末同士に互いに異なる前記タイムスロットが割り当てられるように、複数の前記無線通信端末のそれぞれにアソシエーションIDを付与する第1ステップと、
前記アソシエーションIDに基づいて、前記無線通信端末の送信可能時間を、ビーコン間隔を複数に分割したタイムスロットの何れかに割り当てる第2ステップと、
を含むことを特徴とする無線通信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線アクセスポイントと無線通信端末との無線通信に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、無線アクセスポイントに対して、複数の無線通信端末が無線通信を行うことが可能な無線通信システムが知られている。特許文献1は、この種の構成に関して、データ送受信方法及びそれをサポートする装置を開示する。
【0003】
特許文献1の構成は、アクセスポイント配下の複数のステーション(無線通信端末)を結合識別子(Association ID;AID)に基づいて複数のグループに分け、その状態で複数の無線通信の管理を行うようになっている。ここで、アクセスポイントは、ステーションと関連した特性、能力値(ステーションの装置タイプ及び/又は所定のデューティサイクル)等に基づいて、ステーションが属するグループを決定する。そして、アクセスポイントは、該当グループの端末が有するAID範囲内で、AIDを選択して割当てを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5837703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の構成においては、グループに分けられた複数のステーションのそれぞれにAIDが割り当てられる。複数のステーションのグループ分けに関しては、ステーションの位置は考慮されていない。そのため、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Carrier Avoidance)を用いるIEEE802.11規格に準じた無線通信システムにおいては、グループ内のステーションは、キャリアセンスが不可能な距離まで互いに離れてしまう可能性がある。電波の到達範囲が長く、かつ、多数のステーションが1つのアクセスポイントに接続可能な構成の場合、ステーションは互いに距離が大きく離れて位置することが多くなる。同一のAIDグループ内のステーションが互いに大きく離れていた場合、一方のステーションが他方のステーションの通信を検知することができなくなる。そのため、一方のステーションからアクセスポイントへの通信フレームの送信中に、他方のステーションがアクセスポイントへの通信フレームの送信を始め、アクセスポイントにおいて通信フレームの衝突が発生してしまう。このような衝突は通信スループットの低下等の原因となるため、効果的に防止することが望まれている。
【0006】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的の1つは、無線アクセスポイントが互いに離れて配置されている場合でも、通信フレームの衝突を防止することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0008】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の無線アクセスポイントが提供される。即ち、この無線アクセスポイントは、無線アクセスポイント無線通信部と、無線アクセスポイント制御部と、を備える。前記無線アクセスポイント無線通信部は、複数の無線通信端末のそれぞれと無線通信可能であり、ビーコンフレームを反復して送信する。前記無線アクセスポイント制御部は、前記無線通信端末の送信が、ビーコン間隔を複数に分割したタイムスロットの何れかにおいて可能となるように制御する。前記無線アクセスポイント制御部は、前記無線通信端末が有するアソシエーションIDと、割り当てられる前記タイムスロットと、の関係に基づいて、無線到達距離を上回って離れて配置された前記無線通信端末同士に互いに異なる前記タイムスロットが割り当てられるように、複数の前記無線通信端末のそれぞれにアソシエーションIDを付与する。
【0009】
これにより、無線通信端末の中に、互いに離れて設置されたものが含まれている場合でも、当該無線通信端末から無線アクセスポイントに送信される通信フレームの衝突を防止することができる。
【0010】
前記の無線アクセスポイントにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この無線アクセスポイントは、前記無線通信端末のMACアドレスと前記アソシエーションIDとを対応付けて記憶する記憶部を備える。前記無線アクセスポイント制御部は、前記無線通信端末のMACアドレスに対応付けて記憶されている前記アソシエーションIDを、当該無線通信端末に付与する。
【0011】
これにより、簡単な制御で、通信フレームの衝突の発生を防止することができる。
【0012】
前記の無線アクセスポイントにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この無線アクセスポイントは、前記無線通信端末の位置を取得する端末位置取得部を備える。前記無線アクセスポイント制御部は、前記端末位置取得部が取得した前記無線通信端末の位置に基づいて、当該無線通信端末に前記アソシエーションIDを付与する。
【0013】
これにより、それぞれの無線通信端末の位置に基づいて、通信フレームの衝突が起こらないようにアソシエーションIDを付与することができる。
【0014】
前記の無線アクセスポイントにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、無線アクセスポイントは、前記無線通信端末のMACアドレスと、当該前記無線通信端末の位置と、の関係を予め記憶する記憶部を備える。前記端末位置取得部は、前記無線通信端末の位置を前記記憶部の記憶内容に基づいて取得する。
【0015】
これにより、無線アクセスポイント及び無線通信端末について、構成の簡素化を実現できる。
【0016】
前記の無線アクセスポイントにおいては、前記端末位置取得部は、前記無線通信端末との通信により、当該無線通信端末の位置を取得することができる。
【0017】
この場合、無線通信端末側で有している情報を利用して、通信フレームの衝突防止を確実にすることができる。
【0018】
前記の無線アクセスポイントにおいては、前記無線通信端末の位置が、GNSS(Global Navigation Satellite System)を用いて取得されることが好ましい。
【0019】
これにより、無線通信端末の位置を正確に取得することができるので、通信フレームの衝突防止を確実にすることができる。
【0020】
前記の無線アクセスポイントにおいては、前記無線通信端末の相対位置が、CSI(Channel State Information)を用いて取得されることが好ましい。
【0021】
この場合、測位のための特別な構成を要することなく、無線通信端末の位置を実際に取得することができる。
【0022】
前記の無線アクセスポイントにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記無線アクセスポイント制御部は、前記無線アクセスポイントの周囲が分割された複数のエリアのうち何れに前記無線通信端末が位置するかを、当該無線通信端末の位置に基づいて判定する。前記無線アクセスポイント制御部は、互いに異なる前記エリアにある前記無線通信端末に、互いに異なる前記タイムスロットが割り当てられるように、当該無線通信端末に前記アソシエーションIDを付与する。
【0023】
これにより、エリア単位でタイムスロットが異なるようにAIDを付与することで、通信の衝突防止を簡素な処理で実現することができる。
【0024】
本発明の第2の観点によれば、前記の無線アクセスポイントと、無線通信端末と、を備える無線通信システムが提供される。
【0025】
これにより、通信の衝突が起こりにくい無線通信システムを実現することができる。
【0026】
本発明の第3の観点によれば、複数の無線通信端末のそれぞれと無線通信可能であり、ビーコンフレームを反復して送信し、ビーコン間隔を複数に分割したタイムスロットの何れかにおいて前記無線通信端末が送信可能となるように制御する無線アクセスポイントに関し、以下のような無線通信方法が提供される。即ち、この無線通信方法は、第1工程と、第2工程と、を含む。前記第1工程では、前記無線通信端末が有するアソシエーションIDと、割り当てられるタイムスロットと、の関係に基づいて、無線到達距離を上回って離れて配置された前記無線通信端末同士に互いに異なる前記タイムスロットが割り当てられるように、複数の前記無線通信端末のそれぞれにアソシエーションIDを付与する。前記第2工程では、前記アソシエーションIDに基づいて、前記無線通信端末の送信可能時間を、ビーコン間隔を複数に分割したタイムスロットの何れかに割り当てる。
【0027】
これにより、無線通信端末の中に、互いに離れて設置されたものが含まれている場合でも、当該無線通信端末から無線アクセスポイントに送信される通信フレームの衝突を防止することができる。
【0028】
本発明の第4の観点によれば、複数の無線通信端末のそれぞれと無線通信可能であり、ビーコンフレームを反復して送信し、ビーコン間隔を複数に分割したタイムスロットの何れかにおいて前記無線通信端末が送信可能となるように制御する無線アクセスポイントに関し、以下のような無線通信プログラムが提供される。即ち、この無線通信プログラムは、第1ステップと、第2ステップと、を含む。前記第1ステップでは、前記無線通信端末が有するアソシエーションIDと、割り当てられるタイムスロットと、の関係に基づいて、無線到達距離を上回って離れて配置された前記無線通信端末同士に互いに異なる前記タイムスロットが割り当てられるように、複数の前記無線通信端末のそれぞれにアソシエーションIDを付与する。前記第2ステップでは、前記アソシエーションIDに基づいて、前記無線通信端末の送信可能時間を、ビーコン間隔を複数に分割したタイムスロットの何れかに割り当てる。
【0029】
これにより、無線通信端末の中に、互いに離れて設置されたものが含まれている場合でも、当該無線通信端末から無線アクセスポイントに送信される通信フレームの衝突を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の第1実施形態に係る無線アクセスポイントを備える無線通信システムの構成を示す模式図。
図2】無線通信システムの全体的な構成を示す機能ブロック図。
図3】無線アクセスポイントが備える記憶部の記憶内容を示す模式図。
図4】無線アクセスポイントが接続を確立する際に無線通信端末にAIDを割り当てる処理を示すフローチャート。
図5】第2実施形態の無線アクセスポイントを備える無線通信システムの機能ブロック図。
図6】無線アクセスポイントが備える記憶部の記憶内容を示す模式図。
図7】無線アクセスポイントの周囲に定められるエリアを示す模式図。
図8】無線アクセスポイントが接続を確立する際に無線通信端末にAIDを割り当てる処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る無線アクセスポイント1を備える無線通信システム100の構成を示す模式図である。図2は、無線通信システム100の全体的な構成を示す機能ブロック図である。
【0032】
図1に示す第1実施形態の無線通信システム100は、無線アクセスポイント1及び複数の無線通信端末2から構成されている。無線アクセスポイント1は、IEEE802.11に規定するインフラストラクチャモードでの無線アクセスポイントとして機能する。この無線通信システム100においては、LPWA(Low Power Wide Area)通信方式を用いるネットワークが構築されている。LPWAの通信方式では、例えば、920MHz帯が使用される。なお、本発明の第1実施形態の無線通信システム100は、LPWA通信方式を用いるネットワークを例に説明するが、これに限定されない。本発明にかかる無線通信システムは、電波の到達範囲が長く、かつ、多数のステーションが1つのアクセスポイントに接続可能な構成のネットワークであればよく、通信方式などを限定するものではない。
【0033】
無線アクセスポイント1は、自身を中心とした無線ネットワークを形成する。無線アクセスポイント1は、無線通信可能なエリアに存在する複数の無線通信端末2のそれぞれとの間で、無線信号(電波)による通信を行う。
【0034】
無線アクセスポイント1は、図2に示すように、AP無線通信部(無線アクセスポイント無線通信部)11と、AP制御部(無線アクセスポイント制御部)12と、記憶部15と、を備える。ここで、APは、アクセスポイントの略称である。
【0035】
具体的に説明すると、無線アクセスポイント1には、公知のコンピュータが備えられている。このコンピュータは、CPU、ROM、RAM等を備える。ROM及びRAMは、無線通信に関する各種の情報を記憶する記憶部15を構成している。記憶部15には、本発明の無線通信方法を実現するための無線通信プログラム、無線通信に関する設定情報等が記憶されている。上記のハードウェアとソフトウェアの協働により、当該コンピュータを、AP無線通信部11及びAP制御部12として動作させることができる。
【0036】
記憶部15には、無線アクセスポイント1自身のAP識別番号(例えばMACアドレス)、複数の無線通信端末2のそれぞれのSTA識別番号(例えばMACアドレス)等、上記のプログラムを動作させるために用いられる情報が記憶される。MACとは、Media Access Controlの略称である。STAとは、無線通信端末2、いわゆる無線通信ステーションにおけるステーションの略称である。
【0037】
AP無線通信部11は、所定の無線通信規格に準拠して、無線通信端末2と無線通信を行う。無線通信規格としては、本実施形態ではIEEE802.11ahが用いられているが、これに限定されない。また、AP無線通信部11は、ビーコンフレームを送信する。
【0038】
AP制御部12は、AP無線通信部11における無線通信を制御する。AP制御部12は、ビーコン間隔を複数のタイムスロットに分割し、この複数のタイムスロットの何れかに、それぞれの無線通信端末2の送信可能時間を設定する。それぞれの無線通信端末2は、割り当てられた送信可能時間でのみ通信を行うことができる。この時の分割の方式は周知であるため、詳細な説明は省略する。
【0039】
STA識別番号は、本実施形態ではMACアドレスであり、複数の無線通信端末2のそれぞれを一意に識別するために適宜割り当てられている。
【0040】
無線通信端末2は、前述のとおり、いわゆる無線通信ステーションであり、例えば、無線通信モジュールを備えたセンサ装置で構成される。ただし、無線通信端末2は、無線通信可能な任意の装置、例えば監視カメラ装置、スマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等とすることもできる。
【0041】
本実施形態では、複数の無線通信端末2として、8つの無線通信端末2を例に挙げて説明する。以下の説明では、図1に示す複数の無線通信端末2を区別するために、符号2A、2B、2C、2D、2E、2F、2G又は2Hを付けて呼ぶことがある。
【0042】
複数の無線通信端末2のそれぞれは、図2に示すように、端末無線通信部21と、端末制御部22と、を備える。
【0043】
具体的に説明すると、無線通信端末2には、公知のコンピュータが備えられている。このコンピュータは、CPU、ROM、RAM等を備える。ROM及びRAMは、無線通信に関する各種の情報を記憶する記憶部25を構成している。上記のハードウェアとソフトウェアの協働により、当該コンピュータを、端末無線通信部21及び端末制御部22として動作させることができる。
【0044】
記憶部25には、無線通信端末2自身の端末識別番号(例えばMACアドレス)等が記憶される。
【0045】
端末無線通信部21は、上述の無線通信規格に準拠した方式で、AP無線通信部11との間で無線通信を行う。
【0046】
端末制御部22は、端末無線通信部21における無線通信を制御する。
【0047】
続いて、本実施形態における無線アクセスポイント1と複数の無線通信端末2の間で行う無線通信について説明する。説明を簡単にするために、以下では、1つの無線通信端末2だけが無線アクセスポイント1に接続する例で説明する。
【0048】
無線アクセスポイント1と無線通信端末2とは、通常の手順で接続処理を実行した後、互いに電波を送受信して無線通信を行う。
【0049】
接続処理は、周知の無線LAN関連規格である802.11に従って行われる。接続処理時の手順について簡単に説明すると、無線アクセスポイント1は、一定の時間間隔(例えば、100ミリ秒)で、ビーコンフレームを無線ネットワーク内のすべての無線通信端末2に反復して送信する。
【0050】
無線通信端末2は、ビーコンフレームを受信すると、プローブ要求と呼ばれるMACフレームを周囲に無線送信する。これを受信した無線アクセスポイント1は、返信として、プローブ応答と呼ばれるMACフレームを無線送信する。その後、無線通信端末2と無線アクセスポイント1との間で、認証及びアソシエーションのためのMACフレームのやり取りが無線によって行われ、接続が確立される。
【0051】
このような接続処理が行われる場合、IEEE802.11規格に準拠して無線通信端末2と無線通信を行う無線アクセスポイント1は、アソシエーションを完了したときにAID(アソシエーションID)を定めて、無線通信端末2に通知するとともに、識別情報として管理する。AIDとは、Association Identifierの略称であり、1以上の整数である。
【0052】
また、このとき、無線ネットワークにおいては、周知のCSMA/CAを用いて、キャリアセンスによりチャネルが空いているときにのみデータの送信を行うアクセス制御が用いられる。
【0053】
次に、図3及び図4を参照して、AIDの割当て処理について説明する。図3は、無線アクセスポイント1が備える記憶部15の記憶内容を示す模式図である。図4は、無線アクセスポイント1が接続を確立する際に無線通信端末2にAIDを割り当てる処理を示すフローチャートである。
【0054】
1つの無線アクセスポイント1に対して、無線通信端末との最大接続台数は例えば802.11ahの規格では8191台であるが、本実施形態においてネットワークを構成する無線通信端末2の数は任意である。即ち、1つの無線アクセスポイント1に接続する無線通信端末2の数は、図1に示すように8つに固定されるものではなく、電波状況等に応じて様々に変動して良い。
【0055】
無線アクセスポイント1において、AP制御部12は、周期的に送信されるビーコンフレームの間隔を分割して複数のタイムスロットを定めたときに、複数の無線通信端末2のそれぞれが送信可能な時間を、何れかのタイムスロットに割り当てる処理を行う。本実施形態では、1番、2番、3番及び4番の計4つのタイムスロットが定められている。ビーコン間隔の分割数、即ちタイムスロットの数及び時間間隔は任意に設定可能であるし、各タイムスロットの時間幅も任意に設定可能である。
【0056】
無線アクセスポイント1において、記憶部15には、当該無線アクセスポイント1に接続可能な無線通信端末2のMACアドレスと、当該無線通信端末2に付与されるAIDと、の関係が図3のようにテーブル形式で記憶されている。
【0057】
ところで、本実施形態では、無線通信端末2に割り当てられるタイムスロットは、以下の規則に従って定められる。即ち、無線通信端末2に割り当てられるタイムスロットの番号(1~4)は、無線通信端末2が有するAIDをタイムスロットの数で除算した余りに1対1で対応する。余りが1であれば、当該無線通信端末2には1番のタイムスロットが割り当てられ、2であれば2番のタイムスロットが割り当てられ、3であれば3番のタイムスロットが割り当てられる。余りが0である場合は、当該無線通信端末2には4番のタイムスロットが割り当てられる。この割当ては、IEEE802.11ahに実質的に適合するものである。
【0058】
本実施形態の無線通信システム100では、無線アクセスポイント1及び各無線通信端末2は、物理的な移動を基本的に伴わずに運用することを想定している。このような無線通信システム100の用途は様々であるが、例えば、図1に示す無線通信端末2が何れもセンサ装置であり、無線アクセスポイント1を中心とする所定距離の範囲で、温度及び湿度等の環境値を複数の地点で定点観測するような場合が考えられる。ここで所定距離とは、例えば、920MHz帯の電波が到達可能な範囲とされる1kmである。
【0059】
そして、例えば、2つの無線通信端末2A,2Cが、互いのキャリアセンスが実質的に期待できないような遠い位置に設置される(言い換えれば、無線通信端末2A,2Cの間の距離が1kmを上回る)ことが予め分かっていたとする。この場合、無線アクセスポイント1の管理者は、上記の規則を考慮して、2つの無線通信端末2A,2Cに互いに異なるタイムスロットが割り当てられるように、図3のテーブルのAIDの値を設定しておく。図3の表の例では、無線通信端末2Aに付与するAIDは1であるから、1番のタイムスロットが割り当てられる。また、無線通信端末2Cに付与するAIDは2であるから、2番のタイムスロットが割り当てられる。上記のようにAIDを付与すれば、2つの無線通信端末2A,2Cに対して互いに異なるタイムスロットが割り当てられるので、キャリアセンスが実質的に機能しなくても、通信フレームの衝突によるスループットの低下は生じない。
【0060】
図1の例では、無線通信端末2Aと2Cだけでなく、2Aと2D、2Bと2C、2Bと2D、2Eと2G、2Eと2H、2Fと2G、2Fと2Hとの間が、それぞれ互いに遠い位置に設置されている。これを考慮して、管理者が設定する図3のテーブルでは、これらの遠い位置の無線通信端末2のペアに対して互いに異なるタイムスロットが割り当てられるように、無線通信端末2のMACアドレスにAIDが対応付けられ、キャリアセンスが不可能であってもキャリアの衝突が発生することを回避している。
【0061】
図4を参照して、無線通信端末2にAIDを付与するための具体的な処理を説明する。接続の確立のために無線通信端末2が送信するMACフレームを無線アクセスポイント1が受信すると、AP制御部12は、MACフレームに含まれる各無線通信端末2のMACアドレスを取得する(ステップS101)。その後、AP制御部12は、取得したMACアドレスに対応するAIDを図3のテーブルに従って取得し、当該AIDを無線通信端末2に付与する(第1工程、第1ステップ、ステップS102)。その後、無線アクセスポイント1は、各無線通信端末2に対して割り当てるタイムスロットを、付与したAIDに基づいて、上記の規則に従って定める(第2工程、第2ステップ、ステップS103)。このタイムスロットの割当結果は、周囲の無線通信端末2から無線アクセスポイント1に送信されるアソシエーションリクエストに対する応答であるアソシエーションレスポンスに含められて、無線アクセスポイント1から周囲の無線通信端末2にユニキャストで送信される。その後、無線通信端末2は、自身に割り当てられたタイムスロットに従って通信を行う。
【0062】
本実施形態では、無線通信端末2に付与されるAIDは、無線アクセスポイント1へ接続する順番に従って1ずつ増加する数値ではなく、図3のテーブルに従った数値となっている。このAIDに従って上記の規則でタイムスロットを割り当てることで、キャリアセンスが実質的に機能しない程度の遠距離にある無線通信端末2が、互いに異なるタイムスロットで通信を行うことになる。この結果、無線アクセスポイント1に対する通信フレームの衝突によるスループットの低下を防止できる。
【0063】
以上に説明したように、本実施形態の無線アクセスポイント1は、AP無線通信部11と、AP制御部12と、を備える。AP無線通信部11は、複数の無線通信端末2のそれぞれと無線通信可能であり、ビーコンフレームを反復して送信する。AP制御部12は、無線通信端末2の送信が、ビーコン間隔を複数に分割したタイムスロットの何れかにおいて可能となるように制御する。AP制御部12は、無線通信端末2が有するアソシエーションIDと、割り当てられるタイムスロットと、の関係に基づいて、無線到達距離を上回って離れて配置された無線通信端末2同士に互いに異なるタイムスロットが割り当てられるように、複数の無線通信端末2のそれぞれにAIDを付与する。
【0064】
これにより、無線アクセスポイント1と通信を行う複数の無線通信端末2が、キャリアセンスが不可能な程度に互いに離れて設置された場合でも、当該無線通信端末2から無線アクセスポイント1に送信される通信フレームの衝突を防止することができる。
【0065】
また、本実施形態の無線アクセスポイント1は、無線通信端末2のMACアドレスとAIDとを対応付けて記憶する記憶部15を備える。AP制御部12は、無線通信端末2のMACアドレスに対応付けて記憶されているAIDを、無線通信端末2に付与する。
【0066】
これにより、簡単な制御で、通信フレームの衝突を防止することができる。
【0067】
次に、図5及び図6を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。本実施形態の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0068】
図5に示す第2実施形態において、無線アクセスポイント10は、AP無線通信部11、AP制御部12及び記憶部15に加えて、端末位置取得部16と、自機位置取得部17と、を備える。
【0069】
本実施形態では、記憶部15は図6に示すように、複数の無線通信端末2のMACアドレスに対応して、当該無線通信端末2の位置をテーブル形式で記憶している。端末位置取得部16は、無線通信端末2の位置を、図6のテーブルの記憶内容に基づいて取得する。
【0070】
図6に示すように、記憶部15は更に、無線アクセスポイント10自身の位置を記憶している。自機位置取得部17は、無線アクセスポイント10の位置を、記憶部15の記憶内容に基づいて取得する。
【0071】
図6に示す記憶部15の記憶内容は、無線アクセスポイント10の管理者により事前に設定される。図6において、無線アクセスポイント10及び無線通信端末2の位置は、緯度及び経度を用いて表現されているが、他の任意の形式(例えば、極座標)で位置を表すこともできる。これらの位置情報を知るすべは、特に限定しない。位置情報は、例えば、無線通信端末2の設置場所の緯度及び経度を管理者が地図等で調べることにより得ることができる。
【0072】
端末位置取得部16が取得した無線通信端末2の位置を用いて計算することにより、互いにキャリアセンスが実質的に機能しないような遠い位置に設置される無線通信端末2のペアを探索して求めることができる。端末位置取得部16は、このように遠隔で配置される無線通信端末2同士に、互いに異なるタイムスロットが割り当てられるように、無線通信端末2のそれぞれにAIDを付与する。
【0073】
それぞれの無線通信端末2の間の距離を計算する場合、自機の位置の情報は必ずしも必要でないので、自機位置取得部17を省略することもできる。しかし、本実施形態では、無線アクセスポイント10の位置の情報を利用して、より簡単な処理で、通信フレームの衝突防止を実現している。以下、具体的に説明する。
【0074】
本実施形態では、図7に示すように、無線アクセスポイント10の周囲の空間を4つのエリアに分割している。4つのエリア41~44は、図7における上側を北側とした場合、北西に位置する第1のエリア41、南東に位置する第2のエリア42、北東に位置する第3のエリア43、南西に位置する第4のエリア44からなる。なお、本実施形態では、無線アクセスポイント10の周囲の空間を4つのエリアに分割して説明するが、無線アクセスポイント10の周囲の空間をどのように幾つ分けるかについては任意である。
【0075】
AP制御部12は、無線通信端末2が4つのエリア41~44のうち何れに位置しているかを、端末位置取得部16及び自機位置取得部17が取得した情報に基づいて判定する。この判定は、無線通信端末2の位置と自機の位置の経度及び緯度をそれぞれ比較することで、簡単に行うことができる。
【0076】
AP制御部12は、第1のエリア41に位置する無線通信端末2については、AIDとして、4で除算した余りが1になる値を付与する。第2のエリア42に位置する無線通信端末2については、AIDとして、4で除算した余りが2になる値を付与する。第3のエリア43、第4のエリアについても同様に、無線通信端末2に対してAIDを設定する。前述の第1実施形態とは異なり、AIDはMACアドレスに対して固有でなくても良い。例えば、第1のエリア41に存在する2つの無線通信端末2A,2Bが無線アクセスポイント10に順次接続してきた場合、接続が早い方の無線通信端末2にAIDとして1を付与し、遅い方の無線通信端末2にAIDとして5を付与することが考えられる。
【0077】
無線アクセスポイント10の周囲を適度な大きさに分割することで、同一のエリアに位置する無線通信端末2同士は、互いにキャリアセンスが有効になるような比較的近い位置に配置されることになる。無線通信端末2は、通信を行うに際して、当該無線通信端末2が位置するエリア41~44に応じて異なるタイムスロットを用いる。これにより、通信フレームの衝突を第1実施形態と同様に防止することができる。
【0078】
具体的な処理について、図8を参照して説明する。接続の確立のために無線通信端末2が送信するMACフレームを無線アクセスポイント10が受信すると、AP制御部12は、MACフレームに含まれる各無線通信端末2のMACアドレスを取得する(ステップS201)。その後、AP制御部12は、取得したMACアドレスに対応する緯度及び経度を図6のテーブルに従って取得する(ステップS202)。
【0079】
続いて、AP制御部12は、無線通信端末2の位置を自機の位置と比較することにより、4つのエリア41~44の何れに無線通信端末2が位置するかを判定する(ステップS203)。次に、AP制御部12は、4で除算した余りが、無線通信端末2が存在するエリアに応じた値となるような数値を適宜生成して、この値をAIDとして無線通信端末2に付与する(ステップS204)。動的にAIDを定める具体例としては、当該エリアにおいて既に接続が確立している他の無線通信端末2の数をカウントし、このカウント結果に4を乗算し、更に、エリアに応じて0から3までの整数の何れかを加えて、AIDとすることが考えられる。ステップS205の処理は図4のステップS103の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0080】
図6のテーブルに示される無線通信端末2の位置は絶対位置となっているが、記憶部15は、無線通信端末2の位置を、無線アクセスポイント10を基準とした相対位置(例えば、経度及び緯度の差分)の形で記憶することもできる。このような相対位置も、無線通信端末2の位置の一種であると考えることができる。相対位置を用いても、無線通信端末2がエリア41~44の何れにあるかの判定は問題なく行うことができる。この場合は、自機の位置を記憶する必要がないので、自機位置取得部17を省略することもできる。
【0081】
図6のテーブルで示される位置は、無線アクセスポイント10の管理者が手動で設定することに代えて、自動的に検出して設定することもできる。例えば、無線アクセスポイント10及び無線通信端末2のそれぞれに図略のGNSSアンテナ及びGNSS受信機を備えて、GNSS測位可能に構成することが考えられる。無線アクセスポイント10は、それぞれの無線通信端末2のGNSS測位結果を、当該無線通信端末2からAP無線通信部11を通じて取得して、記憶部15に記憶する。同様に、無線アクセスポイント10は、自機のGNSS測位結果を取得して、記憶部15に記憶する。この構成によれば、無線アクセスポイント10及び無線通信端末2を最初に設置する際の初期設定の手間を大幅に低減することができる。また、無線アクセスポイント10又は無線通信端末2の設置位置の変更が生じた場合でも、記憶部15の記憶内容(図6に示す情報)を更新する手間を軽減することができる。
【0082】
無線アクセスポイント10及び無線通信端末2においてGNSS測位を行う代わりに、無線通信端末2の無線アクセスポイント10に対する相対位置を、CSI(Channel State Information)によって取得することもできる。CSIは周知であるため詳細な説明は省略するが、無線局間での電波の伝送路に関する情報によって、相対的な位置関係を推定するものである。この構成では、GNSS受信機等の特別な装置を用いることなく、無線通信端末2がどのエリアに位置するかを取得することができる。
【0083】
以上に説明したように、本実施形態の無線アクセスポイント10は、無線通信端末2の位置を取得する端末位置取得部16を備える。AP制御部12は、端末位置取得部16が取得した無線通信端末2の位置に基づいて、無線通信端末2にAIDを付与する。
【0084】
これにより、それぞれの無線通信端末2の位置に基づいて、通信フレームの衝突が起こらないようにAIDを付与することができる。
【0085】
また、本実施形態の無線アクセスポイント10は、無線通信端末2のMACアドレスと、当該無線通信端末2の位置と、の関係を予め記憶する記憶部15を備える。端末位置取得部16は、無線通信端末2の位置を記憶部15の記憶内容に基づいて取得する。
【0086】
これにより、無線アクセスポイント10及び無線通信端末2について、構成の簡素化を実現できる。
【0087】
なお、本実施形態の無線アクセスポイント10において、端末位置取得部16は、無線通信端末2との通信により、無線通信端末2の位置を取得しても良い。
【0088】
この場合、無線通信端末2側で有している情報を利用して、通信フレームの衝突防止を確実にすることができる。
【0089】
本実施形態の無線アクセスポイント10において、無線通信端末2の位置が、GNSSを用いて取得されても良い。
【0090】
この場合、無線通信端末2の位置を正確に取得することができるので、通信フレームの衝突防止を確実にすることができる。
【0091】
本実施形態の無線アクセスポイント10において、無線通信端末2の相対位置が、CSIを用いて取得されても良い。
【0092】
この場合、測位のための特別な構成を要することなく、無線通信端末2の位置を実際に取得することができる。
【0093】
また、本実施形態の無線アクセスポイント10において、AP制御部12は、無線アクセスポイント10の周囲が分割された複数のエリア41のうち何れに無線通信端末2が位置するかを、無線通信端末2の位置に基づいて判定する。AP制御部12は、互いに異なるエリア41にある無線通信端末2に、互いに異なるタイムスロットが割り当てられるように、無線通信端末2にAIDを付与する。
【0094】
これにより、エリア単位でタイムスロットが異なるようにAIDを付与することで、通信の衝突防止を簡素な処理で実現することができる。
【0095】
以上に本発明の好適な実施形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0096】
第2実施形態において、無線アクセスポイント10の周囲のエリアは、無線アクセスポイント10に対する方位に応じて複数に分割されているが、無線アクセスポイント10に対する距離に応じて複数に分割されても良いし、無線アクセスポイント10に対する方位及び距離に応じて複数に分割されても良い。無線アクセスポイント10の周囲が、例えば3×3の格子状に分割されても良い。
【0097】
無線アクセスポイント10の周囲のエリアが分割される数は任意に設定することができる。ただし、無線アクセスポイント10の周囲に分割により画定される各エリアは、原則として、当該エリア内にある無線通信端末2から実質的に無線通信が可能な範囲に制限される。
【0098】
タイムスロットの分割数と、エリアの分割数が等しくなくても良い。例えば、タイムスロットを8分割とし、エリアを4分割とすることもできる。
【0099】
第2実施形態において、無線アクセスポイント10及び無線通信端末2の両方がGNSS測位可能に構成されても良いし、何れか一方のみがGNSS測位可能に構成されても良い。
【0100】
第1実施形態の無線アクセスポイント1において、記憶部15は、図3のテーブルのようにAIDの値を直接(静的に)記憶する代わりに、AIDを4で除算して余りとなるべき値、又は、タイムスロットの番号を記憶しても良い。この場合、AIDとしては、その場でAP制御部12が計算した値が無線通信端末2に動的に付与されることになる。
【0101】
無線通信端末2に付与されるAIDと、当該無線通信端末2に割り当てられるタイムスロットの番号の関係は、タイムスロットの数でAIDを除算した余りに基づく規則に代えて、他の規則を用いることもできる。
【0102】
AIDの割当て処理は、前述と異なる順序に又は一部が同時に進行するものであっても良いし、前述と異なるステップを含むものであっても良い。
【0103】
上述の教示を考慮すれば、本発明が多くの変更形態及び変形形態をとり得ることは明らかである。従って、本発明が、添付の特許請求の範囲内において、本明細書に記載された以外の方法で実施され得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0104】
1,10 無線アクセスポイント
11 AP無線通信部(無線アクセスポイント無線通信部)
12 AP制御部(無線アクセスポイント制御部)
15 記憶部
16 端末位置取得部
17 自機位置取得部
2 無線通信端末
41 第1のエリア
42 第2のエリア
43 第3のエリア
44 第4のエリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8