(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】免疫療法用の皮内注射針
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20220616BHJP
A61M 5/42 20060101ALI20220616BHJP
A61M 5/46 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
A61M5/32 530
A61M5/32 520
A61M5/32 540
A61M5/42 510
A61M5/46
(21)【出願番号】P 2017528734
(86)(22)【出願日】2016-07-15
(86)【国際出願番号】 JP2016070987
(87)【国際公開番号】W WO2017010564
(87)【国際公開日】2017-01-19
【審査請求日】2019-04-23
【審判番号】
【審判請求日】2020-12-11
(31)【優先権主張番号】P 2015141520
(32)【優先日】2015-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003111
【氏名又は名称】あいそう特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】浦 剛博
(72)【発明者】
【氏名】坂田 清
(72)【発明者】
【氏名】経田 咲子
(72)【発明者】
【氏名】小岩井 一倫
【合議体】
【審判長】佐々木 一浩
【審判官】宮部 愛子
【審判官】栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-66105(JP,A)
【文献】特表2009-516572(JP,A)
【文献】特開2002-172169(JP,A)
【文献】特表2005-537893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M5/46
A61M5/32
A61M5/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の皮膚に穿刺して使用する免疫療法用の皮内注射針であって、
前記皮内注射針は、皮膚に穿刺するための穿刺端部と投与物の吐出口とを有する中空針と、前記中空針を保持するハブとを備え、
前記ハブは、中空針保持部を備え、
前記中空針は、外径が0.15~0.20mmであり、前記吐出口の前記中空針の軸方向長が、0.10~0.80 mmであり、
前記中空針は、前記穿刺端部である刃面と前記刃面内に位置する前記吐出口を有し、前記中空針は、前記中空針保持部の先端より突出しており、前記中空針の先端と前記ハブの前記中空針保持部の先端間の距離
および前記ハブの前記中空針保持部の先端面と前記中空針の前記刃面の先端間距離が、0.65mm~1.00mmであり、前記吐出口の後端と前記ハブの前記中空針保持部の先端間の距離が、0.20mm
より大きく、かつ、前記ハブの前記中空針保持部の先端面と前記中空針の前記刃面の基端間距離が、0.20mm~0.55mmであり、
前記皮内注射針は、生体の皮膚への穿刺時において、前記吐出口の全体が、皮膚下0.20~0.80mmの範囲内に刺入するものであり、
前記皮内注射針は、アレルギー免疫療法用、がん免疫療法用または自己免疫疾患の免疫療法用の薬剤を表皮内に投与し、表皮から真皮への表皮局在細胞の移動を誘起するための皮内注射針であることを特徴とする免疫療法用の皮内注射針。
【請求項2】
前記ハブは、前記中空針の周囲を囲うように円筒状に形成され、先端開口部の端部が皮膚に押し付けられることにより、前記先端開口部内で皮膚の盛り上がりを形成する皮膚押圧用円筒部を備えている請求項1に記載の皮内注射針。
【請求項3】
前記皮膚押圧用円筒部の先端開口部の外側角部は、丸みを帯びたものまたは面取りされたものとなっている請求項2に記載の皮内注射針。
【請求項4】
前記皮膚押圧用円筒部の前記先端開口部の内径が、6~14mmであり、前記中空針は、前記皮膚押圧用円筒部内に形成される皮膚盛り上がり部に対して、ほぼ直交する状態で穿刺されるものとなっている請求項2または3に記載の皮内注射針。
【請求項5】
前記ハブの前記中空針保持部の先端は、前記皮膚押圧用円筒部の先端より、前方に突出している請求項2ないし4のいずれかに記載の皮内注射針。
【請求項6】
前記中空針保持部の先端面は、前記皮膚押圧用円筒部の先端開口より0.20~0.40mm前方に突出している請求項5に記載の皮内注射針。
【請求項7】
前記皮内注射針は、アレルギー免疫療法用皮内注射針である請求項1ないし6のいずれかに記載の皮内注射針。
【請求項8】
前記皮内注射針は、がん免疫療法用皮内注射針である請求項1ないし6のいずれかに記載の皮内注射針。
【請求項9】
前記皮内注射針は、自己免疫疾患の免疫療法用皮内注射針である請求項1ないし6のいずれかに記載の皮内注射針。
【請求項10】
前記皮内注射針は、表皮から真皮へのランゲルハンス細胞の移動誘起用皮内注射針である請求項1ないし6のいずれかに記載の皮内注射針。
【請求項11】
生体の皮膚に穿刺して使用する免疫療法用の皮内注射針とプレフィルドシリンジからなる注射器具であって、
前記皮内注射針は、皮膚に穿刺するための穿刺端部と投与物の吐出口とを有する中空針と、前記中空針を保持するハブとを備え、
前記ハブは、先端部に中空針保持部を、基端部に装着されたコネクターを備え、
前記中空針は、外径が0.15~0.20mmであり、前記吐出口の前記中空針の軸方向長が、0.10~0.80 mmであり、
前記中空針は、前記穿刺端部である刃面と前記刃面内に位置する前記吐出口を有し、前記中空針は、前記中空針保持部の先端より突出しており、前記中空針の先端と前記ハブの前記中空針保持部の先端間の距離
および前記ハブの前記中空針保持部の先端面と前記中空針の前記刃面の先端間距離が、0.65mm~1.00mmであり、前記吐出口の後端と前記ハブの前記中空針保持部の先端間の距離が、0.20mm
より大きく、かつ、前記ハブの前記中空針保持部の先端面と前記中空針の前記刃面の基端間距離が、0.20mm~0.55mmであり、
前記皮内注射針は、生体の皮膚への穿刺時において、前記吐出口の全体が、皮膚下0.20~0.80mmの範囲内に刺入するものであり、
前記プレフィルドシリンジは、前記皮内注射針の前記コネクターが装着されるノズル部を有する外筒と、前記外筒内に摺動可能に収納されたガスケット、前記ガスケットに装着されたプランジャーと、前記外筒内に充填された薬液と、前記外筒の先端部に装着されたシールキャップとを備え、
前記プレフィルドシリンジの前記
薬液は、アレルギー免疫療法用、がん免疫療法用または自己免疫疾患の免疫療法用の
薬液であり、
前記注射器具は、アレルギー免疫療法用、がん免疫療法用または自己免疫疾患の免疫療法用の
薬液を表皮内に投与し、表皮から真皮への表皮局在細胞の移動を誘起するものであることを特徴とする注射器具。
【請求項12】
前記ハブは、前記中空針の周囲を囲うように円筒状に形成され、先端開口部の端部が皮膚に押し付けられることにより、前記先端開口部内で皮膚の盛り上がりを形成する皮膚押圧用円筒部を備え、前記皮膚押圧用円筒部の先端開口部の外側角部は、丸みを帯びたものまたは面取りされたものとなっている請求
項11に記載の注射器具。
【請求項13】
前記皮膚押圧用円筒部の前記先端開口部の内径が、6~14mmであり、前記中空針は、前記皮膚押圧用円筒部内に形成される皮膚盛り上がり部に対して、ほぼ直交する状態で穿刺されるものとなっている請求項12に記載の注射器具。
【請求項14】
前記中空針保持部の先端面は、前記皮膚押圧用円筒部の先端開口より0.20~0.40mm前方に突出している請求項12または13に記載の注射器具。
【請求項15】
前記皮内注射針は、アレルギー免疫療法用皮内注射針である請求項11ないし14のいずれかに記載の注射器具。
【請求項16】
前記皮内注射針は、がん免疫療法用皮内注射針である請求項11ないし14のいずれかに記載の注射器具。
【請求項17】
前記皮内注射針は、自己免疫疾患の免疫療法用皮内注射針である請求項11ないし14のいずれかに記載の注射器具。
【請求項18】
前記皮内注射針は、表皮から真皮へのランゲルハンス細胞の移動誘起用皮内注射針である請求項11ないし14のいずれかに記載の注射器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、針先を皮膚の表面より穿刺し、真皮内の上層部に薬物を投与するための免疫療法用の注射針に関する。
【背景技術】
【0002】
花粉症等に代表されるアレルギーの要因は免疫バランスの変調が要因であると考えられている。アレルギーの根本的な治療法として、免疫療法が古くから知られている。免疫療法は減感作療法、脱感作療法とも呼ばれ、その詳細なメカニズムは不明であるが、アレルゲンの漸次的な投与により、体内の免疫バランスをTh2から変調させることが治療効果につながるものと考えられている。Th1シフトにより、IgE産生を抑制させるとともに、IgG産生を増加させることで、IgE-アレルゲンの複合体のマスト細胞への結合を阻害する効果が治療効果の要因の一つとして考えられている。また、非特許文献1には、免疫療法の治療効果が高い患者は血中のIgG4の抗体価が高いことが示されており、免疫バランスの変調と治療効果が結びつく可能性が示唆されている。
【0003】
また、非特許文献2には、免疫療法において、一般的にはアレルゲンは皮下注射により投与されるが、舌下、経リンパ、表皮パッチなどアレルゲンを異なる投与経路によって送達する免疫療法の開発が進んでいることが示されている。
本願発明者は、皮内注射によってアレルゲンを送達することが、免疫療法に有効な経路となることを考えた。なお、感染症ワクチンの分野においては皮内注射ではワクチンに対するIgG抗体価の誘導能が優れており効果的な投与経路として知られている。
【0004】
感染症ワクチンでの皮内注射のメリットとして、皮膚に多く存在する免疫担当細胞にワクチンを送達させることで、抗原量削減が期待できる点、これに伴いアジュバントの削減または不使用につながり、副作用を軽減できる点があげられる(非特許文献3)。
【0005】
感染症ワクチン以外でも、皮内に薬剤を送達することで、薬効が変化する報告がされている。具体的には、皮膚内圧の上昇により、リンパ管が膨張しリンパ流が増加すること、皮膚の物理的損傷による免疫応答によって血流が増加されることで、薬剤が毛細血管やリンパ管に速やかに吸収されることが知られている。また、皮内送達では皮内に薬剤が長く留まることにより、その薬効が長くなる効果も知られている(特許文献1)。
【0006】
免疫療法での皮内注射の利用を考えた場合には、Th1への免疫バランスの変調をもたらす細胞群に効果的に薬剤を送達させることが重要である。非特許文献4には、皮内注射の特徴をもたらす細胞群としては、表皮に存在する、ランゲルハンス細胞および真皮に存在する真皮樹状細胞などいくつかの細胞群があることが示されている。
【0007】
さらに、非特許文献5には、表皮に存在するランゲルハンス細胞は、皮膚表面に存在する病原菌などの免疫寛容を引き起こす役割があることが示されている。非特許文献6、7、8には、皮内注射によってランゲルハンス細胞が表皮から真皮内へ移動して、Th1細胞による免疫応答を引き起こすことが示されている。このことから、ランゲルハンス細胞に薬剤を効率的に送達させることが重要であると考えられる。
【0008】
非特許文献9において、Sentiらは、ランゲルハンス細胞の特徴を活かした経皮的なアレルゲンの投与による免疫療法の有効性を報告している。非特許文献10において、Dupontらは、3カ月から15歳の小児に対して、経皮的なアレルゲンの免疫療法の効果を報告している。
【0009】
しかし、非特許文献11、12には、表皮パッチなどの経皮的な送達では、ランゲルハンス細胞にアレルゲンは取り込まれるものの、アレルギーを増悪させることが示されている。このことから、経皮的ではなく真皮内に薬剤を送達させることが重要であると考えられる。望ましくは表皮直下の真皮上層部に局在するように薬剤を送達させることが効率的なランゲルハンス細胞の移動を促すものと考えられる。
【0010】
また、非特許文献13において、Omori-Miyakeらは、皮膚表面の物理的刺激によってTh2反応が促進され、表皮バリアを脆弱にさせることを報告している。Th2反応による表皮バリアの障害はアトピー性皮膚炎等のアレルギー疾患の進行との関連があると考えられている。このことから、皮膚表面への刺激が少ない方法で薬物を送達させることが重要である。
【0011】
上記の知見より、免疫療法に使用する皮内注射針の特徴として、皮膚表面への刺激が少ない方法で薬物を真皮の上層部に送達することで、アレルギー増悪を起因するTh2細胞による免疫応答を抑え、かつ皮内の上層部の限定的な部分に薬物を送達することで、表皮のランゲルハンス細胞の真皮内に移動によるTh1細胞による免疫応答を増強させることが可能であれば、免疫療法として効果的な手段になりうることを考えた。
【0012】
皮膚は、表皮(角質層、淡明層、顆粒層、有棘層、基底層の5層から成る)、真皮(乳頭層、乳頭下層、網状層から成る)、皮下組織(脂肪層)により構成される。表皮は、皮膚表面から50~200μm程度の層であり、真皮は、表皮から続く1.5~3.5mm程度の層である。
【0013】
皮膚上層部への薬剤等の投与物の投与方法としては、単針、多針、パッチ、ガス等を用いた方法がある(非特許文献3、非特許文献14)。そして、投与の安定性、信頼性、製造コストを考慮すると、皮膚上層部への投与方法としては、単針を用いた方法が最も適している。この単針を用いて真皮にワクチンを投与する方法として、古くからマントー法が知られている。マントー法は、一般的に26~27Gのサイズで短ベベルの針先を有する針を皮膚に対して10~15°程度の斜め方向から2~5mm程度挿入して、100μL程度の薬剤を投与する方法である。しかし、マントー法は、手技が難しく、注射を行う医者の技量に委ねられるため、真皮の上層部にのみ薬剤を送達させることは、現実的にマントー法では不可能である。
【0014】
上述した技術的な課題を基に、皮内をターゲットとした、注射装置に関する発明が多く報告されている(非特許文献3、非特許文献14、特許文献1、特許文献2)。しかし、表皮直下の真皮上層部に限定して薬剤を送達する技術は存在しない。その理由としては、真皮内の薬剤送達によって、表皮の細胞移動を促そうという思想はなく、感染症ワクチンやバイオアベイラビリティーの観点から穿刺深さを規定しているため、真皮乳頭層への薬物送達を明確にターゲットにはしていないためと考えられる。
【0015】
特に、真皮内でも上層部のみに薬剤を限局的に送達させることは技術的に難しい。さらに、吐出口の深さを制御することで、真皮内での上層部にのみ限局的に薬剤分布がなされるのかを検討した報告もない。本願発明者が、鋭意検討したところ、吐出口の位置が、薬剤の真皮内での分布に影響することを確認した。
【0016】
穿刺時に皮膚表面への刺激が少ない方法としては、短く、細く、単針である注射針を用いる方法が適している。非特許文献15において、Laurentらは、針管の長さを1.5mmとした30Gの針で垂直穿刺した場合、26Gでのマントー法による皮内注射よりも皮膚へのダメージが少なく、痛みが低減できることを示している。この他にも、針管をより細く短くすることで、針への恐怖心や穿刺時の痛みが低減できることが数多くの文献から報告されており、例えば、非特許文献16において、Gillらは、針の外径が細い針であるほど、穿刺時の痛みを軽減できることを、非特許文献17において、針管の長さが0.45-1.45mmの針において針管の長さが短いほど、穿刺時の痛みが顕著に軽減されることを示している。なお、複数針を有するマイクロニードルでは、皮膚表面への複数回穿刺による皮膚への刺激性が懸念される。
【0017】
真皮に垂直穿刺により薬剤を注射する方法として、本件出願人は、特開2015-66105(特許文献3)を提案している。特許文献3の注射針組立体1は、中空針4と、中空針を保持するハブ2と、中空針の周囲を囲う皮膚押圧用円筒部22とを備える。注射針組立体は、皮膚押圧用円筒部の先端開口部28の端部が皮膚表面に対する斜めに押圧を阻害する部位を持たず、先端開口部の内径が6~14mm、中空針の先端開口部からの突出長が0.5~1.4mmである。
【0018】
また、非特許文献18において、矢追らは、皮内注射による免疫療法は微小量で効果的であることを報告している。しかし、真皮内へのアレルゲン送達がコントロールされた状態とは想定できず、穿刺深さのコントロールによるアレルゲンの真皮内分布を考慮していない。
上記の知見より、本願発明者が、免疫療法に有効と考えられる表皮表面に刺激が少なく、かつ真皮の上層部に薬物を送達可能な皮内注射針について鋭意検討した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【文献】特表2006-506103(WO2003-057143)
【文献】特表2007-500251(WO2005-016401、US公開2005-0163711)
【文献】特開2015-66105
【非特許文献】
【0020】
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【文献】Romani N et al. Langerhans cells and more: langerin-expressing dendritic cell subsets in the skin. Immunological Reviews 2010; 234(1):120-141
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【文献】Gill HS, et al. Does needle size matter? J Diabetes Sci Technol 2007;1(5):725-729.
【文献】Gill HS, et al. Effect of microneedle design on pain in human subjects. the Clinical Journal of Pain 2008;24(7):585-594.
【文献】http://a-yit.jp/index.php?FrontPage でアクセス可能なホームページ: 矢追インパクト療法学会; 矢追インパクト療法とは
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
特表2006-506103(特許文献1)には、患者に投与しなければならない治療用物質の量を低減させ、治療効果を達成する方法であって、0~1mmの露出高を備える排出口を有する少なくとも1本の小ゲージの中空針を介して物質を投与することを含み、前記排出口が0.3~2mmの深さまで皮膚に挿入され、その結果、物質の送達が0.3~2mmの深さで起こることを特徴とする方法が提案されている。
【0022】
また、上述したように、特許文献3の注射針組立体1は、中空針4と、中空針を保持するハブ2と、中空針の周囲を囲う皮膚押圧用円筒部22とを備える。注射針組立体は、皮膚押圧用円筒部の先端開口部28の端部が皮膚表面に対する斜めに押圧を阻害する部位を持たず、先端開口部の内径が6~14mm、中空針の先端開口部からの突出長が0.5~1.4mmである。
【0023】
本発明の目的は、穿刺時に表皮表面への刺激が少ない方法にて、真皮の上層部に薬物を送達できる免疫療法用の皮内注射針を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
生体の皮膚に穿刺して使用する免疫療法用の皮内注射針であって、前記皮内注射針は、皮膚に穿刺するための穿刺端部と投与物の吐出口とを有する中空針と、前記中空針を保持するハブとを備え、前記ハブは、中空針保持部を備え、前記中空針は、外径が0.15~0.20mmであり、前記吐出口の前記中空針の軸方向長が、0.10~0.80 mmであり、前記中空針は、前記穿刺端部である刃面と前記刃面内に位置する前記吐出口を有し、前記中空針は、前記中空針保持部の先端より突出しており、前記中空針の先端と前記ハブの前記中空針保持部の先端間の距離および前記ハブの前記中空針保持部の先端面と前記中空針の前記刃面の先端間距離が、0.65mm~1.00mmであり、前記吐出口の後端と前記ハブの前記中空針保持部の先端間の距離が、0.20mmより大きく、かつ、前記ハブの前記中空針保持部の先端面と前記中空針の前記刃面の基端間距離が、0.20mm~0.55mmであり、前記皮内注射針は、生体の皮膚への穿刺時において、前記吐出口の全体が、皮膚下0.20~0.80mmの範囲内に刺入するものであり、前記皮内注射針は、アレルギー免疫療法用、がん免疫療法用または自己免疫疾患の免疫療法用の薬剤を表皮内に投与し、表皮から真皮への表皮局在細胞の移動を誘起するための皮内注射針である免疫療法用の皮内注射針。
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
生体の皮膚に穿刺して使用する免疫療法用の皮内注射針とプレフィルドシリンジからなる注射器具であって、前記皮内注射針は、皮膚に穿刺するための穿刺端部と投与物の吐出口とを有する中空針と、前記中空針を保持するハブとを備え、前記ハブは、先端部に中空針保持部を、基端部に装着されたコネクターを備え、前記中空針は、外径が0.15~0.20mmであり、前記吐出口の前記中空針の軸方向長が、0.10~0.80 mmであり、前記中空針は、前記穿刺端部である刃面と前記刃面内に位置する前記吐出口を有し、前記中空針は、前記中空針保持部の先端より突出しており、前記中空針の先端と前記ハブの前記中空針保持部の先端間の距離および前記ハブの前記中空針保持部の先端面と前記中空針の前記刃面の先端間距離が、0.65mm~1.00mmであり、前記吐出口の後端と前記ハブの前記中空針保持部の先端間の距離が、0.20mmより大きく、かつ、前記ハブの前記中空針保持部の先端面と前記中空針の前記刃面の基端間距離が、0.20mm~0.55mmであり、前記皮内注射針は、生体の皮膚への穿刺時において、前記吐出口の全体が、皮膚下0.20~0.80mmの範囲内に刺入するものであり、前記プレフィルドシリンジは、前記皮内注射針の前記コネクターが装着されるノズル部を有する外筒と、前記外筒内に摺動可能に収納されたガスケット、前記ガスケットに装着されたプランジャーと、前記外筒内に充填された薬液と、前記外筒の先端部に装着されたシールキャップとを備え、前記プレフィルドシリンジの前記薬液は、アレルギー免疫療法用、がん免疫療法用または自己免疫疾患の免疫療法用の薬液であり、前記注射器具は、アレルギー免疫療法用、がん免疫療法用または自己免疫疾患の免疫療法用の薬液を表皮内に投与し、表皮から真皮への表皮局在細胞の移動を誘起するものである注射器具。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明の皮内注射針の一実施例の正面図である。
【
図6】
図6は、本発明の他の実施例の皮内注射針の先端部付近の拡大断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の皮内注射針が用いられる注射器具の一例の正面図である。
【
図9】
図9は、
図7に示した注射器具の作用を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の皮内注射針を図面に示した実施例を用いて説明する。
本発明の皮内注射針1は、生体の皮膚に穿刺して使用する免疫療法用の皮内注射針である。本発明の皮内注射針1は、皮膚に穿刺するための穿刺端部と投与物の吐出口41とを有する中空針4と、中空針を保持するハブ2とを備える。中空針4は、外径が0.15~0.20mmであり、吐出口41の中空針の軸方向長が、0.10~0.80mmであり、皮内注射針1は、生体の皮膚への穿刺時において、吐出口41の全体が、皮膚下0.20~1.00mmの範囲内に刺入可能なものとなっている。
【0027】
皮膚は、表皮(角質層、淡明層、顆粒層、有棘層、基底層の5層から成る)、真皮(乳頭層、乳頭下層、網状層から成る)、皮下組織(脂肪層)により構成される。本発明における「皮内」とは、表皮および真皮部分を包含するものである。そして、本発明では、皮膚下0.20~1.00mmの範囲内、すなわち、真皮の上層部(乳頭層)部分に、投与物(具体的には、薬剤)をデリバリーするためのものである。
【0028】
この皮内注射針1は、皮膚下0.20~1.00mmの部位に、薬剤を有効に投与することができ、薬剤の皮内注射によるTh1免疫変調による効果が期待される治療法に有効である。例えば、アレルギーや自己免疫疾患等の免疫バランスのシフトにより発症に至る疾患をTh1免疫変調によって効果を期待する治療法や抗原投与後のTh1免疫変調により抗原特異的な細胞障害性T細胞を誘導して治療または予防効果を期待する方法を意味する。そして、このような治療法としては、アレルギー免疫療法、がん免疫療法、感染症ワクチン、自己免疫疾患における免疫療法(具体的には、膠原病 SLE等)などがある。
【0029】
また、この皮内注射針1は、皮膚下0.20~1.00mmの部位に、薬剤を有効に投与することができ、皮膚下への注射による表皮局在細胞の真皮内への移動を誘起するために有効である。表皮局在細胞としてはランゲルハンス細胞、マクロファージ、樹状細胞、リンパ球、好中球、好塩基球等があげられる。特にランゲルハンス細胞の表皮から真皮への細胞移動の誘起は、上記のTh1免疫変調による効果が期待される治療法に有効である。
【0030】
特に、本発明の皮内注射針は、免疫バランス変化を意図した投与物、例えば、治療薬の送達に用いられる。このような投与物である治療薬としては、例えば、アレルギー免疫療法におけるアレルギーの起因物質となる治療用アレルゲンがあげられる。投与されるアレルゲンとしては、花粉(スギ、ブタクサ、カモガヤ、ススキ、カナムグラ、ヒメガマ等)、食品(小麦粉、米、卵、ソバ粉、大麦トウモロコシ、エダマメ、クリ、ナシ、バナナ、リンゴ、イースト(パン種)、トウフ、ビール、アジ、イワシ、カツオ、サバ、マグロ、イカ、エビ、カニ等)雑類(カポック、ソバガラ、タタミ、綿、アサ布、イネワラ、キヌ、ナイロン、マユ、綿布、モミガラ等)真菌類(アスペルギルス、アルテルナリア、カンジダ、クラドスポリウム、ペニシリウム等)、ハウスダスト等の抽出物からなる治療用アレルゲンがある。
また、送達する薬剤の剤形としてはタンパク質、ペプチド、プラスミドDNA、細胞等が考えられるが、これに限られない。
【0031】
そして、皮内注射針は、生体の皮膚への穿刺時において、吐出口の全体が、皮膚下0.20~1.00mmの範囲内に刺入可能なものであることが好ましい。ハブ2は、中空針保持部23を備え、中空針4は、中空針保持部23の先端より突出している。皮内注射針1は、吐出口41の先端とハブ2の中空針保持部23の先端間の距離が、1.00mm以下であることが好ましく、吐出口41の後端とハブ2の中空針保持部23の先端間の距離が、0.20mm以上であることが好ましい。
【0032】
本発明者は、鋭意検討することにより以下の知見を得た。表皮のランゲルハンス細胞に薬剤をデリバリーすることで、免疫バランスのTh1シフトを効果的に引き起こすことができる。このTh1シフトを誘導するには、ランゲルハンス細胞が存在する表皮部分ではなく、真皮の上層部に薬剤を送達ことが効果的である。また、皮内注射を行う際には、表皮の損傷などの刺激を抑えることが、ランゲルハンス細胞の移動やTh2細胞による免疫応答の抑制に重要である。これらの点を考慮し、本発明では、上記のように、真皮の上層部に投与でき、かつ、皮膚に垂直に穿刺することが可能なものとした。さらに、単針で短く、細い針とした。
【0033】
そして、本発明の皮内注射針1では、皮膚下0.20~1.00mmの部位に、薬剤を有効に投与することができ、アレルギー、がん、自己免疫疾患などの免疫療法、感染症ワクチンに極めて有効であると考えた。特に、アレルギー免疫療法に有効であると考える。特に、皮膚下0.20mm以上の深さの位置にて吐出口が存在することにより、薬液漏れを防止し、皮膚下1.00mm以下の皮内にて薬剤を投与できる。
図1ないし
図5に示す実施例の皮内注射針1では、中空針4は、穿刺端部である刃面と刃面内に位置する吐出口41を備えるものが用いられている。そして、皮内注射針1は、この中空針4を保持するハブ2と、ハブ2の基端部に装着されたコネクター3と、コネクター3内に収納されたシール部材5とを備える。
【0034】
中空針4は、外径Dが、0.15~0.20mmのものが使用される。中空針4は、先端に吐出口41を備える刃面が設けられている。吐出口41の中空針4の軸方向長(K)は、0.10~0.80mmであることが好ましい。特に、軸方向長(K)は、0.10~0.60mmであることが好ましい。また、中空針4の刃面長(ベベル長B)は、0.30~0.80mmであることが好ましい。特に、ベベル長は、0.30~0.60mmであることが好ましい。
【0035】
また、中空針4は、刺通抵抗が少ないものが好ましい。例えば、中空針4の先端部の表面に、シリコーン樹脂やフッ素形樹脂等からなるコーティング剤をコーティングすることにより、刺通抵抗を低減することが好ましい。これにより、中空針4を生体に穿刺した際に、皮膚と中空針との摩擦を低減することができ、穿刺時に伴う皮膚への刺激を低減できる。なお、中空針4は、中空針の形態により、刺通抵抗が少ないものであってもよい。このようなものとして、先端に向かって縮径するテーパー針でも好適である。
【0036】
中空針4の材料としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金などが用いられる。また、中空針4は、ストレート針、テーパー針などが用いられる。そして、この中空針4は、ハブ2にその先端部が突出するように固定されている。
【0037】
ハブ2は、
図1ないし
図4に示すように、中空針4が貫通する本体部20と、本体部20の中空針保持部23および中空針4の先端部の周囲を囲うように円筒状に形成された皮膚押圧用円筒部22を備える。さらに、この実施例のハブ2は、皮膚押圧用円筒部22の先端開口部28より所定長基端側に設けられ、皮膚に対して皮膚押圧用円筒部22が押し込まれる距離を認識させるための外方に突出するフランジ状の距離認識部21を備えている。
【0038】
具体的には、ハブ2は、略円柱状の本体部20を備え、本体部20の中空針保持部23の先端より、中空針4の先端部が突出している。また、ハブ2は、本体部20の先端より、所定長基端側の側面より、外方に延びる円盤状部(距離認識部)21を備えている。そして、円盤状部21の先端面より、先端方向に皮膚押圧用円筒部22が突出している。また、円盤状部(距離認識部)は、皮膚押圧用円筒部22の外面よりもさらに外方に突出するものとなっている。
【0039】
そして、この実施例のハブ2では、本体部20の先端部の先端面はある程度の面積を有する皮膚当接用先端面23aとなっている。そして、中空針4の先端部は、この当接用先端面23aより、所定長突出している。また、中空針4は、ハブ2の本体部20(中空針保持部23)および皮膚押圧用円筒部22のほぼ中心軸上となるように配置されている。さらに、ハブ2は、
図3に示すように、後端部が拡径した拡径部27を備え、拡径部27の後端面には、環状凹部29が形成されている。
【0040】
そして、この実施例の皮内注射針1では、
図1ないし
図4に示すように、皮膚押圧用円筒部22の先端開口部28の端部の外側角部(外縁)26がエッジを持たない丸みを帯びたものとなっている。なお、外側角部26は、面取りされたものであってもよい。さらに、この実施例の皮内注射針1では、
図1ないし
図4に示すように、円盤状部(距離認識部)21の先端側外縁24も90°以下のエッジを持たないものとなっている。図示する実施例では、フランジ状の距離認識部21の先端側外縁24は、環状傾斜面となっている。さらに、環状傾斜面と距離認識部21の先端面間の鈍角の角部も丸められ、実質的にエッジを持たないものとなっている。なお、外縁24は、角が大きく丸められた環状湾曲面であってもよい。
【0041】
そして、皮内注射針1は、生体の皮膚への穿刺時において、吐出口41の全体が、皮膚下0.20~1.00mmの範囲内に刺入可能なものとなっている。本件発明者らは、皮内注射によって薬剤をデリバリーすることで、免疫バランスのTh1シフトを効果的に引き起こすことができるのではないかと考えた。表皮に存在するランゲルハンス細胞に効果的にデリバリーするためには、真皮の上層部に薬剤を送達できるデバイスが効果的であると考えた。検討の結果、0.20mm以下に、吐出口(刃面の開口)が存在すると表皮からの薬液漏れが発生した。1.00mm以上では、真皮内の網状層に薬物が分布される割合が高くなることも知見した。これにより、生体の皮膚への穿刺時において、吐出口41の全体が、皮膚下0.20~1.00mmの範囲内に刺入可能なものであることが必要であるとの知見に到達した。特に、吐出口41の全体が、皮膚下0.20~0.80mmの範囲内に刺入可能なものであることが好ましい。
【0042】
また、この実施例の皮内注射針1では、
図5に示すように、中空針4のハブ2の本体部20の中空針保持部23の先端面23aからの突出長Cは、0.50~1.00mmとなっている。特に、この突出長Cは、0.50~0.80mmであることが好ましい。さらに、吐出口41の先端とハブ2の中空針保持部23の先端間の距離Cが、0.80mm以下であることが好ましい。そして、吐出口41の後端とハブ2の中空針保持部23の先端間の距離Eが、0.20mm以上であることが好ましい。
【0043】
また、中空針4の皮膚押圧用円筒部22の先端開口部28の端部からの突出長Fは、0.70~1.40mmであることが好ましい。特に、突出長Fは、0.70~1.20mmであることが好ましい。
また、ハブ2の中空針保持部23の先端面は、所定面積を有する平面状であることが好ましい。そして、この先端面が円形である場合には、その直径Hは、0.5~5.0mmであることが好ましい。特に、本体部20の先端面(皮膚当接用面)23aの直径は、1.0~2.0mmであることが好ましい。
【0044】
また、皮膚押圧用円筒部22の先端開口部28の内径Iは、6~14mmであることが好ましい。特に、内径Iは、6~12mmであることが好ましい。また、本体部20の中空針保持部23の先端面は、皮膚押圧用円筒部22の先端開口部28の端部と同じか、先端開口部28より若干突出するものであってもよい。突出長Gは、0.20~0.40mmであることが好ましい。特に、突出長Gは、0.20~0.30mmであることが好ましい。
【0045】
本発明の皮内注射針としては、
図6に示すような中空針を用いるものであってもよい。
図6は、本発明の皮内注射針の他の実施例の中空針付近の拡大断面図である。
この皮内注射針1aでは、先端が円錐状に尖るとともに閉塞した穿刺端部42と、先端より所定長基端側の側面に形成された吐出口44を備えるものが用いられている。この皮内注射針1aと上述した実施例の皮内注射針1との相違は、中空針の先端形状のみである。
【0046】
図6に示す皮内注射針1aでは、中空針4aは、穿刺端部42と、穿刺端部42の先端より若干基端側の側面に設けられた吐出口44を備えている。吐出口44は、中空針4aの内部と外部を連通している。また、この皮内注射針1aでは、複数(具体的には、2つ)の吐出口44を備えている。そして、この皮内注射針1aでは、吐出口44が側孔となっているため、投与される薬剤は、中空針4aの中心軸に対して直交する方向、言い換えれば、皮膚表面に対して平行に流れるように投与されるものとなる。
そして、この皮内注射針1aにおいても、上述した実施例の皮内注射針1と同様に、この中空針4
aを保持するハブ2と、ハブ2の基端部に装着されたコネクター3と、コネクター3内に収納されたシール部材5とを備える。
【0047】
中空針4aは、外径Dが、0.15~0.20mmのものが使用される。穿刺端部42は、閉塞し、先端が尖った円錐状のものとなっているが、閉塞し、斜めに切断されたベベル状のものであってもよい。穿刺端部42の中空針4aの軸方向の長さFは、0.80~2.00mmであることが好ましい。特に、0.80~1.80mmであることが好ましい。
【0048】
吐出口44の中空針4aの軸方向の長さJは、0.10~0.80mmであることが好ましい。特に、0.10~0.60mmであることが好ましい。また、吐出口44の先端とハブ2の中空針保持部23の先端間の距離Cが、1.00mm以下であることが好ましい。特に、0.80mm以下であることが好ましい。そして、吐出口44の後端とハブ2の中空針保持部23の先端間の距離Eが、0.20~0.90mmであることが好ましい。特に、0.20~0.70mmであることが好ましい。
【0049】
また、中空針4aは、刺通抵抗が少ないものが好ましい。例えば、中空針4aの先端部の表面に、シリコーン樹脂やフッ素形樹脂等からなるコーティング剤をコーティングすることにより、刺通抵抗を低減することが好ましい。中空針4aの材料としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金などが用いられる。
ハブ2は、上述したものと同じである。
【0050】
そして、皮内注射針1aは、生体の皮膚への穿刺時において、吐出口44の全体が、皮膚下0.20~1.00mmの範囲内に刺入可能なものとなっている。このため、皮内注射針1aでは、吐出口44の先端とハブ2の中空針保持部23の先端間の距離Cが、1.00mm以下であることが好ましい。さらに、吐出口44の後端とハブ2の中空針保持部23の先端間の距離Eが、0.20~0.90mmであることが好ましい。
【0051】
また、
図6に示す中空針4aのハブ2の本体部20の中空針保持部23の先端面からの突出長Cは.0.30~1.00mmとなっている。特に、この突出長Cは、0.30~0.80mmであることが好ましい。また、中空針4aの皮膚押圧用円筒部22の先端開口部28の端部からの突出長Fは、0.80~2.00mmであることが好ましい。特に、突出長Fは、0.80~1.80mmであることが好ましい。
【0052】
そして、この実施例の皮内注射針1は、
図1ないし
図4に示すように、ハブ2の基端部に装着されたコネクター3を備える。
コネクター3は、筒状本体部31と、筒状本体部の先端に形成され、ハブ2への固定部となる先端フランジ部32と、筒状本体部の基端部外面に形成された皮内注射針側螺合部33とを備える。さらに、本体部31は、先端部内部にハブ基端部収納部34を有し、後端部内腔にシリンジのノズル部収納部35を有している。先端フランジ部32は、円盤状の先端面が、ハブ2の距離認識部21の後端面に当接し、当接部において両者が固定されている。
【0053】
ハブ2およびコネクターの形成材料は、特に限定されるものではないが、合成樹脂、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリスチレン、BS樹脂、ABS樹脂などのスチレン系樹脂、ポリカーボネート、塩化ビニル樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエステル、ポリサルホン、ポリアリレート、メタクリレート-ブチレン-スチレン共重合体等の熱可塑性樹脂が好適に使用できる。
【0054】
図1ないし
図4に示す実施例の皮内注射針1は、コネクター3内に収納されたシール部材5を備える。シール部材5は、ハブ2の基端面にシール部材5の先端面が当接するように収納されている。シール部材は、
図9に示すように、装着されるシリンジのノズル部78の先端とハブ2の後端間に押圧され、ハブ2の後端面およびシリンジのノズル部78の先端面と液密に接触するものとなっている。
【0055】
シール部材5は、略円柱状に形成されており、中空針4の基端部を収納している。シール部材5は、本体部50と、本体部50の内面に設けられ、中空針4の基端部外面と液密に接触可能な環状突出部51を備える。また、本体部50は、先端部外側面に設けられた環状突出部52を有する。環状突出部52は、コネクター3のノズル収納部35よりも大きな外径を有している。このため、シール部材5の環状リブ52は、コネクター3のノズル収納部とハブ基端部収納部間の段差部と当接し、後端方向への移動が規制されている。さらに、シール部材5の先端面には、先端方向に突出する環状リブ54が設けられている。この環状リブ54は、ハブ2の後端面に形成された環状凹部29に進入している。
【0056】
シール部材5の形成材料としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等の合成ゴム、オレフィン系エラストマーやスチレン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー等を使用することが好ましい。
【0057】
次に、本発明の皮内注射針が用いられる注射器具について説明する。
図7は、本発明の皮内注射針が用いられる注射器具の一例の正面図である。
図8は、
図7の注射器具の縦断面図である。
この例の注射器具6は、プレフィルドシリンジ7と、プレフィルドシリンジ7をプランジャーの後端側部分が露出するように収納するホルダー8と、プレフィルドシリンジ7のノズル部78を封止するシールキャップ9とを備える。
【0058】
プレフィルドシリンジ7は、
図7および
図8に示すように、外筒71と、外筒71のノズル部78を被包するロックアダプタ72と、外筒71内に摺動可能に収納されたガスケット73と、ガスケット73に装着されたプランジャー74と、外筒71内に充填された薬液77を備える。そして、外筒71の先端部には、シールキャップ9が装着されている。
【0059】
外筒71は、円筒状の本体部を有し、その先端に、本体部より小径かつ先端に向かって縮径するノズル部78を備える。また。外筒71は、基端にフランジ部75を備えている。また、この例における外筒71は、ノズル部78の基端部にロックアダプタ72を係止可能な係止用リブを備えている。さらに、ノズル部78の基端部には、図示しないロックアダプタの回転規制用リブを備えている。
【0060】
外筒71の形成材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ-(4-メチルペンテン-1)、アクリル樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、環状ポリオレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマーのような各種樹脂が挙げられるが、その中でも成形が容易で耐熱性があることから、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマーのような樹脂が好ましい。なお、内部に充填された薬液を外側から目視にて確認できるように透明性が高く、充填された薬液を安定に保存可能な環状オレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマーが、特に好ましい。
【0061】
ロックアダプタ72は、
図8に示すように、短い筒状体、言い換えれば、リング状部材であり、ノズル部78の外側面を被包するように設けられている。また、ロックアダプタ72の内周面には、キャップ9のノズル収納部93の外面に形成されたキャップ側螺合部と螺合可能なアダプタ側螺合部(筒状部側螺合部)が設けられている。また、外筒71のアダプタ側螺合部(筒状部側螺合部)は、上述した実施例の皮内注射針1のコネクター3の皮内注射針側螺合部33と螺合可能なものとなっている。
【0062】
シールキャップ9は、
図8に示すように、大径に形成された本体部(把持部)91と、本体部91より突出する小径かつ円筒状のノズル収納部93と、ノズル収納部93内に収納されたシール部材92とを備えている。そして、ノズル収納部93内に外筒71のノズル部78が収納されるとともに、その先端は、シール部材92に密着し、液密にシールされている。また、キャップ9のキャップ側螺合部とアダプタ72のアダプタ側螺合部が、螺合し、キャップ9の外筒71からの離脱が防止されている。
【0063】
ホルダー8は、先端から基端まで貫通した内腔を有する筒状部材81と、筒状部材81の内部であり、かつ先端より所定長後端側となる部分に収納されかつ固定されたプレフィルドシリンジ先端部保持部材(具体的には、ロックアダプタ保持部材)83を備える。さらに、筒状部材81は、後端部の内部に収納されかつ固定された外筒71のフランジ部保持部材82を備えている。ホルダー8は、プレフィルドシリンジ7をプランジャー74の押圧部76を含む後端側部分が露出するように収納するとともに、プレフィルドシリンジ7は、上述の保持部材により、ホルダーに保持され、移動不能なものとなっている。
【0064】
次に、本発明の皮内注射針の作用について説明する。
最初に、例えば、
図7および
図8に示したようなプレフィルドシリンジ7を備える注射器具6を準備する。そして、注射器具6よりシールキャップ9を取り外し、プレフィルドシリンジ7のノズル部78に、本発明の皮内注射針1を装着する。この実施例の皮内注射針1および注射器具6では、皮内注射針1を回転させて、プレフィルドシリンジ7のロックアダプタ72のアダプタ側螺合部と、皮内注射針1のコネクター3の皮内注射針側螺合部33とを螺合させることにより、
図9のように装着される。装着状態では、皮内注射針1のシール部材5は、ハブ2の後端面とノズル部78の先端面間に押圧された状態となり、プレフィルドシリンジ7内は、シール部材5を介して、皮内注射針1の中空針4内と液密状態にて連通するものとなる。
【0065】
そして、皮内注射針1が装着された注射器具6のホルダー8を握り、親指が、プランジャー7の押圧部76上となる状態とする。これにより、投与可能な状態となる。そして、通常は、上記の把持状態において、皮内注射針の皮膚変形部を皮膚に対して、平行に当て、中空針を皮膚に対して、垂直に穿刺した後、プランジャーを押込む(親指を押し下げる)ことにより、薬剤投与が行われる。
【実施例】
【0066】
ステンレス製の中空針およびポリプロピレン樹脂製のハブを用いて、
図1ない
し
図5に示すような形態の皮内注射針を作成した。なお、中空針としては、
図5に示すような斜めの刃面とその中に吐出口を有する中空針を用い、この中空針をハブにより保持するものとした。
【0067】
(実施例1)
実施例1の皮内注射針では、中空針の外径が、0.20mm、刃面長B(軸方向)が、0.45mm、ハブの先端からの中空針の突出長(ハブの先端面と中空針の刃面の先端間距離)が、0.65mm、ハブの先端面と中空針の刃面の基端間距離が、0.20mm、中空針の軸方向長が、0.20mmであった。
【0068】
(実施例2)
実施例2の皮内注射針では、中空針の外径が、0.20mm、刃面長B(軸方向)が、0.45mm、ハブの先端からの中空針の突出長(ハブの先端面と中空針の刃面の先端間距離)が、0.80mm、ハブの先端面と中空針の刃面の基端間距離が、0.35mm、中空針の軸方向長が、0.20mmであった。
【0069】
(実施例3)
実施例3の皮内注射針では、中空針の外径が、0.20mm、刃面長B(軸方向)が、0.45mm、ハブの先端からの中空針の突出長(ハブの先端面と中空針の刃面の先端間距離)が、1.00mm、ハブの先端面と中空針の刃面の基端間距離が、0.55mm、中空針の軸方向長が、0.20mmであった。
【0070】
(比較例1)
比較例1の皮内注射針では、中空針の外径が、0.20mm、刃面長B(軸方向)が、0.45mm、ハブの先端からの中空針の突出長(ハブの先端面と中空針の刃面の先端間距離)が、0.45mm、ハブの先端面と中空針の刃面の基端間距離が、0mm、中空針の軸方向長が、0.20mmであった。
【0071】
(比較例2)
比較例2の皮内注射針では、中空針の外径が、0.20mm、刃面長B(軸方向)が、0.45mm、ハブの先端からの中空針の突出長(ハブの先端面と中空針の刃面の先端間距離)が、1.50mm、ハブの先端面と中空針の刃面の基端間距離が、1.05mm、中空針の軸方向長が、0.20mmであった。
【0072】
(比較例3)
比較例3の皮内注射針では、中空針の外径が、0.20mm、刃面長B(軸方向)が、0.45mm、ハブの先端からの中空針の突出長(ハブの先端面と中空針の刃面の先端間距離)が、1.15mm、ハブの先端面と中空針の刃面の基端間距離が、0.70mm、中空針の軸方向長が、0.20mmであった。
【0073】
(実験1)
上記実施例1,2,3および比較例1,2,3の皮内注射針の中空針の露出部分に、シリコーンを塗布し、滅菌したものを準備した。そして、
図7ないし
図9に示すような注射器具に、各皮内注射針と、注射用水が充填されたプレフィルドシリンジを装着し、ボランティアの三角筋部の皮膚に垂直に穿刺し、生理食塩水100μLの投与を行った。
【0074】
実施例1,2,3および比較例3の皮内注射針では、薬液漏れは確認されず、投与部に膨疹形成が確認され、皮内注射の成功が確認された。比較例1の皮内注射針では、薬液漏れが確認された。比較例2の皮内注射針では、薬液漏れ、投与部での膨疹形成のいずれも確認できなかった。
【0075】
(実験2)
実験1と同様に、上記実施例1,2,3および比較例1,2、3の皮内注射針の中空針の露出部分に、シリコーンを塗布したものを準備した。そして、
図7ないし
図9に示すような注射器具に、各皮内注射針と薬剤として組織マーキング色素(ティシューマーキングダイナー)が充填されたプレフィルドシリンジを装着し、ヒト三角筋部の一般的な皮膚厚(2.04mm)とほぼ同程度の皮膚厚を持つブタ皮膚に、垂直に穿刺し、20、40及び100μLの薬剤注入を行った。その後、投与部位の病理組織切片を作成し、顕微鏡下の観察によって、薬剤の分布の観察を行った。
【0076】
比較例1の皮内注射針では、投与時の薬液漏れが確認され、病理組織観察においても皮膚内への薬剤の分布は確認されなかった。実施例1,2,3の皮内注射針では、投与時の薬液漏れは確認されず、病理組織観察において、薬剤分布は真皮の上層部にのみ観察された。比較例2の皮内注射針を用いたものでは、投与時の薬液漏れは確認されなかったが、病理組織観察において、薬剤が真皮の網状層への分布が確認され、実施例1,2,3よりも皮膚の深い位置に薬剤が分布することが確認された。比較例3の皮内注射針を用いたものでは、投与時の薬液漏れは確認されなかったが、病理組織観察において、薬剤が真皮の網状層への分布と、一部の薬剤が皮下組織へ漏れることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の免疫療法用の皮内注射針は、以下のものである。
(1) 生体の皮膚に穿刺して使用する免疫療法用の皮内注射針であって、前記皮内注射針は、皮膚に穿刺するための穿刺端部と投与物の吐出口とを有する中空針と、前記中空針を保持するハブとを備え、さらに、前記中空針は、外径が0.15~0.20mmであり、前記吐出口の前記中空針の軸方向長が、0.10~0.80 mmであり、前記皮内注射針は、生体の皮膚への穿刺時において、前記吐出口の全体が、皮膚下0.20~1.00mmの範囲内に刺入可能なものである免疫療法用の皮内注射針。
【0078】
このため、この注射針では、皮膚表面に刺激が少ない方法にて、真皮の上層部に薬物を確実に送達できるため、免疫療法に有効に使用できる。
【0079】
また、上記の実施態様は、以下のものであってもよい。
(2) 前記皮内注射針は、生体の皮膚への穿刺時において、前記吐出口の全体が、皮膚下0.20~0.80mmの範囲内に刺入可能なものである上記(1)に記載の皮内注射針。
(3) 前記ハブは、中空針保持部を備え、前記中空針は、前記中空針保持部の先端より突出しており、前記皮内注射針は、前記吐出口の先端と前記ハブの前記中空針保持部の先端間の距離が、1.00mm以下であり、前記吐出口の後端と前記ハブの前記中空針保持部の先端間の距離が、0.20mm以上である上記(1)または(2)に記載の皮内注射針。
(4) 前記ハブは、前記中空針の周囲を囲うように円筒状に形成され、先端開口部の端部が皮膚に押し付けられることにより、前記先端開口部内で皮膚の盛り上がりを形成する皮膚押圧用円筒部を備えている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の皮内注射針。
(5) 前記皮膚押圧用円筒部の前記先端開口部の内径が、6~14mmであり、前記中空針は、前記皮膚押圧用円筒部内に形成される皮膚盛り上がり部に対して、ほぼ直交する状態で穿刺されるものとなっている上記(4)に記載の皮内注射針。
(6) 前記ハブの前記中空針保持部の先端は、前記皮膚押圧用円筒部の先端より、前方に突出している上記(4)または(5)に記載の皮内注射針。
(7) 前記皮内注射針は、投与物の皮内注射によるTh1免疫変調によって効果を期待するために用いられるものである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の皮内注射針。
(8) 前記皮内注射針は、アレルギー免疫療法に用いるものである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の皮内注射針。
(9) 前記皮内注射針は、がん免疫療法に用いるものである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の皮内注射針。
(10) 前記皮内注射針は、自己免疫疾患の免疫療法に用いるものである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の皮内注射針。
(11) 前記皮内注射針は、細胞性免疫の誘導を期待する感染症ワクチンに用いるものである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の皮内注射針。
(12) 前記皮内注射針は、真皮内への注射によって表皮から真皮への細胞移動を誘起するためのものである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の皮内注射針。
(13) 前記皮内注射針は、真皮内への注射によって表皮から真皮へのランゲルハンス細胞の移動を誘起するためのものである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の皮内注射針。
(14) 前記中空針は、前記穿刺端部である刃面と前記刃面内に位置する前記吐出口を有している上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の皮内注射針。
(15) 前記中空針は、閉塞した前記穿刺端部と、側面に設けられた前記吐出口を備えるものである上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の皮内注射針。