(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】真空掃除機用の掃除ヘッド
(51)【国際特許分類】
A47L 9/02 20060101AFI20220616BHJP
A47L 9/24 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
A47L9/02 Z
A47L9/24 Z
(21)【出願番号】P 2019514127
(86)(22)【出願日】2017-09-26
(86)【国際出願番号】 GB2017052867
(87)【国際公開番号】W WO2018060684
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-09-28
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512037358
【氏名又は名称】グレイ テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ナイト アダムス,ジャック
(72)【発明者】
【氏名】エクスリー,ロス
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-103547(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/02、9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空掃除機(2)用の掃除ヘッド(10)であって、回転可能ジョイント(20)及び枢動可能ジョイント(22)を備えるステアリングジョイントを有し、前記回転可能ジョイント(20)が、回転不能区域(26)及び回転可能区域(24)を有し、前記回転可能ジョイント(20)が前記回転不能区域と前記回転可能区域との間にあり、
前記枢動可能ジョイント(22)により、前記回転可能区域(24)が、前記掃除ヘッドの残りの部分に対して第1の枢動位置(I)と第2の枢動位置との間で枢動できるようになっており、前記第2の枢動位置は、前記第1の枢動位置(I)とは異なる位置にあり、前記掃除ヘッドが、前記回転可能区域(24)の第1の部分(50)によって係合可能な第1の保持領域(52)を有し、
前記第1の枢動位置(I)において、前記回転可能区域(24)の前記第1の部分(50)が、前記第1の保持領域(52)と係合し、前記回転可能区域(24)の回転を阻止し、前記掃除ヘッドが、前記回転可能区域(24)の第2の部分(50)によって係合可能な第2の保持領域(54)を有し、
前記第2の枢動位置において、前記回転可能区域(24)の前記第2の部分(50)が、前記第2の保持領域(54)と係合し、前記回転可能区域(24)の回転を阻止し、前記第1の枢動位置(I)及び前記第2の枢動位置以外の枢動位置においては、前記回転可能区域(24)の前記第1の部分(50)及び前記回転可能区域(24)の前記第2の部分(50)が前記第1の保持領域(52)及び前記第2の保持領域(54)と係合しないため、前記回転可能区域(24)の回転を阻止しない、掃除ヘッド(10)。
【請求項2】
前記回転可能区域の前記第1の部分と前記回転可能区域の前記第2の部分とが、前記回転可能区域(24)において離間配置されている、請求項1に記載の掃除ヘッド(1)。
【請求項3】
前記回転不能区域(26)が、枢動可能ジョイント(22)の一部を提供する、請求項1または2に記載の掃除ヘッド(10)。
【請求項4】
先端部(56)、終端部、及び、前記先端部と前記終端部との間の重心を有し、前記枢動可能ジョイント(22)が前記重心と前記終端部との間に位置する、請求項1~3のうちいずれか一項に記載の掃除ヘッド(10)。
【請求項5】
前記第1の枢動位置(I)が、上方向への前記回転可能区域(24)の枢動運動の限度である、請求項1~4のうちいずれか一項に記載の掃除ヘッド(10)。
【請求項6】
前記第2の枢動位置が、下方向への前記回転可能区域(24)の枢動運動の限度である、請求項1~5のうちいずれか一項に記載の掃除ヘッド(10)。
【請求項7】
ソールプレート(30)を有し、前記回転可能区域(24)が、長手方向軸線(A-A)を有する接続部分(14)を有し、前記長手方向軸線(A-A)が前記ソールプレート(30)と実質的に垂直であるとき、前記回転可能区域の前記第1の部分(50)と前記第1の保持領域(52)とが係合する、請求項1~6のうちいずれか一項に記載の掃除ヘッド(10)。
【請求項8】
前記回転可能区域(24)が、
上部長手方向軸を持つ上部(32)及び
下部長手方向軸を持つ下部(34)を有し、上部
長手方向軸が下部
長手方向軸に対して角度を付けられている、請求項1~7のうちいずれか一項に記載の掃除ヘッド(10)。
【請求項9】
前記回転可能区域(24)及び前記回転不能区域(26)が管状であり、ごみ及び屑が通過できる導管の部分を提供する、請求項1~8のうちいずれか一項に記載の掃除ヘッド(10)。
【請求項10】
前記第1の保持領域(52)と前記回転可能区域の前記第1の部分、及び/又は前記第2の保持領域(54)と前記回転可能区域の前記第2の部分が摩擦係合によって協働する、請求項1~9のうちいずれか一項に記載の掃除ヘッド(10)。
【請求項11】
前記回転可能区域の前記第1の部分が湾曲しており、前記第1の保持領域(52)が、前記回転可能区域の前記第1の部分の前記湾曲と適合するように湾曲し、前記回転可能区域の前記第2の部分が湾曲しており、前記第2の保持領域(54)が、前記回転可能区域の前記第2の部分の前記湾曲と適合するように湾曲している、請求項10に記載の掃除ヘッド(10)。
【請求項12】
前記回転可能区域の前記第1の部分及び前記回転可能区域の前記第2の部分が、前記回転可能区域(24)のカラー(50)のそれぞれの部分である、請求項1~11のうちいずれか一項に記載の掃除ヘッド(10)。
【請求項13】
前記カラー(50)が、前記回転可能区域(24)のスリーブの端部に位置する、請求項12に記載の掃除ヘッド(10)。
【請求項14】
前記スリーブが、前記回転不能区域(26)の一部を取り囲む、請求項13に記載の掃除ヘッド(10)。
【請求項15】
前記スリーブが、前記回転可能ジョイント(20)を取り囲む、請求項13又は14に記載の掃除ヘッド(10)。
【請求項16】
前記カラー(50)が、前記回転可能ジョイント(20)と前記枢動可能ジョイント(22)の枢軸との間に位置する、請求項12~15のうちいずれか一項に記載の掃除ヘッド(10)。
【請求項17】
前記第1の保持領域(52)及び前記第2の保持領域(54)が、前記掃除ヘッド(10)の胴部のそれぞれの部分である、請求項1~16のうちいずれか一項に記載の掃除ヘッド(10)。
【請求項18】
前記第1の保持領域(52)が、前記掃除ヘッド(10)の上部の一部を形成するハウジング構成要素によって提供される、請求項17に記載の掃除ヘッド(10)。
【請求項19】
前記第2の保持領域(54)が、前記掃除ヘッド(10)の底部の一部を形成するハウジング構成要素によって提供される、請求項17又は18に記載の掃除ヘッド(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空掃除機用の掃除ヘッド(「吸引ヘッド」と呼ばれることもある)に関し、特に、掃除ヘッドによって具備されるブラシを回転させるためのモータを有する真空掃除機用の掃除ヘッドに関する。
【0002】
以下の記載では、「上方」、「下方」、「上部」等の方向及び向きを示す用語は、
図1及び他の図に表すように、実質的に水平な表面上での通常の使用向きにおける掃除ヘッドに関するものである。しかし、掃除ヘッドを他の向きで使用することもできることを理解されたい。
【背景技術】
【0003】
大抵の真空掃除機には掃除ヘッドが取り付けられており、掃除ヘッドを通って、空気並びにそれに同伴するごみ及び屑が集塵室に向かう。掃除ヘッドは、掃除すべき表面に被さる又は接触するように適合されたソールプレートを有し、ソールプレートは、空気及びそれに同伴するごみが通過することができる開口部を有する。通常、集塵室は、取外し可能な容器を含み、取外し可能な容器は、場合によっては使い捨ての袋を備え又は含み、使い捨ての袋にごみが収集されて、後で廃棄される。
【0004】
真空掃除機は、コード式でも電池式でもよく、3つの全般的なクラスに分類される。直立型真空掃除機は、通常は真空掃除機の胴部に一体化された掃除ヘッドを有し、真空掃除機の胴部は集塵室を含む。他方、シリンダ型真空掃除機は、ある長さの可撓性ホースによって真空掃除機の胴部に接続されている掃除ヘッドを有する。シリンダ型真空掃除機を用いるとき、掃除ヘッドは、集塵室を含む胴部を動かす必要もなく、掃除する表面にわたって移動することができる。
【0005】
直立型及びシリンダ型真空掃除機は、使用中、床又は地面に当接するように設計されており、使用者によって床又は地面にわたって移動される。真空掃除機の第3の全般的なクラスは、手持ち式真空掃除機を含み、手持ち式真空掃除機は、使用者が持ち運びながら使用できるように適合されている。大抵の手持ち式真空掃除機は、電池式である。
【0006】
特定のタイプの手持ち式真空掃除機は、「スティック型真空掃除機」と呼ばれることもあり、スティック型真空掃除機の例を
図1~
図3に示す。スティック型真空掃除機は、使用者が握るためのハンドルを備える胴部を有する。通常、胴部は、電池、モータ、インペラ、及び集塵室を含む。胴部は、(実質的に)剛性の管によって掃除ヘッドに接続されており、この管は、(例えば)使用者が立った姿勢で真空掃除機の胴部を持ちながら掃除ヘッドを使用して床を掃除することができるように十分に長い。通常、剛性管及び掃除ヘッドは、他の掃除操作を可能にするために胴部から取外し可能である。
【0007】
通常、シリンダ型真空掃除機の掃除ヘッドも、(実質的に)剛性の管に接続されており、その管が可撓性ホースを掃除ヘッドに接続する。この剛性管は、掃除する表面にわたって使用者が掃除ヘッドを移動させることができるハンドル部分を提供し、この管の剛性により、使用者は、掃除ヘッドからの快適な距離で(例えば立った姿勢で、床と接触している掃除ヘッドを使用しながら)管のハンドル部分を保持することができる。
【0008】
スティック型真空掃除機及びシリンダ型真空掃除機の掃除ヘッドの特徴は、これらの掃除機が通常、使用者が床にわたって掃除ヘッドを操舵できるようにするステアリングジョイントを提供することである。実際には、スティック型真空掃除機の掃除ヘッド及び剛性管は、シリンダ型真空掃除機のそれらの構成要素と交換可能であり得る。
【0009】
本発明は、本来、スティック型真空掃除機用に設計されたものであるが、シリンダ型真空掃除機にも適用可能である(他の用途にも使用可能である)。簡潔にするために、以下の記載では、特に指示がない限りスティック型真空掃除機に言及する。
【0010】
スティック型真空掃除機の掃除ヘッドは床掃除に適合されているが、他の(水平及び水平でない)表面を掃除するために使用することもできる。床掃除のための使用を容易にするために、掃除ヘッドは通常、カーペット及び敷物等を掃除するための構成と木やタイル等の硬い床面の掃除に適した構成との間で調節可能である。一般に、必要に応じて及び必要なときには、特定の領域を掃除するための追加のツールが設けられている。
【0011】
通常、掃除ヘッドは(剛性管と共に又は剛性管を伴わずに)取外し可能であり、使用者が掃除ヘッドを選択した追加のツールに交換できるようになっている。剛性管も取り外す場合には、この選択した追加のツールを胴部と直接接続することができる。
【0012】
通常、追加のツールへのステアリングジョイントの使用は必要なく又は望ましくなく、そのため、通常はステアリングジョイントに掃除ヘッドが設けられている。したがって、掃除ヘッドを取り外すとき、ステアリングジョイントも取り外される。
【0013】
使用中、真空掃除機の胴部の位置及び向きが変わるときに、掃除ヘッドのソールプレートが床と接触し続けていることが望ましい。したがって、一般に、掃除ヘッドは、剛性管に対して枢動することができ、それにより、ソールプレートは、使用中に(例えば)真空掃除機の胴部が上下されるときに水平な向きを維持することができる。
【0014】
操舵は、真空掃除機の胴部を回転させ、それによって剛性管をねじることによって実現される。ステアリングジョイントは、掃除ヘッドの胴部に取り付けられた回転不能区域、及び剛性管に接続された(又は接続可能である)回転可能区域を有する。回転可能ジョイントは、これらの区域どうしの相対回転を可能にする。回転可能区域は、回転可能ジョイント又はその上方で湾曲されており又は角度を付けられており、回転可能ジョイントと角度付きの回転可能区域との組合せにより、ステアリングジョイントは、剛性管のねじれ動作に応じて掃除ヘッドに方向を変えさせることが可能になる。通常、真空掃除機のステアリング機構又はステアリングジョイントは、以下で詳細に述べるような回転可能ジョイント及び枢動可能ジョイントを含み、以下の記載では、「ステアリングジョイント」という用語は、回転可能ジョイント及び枢動可能ジョイントを含めたジョイントを表す。
【0015】
しかし、ステアリングジョイントは、特にスティック型真空掃除機の非使用期間中(その期間中、使用者が胴部を保持していない)には不利であることが多い。通常、スティック型真空掃除機は、床上に掃除ヘッドがあり、胴部が壁等にもたれ掛かった状態で、概して直立姿勢で保管される。スティック型真空掃除機は、その姿勢では上部が重く、比較的不安定であり、真空掃除機のバランスをうまく取らないと、ステアリングジョイントにより胴部が掃除ヘッドに対して回転して、壁に沿って滑り落ちてしまうことが多い。胴部がかなり重いため、胴部が床に向けて落ちる際に、壁、真空掃除機、さらには、胴部が衝突する家具及び他の物品を損壊する恐れがある。
【0016】
大抵の使用者はこの問題に気付いており、長期の保管中には、通常は胴部を押し当てて、胴部が容易に壁に沿って滑り落ちることがないようにする。しかし、そのような配置は、短期の非使用期間中、例えば掃除操作中に家具又は他の物品を動かしている間には利用できない場合が多い。短期の非使用期間中でも、特に用心深い使用者は、スティック型真空掃除機の胴部を床に下ろして寝かせるか、又は別の方法で胴部を適切な表面に配置して安定させることがある。しかし、他の使用者は真空掃除機を壁に立て掛け、そのような使用により真空掃除機が壁に沿って滑り落ちて、損壊の可能性が高まることがよくあることが認識されている。
【0017】
シリンダ型真空掃除機の掃除ヘッドのステアリングジョイントも同様の問題を生じ、短期の非使用期間中には剛性管及び可撓性管が壁に立て掛けられることが多い。そのような位置ではステアリングジョイントが剛性管及び可撓性管を不安定にするが、剛性管と可撓性管の合計の重量は、スティック型真空掃除機の胴部の重量よりもかなり小さく、一般に、剛性管及び可撓性ホースが壁に沿って滑り落ちる影響はそれほど大きくない。
【0018】
使用していないときには掃除ヘッドを適切な位置に実質的に固定したいという一般的な望みが、シリンダ型真空掃除機の製造者には認識されている。したがって、シリンダ型真空掃除機の掃除ヘッドの多くは、係止メカニズムを有し、非使用時には掃除ヘッドをシリンダ型真空掃除機の胴部に固定すること又は剛性管に対して適切な位置に固定することを可能にする。特に、シリンダ型真空掃除機の掃除ヘッドは通常、しばしば雄型/雌型クリップ要素を用いて真空掃除機の胴部に格納される。しかし、通常、短期の非使用期間中には、非常に用心深い使用者しかクリップ要素を使用せず、そのような配置は、スティック型真空掃除機での使用には適さない。
【0019】
真空掃除機の掃除効率を改善するために、掃除ヘッドに回転ブラシを取り付けることが知られており、ブラシは、ソールプレートの開口部を通って突き出ている。このブラシの毛が、カーペット又は他の床面に絡んでごみ及び屑を機械的に掻き出し、通り抜ける空気流中にごみ及び屑が同伴されるように支援する。多くの掃除ヘッドでは、ブラシは電気的に動作され、掃除ヘッドは、ブラシに接続されたモータを有する。スティック型真空掃除機では、モータ用の電力が、剛性管に沿って通る電気ワイヤによって胴部内の電池から伝送される。
【0020】
剛性管が掃除ヘッドのほぼ中央に接続される、すなわち、それにより掃除ヘッドが(使用者から見て)ほぼ等しい距離だけ剛性管から左右に突き出ていることが望ましい。掃除ヘッドを通る空気流路をモータが塞ぐのを避けるために、通常、モータは中心線からずれている。通常、モータは、掃除ヘッドの構成要素の中で最も重く、中心線からずれたモータ位置により掃除ヘッドの重心も中心線からずれ、特に回転可能ジョイントの回転軸からずれる。真空掃除機を床又は他の実質的に水平な表面上で使用している間は、このずれた重量は大きな問題ではないが、掃除ヘッドが表面から持ち上げられるとき、通常、掃除ヘッドのずれた重量により、掃除ヘッドが回転可能ジョイントの周りでねじれてしまう。掃除ヘッドの制御不能なねじれは、特に、掃除ヘッドが繰り返しかつ頻繁に表面から持ち上げられる階段等の領域の掃除の際、使用者にとって扱いにくく、使用しづらくなり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明者らは、上述の問題を軽減又は回避し、それによって使用者がより良い掃除体験を得られることを追求している。特に、本発明者らは、非使用期間中の真空掃除機の安定性を高めること、及び掃除ヘッドが掃除する表面から持ち上げられるときに掃除ヘッドの制御不能なねじれ運動を最小限にすることを追求している。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の第1の態様によれば、真空掃除機用の掃除ヘッドであって、ステアリングジョイントを有し、ステアリングジョイントが、回転不能区域及び回転可能区域を有し、回転可能ジョイントが回転不能区域と回転可能区域との間にあり、掃除ヘッドが、回転可能区域の第1の部分によって係合可能な第1の保持領域を有し、第1の保持領域と回転可能区域の第1の部分とが共同して、回転可能区域の相対回転を阻止し、掃除ヘッドが、回転可能区域の第2の部分によって係合可能な第2の保持領域を有し、第2の保持領域と回転可能区域の第2の部分とが、回転可能区域の回転を阻止する、掃除ヘッドが提供される。
【0023】
好ましくは、第1の部分と第2の部分とは、回転可能区域に離間配置されている。そのような実施形態では、回転可能区域の第1の部分と第1の保持領域との係合、及び回転可能区域の第2の部分と第2の保持領域との係合は完全に独立していてよい。これにより、第1の部分と第1の保持領域とが相互係合するかどうか又は第2の部分と第2の保持領域とが相互係合するかどうかに依存して、掃除ヘッドに対する回転可能区域の向きを変える必要性がなくなる。第1の保持領域と第1の部分とは、既知の掃除ヘッドと同様に構成することができ、第1の位置又は保管位置において回転可能部分に対して掃除ヘッドを固定する。しかし、第2の保持領域と第2の部分とは追加的なものであり、掃除ヘッドが第2の位置(第2の位置は第1の位置とは異なる)にあるときに相対回転を阻止(好ましくは防止)するように働く。
【0024】
ステアリングジョイントは、枢動可能ジョイントを含む。好ましくは、回転不能区域は、枢動可能ジョイントの一部を提供する。また、好ましくは、回転可能部分は、上部及び下部を有し、上部が下部に対して湾曲されている又は角度を付けられている。
【0025】
ステアリングジョイントの回転可能部分及び回転不能部分は、管状であることが好ましく、掃除ヘッドから集塵室までごみ及び屑が通過する導管の部分を提供する。
【0026】
好ましくは、枢動可能ジョイントは、掃除ヘッドの後方、特に掃除ヘッドの重心の後方に位置する。そのような配置により、掃除ヘッドは、持ち上げられたときに重力の影響下で剛性管に対して下方向に枢動する。好ましくは、掃除ヘッドの下方向への枢動運動が、第2の部分と第2の保持領域とを係合させるように構成される。したがって、掃除ヘッドが持ち上げられるたびに、相互係合が自動的に生じ得る。この自動的な相互係合、及びその結果生じる相対ねじれ運動に対する抵抗により、使用者にとって扱いにくさが大幅に軽減される。
【0027】
第1の保持領域と第1の部分、及び/又は第2の保持領域と第2の部分は、摩擦係合によって、及び/又は物理的な戻り止めメカニズム(例えば、1つ又は複数の相互係合する歯)によって協働することができる。
【0028】
望ましくは、第1の部分及び第2の部分は、回転可能区域のカラーのそれぞれの部分であり、カラーは好ましくは連続している。したがって、回転不能区域に対する回転可能区域の回転は、望みのときに、このカラーと第1又は第2の保持領域との相互係合によって阻止又は防止される。
【0029】
既知のステアリングジョイントと同様に、回転可能区域の上部は通常、剛性管と位置合わせされる(又は位置合わせ可能である)。また、既知のステアリングジョイントと同様に、枢動可能ジョイントの枢軸は、掃除ヘッドの先端部と実質的に平行であり、通常の使用向きでは実質的に水平である。本発明の特徴は、掃除ヘッドが持ち上げられるとき、枢軸が、その実質的に水平な向きを保つことができ、それによって掃除ヘッドを掃除する表面(又は別の表面)上に容易に置き直すことができることである。
【0030】
好ましくは、回転可能区域は、回転可能ジョイントを越えて、すなわち回転可能ジョイントで終端せずに延在している。望ましくは、回転可能区域は、回転不能区域の一部を取り囲むスリーブを有する。また、望ましくは、スリーブの端部にカラーが位置している。そのような配置により、回転可能区域の第1の部分及び第2の部分が、掃除ヘッドのハウジングに隣接して位置し、ハウジングのそれぞれの部分によって提供される第1及び第2の保持領域にさらに容易に係合することができる。また、そのような配置により、カラーを回転可能ジョイントと枢動可能ジョイントの枢軸との間に位置させることができる。
【0031】
望ましくは、第1の保持領域及び第2の保持領域は、掃除ヘッドの胴部のそれぞれの部分である。好ましくは、第1の保持領域は、掃除ヘッドの上部を形成するハウジング部分の一部であり、第2の保持領域は、掃除ヘッドの底部を形成するハウジング部分の一部である。
【0032】
本発明の第2の態様によれば、真空掃除機用の掃除ヘッドであって、ステアリングジョイントを含み、ステアリングジョイントが、回転不能区域及び回転可能区域を備える回転可能ジョイントを含み、回転可能区域が、掃除ヘッドの凹部と係合可能なカラーを有し、凹部とカラーとが、掃除ヘッドが保管状態にあるときに回転不能区域に対する回転可能区域の回転を阻止するように係合可能である、真空掃除機用の掃除ヘッドが提供される。
【0033】
この第2の態様による本発明は、掃除する表面から離れるように持ち上げられるときに掃除ヘッドの向きを一体となって維持する第2の保持領域及び回転可能区域の第2の部分の特徴を共有してはいない。そうではなく、この第2の態様は、ステアリングジョイントの望ましくない回転を阻止するように掃除ヘッドを形成することを対象にしており、これは、非使用期間(長期又は短期)中に特に有益である。
【0034】
上で説明したように、本発明による掃除ヘッドが使用されないとき、ステアリングジョイントが真空掃除機を不安定にする。非使用期間中に転倒しないように真空掃除機を十分に安定させることが望ましい。真空掃除機を安定させるために、ステアリングジョイントが係止される必要はないが、ステアリングジョイントの望ましくない回転を阻止するいくつかの手段が有益である。本発明者らは、真空掃除機の不安定性が主に回転可能ジョイントに起因し、保管中の相対回転を低減又は防止することによって真空掃除機の安定性を大幅に高めることができるということに気付いた。特に、回転可能区域の回転を低減又は防止することによって、本発明者らは、(大面積の)掃除ヘッドが床に当接することによって提供される相対的な安定性を利用する。
【0035】
好ましくは、掃除ヘッドの胴部の上壁に凹部が形成される。また、好ましくは、凹部とカラーとの摩擦係合がある。カラーと凹部との相互係合は自動的に生じ得て、回転可能区域が掃除ヘッドに対して保管位置に移動されるとすぐに、カラーが凹部と係合する。
【0036】
凹部とカラーとは、回転不能区域に対して回転可能区域を適切な位置に係止するほど十分に相互係合する必要はない;そうではなく、本発明のこの態様では、非使用期間中、ステアリングジョイントでの相対回転を十分に阻止し、回転可能区域を安定させることが望ましい。
【0037】
また、ステアリングジョイントは、枢動可能ジョイントも含む;望ましくは、回転不能区域は、枢動可能ジョイントの一部を提供する。また、望ましくは、掃除ヘッドは、使用中に掃除する表面と平行であるソールプレートを有する。好ましくは、回転不能区域は、ソールプレートと実質的に平行な枢軸の周りで枢動可能である。
【0038】
好ましくは、回転可能区域は、回転可能ジョイントを越えて、すなわち回転可能ジョイントで終端せずに延在している。望ましくは、回転可能区域は、回転不能区域の一部を取り囲むスリーブを有する。また、望ましくは、スリーブ端部にカラーが位置している。好ましくは、カラーは、回転可能ジョイントと枢軸との間に位置している。
【0039】
本発明の両態様の好ましい実施形態では、ステアリングジョイントは掃除ヘッドの一体部分であるが、いくつかの実施形態では、ステアリングジョイントのいくつか又は全ての構成要素が掃除ヘッドから取外し可能であり得ることが考えられる。
【0040】
本発明の一態様の好ましくかつ望ましい特徴は、それらの特徴が適する本発明の他の態様において利用することもできる。
【0041】
ここで、本発明を、添付図面を参照して例としてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】使用位置における、本発明による掃除ヘッドを有するスティック型真空掃除機の斜視図である。
【
図2】保管位置における
図1のスティック型真空掃除機の斜視図である。
【
図3】保管位置におけるスティック型真空掃除機の側面図である。
【
図4】
図1のスティック型真空掃除機の掃除ヘッドの斜視図である。
【
図5】
図4の掃除ヘッドの側面図であって、ステアリングジョイントの回転可能区域が、掃除ヘッドに対する利用可能な枢動位置のうちの3箇所に点線の輪郭で示されている図である。
【
図6】
図4の掃除ヘッドの平面図であって、回転可能区域が、掃除ヘッドに対する利用可能な枢動位置のうちの2箇所に点線の輪郭で示されている図である。
【
図7】回転可能区域がその保管位置又は直立位置にある状態での掃除ヘッドの側面図である。
【
図8】
図7の保管位置において掃除ヘッドを通る断面図である。
【
図9】回転可能区域が動作位置にある状態での掃除ヘッドの側面図である。
【
図10】
図8の動作位置における掃除ヘッドを通る断面図である。
【
図11】別の動作位置における回転可能区域の背面図である。
【
図12】表面から持ち上げられた位置における掃除ヘッドの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
スティック型真空掃除機2は、使用者が握るためのハンドル6を有する胴部4を備える。通常、この胴部は、電池、モータ、インペラ(図示せず)、及び集塵室8を含む。胴部4は、(実質的に)剛性の管12によって掃除ヘッド10に接続されており、この管12は、(例えば)使用者が立った姿勢で胴部を持ちながら掃除ヘッドを使用して床を掃除することができるように十分に長い。既知の様式では、通常、剛性管12及び掃除ヘッド10は、他の掃除操作を可能にするために胴部4から取外し可能である。
【0044】
図4に示すように、掃除ヘッド10は、接続部分14を有する。接続部分14は、掃除ヘッド10を剛性管12に解放可能に接続することを可能にする。スティック型真空掃除機では、使用者による剛性管12からの掃除ヘッド10の分離が必要ない又は望ましくないことがあり、そのような場合、剛性管12は、接続部分14に恒久的に接続されていてよい。シリンダ型真空掃除機では、剛性管12が可撓性ホース(図示せず)と恒久的に接続されていることが望ましいことがあり、その場合、使用者は、望みのときに、剛性管12を接続部分14から分離することによって掃除ヘッド10を取り外すことができる。
【0045】
他の実施形態では、剛性管12は、既知の様式で(伸縮自在に)延在可能でよい。
【0046】
掃除ヘッド10は、回転可能ジョイント20及び枢動可能ジョイント22を備えるステアリングジョイントを有する(
図8を参照)。回転可能ジョイント20は、回転可能区域24及び回転不能区域26を備えている。回転可能区域24は、接続部分14を含み、したがって既知の様式で剛性管12及び真空掃除機2の胴部4と共に回転する(ねじれる)ことができる。回転可能区域24は、回転可能ジョイント20によって回転不能区域26に接続されており、回転不能区域26に対して回転可能である。回転可能区域24と回転不能区域26との間の回転可能ジョイントの正確な形状は、本発明には重要でない。回転可能ジョイント20は、360°回転を可能にすることがあり又は望みであれば360°未満の回転を可能にすることがある。
【0047】
回転不能区域26は、枢動可能ジョイント22によって掃除ヘッド10の残りの部分に枢動可能に取り付けられる。枢動可能ジョイントの詳細も、本発明には重要でない。
【0048】
図5に示すように、枢動可能ジョイント22は、回転不能区域26に関する、したがってまた回転可能区域24に関する(及び接続された剛性管12に関する)広い枢動範囲を可能にする。具体的には、回転可能区域24は、位置Iに示すように接続部分14の軸線A-Aが実質的に垂直である第1の(保管又は直立)位置と、2つの動作位置II及びIIIとの間で枢動することができる。
【0049】
図6に示すように、回転可能ジョイント20は、回転可能区域24に関する(及び接続された剛性管12に関する)広い回転範囲を可能にする。具体的には、回転可能区域24は、2つの動作位置IVとVの間で回転することができる。特に、
図7及び
図8からわかるように、回転可能区域24は、上部32及び下部34を備えており、上部32は、下部34に対して湾曲されている又は角度を付けられている。したがって、接続部分14は、軸線A-Aの周りを時計回りに回転することにより、位置Vから位置IVに移動し、逆もまた同様である(この相対回転は、位置IVとVでの管コネクタ18の異なる相対位置から最も明瞭に見られる)。
【0050】
先行技術の多くの真空掃除機と同様に、剛性管12は実質的に直線状であり、(取り付けられた)管の軸線は、接続部分14の軸線A-Aと実質的に平行であることを理解されたい。また、使用者がハンドル6によって胴部4を回転させ又はねじり、それにより剛性管12をその長手方向軸線の周りでねじり、これがさらに回転可能区域24を軸線A-Aの周りで回転させることによって、掃除ヘッド10が操舵されることも理解されたい。回転可能区域24が回転されるとき、掃除ヘッド10は、必要に応じて枢動可能ジョイント22の周りで枢動して、掃除ヘッド10のソールプレート30を掃除する表面と接触させて保つ。
【0051】
したがって、
図6の図示とは異なり、実際には、接続部分14は、使用者によって実質的に同じ場所に保持され、軸線A-Aの周りでのねじれ運動によって、望みの通りに掃除ヘッドの車輪36の方向が変わる。
【0052】
図8の断面図に示すように、多くの掃除ヘッドと同様に、ソールプレート30は、その先端部に開口部40を有する。この開口部を通ってブラシ42が突き出ており、このブラシは、カーペット又は他の床面(図示せず)と係合可能である。開口部40は、掃除ヘッド10内のチャンバに接続され、このチャンバは、掃除ヘッド内の短い可撓性ホース44に接続され、本実施形態における可撓性ホース44は、回転可能ジョイント20に隣接して終端している。可撓性ホース44は、ステアリングジョイントが回転及び枢動運動するにもかかわらず、掃除ヘッド10を通る漏れのない空気流を保証する助けとなる。
【0053】
ブラシ42はモータによって回転され、モータは、図では見えないが、掃除ヘッド10の部分46に位置している。重要なことに、モータは、掃除ヘッドの中心線から離れた位置にあり、そのため、モータが可撓性ホース44を妨げることはなく、したがって掃除ヘッドを通る空気流を遮ることもない。モータは、掃除ヘッドの構成要素の中で最も重く、モータのずれた位置により掃除ヘッド10の重量もずれている。特に、掃除ヘッドの重量は、回転軸A-Aからずれている。したがって、上述したように、本発明を用いない場合には、掃除ヘッド10が掃除する表面から持ち上げられて、剛性管12によって懸架されるとき、このずれた重量によって掃除ヘッドが回転軸A-Aの周りで制御不能にねじれてしまい、これは、使用者にとって扱いにくく、既知の掃除ヘッドを使いづらくしている。
【0054】
ステアリングジョイント20のさらなる詳細を
図8に示す。ステアリングジョイントの回転不能区域26は、可撓性ホース44を収容し、下端部46で終端している。図面には示していないが、下端部46は、実質的に水平な枢軸の周りで掃除ヘッド10の胴部に対して枢動するように取り付けられ、枢動可能ジョイント22を提供する。この枢動可能な接続は、下端部46がその長手方向軸線の周りで回転するのを防止し、下端部46及び回転不能部分26の残りの部分は、保管位置I(
図7及び
図8にも示す)並びに動作位置II及びIIIを含む様々な位置の間での枢動運動に制限される。
【0055】
回転不能区域26は管状であり、管状の下部34の内部に延在している。したがって、回転可能区域24は、回転可能ジョイント20で終端せず、回転可能ジョイント20を越えて(ソールプレート30に向かう方向に)続いている。特に、図示するように、下部34は、回転不能区域26の一部を取り囲むスリーブを含む。回転可能ジョイント20の詳細な構成は示しておらず、本発明には重要ではない。ただし、下部34、下部34に接続された上部32、及び接続部分14は全て、回転可能ジョイント20の周りで回転不能部分26に対して回転することができる。
【0056】
下部34(回転可能である)は、環状のカラー50で終端し、このカラー50は、ゴム等の高摩擦材料から成るカバーを有する。回転可能ジョイント20を越えて回転不能区域26を延在させることは、掃除ヘッド10の胴部に向かってカラー50を移動させ、以下で説明するような回転防止機能を容易に実現するという利点を有することを理解されたい。
【0057】
掃除ヘッド10の胴部の上壁は、カラー50を収容するように形作られた第1の保持領域52を有する。
図8で見られるように、剛性管12の第1の位置又は保管位置では、カラー50の第1の部分が、第1の保持領域52と係合している。この係合、及びカラー50の第1の部分と第1の保持領域52との相対摩擦は、掃除ヘッド10の胴部に対する回転可能区域24(及び接続される剛性管12)の回転を阻止するのに十分であり、したがって、保管位置では、掃除ヘッドが適切な位置で実質的に係止される。
【0058】
保管位置Iは、
図2及び
図3にも示してある。従来のスティック型真空掃除機では、ステアリングジョイントによって、図示するように剛性管が掃除ヘッドに対して(時計回り及び反時計回りに)回転することを理解されたい。非使用期間中、通常、真空掃除機は、胴部4を壁にもたせ掛けて保管される。
図2に湾曲した矢印で示すように、使用者は、壁に沿って滑り落ちないように胴部4のバランスが確実に取れているように注意しなければならない。
【0059】
他方、本発明を用いると、カラー50の第1の部分と第1の保持領域52との係合が、ステアリングジョイント20の回転を阻止する。このことによる効果は、掃除ヘッド10が接続部分14と共に回転することであり、したがって、
図2に湾曲した矢印で示すように真空掃除機の胴部4が壁に沿って滑り落ちる場合、掃除ヘッドは床に対して倒れる。床と接触する掃除ヘッド10の広い面積により、掃除ヘッド10が倒れにくくなるようにする広い底部が提供され、したがって、保管位置での真空掃除機2の安定性が大幅に高められる。
【0060】
ステアリングジョイントがその保管位置まで枢動されるとき、カラー50は凹部52と自動的に係合し、したがって回転可能区域24が相対回転を受けないことが自動的に保証されることを理解されたい。回転可能区域24の自動的な保定、言い換えるとステアリングジョイントの自動的な係止は、特に、スティック型真空掃除機のバランスが適切に取られていることの確認に使用者があまり気を配らないことがある短期間の非使用期間中に、大きな実用的な利益を有することを当業者は理解されよう。したがって、本発明の第2の態様は、掃除ヘッドのこの特徴及び上述の構造を対象とする。
【0061】
他方、本発明の第1の態様によれば、掃除ヘッド10は、さらなる利点を提供する。
図11で見られるように、掃除ヘッド10の胴部の底壁は、2つの第2の保持領域54を有する。第2の保持領域54は、(第1の保持領域52と同様に)どちらも円の一部の形状であるが、他の実施形態では、いくつかの個別の直線面を備えている。
【0062】
図11は、
図5に示す動作位置における掃除ヘッドを表す。
図5の保管位置Iにおいて、回転可能ジョイント20の周りでの相対回転が阻止又は防止される一方で、回転可能ジョイントは動作位置IIとIIIの両方に回転することができ、したがって、掃除ヘッド10を、それらの動作位置の両方に(並びに位置IとIIとの間及び位置IIとIIIとの間の全ての他の動作位置に)操舵することができることを理解されたい。
【0063】
したがって、
図11で見られるように、カラー50は第2の保持領域54から離間配置されており、(第1の保持領域52からも離間配置されているので)カラー50(したがって回転可能区域24)の相対回転は、その動作位置で阻止又は防止されない。
【0064】
図5に示す動作位置IIIは、動作位置の(時計回りの)限度、すなわち掃除ヘッド10を操舵することができる限度を表すものである。その動作位置では、カラー50と第2の保持領域54との間の隙間は非常に小さいが、それにもかかわらず、カラー50の相対回転は阻止又は防止されない。
【0065】
しかし、回転可能区域24は、動作位置IIIを越えて、
図12及び
図13に示す第2の位置へわずかに枢動することができる(
図9と
図12とを比較すると、
図12において、回転可能区域24が掃除ヘッド10の胴部に対してさらに時計回りにわずかに枢動されることが示されている)。
【0066】
この枢動可能ジョイント22は掃除ヘッドの重心からずれており、特に、この重心が掃除ヘッド10の先端部56と枢動可能ジョイント22との間にあることを理解されたい。したがって、既知の掃除ヘッドと同様に、掃除する表面60から離れるように掃除ヘッド10が持ち上げられるとき、掃除ヘッド10は、
図12に表すように落下する又は枢動可能ジョイント22の周りで下方向に枢動する。掃除ヘッド10は、表面60を離れる前に、動作位置IIIを越えて枢動して、
図12及び
図13の第2の位置に達する。その第2の(又は持上げ)位置では、
図13で見られるように、カラー50が第2の保持領域54と係合する。
【0067】
再度述べると、この相互係合は自動的に生じ、カラー50の第2の部分と第2の保持領域54との相対摩擦は、掃除ヘッド10に対する回転可能区域24の意図しない回転運動を十分に防止し、したがって、持上げ位置では、掃除ヘッド10が適切な位置で実質的に係止される。
【0068】
掃除ヘッド10の使用中、回転可能区域24は動作位置(動作位置II又はIII等)にあり、この動作位置では、カラー50は、回転不能部分26に対して実質的に自由に回転し、既知の様式で掃除ツール10を操舵することができる。しかし、掃除ヘッド10が表面60から持ち上げられるとき、掃除ヘッド10は、その重量により、その枢動可能ジョイント22の周りを(
図9に示すように反時計回りに)枢動して、
図12の位置に達する。
図12は、掃除ヘッド10が表面60から離れる直前の位置を表しており、その位置におけるカラー50の第2の部分と第2の保持領域54との相互係合が、剛性管12に対する掃除ヘッド10の望ましくない回転を防止することを理解されたい。掃除ヘッドが剛性管12によって懸架された状態で、その相互係合が維持され、望ましくない回転が防止される。
【0069】
重要なことに、枢動可能ジョイント22の枢軸は、
図9及び
図12の位置で実質的に水平を維持され、その後、掃除ヘッド10が表面60から持ち上げられるときに望ましくない回転が阻止されるので、その水平向きが維持されることを理解されたい。したがって、使用者は、表面60上又は掃除すべき別の表面上に掃除ヘッドを容易に置き直すことができ、掃除ヘッドの向きを変えたり、回転し直したりする必要がない。
【0070】
例えば、表面60から掃除ヘッド10を繰り返し持ち上げる必要がある階段の掃除の際、掃除ヘッドが1つの段から次の段に移動されるときに枢軸の水平向き、したがって掃除ヘッド10の回転向きを維持することができ、使用者は、掃除ヘッド10を新たな段に置くたびに掃除ヘッドを回転し直す必要はない。
【0071】
図中に示していないが、第1の保持領域(さらに、望みであれば第2の保持領域)は、戻り止め機構を含むことができ、それにより、掃除ヘッドが保管位置(さらに、望みであれば持上げ位置)にあるときに、より安定させることができる。
【0072】
代替実施形態では、第1の保持領域と第1の部分との相互係合及び/又は第2の保持領域と第2の部分との相互係合は、摩擦に依拠しない。そうではなく、協働する部分が、機械的な相互接続を提供するいくつかの噛み合う歯又は突起を備えて、保管位置及び持上げ位置における相対回転を阻止する。
【0073】
カラー50は、第1及び第2の保持領域に係合するための第1及び第2の部分を提供するために連続している必要はないことを理解されたい。同様に、下部34のスリーブが環状である必要もない。しかし、下部34及びスリーブが環状であり、カラー50が連続している実施形態が好ましい。