(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】苦味マスキング組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 27/00 20160101AFI20220616BHJP
A23L 29/269 20160101ALI20220616BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20220616BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220616BHJP
A23L 2/00 20060101ALN20220616BHJP
A61P 31/04 20060101ALN20220616BHJP
【FI】
A23L27/00 Z
A23L29/269
A61K47/36
A61K9/08
A23L2/00 B
A61P31/04
(21)【出願番号】P 2017193029
(22)【出願日】2017-10-02
【審査請求日】2020-09-07
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000175283
【氏名又は名称】三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 千尋
(72)【発明者】
【氏名】近藤 茜
(72)【発明者】
【氏名】藤田 康之
【審査官】田ノ上 拓自
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-158544(JP,A)
【文献】特開2011-250698(JP,A)
【文献】特開2003-079351(JP,A)
【文献】特開昭63-309150(JP,A)
【文献】特表2017-523975(JP,A)
【文献】特開2017-019794(JP,A)
【文献】特開2009-118743(JP,A)
【文献】特表2004-535370(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 27/00-27/40
A61K 47/36
A61K 9/08
A23L 2/00
A61P 31/04
A23L 29/231-29/30
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェランガム及び
スクラロース及びソーマチンからなる群より選択される少なくとも1種の高甘味度甘味料を含有
する、
カフェイン及
びクラ
リスロマイシン
からなる群より選択される少なくとも1種の苦味成分をマスキング
するための組成物。
【請求項2】
ウェランガム1質量部に対して、高甘味度甘味料の含有量が0.00015~5である、請求項1に記載の
苦味成分をマスキング
するための組成物。
【請求項3】
前記苦味成分1質量部に対して、ウェランガムを、0.001~10質量部で含有させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の
苦味成分をマスキング
するための組成物。
【請求項4】
苦味成分を含有する医薬品、医薬部外品又は飲食品と組み合わせて用いられるための、請求項1~3のいずれか1項に記載の
苦味成分をマスキング
するための組成物。
【請求項5】
水性液状である、請求項1~4のいずれか1項に記載の
苦味成分をマスキング
するための組成物。
【請求項6】
粘度が、50~1200mPasである、請求項
5に記載の
苦味成分をマスキング
するための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品、医薬部外品又は飲食品における苦味をマスキングできる組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
苦味成分が、医薬品、医薬部外品又は飲食品に含有されている場合、経口摂取する際に問題となる。医薬品や医薬部外品では、服薬コンプライアンス低下の要因となり、有効成分による所望の効果が得られない場合がある。飲食品では嗜好性に影響を与えて商品価値の低下の要因となる。また、苦味は咽頭、喉頭、口蓋垂、上部食道に分布する味蕾によって感知され、嚥下運動に影響を及ぼす。苦味が強い場合は、防御反応として嚥下反射を引き起こす可能性もあり、このような苦味を有する医薬品、医薬部外品又は飲食品に対して、不快な印象を持つようになる。
【0003】
そのため、医薬品、医薬部外品又は飲食品の苦味を改善する方法として、各種のマスキング成分を添加して、苦味をマスキングすることが検討され、種々の提案がなされている。
【0004】
例えば、モルトエキスを添加することにより、濃厚流動食の苦味をマスキングする方法が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、医薬品、医薬部外品又は飲食品に対して安全に使用が可能な、更なる苦味マスキング成分の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、菌が産生する多糖類のうち、食品添加物として安全に用いられているウェランガム、ネイティブジェランガム、キサンタンガムが、顕著な苦味マスキング効果を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、下記に掲げる苦味マスキング組成物を提供する。
項1.
ウェランガム及び/又はネイティブジェランガムを含有する苦味マスキング組成物。
項2.
さらに、高甘味度甘味料を含有する、項1に記載の苦味マスキング組成物。
項3.
キサンタンガム及び高甘味度甘味料を含有する苦味マスキング組成物。
項4.
苦味成分を含有する医薬品、医薬部外品又は飲食品と組み合わせて用いられるための、項1~3のいずれか1項に記載の苦味マスキング組成物。
項5.
水性液状である、項1~4のいずれか1項に記載の苦味マスキング組成物。
項6.
粘度が、50~1500mPasである、項5に記載の苦味マスキング組成物。
【0009】
また、本発明は、下記に掲げる苦味のマスキング方法を提供する。
項7.
苦味成分、該苦味成分を含有する医薬品、医薬部外品又は飲食品に対して、ウェランガム及び/又はネイティブジェランガムを接触させる工程を含む、苦味のマスキング方法。
項8.
苦味成分、該苦味成分を含有する医薬品、医薬部外品又は飲食品に対して、さらに高甘味度甘味料を接触させる工程を含む、項7に記載の苦味のマスキング方法。
項9.
苦味成分、該苦味成分を含有する医薬品、医薬部外品又は飲食品に対して、キサンタンガム及び高甘味度甘味料を接触させる工程を含む、苦味のマスキング方法。
【発明の効果】
【0010】
医薬品、医薬部外品又は飲食品における苦味を安全にマスキングできる組成物及び方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[苦味マスキング組成物]
本発明は、ウェランガム及び/又はネイティブジェランガムを含有する苦味マスキング組成物に関する。
【0012】
本発明で用いるウェランガムは、スフィンゴモナス属細菌(Sphingomonas sp.)の培養液から得られた多糖類を主成分とするものである。簡便には、一般に流通している市販製品を利用することが可能であり、具体的には三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の「ビストップ[登録商標]W」等が例示できる。
【0013】
本発明において、苦味マスキング組成物におけるウェランガムの含有量は、他の成分の種類やその含有量、用いられる形態等により適宜調整され、特に制限されないが、例えば、組成物全量に対して、0.005~1質量%が挙げられ、好ましくは0.01~1質量%、より好ましくは0.03~0.7質量%、更に好ましくは0.05~0.5質量%、特に好ましくは0.1~0.3質量%、最も好ましくは0.075~0.3質量%である。
【0014】
本発明で用いるネイティブジェランガムは、ジェランガムの脱アシル処理前の前駆体として得られる微生物起源の高分子多糖類である。当該ネイティブジェランガムは、一般に微生物の培養によって生産される。具体的には、シュードモナス・エロデア(Pseudomonas elodea:ATCC31461)又はその同等の菌株を、例えばグルコース3%、KH4NO3 0.05%、MgSO4・7H2O 0.01%、NH4NO3 0.09%及び窒素源として有機成分を少量含む液体培地に接種し、これを好気的条件下で30℃程度、約50時間培養して得られる培養物から菌体表面に生産された粘質物を、脱アシル処理することなくそのまま単離・回収することによって製造する方法が例示される(特開昭55-79397号公報)。
【0015】
ネイティブジェランガムは天然に起源を有するものであるため、用いる産生微生物や精製条件によっては、その構造も僅かに変わりうる。従って、本発明で用いられるネイティブジェランガムは、特定の構造式(Sanderson,G.R.,FOOD GELS,ed.Peter Harris,Elsevier Science Publishers LTD.,England,1990,p.204)に基づいて一義的に限定されることなく、上記方法に従って微生物(ATCC31461)により産生されるネイティブジェランガムの性質を有するものであればよい。簡便には、一般に流通している市販製品を利用することが可能であり、具体的には三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の「ケルコゲル[登録商標]LT100」等が例示できる。
【0016】
本発明において、苦味マスキング組成物におけるネイティブジェランガムの含有量は、他の成分の種類やその含有量、用いられる形態等により適宜調整され、特に制限されないが、例えば、組成物全量に対して、0.001~1質量%が挙げられ、好ましくは0.005~1質量%、より好ましくは0.01~0.7質量%、更に好ましくは0.03~0.5質量%、特に好ましくは0.05~0.3質量%、最も好ましくは0.065~0.3質量%である。
【0017】
苦味マスキング組成物が、ウェランガム及びネイティブジェランガムを含有する場合、ウェランガムに対するネイティブジェランガムの含有比率は、他の成分の種類やその含有量、用いられる形態等により適宜調整され、特に制限されないが、例えば、ウェランガム1質量部に対して、ネイティブジェランガムを、0.001~100質量部とすることができ、好ましくは0.005~50質量部、より好ましくは0.01~10質量部、更に好ましくは0.05~5質量部、特に好ましくは0.1~1質量部である。
【0018】
本発明において、苦味マスキング組成物は、さらに、高甘味度甘味料を含有することが好ましい。
【0019】
本明細書において、「高甘味度甘味料」とは、一般に、甘味が砂糖に比べて数十倍から数万倍と、高い甘味を有する物質をいう。高甘味度甘味料としては、医薬品、医薬部外品又は飲食品の分野において用いられているものであれば特に制限されないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、砂糖に対して150倍~30000倍の甘味度を有する甘味料であることが好ましい。
【0020】
本明細書において、「甘味度」とは、砂糖(純ショ糖)の甘味を1としたときの甘味の程度であり、適切な官能評価試験により求められるものをいう。
【0021】
具体的な高甘味度甘味料としては、例えば、スクラロース(甘味度:約600倍)、アセスルファムカリウム(甘味度:約150~200倍)、アスパルテーム(甘味度:約200倍)、ネオテーム(甘味度:約7000~13000倍)、アドバンテーム(甘味度:約20000~40000倍)、サッカリン(甘味度:約300倍)、ステビア抽出物(甘味度:約150~450倍)、ソーマチン(甘味度:約3000~8000倍)、カンゾウ抽出物(甘味度:約150~200倍)、ラカンカ抽出物(甘味度:約150~300倍)、モネリン(甘味度:約3000倍)及びモナチン(甘味度:約800~1400倍)からなる群から選択される一種以上が挙げられる。
【0022】
高甘味度甘味料としては、合成して用いてもよく、公知の方法により植物から抽出して用いてもよく、市販品を用いてもよい。
【0023】
高甘味度甘味料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
【0024】
限定はされないが、高甘味度甘味料の種類は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、甘味度が150~10000倍であるものが好ましく、甘味度が200~8000倍であるものがより好ましく、スクラロース、ソーマチン、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、ネオテーム、ステビア抽出物及びラカンカ抽出物からなる群より選択される少なくとも1種であることが更に好ましく、スクラロース、ソーマチン、ステビア抽出物及びラカンカ抽出物からなる群より選択される少なくとも1種であることが特に好ましい。
【0025】
苦味マスキング組成物における高甘味度甘味料の総含有量は、他の成分の種類やその含有量、用いられる形態等により適宜調整され、特に制限されないが、例えば、組成物全量に対して、0.01~1000000質量ppmとすることができ、好ましくは0.05~500000質量ppm、より好ましくは0.1~100000質量ppm、更に好ましくは0.1~50000質量ppm、特に好ましくは0.5~10000質量ppmである。
【0026】
個々の高甘味度甘味料の含有量は、用いる高甘味度甘味料の甘味度によって調整することができ、ショ糖の濃度に換算した時のショ糖換算濃度が、通常、1~100質量%であり、好ましくは3~80質量%、より好ましくは3~60質量%である。
【0027】
高甘味度甘味料としてスクラロースを用いた場合、スクラロース単独の含有量は、例えば、組成物全量に対して、1~3000質量ppmとすることができ、好ましくは10~2000質量ppmである。
【0028】
また、高甘味度甘味料としてソーマチンを用いた場合、ソーマチン単独の含有量は、例えば、組成物全量に対して、0.1~1000質量ppmとすることができ、好ましくは1~750質量ppmである。
【0029】
高甘味度甘味料としてステビア抽出物を用いた場合、ステビア抽出物単独の含有量は、例えば、組成物全量に対して、1~12000質量ppmとすることができ、好ましくは10~5000質量ppmである。
【0030】
また、高甘味度甘味料としてラカンカ抽出物を用いた場合、ラカンカ抽出物単独の含有量は、例えば、組成物全量に対して、1~12000質量ppmとすることができ、好ましくは10~5000質量ppmである。
【0031】
また、本発明は、キサンタンガム及び高甘味度甘味料を含有する苦味マスキング組成物に関する。
【0032】
本発明で用いるキサンタンガムは、キサントモナス属菌(Xanthomonas campestris)が菌体外に生産する多糖類であり、D-マンノース、D-グルコース、D-グルクロン酸で構成されている。主鎖はβ-1,4結合しているD-グルコースからなり、側鎖は主鎖のD-グルコース残基1つおきにD-マンノース2分子とD-グルクロン酸が結合している。側鎖の末端にあるD-マンノースはピルビン酸塩となっている場合がある。また、主鎖に結合したD-マンノースのC-6位はアセチル化されている場合がある。簡便には、一般に流通している市販製品を利用することが可能であり、具体的には三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の「ビストップ[登録商標]D-3500」等が例示できる。
【0033】
本発明において、苦味マスキング組成物におけるキサンタンガムの含有量は、他の成分の種類やその含有量、用いられる形態等により適宜調整され、特に制限されないが、例えば、組成物全量に対して、0.005~20質量%が挙げられ、好ましくは0.01~15質量%、より好ましくは0.03~10質量%、更に好ましくは0.05~5質量%、特に好ましくは0.1~4質量%、最も好ましくは0.1~3質量%である。
【0034】
キサンタンガムに対する高甘味度甘味料の含有比率は、他の成分の種類やその含有量、用いられる形態等により適宜調整され、特に制限されないが、例えば、キサンタンガム1質量部に対して、高甘味度甘味料の総含有量を、0.0001~100質量部とすることができ、好ましくは0.0005~50質量部、より好ましくは0.001~10質量部、更に好ましくは0.002~5質量部、特に好ましくは0.001~1質量部である。
【0035】
高甘味度甘味料としてスクラロースを用いた場合、キサンタンガムに対するスクラロースの含有比率は、例えば、キサンタンガム1質量部に対して、スクラロースを、0.001~100質量部とすることができ、好ましくは0.005~50質量部、より好ましくは0.01~10質量部、更に好ましくは0.05~5質量部、特に好ましくは0.1~1質量部である。
【0036】
高甘味度甘味料としてソーマチンを用いた場合、キサンタンガムに対するソーマチンの含有比率は、例えば、キサンタンガム1質量部に対して、ソーマチンを、0.0001~100質量部とすることができ、好ましくは0.0002~50質量部、より好ましくは0.0003~10質量部、更に好ましくは0.0003~5質量部、特に好ましくは0.0003~1質量部である。
【0037】
本発明の苦味マスキング組成物は、生物(人や動物等)に対して苦味を呈する成分(本明細書において苦味成分とも言う)をマスキングすることができる状態であれば、どのような形態で用いることも可能である。本発明の苦味マスキング組成物は、限定はされないが、経口摂取される組成物(経口用組成物)並びに口腔内利用される組成物(口腔用組成物)として用いることが可能である。限定はされないが、本発明の苦味マスキング組成物は、典型的には、医薬品、医薬部外品(医薬組成物)、飲食品(飲食品組成物)又は食品添加物として調製することができる。これらの医薬品、医薬部外品又は飲食品には、苦味成分が含有されていることが好ましい。飲食品としては、動物へ与える飼料であってもよい。
【0038】
本明細書において、「苦味マスキング、苦味のマスキング」とは、苦味を本来有する程度未満に低減又は抑制することをいう。
【0039】
医薬品、医薬部外品又は飲食品に含まれ得る苦味成分としては、水溶性であってもよく、非水溶性であってもよい。苦味成分は、限定はされないが、例えば、ポリフェノール、ビタミンB群等が挙げられる。
【0040】
苦味成分となるポリフェノールとしては、通常経口摂取できるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、カテキン類〔非重合体カテキン類(エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレード、エピガロカテキンガレートなどのエピ体カテキン類、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレードなどの非エピ体カテキン類など)、重合体カテキン類〕、テアフラビン類、テアルビジン類、タンニン、大豆イソフラボン、酵素処理ルチン、フラバンジェノール、ヤマモモ抽出物、酵素処理イソクエルシトリン、ピクノジェノール、ローズマリー抽出物、水溶性ローズマリン酸、5-アデニル酸、myo-イノシトール、エンジュ抽出物、酵素処理ヘスペリジン、5-シチジル酸、トコトリエノール、トコフェノール、d-γ-トコフェノール、d-δ-トコフェノール、メナキノン(抽出物)、ルチン酵素分解物、リンゴポリフェノール、オキザノール、オリザノール、γ-オリザノール、テアフラビン、DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)、ザクロポリフェノール、ポリメトキシフラボン(PMFs)、キサントフモール、ホップフラバノイド、ホップ抽出物、プロアントシアニジン(ブドウ種子ポリフェノール)、ルテオリン、ルテオリン-7-グルコシド、ストリクチニン、ペラルゴニジン、アピゲニン、ジオスミン、ルテオリン、ゲニスチン、ダイゼイン、ヘスペレチン、ナリンジン、酵素処理ナリンジン、ナリンゲニン、フロレチン、ゲルセチン、ケンフェノール、ミリセチン、タイニーズタンニン、コリラジン、レッドクローバ、沙棘フラボン、ポリフェノール素材(緑茶抽出物、ウーロン茶抽出物、甜茶抽出物、マテ、ブドウ種子抽出物、赤ブドウ葉抽出物、カシス(ブラックカラント)抽出物、リンゴ抽出物、クランベリー抽出物、赤ワインポリフェノール、カカオポリフェノール、ブルーベリー抽出物、ライチ種子・抽出物、ゲンチアナ抽出物、キウイ種子、柑橘果皮(ヘスペリジン)、ユズ種子、アムラ果実、ザクロ果皮、松樹皮エキス、月見草、グアバ葉、ミント、ユーカリ、コーヒー豆、黒米抽出物、黒大豆抽出物、ピーナツ種皮、エンジュ・ソバ葉(ルチン)、そば実、ザクロ、さとうきび、フキ、赤ショウガ、バラ花びら、シソ、大麦、黒豆エキス、オリーブ(茶)抽出物、アカショウマ)、スルホラファン、アップルフェノン(リンゴポリフェノール)、エルソルビン酸、プロアントシアニジン、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル(PG)、クエルセチンマロニルクルコシド、ココアフラバノール、メラトニン、ケルセチン、γオリザノール・フェルラ酸、フィチン酸(酸味料)タータリブチルヒドロキノン、チオジプロピオン酸ジラウリル、L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸ステアリン酸エステル、L-アスコルビン酸ナトリウム、L-アスコルビン酸パルミチン酸エステル、亜硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸カルシウムニナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ニナトリウム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、クエン酸イソプロピル、次亜硫酸ナトリウム、L-システイン塩酸塩、ジブチルヒドロキシトルエン、dl-アルファ-トコフェロール、二酸化硫黄、ピロ亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、ルチン抽出物、アオイ花抽出物、アスペルギルステレウス抽出物、エラグ酸、ガンマ-オイザノール、カテキン、カンゾウ油性抽出物、グアヤク脂、クローブ抽出物、酵素処理ルチン、酵素処理リンゴ抽出物、ごま油不ケン化物、コメヌカ油抽出物、コメヌカ酵素分解物、食用カンナ抽出物、製油除去ウイキョウ抽出物、セイヨウワサビ抽出物、セサモリン、セサモール、セージ抽出物、セリ抽出物、チャ抽出物、テンペ抽出物、ドクダミ抽出物、ニガヨモギ抽出物、ヨモギ抽出物、レイシ抽出物、ダイダイ抽出物、トコトリエノール、d-アルファ-トコフェロール、d-ベータ-トコフェロール、d-ガンマ-トコフェロール、ナタネ抽出物、生コーヒー豆抽出物、ノルジヒドログアヤレチック酸、ヒマワリ種子抽出物、ピメンタ抽出物、フェルラ酸、ブドウ種子抽出物、ブルーベリー抽出物、プロポリス抽出物、ヘゴ・イチョウ抽出物、ヘスペレチン、ペパー抽出物、ホウセンカ抽出物、没食子酸、ミックストコフェロール、メラロイカ精油、モリン、ユーカリ葉抽出物、リンドウ根抽出物、サツマイモ茎葉ポリフェノール、アスタキサンチン、フラボノイド、テルペノイド、杜仲葉配糖体(ゲポニシド酸)、カプサイシン、カプシエイト、ラズベリーケトン、カルノソール、エキネノン、ゼアキサンチン、ルテイン、β-クリプトキサンチン、ナリンゲニン、タキシフォリン、アピゲニン、クリシン、ルテオリン、ルチン、ケンフェロール、ケンフェロール、イソラムネチン、テルペンラクトン、スチルベン、プロアントシアニジン、フラバン-3-オール、β-クリプトキサンチン、カンタキサンチン、ホエニコキサンチン、サポニン、イソフラボン、マロニル―β-グルコシド、ヘスペリジン、ナリルチン、クロロゲン酸、アントシアニン、クェルセチン配糖体、フロレチン配糖体、イソプレノイド、フィタン酸、ゲニステイン、ダイゼイン、グゥアバ葉ポリフェノール等が挙げられる。
【0041】
苦味成分となるビタミンB群としては、通常経口摂取できるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、ビタミンB1群〔例えばチアミン、硝酸チアミン、塩酸チアミン、ビタミンB1誘導体(チアミンプロピルジスルフィド、チアミンテトラヒドロフルフリルジスルフィド(フルスルチアミン)並びにチアミン-8-(メチル-6-アセチルジヒドロチオクテート)ジスルフィドおよびこれらの塩酸塩等、チアミンジスルフィド、O-ベンゾイルチアミンジスルフィド、チアミンモノフォスフェートジスルフィド、O,S-ジベンゾイルチアミン、S-ベンゾイルチアミン-O-モノフォスフェート、O,S-ジカルベトキシチアミン等)〕、ビタミンB2群(例えばリボフラビン、リン酸リボフラビンナトリウム、酪酸リボフラビン等)、ビタミンB6群(例えばピリドキシン、ピリドキサル、ピリドキサミンおよびこれらのリン酸あるいは塩酸塩等)、ビタミンB12群(例えばコバラミン、シアノコバラミン、メチルコバラミン、アデノシルコバラミン、ヒドロキソコバラミン等)等が挙げられる。
【0042】
ポリフェノール以外の苦味成分としては、ペプチド(ロイシン、イソロイシン、バリンといった分岐鎖アミノ酸を少なくとも1個有する2~4アミノ酸からなるペプチド等)、カフェイン(カフェイン抽出物)、ケール、クアシン(クワッシャ抽出物)、キニーネ、キナ(皮)抽出物、キハダ抽出物、ダンデライオン、センブリ(センブリ抽出物)、ニガキ(ニガキ抽出物)、ガラナ、アブシンチン、ゲンチオオリゴ糖、ミネラル(硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等のマグネシウム塩、硫酸カルシウム等のカルシウム塩等)、イソアルファー苦味酸、香辛料抽出物、ジャマイカカッシア抽出物、テオブロミン等が挙げられる。
【0043】
また、医薬品又は医薬部外品において、公知の苦味成分又は将来見出される苦味成分を含有している限り本発明を適用することが可能である。特に医薬品又は医薬部外品に含有され得る苦味成分としては、例えば、解熱剤、鎮痛剤、消炎剤、鎮咳剤、去痰剤、抗ヒスタミン剤、止血剤等における苦味を有する成分を挙げることができる。
【0044】
このような医薬品又は医薬部外品で用いられ得る苦味成分としては、例えば、アカルボース、アシクロビル、アジスロマイシン水和物、アスコルビン酸、アスコルビン酸・パントテン酸カルシウム、アスピリン・ダイアルミネート、アズレンスルホン酸ナトリウム水和物、アズレンスルホン酸ナトリウム水和物・L-グルタミン、アセトアミノフェン、アテノロール、アトバコン、アトモキセチン塩酸塩、アトルバスタチンカルシウム水和物、アミオダロン塩酸塩、アミドトリゾ酸ナトリウムメグルミン、アミノ安息香酸エチル、アミノフィリン、アムロジピンベシル酸塩、アモキシシリン水和物、アリピプラゾール、アリメマジン酒石酸塩、アルギン酸ナトリウム、アルベンダゾール、アンチピリン、アンピシリン水和物、アンブロキソール塩酸塩、イソソルビド、イトラコナゾール、イブプロフェン、イルベサルタン、インドメタシン、エカベトナトリウム水和物、エタンブトール塩酸塩、エトスクシミド、エバスチン、エピナスチン塩酸塩、エピネフリン塩酸塩、エピリゾール、エフェドリン塩酸塩、エンテカビル水和物、オキシコドン塩酸塩水和物、オセルタミビルリン酸塩、オランザピン、オルメサルタンメドキソミル、オロパタジン塩酸塩、オンダンセトロン、カナマイシン一硫酸塩、ガランタミン臭化水素酸塩、カルシフェロール配合剤、カルテオロール塩酸塩、カルボシステイン、カルメロースナトリウム、カンデサルタンシレキセチル、グアイフェネシン、クエチアピンフマル酸塩、クエン酸マグネシウム、クエン酸第一鉄ナトリウム、クエン酸鉄アンモニウム、グラニセトロン塩酸塩、クラブラン酸カリウム、クラリスロマイシン、グリメピリド、クレマスチンフマル酸塩、クロカプラミン塩酸塩水和物、クロルフェニラミンマレイン酸塩、ケトチフェンフマル酸塩、ケトプロフェン、コデインリン酸塩、コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム、サッカリンナトリウム水和物、サルブタモール硫酸塩、サルポグレラート塩酸塩、ジクロフェナクナトリウム、シタフロキサシン水和物、ジヒドロコデインリン酸塩、ジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェンヒドラミンサリチル酸塩・ジプロフィリン、ジブカイン塩酸塩配合剤、シプロヘプタジン塩酸塩水和物、ジメチコン、ジメモルファンリン酸塩、シルデナフィルクエン酸塩、シロスタゾール、シロドシン、シンバスタチン、スクラルファート水和物、スチリペントール、スマトリプタンコハク酸塩、スルタミシリントシル酸塩水和物、スルピリン、セチリジン塩酸塩、セチルピリジニウム配合剤、セトラキサート塩酸塩、セファレキシン、セフカペン ピボキシル塩酸塩水和物、セフジトレン ピボキシル、セフジニル、セフテラム ピボキシル、セフポドキシム プロキセチル、セレギリン塩酸塩、ゾニサミド、ゾルピデム酒石酸塩、ゾルミトリプタン、タムスロシン塩酸塩、タルチレリン水和物、チアラミド塩酸塩、チペピジンヒベンズ酸塩、テオフィリン、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤、デキストロメトルファン臭化水素酸塩、デキサメタゾン、テビペネム ピボキシル、テルミサルタン、ドカルパミン、ドキサゾシンメシル酸塩、トスフロキサシントシル酸塩水和物、ドネペジル塩酸塩、トラネキサム酸、トラマドール塩酸塩、トリアゾラム、トリアムシノロンアセトニド、トリメトキノール塩酸塩水和物、ドロキシドパ、トロキシピド、ドンペリドン、ナトリウム・カリウム・アスコルビン酸配合剤、ナトリウム・カリウム配合剤、ナフトピジル、ナプロキセン、ナリジクス酸、ニフェジピン、バラシクロビル塩酸塩、パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル塩酸塩、バルサルタン、バルプロ酸ナトリウム、パロキセチン塩酸塩水和物、ピオグリタゾン塩酸塩、ビカルタミド、ピコスルファートナトリウム水和物、ビタミンA、ヒドロキシジンパモ酸塩、ヒドロクロロチアジド、ピパンペロン塩酸塩、ビフィズス菌製剤、ピランテルパモ酸塩、ファモチジン、ファロペネムナトリウム水和物、フェキソフェナジン塩酸塩、フェナセチン、フェニルブタゾン、フェニルプロパノールアミン塩酸塩、フェノバルビタール、フッ化ナトリウム、プラノプロフェン、プラバスタチンナトリウム、プランルカスト水和物、フレカイニド酢酸塩、プレガバリン、ブロチゾラム、プロカテロール塩酸塩、プロプラノロール塩酸塩、ベポタスチンベシル酸塩、ベンザルコニウム塩化物、ベンジルペニシリンベンザチン水和物、ベンズブロマロン、ベンゼトニウム塩化物、ペンタゾシン、ペントキシベリンクエン酸塩、ボグリボース、ホスホマイシンカルシウム水和物、ボセンタン水和物、ポビドンヨード、ポラプレジンク、ポリカルボフィルカルシウム、ポリスチレンスルホン酸カルシウム、ミグリトール、ミコフェノール酸 モフェチル、ミゾリビン、ミチグリニドカルシウム水和物、メキタジン、メチルエフェドリン塩酸塩、メトクロプラミド、メトロニダゾール、メフェナム酸、メベンダゾール、メマンチン塩酸塩、メロキシカム、モサプリドクエン酸塩水和物、モルヒネ硫酸塩水和物、モンテルカストナトリウム、ヨウ化カリウム、ラクトミン、ラフチジン、ラモセトロン塩酸塩、ラモトリギン、ランソプラゾール、リザトリプタン安息香酸塩、リスペリドン、リドカイン塩酸塩、リトナビル、リトナビル、リルマザホン塩酸塩水和物、レチノール、レチノールパルミチン酸エステル、レバミピド、レベチラセタム、レボカルニチン、レボセチリジン塩酸塩、レボフロキサシン水和物、ロキサチジン酢酸エステル塩酸塩、ロキソプロフェンナトリウム水和物、ロスバスタチンカルシウム、ロピナビル、ロピニロール塩酸塩、ロラタジン、塩化アルミニウム、塩化アセチルコリン、塩化カリウム、塩酸セルトラリン、乾燥硫酸鉄、経腸成分栄養剤、桜皮エキス、桜皮エキス・コデインリン酸塩水和物、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、総合アミノ酸製剤、耐性乳酸菌製剤、炭酸ガス配合硫酸バリウム、炭酸ランタン水和物、炭酸水素ナトリウム・酒石酸、沈降炭酸カルシウム、鎮咳去たん配合剤、鎮咳配合剤、非ピリン系感冒剤、無水カフェイン、硫酸バリウム等が挙げられる。
【0045】
苦味成分に対する、ウェランガムの含有比率は、本発明の効果を奏する限り、特に制限されないが、例えば、苦味成分1質量部に対して、ウェランガムを、0.0001~30質量部とすることができ、好ましくは0.0005~20質量部、より好ましくは0.001~10質量部、更に好ましくは0.005~5質量部、特に好ましくは0.01~1質量部である。
【0046】
苦味成分に対する、ネイティブジェランガムの含有比率は、本発明の効果を奏する限り、特に制限されないが、例えば、苦味成分1質量部に対して、ネイティブジェランガムを、0.0001~30質量部とすることができ、好ましくは0.0005~20質量部、より好ましくは0.001~10質量部、更に好ましくは0.005~5質量部、特に好ましくは0.01~1質量部である。
【0047】
苦味成分に対する、キサンタンガムの含有比率は、本発明の効果を奏する限り、特に制限されないが、例えば、苦味成分1質量部に対して、キサンタンガムを、0.001~30質量部とすることができ、好ましくは0.005~20質量部、より好ましくは0.01~15質量部、更に好ましくは0.05~10質量部、特に好ましくは0.1~5質量部である。
【0048】
経口用組成物としては、好ましくはシロップ剤、散剤、顆粒剤等が挙げられる。また、口腔用組成物としては、口内清涼剤又は口臭除去剤(トローチ剤、スプレー剤、噴霧剤、液剤)、洗口剤、うがい剤、歯磨き等の医薬品または医薬品部外品が挙げられる。
【0049】
飲食品組成物としては、好ましくは、果実及び/又は野菜を原料とする果実及び/又は野菜系飲料;乳含有飲料;清涼飲料水;コーヒー含有飲料;茶系飲料;炭酸飲料;アルコール含有飲料などの飲料組成物一般;これら飲料組成物一般を調製するための濃縮飲料、粉末飲料;ヨーグルト、ゼリー、プリン及びムース等のデザート類;ケーキ、クラッカー、ビスケット、パイや饅頭等といった洋菓子及び和菓子を含む焼菓子や蒸菓子等の菓子類;米菓、スナック類;アイスクリームやシャーベット等の冷菓並びに氷菓;チューインガム、ハードキャンディ、ヌガーキャンデー、ゼリービーンズ、等を含む糖菓一般;果実フレーバーソースやチョコレートソースを含むソース類;バタークリーム、フラワーペーストやホイップクリーム等のクリーム類;イチゴジャムやマーマレード等のジャム;菓子パン等を含むパン;焼き肉、焼き鳥、鰻蒲焼き等に用いられるタレ、トマトケチャップ、ソース、麺つゆ等の調味料一般;蒲鉾等の練り製品、ソーセージ等の食肉加工品、レトルト食品、漬け物、佃煮、珍味、惣菜並びに冷凍食品等を含む農畜水産加工品を広く例示することができる。
【0050】
特に、本発明は、飲食品組成物のなかでも、水分含量が高く、苦味成分による苦味が食味に大きく影響を与える飲料組成物に対して有用である。飲料組成物としては、流動状であっても、ゼリー状であってもよい。
【0051】
飲料組成物として上記果実及び/又は野菜系飲料には、例えば果実飲料、果実ジュース、オレンジジュース、うんしゅうみかんジュース、グレープフルーツジュース、レモンジュース、りんごジュース、ぶどうジュース、パインアップルジュース、ももジュース、果実ミックスジュース、果粒入り果実ジュース、果実・野菜ミックスジュース、果汁入り飲料、野菜汁ジュース等が含まれる。
【0052】
飲料組成物として上記乳含有飲料には、加工乳、コーヒーやフルーツ等を含有する乳飲料、乳酸菌飲料、ドリンクヨーグルト、乳清飲料、希釈用乳清飲料等が含まれる。
【0053】
飲料組成物として上記清涼飲料水には、スポーツドリンク、ニアウォーター、機能性飲料、その他清涼飲料(ドリンクスープ、ぜんざいドリンク、しるこドリンク、甘酒、ゼリー飲料、味噌汁、ココア、チョコレートドリンク、豆乳など)等が含まれる。
【0054】
飲料組成物として上記コーヒー含有飲料は、コーヒー豆を原料とした飲料であり、その他の成分として、糖類、乳製品、乳化された食用油脂、またはその他の可食物などを含有するものであってもよい。例えば、コーヒー、コーヒー飲料、コーヒー入り清涼飲料水および乳飲料等が含まれる。
【0055】
飲料組成物として上記茶系飲料は、不発酵茶(緑茶、煎茶、番茶、ほうじ茶、玄米茶、抹茶、玉緑茶、玉露等)に限らず、半発酵茶(烏龍茶等)、発酵茶(紅茶等)等、各種茶葉から抽出された抽出物を原料とした飲料をいう。
【0056】
飲料組成物として上記炭酸飲料は、炭酸を含有する飲料であり、例えば、社団法人日本農林規格協会(JAS)で定められた炭酸飲料が挙げられる。具体的には、コーラ、サイダー、ジンジャーエール、メロンソーダ、炭酸水、栄養ドリンクといった炭酸を含有する飲料や、ビール、発泡酒等の炭酸を含有する飲料を挙げることができる。
【0057】
飲料組成物として上記アルコール含有飲料は、アルコールを含有する飲料であり、例えば、酒税法上の「酒」を指すアルコール飲料が挙げられる。具体的には、清酒類(清酒、合成清酒)、焼酎、ビール、果実酒類(果実酒、梅酒などの甘味果実酒)、ウイスキー類(ウイスキー、ブランデー)、スピリッツ類(スピリッツ)、リキュール類、雑酒(発泡酒、粉末酒、その他の雑酒)、その他の醸造酒などを挙げることができる。当該アルコール含有飲料には、発泡酒等のように炭酸とアルコールの両方を含む飲料も含まれる。アルコールを含有する飲料のアルコール度数は、好ましくは、飲料中のアルコール含量が1度以上、好ましくは1~20度であることが望ましい。
【0058】
本発明の苦味マスキング組成物が、医薬品、医薬部外品又は飲食品自体として調製される場合の他、苦味成分を含有する医薬品、医薬部外品又は飲食品と組み合わせて(併用して)用いられるための組成物であってもよい。この場合は、苦味マスキング組成物には苦味成分が含有されていなくても、苦味成分を含有する医薬品等と併用して服用すること等により、本発明の効果を発揮することが可能となる。医薬品、医薬部外品又は飲食品が含まれる場合、苦味が咽頭、喉頭、口蓋垂、上部食道に分布する味蕾によって感知され、嚥下運動に影響を及ぼしたり、咀嚼機能に影響を及ぼす可能性がある。よって、本発明の苦味マスキング組成物は、苦味成分を含有する医薬品、医薬部外品又は飲食品と組み合わせて(併用して)用いられるための、嚥下補助剤及び/又は咀嚼補助剤として用いられることが可能である。本明細書において、「嚥下」とは口腔内の物を飲み下すことをいう。また「咀嚼」とは、口腔内で物を細断化することをいう。ここで細断化には、下顎や歯を使って噛み砕くことだけでなく、歯茎または舌を使って押し潰すことも含まれる。
【0059】
本発明の苦味マスキング組成物は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、水分含量が高く、水性液状であることが好ましい。
【0060】
また、本発明の効果を顕著に奏する観点から、苦味マスキング組成物の粘度は水性液状に適する数値範囲であることが好ましい。本明細書において、「粘度」は、測定対象の組成物をスクリュー管瓶に分注し、20℃の恒温槽にて30分間保持し、温度を20℃に調温した。次いで、B型回転粘度計を用いて、回転数12rpmの条件で各々、1分間測定することによって求めることができる。以下、本明細書で「粘度」とはかかる方法で算出される値をいう。
【0061】
苦味マスキング組成物の粘度としては、限定はされないが、例えば、50~1500mPasとすることができ、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは80~1400mPas、より好ましくは100~1300mPas、更に好ましくは150~1200mPas、特に好ましくは200~1000mPasである。
【0062】
[苦味のマスキング方法]
また、本発明は、苦味成分、該苦味成分を含有する医薬品、医薬部外品又は飲食品(以下、苦味成分等ともいう)に対して、ウェランガム及び/又はネイティブジェランガムを接触させる工程を含む、苦味のマスキング方法に関する。
【0063】
本発明の苦味のマスキング方法においては、苦味成分とウェランガム及び/又はネイティブジェランガムとが直接に接触している状態であってもよく、両者が直接には接触していないが、苦味成分を含有する医薬品、医薬部外品又は飲食品と接触している状態であってもよい。簡便には、ウェランガム及び/又はネイティブジェランガムを含有する溶液に対して、苦味成分、該苦味成分を含有する医薬品、医薬部外品又は飲食品を添加して分散又は溶解させることにより、両者を接触させる態様が挙げられる。
【0064】
医薬品、医薬部外品又は飲食品の種類によっては、苦味成分が外表面に露出せず、内包されている場合があるが、口腔内で唾液と混ざり合うことや、咀嚼を行っている間に、苦味成分が感知される状態になるものもある。このような場合、例えば、苦味成分を含有する医薬品、医薬部外品又は飲食品が、口腔への摂取前又は摂取中にウェランガム及び/又はネイティブジェランガムと接触するような状態とすることが好ましい。
【0065】
苦味成分、該苦味成分を含有する医薬品、医薬部外品又は飲食品に対して、ウェランガムとネイティブジェランガムとを両方接触させる場合、ウェランガムとネイティブジェランガムとを片方ずつ接触させてもよく、両方を同時に接触させてもよい。
【0066】
苦味成分、該苦味成分を含有する医薬品、医薬部外品又は飲食品に対して、さらに高甘味度甘味料を接触させる工程を含むことが好ましい。接触の態様としては、苦味成分と高甘味度甘味料とが直接に接触している状態であってもよく、両者が直接には接触していないが、苦味成分を含有する医薬品、医薬部外品又は飲食品と接触している状態であってもよい。苦味成分、該苦味成分を含有する医薬品、医薬部外品又は飲食品に対して、さらに高甘味度甘味料を接触させる工程は、苦味成分等に対して、ウェランガム及び/又はネイティブジェランガムを接触させる工程の前に行ってもよく、後に行ってもよく、同時に行ってもよい。
【0067】
ウェランガム、ネイティブジェランガムの含有量、高甘味度甘味料の種類や含有量、他の成分の種類等、液性、使用態様等としては、[苦味マスキング組成物]の項の記載を準じて用いることが可能である。
【0068】
別の態様としては、該苦味成分を含有する医薬品、医薬部外品又は飲食品に対して、ウェランガム及び/又はネイティブジェランガムを接触させる工程を含む、苦味成分を含有する医薬品、医薬部外品又は飲食品の苦味低減方法を提供することも可能である。
【0069】
別の態様としては、組成物にウェランガム及び/又はネイティブジェランガムを含有させることを含む、該組成物に苦味低減作用を付与する方法を提供することも可能である。
【0070】
別の態様としては、組成物にウェランガム及び/又はネイティブジェランガムを含有させることを含む、該組成物に嚥下補助及び/又は咀嚼補助作用を付与する方法を提供することも可能である。
【0071】
このような別の態様における方法においても、ウェランガム、ネイティブジェランガムの含有量、高甘味度甘味料の種類や含有量、他の成分の種類等、液性、使用態様等としては、[苦味マスキング組成物]の項の記載を準じて用いることが可能である。
【0072】
また、本発明は、苦味成分、該苦味成分を含有する医薬品、医薬部外品又は飲食品に対して、キサンタンガム及び高甘味度甘味料を接触させる工程を含む、苦味のマスキング方法に関する。接触の態様としては、苦味成分と、キサンタンガム及び高甘味度甘味料とが直接に接触している状態であってもよく、両者が直接には接触していないが、苦味成分を含有する医薬品、医薬部外品又は飲食品と接触している状態であってもよい。
【0073】
苦味成分、該苦味成分を含有する医薬品、医薬部外品又は飲食品に対して、キサンタンガム及び高甘味度甘味料を接触させる工程は、キサンタンガムと高甘味度甘味料とを片方ずつ接触させてもよく、両方を同時に接触させてもよい。
【0074】
キサンタンガムの含有量、高甘味度甘味料の種類や含有量、他の成分の種類等、液性、使用態様等としては、[苦味マスキング組成物]の項の記載を準じて用いることが可能である。
【0075】
別の態様としては、該苦味成分を含有する医薬品、医薬部外品又は飲食品に対して、キサンタンガム及び高甘味度甘味料を接触させる工程を含む、苦味成分を含有する医薬品、医薬部外品又は飲食品の苦味低減方法を提供することも可能である。
【0076】
別の態様としては、組成物にキサンタンガム及び高甘味度甘味料を含有させることを含む、該組成物に苦味低減作用を付与する方法を提供することも可能である。
【0077】
別の態様としては、組成物にキサンタンガム及び高甘味度甘味料を含有させることを含む、該組成物に嚥下補助及び/又は咀嚼補助作用を付与する方法を提供することも可能である。
【0078】
このような別の態様における方法においても、キサンタンガムの含有量、高甘味度甘味料の種類や含有量、他の成分の種類等、液性、使用態様等としては、[苦味マスキング組成物]の項の記載を準じて用いることが可能である。
【実施例】
【0079】
以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例等を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。なお、実施例中の「%」は、「質量%」であることを意味する。
【0080】
[官能評価試験1]
下記表1に示す処方に従い、常法により試験溶液を調製した。詳細には、水を撹拌しながら苦味成分であるクラリスロマイシンを添加して5質量%水溶液を調製した後、ウェランガムの量を変えて添加した。比較例に対する各試験溶液における苦味マスキング効果を、下記評価方法による官能試験により評価した。官能評価パネルの個別評点を表2に示した。各評点の平均による総合評価の結果及び粘度測定の結果を表3に示した。
【0081】
[官能評価方法]
(1)官能評価パネルとしては、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社内での官能評価トレーニングを定期的に受け、社内の認定試験にて資格を得ているものを選定した。各官能評価パネルをパネルA~Cと表記した。上記官能評価トレーニングは、社内で週1回程度実施されており、且つ、社内試験が定期的に実施されている。
(2)比較例に対する各試験溶液における苦味マスキング効果を採点法による官能評価試験により10段階で評価した。
1:苦味が軽減されていない、もしくは飲みにくい
3:やや苦味が軽減
5:苦味が半減
8:かなり苦味が軽減
10:苦味が完全にマスキングされている、水と同様の苦味
(3)1、3、5、8、10に対して共通に認識できる言葉の定義をもうけ、それにあてはまらない場合は間の点数をつけた。
2:1と3の間の苦味
4:3と5の間の苦味
6:5よりの苦味
7:8よりの苦味
9:8と10の間の苦味
(4)苦味マスキング効果に加え、各試験溶液の飲み込みやすさを4段階(飲み込みやすい、やや飲み込みにくい、かなり飲み込みにくい、飲み込めない)で評価した。
【0082】
[粘度測定条件]
各試験溶液をスクリュー管瓶に分注し、20℃の恒温槽にて30分間保持し、温度を20℃に調温した。次いで、B型回転粘度計を用いて、回転数12rpmの条件で各々、1分間測定した。
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
表2及び表3に示されるように、苦味成分に対して、ウェランガムを添加することにより、苦味成分に対するマスキング効果が認められた。
【0087】
[官能評価試験2]
下記表4に示す処方に従い、常法により試験溶液を調製した。苦味成分としてカフェインの0.1質量%水溶液を用いたことを以外は、官能評価試験1と同様の方法で、比較例2に対する評価を行った。官能評価パネルの個別評点を表5に示した。各評点の平均による総合評価の結果及び粘度測定の結果を表6に示した。
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
表5及び表6に示されるように、苦味成分に対して、ウェランガムを添加することにより、苦味成分に対するマスキング効果が認められた。
【0092】
[官能評価試験3]
上記の官能評価試験2において、特に高い苦味マスキング効果が認められた実施例2-3の処方(ウェランガム0.1質量%、カフェイン0.1質量%)に対して、高甘味度甘味料(スクラロース又はソーマチン)を下記表7又は8に示す添加量にて、それぞれ添加し、試験溶液を調製した。官能評価試験1と同様の方法で、比較例3に対する評価を行った。官能評価パネルの個別評点を表7に示した。各評点の平均による総合評価の結果を表8に示した。各試験溶液の粘度は、実施例2-3と同程度に調製した。
【0093】
【0094】
【0095】
表7及び表8に示されるように、苦味成分に対して、ウェランガム及び高甘味度甘味料を添加することにより、更に顕著な苦味マスキング効果が認められた。
【0096】
[官能評価試験4]
下記表9に示す処方に従い、常法により試験溶液を調製した。官能評価試験1と同様の方法で、比較例4-1に対する評価を行った。官能評価パネルの個別評点を表10に示した。各評点の平均による総合評価の結果を表11に示した。各試験溶液の粘度は、実施例2-3と同程度に調製した。
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
表10及び表11に示されるように、苦味成分に対して、ウェランガム及びネイティブジェランガムは、他の増粘多糖類と比べて優れた苦味マスキング効果を奏した。一般に、クラリスロマイシンによる苦味は、舌に苦味が残留し、その後水等を飲んでも、いつまでも苦味を感じるような特徴がある。ウェランガム、ネイティブジェランガムを含有する組成物(実施例4-1、実施例4-2)では、特に、トップ(味覚の感じ始め)から中盤、後半にかけて苦味が軽減され、優れた苦味マスキング効果を奏した。
【0101】
[官能評価試験5]
下記表12に示す処方に従い、常法により試験溶液を調製した。官能評価試験2と同様の方法で、比較例5-1に対する評価を行った。官能評価パネルの個別評点を表13に示した。各評点の平均による総合評価の結果を表14に示した。各試験溶液の粘度は、実施例2-3と同程度に調製した。
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
表13及び表14に示されるように、苦味成分に対して、キサンタンガム及び高甘味度甘味料を添加することにより、優れた苦味マスキング効果が認められた。一般に、カフェインによる苦味は、後を引きにくく、トップ(味覚の感じ始め)において強い苦味を感じる特徴がある。キサンタンガム及び高甘味度甘味料を含有する組成物(実施例5-1及び実施例5-2)では、特にトップ(味覚の感じ始め)から中盤、後半にかけて苦味が軽減され、優れた苦味マスキング効果を奏した。