(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】ウエーブ形成可能のフラットカーテン装置
(51)【国際特許分類】
A47H 13/14 20060101AFI20220616BHJP
A47H 13/04 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
A47H13/14
A47H13/04
(21)【出願番号】P 2020099386
(22)【出願日】2020-06-08
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】392026833
【氏名又は名称】株式会社米澤物産
(74)【代理人】
【識別番号】100085246
【氏名又は名称】岡本 清一郎
(72)【発明者】
【氏名】酒井 宗蔵
【審査官】芝沼 隆太
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-034777(JP,A)
【文献】実開平6-77668(JP,U)
【文献】実公昭30-14090(JP,Y1)
【文献】実開平4-64287(JP,U)
【文献】実開昭63-161587(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47H 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラットカーテンの上端側の部分の後面部に、その延長方向に所要の取付け間隔で、カーテンレールに摺動可能に吊下されているランナーに掛着されるフックが設けられ、並設状態にある該フックの夫々の上部に沿って規制線状部材が配置されており、
該規制線状部材は、可撓性を有する線状部材に、並設状態にある前記フックの夫々の前記上部に対する取付け部が設けられており、該取付け部は、該上部に設けられた係止部に係合して該上部に固定状態に装着されるものであり、隣り合うフック相互が、該取付け部を介し前記線状部材によって連結されており、該連結状態での連結間隔が前記取付け間隔よりも小さく設定されており、又、全てのフックに取付けられた状態にある前記線状部材は、前記ランナーを介して前記カーテンレールに吊下された状態の前記フラットカーテンが閉じた状態で見て、該フラットカーテンの上縁よりも上側に位置することを特徴とするウエーブ形成可能のフラットカーテン装置。
【請求項2】
前記係止部は、前記フックの上端近傍で且つ前記フラットカーテンの前記後面部に寄せて設定された前記上部に、該フックの上面部で開口するように設けられ且つ入口部に抜け止めが設けられた保持溝を具えて構成されており、又前記取付け部は、前記フックをその下端からその上方に向けて挿入させ得るループ状片として構成されており、
前記線状部材が前記保持溝に収容され且つ該線状部材が前記抜け止めに係合して前記保持溝から離脱しない状態で、前記フックが挿入されてなる前記ループ状片が該フックの上部に位置し、且つ前記ループ状片が該フックに沿ってずり下がらないように前記線状部材で支持されることによって、該取付け部が、前記上部に固定状態に装着されることを特徴とする請求項1記載のウエーブ形成可能のフラットカーテン装置。
【請求項3】
前記線状部材が前記保持溝に収容され且つ該線状部材が前記抜け止めに係合して前記保持溝から離脱しない状態で、前記フックが挿入されてなる前記ループ状片が、該フックの前記上部に位置し、且つ該ループ状片が該フックに沿ってずり下がらないように前記線状部材で支持された状態で該ループ状片の下側部分を嵌め入れるための下係合溝部が、前記フックの下面部で開口するように設けられていることを特徴とする請求項2記載のウエーブ形成可能のフラットカーテン装置。
【請求項4】
前記係止部は、前記フックの上端近傍で且つ前記フラットカーテンの前記後面部に寄せて設定された前記上部に設けられた貫通孔部として構成されており、前記取付け部は、該貫通孔部に引っ掛けられる引っ掛け部材として構成されており、該引っ掛け部材が、該貫通孔部に引っ掛けられた状態で前記上部に固定状態に装着されることを特徴とする請求項1記載のウエーブ形成可能のフラットカーテン装置。
【請求項5】
前記係止部は、前記フックの上端近傍で且つ前記フラットカーテンの前記後面部に寄せて設定された前記上部に設けられてなる、軸線が水平状態の貫通孔部として構成されており、前記線状部材が該貫通孔部に挿通された状態で見て、該線状部材には、該貫通孔部の両外端の周縁部分と当接状態に係合する抜け止め凸部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のウエーブ形成可能のフラットカーテン装置。
【請求項6】
前記係止部は、前記フックの上端近傍で且つ前記フラットカーテンの前記後面部に寄せて設定された前記上部に、該フックの上面部で開口するように設けられ且つ入口部に抜け止めが設けられた保持溝を具えて構成されており、
前記規制線状部材は、並設状態にある前記フックの夫々の前記上部に沿って配置される可撓性を有するテープ状片又は紐状片としての前記線状部材に、該テープ状片又は該紐状片の長さ方向に長いスリット部が設けられ、該スリット部は前記取付け部を構成しており、該スリット部に、前記フックをその下端からその上方に向けて挿入させることができ、該スリット部の一方の側縁部分が、前記保持溝に嵌入した状態で、該スリット部の他方の側縁部分が、該フックの上端近傍で前記フックの下面部に当接することによって前記取付け部が前記上部に固定状態に装着されることを特徴とする請求項1記載のウエーブ形成可能のフラットカーテン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエーブ形成可能のフラットカーテン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーテンの上部に襞を設けないタイプのフラットカーテンの表側と裏側に交互に凹凸のウエーブ状襞を形成可能としたフラットカーテン装置の一例として、特許文献1記載のフラットカーテン装置が提供されている。該フラットカーテン装置は、カーテンの表側と裏側に交互に凹凸のウエーブ状襞を形成するために、ウエーブ振幅の略中央部の隣接点同士をカーテン生地の半波ウエーブ長さよりも短い所定の長さの紐体でランナー同士を結合するカーテン装置において、カーテン上端部のカーテンテープにカーテンレール長手方向に垂直なフック通し穴部を設けて、ウエーブの振幅の略中央部にて、穴部ピッチに対応した足部ピッチを有する吊り下げ用フックを装着した構成を有している。
【0003】
該フラットカーテン装置においては、フラットカーテンの表側と裏側に交互に凹凸のウエーブ状襞を形成可能とされているために、カーテン生地の半波ウエーブ長さよりも短い所定の長さの紐体でランナー同士を結合することが必須とされている。
【0004】
しかしながら、紐体でランナー同士を結合してなる該フラットカーテン装置によるときは、該紐体がカーテンレール内に収容されているために、カーテン開閉時に、該紐体がカーテンレールの内部で、たるんで垂れた状態となったり水平状態に延びた状態となる。そのため、該紐体がカーテンレールの内部でランナーに絡み付く恐れがあった。
【0005】
又、紐体でランナー同士を結合してなる該フラットカーテン装置を構成するカーテンレールは専用品であるために、フラットカーテンを用いて前記フラットカーテン装置を構成せんとするときは、専用のランナーだけでなくこれ専用のカーテンレールも用意しなければならない不経済があった。又、既設のカーテン装置を前記フラットカーテン装置に変更せんとするときは、前記専用のカーテンレールを取り付けるに先立って、既に取り付けられているカーテンレールを取り外さなければならず、手間のかかる面倒な作業工程を要する問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記従来の問題点に鑑みて開発されたものであり、フラットカーテンの表側と裏側に交互に見栄えのよい凹凸のウエーブ状襞を形成でき、しかも、既に取り付けられているカーテンレールをそのまま用いて経済的に構成できるウエーブ形成可能のフラットカーテン装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため本発明は以下の手段を採用する。
即ち、本発明に係るウエーブ形成可能のフラットカーテン装置の第1の態様は、フラットカーテンの上端側の部分の後面部に、その延長方向に所要の取付け間隔で、カーテンレールに摺動可能に吊下されているランナーに掛着されるフックが設けられ、並設状態にある該フックの夫々の上部に沿って規制線状部材が配置されている。該規制線状部材は、可撓性を有する線状部材に、並設状態にある前記フックの夫々の前記上部に対する取付け部が設けられており、該取付け部は、該上部に設けられた係止部に係合して該上部に固定状態に装着されるものであり、隣り合うフック相互が、該取付け部を介し前記線状部材によって連結されており、該連結状態での連結間隔が前記取付け間隔よりも小さく設定されている。又、全てのフックに取付けられた状態にある前記線状部材は、前記ランナーを介して前記カーテンレールに吊下された状態の前記フラットカーテンが閉じた状態で見て、該フラットカーテンの上縁よりも上側に位置することを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係るウエーブ形成可能のフラットカーテン装置の第2の態様は、前記第1の態様において、前記係止部は、前記フックの上端近傍で且つ前記フラットカーテンの前記後面部に寄せて設定された前記上部に、該フックの上面部で開口するように設けられ且つ入口部に抜け止めが設けられた保持溝を具えて構成されており、又前記取付け部は、前記フックをその下端からその上方に向けて挿入させ得るループ状片として構成されている。そして前記線状部材が前記保持溝に収容され且つ該線状部材が前記抜け止めに係合して前記保持溝から離脱しない状態で、前記フックが挿入されてなる前記ループ状片が該フックの上部に位置し、且つ前記ループ状片が該フックに沿ってずり下がらないように前記線状部材で支持されることによって、該取付け部が、前記上部に固定状態に装着されることを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係るウエーブ形成可能のフラットカーテン装置の第3の態様は、前記第2の態様において、前記線状部材が前記保持溝に収容され且つ該線状部材が前記抜け止めに係合して前記保持溝から離脱しない状態で、前記フックが挿入されてなる前記ループ状片が、該フックの前記上部に位置し、且つ該ループ状片が該フックに沿ってずり下がらないように前記線状部材で支持された状態で該ループ状片の下側部分を嵌め入れるための下係合溝部が、前記フックの下面部で開口するように設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係るウエーブ形成可能のフラットカーテン装置の第4の態様は、前記第1の態様において、前記係止部は、前記フックの上端近傍で且つ前記フラットカーテンの前記後面部に寄せて設定された前記上部に設けられた貫通孔部として構成されており、前記取付け部は、該貫通孔部に引っ掛けられる引っ掛け部材として構成されており、該引っ掛け部材が、該貫通孔部に引っ掛けられた状態で前記上部に固定状態に装着されることを特徴とするものである。
【0012】
本発明に係るウエーブ形成可能のフラットカーテン装置の第5の態様は、前記第1の態様において、前記係止部は、前記フックの上端近傍で且つ前記フラットカーテンの前記後面部に寄せて設定された前記上部に設けられてなる、軸線が水平状態の貫通孔部として構成されており、前記線状部材が該貫通孔部に挿通された状態で見て、該線状部材には、該貫通孔部の両外端の周縁部分と当接状態に係合する抜け止め凸部が設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
本発明に係るウエーブ形成可能のフラットカーテン装置の第6の態様は、前記第1の態様において、前記係止部は、前記フックの上端近傍で且つ前記フラットカーテンの前記後面部に寄せて設定された前記上部に、該フックの上面部で開口するように設けられ且つ入口部に抜け止めが設けられた保持溝を具えて構成されている。前記規制線状部材は、並設状態にある前記フックの夫々の前記上部に沿って配置される可撓性を有するテープ状片又は紐状片としての前記線状部材に、該テープ状片又は該紐状片の長さ方向に長いスリット部が設けられ、該スリット部は前記取付け部を構成しており、該スリット部に、前記フックをその下端からその上方に向けて挿入させることができ、該スリット部の一方の側縁部分が、前記保持溝に嵌入した状態で、該スリット部の他方の側縁部分が、該フックの上端近傍で前記フックの下面部に当接することによって前記取付け部が前記上部に固定状態に装着されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によるときは、フラットカーテンの表側と裏側に交互に見栄えのよい凹凸のウエーブ状襞を形成し得るウエーブ形成可能のフラットカーテン装置を提供できる。又本発明によるときは、既に取り付けられているカーテンレールをそのまま用いて経済的に構成できるウエーブ形成可能のフラットカーテン装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係るフラットカーテン装置を説明する斜視図である。
【
図3】フラットカーテンの上端側の部分の後面部を示す平面図である。
【
図4】線状部材に取付け部が所要間隔で設けられてなる規制線状部材を示す部分正面図と、該線状部材が装着されるフックを示す正面図と、フックに対する線状部材の装着状態を示す説明図である。
【
図5】フラットカーテンに形成されたウエーブ状襞の一例を説明する説明図である。
【
図6】規制線状部材に設けられているループ状片をフックに装着する作業工程を説明する説明図である。
【
図7】ループ状片を装着するための他の係止部を具えるフックを示す正面図と、該係止部にループ状片を装着した状態を示す説明図である。
【
図8】ループ状片を装着するためのその他の係止部を、該係止部にループ状片を装着した状態で示す説明図である。
【
図9】貫通孔としての係止部を具えるフックを示す部分正面図と、該貫通孔に引っ掛け部材を引っ掛けた状態を示す断面図である。
【
図10】貫通孔としての係止部を具えるフックの他の態様を示す部分正面図と、挿通線状部とその両端の抜け止め凸部とからなる取付け部を該貫通孔に装着した状態を示す説明図である。
【
図11】スリット部からなる取付け部を具える規制線状部材を示す部分正面図と、該スリット部を開いた状態を示す説明図と、該取付け部をフックの係止部に装着した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0016】
図1~5において本発明に係るウエーブ形成可能のフラットカーテン装置(以下、フラットカーテン装置ともいう)1は、フラットカーテン2(
図3)の上端側の部分3の後面部5に、その延長方向Fに所要の取付け間隔L1で、カーテンレール6(
図2)に摺動可能に吊下されているランナー7の吊環8に掛着されるフック9が設けられ、並設状態にある該フック9の夫々の上部10に沿って規制線状部材11が配置されている。該規制線状部材11は
図4(A)に示すように、可撓性を有する線状部材12に、並設状態にある前記フック9の夫々の前記上部10に対する取付け部13が設けられている。該取付け部13は、該上部10に設けられた係止部14に係合して該上部10に固定状態に装着されるものであり、
図1、
図5に示すように、該取付け部13を介し、隣り合うフック9,9相互が前記線状部材12によって連結されている。
図5においては便宜上、該取付け部13を黒丸で示している。そして、該連結状態での該フック9,9相互間の連結間隔L2(
図5)が前記取付け間隔L1(
図3)よりも小さく設定されている。
【0017】
本実施例においては、例えば、該取り付け間隔L1が150mmに設定されると共に該連結間隔L2が80mmに設定されている。従って本実施例においては、
図5に示すように、前記線状部材12において前記取付け部13が80mm間隔で設けられている。又、全てのフック9に取付けられた状態にある前記線状部材12は、前記フラットカーテン2が前記ランナー7を介して前記カーテンレール6に吊下された状態で見て、該フラットカーテン2の上縁15よりも上側に位置するものである(
図2)。以下、これを具体的に説明する。
【0018】
前記フラットカーテン2の前記上端側の部分3の前記後面部5には、
図3に示すように、上下対向する挿入部16,16の組が該上端側の部分3の延長方向に並設されている。前記フック9は本実施例においては
図1~2に示すように、上下の取付け片部17,19が前記上下の挿入部16,16に挿入されて該後面部5に取付けられる軸状部材20に、上から下に向けて係合状態でスライド可能に取付けられる。
【0019】
該フック9は本実施例においては
図1~2に示すように倒U字状を呈しており、前記軸状部材20の上下方向に設けられたラチェット歯列21とラチェット式に係合し得るスライド基部22に、立ち上がり部23の下端25が連結されている。又、該立ち上がり部23の上端26に、上方に凸の半円弧状屈曲部27の内方端29が連設され、該半円弧状屈曲部27の外方端30に立ち下がり部31が連設されている。
【0020】
図2において前記スライド基部22は、前記半円弧状屈曲部27が前記軸状部材20の上端32の上方に突出するように該軸状部材20に、前記スライドによる位置決めによって取り付けられている。
【0021】
該軸状部材20は、前記フラットカーテン2の後面部5(
図2)に、その延長方向に所要の前記取付け間隔L1(
図3)で取付けられる。該取付け間隔L1は、前記したように例えば150mmに設定されている。
【0022】
前記フック9の夫々の前記上部10に沿って配置されている前記規制線状部材11は、
図4に示すように、可撓性を有する前記線状部材12に、各フック9の前記上部10に対する前記取付け部13が設けられている。
【0023】
可撓性を有する該線状部材12は、紐状やテープ状を呈し、本実施例においては、2~2.5mm幅(例えば2mm幅)の可撓性テープ状片33として構成され、例えば編物製である。前記取付け部13は
図4(C)に示すように、前記上部10に設けられた係止部14(
図4(B))に係合して該上部10に固定状態に装着される。該取付け部13は本実施例においては
図4(A)に示すように、該可撓性テープ状片33の一方の側縁35で突出するように該側縁35に一連に且つ所要間隔(前記連結間隔L2)で突設されたループ状片36として構成されている。該ループ状片36の該側縁35からの突出量は例えば5mmに設定され、該ループ状片36の厚さは例えば0.5mmに設定されている。
【0024】
前記係止部14は、各フック9に同一の構成で設けられており、例えば
図4(B)に示すように、前記フック9の上端37の近傍で且つ前記フラットカーテン2の前記後面部5(
図2)に寄せて設けられ且つ、前記半円弧状屈曲部27の外面部65で開口する、入口部38に抜け止め39が設けられた保持溝40を具えて構成されている。該係止部14は本実施例においては、該保持溝40と、前記フック9の下面部(本実施例においては、前記フック9の前記半円弧状屈曲部27の内側円弧面部48a)48との間の部分51とによって構成されている。
【0025】
該保持溝40の溝深さは例えば2.6mmに設定される。又前記取付け部13である前記ループ状片36は、前記フック9をその下端41から挿入させることができる。具体的には、前記立下り部31に、その下端41から上方に向けて挿入させることができる。
【0026】
本実施例においては、該保持溝40の、前記後面部5(
図2)寄りの溝壁は、上方に突出する立片42として構成されている。該立片42の上端部分の内面には、内方に向けて、例えば断面三角形状の抜け止め凸部43が突設されており、該抜け止め凸部43が前記抜け止め39を構成している。なお該立片42の上端45の高さは、前記フック9を前記吊環8に引掛ける操作及び該フック9の引っ掛け状態に支障がないように設定されるものである。
【0027】
然して、前記フラットカーテン装置1を構成するに際しては、
図6に示すように、前記フラットカーテン2が前記カーテンレール6に取り付けられていない状態で、前記ループ状片36に前記フック9を、その下端41から挿入させ且つ該ループ状片36を、
図6に矢印で示すように、前記保持溝40が存する位置近傍にまで移動させる。この状態で前記可撓性テープ状片33を前記保持溝40に収容すると、該可撓性テープ状片33(前記線状部材12)が前記保持溝40の底部46で下方から支持されることとなる(
図4(B)(C))。これによって該ループ状片36が、前記フック9の前記立上り部23をずり下がらないように前記線状部材12で支持されることとなる。そして該線状部材12は、前記抜け止め39に係合して前記保持溝40から離脱しない。
【0028】
かかることから、該ループ状片36( 前記取付け部13)は、
図4(B)(C)に示すように、前記保持溝40と、前記フック9の下面部(本実施例においては、前記フック9の前記半円弧状屈曲部27の内側円弧面部48a)48との間51として構成された前記係止部14に係合状態となって、前記線状部材12で支持され、該支持状態が保持される。要するに、該取付け部13は、前記したように、前記フック9の上端近傍で且つ前記フラットカーテン2の前記後面部5(
図2)に寄せて設定された前記上部10に固定状態に装着されることとなるのである。このようにして前記規制線状部材11を全ての前記フック9の前記上部10に装着した後、これらのフック9を前記ランナー7の前記吊環8に掛着させると、前記フラットカーテン2を前記カーテンレール6に吊下できる(
図1)。
【0029】
然して、前記フラットカーテン2が閉じた状態では、
図5に示すように、該フラットカーテン2の表側と裏側に交互に見栄えのよい凹凸のウエーブ状襞50を形成できることとなる。その理由は、第1に、
図1~2に示すように、前記線状部材12が、該フラットカーテン2の上縁15よりも上側に位置することにより、該フラットカーテン2を閉じる際に前記線状部材12が該フラットカーテン2の該上縁15に接触するのを防止でき、該線状部材12が前記のウエーブ状襞の形成を阻害するのを防止できるからである。第2には、前記ループ状片36が前記フック9に固定状態となるので、該フック9,9相互間の間隔が前記線状部材12で所要に保持されるからである。
【0030】
前記したように本発明は、前記取付け部13を前記フック9の前記上部10に固定状態に装着できる構成であるため、該取付け部13(ループ状片36)の取付け位置を前記フック9の前記ランナーに対する掛着部46(
図1~2)に近づけることができる。かかることから、前記フラットカーテンの閉操作を、フック9,9相互間の間隔を所要に保持するフック間線状部材47(
図1、
図5)を順次緊張させながら軽快に行うことができる。
【0031】
又本発明に係るフラットカーテン装置1にあっては、並設状態にある該フック9の夫々の上部10に沿って規制線状部材11を配置しており、且つ、可撓性を有する前記線状部材12を、各フック9の前記上部10に固定状態に装着する構成を採用している。従って、紐体でランナー同士を結合してなる特許文献1に係るフラットカーテン装置のように、カーテン開閉時に紐状やテープ状を呈する該線状部材12が、たるんで垂れた状態となったり水平状態に延びた状態となっても、該線状部材12がカーテンレールの内部でランナーに絡み付くといった問題を生じさせない。
【0032】
又、本発明に係るフラットカーテン装置1は、紐体でランナー同士を結合してなる前記従来のフラットカーテン装置とは異なり、カーテンレール6に摺動可能に吊下されているランナー7に掛着される前記フック9の夫々の上部10に沿って配置される規制線状部材11の前記線状部材12によって、隣り合うフック9,9相互を連結している。かかることから、本発明によるときは、従来のフラットカーテン装置におけるような専用品のカーテンレールを用いる必要がなく、取り付けられているカーテンレールをそのまま用いてフラットカーテン装置を経済的に構成できる利点がある。
【実施例2】
【0033】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0034】
(1)
図7~8は、前記係止部14を、前記フック9の上端37近傍で且つ前記フラットカーテン2の前記後面部5(
図2)に寄せて設定した前記上部10に設け、且つ入口部に抜け止め39を設けてなる保持溝40を具えて構成した場合の他の構成を示すものである。
【0035】
図7は、前記係止部14を前記実施例におけると同様に、上方に突出する前記立片42を有した前記保持溝40を具えて構成した場合において、前記半円弧状屈曲部27の内側円弧面部48aの上端近傍部位であって且つ前記フラットカーテン2の前記後面部5(
図2)に寄せて下係合溝部52を設けた態様である。該下係合溝部52は、前記線状部材12(例えば前記可撓性テープ状片33)が前記保持溝40に収容された状態で前記ループ状片36の下側部分53を嵌め入れるための溝部として構成されており、その入口54は窄まっている。このように構成する場合は、該保持溝40と該下係合溝部52との間の部分55によって前記係止部14が構成されている。該ループ状片36は、前記保持溝40に収容された状態にある前記線状部材12と該下係合溝部52とで保持されて前記上部10に固定状態に装着されることとなる。
【0036】
図8は、前記フック9の上端37近傍で且つ前記フラットカーテン2の前記後面部5(
図2)に寄せて設定された前記上部10に、入口部38に抜け止め39が設けられた保持溝40を設けた他の態様を示すものである。該保持溝40は、上面が凸の円弧状を呈する湾曲片部55を前記半円弧状屈曲部27の外面部65の円弧面56に略沿わせて突設され、斜め上方に向けて開口し、その入口部38に前記抜け止め39が設けられている。この態様は、前記実施例1における場合において、前記保持溝40の構成が変更された態様であり、前記したと同様の作用効果が得られる。
【0037】
(2)
図9は前記フック9の前記上部10に設けられた前記係止部14のその他の態様を示すものであり、前記フック9の上端37近傍で且つ前記フラットカーテン2の前記後面部5(
図2)に寄せて設定された前記上部10に、軸線が水平状態の貫通孔部57として構成されている。そして、前記規制線状部材11を構成する前記線状部材12に設けられる前記取付け部13は、該貫通孔部57に引っ掛けられる、例えば釣針状の引っ掛け部材59として構成されている。該引っ掛け部材59は、該貫通孔部57に引っ掛けられた状態で前記フック9の前記上部10に固定状態に装着される。
【0038】
(3)
図10は前記フック9の前記上部10に設けられた前記係止部14のその他の態様を示すものであり、該係止部14は、前記フック9の上端37近傍で且つ前記フラットカーテン2の前記後面部5(
図2)に寄せて設定された前記上部10に、軸線が水平状態の貫通孔部60として構成されている。該貫通孔部60に挿通され状態にある挿通線状部61の両端には、該貫通孔部60の両外端周縁部62,62と当接状態に係合する抜け止め凸部63,63が設られており、該貫通孔部60に連通する、前記線状部材12の導入溝69が、前記上部10の上面部65で開口されている。この場合、該抜け止め凸部63,63は、前記挿通線状部61を前記貫通孔部60に挿通させた状態において、前記線状部材12に後付けによって設けてもよいのであるが、予め、例えば射出成形によって一体に設けておくのがよい。このように一体に設ける場合は、前記挿通線状部61を前記導入溝69を通して前記貫通孔部60に挿通された状態とする。
【0039】
(4)
図11は、前記規制線状部材11の他の態様を示している。同図において前記係止部14は、
図4(B)に示すと同様に構成されており、前記フック9の上端37近傍で且つ前記フラットカーテン2の前記後面部5(
図2)に寄せて設定された前記上部10に、該フック9の上面部65で開口するように設けられ且つ入口部38に抜け止め39が設けられた保持溝40を具えて構成されている。該規制線状部材11は
図11(A)に示すように、並設状態にある前記フック9の夫々の上部10に沿って配置される可撓性を有する、例えば編物製や織物製のテープ状片又は紐状片としての前記線状部材12に、該テープ状片又は該紐状片の長さ方向に長いスリット部71が設けられている。該スリット部71は前記取付け部13を構成する。
【0040】
そして該スリット部71は、これを
図11(B)に示すように開いた状態で、
図11(C)に矢印で示すように、前記フック9の下端41(
図6)からその上方に向けて挿入される。該スリット部71の一方の側縁部分72は、
図11(C)に示すように、前記保持溝40に嵌入された状態で、前記抜け止め39と係合して該保持溝40から離脱しない。又、該スリット部71の他方の側縁部分73は、該フック9の上端近傍で前記フック9の前記下面部48に当接することによって、前記取付け部13が前記上部10に固定状態に装着される。
【0041】
なお、前記フック9の上面部65で開口するように設けられ且つ入口部38に抜け止めが設けられた保持溝40は、前記
図4(B)に示す構成のものの他、
図8に示す、斜め上方に向けて開口し且つその入口部38に抜け止め39が設けられたもの等であってもよい。
【0042】
(5) カーテンレール6に摺動可能に吊下されているランナー7に掛着される前記フック9は、前記した、上から下に向けて係合状態でスライド調整できるフックとは異なり、例えば
図12に示すギャザーフック等の、スライド調整ができない公知の固定タイプのものとして構成されることもある。その他、該フック9の構成は、前記フラットカーテン2の前記上端側の部分3の前記後面部5に取り付け得る構成を有し、且つ前記ランナー7に支障なく掛着させることができる構成を有するものであれば、前記例示した構成には特定されない。
【0043】
(6) 前記規制線状部材11は、可撓性を有する線状部材12に、各フック9の前記上部10に対する取付け部13が設けられており、該取付け部13が、該上部10に設けられた係止部14に係合して該上部10に固定状態に装着されるものであれば、前記例示した構成に特定されるものではない。
【0044】
(7) 前記ランナー7が摺動可能に吊下されるカーテンレール6は、対向する壁面等の間に水平状態に架設される水平棒状の棒状レールとして構成されることもある。この場合、前記ランナー7は、該棒状レールを挿通させ得る環状を呈し、該棒状レールに上端が支持されてその長さ方向で摺動できる。そして、前記フック9が該ランナー7に掛着される。
【0045】
(8) 前記ウェーブ状襞50の大小形態は、前記取付け間隔L1と前記連結間隔L2の所要設定により所望に設定できる。
【符号の説明】
【0046】
1 フラットカーテン装置
2 フラットカーテン
3 上端側の部分
5 後面部
6 カーテンレール
7 ランナー
9 フック
10 上部
11 規制線状部材
12 線状部材
13 取付け部
14 係止部
15 フラットカーテンの上縁
16 挿入部
40 保持溝
42 立片
39 抜け止め
36 ループ状片
52 下係合溝部
57 貫通孔部
59 引っ掛け部材
60 貫通孔部
69 導入溝
71 スリット部