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特許7089882無線電力伝送システムおよび無線電力伝送方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】無線電力伝送システムおよび無線電力伝送方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/12 20160101AFI20220616BHJP
   H02J 50/90 20160101ALI20220616BHJP
【FI】
H02J50/12
H02J50/90
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018004818
(22)【出願日】2018-01-16
(65)【公開番号】P2019126164
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】山根 俊博
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/114942(WO,A1)
【文献】特開2011-259585(JP,A)
【文献】特開2012-147657(JP,A)
【文献】国際公開第2017/056284(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/080285(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/141340(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/042974(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/136491(WO,A1)
【文献】特開2013-099249(JP,A)
【文献】特開2013-118658(JP,A)
【文献】特開2015-204739(JP,A)
【文献】特表2013-528041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コイルと、第1可変リアクタンス回路と、前記第1コイルと前記第1可変リアクタンス回路とを直列接続する第1ケーブルと、前記第1ケーブルの長さを調整する第1ケーブル長調整部と、を含む送電側共振回路を複数有するとともに前記各送電側共振回路に電力を供給する交流電源を有する送電装置と、
第2コイルと、第2可変リアクタンス回路と、前記第2コイルと前記第2可変リアクタンス回路とを直列接続する第2ケーブルと、前記第2ケーブルの長さを調整する第2ケーブル長調整部と、を含む受電側共振回路を1または複数有するとともに前記各受電側共振回路の負荷回路を有する受電装置と
を備え、
前記複数の送電側共振回路と前記1または複数の受電側共振回路とを共鳴結合することで前記交流電源から前記負荷回路へ電力を無線伝送するシステムであって、
さらに、
前記受電装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記受電装置の位置を示す情報と、前記第1可変リアクタンス回路のリアクタンスを示す情報及び前記第2可変リアクタンス回路のリアクタンスを示す情報と、前記第1ケーブルの長さ及び前記第2ケーブルの長さを示す情報と、が対応付けられて記憶されたデータベースに基づいて、前記位置情報取得部が取得する前記位置情報に対応するリアクタンスとケーブルの長さとを求めることにより、前記第1可変リアクタンス回路のリアクタンス及び前記第2可変リアクタンス回路のリアクタンスと、前記第1ケーブルの長さ及び前記第2ケーブルの長さと、を制御する制御部と、
を備える無線電力伝送システム。
【請求項2】
第1コイルと、第1可変リアクタンス回路と、前記第1コイルと前記第1可変リアクタンス回路とを直列接続する第1ケーブルと、前記第1ケーブルの長さを調整する第1ケーブル長調整部と、を含む送電側共振回路を複数有するとともに前記各送電側共振回路に電力を供給する交流電源を有する送電装置と、
第2コイルと、第2可変リアクタンス回路と、前記第2コイルと前記第2可変リアクタンス回路とを直列接続する第2ケーブルと、前記第2ケーブルの長さを調整する第2ケーブル長調整部と、を含む受電側共振回路を1または複数有するとともに前記各受電側共振回路の負荷回路を有する受電装置と、
前記受電装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記受電装置の位置を示す情報と、前記第1可変リアクタンス回路のリアクタンスを示す情報及び前記第2可変リアクタンス回路のリアクタンスを示す情報と、前記第1ケーブルの長さ及び前記第2ケーブルの長さを示す情報と、の対応関係を表す情報を含むデータベースと、
前記データベースを参照して、前記位置情報取得部が取得した前記位置情報に基づき前記第1可変リアクタンス回路のリアクタンス及び前記第2可変リアクタンス回路のリアクタンスと、前記第1ケーブルの長さ及び前記第2ケーブルの長さと、を制御する制御部と
を備え、
前記複数の送電側共振回路と前記1または複数の受電側共振回路とを共鳴結合することで前記交流電源から前記負荷回路へ電力を無線伝送する
無線電力伝送システム。
【請求項3】
第1コイルと、第1可変リアクタンス回路と、前記第1コイルと前記第1可変リアクタンス回路とを直列接続する第1ケーブルと、前記第1ケーブルの長さを調整する第1ケーブル長調整部と、を含む送電側共振回路を複数有するとともに前記各送電側共振回路に電力を供給する交流電源を有する送電装置と、
第2コイルと、第2可変リアクタンス回路と、前記第2コイルと前記第2可変リアクタンス回路とを直列接続する第2ケーブルと、前記第2ケーブルの長さを調整する第2ケーブル長調整部と、を含む受電側共振回路を1または複数有するとともに前記各受電側共振回路の負荷回路を有する受電装置と、
位置情報取得部と、
制御部と
を用いて、前記複数の送電側共振回路と前記1または複数の受電側共振回路とを共鳴結合することで前記交流電源から前記負荷回路へ電力を無線伝送する方法であって、
前記位置情報取得部によって、前記受電装置の位置情報を取得し、
前記制御部によって、前記受電装置の位置を示す情報と、前記第1可変リアクタンス回路のリアクタンスを示す情報及び前記第2可変リアクタンス回路のリアクタンスを示す情報と、前記第1ケーブルの長さ及び前記第2ケーブルの長さを示す情報と、を対応付けてあらかじめ記憶されたデータベースに基づいて、前記位置情報取得部が取得する前記位置情報に対応するリアクタンスとケーブルの長さとを求めることにより、前記第1可変リアクタンス回路のリアクタンス及び前記第2可変リアクタンス回路のリアクタンスと、前記第1ケーブルの長さ及び前記第2ケーブルの長さと、を制御する
無線電力伝送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線電力伝送システムおよび無線電力伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレットPC(パーソナルコンピュータ)などのモバイル端末、電気自動車の普及段階に入っているが、これらに必須な蓄電池は現状では必要十分な容量を有しているとは言い難い。至る所に充電インフラを揃える事で、常に蓄電池はフル充電という状況を作り出せる。その一つの方策として、無線電力伝送がにわかに注目を浴びている。無線電力伝送には、電磁誘導方式、電界共鳴方式(電界共振方式等ともいう)、磁界共鳴方式(磁界共振方式等ともいう)、電波放射方式など各種方式が提案されている。特に電磁誘導方式や電界・磁界共鳴方式では、送電装置と受電装置の相対的な位置関係によっては、電力の伝送効率が著しく低下するという課題がある。例えば、送受電装置が正対する方向から数cmずれると、電力伝送効率が半分以下に低下することが報告されている。
【0003】
一例として、図5および図6を参照して、送受電装置が正対する方向から数cmずれると、電力伝送効率が半分以下に低下する事例について説明する。
図5は、従来の無線電力伝送システムの構成例を説明するための回路図であり、図6は、図5に示す無線電力伝送システムの伝送効率を説明するための図である。
図5に示すように、無線電力伝送システム90は、送電装置1aと、受電装置2aと、を備える。また、送電装置1aは、共振回路31と、共振回路32と、を備える。また、受電装置2aは、共振回路41と、共振回路42と、を備える。共振回路31は、直列接続された可変リアクタンス回路304と、アンテナのケーブル3051と、アンテナのコイル305と、を備える。共振回路32、共振回路41、共振回路42に関しても、共振回路31と同様に、それぞれ可変リアクタンス回路(306、401、403)と、アンテナのケーブル(3071、4021、4041)と、アンテナのコイル(307、402、404)と、を備える。
【0004】
図6は、図5に示す無線電力伝送システム90において、送受電システム間距離d0を変化させた場合の伝送効率S21の計算結果を示している。実線であらわすL61は、(送受電システム間距離d0=100mm、ケーブル長L=620mm)の場合の計算結果(共振周波数f0と伝送効率S21との関係)を表わしている。また、点線であらわすL62は、(送受電システム間距離d0=20mm、ケーブル長L=620mm)の場合の計算結果を示している。L61は、設計した共振周波数(目標共振周波数という)f0orgにおいて、伝送効率S21がピークとなっており、無線電力伝送システムにおいては、共振周波数f0orgにおける伝送効率S21が、0.87程度と高効率な無線電力伝送を実現していることが分かる。
【0005】
これに対して、L62は、共振周波数f0が低下し、共振周波数f0orgにおける伝送効率S21は0.28程度となり、L61と比較して1/3程度に低下している。すなわち、送受電システム間距離d0が設計時の100mmから20mmにずれた場合、送受電システム間距離d0=100mmの場合と比較して、電力伝送効率が半分以下である1/3程度に低下していることが分かる。
このように、送受信システム間距離d0の位置ずれによる変化により、伝送効率が大幅に低下してしまう。
【0006】
従来技術としては、例えば特許文献1に記載されているシステムのように、伝送効率を最大化する位置関係からのずれの影響が小さくなるシステムは存在するが、給電方向は制御できないとともに、位置関係からのずれを制御するために共振周波数(固有周波数)を変更する際の変更制御を簡易に行うことができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-57458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の事情を考慮してなされたものであり、送電装置と受電装置の任意の位置関係において高効率な電力伝送を実現することができ、かつ、共振周波数を変更することにより位置ずれによる伝送効率の低下を簡易に抑制することができる無線電力伝送システムおよび無線電力伝送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明の一態様は、第1コイルと、第1可変リアクタンス回路と、前記第1コイルと前記第1可変リアクタンス回路とを直列接続する第1ケーブルと、前記第1ケーブルの長さを調整する第1ケーブル長調整部と、を含む送電側共振回路を複数有するとともに前記各送電側共振回路に電力を供給する交流電源を有する送電装置と、第2コイルと、第2可変リアクタンス回路と、前記第2コイルと前記第2可変リアクタンス回路とを直列接続する第2ケーブルと、前記第2ケーブルの長さを調整する第2ケーブル長調整部と、を含む受電側共振回路を1または複数有するとともに前記各受電側共振回路の負荷回路を有する受電装置とを備え、前記複数の送電側共振回路と前記1または複数の受電側共振回路とを共鳴結合することで前記交流電源から前記負荷回路へ電力を無線伝送するシステムであって、さらに、前記受電装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記受電装置の位置を示す情報と、前記第1可変リアクタンス回路のリアクタンスを示す情報及び前記第2可変リアクタンス回路のリアクタンスを示す情報と、前記第1ケーブルの長さ及び前記第2ケーブルの長さを示す情報と、が対応付けられて記憶されたデータベースに基づいて、前記位置情報取得部が取得する前記位置情報に対応するリアクタンスとケーブルの長さとを求めることにより、前記第1可変リアクタンス回路のリアクタンス及び前記第2可変リアクタンス回路のリアクタンスと、前記第1ケーブルの長さ及び前記第2ケーブルの長さと、を制御する制御部と、を備える無線電力伝送システムである。
【0010】
また、本発明の一態様は、第1コイルと、第1可変リアクタンス回路と、前記第1コイルと前記第1可変リアクタンス回路とを直列接続する第1ケーブルと、前記第1ケーブルの長さを調整する第1ケーブル長調整部と、を含む送電側共振回路を複数有するとともに前記各送電側共振回路に電力を供給する交流電源を有する送電装置と、第2コイルと、第2可変リアクタンス回路と、前記第2コイルと前記第2可変リアクタンス回路とを直列接続する第2ケーブルと、前記第2ケーブルの長さを調整する第2ケーブル長調整部と、を含む受電側共振回路を1または複数有するとともに前記各受電側共振回路の負荷回路を有する受電装置と、前記受電装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記受電装置の位置を示す情報と、前記第1可変リアクタンス回路のリアクタンスを示す情報及び前記第2可変リアクタンス回路のリアクタンスを示す情報と、前記第1ケーブルの長さ及び前記第2ケーブルの長さを示す情報と、の対応関係を表す情報を含むデータベースと、前記データベースを参照して、前記位置情報取得部が取得した前記位置情報に基づき前記第1可変リアクタンス回路のリアクタンス及び前記第2可変リアクタンス回路のリアクタンスと、前記第1ケーブルの長さ及び前記第2ケーブルの長さと、を制御する制御部とを備え、前記複数の送電側共振回路と前記1または複数の受電側共振回路とを共鳴結合することで前記交流電源から前記負荷回路へ電力を無線伝送する無線電力伝送システムである。
【0012】
また、本発明の一態様は、第1コイルと、第1可変リアクタンス回路と、前記第1コイルと前記第1可変リアクタンス回路とを直列接続する第1ケーブルと、前記第1ケーブルの長さを調整する第1ケーブル長調整部と、を含む送電側共振回路を複数有するとともに前記各送電側共振回路に電力を供給する交流電源を有する送電装置と、第2コイルと、第2可変リアクタンス回路と、前記第2コイルと前記第2可変リアクタンス回路とを直列接続する第2ケーブルと、前記第2ケーブルの長さを調整する第2ケーブル長調整部と、を含む受電側共振回路を1または複数有するとともに前記各受電側共振回路の負荷回路を有する受電装置と、位置情報取得部と、制御部とを用いて、前記複数の送電側共振回路と前記1または複数の受電側共振回路とを共鳴結合することで前記交流電源から前記負荷回路へ電力を無線伝送する方法であって、前記位置情報取得部によって、前記受電装置の位置情報を取得し、前記制御部によって、前記受電装置の位置を示す情報と、前記第1可変リアクタンス回路のリアクタンスを示す情報及び前記第2可変リアクタンス回路のリアクタンスを示す情報と、前記第1ケーブルの長さ及び前記第2ケーブルの長さを示す情報と、を対応付けてあらかじめ記憶されたデータベースに基づいて、前記位置情報取得部が取得する前記位置情報に対応するリアクタンスとケーブルの長さとを求めることにより、前記第1可変リアクタンス回路のリアクタンス及び前記第2可変リアクタンス回路のリアクタンスと、前記第1ケーブルの長さ及び前記第2ケーブルの長さと、を制御する無線電力伝送方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、送電装置と受電装置の任意の位置関係において高効率な電力伝送を実現することができ、かつ、共振周波数を変更することにより位置ずれによる伝送効率の低下を簡易に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態の無線電力伝送システムの構成例を説明するための回路図である。
図2図1に示すケーブル長調整部の構成を示す図である。
図3図1に示すデータベース53の構成例を説明するための模式図である。
図4図1に示す無線電力伝送システムの伝送効率を説明するための図である。
図5】従来の無線電力伝送システムの構成例を説明するための回路図である。
図6図5に示す無線電力伝送システムの伝送効率を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態の無線電力伝送システムの構成例を説明するための回路図である。図1に示す無線電力伝送システム10は、磁界共鳴方式の無線電力伝送システムであり、送電装置1と、受電装置2と、制御装置5とを備える。
【0016】
送電装置1は、コイル(インダクタ)と可変リアクタンス回路からなる複数の共振回路(送電側共振回路)31、32を有するとともに、共振回路31および32に電力を供給する交流電圧源301(交流電源)と、交流電源の内部抵抗302と、可変リアクタンス回路(第1可変リアクタンス回路)303と、制御部17とを有する。
本願においてリアクタンス回路とは、容量性リアクタンスを有するコンデンサや誘導性リアクタンスを有するコイルから構成される回路である。また、可変リアクタンス回路とは、リアクタンスを可変制御することができるリアクタンス回路である。例えば、各可変リアクタンス回路は各1個の可変コンデンサで構成することができる。
また、コイルと可変リアクタンス回路からなる共振回路の共振周波数は、可変リアクタンス回路のリアクタンスを予め定めた所定の値に制御した場合に共振回路の誘導性リアクタンスと容量性リアクタンスが等しくなる周波数である。
共振回路31はアンテナのケーブル(以下、ケーブルという)3051により直列接続されたアンテナのコイル(以下、コイルという)305および可変リアクタンス回路304を有する。
すなわち、(送電側)共振回路31は、コイル305と、可変リアクタンス回路304と、コイル305と可変リアクタンス回路304とを直列接続するケーブル3051と、ケーブル3051のケーブルの長さ(ケーブル長L)を変化させるケーブル長調整部3052とから構成される。
【0017】
ここで、ケーブル3051のケーブル長Lを変化させることは、抵抗を変えるためではなく、ケーブル長Lにより可変リアクタンス回路に流れる電流の位相を調整するためである。これは、原理的には、ケーブル部を伝送線路と見立てて伝送線路の長さにより位相を調整することと同じ手段である。
本実施形態では、整合回路のインピーダンスを直接調整するのではなく、調整の手段としてケーブル長Lを変えることで簡易に共振周波数f0を変えることができることが主目的となる。
そのため、本実施形態では、図1に示すように、従来システムを示す図5と比較すると、アンテナのケーブル3051にケーブル長調整部3052を挿入している。
【0018】
図2は、図1に示すケーブル長調整部の構成を示す図である。図2(a)および(b)は、ケーブルのケーブル長Lを可変とするための回路構成の一例を示している。図2(a)は、ツマミとして回転ツマミ(Rotary Knob)を利用したケーブル長調整部を示し、図2(b)は、ツマミとして水平方向に調整するツマミ(Horizontal Direction Adjusting Knob)を利用したケーブル長調整部を示している。
図2(a)に示すように、ケーブル3051の一端(端子1)は、可変リアクタンス回路304の他端に接続されている。ケーブル長調整部3052は、ツマミを回転させることにより、同図中のケーブルと矢印部分の接点を移動してケーブル長を調整する。ケーブル3051のケーブル長調整後の他端は、コイル305の一端(端子2)に接続されることになる。
また、図2(b)に示すように、ケーブル3051の一端(端子1)は、可変リアクタンス回路304の他端に接続されている。ケーブル長調整部3052は、ツマミを、直線形状を有するレール上を水平方向に移動させることにより、同図中のケーブルと矢印部分の接点を移動してケーブル3051のケーブル長を調整する。ケーブル3051のケーブル長調整後の他端は、コイル305の一端(端子2)に接続されることになる。
このように、図2に示すケーブル長調整部でケーブル長を変化させることにより、共振周波数を調整する(詳細後述)。
【0019】
図1に戻って、共振回路32は、コイル307と、可変リアクタンス回路306と、コイル307と可変リアクタンス回路306とを直列接続するケーブル3071と、ケーブル長調整部3072とから構成される。
なお、コイル305および307は、軸方向が一定方向となるように配列されている。また、送電装置1は、可変リアクタンス回路303を有し、可変リアクタンス回路303を介して交流電圧源301から共振回路31および32へ電力を供給する。また、可変リアクタンス回路303、304および306のリアクタンスはそれぞれリアクタンスX、XおよびXであるとする。交流電圧源301の出力周波数と、共振回路31および32の共振周波数とは同一である。
【0020】
送電装置1において、交流電圧源301の出力の一方は接地されていて、他方は抵抗302の一端に接続されている。抵抗302の他端は可変リアクタンス回路303の一端に接続されている。可変リアクタンス回路303の他端は、可変リアクタンス回路304および可変リアクタンス回路306の各一端に接続されている。可変リアクタンス回路304の他端はケーブル3051の一端に接続されている。可変リアクタンス回路306の他端はケーブル3071の一端に接続されている。ケーブル3051の他端はケーブル長調整部3052を介してコイル305の一端に接続されている。ケーブル3071の他端はケーブル長調整部3072を介してコイル307の一端に接続されている。コイル305およびコイル307の各他端は接地されている。
【0021】
可変リアクタンス回路304、306および303は、例えば、可変コンデンサを用いて構成する場合、MEMS(Micro Electro Mechanical System)可変容量素子、可動部とトリマコンデンサの組み合わせ等、制御部17が例えば電気的に静電容量を可変することができる素子を用いて構成することができる。また、可変リアクタンス回路304、306および303は、例えば、可変インダクタを用いて構成する場合、可動部とフェライトコイルの組み合わせ等、制御部17が例えば電気的にインダクタンスを可変することができる素子を用いて構成することができる。制御部17は、制御装置5から受信したリアクタンス制御用の制御信号に基づき、可変リアクタンス回路304、306および303のリアクタンスを制御する。送電装置1は、例えば無線LAN(ローカルエリアネットワーク)等を用いて可変リアクタンス回路304、306および303のリアクタンスを制御するための制御信号を制御装置5から受信する。
また、上述したケーブル3051およびケーブル3071のケーブル長の変化の指示は、例えば、制御装置5における制御部51が、制御部17に、リアクタンス制御としてケーブル長の変化指示を送信し、制御部17がケーブル長を変化する構成をとってもよい。もちろん、ユーザが、予め位置情報により設計されたケーブル長を、実際の位置情報に応じてツマミを用いて調整しても構わない。
【0022】
一方、受電装置2は、コイルと可変リアクタンス回路からなる共振回路(受電側共振回路)41および42を有するとともに、可変リアクタンス回路(第2可変リアクタンス回路)405と、抵抗406と、制御部23を有する。
共振回路41は、コイル402と、可変リアクタンス回路401と、コイル402と可変リアクタンス回路401とを直列接続するケーブル4021と、ケーブル長調整部4022とから構成される。
共振回路42は、コイル404と、可変リアクタンス回路403と、コイル404と可変リアクタンス回路403とを直列接続するケーブル4041と、ケーブル長調整部4042とから構成される。
また、共振回路41および42の共振周波数は、送信側の共振回路31および32の共振周波数と同一である。
なお、コイル402および404は、軸方向が一定方向となるように配列されている。
また、受電装置2は、可変リアクタンス回路405を有し、可変リアクタンス回路405を介して共振回路41および42から抵抗406へ電力を供給する。
受電装置2において、コイル402の一端はケーブル長調整部4022を介して可変リアクタンス回路401の一端に接続されていて、他端は接地されている。コイル404の一端はケーブル長調整部4042を介して可変リアクタンス回路403の一端に接続され、他端は接地されている。
可変リアクタンス回路401および可変リアクタンス回路403の各他端は、可変リアクタンス回路405の一端に接続されている。可変リアクタンス回路405の他端は、抵抗406の一端に接続されている。抵抗406の他端は接続されている。
ここで、抵抗406は、例えば照明やカメラといった機器(負荷回路)であり、1個の電球であってもよいし、整流回路、電圧変換回路、蓄電池、その他の電気・電子回路等を含むものであってもよい。また、受電装置2は、図示してない入出力装置、位置取得装置や通信装置を備えていてもよい。受電装置2は、例えば、スマートフォンやタブレットPCなどのモバイル端末、電気自動車等に搭載あるいは内蔵されている。また、制御部23は、モバイル端末、電気自動車等が備えるコントローラ(コンピュータ)が提供する一機能として構成されていてもよい。
【0023】
可変リアクタンス回路401、403および405は、送電装置1における可変リアクタンス回路304、306および303と同様に、制御部23が例えば電気的にリアクタンスを可変することができる素子を用いて構成することができる。また、可変リアクタンス回路401、403および405のリアクタンスはそれぞれリアクタンスX、XおよびXであるとする。制御部23は、制御装置5から受信したリアクタンス制御用の制御信号に基づき、可変リアクタンス回路401、403および405のリアクタンスを制御する。
また、制御部23は、受電装置2の位置情報を制御装置5に対して提供する。受電装置2と制御装置5は例えば無線LAN(ローカルエリアネットワーク)等を用いて可変リアクタンス回路401、403および405のリアクタンスを制御するための制御信号や位置情報を送受信する。制御部23は、例えば、受電装置2が有する図示していない屋内GPS(Global Positioning System)やビーコンの受信機を用いて受電装置2の位置情報を取得したり、ユーザの受電装置2に対する図示していない入力部に対する所定の入力操作に基づいて位置情報を決定したりすることができる。
また、ケーブル4021およびケーブル4041のケーブル長の変化の指示は、例えば、制御装置5における制御部51が、制御部23に、リアクタンス制御としてケーブル長の変化指示を送信し、制御部23がケーブル長を変化する構成をとってもよい。もちろん、ユーザが、予め位置情報により設計されたケーブル長を、実際の位置情報に応じてツマミを用いて調整しても構わない。
【0024】
位置情報は、例えば、3次元(あるいは2次元)の受電装置2の座標と、共振回路41が有するコイル402および共振回路42が有するコイル404の軸方向とによって定義することができる。ただし、コイル402およびコイル404の軸方向を表す情報は位置情報に必ずしも含まれていなくてもよい。例えば、受電時の受電装置2の向きが固定である場合、すなわちコイル402およびコイル404の軸方向が例えば鉛直方向一定である場合とか、一定の傾斜角と向きで固定されている場合等には、位置情報は座標情報から構成されるものとすることができる。なお、コイル402およびコイル404の軸方向は、例えば、受電装置2が有する図示していない地磁気センサ、加速度センサ、傾斜角センサ等を用いて検知することができる。
【0025】
本実施形態の無線電力伝送システム10は、上述した送電装置1と受電装置2によって、送電側の複数の共振回路31および32と受電側の共振回路41および42を共鳴結合することで交流電圧源301から抵抗406へ電力を無線伝送する。
【0026】
一方、制御装置5は、コンピュータであり、中央処理装置、記憶装置、通信装置、入出力装置等を有する。制御装置5は、例えば記憶装置に記憶されている所定のプログラムを実行することで各装置を制御して次の機能を提供する。すなわち、本実施形態において、制御装置5は、制御部51および位置情報取得部52として機能するとともに、記憶装置内にデータベース53を格納して管理する。
【0027】
制御部51は、データベース53を参照して、位置情報取得部52が取得した受電装置2の位置情報に基づき送電装置1および受電装置2の各可変リアクタンス回路の各リアクタンスを制御する。制御部51は、例えば、送電装置1および受電装置2の任意の位置関係において予め取得したコイル305、307、402および404の自己インダクタンスと各コイル間の相互インダクタンスと共振周波数f0に基づいて、例えば特願2016-248197や特願2017-058620に記載された決定手順を用いて、電力の伝送効率が高効率となるように設計時において求めた、可変リアクタンス回路304および306と可変リアクタンス回路401および403(あるいはさらに可変リアクタンス回路303および405)の各リアクタンスの最適化した値を有するように各リアクタンスを制御する。
【0028】
位置情報取得部52は、受電装置2の位置情報を受電装置2から取得する。
データベース53は、受電装置2の位置情報とケーブル長Lと各可変リアクタンス回路の各リアクタンスを決定するための情報との対応関係を表す情報を含む。データベース53は、例えばその対応関係を表す情報を1または複数のテーブルとして含む。各リアクタンスを決定するための情報とは、例えば、各位置情報に対応した各リアクタンスの値そのものであってもよい。複数の位置情報の個数は、例えば、受電装置2を受電可能とする範囲を一定の領域毎に区分した各区分に対応する個数である。図3は、データベース53の構成例を説明するための模式図である。図3はデータベース53が含むテーブルの構成例を示す図であり、図3はデータベース53が含むテーブルが含むレコードの構成例を示す。
【0029】
図3に示すレコード53Rは、位置情報フィールド531とケーブル長情報フィールド532とリアクタンス情報フィールド533とを含む。
位置情報フィールド531は、受電装置2から位置情報取得部52が取得する受電装置2の位置情報と同一の(あるいは対応する)情報が格納される。位置情報は、例えば3次元または2次元の受電装置2の座標を表す情報と共振回路41が有するコイル402および共振回路42が有するコイル404の軸方向を表す情報とを含む。
ケーブル長情報フィールド532は、上記ケーブル3051、3071、4021および4041のケーブル長Lを、ケーブル長調整部3052、3072、4022および4042により調整可能な値の範囲にしたケーブル長L情報が格納される。
また、リアクタンス情報フィールド533は、位置情報に基づく送電装置1と受電装置2の位置関係におけるコイル305、307、402および404の各自己インダクタンスと各コイル間の各相互インダクタンスとケーブル長Lに基づく共振周波数f0(交流電圧源301の出力の角周波数と等しい)に基づいて、例えば特願2016-248197や特願2017-058620に記載された決定手順を用いて、電力の伝送効率が高効率となるように設計時において求めた、可変リアクタンス回路304および306と可変リアクタンス回路401および403(あるいはさらに可変リアクタンス回路303および405)の各リアクタンスの最適値を表わす情報を格納する。
【0030】
なお、データベース53は、図2に示すテーブルの他、例えば、交流電圧源301の出力電圧、出力周波数および出力抵抗、抵抗406の抵抗値等を表す情報を格納するテーブルを含むことができる。
【0031】
また、上述したように、コイル(305、307、402および404)とアンテナのケーブル(3051、3071、4021および4041)と可変リアクタンス回路(304、306、401および403)からなる共振回路31、32、41および42の共振周波数f0は、可変リアクタンス回路(304、306、401および403)のリアクタンスを予め定めた所定の値に制御した場合に共振回路の誘導性リアクタンスと容量性リアクタンスが等しくなる周波数である。
ここで、本実施形態においては、使用するケーブル(ケーブル3051、3071、4021および4041)のケーブル長を物理的に変化させることにより共振周波数f0を制御し、位置ずれによる伝送効率の低下を防止する。
【0032】
図4は、図1に示す無線電力伝送システムにおいて、ケーブルのケーブル長Lを変化させた場合の伝送効率S21の計算結果を示している。実線であらわすL41は、(送受信システム間距離(以下、位置情報という)d0=20mm、ケーブル長L=620mm)の場合の計算結果(共振周波数f0と伝送効率S21との関係)を表わしている。
この計算条件は、図6に示すケーブル長L62の計算条件と同様である。
また、L41以外の共振周波数f0と伝送効率S21との関係は、ケーブル長を位置情報d0=20mmの条件下で、点線で表すL42(ケーブル長L=520mm)、破線で表すL43(ケーブル長L=420mm)、一点鎖線で表すL44(ケーブル長L=320mm)、二点鎖線点線で表すL45(ケーブル長L=220mm)のようにケーブル長さLを変化させた場合の計算結果である。
【0033】
図4に示すように、ケーブル長Lが短くなるにつれて共振周波数f0が高周波数側にシフトしており、ケーブル長Lの変化により共振周波数f0が制御可能であることが分かる。
本ケースでは、ケーブル長L=297mmとすると、共振周波数f0は、図6に示す、設計時のL61(位置情報d0=100mm、ケーブル長L=620mm)という条件下での目標共振周波数f0org=13.56MHzに一致し、目標共振周波数f0orgにおける伝送効率S21をピークとすることができる。
以上の結果から、ケーブル長Lを制御することにより、共振周波数f0を設計時の目標共振周波数f0orgに一致させ、目標共振周波数f0orgにおいて高い伝送効率S21を実現可能であることが分かる。
【0034】
ここで、データベース53は、上述のように、位置情報フィールド531と、ケーブル長情報フィールド532と、リアクタンス情報フィールド533と、を含む。そして、データベース53は、受電装置2の位置情報とケーブル長L情報と各可変リアクタンス回路の各リアクタンスを決定するための情報との対応関係を表す情報を含む。
すなわち、データベース53に登録されている各位置情報d0に対応する各可変リアクタンス回路の各リアクタンス(リアクタンスX、X、X、X、XおよびX)は、送電装置と受電装置とを位置情報d0に対応する位置関係に配置した場合に得られる各送電側共振回路および各受電側共振回路の共振周波数f0と電力の伝送効率S21との関係に基づき決定された各値を有する。
また、共振周波数f0と電力の伝送効率S21との関係は、各位置情報(位置情報d0)および各位置情報に対応するケーブルの長さ(ケーブル長L)からなる組合せの情報で構成され、目標共振周波数f0orgに対応するピークとなる電力の伝送効率を含んでいる。
つまり、各送電側共振回路および各受電側共振回路の共振周波数f0と電力の伝送効率S21との関係は、設計時において目標とした目標共振周波数f0orgに対応するピークとなる電力の伝送効率S21を含むため、例えば、データベース53は、上記L61(位置情報d0=100mm、ケーブル長L=620mm)の情報、と当該情報に基づいて予め設計時において算出された各リアクタンスを含んで構成される。
また、データベース53は、実際の動作のとき、位置情報d0がd0=100mmからd0=20mmに位置ずれを起こしているとき、d0=20mmに対応するケーブル長Lであって、目標共振周波数f0orgに対応するピークとなる電力の伝送効率S21を含むため、位置情報d0およびケーブル長L(d0=20mm、L=297mm)の情報と、と当該情報に基づいて予め設計時において算出された各リアクタンスを含んで構成される。
【0035】
もちろん、データベース53は、d0=20mm以外の値に位置ずれを起こしたとき、当該位置情報d0に対応するケーブル長Lであって、目標共振周波数f0orgに対応するピークとなる電力の伝送効率S21を含むため、位置情報d0およびケーブル長Lからなる複数の組合せの情報、当該情報に基づいて予め設計時において算出された各リアクタンスを含んで構成され、目標共振周波数f0orgに対応するピークとなる電力の伝送効率を含んでいる。
【0036】
以上の構成において、図1に示す無線電力伝送システム10では、受電装置2は、自装置の位置情報を例えば定期的に制御装置5に対して送信する。制御装置5では、受電装置2が送信した位置情報を位置情報取得部52が受信する。位置情報取得部52が位置情報を受信すると、制御部51は、送電装置1の位置(既知)と受電装置2から送信された位置情報、およびケーブル長L情報により、電力伝送効率が最大となるように送電装置1および受電装置2内の各可変リアクタンス回路の最適リアクタンス、および各ケーブル長Lを、データベース53から読み出すことで決定する。そして、制御部51は、決定した最適リアクタンスに基づき、送電装置1および受電装置2に設置した可変リアクタンス回路のリアクタンスを制御するとともに、各ケーブルのケーブル長Lを制御する。これによって、本実施形態によれば、送受電装置の位置関係によらず高効率であり、かつ共振周波数を変更することにより位置ずれによる伝送効率の低下を簡易に抑制することができる無線電力伝送が可能となる。
【0037】
以上のように、設計時において算出された各可変リアクタンス回路の各リアクタンス、および各ケーブルのケーブル長Lをデータベース53から読み出し、送電装置1および受電装置2に設置した可変リアクタンス回路のリアクタンスを制御するとともに、共振回路31、32、41及び42のケーブル長Lを制御することで、本実施形態では、磁界共鳴方式の無線電力伝送システムにおいて特定の方向への給電に際して(すなわち任意の位置関係に配置した場合でも)例えば送電装置の物理的回転をすることなく高い電力伝送効率を実現することができ、かつ、共振周波数を変更することにより位置ずれによる伝送効率の低下を簡易に抑制することができる。
【0038】
なお、本発明の実施形態は、図1に示す構成に限定されない。例えば送電装置1が有する共振回路31および32は、2個に限らず、3以上の複数個とすることができる。ただし、立体的に給電方向を調整する場合には3以上の複数個であることが望ましい。また、受電装置2が有する共振回路41および42は、2個に限らず、1または3以上の複数個であってもよい。また、共振回路を2以上の複数個とする場合には、各共振回路と抵抗406の間に可変リアクタンス回路405(第2可変リアクタンス回路)を設けてもよい。受電装置2に共振回路を複数設置した場合、更なる高効率化を図ることが可能である。
【0039】
また、本実施形態では、送電装置1が固定して設置されていて、受電装置2は移動可能な状態で使用される。ただし、送電装置1と受電装置2の両方を移動可能な状態で使用したり、受電装置2の一方を固定して設置したりしてもよい。送電装置1を移動させる場合には、送電装置1に位置情報の検知部と送信部とを設け、送電装置1が送信した位置情報を位置情報取得部52が受信するようにする。また、データベース53の位置情報フィールド531には、例えば、送電装置1と受電装置2の双方の位置情報あるいは相対的な位置関係を示す情報を格納する。
【0040】
なお、本発明の実施形態は上記のものに限定されず、発明の要旨を逸脱しない範囲のものを含む。例えば、各可変リアクタンス回路や各コイルは、複数の可変リアクタンス回路や複数のコイルを並列や直列に接続した構成を有していてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1、1a 送電装置
2、2a 受電装置
5 制御装置
10、90 無線電力伝送システム
31、32、41、42 共振回路
303、304、306、401、403、405 可変リアクタンス回路
17、23、51 制御部
52 位置情報取得部
53 データベース
305、307、402、404 コイル
3051、3071、4021、4041 ケーブル
3052、3072、4022、4042 ケーブル長調整部
301 交流電圧源
302、406 抵抗
図1
図2
図3
図4
図5
図6