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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】開閉用溝蓋
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/06 20060101AFI20220616BHJP
【FI】
E03F5/06 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019214369
(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公開番号】P2021085207
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2021-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】392035499
【氏名又は名称】石田鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079050
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 憲秋
(74)【代理人】
【識別番号】100201879
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 大輝
(72)【発明者】
【氏名】石田 昭三
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3111879(JP,U)
【文献】特開2005-299254(JP,A)
【文献】特開2002-180530(JP,A)
【文献】特開2009-191533(JP,A)
【文献】特開2007-002605(JP,A)
【文献】登録実用新案第3111223(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋本体が受枠の一端側に開閉自在に軸支される溝蓋であって、
前記蓋本体の開放側には、前記蓋本体の開放側端板部材から突出または埋入するかんぬき部材と、前記かんぬき部材に接続されて前記蓋本体の開閉操作を可能とする把手部とを有する蓋側係合部材が設けられ、
前記かんぬき部材の突出時に前記受枠の開放側端壁部の内側に突設された枠側係止部に前記かんぬき部材が係合されて前記蓋本体を開放不能とするとともに、前記把手部の後退により前記かんぬき部材が前記開放側端板部材側に埋入されて前記枠側係止部との係合状態が解除されて前記蓋本体が開放可能となる
ことを特徴とする開閉用溝蓋。
【請求項2】
前記蓋側係合部材が前記かんぬき部材を常時突出方向へ付勢する付勢部材を有する請求項1に記載の開閉用溝蓋。
【請求項3】
前記かんぬき部材の先端の下面側に斜面または曲面からなる押込部が形成されている請求項2に記載の開閉用溝蓋。
【請求項4】
前記蓋側係合部材が、前記かんぬき部材を突出位置で保持するかんぬき保持部を有する請求項1に記載の開閉用溝蓋。
【請求項5】
前記蓋本体の開放側に設けられた板状の設置部の裏面側に前記蓋側係合部材が固設されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の開閉用溝蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋本体が受枠の一端側に開閉自在に軸支される開閉用溝蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
側溝や横断溝等の排水溝の溝開口には、溝部内部への落ち葉やゴミ等の異物の進入を抑制するために、グレーチングと称される溝蓋が配設される。この種の溝蓋では、水路等の溝内の点検や清掃、雪の多い地域では雪捨て及び水流変更等のために、溝内に固定される受枠に対し蓋部材が軸部を介して開閉自在に構成され、開閉作業を容易に行うことができるものが多用されている。この溝蓋は、強度及び耐久性の要請から重量のある金属製が一般的であることから、開閉作業を容易に行えるようにするために、蓋本体に該蓋本体を持ち上げ開閉可能にする把手部が設けられている。
【0003】
この溝蓋は、例えば、交通量が多い場所や重量車が頻繁に通行する場所等で長い年月にわたって使用されると、溝蓋の固定箇所にガタツキが生じたり、さらには飛び跳ねてしまう等の危険性がある。そこで、把手部に、常時上方に付勢する付勢部材と、受枠に係合する係合レバーとが設けられ、係合レバーが蓋本体閉鎖時には付勢部材の付勢力によって受枠に係合し固定されるとともに開放時に付勢部材の付勢力に抗して把手部を押し下げ回動して受枠との係合を解除して蓋本体裏部に持ち上げ可能に係合される開閉用溝蓋が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このような開閉用溝蓋では、跳ね上げ防止とともに簡易な開閉操作を可能とする機能性を確保しながら、コストの低減や設置現場での作業性の向上等のために更なる構造の簡素化及び操作性の向上を図ることが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-163895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであり、構造の簡素化を図りながら、効果的に跳ね上げを防止するとともに操作性を向上させて簡易な開閉操作を可能とした開閉用溝蓋を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、請求項1の発明は、蓋本体が受枠の一端側に開閉自在に軸支される溝蓋であって、前記蓋本体の開放側には、前記蓋本体の開放側端板部材から突出または埋入するかんぬき部材と、前記かんぬき部材に接続されて前記蓋本体の開閉操作を可能とする把手部とを有する蓋側係合部材が設けられ、前記かんぬき部材の突出時に前記受枠の開放側端壁部の内側に突設された枠側係止部に前記かんぬき部材が係合されて前記蓋本体を開放不能とするとともに、前記把手部の後退により前記かんぬき部材が前記開放側端板部材側に埋入されて前記枠側係止部との係合状態が解除されて前記蓋本体が開放可能となることを特徴とする開閉用溝蓋に係る。
【0008】
請求項2の発明は、前記蓋側係合部材が前記かんぬき部材を常時突出方向へ付勢する付勢部材を有する請求項1に記載の開閉用溝蓋係る。
【0009】
請求項3の発明は、前記かんぬき部材の先端の下面側に斜面または曲面からなる押込部が形成されている請求項2に記載の開閉用溝蓋に係る。
【0010】
請求項4の発明は、前記蓋側係合部材が、前記かんぬき部材を突出位置で保持するかんぬき保持部を有する請求項1に記載の開閉用溝蓋に係る。
【0011】
請求項5の発明は、前記蓋本体の開放側に設けられた板状の設置部の裏面側に前記蓋側係合部材が固設されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の開閉用溝蓋に係る。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明に係る開閉用溝蓋は、蓋本体が受枠の一端側に開閉自在に軸支される溝蓋であって、前記蓋本体の開放側には、前記蓋本体の開放側端板部材から突出または埋入するかんぬき部材と、前記かんぬき部材に接続されて前記蓋本体の開閉操作を可能とする把手部とを有する蓋側係合部材が設けられ、前記かんぬき部材の突出時に前記受枠の開放側端壁部の内側に突設された枠側係止部に前記かんぬき部材が係合されて前記蓋本体を開放不能とするとともに、前記把手部の後退により前記かんぬき部材が前記開放側端板部材側に埋入されて前記枠側係止部との係合状態が解除されて前記蓋本体が開放可能となるため、構造を簡素化しながら、効果的な跳ね上げ防止が可能であり、操作性も向上して開閉操作を簡易に行うことができる。
【0013】
請求項2の発明に係る開閉用溝蓋は、請求項1において、前記蓋側係合部材が前記かんぬき部材を常時突出方向へ付勢する付勢部材を有するため、枠側係止部とかんぬき部材との不用意な係合解除を回避することができる。
【0014】
請求項3の発明に係る開閉用溝蓋は、請求項2において、前記かんぬき部材の先端の下面側に斜面または曲面からなる押込部が形成されているため、閉鎖操作に際して自動的にかんぬき部材を枠側係止部に係合させることができる。
【0015】
請求項4の発明に係る開閉用溝蓋は、請求項1において、前記蓋側係合部材が、前記かんぬき部材を突出位置で保持するかんぬき保持部を有するため、枠側係止部とかんぬき部材との不用意な係合解除を回避することができる。
【0016】
請求項5の発明に係る開閉用溝蓋は、請求項1ないし4において、前記蓋本体の開放側に設けられた板状の設置部の裏面側に前記蓋側係合部材が固設されているため、蓋本体を開放方向へ持ち上げやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施例に係る開閉用溝蓋の上面図である。
図2図1の開閉用溝蓋の蓋側係合部材近傍の開放操作時の要部断面図である。
図3図1の開閉用溝蓋の蓋側係合部材近傍の閉鎖操作時の要部断面図である。
図4】蓋本体の回転軸部近傍の要部断面図である。
図5】他の実施例に係る蓋側係合部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示す開閉用溝蓋1は、側溝や横断溝等の排水溝の溝開口に設置されて点検や清掃等のために開閉可能に構成された溝蓋であって、蓋本体20が受枠10の一端側に開閉自在に軸支される。本発明の開閉用溝蓋1は、蓋本体20の開放側に蓋側係合部材30が設けられ、該蓋側係合部材30の操作により蓋本体20が開放不能または開放可能となるように構成される。
【0019】
受枠10は、排水溝の溝開口に設置されて後述の蓋本体20が装着される部材である。この受枠10は、図1に示すように、対向配置された一対の端壁部12,12の両端にそれぞれ側壁部13,13が架設された枠本体11と、枠本体11の下部から内側に延設されて蓋本体20が載置される蓋載置部14と、枠本体11の開放側端壁部12aの内側に突設された枠側係止部15とを備える。枠側係止部15は、後述の蓋側係合部材との係合が可能であれば形状は特に限定されないが、構造の簡素化等の観点から、例えば図2,3に示すように、板状部材であることが好ましい。なお、図1において、符号16は各側壁部13,13の一側(回転軸側)の端部近傍に形成された軸受部である。
【0020】
蓋本体20は、排水溝等への落ち葉やゴミ等の進入を抑制するための金属製の蓋体であって、一般にグレーチングと称され、歩道・軽荷重溝蓋、横断・側溝溝蓋、U字溝溝蓋、ピット溝蓋、ます蓋等、各種の名称の溝蓋を含む。この蓋本体20は、図1に示すように、対向配置された一対の側板部材21,21の両端に端板部材22,22が架設され、各側板部材21,21間に複数本並設された主部材(ベアリングバー)23と、主部材23に複数本交差して格子状に固定される補強部材(クロスバー)24とを有し、一側に受枠10の軸受部16に回動自在に軸支される回動軸部25が形成されるとともに、他側(開放側)に蓋側係合部材30が設けられている。
【0021】
主部材23は、蓋本体20の強度を保持する部材であり、断面形状がI字状、Y字状、T字状、矩形状、逆台形状等の様々な形状で構成される。主部材23の上面には、必要に応じて、滑り止めのための凹凸面等のノンスリップ加工が施される。また、固定部材24は、主部材23を補強する部材であり、丸棒、ツイストバー(ねじり鋼)、クロスパイプ等の棒状部材で構成される。
【0022】
回動軸部25は、蓋本体20の開閉時に回動軸となる部材である。この回動軸部25は、受枠10の軸受部16に回動自在に軸支可能な構造であれば特に形状等は限定されない。また、回動軸部25では、図4に示すように、開放補助部材27によって蓋開放時の蓋本体20の荷重を低減することがこのましい。開放補助部材27は、コイルばね等からなり、回動軸部25の軸棒26に巻着されて蓋本体20を開放方向に付勢する。図1,4において、符号25aはボルト等からなる回動軸部25の軸固定部材、27a,27bは開放補助部材27のばね脚部、28はばね脚部27bが係着されるばね係着部である。
【0023】
蓋側係合部材30は、蓋本体の回動軸部25と反対側の開放側に設けられて蓋本体20の開閉操作を可能とする部材であって、図2,3に示すように、かんぬき部材31と、把手部35とを有する。図において、符号40はかんぬき部材31を進退方向に直進可能に収容し保持する箱状のかんぬき収容部材である。
【0024】
かんぬき部材31は、蓋本体20の開放側端板部材22aの開口部22bから突出または埋入する棒状部材である。このかんぬき部材31は、円柱状や角柱状等の適宜の棒形状で構成される。また、図示の例では、かんぬき部材31の先端の下面側に押込部32が形成されている。押込部32は、かんぬき部材31の先端側ほど縮小するように形成された斜面または曲面からなる部位である。
【0025】
把手部35は、かんぬき部材31に接続されて蓋本体20の開閉操作とともに、かんぬき部材31の進退操作を可能とする部材である。把手部35は、開閉操作及び進退操作が可能な形状であれば特に限定されないが、図示の例では、かんぬき収容部材40の外部に配置されて操作時に把持される握り部36と、かんぬき収容部材40を貫通してかんぬき部材31と握り部36とを接続するロッド部37とで構成された平面視略T字状の部材からなる。
【0026】
また、蓋側係合部材30は、図2,3に示すように、かんぬき部材31を常時突出方向へ付勢する付勢部材Sを有する。付勢部材Sとしては、公知のコイルばね等が好適に使用される。図示の例では、かんぬき部材31の後部とかんぬき収容部材40の内側後部との間に付勢部材Sが配置される。
【0027】
蓋側係合部材30は、図1~3に示すように、蓋本体20の開放側に設けられた板状の設置部50の裏面側に固設される。板状の設置部50は、蓋本体20の複数の主部材23,23間に架設されて、蓋本体20と蓋側係合部材30とを強固に固定する部材である。板状の設置部50に蓋側係合部材30が固設されることにより、蓋側係合部材30の把手部35を把持して蓋本体20を開放方向へ持ち上げやすくなる。
【0028】
上記蓋側係合部材30では、かんぬき部材31の突出時に受枠10の枠側係止部15にかんぬき部材31が係合されて蓋本体20を開放不能とする(図2(a)参照)とともに、把手部35の後退によりかんぬき部材31が開放側端板部材22a側に埋入されて枠側係止部15との係合状態が解除されて、蓋本体20が開放可能となる(図2(b)参照)ように構成される。
【0029】
ここで、図2,3を用いて、本発明の開閉用溝蓋1の開閉操作について詳細に説明する。まず、図2(a)は、蓋本体20の閉鎖状態である。閉鎖状態では、受枠10上に蓋本体20が載置されて、蓋本体20の開放側端板部材22aから突出したかんぬき部材31が、受枠10の開放側端壁部12aの内側に突設された枠側係止部15の下面側に対して係合されて、蓋本体20の開放方向への回動が妨げられる。従って、受枠10に載置された蓋本体20が蓋本体20が開放不能な閉鎖状態となり、跳ね上がりを効果的に防止することができる。また、開閉用溝蓋1では、かんぬき部材31が付勢部材Sにより常時突出方向に付勢されて突出位置で保持されるため、枠側係止部15とかんぬき部材31との係合状態が不用意に解除されなくなり、閉鎖状態を保持することができる。
【0030】
次に、蓋本体20の開放操作を行う場合、上記閉鎖状態から、図2(b)に示すように、把手部35を後退方向へ引くことにより、かんぬき部材31が付勢部材Sの付勢力に抗して後退されて、開放側端板部材22a側に埋入される。これにより、枠側係止部15とかんぬき部材31との係合状態が解除され、蓋本体20が開放可能状態、すなわち蓋本体20が受枠10に載置されただけの状態となる。
【0031】
上記開放可能状態から、図2(c)に示すように、把手部35の握り部36が把持され上方(開放方向)へ持ち上げられることにより、蓋本体20が回動軸部25を回転軸として回動されて、開放状態となる。この時、図4に示すように、回動軸部25の開放補助部材27により、蓋本体20が開放方向へ付勢されているため、蓋本体20の閉鎖方向への荷重が軽減されて開放方向へ持ち上げやすくなる。また、蓋側係合部材30が板状の設置部50の裏面側に固設されているため、把手部35を開放方向へ持ち上げる際の安定性が向上して蓋本体20を開放しやすくなる。
【0032】
続いて、蓋本体20の閉鎖操作を行う場合、図3(a)に示す蓋本体20の開放状態から、蓋本体20が回動軸部25を回転軸として閉鎖方向に回動される。この開放状態では、図示のように、かんぬき部材31が付勢部材Sの付勢力により開放側端板部材22aから突出されて、突出位置で保持された状態であってもよい。
【0033】
蓋本体20が閉鎖方向へ回動されると、図3(b)に示すように、受枠10の開放側端壁部12aの内側に突設された枠側係止部15の上部側にかんぬき部材31の先端に形成された押込部32が当接される。その際、蓋本体20の自重により閉鎖方向への荷重が作用するため、かんぬき部材31が付勢部材Sの付勢力に抗して後退方向へ押し込まれるように作動される。このかんぬき部材31の後退方向への作動に伴って蓋本体20の閉鎖方向への回動は継続される。
【0034】
そして、かんぬき部材31の先端が枠側係止部15より後方側となるまで押し込まれると、枠側係止部15とかんぬき部材31の押込部32との当接が解除され、図3(c)に示すように、蓋本体20が受枠10上に載置される。この時、後退方向へ押し込まれていたかんぬき部材31は、付勢部材Sの付勢力により開放側端板部材22aから突出され、突出位置で保持されて枠側係止部15と係合される。すなわち、かんぬき部材31は、蓋本体20の閉鎖方向への回動に伴って枠側係止部15を乗り越えるように作動される。従って、蓋本体20では、閉鎖操作に際して自動的にかんぬき部材31を枠側係止部15に係合させることができる。
【0035】
このように、本発明の開閉用溝蓋1は、受枠10に枠側係止部15が形成されるとともに、蓋本体20の開放側にかんぬき部材31と把手部35とを有する蓋側係合部材30が設けられ、蓋側係合部材30の把手部35を後退方向へ引いて持ち上げる操作だけで、蓋本体20の開放を行うことができる。また、蓋本体20の閉鎖操作に際しては、かんぬき部材31が付勢部材Sにより常時突出方向へ付勢され、かつ、かんぬき部材31の先端側に押込部32が形成されていることにより、蓋本体20を閉鎖方向へ回動させるだけでかんぬき部材31が枠側係止部15に自動的に係合させて開放不能な閉鎖状態を保持することできる。従って、従来と比較して構造が簡素化されながら、効果的に跳ね上げを防止することができ、操作性も向上して開閉操作を簡易に行うことができる。
【0036】
なお、本発明の開閉用溝蓋は、前述の実施例のみに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の一部を適宜に変更して実施することができる。例えば、前述の実施例では、蓋側係合部材のかんぬき部材が付勢部材により常時突出方向に付勢する構成としたが、付勢部材を装着しないように構成することも可能である。
【0037】
付勢部材が装着されない蓋側係合部材としては、蓋本体の閉鎖状態に際して、かんぬき部材と枠側係止部との係合状態を保持することが可能であれば、構造等は特に限定されない。例えば、図5に示す蓋側係合部材30Aのように、かんぬき部材31Aを突出位置で保持するかんぬき保持部41を有することが好ましい。図5において、前述の実施例と同一の符号は同一の構成を表すものとして説明を省略する。
【0038】
蓋側係合部材30Aでは、略円柱状のかんぬき部材31Aに外側へ突出した枝部33が形成され、かんぬき部材31Aを軸回転可能に収容する略円筒状のかんぬき収容部材40Aの表面にかんぬき部材31Aの枝部33が摺動可能な貫通溝からなるかんぬき保持部41が形成されている。このかんぬき保持部41は、かんぬき部材31Aの進退方向に延設された進退溝部42と、進退溝部42の前進側端部にその直交方向に連設された保持溝部43とを有する。
【0039】
図5(a)に示す蓋側係合部材30Aは、かんぬき部材31Aの後退時の状態である。かんぬき部材31Aの後退時では、枝部33がかんぬき保持部41の進退溝部42の後退側端部に当接されて、後退方向への移動が規制されている。次に、図5(b)に示すように、把手部35を前進方向へ押し込む操作をすることにより、かんぬき部材31Aの枝部33が進退溝部42を前進方向へ摺動して、かんぬき部材31Aが突出される。その際、枝部33がかんぬき保持部41の進退溝部42の前進側端部に当接されることにより、前進方向への移動が規制されて、かんぬき部材31Aの突出が停止される。
【0040】
続いて、図5(c)に示すように、把手部35をかんぬき保持部41の保持溝部43方向に軸回転させる操作をすることにより、かんぬき部材31Aが枝部33とともに軸回転されて、枝部33が保持溝部43に係合される。これにより、突出状態でのかんぬき部材31Aの進退方向の移動が規制されるため、かんぬき部材31Aを突出位置で適切に保持することができる。従って、枠側係止部とかんぬき部材との不用意な係合解除を回避することができる。
【0041】
そこで、蓋側係合部材30Aによる閉鎖操作では、蓋本体の開放時に把手部35を後退操作してかんぬき部材31Aを後退(埋入)させたまま蓋本体を受枠上に載置させ、把手部35を前進方向へ押し込んでかんぬき部材31Aを突出させた後、軸回転の操作をして保持溝部43に枝部33を係合させることにより、かんぬき部材31Aを枠側係止部に係合させて保持することができる。また、蓋側係合部材30Aによる開放操作では、把手部35を軸回転させて枝部33と保持溝部43の係合を解除した後、後退方向へ引く操作をすることにより、かんぬき部材31Aと枠側係止部との係合状態を解除することができる。従って、蓋本体の開閉操作を簡易に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上のとおり、本発明の開閉用溝蓋は、構造が簡素化されるとともに、効果的な跳ね上げ防止及び簡易な開閉操作が可能である。従って、従来の開閉用溝蓋の代替として極めて有望である。
【符号の説明】
【0043】
1 開閉用溝蓋
10 受枠
11 枠本体
12 端壁部
12a 開放側端壁部
13 側壁部
14 蓋載置部
15 枠側係止部
16 軸受部
20 蓋本体
21 側板部材
22 端板部材
22a 開放側端板部材
22b 開放側端板部材の開口部
23 主部材
24 補強部材
25 回動軸部
25a 軸固定部材
26 軸棒
27 開放補助部材
27a,27b ばね脚部
28 ばね係着部
30,30A 蓋側係合部材
31,31A かんぬき部材
32 押込部
33 枝部
35 把手部
36 握り部
37 ロッド部
40,40A かんぬき収容部材
41 かんぬき保持部
42 進退溝部
43 保持溝部
50 板状の設置部
S 付勢部材
図1
図2
図3
図4
図5