(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】距離表示制御装置、受信装置、距離表示システム、距離表示制御方法および距離表示制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 64/00 20090101AFI20220616BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20220616BHJP
E01F 9/00 20160101ALI20220616BHJP
【FI】
H04W64/00 120
H04W84/10
E01F9/00
(21)【出願番号】P 2020196950
(22)【出願日】2020-11-27
【審査請求日】2020-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000243881
【氏名又は名称】名古屋電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】川村 嘉郁
(72)【発明者】
【氏名】木内 康晴
(72)【発明者】
【氏名】浅井 律雄
【審査官】松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-005394(JP,A)
【文献】特開2016-017261(JP,A)
【文献】特開2002-073630(JP,A)
【文献】特開2003-162238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
E01F 9/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
GNSS信号を受信する複数の受信装置から前記受信装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報に基づいて、距離起算地点に配置された前記受信装置と、ディスプレイを備え、かつ、距離表示地点に配置された前記受信装置と、の間の道路に沿った距離を表示距離として取得する表示距離取得部と、
前記表示距離を前記距離表示地点に配置された前記受信装置に送信し、前記ディスプレイに表示させる表示制御部と、
を備え、
複数の前記受信装置は、第1の道路上に並べられた第1のグループに属する前記受信装置と、前記第1の道路に接続された分岐道路上に並べられた第2のグループに属する前記受信装置とに分類され、
前記第1のグループに属する前記受信装置の前記表示距離は、前記第1の道路上の前記距離起算地点に配置された前記受信装置と、前記第1の道路上の前記距離表示地点に配置された前記受信装置と、の距離であり、
前記第2のグループに属する前記受信装置の前記表示距離は、前記第1の道路上の前記距離起算地点に配置された前記受信装置と、前記分岐道路上の前記距離表示地点に配置された前記受信装置と、の距離であ
り、
前記表示距離取得部は、
前記距離起算地点に配置された前記受信装置を1番目に並べられた前記受信装置とみなし、前記第1のグループに属する前記受信装置の前記位置情報に基づいて、n番目(nは1以上かつx-1以下の整数)の前記受信装置に最も近い前記受信装置をn+1番目の前記受信装置とする処理を小さいnから順にx-1番目まで繰り返すことによって前記第1のグループに属するx個の前記受信装置の第1の順列を設定し、
前記距離起算地点を先頭にして前記第1の道路上に並べられた前記第1の順列に従って、n番目とn+1番目の前記受信装置の間の装置間距離をnがx-1となるまで累積することによって、前記第1のグループにおいてx番目に並べられた前記受信装置の前記表示距離を取得し(xは2以上かつ前記第1の順列に属する受信装置の数以下の整数、nは1以上かつx-1以下の整数)、
前記第2のグループに属し、かつ、前記第1のグループに属する前記受信装置に最も近い前記受信装置を、前記分岐道路上に並べられた前記受信装置の順列の1番目とみなし、当該順列に属する前記受信装置の数が2以上である場合には、前記第2のグループに属する前記受信装置の前記位置情報に基づいて、o番目(oは1以上かつ(y-z-1)以下の整数)の前記受信装置に最も近い前記受信装置をo+1番目の前記受信装置とする処理を小さいoから順に(y-z-1)番目まで繰り返すことによって前記分岐道路上に並べられた前記受信装置の順列を設定し、
前記第1の道路上で、前記距離起算地点を先頭にして前記第1の道路と前記分岐道路との交差点まで並べられた前記受信装置の順列と、前記分岐道路上に並べられた前記受信装置の順列とを結合した第2の順列に従って、m番目とm+1番目の前記受信装置の間の装置間距離をmがy-1となるまで累積することによって、前記第2のグループにおいて(y-z)番目に並べられた前記受信装置の前記表示距離を取得する(zは前記交差点に配置された前記受信装置の前記第1の順列内での順序、yはzより大かつ前記第2の順列に属する前記受信装置の数以下の整数、mは1以上かつy-1以下の整数)、
距離表示制御装置。
【請求項2】
GNSS信号を受信する受信部と、
前記GNSS信号が示す位置情報を距離表示制御装置に対して送信する位置情報送信部と、
前記位置情報に基づいて前記距離表示制御装置で取得された、距離起算地点と、前記位置情報が示す位置に配置された受信装置との間の道路に沿ったからの距離である表示距離を受信する表示距離受信部と、
前記表示距離を表示するディスプレイと、
を備える複数の
前記受信装置と、
複数の前記受信装置のそれぞれの前記位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報に基づいて、前記距離起算地点に配置された前記受信装置と、距離表示地点に配置された前記受信装置と、の間の道路に沿った距離を前記表示距離として取得する表示距離取得部と、
前記表示距離を前記距離表示地点に配置された前記受信装置に送信し、前記ディスプレイに表示させる表示制御部と、
を備える前記距離表示制御装置と、を含み、
複数の前記受信装置は、第1の道路上に並べられた第1のグループに属する前記受信装置と、前記第1の道路に接続された分岐道路上に並べられた第2のグループに属する前記受信装置とに分類され、
前記第1のグループに属する前記受信装置の前記表示距離は、前記第1の道路上の前記距離起算地点に配置された前記受信装置と、前記第1の道路上の前記距離表示地点に配置された前記受信装置と、の距離であり、
前記第2のグループに属する前記受信装置の前記表示距離は、前記第1の道路上の前記距離起算地点に配置された前記受信装置と、前記分岐道路上の前記距離表示地点に配置された前記受信装置と、の距離であ
り、
前記表示距離取得部は、
前記距離起算地点に配置された前記受信装置を1番目に並べられた前記受信装置とみなし、前記第1のグループに属する前記受信装置の前記位置情報に基づいて、n番目(nは1以上かつx-1以下の整数)の前記受信装置に最も近い前記受信装置をn+1番目の前記受信装置とする処理を小さいnから順にx-1番目まで繰り返すことによって前記第1のグループに属するx個の前記受信装置の第1の順列を設定し、
前記距離起算地点を先頭にして前記第1の道路上に並べられた前記第1の順列に従って、n番目とn+1番目の前記受信装置の間の装置間距離をnがx-1となるまで累積することによって、前記第1のグループにおいてx番目に並べられた前記受信装置の前記表示距離を取得し(xは2以上かつ前記第1の順列に属する受信装置の数以下の整数、nは1以上かつx-1以下の整数)、
前記第2のグループに属し、かつ、前記第1のグループに属する前記受信装置に最も近い前記受信装置を、前記分岐道路上に並べられた前記受信装置の順列の1番目とみなし、当該順列に属する前記受信装置の数が2以上である場合には、前記第2のグループに属する前記受信装置の前記位置情報に基づいて、o番目(oは1以上かつ(y-z-1)以下の整数)の前記受信装置に最も近い前記受信装置をo+1番目の前記受信装置とする処理を小さいoから順に(y-z-1)番目まで繰り返すことによって前記分岐道路上に並べられた前記受信装置の順列を設定し、
前記第1の道路上で、前記距離起算地点を先頭にして前記第1の道路と前記分岐道路との交差点まで並べられた前記受信装置の順列と、前記分岐道路上に並べられた前記受信装置の順列とを結合した第2の順列に従って、m番目とm+1番目の前記受信装置の間の装置間距離をmがy-1となるまで累積することによって、前記第2のグループにおいて(y-z)番目に並べられた前記受信装置の前記表示距離を取得する(zは前記交差点に配置された前記受信装置の前記第1の順列内での順序、yはzより大かつ前記第2の順列に属する前記受信装置の数以下の整数、mは1以上かつy-1以下の整数)、
距離表示システム。
【請求項3】
コンピュータによって、
GNSS信号を受信する複数の受信装置から前記受信装置の位置情報を取得する位置情報取得工程と、
前記位置情報に基づいて、距離起算地点に配置された前記受信装置と、ディスプレイを備え、かつ、距離表示地点に配置された前記受信装置と、の間の道路に沿った距離を表示距離として取得する表示距離取得工程と、
前記表示距離を前記距離表示地点に配置された前記受信装置に送信し、前記ディスプレイに表示させる表示制御工程と、
を行う距離表示制御方法であって、
複数の前記受信装置は、第1の道路上に並べられた第1のグループに属する前記受信装置と、前記第1の道路に接続された分岐道路上に並べられた第2のグループに属する前記受信装置とに分類され、
前記第1のグループに属する前記受信装置の前記表示距離は、前記第1の道路上の前記距離起算地点に配置された前記受信装置と、前記第1の道路上の前記距離表示地点に配置された前記受信装置と、の距離であり、
前記第2のグループに属する前記受信装置の前記表示距離は、前記第1の道路上の前記距離起算地点に配置された前記受信装置と、前記分岐道路上の前記距離表示地点に配置された前記受信装置と、の距離であ
り、
前記表示距離取得工程では、
前記距離起算地点に配置された前記受信装置を1番目に並べられた前記受信装置とみなし、前記第1のグループに属する前記受信装置の前記位置情報に基づいて、n番目(nは1以上かつx-1以下の整数)の前記受信装置に最も近い前記受信装置をn+1番目の前記受信装置とする処理を小さいnから順にx-1番目まで繰り返すことによって前記第1のグループに属するx個の前記受信装置の第1の順列を設定し、
前記距離起算地点を先頭にして前記第1の道路上に並べられた前記第1の順列に従って、n番目とn+1番目の前記受信装置の間の装置間距離をnがx-1となるまで累積することによって、前記第1のグループにおいてx番目に並べられた前記受信装置の前記表示距離を取得し(xは2以上かつ前記第1の順列に属する受信装置の数以下の整数、nは1以上かつx-1以下の整数)、
前記第2のグループに属し、かつ、前記第1のグループに属する前記受信装置に最も近い前記受信装置を、前記分岐道路上に並べられた前記受信装置の順列の1番目とみなし、当該順列に属する前記受信装置の数が2以上である場合には、前記第2のグループに属する前記受信装置の前記位置情報に基づいて、o番目(oは1以上かつ(y-z-1)以下の整数)の前記受信装置に最も近い前記受信装置をo+1番目の前記受信装置とする処理を小さいoから順に(y-z-1)番目まで繰り返すことによって前記分岐道路上に並べられた前記受信装置の順列を設定し、
前記第1の道路上で、前記距離起算地点を先頭にして前記第1の道路と前記分岐道路との交差点まで並べられた前記受信装置の順列と、前記分岐道路上に並べられた前記受信装置の順列とを結合した第2の順列に従って、m番目とm+1番目の前記受信装置の間の装置間距離をmがy-1となるまで累積することによって、前記第2のグループにおいて(y-z)番目に並べられた前記受信装置の前記表示距離を取得する(zは前記交差点に配置された前記受信装置の前記第1の順列内での順序、yはzより大かつ前記第2の順列に属する前記受信装置の数以下の整数、mは1以上かつy-1以下の整数)、
距離表示制御方法。
【請求項4】
コンピュータを、
GNSS信号を受信する複数の受信装置から前記受信装置の位置情報を取得する位置情報取得部、
前記位置情報に基づいて、距離起算地点に配置された前記受信装置と、ディスプレイを備え、かつ、距離表示地点に配置された前記受信装置と、の間の道路に沿った距離を表示距離として取得する表示距離取得部、
前記表示距離を前記距離表示地点に配置された前記受信装置に送信し、前記ディスプレイに表示させる表示制御部、
として機能させる距離表示制御プログラムであって、
複数の前記受信装置は、第1の道路上に並べられた第1のグループに属する前記受信装置と、前記第1の道路に接続された分岐道路上に並べられた第2のグループに属する前記受信装置とに分類され、
前記第1のグループに属する前記受信装置の前記表示距離は、前記第1の道路上の前記距離起算地点に配置された前記受信装置と、前記第1の道路上の前記距離表示地点に配置された前記受信装置と、の距離であり、
前記第2のグループに属する前記受信装置の前記表示距離は、前記第1の道路上の前記距離起算地点に配置された前記受信装置と、前記分岐道路上の前記距離表示地点に配置された前記受信装置と、の距離であ
り、
前記表示距離取得部は、コンピュータを、
前記距離起算地点に配置された前記受信装置を1番目に並べられた前記受信装置とみなし、前記第1のグループに属する前記受信装置の前記位置情報に基づいて、n番目(nは1以上かつx-1以下の整数)の前記受信装置に最も近い前記受信装置をn+1番目の前記受信装置とする処理を小さいnから順にx-1番目まで繰り返すことによって前記第1のグループに属するx個の前記受信装置の第1の順列を設定し、
前記距離起算地点を先頭にして前記第1の道路上に並べられた前記第1の順列に従って、n番目とn+1番目の前記受信装置の間の装置間距離をnがx-1となるまで累積することによって、前記第1のグループにおいてx番目に並べられた前記受信装置の前記表示距離を取得し(xは2以上かつ前記第1の順列に属する受信装置の数以下の整数、nは1以上かつx-1以下の整数)、
前記第2のグループに属し、かつ、前記第1のグループに属する前記受信装置に最も近い前記受信装置を、前記分岐道路上に並べられた前記受信装置の順列の1番目とみなし、当該順列に属する前記受信装置の数が2以上である場合には、前記第2のグループに属する前記受信装置の前記位置情報に基づいて、o番目(oは1以上かつ(y-z-1)以下の整数)の前記受信装置に最も近い前記受信装置をo+1番目の前記受信装置とする処理を小さいoから順に(y-z-1)番目まで繰り返すことによって前記分岐道路上に並べられた前記受信装置の順列を設定し、
前記第1の道路上で、前記距離起算地点を先頭にして前記第1の道路と前記分岐道路との交差点まで並べられた前記受信装置の順列と、前記分岐道路上に並べられた前記受信装置の順列とを結合した第2の順列に従って、m番目とm+1番目の前記受信装置の間の装置間距離をmがy-1となるまで累積することによって、前記第2のグループにおいて(y-z)番目に並べられた前記受信装置の前記表示距離を取得する(zは前記交差点に配置された前記受信装置の前記第1の順列内での順序、yはzより大かつ前記第2の順列に属する前記受信装置の数以下の整数、mは1以上かつy-1以下の整数)、
ように機能させる距離表示制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離表示制御装置、距離表示システム、受信装置、距離表示制御方法および距離表示制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路上の工事現場において、工事現場の手前の道路上で看板等によって工事現場までの距離等を示すことで工事の予告が行われている。例えば、特許文献1,2には、マグネットシートを着脱することによって、表示内容を変えられる看板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-350417号公報
【文献】特開平11-161212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工事現場が存在する道路が分岐している場合、工事現場が存在する道路のみならず分岐道路上でも工事を予告したいことがある。従来の技術のような看板を工事現場が存在する道路と分岐道路とに配置すれば工事の予告を行うことが可能である。しかし、工事現場の位置が変化すると、各道路上で看板を移動させるか、または、各看板の表示を変更する必要がある。看板の移動や表示の変更等の作業を、工事現場が存在する道路と分岐道路とにおいて実施するのは非常に手間がかかる。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたもので、工事現場が存在する道路と分岐道路とにおいて工事現場からの距離を表示するための手間を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、距離表示制御装置は、GNSS信号を受信する複数の受信装置から前記受信装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報に基づいて、距離起算地点に配置された前記受信装置と、ディスプレイを備え、かつ、距離表示地点に配置された前記受信装置と、の距離を表示距離として取得する表示距離取得部と、前記表示距離を前記距離表示地点に配置された前記受信装置に送信し、前記ディスプレイに表示させる表示制御部と、を備え、複数の前記受信装置は、第1の道路上に並べられた第1のグループに属する前記受信装置と、前記第1の道路に接続された分岐道路上に並べられた第2のグループに属する前記受信装置とに分類され、前記第1のグループに属する前記受信装置の前記表示距離は、前記第1の道路上の前記距離起算地点に配置された前記受信装置と、前記第1の道路上の前記距離表示地点に配置された前記受信装置と、の距離であり、前記第2のグループに属する前記受信装置の前記表示距離は、前記第1の道路上の前記距離起算地点に配置された前記受信装置と、前記分岐道路上の前記距離表示地点に配置された前記受信装置と、の距離である。
【0006】
すなわち、距離表示制御装置は、GNSS信号に基づいて、距離起算地点と、ディスプレイを備えた受信装置と、の距離を表示距離として取得し、当該ディスプレイに表示させる。この構成において、受信装置は少なくとも2個のグループに分類され、各グループにおける距離起算地点は、第1の道路上に存在する。また、当該距離起算地点に配置された受信装置と、第1のグループ、第2のグループのそれぞれに属する各受信装置との距離が表示距離なり、各受信装置のディスプレイに表示される。この構成によれば、ディスプレイに表示する表示距離を自動で決定することができる。従って、距離起算地点と受信装置との距離がどのように変化しても、変化に応じた表示距離を自動で決定し、第1の道路、分岐道路のそれぞれに配置された各受信装置のディスプレイに表示させることができる。このため、工事現場が存在する第1の道路と、第1の道路から分岐する分岐道路とで距離表示制御装置および受信装置が使用されることにより、工事現場からの距離を表示するための手間を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1Aは、看板の例を示す説明図であり、
図1Bは、受信装置の配置例を説明する図である。
【
図3】受信装置および距離表示制御装置の構成を説明する図である。
【
図4】受信装置および距離表示制御装置の機能を説明する図である。
【
図5】
図5Aは、受信装置の配置を説明する図であり、
図5Bは、受信装置から収集される情報を示す図である。
【
図6】受信装置が形成する第1の順列を説明する図である。
【
図7】受信装置が形成する第2の順列を説明する図である。
【
図8】受信装置および距離表示制御装置で実行させる処理を示すフローチャートである。
【
図10】順列決定処理を示すフローチャートである。
【
図11】表示距離算出処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)距離表示システムの概要:
(2)距離表示システムの構成:
(2-1)受信装置としての機能:
(2-2)距離表示制御装置としての機能:
(3-1)受信制御処理:
(3-2)距離表示制御処理:
(3-3)順列決定処理:
(3-4)表示距離算出処理:
(4)第2実施形態:
(5)他の実施形態:
【0009】
(1)距離表示システムの概要:
図1Aは、本発明の一実施形態にかかる距離表示システムで使用される受信装置100の例を示す図である。本実施形態において、受信装置100は、看板1aに取り付けられる。看板1aは、工事現場に向かって進行可能な道路上に配置され、工事現場に関する注意事項が表示される看板である。
【0010】
看板1aは、工事現場までの距離が表示され、当該距離を表示するためのディスプレイ20を備えている。
図1Aに示す看板1aにおいては、ディスプレイ20の表示パネル20aに数値"100"が表示されており、看板1aは、看板1aが配置された位置から工事現場までの距離が100mであることを示している。
【0011】
本実施形態においては、工事現場が存在する第1の道路上で工事現場の手前を走行する車両と、当該第1の道路に接続する分岐道路上で当該第1の道路上に向けて走行する車両と、に対する注意喚起を行うため、看板1aは複数個用意され、これらの道路に配置される。
【0012】
図1Bは、第1の道路RD1と分岐道路RD2とに対する受信装置100の配置例を示す図である。
図1Bに示す例において、第1の道路RD1は図面の左下から右上への方向が進行方向の道路である。
図1Bに示す例では、当該第1の道路RD1上には表示装置DDを搭載した作業車両Veが駐車しており、当該作業車両Veの後方に隣接した地点P
0が工事現場である。表示装置DDは、工事中であることを示す情報等が表示される装置である。
【0013】
分岐道路RD2は図面の右下から左上への方向が進行方向の道路である。本例において第1の道路RD1は一方通行道路であるため、分岐道路RD2から第1の道路RD1に進入後、車両が走行すべき方向は決まっている。本発明の実施形態が利用される道路は
図1Bに示す道路に限定されず、双方向に通行可能な道路からの分岐道路に看板1aが配置されても良い。この場合、分岐道路に配置された看板1aにおいては、工事現場が存在する方向(例えば、右折方向等)が明示されても良い。
【0014】
看板1aは複数箇所に設置され、各看板1aで当該工事現場までの距離を表示する。
図1Bにおいては、第1の道路RD1上の受信装置を工事現場から近い順に受信装置100a,100b,100c,100d,100eと表記している。また、分岐道路RD2上の受信装置を、第1の道路RD1と分岐道路RD2との交差点Iに近い順に受信装置100f,100gと表記している。
【0015】
図1Bに示す例において、受信装置100aを備える看板1aは工事現場に配置され、受信装置100b,100c,100d,100eのそれぞれを備える看板1aは、第1の道路RD1上で工事現場の手前の50m,100m,150m,200mの位置に配置されている。このため、受信装置100a,100b,100c,100d,100eのそれぞれに接続されたディスプレイ20には、0m,50m,100m,150m,200mと表示されている。
【0016】
受信装置100f,100gのそれぞれを備える看板1aは、分岐道路RD2上で受信装置100cから50m,100mの位置に配置されている。従って、受信装置100f,100gのそれぞれは、受信装置100aから道路に沿って150m,200mの位置に配置されている。このため、受信装置100f,100gのそれぞれに接続されたディスプレイ20には、150m,200mと表示されている。
【0017】
本実施形態においては、工事現場において既定の作業が終了すると、作業車両Veが第1の道路RD1上で前方に移動される。そして、移動後の作業車両Veの後方に隣接した地点P
1で新たに作業が開始される。
図2は、
図1Bに示す第1の道路RD1上で作業車両Veが前方に移動した後の状態を示している。この場合、作業車両Veと各看板1aとの距離が変化するため、各看板1aの表示内容を変化させないのであれば、全ての看板1aを移動させ、かつ、各看板1aそれぞれと工事現場の位置との距離が各看板1aに表示された距離となるように移動後の位置を調整する必要がある。各看板1aを移動させず、表示する距離を変化させてもよいが、作業車両Veの移動距離がある程度増加した場合、看板1aを移動させることになる。この場合、看板1aの移動とともに、表示する距離も修正される。
【0018】
このように、看板1aの全てを移動させ、また、移動後の位置を調整する作業は、作業員にとって非常に手間のかかる作業である。看板1aに表示する距離を計測し、表示を変化させる作業も、作業員にとって非常に手間のかかる作業である。そこで、本実施形態においては、看板1aのディスプレイ20に表示させる距離を自動で特定し、表示させる構成が採用されている。例えば、
図2に示すように作業車両Veが移動された場合に、先頭に存在した受信装置100aを備える看板1aが前方に移動され、最後尾(
図2に示す100e0)に存在した受信装置100eを備える看板1aが前から二番目の位置に移動されるように作業が行われる。この場合、受信装置100b,100c,100d,100f,100gを備える看板1aは移動されなくて良い。
【0019】
このように、第1の道路RD1上で先頭から順に受信装置100a,100e,100b,100c,100dを備える看板1aが並べられ、分岐道路RD2上で交差点Iに近い順に受信装置100f,100gが並べられた場合であっても、工事現場から各看板1aまでの距離は自動的に計測され、ディスプレイ20に表示される。この結果、
図2に示すように、受信装置100eを備える看板1aのディスプレイ20の数値は、200mから50mに修正される。受信装置100b,100c,100dを備える看板1aのディスプレイ20の数値は100m、150m,200mにそれぞれ修正される。受信装置100f,100gを備える看板1aのディスプレイ20の数値は200m,250mにそれぞれ修正される。
【0020】
本実施形態においては、ディスプレイ20に表示される距離を自動的に決定することができるため、作業者が、看板1aの位置を詳細に調整せずに配置しても、例えば、
図1Bに示すような距離は自動的に決定され、表示される。従って、作業員が工事現場から看板1aまでの距離を計測する手間を削減することができる。さらに、
図1Bに示す状態から、
図2のように作業車両Veが移動した場合に、看板1aが並び替えられた場合も、距離が自動的に決定され、表示される。従って、作業員が工事現場から看板1aまでの距離を計測する手間を削減することができる。また、看板1aを移動させる手間を削減することができる。
【0021】
さらに、本実施形態においては、異なる道路である第1の道路RD1と分岐道路RD2とに配置された受信装置100のそれぞれにおいて、ディスプレイ20に工事現場からの距離を表示させることができる。本実施形態においては、同一の道路上の受信装置(例えば、受信装置100a~100eは同一の道路上、受信装置100f,100gは同一の道路上)が同一のグループに分類される(詳細は後述)。同一のグループ内であれば、受信装置の並び順を自由に変更可能であり、変更後に自動的に表示距離が更新される。
【0022】
また、受信装置が属するグループは変更可能である。例えば、受信装置100gのグループを変更し、第1の道路RD1に配置された受信装置100a~100eと同一のグループとすれば、第1の道路RD1に配置することにより、第1の道路RD1上の先頭の受信装置100aからの距離がディスプレイ20に表示される状態になる(詳細は後述)。むろん、第1の道路RD1上の受信装置のグループを、分岐道路RD2上の受信装置と同一のグループに変更し、分岐道路RD2上に配置しても良い。
【0023】
(2)距離表示システムの構成:
ディスプレイ20において、工事現場からの距離を自動で表示するため、本実施形態にかかる距離表示システムは、受信装置100および距離表示制御装置200を備えている。本実施形態において、受信装置100および距離表示制御装置200は、同一のハードウェア構成によって実現される。本実施形態においては、装置が距離表示制御装置200として機能する場合、受信装置100としても機能する。
【0024】
図3は、受信装置100および距離表示制御装置200として機能し得る装置のハードウェア構成を示している。以下、主に受信装置100について構成を説明するが、距離表示制御装置200においてもハードウェア構成は受信装置100と同一である。本実施形態にかかる装置は、GNSSモジュール11,無線通信モジュール12,CPU13,メモリ14,スイッチ15a~15c,ディスプレイ20を備えており、図示しない電源によって駆動される。
【0025】
CPU13は、メモリ14に記録されたプログラムを実行し、各種の入力信号に基づいて各種の演算処理を実行し、各種の出力信号を出力する。GNSSモジュール11は、航法衛星からGNSS信号を受信する回路を含むモジュールであり、GNSS信号をCPU13に対して出力する。CPU13は、GNSS信号に基づいて、受信装置100の位置情報(座標情報)を取得する。
【0026】
無線通信モジュール12は、既定の無線通信規格によって他の装置と無線通信を行うための回路を含むモジュールである。CPU13は、無線通信モジュール12を制御して外部の装置と通信し、種々の情報を授受することができる。メモリ14は、情報記憶媒体であり、CPU13はメモリ14内に記憶された各種の情報を参照し、また、メモリ14に各種の情報を記憶させることができる。
【0027】
スイッチ15a~15cは、任意の態様のスイッチで実現されて良い。利用者は、スイッチ15a~15cを操作することにより、受信装置100に対して各種の指示を与えることができる。スイッチ15aは、装置の役割を切り替えるためのスイッチである。本実施形態において、受信装置100の役割にはマスターおよびスレーブがある。マスターである場合、受信装置100として機能すると同時に、距離表示制御装置200としても機能する。そして、距離表示制御装置200が、各受信装置100のディスプレイ20に表示する距離(以後、表示距離と呼ぶ)を決定する。スレーブである場合、受信装置100として機能するが、距離表示制御装置200としては機能しない。
図1B,
図2等においては、マスターとして機能する受信装置100に(M)を付記し、スレーブとして機能する受信装置100に(S)を付記して示している。
【0028】
スイッチ15bは、ディスプレイ20に表示された距離をリセットし、再取得して表示を更新させる指示を行うためのリセットスイッチである。なお、本実施形態において、距離のリセット、再取得および更新は、予め決められた期間毎に実行されるが、利用者がスイッチ15bを操作することによって、強制的に表示を更新させることが可能である。
【0029】
スイッチ15cは、各装置における設定を入力するためのスイッチである。入力可能な設定としては、受信装置100が属するグループ、グループ内での先頭であるか否かを示すフラグのオン・オフ等がある。なお、当該グループ内での先頭であるか否かを示すフラグがオンである状態を基点であるとも表現する。スイッチ15a,スイッチ15cによる設定内容を示す設定情報はメモリ14に記録される。
【0030】
受信装置100は、
図3に示すようにディスプレイ20を備えている。ディスプレイ20は、表示パネル20aとパネル制御部20bとを備えている。ディスプレイ20は、看板1aの上部に設けられた開口部から表示パネル20aを視認できるように、看板1aに対して取り付けられている(
図1A参照)。受信装置100とディスプレイ20とは、図示しない配線で接続されており、受信装置100は、看板1aの任意の位置に取り付け可能である。
図1A等に示す本実施形態においては、看板1aの上部に受信装置100が取り付けられている。
【0031】
パネル制御部20bは、表示パネル20aを制御する回路である。パネル制御部20bは、図示しないインタフェースを介してCPU13から表示距離を示す画像データを受け取る。そして、パネル制御部20bは、当該画像データに基づいて表示パネル20aを制御し、表示距離を表示パネル20aに表示させる。この結果、看板1aにおいて工事現場までの距離が表示された状態になる。なお、本実施形態において表示パネル20aに表示される情報は数値であるが、任意の情報が表示可能であっても良い。
【0032】
(2-1)受信装置としての機能:
以上のように、本実施形態にかかる装置は、スイッチ15aによる設定に応じて、受信装置100単体として振る舞うか、または、受信装置100かつ距離表示制御装置200の双方として振る舞う。ここでは、
図4を参照して受信装置100としての振る舞いを説明する。
図4は、受信装置100、距離表示制御装置200として振る舞う装置の機能を説明するための図である。
図4においては、受信装置100、距離表示制御装置200のそれぞれのハードウェアを区別するため、GNSSモジュール11等に添え字-1または-2を付している。
【0033】
スレーブとして振る舞う受信装置100は、工事現場からの距離を表示するための距離表示地点に配置される。受信装置100がスレーブとして振る舞う場合、CPU13-1は、受信装置としての機能を実現するためのプログラムを実行する。ここでは、当該プログラムを受信装置制御プログラム110と呼ぶ。受信装置制御プログラム110が実行されるとCPU13-1は、受信部110a,位置情報送信部110b,表示距離受信部110cとして機能する。
【0034】
受信部110aは、GNSS信号を受信する機能である。すなわち、CPU13-1は、受信部110aの機能によりGNSSモジュール11-1を制御して、GNSS信号を取得する。位置情報送信部110bは、GNSS信号が示す位置情報を距離表示制御装置に対して送信する機能である。本実施形態においてCPU13-1は、距離表示制御装置200から位置情報の送信要求が行われた場合に、位置情報を送信する。
【0035】
具体的には、CPU13-1は、位置情報送信部110bの機能により、GNSS信号に基づいて受信装置100の現在地を示す位置情報(本実施形態においては、緯度および経度からなる座標情報)を取得する。さらに、CPU13-1は、受信装置100を識別するための情報として自身に対応づけられた識別情報を、位置情報に対応づける。さらに、CPU13-2は、スイッチ15a,15cによる設定内容を示す設定情報を、位置情報に対応づける。そして、CPU13-1は、位置情報送信部110bの機能により、無線通信モジュール12-1を介して、距離表示制御装置200に対して識別情報,位置情報および設定情報を送信する。距離表示制御装置200は、当該位置情報に基づいて表示距離を取得し、返信する。
【0036】
例えば、
図1Bに示す例においては、受信装置100b,100c,100d,100e,100f,100gがスレーブであり、受信装置100aがマスターである。従って、受信装置100aは、距離表示制御装置200としても機能する。受信装置100bにおいて、位置情報送信部110bにおける処理が行われると、受信装置100bから、当該受信装置100bの識別情報と、当該受信装置100bの現在地を示す位置情報と、当該受信装置100bにおけるスイッチ15a,15cの設定情報とが、距離表示制御装置200としても機能する受信装置100aに対して送信される。
【0037】
位置情報が送信されると、距離表示制御装置200としても機能する受信装置100aにおいては、距離表示制御装置200の現在地を距離起算地点とし、当該距離起算地点から受信装置100の現在地までの距離を表示距離として取得する。また、距離表示制御装置200は、当該取得した表示距離を受信装置100bに対して返信する。なお、当該表示距離の取得の詳細は後述する。以上のような処理は、各受信装置100b,100c,100d,100e,100f,100gにおいて行われる。
【0038】
図4の説明に戻る。表示距離受信部110cは、表示距離を受信する機能である。すなわち、距離表示制御装置200から表示距離が返信されると、CPU13-1は、無線通信モジュール12-1を介して表示距離を取得する。そして、CPU13-1は、ディスプレイ20-1を制御し、当該表示距離をディスプレイ20-1に表示させる。以上の処理によれば、例えば、
図1Bに示す受信装置100b,100c,100d,100e,100f,100gのディスプレイ20に、工事現場からの距離である50(m),100(m),150(m),200(m),150(m),200(m)が表示される。
【0039】
(2-2)距離表示制御装置としての機能:
装置がマスターとして振る舞う場合、CPU13-2は受信装置100に加え、距離表示制御装置200としての機能を実現するためのプログラムを実行する。ここでは、当該プログラムを距離表示制御プログラム210と呼ぶ。距離表示制御プログラム210が実行されるとCPU13-2は、
図4に示すように、位置情報取得部210a、表示距離取得部210b、表示制御部210cとして機能する。
【0040】
位置情報取得部210aは、複数の受信装置100から受信装置の位置情報を取得する機能である。すなわち、CPU13-2は、位置情報取得部210aの機能により、無線通信モジュール12-2を介して各受信装置100と無線通信し、各受信装置100の位置情報を送信させるための送信要求を行う。各受信装置100は、上述のように当該送信要求に応じて、受信装置100の現在地を示す位置情報および受信装置100の設定情報を取得し、送信する。この結果、CPU13-2は、各受信装置100の位置情報および受信装置100の設定情報を取得する。
【0041】
本実施形態における距離表示制御装置200は、距離起算地点に配置された受信装置100としても機能する。このため、CPU13-2は、受信装置100としての機能によってGNSSモジュール11-2を制御してGNSS信号を取得し、自身の現在地を示す位置情報を取得する。CPU13-2は、当該位置情報を、距離起算地点に配置された受信装置100の現在地であるとみなす。
図4においては、GNSSモジュール11-2からGNSS信号を取得する際の信号の流れを破線の矢印で示している。
【0042】
表示距離取得部210bは、位置情報に基づいて、距離起算地点に配置された受信装置100と、距離表示地点に配置された受信装置100と、の距離を表示距離として取得する機能である。本実施形態において、CPU13-2は、2台の受信装置100の間の道路に沿った距離を算出することで、表示距離を取得する。具体的にはCPU13-2は、受信装置100の装置間距離を累積することによって表示距離を取得する。
【0043】
このように表示距離を取得するため、本実施形態においてCPU13-2は、距離起算地点に配置された受信装置100を含む各受信装置100の道路上での順列を取得する。本実施形態においては、工事現場が存在する第1の道路RD1上に並ぶ受信装置100の順列を第1の順列と呼ぶ。例えば、
図1Bに示す例において、受信装置100a~100eの並び順は第1の順列である。
【0044】
また、第1の道路RD1上で、第1の道路RD1と分岐道路RD2との交差点Iまでに並べられた受信装置100の順列と、分岐道路RD2上に並べられた受信装置100の順列とを結合した順列を第2の順列と呼ぶ。例えば、
図1Bに示す例において、第1の道路RD1上に並ぶ受信装置100a,100b,100cの順列と、分岐道路RD2上に並ぶ受信装置100f,100gの順列を結合した順列が第2の順列である。
【0045】
順列は、道路上で進行方向に沿って最も前方に存在し、距離起算地点に存在する受信装置が1番目であり、以後、道路上で進行方向の後方であるほど番号が大きくなるように定義される。本実施形態において、順列はグループに基づいて決定される。具体的には、第1の道路RD1に配置される受信装置100は、第1のグループに分類される。分岐道路RD2上に配置される受信装置100は、第2のグループに分類される。CPU13-2は、受信装置100が属するグループに基づいて任意のタイミングで順列を決定することができ、受信装置100の並び順が変化しても変化後の順列を特定することができる。グループを変更した後に順列が特定されると、当該グループの変更が反映された状態で順列が特定される。当該順列の決定の詳細は後述する。
【0046】
図5Aは、
図1Bに示す受信装置100a~100gの位置を模式的に示した図である。本実施形態において、第1の道路RD1上に並べられた受信装置100a~100eは第1のグループGr1に属する。
図6は、
図5Aに示す例において、第1のグループGr1に属する受信装置100a~100eに破線を付して示した図である。本実施形態においては、これらの第1のグループGr1に属する受信装置100a~100eが第1の順列を形成する。符号nは、第1の順列における並び順を示している。すなわち、受信装置100a~100eのそれぞれが、第1の順列において1番目~5番目のそれぞれに該当する。本例において、1番目の位置に配置された受信装置100aが距離起算点である。なお、
図5A,
図6における×は距離起算地点に配置された受信装置であることを示している(以下同様)。
【0047】
また、本実施形態においては、第1のグループGr1に属する受信装置の一部と、第2のグループGr2に属する受信装置によって、第2の順列が構成される。
図7は、
図5Aに示す例において、第2の順列を形成する受信装置を説明するための図である。ここで、第1の道路RD1上で、距離起算地点を先頭にして第1の道路RD1と分岐道路RD2との交差点Iまで並べられた、第1のグループGr1に属する受信装置の順列(受信装置100a~100cによる順列)を抜き出して考える。この順列と、分岐道路RD2上に並べられた第2のグループGr2に属する受信装置100f,100gの順列と、を結合した順列が第2の順列を形成する。符号mは、第2の順列における並び順を示している。すなわち、受信装置100a~100c,100f,100gのそれぞれが、第2の順列において1番目~5番目のそれぞれに該当する
【0048】
このように、順列が決まっている状態において、CPU13-2は、表示距離取得部210bの機能により、各受信装置100の位置情報に基づいて装置間距離を取得する。すなわち、CPU13-2は、第1の順列に関し、n番目の受信装置100とn+1番目の受信装置100との位置情報に基づいて、両者の距離を装置間距離として取得する。CPU13-2は、以上の処理をnがx-1となるまで(xは2以上かつ第1の順列に属する受信装置100の数以下の整数、nは1以上かつx-1以下の整数)繰り返し実行することによって受信装置100の間の装置間距離を全て取得する。
【0049】
図6の示す例であれば、CPU13-2は、1番目の受信装置100aと2番目の受信装置100bとの間の装置間距離La1、2番目の受信装置100bと3番目の受信装置100cとの間の装置間距離La2、3番目の受信装置100cと4番目の受信装置100dとの間の装置間距離La3、4番目の受信装置100dと5番目の受信装置100eとの間の装置間距離La4を取得する。
【0050】
さらに、CPU13-2は、x番目に並べられた受信装置100の表示距離を取得する際に、装置間距離をnがx-1となるまで累積する。すなわち、x番目に並べられた受信装置100の表示距離を取得する際、CPU13-2は、x番目以前の受信装置100に関する装置間距離を累積する。例えば、
図6に示す例において第1の順列において3番目の受信装置100cの表示距離が取得される場合、x=3であるため、nが2となるまで装置間距離が累積される。従って、1番目と2番目の受信装置の間の装置間距離La1と、2番目と3番目の受信装置の間の装置間距離La2とが累積されることで表示距離が取得される。
【0051】
以上の処理を各受信装置について実行することで、以下のように表示距離が取得される。
2番目の受信装置100b:表示距離=La1
3番目の受信装置100c:表示距離=La1+La2
4番目の受信装置100d:表示距離=La1+La2+La3
5番目の受信装置100e:表示距離=La1+La2+La3+La4
【0052】
以上のように、本実施形態においては、x番目の受信装置100の表示距離を、距離起算地点の受信装置100とx番目の受信装置100との直線距離ではなく、装置間距離の累積によって算出している。従って、仮に、曲がっている道路に沿って受信装置100が配置されたとしても、道路に沿った距離の近似値によって表示距離を特定することができる。
【0053】
CPU13-2は、第2の順列に関しても同様の処理によって表示距離を取得する。すなわち、CPU13-2は、第2の順列に関し、m番目の受信装置100とm+1番目の受信装置100との位置情報に基づいて、両者の距離を装置間距離として取得する。CPU13-2は、以上の処理をmがy-1となるまで(yはzより大かつ第2の順列に属する受信装置100の数以下の整数、zは交差点に配置された受信装置100の第1の順列内での順序、mは1以上かつy-1以下の整数)繰り返し実行することによって受信装置100の間の装置間距離を全て取得する。
【0054】
図7に示す例であれば、CPU13-2は、1番目の受信装置100aと2番目の受信装置100bとの間の装置間距離La1、2番目の受信装置100bと3番目の受信装置100cとの間の装置間距離La2、3番目の受信装置100cと4番目の受信装置100fとの間の装置間距離La5、4番目の受信装置100fと5番目の受信装置100gとの間の装置間距離La6を取得する。
【0055】
さらに、CPU13-2は、第2の順列に従って装置間距離をmがy-1となるまで累積することで、第2のグループにおいて(y-z)番目に並べられた受信装置100の表示距離を取得する。例えば、
図7に示す例において、第2の順列は受信装置100a,100b,100c,100f,100gの合計5台であるため、yの最大値は5である。交差点Iに配置された受信装置100cの第1の順列内での順序は3番目であるためz=3である。
【0056】
この場合において、例えば、第2の順列における4番目、第2のグループにおいて1番目に並べられた受信装置100fは、y=4として装置間距離を累積することで算出される。すなわち、この場合、y-1は3であるため、CPU13-2は、m番目とm+1番目の装置間距離を累積する処理をm=3まで実行する。すなわち、CPU13-2は、第2の順列において1番目の受信装置100aと2番目の受信装置100bとの間の装置間距離La1と、第2の順列において2番目の受信装置100bと3番目の受信装置100cとの間の装置間距離La2と、第2の順列において3番目の受信装置100cと4番目の受信装置100fとの間の装置間距離La5と、が累積される。この結果、第2のグループGr2において(y-z)=4-3=1番目に並べられた受信装置100fの表示距離が取得される。
【0057】
以上の処理を各受信装置について実行することで、以下のように表示距離が取得される。
1番目の受信装置100f:表示距離=La1+La2+La5
2番目の受信装置100g:表示距離=La1+La2+La5+La6
【0058】
以上のように、本実施形態においては、(y-z)番目の受信装置100の表示距離を、距離起算地点の受信装置100と(y-z)番目の受信装置100との直線距離ではなく、第1の道路RD1および分岐道路RD2に沿って並べられた受信装置の装置間距離の累積によって算出している。従って、仮に、曲がっている道路に沿って受信装置100が配置されたとしても、道路に沿った距離の近似値によって表示距離を特定することができる。
【0059】
図4の説明に戻る。表示制御部210cは、表示距離を距離表示地点に配置された受信装置100に送信し、ディスプレイ20に表示させる機能である。すなわち、CPU13-2は、表示制御部210cの機能により、第1の道路RD1上に配置された受信装置100と、分岐道路RD2上に配置された受信装置100と、のそれぞれを送信先とし、各受信装置100の表示距離を送信する。この結果、各受信装置100においては、受信した表示距離をディスプレイ20-1に表示させる。
図1Bに示す例であれば、各受信装置100の装置間距離は全て50mであるため、受信装置100b,100c,100d,100e,100f,100gのディスプレイ20-1には50(m)、100(m)、150(m)、200(m)、150(m)、200(m)が表示される。
【0060】
本実施形態における距離表示制御装置200は、受信装置100としても機能し、かつ、ディスプレイ20-2を備えている。このため、CPU13-2は、表示制御部210cの機能によりディスプレイ20-2を制御し、距離起算地点(1番目の順列)の受信装置100の表示距離、すなわち0(m)を表示させる。
図4においては、当該表示のための信号の流れを破線の矢印で示している。
【0061】
本実施形態において、CPU13-2は、表示距離取得部210bの機能により、予め決められた期間の経過、または、利用者による指示、に応じて表示距離を取得する。すなわち、予め決められた期間が経過すると、CPU13-2は、自動で各受信装置100の位置情報を取得して順列を再取得し、位置情報および順列に基づいて各受信装置100の表示距離を取得する。
【0062】
また、利用者はスイッチ15bによって、表示距離のリセットを指示することができる。この場合も、CPU13-2は、各受信装置100の位置情報を取得して順列を再取得し、位置情報および順列に基づいて各受信装置100の表示距離を取得する。なお、表示距離のリセットを指示するスイッチ15bは、マスターとしての受信装置100において操作されても良いし、スレーブとしての受信装置100において操作されても良い。後者の場合、無線通信モジュール12を介して、スイッチ15bによる指示があったことがマスターとしての受信装置100(すなわち距離表示制御装置200)に伝達される。
【0063】
いずれにしても、新たに表示距離が取得されると、CPU13-2は、表示制御部210cの機能により、第1の道路RD1上に配置された受信装置100と、分岐道路RD2上に配置された受信装置100と、のそれぞれを送信先とし、各受信装置100の新たな表示距離を送信する。また、CPU13-2は、ディスプレイ20-2を制御して、0(m)を表示させる。以上の処理によれば、最新の順列に応じた距離となるように、各受信装置100のディスプレイ20の表示距離が更新される。従って、工事の進捗に応じて受信装置100を移動させ、並び替えたとしても、表示距離は自動的に計算され、正しい値に更新される。
【0064】
以上のような本実施形態によれば、距離起算地点に配置された受信装置100と、距離表示地点に配置された受信装置100との、距離が自動で取得され、ディスプレイ20に表示される。従って、受信装置100を道路上に初期配置した場合や、工事現場が移動したことに伴って受信装置100を移動させた場合に、作業者が距離を計測する必要はない。また、看板1aに表示距離を書いたり、数値を示すマグネットシート等を取り替えたりする必要はない。このため、工事現場からの距離を表示するための手間を低減することができる。
【0065】
さらに、本実施形態においては、受信装置100を並び替えた場合であっても、並び替えた後の配置に応じた表示距離を自動的に取得し、表示させることができる。このため、工事現場が移動したとしても、作業者は受信装置100を移動させるだけで良く、距離を表示するために煩雑な作業をする必要はない。
【0066】
さらに、本実施形態においては、表示距離が更新される構成であるため、受信装置100を移動させるための労力を小さくすることができる。例えば、
図1Bに示す状態から
図2に示す状態に並び替えることを想定する。表示距離が変更できない従来の看板であれば、工事現場が前方に移動すると、その移動距離に合わせて全ての看板を前方に移動させる必要がある。しかし、本実施形態においては、並び替え後の順列に応じた表示距離が再取得されるため、全ての受信装置を移動させる必要はない。例えば、
図2に示す例であれば、受信装置100a,100eを移動させればよく、受信装置100b,100c,100d,100f,100gを移動させる必要はない。
【0067】
さらに、本実施形態においては、工事現場が存在する第1の道路RD1と、当該第1の道路RD1に接続する分岐道路RD2とのそれぞれに並べられた受信装置によって、第1の順列および第2の順列を形成する。そして、これらの順列に従って、各受信装置の表示距離を算出する。従って、分岐した道路のそれぞれに配置された受信装置の表示距離を自動で計算し、表示することが可能である。このため、表示距離を手作業で修正する必要はないし、並べ替え後の距離に合わせて手作業で表示距離を修正する必要もない。従って、工事現場からの距離を表示するための手間を低減することができる。
【0068】
(3-1)受信制御処理:
次に、スレーブとして振る舞う受信装置100が実行する受信制御処理を説明する。
図8は、
図3に示す装置において、予め決められた期間が経過するたびに、または、スイッチ15bによる指示が行われた場合に開始される処理である。上述のように、本実施形態にかかる
図3に示す装置は、受信装置100単体として振る舞うことが可能であり、また、受信装置100かつ距離表示制御装置200として振る舞うことも可能である。このため、これらの役割が確定するまで、共通の処理が実行される。
【0069】
具体的には、CPU13は、識別情報および設定情報を取得する(ステップS10)。すなわち、CPU13は、メモリ14に記録された受信装置100毎の識別情報(ID)および設定情報を取得する。また、CPU13は、スイッチ15aの状態を特定することによって装置の役割(マスターまたはスレーブ)を特定する。
【0070】
次に、CPU13は、設定内容に基づいて、自身がマスター、スレーブのいずれであるのかを判別する(ステップS20)。スレーブに設定されている場合、CPU13は、ステップS100~S125(上述の受信装置制御プログラム110)を実行する。マスターに設定されている場合、CPU13は、ステップS200~S230(上述の距離表示制御プログラム210)を実行する。
【0071】
ここでは、スレーブに設定されている場合の処理を説明する。なお、以後においては、
図4に示す符号を利用して処理を説明する。スレーブに設定されている受信装置100において、CPU13-1は、GNSS信号に基づいて位置情報を取得する(ステップS100)。すなわち、CPU13-1は、受信部110aの機能により、GNSSモジュール11-1を介してGNSS信号を取得する。また、CPU13-1は、位置情報送信部110bの機能により、GNSS信号に基づいて、受信装置100の位置情報を取得する。なお、位置情報を取得する際には、既定期間以内に取得した位置情報同士の差分が既定値以下に収束するまで待って、位置情報を確定させても良い(後述のステップS200でも同様)。この構成によれば、並び替え等による移動中に位置情報が取得されることを防止することができる。
【0072】
次に、CPU13-1は、位置情報送信部110bの機能により、識別情報、位置情報、設定情報を距離表示制御装置200に送信する(ステップS105)。すなわち、CPU13-1は、距離表示制御装置200から位置情報の送信要求が行われるか否か監視している。送信要求が行われた場合、CPU13-1は、ステップS10で取得した識別情報および設定情報と、ステップS100で取得した位置情報とを対応付け、無線通信モジュール12-1を介して、距離表示制御装置200に対して送信する。
【0073】
位置情報が送信されると、距離表示制御装置200は、距離起算地点に配置された受信装置100と、距離表示地点に配置された受信装置100との間の距離である表示距離を算出し、各受信装置に対して返信する。そこで、各受信装置100においては、CPU13-1が、表示距離受信部110cの機能により、距離表示制御装置200から表示距離を取得する(ステップS120)。すなわち、CPU13-1は、自身から工事現場までの距離を示す表示距離を取得する。
【0074】
次に、CPU13-1は、表示距離受信部110cの機能により、表示距離を表示させる(ステップS122)。すなわち、CPU13-1は、ディスプレイ20-1を制御して表示距離を表示させる。この結果、受信装置100においては、工事現場から受信装置100までの距離をディスプレイ20-1上に表示させる。以上の処理が終了すると、CPU13-1は、距離表示制御装置200へ設置の完了通知を送信する(ステップS125)。すなわち、CPU13-1は、全ての受信装置において正常に表示が完了したか否かを距離表示制御装置200において確認するための情報を、当該距離表示制御装置200に対して送信する。なお、CPU13-1は、ステップS120,S122の処理が完了しない状態で既定時間が経過した場合に、エラーとみなしてステップS100以降の処理を繰り返しても良い。
【0075】
(3-2)距離表示制御処理:
次に、マスターとして、すなわち、受信装置100に加えて距離表示制御装置200としても機能する装置が実行する受信制御処理を説明する。
図8に示す処理のステップS20において、マスターに設定されていると判別されると、CPU13は、ステップS200~S230(上述の距離表示制御プログラム210)を実行する。
【0076】
ステップS200において、CPU13-2は、GNSS信号に基づいて位置情報を取得する。すなわち、CPU13-2は、位置情報取得部210aの機能により、GNSSモジュール11-2を介してGNSS信号を取得する。また、CPU13-2は、位置情報取得部210aの機能により、GNSS信号に基づいて、マスターとして振る舞う受信装置100の位置情報を取得する。また、この際にCPU13-2は、距離表示制御装置200としての設定情報を取得する。取得された情報はメモリ14に記憶される。
【0077】
図5Bは、
図1Bに示す例においてメモリ14に記憶される位置情報および設定情報の例を示す図である。本実施形態において各装置には識別情報(ID)が付与されており、
図5Bにおいては、1~7等のIDに対して()内に受信装置の符号100a~100gを対応づけて示している。
図5Bに示すように、距離表示制御装置200のメモリ14には、各装置の識別情報に対して、位置情報および設定情報(マスター(M)とスレーブ(S)との区別、グループ、基点であるか否かの区別および順列)が対応づけて記憶される。ステップS200においてCPU13-2は、マスター(M)として機能する距離表示制御装置200の位置情報を取得するため、距離表示制御装置200の識別情報(
図5Bに示す例ではID:1)に位置情報(X
1,Y
1)を対応付けて記憶する。また、本実施形態において、距離表示制御装置200は、マスターであり、第1のグループに属することが設定され、かつ、第1の道路上において距離起算地点に配置される受信装置100である。このため、CPU13-2は、マスターであることを示すフラグ(1)と、基点であることを示すフラグ(1)と、第1のグループに属することを示す情報(1)と、を識別情報に対応づけて記憶する。なお、順列は後述の処理で特定されるため、ステップS200の段階では、順列を示す情報は特定されていない。
【0078】
次に、CPU13-2は、各受信装置から識別情報、位置情報、設定情報を取得する(ステップS205)。すなわち、CPU13-2は、無線通信モジュール12-2を介して各受信装置に対して位置情報の送信要求を行う。この結果、CPU13-2は、道路上の距離表示地点に配置された受信装置100から送信される識別情報、位置情報、設定情報を取得する。ここでも、取得された情報はメモリ14に記憶される。
【0079】
すなわち、
図5Bに示すスレーブの各受信装置100について情報が記録される。具体的には、識別情報がID2~ID7の受信装置のそれぞれに対して、その位置情報(X
2,Y
2)~(X
7,Y
7)を対応付け、各受信装置の設定情報を対応づける。上述のように、設定情報は、受信装置100が属するグループ、グループ内での基点であるか否かを示すフラグを含む。このため、
図5Bに示す例においては、ID2~ID7の受信装置からこれらの情報が取得され、各IDに対応づけられてメモリ14に記録される。具体的には、ID2~ID5の受信装置は第1のグループに属し、ID6,ID7の受信装置は第2のグループに属するため、ID2~ID5に対して第1のグループに属することを示す情報(1)、ID6,ID7に対して第2のグループに属することを示す情報(2)が対応づけられる。第2のグループにおいては、ID6の受信装置が基点になるため、ID6に対して基点であることを示すフラグ(1)が対応づけられる。基点ではない受信装置にはフラグ(0)が対応づけられる。なお、本実施形態において、第2のグループの基点は、第1のグループに属する受信装置に最も近くなるように、分岐道路RD2上に配置される。従って、
図7に示す例の場合、交差点Iに配置された受信装置100cに対して最も近い受信装置100fが基点である。
【0080】
ステップS205が終了した段階で、スレーブとして機能する受信装置100の順列は特定されていない。そこで、CPU13-2は、表示距離取得部210bの機能により、受信装置の順列を決定する(ステップS210)。当該順列を決定するための処理は後述する。受信装置の順列が決定されると、
図5Bに示す情報において、スレーブとして機能する受信装置100の順列が、第1の順列、第2の順列のそれぞれについて決定された状態になる。
【0081】
そこで、CPU13-2は、表示距離取得部210bの機能により、表示距離を算出する(ステップS215)。当該表示距離を算出するための処理は後述する。表示距離が決定されると、CPU13-2は、表示制御部210cの機能により、各受信装置へ表示距離を送信する(ステップS220)。すなわち、表示距離は、各受信装置100のそれぞれについて特定されているため、CPU13-2は、無線通信モジュール12-2を介して、第1の順列の2番目からx番目を構成する受信装置100のそれぞれに対して、第1の順列の2番目からx番目の受信装置100の表示距離を送信する。また、CPU13-2は、無線通信モジュール12-2を介して、第2の順列を構成し、分岐道路RD上に並べられた受信装置100のそれぞれ(
図7に示す例であればm=4,5の受信装置)に対して、各受信装置の表示距離を送信する。
【0082】
次に、CPU13-2は、受信装置から完了通知を受信する処理を行う(ステップS225)。そして、CPU13-2は、全受信装置から完了通知を受信したか否か判定し(ステップS230)、全受信装置から完了通知を受信したと判定されなければ、ステップS205以降の処理を繰り返す。すなわち、全受信装置から完了通知を受信したと判定されない場合、表示距離が適正に表示されていない可能性があるとみなし、ステップS205以降の処理を繰り返す。なお、この場合、
図5Bに示す情報の中の、スレーブの情報は初期化され、ステップS205以降の処理過程で、再度記録されていく。
【0083】
(3-3)順列決定処理:
次に、ステップS210における順列決定処理を説明する。
図9、
図10は、受信装置の順列を決定する順列決定処理のフローチャートである。順列決定処理において、CPU13-2は、ステップS300~S330の処理により、第1のグループに属する受信装置100における順列である第1の順列を決定する。また、CPU13-2は、ステップS340以降の処理により、第1のグループに属する受信装置100および第2のグループに属する受信装置100の順列である第2の順列を決定する。CPU13-2は、第1のグループの中で基点フラグがオンの受信装置を1番目に設定する(ステップS300)。すなわち、CPU13-2は、メモリ14に記録された情報を参照し、第1のグループを示す情報(1)が対応づけられ、かつ、基点フラグがオン(1)になっている受信装置が1番目に設定される。
図5Bに示す例であれば、ID1の受信装置(
図6に示す受信装置100a)が、1番目に設定される。次に、CPU13-2は、第1の順列を示す変数nを1に設定する(ステップS302)。
【0084】
次に、CPU13-2は、n番目に最も近い受信装置100がn-1番目であるか否か判定する(ステップS305)。すなわち、CPU13-2は、メモリ14に記憶された情報を参照し、第1のグループのn番目の受信装置100の位置情報と第1のグループの他の受信装置100の位置情報とを比較し、最も近い受信装置100を特定する。そして、CPU13-2は、当該最も近い受信装置100が、n-1番目であるか否かを判定する。
図5Bおよび
図6に示す例(装置間距離は全て等しく50m)であれば、n=1の状態でステップS305が実行されることにより、1番目の受信装置100aに最も近い受信装置が受信装置100bであると特定する。この段階で、受信装置100bの順列は未定であるため、CPU13-2は、n番目に最も近い受信装置100がn-1番目ではないと判定する。
【0085】
ステップS305において、n番目に最も近い受信装置100がn-1番目であると判定されない場合、CPU13-2は、n番目に最も近い受信装置100をn+1番目に設定する(ステップS310)。
図5Bおよび
図6に示す例でn=1の場合、1番目の受信装置100aに最も近い第1のグループの受信装置100bが2番目に設定される。
【0086】
次にCPU13-2は、第1のグループに順列未定の受信装置100が存在するか否かを判定する(ステップS325)。ステップS325において、第1のグループに順列未定の受信装置100が存在すると判定された場合、CPU13-2は、変数nをインクリメントし(ステップS330)、ステップS305以降の処理を繰り返す。
図5Bおよび
図6に示す例でn=1の場合、受信装置100c~100eの順列が未定であるため、ステップS325において、第1のグループに順列未定の受信装置100が存在すると判定される。従って、変数nが2となってステップS305以降が繰り返される。
【0087】
一方、ステップS305において、n番目に最も近い受信装置100がn-1番目であると判定された場合、CPU13-2は、n番目から2番目に近い順列未定の受信装置を特定する(ステップS315)。すなわち、CPU13-2は、メモリ14に記憶された情報を参照し、第1のグループのn番目の受信装置100の位置情報と第1のグループの他の受信装置100の位置情報とを比較し、n番目から2番目に近い順列未定の受信装置100を特定する。
図5Bおよび
図6に示す例でn=2の場合、2番目の受信装置100bからの距離は受信装置100a,100cで同一であり、かつ最小である。従って、ステップS305において、2番目の受信装置100に最も近い受信装置は受信装置100a,100cであると判定される。そして、受信装置100aは順列特定済であるため、ステップS315においては、受信装置100cが特定される。
【0088】
次に、CPU13-2は、2番目に近い順列未定の受信装置をn+1番目に設定する(ステップS320)。
図5Bおよび
図6に示す例でn=2の場合、受信装置100cが3番目に設定される。以後、CPU13-2は、ステップS325以降の処理を実行する。
図5Bおよび
図6に示す例でn=2の場合、ステップS325では、第1のグループに順列未定の受信装置が存在すると判定され、変数nが3になってステップS305以降の処理が実行される。
【0089】
この場合、ステップS305において、3番目に最も近い受信装置100bが2番目の受信装置であると判定され、ステップS315,S320において、受信装置100dが4番目に設定される。さらにステップS325,S330を経てステップS305以降が繰り返され、ステップS305を経てステップS315,S320において、受信装置100eが5番目に設定される。この後、ステップS325で第1のグループに順列未定の受信装置が存在しないと判定される。以上のように、ステップS325において順列未定の受信装置が存在しないと判定される場合、(n+1)が第1の順列に属する受信装置の数に一致している。従って、第1の順列に属する受信装置の数をxとした場合に、nが(x-1)になるまでステップS305~S325が繰り返されたことになる。
【0090】
ステップS325において、第1のグループに順列未定の受信装置が存在しないと判定された場合、決定済の並び順を第1の順列とみなし、
図10に示す処理に移行して第2の順列を決定する。この場合、
図5Bに示すように、第1のグループが属する受信装置の第1の順列1~5が特定された状態になる。
【0091】
第2の順列を決定するため、CPU13-2は、第2のグループの基点を特定する(ステップS340)。すなわち、メモリ14を参照し、各受信装置の設定情報に基づいて、第2のグループに属する受信装置を特定し、その中から基点フラグがオンになっている受信装置を特定する。
図5Bおよび
図7に示す例であれば、ID6の受信装置100fが当該受信装置として特定される。
【0092】
次に、CPU13-2は、第2のグループの基点に最も近い第1グループの受信装置Aを特定する(ステップS345)。すなわち、CPU13-2は、メモリ14を参照し、第1のグループに属する受信装置を特定し、各受信装置の位置情報を取得する。そして、CPU13-2は、当該位置情報と、ステップS340で特定された受信装置の位置情報とを比較し、最も近い第1グループの受信装置を受信装置Aとして特定する。
図5Bおよび
図7に示す例であれば、受信装置100fに最も近い第1のグループの受信装置は、交差点Iに配置された受信装置100cである。従って、当該受信装置100cが受信装置Aとして特定される。
【0093】
次に、CPU13-2は、第1の順列のうち、第1のグループの基点から受信装置Aまでで構成される順列を第2の順列として流用する(ステップS350)。すなわち、本実施形態において、第1の順列の一部は第1の順列によって構成され、残りの部分が第2のグループの受信装置によって構成される。そこで、CPU13-2は、第1のグループの基点から受信装置Aまでの受信装置を、第1の順列と、第2の順列との双方を構成する受信装置として抽出する。
図5Bおよび
図7に示す例であれば、受信装置100aが第1のグループの基点であり、受信装置100cが受信装置Aである。CPU13-2は、抽出した受信装置によって形成される第1の順列における並び順を第2の順列にも流用する。従って、
図5Bおよび
図7に示す例であれば、受信装置100a,100b,100cによって形成される順列が第2の順列として流用される。この結果、
図5Bに示されるように、ID1~3である受信装置100a~100cが形成する第1の順列(順列1~3)が第2の順列でもあるとみなされる。
図7においては、第2の順列を変数mで示しており、ステップS350までの処理において、m=1~3までが決定されることになる。
【0094】
次に、CPU13-2は、第2のグループの基点を仮順列の1番目に設定する(ステップS355)。すなわち、本実施形態においては、第2のグループに属する受信装置の順列を仮順列として特定し、ステップS350における流用によって特定された第2の順列に対して、仮順列を追加することによって第2の順列を特定させる。そこで、CPU13-2は、仮順列を設定するために、ステップS340で特定された第2のグループの基点を、仮順列の1番目に設定する。
図5Bおよび
図7に示す例であれば、受信装置100fが仮順列の1番目に設定される。
【0095】
次に、CPU13-2は、仮順列の順番を示す変数oを1に設定し(ステップS360)、ステップS365~S390の処理を実行する。これらのステップS365~S390の処理は、ステップSS305~S330の処理と同様である。すなわち、ステップS365~S390の処理において仮順列の設定対象となる受信装置は第2のグループの受信装置であるが、第2のグループの受信装置が対象となる点以外はステップS305~S330の処理と同じ処理が実行される。
【0096】
ステップS365~S390の処理が実行されると、仮順列が特定される。例えば、
図5Bおよび
図7に示す例においては仮順列を変数oで示しており、o=1,2が特定され、第2のグループGr2に属する受信装置が受信装置100f,100gの順に並んでいることが特定される。
【0097】
以上のように仮順列が特定されると、CPU13-2は、ステップS385において、第2のグループに順列未定の受信装置が存在しないと判定する。この場合、CPU13-2は、仮順列を第2の順列の後に追加する(ステップS395)。例えば、
図5Bおよび
図7に示す例であれば、ステップS350までの処理で第2の順列におけるm=1~3が決まっているので、次の順序であるm=4以降の順列として、仮順列を追加する。すなわち、仮順列の1,2番目の受信装置が第2の順列の4,5番目の受信装置となる。以上のように、ステップS385において順列未定の受信装置が存在しないと判定される場合、o+1が第2のグループGr2に属する受信装置の数に一致している。第2の順列に属する受信装置の数がy、交差点に存在する受信装置の第2の順列における順列をzとすると、第2のグループGr2に属する受信装置の数は(y-z)である。従って、ステップS385において順列未定の受信装置が存在しないと判定される場合、oが(y-z-1)になるまでステップS365~S385が繰り返されたことになる。
【0098】
なお、ステップS365~S390は、第2のグループの受信装置が2台以上の場合に実行されればよく、第2のグループの受信装置が1台であれば、当該1台の受信装置をステップS350で特定された第2の順列に追加すれば良い。いずれにしても、第2の順列が特定されると、CPU13-2は、
図8に示す処理に復帰する。本実施形態においては、以上の処理によって順列が特定されるが、順列決定処理は、任意のタイミングで実行されてよい。例えば、
図1Bに示す状態から
図2のように並び替えられた場合であっても、順列決定処理が実行されることで、並び替え後の第1の順列および第2の順列が取得される。
【0099】
(3-4)表示距離算出処理:
次に、ステップS215における表示距離算出処理を説明する。
図11は、各受信装置の表示距離を算出する表示距離算出処理のフローチャートである。表示距離算出処理において、CPU13-2は、ステップS400~S430の処理により、第1のグループに属する受信装置について表示距離を取得する。また、CPU13-2は、ステップS440~S465の処理により、第2のグループに属する受信装置について表示距離を取得する。
【0100】
具体的には、CPU13-2は、第1の順列を示す変数nを1、表示距離を示す変数Dsを0に設定する(ステップS400)。次に、CPU13-2は、n番目の受信装置100の表示距離をDsに設定する(ステップS405)。すなわち、CPU13-2は、第1の順列において1番目の受信装置100の表示距離を0(m)に設定する。
【0101】
次に、CPU13-2は、n番目とn+1番目の受信装置100の間の装置間距離Laを取得する(ステップS410)。次に、CPU13-2は、変数DsにDs+Laを代入し(ステップS415)、Dsをn+1番目の受信装置の表示距離として取得する(ステップS420)。例えば、
図5Bおよび
図6に示す例でn=1の場合、ステップS410において、1番目の受信装置100aと2番目の受信装置100bとの間の装置間距離La1が取得される。ステップS415において変数DsにDs+La1(=0+La1)が代入され、ステップS420において、2番目の受信装置100bの表示距離がLa1となる。取得された表示距離は、受信装置の識別情報に対応づけられてメモリ14に記録される。
【0102】
次に、CPU13-2は、nがx-1であるか否か、すなわち、x番目の受信装置100までの装置間距離を累積したか否か、を判定する(ステップS425)。nがx-1であると判定されない場合、CPU13-2は、変数nをインクリメントし(ステップS430)、ステップS410以降の処理を繰り返す。
【0103】
例えば、
図5Bおよび
図6に示す例でn=2となってステップS410が実行されると、ステップS410では、第1の順列において2番目の受信装置100bと3番目の受信装置100cとの間の装置間距離La2が取得される。そして、ステップS415において装置間距離が累積されて変数Dsが更新されてLa1+La2となり、ステップS420において3番目の受信装置の表示距離がLa1+La2となる。
【0104】
以上の処理は、n番目とn+1番目の前記受信装置の間の装置間距離をnがx-1となるまでnが小さい値から順に累積する処理である。この累積を、nがx-1となるまで実行すれば、第1の順列においてx番目の受信装置の表示距離が取得される。この処理によれば、距離起算地点に配置された受信装置から、距離表示地点に配置された受信装置までの距離である表示距離を、第1の道路RD1に沿った距離として取得することができる。
【0105】
以上のようにして第1の道路RD1上に配置された第1のグループに属する受信装置100の表示距離が取得されると、ステップS440以降で、第2のグループに属する受信装置の表示距離が取得される。具体的には、CPU13-2は、交差点に存在する受信装置の第2の順列における順列zを変数mに代入し、表示距離を変数Dsに代入する(ステップS440)。すなわち、第2のグループの受信装置は、第2の順列において、交差点Iに存在する受信装置よりも後の順列に該当する。
【0106】
そこで、CPU13-2は、メモリ14を参照し、第2の順列を構成する受信装置の中で、基点の受信装置の直前の順列である受信装置を交差点に存在する受信装置とみなす。
図5Bおよび
図7に示す例であれば、交差点Iに配置された受信装置100cが当該受信装置として特定される。そして、CPU13-2は、当該受信装置の順列zをmに代入し、表示距離をDsに代入する。
図5Bおよび
図7に示す例であれば、順列zは3であるため、変数mに3が代入され、ステップS420で取得された受信装置100cの表示距離(La1+La2)が変数Dsに代入される。
【0107】
ステップS445~S465の処理は、ステップS410~S430と同様の処理である。ステップS460においてCPU13-2は、mがy-1と等しいか否か判定することによって、ステップS445~S465のループを終了するか否か特定する。
【0108】
以上の処理によれば、例えば、
図5Bおよび
図7に示す例でm=3となってステップS445が実行されると、ステップS445では、第2の順列において3番目である受信装置100cと4番目である受信装置100fとの間の装置間距離La5が取得される。そして、ステップS450において装置間距離が累積されて変数Dsが更新されてLa1+La2+La5となり、ステップS455において4番目の受信装置の表示距離がLa1+La2+La5となる。
【0109】
以上の処理は、m番目とm+1番目の前記受信装置の間の装置間距離をmがy-1となるまでmが小さい値から順に累積する処理である。この累積を、mがy-1となるまで実行すれば、第2の順列においてy番目の受信装置(第2のグループにおいて(y-z)番目に並べられた受信装置)の表示距離が取得される。この処理によれば、距離起算地点に配置された受信装置から、距離表示地点に配置された受信装置までの距離である表示距離を、第1の道路RD1および分岐道路RD2に沿った距離として取得することができる。
【0110】
(4)第2実施形態:
上述の距離表示システムは、一実施形態であり、異なる構成によって距離表示システムが実現され得る。例えば、順列は3個以上定義されても良い。
図12Aは交差点Iを中心とした十字路に受信装置が配置された場合の例を示している。このような道路において、3個以上の順列を形成するようにして各受信装置において表示距離を表示させる構成であっても良い。
【0111】
図12Aにおいては、ID1~ID9までの受信装置100a~100iが各道路に配置されている。すなわち、交差点Iを挟んで直線状に延びる第1の道路RD1上に受信装置100a~100eが配置され、交差点Iで第1の道路RD1から分岐する分岐道路RD2上に受信装置100f,100gが配置されている。さらに、交差点Iで第1の道路RD1から分岐する分岐道路RD3上に受信装置100h,100iが配置されている。
【0112】
以上のような配置において、距離表示制御装置200と、受信装置100a~100eと、受信装置100f,100gとは、上述の実施形態と同様の処理を行う。受信装置100h,100iに関しても、受信装置100f,100gと同様の制御で実現可能であるが、受信装置100h,100iと、受信装置100f,100gとでは、グループが異なり、順列も異なる。
【0113】
具体的には、受信装置100h,100iにおいて、スイッチ15cを操作して、受信装置100a~100gと異なるグループとなるように設定する。また、受信装置100h,100iのうち、交差点Iに最も近い受信装置100においては、グループ内での先頭であることを示す基点フラグがオンに設定される。距離表示制御装置200においては、このような設定に基づいて、受信装置100h,100iの順列を第3の順列として決定する。
図12Bは、
図12Aのように配置された各受信装置100a~100iでの位置情報、設定情報、順列を示す図である。上述の実施形態と同様に、受信装置100a~100iにおいて
図8に示すステップS100以降の処理が行われ、距離表示制御装置200において
図8に示すステップS200以降の処理が行われると、距離表示制御装置200のメモリ14において、
図12Bに示されるような情報が順次記録されていく。
【0114】
具体的には、距離表示制御装置200においては、ステップS210、
図9,
図10に示す受信装置の順列決定処理において、受信装置100h,100iに関する処理も追加して行う。すなわち、CPU13-2は、ステップS395の後、受信装置100h,100iを対象として、ステップS340~S395と同様の処理を実行する。受信装置100h,100iは第3のグループに属するため、この処理においてCPU13-2は、ステップS340~S350と同様の処理を実行して第1の順列である受信装置100a~100cの順列を第3の順列として流用する。
【0115】
さらに、CPU13-2は、ステップS355と同様の処理によって第3のグループの基点である受信装置100hを仮順列の1番目に設定する。さらに、ステップS360~S390と同様の処理を行って受信装置100iが仮順列の2番目であると設定する。そして、CPU13-2は、ステップS395と同様の処理を行って、仮順列を第3の順列に追加する。この結果、受信装置100a,100b,100c,100h,100iという順序である第3の順列が特定される。
【0116】
さらに、ステップS215における表示距離算出処理も、
図11に示す表示距離算出処理において、受信装置100h,100iに関する処理が追加されることによって実現される。すなわち、CPU13-2は、ステップS460において、m=y-1であると判定された後、受信装置100h,100iを対象として、ステップS440~S465と同様の処理を実行する。受信装置100h,100iは第3の順列を形成するため、この処理においてCPU13-2は、ステップS440と同様の処理を実行して交差点Iに存在する受信装置100cの第3の順列における順列3を変数mに代入し、表示距離La1+La2を変数Dsに代入する。
【0117】
さらに、CPU13-2は、ステップS445~S465と同様の処理によって第3の順列に沿って、装置間距離を累積することによって受信装置100h,100iの表示距離を取得する。以上の処理が行われると、CPU13-2は、ステップS220において、各受信装置へ表示距離を送信する。この結果、受信装置100h,100iを含めた各受信装置において、表示距離が表示される。このような構成において、第1のグループと他のグループとの関係に着目すれば、2個のグループの関係で表示距離が定義されるため、請求項における第2のグループは、複数個存在しても良い。
【0118】
(5)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、第1の道路および分岐道路に配置された受信装置において位置情報を取得し、当該位置情報に基づいて、受信装置間の距離を取得し、ディスプレイに表示させる限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、看板の表示内容、大きさ、形状等は限定されないし、ディスプレイの取付対象も看板に限定されない。また、受信装置や距離表示制御装置は、その機能の少なくとも一部が複数の装置に分散されていても良いし、他の装置と連携しても良い。
【0119】
さらに、上述の実施形態において受信装置100と距離表示制御装置200とは同一のハードウェア構成で実現されるが、異なる装置で実現されていても良い。また、距離表示制御装置200は、ディスプレイ20を備えなくても良い。さらに、距離起算地点に配置された受信装置100がディスプレイ20を備えていなくても良い。さらに、距離表示制御装置200で取得される距離が、表示以外の目的に利用されても良い。例えば、受信装置100の移動過程において距離が特定され、当該距離と既定の値(例えば、下二桁が0になる値)との誤差が閾値以下になったら報知されるような構成が採用されてもよい。この構成によれば、距離が既定の値の位置に受信装置100を容易に配置することができる。
【0120】
さらに、距離表示制御装置200が複数台用意されても良い。この場合、異なる距離表示制御装置200が制御対象とする受信装置100が区別される。また、同一の道路上に、基点が異なる複数の順列を構成する複数のグループの受信装置が並べられても良い。この場合、距離表示制御装置200は、受信装置のグループを区別し、グループ毎に順列を定義し、表示距離を特定する。さらに、受信装置100が配置される道路は直線状の道路に限定されず、カーブ道路上に配置されても良い。表示距離は、受信装置100の装置間距離を累積することによって特定されるため、カーブ道路上に受信装置100が配置されたとしても、表示距離は、道路に沿った距離の近似値となる。
【0121】
さらに、受信装置のグループ分けの態様は、上述の実施形態のような態様に限定されない。例えば、
図5Aに示された配置において、受信装置100a~100cが第1のグループ、受信装置100d,100eが第2のグループ、受信装置100f,100gが第3のグループとなるように分類し、それぞれにおいて順列が特定されても良い。
【0122】
位置情報取得部は、GNSS信号を受信する複数の受信装置から受信装置の位置情報を取得することができればよい。すなわち、位置情報取得部は、表示距離の算出元の情報として、複数の受信装置のそれぞれの位置情報を取得することができればよい。位置情報は、受信装置の位置(座標)を特定するための情報であれば良く、航法衛星から取得したGNSS信号自体であっても良いし、GNSS信号に対して処理を行うことで取得された情報であってもよい。
【0123】
表示距離取得部は、位置情報に基づいて、距離起算地点に配置された受信装置と、ディスプレイを備え、かつ、距離表示地点に配置された受信装置と、の距離を表示距離として取得することができればよい。すなわち、表示距離取得部は、受信装置の位置情報に基づいて表示距離を取得することができればよい。表示距離は、距離表示地点に配置された受信装置から、ディスプレイを備えた受信装置までの距離であれば良い。従って、表示距離は、2個の受信装置の直線距離であっても良いし、2個の受信装置の間の道路沿いの距離であっても良い。道路沿いの距離を取得するための構成は、種々の構成が可能である。例えば、上述の実施形態のように、装置間距離の累積によって取得されても良いし、道路の形状等に基づいて道路沿いの距離が計算され、取得されても良い。
【0124】
距離起算地点は、表示距離を計測する際の起点となる位置であれば良く、例えば、工事現場の一地点等である。従って、距離起算地点は、工事の進捗等に応じて可変であって良い。ディスプレイは、表示距離を表示するための装置であれば良く、受信装置と一体であっても良いし、信号線等によって受信装置と接続された別体の構成であっても良い。
【0125】
表示制御部は、表示距離を距離表示地点に配置された受信装置に送信し、ディスプレイに表示させることができればよい。すなわち、距離表示制御装置は、受信装置に対して、当該受信装置のディスプレイに表示すべき表示距離を送信することで、当該ディスプレイに表示距離を表示させる。ディスプレイの制御等は、受信装置が主体となって実施してよいが、距離表示制御装置は、少なくとも、ディスプレイに表示するために表示距離を受信装置に対して送信することができればよい。むろん、距離表示制御装置からの制御信号によって表示距離がディスプレイに表示されても良い。
【0126】
第1の道路は、距離起算地点が存在する道路であり、当該第1の道路には交差点が存在し、当該交差点に分岐道路が接続される。むろん、分岐道路は2本以上存在しても良い。また、上述の実施形態においては、交差点に受信装置が配置されたが、受信装置の配置方法はこれに限定されず、受信装置が交差点に存在しない配置であっても良い。受信装置のグループ分け方法は、上述の実施形態における方法に限定されない。例えば、受信装置のIDとグループとの対応関係が予め設定され、距離表示制御装置200において設定情報として記録されていても良い。
【0127】
受信装置の順列の生成法は、上述の実施形態のように、最も近い受信装置を順次選択することによって生成される方法に限定されない。例えば、受信装置の位置に基づいて、受信装置の位置を結ぶ1本の線を特定し、当該線上に受信装置が並んでいるとみなされる構成等が採用されてもよい。さらに、順列は、受信装置の並び順を定義していれば良く、
図5Bのように数値で規定される構成と等価な構成であって良い。例えば、片方向リストのようなリンクリスト等で定義されていても良い。
【0128】
スイッチ15a~15cによる設定は、運用開始前の初期に実施されてもよいが、運用開始後に実施されてもよい。例えば、スイッチ15a、15cへの操作によって、距離起算地点に配置される受信装置、基点となる受信装置、距離表示制御装置として振る舞う受信装置等が変更されても良い。
【0129】
さらに、距離表示システムが利用されるシーンは、上述のような道路上でのシーンに限定されない。例えば、駐車場のような広い敷地内に受信装置が並べられる構成であっても良い。
【0130】
さらに、本発明のように、第1の道路および分岐道路に配置された受信装置において位置情報を取得し、当該位置情報に基づいて、受信装置間の距離を取得し、ディスプレイに表示させる手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0131】
1a…看板、11…GNSSモジュール、12…無線通信モジュール、13…CPU、14…メモリ、15a~15c…スイッチ、20…ディスプレイ、20a…表示パネル、20b…パネル制御部、100…受信装置、110…受信装置制御プログラム、110a…受信部、110b…位置情報送信部、110c…表示距離受信部、200…距離表示制御装置、210…距離表示制御プログラム、210a…位置情報取得部、210b…表示距離取得部、210c…表示制御部