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特許7089877重鎖抗体の可変ドメインをコードするポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物
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  • 特許-重鎖抗体の可変ドメインをコードするポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物 図1
  • 特許-重鎖抗体の可変ドメインをコードするポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物 図2
  • 特許-重鎖抗体の可変ドメインをコードするポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物 図3A
  • 特許-重鎖抗体の可変ドメインをコードするポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物 図3B
  • 特許-重鎖抗体の可変ドメインをコードするポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物 図3C
  • 特許-重鎖抗体の可変ドメインをコードするポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物 図4
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  • 特許-重鎖抗体の可変ドメインをコードするポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物 図7
  • 特許-重鎖抗体の可変ドメインをコードするポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物 図8
  • 特許-重鎖抗体の可変ドメインをコードするポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物 図9A
  • 特許-重鎖抗体の可変ドメインをコードするポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物 図9B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】重鎖抗体の可変ドメインをコードするポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20220616BHJP
   A01H 1/00 20060101ALI20220616BHJP
   A01H 5/00 20180101ALI20220616BHJP
   A01N 37/46 20060101ALI20220616BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20220616BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220616BHJP
   A01N 63/00 20200101ALN20220616BHJP
   C07K 16/14 20060101ALN20220616BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
A01H1/00 A
A01H5/00 A
A01N37/46
A01P3/00
C12N5/10
A01N63/00 A
C07K16/14
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2017542328
(86)(22)【出願日】2015-11-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2017-12-07
(86)【国際出願番号】 EP2015075800
(87)【国際公開番号】W WO2016071438
(87)【国際公開日】2016-05-12
【審査請求日】2018-08-28
【審判番号】
【審判請求日】2020-12-18
(31)【優先権主張番号】14191959.7
(32)【優先日】2014-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513045367
【氏名又は名称】バイオタリス・エン・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェルヘーゼン,ペーテル
(72)【発明者】
【氏名】ゲーリンク,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ベローゾ・ビエラ,ジョアン・フィリペ
(72)【発明者】
【氏名】ペフェルーン,マルニクス
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ダーレ,インヘ・エロディー
【合議体】
【審判長】長井 啓子
【審判官】伊藤 良子
【審判官】上條 肇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/085070(WO,A2)
【文献】FEBS Lett.,2004年,Vol.561,pp.137-143
【文献】Nat. Biotechnol.,2003年,Vol.21,pp.77-80
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
A01H 1/00-17/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物病原性菌類のグリコシルセラミドに特異的に結合する抗菌性重鎖抗体の可変ドメイン(VHH)をコードする少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物又は植物組織又は植物細胞であって、
前記トランスジェニック植物又は植物組織又は植物細胞の少なくとも一部における前記ポリヌクレオチドの発現が、(i)植物病原性菌類による感染から前記トランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部を保護する、(ii)前記トランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部における植物病原性菌類の増殖を阻害する、及び/又は(iii)植物病原性菌類に対する前記トランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部の抵抗性を増加させ、
前記ポリヌクレオチドが、植物における発現に適したプロモーターを含み、
前記VHHは、グリコシルセラミドへの結合により、植物病原体による感染から保護し、植物病原体の増殖を阻害し、及び/又は病原体抵抗性を増加する、
トランスジェニック植物又は植物組織又は植物細胞。
【請求項2】
前記ポリヌクレオチドが、分泌のための、細胞質への配置のための、又は小胞体(ER)内腔、アポプラスト、液胞、又は内膜及び/もしくは外膜などのような細胞コンパートメント又は細胞小器官への配置のための、標的シグナルをコードする少なくとも1つの配列を含む、請求項1に記載のトランスジェニック植物又は植物組織又は植物細胞。
【請求項3】
前記ポリヌクレオチドが、
(i)前記VHH、
(ii)前記VHH、及び1つもしくは複数の同一のもしくは異なるVHH、
(iii)前記VHH、及び結晶化可能領域(Fc領域)を有する1つもしくは複数の同一のもしくは異なるVHH、
(iv)スペーサーとともに、前記VHH、及び1つもしくは複数の同一のもしくは異なるVHH、又は
(v)スペーサーとともに、前記VHHと、結晶化可能領域(Fc領域)を有する1つもしくは複数の同一のもしくは異なるVHH
をコードする、請求項1又は2に記載のトランスジェニック植物又は植物組織又は植物細胞。
【請求項4】
前記植物が、コーン、イネ、コムギ、オオムギ、ソルガム、キビ、カラスムギ、ライムギ、ライコムギ、又は他の穀類、ダイズ、アルファルファ、又は他のマメ科作物、サトウダイコン、飼料ビート、パパイア、バナナ、及びプランテン、又は他の果実、ブドウ、ナッツ、ナタネ、ヒマワリ、又は他の油料作物、カボチャ、キュウリ、メロン、又は他のウリ科の植物、ワタ又は他の繊維植物、サトウキビ、ヤシ、ジャトロファ、又は他の燃料作物、キャベツ、トマト、コショウ、又は他の植物、観賞植物、シラブ、ポプラ、ユーカリ、又は他の木、常緑樹、草、コーヒーノキ、チャノキ、タバコ、ホップ、ゴムの木、ならびにラテックス植物から選択される植物である、請求項1~3のいずれか一項に記載のトランスジェニック植物又は植物組織又は植物細胞。
【請求項5】
前記ポリヌクレオチドが、配列番号1~84の1つもしくは複数を含むVHHをコードする配列を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のトランスジェニック植物又は植物組織又は植物細胞。
【請求項6】
前記ポリヌクレオチドが、配列番号1、2及び/又は70のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のトランスジェニック植物又は植物組織又は植物細胞。
【請求項7】
前記ポリヌクレオチドが、配列番号1及び/又は2のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のトランスジェニック植物又は植物組織又は植物細胞。
【請求項8】
前記ポリヌクレオチドが、
配列番号85を有するCDR1領域、配列番号169を有するCDR2領域、及び配列番号253を有するCDR3領域、又は
配列番号86を有するCDR1領域、配列番号170を有するCDR2領域、及び配列番号254を有するCDR3領域、又は
配列番号87を有するCDR1領域、配列番号171を有するCDR2領域、及び配列番号255を有するCDR3領域、又は
配列番号88を有するCDR1領域、配列番号172を有するCDR2領域、及び配列番号256を有するCDR3領域、又は
配列番号89を有するCDR1領域、配列番号173を有するCDR2領域、及び配列番号257を有するCDR3領域、又は
配列番号90を有するCDR1領域、配列番号174を有するCDR2領域、及び配列番号258を有するCDR3領域、又は
配列番号91を有するCDR1領域、配列番号175を有するCDR2領域、及び配列番号259を有するCDR3領域、又は
配列番号92を有するCDR1領域、配列番号176を有するCDR2領域、及び配列番号260を有するCDR3領域、又は
配列番号93を有するCDR1領域、配列番号177を有するCDR2領域、及び配列番号261を有するCDR3領域、又は
配列番号94を有するCDR1領域、配列番号178を有するCDR2領域、及び配列番号262を有するCDR3領域、又は
配列番号95を有するCDR1領域、配列番号179を有するCDR2領域、及び配列番号263を有するCDR3領域、又は
配列番号96を有するCDR1領域、配列番号180を有するCDR2領域、及び配列番号264を有するCDR3領域、又は
配列番号97を有するCDR1領域、配列番号181を有するCDR2領域、及び配列番号265を有するCDR3領域、又は
配列番号98を有するCDR1領域、配列番号182を有するCDR2領域、及び配列番号266を有するCDR3領域、又は
配列番号99を有するCDR1領域、配列番号183を有するCDR2領域、及び配列番号267を有するCDR3領域、又は
配列番号100を有するCDR1領域、配列番号184を有するCDR2領域、及び配列番号268を有するCDR3領域、又は
配列番号101を有するCDR1領域、配列番号185を有するCDR2領域、及び配列番号269を有するCDR3領域、又は
配列番号102を有するCDR1領域、配列番号186を有するCDR2領域、及び配列番号270を有するCDR3領域、又は
配列番号103を有するCDR1領域、配列番号187を有するCDR2領域、及び配列番号271を有するCDR3領域、又は
配列番号104を有するCDR1領域、配列番号188を有するCDR2領域、及び配列番号272を有するCDR3領域、又は
配列番号105を有するCDR1領域、配列番号189を有するCDR2領域、及び配列番号273を有するCDR3領域、又は
配列番号106を有するCDR1領域、配列番号190を有するCDR2領域、及び配列番号274を有するCDR3領域、又は
配列番号107を有するCDR1領域、配列番号191を有するCDR2領域、及び配列番号275を有するCDR3領域、又は
配列番号108を有するCDR1領域、配列番号192を有するCDR2領域、及び配列番号276を有するCDR3領域、又は
配列番号109を有するCDR1領域、配列番号193を有するCDR2領域、及び配列番号277を有するCDR3領域、又は
配列番号110を有するCDR1領域、配列番号194を有するCDR2領域、及び配列番号278を有するCDR3領域、又は
配列番号111を有するCDR1領域、配列番号195を有するCDR2領域、及び配列番号279を有するCDR3領域、又は
配列番号112を有するCDR1領域、配列番号196を有するCDR2領域、及び配列番号280を有するCDR3領域、又は
配列番号113を有するCDR1領域、配列番号197を有するCDR2領域、及び配列番号281を有するCDR3領域、又は
配列番号114を有するCDR1領域、配列番号198を有するCDR2領域、及び配列番号282を有するCDR3領域、又は
配列番号115を有するCDR1領域、配列番号199を有するCDR2領域、及び配列番号283を有するCDR3領域、又は
配列番号116を有するCDR1領域、配列番号200を有するCDR2領域、及び配列番号284を有するCDR3領域、又は
配列番号117を有するCDR1領域、配列番号201を有するCDR2領域、及び配列番号285を有するCDR3領域、又は
配列番号118を有するCDR1領域、配列番号202を有するCDR2領域、及び配列番号286を有するCDR3領域、又は
配列番号119を有するCDR1領域、配列番号203を有するCDR2領域、及び配列番号287を有するCDR3領域、又は
配列番号120を有するCDR1領域、配列番号204を有するCDR2領域、及び配列番号288を有するCDR3領域、又は
配列番号121を有するCDR1領域、配列番号205を有するCDR2領域、及び配列番号289を有するCDR3領域、又は
配列番号122を有するCDR1領域、配列番号206を有するCDR2領域、及び配列番号290を有するCDR3領域、又は
配列番号123を有するCDR1領域、配列番号207を有するCDR2領域、及び配列番号291を有するCDR3領域、又は
配列番号124を有するCDR1領域、配列番号208を有するCDR2領域、及び配列番号292を有するCDR3領域、又は
配列番号125を有するCDR1領域、配列番号209を有するCDR2領域、及び配列番号293を有するCDR3領域、又は
配列番号126を有するCDR1領域、配列番号210を有するCDR2領域、及び配列番号294を有するCDR3領域、又は
配列番号127を有するCDR1領域、配列番号211を有するCDR2領域、及び配列番号295を有するCDR3領域、又は
配列番号128を有するCDR1領域、配列番号212を有するCDR2領域、及び配列番号296を有するCDR3領域、又は
配列番号129を有するCDR1領域、配列番号213を有するCDR2領域、及び配列番号297を有するCDR3領域、又は
配列番号130を有するCDR1領域、配列番号214を有するCDR2領域、及び配列番号298を有するCDR3領域、又は
配列番号131を有するCDR1領域、配列番号215を有するCDR2領域、及び配列番号299を有するCDR3領域、又は
配列番号132を有するCDR1領域、配列番号216を有するCDR2領域、及び配列番号300を有するCDR3領域、又は
配列番号133を有するCDR1領域、配列番号217を有するCDR2領域、及び配列番号301を有するCDR3領域、又は
配列番号134を有するCDR1領域、配列番号218を有するCDR2領域、及び配列番号302を有するCDR3領域、又は
配列番号135を有するCDR1領域、配列番号219を有するCDR2領域、及び配列番号303を有するCDR3領域、又は
配列番号136を有するCDR1領域、配列番号220を有するCDR2領域、及び配列番号304を有するCDR3領域、又は
配列番号137を有するCDR1領域、配列番号221を有するCDR2領域、及び配列番号305を有するCDR3領域、又は
配列番号138を有するCDR1領域、配列番号222を有するCDR2領域、及びアミノ酸配列NRYを有するCDR3領域、又は
配列番号139を有するCDR1領域、配列番号223を有するCDR2領域、及び配列番号306を有するCDR3領域、又は
配列番号140を有するCDR1領域、配列番号224を有するCDR2領域、及び配列番号307を有するCDR3領域、又は
配列番号141を有するCDR1領域、配列番号225を有するCDR2領域、及び配列番号308を有するCDR3領域、又は
配列番号142を有するCDR1領域、配列番号226を有するCDR2領域、及び配列番号309を有するCDR3領域、又は
配列番号143を有するCDR1領域、配列番号227を有するCDR2領域、及び配列番号310を有するCDR3領域、又は
配列番号144を有するCDR1領域、配列番号228を有するCDR2領域、及び配列番号311を有するCDR3領域、又は
配列番号145を有するCDR1領域、配列番号229を有するCDR2領域、及び配列番号312を有するCDR3領域、又は
配列番号146を有するCDR1領域、配列番号230を有するCDR2領域、及び配列番号313を有するCDR3領域、又は
配列番号147を有するCDR1領域、配列番号231を有するCDR2領域、及び配列番号314を有するCDR3領域、又は
配列番号148を有するCDR1領域、配列番号232を有するCDR2領域、及び配列番号315を有するCDR3領域、又は
配列番号149を有するCDR1領域、配列番号233を有するCDR2領域、及び配列番号316を有するCDR3領域、又は
配列番号150を有するCDR1領域、配列番号234を有するCDR2領域、及び配列番号317を有するCDR3領域、又は
配列番号151を有するCDR1領域、配列番号235を有するCDR2領域、及び配列番号318を有するCDR3領域、又は
配列番号152を有するCDR1領域、配列番号236を有するCDR2領域、及び配列番号319を有するCDR3領域、又は
配列番号153を有するCDR1領域、配列番号237を有するCDR2領域、及び配列番号320を有するCDR3領域、又は
配列番号154を有するCDR1領域、配列番号238を有するCDR2領域、及び配列番号321を有するCDR3領域、又は
配列番号155を有するCDR1領域、配列番号239を有するCDR2領域、及び配列番号322を有するCDR3領域、又は
配列番号156を有するCDR1領域、配列番号240を有するCDR2領域、及び配列番号323を有するCDR3領域、又は
配列番号157を有するCDR1領域、配列番号241を有するCDR2領域、及び配列番号324を有するCDR3領域、又は
配列番号158を有するCDR1領域、配列番号242を有するCDR2領域、及び配列番号325を有するCDR3領域、又は
配列番号159を有するCDR1領域、配列番号243を有するCDR2領域、及び配列番号326を有するCDR3領域、又は
配列番号160を有するCDR1領域、配列番号244を有するCDR2領域、及び配列番号327を有するCDR3領域、又は
配列番号161を有するCDR1領域、配列番号245を有するCDR2領域、及び配列番号328を有するCDR3領域、又は
配列番号162を有するCDR1領域、配列番号246を有するCDR2領域、及び配列番号329を有するCDR3領域、又は
配列番号163を有するCDR1領域、配列番号247を有するCDR2領域、及び配列番号330を有するCDR3領域、又は
配列番号164を有するCDR1領域、配列番号248を有するCDR2領域、及び配列番号331を有するCDR3領域、又は
配列番号165を有するCDR1領域、配列番号249を有するCDR2領域、及び配列番号332を有するCDR3領域、又は
配列番号166を有するCDR1領域、配列番号250を有するCDR2領域、及び配列番号333を有するCDR3領域、又は
配列番号167を有するCDR1領域、配列番号251を有するCDR2領域、及び配列番号334を有するCDR3領域、又は
配列番号168を有するCDR1領域、配列番号252を有するCDR2領域、及び配列番号335を有するCDR3領域
のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のトランスジェニック植物又は植物組織又は植物細胞。
【請求項9】
求項1~8のいずれか一項に記載のトランスジェニック植物又は植物組織又は植物細胞の収穫部分及び繁殖材料。
【請求項10】
トランスジェニック植物又は植物組織又は植物細胞の前記収穫部分及び繁殖材料が、種子、果実、穀粒、鱗茎、朔果、塊茎、子孫、及びハイブリッドからなる群から選択される、請求項9に記載の収穫部分及び繁殖材料。
【請求項11】
(a)植物病原性菌類のグリコシルセラミドに特異的に結合する抗菌性重鎖抗体の可変ドメイン(VHH)をコードするポリヌクレオチド、
(b)植物病原性菌類のグリコシルセラミドに特異的に結合する抗菌性重鎖抗体の可変ドメイン(VHH)をコードする配列、並びに、分泌のための、細胞質への配置のための、又は小胞体(ER)内腔、アポプラスト、液胞、又は内膜及び/もしくは外膜などのような細胞コンパートメント又は細胞小器官への配置のための、標的シグナルをコードする少なくとも1つの配列を含むポリヌクレオチド、
(c)(i)前記VHH、
(ii)前記VHH、及び1つもしくは複数の同一のもしくは異なるVHH、
(iii)前記VHH、及び結晶化可能領域(Fc領域)を有する1つもしくは複数の同一のもしくは異なるVHH、
(iv)スペーサーとともに、前記VHH、及び1つもしくは複数の同一のもしくは異なるVHH、又は
(v)スペーサーとともに、前記VHHと、結晶化可能領域(Fc領域)を有する1つもしくは複数の同一のもしくは異なるVHH
をコードする配列を含むポリヌクレオチド、
(d)配列番号1~84の1つもしくは複数を含むVHHをコードする配列を含むポリヌクレオチド、
(e)配列番号1、2及び/又は70のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチド、
(f)配列番号85を有するCDR1領域、配列番号169を有するCDR2領域、及び配列番号253を有するCDR3領域、又は
配列番号86を有するCDR1領域、配列番号170を有するCDR2領域、及び配列番号254を有するCDR3領域、又は
配列番号87を有するCDR1領域、配列番号171を有するCDR2領域、及び配列番号255を有するCDR3領域、又は
配列番号88を有するCDR1領域、配列番号172を有するCDR2領域、及び配列番号256を有するCDR3領域、又は
配列番号89を有するCDR1領域、配列番号173を有するCDR2領域、及び配列番号257を有するCDR3領域、又は
配列番号90を有するCDR1領域、配列番号174を有するCDR2領域、及び配列番号258を有するCDR3領域、又は
配列番号91を有するCDR1領域、配列番号175を有するCDR2領域、及び配列番号259を有するCDR3領域、又は
配列番号92を有するCDR1領域、配列番号176を有するCDR2領域、及び配列番号260を有するCDR3領域、又は
配列番号93を有するCDR1領域、配列番号177を有するCDR2領域、及び配列番号261を有するCDR3領域、又は
配列番号94を有するCDR1領域、配列番号178を有するCDR2領域、及び配列番号262を有するCDR3領域、又は
配列番号95を有するCDR1領域、配列番号179を有するCDR2領域、及び配列番号263を有するCDR3領域、又は
配列番号96を有するCDR1領域、配列番号180を有するCDR2領域、及び配列番号264を有するCDR3領域、又は
配列番号97を有するCDR1領域、配列番号181を有するCDR2領域、及び配列番号265を有するCDR3領域、又は
配列番号98を有するCDR1領域、配列番号182を有するCDR2領域、及び配列番号266を有するCDR3領域、又は
配列番号99を有するCDR1領域、配列番号183を有するCDR2領域、及び配列番号267を有するCDR3領域、又は
配列番号100を有するCDR1領域、配列番号184を有するCDR2領域、及び配列番号268を有するCDR3領域、又は
配列番号101を有するCDR1領域、配列番号185を有するCDR2領域、及び配列番号269を有するCDR3領域、又は
配列番号102を有するCDR1領域、配列番号186を有するCDR2領域、及び配列番号270を有するCDR3領域、又は
配列番号103を有するCDR1領域、配列番号187を有するCDR2領域、及び配列番号271を有するCDR3領域、又は
配列番号104を有するCDR1領域、配列番号188を有するCDR2領域、及び配列番号272を有するCDR3領域、又は
配列番号105を有するCDR1領域、配列番号189を有するCDR2領域、及び配列番号273を有するCDR3領域、又は
配列番号106を有するCDR1領域、配列番号190を有するCDR2領域、及び配列番号274を有するCDR3領域、又は
配列番号107を有するCDR1領域、配列番号191を有するCDR2領域、及び配列番号275を有するCDR3領域、又は
配列番号108を有するCDR1領域、配列番号192を有するCDR2領域、及び配列番号276を有するCDR3領域、又は
配列番号109を有するCDR1領域、配列番号193を有するCDR2領域、及び配列番号277を有するCDR3領域、又は
配列番号110を有するCDR1領域、配列番号194を有するCDR2領域、及び配列番号278を有するCDR3領域、又は
配列番号111を有するCDR1領域、配列番号195を有するCDR2領域、及び配列番号279を有するCDR3領域、又は
配列番号112を有するCDR1領域、配列番号196を有するCDR2領域、及び配列番号280を有するCDR3領域、又は
配列番号113を有するCDR1領域、配列番号197を有するCDR2領域、及び配列番号281を有するCDR3領域、又は
配列番号114を有するCDR1領域、配列番号198を有するCDR2領域、及び配列番号282を有するCDR3領域、又は
配列番号115を有するCDR1領域、配列番号199を有するCDR2領域、及び配列番号283を有するCDR3領域、又は
配列番号116を有するCDR1領域、配列番号200を有するCDR2領域、及び配列番号284を有するCDR3領域、又は
配列番号117を有するCDR1領域、配列番号201を有するCDR2領域、及び配列番号285を有するCDR3領域、又は
配列番号118を有するCDR1領域、配列番号202を有するCDR2領域、及び配列番号286を有するCDR3領域、又は
配列番号119を有するCDR1領域、配列番号203を有するCDR2領域、及び配列番号287を有するCDR3領域、又は
配列番号120を有するCDR1領域、配列番号204を有するCDR2領域、及び配列番号288を有するCDR3領域、又は
配列番号121を有するCDR1領域、配列番号205を有するCDR2領域、及び配列番号289を有するCDR3領域、又は
配列番号122を有するCDR1領域、配列番号206を有するCDR2領域、及び配列番号290を有するCDR3領域、又は
配列番号123を有するCDR1領域、配列番号207を有するCDR2領域、及び配列番号291を有するCDR3領域、又は
配列番号124を有するCDR1領域、配列番号208を有するCDR2領域、及び配列番号292を有するCDR3領域、又は
配列番号125を有するCDR1領域、配列番号209を有するCDR2領域、及び配列番号293を有するCDR3領域、又は
配列番号126を有するCDR1領域、配列番号210を有するCDR2領域、及び配列番号294を有するCDR3領域、又は
配列番号127を有するCDR1領域、配列番号211を有するCDR2領域、及び配列番号295を有するCDR3領域、又は
配列番号128を有するCDR1領域、配列番号212を有するCDR2領域、及び配列番号296を有するCDR3領域、又は
配列番号129を有するCDR1領域、配列番号213を有するCDR2領域、及び配列番号297を有するCDR3領域、又は
配列番号130を有するCDR1領域、配列番号214を有するCDR2領域、及び配列番号298を有するCDR3領域、又は
配列番号131を有するCDR1領域、配列番号215を有するCDR2領域、及び配列番号299を有するCDR3領域、又は
配列番号132を有するCDR1領域、配列番号216を有するCDR2領域、及び配列番号300を有するCDR3領域、又は
配列番号133を有するCDR1領域、配列番号217を有するCDR2領域、及び配列番号301を有するCDR3領域、又は
配列番号134を有するCDR1領域、配列番号218を有するCDR2領域、及び配列番号302を有するCDR3領域、又は
配列番号135を有するCDR1領域、配列番号219を有するCDR2領域、及び配列番号303を有するCDR3領域、又は
配列番号136を有するCDR1領域、配列番号220を有するCDR2領域、及び配列番号304を有するCDR3領域、又は
配列番号137を有するCDR1領域、配列番号221を有するCDR2領域、及び配列番号305を有するCDR3領域、又は
配列番号138を有するCDR1領域、配列番号222を有するCDR2領域、及びアミノ酸配列NRYを有するCDR3領域、又は
配列番号139を有するCDR1領域、配列番号223を有するCDR2領域、及び配列番号306を有するCDR3領域、又は
配列番号140を有するCDR1領域、配列番号224を有するCDR2領域、及び配列番号307を有するCDR3領域、又は
配列番号141を有するCDR1領域、配列番号225を有するCDR2領域、及び配列番号308を有するCDR3領域、又は
配列番号142を有するCDR1領域、配列番号226を有するCDR2領域、及び配列番号309を有するCDR3領域、又は
配列番号143を有するCDR1領域、配列番号227を有するCDR2領域、及び配列番号310を有するCDR3領域、又は
配列番号144を有するCDR1領域、配列番号228を有するCDR2領域、及び配列番号311を有するCDR3領域、又は
配列番号145を有するCDR1領域、配列番号229を有するCDR2領域、及び配列番号312を有するCDR3領域、又は
配列番号146を有するCDR1領域、配列番号230を有するCDR2領域、及び配列番号313を有するCDR3領域、又は
配列番号147を有するCDR1領域、配列番号231を有するCDR2領域、及び配列番号314を有するCDR3領域、又は
配列番号148を有するCDR1領域、配列番号232を有するCDR2領域、及び配列番号315を有するCDR3領域、又は
配列番号149を有するCDR1領域、配列番号233を有するCDR2領域、及び配列番号316を有するCDR3領域、又は
配列番号150を有するCDR1領域、配列番号234を有するCDR2領域、及び配列番号317を有するCDR3領域、又は
配列番号151を有するCDR1領域、配列番号235を有するCDR2領域、及び配列番号318を有するCDR3領域、又は
配列番号152を有するCDR1領域、配列番号236を有するCDR2領域、及び配列番号319を有するCDR3領域、又は
配列番号153を有するCDR1領域、配列番号237を有するCDR2領域、及び配列番号320を有するCDR3領域、又は
配列番号154を有するCDR1領域、配列番号238を有するCDR2領域、及び配列番号321を有するCDR3領域、又は
配列番号155を有するCDR1領域、配列番号239を有するCDR2領域、及び配列番号322を有するCDR3領域、又は
配列番号156を有するCDR1領域、配列番号240を有するCDR2領域、及び配列番号323を有するCDR3領域、又は
配列番号157を有するCDR1領域、配列番号241を有するCDR2領域、及び配列番号324を有するCDR3領域、又は
配列番号158を有するCDR1領域、配列番号242を有するCDR2領域、及び配列番号325を有するCDR3領域、又は
配列番号159を有するCDR1領域、配列番号243を有するCDR2領域、及び配列番号326を有するCDR3領域、又は
配列番号160を有するCDR1領域、配列番号244を有するCDR2領域、及び配列番号327を有するCDR3領域、又は
配列番号161を有するCDR1領域、配列番号245を有するCDR2領域、及び配列番号328を有するCDR3領域、又は
配列番号162を有するCDR1領域、配列番号246を有するCDR2領域、及び配列番号329を有するCDR3領域、又は
配列番号163を有するCDR1領域、配列番号247を有するCDR2領域、及び配列番号330を有するCDR3領域、又は
配列番号164を有するCDR1領域、配列番号248を有するCDR2領域、及び配列番号331を有するCDR3領域、又は
配列番号165を有するCDR1領域、配列番号249を有するCDR2領域、及び配列番号332を有するCDR3領域、又は
配列番号166を有するCDR1領域、配列番号250を有するCDR2領域、及び配列番号333を有するCDR3領域、又は
配列番号167を有するCDR1領域、配列番号251を有するCDR2領域、及び配列番号334を有するCDR3領域、又は
配列番号168を有するCDR1領域、配列番号252を有するCDR2領域、及び配列番号335を有するCDR3領域
のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチド
からなる群から選択される少なくとも1つのポリヌクレオチドの植物又は植物組織のゲノムの中への導入を含む、トランスジェニック植物又は植物組織又は植物細胞の産生のための方法。
【請求項12】
植物病原体による感染から植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部を保護するための、植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部における植物病原体の増殖を阻害するための、及び/又は植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部の病原体抵抗性を増加させるための方法であって、前記植物又は植物組織又は植物細胞の少なくとも一部においてなくとも1つのポリヌクレオチドを発現させるステップを含み、前記少なくとも1つのポリヌクレオチドは、
(a)植物病原性菌類のグリコシルセラミドに特異的に結合する抗菌性重鎖抗体の可変ドメイン(VHH)をコードするポリヌクレオチド、
(b)植物病原性菌類のグリコシルセラミドに特異的に結合する抗菌性重鎖抗体の可変ドメイン(VHH)をコードする配列、並びに、分泌のための、細胞質への配置のための、又は小胞体(ER)内腔、アポプラスト、液胞、又は内膜及び/もしくは外膜などのような細胞コンパートメント又は細胞小器官への配置のための、標的シグナルをコードする少なくとも1つの配列を含むポリヌクレオチド、
(c)(i)前記VHH、
(ii)前記VHH、及び1つもしくは複数の同一のもしくは異なるVHH、
(iii)前記VHH、及び結晶化可能領域(Fc領域)を有する1つもしくは複数の同一のもしくは異なるVHH、
(iv)スペーサーとともに、前記VHH、及び1つもしくは複数の同一のもしくは異なるVHH、又は
(v)スペーサーとともに、前記VHHと、結晶化可能領域(Fc領域)を有する1つもしくは複数の同一のもしくは異なるVHH
をコードする配列を含むポリヌクレオチド、
(d)配列番号1~84の1つもしくは複数を含むVHHをコードする配列を含むポリヌクレオチド、
(e)配列番号1、2及び/又は70のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチド、
(f)配列番号85を有するCDR1領域、配列番号169を有するCDR2領域、及び配列番号253を有するCDR3領域、又は
配列番号86を有するCDR1領域、配列番号170を有するCDR2領域、及び配列番号254を有するCDR3領域、又は
配列番号87を有するCDR1領域、配列番号171を有するCDR2領域、及び配列番号255を有するCDR3領域、又は
配列番号88を有するCDR1領域、配列番号172を有するCDR2領域、及び配列番号256を有するCDR3領域、又は
配列番号89を有するCDR1領域、配列番号173を有するCDR2領域、及び配列番号257を有するCDR3領域、又は
配列番号90を有するCDR1領域、配列番号174を有するCDR2領域、及び配列番号258を有するCDR3領域、又は
配列番号91を有するCDR1領域、配列番号175を有するCDR2領域、及び配列番号259を有するCDR3領域、又は
配列番号92を有するCDR1領域、配列番号176を有するCDR2領域、及び配列番号260を有するCDR3領域、又は
配列番号93を有するCDR1領域、配列番号177を有するCDR2領域、及び配列番号261を有するCDR3領域、又は
配列番号94を有するCDR1領域、配列番号178を有するCDR2領域、及び配列番号262を有するCDR3領域、又は
配列番号95を有するCDR1領域、配列番号179を有するCDR2領域、及び配列番号263を有するCDR3領域、又は
配列番号96を有するCDR1領域、配列番号180を有するCDR2領域、及び配列番号264を有するCDR3領域、又は
配列番号97を有するCDR1領域、配列番号181を有するCDR2領域、及び配列番号265を有するCDR3領域、又は
配列番号98を有するCDR1領域、配列番号182を有するCDR2領域、及び配列番号266を有するCDR3領域、又は
配列番号99を有するCDR1領域、配列番号183を有するCDR2領域、及び配列番号267を有するCDR3領域、又は
配列番号100を有するCDR1領域、配列番号184を有するCDR2領域、及び配列番号268を有するCDR3領域、又は
配列番号101を有するCDR1領域、配列番号185を有するCDR2領域、及び配列番号269を有するCDR3領域、又は
配列番号102を有するCDR1領域、配列番号186を有するCDR2領域、及び配列番号270を有するCDR3領域、又は
配列番号103を有するCDR1領域、配列番号187を有するCDR2領域、及び配列番号271を有するCDR3領域、又は
配列番号104を有するCDR1領域、配列番号188を有するCDR2領域、及び配列番号272を有するCDR3領域、又は
配列番号105を有するCDR1領域、配列番号189を有するCDR2領域、及び配列番号273を有するCDR3領域、又は
配列番号106を有するCDR1領域、配列番号190を有するCDR2領域、及び配列番号274を有するCDR3領域、又は
配列番号107を有するCDR1領域、配列番号191を有するCDR2領域、及び配列番号275を有するCDR3領域、又は
配列番号108を有するCDR1領域、配列番号192を有するCDR2領域、及び配列番号276を有するCDR3領域、又は
配列番号109を有するCDR1領域、配列番号193を有するCDR2領域、及び配列番号277を有するCDR3領域、又は
配列番号110を有するCDR1領域、配列番号194を有するCDR2領域、及び配列番号278を有するCDR3領域、又は
配列番号111を有するCDR1領域、配列番号195を有するCDR2領域、及び配列番号279を有するCDR3領域、又は
配列番号112を有するCDR1領域、配列番号196を有するCDR2領域、及び配列番号280を有するCDR3領域、又は
配列番号113を有するCDR1領域、配列番号197を有するCDR2領域、及び配列番号281を有するCDR3領域、又は
配列番号114を有するCDR1領域、配列番号198を有するCDR2領域、及び配列番号282を有するCDR3領域、又は
配列番号115を有するCDR1領域、配列番号199を有するCDR2領域、及び配列番号283を有するCDR3領域、又は
配列番号116を有するCDR1領域、配列番号200を有するCDR2領域、及び配列番号284を有するCDR3領域、又は
配列番号117を有するCDR1領域、配列番号201を有するCDR2領域、及び配列番号285を有するCDR3領域、又は
配列番号118を有するCDR1領域、配列番号202を有するCDR2領域、及び配列番号286を有するCDR3領域、又は
配列番号119を有するCDR1領域、配列番号203を有するCDR2領域、及び配列番号287を有するCDR3領域、又は
配列番号120を有するCDR1領域、配列番号204を有するCDR2領域、及び配列番号288を有するCDR3領域、又は
配列番号121を有するCDR1領域、配列番号205を有するCDR2領域、及び配列番号289を有するCDR3領域、又は
配列番号122を有するCDR1領域、配列番号206を有するCDR2領域、及び配列番号290を有するCDR3領域、又は
配列番号123を有するCDR1領域、配列番号207を有するCDR2領域、及び配列番号291を有するCDR3領域、又は
配列番号124を有するCDR1領域、配列番号208を有するCDR2領域、及び配列番号292を有するCDR3領域、又は
配列番号125を有するCDR1領域、配列番号209を有するCDR2領域、及び配列番号293を有するCDR3領域、又は
配列番号126を有するCDR1領域、配列番号210を有するCDR2領域、及び配列番号294を有するCDR3領域、又は
配列番号127を有するCDR1領域、配列番号211を有するCDR2領域、及び配列番号295を有するCDR3領域、又は
配列番号128を有するCDR1領域、配列番号212を有するCDR2領域、及び配列番号296を有するCDR3領域、又は
配列番号129を有するCDR1領域、配列番号213を有するCDR2領域、及び配列番号297を有するCDR3領域、又は
配列番号130を有するCDR1領域、配列番号214を有するCDR2領域、及び配列番号298を有するCDR3領域、又は
配列番号131を有するCDR1領域、配列番号215を有するCDR2領域、及び配列番号299を有するCDR3領域、又は
配列番号132を有するCDR1領域、配列番号216を有するCDR2領域、及び配列番号300を有するCDR3領域、又は
配列番号133を有するCDR1領域、配列番号217を有するCDR2領域、及び配列番号301を有するCDR3領域、又は
配列番号134を有するCDR1領域、配列番号218を有するCDR2領域、及び配列番号302を有するCDR3領域、又は
配列番号135を有するCDR1領域、配列番号219を有するCDR2領域、及び配列番号303を有するCDR3領域、又は
配列番号136を有するCDR1領域、配列番号220を有するCDR2領域、及び配列番号304を有するCDR3領域、又は
配列番号137を有するCDR1領域、配列番号221を有するCDR2領域、及び配列番号305を有するCDR3領域、又は
配列番号138を有するCDR1領域、配列番号222を有するCDR2領域、及びアミノ酸配列NRYを有するCDR3領域、又は
配列番号139を有するCDR1領域、配列番号223を有するCDR2領域、及び配列番号306を有するCDR3領域、又は
配列番号140を有するCDR1領域、配列番号224を有するCDR2領域、及び配列番号307を有するCDR3領域、又は
配列番号141を有するCDR1領域、配列番号225を有するCDR2領域、及び配列番号308を有するCDR3領域、又は
配列番号142を有するCDR1領域、配列番号226を有するCDR2領域、及び配列番号309を有するCDR3領域、又は
配列番号143を有するCDR1領域、配列番号227を有するCDR2領域、及び配列番号310を有するCDR3領域、又は
配列番号144を有するCDR1領域、配列番号228を有するCDR2領域、及び配列番号311を有するCDR3領域、又は
配列番号145を有するCDR1領域、配列番号229を有するCDR2領域、及び配列番号312を有するCDR3領域、又は
配列番号146を有するCDR1領域、配列番号230を有するCDR2領域、及び配列番号313を有するCDR3領域、又は
配列番号147を有するCDR1領域、配列番号231を有するCDR2領域、及び配列番号314を有するCDR3領域、又は
配列番号148を有するCDR1領域、配列番号232を有するCDR2領域、及び配列番号315を有するCDR3領域、又は
配列番号149を有するCDR1領域、配列番号233を有するCDR2領域、及び配列番号316を有するCDR3領域、又は
配列番号150を有するCDR1領域、配列番号234を有するCDR2領域、及び配列番号317を有するCDR3領域、又は
配列番号151を有するCDR1領域、配列番号235を有するCDR2領域、及び配列番号318を有するCDR3領域、又は
配列番号152を有するCDR1領域、配列番号236を有するCDR2領域、及び配列番号319を有するCDR3領域、又は
配列番号153を有するCDR1領域、配列番号237を有するCDR2領域、及び配列番号320を有するCDR3領域、又は
配列番号154を有するCDR1領域、配列番号238を有するCDR2領域、及び配列番号321を有するCDR3領域、又は
配列番号155を有するCDR1領域、配列番号239を有するCDR2領域、及び配列番号322を有するCDR3領域、又は
配列番号156を有するCDR1領域、配列番号240を有するCDR2領域、及び配列番号323を有するCDR3領域、又は
配列番号157を有するCDR1領域、配列番号241を有するCDR2領域、及び配列番号324を有するCDR3領域、又は
配列番号158を有するCDR1領域、配列番号242を有するCDR2領域、及び配列番号325を有するCDR3領域、又は
配列番号159を有するCDR1領域、配列番号243を有するCDR2領域、及び配列番号326を有するCDR3領域、又は
配列番号160を有するCDR1領域、配列番号244を有するCDR2領域、及び配列番号327を有するCDR3領域、又は
配列番号161を有するCDR1領域、配列番号245を有するCDR2領域、及び配列番号328を有するCDR3領域、又は
配列番号162を有するCDR1領域、配列番号246を有するCDR2領域、及び配列番号329を有するCDR3領域、又は
配列番号163を有するCDR1領域、配列番号247を有するCDR2領域、及び配列番号330を有するCDR3領域、又は
配列番号164を有するCDR1領域、配列番号248を有するCDR2領域、及び配列番号331を有するCDR3領域、又は
配列番号165を有するCDR1領域、配列番号249を有するCDR2領域、及び配列番号332を有するCDR3領域、又は
配列番号166を有するCDR1領域、配列番号250を有するCDR2領域、及び配列番号333を有するCDR3領域、又は
配列番号167を有するCDR1領域、配列番号251を有するCDR2領域、及び配列番号334を有するCDR3領域、又は
配列番号168を有するCDR1領域、配列番号252を有するCDR2領域、及び配列番号335を有するCDR3領域
のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチド
からなる群から選択される、方法。
【請求項13】
植物病原体による感染から植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部を保護するための、植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部における植物病原体の増殖を阻害するための、及び/又は植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部の病原体抵抗性を増加させるための、病原体に特異的に結合する重鎖抗体の可変ドメイン(VHH)をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドの使用であって、前記ポリヌクレオチドが、前記植物又は植物組織の少なくとも一部において発現され、前記ポリヌクレオチドが、
(a)植物病原性菌類のグリコシルセラミドに特異的に結合する抗菌性重鎖抗体の可変ドメイン(VHH)をコードするポリヌクレオチド、
(b)植物病原性菌類のグリコシルセラミドに特異的に結合する抗菌性重鎖抗体の可変ドメイン(VHH)をコードする配列、並びに、分泌のための、細胞質への配置のための、又は小胞体(ER)内腔、アポプラスト、液胞、又は内膜及び/もしくは外膜などのような細胞コンパートメント又は細胞小器官への配置のための、標的シグナルをコードする少なくとも1つの配列を含むポリヌクレオチド、
(c)(i)前記VHH、
(ii)前記VHH、及び1つもしくは複数の同一のもしくは異なるVHH、
(iii)前記VHH、及び結晶化可能領域(Fc領域)を有する1つもしくは複数の同一のもしくは異なるVHH、
(iv)スペーサーとともに、前記VHH、及び1つもしくは複数の同一のもしくは異なるVHH、又は
(v)スペーサーとともに、前記VHHと、結晶化可能領域(Fc領域)を有する1つもしくは複数の同一のもしくは異なるVHH
をコードする配列を含むポリヌクレオチド、
(d)配列番号1~84の1つもしくは複数を含むVHHをコードする配列を含むポリヌクレオチド、
(e)配列番号1、2及び/又は70のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチド、
(f)配列番号85を有するCDR1領域、配列番号169を有するCDR2領域、及び配列番号253を有するCDR3領域、又は
配列番号86を有するCDR1領域、配列番号170を有するCDR2領域、及び配列番号254を有するCDR3領域、又は
配列番号87を有するCDR1領域、配列番号171を有するCDR2領域、及び配列番号255を有するCDR3領域、又は
配列番号88を有するCDR1領域、配列番号172を有するCDR2領域、及び配列番号256を有するCDR3領域、又は
配列番号89を有するCDR1領域、配列番号173を有するCDR2領域、及び配列番号257を有するCDR3領域、又は
配列番号90を有するCDR1領域、配列番号174を有するCDR2領域、及び配列番号258を有するCDR3領域、又は
配列番号91を有するCDR1領域、配列番号175を有するCDR2領域、及び配列番号259を有するCDR3領域、又は
配列番号92を有するCDR1領域、配列番号176を有するCDR2領域、及び配列番号260を有するCDR3領域、又は
配列番号93を有するCDR1領域、配列番号177を有するCDR2領域、及び配列番号261を有するCDR3領域、又は
配列番号94を有するCDR1領域、配列番号178を有するCDR2領域、及び配列番号262を有するCDR3領域、又は
配列番号95を有するCDR1領域、配列番号179を有するCDR2領域、及び配列番号263を有するCDR3領域、又は
配列番号96を有するCDR1領域、配列番号180を有するCDR2領域、及び配列番号264を有するCDR3領域、又は
配列番号97を有するCDR1領域、配列番号181を有するCDR2領域、及び配列番号265を有するCDR3領域、又は
配列番号98を有するCDR1領域、配列番号182を有するCDR2領域、及び配列番号266を有するCDR3領域、又は
配列番号99を有するCDR1領域、配列番号183を有するCDR2領域、及び配列番号267を有するCDR3領域、又は
配列番号100を有するCDR1領域、配列番号184を有するCDR2領域、及び配列番号268を有するCDR3領域、又は
配列番号101を有するCDR1領域、配列番号185を有するCDR2領域、及び配列番号269を有するCDR3領域、又は
配列番号102を有するCDR1領域、配列番号186を有するCDR2領域、及び配列番号270を有するCDR3領域、又は
配列番号103を有するCDR1領域、配列番号187を有するCDR2領域、及び配列番号271を有するCDR3領域、又は
配列番号104を有するCDR1領域、配列番号188を有するCDR2領域、及び配列番号272を有するCDR3領域、又は
配列番号105を有するCDR1領域、配列番号189を有するCDR2領域、及び配列番号273を有するCDR3領域、又は
配列番号106を有するCDR1領域、配列番号190を有するCDR2領域、及び配列番号274を有するCDR3領域、又は
配列番号107を有するCDR1領域、配列番号191を有するCDR2領域、及び配列番号275を有するCDR3領域、又は
配列番号108を有するCDR1領域、配列番号192を有するCDR2領域、及び配列番号276を有するCDR3領域、又は
配列番号109を有するCDR1領域、配列番号193を有するCDR2領域、及び配列番号277を有するCDR3領域、又は
配列番号110を有するCDR1領域、配列番号194を有するCDR2領域、及び配列番号278を有するCDR3領域、又は
配列番号111を有するCDR1領域、配列番号195を有するCDR2領域、及び配列番号279を有するCDR3領域、又は
配列番号112を有するCDR1領域、配列番号196を有するCDR2領域、及び配列番号280を有するCDR3領域、又は
配列番号113を有するCDR1領域、配列番号197を有するCDR2領域、及び配列番号281を有するCDR3領域、又は
配列番号114を有するCDR1領域、配列番号198を有するCDR2領域、及び配列番号282を有するCDR3領域、又は
配列番号115を有するCDR1領域、配列番号199を有するCDR2領域、及び配列番号283を有するCDR3領域、又は
配列番号116を有するCDR1領域、配列番号200を有するCDR2領域、及び配列番号284を有するCDR3領域、又は
配列番号117を有するCDR1領域、配列番号201を有するCDR2領域、及び配列番号285を有するCDR3領域、又は
配列番号118を有するCDR1領域、配列番号202を有するCDR2領域、及び配列番号286を有するCDR3領域、又は
配列番号119を有するCDR1領域、配列番号203を有するCDR2領域、及び配列番号287を有するCDR3領域、又は
配列番号120を有するCDR1領域、配列番号204を有するCDR2領域、及び配列番号288を有するCDR3領域、又は
配列番号121を有するCDR1領域、配列番号205を有するCDR2領域、及び配列番号289を有するCDR3領域、又は
配列番号122を有するCDR1領域、配列番号206を有するCDR2領域、及び配列番号290を有するCDR3領域、又は
配列番号123を有するCDR1領域、配列番号207を有するCDR2領域、及び配列番号291を有するCDR3領域、又は
配列番号124を有するCDR1領域、配列番号208を有するCDR2領域、及び配列番号292を有するCDR3領域、又は
配列番号125を有するCDR1領域、配列番号209を有するCDR2領域、及び配列番号293を有するCDR3領域、又は
配列番号126を有するCDR1領域、配列番号210を有するCDR2領域、及び配列番号294を有するCDR3領域、又は
配列番号127を有するCDR1領域、配列番号211を有するCDR2領域、及び配列番号295を有するCDR3領域、又は
配列番号128を有するCDR1領域、配列番号212を有するCDR2領域、及び配列番号296を有するCDR3領域、又は
配列番号129を有するCDR1領域、配列番号213を有するCDR2領域、及び配列番号297を有するCDR3領域、又は
配列番号130を有するCDR1領域、配列番号214を有するCDR2領域、及び配列番号298を有するCDR3領域、又は
配列番号131を有するCDR1領域、配列番号215を有するCDR2領域、及び配列番号299を有するCDR3領域、又は
配列番号132を有するCDR1領域、配列番号216を有するCDR2領域、及び配列番号300を有するCDR3領域、又は
配列番号133を有するCDR1領域、配列番号217を有するCDR2領域、及び配列番号301を有するCDR3領域、又は
配列番号134を有するCDR1領域、配列番号218を有するCDR2領域、及び配列番号302を有するCDR3領域、又は
配列番号135を有するCDR1領域、配列番号219を有するCDR2領域、及び配列番号303を有するCDR3領域、又は
配列番号136を有するCDR1領域、配列番号220を有するCDR2領域、及び配列番号304を有するCDR3領域、又は
配列番号137を有するCDR1領域、配列番号221を有するCDR2領域、及び配列番号305を有するCDR3領域、又は
配列番号138を有するCDR1領域、配列番号222を有するCDR2領域、及びアミノ酸配列NRYを有するCDR3領域、又は
配列番号139を有するCDR1領域、配列番号223を有するCDR2領域、及び配列番号306を有するCDR3領域、又は
配列番号140を有するCDR1領域、配列番号224を有するCDR2領域、及び配列番号307を有するCDR3領域、又は
配列番号141を有するCDR1領域、配列番号225を有するCDR2領域、及び配列番号308を有するCDR3領域、又は
配列番号142を有するCDR1領域、配列番号226を有するCDR2領域、及び配列番号309を有するCDR3領域、又は
配列番号143を有するCDR1領域、配列番号227を有するCDR2領域、及び配列番号310を有するCDR3領域、又は
配列番号144を有するCDR1領域、配列番号228を有するCDR2領域、及び配列番号311を有するCDR3領域、又は
配列番号145を有するCDR1領域、配列番号229を有するCDR2領域、及び配列番号312を有するCDR3領域、又は
配列番号146を有するCDR1領域、配列番号230を有するCDR2領域、及び配列番号313を有するCDR3領域、又は
配列番号147を有するCDR1領域、配列番号231を有するCDR2領域、及び配列番号314を有するCDR3領域、又は
配列番号148を有するCDR1領域、配列番号232を有するCDR2領域、及び配列番号315を有するCDR3領域、又は
配列番号149を有するCDR1領域、配列番号233を有するCDR2領域、及び配列番号316を有するCDR3領域、又は
配列番号150を有するCDR1領域、配列番号234を有するCDR2領域、及び配列番号317を有するCDR3領域、又は
配列番号151を有するCDR1領域、配列番号235を有するCDR2領域、及び配列番号318を有するCDR3領域、又は
配列番号152を有するCDR1領域、配列番号236を有するCDR2領域、及び配列番号319を有するCDR3領域、又は
配列番号153を有するCDR1領域、配列番号237を有するCDR2領域、及び配列番号320を有するCDR3領域、又は
配列番号154を有するCDR1領域、配列番号238を有するCDR2領域、及び配列番号321を有するCDR3領域、又は
配列番号155を有するCDR1領域、配列番号239を有するCDR2領域、及び配列番号322を有するCDR3領域、又は
配列番号156を有するCDR1領域、配列番号240を有するCDR2領域、及び配列番号323を有するCDR3領域、又は
配列番号157を有するCDR1領域、配列番号241を有するCDR2領域、及び配列番号324を有するCDR3領域、又は
配列番号158を有するCDR1領域、配列番号242を有するCDR2領域、及び配列番号325を有するCDR3領域、又は
配列番号159を有するCDR1領域、配列番号243を有するCDR2領域、及び配列番号326を有するCDR3領域、又は
配列番号160を有するCDR1領域、配列番号244を有するCDR2領域、及び配列番号327を有するCDR3領域、又は
配列番号161を有するCDR1領域、配列番号245を有するCDR2領域、及び配列番号328を有するCDR3領域、又は
配列番号162を有するCDR1領域、配列番号246を有するCDR2領域、及び配列番号329を有するCDR3領域、又は
配列番号163を有するCDR1領域、配列番号247を有するCDR2領域、及び配列番号330を有するCDR3領域、又は
配列番号164を有するCDR1領域、配列番号248を有するCDR2領域、及び配列番号331を有するCDR3領域、又は
配列番号165を有するCDR1領域、配列番号249を有するCDR2領域、及び配列番号332を有するCDR3領域、又は
配列番号166を有するCDR1領域、配列番号250を有するCDR2領域、及び配列番号333を有するCDR3領域、又は
配列番号167を有するCDR1領域、配列番号251を有するCDR2領域、及び配列番号334を有するCDR3領域、又は
配列番号168を有するCDR1領域、配列番号252を有するCDR2領域、及び配列番号335を有するCDR3領域
のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチド
からなる群から選択される、使用。
【請求項14】
前記VHHを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のトランスジェニック植物又は植物組織又は植物細胞の抽出物。
【請求項15】
請求項14に記載の抽出物を含む組成物。
【請求項16】
植物病原体による感染から植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部を保護するための、植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部における植物病原体の増殖を阻害するための、及び/又は植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部の病原体抵抗性を増加させるための方法であって、請求項14の抽出物又は請求項15の組成物により植物又は植物組織又は植物細胞の前記少なくとも一部を処置するステップを含む方法。
【請求項17】
植物病原体による感染から植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部を保護するための、植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部における植物病原体の増殖を阻害するための、及び/又は植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部の病原体抵抗性を増加させるための、請求項14に記載の抽出物又は請求項15に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスジェニック植物の分野に関する。特に、本発明は、菌類のスフィンゴ脂質に特異的に結合する、重鎖抗体の可変ドメイン(VHH)をコードする少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞に関する。本発明は、植物病原体による感染から植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部を保護するための、植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部での植物病原体の増殖を阻害するための、または植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部の病原体抵抗性を増加させるための方法であって、植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部において病原体に特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを発現させるステップを含む方法にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
効率的な農業に必要とされる作物の保護は、殺虫剤の使用に強く依存しており、これらは、作物にそれらをスプレーすることによって、作物の灌水の間に適用することによって、または土の中にそれらを組み込むことによって、作物に適用される。殺虫剤は、多くの場合、有機化学分子であり、作物へのそれらの繰り返しの適用は、スプレードリフト、土中の残留、または地表水もしくは地下水の中に流れ落ちるために、取り扱いの間に農業労働者も環境も毒性の脅威にさらしてしまう。ヒトおよび環境にそれほど毒性ではないが、同時に植物有害生物の効率的なコントロールをもたらす、代替の化合物を使用することができることは有利であろう。ある植物有害生物標的に対して特異性を有するタンパク質性殺虫剤は、それらが環境において短命であり、それほど毒性ではない非特異的な効果を有することが期待されるので、この点で非常に有利であるかもしれない。しかしながら、知られているタンパク質性またはペプチド性殺虫剤はほんの少数である。いくつかの例は、Bt毒素、レクチン、デフェンシン、ファバチン、タキプレシン、マガイニン、ハーピン(国際公開第2010019442号パンフレットを参照)、エンドウマメアルブミン1-サブユニットb(PA1b)である。しかしながら、これらのタンパク質性殺虫剤は、いくつかのジスルフィド架橋によって安定化された、コンパクトな構造を有する小さなペプチドであるまたは結晶形態で存在する、より大きなタンパク質(>300アミノ酸)である(cry毒素)。生物製剤、特にタンパク質は、それらが、一般に、農薬製剤中で、特に田畑での適用のために殺虫性機能を維持するための安定性が低すぎるので、殺虫剤の開発には難しい構造をしていることが農業の分野において実際に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2010/019442号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、植物または作物有害生物、特に、植物病原性菌類などのような植物病原体の標的に対して、驚くほど高度な特異性、親和性、および効力を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物の開発に成功した。さらに、これらのポリペプチドが、in planta発現の際にそれらの完全性、安定性、および活性を保持することがならびに効果的な有害生物または病原体のコントロールを驚くほど達成することができることが示される。
【0005】
本発明者らは、トランスジェニック植物の少なくとも一部におけるポリヌクレオチドの発現(つまりポリヌクレオチドのin planta発現)が、植物病原性菌類による感染または他の生物学的相互作用からトランスジェニック植物の少なくとも一部を保護する、ポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物を実現した。
【0006】
よって、本発明の第1の態様は、菌類のスフィンゴ脂質に特異的に結合する、重鎖抗体の可変ドメイン(VHH)をコードする少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞に関する。
【0007】
本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用のある実施形態では、本明細書において教示されるVHHが、菌類のスフィンゴ脂質に特異的に結合する。ある実施形態では、本明細書において教示されるVHHが、菌類のセラミドに特異的に結合する。ある実施形態では、本明細書において教示されるVHHが、菌類のスフィンゴ糖脂質に特異的に結合する。ある実施形態では、本明細書において教示されるVHHが、菌類のセレブロシドに特異的に結合する。ある好ましい実施形態では、本明細書において教示されるVHHが、菌類のグルコセレブロシドに特異的に結合する。
【0008】
本発明者らは、本明細書において教示されるVHHが、菌類のスフィンゴ脂質に特異的に結合し、かつ植物病原性菌類のスフィンゴ脂質に結合することを見出した。
【0009】
よって、ある実施形態では、本発明が、菌類のスフィンゴ脂質に、好ましくは菌類のセラミドに、好ましくは菌類のスフィンゴ糖脂質に、より好ましくは菌類のセレブロシドに、さらにより好ましくは菌類のグルコセレブロシドに特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞であって、VHHが、植物病原性菌類のスフィンゴ脂質に、好ましくは植物病原性菌類のセラミドに、好ましくは植物病原性菌類のスフィンゴ糖脂質に、より好ましくは植物病原性菌類のセレブロシドに、さらにより好ましくは植物病原性菌類のグルコセレブロシドに結合する、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞に関する。
【0010】
ある実施形態では、本発明が、菌類のスフィンゴ脂質に特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞であって、VHHが、植物病原性菌類のスフィンゴ脂質に、好ましくは植物病原性菌類のセラミドに、好ましくは植物病原性菌類のスフィンゴ糖脂質に、より好ましくは植物病原性菌類のセレブロシドに、さらにより好ましくは植物病原性菌類のグルコセレブロシドに結合する、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞に関する。
【0011】
ある実施形態では、本発明が、菌類のセラミドに特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞であって、VHHが、植物病原性菌類のスフィンゴ脂質に、好ましくは植物病原性菌類のセラミドに、好ましくは植物病原性菌類のスフィンゴ糖脂質に、より好ましくは植物病原性菌類のセレブロシドに、さらにより好ましくは植物病原性菌類のグルコセレブロシドに結合する、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞に関する。
【0012】
ある実施形態では、本発明が、菌類のスフィンゴ糖脂質に特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞であって、VHHが、植物病原性菌類のスフィンゴ脂質に、好ましくは植物病原性菌類のセラミドに、好ましくは植物病原性菌類のスフィンゴ糖脂質に、より好ましくは植物病原性菌類のセレブロシドに、さらにより好ましくは植物病原性菌類のグルコセレブロシドに結合する、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞に関する。
【0013】
ある実施形態では、本発明が、菌類のセレブロシドに特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞であって、VHHが、植物病原性菌類のスフィンゴ脂質に、好ましくは植物病原性菌類のセラミドに、好ましくは植物病原性菌類のスフィンゴ糖脂質に、より好ましくは植物病原性菌類のセレブロシドに、さらにより好ましくは植物病原性菌類のグルコセレブロシドに結合する、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞に関する。
【0014】
ある実施形態では、本発明が、菌類のグルコセレブロシドに特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞であって、VHHが、植物病原性菌類のスフィンゴ脂質に、好ましくは植物病原性菌類のセラミドに、好ましくは植物病原性菌類のスフィンゴ糖脂質に、より好ましくは植物病原性菌類のセレブロシドに、さらにより好ましくは植物病原性菌類のグルコセレブロシドに結合する、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞に関する。
【0015】
本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用のある実施形態では、本明細書において教示されるVHHが、植物病原性菌類のスフィンゴ脂質に結合する。ある実施形態では、本明細書において教示されるVHHが、植物病原性菌類のセラミドに結合する。ある実施形態では、本明細書において教示されるVHHが、植物病原性菌類のスフィンゴ糖脂質に特異的に結合する。ある実施形態では、本明細書において教示されるVHHが、植物病原性菌類のセレブロシドに特異的に結合する。ある好ましい実施形態では、本明細書において教示されるVHHが、植物病原性菌類のグルコセレブロシドに特異的に結合する。
【0016】
ある実施形態では、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞が、非修飾(すなわち、野生型などのように形質転換されていないまたは非形質転換)植物または植物組織に比べて(すなわち比較して)、本明細書において教示されるVHHのレベルが増加または増強していてもよい。
【0017】
ある実施形態では、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞が、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞において、特にトランスジェニック植物または植物組織の抽出物において、全可溶性タンパク質の量の少なくとも0,001%の、本明細書において教示されるVHHのレベルを有していてもよい。たとえば、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞が、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞において、特にトランスジェニック植物または植物組織の抽出物において、全可溶性タンパク質の量の少なくとも0,005%、少なくとも0,01%、少なくとも0,05%、少なくとも0,1%、少なくとも0,2%、少なくとも0,3%、少なくとも0,4%、または少なくとも0,5%の、本明細書において教示されるVHHのレベルを有していてもよい。
【0018】
ある実施形態では、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部におけるポリヌクレオチドの発現が、植物病原性菌類による感染からトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部を保護してもよい。たとえば、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部におけるポリヌクレオチドの発現が、非修飾(すなわち、野生型などのように形質転換されていないまたは非形質転換)植物または植物組織に比べて(すなわち比較して)、植物病原性菌類による感染からトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部を保護してもよい。
【0019】
ある実施形態では、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部におけるポリヌクレオチドの発現が、トランスジェニック植物または植物組織の少なくとも一部での植物病原性菌類の増殖を阻害してもよい。たとえば、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部におけるポリヌクレオチドの発現が、非修飾(すなわち、野生型などのように形質転換されていないまたは非形質転換)植物または植物組織での植物病原性菌類の増殖に比べて(すなわち比較して)、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部での植物病原性菌類の増殖を阻害してもよい。
【0020】
ある実施形態では、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部におけるポリヌクレオチドの発現が、植物病原性菌類に対するトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部の抵抗性を増加させる。たとえば、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部におけるポリヌクレオチドの発現が、植物病原性菌類に対する、非修飾(すなわち、野生型などのように形質転換されていないまたは非形質転換)植物または植物組織または植物細胞の抵抗性に比べて(すなわち比較して)、植物病原性菌類に対するトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部の抵抗性を増加させる。
【0021】
ある実施形態では、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部におけるポリヌクレオチドの発現が、植物病原性菌類による感染からトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部を保護してもよい、トランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部での植物病原性菌類の増殖を阻害してもよい、および/または植物病原性菌類に対するトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部の抵抗性を増加させてもよい。
【0022】
本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用のある実施形態では、ポリヌクレオチドが、35Sカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)プロモーター、植物組織もしくは植物細胞に特異的なプロモーター、または誘導性のプロモーターなどのような、植物における発現に適したプロモーターを含んでいてもよい。
【0023】
本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用のある実施形態では、ポリヌクレオチドが、分泌のための、細胞質への配置のための、またはER内腔、アポプラスト、液胞、または内膜および/もしくは外膜などのような細胞コンパートメントまたは細胞小器官への配置のための、標的シグナルをコードする少なくとも1つの配列を含んでいてもよい。
【0024】
本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用のある実施形態では、ポリヌクレオチドが、タグ、好ましくはHis6、c-myc、FLAG、C-tag、3×FLAG、His5、His10、HA、T7、strep、HSV、および/またはE-tagをコードする少なくとも1つの配列を含んでいてもよい。
【0025】
本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用のある実施形態では、ポリヌクレオチドが、VHHそれ自体を、1つもしくは複数の同一のもしくは異なるVHHとの組み合わせとしてまたは抗体の結晶化可能領域(Fc領域)との1つもしくは複数の同一のもしくは異なるVHHの組み合わせとして、任意選択によりスペーサーと共にコードしてもよい。
【0026】
ある実施形態では、ポリヌクレオチドが、VHHそれ自体を、任意選択によりスペーサーと共にコードしてもよい。ある他の実施形態では、ポリヌクレオチドが、2またはそれ以上などのような1つまたは複数の同一のまたは異なるVHHの組み合わせとして、任意選択によりスペーサーと共にVHHをコードしてもよい。ある他の実施形態では、ポリヌクレオチドが、抗体の結晶化可能領域(Fc領域)との2またはそれ以上などのような1つまたは複数の同一のまたは異なるVHHの組み合わせとして、任意選択によりスペーサーと共にVHHをコードしてもよい。そのようなスペーサーは、2つのVHHに両者の間で好都合に空間的に広がりをもたせ、それによって、互いにVHHの可動性を増強するならびに/またはそれぞれのVHHおよびその抗原の間の最適な相互作用を保証する。
【0027】
本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用のある実施形態では、植物は、コーン、イネ、コムギ、オオムギ、ソルガム、キビ、カラスムギ、ライムギ、ライコムギ、または他の穀類、ダイズ、アルファルファ、または他のマメ科作物、サトウダイコン、飼料ビート、パパイア、バナナ、およびオプランテン(plantain)、または他の果実、ブドウ、ナッツ、ナタネ、ヒマワリ、または他の油料作物、カボチャ、キュウリ、メロン、または他のウリ科の植物、ワタまたは他の繊維植物、サトウキビ、ヤシ、ジャトロファ、または他の燃料作物、キャベツ、トマト、コショウ、または他の植物、観賞植物、シラブ、ポプラ、ユーカリ、または他の木、常緑樹、草、コーヒーノキ、チャノキ、タバコ、ホップ、ゴムの木、ならびにラテックス植物からなる群から選択される植物であってもよい。
【0028】
本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用のある実施形態では、ポリヌクレオチドが、
(i)任意の1つもしくは複数の配列番号1~84、好ましくは配列番号1、2、および/もしくは70、より好ましくは配列番号1および/もしくは2、ならびに/または
(ii)CDR1、CDR2、およびCDR3領域、ここで、(i)CDR1領域が、配列番号85~168の群から選択されるおよび/または(ii)CDR2領域が、配列番号169~252の群から選択されるおよび/または(iii)CDR3領域が、配列番号253~335の群から選択されるもしくはCDR3領域が、アミノ酸配列NRYを有する、を含むVHHをコードする配列を含んでいてもよい。
【0029】
本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用のある実施形態では、ポリヌクレオチドが、任意の1つまたは複数の配列番号1~84、好ましくは配列番号1および/または2を含むVHHをコードする配列を含んでいてもよい。ある実施形態では、ポリヌクレオチドが、配列番号1、配列番号2、および/または配列番号70を含むVHHをコードする配列を含んでいてもよい。ある実施形態では、ポリヌクレオチドが、配列番号1および/または配列番号2を含むVHHをコードする配列を含んでいてもよい。ある実施形態では、ポリヌクレオチドが、配列番号1を含むVHHをコードする配列を含んでいてもよい。ある実施形態では、ポリヌクレオチドが、配列番号2を含むVHHをコードする配列を含んでいてもよい。ある実施形態では、ポリヌクレオチドが、配列番号70を含むVHHをコードする配列を含んでいてもよい。
【0030】
本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用のある実施形態では、ポリヌクレオチドが、CDR1、CDR2、およびCDR3領域を含むVHHをコードする配列を含んでいてもよく、ここで、(i)CDR1領域が、配列番号85~168の群から選択されるおよび/または(ii)CDR2領域が、配列番号169~252の群から選択されるおよび/または(iii)CDR3領域が、配列番号253~335の群から選択されるもしくはCDR3領域が、アミノ酸配列NRYを有する。
【0031】
ある実施形態では、ポリヌクレオチドが、CDR1、CDR2、およびCDR3領域を含むVHHをコードする配列を含んでいてもよく、ここで、(i)CDR1領域が、配列番号85および/もしくは86から選択されるならびに/または(ii)CDR2領域が、配列番号169および/もしくは170から選択されるならびに/または(iii)CDR3領域が、配列番号253および/もしくは254から選択される。ある実施形態では、ポリヌクレオチドが、CDR1、CDR2、およびCDR3領域を含むVHHをコードする配列を含んでいてもよく、ここで、(i)CDR1領域が、配列番号85であるおよび/または(ii)CDR2領域が、配列番号169であるおよび/または(iii)CDR3領域が、配列番号253である。ある実施形態では、ポリヌクレオチドが、CDR1、CDR2、およびCDR3領域を含むVHHをコードする配列を含んでいてもよく、ここで、(i)CDR1領域が、配列番号86であるおよび/または(ii)CDR2領域が、配列番号170であるおよび/または(iii)CDR3領域が、配列番号254である。
【0032】
本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用のある実施形態では、ポリヌクレオチドが、4つのフレームワーク領域(FR)ならびに3つの相補性決定領域(CDR)、CDR1、CDR2、およびCDR3領域を含む、からなる、またはから本質的になるVHHをコードする配列を含んでいてもよく、ここで、(i)CDR1領域が、配列番号85~168の群から選択されるおよび/または(ii)CDR2領域が、配列番号169~252の群から選択されるおよび/または(iii)CDR3領域が、配列番号253~335の群から選択されるもしくはCDR3領域が、アミノ酸配列NRYを有する。
【0033】
ある実施形態では、ポリヌクレオチドが、4つのフレームワーク領域ならびに3つのCDR、CDR1、CDR2、およびCDR3領域を含むVHHをコードする配列を含んでいてもよく、ここで、(i)CDR1領域が、配列番号85および/もしくは86から選択されるならびに/または(ii)CDR2領域が、配列番号169および/もしくは170から選択されるならびに/または(iii)CDR3領域が、配列番号253および/もしくは254から選択される。ある実施形態では、ポリヌクレオチドが、4つのフレームワーク領域ならびに3つのCDR、CDR1、CDR2、およびCDR3領域を含むVHHをコードする配列を含んでいてもよく、ここで、(i)CDR1領域が、配列番号85であるおよび/または(ii)CDR2領域が、配列番号169であるおよび/または(iii)CDR3領域が、配列番号253である。ある実施形態では、ポリヌクレオチドが、4つのフレームワーク領域ならびに3つのCDR、CDR1、CDR2、およびCDR3領域を含むVHHをコードする配列を含んでいてもよく、ここで、(i)CDR1領域が、配列番号86であるおよび/または(ii)CDR2領域が、配列番号170であるおよび/または(iii)CDR3領域が、配列番号254である。
【0034】
本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用のある実施形態では、ポリヌクレオチドが、
配列番号85を有するCDR1領域、配列番号169を有するCDR2領域、および配列番号253を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号86を有するCDR1領域、配列番号170を有するCDR2領域、および配列番号254を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号87を有するCDR1領域、配列番号171を有するCDR2領域、および配列番号255を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号88を有するCDR1領域、配列番号172を有するCDR2領域、および配列番号256を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号89を有するCDR1領域、配列番号173を有するCDR2領域、および配列番号257を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号90を有するCDR1領域、配列番号174を有するCDR2領域、および配列番号258を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号91を有するCDR1領域、配列番号175を有するCDR2領域、および配列番号259を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号92を有するCDR1領域、配列番号176を有するCDR2領域、および配列番号260を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号93を有するCDR1領域、配列番号177を有するCDR2領域、および配列番号261を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号94を有するCDR1領域、配列番号178を有するCDR2領域、および配列番号262を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号95を有するCDR1領域、配列番号179を有するCDR2領域、および配列番号263を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号96を有するCDR1領域、配列番号180を有するCDR2領域、および配列番号264を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号97を有するCDR1領域、配列番号181を有するCDR2領域、および配列番号265を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号98を有するCDR1領域、配列番号182を有するCDR2領域、および配列番号266を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号99を有するCDR1領域、配列番号183を有するCDR2領域、および配列番号267を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号100を有するCDR1領域、配列番号184を有するCDR2領域、および配列番号268を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号101を有するCDR1領域、配列番号185を有するCDR2領域、および配列番号269を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号102を有するCDR1領域、配列番号186を有するCDR2領域、および配列番号270を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号103を有するCDR1領域、配列番号187を有するCDR2領域、および配列番号271を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号104を有するCDR1領域、配列番号188を有するCDR2領域、および配列番号272を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号105を有するCDR1領域、配列番号189を有するCDR2領域、および配列番号273を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号106を有するCDR1領域、配列番号190を有するCDR2領域、および配列番号274を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号107を有するCDR1領域、配列番号191を有するCDR2領域、および配列番号275を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号108を有するCDR1領域、配列番号192を有するCDR2領域、および配列番号276を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号109を有するCDR1領域、配列番号193を有するCDR2領域、および配列番号277を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号110を有するCDR1領域、配列番号194を有するCDR2領域、および配列番号278を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号111を有するCDR1領域、配列番号195を有するCDR2領域、および配列番号279を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号112を有するCDR1領域、配列番号196を有するCDR2領域、および配列番号280を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号113を有するCDR1領域、配列番号197を有するCDR2領域、および配列番号281を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号114を有するCDR1領域、配列番号198を有するCDR2領域、および配列番号282を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号115を有するCDR1領域、配列番号199を有するCDR2領域、および配列番号283を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号116を有するCDR1領域、配列番号200を有するCDR2領域、および配列番号284を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号117を有するCDR1領域、配列番号201を有するCDR2領域、および配列番号285を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号118を有するCDR1領域、配列番号202を有するCDR2領域、および配列番号286を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号119を有するCDR1領域、配列番号203を有するCDR2領域、および配列番号287を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号120を有するCDR1領域、配列番号204を有するCDR2領域、および配列番号288を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号121を有するCDR1領域、配列番号205を有するCDR2領域、および配列番号289を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号122を有するCDR1領域、配列番号206を有するCDR2領域、および配列番号290を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号123を有するCDR1領域、配列番号207を有するCDR2領域、および配列番号291を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号124を有するCDR1領域、配列番号208を有するCDR2領域、および配列番号292を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号125を有するCDR1領域、配列番号209を有するCDR2領域、および配列番号293を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号126を有するCDR1領域、配列番号210を有するCDR2領域、および配列番号294を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号127を有するCDR1領域、配列番号211を有するCDR2領域、および配列番号295を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号128を有するCDR1領域、配列番号212を有するCDR2領域、および配列番号296を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号129を有するCDR1領域、配列番号213を有するCDR2領域、および配列番号297を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号130を有するCDR1領域、配列番号214を有するCDR2領域、および配列番号298を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号131を有するCDR1領域、配列番号215を有するCDR2領域、および配列番号299を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号132を有するCDR1領域、配列番号216を有するCDR2領域、および配列番号300を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号133を有するCDR1領域、配列番号217を有するCDR2領域、および配列番号301を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号134を有するCDR1領域、配列番号218を有するCDR2領域、および配列番号302を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号135を有するCDR1領域、配列番号219を有するCDR2領域、および配列番号303を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号136を有するCDR1領域、配列番号220を有するCDR2領域、および配列番号304を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号137を有するCDR1領域、配列番号221を有するCDR2領域、および配列番号305を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号138を有するCDR1領域、配列番号222を有するCDR2領域、および配列番号306を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号139を有するCDR1領域、配列番号223を有するCDR2領域、およびアミノ酸配列NRYを有するCDR3領域ならびに/または
配列番号140を有するCDR1領域、配列番号224を有するCDR2領域、および配列番号307を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号141を有するCDR1領域、配列番号225を有するCDR2領域、および配列番号308を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号142を有するCDR1領域、配列番号226を有するCDR2領域、および配列番号309を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号143を有するCDR1領域、配列番号227を有するCDR2領域、および配列番号310を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号144を有するCDR1領域、配列番号228を有するCDR2領域、および配列番号311を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号145を有するCDR1領域、配列番号229を有するCDR2領域、および配列番号312を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号146を有するCDR1領域、配列番号230を有するCDR2領域、および配列番号313を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号147を有するCDR1領域、配列番号231を有するCDR2領域、および配列番号314を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号148を有するCDR1領域、配列番号232を有するCDR2領域、および配列番号315を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号149を有するCDR1領域、配列番号233を有するCDR2領域、および配列番号316を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号150を有するCDR1領域、配列番号234を有するCDR2領域、および配列番号317を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号151を有するCDR1領域、配列番号235を有するCDR2領域、および配列番号318を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号152を有するCDR1領域、配列番号236を有するCDR2領域、および配列番号319を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号153を有するCDR1領域、配列番号237を有するCDR2領域、および配列番号320を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号154を有するCDR1領域、配列番号238を有するCDR2領域、および配列番号321を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号155を有するCDR1領域、配列番号239を有するCDR2領域、および配列番号322を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号156を有するCDR1領域、配列番号240を有するCDR2領域、および配列番号323を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号157を有するCDR1領域、配列番号241を有するCDR2領域、および配列番号324を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号158を有するCDR1領域、配列番号242を有するCDR2領域、および配列番号325を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号159を有するCDR1領域、配列番号243を有するCDR2領域、および配列番号326を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号160を有するCDR1領域、配列番号244を有するCDR2領域、および配列番号327を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号161を有するCDR1領域、配列番号245を有するCDR2領域、および配列番号328を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号162を有するCDR1領域、配列番号246を有するCDR2領域、および配列番号329を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号163を有するCDR1領域、配列番号247を有するCDR2領域、および配列番号330を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号164を有するCDR1領域、配列番号248を有するCDR2領域、および配列番号331を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号165を有するCDR1領域、配列番号249を有するCDR2領域、および配列番号332を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号166を有するCDR1領域、配列番号250を有するCDR2領域、および配列番号333を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号167を有するCDR1領域、配列番号251を有するCDR2領域、および配列番号334を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号168を有するCDR1領域、配列番号252を有するCDR2領域、および配列番号335を有するCDR3領域
を含むリストから選ばれるCDR1、CDR2、およびCDR3領域を含むVHHをコードする配列を含んでいてもよい。
【0035】
本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用のある実施形態では、ポリヌクレオチドが、
配列番号85を有するCDR1領域、配列番号169を有するCDR2領域、および配列番号253を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号86を有するCDR1領域、配列番号170を有するCDR2領域、および配列番号254を有するCDR3領域
を含むリストから選ばれるCDR1、CDR2、およびCDR3領域を含むVHHをコードする配列を含んでいてもよい。
【0036】
本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用のある実施形態では、ポリヌクレオチドが、配列番号85を有するCDR1領域、配列番号169を有するCDR2領域、および配列番号253を有するCDR3領域を含むVHHをコードする配列を含んでいてもよい。
【0037】
本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用のある実施形態では、ポリヌクレオチドが、配列番号86を有するCDR1領域、配列番号170を有するCDR2領域、および配列番号254を有するCDR3領域を含むVHHをコードする配列を含んでいてもよい。
【0038】
さらなる態様は、本明細書において定義される少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む、本明細書において定義されるトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の収穫部分および繁殖材料に関する。したがって、さらなる態様は、菌類のスフィンゴ脂質に、好ましくは菌類のセラミドに、好ましくは菌類のスフィンゴ糖脂質に、より好ましくは菌類のセレブロシドに、さらにより好ましくは菌類のグルコセレブロシドに特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む、本明細書において定義されるトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の収穫部分および繁殖材料を提供する。ある実施形態では、VHHが、植物病原性菌類のスフィンゴ脂質に、好ましくは植物病原性菌類のセラミドに、好ましくは植物病原性菌類のスフィンゴ糖脂質に、より好ましくは植物病原性菌類のセレブロシドに、さらにより好ましくは植物病原性菌類のグルコセレブロシドに結合する。
【0039】
ある実施形態では、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の収穫部分および繁殖材料が、種子、果実、穀粒、鱗茎、朔果(boll)、塊茎、子孫、およびハイブリッドからなる群から選択される。
【0040】
さらなる態様は、本明細書において定義される少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む、本明細書において定義されるトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の抽出物に関し、前記抽出物が、前記VHHを含む。したがって、さらなる態様は、菌類のスフィンゴ脂質に、好ましくは菌類のセラミドに、好ましくは菌類のスフィンゴ糖脂質に、より好ましくは菌類のセレブロシドに、さらにより好ましくは菌類のグルコセレブロシドに特異的に結合する少なくとも1つのVHHを含む、本明細書において定義されるトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の抽出物を提供する。ある実施形態では、VHHが、植物病原性菌類のスフィンゴ脂質に、好ましくは植物病原性菌類のセラミドに、好ましくは植物病原性菌類のスフィンゴ糖脂質に、より好ましくは植物病原性菌類のセレブロシドに、さらにより好ましくは植物病原性菌類のグルコセレブロシドに結合する。
【0041】
さらなる態様は、本明細書において定義されるトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の抽出物を含む組成物に関する。したがって、さらなる態様は、菌類のスフィンゴ脂質に、好ましくは菌類のセラミドに、好ましくは菌類のスフィンゴ糖脂質に、より好ましくは菌類のセレブロシドに、さらにより好ましくは菌類のグルコセレブロシドに特異的に結合する少なくとも1つのVHHを含む、本明細書において定義されるトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の抽出物を含む組成物を提供する。ある実施形態では、VHHが、植物病原性菌類のスフィンゴ脂質に、好ましくは植物病原性菌類のセラミドに、好ましくは植物病原性菌類のスフィンゴ糖脂質に、より好ましくは植物病原性菌類のセレブロシドに、さらにより好ましくは植物病原性菌類のグルコセレブロシドに結合する。
【0042】
さらなる態様は、植物または植物組織のゲノムの中への本明細書において定義される少なくとも1つのポリヌクレオチドの導入を含む、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の産生のための方法に関する。よって、さらなる態様は、植物または植物組織のゲノムの中への菌類のスフィンゴ脂質に特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドの導入を含む、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の産生のための方法を提供する。ある実施形態では、本発明が、植物または植物組織のゲノムの中への菌類のセラミドに特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドの導入を含む、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の産生のための方法に関する。ある実施形態では、本発明が、植物または植物組織のゲノムの中への菌類のスフィンゴ糖脂質に特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドの導入を含む、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の産生のための方法に関する。ある実施形態では、本発明が、植物または植物組織のゲノムの中への菌類のセレブロシドに特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドの導入を含む、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の産生のための方法に関する。ある実施形態では、本発明が、植物または植物組織のゲノムの中への菌類のグルコセレブロシドに特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドの導入を含む、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の産生のための方法に関する。ある実施形態では、VHHが、植物病原性菌類のスフィンゴ脂質に、好ましくは植物病原性菌類のセラミドに、好ましくは植物病原性菌類のスフィンゴ糖脂質に、より好ましくは植物病原性菌類のセレブロシドに、さらにより好ましくは植物病原性菌類のグルコセレブロシドに結合する。
【0043】
さらなる態様は、トランスジェニック植物または植物組織の産生のための、本明細書において定義される少なくとも1つのポリヌクレオチドの使用に関する。さらなる態様は、したがって、トランスジェニック植物または植物組織の産生のための、菌類のスフィンゴ脂質に特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドの使用を提供する。ある実施形態では、本発明が、トランスジェニック植物または植物組織の産生のための、菌類のセラミドに特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドの使用に関する。ある実施形態では、本発明が、トランスジェニック植物または植物組織の産生のための、菌類のスフィンゴ糖脂質に特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドの使用に関する。ある実施形態では、本発明が、トランスジェニック植物または植物組織の産生のための、菌類のセレブロシドに特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドの使用に関する。ある実施形態では、本発明が、トランスジェニック植物または植物組織の産生のための、菌類のグルコセレブロシドに特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドの使用に関する。ある実施形態では、VHHが、植物病原性菌類のスフィンゴ脂質に、好ましくは植物病原性菌類のセラミドに、好ましくは植物病原性菌類のスフィンゴ糖脂質に、より好ましくは植物病原性菌類のセレブロシドに、さらにより好ましくは植物病原性菌類のグルコセレブロシドに結合する。
【0044】
本発明者らは、トランスジェニック植物の少なくとも一部において産生される(たとえば、病原体に特異的に結合するVHHをコードするポリヌクレオチドのin planta発現)、病原体に特異的に結合する(および植物病原体に結合する)VHHが、植物病原体に対する、本質的に抗菌効果、特に、静菌効果を有することを見出した。本発明者らは、本明細書において教示されるVHHが、植物病原体に対する抗菌物質または抗菌組成物の「標的作用物質」として作用しないが、植物病原体に対して、本質的に抗菌剤として、特に、本質的に静菌剤として作用することを見出した。
【0045】
したがって、本発明のさらなる態様は、植物病原体による感染から植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部を保護するための、植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部での植物病原体の増殖を阻害するための、および/または植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部の病原体抵抗性を増加させるための方法であって、植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部において病原体に特異的に結合する重鎖抗体の可変ドメイン(VHH)をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを発現させるステップを含む方法に関する。ある実施形態では、VHHが、病原体のスフィンゴ脂質に、好ましくは病原体のセラミドに、好ましくは病原体のスフィンゴ糖脂質に、より好ましくは病原体のセレブロシドに、さらにより好ましくは病原体のグルコセレブロシドに特異的に結合してもよい。
【0046】
ある実施形態では、本発明が、植物病原体による感染から植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部を保護するための、植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部での植物病原体の増殖を阻害するための、および/または植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部の病原体抵抗性を増加させるための方法であって、植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部において病原体に特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを発現させるステップを含み、VHHが、植物病原体に、好ましくは植物病原体のスフィンゴ脂質に、好ましくは植物病原体のセラミドに、好ましくは植物病原体のスフィンゴ糖脂質に、より好ましくは植物病原体のセレブロシドに、さらにより好ましくは植物病原体のグルコセレブロシドに結合する方法に関する。
【0047】
本発明のさらなる態様は、植物病原体による感染から植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部を保護するための、植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部での植物病原体の増殖を阻害するための、および/または植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部の病原体抵抗性を増加させるための方法であって、植物または植物組織または植物細胞の前記少なくとも一部を、本明細書において定義される少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む、本明細書において定義されるトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の抽出物により処置するステップを含み、前記抽出物が、前記VHHを含む方法に関する。
【0048】
本発明のさらなる態様は、植物病原体による感染から植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部を保護するための、植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部での植物病原体の増殖を阻害するための、および/または植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部の病原体抵抗性を増加させるための方法であって、植物または植物組織または植物細胞の前記少なくとも一部を、本明細書において定義される少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む、本明細書において定義されるトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の抽出物を含む組成物により処置するステップを含み、前記抽出物が、前記VHHを含む方法に関する。
【0049】
さらなる態様は、植物病原体による感染から植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部を保護するための、植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部での植物病原体の増殖を阻害するための、および/または植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部の病原体抵抗性を増加させるための、本明細書において定義される少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む、本明細書において定義されるトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の抽出物の使用に関し、前記抽出物が、前記VHHを含む。
【0050】
さらなる態様は、植物病原体による感染から植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部を保護するための、植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部での植物病原体の増殖を阻害するための、および/または植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部の病原体抵抗性を増加させるための、本明細書において定義される少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む、本明細書において定義されるトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の抽出物を含む組成物の使用に関し、前記抽出物が、前記VHHを含む。
【0051】
本明細書において教示される方法または使用のある実施形態では、VHHが、病原体に特異的に結合してもよく、VHHが、植物病原体に、好ましくは植物病原体のスフィンゴ脂質に、好ましくは植物病原体のセラミドに、好ましくは植物病原体のスフィンゴ糖脂質に、より好ましくは植物病原体のセレブロシドに、さらにより好ましくは植物病原体のグルコセレブロシドに結合してもよい。
【0052】
本明細書において教示される方法または使用のある実施形態では、VHHが、病原体のスフィンゴ脂質に特異的に結合してもよく、VHHが、植物病原体に、好ましくは植物病原体のスフィンゴ脂質に、好ましくは植物病原体のセラミドに、好ましくは植物病原体のスフィンゴ糖脂質に、より好ましくは植物病原体のセレブロシドに、さらにより好ましくは植物病原体のグルコセレブロシドに結合してもよい。
【0053】
本明細書において教示される方法または使用のある実施形態では、VHHが、病原体のセラミドに特異的に結合してもよく、VHHが、植物病原体に、好ましくは植物病原体のスフィンゴ脂質に、好ましくは植物病原体のセラミドに、好ましくは植物病原体のスフィンゴ糖脂質に、より好ましくは植物病原体のセレブロシドに、さらにより好ましくは植物病原体のグルコセレブロシドに結合してもよい。
【0054】
本明細書において教示される方法または使用のある実施形態では、VHHが、病原体のスフィンゴ糖脂質に特異的に結合してもよく、VHHが、植物病原体に、好ましくは植物病原体のスフィンゴ脂質に、好ましくは植物病原体のセラミドに、好ましくは植物病原体のスフィンゴ糖脂質に、より好ましくは植物病原体のセレブロシドに、さらにより好ましくは植物病原体のグルコセレブロシドに結合してもよい。
【0055】
本明細書において教示される方法または使用のある実施形態では、VHHが、病原体のセレブロシドに特異的に結合してもよく、VHHが、植物病原体に、好ましくは植物病原体のスフィンゴ脂質に、好ましくは植物病原体のセラミドに、好ましくは植物病原体のスフィンゴ糖脂質に、より好ましくは植物病原体のセレブロシドに、さらにより好ましくは植物病原体のグルコセレブロシドに結合してもよい。
【0056】
本明細書において教示される方法または使用のある実施形態では、VHHが、病原体のグルコセレブロシドに特異的に結合してもよく、VHHが、植物病原体に、好ましくは植物病原体のスフィンゴ脂質に、好ましくは植物病原体のセラミドに、好ましくは植物病原体のスフィンゴ糖脂質に、より好ましくは植物病原体のセレブロシドに、さらにより好ましくは植物病原体のグルコセレブロシドに結合してもよい。
【0057】
ある実施形態では、本発明が、植物病原体による感染または他の生物学的相互作用から植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部を保護するための方法であって、植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部において病原体に特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを発現させるステップを含む方法に関する。
【0058】
ある実施形態では、本発明が、植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部での植物病原体の増殖を阻害するための方法であって、植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部において病原体に特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを発現させるステップを含む方法に関する。
【0059】
ある実施形態では、本発明が、植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部の病原体抵抗性を増加させるための方法であって、植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部において病原体に特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを発現させるステップを含む方法に関する。ある実施形態では、本発明が、植物病原体に対する植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部の抵抗性を増加させるための方法であって、植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部において病原体に特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを発現させるステップを含む方法に関する。
【0060】
ある実施形態では、本発明が、植物病原性菌類による感染から植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部を保護するための、植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部での植物病原性菌類の増殖を阻害するための、および/または植物病原性菌類に対する植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部の抵抗性を増加させるための本明細書において教示される方法であって、植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部において本明細書において定義される少なくとも1つのポリヌクレオチドを発現させるステップを含む方法に関する。よって、ある実施形態では、本発明が、植物病原性菌類による感染から植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部を保護するための、植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部での植物病原性菌類の増殖を阻害するための、および/または植物病原性菌類に対する植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部の抵抗性を増加させるための本明細書において教示される方法であって、植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部において菌類のスフィンゴ脂質に特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドを発現させるステップを含む方法に関する。ある実施形態では、本発明が、植物病原性菌類による感染から植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部を保護するための、植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部での植物病原性菌類の増殖を阻害するための、および/または植物病原性菌類に対する植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部の抵抗性を増加させるための本明細書において教示される方法であって、植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部において菌類のセラミドに特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドを発現させるステップを含む方法に関する。ある実施形態では、本発明が、植物病原性菌類による感染から植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部を保護するための、植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部での植物病原性菌類の増殖を阻害するための、および/または植物病原性菌類に対する植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部の抵抗性を増加させるための本明細書において教示される方法であって、植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部において菌類のスフィンゴ糖脂質に特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドを発現させるステップを含む方法に関する。ある実施形態では、本発明が、植物病原性菌類による感染から植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部を保護するための、植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部での植物病原性菌類の増殖を阻害するための、および/または植物病原性菌類に対する植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部の抵抗性を増加させるための本明細書において教示される方法であって、植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部において菌類のセレブロシドに特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドを発現させるステップを含む方法に関する。ある実施形態では、本発明が、植物病原性菌類による感染から植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部を保護するための、植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部での植物病原性菌類の増殖を阻害するための、および/または植物病原性菌類に対する植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部の抵抗性を増加させるための本明細書において教示される方法であって、植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部において菌類のグルコセレブロシドに特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドを発現させるステップを含む方法に関する。ある実施形態では、VHHが、植物病原性菌類のスフィンゴ脂質に、好ましくは植物病原性菌類のセラミドに、好ましくは植物病原性菌類のスフィンゴ糖脂質に、より好ましくは植物病原性菌類のセレブロシドに、さらにより好ましくは植物病原性菌類のグルコセレブロシドに結合する。
【0061】
さらなる態様は、植物病原体による感染から植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部を保護するための、植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部での植物病原体の増殖を阻害するための、および/または植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部の病原体抵抗性を増加させるための、病原体に特異的に結合する重鎖抗体の可変ドメイン(VHH)をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドの使用であって、ポリヌクレオチドが、植物または植物組織の少なくとも一部において発現される使用に関する。ある実施形態では、VHHが、病原体のスフィンゴ脂質に、好ましくは病原体のセラミドに、好ましくは病原体のスフィンゴ糖脂質に、より好ましくは病原体のセレブロシドに、さらにより好ましくは病原体のグルコセレブロシドに特異的に結合してもよい。
【0062】
ある実施形態では、本発明が、植物病原体による感染から植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部を保護するための、植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部での植物病原体の増殖を阻害するための、および/または植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部の病原体抵抗性を増加させるための、病原体に特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドの使用であって、ポリヌクレオチドが、植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部において発現され、VHHが、植物病原体に、好ましくは植物病原体のスフィンゴ脂質に、好ましくは植物病原体のセラミドに、好ましくは植物病原体のスフィンゴ糖脂質に、より好ましくは植物病原体のセレブロシドに、さらにより好ましくは植物病原体のグルコセレブロシドに結合する使用に関する。
【0063】
ある実施形態では、本発明が、植物病原体による感染または他の生物学的相互作用から植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部を保護するための、病原体に特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドの使用であって、ポリヌクレオチドが、植物または植物組織の少なくとも一部において発現される使用に関する。
【0064】
ある実施形態では、本発明が、植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部での植物病原体の増殖を阻害するための、病原体に特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドの使用であって、ポリヌクレオチドが、植物または植物組織の少なくとも一部において発現される使用に関する。
【0065】
ある実施形態では、本発明が、植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部の病原体抵抗性を増加させるための、病原体に特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドの使用であって、ポリヌクレオチドが、植物または植物組織の少なくとも一部において発現される使用に関する。ある実施形態では、本発明が、植物病原体に対する植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部の抵抗性を増加させるための、病原体に特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドの使用であって、ポリヌクレオチドが、植物または植物組織の少なくとも一部において発現される使用に関する。
【0066】
ある実施形態では、本発明が、植物病原性菌類による感染から植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部を保護するための、植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部での植物病原性菌類の増殖を阻害するための、および/または植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部の病原体抵抗性を増加させるための、本明細書において教示される使用であって、ポリヌクレオチドが、本明細書において定義されるとおりのものである使用に関する。ある実施形態では、本発明が、植物病原性菌類による感染から植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部を保護するための、植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部での植物病原性菌類の増殖を阻害するための、および/または植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部の病原体抵抗性を増加させるための、本明細書において教示される使用であって、ポリヌクレオチドが、菌類のスフィンゴ脂質に特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つの配列を含む使用に関する。ある実施形態では、ポリヌクレオチドが、菌類のセラミドに特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つの配列を含んでいてもよい。ある実施形態では、ポリヌクレオチドが、菌類のスフィンゴ糖脂質に特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つの配列を含んでいてもよい。ある実施形態では、ポリヌクレオチドが、菌類のセレブロシドに特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つの配列を含んでいてもよい。ある実施形態では、ポリヌクレオチドが、菌類のグルコセレブロシドに特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つの配列を含んでいてもよい。ある実施形態では、VHHが、植物病原性菌類のスフィンゴ脂質に、好ましくは植物病原性菌類のセラミドに、好ましくは植物病原性菌類のスフィンゴ糖脂質に、より好ましくは植物病原性菌類のセレブロシドに、さらにより好ましくは植物病原性菌類のグルコセレブロシドに結合する。
【0067】
本発明の原理を具現する方法および使用は、病原体に特異的に結合するVHHをコードするポリヌクレオチドのin planta発現によって、植物病原体による感染もしくは他の相互作用から植物もしくは植物組織もしくは植物細胞を保護する、植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部での植物病原体の増殖を阻害する、または植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部の病原体抵抗性を増加させることを好都合に可能にする。
【0068】
本明細書において教示される方法または使用のある実施形態では、本明細書において教示されるVHHが、抗菌剤として作用してもよい。本明細書において教示される方法または使用のある実施形態では、本明細書において教示されるVHHが、静菌剤として作用してもよい。
【0069】
本発明者らは、菌類のスフィンゴ脂質に、好ましくは菌類のセラミドに、より好ましくは菌類のスフィンゴ糖脂質に、さらにより好ましくは菌類のセレブロシドに、さらにより好ましくは菌類のグルコセレブロシドに特異的に結合するVHHをコードするポリヌクレオチドを見出した。したがって、本発明のさらなる態様は、配列番号336および/または配列番号337から選択される少なくとも1つの核酸配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞に関する。本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用のある実施形態では、ポリヌクレオチドが、配列番号336の核酸配列を含んでいてもよい。本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用のある実施形態では、ポリヌクレオチドが、配列番号337の核酸配列を含んでいてもよい。
【0070】
本発明の上記のおよびさらなる態様および好ましい実施形態は、以下の節および添付の請求項において記載される。添付の請求項の主題は、本明細書においてこれによって明確に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1図1は、タモギタケ(Pleurotus citrinopileatus)由来のコーティング菌類GlcCerへの粗VHH含有周辺質抽出物としてのVHHの結合を示す図である。抗GlcCer VHHは、菌類GlcCerに結合し、無関係なVHHに対する結合は観察されない。
図2図2は、VHH 41D01の結合特異性を示す図である。フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)またはタモギタケ(Pleurotus citrinopileatus)由来のコーティング菌類GlcCerおよび植物(大豆)または哺乳動物(豚肉)由来の非菌類GlcCerに対する0.1μg/mlの精製VHH 41D01の結合。バーは、平均OD405nmの値を示し、エラーバーは、n=6の平均値の標準誤差を示す。抗GlcCer VHH 41D01は、植物または哺乳動物GlcCerではなく菌類GlcCerに特異的に結合する。
図3A図3は、VHHの結合特異性を示す図である。フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)またはタモギタケ(Pleurotus citrinopileatus)由来のコーティング菌類GlcCer、植物(大豆)由来の非菌類GlcCer、および非菌類哺乳動物GlcCer(ブタ)に対する1μg/mlの精製VHHの結合。様々な抗GlcCer VHHは、様々な菌類GlcCerに特異的に結合するが、植物GlcCerにも哺乳動物GlcCerにも結合しない。
図3B図3は、VHHの結合特異性を示す図である。フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)またはタモギタケ(Pleurotus citrinopileatus)由来のコーティング菌類GlcCer、植物(大豆)由来の非菌類GlcCer、および非菌類哺乳動物GlcCer(ブタ)に対する1μg/mlの精製VHHの結合。様々な抗GlcCer VHHは、様々な菌類GlcCerに特異的に結合するが、植物GlcCerにも哺乳動物GlcCerにも結合しない。
図3C図3は、VHHの結合特異性を示す図である。フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)またはタモギタケ(Pleurotus citrinopileatus)由来のコーティング菌類GlcCer、植物(大豆)由来の非菌類GlcCer、および非菌類哺乳動物GlcCer(ブタ)に対する1μg/mlの精製VHHの結合。様々な抗GlcCer VHHは、様々な菌類GlcCerに特異的に結合するが、植物GlcCerにも哺乳動物GlcCerにも結合しない。
図4図4は、VHH 41D01および菌類GlcCerの間の抗体-抗原相互作用のリアルタイム測定を示す図である。VHH 41D01は、菌類GlcCerに結合する。VHH 41D01からのGlcCerのゆっくりとした解離が観察される。無関係なVHH_Aは、菌類GlcCerに結合しない。
図5図5は、VHH 41D01およびVHH 56F11の交差反応性および特異性を示す図である。コーティング菌類脂質抽出物、タモギタケ(Pleurotus citrinopileatus)由来のGlcCer、および無関係な化合物:リンゴペクチン、柑橘類のペクチン、またはジャガイモレクチンに対する0.1μg/mlの精製VHH 41D01および1μg/mlのVHH 56F11の結合。バーは、平均OD405nmの値を示し、エラーバーは、n=2の平均値の標準誤差を示す。抗GlcCer VHH 41D01およびVHH 56F11は、試験した菌類脂質抽出物のそれぞれに特異的に結合する。抗GlcCer VHH 41D01およびVHH 56F11は、無関係なコーティング化合物または非コーティングウェルへの結合を示さない。
図6図6は、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)由来の菌類GlcCerに対する様々な組成物におけるVHH 41D01の結合を示す図である。0.1μg/mlの抗GlcCer VHH 41D01およびプロテアーゼ阻害剤および/または非イオン性界面活性剤および/または保存剤を含有する水性組成物を、菌類GlcCerへの結合について試験した。GlcCerに特異的なVHH 41D01は、添加剤のいずれの副作用もなく、試験したすべての組成物において菌類GlcCerに結合する。
図7】本明細書において教示されるVHH構築物の局在化およびタンパク質発現を示す図である。VHH:重鎖抗体の可変ドメイン;His:His6タグは、6つのHisリピート(配列番号348)からなる;KDEL:ER保留シグナル(配列番号349);2S2:種子貯蔵タンパク質遺伝子シグナルペプチド(配列番号350);Fc:マウスIgG3由来のFc(配列番号351);リンカー:9GSスペーサー(配列番号352);CW:細胞壁;PM:形質膜;ER:小胞体;TGN:トランスゴルジネットワーク;CCV:クラスリン被覆小胞。
図8図8は、コーティング菌類GlcCerに対するsec_56F11_ヒンジ_Fc_HISの結合を示す図である。非コーティングウェルではなくコーティングウェルに対する特異的な結合が、過剰発現植物の葉抽出物におけるsec_56F11_ヒンジ_Fc_HISについて観察された。
図9A図9は、菌類GlcCerに特異的に結合するVHHを発現する植物の灰色かび病菌(Botrytis cinerea)に対する抵抗性の増加を示す図である。灰色かび病菌(B.cinerea)の胞子を接種したVHH過剰発現植物の葉の上で観察された損傷は、より小さかった。
図9B図9は、菌類GlcCerに特異的に結合するVHHを発現する植物の灰色かび病菌(Botrytis cinerea)に対する抵抗性の増加を示す図である。灰色かび病菌(B.cinerea)の胞子を接種したVHH過剰発現植物の葉の上で観察された損傷は、より小さかった。
【発明を実施するための形態】
【0072】
本発明は、特定の実施形態に関して記載されるが、本発明はそれに限定されない。
【0073】
本明細書において開示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用の説明(特徴)および実施形態は、本明細書で下記に記される。そのように定義される本発明の説明および実施形態のそれぞれは、明らかにそれと反対に示されない限り、任意の他の説明および/または実施形態と組み合わせられてもよい。特に、好ましいまたは有利であるとして示される任意の1つもしくは複数の特徴または説明は、好ましいまたは有利であるとして示される任意の他の1つもしくは複数の特徴または説明と組み合わせられてもよい。この点に関して、本発明は、特に、任意の他の説明および/または実施形態と共に、下記の番号付きの態様および実施形態1~91の1つまたは複数のいずれか1つまたは任意の組み合わせによって、よくとらえられる。
【0074】
本出願において開示される、番号付きの説明は次のとおりである。
1.菌類のスフィンゴ脂質に特異的に結合する、重鎖抗体の可変ドメイン(VHH)をコードする少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
2.スフィンゴ脂質がセラミドである、説明1に記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
3.スフィンゴ脂質がスフィンゴ糖脂質である、説明1または2に記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
4.スフィンゴ脂質がセレブロシドである、説明1~3のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
5.スフィンゴ脂質がC-9メチル基および2つの二重結合(Δ4、Δ8)を有するC19スフィンゴイド塩基を含む、説明1~4のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
6.スフィンゴ脂質が以下の構造を有する、含む、からなる、またはそれによって示される、説明1~5のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
【化1】
7.スフィンゴ脂質が以下の構造のうちのいずれかを有する、含む、からなる、またはそれによって示される、説明1~6のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
【化2】
8.スフィンゴ脂質がグルコセレブロシドである、説明1~7のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
9.スフィンゴ脂質が以下の構造
【化3】
N-2’-ヒドロキシヘキサデカノイル-1-β-D-グルコピラノシル-9-メチル-4,8-スフィンガジエニンを有する、含む、からなる、またはそれによって示される、説明1~8のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
10.トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部におけるポリヌクレオチドの発現が、(i)植物病原性菌類による感染からトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部を保護する、(ii)トランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部での植物病原性菌類の増殖を阻害する、および/または(iii)植物病原性菌類に対するトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部の抵抗性を増加させる、説明1~9のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
11.トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部におけるポリヌクレオチドの発現が、植物病原性菌類による感染からトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部を保護する、説明1~10のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
12.トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部におけるポリヌクレオチドの発現が、植物病原性菌類による感染または他の生物学的相互作用からトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部を保護する、説明1~11のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
13.トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部におけるポリヌクレオチドの発現が、トランスジェニック植物または植物組織の少なくとも一部での植物病原性菌類の増殖を阻害する、説明1~12のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
14.トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部におけるポリヌクレオチドの発現が、植物病原性菌類に対するトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部の抵抗性を増加させる、説明1~13のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
15.トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部におけるポリヌクレオチドの発現が、(i)植物病原性菌類による感染からトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部を保護する、(ii)トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部での植物病原性菌類の増殖を阻害する、および(iii)植物病原性菌類に対するトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部の抵抗性を増加させる、説明1~14のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
16.ポリヌクレオチドが、植物における発現に適したプロモーター、植物組織もしくは植物細胞に特異的なプロモーター、または誘導性のプロモーターを含む、説明1~15のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
17.ポリヌクレオチドが、35Sカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)プロモーターなどのような植物における発現のための適したプロモーターを含む、説明1~16のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
18.ポリヌクレオチドが、分泌のための、細胞質への配置のための、または小胞体(ER)内腔、アポプラスト、液胞、または内膜および/もしくは外膜などのような細胞コンパートメントまたは細胞小器官への配置のための、標的シグナルをコードする少なくとも1つの配列を含む、説明1~17のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
19.ポリヌクレオチドが、タグ、好ましくはHis6、c-myc、FLAG、C-tag、3xFLAG、His5、HA、T7、strep、HSV、および/またはE-tagをコードする少なくとも1つの配列を含む、説明1~18のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
20.ポリヌクレオチドが、VHHそれ自体を、1つもしくは複数の同一のもしくは異なるVHHとの組み合わせとしてまたは結晶化可能領域(Fc領域)との1つもしくは複数の同一のもしくは異なるVHHの組み合わせとして、任意選択によりスペーサーと共にコードする、説明1~19のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
21.ポリヌクレオチドが、VHHそれ自体を、任意選択によりスペーサーと共にコードする、説明1~20のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
22.ポリヌクレオチドが、1つまたは複数の同一のまたは異なるVHHの組み合わせとして、任意選択によりスペーサーと共にVHHをコードする、説明1~21のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
23.ポリヌクレオチドが、結晶化可能領域(Fc領域)との1つまたは複数の同一のまたは異なるVHHの組み合わせとして、任意選択によりスペーサーと共にVHHをコードする、説明1~22のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
24.植物が、コーン、イネ、コムギ、オオムギ、ソルガム、キビ、カラスムギ、ライムギ、ライコムギ、または他の穀類、ダイズ、アルファルファ、または他のマメ科作物、サトウダイコン、飼料ビート、パパイア、バナナ、およびプランテン、または他の果実、ブドウ、ナッツ、ナタネ、ヒマワリ、または他の油料作物、カボチャ、キュウリ、メロン、または他のウリ科の植物、ワタまたは他の繊維植物、サトウキビ、ヤシ、ジャトロファ、または他の燃料作物、キャベツ、トマト、コショウ、または他の植物、観賞植物、シラブ、ポプラ、ユーカリ、または他の木、常緑樹、草、コーヒーノキ、チャノキ、タバコ、ホップ、ゴムの木、ならびにラテックス植物から選択される植物である、説明1~23のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
25.植物が、バナナ、オオムギ、カラスムギ、ライムギ、キャノーラ、コーン、ワタ、ジャガイモ、イネ、ダイズ、タバコ、およびコムギからなる群から選択され、好ましくはコムギ、ライコムギである、説明1~24のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
26.植物が、キャノーラ、コーン、イネ、ダイズ、およびコムギからなる群から選択される、説明1~25のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
27.植物が、イネ、ダイズ、およびコムギからなる群から選択される、説明1~26のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
28.ポリヌクレオチドが、任意の1つまたは複数の配列番号1~84を含むVHHをコードする配列を含む、説明1~27のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
29.ポリヌクレオチドが、配列番号1、配列番号2、および/または配列番号70を含むVHHをコードする配列を含む、説明1~28のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
30.ポリヌクレオチドが、配列番号1および/または配列番号2を含むVHHをコードする配列を含む、説明1~29のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
31.ポリヌクレオチドが、配列番号1を含むVHHをコードする配列を含む、説明1~30のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
32.ポリヌクレオチドが、配列番号2を含むVHHをコードする配列を含む、説明1~31のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
33.ポリヌクレオチドが、配列番号70を含むVHHをコードする配列を含む、説明1~32のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
34.ポリヌクレオチドが、CDR1、CDR2、およびCDR3領域を含むVHHをコードする配列を含み、(i)CDR1領域が、配列番号85~168の群から選択されるおよび/または(ii)CDR2領域が、配列番号169~252の群から選択されるおよび/または(iii)CDR3領域が、配列番号253~335の群から選択されるもしくはCDR3領域が、アミノ酸配列NRYを有する、説明1~33のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
35.ポリヌクレオチドが、
配列番号85を有するCDR1領域、配列番号169を有するCDR2領域、および配列番号253を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号86を有するCDR1領域、配列番号170を有するCDR2領域、および配列番号254を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号87を有するCDR1領域、配列番号171を有するCDR2領域、および配列番号255を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号88を有するCDR1領域、配列番号172を有するCDR2領域、および配列番号256を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号89を有するCDR1領域、配列番号173を有するCDR2領域、および配列番号257を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号90を有するCDR1領域、配列番号174を有するCDR2領域、および配列番号258を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号91を有するCDR1領域、配列番号175を有するCDR2領域、および配列番号259を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号92を有するCDR1領域、配列番号176を有するCDR2領域、および配列番号260を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号93を有するCDR1領域、配列番号177を有するCDR2領域、および配列番号261を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号94を有するCDR1領域、配列番号178を有するCDR2領域、および配列番号262を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号95を有するCDR1領域、配列番号179を有するCDR2領域、および配列番号263を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号96を有するCDR1領域、配列番号180を有するCDR2領域、および配列番号264を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号97を有するCDR1領域、配列番号181を有するCDR2領域、および配列番号265を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号98を有するCDR1領域、配列番号182を有するCDR2領域、および配列番号266を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号99を有するCDR1領域、配列番号183を有するCDR2領域、および配列番号267を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号100を有するCDR1領域、配列番号184を有するCDR2領域、および配列番号268を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号101を有するCDR1領域、配列番号185を有するCDR2領域、および配列番号269を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号102を有するCDR1領域、配列番号186を有するCDR2領域、および配列番号270を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号103を有するCDR1領域、配列番号187を有するCDR2領域、および配列番号271を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号104を有するCDR1領域、配列番号188を有するCDR2領域、および配列番号272を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号105を有するCDR1領域、配列番号189を有するCDR2領域、および配列番号273を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号106を有するCDR1領域、配列番号190を有するCDR2領域、および配列番号274を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号107を有するCDR1領域、配列番号191を有するCDR2領域、および配列番号275を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号108を有するCDR1領域、配列番号192を有するCDR2領域、および配列番号276を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号109を有するCDR1領域、配列番号193を有するCDR2領域、および配列番号277を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号110を有するCDR1領域、配列番号194を有するCDR2領域、および配列番号278を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号111を有するCDR1領域、配列番号195を有するCDR2領域、および配列番号279を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号112を有するCDR1領域、配列番号196を有するCDR2領域、および配列番号280を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号113を有するCDR1領域、配列番号197を有するCDR2領域、および配列番号281を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号114を有するCDR1領域、配列番号198を有するCDR2領域、および配列番号282を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号115を有するCDR1領域、配列番号199を有するCDR2領域、および配列番号283を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号116を有するCDR1領域、配列番号200を有するCDR2領域、および配列番号284を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号117を有するCDR1領域、配列番号201を有するCDR2領域、および配列番号285を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号118を有するCDR1領域、配列番号202を有するCDR2領域、および配列番号286を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号119を有するCDR1領域、配列番号203を有するCDR2領域、および配列番号287を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号120を有するCDR1領域、配列番号204を有するCDR2領域、および配列番号288を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号121を有するCDR1領域、配列番号205を有するCDR2領域、および配列番号289を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号122を有するCDR1領域、配列番号206を有するCDR2領域、および配列番号290を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号123を有するCDR1領域、配列番号207を有するCDR2領域、および配列番号291を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号124を有するCDR1領域、配列番号208を有するCDR2領域、および配列番号292を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号125を有するCDR1領域、配列番号209を有するCDR2領域、および配列番号293を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号126を有するCDR1領域、配列番号210を有するCDR2領域、および配列番号294を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号127を有するCDR1領域、配列番号211を有するCDR2領域、および配列番号295を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号128を有するCDR1領域、配列番号212を有するCDR2領域、および配列番号296を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号129を有するCDR1領域、配列番号213を有するCDR2領域、および配列番号297を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号130を有するCDR1領域、配列番号214を有するCDR2領域、および配列番号298を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号131を有するCDR1領域、配列番号215を有するCDR2領域、および配列番号299を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号132を有するCDR1領域、配列番号216を有するCDR2領域、および配列番号300を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号133を有するCDR1領域、配列番号217を有するCDR2領域、および配列番号301を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号134を有するCDR1領域、配列番号218を有するCDR2領域、および配列番号302を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号135を有するCDR1領域、配列番号219を有するCDR2領域、および配列番号303を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号136を有するCDR1領域、配列番号220を有するCDR2領域、および配列番号304を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号137を有するCDR1領域、配列番号221を有するCDR2領域、および配列番号305を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号138を有するCDR1領域、配列番号222を有するCDR2領域、および配列番号306を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号139を有するCDR1領域、配列番号223を有するCDR2領域、およびアミノ酸配列NRYを有するCDR3領域ならびに/または
配列番号140を有するCDR1領域、配列番号224を有するCDR2領域、および配列番号307を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号141を有するCDR1領域、配列番号225を有するCDR2領域、および配列番号308を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号142を有するCDR1領域、配列番号226を有するCDR2領域、および配列番号309を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号143を有するCDR1領域、配列番号227を有するCDR2領域、および配列番号310を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号144を有するCDR1領域、配列番号228を有するCDR2領域、および配列番号311を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号145を有するCDR1領域、配列番号229を有するCDR2領域、および配列番号312を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号146を有するCDR1領域、配列番号230を有するCDR2領域、および配列番号313を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号147を有するCDR1領域、配列番号231を有するCDR2領域、および配列番号314を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号148を有するCDR1領域、配列番号232を有するCDR2領域、および配列番号315を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号149を有するCDR1領域、配列番号233を有するCDR2領域、および配列番号316を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号150を有するCDR1領域、配列番号234を有するCDR2領域、および配列番号317を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号151を有するCDR1領域、配列番号235を有するCDR2領域、および配列番号318を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号152を有するCDR1領域、配列番号236を有するCDR2領域、および配列番号319を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号153を有するCDR1領域、配列番号237を有するCDR2領域、および配列番号320を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号154を有するCDR1領域、配列番号238を有するCDR2領域、および配列番号321を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号155を有するCDR1領域、配列番号239を有するCDR2領域、および配列番号322を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号156を有するCDR1領域、配列番号240を有するCDR2領域、および配列番号323を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号157を有するCDR1領域、配列番号241を有するCDR2領域、および配列番号324を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号158を有するCDR1領域、配列番号242を有するCDR2領域、および配列番号325を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号159を有するCDR1領域、配列番号243を有するCDR2領域、および配列番号326を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号160を有するCDR1領域、配列番号244を有するCDR2領域、および配列番号327を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号161を有するCDR1領域、配列番号245を有するCDR2領域、および配列番号328を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号162を有するCDR1領域、配列番号246を有するCDR2領域、および配列番号329を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号163を有するCDR1領域、配列番号247を有するCDR2領域、および配列番号330を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号164を有するCDR1領域、配列番号248を有するCDR2領域、および配列番号331を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号165を有するCDR1領域、配列番号249を有するCDR2領域、および配列番号332を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号166を有するCDR1領域、配列番号250を有するCDR2領域、および配列番号333を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号167を有するCDR1領域、配列番号251を有するCDR2領域、および配列番号334を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号168を有するCDR1領域、配列番号252を有するCDR2領域、および配列番号335を有するCDR3領域
を含むリストから選ばれるCDR1、CDR2、およびCDR3領域を含むVHHをコードする配列を含む、説明1~34のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
36.ポリヌクレオチドが、配列番号85を有するCDR1領域、配列番号169を有するCDR2領域、および配列番号253を有するCDR3領域を含むVHHをコードする配列を含む、説明1~35のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
37.ポリヌクレオチドが、配列番号86を有するCDR1領域、配列番号170を有するCDR2領域、および配列番号254を有するCDR3領域を含むVHHをコードする配列を含む、説明1~35のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞。
38.説明1~37のいずれか1つに定義される少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む、説明1~37のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の収穫部分および繁殖材料。
39.トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の収穫部分および繁殖材料が、種子、果実、穀粒、鱗茎、朔果、塊茎、子孫、およびハイブリッドからなる群から選択される、説明38に記載の収穫部分および繁殖材料。
40.植物または植物組織のゲノムの中への説明1~37のいずれか1つにおいて定義される少なくとも1つのポリヌクレオチドの導入を含む、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の産生のための方法。
41.トランスジェニック植物または植物組織の産生のための、説明1~37のいずれか1つにおいて定義される少なくとも1つのポリヌクレオチドの使用。
42.植物病原体による感染から植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部を保護するための、植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部での植物病原体の増殖を阻害するための、および/または植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部の病原体抵抗性を増加させるための方法であって、植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部において病原体に特異的に結合する重鎖抗体の可変ドメイン(VHH)をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを発現させるステップを含む方法。
43.植物病原性菌類による感染から植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部を保護するための、植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部での植物病原性菌類の増殖を阻害するための、および/または植物病原性菌類に対する植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部の抵抗性を増加させるための説明42に記載の方法であって、植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部において説明1~37のいずれか1つにおいて定義される少なくとも1つのポリヌクレオチドを発現させるステップを含む方法。
44.VHHが、病原体のスフィンゴ脂質に特異的に結合する、説明42または43に記載の方法。
45.VHHが、病原体のセラミドに特異的に結合する、説明42~44のいずれか1つに記載の方法。
46.VHHが、病原体のスフィンゴ糖脂質に特異的に結合する、説明44~45のいずれか1つに記載の方法。
47.VHHが、病原体のセレブロシドに特異的に結合する、説明44~46のいずれか1つに記載の方法。
48.VHHが、病原体のグルコセレブロシドに特異的に結合する、説明44~47のいずれか1つに記載の方法。
49.VHHが、植物病原体に結合する、説明44~48のいずれか1つに記載の方法。
50.VHHが、植物病原体のスフィンゴ脂質に結合する、説明44~49のいずれか1つに記載の方法。
51.VHHが、植物病原体のセラミドに結合する、説明44~50のいずれか1つに記載の方法。
52.VHHが、植物病原体のスフィンゴ糖脂質に結合する、説明44~51のいずれか1つに記載の方法。
53.VHHが、植物病原体のセレブロシドに結合する、説明44~52のいずれか1つに記載の方法。
54.VHHが、植物病原性菌類のグルコセレブロシドに結合する、説明44~53のいずれか1つに記載の方法。
55.VHHが、菌類に特異的に結合する、説明44~54に記載の方法。
56.VHHが、菌類のスフィンゴ脂質に特異的に結合する、説明44~55に記載の方法。
57.VHHが、菌類のセラミドに特異的に結合する、説明44~56のいずれか1つに記載の方法。
58.VHHが、菌類のスフィンゴ糖脂質に特異的に結合する、説明44~57のいずれか1つに記載の方法。
59.VHHが、菌類のセレブロシドに特異的に結合する、説明44~58のいずれか1つに記載の方法。
60.VHHが、菌類のグルコセレブロシドに特異的に結合する、説明44~59のいずれか1つに記載の方法。
61.VHHが、植物病原性菌類に結合する、説明44~60のいずれか1つに記載の方法。
62.VHHが、植物病原性菌類のスフィンゴ脂質に結合する、説明44~61のいずれか1つに記載の方法。
63.VHHが、植物病原性菌類のセラミドに結合する、説明44~62のいずれか1つに記載の方法。
64.VHHが、植物病原性菌類のスフィンゴ糖脂質に結合する、説明44~63のいずれか1つに記載の方法。
65.VHHが、植物病原性菌類のセレブロシドに結合する、説明44~64のいずれか1つに記載の方法。
66.VHHが、植物病原性菌類のグルコセレブロシドに結合する、説明44~65のいずれか1つに記載の方法。
67.植物病原体による感染から植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部を保護するための、植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部での植物病原体の増殖を阻害するための、および/または植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部の病原体抵抗性を増加させるための、病原体に特異的に結合する重鎖抗体の可変ドメイン(VHH)をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドの使用であって、ポリヌクレオチドが、植物または植物組織の少なくとも一部において発現される使用。
68.植物病原性菌類による感染から植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部を保護するための、植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部での植物病原性菌類の増殖を阻害するための、および/または植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部の病原体抵抗性を増加させるための、説明67に記載の使用であって、ポリヌクレオチドが、説明1~37のいずれか1つにおいて定義される使用。
69.VHHが、病原体のスフィンゴ脂質に特異的に結合する、説明67または64に記載の使用。
70.VHHが、病原体のセラミドに特異的に結合する、説明67~69のいずれか1つに記載の使用。
71.VHHが、病原体のスフィンゴ糖脂質に特異的に結合する、説明67~70のいずれか1つに記載の使用。
72.VHHが、病原体のセレブロシドに特異的に結合する、説明67~71のいずれか1つに記載の使用。
73.VHHが、病原体のグルコセレブロシドに特異的に結合する、説明67~72のいずれか1つに記載の使用。
74.VHHが、植物病原体に結合する、説明67~73のいずれか1つに記載の使用。
75.VHHが、植物病原体のスフィンゴ脂質に結合する、説明67~74のいずれか1つに記載の使用。
76.VHHが、植物病原体のセラミドに結合する、説明67~75のいずれか1つに記載の使用。
77.VHHが、植物病原体のスフィンゴ糖脂質に結合する、説明67~76のいずれか1つに記載の使用。
78.VHHが、植物病原体のセレブロシドに結合する、説明67~77のいずれか1つに記載の使用。
79.VHHが、植物病原性菌類のグルコセレブロシドに結合する、説明67~78のいずれか1つに記載の使用。
80.VHHが、菌類に特異的に結合する、説明67~79に記載の使用。
81.VHHが、菌類のスフィンゴ脂質に特異的に結合する、説明67~80に記載の使用。
82.VHHが、菌類のセラミドに特異的に結合する、説明67~81のいずれか1つに記載の使用。
83.VHHが、菌類のスフィンゴ糖脂質に特異的に結合する、説明67~82のいずれか1つに記載の使用。
84.VHHが、菌類のセレブロシドに特異的に結合する、説明67~83のいずれか1つに記載の使用。
85.VHHが、菌類のグルコセレブロシドに特異的に結合する、説明67~84のいずれか1つに記載の使用。
86.VHHが、植物病原性菌類に結合する、説明67~85のいずれか1つに記載の使用。
87.VHHが、植物病原性菌類のスフィンゴ脂質に結合する、説明67~86のいずれか1つに記載の使用。
88.VHHが、植物病原性菌類のセラミドに結合する、説明67~87のいずれか1つに記載の使用。
89.VHHが、植物病原性菌類のスフィンゴ糖脂質に結合する、説明67~88のいずれか1つに記載の使用。
90.VHHが、植物病原性菌類のセレブロシドに結合する、説明67~89のいずれか1つに記載の使用。
91.VHHが、植物病原性菌類のグルコセレブロシドに結合する、説明67~90のいずれか1つに記載の使用。
92.前記VHHを含む、説明1~37のいずれか1つに記載のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞の抽出物。
93.説明92の抽出物を含む組成物。
94.植物病原体による感染から植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部を保護するための、植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部での植物病原体の増殖を阻害するための、および/または植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部の病原体抵抗性を増加させるための方法であって、説明92の抽出物または説明93の組成物により植物または植物組織または植物細胞の前記少なくとも一部を処置するステップを含む方法。
95.植物病原体による感染から植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部を保護するための、植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部での植物病原体の増殖を阻害するための、および/または植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部の病原体抵抗性を増加させるための、説明92の抽出物または請求項93の組成物の使用。
【0075】
定義
本発明は、特定の実施形態に関して記載されるが、本発明はそれに限定されず、請求項によってのみ限定される。請求項におけるいかなる参照記号も、範囲を限定するとして解釈されないものとする。
【0076】
用語「~を含む」が本発明の説明および請求項において使用される場合、それは他のエレメントまたはステップを除外しない。
【0077】
不定冠詞または定冠詞が使用される場合、単数名詞に関して、たとえば「1つの(a)」または「1つの(an)」、「その」が使用される場合、これは、特に何か他に明記されない限り、その名詞の複数形を含む。
【0078】
本明細書において使用される用語「約」は、パラメーター、量、一時的な期間、およびその他同種のものなどのような測定可能な値に関する場合、特定の値のおよび特定の値から+/-10%またはそれ以下、好ましくは+/-5%またはそれ以下、より好ましくは+/-1%またはそれ以下、およびさらにより好ましくは+/-0.1%またはそれ以下の変動を、そのような変動が、開示される本発明において機能するのに適切である限り包含することを意味する。修飾語「約」が指す値は、それ自体、さらに詳細に、好ましくは開示されることが理解されたい。
【0079】
以下の用語または定義は、本発明の理解をもっぱら助けるために提供される。本明細書において明確に定義されない限り、本明細書において使用される用語はすべて、当業者にとっての意味と同じ意味を有する。技術者らは、当技術分野の定義および用語について、特にSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.,Cold Spring Harbor Press,Plainsview,New York(1989);およびAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology(Supplement 47),John Wiley&Sons,New York(1999)に導かれる。本明細書において提供される定義は、当業者によって理解される範囲に届かないと解釈されるべきでない。
【0080】
その他に示されない限り、詳細に明確に記載されていないすべての方法、ステップ、技術、および操作は、当業者に明らかなものとして、実行することができ、それ自体知られている方法で実行された。たとえば標準的な手引き、上記に言及される一般的な背景技術、およびその中に引用されるさらなる参考文献もまた参照される。
【0081】
本明細書において使用されるように、用語「ポリペプチド」、「タンパク質」、「ペプチド」、および「アミノ酸配列」は、区別なく使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマー形態を指し、これは、コードおよび非コードアミノ酸、化学的にまたは生化学的に修飾されたアミノ酸または誘導体化されたアミノ酸、ならびに修飾ペプチド骨格を有するポリペプチドを含むことができる。
【0082】
本明細書において使用されるように、アミノ酸残基は、それらのフルネームによってまたは標準的な3文字もしくは1文字アミノ酸コードによって示す。
【0083】
本明細書において使用されるように、用語「核酸分子」、「ポリヌクレオチド」、「ポリ核酸」、「核酸」は、区別なく使用され、任意の長さのヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドまたはそのアナログのポリマー形態を指す。ポリヌクレオチドは、任意の三次元構造を有していてもよく、既知のまたは未知の任意の機能を実行してもよい。ポリヌクレオチドの非限定的な例は遺伝子、遺伝子断片、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離DNA、コントロール領域、任意の配列の単離RNA、核酸プローブ、およびプライマーを含む。核酸分子は、直鎖または環状であってもよい。
【0084】
本明細書において使用されるように、用語「相同性」は、同じまたは異なる分類群の2つの高分子の間の、特に、2つのポリペプチドまたはポリヌクレオチドの間の、少なくとも二次構造の類似性を表わし、前記類似性は、祖先が共通していることによる。よって、用語「ホモログ」は、前記二次および任意選択により三次構造の類似性を有するそのように関係する高分子を表わす。
【0085】
2つまたはそれ以上のポリヌクレオチド配列を比較するために、第1のポリヌクレオチド配列および第2のポリヌクレオチド配列の間の「配列同一性(のパーセンテージ)」は、当業者に知られている方法を使用して、たとえば、ポリヌクレオチド配列を最適にアライメントし、必要であればギャップを導入し、続いて、比較ウィンドウにおける、第2のポリヌクレオチド配列の対応するポジションのヌクレオチドと同一である第1のポリヌクレオチド配列におけるヌクレオチドの数を、比較ウィンドウにおけるポジションの数(ウィンドウサイズ)で割り、100%を掛けることによって計算されてもよい。比較ウィンドウにわたる2つまたはそれ以上のポリヌクレオチド配列の最適な配列アラインメントは、NCBI Blast(Altschul et al.J.Mol.Biol.1990 Oct.5;215(3):403-410)などのような配列アラインメントのための既知のコンピューターアルゴリズムを使用することによって得ることができる。ポリヌクレオチド配列アラインメントに適したアルゴリズムの別の例は、CLUSTALWプログラム(Thompson,J.D.et al.Nucl.Acids Res.1994 Nov.11;22(22):4673-4680)である。CLUSTALWは、グループの配列の間で複数のペアワイズ比較を実行し、それらを集めて、相同性に基づいてマルチプルアライメントする。2つまたはそれ以上のポリペプチド配列を比較するために、第1のポリペプチド配列および第2のポリペプチド配列の間の「配列同一性(のパーセンテージ)」は、当業者に知られている方法を使用して、たとえば、ポリペプチド配列を最適にアライメントし、必要であればギャップを導入し、続いて、比較ウィンドウにおける、第2のポリペプチド配列の対応するポジションのアミノ酸と同一である第1のポリペプチド配列におけるアミノ酸の数を、比較ウィンドウにおけるポジションの数(ウィンドウサイズ)で割り、100%を掛けることによって計算されてもよい。比較ウィンドウにわたる2つまたはそれ以上のポリペプチド配列の最適な配列アラインメントは、NCBI Blast(Altschul et al.J.Mol.Biol.1990 Oct.5;215(3):403-410)などのような配列アラインメントのための既知のコンピューターアルゴリズムを使用することによって得ることができる。ポリペプチド配列アラインメントに適したアルゴリズムの別の例は、CLUSTALWプログラム(Thompson,J.D.et al.Nucl.Acids Res.1994 Nov.11;22(22):4673-4680)である。CLUSTALWは、グループの配列の間で複数のペアワイズ比較を実行し、それらを集めて、相同性に基づいてマルチプルアライメントする。アミノ酸アライメントについては、BLOSUMアルゴリズムをタンパク質ウエイトマトリックスとして使用することができる(Henikoff and Henikoff PNAS USA 1992 Nov.15;89(22):10915-10919)。2つのアミノ酸配列の間の配列相同性の程度を決定する際に、当業者は、いわゆる「保存的」アミノ酸置換を考慮に入れてもよい。これは、アミノ酸残基が類似する化学構造の別のアミノ酸残基と交換され、ポリペプチドの機能、活性、または他の生物学的特性に対してほとんど影響がないはまた本質的に全く影響がないアミノ酸置換として一般に説明することができる。保存的アミノ酸置換は、2つのポリペプチド配列の間の相同性パーセンテージを計算するために同一であるとして数えられる。考え得る保存的アミノ酸置換は、当業者に明らかであろう。
【0086】
本明細書において使用されるように、「比較ウィンドウ」は、ポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の最適なアライメントの連続する特定のセグメントのことを言い、比較ウィンドウ中の配列は、2つの配列の最適なアライメントのためにギャップを含んでいてもよい。配列同一性または相同性を決定するための比較ウィンドウは、最も長いアライメント配列と同じ長さまたは最も短いアライメント配列と同じ長さまたはアライメントを最適化するために導入された配列のいずれかにギャップを含むアライメントと同じ長さであってもよい。比較ウィンドウは、約5000ポジションの長さまたは約2000ポジションまたは約1000ポジションまたは約800ポジションまたは約600ポジションの長さまたは約500ポジションの長さまたは約400ポジションの長さまたは約300ポジションの長さまたは約200ポジションの長さまたは約100ポジションの長さまたは約50ポジションの長さまたは約40ポジションの長さまたは約30ポジションの長さまたは約20ポジションの長さまたは約10ポジションの長さであってもよい。アミノ酸配列および核酸配列は、それらの全長にわたって100%の配列同一性を有する場合、「全く同じ」であると言われる。
【0087】
本明細書において使用されるように、抗体に関しての用語「相補性決定領域」または「CDR」は、H(重)またはL(軽)鎖の可変領域(それぞれVHおよびVLとも省略される)を指し、抗原性の標的に特異的に結合することができるアミノ酸配列を含有する。これらのCDR領域は、特定の抗原決定基構造に対する抗体の基本的な特異性を説明する。そのような領域はまた、「超可変領域」とも呼ばれる。CDRは、可変領域内のアミノ酸の隣接しないストレッチを示すが、種にかかわらず、可変重鎖領域および可変軽鎖領域内のこれらの決定的なアミノ酸配列の位置的な配置が、可変鎖のアミノ酸配列内で類似する配置を有することが見出された。すべての標準的な抗体の可変重鎖および可変軽鎖は、それぞれ、それぞれの軽(L)および重(H)鎖について、それぞれ他と隣接しない3つのCDR領域を有する(L1、L2、L3、H1、H2、H3と称される)。
【0088】
本明細書において使用される用語「親和性」は、ポリペプチド、特に、抗体などのような免疫グロブリンまたはVHHなどのような免疫グロブリン断片が、抗原に結合し、それらの結合によって形成される複合体の存在の方に抗原およびポリペプチドの平衡状態を移す程度を指す。したがって、たとえば、抗原および抗体(断片)が比較的等しい濃度で組み合わせられる場合、親和性が高い抗体(断片)は利用可能な抗原に結合し、結果として生じる複合体の濃度が高くなる方に平衡状態を移すであろう。解離定数は、タンパク質結合ドメインおよび抗原性の標的の間の親和性を説明するために一般に使用される。典型的に、解離定数は、10-5Mよりも低い。好ましくは、解離定数は、10-6Mよりも低く、より好ましくは10-7Mよりも低い。最も好ましくは、解離定数は、10-8Mよりも低い。
【0089】
本明細書において使用される用語「特異的に結合する」および「特異的な結合」は、様々な抗原の均質の混合物中に存在する特定の抗原に優先的に結合するポリペプチド、特に抗体などのような免疫グロブリンまたはVHHなどのような免疫グロブリン断片の能力を一般に指す。ある実施形態では、特異的な結合性相互作用が、サンプル虫の望ましい抗原および望ましくない抗原を区別するであろう。いくつかの実施形態では約10~100倍を超えるまたはそれ以上である(たとえば約1000または10,000倍を超える)。
【0090】
したがって、本明細書において開示されるアミノ酸配列は、そのアミノ酸配列がその標的(またはその少なくとも一部もしくは断片)に対して親和性、特異性を有する、および/または特異的に向けられる場合、特定の標的に「特異的に結合する」と言われる。
【0091】
本明細書において開示されるアミノ酸配列の「特異性」は、親和性および/または結合活性に基づいて決定することができる。
【0092】
本明細書において開示されるアミノ酸配列は、本明細書において開示されるそのアミノ酸配列が関心のある第2の標的抗原に結合する親和性の少なくとも10倍などのように、少なくとも100倍、好ましくは少なくとも1000倍などのように、少なくとも5倍高い親和性で関心のある第1の標的抗原に結合する場合、「関心のある第2の標的抗原に対立するものとして、関心のある第1の標的抗原に対して特異的である」と言われる。したがって、ある実施形態では、本明細書において開示されるアミノ酸配列が、関心のある第2の標的抗原に対立するものとして、関心のある第1の標的抗原「に対して特異的である」と言われる場合、それは、関心のある第2の標的抗原にではなく、関心のある第1の標的抗原に特異的に結合してもよい(本明細書において定義されるように)。
【0093】
本明細書において使用されるように、用語「阻害する」、「低下させる」、および/または「妨げる」は、関心のある標的抗原に特異的に結合し、関心のあるその標的抗原およびその天然の結合パートナーの間の相互作用を阻害する、低下させる、および/または妨げる、本明細書において開示されるアミノ酸配列(の使用)を指してもよい。用語「阻害する」、「低下させる」、および/または「妨げる」はまた、適したインビトロ、細胞、またはインビボアッセイを使用して測定されるように、関心のある標的抗原に特異的に結合し、関心のあるその標的抗原の生物学的活性を阻害する、低下させる、および/または妨げる本明細書において開示されるアミノ酸配列(の使用)を指してもよい。したがって、用語「阻害する」、「低下させる」、および/または「妨げる」はまた、関心のある標的抗原に特異的に結合し、関心のある標的抗原が関与する1つまたは複数の生物学的または生理学的メカニズム、効果、応答、機能、経路、または活性を阻害する、低下させる、および/または妨げる本明細書において開示されるアミノ酸配列(の使用)を指してもよい。アンタゴニストとして本明細書において開示されるアミノ酸配列のそのような作用は、関心のある標的抗原に依存して、任意の適した方法でおよび/または当技術分野において知られている任意の適した(インビトロ、通常細胞もしくはインビボ)アッセイを使用して決定されてもよい。
【0094】
したがって、より詳細には、本明細書において開示されるアミノ酸配列を使用して「阻害する」、「低下させる」、および/または「妨げる」ことは、同じ条件下の同じアッセイであるが本明細書において開示されるアミノ酸配列を使用しない関心のある標的抗原の活性と比較して、適したインビトロ、細胞、またはインビボアッセイを使用して測定されるように、少なくとも10%であるが好ましくは少なくとも20%、たとえば少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%またはそれ以上、関心のある標的抗原およびその天然の結合パートナーの間の相互作用を阻害する、低下させる、および/もしくは妨げることまたは関心のある標的抗原の活性を阻害する、低下させる、および/もしくは妨げることまたは関心のある標的抗原が関与する1つもしくは複数の生物学的もしくは生理学的メカニズム、効果、応答、機能、経路、もしくは活性を阻害する、低下させる、および/もしくは妨げることを意味してもよい。そのうえ、「阻害する」、「低下させる」、および/または「妨げる」ことはまた、同じ条件下であるが本明細書において開示されるアミノ酸配列が存在しないものと比較して、1つもしくは複数のその天然の結合パートナーに対する、関心のある標的抗原の親和性、結合活性、特異性、および/もしくは選択性の減少を誘発することならびに/または関心のある標的抗原が存在する培地もしくは環境における1つもしくは複数の条件(pH、イオン強度、補助因子の存在など)に対する、関心のある標的抗原の感受性の減少を誘発することを意味してもよい。本発明に関して、「阻害する」、「低下させる」、および/または「妨げる」ことはまた、関心のある標的抗原の活性のアロステリック阻害、低下、および/または妨害を含んでいてもよい。
【0095】
本明細書において開示されるアミノ酸配列の活性を阻害するもしくはアンタゴナイズするまたは活性を増強するもしくは刺激することは可逆的であっても不可逆的であってもよい。
【0096】
本明細書において開示されるアミノ酸配列に関して、本明細書において開示されるアミノ酸配列上に存在する「結合領域」、「結合部位」、または「相互作用部位」という用語は、標的分子上に存在する特定の部位、領域、遺伝子座、一部、またはドメインの意味を本明細書において有するものとし、この特定の部位、領域、遺伝子座、一部、またはドメインは、その標的分子への結合を担う。そのような結合領域は、したがって、標的分子のその特定の部位、領域、遺伝子座、一部、またはドメインから本質的になり、その標的分子に結合する場合、そのアミノ酸配列と接している。
【0097】
本明細書において使用される「植物」は、新鮮な果実、植物、および種子を含む生きている植物および生きている植物の一部を意味する。また、本明細書において使用される用語「植物」は、植物全体、植物の祖先および子孫、ならびに種子、新芽、茎、葉、根(塊茎を含む)、花、ならびに組織および器官を含む植物の一部を包含し、前述のもののそれぞれが、関心のある遺伝子/核酸を含む。
【0098】
用語「植物」はまた、植物細胞、浮遊培養物、カルス組織、胚、分裂組織部位、配偶体、胞子体、花粉、および小胞子を包含し、なおまた、前述のもののそれぞれが、関心のある遺伝子/核酸を含む。
【0099】
適したコントロール植物の選択は、実験の設定のルーチン的な部分であり、対応する野生型植物または関心のある遺伝子を有していない対応する植物を含んでいてもよい。コントロール植物は、典型的に、判断される植物と同じ植物種またはさらに同じ品種のものである。コントロール植物はまた、判断される植物のヌル欠損であってもよい。ヌル欠損は、分離によって導入遺伝子を失っている個体である。本明細書において使用される「コントロール植物」は、植物全体だけではなく種子および種子の一部を含む植物の一部をも指す。
【0100】
本明細書において使用される用語「植物組織」は、一緒に特異的な機能を実行する同じ起源由来の類似する植物細胞の群を指す。植物組織の例は、分裂組織、保護組織、柔組織、厚膜組織、厚角組織、木部、および師部を含む。
【0101】
本明細書において使用される「作物」は、食物、家畜飼料、燃料原料として収穫するためにまたは任意の他の経済的な目的のために成長させる植物種または品種を意味する。非限定的な例として、前記作物は、トウモロコシ、コムギ、ライムギ、オオムギ、およびカラスムギなどのような穀類、ソルガム、イネ、サトウダイコンおよび飼料ビート、ナシ状果(たとえばリンゴおよびセイヨウナシ)、柑橘類(たとえばオレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ、もしくはマンダリンミカン)、核果(たとえばモモ、ネクタリン、もしくはプラム)などのような果実、ナッツ(たとえばアーモンドもしくはクルミ)、小果樹(たとえばサクランボ、イチゴ、ブラックベリー、もしくはラズベリー)、オオバコ科(plantain family)もしくはブドウ、インゲン、レンズマメ、エンドウマメ、および大豆などのようなマメ科作物、ヒマワリ、ベニバナ、ナタネ、キャノーラ、ヒマシ、もしくはオリーブなどのような油料作物、キュウリ、メロン、もしくはパンプキンなどのようなウリ科の植物、ワタ、アマ、もしくはアサなどのような繊維植物、サトウキビ、ススキ、もしくはスイッチグラスなどのような燃料作物、ジャガイモ、トマト、コショウ、レタス、ホウレンソウ、タマネギ、ニンジン、ナス、アスパラガス、もしくはキャベツなどのような植物、花(たとえばツクバネアサガオ、テンジクアオイ、バラ、チューリップ、ユリ、もしくはキク)などのような観賞植物、シラブ、広葉樹(たとえばポプラもしくはヤナギ)および常緑樹(たとえば針葉樹)、芝地、芝生、もしくは飼料用の草などのような草、またはコーヒー、茶、タバコ、ホップ、コショウ、ゴム、もしくはラテックス植物などのような他の有用な植物とすることができる。
【0102】
本明細書において区別なく使用される「植物有害生物」、「植物病原体」、または「作物有害生物」は、特に、植物、植物の一部、または植物産物、特に、農業において使用される植物、植物の一部、または植物産物に対して損害を引き起こす生物体を指す。用語「植物有害生物」または「作物有害生物」は、有害生物が植物を標的にし、害するという意味で使用されることに注意されたい。関連する作物有害生物の例は、病原性菌類(子嚢菌(フザリウム(Fusarium)種、ティエラビオプシス(Thielaviopsis)種、バーティシリウム(Verticillium)種、マグナポルテ(Magnaporthe)種など)を含む)、担子菌(リゾクトニア(Rhizoctonia)種、ファコスポラ(Phakospora)種、プクキニア(Puccinia)種など)、ならびに菌類様の卵菌(フハイカビ(Pythium)種およびフィトフトラ(Phytophthora)種など)、アブラムシ、イモムシ、ハエ、スズメバチ、およびその他同種のもの、線虫(土中で自由に生活しているものまたは特に、根瘤線虫ならびにダイズ嚢胞線虫およびジャガイモ嚢胞線虫などのような嚢胞線虫などのような植物の根に寄生する種)、ダニ(ハダニ、ホコリダニ、およびフシダニなど)、ならびに腹足類動物(デロセラス(Deroceras)種、ミラックス(Milax)種、タンドニア(Tandonia)種、リマックス(Limax)種、アリオン(Arion)種、およびベロニカ(Veronicella)種などのようなナメクジならびにヘリックス(Helix)種、セルヌエラ(Cernuella)種、テバ(Theba)種、コチリセラ(Cochlicella)種、アカチナ(Achatina)種、スクシネア(Succinea)種、オバクラミス(Ovachlamys)種、アンフィブリマ(Amphibulima)種、ザクリシア(Zachrysia)種、ブラディバエナ(Bradybaena)種、およびポマセア(Pomacea)種などのようなカタツムリを含む)、細菌(バークホルデリア(Burkholderia)種ならびにキサントモナス(Xanthomonas)種およびシュードモナス(Pseudomonas)種などのようなプロテオバクテリア(Proteobacteria)など)、フィトプラズマ(Phytoplasma)、スピロプラズマ(Spiroplasma)、ウイルス(タバコモザイクウイルスおよびカリフラワーモザイクウイルスなど)、ならびに原生動物を含むが、これらに限定されない。
【0103】
本明細書において使用される「病原菌」は、菌類、酵母、細菌、ウイルス、およびその他同種のものを意味し、「病原菌の」は、病原菌に由来することを意味する。
【0104】
本明細書において使用される「菌類」は、真菌植物門のグループに属する真核生物を意味する。本発明における菌類という用語はまた、卵菌類などのような菌類様の生物体をも含む。卵菌類(または卵菌)は、菌類様の真核微生物の別個の系統学的系列を形成する。このグループは、もともと菌類に分類されていたが、現代の見識は、不等毛藻(heterokonts)のグループ内の褐藻および珪藻などのような光合成生物との比較的密接な関係を支持している。
【0105】
本明細書において区別なく使用される用語「植物病原性菌類」または「菌類植物病原体」は、植物に対して感染または他の生体反応を引き起こし得る、本明細書において定義される任意の菌類を指す。
【0106】
本明細書において使用される用語「感染」は、植物病原体によって引き起こされる植物における任意の炎症状態、病気、または障害を指す。
【0107】
本明細書において使用される「菌類感染」または「菌類病」は、菌類によって引き起こされる植物、動物、またはヒトなどのような生物における任意の炎症状態、病気、または障害を指す。
【0108】
本明細書において使用される用語「抗菌剤」は、微生物を死滅させるまたは微生物の増殖を阻害する薬剤を指す。抗菌剤は、抗菌薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬、または抗寄生虫薬を包含する。
【0109】
本明細書において使用される用語「殺菌剤」は、微生物を死滅させる薬剤を指す。
【0110】
本明細書において使用される用語「静菌剤」は、微生物の増殖を阻害する薬剤を指す。
【0111】
本明細書において使用される用語「殺真菌剤」は、菌類を死滅させる薬剤を指す。
【0112】
本明細書において使用される用語「静真菌剤」は、菌類の増殖を阻害する薬剤を指す。
【0113】
本明細書において使用される「抗菌(効果)」または「抗菌の使用」は、植物、植物の一部においてまたはたとえば土においてなどのように農業に関係する他の状況において、植物病原体を死滅させること、植物病原体の増殖または活性を阻害すること、植物病原体の活動を変化させること、および植物病原体を撃退するまたは誘引することを含めて、植物病原体の有害な活性をコントロールする、調整する、またはそれに干渉するための、薬剤、特にVHHの任意の効果または使用を含む。
【0114】
本明細書において使用される「殺菌(効果)」または「殺菌の使用」は、植物病原体を死滅させることを含めて、植物病原体の有害な活性をコントロールする、調整する、またはそれに干渉するための、薬剤、特にVHHの任意の効果または使用を含む。
【0115】
本明細書において使用される「静菌(効果)」または「静菌の使用」は、植物、植物の一部においてまたはたとえば土においてなどのように農業に関係する他の状況において、植物病原体の増殖または活性を阻害すること、植物病原体の活動を変化させること、および植物病原体を撃退するまたは誘引することを含めて、植物病原体の有害な活性をコントロールする、調整する、またはそれに干渉するための、薬剤、特にVHHの任意の効果または使用を含む。
【0116】
本明細書において使用される「抗真菌(効果)」または「抗真菌の使用」は、植物、植物の一部においてまたは土においてなどのように農業に関係する他の状況において、菌類の増殖または活性を阻害すること、菌類の活動を変化させること、および菌類を撃退するまたは誘引することを含めて、菌類の有害な活性をコントロールする、調整する、またはそれに干渉するための、薬剤、特にVHHの任意の効果または使用を含む。
【0117】
本明細書において使用される「殺真菌(効果)」または「殺真菌の使用」は、菌類を死滅させることを含めて、菌類の有害な活性をコントロールする、調整する、またはそれに干渉するための、薬剤、特にVHHの任意の効果または使用を含む。
【0118】
本明細書において使用される「静真菌(効果)」または「静真菌の使用」は、植物、植物の一部においてまたはたとえば土においてなどのように農業に関係する他の状況において、菌類の増殖または活性を阻害すること、菌類の活動を変化させること、および菌類を撃退するまたは誘引することを含めて、菌類の有害な活性をコントロールする、調整する、またはそれに干渉するための、薬剤、特にVHHの任意の効果または使用を含む。
【0119】
本明細書において区別なく使用される「殺虫性の活性」または「生物致死性の活性」は、植物病原体を死滅させること、植物病原体の増殖または活性を阻害すること、植物病原体の活動を変化させること、植物病原体を撃退するまたは誘引することを含むが、これらに限定されない、植物病原体の有害な活性に干渉することを意味する。
【0120】
本明細書において使用される「生体静力学的活性」は、植物病原体の増殖または活性を阻害すること、植物病原体の活動を変化させること、植物病原体を撃退するまたは誘引することを含むが、これらに限定されない、植物病原体の有害な活性に干渉することを意味する。
【0121】
殺虫性、生物致死性、または生物静力学的活性成分、物質、または成分を含む活性成分、物質、もしくは成分または組成物または薬剤の殺虫性、生物致死性、または生物静力学的活性は、薬剤の最低の阻害活性(MIC)として表現することができる(たとえばmg/mLなどのような濃度の単位で表現することができる)が、それに制限されない。
【0122】
本明細書において使用される「殺真菌活性」は、菌類を死滅させること、菌類の増殖または活性を阻害すること、菌類の活動を変化させること、および菌類を撃退するまたは誘引することを含むが、これらに限定されない、菌類の有害な活性に干渉することを意味する。
【0123】
本明細書において使用される「静真菌活性」は、菌類の増殖または活性を阻害すること、菌類の活動を変化させること、および菌類を撃退するまたは誘引することを含むが、これらに限定されない、菌類の有害な活性に干渉することを意味する。
【0124】
殺虫性、生物致死性、または生物静力学的活性成分、物質、または成分を含む活性成分、物質、もしくは成分または組成物もしくは薬剤の殺真菌または静真菌活性は、薬剤の最低の阻害活性(MIC)として表現することができる。(たとえばmg/mLなどのような濃度の単位で表現することができる)が、しかしながらそれに制限されない。
【0125】
本明細書において使用されるように、用語「抗体」は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体、ならびに親抗体の抗原結合機能を保持するFab、F(ab)2、Fv、および他の断片などのようなその断片を指す。そのため、抗体は、免疫グロブリンもしくは糖タンパク質またはその断片もしくは一部分または修飾免疫グロブリン様フレームワーク内に構成される抗原結合部分を含む構築物または非免疫グロブリン様フレームワークもしくは骨格を含む構築物内に構成される抗原結合部分を指してもよい。
【0126】
本明細書において使用されるように、用語「モノクローナル抗体」は、均質の抗体集団を有する抗体組成物を指す。この用語は、抗体の種類または供給源に関して限定されず、抗体が作製される方法によって限定されることも意図されない。この用語は、免疫グロブリン全体ならびに抗体の抗原結合機能を保持するFab、F(ab)2、Fv、および他などのような断片を包含する。任意の哺乳動物種のモノクローナル抗体は、本発明において使用することができる。しかしながら、実際には、抗体は、モノクローナル抗体を産生するために必要とされるハイブリッド細胞株またはハイブリドーマを作製する際に使用するためのラットまたはマウス細胞株の有用性のために、典型的にラットまたはマウス起源のものとなるであろう。
【0127】
本明細書において使用されるように、用語「ポリクローナル抗体」は、不均質な抗体集団を有する抗体組成物を指す。ポリクローナル抗体は、多くの場合、免疫化された動物由来のまたは選択されたヒト由来のプール血清に由来する。
【0128】
本明細書において区別なく使用される用語「重鎖抗体の可変ドメイン」または「VHH」または「抗体の重鎖可変ドメイン」は、重鎖抗体の重鎖可変ドメインを指し、これは、軽鎖が当然欠けており、ラクダ科の動物またはサメの重鎖抗体の重鎖の可変ドメインを含むが、これらに限定されない。
【0129】
当業者は、VHHの機能的変異体が、任意の免疫グロブリン単一可変ドメインを含むと理解してもよい。免疫グロブリン単一可変ドメインの例は、重鎖抗体に由来する免疫グロブリン単一可変ドメイン、軽鎖可変ドメイン配列に由来する免疫グロブリン単一可変ドメイン、重鎖可変ドメイン配列に由来する免疫グロブリン単一可変ドメイン、従来の四鎖抗体、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体、「dAb」(Domantis/GSK)、VHH、またはNanobody(Ablynx)に由来する免疫グロブリン単一可変ドメインからなる群から選択される免疫グロブリン単一可変ドメインを含む。
【0130】
本明細書においてさらに記載されるように、重鎖抗体の可変ドメインのアミノ酸配列および構造は、しかしながらそれに限定されないが、当技術分野および本明細書においてそれぞれ「フレームワーク領域1」または「FR1」;「フレームワーク領域2」または「FR2」;「フレームワーク領域3」または「FR3」;および「フレームワーク領域4」または「FR4」と呼ばれる4つのフレームワーク領域または「FR」から構成されると考えられ、これらのフレームワーク領域は、3つの相補性決定領域または「CDR」によって遮られており、これらは、当技術分野においてそれぞれ「相補性決定領域1」または「CDR1」;「相補性決定領域2」または「CDR2」;「相補性決定領域3」または「CDR3」と呼ばれる。
【0131】
本明細書においてさらに記載されるように、重鎖抗体またはVHHの可変ドメイン中のアミノ酸残基の総数は、110~130の範囲とすることができ、好ましくは112~115、最も好ましくは113である。しかしながら、重鎖抗体の可変ドメインの一部、断片、またはアナログは、そのような一部、断片、もしくはアナログが、殺虫性、生物致死性、生物静力学的活性、殺真菌、もしくは静真菌活性(本明細書において定義される)などのような機能的な活性(の少なくとも一部)を保持するおよび/またはこれらの一部、断片、もしくはアナログが由来する重鎖抗体の可変ドメイン本来の結合特異性(の少なくとも一部)を保持する限り、それらの長さおよび/またはサイズに関して特に限定されないことに注意されたい。殺虫性、生物致死性、生物静力学的活性、殺真菌、もしくは静真菌活性(本明細書において定義される)などのような機能的な活性(の少なくとも一部)を保持するおよび/またはこれらの一部、断片、もしくはアナログが由来する重鎖抗体の本来の可変ドメイン結合特異性(の少なくとも一部)を保持する一部、断片、またはアナログはまた、重鎖抗体の可変ドメインの「機能的断片」と本明細書においてさらに呼ばれる。
【0132】
重鎖抗体の可変ドメインのアミノ酸残基は、Kabat et al.(“Sequence of proteins of immunological interest”,US Public Health Services,NIH Bethesda,Md.,Publication No.91)によって示される可変ドメインについての一般的な番号付けに従って、上記で引用されるRiechmannおよびMuyldermansの論文において(たとえば前記参考文献の図2を参照)ラクダ科の動物由来のVHHドメインに適用されるように、番号を付けられる。この番号付けに従って、重鎖抗体の可変ドメインのFR1は、ポジション1~30のアミノ酸残基を含み、重鎖抗体の可変ドメインのCDR1は、ポジション31~36のアミノ酸残基を含み、重鎖抗体の可変ドメインのFR2は、ポジション36~49のアミノ酸を含み、重鎖抗体の可変ドメインのCDR2は、ポジション50~65のアミノ酸残基を含み、重鎖抗体の可変ドメインのFR3は、ポジション66~94のアミノ酸残基を含み、重鎖抗体の可変ドメインのCDR3は、ポジション95~102のアミノ酸残基を含み、かつ重鎖抗体の可変ドメインのFR4は、ポジション103~113のアミノ酸残基を含む。この点で、VHHドメインについて当技術分野においてよく知られているが、CDRのそれぞれのアミノ酸残基の総数は、変動してもよく、Kabatの番号付けによって示されるアミノ酸残基の総数と一致しなくてもよい(すなわち、Kabatの番号付けによる1つまたは複数のポジションが実際の配列において占められていなくてもよいまたは実際の配列が、Kabatの番号付けによって考慮される数よりも多くのアミノ酸残基を含有していてもよい)。これは、一般に、Kabatに従う番号付けが、実際の配列中のアミノ酸残基の実際の番号付けと一致してもよいし、一致しなくてもよいことを意味する。しかしながら、一般に、Kabatの番号付けに従って、またCDRにおけるアミノ酸残基の数に関係なく、Kabatの番号付けに従うポジション1は、FR1の最初の部分と一致しかつ逆もまた同じであり、Kabatの番号付けに従うポジション36は、FR2の最初の部分と一致しかつ逆もまた同じであり、Kabatの番号付けに従うポジション66は、FR3の最初の部分と一致しかつ逆もまた同じであり、Kabatの番号付けに従うポジション103は、FR4の最初の部分と一致しかつ逆もまた同じであるということができる。
【0133】
重鎖抗体の可変ドメインのアミノ酸残基に番号を付けるための代替の方法は、Chothia et al.(Nature 342,877-883(1989))によって記載される方法、いわゆる「AbM定義」およびいわゆる「コンタクト定義(contact definition)」である。しかしながら、本発明の説明、請求項、および図面において、その他に示されない限り、RiechmannおよびMuyldermansによってVHHドメインに適用されるKabatに従う番号付けに従うであろう。
【0134】
重鎖抗体およびその可変ドメインの一般的な説明については、一般的な背景技術として挙げられる以下の参考文献を特に参照されたい。Vrije Universiteit Brusselの国際公開第94/04678号パンフレット、国際公開第95/04079号パンフレット、および国際公開第96/34103号パンフレット;Unileverの国際公開第94/25591号パンフレット、国際公開第99/37681号パンフレット、国際公開第00/40968号パンフレット、国際公開第00/43507号パンフレット、国際公開第00/65057号パンフレット、国際公開第01/40310号パンフレット、国際公開第01/44301号パンフレット、欧州特許第1134231号明細書、および国際公開第02/48193号パンフレット;Vlaams Instituut voor Biotechnologie(VIB)の国際公開第97/49805号パンフレット、国際公開第01/21817号パンフレット、国際公開第03/035694号パンフレット、国際公開第03/054016号パンフレット、および国際公開第03/055527号パンフレット;Algonomics N.V.and Ablynx NVの国際公開第03/050531号パンフレット;National Research Council of Canadaによる国際公開第01/90190号パンフレット;Institute of Antibodiesによる国際公開第03/025020号パンフレット(=欧州特許第1433793号明細書);ならびにAblynx NVによる国際公開第04/041867号パンフレット、国際公開第04/041862号パンフレット、国際公開第04/041865号パンフレット、国際公開第04/041863号パンフレット、国際公開第04/062551号パンフレット、およびAblynx NVによるさらに公開される特許出願;Hamers-Casterman et al.,Nature 1993 Jun.3;363(6428):446-8;Davies and Riechmann,FEBS Lett.1994 Feb.21;339(3):285-90;Muyldermans et al.,Protein Eng.1994 September;7(9):1129-3;Davies and Riechmann,Biotechnology(NY)1995 May;13(5):475-9;Gharoudi et al.,9th Forum of Applied Biotechnology,Med.Fac.Landbouw Univ.Gent.1995;60/4a part I:2097-2100;Davies and Riechmann,Protein Eng.1996 June;9(6):531-7;Desmyter et al.,Nat Struct Biol.1996 September;3(9):803-11;Sheriff et al.,Nat Struct Biol.1996 September;3(9):733-6;Spinelli et al.,Nat Struct Biol.1996 September;3(9):752-7;Arbabi Ghahroudi et al.,FEBS Lett.1997 Sep.15;414(3):521-6;Vu et al.,Mol.Immunol.1997 November-December;34(16-17):1121-31;Atarhouch et al.,Journal of Carnel Practice and Research 1997;4:177-182;Nguyen et al.,J.Mol.Biol.1998 Jan.23;275(3):413-8;Lauwereys et al.,EMBO J.1998 Jul.1;17(13):3512-20;Frenken et al.,Res Immunol.1998 July-August;149(6):589-99;Transue et al.,Proteins 1998 Sep.1;32(4):515-22;Muyldermans and Lauwereys,J.Mol.Recognit.1999 March-April;12(2):131-40;van der Linden et al.,Biochim.Biophys.Acta 1999 Apr.12;1431(1):37-46;Decanniere et al.,Structure Fold.Des.1999 Apr.15;7(4):361-70;Ngyuen et al.,Mol.Immunol.1999 June;36(8):515-24;Woolven et al.,Immunogenetics 1999 October;50(1-2):98-101;Riechmann and Muyldermans,J.Immunol.Methods 1999 Dec.10;231(1-2):25-38;Spinelli et al.,Biochemistry 2000 Feb.15;39(6):1217-22;Frenken et al.,J.Biotechnol.2000 Feb.28;78(1):11-21;Nguyen et al.,EMBO J.2000 Mar.1;19(5):921-30;van der Linden et al.,J.Immunol.Methods 2000 Jun.23;240(1-2):185-95;Decanniere et al.,J.Mol.Biol.2000 Jun.30;300(1):83-91;van der Linden et al.,J.Biotechnol.2000 Jul.14;80(3):261-70;Harmsen et al.,Mol.Immunol.2000 August;37(10):579-90;Perez et al.,Biochemistry 2001 Jan.9;40(1):74-83;Conrath et al.,J.Biol.Chem.2001 Mar.9;276(10):7346-50;Muyldermans et al.,Trends Biochem Sci.2001 April;26(4):230-5;Muyldermans S.,J.Biotechnol.2001 June;74(4):277-302;Desmyter et al.,J.Biol.Chem.2001 Jul.13;276(28):26285-90;Spinelli et al.,J.Mol.Biol.2001 Aug.3;311(1):123-9;Conrath et al.,Antimicrob Agents Chemother.2001 October;45(10):2807-12;Decanniere et 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February;27(2):87-103;Pleschberger et al.,Bioconjug.Chem.2003 March-April;14(2):440-8;Lah et al.,J.Biol.Chem.2003 Apr.18;278(16):14101-11;Nguyen et al.,Immunology.2003 May;109(1):93-101;Joosten et al.,Microb.Cell Fact.2003 Jan.30;2(1):1;Li et al.,Proteins 2003 Jul.1;52(1):47-50;Loris et al.,Biol.Chem.2003 Jul.25;278(30):28252-7;van Koningsbruggen et al.,J.Immunol.Methods.2003 August;279(1-2):149-61;Dumoulin et al.,Nature.2003 Aug.14;424(6950):783-8;Bond et al.,J.Mol.Biol.2003 Sep.19;332(3):643-55;Yau et al.,J.Immunol.Methods.2003 Oct.1;281(1-2):161-75;Dekker et al.,J.Virol.2003 November;77(22):12132-9;Meddeb-Mouelhi et al.,Toxicon.2003 December;42(7):785-91;Verheesen et al.,Biochim.Biophys.Acta 2003 Dec.5;1624(1-3):21-8;Zhang et al.,J Mol Biol.2004 Jan.2;335(1):49-56;Stijlemans et al.,J Biol.Chem.2004 Jan.9;279(2):1256-61;Cortez-Retamozo et al.,Cancer Res.2004 Apr.15;64(8):2853-7;Spinelli et al.,FEBS Lett.2004 Apr.23;564(1-2):35-40;Pleschberger et al.,Bioconjug.Chem.2004 May-June;15(3):664-71;Nicaise et al.,Protein Sci.2004 July;13(7):1882-91;Omidfar et al.,Tumour Biol.2004 July-August;25(4):179-87;Omidfar et al.,Tumour Biol.2004 Sep
tember-December;25(5-6):296-305;Szynol et al.,Antimicrob Agents Chemother.2004 September;48(9):3390-5;Saerens et al.,J.Biol.Chem.2004 Dec.10;279(50):51965-72;De Genst et al.,J.Biol.Chem.2004 Dec.17;279(51):53593-601;Dolk et al.,Appl.Environ.Microbiol.2005 January;71(1):442-50;Joosten et al.,Appl Microbiol Biotechnol.2005 January;66(4):384-92;Dumoulin et al.,J.Mol.Biol.2005 Feb.25;346(3):773-88;Yau et al.,J Immunol Methods.2005 February;297(1-2):213-24;De Genst et al.,J.Biol.Chem.2005 Apr.8;280(14):14114-21;Huang et al.,Eur.J.Hum.Genet.2005 Apr.13;Dolk et al.,Proteins.2005 May 15;59(3):555-64;Bond et al.,J.Mol.Biol.2005 May 6;348(3):699-709;Zarebski et al.,J.Mol.Biol.2005 Apr.21;[印刷前の電子刊行物]。
【0135】
全般的に、その最も広い意味で本明細書において使用される用語「重鎖抗体の可変ドメイン」、「可変ドメイン」、または「重鎖可変ドメイン」は、特定の生物学的供給源または調製の特定の方法に限定されないことに注意されたい。たとえば、下記により詳細に議論されるように、本明細書において教示されるVHHは、天然に存在するVHHドメインをコードするヌクレオチド配列の発現によってまたは核酸合成のための技術を使用してVHHをコードする核酸を調製し、その後、それにより得られた核酸を発現させることによってまたは前述のものの任意の組み合わせによって得ることができる。前述のものを実行するのに適した方法および技術は、本明細書における開示に基づいて当業者に明らかになるであろう、また、たとえば、本明細書においてより詳細に記載される方法および技術を含む。
【0136】
しかしながら、特定の実施形態に従って、本明細書において開示される重鎖抗体の可変ドメインは、ラクダ科の動物またはサメ由来の天然に存在するVHHドメインのアミノ酸配列などのような、天然に存在するVHHドメインのアミノ酸配列と全く同じである(すなわち、それと配列同一性の程度が100%の)アミノ酸配列を有していない。
【0137】
本明細書において使用されるように、用語「決定する」、「測定する」、「判断する」、「モニターする」、および「アッセイする」は、区別なく使用され、定量的および定性的決定を含む。
【0138】
本明細書に引用される文書はすべて、それらの全体が参照によってこれによって組み込まれる。特に定義されない限り、技術用語および科学用語を含む本発明の開示において使用される用語はすべて、本発明が属する当技術分野の当業者によって一般に理解される意味を有する。さらなる手引きによって、よりよく本発明の教示を認識するために用語の定義を含む。
【0139】
トランスジェニック植物
本発明は、菌類のスフィンゴ脂質に特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞に関する。
【0140】
本明細書において使用されるように、「VHHをコードする少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチド」および「VHHをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチド」という言い回しは、区別なく使用されてもよい。
【0141】
用語「トランスジェニック植物または植物組織」は、一般に、新たな特徴を有する植物を作るために遺伝子操作された植物または植物組織または植物細胞を指す。トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞はまた、遺伝子修飾生物体(GMO)として同定することもできる。
【0142】
用語「トランスジェニック植物」はまた、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞に由来する商品をも包含し、商品は、検出可能な量のトランスジェニックまたは組換えポリヌクレオチドを含み、商品は、植物バイオマス、油、食事、食品、動物飼料、小麦粉、フレーク、ふすま、リント、繊維、紙、タンパク質、デンプン、サイレージ、殻、および加工された種子からなる群から選択され、任意選択により、商品は、再生不可能である。
【0143】
ある実施形態では、植物が、トウモロコシ、ダイズ、アルファルファ、ワタ、ヒマワリ、セイヨウアブラナ(Brassica napus)(たとえばキャノーラ、ナタネ)、ブラッシカ・ラパ(Brassica rapa)、カラシナ(B.juncea)(たとえばカラシ(菜の花))、およびブラッシカ・カリナタ(Brassica carinata)などのようなアブラナ属油料種子、ヤシ科の種(たとえばギネアアブラヤシ、ココナッツ)、イネ、コムギ、サトウダイコン、サトウキビ、カラスムギ、ライムギ、オオムギ、キビおよびソルガム、ライコムギ、アマ、ナッツ、ブドウおよびブドウの木、ならびに様々な植物学的分類群由来の様々な果実および植物、たとえばバラ科(Rosaceae)の種(たとえば、リンゴおよびセイヨウナシなどのようなナシ状果、だけではなく、アプリコット、サクランボ、アーモンド、プラム、およびモモなどのような核果ならびにイチゴ、ラズベリー、アカおよびクロフサスグリ、ならびにグズベリーなどのような食用小果実)、リベシオイダエ科(Ribesioidae)の種、クルミ科(Juglandaceae)の種、カバノキ科(Betulaceae)の種、ウルシ科(Anacardiaceae)の種、ブナ科(Fagaceae)の種、クワ科(Moraceae)の種、モクセイ科(Oleaceae)の種(たとえばオリーブ)、マタタビ科(Actinidaceae)の種、クスノキ科(Lauraceae)の種(たとえばアボカド、シナモン、カンフル)、バショウ科(Musaceae)の種(たとえばバナナ木およびプランテーション)、アカネ科(Rubiaceae)の種(たとえばコーヒー)、ツバキ科(Theaceae)の種(たとえば茶)、アオギリ科(Sterculiaceae)の種、ミカン科(Rutaceae)の種(たとえばレモン、オレンジ、マンダリンミカン、およびグレープフルーツ);ナス科(Solanaceae)の種(たとえばトマト、ジャガイモ、コショウ、トウガラシ、ナス、タバコ)、ユリ科(Liliaceae)の種、キク科(Compositae)の種(たとえば、レタス、アーティチョーク、およびルートチコリー、エンダイブ、または一般的なチコリーを含むチコリー)、セリ科(Umbelliferae)の種(たとえばニンジン、パセリ、セロリ、およびセルリアック)、ウリ科(Cu-curbitaceae)の種(たとえば、ガーキンを含むキュウリ、パンプキン、スイカ、ヒョウタン、およびメロン)、ネギ科(Alliaceae)の種(たとえばニラおよびタマネギ)、十字花科(Cruciferae)の種(たとえば白キャベツ、赤キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、メキャベツ、パクチョイ、コールラビ、ラディッシュ、ホースラディッシュ、クレソン、およびハクサイ)、マメ科(Leguminosae)の種(たとえばピーナッツ、エンドウマメ、レンズマメ、およびインゲン、たとえば一般的なインゲンおよびソラマメ)、アカザ科(Chenopodiaceae)の種(たとえばフダンソウ、飼料ビート、ホウレンソウ、ビートルート)、アマ科(Linaceae)の種(たとえばアサ)、アサ科(Cannabaceae)の種(たとえばインドアサ)、アオイ科(Malvaceae)の種(たとえばオクラ、ココア)、ケシ科(Papaveraceae)(たとえばポピー)、キジカクシ科(Asparagaceae)(たとえばアスパラガス);芝生、芝地、草、およびステビア(Stevia rebaudiana)を含む庭および森において有用な植物および観賞植物、ならびに遺伝子修飾型のこれらの植物からなる群から選択されてもよい。
【0144】
ある実施形態では、植物が、農作物、草、果実、野菜、芝地、木、および観賞植物からなる群から選択される作物であってもよい。
【0145】
ある実施形態では、植物が、果実、花、ナッツ、野菜からなる群から選択される植物の収穫部分であってもよく、好ましくはアボカド、バナナ、プランテン、レモン、グレープフルーツ、メロン、オレンジ、パイナップル、キーウィフルーツ、グアバ、マンダリンミカン、マンゴー、およびパンプキンから選択される食用に適さない皮を有する果実または野菜が好ましく、より好ましくは、バナナ、オレンジ、レモン、およびモモ、特にバナナである。ある実施形態では、植物が、観賞植物の切り花であってもよく、好ましくは、ユリズイセン、カーネーション、キク、フリージア、センボンヤリ、グラジオラス、コゴメナデシコ(ジプソフィラ属の種)、ヒマワリ、アジサイ、ユリ、リシアンサス、バラ、および夏の花から選択される。ある実施形態では、植物が、カットされた草または木であってもよい。
【0146】
ある実施形態では、植物が、シロイヌナズナ、コーン、タバコ、またはポプラなどのような、調査目的に使用される植物であってもよい。
【0147】
ある実施形態では、植物が、コーン、イネ、コムギ、オオムギ、ソルガム、キビ、カラスムギ、ライムギ、ライコムギ、または他の穀類、ダイズ、アルファルファ、または他のマメ科作物、サトウダイコン、飼料ビート、パパイア、バナナ、およびプランテン、または他の果実、ブドウ、ナッツ、ナタネ、ヒマワリ、または他の油料作物、カボチャ、キュウリ、メロン、または他のウリ科の植物、ワタまたは他の繊維植物、サトウキビ、ヤシ、ジャトロファ、または他の燃料作物、キャベツ、トマト、コショウ、または他の植物、観賞植物、シラブ、ポプラ、ユーカリ、または他の木、常緑樹、草、コーヒーノキ、チャノキ、タバコ、ホップ、ゴムの木、ならびにラテックス植物からなる群から選択される植物であってもよい。
【0148】
ある好ましい実施形態では、植物が、バナナ、オオムギ、カラスムギ、ライムギ、キャノーラ、コーン、ワタ、ジャガイモ、イネ、ダイズ、タバコ、およびコムギからなる群から選択されてもよい。
【0149】
あるより好ましい実施形態では、植物が、キャノーラ、コーン、イネ、ダイズ、およびコムギからなる群から選択されてもよい。
【0150】
あるより好ましい実施形態では、植物が、イネ、ダイズ、およびコムギからなる群から選択されてもよい。
【0151】
組換えDNA技術を含むトランスジェニック植物の生成のための方法は、当技術分野においてよく知られている。
【0152】
特異的組換え手法は、一般に、DNA分子が非相同である(すなわち宿主中に通常存在しない)発現系の中に、関心のあるアミノ酸配列、タンパク質、またはポリペプチドを発現するDNA分子を挿入することを含む。非相同DNA分子は、適したセンス方向および正確なリーディングフレームにおいて発現系またはベクターに挿入される。ベクターは、挿入されたタンパク質コード配列の転写および翻訳に必要なエレメントを含有する。DNAの転写は、プロモーターの存在に依存性である。同様に、原核生物におけるmRNAの翻訳は、真核生物と異なる適した原核生物シグナルの存在に依存する。遺伝子発現を最大限にすることについての概説については、Roberts and Lauer,Methods in Enzymology 68:473(1979を参照されたい。用いられる特異的な調節配列にかかわらず、DNA分子は、Sambrook et al,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Springs Laboratory,Cold Springs Harbor,N.Y.(1989)によって記載されるように、当技術分野における標準的なクローニング手順を使用してベクターの中にクローニングされる。一旦タンパク質をコードする単離DNA分子が発現系の中にクローニングされたら、それは宿主細胞の中に組み込まれる準備ができている。そのような組み込みは、ベクター/宿主細胞系に依存して、形質転換の様々な形態によって実行することができる。
【0153】
ある実施形態では、本発明が、本明細書において定義されるトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞においてVHHをコードすることができる核酸配列を提供する。これらの核酸配列はまた、ベクターまたは遺伝的構築物またはポリヌクレオチドの形態をとることができる。本明細書において使用されるように、用語「遺伝的構築物」および「核酸構築物」は、区別なく使用される。本明細書において開示される核酸配列は、合成もしくは半合成配列、ライブラリー(特に発現ライブラリー)から単離されたヌクレオチド配列、オーバーラップするプライマーを使用してPCRによって調製されたヌクレオチド配列、またはそれ自体知られているDNA合成のための技術を使用して調製されたヌクレオチド配列であってもよい。ある実施形態では、ポリヌクレオチドが、配列番号336および/または配列番号337の核酸配列を含んでいてもよい。
【0154】
本明細書において開示される遺伝的構築物は、DNAまたはRNAであってもよく、好ましくは二本鎖DNAである。本発明の遺伝的構築物はまた、意図される宿主細胞もしくは宿主生物体の形質転換に適した形態、意図される宿主細胞のゲノムDNAの中への統合に適した形態、または意図される宿主生物体における独立した複製、維持、および/もしくは遺伝に適した形態をしていてもよい。たとえば、本発明の遺伝的構築物は、たとえばプラスミド、コスミド、YAC、ウイルスベクター、またはトランスポゾンなどのような、ベクターの形態をしていてもよい。特に、ベクターは、発現ベクター、すなわち、インビトロおよび/またはインビボにおける発現のために提供することができるベクターであってもよい(たとえば適した宿主細胞、宿主生物体、および/または発現系において)。
【0155】
したがって、別のさらなる態様では、本発明がまた、本発明の1つまたは複数の核酸配列を含むベクターをも提供する。
【0156】
以下の作動可能に連結されたDNAエレメントを含むキメラ遺伝子もまた、開示される:a)植物で発現できるプロモーター、b)転写された場合に、ポリペプチドに翻訳することができるmRNA分子を産出するDNA領域、ならびにc)前記植物の細胞において機能する転写終結シグナルおよびポリアデニル化シグナルを含む3’末端領域。
【0157】
「キメラ遺伝子」または「キメラ構築物」は、調節核酸配列が、植物細胞などのような細胞の中に導入された場合に、関連する核酸コード配列の転写または発現を調節することができるように、プロモーター(たとえば植物で発現できるプロモーター)または調節核酸配列が、mRNAをコードする核酸配列に適切に作用するように連結されるまたは関連する組換え核酸配列である。キメラ遺伝子の調節核酸配列は、自然界に見つけられるように関連する核酸配列に適切に作用するようには通常連結されていない。
【0158】
ある実施形態では、ポリヌクレオチドが、植物における発現に適したプロモーター、植物組織もしくは植物細胞に特異的なプロモーター、または誘導性のプロモーターを含んでいてもよい。
【0159】
本明細書において使用される用語「植物プロモーター」または「植物における発現に適したプロモーター」は、調節エレメントを含む核酸配列を指し、これは、植物細胞におけるコード配列の発現を媒介する。植物における発現のために、核酸分子は、正しい時点でかつ必要とされる空間的な発現パターンで遺伝子を発現する適したプロモーターに作動可能に連結されなければならないまたはそれを含まなければならない。
【0160】
本明細書において使用される用語「作動可能に連結される」は、プロモーター配列が関心のある遺伝子の転写を開始することができるような、プロモーター配列および関心のある遺伝子の間の機能的な連結を指す。
【0161】
植物で発現できるプロモーターは、植物における導入遺伝子の発現を指示することができる核酸配列を含む。植物で発現できるプロモーターの例は、少なくとも1つの細胞、組織、または器官において、必ずしもすべてではないが、ほとんどの増殖および発生の段階でかつほとんどの環境条件下で、転写的に活性である恒常的なプロモーターであり、他のプロモーターは、誘導性のプロモーターであり、他の例は、組織特異的プロモーターであり、さらに他の例は、環境ストレス誘導性のプロモーターである。
【0162】
用語「植物組織または植物細胞に特異的なプロモーター」は、特定のタイプの植物細胞または植物組織において転写的に活性なプロモーターを指す。
【0163】
用語「誘導性のプロモーター」は、植物発生、特に関心のある組織の特定のステージで遺伝子発現レベルを調節することを可能にするプロモーターを指す。誘導性の系の例は、AlcR/AlcA(エタノール誘発性);GR融合物、GVG、およびpOp/LhGR(デキサメタゾン誘発性);XVE/OlexA(ベータ-エストラジオール誘発性);ならびに熱ショック誘発を含む。
【0164】
植物において形質転換された場合のキメラ遺伝子(または発現カセット)は、タンパク質の発現をもたらす核酸を発現する。
【0165】
本明細書において先に記載される発現カセット(またはキメラ遺伝子)を含む組換えベクターもまた、開示される。
【0166】
用語「ターミネーター」は、一次転写物の3’プロセシングおよびポリアデニル化ならびに転写の終結のシグナルを送る転写ユニットの末端のDNA配列であるコントロール配列を包含する。ターミネーターは、天然の遺伝子に、様々な他の植物遺伝子に、またはT-DNAに由来することができる。追加されるターミネーターは、たとえばノパリンシンターゼ遺伝子もしくはオクトピンシンターゼ遺伝子に、その代わりに別の植物遺伝子に、またはそれほど好ましくないが任意の他の真核生物の遺伝子に由来してもよい。
【0167】
本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用のある実施形態では、ポリヌクレオチドが、重鎖抗体の可変ドメイン(VHH)からなる抗体断片をコードする少なくとも1つの配列を含んでいてもよい。ある実施形態では、ポリヌクレオチドが、重鎖抗体の可変ドメイン(VHH)からなる抗体断片をコードしてもよい。
【0168】
ある実施形態では、ポリヌクレオチドが、免疫グロブリン軽鎖などのような抗体の軽鎖をコードする配列を含まなくてもよい。ある実施形態では、ポリヌクレオチドが、免疫グロブリンをコードしなくてもよい。
【0169】
ある実施形態では、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞が、免疫グロブリン軽鎖などのような抗体の軽鎖をコードする(少なくとも1つの配列を含む)いかなるポリヌクレオチドも含まなくてもよい。ある実施形態では、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞が、免疫グロブリンをコードする(少なくとも1つの配列を含む)いかなるポリヌクレオチドも含まなくてもよい。
【0170】
ある実施形態では、ポリヌクレオチドが、分泌のための、細胞質への配置のための、またはER内腔、アポプラスト、液胞、または内膜および/もしくは外膜などのような細胞コンパートメントまたは細胞小器官への配置のための、標的シグナルをコードする少なくとも1つの配列を含んでいてもよい。
【0171】
分泌のための標的シグナルの例は、2S2シグナルペプチドを含む。ER内腔などのような細胞コンパートメントまたは細胞小器官への配置のための標的シグナルの例は、ER保留シグナル(KDEL)を含む。
【0172】
ある実施形態では、ポリヌクレオチドが、細胞質への配置のためのATG開始コドンを含んでいてもよい。
【0173】
ある実施形態では、ポリヌクレオチドが、VHHそれ自体を、1つもしくは複数の同一のもしくは異なるVHHとの組み合わせとしてまたは結晶化可能領域(Fc領域)との1つもしくは複数の同一のもしくは異なるVHHの組み合わせとして、任意選択によりスペーサーと共にコードしてもよい。
【0174】
用語「結晶化可能領域」または「Fc領域」は、抗体のテイル領域を指す。Fc領域は、Fc受容体と呼ばれる細胞表面受容体および補体系のいくつかのタンパク質と相互作用し得る。IgG、IgA、およびIgD抗体アイソタイプのFc領域は、抗体の2つの重鎖の第2および第3の定常ドメインに由来する2つの同一のタンパク質断片から構成される。IgMおよびIgEのFc領域は、それぞれのポリペプチド鎖に3つの重鎖定常ドメイン(CHドメイン2~4)を含有する。
【0175】
そのようなFc領域は、VHHの安定性を好都合に増強してもよいおよび/またはVHHの発現を増加させてもよい。
【0176】
ある実施形態では、Fc領域が、IgG抗体、IgA抗体、IgD抗体、IgM抗体、またはIgE抗体のFc領域であってもよい。ある好ましい実施形態では、Fc領域が、IgG抗体、IgA抗体、またはIgD抗体のFc領域であってもよい。あるより好ましい実施形態では、Fc領域が、IgG抗体のFc領域であってもよい。
【0177】
ある実施形態では、Fc領域が、マウス抗体のFc領域(すなわちマウスFc領域)であってもよい。ある好ましい実施形態では、Fc領域が、ヒト抗体のFc領域(すなわちヒトFc領域)であってもよい。
【0178】
ある好ましい実施形態では、Fc領域が、マウスIgG3抗体のFc領域であってもよい。ある好ましい実施形態では、Fc領域が、ヒトIgG1抗体のFc領域であってもよい(hGFc;Van Droogenbroeck et al.,2007,Proc Natl Acad Sci U S A,104(4):1430-5)。
【0179】
本明細書において使用される用語「一価」は、1つの結合部位を含む抗体または抗体断片を指す。
【0180】
本明細書において使用される用語「二価」は、2つ以上の結合部位を含む抗体または抗体断片を指す。
【0181】
本明細書において区別なく使用される用語「スペーサー」または「リンカー」は、少なくとも2つのVHHを空間的に分離する少なくとも1つのアミノ酸を指す。例示的なスペーサーは、GGGGSGGGS(配列番号352)からなる9GSスペーサーを含む。
【0182】
本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用のある実施形態では、本明細書において開示されるVHHが、1つまたは複数のリンカーを介して1つまたは複数のさらなる基、成分、または残基に任意選択により連結されてもよい。これらの1つまたは複数のさらなる基、成分、または残基は、関心のある他の標的への結合に役立つことができる。そのようなさらなる基、残基、成分、および/または結合部位が、本明細書において開示されるVHHにさらなる機能性をもたらしても、もたらさなくてもよく、また本明細書において開示されるVHHの特性を修飾しても、修飾しなくてもよいことは明らかであるべきである。そのような基、残基、成分、または結合ユニットはまた、たとえば、生物学的に活性になることができる化学基である。
【0183】
これらの基、成分、または残基は、特定の実施形態において、本明細書において開示されるVHHにNまたはC末端で連結される。
【0184】
たとえば、可変ドメイン重鎖抗体へのそのような官能基の導入または連結は、可変ドメイン重鎖抗体の可溶性および/もしくは安定性の増加、可変ドメイン重鎖抗体の毒性の低下、または可変ドメイン重鎖抗体の任意の望ましくない副作用の排除もしくは減弱、ならびに/または他の有利な特性をもたらすことができる。
【0185】
特定の実施形態では、1つまたは複数のグループ、残基、成分が、1つまたは複数の適したリンカーまたはスペーサーを介して可変ドメイン重鎖抗体に連結される。
【0186】
さらに特定の実施形態では、本明細書において開示される2つまたはそれ以上の標的特異的可変ドメイン重鎖抗体が、互いに連結されてもよいまたは相互に連結されてもよい。特定の実施形態では、2つまたはそれ以上の可変ドメイン重鎖抗体が、1つまたは複数の適したリンカーまたはスペーサーを介して互いに連結されてもよい。本明細書において開示される様々な可変ドメイン重鎖抗体のカップリングで使用される適したスペーサーまたはリンカーは、当業者に明らかであろう、また、通常、ペプチドおよび/またはタンパク質を連結するために当技術分野において使用される任意のリンカーまたはスペーサーであってもよい。
【0187】
いくつかの特に適したリンカーまたはスペーサーは、たとえば、グリシンリンカー、セリンリンカー、混合グリシン/セリンリンカー、グリシンおよびセリンリッチリンカーなどのようなポリペプチドリンカーまたは主として極性のポリペプチド断片またはグルタルアルデヒドまたは任意選択によりPEGにより間隔をあけられたマレイミドもしくはNHSエステルなどのようなホモまたはヘテロ二機能性化学架橋化合物から構成されるリンカーを含むが、これらに限定されない。
【0188】
たとえば、ポリペプチドリンカーまたはスペーサーは、1~30、特に1~10のアミノ酸残基などのような、1~50のアミノ酸の長さを有する適したアミノ酸配列であってもよい。リンカーの長さ、柔軟性の程度、および/または他の特性は、菌類標的に対する親和性、特異性、または結合活性を含むが、これらに限定されないVHHの特性に対していくらかの影響を有し得ることが明らかであるべきである。2つまたはそれ以上のリンカーが使用される場合、これらのリンカーは、同じであってもよいまたは異なっていてもよいことが明らかであるべきである。本発明の関連および開示において、当業者は、いかなる過度の実験的な負担を伴うことなく、本明細書において開示されるVHHをカップリングする目的で最適なリンカーを決定することができるであろう。
【0189】
「選択可能マーカー」、「選択可能マーカー遺伝子」、または「レポーター遺伝子」は、本発明の核酸構築物によりトランスフェクトされるまたは形質転換される細胞の同定および/または選択を容易にするためにそれが発現される細胞に表現型を付与する任意の遺伝子を含む。これらのマーカー遺伝子は、一連の様々な成分を介して核酸分子の移入の成功の同定を可能にする。適したマーカーは、新たな代謝の形質を導入するまたは視覚的な選択を可能にする、抗生物質または除草剤抵抗性を付与するマーカーから選択されてもよい。選択可能マーカー遺伝子の例は、抗生物質(ネオマイシンおよびカナマイシンをリン酸化するnptllまたはハイグロマイシンをリン酸化するhptまたはたとえばブレオマイシン、ストレプトマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、アンピシリン、ゲンタマイシン、ジェネテシン(G418)、スペクチノマイシン、もしくはブラストサイジンに対する抵抗性を付与する遺伝子など)、除草剤(たとえば、Basta(登録商標)に対する抵抗性をもたらすbar;グリフォセートに対する抵抗性をもたらすaroAもしくはgox、またはたとえばイミダゾリノン、ホスフィノトリシン、もしくはスルホニル尿素に対する抵抗性を付与する遺伝子)に対する抵抗性を付与する遺伝子または代謝の形質をもたらす遺伝子(植物が唯一の炭素供給源としてマンノースを使用することを可能にするmanAもしくはキシロースの利用のためのキシロースイソメラーゼもしくは2-デオキシグルコースに対する抵抗性などのようなアンチニュートリエントマーカーなど)を含む。視覚的なマーカー遺伝子の発現は、色(たとえばβ-グルクロニダーゼ、GUS、もしくはβ-ガラクトシダーゼとその有色基質、たとえばX-Gal)、発光(ルシフェリン/ルシフェラーゼ系など)、または蛍光(緑色蛍光タンパク質、GFP、およびその誘導体)の形成をもたらす。このリストは、考え得るマーカーのうちのわずかしか示していない。当業者は、そのようなマーカーに精通している。
【0190】
植物細胞の中への核酸の永続性のもしくは一過性の統合に際して、わずかな細胞しか外来性DNAを取込まず、所望される場合、使用される発現ベクターおよび使用されるトランスフェクション技術に依存してそのゲノムの中にそれを統合することが知られている。これらの組み込み体を同定し、選択するために、選択可能マーカーをコードする遺伝子(上記に記載されるものなど)は、普通、関心のある遺伝子と一緒に宿主細胞の中に導入される。これらのマーカーは、たとえば、これらの遺伝子がたとえば従来の方法による欠失によって機能的ではなくなっている突然変異体において使用することができる。さらに、選択可能マーカーをコードする核酸分子は、本発明のポリペプチドをコードする配列を含むもしくは本発明の方法において使用される同じベクターでまたはそうでなければ別々のベクターで宿主細胞の中に導入することができる。導入された核酸により永続的にトランスフェクトされた細胞は、たとえば選択によって同定することができる(たとえば、選択可能マーカーを統合した細胞は生存するのに対して別の細胞は死亡する)。
【0191】
マーカー遺伝子、特に抗生物質および除草剤に対する抵抗性のための遺伝子は、一旦核酸が導入に成功したら、トランスジェニック宿主細胞においてもはや必要とされないまたは望まれないので、核酸の導入のために本発明に従うプロセスは、これらのマーカー遺伝子の除去または切り出しを可能にする技術を好都合に用いる。1つのそのような方法は、同時形質転換として知られているものである。同時形質転換方法は、形質転換に2つのベクターを同時に用い、一方のベクターは、本発明に従う核酸を運び、第2のベクターはマーカー遺伝子を運ぶ。多くの形質転換体は、両方のベクターを受け入れるまたは植物の場合には含む(形質転換体の40%またはそれ以上まで)。アグロバクテリア(Agrobacteria)による形質転換の場合には、形質転換体は、普通、ベクターの一部のみ、すなわち、普通は発現カセットに相当する、T-DNAが側面に位置する配列を受け入れる。マーカー遺伝子は、交差を実行することによって形質転換された植物から続いて除去することができる。別の方法では、トランスポゾンの中に統合されたマーカー遺伝子は、所望の核酸と一緒に形質転換のために使用される(Ac/D技術として知られている)。形質転換体は、トランスポザーゼ供給源と交差することができるまたは形質転換体は、トランスポザーゼの発現を付与する核酸構築物により一時的にもしくは永続性に形質転換される。ある場合(およそ10%)には、トランスポゾンは、一旦形質転換の実行に成功したら、宿主細胞のゲノムから飛び出し、失われる。さらに多くの場合には、トランスポゾンは、異なる場所に飛ぶ。これらの場合には、交差を実行することによってマーカー遺伝子を排除しなければならない。微生物学では、そのようなイベントの検出を可能にするまたは容易にする技術が開発された。さらに有利な方法は、組換え系として知られているものに依存し、この利点は、交差による排除を省くことができることである。このタイプの最もよく知られている系は、Cre/lox系として知られているものである。Cre1は、loxP配列の間に位置する配列を除去するレコンビナーゼである。マーカー遺伝子がloxP配列の間に統合される場合、マーカー遺伝子は、一旦形質転換の実行に成功したら、レコンビナーゼの発現によって除去される。さらなる組換え系は、HIN/HIX、FLP/FRT、およびREP/STB系である(Tribble et al.,J.Biol.Chem.,275,2000:22255-22267;Velmurugan et al.,J.Cell Biol.,149,2000:553-566)。本発明による核酸配列の植物ゲノムの中への部位特異的な統合が、可能である。
【0192】
本発明の目的のためのトランスジェニック植物は、したがって、上記のように、本発明の方法において使用される核酸が前記植物のゲノム中に存在せずもしくはそれに起源を持たずまたは前記植物のゲノム中に存在するが、前記植物のゲノム中のそれらの天然の遺伝子座になく、核酸が相同的にまたは非相同的に発現することができることを意味するとして理解される。しかしながら、述べられるように、トランスジェニックはまた、本発明によるもしくは本発明の方法において使用される核酸が植物のゲノム中のそれらの天然の位置にあるが、配列が天然の配列に関して修飾されているおよび/または天然の配列の調節配列が修飾されていることをも意味する。トランスジェニックは、ゲノム中の非天然の遺伝子座での本発明による核酸の発現、すなわち、核酸の相同または非相同発現が実行されることを意味するとして好ましくは理解される。好ましいトランスジェニック植物が、本明細書において述べられる。
【0193】
用語「発現」または「遺伝子発現」は、特異的な遺伝子または特異的な遺伝的構築物の転写を意味する。本明細書において使用される用語「発現」または「遺伝子発現」は、ポリヌクレオチドまたは遺伝子または遺伝的構築物の構造RNA(structural RNA)(rRNA、tRNA)またはmRNAへの転写を指し、後者のタンパク質への続く翻訳を伴うまたは伴わない。このプロセスは、DNAの転写および結果として生じるmRNA産物のプロセシングを含む。
【0194】
本明細書において使用される用語「発現の増加」または「過剰発現」は、本来の野生型発現レベルに対して付加的な発現の任意の形態を意味する。本発明の目的のために、本来の野生型発現レベルはまた、ゼロであってもよい、すなわち発現がなくてもよいまたは発現が測ることのできないものであってもよい。
【0195】
遺伝子または遺伝子産物の発現を増加させるための方法は、当技術分野において十分に立証されており、たとえば、適切なプロモーター(本明細書において先に記載される)、転写エンハンサーまたは翻訳エンハンサーの使用によって駆動される過剰発現を含む。プロモーターまたはエンハンサーエレメントとして役立つ単離核酸は、関心のあるポリペプチドをコードする核酸の発現をアップレギュレートするために、ポリヌクレオチドの非非相同(non-heterologous)形態の適切な位置(典型的に上流)に導入されてもよい。ポリペプチド発現が所望される場合、ポリヌクレオチドコード領域の3’末端にポリアデニル化領域を含むことは一般に望ましい。ポリアデニル化領域は、天然の遺伝子、様々な他の植物遺伝子、またはT-DNAに由来することができる。追加される3’末端配列は、たとえばノパリンシンターゼ遺伝子もしくはオクトピンシンターゼ遺伝子に、その代わりに別の植物遺伝子に、またはそれほど好ましくないが任意の他の真核生物の遺伝子に由来してもよい。
【0196】
イントロン配列もまた、細胞質ゾル中に蓄積する成熟メッセージの量を増加させるために、部分的コード配列の5’非翻訳領域(UTR)またはコード配列に追加されてもよい。植物および動物発現構築物の両方の転写単位における、スプライスすることができるイントロンの組み入れは、1000倍までmRNAおよびタンパク質レベルの両方で遺伝子発現を増加させることが示された(Buchman and Berg(1988)Mol.Cell biol.8:4395-4405;Callis et al.(1987)Genes Dev,1:1,183-1200)。遺伝子発現のそのようなイントロン増強は、転写単位の5’末端の近くに置かれた場合に、典型的に最も大きい。トウモロコシイントロンAdh1-Sイントロン1、2、および6、Bronze-1イントロンの使用は、当技術分野において知られている。一般的な情報については、The Maize Handbook,Chapter 1 16,Freeling and Walbot,Eds.,Springer,N.Y.(1994)を参照されたい。
【0197】
本明細書において使用される用語「コード」は、ポリヌクレオチドまたは遺伝子または遺伝的構築物の構造RNA(rRNA、tRNA)またはmRNAへの転写を指し、タンパク質への後者の続く翻訳を伴う。
【0198】
本明細書において言及される用語「導入」または「形質転換」は、移入のために使用される方法に関係なく、宿主細胞の中への外因性のポリヌクレオチドまたはキメラ遺伝子(または発現カセット)の移入を包含する。器官形成か胚形成かに関わらず、続いて栄養系繁殖ができる植物組織または植物細胞は、本発明の遺伝的構築物により形質転換されてもよく、植物全体がそれから再生される。選ばれる特定の組織は、形質転換されている特定の種に利用可能で、かつそれに最もよく適した栄養系繁殖系に依存して変わるであろう。例示的な組織標的は、円板状の葉(leaf disk)、花粉、胚、子葉、胚軸、大配偶体、カルス組織、既存の分裂組織(たとえば頂端分裂組織、腋芽、および根分裂組織)、ならびに誘導性の分裂組織(たとえば子葉分裂組織および胚軸分裂組織)を含む。ポリヌクレオチドは、宿主細胞の中に一時的にまたは永続的に導入されてもよく、たとえばプラスミドとして、統合されずに維持されてもよい。その代わりに、ポリヌクレオチドは、宿主ゲノムの中に統合されてもよい。結果として生じる形質転換された植物細胞は、次いで、当業者らに知られている方法で、形質転換された植物を再生するために使用されてもよい。
【0199】
植物のゲノムの中への外来遺伝子の移入は、形質転換と呼ばれる。植物種の形質転換は、今や、かなりルーチン的な技術となっている。好都合に、いくつかの形質転換方法のいずれも、適した祖先細胞の中に関心のある遺伝子を導入するために使用されてもよい。植物組織または植物細胞からの植物の形質転換および再生について記載される方法は、一過性のまたは永続性の形質転換のために利用されてもよい。形質転換方法は、リポソームの使用、エレクトロポレーション、遊離DNA取込みを増加させる化学物質、植物の中に直接DNAを注射、パーティクルガン衝撃(particle gun bombardment)、ウイルスまたは花粉を使用する形質転換、およびマイクロプロジェクション(microprojection)を含む。方法は、プロトプラストについてのカルシウム/ポリエチレングリコール方法(Krens,F.A.et al.,(1982)Nature 296,72-74;Negrutiu I et al.(1987)Plant Mol Biol 8:363- 373);プロトプラストのエレクトロポレーション(Shillito R.D.et al.(1985)Bio/Technol 3,1099-1 102);植物材料の中へのマイクロインジェクション(Crossway A et al.,(1986)Mol.Gen Genet 202:179-185);DNAまたはRNAコーティング微粒子銃(Klein TM et al.,(1987)Nature 327:70)、(非統合的)ウイルスによる感染、およびにその他同種のものから選択されてもよい。
【0200】
トランスジェニック作物植物を含むトランスジェニック植物は、アグロバクテリウム媒介性の形質転換を介して好ましくは産生される。有利な形質転換方法は、植物体における形質転換である。この目的のために、たとえば、アグロバクテリアを植物種子に作用させるまたはアグロバクテリアを植物分裂組織に接種することができる。本発明に従って、形質転換されたアグロバクテリアの懸濁液をインタクトな植物または少なくとも花原基に作用させることが特に好都合であることが分かった。処置された植物の種子が得られるまで、植物を続いて成長させる(Clough and Bent,Plant J.(1998)16,735-743)。イネのアグロバクテリウム媒介性の形質転換についての方法は、以下のもののいずれかにおいて記載されるものなどのようなイネ形質転換についてよく知られている方法を含む:開示が、あたかも全部記載されるかのように、本明細書において参照によって組み込まれる欧州特許出願EP1198985、Aldemita and Hodges(Planta 199:612-617,1996);Chan et al.(Plant Mol Biol 22(3):491-506,1993)、Hiei et al.(Plant J 6(2):271-282,1994)。コーン形質転換の場合には、好ましい方法は、あたかも全部記載されるかのように、本明細書において参照によって組み込まれるIshida et al.(Nat.Biotechnol 14(6):745-50,1996)またはFrame et al.(Plant Physiol 129(1):13-22,2002)において記載されるとおりである。前記方法は、B.Jenes et al.,Techniques for Gene Transfer、Transgenic Plants,Vol.1,Engineering and Utilization,eds.S.D.Kung and R.Wu,Academic Press(1993)128-143、およびPotrykus Annu.Rev.Plant Physiol.Plant Molec.Biol.42(1991)205-225)において例としてさらに記載される。発現される核酸または構築物は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)を形質転換するのに適しているベクター、たとえばpBin19(Bevan et al(1984)Nucl.Acids Res.12-8711)またはpMP90(Koncz and Schell(1986)Mol.Gen.Genet.204,383-396)の中に好ましくはクローニングされる。次いで、そのようなベクターによって形質転換されたアグロバクテリアは、シロイヌナズナのようにモデルとして使用される植物(シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))は、本発明の範囲内で、作物植物と見なされない)または例としてタバコ植物などのような作物植物などのような植物の形質転換のための既知の方法において、たとえば、アグロバクテリアの溶液中に、傷をつけた葉または刻んだ葉を浸漬し、次いで適した培地中でそれらを培養することによって使用することができる。アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)による植物の形質転換は、たとえばHofgen and Willmitzer in Nucl.Acid Res.(1988)16,9877によって記載されるまたは特にTransgenic Plants,Vol.1,Engineering and Utilization,eds.S.D.Kung and R.Wu,Academic Press,1993,pp.15-38のF.F.White,Vectors for Gene Transfer in Higher Plantsから知られている。
【0201】
インタクトな植物に次いで再生しなければならない体細胞の形質転換に加えて、植物分裂組織の細胞、特に、配偶子に発生する細胞を形質転換することもまた可能である。この場合、形質転換された配偶子は、自然の植物の発生に従い、トランスジェニック植物をもたらす。したがって、たとえば、シロイヌナズナの種子は、アグロバクテリアにより処置され、一定の割合が形質転換されており、したがってトランスジェニックである発生中の植物から種子が得られる[Feldman,KA and Marks MD(1987).Mol Gen Genet 208:1-9;Feldmann K(1992).In:C Koncz,N-H Chua and J Shell,eds,Methods in Arabidopsis Research.Word Scientific,Singapore,pp.274-289]。代替の方法は、花序の除去の繰り返しおよび形質転換されたアグロバクテリアとの、ロゼットの中心の切除部位のインキュベーションに基づき、それによって、形質転換された種子は、後期の時点で同様に得ることができる(Chang(1994).Plant J.5:551-558;Katavic(1994).Mol Gen Genet,245:363-370)。しかしながら、とりわけ効率的な方法は、真空浸透方法と「フローラルディップ(floral dip)」法などのようなその改良版である。シロイヌナズナの真空浸透の場合には、減圧下のインタクトな植物がアグロバクテリアの懸濁液により処置されるが[Bechthold,N(1993).CR Acad Sci Paris Life Sci,316:1 194-1 199]、「フローラルディップ」法の場合、発生中の花の組織が、界面活性剤で処置したアグロバクテリアの懸濁液と共に短い間インキュベートされる[Clough,SJ and Bent AF(1998)The Plant J.16,735-743]。一定の割合のトランスジェニック種子が両方の場合において収穫され、これらの種子は、上記の選択的な条件下で成長させることによって非トランスジェニック種子と区別することができる。そのうえ、プラスチドが母系遺伝するので、プラスチドの永続性の形質転換は有利であり、ほとんどの作物について、花粉を通しての導入遺伝子の流出の危険性を低下させるまたは排除する。葉緑体ゲノムの形質転換は、Klaus et al.,2004 [Nature Biotechnology 22(2),225-229]において概略的に表されたプロセスによって一般に達成される。手短かに言えば、形質転換される配列は、葉緑体ゲノムに相同なフランキング配列の間で選択可能マーカー遺伝子と一緒にクローニングされる。これらの相同なフランキング配列は、プラストームの中への部位特異的な統合を指示する。プラスチドの形質転換は、様々な植物種について記載されており、概要は、Bock(2001)Transgenic plastids in basic research and plant biotechnology.J Mol Biol.2001 Sep 21;312(3):425-38またはMaliga,P(2003)Progress towards commercialization of plastid transformation technology.Trends Biotechnol.21,20-28において示される。さらに生物工学的な進歩が、マーカーなしのプラスチド形質転換体の形態で最近報告されており、これは、一過性同時統合標識遺伝子によって産生することができる(Klaus et al.,2004,Nature Biotechnology 22(2),225-229)。
【0202】
遺伝子修飾植物細胞は、当業者が精通しているすべての方法を介して再生することができる。適した方法は、S.D.Kung and R.Wu,PotrykusまたはHofgen and Willmitzerによる上述の刊行物において見出すことができる。
【0203】
一般に、形質転換の後、植物細胞または細胞群は、関心のある遺伝子と共に同時に移入された、植物が発現できる遺伝子によってコードされる1つまたは複数のマーカーの存在について選択され、その後、形質転換された材料は、植物全体に再生される。形質転換された植物を選択するために、形質転換において得られた植物材料は、通常、形質転換された植物が非形質転換植物と区別することができるように、選択的な条件にさらされる。たとえば、上記方法において得られた種子は、植えられ、初期の成長期の後に、スプレーによって適した選択にかけられる。形質転換された種子のみが植物に成長することができるように、適した選択薬剤を使用する寒天プレート上で適切であれば滅菌の後に種子を成長させることもさらにあり得る。その代わりに、形質転換された植物は、上記に記載されるものなどのような選択可能マーカーの存在についてスクリーニングされる。
【0204】
DNA移入および再生の後に、推定上形質転換された植物はまた、関心のある遺伝子の存在、コピー数、および/またはゲノムの構成について、たとえばサザン分析を使用して評価されてもよい。その代わりにまたはそのうえ、新しく導入されたDNAの発現レベルは、ノーザンおよび/またはウエスタン分析を使用してモニターされてもよく、両方の技術は、当業者らによく知られている。
【0205】
生成された形質転換植物は、栄養系繁殖または古典的繁殖技術によってなどのように様々な手段によって繁殖させてもよい。たとえば、第一世代(またはT1)形質転換植物は、自家受粉させてもよく、ホモ接合性第2世代(またはT2)形質転換体は、選択されてもよく、次いで、T2植物は、古典的な繁殖技術を通してさらに繁殖させてもよい。生成された形質転換された生物体は、様々な形態を取ってもよい。たとえば、それらは、形質転換細胞および形質転換されていない細胞のキメラ;クローン形質転換体(たとえば、すべての細胞が発現カセットを含有するように形質転換されている);形質転換された組織および非形質転換組織の接木(たとえば植物では、形質転換された台木が非形質転換接ぎ穂に接ぎ木される)であってもよい。
【0206】
ある実施形態では、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞が、非修飾(すなわち、野生型などのように形質転換されていないまたは非形質転換)植物または植物組織に比べて(すなわち比較して)、本明細書において教示されるように、VHHのレベルが増加していてもよいまたは増強されていてもよい。
【0207】
本明細書において教示されるVHHのレベルは、タンパク質の濃度を測定するための当技術分野において知られている任意の方法によって決定することができる。たとえば、本明細書において教示されるVHHのレベルは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって決定することができる。VHHのレベルは、総タンパク質量に比べたVHHの量のパーセンテージとして表現することができる。
【0208】
用語「数量」、「量」、および「レベル」は、同義であり、一般に、当技術分野において十分に理解される。タンパク質に関して、この用語は、特に、サンプル中のタンパク質の絶対的な定量化またはサンプル中のタンパク質の相対的な定量化、すなわち参照値(たとえば総タンパク質含有量)に比べてなどのように別の値と比べた定量化を指してもよい。
【0209】
ある実施形態では、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞が、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞において、特にトランスジェニック植物または植物組織の抽出物において、全可溶性タンパク質の量の少なくとも0,001%の、本明細書において教示されるVHHのレベルを有していてもよい。たとえば、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞が、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞において、特にトランスジェニック植物または植物組織の抽出物において、全可溶性タンパク質の量の少なくとも0,005%、少なくとも0,01%、少なくとも0,05%、少なくとも0,1%、少なくとも0,2%、少なくとも0,3%、少なくとも0,4%、または少なくとも0,5%の、本明細書において教示されるVHHのレベルを有していてもよい。
【0210】
植物または植物組織または植物細胞の全可溶性タンパク質を抽出することができる。ルーチン的な手順は、植物または植物組織の抽出物中の全可溶性タンパク質の量を決定するために使用することができる。好ましくは、タンパク濃度は、当技術分野において知られているBradford分析などのような比色法によって決定される。抗VHH抗体の断片抗体を使用するウエスタンブロットは、VHH抗体断片がトランスジェニック植物において発現されることを確認するために使用することができる。好ましくは、抗ヒスチジン抗体は、ヘキサヒスチジンタグを持つVHHを検出するために使用される。好ましくは、抗Fc抗体は、抗体Fc断片に融合されたVHHを検出するために使用される。サンプル中のVHHの濃度は、既知量の標準的な一連のVHHとサンプルを比較して計算することができる。VHH発現のレベルは、VHHおよび全可溶性タンパク質の濃度から計算することができる。
【0211】
一態様では、本発明者らは、特異的に、菌類のスフィンゴ脂質に結合することができ、かつ植物病原性菌類のスフィンゴ脂質に結合することができる少なくとも1つのVHHを含むトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞を同定した。重要なことには、植物病原性菌類の特異的な分子構造とのこの相互作用を通して、本明細書において開示されるトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞は、植物病原体の増殖がコントロールされる、調整される、阻害される、妨げられる、または低下するように、植物病原体の1つまたは複数の生物学的活性をコントロールする、調整する、阻害する、妨げる、または低下させることができる。ある実施形態では、本明細書において教示されるトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞が、菌類のスフィンゴ脂質に特異的に結合することができ、かつ植物または植物組織において発現される少なくとも1つのVHHの特異的な相互作用を通して植物病原性菌類を死滅させることができる。
【0212】
したがって、本明細書において開示されるトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞は、その植物病原性菌類のスフィンゴ脂質標的上に存在する結合部位に結合することによって、植物病原性菌類の生物学的機能を変化させる、減少させる、または阻害するためなどのように、調整するために使用し、それによって、植物病原性菌類の天然の生物学的活性(これに限定されないが増殖など)および/またはその植物病原性菌類の構造的な標的が関与する1つもしくは複数の生物学的経路に影響を与えることができる。
【0213】
本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用のある実施形態では、本明細書において教示されるVHHが、植物病原体標的または植物病原体抗原に特異的な結合(本明細書において定義される)ができてもよく、より好ましくは、本明細書において定義される親和性で植物病原体標的または植物有害生物抗原または植物病原体抗原に結合することができる(本明細書においてさらに記載されるように、K値(実際のもしくは見かけ上の)、K値(実際のもしくは見かけ上の)、kon速度および/もしくはkoff速度としてまたはその代わりにIC50値として適切に測定されるおよび/または表現される)。
【0214】
特定の実施形態では、本発明が、活性物質として80~200アミノ酸の少なくとも1つのポリペプチドまたはアミノ酸配列を含む、植物有害生物、より詳細には植物菌類を根絶するためのトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞を提供する。
【0215】
ある実施形態では、本発明が、活性物質として80~200アミノ酸の少なくとも2つのポリペプチドまたは少なくとも2つのアミノ酸配列を含む、植物有害生物を根絶するためのトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞を提供する。
【0216】
ある実施形態では、本発明が、活性物質として80~200アミノ酸の少なくとも3つのポリペプチドまたは少なくとも3つのアミノ酸配列を含む、植物有害生物を根絶するためのトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞を提供する。
【0217】
先に定義される、植物有害生物を根絶するための本発明に従うトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞は、先に定義されるトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞、より詳細には、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞においてコードされるVHHが、1つまたは複数の植物、好ましくは作物に対する1つまたは複数の植物有害生物の有害な影響に干渉する、好ましくは低下させるまたは阻止することができることを意味する。
【0218】
したがって、一実施形態では、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞が、活性物質として80~200アミノ酸のポリペプチドを含む。
【0219】
より特定の実施形態では、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞が、80~100アミノ酸、800~120アミノ酸、80~140アミノ酸、80~160アミノ酸、または80~180アミノ酸のポリペプチドを含む。
【0220】
さらに別の実施形態では、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞が、100~200アミノ酸、100~180アミノ酸、100~160アミノ酸、100~150アミノ酸、100~140アミノ酸、または100~120アミノ酸のポリペプチドを含む。
【0221】
さらに別の実施形態では、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞が、110~200アミノ酸、110~180アミノ酸、110~160アミノ酸、110~140アミノ酸、または110~130アミノ酸のポリペプチドを含む。
【0222】
さらに別の実施形態では、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞が、120~200アミノ酸、120~180アミノ酸、120~160アミノ酸、または120~140アミノ酸のポリペプチドを含む。
【0223】
さらに別の実施形態では、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞が、140~200アミノ酸、140~180アミノ酸、または140~160アミノ酸のポリペプチドを含む。
【0224】
さらに別の実施形態では、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞が、160~200アミノ酸または160~180アミノ酸のポリペプチドを含む。
【0225】
本明細書において開示されるトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞中に含まれる重鎖抗体(VHH)の少なくとも1つの可変ドメインは、天然に存在するポリペプチドとすることができるまたはその代わりに完全に人工的に設計することができる。そのような天然に存在するポリペプチドの非限定的な例は、重鎖抗体(hcAb)を含む。
【0226】
特定の実施形態によれば、本発明が、これらに限定されないが、菌類スフィンゴ脂質抗原または菌類スフィンゴ脂質標的などのようなスフィンゴ脂質抗原またはスフィンゴ脂質標的に結合するのに特に適しているアミノ酸残基(すなわち小さなペプチド)の多くのストレッチを提供する。
【0227】
アミノ酸残基のこれらのストレッチは、特に、それらがそのVHHの抗原結合部位(の一部)を形成するように、本明細書において開示されるVHH中に存在してもよいおよび/またはその中に組み込まれてもよい。アミノ酸残基のこれらのストレッチが、スフィンゴ脂質標的に対して産生された重鎖抗体またはVもしくはVHH配列などのように、抗体のCDR配列として最初に生成されたので(または本明細書においてさらに記載されるように、そのようなCDR配列に基づくものであってもよいおよび/または由来してもよい)、それらはまた、「CDR配列」と(すなわち、それぞれCDR1配列、CDR2配列、およびCDR3配列と)、本明細書において全般的に呼ばれるであろう。しかしながら、本明細書において開示されるVHHがスフィンゴ脂質標的に特異的に結合するのをアミノ酸残基のこれらのストレッチが可能にする限り、本発明は、その最も広い意味において、アミノ酸残基のこれらのストレッチが本明細書において開示されるVHHにおいて有し得る特定の構造的な役割または機能に限定されないことに注意されたい。したがって、一般に、本発明は、その最も広い意味において、スフィンゴ脂質標的に結合することができ、かつ本明細書において記載されるCDR配列の組み合わせを含む重鎖抗体の可変ドメイン(VHH)をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞に関する。
【0228】
したがって、ある実施形態では、本明細書において開示されるVHHが、本明細書において記載されるCDR1配列、CDR2配列、およびCDR3配列からなる群から選ばれる少なくとも1つのアミノ酸配列を含む可変ドメインであってもよい。特に、本明細書において開示される重鎖可変ドメインは、少なくとも1つの抗原結合部位を含んでいてもよく、前記抗原結合部位が、本明細書において記載されるCDR1配列、CDR2配列、およびCDR3配列の少なくとも1つの組み合わせを含む。
【0229】
本明細書において教示され、かつこれらのCDR配列の組み合わせの1つを有する重鎖抗体の任意の可変ドメインは、好ましくは、スフィンゴ脂質標的またはスフィンゴ脂質抗原にそれが特異的に結合することができる(本明細書において定義される)ようなものであり、より詳細には、特に、溶液中の前記可変ドメインの10-8モル/リットルまたはそれ以下の解離定数(Kd)で、植物病原体のスフィンゴ脂質にそれが特異的に結合するようなものである。
【0230】
スフィンゴ脂質標的に対する重鎖抗体の可変ドメインの特異的な結合は、たとえばバイオパニング、スキャッチャード分析、ならびに/またはラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素イムノアッセイ(EIA)、およびサンドイッチ競合アッセイなどのような競合結合アッセイならびに当技術分野において知られているその様々な変形物を含む、それ自体知られている任意の適した方法において決定することができる。
【0231】
好ましい実施形態では、80~200アミノ酸のポリペプチドが、特定の有害生物標的分子に対する親和性選択によって得られ、前記ポリペプチドが、前記有害生物標的分子に対して高度な親和性を有し、典型的に、ポリペプチドおよびその有害生物標的分子の間の結合の解離定数が、10-5Mよりも低い、より好ましくは、解離定数が、10-6Mよりも低い、さらにより好ましくは、解離定数が、10-7Mよりも低い、最も好ましくは、解離定数が、10-8Mよりも低い。
【0232】
特定の実施形態では、本明細書において教示される重鎖抗体の少なくとも1つの可変ドメインが、溶液中の1.0μg/mLまたはそれ以下の前記可変ドメインの、前記植物病原性菌類に対する最小発育阻止濃度(MIC)値を有する。
【0233】
特異的な植物有害生物標的に対する親和性選択によって得られる80~200アミノ酸または本明細書において先に開示される部分範囲のポリペプチドもまた、本明細書において開示され、これは、約0.00001~1μMの最小発育阻止濃度で作物有害生物の成長および/または活性を阻害することができる。特定の実施形態では、最小発育阻止濃度が、0.0001~1μM、0.001~1μM、0.01~1μM、0.1~1μM、0.0001~0.1μM、0.001~0.1μM、0.01~0.1μM、0.00001~0.01μM、0.0001~0.01μM、0.001~0.01μMである。
【0234】
最小発育阻止濃度またはMIC値は、インキュベーションの後に作物または植物有害生物の目に見える成長を阻害するポリペプチドなどのような薬剤の最も低い濃度である。たとえば、最小殺真菌濃度(MFC)は、成長を妨げ、24時間以内に99.90%、菌類接種物を低下させるポリペプチドの最も低い濃度と考えられる。MFC(最小菌類濃度)は、寒天プレート上で決定することができるが、菌類のタイプおよびアッセイ条件に依存して流体中で(たとえばマイクロウェルプレート中で)好都合に決定することができる。
【0235】
本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用のある実施形態では、ポリヌクレオチドが、
配列番号85を有するCDR1領域、配列番号169を有するCDR2領域、および配列番号253を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号86を有するCDR1領域、配列番号170を有するCDR2領域、および配列番号254を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号87を有するCDR1領域、配列番号171を有するCDR2領域、および配列番号255を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号88を有するCDR1領域、配列番号172を有するCDR2領域、および配列番号256を有するCDR3領域ならびに/または
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配列番号161を有するCDR1領域、配列番号245を有するCDR2領域、および配列番号328を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号162を有するCDR1領域、配列番号246を有するCDR2領域、および配列番号329を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号163を有するCDR1領域、配列番号247を有するCDR2領域、および配列番号330を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号164を有するCDR1領域、配列番号248を有するCDR2領域、および配列番号331を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号165を有するCDR1領域、配列番号249を有するCDR2領域、および配列番号332を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号166を有するCDR1領域、配列番号250を有するCDR2領域、および配列番号333を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号167を有するCDR1領域、配列番号251を有するCDR2領域、および配列番号334を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号168を有するCDR1領域、配列番号252を有するCDR2領域、および配列番号335を有するCDR3領域を含むリストから選ばれるCDR1、CDR2、およびCDR3領域を含む、からなる、またはから本質的になるVHHをコードする配列を含んでいてもよい。
【0236】
本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用のある実施形態では、ポリヌクレオチドが、
配列番号85を有するCDR1領域、配列番号169を有するCDR2領域、および配列番号253を有するCDR3領域ならびに/または
配列番号86を有するCDR1領域、配列番号170を有するCDR2領域、および配列番号254を有するCDR3領域
を含むリストから選ばれるCDR1、CDR2、およびCDR3領域を含むVHHをコードする配列を含んでいてもよい。
【0237】
本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用のある実施形態では、ポリヌクレオチドが、配列番号85を有するCDR1領域、配列番号169を有するCDR2領域、および配列番号253を有するCDR3領域を含むVHHをコードする配列を含んでいてもよい。
【0238】
本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用のある実施形態では、ポリヌクレオチドが、配列番号86を有するCDR1領域、配列番号170を有するCDR2領域、および配列番号254を有するCDR3領域を含むVHHをコードする配列を含んでいてもよい。
【0239】
特定の実施形態では、本明細書において教示されるVHHが、4つのフレームワーク領域(それぞれFR1~FR4)および3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)から本質的になる重鎖可変ドメインまたはそのような重鎖可変ドメインの任意の適した断片である(これは、そのうえ、普通は、本明細書においてさらに記載されるCDRの少なくとも1つを形成するアミノ酸残基のいくつかを少なくとも含有するであろう)。
【0240】
本明細書において教示されるVHHの機能的変異体は、特に、ドメイン抗体(もしくはドメイン抗体としての使用に適した重鎖可変ドメイン)、単一ドメイン抗体(もしくは単一ドメイン抗体としての使用に適した重鎖可変ドメイン)、または「dAb」(もしくはdAbとしての使用に適した重鎖可変ドメイン);他の単一可変ドメイン、またはそのいずれか1つの任意の適した断片であってもよい。(単一)ドメイン抗体の一般的な説明のために、上記に引用される先行技術および欧州特許第0368684号明細書もまた参照される。用語「dAb」については、たとえばWard et al.(Nature 1989 Oct 12;341(6242):544-6)、Holt et al.,Trends Biotechnol.,2003,21(11):484-490、ならびにたとえば国際公開第06/030220号パンフレット、国際公開第06/003388号パンフレット、およびDomantis Ltd.の他の公開特許出願が参照される。
【0241】
したがって、特定の実施形態では、本発明が、(一般的な)構造
FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4
を有する重鎖抗体の可変ドメインを提供し、
FR1~FR4が、フレームワーク領域1~4をそれぞれ指し、CDR1~CDR3が、相補性決定領域1~3をそれぞれ指し、本明細書においてさらに定義される。
【0242】
配列番号1~84(表1を参照)は、スフィンゴ脂質標的に対して、特にグルコシルセラミドに対して産生された重鎖抗体の多くの可変ドメインのアミノ酸配列を示す。
【0243】
【表1】
【0244】
【表2】
【0245】
【表3】
【0246】
【表4】
【0247】
特に、いくつかの特定の実施形態における本発明は、スフィンゴ脂質標的に向けられ、かつ配列番号1~84(表1を参照)の重鎖可変ドメインの少なくとも1つと90%または95%またはそれ以上などのように少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%の配列同一性を有する少なくとも1つのVHHをコードするポリヌクレオチドおよびそのような重鎖可変ドメインをコードする核酸配列を含むトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞を提供する。
【0248】
本明細書において開示されるいくつかの特に好ましいVHHは、植物病原体のスフィンゴ脂質に結合することができおよび/またはそれに向けられ、かつ配列番号1~84(表1を参照)のVHHの少なくとも1つと少なくとも90%のアミノ酸同一性を有し、アミノ酸同一性の程度を決定する目的のために、CDR配列を形成するアミノ酸残基が無視されるものである。
【0249】
これらの重鎖可変ドメインでは、CDR配列(表2を参照)は、全般的に、本明細書においてさらに定義されるとおりである。
【0250】
【表5】
【0251】
【表6】
【0252】
さらに、そのようなVHHは、任意の適した方法で、任意の適した供給源から誘導されてもよく、たとえば、天然に存在するVHH配列(すなわち、ラクダ科の動物の適した種由来の)、「ラクダ化」免疫グロブリン配列(および特に、ラクダ化重鎖可変ドメイン配列)を含むが、これらに限定されない合成または半合成重鎖可変ドメイン、ならびに親和性成熟(たとえば、合成の、無作為の、もしくは天然に存在する免疫グロブリン配列から出発して)、CDRグラフティング、様々な免疫グロブリン配列に由来する断片を組み合わせるベニヤリング(veneering)、オーバーラップするプライマーを使用するPCRアセンブリー、および当業者によく知られている免疫グロブリン配列を操作するための類似する技術;または本明細書においてさらに記載される前述のもののいずれかの任意の適した組み合わせなどのような技術によって得られるものであってもよい。
【0253】
本発明はまた、本明細書において開示されるVHHの一部、断片、アナログ、突然変異体、変異体、および/もしくは誘導体ならびに/または1つもしくは複数のそのような一部、断片、アナログ、突然変異体、変異体、および/もしくは誘導体を含むもしくはそれから本質的になるポリペプチドを、これらの一部、断片、アナログ、突然変異体、変異体、および/または誘導体が本明細書において想定される目的に適している限り、包含する。本発明に記載のそのような一部、断片、アナログ、突然変異体、変異体、および/または誘導体は、スフィンゴ脂質標的になお特異的に結合することができる。
【0254】
標的
ある実施形態では、本明細書において教示されるVHHが、特定の有害生物標的に対する親和性選択によって得られる。特定の有害生物標的に対する親和性選択によって適したポリペプチドを得ることは、たとえば、当技術分野において殺虫剤の標的であることが知られている有害生物標的分子に対する結合について、それらの表面上にポリペプチドを発現する細胞(たとえばバクテリオファージ)のセット、収集物、またはライブラリーをスクリーニングすることによって実行されてもよく、これらはすべて、以下の非限定的なステップを本質的に含む、それ自体知られている方法で実行されてもよい:a)殺虫剤の標的であることが知られている有害生物標的分子の単離溶液または懸濁液を得るステップ;b)前記標的分子に対してポリペプチドライブラリー由来のファージまたは他の細胞をバイオパニングするステップ;c)標的分子に結合しているファージまたは他の細胞を単離するステップ;d)個々の結合しているファージまたは他の細胞からポリペプチド挿入物をコードするヌクレオチド配列を決定するステップ;e)組換えタンパク質発現を使用してこの配列のポリペプチドのある量を産生するステップ、およびf)前記有害生物標的に対する前記ポリペプチドの親和性を決定するステップ、ならびに任意選択によりg)前記有害生物についてのバイオアッセイにおいて前記ポリペプチドの殺虫性の活性を試験するステップ。様々な方法が、ポリペプチドおよび有害生物標的分子の間の親和性を決定するために使用されてもよく、たとえば酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)または表面プラズモン共鳴法(SPR)アッセイを含み、これらは、たとえば、Sambrook et al.(2001),Molecular Cloning,A Laboratory Manual.Third Edition.Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NYにおいて記載される、当技術分野における一般的な方法である。解離定数は、ポリペプチドおよびその有害生物標的分子の間の親和性を説明するために一般に使用される。典型的に、ポリペプチドおよびその有害生物標的分子の間の結合の解離定数が、10-5Mよりも低い、より好ましくは、解離定数が、10-6Mよりも低い、さらにより好ましくは、解離定数が、10-7Mよりも低い、最も好ましくは、解離定数が、10-8Mよりも低い。
【0255】
本明細書において開示される有害生物標的分子は、有害生物生物体中にまたはその上に存在する分子であり、これは、結合したおよび/または阻害した場合、前記有害生物生物体の成長または殺虫性の活性を死滅させるもしくは阻止する、阻害する、または低下させる。そのような適した標的分子は、当業者とって、既存の文献または特許データベースから容易に入手可能であり、限定を伴うことなく、根瘤線虫に対する適した有害生物標的分子として16D10などのような、分泌された寄生タンパク質(Huang et al(2006)PNAS 103:14302-14306)、甲虫類、半翅類、双翅類の昆虫の種および線虫に対する適した有害生物標的分子としてのV-ATPアーゼプロトンポンプ(Knight AJ and Behm CA(2011)Ex.Parasitol.Sept 19)、灰色かび病菌(B.cinerea)およびイネいもち病菌(M.grisea)に対する適した菌類有害生物標的分子としてのテトラスパニンPLS1(Gourgues et al(2002)Biochem.Biophys.Res.Commun.297:1197)、または抗真菌標的としてのプロトンポンプATPアーゼ(Manavathu EK et al(1999)Antimicrob Agents and Chemotherapy,Dec p.2950)を含む。好ましい有害生物標的分子が細胞外の空間(細胞内有害生物標的とは対照的に)において入手可能であることが理解される。
【0256】
より詳細には、本明細書において開示されるVHHが結合するスフィンゴ脂質標的は、長鎖(一価不飽和)ジヒドロキシアミン構造(スフィンゴシン)によって特徴付けられる膜脂質の特有な基を構成する。スフィンゴ脂質は、それらが外葉において典型的に見つけられる細胞の形質膜の本質的な構成成分である。それらは、いくつかの細菌グループ、特に嫌気性菌の膜構成要素である。これらのグループは、バクテロイデス(Bacteroides)、プレボテラ(Prevotella)、ポルフィロモナス(Porphyromonas)、フゾバクテリウム(Fusobacterium)、スフィンゴモナス(Sphingomonas)、スフィンゴバクテリウム(Sphingobacterium)、デロビブリオ(Bdellovibrio)、キストバクター(Cystobacter)、マイコプラズマ(Mycoplasma)、フレクトバシラス(Flectobacillus)、および場合によりアセトバクター(Acetobacter)を含む。スフィンゴ脂質が見つかった菌類は、サッカロミセス(Saccharomyces)、カンジダ(Candida)、ヒストプラズマ(Histoplasma)、フィトフトラ(Phytophthora)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、アスペルギルス(Aspergillus)、ニューロスポラ(Neurospora)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、フシコッカム(Fusicoccum)、シゾフィラム(Shizophyllum)、テングダケ(Amanita)、ハンゼヌラ(Hansenula)、チチタケ(Lactarius)、レンチヌス(Lentinus)、ペニシリウム(Penicillium)、カヤタケ(Clitocybe)、パラコクシジオイデス(Paracoccidioides)、アガリクス(Agaricus)、スポロトリクス(Sporothrix)、および卵菌植物病原体を含む。
【0257】
菌類スフィンゴ脂質の基本構成要素は、スフィンガニンであり、これは、セラミドに、そして最終的にセラミドモノヘキソシド(CMH;セレブロシド)にまたはフィトセラミドに、そして最終的にセラミドジヘキソシド(CDH)にまたはグリコイノシトールホスホリルセラミド(GIPC)に変換され得る。本明細書において開示されるVHHが向けられるスフィンゴ脂質の非限定的な例は、たとえば、9-メチル4,8-スフィンガジエニン、グリコシルセラミド、グルコシルセラミド、モノグルコシルセラミド、オリゴグルコシルセラミド、ガングリオシド、スルファチド、セラミド、スフィンゴシン-1-ホスフェート、セラミド-1-ホスフェート、ガラクトシルセラミド、イノシトール-ホスホリルセラミド(IPC)、マンノシル-イノシトール-ホスホリルセラミド(MIPC)、ガラクトシル-イノシトール-ホスホリルセラミド、マンノシル-(イノシトール-ホスホリル)-セラミド(M(IP)C)、ジマンノシル-イノシトール-ホスホリルセラミド(M2IPC)、ガラクトシル-ジマンノシル-イノシトール-ホスホリルセラミド(GalM2IPC)、マンノシル-ジ-イノシトール-ジホスホリルセラミド、ジ-イノシトール-ジホスホリルセラミド、トリガラクトシル-グリコシルセラミドを含む。
【0258】
本明細書において開示されるVHHが向けられるスフィンゴ脂質の非限定的な例は、たとえばグリコシルセラミド、グルコシルセラミド、スフィンゴミエリン、モノグリコシルセラミド、オリゴグリコシルセラミド、ガングリオシド、スルファチド、セラミド、スフィンゴシン-1-ホスフェート、およびセラミド-1-ホスフェートを含む。
【0259】
本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用のある好ましい実施形態では、スフィンゴ脂質が、セラミドである。さらに好ましい実施形態では、スフィンゴ脂質が、スフィンゴ糖脂質である。さらに好ましい実施形態では、スフィンゴ脂質が、セレブロシド(すなわちモノグリコシルセラミド)である。さらに好ましい実施形態では、スフィンゴ脂質が、グルコセレブロシド(すなわちグルコシルセラミド)である。
【0260】
本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用のある好ましい実施形態では、菌類スフィンゴ脂質が、菌類セラミドである。さらに好ましい実施形態では、菌類スフィンゴ脂質が、菌類スフィンゴ糖脂質である。さらに好ましい実施形態では、菌類スフィンゴ脂質が、菌類セレブロシド(すなわちモノグリコシルセラミド)である。さらに好ましい実施形態では、菌類スフィンゴ脂質が、菌類グルコセレブロシド(すなわちグルコシルセラミド)である。
【0261】
ある実施形態では、本明細書において記載されるスフィンゴ脂質が、タモギタケ(Pleurotus citrinopileatus)由来のグルコシルセラミド(グルコセレブロシド)である。
【0262】
本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用のある実施形態では、スフィンゴ脂質が、C-9メチル基および2つの二重結合(Δ4、Δ8)を有するC19スフィンゴイド塩基を含んでいてもよい。
【0263】
本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用のある実施形態では、スフィンゴ脂質が、以下の構造のいずれかを含んでいてもよい、からなってもよい、またはそれによって示されてもよい。
【化4】
【0264】
本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用のある実施形態では、本明細書において記載されるスフィンゴ脂質が、以下の構造のいずれかを有してもよいまたは含んでいてもよい。
【化5】
【0265】
ある実施形態では、植物病原体が、先に定義される植物病原性菌類などのような菌類である。菌類は、植物にとって非常に不利益になり得、作物における実質的な収穫の損失を引き起こし得る。植物病原性菌類は、屍体栄養菌類および生体栄養菌類を含み、子嚢菌、担子菌、および卵菌を含む。
【0266】
植物病原性菌類の例は、当技術分野において知られており、属:アルタナリア(Alternaria);アスコキタ(Ascochyta);ボトリチス(Botrytis);セルコスポラ(Cercospora);コレトトリカム(Colletotrichum);ディプロディア(Diplodia);エリシフェ(Erysiphe);フザリウム(Fusarium);レプトスフェリア(Leptosphaeria);ゲウマノマイセス(Gaeumanomyces);ヘルミントスポリウム(Helminthosporium);マクロフォミナ(Macrophomina);ネクトリア(Nectria);ペロノスポラ(Peronospora);フォーマ(Phoma);フィマトトリキュム(Phymatotrichum);フィトフトラ(Phytophthora);プラスモパラ(Plasmopara);ポドスファエラ(Podosphaera);プクキニア(Puccinia);プチウム(Puthium);ピレノホラ(Pyrenophora);ピリカラリア(Pyricularia);フハイカビ(Pythium);リゾクトニア(Rhizoctonia);スセロチウム(Scerotium);スクレロティニア(Sclerotinia);セプトリア(Septoria);ティエラビオプシス(Thielaviopsis);アンシヌラ(Uncinula);ベンチュリア(Venturia);およびバーティシリウム(Verticillium)からなる群から選択されるが、これらに限定されない。本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用によって根絶されてもよい植物病原性菌類の特定の例は、穀類におけるエリシフェ・グラミニス(Erysiphe graminis)、ウリ科の植物におけるエリシフェ・シコラセアラム(Erysiphe cichoracearum)およびスファエロセカ・フリジネア(Sphaerotheca fuliginea)、リンゴにおけるポドスファエラ・レウコトリカ(Podosphaera leucotricha)、ブドウの木におけるアンシヌラ・ネカタ(Uncinula necator)、穀類におけるプクキニア(Puccinia)種、ワタ、ジャガイモ、イネ、および芝地におけるリゾクトニア(Rhizoctonia)種、穀類およびサトウキビにおけるウスチラゴ(Ustilago)種、リンゴにおけるベンチュリア・イナエクアリス(Venturia inaequalis)(腐敗病)、穀類におけるヘルミントスポリウム(Helminthosporium)種、コムギにおけるセプトリア・ノドラム(Septoria nodorum)、コムギにおけるセプトリア・トリチシ(Septoria tritici)、オオムギに対するルヒンコスポリウム・セカリス(Rhynchosporium secalis)、イチゴ、トマト、およびブドウにおける灰色かび病菌(Botrytis cinerea)(灰色かび)、ピーナッツにおけるセルコスポラ・アラキジコラ(Cercospora arachidicola)、タバコにおけるペロノスポラ・タバシナ(Peronospora tabacina)または様々な作物における他のペロノスポラ(Peronospora)、コムギおよびオオムギにおけるシュードセルコスポレラ・ヘルポトリコイデス(Pseudocercosporella herpotrichoides)、オオムギにおけるピレノフェラ・テレス(Pyrenophera teres)、イネにおけるピリキュラリア・オリゼ(Pyricularia oryzae)、ジャガイモおよびトマトにおけるフィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)、様々な植物におけるフザリウム(Fusarium)種(フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)など)およびバーティシリウム(Verticillium)種、ブドウにおけるプラスモパラ・ビチコラ(Plasmopara viticola)、果実および植物におけるアルタナリア(Alternaria)種、キュウリにおけるキュウリベと病菌(Pseudoperonospora cubensis)、バナナにおけるマイコスファエレラ・フィジエンシス(Mycosphaerella fijiensis)、ヒヨコマメにおけるアスコキタ(Ascochyta)種、キャノーラに対するレプトスフェリア(Leptosphaeria)種、ならびに様々な作物におけるコレトトリカム(Colleotrichum)種を含む。
【0267】
本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用のある実施形態では、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞によって根絶されてもよい植物病原性菌類が、表3において定義される植物病原性菌類を含む。
【0268】
本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用のある実施形態では、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞によって根絶されてもよい植物病原性菌類が、表3において定義されるトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞と組み合わせた表3において定義される植物病原性菌類を含む。
【0269】
【表7】
【0270】
【表8】
【0271】
【表9】
【0272】
本明細書において教示されるトランスジェニック植物もしくは植物組織もしくは植物細胞、方法、または使用のある実施形態では、植物病原性菌類が、アルタナリア(Alternaria)、アスコキタ(Ascochyta)、ボトリチス(Botrytis)、セルコスポラ(Cercospora)、コレトトリカム(Colletotrichum)、ディプロディア(Diplodia)、エリシフェ(Erysiphe)、フザリウム(Fusarium)、レプトスフェリア(Leptosphaeria)、ゲウマノマイセス(Gaeumanomyces)、ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)、マクロフォミナ(Macrophomina)、ネクトリア(Nectria)、ペニシリウム(Penicillium)、ペロノスポラ(Peronospora)、フォーマ(Phoma)、フィマトトリキュム(Phymatotrichum)、フィトフトラ(Phytophthora)、プラスモパラ(Plasmopara)、ポドスファエラ(Podosphaera)、プクキニア(Puccinia)、ピレノホラ(Pyrenophora)、ピリカラリア(Pyricularia)、フィチウム(Pythium)、リゾクトニア(Rhizoctonia)、スセロチウム(Scerotium)、スクレロティニア(Sclerotinia)、セプトリア(Septoria)、ティエラビオプシス(Thielaviopsis)、アンシヌラ(Uncinula)、ベンチュリア(Venturia)、バーティシリウム(Verticillium)、マグナポルテ(Magnaporthe)、ブルメリア(Blumeria)、マイコスファエレラ(Mycosphaerella)、ウスチラゴ(Ustilago)、メランプソラ(Melampsora)、ファコスポラ(Phakospora)、モニリニア(Monilinia)、ケカビ(Mucor)、クモノスカビ(Rhizopus)、およびアスペルギルス(Aspergillus)からなる群から選ばれる属由来の植物病原性菌類であってもよい。
【0273】
ある実施形態では、本明細書において教示されるトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞が、菌類種ボトリチス(Botrytis)、フザリウム(Fusarium)、またはペニシリウム(Penicillium)由来の菌類のスフィンゴ脂質に特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドを含んでいてもよい。さらに特定の実施形態では、菌類スフィンゴ脂質が、特にグルコシルセラミドなどのようなセラミドである。
【0274】
特定の実施形態では、本発明が、菌類の構造的な分子構成成分、すなわち菌類スフィンゴ脂質に特異的に向けられるVHHをコードする少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドを含んでいてもよい、本明細書において教示されるトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞を提供する。非タンパク質分子構造と特有で特異的な相互作用を有するタンパク質またはアミノ酸配列を生成することが(技術的に)困難であることが当技術分野において一般に記載されているが、発明者らは、驚いたことに、そのようなVHHの同定に成功した。
【0275】
本発明の教示に基づいて、適した菌類有害生物標的分子のさらなる非限定的な例は、当業者によって想定することができ、たとえばキチンシンターゼ、β-1,3-グルカンシンターゼ、コハク酸デヒドロゲナーゼ、菌類グリコシルセラミド、またはテトラスパニンPLS1を含む。
【0276】
アシドボラックス・アベナエ(Acidovorax avenae)亜種アベナエ(avenae)(イネの褐条病を引き起こす)、アシドボラックス・アベナエ(Acidovorax avenae)亜種カタレヤエ(cattleyae)(カトレアの褐斑細菌病を引き起こす)、アシドボラックス・コンジャシ(Acidovorax konjaci)コンニャク(Konnyaku)(白葉枯病を引き起こす)、アグロバクテリウム・リゾジェネス(Agrobacterium rhizogenes)(メロンの毛根病を引き起こす)、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)(根頭がんしゅ病を引き起こす)、バークホルデリア・アンドロポゴニス(Burkholderia andropogonis)(カーネーションの斑点細菌病を引き起こす)、バークホルデリア・カリオフィリ(Burkholderia caryophylli)(カーネーションの青枯病を引き起こす)、バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)(シンビジウムの褐斑細菌病を引き起こす)、バークホルデリア・グラジオラス(Burkholderia gladioli)病原型グラジオラス(gladioli)(グラジオラスの菌核病を引き起こす)、バークホルデリア・グルマエ(Burkholderia glumae)(イネのもみ枯細菌病を引き起こす)、バークホルデリア・プランタリー(Burkholderia plantarii)(イネの苗立枯細菌病を引き起こす)、クラビバクテル・ミキガネンシス(Clavibacter michiganensis)亜種ミキガネンシス(michiganensis)(トマトのかいよう病を引き起こす)、クラビバクテル・ミキガネンシス(Clavibacter michiganensis)亜種セペドニカス(sepedonicus)(ジャガイモの輪腐病を引き起こす)、クロストリジウム(Clostridium)種(ジャガイモの粘性腐敗病を引き起こす)、カルトバクテリウム・フラクムファシエンス(Curtobacterium flaccumfaciens)(タマネギのかいよう病を引き起こす)、エルウィニア・アミロボラ(Erwinia amylovora)(西洋ナシの火傷病を引き起こす)、エルウィニア・アナナス(イネの内穎褐変病を引き起こす)、エルウィニア・カロトボラ(Erwinia carotovora)亜種アトロセプティカ(atroseptica)(ジャガイモの根朽病を引き起こす)、エルウィニア・カロトボラ(Erwinia carotovora)亜種カロトボラ(carotovora)(野菜の軟腐病を引き起こす)、エルウィニア・クリサンセミ(Erwinia chrysanthemi)(タロイモの苗立枯細菌病を引き起こす)、エルウィニア・クリサンセミ(Erwinia chrysanthemi)病原型ゼアエ(zeae)(イネの株腐細菌病を引き起こす)、エルウイニア・ヘルビコラ(Erwinia herbicola)病原型ミレチアエ(millettiae)(フジのこぶ病を引き起こす)、シュードモナス・キコリー(Pseudomonas cichorii)(キクの斑点細菌病を引き起こす)、シュードモナス・コルゲート(Pseudomonas corrugate)ピス(Pith)(トマトのネクローシスを引き起こす)、シュードモナス・フスコバジナエ(Pseudomonas fuscovaginae)(イネの葉しょう褐変病を引き起こす)、シュードモナス・マルギナリス(Pseudomonas marginalis)病原型マルギナリス(marginalis)(キャベツの腐敗病を引き起こす)、シュードモナス・ルブリスバルビカンス(Pseudomonas rubrisubalbicans)(サトウキビの疑似赤すじ病を引き起こす)、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)病原型アプタタ(aptata)(サトウダイコンの細菌胴枯れ病を引き起こす)、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)病原型アトロプルプレア(atropurpurea)(ライグラスのかさ枯病を引き起こす)、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)病原型カスタネアエ(castaneae)(クリのかいよう病を引き起こす)、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)病原型グリシネア(glycinea)(ダイズの細菌胴枯れ病を引き起こす)、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)病原型ラクリマンス(lachrymans)(キュウリの斑点細菌病を引き起こす)、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)病原型マキュリコラ(maculicola)(キャベツの黒斑細菌病を引き起こす)、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)病原型モリ(mori)(クワの細菌胴枯れ病を引き起こす)、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)病原型モルスプルノラム(morsprunorum)(プラムのかいよう病を引き起こす)、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)病原型オリザエ(oryzae)(イネのかさ枯病を引き起こす)、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)病原型ファセオリコラ(phaseolicola)(インゲンマメのかさ枯病を引き起こす)、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)病原型ピシ(pisi)(エンドウの引き起こす細菌胴枯れ病)、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)病原型セサミ(sesame)(ごまの斑点細菌病を引き起こす)、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)病原型ストリアファシエンス(striafaciens)(カラスムギの黒節病を引き起こす)、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)病原型シリンガエ(syringae)(あずきの褐斑細菌病を引き起こす)、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)病原型タバシ(tabaci)(タバコの野火病を引き起こす)、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)病原型テアエ(theae)(茶の赤焼病を引き起こす)、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)病原型トマト(tomato)(トマトの斑点細菌病を引き起こす)、シュードモナス・ビリディフラバ(Pseudomonas viridiflava)(インゲンマメの褐斑細菌病を引き起こす)、ラルストニア・ソラナセラム(Ralstonia solanacearum)(青枯病を引き起こす)、ラタイバクテル・ラタイ(Rathayibacter rathayi)(カモガヤの萎縮性細菌病を引き起こす)、ストレプトマイセス・スカビエス(Streptomyces scabies)(ジャガイモのそうか病を引き起こす)、ストレプトマイセス・イポメア(Streptomyces ipomoea)(サツマイモの立枯病を引き起こす)、キサントモナス・アルビリネアンス(Xanthomonas albilineans)(サトウキビの白すじ病を引き起こす)、ザントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)病原型セレアリス(cerealis)(ライムギの褐点病を引き起こす)、ザントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)病原型カンペストリス(campestris)(黒斑病を引き起こす)、ザントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)病原型シトリ(citri)(柑橘類の腐らん病を引き起こす)、ザントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)病原型クカルビタエ(cucurbitae)(キュウリの褐斑細菌病を引き起こす)、ザントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)病原型グリシネス(glycines)(ダイズの葉焼病を引き起こす)、ザントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)病原型インカナエ(incanae)(茎の黒腐病を引き起こす)、ザントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)病原型(ワタ マルバセアラム(malvacearum)の角点病を引き起こす)、ザントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)病原型(マンゴーのかいよう病を引き起こす)、マンギフェラエインディカエ(Mangiferaeindicae)、ザントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)病原型メレア(mellea)(タバコの黄がさ細菌病を引き起こす)、ザントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)病原型(グレートナイグロマキュランスゴボウ(great nigromaculans burdock)の斑点細菌病を引き起こす)、ザントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)病原型ファセオリ(phaseoli)(インゲンマメの葉焼病を引き起こす)、ザントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)病原型ピシ(pisi)(インゲンマメの茎腐細菌病を引き起こす)、ザントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)病原型プルニ(pruni)(モモのせん孔細菌病を引き起こす)、ザントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)病原型ラファニ(raphani)(ダイコンの斑点細菌病を引き起こす)、ザントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)病原型リシニ(ricini)(トウゴマの斑点細菌病を引き起こす)、ザントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)病原型テイコラ(theicola)(茶の腐らん病を引き起こす)、ザントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)病原型トランスルセンス(translucens)(カモガヤの斑点細菌病を引き起こす)、ザントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)病原型ベシカトリア(vesicatoria)(トマトの斑点細菌病を引き起こす)、キサントモナス・オリザエ(Xanthomonas oryzae)病原型オリザエ(oryzae)(イネの白葉枯病を引き起こす)を含むが、これらに限定されない植物病原細菌もまた、本明細書において開示される。
【0277】
農業、園芸、森林、庭、およびレジャー施設で遭遇する昆虫、蛛形類、蠕虫、ウイルス、線虫、および軟体動物などのような植物有害生物もまた、本明細書において開示される。本明細書において教示されるトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞は、通常感受性で抵抗性の種に対しておよび発生のすべてのまたはいくつかのステージに対して活性である。これらの植物有害生物は、特にクモ形綱由来の節足動物門、たとえばマダニ(Acarus)種、アセリア・シェルドニ(Aceria sheldoni)、アクロプス(Aculops)種、アクラス(Aculus)種、アンブリオーマ(Amblyomma)種、アンフィテトラニカス・ヴィエネンシス(Amphitetranychus viennensis)、アルガス(Argas)種、ボフィラス(Boophilus)種、ブレヴィパルパス(Brevipalpus)種、ブリオビア・プラエチオサ(Bryobia praetiosa)、セントルロイデス(Centruroides)種、コリオプテス(Chorioptes)種、デルマニサス・ガリナエ(Dermanyssus gallinae)、デルマトファゴイデス・プテロニシアス((Dermatophagoides pteronyssius)、デルマトファゴイデス・ファリナエ(Dermatophagoides farinae)、デルマセントール(Dermacentor)種、エオテトラニカス(Eotetranychus)種、エピトリメラス・ピリ(Epitrimerus pyri)、エウトトラニカス(Eutetranychus)種、エリオフィエス(Eriophyes )種、ハロチデス・デストラクター(Halotydeus destructor)、ヘミタソネマス(Hemitarsonemus)種、ヒアローマ(Hyalomma)種、イクソデス(Ixodes)種、ラトロデクタス(Latrodectus)種、ロキソスセレス(Loxosceles)種、メタテトラニカス(Metatetranychus)種、ヌフェルサ(Nuphersa)種、オリゴニカス(Oligonychus)種、オルニソドラス(Ornithodorus)種、オルニソニサス(Ornithonyssus)種、パノニカス(Panonychus)種、フィロコプトルタ・オケイヴォラ(Phyllocoptruta oleivora)、ポリファゴタルソネマス・ラタス(Polyphagotarsonemus latus)、プソロプテス(Psoroptes)種、リピセファラス(Rhipicephalus)種。リゾグリファス(Rhizoglyphus)種、サルコプテス(Sarcoptes)種、スコルピオ・マウラス(Scorpio maurus)、ステノタルソネマス(Stenotarsonemus)種、タルソネマス(Tarsonemus)種、テトラニカス(Tetranychus)種、バエヨビス(Vaejovis)種、バサテス・リコペルシシ(Vasates lycopersici)由来の有害生物を含む。
【0278】
さらに他の例は、シラミ目(フィチラプテラ(Phthiraptera))、たとえばダマリニア(Damalinia)種、ハエマトピナス(Haematopinus)種、リノグナサス(Linognathus)種、ペディクラス(Pediculus)種、プトリラス・パビス(Ptirus pubis)、トリコデクテス(Trichodectes)種由来のものである。
【0279】
さらに他の例は、唇脚目、たとえばゲオフィラス(Geophilus)種、スクチゲラ(Scutigera)種由来のものである。
【0280】
さらに他の例は、甲虫目、たとえばアカリマ・ボタタム(Acalymma vittatum)、アカンソスセリデス・オブテクタス(Acanthoscelides obtectus)、アドレタス(Adoretus)種、アゲラスチカ・アルニ(Agelastica alni)、アグリオテス(Agriotes)種、アルフィトビウス・ジアペリナス(Alphitobius diaperinus)、アンフィマロン・ソルスチチアリス(Amphimallon solstitialis)、アノビウム・パンクタタム(Anobium punctatum)、アノプロフォラ(Anoplophora)種、アンソノマス(Anthonomus)種、アンスレナス(Anthrenus)種、アピオン(Apion)種、アポゴニア(Apogonia)種、アトマリア(Atomaria)種、アタゲナス(Attagenus)種、ブルキジス・オブテクタス(Bruchidius obtectus)、ブルカス(Bruchus)種、カシダ(Cassida)種、セロトマ・トリフルカタ(Cerotoma trifurcata)、セウトロリンカス(Ceutorrhynchus)種、カエトクネマ(Chaetocnema)種、クレナス・メンディカス(Cleonus mendicus)、コノデラス(Conoderus)種、コスモポリテス(Cosmopolites )種、コステリトラ・ゼアカンディカ(Costelytra zealandica)、クテニセラ(Ctenicera)種、シギゾウムシ(Curculio)種、クリプトリンカス・ラパティ(Cryptorhynchus lapathi)、クリンドロコプタラス(Cylindrocopturus)種、デルメステス(Dermestes)種、ディアブロティカ(Diabrotica)種、ディコクロシス(Dichocrocis)種、ディロボデラス(Diloboderus)種、エピラクナ(Epilachna)種、エピトリックス(Epitrix)種、ファウスチナス(Faustinus)種、ギビウム・プシロイデス(Gibbium psylloides)、ヘルラ・アンダリス(Hellula undalis)、ヘテロニカス・アラター(Heteronychus arator)、ヘテロニックス(Heteronyx)種、ヒラモルファ・エレガンス(Hylamorpha elegans)、ヒロトラペス・バジュラス(Hylotrupes bajulus)、ヒペラ・ポスティカ(Hypera postica)、ヒポセネマス(Hypothenemus)種、ラクノステルナ・コンサングイネア(Lachnosterna consanguinea)、レマ(Lema)種、レプチノタルサ・デセンリネアタ(Leptinotarsa decemlineata)、ロウコプテラ(Leucoptera)種、リソルホプトラス・オリゾフィラス(Lissorhoptrus oryzophilus)、リクサス(Lixus)種、ルペロデス(Luperodes)種、リクタス(Lyctus)種、メガセリス(Megascelis)種、メラノタス(Melanotus)種、メリゲテス・アエネアス(Meligethes aeneus)、メロロンタ(Melolontha)種、ミグドラス(Migdolus)種、モノカマス(Monochamus)種、ナウパクタス・キサンソグラファス(Naupactus xanthographus)、ニプタス・ホロレウカス(Niptus hololeucus)、オリクテス・リノセロス(Oryctes rhinoceros)、オリザエフィラス・スリナメンシス(Oryzaephilus surinamensis)、オリザファガス・オリザエ(Oryzaphagus oryzae)、オチオリンカス(Otiorrhynchus)種、オキセトニア・ユカンダ(Oxycetonia jucunda)、ファエドン・コクレアリアエ(Phaedon cochleariae)、フィロファガ(Phyllophaga)種、フィロトレタ(Phyllotreta)種、ポピリア・ジャポニカ(Popillia japonica)、プレモトリペス(Premnotrypes)種、プロステファナス・トランカタス(Prostephanus truncatus)、フィリオデス(Psylliodes)種、プチナス(Ptinus)種、リゾビウス・ベントラリス(Rhizobius ventralis)、リゾペルタ・ドミニカ(Rhizopertha dominica)、シトフィラス(Sitophilus)種、スフェノフォラス(Sphenophorus)種、ステゴビウム・パニセウム(Stegobium paniceum)、ステルネカス(Sternechus)種、シンフィレテス(Symphyletes)種、タニメカス(Tanymecus)種、テネブリオ・モリトール(Tenebrio molitor)、トリボリウム(Tribolium)種、トロゴデルマ(Trogoderma)種、チキアス(Tychius)種、キシロトレカス(Xylotrechus)種、ザブラス(Zabrus)種由来のものである。
【0281】
さらに他の例は、トビムシ目、たとえばオニキウラス・アルマタス(Onychiurus armatus)由来のものである。
【0282】
さらに他の例は、倍脚目、たとえばブラニウラス・グツラタス(Blaniulus guttulatus)由来のものである。
【0283】
さらに他の例は、双翅目、たとえばアエデス(Aedes)種、アグロミザ(Agromyza)種、アナストレファ(Anastrepha)種、アノフェレス(Anopheles)種、アスフォンディリア(Asphondylia)種、バクトロセラ(Bactrocera)、ビビオ・ホルタラナス(Bibio hortulanus)、カリフォラ・エリスロセファラ(Calliphora erythrocephala)、セラティティス・カピタータ(Ceratitis capitata)、キロノマス(Chironomus)種、キリソミア(Chrysomyia)種、クリソプス(Chrysops)種、コクリミア(Cochliomyia)種、コンタリニア(Contarinia)種、コルディロビア・アンソロポファガ(Cordylobia anthropophaga)、クレクス(Culex)種、カリコイデス(Culicoides)種、カリセタ(Culiseta)種、クテレブラ(Cuterebra)種、ダカス・オレアエ(Dacus oleae)、ダシネウラ(Dasyneura)種、デリア(Delia)種、デアルマトビア・ホミニス(Dermatobia hominis)、ドロソフィラ(Drosophila)種、エキノクネマス(Echinocnemus)種、ファニア(Fannia)種、ガステロフィラス(Gasterophilus)種、グロシナ種、ハエマトポタ(Haematopota)種、ヒドレリア(Hydrellia)種、ヒレミア(Hylemyia)種、ヒポボスカ(Hyppobosca)種、ヒポデルマ(Hypoderma )種、リリオミザ(Liriomyza)種、ルシリア(Lucilia)種、ルトゾミア(Lutzomia)種、マンソニア(Mansonia)種、ムスカ(Musca)種、ネザラ(Nezara)種、オエストラス(Oestrus)種、オスシネラ・フリット(Oscinella frit)、ペゴミア(Pegomyia)種、フェレボトマス(Phlebotomus)種、フォルビア(Phorbia)種、フォルミア(Phormia)種、プロディプロシス(Prodiplosis)種、プシラ・ロサエ(Psila rosae)、ラゴレティス(Rhagoletis)種、サルコファガ(Sarcophaga)種、シマリウム(Simulium)種、ストモキシス(Stomoxys)種、タババス(Tabanus)種、タニア(Tannia)種、テタノプス(Tetanops)種、チプラ(Tipula)種由来のものである。
【0284】
さらに他の例は、異翅目、たとえばアナサ・トリスティス(Anasa tristis)、アンテスティオプシス(Antestiopsis)種、ボイセア(Boisea)種、ブリサス(Blissus)種、カロコリス(Calocoris)種、カンピローマ・リビダ(Campylomma livida)、カベレリアス(Cavelerius)種、キメクス(Cimex)種、コラリア(Collaria)種、クレオンティアデス・ディラタス(Creontiades dilutus)、ダシナス・ピペリス(Dasynus piperis)、ディケロプス・フルカタス(Dichelops furcatus)、ディコノコリス・ヘウェッティ(Diconocoris hewetti)、ディスデルカス(Dysdercus)種、エウスキスタス(Euschistus)種、エウイリガステル(Eurygaster)種、ヘリッペルティス(Heliopeltis)種、ホルシアス・ノビレラス(Horcias nobilellus)、レプトコリサ(Leptocorisa)種、レプトグロサス・フィロパス(Leptoglossus phyllopus)、リガス(Lygus)種、マクロペス・エクスカバタス(Macropes excavatus)、ミリダエ(Miridae)、モナロニオン・アトラタム(Monalonion atratum)、ネザラ(Nezara)種、オエバラス(Oebalus)種、ペントミダエ(Pentomidae)、ピエスマ・クアドラタ(Piesma quadrata)、ピエゾドラス(Piezodorus)種、プサラス(Psallus)種、プセイダシスタ・ペルセア(Pseudacysta persea)、ロドニアス(Rhodnius)種、サルベルゲラ シングラリス(Sahlbergella singularis)、スカプトコリス・カスタネア(Scaptocoris castanea)、スコティノフォラ(Scotinophora)種、ステファニティス・ナシ(Stephanitis nashi)、ティブラカ(Tibraca)種、トリアトマ(Triatoma)種由来のものである。
【0285】
さらに他の例は、ホモプテラ目、たとえばアシルソシポン(Acyrthosipon)種、アクロゴニア(Acrogonia)種、アエネオラミア(Aeneolamia)種、アゴノスセナ(Agonoscena)種、アレウロデス(Aleurodes)種、アレウロロバス・バロデンシス(Aleurolobus barodensis)、アレウロスリキサス(Aleurothrixus)種、アムラスカ(Amrasca)種、アナラフィス・カーデュイ(Anuraphis cardui)、アオニディエラ(Aonidiella)種、アファノスティグマ・ピン(Aphanostigma pin)、アフィス(Aphis)種、アルボリディア・アピカリス(Arboridia apicalis)、アスピディエラ(Aspidiella)種、アスピディオス(Aspidiotus)種、アタナス(Atanus)種、アウラコルサム・ソラニ(Aulacorthum solani)、ベミシア(Bemisia)種、ブラキカウダス・ヘリキリシー(Brachycaudus helichrysii)、ブラキコラス(Brachycolus)種、ブレビコリネ・ブラシカエ(Brevicoryne brassicae)、カリジポナ・マルギナタ(Calligypona marginata)、カルネオセファラ・フルギダ(Carneocephala fulgida)、セラトバクナ・ラニゲラ(Ceratovacuna lanigera)、セルコピダエ(Cercopidae)、セロプラステス(Ceroplastes)種、カエトシホン・フラガエホリイ(Chaetosiphon fragaefolii)、キオナスピス・テガレンシス(Chionaspis tegalensis)、クロリタ・オヌキイ(Chlorita onukii)、クロマフィス・ジュグランジコラ(Chromaphis juglandicola)、クリソムファルス・フィクス(Chrysomphalus ficus)、シカズリナ・ムビラ(Cicadulina mbila)、コッコミチルス・ハリイ(Coccomytilus halli)、コックス(Coccus)種、クリプトミズス・リビス(Cryptomyzus ribis)、ダルブルス(Dalbulus)種、ジアレウロデス(Dialeurodes)種、ジアホリナ(Diaphorina)種、ジアスピス(Diaspis)種、ドロシカ(Drosicha)種、ジサフィス(Dysaphis)種、ジスミコックス(Dysmicoccus)種、エンポアスカ(Empoasca)種、エリオソマ(Eriosoma)種、エリトロネウラ(Erythroneura)種、エウセリス・ビロバツス(Euscelis bilobatus)、フェリシア(Ferrisia)種、ゲオコックス・コフェアエ(Geococcus coffeae)、ヒエログィファス(Hieroglyphus)種、ホマロディスカ・コアグラータ(Homalodisca coagulata)、ヒアロプテラス・アランディニス(Hyalopterus arundinis)、イセリヤ(Icerya)種、イディオセラス(Idiocerus)種、イディオスコパス(Idioscopus)種、ラオデルファックス・ストリアテラス(Laodelphax striatellus)、レカニウム(Lecanium種)、レピドサフェス(Lepidosaphes)種、リパフィス・エリシミ(Lipaphis erysimi)、マクロシファム(Macrosiphum)種、マハナルバ(Mahanarva)種、メラナフィス・サッカリ(Melanaphis sacchari)、メトファルフィエラ(Metcalfiella)種、メトポロフィウム・ディロダム(Metopolophium dirhodum)、モネリア・コスタリス(Monellia costalis)、モネリオプシス・ペカニス(Monelliopsis pecanis)、マイザス(Myzus)種、ナソノビア・リビスニグリ(Nasonovia ribisnigri)、ネフォテティックス(Nephotettix)種、ニラパルバタ・ルゲンス(Nilaparvata lugens)、オンコメトピア(Oncometopia)種、オルセジア・プラロンガ(Orthezia praelonga)、パラベミシア・ミリカエ(Parabemisia myricae)、パラトリゾア(Paratrioza)種、パルラトリア(Parlatoria)種、ペンフィガス(Pemphigus)種、ペレグリナス・マイディス(Peregrinus maidis)、フェナコッカス(Phenacoccus)種、フレオマイザス・パセリニー(Phloeomyzus passerinii)、ホロドン・フムリ(Phorodon humuli)、フィロキセラ(Phylloxera)種、ピナスピス・アスピディストラエ(Pinnaspis aspidistrae)、プラノコッカス(Planococcus)種、プロトプルビナリア・ピリフォルミス(Protopulvinaria pyriformis)、プセウダウラカスピス・ペンタゴナ(Pseudaulacaspis pentagona)、プセウドコッカス(Pseudococcus)種、プシラ(Psylla )種、プテロマラス(Pteromalus)種、ピリラ(Pyrilla)種、クアドラスピディオタス(Quadraspidiotus)種、ケサダ・ギガス(Quesada gigas)、ラストラコッカス(Rastrococcus)種、ロパロシファム(Rhopalosiphum)種、サイセチア(Saissetia)種、スカホイデス・ティタナス(Scaphoides titanus)、スキザフィス・グラミナム(Schizaphis graminum)、セレナスピダス・アルティカラタス(Selenaspidus articulatus)、ソガタ(Sogata)種、ソガテラ・フルシフェラ(Sogatella furcifera)、ソガトデス(Sogatodes)種、スティクトセファラ・フェスティナ(Stictocephala festina)、テナラファラ・マレイエンシス(Tenalaphara malayensis)、チノカリス・カリアエフォリアエ(Tinocallis caryaefoliae)、トマスピス(Tomaspis)種、トキソプテラ(Toxoptera)種、トリアレウロデス(Trialeurodes)種、トリオザ(Trioza)種、ティフィロシバ(Typhlocyba)種、ウナスピス(Unaspis)種、ビテアス・ビチフォリー(Viteus vitifolii)、ジアギナ(Zygina)種由来のものである。
【0286】
さらに他の例は、膜翅目、たとえばアクロミルメックス(Acromyrmex)種、アサリア(Athalia)種、アッタ(Atta)種、ディプリオン(Diprion)種、ホプロカンパ(Hoplocampa)種、ラシウス(Lasius)種、モノモリウム・ファラオニス(Monomorium pharaonis)、ソレノプシス・インビクタ(Solenopsis invicta)、タピノマ(TapinomaO種、ベスパ(Vespa)種由来のものである。
【0287】
さらに他の例は、等脚目、たとえばアルマジリジウム・バルガエ(Armadillidium vulgare)、オニスカス・アセラス(Oniscus asellus)、ポルセリオ・スカベル(Porcellio scaber)由来のものである。
【0288】
さらに他の例は、等翅目、たとえばコプトテルメス(Coptotermes)種、コルニテルメス・クムランス(Cornitermes cumulans)、クリプトテルメス(Cryptotermes)種、インシシテルメス(Incisitermes)種、ミクロテルメス・オベシ(Microtermes obesi)、オドントテルメス(Odontotermes)種、レチクリテルメス(Reticulitermes)種由来のものである。
【0289】
さらなる他の例は、鱗翅目、たとえばアクロニクタ・メジャー(Acronicta major)、アドキソフィエス(Adoxophyes)種、アエディア・ラウコメラス(Aedia leucomelas)、アグロティス(Agrotis)種、Alabama(アラバマ)種、アミエロイス・トランシテラ(Amyelois transitella)、アナルシア(Anarsia)種、アンチカルシア(Anticarsia)種、アルギロプロセ(Argyroploce)種、バラセラ・ブラシカエ(Barathra brassicae)、ボルボ・シナラ(Borbo cinnara)、ブカラトリックス・スルベリエラ(Bucculatrix thurberiella)、ブパラス・ピニアリウス(Bupalus piniarius)、ブセオラ(Busseola)種、カコエシア(Cacoecia)種、カロプティリア・セイボラ(Caloptilia theivora)、カプア・レチクラナ(Capua reticulana)、カルオイカプサ・ポモネラ(Carpocapsa pomonella)、カルポシナ・ニポネンシス(Carposina niponensis)、ケマトビア・ブルマタ(Chematobia brumata)、チロ(Chilo)種、コリストネウラ(Choristoneura)種、クリシア・アンビグエラ(Clysia ambiguella)、クナファロセラス(Cnaphalocerus)種、クネファシア(Cnephasia)種、コノポモルファ(Conopomorpha)種、コノトラケラス(Conotrachelus)種、コピタルシア(Copitarsia)種、シディア(Cydia)種、ダラカ・ノクツイデス(Dalaca noctuides)、ディアファニア(Diaphania)種、ディアトラエア・サッカラリス(Diatraea saccharalis)、エアリアス(Earias)種、エクディトロファ・アウランチウム(Ecdytolopha aurantium)、エラスモパルパス・リグノセラス(Elasmopalpus lignosellus)、エルダナ・サッカリナ(Eldana saccharina)、エフェスチア(Ephestia)種、エピノチア(Epinotia)種、エピフィアス・ポストビッターナ(Epiphyas postvittana)、エチエラ(Etiella)種、エウリア(Eulia)種、エウポシリア・アンビグエラ(Eupoecilia ambiguella)、エウプロクチス(Euproctis)種、エウクソア(Euxoa)種、フェルチア(Feltia)種、ガレリア・メロネラ(Galleria mellonella)、グラシラリア(Gracillaria)種、グラフォリサ(Grapholitha)種、ヘティレプタ(Hedylepta)種、ヘリコベルパ(Helicoverpa)種、ヘリオシス(Heliothis)種、ホフマノフィラ・プセウドスプレテラ(Hofmannophila pseudospretella)、ホモエオソマ(Homoeosoma)種、ホモナ(Homona)種、ヒポノメウタ・パデラ(Hyponomeuta padella)、カキボリア・フラボファスシアタ(Kakivoria flavofasciata)、ラフィグマ(Laphygma)種、ラスペイレシア・モレスタ(Laspeyresia molesta)、ロイシノデス・オルボナリス(Leucinodes orbonalis)、ロウコプテラ(Leucoptera)種、リソコレティス(Lithocolletis)種、リソファネ・アンテナータ(Lithophane antennata)、ロベシア(Lobesia)種、ロキサグロティス・アルビコスタ(Loxagrotis albicosta)、リマントリア(Lymantria)種、リオネティカ(Lyonetia)種、マラコソマ・ネウストリア(Malacosoma neustria)、マルカ・テスタラリス(Maruca testulalis)、マメストラ・ブラシカエ(Mamestra brassicae)、モシス(Mocis)種、ミシナ・セパラタ(Mythimna separata)、ニンフラ(Nymphula)種、オイケティカス(Oiketicus)種、オリア(Oria)種、オルサガ(Orthaga)種、オストリニア(Ostrinia)種、オウレマ・オリザエ(Oulema oryzae)、パノリス・フラメア(Panolis flammea)、パルナラ(Parnara)種、ペクティノフォラ(Pectinophora)種、ペリロウコプテラ(Perileucoptera)種、フソリマエア(Phthorimaea)種、フィロクニスティス・シトレラ(Phyllocnistis citrella)、フィロノリクテル(Phyllonorycter)種、ピエリス(Pieris)種、プラティノタ・スタルタナ(Platynota stultana)、プロディア・インテルパンクテラ(Plodia interpunctella)、プラシア(Plusia)種、プルテラ・キシロステラ(Plutella xylostella)、プレイス(Prays)種、プロデニア(Prodenia)種、プロトパルセ(Protoparce)種、プセウダレティア(Pseudaletia)種、プセウドプラシア・インクラデンス(Pseudoplusia includens)、ピラウスタ・ヌビラリス(Pyrausta nubilalis)、ラキプラシア・ヌ(Rachiplusia nu)、スコエノビウス(Schoenobius)種、スシルポファガ(Scirpophaga)種、スコティア・セゲタム(Scotia segetum)、セサミア(Sesamia)種、スパルガノティス(Sparganothis)種、スポドプテラ(Spodoptera)種、スタスモポダ(Stathmopoda)種、ストモプテリクス・サブセシベラ(Stomopteryx subsecivella)、シナンセドン(Synanthedon)種、テシア・ソラニボラ(Tecia solanivora)、セルメシア・ゲマタリス(Thermesia gemmatalis)、ティネア・ペリオネラ(Tinea pellionella)、ティネオラ・ビセリエラ(Tineola bisselliella)、トルトリックス(Tortrix )種、トリコファガ・タペトゼラ(Trichophaga tapetzella)、トリコプラシア(Trichoplusia)種、ツタ・アブソルタ(Tuta absoluta)、ビラコラ(Virachola)種由来のものである。
【0290】
さらに他の例は、直翅目、たとえばアケタ・ドメスティカス(Acheta domesticus)、ブラッタ・オリエンタリス(Blatta orientalis)、ブラテラ・ゲルマニカ(Blattella germanica)、ディクロプラス(Dichroplus)種、グリロタルパ(Gryllotalpa)種、ロウコフェアエア・マデラエ(Leucophaea maderae)、トノサマバッタ種、メラノプラス(Melanoplus)種、ペリプラネタ(Periplaneta)種、プレックス・イリタンス(Pulex irritans)、スキストセルカ・グラガリア(Schistocerca gregaria)、スペラ・ロンギパルパ(Supella longipalpa)由来のものである。
【0291】
さらなる他の例は、ノミ目、たとえばセラトフィラス(Ceratophyllus)種、クテノセファリデス(Ctenocephalides)種、タンガ・ペネトランス(Tunga penetrans)、キセノプシラ・ケオピス(Xenopsylla cheopis)由来のものである。
【0292】
さらに他の例は、結合目、たとえばスクティゲレラ(Scutigerella)種由来のものである。
【0293】
さらなる他の例は、総翅目、たとえばアナフォスリプ・オブスカラス(Anaphothrips obscurus)、バリオスリプ・ビフォルミス(Baliothrips biformis)、ドレパノスリス・レウテリ(Drepanothris reuteri)、エネスリプ・フラベンス(Enneothrips flavens)、フランクリニエラ(Frankliniella)種、ヘリオスリプ(Heliothrips)種、ヘルシノスリプス・フェモラリス(Hercinothrips femoralis)、リピフォロスリプス・クルエンタタス(Rhipiphorothrips cruentatus)、スシルトシプス(Scirtothrips)種、タエニオスリプス・カルダモニ(Taeniothrips cardamoni)、アザミウマ種由来のものである。
【0294】
さらなる他の例は、シミ目(=総尾目)、たとえばレピスマ・サッカリナ(Lepisma saccharina)、セルモビア・ドメスティカ(Thermobia domestica)由来のものである。たとえばレピスマ・サッカリナ(Lepisma saccharina)、セルモビア・ドメスティカ(Thermobia domestica)。
【0295】
別の実施形態では、特に双殻綱由来の軟体動物門の有害生物、たとえばゼブラガイ(Dreissena)種もまた、重要な植物有害生物である。
【0296】
別の実施形態では、腹足綱の有害生物が、重要な植物有害生物、たとえばアニオン(Anion)種、ビオンファラリア(Biomphalaria)種、ブリヌス(Bulinus)種、デロセラス(Deroceras)種、ガルバ(Galba)種、モノアラガイ(Lymnaea)種、カタヤマガイ(Oncomelania)種、ポマセア(Pomacea)種、スクシネア(Succinea)種である。
【0297】
さらに別の実施形態では、植物有害生物が、線形動物門由来のものであり、重要な植物有害生物、すなわち植物寄生性の線虫であり、したがって、植物に損害を引き起こす植物寄生虫の線虫を意味する。植物線虫は、植物寄生虫の線虫および土中で生きている線虫を包含する。植物寄生虫の線虫は、キシフィネマ(Xiphinema)種、ロンギドラス(Longidorus)種、およびトリコドラス(Trichodorus)種などのような外部寄生虫;チレンチュラス(Tylenchulus)種などのような半寄生生物;プラチレンカス(Pratylenchus)種、ラドフォラス(Radopholus)種、およびスクテロネルナ(Scutellonerna)種などのような移動性の内部寄生虫;ヘテロデラ(Heterodera)種、グロボデラ(Globodera)種、およびメロイドギネ(Meloidogyne)種などのような定住性の寄生虫、ならびにディチレンカス(Ditylenchus)種、アフェレンコイデス(Aphelenchoides)種、およびヒルシュマニエラ(Hirshmaniella)種などのような茎および葉の内部寄生虫を含むが、これらに限定されない。そのうえ、有害な根寄生性土壌線虫は、ヘテロデラ属(Heterodera)もしくはグロボデラ属(Globodera)の嚢胞形成線虫および/またはメロイドギネ属(Meloidogyne)の根瘤線虫である。これらの属の有害な類は、たとえばメロイドギネ・インコグナタ(Meloidogyne incognata)、ヘテロデラ・グリシネ(Heterodera glycines)(ダイズ嚢胞線虫)、グロボデラ・パリダ(Globodera pallida)、およびグロボデラ・ロストキエンシス(Globodera rostochiensis)(ジャガイモ嚢胞線虫)である。植物有害生物として重要なさらに別の重要な属は、ロチレンカラス(Rotylenchulus)種、パラトリクロドラス(Paratriclodorus)種、パラチレンカス・ペネトランス(Pratylenchus penetrans)、ラドロファス・シムリ(Radolophus simuli)、ディチレンカス・ディスパシ(Ditylenchus dispaci)、チレンカラス・セミペネトランス(Tylenchulus semipenetrans)、キシフィネマ(Xiphinema)種、バルサフェレンカス(Bursaphelenchus)種、およびその他同種のものを含む。特に、アフェレンコイデス(Aphelenchoides)種、バルサフェレンカス(Bursaphelenchus)種、ディチレンカス(Ditylenchus)種、グロボデラ(Globodera)種、ヘテロデラ(Heterodera)種、ロンギドラス(Longidorus)種、メロイドギネ(Meloidogyne)種、パラチレンカス(Pratylenchus)種、ラドフォラス・シミリス(Radopholus similis)、トリコドラス(Trichodorus)種、チレンカラス・セミペネトランス(Tylenchulus semipenetrans)、キシフィネマ(Xiphinema)種を含む。
【0298】
アルファモウイルス、アレクシウイルス、アルファクリプトウイルス、アヌラウイルス、アプスカウイロイド、オーレウスウイルス、アベナウイルス、アイサンウイロイド、バドナウイルス、ベゴモウイルス、ベニウイルス、ベタクリプトウイルス、ベタフレキシウイリダエ、ブロモウイルス、ビモウイルス、カピロウイルス、カルラウイルス、カルモウイルス、カウリモウイルス、カベモウイルス、チェラウイルス、クロステロウイルス、コカドウイロイド、コレウイロイド、コモウイルス、クリニウイルス、ククモウイルス、クルトウイルス、シトルハブドウイルス、ジアントウイルス、エナモウイルス、ウムブラウイルス&B型サテライトウイルス、ファバウイルス、フィジウイルス、フロウイルス、ホルデイウイルス、ホスツウイロイド、イダエオウイルス、イラルウイルス、イポモウイルス、ルテオウイルス、マクロモウイルス、マクルラウイルス、マラフィウイルス、マストレウイルス、ナノウイルス、ネクロウイルス、ネポウイルス、ヌクレオルハブドウイルス、オレアウイルス、オフィノウイルス、オリザウイルス、パニコウイルス、ペクルウイルス、ペツウイルス、フィトレオウイルス、ポレロウイルス、ポモウイルス、ポスピウイロイド、ポテックスウイルス、ポチウイルス、レオウイルス、ラブドウイルス、リモウイルス、サドワウイルス、SbCMV様ウイルス、セクイウイルス、ソベモウイルス、テヌイウイルス、TNsatV様サテライトウイルス、トバモウイルス、トポクウイルス、トスポウイルス、トリコウイルス、トリチモウイルス、ツングロウイルス、チモウイルス、ウムブラウイルス、バリコサウイルス、ビチウイルス、またはワイカウイルスから選択される植物ウイルスもまた、植物有害生物であるとして本明細書において開示される。
【0299】
ある実施形態では、本発明が、植物病原性菌類に抵抗性のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞を提供し、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞が、菌類のスフィンゴ脂質に特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む。
【0300】
ある実施形態では、本発明が、植物病原性菌類による感染または他の生物学的相互作用に抵抗性のトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞を提供し、トランスジェニック植物または植物組織または植物細胞が、菌類のスフィンゴ脂質に特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む。
【0301】
方法および使用
さらなる態様は、植物病原体による感染から植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部を保護するための、植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部での植物病原体の増殖を阻害するための、および/または植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部の病原体抵抗性を増加させるための方法であって、植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部において病原体に特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを発現させるステップを含む方法を提供する。
【0302】
ある実施形態では、本発明が、植物病原体による感染または他の生物学的相互作用から植物または植物の一部を保護するまたは処置するための方法であって、植物もしくは植物組織もしくは植物細胞においてまたは植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部において(すなわちin plantaにおいて)、病原体に、特に菌類のスフィンゴ脂質に特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つの配列を含むポリヌクレオチドを発現させるステップを少なくとも含む方法を提供する。ある実施形態では、ポリヌクレオチドが、植物病原体、特に植物病原性菌類によるその感染または生物学的相互作用に対して植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部を保護するまたは処置するのに効率的な条件下で、植物もしくは植物組織もしくは植物細胞においてまたは植物もしくは植物組織もしくは植物細胞の少なくとも一部において(すなわちin plantaにおいて)発現されてもよい。
【0303】
ある特定の実施形態では、本発明が、植物病原体、特に植物病原性菌類の成長を阻害する、妨げる、低下させる、またはコントロールするための方法であって、病原体、特に菌類のスフィンゴ脂質に特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部において発現させるステップを少なくとも含む方法を提供する。
【0304】
ある他の実施形態では、本発明が、植物病原体、特に植物病原性菌類を死滅させるための方法であって、病原体、特に菌類のスフィンゴ脂質に特異的に結合するVHHをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを植物または植物組織または植物細胞の少なくとも一部において発現させるステップを少なくとも含む方法を提供する。
【0305】
ある実施形態では、本発明が、抗菌剤としての、好ましくは静菌剤としての、病原体に特異的に結合する重鎖抗体(VHH)の少なくとも1つの可変ドメインの使用であって、VHHが、植物または植物組織の少なくとも一部において発現されるポリヌクレオチドによってコードされる使用を提供する。
【0306】
ある実施形態では、本発明が、植物病原体、好ましくは植物病原性菌類に対してトランスジェニック植物または植物組織または植物細胞を保護するための、配列番号336および/または配列番号337のポリヌクレオチドの使用を提供する。
【0307】
ある実施形態では、本発明が、トランスジェニック植物または植物組織の収率を改善するための、配列番号336および/または配列番号337のポリヌクレオチドの使用を提供する。
【0308】
本発明は、本明細書において教示されるVHHを調製するまたは生成するための方法およびこれらをコードするポリヌクレオチドを産生するための方法をさらに提供する。そのような方法のいくつかの好ましいが、非限定的な例は、本明細書におけるさらなる説明から明らかになるであろう。
【0309】
当業者に明らかであるように、本明細書において開示されるVHH配列を調製するための特に有用な方法は、
a)本明細書において開示される重鎖可変ドメイン配列をコードするヌクレオチド配列またはその重鎖可変ドメイン配列をコードするヌクレオチド配列のベクターもしくは遺伝的構築物を発現させるステップおよび
b)任意選択によりVHH配列を精製するおよび/または単離するステップを一般に含む。
【0310】
本明細書において想定される特定の実施形態では、有害生物に特異的なVHH配列が、アミノ酸配列の無作為のライブラリーを生成し、スフィンゴ脂質標的に特異的に結合することができるアミノ酸配列についてこのライブラリーをスクリーニングすることを含む方法によって得ることができる。
【0311】
したがって、特定の実施形態では、本明細書において開示される重鎖可変ドメイン配列を調製するための方法が、
a)重鎖可変ドメイン配列のアミノ酸配列のセット、収集物、またはライブラリーを提供するステップ
b)スフィンゴ脂質標的に結合することができるおよび/またはそれに対する親和性を有するアミノ酸配列についてアミノ酸配列の前記セット、収集物、またはライブラリーをスクリーニングするステップ、ならびに
c)スフィンゴ脂質標的に結合することができるおよび/またはそれに対する親和性を有するアミノ酸配列を単離するステップを含む。
【0312】
そのような方法において、アミノ酸配列のセット、収集物、またはライブラリーは、アミノ酸配列の任意の適したセット、収集物、またはライブラリーであってもよい。たとえば、アミノ酸配列のセット、収集物、またはライブラリーは、免疫グロブリン断片配列の未処理のセット、収集物、もしくはライブラリー、免疫グロブリン断片配列の合成もしくは半合成セット、収集物、もしくはライブラリー;および/または親和性成熟にかけられた免疫グロブリン断片配列のセット、収集物、もしくはライブラリーなどのような免疫グロブリン断片配列(本明細書において記載される)のセット、収集物、またはライブラリーであってもよい。
【0313】
この方法の特定の実施形態では、アミノ酸配列のセット、収集物、またはライブラリーが、たとえば、スフィンゴ脂質標的によりもしくはそれに基づく適した抗原決定基により適切に免疫化された哺乳動物に由来するまたはその抗原性の一部、断片、領域、ドメイン、ループ、もしくは他のエピトープなどのようにそれに由来する免疫グロブリン断片配列の免疫セット、収集物、またはライブラリーであってもよい。ある特定の態様では、前記抗原決定基が、細胞外の一部、領域、ドメイン、ループ、または他の細胞外エピトープであってもよい。
【0314】
上記の方法では、アミノ酸配列のセット、収集物、またはライブラリーは、スクリーニングを容易にするなどのために、ファージ、ファージミド、リボソーム、または適した微生物(酵母など)上に表されてもよい。アミノ酸配列(のセット、収集物、またはライブラリー)を表し、スクリーニングするための適した方法、技術、および宿主生物体は、たとえば本明細書におけるさらなる開示に基づいて当業者に明らかになるであろう。Hoogenboom in Nature Biotechnology,23,9,1105-1116(2005)による概説もまた参照される。
【0315】
他の実施形態では、本明細書において開示されるVHH配列を生成するための方法が、
a)重鎖可変ドメインアミノ酸配列を発現する細胞の収集物またはサンプルを提供するステップ、
b)スフィンゴ脂質標的に結合することができるおよび/またはそれに対する親和性を有するアミノ酸配列を発現する細胞について細胞の前記収集物またはサンプルをスクリーニングするステップ、ならびに
c)(i)前記アミノ酸配列を単離するステップまたは(ii)前記アミノ酸配列をコードする核酸配列を前記細胞から単離し、その後、前記アミノ酸配列を発現させるステップを少なくとも含む。
【0316】
細胞の収集物またはサンプルは、たとえばB細胞の収集物またはサンプルであってもよい。また、この方法において、細胞のサンプルは、菌類標的によりもしくはそれに基づく適した抗原決定基により適切に免疫化された哺乳動物に由来するまたはその抗原性の一部、断片、領域、ドメイン、ループ、もしくは他のエピトープなどのようにそれに由来してもよい。ある特定の実施形態では、抗原決定基が、細胞外の一部、領域、ドメイン、ループ、または他の細胞外エピトープであってもよい。
【0317】
他の実施形態では、スフィンゴ脂質標的に向けられる重鎖可変ドメイン配列を生成するための方法が、
a)重鎖可変ドメインアミノ酸配列をコードする核酸配列のセット、収集物、またはライブラリーを提供するステップ、
b)スフィンゴ脂質標的に結合することができるおよび/またはそれに対する親和性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列について核酸配列の前記セット、収集物、またはライブラリーをスクリーニングするステップならびに
c)前記核酸配列を単離し、その後、前記アミノ酸配列を発現させるステップを少なくとも含んでいてもよい。
【0318】
アミノ酸配列をコードする核酸配列の上記の方法、セット、収集物、またはライブラリーは、たとえば、免疫グロブリン断片配列の未処理のセット、収集物、もしくはライブラリーをコードする核酸配列のセット、収集物、もしくはライブラリー;免疫グロブリン断片配列の合成もしくは半合成セット、収集物、もしくはライブラリーをコードする核酸配列のセット、収集物、もしくはライブラリー;ならびに/または親和性成熟にかけられた免疫グロブリン断片配列のセット、収集物、もしくはライブラリーをコードする核酸配列のセット、収集物、もしくはライブラリーであってもよい。
【0319】
特に、そのような方法において、核酸配列のセット、収集物、またはライブラリーは、VHHのセット、収集物、またはライブラリーをコードする。たとえば、核酸配列のセット、収集物、またはライブラリーは、ドメイン抗体もしくは単一ドメイン抗体のセット、収集物、もしくはライブラリーまたはドメイン抗体もしくは単一ドメイン抗体として機能することができるアミノ酸配列のセット、収集物、もしくはライブラリーをコードしてもよい。特定の実施形態では、ヌクレオチド配列のセット、収集物、またはライブラリーが、VHH配列のセット、収集物、またはライブラリーをコードする。
【0320】
上記の方法では、ヌクレオチド配列のセット、収集物、またはライブラリーは、スクリーニングを容易にするなどのために、ファージ、ファージミド、リボソーム、または適した微生物(酵母など)上に表されてもよい。アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列(のセット、収集物、またはライブラリー)を表し、スクリーニングするための適した方法、技術、および宿主生物体は、たとえば本明細書におけるさらなる開示に基づいて当業者に明らかになるであろう。Hoogenboom in Nature Biotechnology,23,9,1105-1116(2005)による概説もまた参照される。
【0321】
本発明はまた、上記の方法によってまたはその代わりに上記の方法のうちの1つならびにそのうえ、少なくとも、前記免疫グロブリン配列のヌクレオチド配列もしくはアミノ酸配列を決定するステップおよび適した宿主細胞もしくは宿主生物体における発現または化学合成によってなどのように、それ自体知られている方法で前記アミノ酸配列を発現させるまたは合成するステップを含む方法によって入手可能なまたは得られるアミノ酸配列にも関する。
【0322】
ある場合には、本明細書において想定される菌類標的に特異的に結合するアミノ酸配列を産生するための方法は、スフィンゴ脂質標的に対する検出可能な結合親和性またはスフィンゴ脂質標的に対する検出可能なインビトロにおける効果を有する少なくとも1つの重鎖可変ドメインをアミノ酸配列ライブラリーから単離するステップをさらに含んでいてもよい。
【0323】
これらの方法は、スフィンゴ脂質標的に対する検出可能な結合親和性またはスフィンゴ脂質標的の活性に対する検出可能なインビトロにおける効果を有する少なくとも1つの重鎖可変ドメインをコードする配列を増幅するステップをさらに含む。たとえば、本明細書において記載される方法の選択ステップから得られる特定のアミノ酸配列を表すファージクローンは、宿主細菌の再感染および成長培地におけるインキュベーションによって増幅されてもよい。
【0324】
特定の実施形態では、これらの方法が、スフィンゴ脂質標的に結合することができる1つまたは複数のアミノ酸配列の配列を決定するステップを包含してもよい。
【0325】
アミノ酸配列のセット、収集物、またはライブラリーに含まれる重鎖可変ドメイン配列が、適した細胞またはファージまたは粒子上に表される場合、前記細胞またはファージまたは粒子からそのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を単離することができる。このように、選択されるアミノ酸配列ライブラリーメンバーのヌクレオチド配列は、ルーチン的な配列決定法によって決定することができる。
【0326】
さらに特定の実施形態では、本明細書において想定される重鎖可変ドメインを産生するための方法が、実際の所望されるアミノ酸配列を得るために、適した条件下で宿主生物体において前記ヌクレオチド配列を発現させるステップを含む。このステップは、当業者に知られている方法によって実行することができる。
【0327】
そのうえ、スフィンゴ脂質標的に対する検出可能な結合親和性またはスフィンゴ脂質標的の活性に対する検出可能なインビトロにおける効果を有する得られた重鎖可変ドメイン配列は、任意選択によりそれらの配列が同定された後に、可溶性タンパク質構築物として合成されてもよい。
【0328】
たとえば、上記の方法によって得られる、入手可能な、または選択される重鎖可変ドメイン配列は、当技術分野において知られている組換え方法または化学合成方法を使用して合成することができる。また、上記の方法によって得られる、入手可能な、または選択されるアミノ酸配列は、遺伝子工学技術によって産生することができる。したがって、上記の方法によって得られる、入手可能な、または選択される重鎖可変ドメイン配列を合成するための方法は、スフィンゴ脂質標的に対する検出可能な結合親和性またはスフィンゴ脂質標的の活性に対する検出可能なインビトロにおける効果を有するアミノ酸配列をコードする核酸またはベクターにより宿主細胞を形質転換するまたは感染させるステップを含んでいてもよい。したがって、スフィンゴ脂質標的に対する検出可能な結合親和性またはスフィンゴ脂質標的の活性に対する検出可能なインビトロにおける効果を有するアミノ酸配列は、組換えDNA方法によって作製することができる。アミノ酸配列をコードするDNAは、従来の手順を使用して、容易に合成することができる。一旦調製されたら、DNAは、発現ベクターの中に導入することができ、次いで、組換え宿主細胞および/またはこれらの組換え宿主細胞が存在する培地においてアミノ酸配列の発現を得るために、これを、大腸菌(E.coli)または任意の適した発現系などのような宿主細胞の中に形質転換するまたはトランスフェクトすることができる。
【0329】
タンパク質発現および精製について当業者によって知られているように、適した発現系を使用して発現ベクターから産生される本明細書において教示されるVHHは、精製を容易にするためにたとえばHisタグまたは他の配列タグによりタグをつけられてもよい(典型的にアミノ酸配列のN-末端またはC-末端で)ことが理解されたい。
【0330】
宿主細胞への核酸またはベクターの形質転換またはトランスフェクションは、リン酸カルシウムDNA共沈殿、DEAE-デキストラン媒介性のトランスフェクション、ポリブレン媒介性のトランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポソーム融合、リポフェクション、プロトプラスト融合、レトロウイルス感染、および遺伝子銃を含む、当業者に知られている様々な手段によって達成されてもよい。
【0331】
所望の重鎖可変ドメイン配列の発現のための適した宿主細胞は、インビトロに位置するか、インビボに位置するかに関わらず、任意の真核または原核細胞(たとえば、大腸菌(E.coli)などのような細菌細胞、酵母細胞、哺乳動物細胞、鳥の細胞、両生動物の細胞、植物細胞、魚の細胞、および昆虫細胞)であってもよい。たとえば、宿主細胞は、トランスジェニック植物中に位置してもよい。
【0332】
したがって、本出願はまた、スフィンゴ脂質標的に対する検出可能な結合親和性またはスフィンゴ脂質標的の活性に対する検出可能なインビトロにおける効果を有する重鎖可変ドメイン配列の産生のための方法であって、そのようなアミノ酸配列をコードし、核酸配列またはベクターにより宿主細胞を形質転換し、トランスフェクトし、または感染させ、適した条件下でアミノ酸配列を発現させるステップを含む方法をも提供する。
【0333】
これらの方法の他の特定の実施形態では、植物病原体のスフィンゴ脂質に特異的に結合する少なくとも1つの重鎖可変ドメインまたはその機能的断片を得るステップが、
a)VHHまたはその機能的変異体のセット、収集物、またはライブラリーを提供するステップ、
b)植物病原体のスフィンゴ脂質に特異的に結合するおよび/またはそれに対する親和性を有する配列についてVHHまたはその機能的変異体の前記セット、収集物、またはライブラリーをスクリーニングするステップ、ならびに任意選択により
c)植物病原体のスフィンゴ脂質に特異的に結合するおよび/またはそれに対する親和性を有するVHHまたはその機能的変異体を単離するステップを含む。
【0334】
以下の非限定的な実施例は、本発明に従う方法および手段を記載する。実施例において特に指定のない限り、技術はすべて、当技術分野において標準的なプロトコールに従って実行される。以下の例は、本発明の実施形態を示すために含まれる。当業者らは、本開示を考慮して、本発明の概念、精神、および範囲から逸脱することなく、多くの変更が、開示される特定の実施形態においてなされ、同様のまたは類似する結果をなお得ることができることを十分に理解するはずである。より詳細には、化学的および生理学的の両方で関連するある作用物質が、本明細書において記載される作用物質と置換されてもよく、同じまたは同様の結果が、実現されるであろうということは明らかであろう。当業者らに明らかなすべてのそのような同様の置換および修飾は、添付の請求項によって定義されるように、本発明の精神、範囲、および概念の範囲内にあると考えられる。
【0335】
したがって、図、配列表、および実験の部/実施例は、本発明をさらに例証するためにのみ示され、本明細書においてその他に明示的に示されない限り、本発明および/または添付の請求項の範囲を限定するようには決して判断されるべきではないまたは解釈されるべきではない。
【0336】
上記の開示を、以下の非限定的な実施例によってここでさらに記載する。
【実施例
【0337】
実施例1
菌類グルコシルセラミドに対して親和性を有するペプチドをコードする核酸配列の単離
動物の免疫:VHHは、菌類グルコシルセラミド(GlcCer)で免疫化したラマから生成した。ラマは、タモギタケ(Pleurotus citrinopileatus)の薄層クロマトグラフィー(TLC)精製(99%)グルコシルセラミド(GlcCer)の6回の追加免疫(boost)により標準的なプロトコールに従って免疫化した(Nacalai Tesque)。精製GlcCerは、水:メタノール:クロロホルム混合物中で溶解し、TLCシリカガラスプレート上にスポットした。GlcCerを吸着したシリカをプレートから削り取り、リン酸バッファー中で懸濁した。懸濁液を超音波処理し、フロインド不完全フジュバントと混合し、皮下注射に使用した。VHHはまた、天然の発芽した菌類または卵菌の胞子により免疫化したラマからも生成した。ラマは、皮下注射によって、灰色かび病菌(Botrytis cinerea)またはフィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)の天然の発芽胞子の6回の追加免疫により標準的なプロトコールに従って免疫化した。ラマはすべて、免疫プロセスの全体にわたって健康なままであり、血液サンプルは免疫の前および後に得た。
【0338】
ライブラリー構築:抗体のファージライブラリーは、それぞれの個々のファージがキメラpIIIタンパク質の一部としてその表面上に特有の抗原結合抗体ドメインを現すファージ集団である。末梢血単核細胞は、メーカーの説明書に従ってFicoll-Hypaqueを使用し、免疫化したラマの血液サンプルから調製した。全RNAは、これらの細胞から抽出し、VHHコード遺伝子断片を増幅するためにRT-PCRの出発物質として使用した。これらの断片は、ファージミドベクターpASF20の中にクローニングした。pASF20は、単鎖産生のための、lacZプロモーター、合成リーダー配列、マルチプルクローニングサイト、大腸菌ファージpIIIタンパク質コード配列、アンピシリンに対する抵抗性遺伝子、およびM13ファージ開始点を含有するpUC119に由来する発現ベクターである。VHHコード配列とインフレームで、ベクターは、C-末端(His)6ペプチドタグおよびc-mycペプチドタグをコードする。ファージは、標準的な方法に従って調製した(Phage Display of Peptides and Proteins:A Laboratory Manual;Brian K.Kay,Jill Winter,Dr.John McCafferty)。それぞれ1E+08以上のクローン多様性を有する4つのライブラリーを得、ファージを産生し、抗体多様性の現れを確かめた。
【0339】
ファージディスプレーによるVHH選択:特定の抗原に対して特異的な抗原結合抗体ドメインを発現するファージを、抗原への結合についてライブラリー中のファージを選択することによって単離した。菌類GlcCerは、様々な濃度で水:メタノール:クロロホルム混合物またはメタノール中に菌類GlcCerを溶解し、マルチウェルプレートのウェルに、溶解した菌類GlcCerを追加し、室温で一晩乾燥させることによって、ポリスチレンMaxisorpマルチウェルプレート上に固定した。ファージディスプレーによるVHH選択の調製において、コーティング菌類GlcCerを有するウェルを洗浄し、1%魚ゼラチンにより遮断した。VHHライブラリーファージは、菌類GlcCerによりコーティングした96ウェルプレートのウェルに室温で2時間結合させた。菌類GlcCerへのファージ結合を特異的に選択するために、ファージは、1%魚ゼラチンおよび/またはBSAおよび/またはスキムミルクおよび/または植物GlcCerおよび/または哺乳動物GlcCerと共にあらかじめインキュベートした。結合していないファージは、徹底的な洗浄によって除去し、結合したファージは、RsAFP2による(Osborn et al.,1995)またはトリプシンによる競合的な溶出によって溶出した。1~3回の選択を連続して実行し、菌類GlcCerコーティングウェル由来のファージの力価を、それぞれ集積および特異性について、ブランクウェルおよび非標的病原体スフィンゴ脂質由来のファージの力価と比較した。集積は、最初のおよび続く回の選択で観察され、1回または複数回の選択の後のファージ集団は、ELISAにおいて菌類GlcCerに対する特異性を既に示した(図示せず)。個々のクローンは、配列分析および主要な結合アッセイによるさらなる特徴付けのために、第1、第2、および/または第3回の選択から採集した。
【0340】
配列アッセイおよび結合アッセイによるVHH特徴付け:得られた抗体または抗体ドメイン集団の多様性は、ハイスループットDNAシークエンシングを使用して速やかに決定することができ、クローン多様性の正確な定量化を可能にする。抗体または抗体ドメインの結合および抗原に結合する特異性は、その抗原への結合についてのアッセイにおいて分析することができ、関係するおよび無関係なコントロールと比較することができる。それぞれの抗体または抗体ドメインは、特異的な抗原および場合によりその抗原の抗原性の変異体に結合することができる。特異性は、抗体または抗体ドメインの結合が抗原性の変異体を区別する程度である。第1、第2、または第3回のファージディスプレー選択から採集された個々のVHHクローンから、DNAをコロニーPCRにおいて増幅し、PCR産物をサンガーシークエンシングによってシークエンシングした。配列分析の後に、また配列多様性に基づいて、VHHをさらなる特徴付けのために選択した。種特異性をチェックするために、標的種および非標的種由来の菌類および非菌類GlcCerを結合アッセイにおいて使用した。どのクローンがライブラリーから機能的に選択されるかを同定する主要な結合アッセイを、TLC精製(99%)GlcCerまたはA.ブラシシコラ(A.brassicicola)、灰色かび病菌(B.cinerea)、C.ベティコラ(C.beticola)、F.カルモラム(F.culmorum)、F.グラミネラム(F.graminearum)、F.オキシスポラム(F.oxysporum)、P.シトリノピレアタス(P.citrinopileatus)、P.ディジタタム(P.digitatum)、P.エクスパンサム(P.expansum)、もしくはV.ダリア(V.dahlia)由来のGlcCerが豊富なスフィンゴ糖脂質(GSL)画分により実行した。(Ternes et al.,2011 JBC 286:11401-14において記載されるように調製した)。ダイズ由来のGlcCerおよびブタGlcCerは、Avanti Polar Lipidsから購入した。VHHを96ウェルディープウェルプレート中で生成し、希釈粗VHH含有周辺質抽出物の結合プロファイルをELISA方式で判断した。同じ方法で、結合アッセイを精製VHHにより実行した。
【0341】
主要な結合アッセイから、130 VHH含有周辺質抽出物は、無関係なVHH_A、無関係なVHH_B、およびブランクよりも高度なOD405nm値で菌類GlcCerに結合することを示した。これらの菌類GlcCer結合VHHのいくつかの特異的な結合を実証するOD405nm値を図1に示す。配列分析は、抗GlcCer VHHの同定されたセットから84の特有の配列を明らかにした。
【0342】
示差的な結合スクリーニングによるさらなる特徴付け:さらなる特徴付けのために、上述のリードパネルに属するVHHを、標準的な手順に従って培養フラスコ中の大腸菌(E.coli)において産生した。ヘキサヒスチジンのタグをつけたVHHは、メーカーの説明書に従って、TALON金属親和性樹脂(Clontech)により周辺質抽出物から精製した。精製したVHHを濃縮し、PBSに対して透析した。VHHはまた、固定ニッケルIMACおよび脱塩カラムの組み合わせを使用し、自動化精製システムを使用して精製した。主要な結合アッセイにおいて陽性と記録されたリードパネルのVHHは、様々な菌類植物病原性物質由来のGlcCerまたは細胞壁画分に対するそれらの特異性について続いて試験した。
【0343】
図2、3A、3B、および3Cにおいて実証されるように、GlcCer特異的VHHは、菌類GlcCer(タモギタケ(Pleurotus citrinopileatus)、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum))に対して特異的な結合を示したが、他の非菌類GlcCerにもブランク非コーティングウェルにも特異的な結合を示さなかった。
【0344】
表面プラズモン共鳴法:菌類GlcCerへのVHHの結合は、Biacore 3000機器において表面プラズモン共鳴法によって特徴づけた。抗GlcCer VHH 41D01または無関係なVHH_Aは、1000応答単位の増加に到達するまで、アミンカップリングを介してCM5センサーチップ表面に共有結合させた。残りの反応基は、不活性化した。Salio et al.,2013 PNAS 110,E4753-E4761に従って調製した溶液中の一連の濃度のフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)GlcCerを、30μl/分の流速で2分間注射し、チップに結合したVHHに結合させた。GlcCerなしのランニングバッファーを同じ流速でチップ上に注射し、10分間、結合した菌類GlcCerを自然に解離させた。Koff値は、1:1ラングミュア解離グローバルフィッティングモデルにより、様々な菌類GlcCer濃度について得たセンサーグラムから計算した。
【0345】
抗GlcCer VHHについては、4.861E-4/秒の遅いoff速度が計算された。図4に示されるように、無関係なVHHは、菌類GlcCerに結合しなかった。
【0346】
溶液中の植物(大豆)、哺乳動物(豚肉)、および菌類(フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum))GlcCerを、30μl/分の流速で2分間連続して注射し、チップに結合したVHH(抗GlcCer VHH 41D01または無関係なVHH_A)に結合させた。GlcCerなしのランニングバッファーを各注射の間に同じ流速でチップ上に注射し、結合したGlcCerを自然に解離させた。
【0347】
抗GlcCer VHH 41D01または無関係なVHH_Aへの植物または哺乳動物GlcCer結合は観察されなかった。菌類GlcCerの特異的な結合は、抗GlcCer VHH 41D01について観察されたが、無関係なVHH_Aについては観察されなかった。
【0348】
様々な菌類脂質抽出物への示差的な結合:無関係な化合物と比較した様々な菌類脂質抽出物への抗GlcCer VHH組成物の結合。
【0349】
菌類抽出物は、Rodrigues et al.2000 Infection and Immunity 68(12):7049-60に従って調製した。手短かに言えば、灰色かび病菌(Botrytis cinerea)B05-10、灰色かび病菌(Botrytis cinerea)MUCL401、灰色かび病菌(Botrytis cinerea)R16、灰色かび病菌(Botrytis cinerea)(所有する西洋ナシ分離株)、フザリウム・カルモラム(Fusarium culmorum)MUCL555、フザリウム・グラミネラム(Fusarium graminearum)MUCL53451、ミドリカビ病菌(Penicillium digitatum)MUCL43-410、ミドリカビ病菌(Penicillium digitatum)(所有するレモン分離株)、またはペニシリウム・エクスパンサム(Penicillium expansum)CBS 146.45由来の菌糸体を、菌類から収穫し、寒天プレートにおいて増殖させ、脂質を、クロロホルム/メタノール2:1(体積/体積)および1:2(体積/体積)により抽出し、粗脂質抽出物をFolch et al.1957.Journal of Biological Chemistry 226(1):497-509に従って分配した。菌類脂質抽出物はフォルチの下層から回収した。抗GlcCer VHH 41D01(0.1μg/ml)および抗GlcCer VHH 56F11(1μg/ml)の結合は、抽出菌類脂質(それぞれ1/20希釈液中)、精製フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)GlcCer、精製タモギタケ(Pleurotus citrinopileatus)GlcCer、および無関係な化合物:リンゴペクチン(高エステル化リンゴペクチン70~75%、Sigma、cat#:76282)、柑橘類のペクチン(低エステル化柑橘類ペクチン20~34%、Sigma、cat#P9311)、もしくはジャガイモレクチン(ソラヌム・ツベロサム(Solanum Tuberosum)レクチン、Vector labs、cat#:L-1160)またはブランク非コーティングウェルによりコーティングしたウェルに対して評価した。結合は、酵素コンジュゲート検出抗体との連続するインキュベーション、基質の追加、および405nmでの吸光度の測定の後に測定した。バーは、平均OD 405nmの値を示し、エラーバーは、n=2の平均値の標準誤差を示す。
【0350】
図5中に示されるように、抗GlcCer VHH 41D01および56F11は、試験した菌類脂質抽出物をすべて特異的に認識した。抗GlcCer VHH 41D01および56F11は、無関係なコーティング化合物または非コーティングウェルへの結合を示さなかった。多くの菌類脂質抽出物への抗GlcCer VHH組成物の結合は、様々な菌類に対する本明細書において開示される抗GlcCer VHH組成物についての様々な適用を有力にする。
【0351】
様々な水性組成物中の菌類GlcCerへの抗GlcCer VHHの結合:
抗GlcCer VHH 41D01および/またはプロテアーゼ阻害剤および/または非イオン性界面活性剤および/または保存剤を含有する水性組成物を調製した。組成物A1(プロテアーゼ阻害剤:0.06μg/mlアプロチニン(Roche、cat#:10236624001)、0.5μg/mlロイペプチン(Roche、cat#:11017101001)、24μg/ml 4-ベンゼンスルホニルフルオリドヒドロクロリド(Sigma、A8456)、1mM EDTA(Carl-Roth、cat#8040.1)、および非イオン性界面活性剤:0.00001%ポリソルベート20(Tween20、Sigma、cat#P2287);組成物A2(プロテアーゼ阻害剤:1μg/mlアプロチニン、2.5μg/mlロイペプチン、100μg/ml 4-ベンゼンスルホニルフルオリドヒドロクロリド、1mM EDTA、および非イオン性界面活性剤:0.05%ポリソルベート20);組成物A3(プロテアーゼ阻害剤:2μg/mlアプロチニン、5μg/mlロイペプチン、240μg/ml 4-ベンゼンスルホニルフルオリドヒドロクロリド、1mM EDTA、および非イオン性界面活性剤:5%ポリソルベート20)、組成物B1(非イオン性界面活性剤:0.0001%%ポリソルベート20)、組成物B2(非イオン性界面活性剤:0.05%ポリソルベート20)、組成物B3(非イオン性界面活性剤:5%ポリソルベート20)、および組成物C1(保存剤:0.05%安息香酸ナトリウム(Sigma、cat# B3420))。様々な水性組成物中の菌類GlcCerへの抗GlcCer VHH(0.1μg/ml)の結合を、F.オキシスポラム(F.oxysporum)由来のコーティングGlcCerでELISAにおいて試験し、ブランク非コーティングウェルと比較した。結合は、酵素コンジュゲート検出抗体との連続するインキュベーション、基質の追加、および405nmでの吸光度の測定の後に測定した。
【0352】
図6において、様々な組成物中のGlcCer特異的VHH 41D01の値を、他の添加剤がない溶液中の41D01と比較した。GlcCer特異的VHH 41D01がすべての試験した組成物中の菌類GlcCerに特異的に結合することができたことが図6において示される。
【0353】
実施例2
本発明の実施形態に従うトランスジェニック植物の生成
シロイヌナズナは、植物病原性菌類のスフィンゴ脂質に特異的に結合するVHHをコードするポリヌクレオチドの発現のために様々なベクターにより形質転換した。ポリヌクレオチドは、図7に概略的に示されるように、分泌のための(たとえば2S2)、細胞質への局在化のための(たとえば開始コドン)、または小胞体への配置のための(たとえばKDEL)標的シグナルをコードする少なくとも1つの配列を含む。トランスジェニックシロイヌナズナ植物は、様々な植物病原性菌類でバイオアッセイにおいて分析する。
【0354】
VHH 41D01をコードするポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物を作製した。さらに、VHH 56F11をコードするポリヌクレオチドを含むトランスジェニック植物を作製した。VHH 41D01およびVHH 56F11をコードするポリヌクレオチドのヌクレオチド配列は、配列番号336および配列番号337によってそれぞれ示される。
【0355】
VHH 41D01および56F11をコードするポリヌクレオチドのそれぞれならびに様々なタグ配列、シグナル配列、スペーサー配列、ヒンジ配列、および/またはFc配列をコードするポリヌクレオチドを含む様々なキメラ構築物を作製した。これらの様々なキメラ構築物を表4に列挙する。
【0356】
【表10】
【0357】
表5は、様々なキメラ構築物を生成するために使用される様々なタグ、シグナル配列、スペーサー、ヒンジ領域、またはFcのタンパク質配列を列挙する。
【0358】
【表11】
【0359】
表4のキメラ構築物は、pK7WG2デスティネーションベクター中の35S CaMVプロモーター(配列番号354)の転写コントロール下に置いた(さらに下記を参照)。
【0360】
エントリーベクターの生成
表6に列挙されるベクターは、GeneArt(登録商標)遺伝子合成(Life technologies)に注文した。
【0361】
【表12】
【0362】
これらの配列のPCR増幅は、制限部位(EcoRI+BamHI)を導入するために特異的なプライマー(pMA_FWおよびpMA_REV)を使用して行った。プライマーの第2のセット(pCYTO_FWおよびpMA_REV)は、細胞質内標的シグナルを導入するために使用した。このために、配列4および8を鋳型として使用した。pMA_FW、pMA_REV、およびpCYTO_FWの配列を表7に列挙する。
【0363】
【表13】
【0364】
制限消化を、増幅した断片およびエントリーベクターE-IgG3-GmRの両方に対して実行した。このベクターは、さらに下流のGatewayに適合するクローニングのためにAttL1部位およびAttL2部位を導入する。消化配列断片およびベクター断片を精製した(配列断片には精製キットおよびベクター断片にはインゲル精製を使用して)。
【0365】
消化配列断片を、消化E-IgG3-GmRベクターの中にライゲーションした。
【0366】
次に、得られたエントリークローン(合計10:2×VHH-KDEL、2×sec-VHH、2×sec-biVHH、2×sec-VHH-Fc、および2×cyto-VHH)をDH5α大腸菌(E.coli)細胞の形質転換のために使用した。
【0367】
エントリークローンごとに、10のコロニーをコロニーPCRを介してチェックした。各構築物のうち、4つまでのポジティブクローンを単一のコロニーについてスクリーニングするために再び平板培養し、次に、コロニーPCRは、ハイフィデリティーポリメラーゼを使用して、生成された単一のコロニーに対して実行した(Phusion PCR、New England Biolabs)。
【0368】
このPhusion PCRから結果として生じるPCR産物(合計35)を、配列分析のためにLGC Genomicsに送った。
【0369】
発現ベクターの生成
シークエンシングのために送ったすべての35のエントリーベクター(合計10の異なるエントリーベクター構築物に相当)について最初に続きを行った。DNAをそれぞれの構築物から精製し、pK7WG2デスティネーションベクターへのLR反応(Gatewayクローニング)のために使用した(Plant Systems Biology(Karimi et al.,“Gateway vectors for Agrobacterium-mediated plant transformation”.Trends Plant Sci.2002 May;7(5):193-195);配列番号358。
【0370】
得られた発現クローンは、DH5α大腸菌(E.coli)細胞の形質転換のために使用した。
【0371】
35のエントリークローンから得られたシークエンシング結果に基づいて、10の様々なエントリーベクター構築物のそれぞれのポジティブな候補を選択した。
【0372】
発現クローンごとに、2つのコロニーをコロニーPCRを介してチェックした。発現クローン当たり1つのポジティブなクローンから、プラスミドを調製し、配列分析のために送った(VIB sequence service facility)。
【0373】
10のエントリークローンのそれぞれおよび10の発現クローンのそれぞれを含有するDH5α大腸菌(E.coli)細胞のグリセロールバンク(glycerol bank)を確立した(合計20のエントリー)。10の発現ベクターを表8に列挙する。
【0374】
【表14】
【0375】
アグロバクテリウムおよびシロイヌナズナ形質転換に向けた発現ベクターの形質転換
10の発現構築物のそれぞれ(配列番号359~368)を、アグロバクテリウム株C58C1 Rif(pMP90)に形質転換した;(Koncz and Schell(1986)Mol.Gen.Genet.204,383-396)。コロニーは、コロニーPCRを介して発現ベクターの存在についてチェックした。10の発現構築物のそれぞれについて、ポジティブな株を同定した。
【0376】
これらのポジティブな株から、グリセロールバンクを確立した。
【0377】
同じポジティブな株を、フローラルディッピングを使用するシロイヌナズナCol-0 WT植物の形質転換のために使用した。構築物当たり5つの植物をディップした。フローラルディップ形質転換プロトコールは、Clough SJ,Bent AF(1998)Floral dip:a simplified method for Agrobacterium-mediated transformation of Arabidopsis thaliana.Plant J 16:735-743において記載される。
【0378】
シロイヌナズナのフローラルディップ形質転換により6週間後にT1種子が生成された。構築物当たり、300~400mgのT1種子を得た。
【0379】
T1種子は、漂白剤およびエタノールによって滅菌し、カナマイシン(50mg/L)、ナイスタチン(50mg/L)、およびバンコマイシン(750mg/L)を補ったK1培地に播いた。7mlの0.1%アガロースと共に播いた後、プレートは、4℃で4晩、最初にインキュベートし、次いで、グロースチャンバーに移した。それぞれの構築物について、30のカナマイシン抵抗性のT1植物を土に移し、さらに種子を付けさせた。
【0380】
VHH発現分析
T1植物-VHH発現の確認:
ウェスタンブロッティングによるT1植物から単離された葉におけるVHH発現分析(タンパク質レベル)
それぞれの構築物について(合計10)、VHHタンパク質発現分析を30のT1植物に対して実行した。それぞれのT1植物から、2枚の葉をカットし、2mlエッペンドルフ中に収穫し、液体窒素中で冷却し、2つのスチール4mmボールにより20Hzで2分間砕いた。粉末は、100μl抽出バッファー(20mM Pi、300mM NaCl、0.1% CHAPS、pH7.8、cOmplete(登録商標)プロテアーゼ阻害剤)中で溶解し、遠心分離して(10分間、最高速度、4℃)、細胞片を遠心沈殿させた。上清は、新たなエッペンドルフに移し、再び遠心分離した(10分間、最高速度、4℃)。90μlの最終的な上清を取っておき、22.5μlのグリセロールを追加し、抽出物を-20℃で保存した。それぞれの抽出物の総タンパク質含有量をBradford分析によって決定した。総タンパク質濃度は、0.5~4mg/mlの範囲にわたった。
【0381】
タンパク質抽出物は、SDS-PAGE(12%TGXゲル;Bio-Rad)、その後ウェスタンブロッティング(WB)によって分析した。SDS-PAGE分析のために、それぞれの抽出物の総タンパク質含有量の10μgに相当する容量をゲルにロードした。WB検出は、2ステップで実行した:一次抗体は、マウス抗His(Serotec;1/1000希釈)とした。二次抗体は、2つの抗体の混合物を含んだ:ヒツジ抗-mIgG-HRP(GE;1/5000希釈)および抗IgG1HRP(Sigma;1/1000希釈)。Fc断片を含有する構築物については、検出は、ヤギ抗マウスIgG3-HRP(Sigma;1/5000希釈)を使用して、シングルステップで実行した。VHH構築物の適切なサイズに一致したバンドが現われたすべてのイベントは、VHH構築物が発現されたイベントと考えられた。
【0382】
WB分析から、発現がFc断片に融合されたVHHについて最も高度であったことが明らかになった。構築物sec_41D01_ヒンジ_Fc_HISおよびsec_56F11_ヒンジ_Fc_HISによる分析を継続することを決定した。
【0383】
WBでVHHの発現を示したT1植物は、さらに種子を付けさせ、T2種子を分離比分析のために収穫した。
【0384】
T2植物-分離比分析
T2種子は、漂白剤およびエタノールによって滅菌し、カナマイシン(50mg/L)、ナイスタチン(50mg/L)、およびバンコマイシン(750mg/L)を補ったK1培地に播いた。7mlの0.1%アガロースと共に播いた後、プレートは、4℃で4晩、最初にインキュベートし、次いで、グロースチャンバーに移した。ゲノム中の単一の遺伝子座に発現構築物を含有する系統を同定するために、プレートを、カナマイシン感受性対抵抗性の実生の数の比について記録し、この比が1:3から逸脱したプレートは、廃棄した。最も高度なVHH発現を示した単一コピー系統について、10の植物を土に移し、さらに種子を付けさせた。T3種子は、接合性分析のために収穫した。
【0385】
T3植物-接合性分析
T3種子は、漂白剤およびエタノールによって滅菌し、カナマイシン(50mg/L)、ナイスタチン(50mg/L)、およびバンコマイシン(750mg/L)を補ったK1培地に播いた。7mlの0.1%アガロースと共に播いた後、プレートは、4℃で4晩、最初にインキュベートし、次いで、グロースチャンバーに移した。プレートを、カナマイシン抵抗性の実生の数について記録し、すべての実生が抵抗性だとは限らなかったプレートは、廃棄した。残りのホモ接合性の系統については、植物を種子繁殖のために土に移した。
【0386】
実施例3
機能的アッセイ
グルコシルセラミド結合アッセイ
sec_56F11_ヒンジ_Fc_HISを過剰発現するシロイヌナズナのホモ接合性単一コピーイベント由来の葉抽出物を、グルコシルセラミド(GlcCer)の結合についてELISAにおいて試験した。このために、マルチウェルプレート(Greiner Bio-one、μClear、black、half area、high bind)のウェルを、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)から精製した250ngのGlcCer(50μlの5μg/ml溶液)によりコーティングした。コーティングの後、プレートは1時間PBS中で1%ゼラチンにより遮断した。遮断剤を除去し、プレートを1時間、50μlの(希釈)葉抽出物と共にインキュベートした。次に、プレートをPBSで3回洗浄する。プレートを1時間、マウス抗His(Serotec)と共にインキュベートする。プレートをPBSで3回洗浄した後に、プレートを1時間、抗マウスIgG/アルカリホスファターゼ抗体(Sigma)と共にインキュベートした。PBSで3回を洗浄した後に、プレートは、各ウェル中にELISAバッファー(100mM Tris-HCl;100mM NaCl;5mM MgCl;pH9,5;2mg/ml PNPP ELISA基質(Sigma)を含有する)を追加することによって現像した。5分後、405nmでの吸光度を測定した。コントロールとして、非コーティングウェルを使用した。図8は、菌類GlcCerへの葉抽出物中のsec_56F11_ヒンジ_Fc_HISの特異的な結合を示す。
【0387】
灰色かび病菌(Botrytis cinerea)感染アッセイ
シロイヌナズナ(A.thaliana)野生型(Col-0)ならびにsec_41D01_ヒンジ_Fc_HISおよびsec_56F11_ヒンジ_Fc_HISを過剰発現する植物は、21℃、湿度75%、およびおよそ120μmol/msの光度での12時間の明暗サイクルのグロースチャンバーにおいて、土(「DCM potgrond voor Zaaien en Stekken」、DCM、Sint-Katelijne-Waver、Belgium)中で5週間成長させた。灰色かび病菌(B.cinerea)胞子懸濁液(B05.10、1/2PDB中5×10/mL)の5μLの液滴を植物当たり3枚の葉の上に接種した。植物は、接種後、ほぼ100%の湿度を保持するために、透明な密封ボックス中で保った。病気の症状は、接種の3、4、および7日後(dpi)にネクローシスの損傷の直径を測定することによって記録した。5つのボックスに分けた系統および条件当たり20の植物を分析した。
【0388】
図9Aは、野生型植物と比較して、菌類GlcCerに対するVHHを発現する植物において灰色かび病菌(B.cinerea)に対する抵抗性が増加したことを示す。
【0389】
さらなる感染アッセイは、6つのボックスに分けた系統および条件当たり24の植物を使用して同一の条件下で実行した。sec_41D01_ヒンジ_Fc_HISを過剰発現する、第1のバイオアッセイと異なる系統の植物を使用した。図9Bは、野生型植物と比較して、菌類GlcCerに対するVHHを発現する植物において灰色かび病菌(B.cinerea)に対する抵抗性が増加したことが確認される。
【0390】
実施例4
抗GlcCer VHH含有葉抽出物の抗真菌活性のインビトロにおける評価
抗GlcCer VHHを過剰発現するシロイヌナズナのホモ接合性単一コピーイベントから、2枚の葉をカットし、2mlエッペンドルフ中に収穫し、液体窒素中で冷却し、2つのスチール4mmボールにより20Hzで2分間砕いた。粉末は、100μl抽出バッファー(20mM Pi、300mM NaCl、0.1% CHAPS、pH7.8、cOmplete(登録商標)プロテアーゼ阻害剤)中で溶解し、遠心分離して(10分間、最高速度、4℃)、細胞片を遠心沈殿させる。上清は、新たなエッペンドルフに移し、再び遠心分離する(10分間、最高速度、4℃)。この最終的な上清を抗真菌バイオアッセイにおいて使用する。
【0391】
抗GlcCer VHH含有葉抽出物の抗真菌活性は、Thevissen et al.,2011,Bioorg.Med.Chem.Lett.21(12):3686-92;Francois et al.,2009,J.Biol.Chem.284(47):32680-5;Aerts et al.,2009,FEBS Lett.583(15):25143-6において記載されるように、液体培地においておよび寒天プレート上で抗真菌薬アッセイを使用して試験する。阻害作用は、灰色かび病菌(Botrytis cinerea)およびフィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)のインビトロにおける増殖に対して抗GlcCer VHH含有葉抽出物について決定する。
【0392】
水中抗GlcCer VHH含有葉抽出物の2倍の希釈液を、96ウェルマイクロタイタープレート中で調製する。20μlのこれらの希釈液およびコントロールとしての20μlの水に、80μlの菌類胞子懸濁液(半分の濃度のポテトデキストロースブロス(PDB)中1E+05胞子/ml)を追加する。菌類試験株は、アルタナリア.ブラシシコラ(Alternaria brassicicola)MUCL20297、灰色かび病菌(Botrytis cinerea)R16、セルコスポラ・ベティコラ(Cercospora beticola)(所有するサトウダイコン分離株)、フザリウム・カルモラム(Fusarium culmorum)MUCL555、およびバーティシリウム・ダリアエ(Verticillium dahliae)MUCL6963とする。試験プレートは、暗中室温で72時間インキュベートし、試験化合物の抗真菌活性は顕微鏡で記録し、基準の写真に基づいて定量化し、それによって、0または100のスコアは、それぞれ、菌類増殖なしまたは最大の増殖を指す。全ての試験が、少なくとも1つの複製で行われた。
【0393】
抗真菌活性アッセイの結果は、抗GlcCer VHH含有葉抽出物の希釈の関数で菌類増殖%として表現される増殖阻害パターンの間で明らかな差異を示す。この差異は、試験菌類の種に関係なく明らかである。
【0394】
結果は、抗GlcCer VHH含有葉抽出物の抗真菌効力を示す。さらに、結果は、少なくとも5つの異なる菌類植物病原体への抗GlcCer VHH含有葉抽出物の抗真菌活性の広域スペクトルを明らかにし、選択された抗GlcCer VHH含有葉抽出物の抗真菌活性のスペクトルが他の植物病原性菌類に広げることができることを示す。
【0395】
実施例5
菌類感染に対して作物を保護するための抗GlcCer VHHを含有する葉抽出物の抗真菌活性の植物体評価
灰色かび病菌(Botrytis cinerea)を接種したトマトの葉に対する抗GlcCer VHHを含有する葉抽出物の効能:予防的処置。
【0396】
抗GlcCer VHHを過剰発現するシロイヌナズナのホモ接合性単一コピーイベント由来の葉抽出物を、トマトに対する灰色かび病菌(Botrytis cinerea)感染アッセイにおいて試験する。灰色かび病菌(Botrytis cinerea)B05-10を接種したトマト葉についての病気の重症度に対する抗GlcCer VHHを含有する植物抽出物による予防的処置の効果を評価し、水の効果と比較する。
【0397】
温室で成長させたトマト植物由来の葉を、10μlのVHH含有葉抽出物および水により処置する。適用した組成物の乾燥と同時に、灰色かび病菌(Botrytis cinerea)胞子懸濁液の10μlの液滴(4倍希釈のPDB中6E+06胞子/ml)を処置した表面に適用する。処置し、接種した葉は、小植物用プロパゲーターにおいて高度な相対湿度および室温でインキュベートする。病気の重症度は、接種の6日後(dpi)に二方向の直径を測定して記録する。
【0398】
抗GlcCer VHH組成物による予防的処置は、水による処置よりも小さな平均損傷直径をもたらす。水による処置と比較して、抗GlcCer VHH含有葉抽出物の適用によるトマト葉の予防的処置は、病気の重症度の低下を明らかにもたらす。そのため、抗GlcCer VHH含有葉抽出物は、農業の適用において菌類病原体に対して作物を保護するための抗真菌薬化合物として使用される効力を示す。
【0399】
灰色かび病菌(Botrytis cinerea)を接種したトマト葉に対する抗GlcCer VHH組成物の効能:治療的処置
灰色かび病菌(Botrytis cinerea)B05-10を接種したトマト葉についての病気の重症度に対する抗GlcCer VHH含有葉抽出物による治療的処置の効果を評価し、水の効果と比較する。
【0400】
温室で成長させたトマト植物由来の葉に、灰色かび病菌(Botrytis cinerea)胞子懸濁液(4倍希釈のPDB中(6E+06胞子/ml))の10μlの液滴を接種する。接種の1時間後、葉の接種したスポットを、10μlのVHH含有葉抽出物および水により処置する。接種し、処置した葉は、小植物用プロパゲーターにおいて高度な相対湿度および室温でインキュベートする。病気の重症度は、5dpiに二方向の直径を測定して記録する。
【0401】
抗GlcCer VHH含有葉抽出物による治療的処置は、水による処置よりも小さな平均損傷直径をもたらす。水による処置と比較して、抗GlcCer VHH含有葉抽出物の適用によるトマト葉の治療的処置は、病気の重症度の低下を明らかにもたらす。そのため、抗GlcCer VHH含有葉抽出物は、農業の適用において菌類病原体に対して作物を保護するための抗真菌薬化合物として使用される効力を示す。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
【配列表】
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