(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】合成樹脂積層発泡シート及びその製造方法、食品容器
(51)【国際特許分類】
B32B 27/32 20060101AFI20220616BHJP
B32B 5/18 20060101ALI20220616BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B32B5/18
B65D65/40 D
(21)【出願番号】P 2016209546
(22)【出願日】2016-10-26
【審査請求日】2019-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】391011825
【氏名又は名称】中央化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109243
【氏名又は名称】元井 成幸
(72)【発明者】
【氏名】片岡 亮太
(72)【発明者】
【氏名】小山 政利
【審査官】岩田 行剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-120338(JP,A)
【文献】特開2002-219781(JP,A)
【文献】特開2004-330461(JP,A)
【文献】特開2008-207471(JP,A)
【文献】特開2003-080648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B65D 65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡層と、前記発泡層の片面若しくは両面に積層される
無機充填材を含有させたポリプロピレンで形成された非発泡中間層と、前記非発泡中間層の外側に積層される
無機充填剤が含まれないポリプロピレンで形成された非発泡表面層とから構成される基材と、
前記基材の非発泡表面層の上に積層された非発泡熱ラミネートフィルムとを備える合成樹脂積層発泡シートであって、
前記非発泡熱ラミネートフィルムが一層以上の
ポリプロピレン樹脂層を有し、前記
ポリプロピレン樹脂層の総厚みが40μm以上であることを特徴とする合成樹脂積層発泡シート。
【請求項2】
前記基材に対する前記非発泡熱ラミネートフィルムの剥離強度が3.0N/15mm以上であることを特徴とする請求項1記載の合成樹脂積層発泡シート。
【請求項3】
請求項1又は2記載の合成樹脂積層発泡シートの製造方法であって、
前記基材の前記非発泡熱ラミネートフィルムと固着する側の前記非発泡表面層を前記非発泡表面層の融点以下の温度に予備加熱する第1工程と、
前記非発泡熱ラミネートフィルムを構成する前記
ポリプロピレン樹脂層の融点以上の温度に加熱した加熱ロールにより、前記基材と前記非発泡熱ラミネートフィルムを熱ラミネートする第2工程と
を備えることを特徴とする合成樹脂積層発泡シートの製造方法。
【請求項4】
請求項1又は2記載の合成樹脂積層発泡シートで形成され、前記非発泡熱ラミネートフィルムが食品側に配置されていることを特徴とする食品容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡層を有する合成樹脂積層発泡シート及びその製造方法、合成樹脂積層発泡シートで形成される食品容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発泡層を有する合成樹脂積層発泡シートとして特許文献1のポリプロピレン系樹脂積層発泡シートがある。このポリプロピレン系樹脂積層発泡シートは、ポリプロピレン系樹脂発泡シートに、ポリプロピレン系樹脂層と印刷層からなるポリプロピレン系樹脂印刷フィルムを印刷層が発泡シート側になるように熱ラミネーション法によって積層し、フィルムと発泡シートとの剥離強度を1.5N/25mm以上にしたものである。
【0003】
そして、特許文献1の請求項2及び6頁左欄19~24行目には、加熱成形時のフィルム層の破断防止と軽量性の観点から、ポリプロピレン系樹脂印刷フィルムのポリプロピレン系樹脂層の厚みを15~100μmとすることが開示され、更に、特許文献1の7頁右欄17~19行目及び表1には、全実施例1~4のポリプロピレン系樹脂印刷フィルムの厚みを25μmとしたこと、実施例1~4の剥離強度が2.3N/25mm、1.7N/25mm、2.1N/25mm、2.5N/25mmであったことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、合成樹脂積層発泡シートで成形された食品容器に油分を含む食品が収容されている場合に、食品容器を電子レンジで加熱すると、油分を含む食品が高温になって局所的に150℃を超える温度になる場合がある。このような場合に、上述の厚み25μmのポリプロピレン系樹脂印刷フィルムが積層された樹脂積層発泡シートから形成され、ポリプロピレン系樹脂印刷フィルムを食品側にして成形された食品容器が用いられていると、厚み25μmのポリプロピレン系樹脂印刷フィルムの薄さにより、加熱による熱がフィルムの固着界面に到達し、フィルムの剥離(デラミ)が発生してしまう。
【0006】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、非発泡ラミネートフィルムを食品側にして油分を含む食品等の高沸点食品を電子レンジで加熱した際に、加熱による熱がフィルムの固着界面に到達することを抑制し、非発泡ラミネートフィルムの剥離を防止することができる合成樹脂積層発泡シート及びその製造方法、この合成樹脂積層発泡シートで成形された食品容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の合成樹脂積層発泡シートは、発泡層を有する基材と、前記基材上に積層された非発泡ラミネートフィルムとを備える合成樹脂積層発泡シートであって、前記非発泡ラミネートフィルムが一層以上のポリオレフィン系樹脂層を有し、前記ポリオレフィン系樹脂層の総厚みが40μm以上であることを特徴とし、食品用に適する合成樹脂積層発泡シートである。
これによれば、非発泡ラミネートフィルムの総厚み40μm以上のポリオレフィン系樹脂層により、非発泡ラミネートフィルムと基材との固着界面に加熱による熱が到達することを抑制することができる。従って、非発泡ラミネートフィルムを食品側にして油分を含む食品等の高沸点食品を電子レンジで加熱した際にも、加熱による熱がフィルムの固着界面に到達することを抑制し、非発泡ラミネートフィルムの剥離(デラミ)を防止することができる。尚、これは特許文献1の加熱成形時のフィルム層の破断防止とは異質な効果である。
【0008】
本発明の合成樹脂積層発泡シートは、前記基材に対する前記非発泡ラミネートフィルムの剥離強度が3.0N/15mm以上であることを特徴とする。
これによれば、基材と非発泡ラミネートフィルムの十分な固着強度を確保することができ、合成樹脂積層発泡シートで食品容器を加熱成形する際に、非発泡ラミネートフィルムを基材に良好に追従させ、デラミを発生させずに複雑な形状の食品容器を成形することができる。尚、特許文献1の剥離強度1.5N/25mmのシートでは、食品容器を加熱成形する際に、複雑な形状の食品容器を成形すると、固着強度不足によって非発泡ラミネートフィルムが基材に追従できずにデラミが発生することがある。また、基材と非発泡ラミネートフィルムの十分な固着強度の確保により、電子レンジ加熱の際にも、非発泡ラミネートフィルムの剥離(デラミ)をより確実に防止することができる。
【0009】
本発明の合成樹脂積層発泡シートは、前記基材が、前記発泡層と、前記発泡層の片面若しくは両面に積層される非発泡表面層とを有することを特徴とする。例えば発泡層と、前記発泡層の片面若しくは両面に積層される非発泡表面層とから構成される基材と、前記基材の非発泡表面層の上に積層された非発泡熱ラミネートフィルムとを備え、前記非発泡熱ラミネートフィルムが一層以上のポリオレフィン系樹脂層を有し、前記ポリオレフィン系樹脂層の総厚みが40μm以上である合成樹脂積層発泡シートとすると好適であり、更には、前記基材に対する前記非発泡熱ラミネートフィルムの剥離強度を3.0N/15mm以上とするとより好適である。
これによれば、例えば、発泡層に無機充填剤が含まれる場合、ダイス口に無機充填剤の残渣であるメヤニが発生し、発泡層表面の異物となり易いが、例えば、無機充填剤が含まれない非発泡表面層により、発泡層と非発泡表面層と同時に押出成形することが可能となり、製造時のメヤニの発生、メヤニによる成型品のコンタミを抑制、防止することができる。
【0010】
本発明の合成樹脂積層発泡シートは、前記基材が、前記発泡層と、前記発泡層の片面若しくは両面に積層される非発泡中間層と、前記非発泡中間層の外側に積層される非発泡表面層を有することを特徴とする。例えば発泡層と、前記発泡層の片面若しくは両面に積層される無機充填材を含有させたポリプロピレンで形成された非発泡中間層と、前記非発泡中間層の外側に積層される無機充填剤が含まれないポリプロピレンで形成された非発泡表面層とから構成される基材と、前記基材の非発泡表面層の上に積層された非発泡熱ラミネートフィルムとを備え、前記非発泡熱ラミネートフィルムが一層以上のポリプロピレン樹脂層を有し、前記ポリプロピレン樹脂層の総厚みが40μm以上である合成樹脂積層発泡シートとすると好適であり、更には、前記基材に対する前記非発泡熱ラミネートフィルムの剥離強度を3.0N/15mm以上とするとより好適である。
これによれば、非発泡中間層、好適には無機充填材を含有させたポリプロピレンで形成された非発泡中間層により、シートに所要強度を確保することができる。また、非発泡中間層に無機充填剤が含まれる場合、ダイス口に無機充填剤の残渣であるメヤニが発生し、非発泡中間層表面の異物となり易いが、例えば、無機充填剤が含まれないポリプロピレンで形成された非発泡表面層のような、無機充填剤が含まれない非発泡表面層により、発泡層と非発泡中間層、及び非発泡表面層と同時に押出成形することが可能となり、製造時のメヤニの発生、メヤニによる成型品のコンタミを抑制、防止することができる。
【0011】
本発明の合成樹脂積層発泡シートの製造方法は、本発明の合成樹脂積層発泡シートを製造する方法であって、前記基材の前記非発泡ラミネートフィルムと固着する側の表層を前記表層の融点以下の温度に予備加熱する第1工程と、前記非発泡ラミネートフィルムを構成する前記ポリオレフィン系樹脂層の融点以上の温度に加熱した加熱ロールにより、前記基材と前記非発泡ラミネートフィルムを熱ラミネートする第2工程とを備えることを特徴とする。例えば発泡層と、前記発泡層の片面若しくは両面に積層される非発泡表面層とから構成される基材、又は、発泡層と、前記発泡層の片面若しくは両面に積層される無機充填材を含有させたポリプロピレンで形成された非発泡中間層と、前記非発泡中間層の外側に積層される無機充填剤が含まれないポリプロピレンで形成された非発泡表面層とから構成される基材に関し、前記基材の前記非発泡熱ラミネートフィルムと固着する側の前記非発泡表面層を前記非発泡表面層の融点以下の温度に予備加熱する第1工程と、前記非発泡熱ラミネートフィルムを構成する前記ポリプロピレン樹脂層の融点以上の温度に加熱した加熱ロールにより、前記基材と前記非発泡熱ラミネートフィルムを熱ラミネートする第2工程とを備える合成樹脂積層発泡シートの製造方法とすると好適である。
これによれば、予め基材の固着する側の表層を予備加熱して高温の状態にしておくことにより、熱ラミネートによる基材と非発泡ラミネートフィルムの貼合わせ力、固着強度を高めることができる。また、この基材と非発泡ラミネートフィルムの固着強度の向上により、デラミを生ずることなく、合成樹脂積層発泡シートでより複雑な食品容器を成形することができる。
【0012】
本発明の合成樹脂積層発泡シートの製造方法は、前記基材の前記表層が前記非発泡表面層である場合に、前記非発泡表面層を融点130℃~160℃のポリオレフィン系樹脂とすることを特徴とする
これによれば、基材の固着する側の表層である基材の非発泡表面層を融点160℃以下のポリオレフィン系樹脂とすることにより、高温の熱ラミネートが可能な高価な設備を用いずとも、熱ラミネートによる基材と非発泡ラミネートフィルムの固着を確実に貼合わせ力、強度に優れる固着とすることができる。また、この非発泡表面層を融点130℃以上のポリオレフィン系樹脂とすることにより、合成樹脂積層発泡シートで成形された食品容器に食品を収容して電子レンジで加熱した際に、非発泡ラミネートフィルムの剥離(デラミ)が生ずることをより一層確実に防止することができる。
【0013】
本発明の食品容器は、本発明の合成樹脂積層発泡シートで形成され、前記非発泡ラミネートフィルムが食品側に配置されていることを特徴とする。例えば本発明の合成樹脂積層発泡シートで形成され、前記非発泡熱ラミネートフィルムが食品側に配置されている食品容器とすると好適である。
これによれば、本発明の合成樹脂積層発泡シートの効果を有する食品容器とすることができ、非発泡ラミネートフィルムが食品側に配置される食品容器に油分を含む食品等の高沸点食品を収容して電子レンジで加熱した際に、加熱による熱が非発泡ラミネートフィルムの固着界面に到達することを抑制することができ、食品容器の内部で非発泡ラミネートフィルムの剥離(デラミ)が生ずることを防止できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、非発泡ラミネートフィルムを食品側にして油分を含む食品等の高沸点食品を電子レンジで加熱した際に、加熱による熱がフィルムの固着界面に到達することを抑制し、非発泡ラミネートフィルムの剥離を防止することができる合成樹脂積層発泡シートや食品容器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明による第1実施形態の合成樹脂積層発泡シートを示す部分縦断面図。
【
図2】第1実施形態の合成樹脂積層発泡シートで形成された食品容器の縦断面。
【
図3】第1実施形態の合成樹脂積層発泡シートを製造する製造設備の一部を示す模式図。
【
図4】本発明による第2実施形態の合成樹脂積層発泡シートを示す部分縦断面図。
【
図5】本発明による第3実施形態の合成樹脂積層発泡シートを示す部分縦断面図。
【
図6】(a)は第1実施形態の第1変形例の合成樹脂積層発泡シートを示す部分縦断面図、(b)は第1実施形態の第2変形例の合成樹脂積層発泡シートを示す部分縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔第1実施形態の合成樹脂積層発泡シート及びその製造方法、食品容器〕
本発明による第1実施形態の合成樹脂積層発泡シート1は、
図1に示すように、発泡層21を有する基材2と、基材2上に積層された非発泡ラミネートフィルム3を備えるものである。合成樹脂積層発泡シート1は、食品容器の素材として用いられ、例えば
図2のような食品容器5が、非発泡ラミネートフィルム3を食品側に配置するようにして合成樹脂積層発泡シート1で形成される。尚、食品容器5は、所定形状の金型を用い、合成樹脂積層発泡シート1を加熱成形して形成する。
【0017】
第1実施形態の合成樹脂積層発泡シート1における基材2は、発泡層21の両面に非発泡中間層22・22を積層し、それぞれの非発泡中間層22・22の外側に非発泡表面層23・23を積層して形成されている。発泡層21は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜であり、例えばポリプロピレンを発泡剤で発泡させた発泡ポリプロピレン(発泡PP)、耐熱ポリスチレンを発泡剤で発泡させた耐熱PSPのようなポリスチレン系の発泡樹脂等とする。また、非発泡中間層22は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜であるが、シート1の強度を強化できるものが好ましく、例えばタルク等の無機充填材を含有させたポリプロピレン(PP)等とする。また、非発泡表面層23は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜であるが、シート製造時に発生するメヤニを抑えられるものが好ましく、例えばポリプロピレン(PP)のようなポリオレフィン系樹脂等とする。
【0018】
基材2上に積層される非発泡ラミネートフィルム3は、ポリオレフィン系樹脂層31を有し、ポリオレフィン系樹脂層31は40μm以上の厚みで形成されている。このポリオレフィン系樹脂層31の厚みは、好ましくは40μm~80μm、さらに好ましくは45μm~70μmとするとよい。ポリオレフィン系樹脂層31は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜であり、例えば無延伸ポリプロピレン(CPP)などのポリプロピレン(PP)等とする。また、第1実施形態における非発泡ラミネートフィルム3では、ポリオレフィン系樹脂層31の片面に、印刷層32、コート層33がこの順で積層されている。印刷層32は、シート1に着色や模様を施すものであり、例えばウレタン系樹脂のビヒクル等から構成される。コート層33は、非発泡ラミネートフィルム3を基材2に固着し易くするものであれば適宜であり、例えば基材2或いは非発泡表面層23がポリプロピレン(PP)の場合には塩素化ポリプロピレン(PP)系のコート剤等とし、基材2或いは非発泡表面層23の素材に応じて適宜選択したコート剤が用いられる。
【0019】
非発泡ラミネートフィルム3は、基材2上に積層されて固着されており、基材2に対する非発泡ラミネートフィルム3の剥離強度が3.0N/15mm以上になるようにして固着されている。この剥離強度はJIS K 6854の規定で測定されたものであり、後述する第2、第3実施形態でも同様である。第1実施形態では、基材2の片面側の非発泡表面層23に対して非発泡ラミネートフィルム3のコート層33が隣接配置され、非発泡ラミネートフィルム3のコート層33と基材2の非発泡表面層23とが溶け合うようにして固着されている。
【0020】
第1実施形態の合成樹脂積層発泡シート1を製造する際には、例えば
図3に示す基材2及び非発泡ラミネートフィルム3を加熱する加熱ロール6、基材2を予備加熱する予備加熱ロール7、基材2を搬送する搬送ロール81、82、加熱ロール6に対向配置されて基材2及び非発泡ラミネートフィルム3を加熱ロール6と一対で挟むように搬送する搬送ロール83、固着された合成樹脂積層発泡シート1を搬送する搬送ロール84を備える製造設備を用いる。
【0021】
そして、発泡層21の両面に非発泡中間層22・22が積層され、非発泡中間層22・22の外側に非発泡表面層23・23が積層されて一体化した状態の基材2を搬送ロール81、82で搬送し、搬送ロール81、82と加熱ロール6との間に位置する予備加熱ロール7で基材2を予備加熱する。この予備加熱は、基材2の非発泡表面層23の融点以下の温度で行い、非発泡表面層23が溶けないようにする。予備加熱の温度は、基材2の非発泡表面層23において好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上とするとよい。また、少なくとも後述する非発泡ラミネートフィルム3と貼り合わせる側の非発泡表面層23或いは非発泡ラミネートフィルム3と貼り合わせる側の基材2の片面側を予備加熱するようにする。ここで、基材2の非発泡表面層23は、融点130℃~160℃のポリオレフィン系樹脂で形成しておくと良好であり、より好ましくは融点135℃~155℃のポリオレフィン系樹脂、より一層好ましくは融点140℃~150℃のポリオレフィン系樹脂で形成するとよい。この融点はJIS K 7121の規定で測定されるものであり、後述する第2、第3実施形態でも同様である。この場合、好適には予備加熱ロール7の温度が100~140℃、基材2の非発泡表面層23の温度が80~120℃となるように予備加熱するとよい。尚、予備加熱は、予備加熱ロール7によるものに限定されず適宜の仕方で予備加熱することが可能であり、例えばヒーターを用いて、搬送中の基材2の少なくとも非発泡ラミネートフィルム3と貼り合わせる側の非発泡表面層23或いは非発泡ラミネートフィルム3と貼り合わせる側の基材2の片面側をヒーターで予備加熱する構成等とすることができ、後述する第2、第3実施形態でも同様である。また、予備加熱ロール7による予備加熱及び搬送は基材2の温度低下を避けるため加熱ロール6の直前で行うことが好ましい。
【0022】
その後、基材2を搬送ロール82で加熱ロール6と搬送ロール83の間に送り出すと共に、非発泡ラミネートフィルム3を加熱ロール6側になるように加熱ロール6と搬送ロール83の間に送り出す。加熱ロール6と搬送ロール83は、搬送されてきた基材2と非発泡ラミネートフィルム3を挟み込むようにして積層すると共に、加熱ロール6で加熱して基材2と非発泡ラミネートフィルム3を熱ラミネートする。熱ラミネートは、非発泡ラミネートフィルム3を構成するポリオレフィン系樹脂層31の融点以上の温度に加熱した加熱ロール6により行い、この加熱で基材2と非発泡ラミネートフィルム3を溶着或いは接着する。加熱ロール6の温度は、好ましくは170℃以上、より好ましくは200℃以上とするとよく、基材2と非発泡ラミネートフィルム3の厚みやこれらに対する引取速度にもよるが170~250℃とすると良好である。ここで基材2或いは予備加熱ロール7に接触した非発泡表面層23は予備加熱で予め高温の状態になっていることから、基材2と非発泡ラミネートフィルム3は熱ラミネートにより高い強度で固着される。尚、
図3の太線矢印は、基材2、非発泡ラミネートフィルム3、合成樹脂積層発泡シート1の搬送方向を示している。また、搬送ロール83に代えて加熱ロール6を設け、一対の加熱ロール6・6で熱ラミネートするようにしてもよい。
【0023】
第1実施形態によれば、非発泡ラミネートフィルム3の厚み40μm以上のポリオレフィン系樹脂層31により、非発泡ラミネートフィルム3と基材2との固着界面に加熱による熱が到達することを抑制することができる。従って、非発泡ラミネートフィルム3を食品側にして油分を含む食品等の高沸点食品を電子レンジで加熱した際にも、加熱による熱がフィルム3の固着界面に到達することを抑制し、非発泡ラミネートフィルム3の剥離(デラミ)を防止することができる。
【0024】
また、基材2に対する非発泡ラミネートフィルム3の剥離強度を3.0N/15mm以上とすることにより、基材2と非発泡ラミネートフィルム3の十分な固着強度を確保することができ、合成樹脂積層発泡シート1で食品容器5を加熱成形する際に、非発泡ラミネートフィルム3を基材2に良好に追従させ、デラミを発生させずに複雑な形状の食品容器5を成形することができる。また、基材2と非発泡ラミネートフィルム3の十分な固着強度の確保により、電子レンジ加熱の際にも、非発泡ラミネートフィルム3の剥離(デラミ)をより確実に防止することができる。
【0025】
また、基材2を予備加熱した後に加熱ロール6で熱ラミネートする製造方法によれば、予め基材2の固着する側の表層を予備加熱して高温の状態にしておくことにより、熱ラミネートによる基材2と非発泡ラミネートフィルム3の貼合わせ力、固着強度を高めることができる。また、この基材2と非発泡ラミネートフィルム3の固着強度の向上により、デラミを生ずることなく、合成樹脂積層発泡シート1でより複雑な食品容器5を成形することができる。
【0026】
また、基材2の固着する側の表層に相当する基材2の非発泡表面層23を融点130℃~160℃のポリオレフィン系樹脂とする場合には、この非発泡表面層23の融点が160℃以下であることから、高温の熱ラミネートが可能な高価な設備を用いずとも、熱ラミネートによる基材2と非発泡ラミネートフィルム3の固着を確実に貼合わせ力、強度に優れる固着とすることができる。また、この非発泡表面層23の融点が130℃以上であることから、合成樹脂積層発泡シート1で成形された食品容器5に食品を収容して電子レンジで加熱した際に、非発泡ラミネートフィルム3の剥離(デラミ)が生ずることをより一層確実に防止することができる。
【0027】
〔第2実施形態の合成樹脂積層発泡シート及びその製造方法、食品容器〕
本発明による第2実施形態の合成樹脂積層発泡シート1aは、
図4に示すように、発泡層21aを有する基材2aと、基材2a上に積層された非発泡ラミネートフィルム3aを備えるものである。合成樹脂積層発泡シート1aは、食品容器の素材として用いられ、例えば第1実施形態の食品容器5と同様の形状の食品容器が、非発泡ラミネートフィルム3aを食品側に配置するようにして合成樹脂積層発泡シート1aで形成される。
【0028】
第2実施形態の合成樹脂積層発泡シート1aにおける基材2aは、発泡層21aの両面に最外層として非発泡表面層23a・23aを積層して形成されている。発泡層21aは、第1実施形態の発泡層21と同様に本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜であり、例えばポリプロピレンを発泡剤で発泡させた発泡ポリプロピレン(発泡PP)、耐熱ポリスチレンを発泡剤で発泡させた耐熱PSPのようなポリオレフィン系の発泡樹脂等とする。また、非発泡表面層23aは、第1実施形態の非発泡表面層23と同様に本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜であるが、シート製造時に発生するメヤニを抑えられるものが好ましく、例えばポリプロピレン(PP)のようなポリオレフィン系樹脂等とする。
【0029】
基材2a上に積層される非発泡ラミネートフィルム3aは、第1実施形態の非発泡ラミネートフィルム3と同一構成であり、ポリオレフィン系樹脂層31aを有し、ポリオレフィン系樹脂層31aは40μm以上の厚みで形成されている。このポリオレフィン系樹脂層31aの厚みも、好ましくは40μm~80μm、さらに好ましくは45μm~70μmとするとよい。ポリオレフィン系樹脂層31aは、第1実施形態のポリオレフィン系樹脂31と同様に本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜であり、例えば無延伸ポリプロピレン(CPP)などのポリプロピレン(PP)等とする。非発泡ラミネートフィルム3aには、ポリオレフィン系樹脂層31aの片面に、印刷層32a、コート層33aがこの順で積層されており、印刷層32a、コート層33aの構成は第1実施形態の印刷層32、コート層33と同一である。
【0030】
非発泡ラミネートフィルム3aは、基材2aに対する非発泡ラミネートフィルム3aの剥離強度が3.0N/15mm以上になるようにして基材2aに固着されている。第2実施形態では、基材2aの片面側の非発泡表面層23aに対して非発泡ラミネートフィルム3aのコート層33aが隣接配置され、非発泡ラミネートフィルム3aのコート層33aと基材2aの非発泡表面層23aとが溶け合うようにして固着されている。
【0031】
第2実施形態の合成樹脂積層発泡シート1aを製造には、
図3に示す第1実施形態の合成樹脂積層発泡シート1の製造設備と同様の設備を用いることが可能である。製造の際には、発泡層21aの両面に非発泡表面層23a・23aが積層されて一体化した状態の基材2aを搬送ロール81、82で搬送しながら、搬送ロール81と搬送ロール82の間に位置する予備加熱ロール7で基材2aを予備加熱する。この予備加熱は、基材2aの非発泡表面層23aの融点以下の温度で行い、非発泡表面層23aが溶けないようにする。予備加熱の温度は、基材2aの非発泡表面層23aにおいて好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上とするとよい。また、少なくとも後述する非発泡ラミネートフィルム3aと貼り合わせる側の非発泡表面層23a或いは非発泡ラミネートフィルム3aと貼り合わせる側の基材2aの片面側を予備加熱するようにする。第2実施形態でも、基材2aの非発泡表面層23aは、融点130℃~160℃のポリオレフィン系樹脂で形成しておくと良好であり、より好ましくは融点135℃~155℃のポリオレフィン系樹脂、より一層好ましくは融点140℃~150℃のポリオレフィン系樹脂で形成するとよい。この場合、好適には予備加熱ロール7の温度が100~140℃、基材2aの非発泡表面層23aの温度が80~120℃となるように予備加熱するとよい。
【0032】
その後、基材2aを搬送ロール82で加熱ロール6と搬送ロール83の間に送り出すと共に、非発泡ラミネートフィルム3aを加熱ロール6側になるように加熱ロール6と搬送ロール83の間に送り出す。加熱ロール6と搬送ロール83は、搬送されてきた基材2aと非発泡ラミネートフィルム3aを挟み込むようにして積層すると共に、加熱ロール6で加熱して基材2aと非発泡ラミネートフィルム3aを熱ラミネートする。熱ラミネートは、非発泡ラミネートフィルム3aを構成するポリオレフィン系樹脂層31aの融点以上の温度に加熱した加熱ロール6により行い、この加熱で基材2aと非発泡ラミネートフィルム3aを溶着或いは接着する。加熱ロール6の温度は、好ましくは170℃以上、より好ましくは200℃以上とするとよく、基材2a非発泡ラミネートフィルム3a厚みやこれらに対する引取速度にもよるが170~250℃とすると良好である。ここで基材2a或いは予備加熱ロール7に接触した非発泡表面層23aは予備加熱で予め高温の状態になっていることから、基材2aと非発泡ラミネートフィルム3aは熱ラミネートにより高い強度で固着される。
【0033】
第2実施形態によれば、第1実施形態と対応する構成から対応する効果を得ることができる。
【0034】
〔第3実施形態の合成樹脂積層発泡シート及びその製造方法、食品容器〕
本発明による第3実施形態の合成樹脂積層発泡シート1bは、
図5に示すように、発泡層21bで構成される基材2bと、基材2b上に積層された非発泡ラミネートフィルム3bを備えるものである。合成樹脂積層発泡シート1bは、食品容器の素材として用いられ、例えば第1実施形態の食品容器5と同様の形状の食品容器が、非発泡ラミネートフィルム3bを食品側に配置するようにして合成樹脂積層発泡シート1bで形成される。
【0035】
第3実施形態の合成樹脂積層発泡シート1bにおける基材2bを構成する発泡層21bは、第1実施形態の発泡層21と同様に本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜であり、例えばポリプロピレンを発泡剤で発泡させた発泡ポリプロピレン(発泡PP)、耐熱ポリスチレンを発泡剤で発泡させた耐熱PSPのようなポリスチレン系の発泡樹脂等とする。
【0036】
基材2b上に積層される非発泡ラミネートフィルム3bは、第1実施形態の非発泡ラミネートフィルム3と同一構成であり、ポリオレフィン系樹脂層31bを有し、ポリオレフィン系樹脂層31bは40μm以上の厚みで形成されている。このポリオレフィン系樹脂層31bの厚みも、好ましくは40μm~80μm、さらに好ましくは45μm~70μmとするとよい。ポリオレフィン系樹脂層31bは、第1実施形態のポリオレフィン系樹脂31と同様に本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜であり、例えば無延伸ポリプロピレン(CPP)などのポリプロピレン(PP)等とする。非発泡ラミネートフィルム3bには、ポリオレフィン系樹脂層31bの片面に、印刷層32b、コート層33bがこの順で積層されており、印刷層32b、コート層33bの構成は第1実施形態の印刷層32、コート層33と同一である。尚、基材2bが耐熱PSPの場合には、コート層33としてウレタン系ビヒクルとアクリル系ビヒクルの混合材を用いるとよい。
【0037】
非発泡ラミネートフィルム3bは、基材2bに対する非発泡ラミネートフィルム3bの剥離強度が3.0N/15mm以上になるようにして基材2bに固着されている。第3実施形態では、基材2bの片面側に非発泡ラミネートフィルム3bのコート層33bが隣接配置され、非発泡ラミネートフィルム3bのコート層33bと基材2bとが溶け合うようにして固着されている。
【0038】
第3実施形態の合成樹脂積層発泡シート1bを製造には、
図3に示す第1実施形態の合成樹脂積層発泡シート1の製造設備と同様の設備を用いることが可能である。製造の際には、発泡層21bで構成される基材2bを搬送ロール81、82で搬送しながら、搬送ロール81と搬送ロール82の間に位置する予備加熱ロール7で基材2bを予備加熱する。この予備加熱は、基材2の固着する側の表層を構成する発泡層21bの融点以下の温度で行い、表層を構成する発泡層21bが溶けないようにする。予備加熱の温度は、基材2bの固着する側の表層を構成する発泡層21bにおいて好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上とするとよい。また、少なくとも後述する非発泡ラミネートフィルム3bと貼り合わせる側の基材2bの表層を予備加熱する。尚、予備加熱では、予備加熱ロール7の温度が100~140℃、基材2bの少なくとも固着する側の表層の温度が80~120℃となるように予備加熱すると良好である。
【0039】
その後、基材2bを搬送ロール82で加熱ロール6と搬送ロール83の間に送り出すと共に、非発泡ラミネートフィルム3bを加熱ロール6側になるように加熱ロール6と搬送ロール83の間に送り出す。加熱ロール6と搬送ロール83は、搬送されてきた基材2bと非発泡ラミネートフィルム3bを挟み込むようにして積層すると共に、加熱ロール6で加熱して基材2bと非発泡ラミネートフィルム3bを熱ラミネートする。熱ラミネートは、非発泡ラミネートフィルム3bを構成するポリオレフィン系樹脂層31bの融点以上の温度に加熱した加熱ロール6により行い、この加熱で基材2bと非発泡ラミネートフィルム3bを溶着或いは接着する。加熱ロール6の温度は、好ましくは170℃以上、より好ましくは200℃以上とするとよく、基材2b非発泡ラミネートフィルム3b厚みやこれらに対する引取速度にもよるが170~250℃とすると良好である。ここで基材2bの固着する側の表層である発泡層21bは予備加熱で予め高温の状態になっていることから、基材2bと非発泡ラミネートフィルム3bは熱ラミネートにより高い強度で固着される。
【0040】
第3実施形態によれば、第1実施形態と対応する構成から対応する効果を得ることができる。
【0041】
〔本明細書開示発明の包含範囲〕
本明細書開示の発明は、発明として列記した各発明、各実施形態の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な内容を本明細書開示の他の内容に変更して特定したもの、或いはこれらの内容に本明細書開示の他の内容を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な内容を部分的な作用効果が得られる限度で削除して上位概念化して特定したものを包含する。そして、本明細書開示の発明には下記変形例や追記した内容も含まれる。
【0042】
例えば第1実施形態の基材2は、発泡層21の両面に非発泡中間層22・22を積層し、それぞれの非発泡中間層22・22の外側に非発泡表面層23・23を積層して形成したが、発泡層21の片面だけに非発泡中間層22を積層し、非発泡中間層22の外側に非発泡表面層23を積層して形成した基材としてもよい。この場合には、この基材の非発泡表面層23側を非発泡ラミネートフィルム3と固着する側とすることが好ましい。
【0043】
また、第2実施形態の基材2aは、発泡層21aの両面に最外層として非発泡表面層23a・23aを積層して形成したが、発泡層21aの片面だけに非発泡表面層23aを積層して形成した基材としてもよい。この場合には、この基材の非発泡表面層23a側を非発泡ラミネートフィルム3aと固着する側とすることが好ましい。
【0044】
また、本発明の合成樹脂積層発泡シートには、非発泡ラミネートフィルムが一層以上のポリオレフィン系樹脂層を有し、前記ポリオレフィン系樹脂層の総厚みが40μm以上であるものが包含され、例えば
図6に示す第1実施形態の第1変形例、第2変形例のように2層のポリオレフィン系樹脂層を有し、2層のポリオレフィン系樹脂層の総厚みが40μm以上であるものや、3層以上のポリオレフィン系樹脂層を有し、3層以上のポリオレフィン系樹脂層の総厚みが40μm以上であるものも包含される。
【0045】
図6(a)の第1実施形態の第1変形例の合成樹脂積層発泡シート1mは、第1実施形態と同様の発泡層21を有する基材2と、基材2上に積層された非発泡ラミネートフィルム3mを備える。非発泡ラミネートフィルム3mは、基材2上に積層されて固着されており、第1実施形態と同様に、基材2に対する非発泡ラミネートフィルム3mの剥離強度が3.0N/15mm以上になるようにして固着されている。
【0046】
非発泡ラミネートフィルム3mは、基材2側から順にコート層33m、ポリオレフィン系樹脂層31m、接着層34m、印刷層32m、ポリオレフィン系樹脂層35mが積層されて固着されたものである。印刷層32m、コート層33mは、第1実施形態における印刷層32、コート層33と同様の構成である。また、二層のポリオレフィン系樹脂層31m、35mの厚みを合計した総厚みは40μm以上となるように形成されており、この総厚みは、好ましくは40μm~80μm、さらに好ましくは45μm~70μmとするとよい。ポリオレフィン系樹脂層31m、35mは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜であり、例えば各々を無延伸ポリプロピレン(CPP)などのポリプロピレン(PP)等とする。また、接着層34mは、オレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、若しくはエーテル系等の接着剤で形成されている。
【0047】
第1変形例の合成樹脂積層発泡シート1mは、第1実施形態と同様に、食品容器の素材として用いられ、又、予備加熱ロール7等による予備加熱と加熱ロール6による熱ラミネートの工程を経て製造することが好ましい。そして、第1変形例の合成樹脂積層発泡シート1mは、第1実施形態の合成樹脂積層発泡シート1と対応する構成やポリオレフィン系樹脂層31m、35mの総厚みから、第1実施形態と対応する効果を奏する。
【0048】
図6(b)の第1実施形態の第2変形例の合成樹脂積層発泡シート1nは、第1実施形態と同様の発泡層21を有する基材2と、基材2上に積層された非発泡ラミネートフィルム3nを備える。非発泡ラミネートフィルム3nは、基材2上に積層されて固着されており、第1実施形態と同様に、基材2に対する非発泡ラミネートフィルム3nの剥離強度が3.0N/15mm以上になるようにして固着されている。
【0049】
非発泡ラミネートフィルム3nは、基材2側から順にコート層33n、印刷層32n、ポリオレフィン系樹脂層31n、接着層34n、ガスバリア層36n、接着層37n、ポレオレフィン系樹脂層35nが積層されて固着されたものである。印刷層32n、コート層33nは、第1実施形態における印刷層32、コート層33と同様の構成である。また、二層のポリオレフィン系樹脂層31n、35nの厚みを合計した総厚みは40μm以上となるように形成されており、この総厚みは、好ましくは40μm~80μm、さらに好ましくは45μm~70μmとするとよい。ポリオレフィン系樹脂層31n、35nは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜であり、例えば各々をポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、PPとPEの混合材等とする。また、接着層34n、37nは、オレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、若しくはエーテル系等の接着剤で形成されている。また、ガスバリア層36nは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内でガスバリア性が得られるものであれば適宜であり、例えばエチレンビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ナイロン(NY)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等とし、又、その素材の酸素透過度は1,000cc/25μm・m2・day・atm以下とすると良好である。
【0050】
第2変形例の合成樹脂積層発泡シート1nは、第1実施形態と同様に、食品容器の素材として用いられ、又、予備加熱ロール7等による予備加熱と加熱ロール6による熱ラミネートの工程を経て製造することが好ましい。そして、第2変形例の合成樹脂積層発泡シート1nは、第1実施形態の合成樹脂積層発泡シート1と対応する構成やポリオレフィン系樹脂層31m、35mの総厚みから、第1実施形態と対応する効果を奏する。更には、ガスバリア層36nにより、非発泡ラミネートフィルムを食品側にして油分を含む食品等を電子レンジで加熱した際にも、食品から流出する高温の物質とその熱が非発泡ラミネートフィルム3nの固着界面に到達することをより確実に防ぎ、非発泡ラミネートフィルムの剥離(デラミ)をより確実に防止することができる。
【0051】
また、非発泡ラミネートフィルム3、3a、3b、3m、3nには、特性としてイージーピール性を有するものを用いても良好である。また、非発泡ラミネートフィルム3、3a、3b、3m、3nの製造方法は、ドライラミネート、共押出など適宜である。また、本発明の合成樹脂積層発泡シートを食品容器に用いる場合の食品には、惣菜等の調理品、食材など各種の食用の品が含まれ、特に電子レンジでの加熱により100℃以上の温度に達する高沸点食品(食品中又は食品表面の油脂含量が1%以上で、乾燥した固形食品以外の食品(油性食品)、または、食品中又は食品表面のスパイス成分含量が0.5%以上で、乾燥した固形食品以外の食品(スパイス含有食品)等)であり、高沸点食品として例えば、カレーや麻婆豆腐などが該当する。また、このスパイス成分としては、クミン、コリアンダー、クローブ、シナモン、カルダモン、ナツメグ、オールスパイス、キャラウェイ、フェンネル、フェヌグリーヌ、ターメリック、サフラン、パプリカなどが該当する。高沸点食品(特にカレーや麻婆豆腐など)を電子レンジで加熱すると、局所的に高温となり高沸点食品に含まれる油脂成分、又はスパイス成分が基材と積層フィルムの接着に起因するコート剤を劣化させ、デラミを助長する恐れがある。したがって、ポリオレフィン系樹脂層の厚みを厚くすることで、油脂成分、又はスパイス成分をコート剤まで浸透させないという点でデラミを防止することに大きな影響を与える。本発明の合成樹脂積層発泡シートはこのような高沸点食品を収容する食品容器に用いると高い効果が得られる。また、本発明における基材は耐熱性基材(100mm×100mmの試験片を作成し、恒温槽にて100℃で1時間静止状態にて加熱し、加熱後取り出し1時間室温にて冷却した後長さを測定し、加熱前の長さから加熱後の長さを引いた値を加熱前の長さで除した値に100を掛けた値5以下、さらに好ましくは2以下の基材)とすると、電子レンジで加熱した際の容器変形を防ぐことができて好適である。また、本発明における基材或いは耐熱性基材の発泡層をポリプロピレン発泡層とすると、ポリスチレン発泡層と比べ耐熱性が高い為、電子レンジで過加熱となった際でも、容器変形を防ぐことができて好適である。
【0052】
〔実施例と比較例〕
次に、本発明の合成樹脂積層発泡シートで成形した食品容器の実施例と比較例について説明する。
【0053】
下記表1における実施例1は、第1実施形態の合成樹脂積層発泡シート1に対応する合成樹脂積層発泡シートを用いて成形した食品容器であり、食品容器を構成する基材の発泡層はポリプロピレンを発泡剤で発泡させた発泡ポリプロピレン(発泡PP)、非発泡中間層はタルク含有のポリプロピレン(PP)、非発泡表面層はポリプロピレン(PP)とし、基材全体の厚さは1.0mmとした。また、食品容器の内側に配置される非発泡ラミネートフィルムを構成するポリオレフィン系樹脂層は厚さ50μmの無延伸ポリプロピレン(CPP)、印刷層をウレタン系ビヒクル、コート層を塩素化PP系コート剤とした。印刷層とコート層はポリオレフィン系樹脂層に比してごく僅かの厚みしかないことから、非発泡ラミネートフィルムの厚さは無延伸ポリプロピレン(CPP)のポリオレフィン系樹脂層の厚さと略同一の50μmである。実施例1の食品容器を構成する基材と非発泡ラミネートフィルムは剥離強度4.0N/15mm以上で固着されている。尚、この非発泡ラミネートフィルムの剥離強度は、試験規格:JIS K 6854-2に規定する剥離強度試験、試験機:富士インパルス社製シール剥離試験機、試験機設定:チャック間距離25mm、剥離速度:200mm/minで、食品容器から端縁から側部にかけて切り出した試験片に対して行ったものであり、後述する各実施例、比較例についても同様である。
【0054】
下記表1における実施例2は、第1実施形態の第1変形例の合成樹脂積層発泡シート1mに対応する合成樹脂積層発泡シートを用いて成形した食品容器であり、食品容器を構成する基材の構成と厚さは実施例1と同一である。食品容器の内側に配置される非発泡ラミネートフィルムにおいて、基材側から順にコート層を塩素化PP系コート剤、基材寄りのポリオレフィン系樹脂層を厚さ25μmの無延伸ポリプロピレン(CPP)、接着層をポリオレフィン系接着剤、印刷層をウレタン系ビヒクル、食品容器の内側に露出して配置されるポリオレフィン系樹脂層を厚さ25μmの無延伸ポリプロピレン(CPP)とした。二層の無延伸ポリプロピレン(CPP)のポリオレフィン系樹脂層の合計である総厚みは50μmであり、コート層、接着層、印刷層はポリオレフィン系樹脂層に比してごく僅かの厚みしかないことから、非発泡ラミネートフィルムの厚さは無延伸ポリプロピレン(CPP)のポリオレフィン系樹脂層の総厚さと略同一の50μmである。実施例2の食品容器を構成する基材と非発泡ラミネートフィルムの剥離強度も4.0N/15mm以上である。
【0055】
下記表1における実施例3は、第1実施形態の第2変形例の合成樹脂積層発泡シート1nに対応する合成樹脂積層発泡シートを用いて成形した食品容器であり、食品容器を構成する基材の構成と厚さは実施例1と同一である。食品容器の内側に配置される非発泡ラミネートフィルムにおいて、基材側から順にコート層を塩素化PP系コート剤、印刷層をウレタン系ビヒクル、基材寄りのポリオレフィン系樹脂層を厚さ20μmのポリプロピレン(PP)、基材寄りの接着層をポリオレフィン系接着剤、ガスバリア層を厚さ5μmのEVOH樹脂、食品容器内側寄りの接着層をポリオレフィン系接着剤、食品容器の内側に露出して配置されるポリオレフィン系樹脂層を厚さ25μmのポリプロピレン(PP)とした。コート層、接着層、印刷層はポリオレフィン系樹脂層に比してごく僅かの厚みしかないことから、非発泡ラミネートフィルムの厚さは二層のポリプロピレン(PP)のポリオレフィン系樹脂層の厚さとガスバリア層の厚さの合計である総厚さ50μmと略同一である。実施例3の食品容器を構成する基材と非発泡ラミネートフィルムの剥離強度も4.0N/15mm以上である。
【0056】
下記表1における実施例4は、実施例3における食品容器の内側に露出して配置されるポリオレフィン系樹脂層を、厚さ25μmのポリプロピレン(PP)とすることに代え、厚さ25μmのポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)の混合材にしたものであり、その他の構成は実施例3と同一である。
【0057】
下記表1における実施例5は、実施例1におけるコート層に代えてポリプロピレン(PP)系樹脂である厚さ20μmの押出ラミネート用樹脂を用い、更に実施例1における食品容器の内側に露出して配置される無延伸ポリプロピレン(CPP)の厚さを50μmでなく30μmとしたものである。その他の構成は実施例1と同一である。ポリオレフィン系樹脂層の総厚みはこれら二層の合計である50μmであり、印刷層はポリオレフィン系樹脂層に比してごく僅かの厚みしかないことから、非発泡ラミネートフィルムの厚さはこれらのポリオレフィン系樹脂層の総厚さと略同一の50μmである。
【0058】
下記表1における実施例6は、第2実施形態の合成樹脂積層発泡シート1aに対応する合成樹脂積層発泡シートを用いて成形した食品容器であり、食品容器を構成する基材の発泡層はポリプロピレンを発泡剤で発泡させた発泡ポリプロピレン(発泡PP)、非発泡表面層はポリプロピレン(PP)とし、基材全体の厚さは1.0mmとした。また、食品容器の内側に配置される非発泡ラミネートフィルムの構成は実施例1と同一であり、非発泡ラミネートフィルムの厚さは無延伸ポリプロピレン(CPP)のポリオレフィン系樹脂層の厚さと略同一の50μmである。実施例6の食品容器を構成する基材と非発泡ラミネートフィルムも剥離強度4.0N/15mm以上で固着されている。
【0059】
下記表1における実施例7は、第3実施形態の合成樹脂積層発泡シート1bに対応する合成樹脂積層発泡シートを用いて成形した食品容器であり、食品容器を構成する基材の発泡層は耐熱PSPとし、基材全体の厚さは3.5mmとした。また、食品容器の内側に配置される非発泡ラミネートフィルムの構成は実施例1と同一であり、非発泡ラミネートフィルムの厚さは無延伸ポリプロピレン(CPP)のポリオレフィン系樹脂層の厚さと略同一の50μmである。実施例7における発泡ラミネートフィルムのコート層には、ウレタン系ビヒクルとアクリル系ビヒクルの混合剤を用いた。実施例7の食品容器を構成する基材と非発泡ラミネートフィルムも剥離強度4.0N/15mm以上で固着されている。
【0060】
【0061】
下記表2における実施例8は、第1実施形態の合成樹脂積層発泡シート1に対応する合成樹脂積層発泡シートを用いて成形した食品容器であり、実施例1の非発泡ラミネートフィルムを構成するポリオレフィン系樹脂層を、厚さ50μmの無延伸ポリプロピレン(CPP)に代え、厚さ40μmの無延伸ポリプロピレン(CPP)にしたものである。非発泡ラミネートフィルムの厚さは無延伸ポリプロピレン(CPP)のポリオレフィン系樹脂層の厚さと略同一の40μmである。その他の構成は実施例1と同一である。
【0062】
下記表2における実施例9は、実施例1の非発泡ラミネートフィルムを構成するポリオレフィン系樹脂層を、厚さ50μmの無延伸ポリプロピレン(CPP)に代え、厚さ45μmの無延伸ポリプロピレン(CPP)にしたものである。非発泡ラミネートフィルムの厚さは無延伸ポリプロピレン(CPP)のポリオレフィン系樹脂層の厚さと略同一の45μmである。その他の構成は実施例1と同一である。
【0063】
下記表2における実施例10は、実施例1の非発泡ラミネートフィルムを構成するポリオレフィン系樹脂層を、厚さ50μmの無延伸ポリプロピレン(CPP)に代え、厚さ70μmの無延伸ポリプロピレン(CPP)にしたものである。非発泡ラミネートフィルムの厚さは無延伸ポリプロピレン(CPP)のポリオレフィン系樹脂層の厚さと略同一の70μmである。その他の構成は実施例1と同一である。
【0064】
下記表2における実施例11は、実施例1の非発泡ラミネートフィルムを構成するポリオレフィン系樹脂層を、厚さ50μmの無延伸ポリプロピレン(CPP)に代え、厚さ80μmの無延伸ポリプロピレン(CPP)にしたものである。非発泡ラミネートフィルムの厚さは無延伸ポリプロピレン(CPP)のポリオレフィン系樹脂層の厚さと略同一の80μmである。また、実施例11の食品容器を構成する基材と非発泡ラミネートフィルムは剥離強度3.0N/15mm以下で固着されている。その他の構成は実施例1と同一である。
【0065】
下記表2における比較例1は、実施例1の非発泡ラミネートフィルムを構成するポリオレフィン系樹脂層を、厚さ50μmの無延伸ポリプロピレン(CPP)に代え、厚さ25μmの無延伸ポリプロピレン(CPP)にしたものである。非発泡ラミネートフィルムの厚さは無延伸ポリプロピレン(CPP)のポリオレフィン系樹脂層の厚さと略同一の25μmである。その他の構成は実施例1と同一である。
【0066】
【0067】
上記実施例1~11と比較例1について、容器変形の有無による耐熱性、非発泡ラミネートフィルムの剥離の有無(デラミの有無)、成型による賦形性について評価を行った。耐熱性では、恒温槽(Yamato科学社製「DK600」)にて100℃で1時間静止状態にて加熱し、加熱後取り出し1時間室温にて冷却した状態の食品容器の変形の有無について目視で確認した。耐熱性の評価において○は容器変形無し、△は微小な変形はあるが機能的に問題がないもの、×は容器変形有りである。また、非発泡ラミネートフィルムの剥離の有無では、油性食品であるカレーを食品容器に詰め、1,900W、1分半で電子レンジ加熱し、非発泡ラミネートフィルムの剥離であるラミ剥がれが発生したか否かを目視で確認した。非発泡ラミネートフィルムの剥離の評価において○はデラミ発生無し、△は一部でデラミ発生、×はデラミ発生有りである。また、成型による賦形性では、実施例1~11と比較例1における合成樹脂積層発泡シートを食品容器に成型する際に非発泡ラミネートフィルムが基材に追従したかについて目視で確認した。成型による賦形性の評価において○は成型時に非発泡ラミネートフィルムが基材に追従したもの、△は成型時に非発泡ラミネートフィルムが基材に追従したが追従しないリスクがあると考えられるもの、×は成型時に非発泡ラミネートフィルムが基材に追従しなかったものである。
【0068】
実施例1~5、実施例7、実施例9~10は、容器変形の有無による耐熱性、非発泡ラミネートフィルムの剥離の有無(デラミの有無)、成型による賦形性のいずれの評価も○であり、耐熱性、非発泡ラミネートフィルムの剥離の防止性能、成型による賦形性に優れる合成樹脂積層発泡シート、食品容器であることが分かる。実施例6は、目視した状態から非発泡中間層が無いだけ耐熱性が低下したように見られたが、容器変形自体は発生しなかった。実施例8は、無延伸ポリプロピレン(CPP)のポリオレフィン系樹脂層の厚さが比較的薄いため、目視した状態からデラミが発生するリスクがあるように見られたが、デラミ自体は発生しなかった。これに対して、比較例1は、無延伸ポリプロピレン(CPP)のポリオレフィン系樹脂層の厚さが25μmとかなり薄いため、基材と非発泡ラミネートフィルムの固着界面に熱が伝わってデラミが発生した。実施例11は、無延伸ポリプロピレン(CPP)のポリオレフィン系樹脂層の厚さが厚く、この厚さのため熱ラミネートによる基材と非発泡ラミネートフィルムの固着強度が低下し、成型時の非発泡ラミネートフィルムの追従性が低下していると考えられるが、成型時には非発泡ラミネートフィルムは基材に追従した。
【0069】
次に、合成樹脂積層発泡シートにおける基材の非発泡表面層の融点を異ならせた場合の評価について説明する。尚、表1及び下記表3における実施例1において、基材の非発泡表面層を構成するポリプロピレン(PP)の融点は147℃になっている。また、実施例1及び後述する実施例12~15の合成樹脂積層発泡シートの製造では、上述の予備加熱後に、加熱ロールで熱ラミネートする工程を用い、予備加熱した基材の表面温度は100℃、加熱ロールの温度は230℃とした。
【0070】
下記表3における実施例12は、第1実施形態の合成樹脂積層発泡シート1に対応する合成樹脂積層発泡シートを用いて成形した食品容器であり、基材の非発泡表面層を構成するポリプロピレン(PP)の融点が135℃になっている。その他の構成は実施例1と同一である。
【0071】
下記表3における実施例13は、第1実施形態の合成樹脂積層発泡シート1に対応する合成樹脂積層発泡シートを用いて成形した食品容器であり、基材の非発泡表面層を構成するポリプロピレン(PP)の融点が155℃になっている。また、実施例13の食品容器を構成する基材と非発泡ラミネートフィルムは剥離強度3.0N/15mm以上で固着されている。その他の構成は実施例1と同一である。
【0072】
下記表3における実施例14は、第1実施形態の合成樹脂積層発泡シート1に対応する合成樹脂積層発泡シートを用いて成形した食品容器であり、基材の非発泡表面層を構成するポリプロピレン(PP)の融点が165℃になっている。また、実施例14の食品容器を構成する基材と非発泡ラミネートフィルムは剥離強度3.0N/15mm以下で固着されている。その他の構成は実施例1と同一である。
【0073】
下記表3における実施例15は、第1実施形態の合成樹脂積層発泡シート1に対応する合成樹脂積層発泡シートを用いて成形した食品容器であり、基材の非発泡表面層を構成するポリプロピレン(PP)の融点が125℃になっている。その他の構成は実施例1と同一である。
【0074】
【0075】
実施例12と実施例15は、耐熱性と成型時の賦形性が良好である一方で、非発泡表面層の融点が比較的低温であることにより、目視した状態からデラミが発生するリスクがあるように見られたが、デラミ自体は発生しなかった。また、実施例13と実施例14は、耐熱性とデラミの防止性能が良好である一方で、非発泡表面層の融点が比較的高温で熱ラミネート時の熱量が不足することにより、ラミネートによる基材と非発泡ラミネートフィルムの固着強度が低下し、成型時の非発泡ラミネートフィルムの追従性が低下していると考えられるが、成型時には非発泡ラミネートフィルムは基材に追従した。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、例えば食品を収容する食品容器を形成する際に利用することができる。
【符号の説明】
【0077】
1、1a、1b、1m、1n…合成樹脂積層発泡シート 2、2a、2b…基材 21、21a、21b…発泡層 22…非発泡中間層 23、23a…非発泡表面層 3、3a、3b、3m、3n…非発泡ラミネートフィルム 31、31a、31b、31m、35m、31n、35n…ポリオレフィン系樹脂層 32、32a、32b、32m、32n…印刷層 33、33a、33b、33m、33n…コート層 34m、34n、37n…接着層 36n…ガスバリア層 5…食品容器 6…加熱ロール 7…予備加熱ロール 81、82、83、84…搬送ロール