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▶ トン ヒン プラスチック マニュファクトリー リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】改良された髪留め具
(51)【国際特許分類】
   A45D 8/20 20060101AFI20220616BHJP
   A45D 8/00 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
A45D8/20
A45D8/00 502B
A45D8/00 504B
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019209148
(22)【出願日】2019-11-19
(65)【公開番号】P2020081885
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2020-04-03
(31)【優先権主張番号】2018271255
(32)【優先日】2018-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】519026180
【氏名又は名称】トン ヒン プラスチック マニュファクトリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】施嘉全
【審査官】程塚 悠
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3031212(JP,U)
【文献】登録実用新案第3174313(JP,U)
【文献】特表2007-505646(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0215542(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0139687(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0131237(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0131238(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 8/00-8/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
髪爪型の髪留め具であって、
第1の爪部材と、
第2の爪部材と、
楕円形の長尺ブロックと、を含み、
前記第1の爪部材および前記第2の爪部材は第1の材料で形成され、前記長尺ブロックは主としてシリコーンの第2の材料で形成され、前記第2の材料は圧縮可能であり、
前記第1の爪部材および前記第2の爪部材のそれぞれは、前方部分と、後方部分と、前記前方部分と前記後方部分との間に設けられた結合部分と、を有するよう構成されており、
前記第1の爪部材および前記第2の爪部材の前記後方部分は、前記髪留め具の開閉を制御するための一対の操作部として機能し、
前記結合部分は、リムによって規定された楕円形の開口を有し、
前記長尺ブロックのセンター部分は、前記第1の爪部材および前記第2の爪部材の前記結合部分の間に位置し、前記第1の爪部材および前記第2の爪部材が、互いに対して回動および往復運動可能となるためのヒンジとして機能し、前記長尺ブロックのトップ部分およびボトム部分は前記センター部分を挟み、前記長尺ブロックの互いに反対側の端部は前記第1の爪部材および前記第2の爪部材のそれぞれの前記結合部分の前記開口を通して突出し、
前記長尺ブロックは、前記結合部分の前記リムに熱シールまたは接着シールされ、
前記長尺ブロックは、前方領域と、後方領域と、を有するよう構成されており、
前記前方領域は、複数のテンションケーブルを備えており、前記髪留め具の状態にかかわらず、前記複数のテンションケーブルと前記後方領域との間には、前記複数のテンションケーブルおよび前記後方領域が、互いに独立して動作可能となるように、クリアランスが設けられており、
前記長尺ブロックは、前記一対の操作部が互いに近づくよう動かされ、前記後方領域が圧縮され、さらに、前記複数のテンションケーブルが引き延ばされる第1の構成と、前記一対の操作部が解放され、前記複数のテンションケーブルが、前記第1の爪部材および前記第2の爪部材を互いに近づくように引っ張り、これにより、前記髪留め具を閉じ状態または初期状態に戻す第2の構成と、を取り得るよう構成されていることを特徴とする髪留め具。
【請求項2】
前記長尺ブロックは、前記長尺ブロックの前記互いに反対側の端部、または、上側端部および下側端部に形成された上側周縁溝および下側周縁溝を有するよう構成されており、
前記長尺ブロックは、前記リムと係合した前記上側周縁溝および前記下側周縁溝によって、前記第1の爪部材および前記第2の爪部材に固定的に接続されている請求項1に記載の髪留め具。
【請求項3】
前記長尺ブロックの前記センター部分と、前記トップ部分と、前記ボトム部分とは、センターピースと、トップピースと、ボトムピースと、をそれぞれ規定し、
前記トップピースおよび前記センターピースは、共に、前記上側周縁溝を規定しており、
前記ボトムピースおよび前記センターピースは、共に、前記下側周縁溝を規定しており、
前記上側周縁溝は、前記第1の爪部材で前記リムにシールされ、
前記下側周縁溝は、前記第2の爪部材で前記リムにシールされる請求項2に記載の髪留め具。
【請求項4】
前記上側周縁溝および前記下側周縁溝は、各前記リムと相補うように係合するサイズおよび形状とされている請求項2に記載の髪留め具。
【請求項5】
前記第1の材料は、ABS、PP、HIPS、GPPS、PE、ナイロン、ポリカーボネート、アセタール、酢酸セルロース、PVC、PET、およびPLAから構成されるグループから選択された材料により形成されている請求項1に記載の髪留め具。
【請求項6】
前記長尺ブロックの前記前方領域において均等に配置および離間された4つのテンションケーブルをさらに含む請求項1に記載の髪留め具。
【請求項7】
前記髪留め具または少なくとも前記髪留め具の前記ヒンジは、金属部品を全く含まない請求項1に記載の髪留め具。
【請求項8】
請求項1によって規定された前記髪留め具を製造するための方法であって、
ヒートシーリングまたは接着剤により、前記長尺ブロックを、前記第1の爪部材および前記第2の爪部材に接続する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
髪留め具を製造するための方法であって、
第1の材料の射出成形によって、開口を規定するリムを有する結合部分を有する一対の爪部材を形成する工程と、
前記射出成により、主としてシリコーンの第2の材料によって形成され、ヒンジとして機能する長尺ブロックを形成する工程であって、
前記長尺ブロックは、前方領域と、圧縮可能な後方領域と、を備え、
前記前方領域は、複数のテンションケーブルの形状であり、
前記複数のテンションケーブルと前記長尺ブロックの前記後方領域との間にクリアランスが設けられている、前記長尺ブロックを形成する前記工程と、
前記一対の爪部材の前記結合部分の間に前記長尺ブロックを配置し、さらに、前記長尺ブロックを前記結合部分で前記リムに熱シーリングまたは接着剤シーリングし、前記髪留め具を固定し、第1の爪部材および第2の爪部材の前記結合部分で前記開口を通って前記長尺ブロックを突出させる工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記長尺ブロックの互いに反対側の端部、または、上側端部および下側端部に一対の溝を形成する工程と、
前記リムと係合した前記一対の溝によって、前記長尺ブロックを前記一対の爪部材に固定的に接続する工程と、をさらに含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記長尺ブロックは、トップピースと、センターピースと、ボトムピースと、を備えており、
前記トップピースおよび前記ボトムピースは、前記一対の爪部材の前記結合部分を挟み込み、さらに、前記センターピースに接続されており、これにより、前記髪留め具の所定の位置に前記長尺ブロックを固定している請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記髪留め具または前記髪留め具の少なくとも前記ヒンジは、金属部品を全く含まない請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記長尺ブロックは、全体として楕円形となっている請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の材料は、ABS、PP、HIPS、GPPS、PE、ナイロン、ポリカーボネート、アセタール、酢酸セルロース、PVC、PET、およびPLAから構成されるグループから選択されている請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記髪留め具は、前記長尺ブロックの前方領域に均等に配置および離間された4つのテンションケーブルを含む請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願への相互参照】
【0001】
本出願は、2018年11月26日付けで出願されたオーストラリア特許出願第2018271255号に基づく優先権を主張し、該オーストラリア特許出願の開示の内容の全てが参照によりここに援用される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、改良された髪固定動作(enhanced hair securing behavior)を実行可能な髪爪(hair claw)型の髪留め具および該髪留め具の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ユーザーの髪を扱う複数の異なるニーズに対応するために、様々な髪用アクセサリーが存在している。例えば、ヘアクリップ(hair barrette)型の髪留め具が存在しており、髪の層(a layer of hair)を固定するために用いられることが多い。また、髪留め具の別の特定のタイプは、髪爪(hair claw)型である。しかしながら、市販されているいくつかの髪爪(または、実際のいくつかの他の髪留め具)の1つの欠点は、髪爪(または、髪留め具)によって固定されている髪が、髪爪(または、髪留め具)の別の可動部に引っかかってしまう(絡まってしまう)ことが多く、髪がダメージを受けたり、ユーザーに痛みを与えたりしてしまうことである。いくつかの髪留め具の他の欠点は、髪留め具の製造が困難であること、および/または、髪留め具の耐久性が低く、髪留め具を短い期間で繰り返し使用すると、髪留め具の髪をしっかりと固定する能力が失われてしまったり、髪がばらばらになったりする傾向にあることである。さらに別の欠点は、いくつかの従来の髪留め具の操作が難しいことである。例えば、市販されているいくつかの髪爪は、操作するには硬すぎる場合があり、使用の際に開閉を制御するためにユーザーが操作部(ハンドル)を押圧する際に、大きな力を必要とする。
【0004】
本発明は、上述のような課題を解決することを目的とし、または、少なくとも、公衆に代替物を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、第1の爪部材と、第2の爪部材と、長尺ブロックと、を含む髪爪型の髪留め具が提供される。ここで、前記第1の爪部材および前記第2の爪部材のそれぞれは、前方部分と、後方部分と、前記前方部分と前記後方部分との間に設けられた結合部分と、を有するよう構成されており、前記第1の爪部材および前記第2の爪部材の前記後方部分は、前記髪留め具の開閉を制御するための一対の操作部として機能する。さらに、前記長尺ブロックは、前記第1の爪部材および前記第2の爪部材の前記結合部分の間に位置し、前記第1の爪部材および前記第2の爪部材が、互いに対して回動および往復運動可能となるためのヒンジとして機能する。さらに、前記長尺ブロックは、主として高分子材料によって形成されており、さらに、前方領域と、後方領域と、を有するよう構成されており、前記前方領域と前記後方領域は、前記長尺ブロックの残りの領域によって接続されている。さらに、前記前方領域は、複数のテンションケーブルを備えており、前記複数のテンションケーブルと前記後方領域との間には、前記複数のテンションケーブルおよび前記後方領域が、互いに独立して動作可能となるように、クリアランスが設けられている。さらに、前記長尺ブロックは、前記一対の操作部が互いに近づくよう動かされ、前記後方領域が圧縮され、さらに、前記複数のテンションケーブルが引き延ばされる第1の構成と、前記一対の操作部が解放され、前記複数のテンションケーブルが、前記第1の爪部材および前記第2の爪部材を互いに近づくように引っ張り、これにより、前記髪留め具を閉じ状態または初期状態に戻す第2の構成と、を取り得るよう構成されている。
【0006】
好ましくは、前記第1の爪部材および前記第2の爪部材の前記結合部分のそれぞれは、リム(周縁)を規定する開口を有するよう構成されていてもよく、さらに、前記長尺ブロックは、前記長尺ブロックの互いに反対側の端部、または、上側端部および下側端部に形成された上側周縁溝および下側周縁溝を有するよう構成されていてもよく、前記長尺ブロックは、前記リムと係合した前記上側周縁溝および前記下側周縁溝によって、前記第1の爪部材および前記第2の爪部材に固定的に接続されていてもよい。
【0007】
1つの実施形態において、前記長尺ブロックの前記互いに反対側の端部は、前記結合部分から突出していてもよい。
【0008】
1つの実施形態において、前記長尺ブロックは、センターピースと、トップピースと、ボトムピースと、を備えており、前記トップピースおよび前記センターピースは、共に、前記上側周縁溝を規定しており、前記ボトムピースおよび前記センターピースは、共に、前記下側周縁溝を規定していてもよい。前記トップピースおよび前記ボトムピースは、前記センターピースに固定的に接続されており、そのため、前記センターピースと共に、前記第1の爪部材および前記第2の爪部材を挟み込み、固定している。
【0009】
好適には、前記結合部分の前記開口は、全体として楕円形となっており、前記上側周縁溝および前記下側周縁溝は、前記リムと相補うように(complementary)に係合するサイズおよび形状とされており、前記長尺ブロックは、全体として、前記第1の爪部材および前記第2の爪部材用のヒンジとして機能する楕円形コネクター形状またはそれと似た形状であってもよい。
【0010】
好ましくは、前記第1の爪部材および前記第2の爪部材は、ABS、PP、HIPS、GPPS、PE、ナイロン、ポリカーボネート、K-resin、アセタール、酢酸セルロース、PVC、PET、およびPLAから構成されるグループから選択された材料により形成されていてもよく、さらに、前記長尺ブロックは、シリコーンを含む、または、主としてシリコーンから形成されていてもよい。これらの材料特性によって、まとめられるべき髪が、前記髪留め具の可動部または金属部品に引っかかってしまう(絡まってしまう)可能性が、完全になくなるわけではないが、最小化され得る。
【0011】
好適には、前記髪留め具は、前記長尺ブロックの前記前方領域にまたがるように均等に配置および離間された4つのテンションケーブルを含んでいてもよい。
【0012】
好ましい実施形態において、前記髪留め具または少なくとも前記髪留め具の前記ヒンジは、金属部品を全く含まない。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、第1の爪部材と、第2の爪部材と、長尺ブロックと、を含む髪爪型の髪留め具が提供される。ここで、前記第1の爪部材および前記第2の爪部材のそれぞれは、前方部分と、後方部分と、前記前方部分と前記後方部分との間に設けられた結合部分と、を有するよう構成されており、前記第1の爪部材および前記第2の爪部材の前記後方部分は、前記髪留め具の開閉を制御するための一対の操作部として機能する。さらに、前記長尺ブロックは、トップピースと、センターピースと、ボトムピースと、によって形成されており、前記センターピースは、前記第1の爪部材および前記第2の爪部材の前記結合部分の間に位置し、前記第1の爪部材および前記第2の爪部材が互いに対して回動および往復運動可能となるためのヒンジとして機能する。さらに、前記トップピースおよび前記ボトムピースは、前記第1の爪部材および前記第2の爪部材を介して前記センターピースに固定的に接続されており、そのため、前記センターピースと共に、前記第1の爪部材および前記第2の爪部材を挟み込み、固定する。さらに、前記長尺ブロックは、主として高分子材料により形成されており、前記長尺ブロックは、前記一対の操作部が互いに近づくよう動かされ、前記センターピースの後方領域が圧縮され、さらに、前記センターピースの前方領域が引き延ばされる第1の構成と、前記一対の操作部が解放され、前記センターピースの前記前方領域が、前記第1の爪部材および前記第2の爪部材を互いに近づくよう引っ張り、これにより、前記髪留め具を閉じ状態または初期状態に戻す第2の構成と、を取り得るよう構成されている。
【0014】
開口から突出する長尺ブロックの上述のような構成は、少なくとも2つの面で重要である。第1に、長尺ブロックと2つの爪部材との間の接触領域が、長尺ブロックの表面に限定されず、さらに、2つの爪部材と内部で対向する面となる。代わりに、接触(または接続)領域は、長尺ブロックの溝およびリムの長さや領域に渡って広がる。これは、使用の際の過剰なテンション(張力)を最小化し、操作部を互いに離れるように広げることの困難さを最小化することができる点で重要である。また、リムおよび溝における長尺ブロックと2つの爪部材との間の接続は、耐久性の面で強化されている。第2に、突出により、長尺ブロックが、繰り返して実行される2つの爪部材の開閉操作によって生じる往復圧力および引っ張りに耐え得るよう、長尺ブロックの体積をより多くして長尺ブロックを形成することが可能となる。
【0015】
本発明の第3の態様によれば、上述の髪留め具を製造するための方法が提供される。該方法は、ヒートシーリングまたは接着剤により、前記長尺ブロック、または、トップピース、ボトムピースおよびセンターピースを、前記第1の爪部材および前記第2の爪部材に接続する工程を含む。
【0016】
本発明の第4の態様によれば、髪留め具を製造するための方法が提供される。該方法は、第1の爪部材および第2の爪部材を形成する工程と、射出成型のみにより、主として高分子材料によって形成され、ヒンジとして機能する長尺ブロックを形成する工程であって、前記長尺ブロックは、前方領域と、後方領域と、を備え、前記長尺ブロックの前記前方領域および前記後方領域は、前記長尺ブロックの残りの領域によって互いに接続されており、前記前方領域は、複数のテンションケーブルの形状であり、前記複数のテンションケーブルと前記長尺ブロックの前記後方領域との間にクリアランスが設けられている、前記長尺ブロックを形成する前記工程と、前記第1の爪部材および前記第2の爪部材の結合部分の間に前記長尺ブロックを配置し、さらに、前記長尺ブロックを前記結合部分において、前記髪留め具に固定的に接続する工程と、を含む。
【0017】
好ましくは、該方法は、前記第1の爪部材および前記第2の爪部材のそれぞれの前記結合部分に、リムを規定する開口を形成する工程と、前記長尺ブロックの互いに反対側の端部、または、上側端部および下側端部に一対の溝を形成する工程と、前記リムと係合した前記一対の溝によって、前記長尺部材を前記第1の爪部材および前記第2の爪部材に固定的に接続する工程と、を含んでいてもよい。
【0018】
好適には、該方法は、前記長尺ブロックの前記互いに反対側の端部が、前記結合部分の前記開口から突出するよう、前記長尺ブロックを前記第1の爪部材および前記第2の爪部材に接続する工程を含んでいてもよい。
【0019】
1つの実施形態において、前記長尺ブロックは、トップピースと、センターピースと、ボトムピースと、を備えており、前記トップピースおよび前記ボトムピースは、前記第1の爪部材および前記第2の爪部材の前記結合部分を挟み込み、さらに、前記センターピースに接続されており、これにより、前記髪留め具の所定の位置に前記長尺ブロックを固定している。
【0020】
好ましい実施形態において、前記髪留め具または前記髪留めの少なくとも前記ヒンジは、金属部品を全く含まない。
【0021】
好ましくは、前記結合部分は、前記長尺ブロックと係合する開口を有するよう構成されていてもよい。好ましい実施形態において、前記長尺ブロックは、全体として、楕円形コネクター形状であってもよい。
【0022】
前記第1の爪部材および前記第2の爪部材は、ABS、PP、HIPS、GPPS、PE、ナイロン、ポリカーボネート、K-resin、アセタール、酢酸セルロース、PVC、PET、およびPLAから構成されるグループから選択された材料により形成されていてもよい。前記長尺ブロックは、シリコーンを含む、または、主としてシリコーンから形成されていてもよい。
【0023】
好ましい実施形態において、前記長尺ブロックの前記前方部分に均等に配置および離間された4つのテンションケーブルが提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明のいくつかの実施形態が、以下の添付の図面を参照して説明される。
【0025】
図1】本発明の第1の実施形態に係る髪留め具を示す斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る髪留め具を示す別の斜視図である。
図3図1の髪留め具の上面図である。
図4図1の髪留め具の下面図である。
図5図1の髪留め具の一方の側面図である。
図6図1の髪留め具の他方の側面図である。
図7図1の髪留め具の正面図である。
図8図1の髪留め具の背面図である。
図9図1の髪留め具が開き構成または拡張構成を取っている際の図1の髪留め具の斜視図である。
図10図1の髪留め具が開き構成または拡張構成を取っている際の図1の髪留め具の別の斜視図である。
図11図1の髪留め具の分解図である。
図12図1の髪留め具のコネクターの内側構造を示す概略図である。
図13】本発明の第2の実施形態に係る髪留め具の使用のためのコネクターを示す図である。
図14】本発明の第2の実施形態に係る髪留め具の使用のためのコネクターを示す別の図である。
図15】本発明の第2の実施形態に係る髪留め具の使用のためのコネクターを示す別の図である。
図16】本発明の第2の実施形態に係る髪留め具の使用のためのコネクターを示す別の図である。
図17】本発明の第2の実施形態に係る髪留め具の使用のためのコネクターを示す別の図である。
図18図13~17のコネクターを含む第2実施形態を概略的に示す図である。なお、髪留め具は、閉じ構成を取っている。
図19図18の髪留め具を概略的に示す図である。なお、髪留め具は、図18の閉じ構成と図20の開き構成の間の構成を取っている。
図20図18の髪留め具を概略的に示す図である。なお、髪留め具は、開き構成または拡張構成を取っている。
図21】本発明に係る髪留め具の第3実施形態の分解図である。
図22図21の髪留め具の斜視図である。なお、髪留め具は、閉じ構成または初期構成を取っている。
図23図21の髪留め具の側面図である。
図24図21の髪留めの側面図である。なお、髪留め具は、開き構成または拡張構成を取っている。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、髪留めデバイスに関し、以下の実施例によって本発明が記述および説明される。
【0027】
本発明に係る髪留め具(hair fastener)の第1実施形態(「2」の符号が付されている)が、図1~11に示されている。例えば、図1は、髪留め具2が、上側爪部材4と、下側爪部材6と、コネクター8と、を有していることを示している。なお、本明細書において、「上側」および「下側」、「後方」および「前方」、「上向きに対向している」および「下向きに対向している」、「右側」および「左側」等の文言は、髪留め具における相対的な位置を示すものであり、髪留め具が特定の配置で傾かねばならないことを意味する限定ではない。図1および図2において、髪留め具2は、閉じ構成または初期構成を取っている。
【0028】
上側爪部材(または第1の爪部材)4は、後方部分10aと、接合部分(または、中間部分)10bと、前方部分10cと、を有している。同様に、下側爪部材(または第2の爪部材)6は、後方部分12aと、接合部分(または、中間部分)12bと、前方部分12cと、を有している。上側および下側爪部材4、6は、コネクター8によって、結合部分10b、12bにおいて互いに接続されている。本実施形態において、爪部材4、6のそれぞれは、自身の後方から前方に向かって延伸する3つの指部14を有している。図1および図2は、爪部材4、6が互い違いに並ぶ指部14によって互いに押し付け合うように閉じている初期構成にあり、噛み合う配置となっていることを示している。
【0029】
また、図1~6は、コネクター8が長尺または楕円外形を有しており、さらに、図3中の矢印A<――――――>A’によって示されているように、爪部材4、6の結合部分10b、12bにまたがるよう側方に延伸している。
【0030】
図1、2、5、6、および11は、爪部材4、6の結合部分10b、12bが、爪部材4、6上に形成された一対のリム(周縁)18a、18bによって規定された長尺の楕円形状の開口16a、16bを有していることを示している。図面に示されているように、長尺ブロックの形状を取るコネクター8は、互いに反対側(上方に対向する側と下方に対向する側)に形成された周縁溝20a、20bを有するよう構成されている。爪部材4、6のリム18a、18bおよびコネクター(長尺ブロック)8の溝20a、20bは、溝20a、20bがそれぞれ、リム18a、18bと相補うよう(complementarily)フィットするようなサイズおよび形状とされている。長尺ブロック8の互いに反対側に設けられた部分は、開口16a、16bを介して、結合部分10b12bにおいて、爪部材4、6から突出している。換言すれば、コネクター8は、髪留め具2の6面図全てにおいて基本的に見えるようになっている。特に、コネクター8の突出部分は、髪留め具2を上側または下側から見たときに、視認可能となっている。例えば、図1~6および図10を参照されたし。
【0031】
上側および下側爪部材4、6(または、髪留めの向きによっては、右側および左側爪部材)は、好ましくは、ABS、PP、HIPS、GPPS、PE、ナイロン、ポリカーボネート、K-resin、アセチル、アセタール、酢酸セルロース、PVC、PET、およびPLAから構成されるグループから選択される材料によって形成されている。コネクター(長尺ブロック)8は、シリコーンを含んでいてもよく、または、主としてシリコーン、若しくはシリコーンのみから形成されていてもよい。これら材料候補の特定の組み合わせは、接触時の心地良さ、構造的耐久性、および視覚的な美感を含む所望の物理的特性のバランスを提供し得る。主として高分子材料によって形成され、金属部品を全く含まない髪留め具2によって、まとめられるべき髪が、可動部または金属部品(例えば、金属またはバネヒンジ等)に引っかかってしまう(絡まってしまう)可能性が、完全にではないが、最小化される。
【0032】
本実施形態において、コネクター(長尺ブロック)8は、後方部分10a、12aから外側に向いている後方面24と、前方部分10c、12cと対向する前方面26と、を規定している。コネクター(長尺ブロック)8は、前方面26において、少なくとも前方面26から視認可能な複数の切り抜き領域28を有するよう構成されており、これにより、前方面26において、コネクター(長尺ブロック)8は、魚のエラに似た形状となっている。エラ構造は、前方面26におけるコネクター(長尺ブロック)8の密度を低下させ、これにより、コネクター(長尺ブロック)8がヒンジ機構として機能することを可能としている。密度が低下させられたコネクター(長尺ブロック)8は、コネクター(長尺ブロック)8の強度および密度の差異を提供し、これにより、爪部材4、6が、操作部(後方部分10a、12a)の動作の間に、より容易に互いに離間するよう広げられることを可能としている。さらに、コネクター(長尺ブロック)8の復元力は、爪部材4、6が互いに初期状態へ動き、閉じることにより、髪をその間で保持することを可能とするのに十分なだけ大きい。図9~11は、コネクター8のエラ構造を、より詳細に示している。特に、コネクター8に配置および規定された複数のトンネル状の構造が存在している。複数のトンネル状構造は、互いに対向し、全体として平行な壁部のペアによって、該壁部のペアの間に規定されている。閉じ構成または初期構成において、壁部は弛緩状態になる。図1-2、5-6、および11-12、特に、図11を参照されたい。開き構成または拡張構成において、壁部は、引き延ばされた状態にある。図9-10を参照されたい。
【0033】
上述のような髪留め具2は、第1の射出成型により、第1の爪部材4および第2の爪部材6を形成し、その後、第2の、一工程の、射出成型によりコネクター8を形成することにより製造され得る。爪部材4、6およびコネクター8が形成された後、コネクター8を、協働する一対の爪部材4、6の結合部分10b、12bの間に配置し、相補的なリム18a、18bにおいて固定された溝20a、20bにより、これらが組み立てられる。その後、コネクター8が、ヒートシーリングまたは接着剤によって、リム18a、18bに固定的に接続されることになる。代替的に、一対の爪部材4、6が、金型内に配置され、コネクター8が、金型内で形成されてもよい。すなわち、この場合、コネクター8の形成と、コネクター8の爪部材4、6への接続が同時に一工程で実行される。このような製造方法は、製造工程の数を減らせることができ、さらに、金属部品を用いないことから、コストを劇的に低下させることができる。
【0034】
例えば、図5および図6は、閉じ構成または初期構成にある髪留め具2を示している。したがって、コネクター8は、圧縮されていない構成または初期構成にある。図9および図10は、開き構成または拡張構成にある髪留め具2を示している。使用の際、操作部または後方部分10a、12aを共に押圧または近づけることにより、髪留め具2が開かれる。後方部分10a、12aが互いに近づくので、コネクター8の後方領域が圧縮され、両側から押される一方、コネクター8の前方領域が引き延ばされる。コネクター8のエラ構造によって、前方部分の密度および強度が低下しており、爪部材4、6の前方部分10c、12cを開く際に、より容易に前方部分を引き延ばすことが可能となっている。操作部(後方部分10a、12a)に対する押圧が解除され、操作部(後方部分10a、12a)が開放されると、コネクター8の復元力が、爪部材4、6を共に元に戻すように引っ張り、髪留め具2を、初期状態に戻し、これにより、爪部材4、6の間に位置する髪を保持することができる。
【0035】
本発明の第2実施形態に係る髪留め具102が、図13~20に示されている。第1実施形態および第2実施形態は、説明の簡潔さのために記述されない複数の一般的な特徴を共有している。以下の議論は、相違部分に焦点を当てている。
【0036】
髪留め具2と同様に、髪留め具102は、コネクター108を有している。図13~16を参照されたし。コネクター108は、同様に、髪留め具102から外側に向いている後方面を備える後方領域124と、前方部分110c、112cと対向する前方領域126と、を有するよう構成されている。しかしながら、前方面126には、切り抜き領域を設ける代わりに、複数のテンションケーブル128が設けられている点で相違する。図13図14、および図16はそれぞれ、コネクター108の正面図、側面図、および斜視図を示しており、複数のテンションケーブル128の外形を示している。複数のテンションケーブル128は、コネクター108の互いに対向する端部から延伸している。複数のテンションケーブル128と後方領域124との間にはクリアランス(間隙、離間距離)が設けられている。
【0037】
図18は、コネクター108を含み、初期構成または閉じ構成を取っている髪留め具102の斜視図、側面図、および概略図を示している。この構成において、コネクター108は、如何なる圧力または負荷も受けておらず、一対の爪部材が閉じられており、爪部材の指部が相補うように(互い違いに)配置されている。この初期状態において、複数のテンションケーブル128は、髪爪部材が互いに近接するように保持している。このような初期状態において、使用の際に、髪の束が、一対の髪爪部材の間で保持され得ることは想定可能であろう。
【0038】
同様に、図20は、完全に開かれた構成または拡張構成を取っている髪留め具102の斜視図、側面図、および概略図を示している。この構成において、髪留め具102の一対の操作部が押圧され、互いに近づけられており、これにより、一対の髪爪部材を互いに離間するよう動かしている。図面から見て取れるように、複数のテンションケーブル128が引っ張られ、引き延ばされている。この開き状態において、複数のテンションケーブル128に負荷がかかっている。このような開き状態において、使用の際に、一対の爪部材が、髪の束の周りに位置し、髪の束から離間していることは想定可能であろう。
【0039】
図19は、同様に、閉じ構成と開き構成との間の構成を取っている髪留め具102の斜視図、側面図、および概略図を示している。この状態において、複数のテンションケーブル128は、半引き延ばし状態にあり、一対の髪爪部材は、複数のテンションケーブル128からのテンション(張力)を受けており、互いに近づくように付勢されている。
【0040】
本実施形態において、コネクターの前方に4つのテンションケーブル128が均等に設けられている。このようなテンションケーブル128の使用は、いくつかの点で有利である。例えば、テンションケーブル128の数や厚さを変更することにより、複数のテンションケーブル128による付勢力を調整することができ、そのため、より高い設計の自由度を可能とすることができる。例えば、異なる閉じ力を有する一連の髪爪を設けてもよい。さらに、複数のテンションケーブル128は、コネクター108の後方領域から区別され、離間されているので、複数のテンションケーブル128は独立して動作可能であり、そのため、髪爪部材の開閉に、より効果的に影響を与えることができる。
【0041】
本発明の第3実施形態に係る髪留め具202が、図21~24に示されている。第2実施形態および第3実施形態は、説明の簡潔さのために記述されない複数の一般的な特徴を共有している。以下の議論は、相違部分に焦点を当てている。
【0042】
同様に、髪留め具202は、コネクター208を有している。しかしながら、ワンピース構造(一体構造)または射出成型法の一工程で形成される代わりに、コネクター208は、3ピース構造から構成されている。具体的には、コネクター208は、トップピース208bと、ボトムピース208aと、トップピース208bとボトムピース208aとの間に位置するセンターピース208cと、から形成されている。トップピース208bおよびセンターピース208cは、共に、上側周縁溝を規定しており、ボトムピース208aおよびセンターピース208cは、共に、下側周縁溝を規定している。トップピース208bおよびボトムピース208aは、センターピース208cに固定的に接続されており、そのため、センターピース208cと共に、第1の爪部材および第2の爪部材を挟み込み、固定している。
【0043】
明確性のために別々の実施形態の文脈において記述された本発明の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて設けられていてもよいことは理解されるべきである。逆に、簡潔さのため、単一の実施形態の文脈において記述された本発明の様々な特徴は、別々に設けられてもよいし、任意の好適なサブコンビネーションにおいて設けられていてもよい。本発明の特定の特徴が、非限定的な実施例によって示されたことに留意されたい。また、本分野における当業者であれば、簡潔さのために上の記述において説明されなかった従来技術を知ることができるであろう。
図1
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