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  • 特許-浴室ユニット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】浴室ユニット
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20220616BHJP
   A47K 4/00 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
E04H1/12 301
A47K4/00
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018030158
(22)【出願日】2018-02-22
(65)【公開番号】P2019143411
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】小川 朋位
(72)【発明者】
【氏名】飯尾 和典
(72)【発明者】
【氏名】堀江 直也
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-124579(JP,A)
【文献】特開平09-100641(JP,A)
【文献】実開平01-119755(JP,U)
【文献】特開2007-154579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/12
A47K 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯を溜める浴槽と、前記浴槽に隣接する浴槽前床と、前記浴槽前床に配設される便器装置と、を備える浴室ユニットにおいて、
前記浴槽前床の前記浴槽側の第1側辺に対向する第2側辺から前記浴槽と反対側に向かって延びる第1壁部を備え、
前記浴槽前床は、前記第1壁部の一面側に接する床部を有し、
前記床部に前記便器装置が配置されており、前記第1壁部の他面側に前記浴槽前床への出入口が設けられており、
前記浴槽前床は、前記出入口の側から前記第2側辺に沿って延び、屈曲して前記浴槽と反対側へ延びる前記床部に連続するように形成されていることを特徴とする浴室ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
浴室ユニットは、湯を溜める浴槽と、浴槽に隣接して配設された浴槽前床を有する。浴室ユニットは、周囲を壁パネル、上方を天井パネルで覆われている。浴室ユニット内の空間には、浴槽のほか、洗面器やトイレが設けられることもあり、ユーザがより快適に浴室ユニットを利用するための工夫がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ユニット躯体の前壁部および後壁部を繋ぐ間仕切りが設けられ、間仕切りにより区画された第1空間に便器装置が、第2空間に浴室が配置されているユニットが開示されている。ユニットは、第1空間側において、後壁部に設けた出入口と、出入口を開閉する開閉扉と、前後に区画する腰壁と、腰壁の前壁部側に設けた便器装置と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-124579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のユニットは、開閉扉を開状態にすると、ユニットの内部全体が見えてしまい、第1空間を前後に区画する腰壁があるものの、便器装置の使用者が出入口から視認されてしまう。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、出入口から便器装置の使用者が見えにくい浴室ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る浴室ユニットは、湯を溜める浴槽と、前記浴槽に隣接する浴槽前床と、前記浴槽前床に配設される便器装置と、を備える浴室ユニットにおいて、前記浴槽前床の前記浴槽側の第1側辺に対向する第2側辺から前記浴槽側または前記浴槽と反対側に向かって延びる第1壁部を備え、前記浴槽前床は、前記第1壁部の一面側に接する床部を有し、前記床部に前記便器装置が配置されており、前記第1壁部の他面側に前記浴槽前床への出入口が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、浴室ユニットは出入口から便器装置の使用者が見えにくい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る浴室ユニットの上面断面図である。
図2】出入口から見た浴室ユニット内側の外観図である。
図3図3(a)および図3(b)は、変形例に係る浴室ユニットの上面断面図である。
図4図4(a)および図4(b)は、別の変形例に係る浴室ユニットの上面断面図である。
図5図5は、別の変形例に係る浴室ユニットの上面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図1から図5を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0011】
(実施形態)
図1は実施形態に係る浴室ユニット100の上面断面図であり、図2は出入口66から見た浴室ユニット100内側の外観図である。尚、図2において洗面器73の記載は省略されている。浴室ユニット100は、浴槽1、仕切部2、浴槽前床50、第1壁部61、および便器装置71等を有する。浴槽1は、平面視矩形状をなし、湯を溜めることができる深皿状である。浴槽1は、上縁部10に配設された壁部60a、60bおよび60c、並びに仕切部2によって周囲が覆われ、上方を天井パネル65によって覆われている。
【0012】
浴槽1は、底部11に排水栓12、および内側面等にオーバーフロー栓(図示略)を有し、排水栓12を閉状態にして浴槽1に湯を溜めることができ、排水栓12を開状態にして浴槽1から湯を抜く。浴槽1は、例えば壁部60bにシャワー装置および給水装置(図示略)が配設されており、ユーザは、浴槽1内において、シャワー装置からの湯水を浴び、給水装置によって浴槽1に湯を溜めて入浴する。
【0013】
浴槽1の下方には排水部3が設けられている。排水部3は、排水栓12およびオーバーフロー栓(図示略)からの排水を、排水管31を通して建築側の排水路9へ排出する。排水部3には、トラップ部(図示略)を設け、排水をトラップ部に溜まった状態を保つ。
【0014】
仕切部2は、浴槽1の上縁部10の4辺のうち、浴槽1に隣接する浴槽前床50側の一辺に設けられている。仕切部2は、開閉可能な引違い戸である扉20を有しており、浴槽1と浴槽前床50とは、間仕切りとしての扉20によって仕切られている。
【0015】
扉20は、内障子20aおよび外障子20bを有している。内障子20aおよび外障子20bは、長方形状に組み立てられた戸先框、戸尻框、下框および上框の内側にガラス製または樹脂製等の板を嵌め込んで構成されている。扉20の内障子20aおよび外障子20bは、枠部22に嵌め込まれており、両障子ともスライドさせることにより開閉することができる。枠部22は、浴槽1の上縁部10から天井パネル65(図2参照)にかけて設けられている。
【0016】
枠部22は、浴槽前床50から見て左右の縦枠、下枠、および上枠を有している。枠部22の左右の縦枠は、壁部60bおよび60cに固定されている。枠部22の下枠は、浴槽1の上縁部10上に添うように、左右の縦枠間に設けられている。枠部22の上枠は、左右の縦枠の上端部に連結されている。
【0017】
浴槽前床50には、浴槽1側の第1側辺51に対向する第2側辺52に壁部60dが設けられており、第2側辺52の中途部には、浴槽1と反対側に延びる第1壁部61が設けられている。第1壁部61は、浴槽前床50から天井パネル65まで延びている。浴槽前床50は、第1壁部61の一面側に接する床部50aを有し、床部50aには便器装置71が設けられている。便器装置71は、浴槽1側を前にして配置されている。床部50aは、第1壁部61、第1壁部61に対向する壁部60e、並びに、第1壁部61および壁部60eに連続する壁部60fによって囲まれている。第2側辺52は、壁部60dおよび壁部60fのうち浴槽1側に近い壁部60dに接する浴槽前床50の側辺に相当している。尚、便器装置71は、便器本体に便座や便蓋などが取り付けられており、便器装置71の使用者は、便座に着座して便器装置71を使用することができる。
【0018】
壁部60eおよび60fに沿ってカウンタ72が設けられており、カウンタ72の下方に便器装置71の排水管71aが配設されている。カウンタ72は前縁から垂下する前板72aを有しており、前板72aで排水管71aを隠す。排水管71aは、壁部60eおよび60fの床部50aおよび浴槽前床50側に配設されており、建築側の排水路9に近い浴室ユニット100の壁部を貫通して浴室ユニット100の外部に引き出され、建築側の排水路9へ接続される。第1壁部61の他面側であって、浴室ユニット100の外部となる空間には、図1に示すように、例えば洗面器73などを配置することによりスペースを有効活用することができる。
【0019】
浴槽前床50への出入口66は、壁部60dの端部において、第1側辺51および第2側辺に交差する側辺に設けられ、第1壁部61の他面側に位置している。出入口66は、開き戸である開閉扉66aによって開閉可能となっている。開閉扉66aを開状態として出入口66から浴室ユニット100内を見たとき、便器装置71の前部が僅かに見えるものの、便器装置71の前後方向における中途部から後部に亘る部分は、壁部60dおよび第1壁部61の向こう側に隠れている。
【0020】
次に浴室ユニット100の作用について説明する。浴室ユニット100は、浴槽前床50の第2側辺52から浴槽1と反対側に向かって延びる第1壁部61を備えており、第1壁部61に接する床部50aに便器装置71を配置することができる。図2に示したように出入口66からは、床置きになっている装置として便器装置71の前部が僅かに見えている程度であり、浴室ユニット100の内部空間が整頓されており、移動し易い印象をユーザに与えることができる。また、浴室ユニット100は、出入口66から奥側の壁部60eまで見渡すことができる。
【0021】
浴室ユニット100内に、便器装置71の便座に着座して便器装置71を使用している使用者が居る場合、出入口66からは、便器装置71に着座している使用者の脚が見える可能性がある。一方、便器装置71の前後方向における中途部から後部に亘る部分は、壁部60dおよび第1壁部61の向こう側に隠れている。便器装置71に着座している使用者の上半身や顔は、壁部60dおよび第1壁部61によって隠れており、出入口66から使用者の上半身や顔を目視し難く、便器装置71の使用者が見えにくくなっている。
【0022】
便器装置71の排水管71aを壁部60eおよび60fに沿って浴室ユニット100内に配設することによって、壁部60cの裏側の配管スペースを狭くし、壁部60eおよび60fを建築側の壁面に近づけられるので、浴室ユニット100内の空間を広くすることができる。
【0023】
便器装置71の排水管71aはカウンタ72の下方に設けられており、前板72aによって隠すことができ、浴槽前床50の内部空間の見栄えが良くなり、ユーザが心地よく浴槽前床50を使用することができる。また、排水管71aの上方にカウンタ72が設けられていることで排水管71aの上方の空間を機能的に利用することができる。
【0024】
また浴室ユニット100は、浴槽1の下方に排水部3が接続されている。排水部3は浴槽1の下方に配設されるトラップ部を有しているので、浴槽前床50の下方にトラップ部を設ける必要がなく、浴槽前床50の高さを抑制することができる。
【0025】
(変形例)
図3(a)および図3(b)は、変形例に係る浴室ユニットの上面断面図である。図3(a)に示す変形例に係る浴室ユニット100では、出入口66は壁部60dに設けられている。出入口66に設けた開閉扉66aを開状態とすると、出入口66の正面方向に浴槽1および仕切部2があり、便器装置71は、出入口66から見て右側方向にあり見え難くなっている。
【0026】
図3(b)に示す変形例に係る浴室ユニット100では、第1壁部61が図1に示した位置から、出入口66に近づいた位置に設けられている。この変形例においても、便器装置71の前後方向における中途部から後部に亘る部分は、壁部60dおよび第1壁部61の向こう側に隠れている。便器装置71に着座している使用者の上半身や顔は、第1壁部61によって隠れており、出入口66から使用者の上半身や顔を目視し難く、便器装置71の使用者が見えにくくなっている。尚、図3(b)における出入口66を壁部とし、洗面器を除去して壁部60dを出入口としてもよい。
【0027】
図4(a)および図4(b)は、別の変形例に係る浴室ユニット100の上面断面図である。図4(a)に示す変形例に係る浴室ユニット100では、第1壁部61は第2側辺52から浴槽1側に向かって延びるように設けられている。また第1壁部61は、浴槽前床50から天井パネルまで延びるか、または背丈程度の高さとする。第1壁部61の一面側に接する床部50aが設けられており、床部50aに便器装置71が配置されている。浴室ユニット100の出入口66は、第1壁部61の他面側に設けられている。
【0028】
この変形例においても、少なくとも便器装置71の前後方向における中途部から後部に亘る部分を第1壁部61によって隠すようにする。浴室ユニット100は、出入口66から見て、便器装置71に着座している使用者の上半身や顔が第1壁部61によって隠れており、出入口66から便器装置71の使用者の上半身や顔を目視し難く、便器装置71の使用者が見えにくくなっている。
【0029】
図4(b)に示す変形例に係る浴室ユニット100では、第1壁部61が出入口66に近づいた位置に設けられている。この変形例においても、便器装置71は、第1壁部61の向こう側に隠れており、出入口66から便器装置71の使用者が見えにくくなっている。尚、図4(a)および図4(b)における出入口66を壁部とし、洗面器を適宜除去して壁部60dに出入口66を設ける構成としてもよい。
【0030】
図5は、別の変形例に係る浴室ユニット100の上面断面図である。この変形例に係る浴室ユニット100では、浴槽前床50における第1側辺51から、第1側辺51に交差する方向に浴槽1側へ延びるように第2壁部62を設けている。第2壁部62は、壁部60bの外側であって浴槽1の外部に設けられている。
【0031】
便器装置71は、第2壁部62の浴槽1と反対の一面側に接する床部50aに、浴槽前床50側を前として配置されている。浴室ユニット100への出入口66は、第2壁部62の他面側となる壁部60gに設けられている。尚、壁部60gは、浴槽1における壁部60c側における浴槽前床50を囲む壁部である。
【0032】
この変形例においても、便器装置71の前後方向における中途部から後部に亘る部分は、第2壁部62の向こう側に隠れており、出入口66から便器装置71の使用者が見えにくくなっている。
【0033】
上述の実施形態および各変形例において、仕切部2に設ける扉20は、引違い戸を例にして説明したが、扉20は引き戸、開き戸および折れ戸などとしてもよい。また、浴室ユニット100の出入口66に設ける開閉扉66aは、開き戸の蝶番の位置および開く方向が実施形態および変形例に示したものに限られず、また引き戸、引違い戸、折れ戸などとしても良い。
【0034】
次に、各実施形態および各変形例に係る浴室ユニット100の特徴を説明する。
浴室ユニット100は、湯を溜める浴槽1と、浴槽1に隣接する浴槽前床50と、浴槽前床50に配設される便器装置71と、を備える。浴室ユニット100は、浴槽前床50の浴槽1側の第1側辺51に対向する第2側辺52から浴槽1側または浴槽1と反対側に向かって延びる第1壁部61を備える。浴槽前床50は、第1壁部61の一面側に接する床部50aを有し、床部50aに便器装置71が配置されている。第1壁部61の他面側に浴槽前床50への出入口66が設けられている。これにより、浴室ユニット100は、出入口66から、便器装置71に着座している使用者の上半身や顔が、壁部60dおよび第1壁部61によって隠れており、出入口66から使用者の上半身や顔を目視し難く、便器装置71の使用者が見えにくい。
【0035】
また浴室ユニット100は、湯を溜める浴槽1と、浴槽1に隣接する浴槽前床50と、浴槽前床50に配設される便器装置71と、を備える。浴室ユニット100は、浴槽前床50の浴槽1側の第1側辺51から、第1側辺51に交差する方向に延びる第2壁部62を備える。浴槽前床50は、第2壁部62の浴槽1と反対の一面側に接する床部50aを有し、床部50aに便器装置71が配置されている。第2壁部62の他面側に浴槽前床50への出入口66が設けられている。これにより、これにより、浴室ユニット100は、出入口66から、便器装置71に着座している使用者の上半身や顔が、第2壁部62によって隠れており、出入口66から使用者の上半身や顔を目視し難く、便器装置71の使用者が見えにくい。
【0036】
以上、本発明の実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【符号の説明】
【0037】
1 浴槽、 50 浴槽前床、 50a 床部、 51 第1側辺、
52 第2側辺、 61 第1壁部、 62 第2壁部、 66 出入口、
71 便器装置、 100 浴室ユニット。
図1
図2
図3
図4
図5