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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】遠心分離機
(51)【国際特許分類】
   B04B 7/06 20060101AFI20220616BHJP
   B04B 13/00 20060101ALI20220616BHJP
   B04B 5/02 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
B04B7/06 Z
B04B13/00
B04B5/02 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018010201
(22)【出願日】2018-01-25
(65)【公開番号】P2019126777
(43)【公開日】2019-08-01
【審査請求日】2020-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000141691
【氏名又は名称】株式会社久保田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】三木 千季
【審査官】寺▲崎▼ 遥
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-087178(JP,A)
【文献】特開2006-122239(JP,A)
【文献】特開2002-306989(JP,A)
【文献】特開2005-111402(JP,A)
【文献】実開平06-034749(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2002/0077239(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B04B 1/00-15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータと前記ロータを回転させる駆動源と前記ロータと前記駆動源とを結合させる回転軸とを備える遠心分離機であって、
少なくとも前記回転軸の軸方向と垂直な2つの異なる方向の加速度を示す値を出力する加速度センサと、
前記加速度センサが出力する加速度を示す値に基づく加速度に比例する値を前記ロータの角速度の二乗に比例する値で除算した値に対応する変位換算値を求め、当該変位換算値があらかじめ定めた変位が大きいことを示す変位判定基準を満たす場合には、前記ロータの回転を停止させる制御部
を備え
前記ロータの回転軸の変位が共振によって大きくなる角速度に対応する値の範囲を共振域とし、
前記制御部は、前記ロータの角速度に対応する値が前記共振域よりも低いあらかじめ定めた角速度に対応する値の範囲のときに、変位換算値を求め、前記変位判定基準を満たすかを確認し、
許容される最大の不釣り合いのときの前記共振域での変位換算値の最大値よりも小さい変位換算値の場合が、前記変位判定基準を満たす範囲に含まれる
ことを特徴とする遠心分離機。
【請求項2】
請求項記載の遠心分離機であって、
前記制御部は、前記加速度センサが出力する加速度を示す値に基づく加速度に対応する値である加速度対応値を求め、当該加速度対応値があらかじめ定めた加速度が大きいことを示す加速度判定基準を満たす場合には、前記ロータの回転を停止させる
ことを特徴とする遠心分離機。
【請求項3】
請求項記載の遠心分離機であって、
前記制御部は、前記ロータの角速度に対応する値が前記共振域よりも高いときに、前記加速度対応値が前記加速度判定基準を満たすかを確認する
ことを特徴とする遠心分離機。
【請求項4】
ロータと前記ロータを回転させる駆動源と前記ロータと前記駆動源とを結合させる回転軸とを備える遠心分離機であって、
少なくとも前記回転軸の軸方向と垂直な2つの異なる方向の加速度を示す値を出力する加速度センサと、
前記加速度センサが出力する加速度を示す値に基づく加速度に比例する値を前記ロータの角速度の二乗に比例する値で除算した値に対応する変位換算値を求め、当該変位換算値があらかじめ定めた変位が大きいことを示す変位判定基準を満たす場合には、前記ロータの回転を停止させる制御部
を備え
前記ロータの回転軸の変位が共振によって大きくなる角速度に対応する値の範囲を共振域とし、
前記制御部は、前記ロータの角速度に対応する値が前記共振域よりも低いあらかじめ定めた角速度に対応する値の範囲のときに、変位換算値を求め、前記変位判定基準を満たすかを確認し、
前記制御部は、前記加速度センサが出力する加速度を示す値に基づく加速度に対応する値である加速度対応値を求め、当該加速度対応値があらかじめ定めた加速度が大きいことを示す加速度判定基準を満たす場合には、前記ロータの回転を停止させ、
前記制御部は、前記ロータの角速度に対応する値が前記共振域よりも高いときに、前記加速度対応値が前記加速度判定基準を満たすかを確認する
ことを特徴とする遠心分離機。
【請求項5】
請求項1からのいずれかに記載の遠心分離機であって、
前記加速度センサは、前記回転軸の軸方向の加速度を示す値も出力する
ことを特徴とする遠心分離機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不釣り合いな状態を検知し、回転を制御する遠心分離機に関する。
【背景技術】
【0002】
試料が配置された状態のロータにはバランスの不釣り合い(試料を含んだロータ全体の重心が回転軸上にない状態)が生じる。この不釣り合いが大きくなり過ぎるとロータや回転軸などが過大に振れ、遠心分離機の故障の原因となる。そして、このような不釣り合いによる振れを検出する技術として、特許文献1などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-87178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の遠心分離機では、ロータの回転軸の軸方向と垂直な2つの異なる方向の加速度を示す値を出力する加速センサを備える。そして、2つの異なる方向の加速度を示す値から、回転軸の軸方向と垂直な方向の加速度に対応する値である加速度対応値を求め、当該加速度対応値があらかじめ定めた加速度が大きいことを示す判定基準を満たす場合には、ロータの回転を停止させる。
【0005】
特許文献1の遠心分離機の場合、遠心分離機の防振部などに加わる力に基づいてロータの回転を停止させるので、応力によっての破損を防ぐことができる。しかし、加速度は、振動の半径に比例し、角速度の二乗に比例するので、角速度の影響の方が半径の影響よりも大きい。したがって、回転数(角速度)が低いけれども回転軸の変位(振動の半径)が大きいときに生じる、ロータ、バケット、回転軸などがチャンバなどに接触することで生じる破損を防ぎにくい。
【0006】
また、遠心分離機にさらに変位センサを備えさせれば変位の検出もできるが、加速度センサと変位センサの両方を備え、その信号の処理を行うことになるので、遠心分離機が高価になってしまう。
【0007】
本発明のこのような状況に鑑みてなされたものであり、加速度センサを用いて、回転軸の変位に起因する破損を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の遠心分離機は、ロータ、ロータを回転させる駆動源、ロータと前記駆動源とを結合させる回転軸、加速度センサ、制御部を備える。加速度センサは、少なくとも回転軸の軸方向と垂直な2つの異なる方向の加速度を示す値を出力する。制御部は、加速度センサが出力する加速度を示す値に基づく加速度に比例する値をロータの角速度の二乗に比例する値で除算した値に対応する変位換算値を求め、当該変位換算値があらかじめ定めた変位が大きいことを示す変位判定基準を満たす場合には、ロータの回転を停止させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の遠心分離機によれば、変位センサを用いることなく、変位に換算した値で不釣り合いによる振動を検出できる。したがって、ロータ、バケット、回転軸などがチャンバなどに接触することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の遠心分離機の構成例を示す図。
図2図1のA-A線で切ったときの駆動源120、回転軸130、加速度センサ140、防振部160を示す図。
図3】駆動源120、回転軸130、加速度センサ140、防振部160が振動する様子を示した図。
図4】ある遠心分離機での不釣り合いごとの回転数と加速度の関係を示す図。
図5】ある遠心分離機での不釣り合いごとの回転数と変位の関係を示す図。
図6】制御部の処理フローを示す図。
図7】変位判定基準と加速度判定基準の両方を用いるときの処理フローを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例1】
【0012】
図1に実施例1の遠心分離機の構成例を示す。遠心分離機100は、筐体190、チャンバ192、開閉自在なチャンバ蓋191、チャンバ192内に収容されるロータ110、ロータ110を回転させる駆動源120、ロータ110と駆動源120とを結合させる回転軸130、加速度センサ140、制御部150、防振部160を備える。
【0013】
図2図1のA-A線で切ったときの駆動源120、回転軸130、加速度センサ140、防振部160を示す図である。図3は駆動源120、回転軸130、加速度センサ140、防振部160が振動する様子を示した図である。図3の点線で示した位置が元の位置であり、(A)~(C)はそれぞれ異なる方向にずれた様子を示している。
【0014】
ロータ110には、試験管などを収容する穴があるタイプや、試料を入れるチューブラックを収容するバケットをロータ110に取り付けるタイプなどがあるが、本発明はロータ110のタイプによらず適用できるので、ロータ110のタイプは限定しない。防振部160は、ロータ110のバランスの不釣り合いによって生じる振動を減衰させる役割を果たす。例えば、図1,2に示されたように、駆動源120を把持している支持板161と、筐体190に一端が固定され他端が支持板161に固定された複数の防振バネ162で構成すればよい。また、防振バネの代わりにゴムなどの弾性体を用いてもよい。
【0015】
加速度センサ140は、少なくとも回転軸の軸方向と垂直な2つの異なる方向の加速度を示す値を出力する。例えば、図1,2に示されたように、加速度センサ140を駆動源120の上面に取り付けてもよいし、駆動源120の下部などに取り付けてもよい。実施例1では、2つの方向は互いに垂直であり、一方をX軸方向、他方をY軸方向と呼ぶことにする。そして、回転軸130の軸方向をZ軸方向とする。また、X軸方向の加速度を示す値をa、Y軸方向の加速度を示す値をaとする。なお、「加速度を示す値」は、加速度と一致する値だけでなく、加速度と比例する値、およびデジタル信号のように加速度と比例する値を離散的に示した値も含んでいる。
【0016】
実施例1の加速度センサ140からの出力であるa、aは互いに直交する方向の加速度を示す値であり、回転軸130の傾きを無視できるときは、
(a +a 1/2=Rω (1)
となる。Rは、ずれの大きさ(振幅)を示す値であり、回転軸130、防振部160などの静止した状態からの変位を示している。ωは回転軸130の角速度である。
【0017】
変位Rが大きくなると回転軸130の傾きが大きくなり、Z方向の振動も無視できなくなる。Z方向の振動も無視できない場合は、Z軸方向の加速度を示す値をaとすると、
(a +a +a 1/2=Rω (2)
となる。Z方向の振動も無視できない振動を検出する必要がある場合は、加速度センサ140は、Z方向(回転軸130の軸方向)の加速度を示す値aも出力する。
【0018】
図4に、ある遠心分離機での不釣り合いごとの回転数と加速度の関係を示す。横軸は回転数(rpm)、縦軸は加速度対応値(bit)であり、ロータの不釣り合いが0g,12g、24,36gの場合を示している。縦軸の加速度対応値(bit)は加速度センサからの直交する3軸方向の出力(a,a,a)を(a +a +a 1/2のように計算した値である。256bitが1G(約9.8m/s)に相当している。加速度は角速度の二乗に比例するため、図4の例でも回転数が大きくなるにしたがって加速度対応値が大きくなっている。図4の例では回転数が1000rpm付近に加速度対応値が大きい範囲がある。この範囲は、ロータ110の振動が共振した状態となる範囲であり、本明細書では「共振域」と呼ぶ。「共振域」は、ロータ110の回転軸の変位が大きくなる固有の角速度に対応する範囲であり、防振部160の構造やロータ110の質量などによって決まる。ただし、ロータ110に収納する試料の質量の影響も受けるため、共振点となる角速度はある範囲内で毎回異なる。例えば、試料の質量の影響も考慮して共振点となり得る角速度に対応する範囲を、共振域と呼べばよい。また、変位換算値が共振点での変位換算値の1/2となり得る角速度に対応する範囲も含めて、共振域と呼んでもよい。一般的な遠心分離機の場合、共振域は500~1500rpm内の一部が多い。「角速度に対応する」とは、角速度自体でもよいし、角速度と一定の関係がある別のパラメータでもよいことを示している。例えば、回転数は角速度に比例するので、角速度に対応する値の1つである。「角速度に対応する範囲」とは、角速度で定義した範囲でもよいし、回転数のような角速度に対応する値で定義した範囲でもよい。
【0019】
図5に、ある遠心分離機での不釣り合いごとの回転数と変位の関係を示す。この図では図4の例の縦軸を変位に換算した値(変位換算値)にしている。変位換算値は、測定した加速度を、測定した角速度の二乗で除算することで得た値である。図5では変位換算値の単位はμmだが、図4と同様に実際の長さの単位ではなく長さの単位に係数を乗算した関係の値でもよい。図4図5から、加速度が大きいのは回転数が高いときであり、変位が大きいのは共振域であることが分かる。
【0020】
図6は、制御部150の処理フローを示す図である。制御部150は、加速度センサ140が出力する加速度を示す値を取得する(S10)。制御部150は、加速度センサ140が出力する加速度を示す値に基づく加速度に比例する値をロータ110の角速度の二乗に比例する値で除算した値に対応する変位換算値を求める(S20)。制御部150は、当該変位換算値があらかじめ定めた変位が大きいことを示す変位判定基準を満たす場合には(S30)、ロータの回転を停止させる(S40)。
【0021】
変位判定基準としては、例えば、図5に示した点線(A)のように、しきい値を定め、そのしきい値を超えるか否かで判定する基準がある。この変位判定基準は、角速度(回転数)に関わらず、ロータ、バケット、回転軸などがチャンバなどに接触することを防ぐことができる。
【0022】
別の例としては、図5に示した(B)のように、共振域よりも低いあらかじめ定めた角速度に対応する値の範囲に変位判定基準を設ける方法もある。「角速度に対応する値」とは、角速度自体、回転数であるが、これらに限定するものではなく、角速度に任意の定数が乗算された値を含む。「共振域よりも低いあらかじめ定めた角速度に対応する値の範囲」とは、遠心分離機ごとに定める範囲であり、収納することがあり得る試料も考慮した最低の共振域の角速度に対応する値よりも低い範囲である。図5の(B)の例では、変位判定基準は回転数が400~600rpmに設定されている。つまり、制御部150は、ロータ110の角速度に対応する値が共振域よりも低いあらかじめ定めた角速度に対応する値の範囲(例えば、400~600rpm)のときに、変位換算値を求め、変位判定基準を満たすかを確認する。400~600rpmのように範囲を設ければ、防振バネ162または防振バネ162の代わりとして用いるゴムなどの弾性体の劣化、および温度などの使用環境を要因とした共振域の変化にも対応できる。
【0023】
共振域よりも低い角速度のときに判定すれば変位が小さいときに判断できるので、ロータ、バケット、回転軸などがチャンバなどに接触することを防ぎやすい。特に、許容される最大の不釣り合いのときの共振域での変位換算値の最大値よりも小さい変位換算値を、変位判定基準を満たす範囲に含めれば、変位が大きくなってしまう前にロータ110の回転を止めることができるので、より接触を防止できる。例えば、24g未満の不釣り合いを許容される不釣り合いとする。不釣り合いが同じでも、試料全体の質量の違いなどで変位換算値も変化するので、図5の(B)の例では、試料全体の質量に関わらず不釣り合いが24g以上であれば変位判定基準を満たすようにするために、400~600rpmの範囲で、900μmをしきい値としている。許容される最大の不釣り合いよりも小さい不釣り合いである12gの不釣り合いでの共振域の変位換算値の最大値(約2700μm)よりも小さい変位換算値をしきい値としているので、許容される最大の不釣り合いである共振域の変位換算値の最大値よりも小さい変位換算値をしきい値となっている。
【0024】
なお、共振域よりも低いあらかじめ定めた角速度に対応する値の範囲で、変位換算値に基づいた不釣り合いの判断を行えば、低回転のうちに遠心分離機の回転を停止できる。つまり、不釣り合いがあるときの遠心分離機の回転開始から停止までの時間を短くできるので、ユーザの待つ時間を短くできるという効果もある。また、許容される最大の不釣り合いのときの共振域での変位換算値の最大値よりも小さい変位換算値を、変位判定基準を満たす範囲に含めれば、不釣り合いがある場合でも、防振バネ162または防振バネ162の代わりとして用いるゴムなどの弾性体への負荷を、設計時に想定した使用条件の範囲内にできるので、破損および劣化を防げるという効果もある。
【0025】
遠心分離機100によれば、変位センサを用いることなく、変位に換算した値で不釣り合いによる振動を検出できる。したがって、ロータ、バケット、回転軸などがチャンバなどに接触することを防ぐことができる。
【0026】
さらに、加速度対応値に基づいた停止の制御も行えば、防振部160などに加わる応力による破損を防ぐこともできる。図7に変位判定基準と加速度判定基準の両方を用いる処理フロー例を示す。制御部150は、角速度に対応する値が、変位換算値に基づく判定を行う範囲か加速度対応値に基づく判定を行う範囲かを確認する(S100)。図5の(B)の例であれば、400~600rpmのときが変位換算値に基づく判定を行う範囲である。また、1500rpm以上を加速度対応値に基づく判定を行う範囲とすればよい。このように変位換算値に基づく判定を行う範囲と加速度対応値に基づく判定を行う範囲を設定すれば、角速度に対応する値が、共振域よりも低いときに変位換算値に基づく判定を行い、共振域よりも高いときに加速度対応値に基づく判定を行える。制御部150は、変位換算値に基づく判定を行う範囲でも加速度対応値に基づく判定を行う範囲でもない場合は、遠心分離機100の動作中はステップS100を繰り返す。制御部150は、ステップS100で変位換算値に基づく判定を行う範囲と判断した場合は、図6に示したステップS10~S40と同じ処理を行う。
【0027】
制御部150は、ステップS100で加速度対応値に基づく判定を行う範囲と判断した場合は、制御部150は、加速度センサ140から加速度を示す値を取得する(S110)。加速度を示す値は、回転軸130の軸方向と垂直な異なる2つの方向の加速度を示す値でもよいし、回転軸130の軸方向の加速度も含めてもよい。制御部150は、加速度に対応する値である加速度対応値を計算する(S120)。具体的には、式(1)または式(2)で求めればよい。また、ステップS120の場合は変位換算値を求めないので、例えば、a +a またはa +a +a のように平方根の計算を省略してもよい。制御部150は、求めた加速度対応値と加速度判定基準とを比較し(S130)、満たす場合は、ロータの回転を停止する(S40)。例えば、a +a またはa +a +a に基づいた加速度対応値が、共振域より高い角速度で曲線または直線で表現される基準を上回ったときに、加速度判定基準を満たすとすればよい。より具体的には、加速度対応値を(a +a 1/2または(a +a +a 1/2に比例した値とする。そして、特許文献1に示されているように回転軸130の角速度の2次関数で表現される基準(bω+cω+d+オフセット値)を、共振域よりも高い角速度(例えば1500rpm以上)において加速度対応値が上回ったときに加速度判定基準を満たすとすればよい。なお、特許文献1と同様に、加速度対応値をa +a またはa +a +a に比例した値とし、4次関数で表現される基準としてもよい。また、加速度対応値を(a +a 1/4または(a +a +a 1/4に比例した値とし、1次関数で表現される基準としてもよい。さらに、式(1)または式(2)で求めた加速度対応値を用いてもよい。その場合は、例えば、すべての加速度に対応する値の範囲を加速度対応値に基づく判定を行う範囲とし、図4の1200bitの加速度対応値をしきい値とし、しきい値以上の場合に加速度判定基準を満たすと判断すればよい。
【0028】
図7に示した処理フローであれば、加速度センサ140のみで、振動が大きいことによる接触を防ぐこともでき、かつ、加速度が大きいことによる応力による破損も防ぐことができる。また、上述ように、共振域より低い角速度では固定値の変位判定基準を用い、共振域よりも高い角速度では近似曲線の加速度判定基準を用いることで、遠心分離機の破損を防ぐだけでなく、従来よりも回転開始後の早期に不釣り合いを検出でき、かつ劣化防止などの効果も期待できる。
【符号の説明】
【0029】
100 遠心分離機 110 ロータ
120 駆動源 130 回転軸
140 加速度センサ 150 制御部
160 防振部 161 支持板
162 防振バネ 190 筐体
191 チャンバ蓋 192 チャンバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7