(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】門柱
(51)【国際特許分類】
E06B 11/02 20060101AFI20220616BHJP
A47G 29/12 20060101ALN20220616BHJP
【FI】
E06B11/02 Q
A47G29/12 B
(21)【出願番号】P 2018069853
(22)【出願日】2018-03-30
【審査請求日】2021-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】向中野 雄彦
(72)【発明者】
【氏名】市川 聖士
【審査官】鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-016031(JP,U)
【文献】特開2001-207763(JP,A)
【文献】特開2016-125286(JP,A)
【文献】特開2016-098524(JP,A)
【文献】特開平11-303551(JP,A)
【文献】特開2016-183544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 11/00-11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1、第2支柱と、
前記第1、第2支柱の間に設けられる第1パネルと、
前記第1パネルと間隔をあけて設けられる第2パネルと、
前記第1支柱、前記第2支柱、前記第1パネルおよび前記第2パネルに囲まれる空間の上側の開口を覆う天板と、
を備え、
前記第1、第2支柱はそれぞれ、
支柱本体と、
前記支柱本体に固定されるパネル保持部材と、
を含み、
前記第1、第2支柱の各パネル保持部材は、前記第1、第2パネルを保持するための保持構造を有
し、
前記第1、第2支柱の各支柱本体は、ホロー材であり、互いに対向する面の一部が切り欠かれており、
前記第1、第2支柱の各パネル保持部材は、前記第1、第2支柱の切り欠き部分に嵌合されていることを特徴とする門柱。
【請求項2】
前記第1、第2支柱の各パネル保持部材には、互いに対向する面に、上下に延びる、上端が開口し下端が塞がった溝が形成されており、
前記第1パネルは、水平方向における両端がそれぞれ、前記第1、第2支柱の各パネル保持部材の各溝に収容されていることを特徴とする請求項
1に記載の門柱。
【請求項3】
前記溝は、他の部分よりも幅狭な幅狭部を有し、
前記幅狭部の幅は、設計上、前記第1パネルの幅よりも狭いことを特徴とする請求項
2に記載の門柱。
【請求項4】
前記第1パネルを照射するための照明装置をさらに備え、
前記照明装置は、複数の部材によって移動が規制されることにより保持されることを特徴とする請求項1から
3のいずれかに記載の門柱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、門柱に関する。
【背景技術】
【0002】
玄関先に設置される門柱が知られている。従来では、表札、インターホンおよびポストなどを備えた門柱が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者達は、鋭意検討した結果、門柱の製造コストを低減できる方法に相当するに到った。
【0005】
本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであり、そのある態様の目的のひとつは、門柱の製造コストを低減できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の門柱は、第1、第2支柱と、第1、第2支柱の間に設けられる第1パネルと、第1パネルと間隔をあけて設けられる第2パネルと、第1支柱、第2支柱、第1パネルおよび第2パネルに囲まれる空間の上側の開口を覆う天板と、を備える。第1、第2支柱はそれぞれ、支柱本体と、支柱本体に固定されるパネル保持部材と、を含み、第1、第2支柱の各パネル保持部材は、第1、第2パネルを保持するための保持構造を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、門柱の製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態に係る門柱を前方から見た斜視図である。
【
図6】
図6(a)、(b)は、門柱の第1支柱の上側部分を示す斜視図である。
【
図7】
図7(a)~(c)は、との当接部分を示す図である。
【
図9】
図9(a)、(b)はそれぞれ、第1パネル保持部材の背面パネル差込溝を示す図である。
【
図11】天板および照明装置を下方から見た斜視図である。
【
図12】
図12(a)、(b)は、第1パネル保持部材とカバーとを示す斜視図である。
【0009】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。また本明細書において、「左」、「右」はそれぞれ、門柱を正面から見た左、右である。
【0010】
図1~5は、実施の形態に係る門柱1を示す図である。
図1は、門柱1を前方から見た斜視図であり、
図2は、門柱1の上側部分を前方から見た斜視図であり、
図3は、門柱1の上側部分を後方から見た斜視図であり、
図4は、門柱1の上面図であり、
図5は、水平面で切断した門柱1の断面図である。
図2、4では天板50の表示を省略している。また
図3では天板50および背面パネル40の表示を省略している。
図6(a)、(b)は、門柱1の第1支柱10の上側部分を示す斜視図である。ここでは、2つの支柱のうちの第1支柱10を代表して示している。
【0011】
門柱1は、いわゆる機能門柱であり、第1支柱10と、第1支柱10と左右に離間して配置される第2支柱20と、第1支柱10と第2支柱20との間に設けられる前面パネル30と、前面パネル30の背面(後方)側に離間して設けられる背面パネル40と、第1支柱10、第2支柱20、前面パネル30および背面パネル40で囲まれる空間の上側の開口を覆う天板50と、表札60と、インターホン62と、照明装置64と、ポスト機能付きの宅配ボックス66と、を備える。
【0012】
第1支柱10は、第1支柱本体12と、第1パネル保持部材14と、を含む。
第2支柱20は、第2支柱本体22と、第2パネル保持部材24と、を含む。
【0013】
第1支柱本体12は、本実施の形態ではアルミニウム製の押出形材であり、角管状に形成されている。つまり、第1支柱本体12はホロー形材である。第2支柱本体22は、第1支柱本体12と実質的に同一の(つまり、形状、寸法、および素材が設計上同じ)部材である。第1支柱本体12と第2支柱本体22は、所定の間隔をあけて立設されている。
【0014】
第1パネル保持部材14は、樹脂製であり、略直方体状の所定の形状に形成される。第1パネル保持部材14は、第1支柱本体12の上端側に固定される。具体的には、第1支柱本体12は第2支柱20側の面12aの一部、図示の例では上端側部分が切り欠かれており、第1パネル保持部材14はその切り欠き部分に嵌合されている。
【0015】
第2パネル保持部材24は、左右対称である点を除いて第1パネル保持部材14と同様に構成される。第2パネル保持部材24は、第2支柱本体22は第1支柱10側の面の一部、図示の例では上端側部分が切り欠かれており、第2パネル保持部材24はその切り欠き部分に嵌合されている。
【0016】
第1パネル保持部材14および第2パネル保持部材24は、前面パネル30および背面パネル40を保持するための保持構造を有する。
【0017】
第1パネル保持部材14には、保持構造として、上下に延びる前面パネル差込溝141と背面パネル差込溝142とが、前後に所定の間隔をあけて形成されている。前面パネル差込溝141は、背面パネル差込溝142よりも前側に形成されている。前面パネル差込溝141および背面パネル差込溝142はいずれも、上端は開口し、下端は塞がっている。同様に第2パネル保持部材24には、保持構造として、上下に延びる前面パネル差込溝241と背面パネル差込溝242とが、前後に所定の間隔をあけて形成されている。前面パネル差込溝241および背面パネル差込溝242はいずれも、上端は開口し、下端は塞がっている。背面パネル差込溝242と前面パネル差込溝241とが左右方向で対向し、背面パネル差込溝142と背面パネル差込溝242とが左右方向で対向する。
【0018】
前面パネル30は、本実施の形態ではアルミニウム製の押出形材であり、正面視で(すなわち前から見て)略矩形状の板状に形成される。前面パネル30は、左右の両端部が前面パネル差込溝141,241に収容されることにより、第1パネル保持部材14および第2パネル保持部材24に保持される。具体的には前面パネル30は、左右の両端部が前面パネル差込溝141,241にそれらの上端開口から差し込まれ、下方にスライドされる。そして前面パネル30は、左右の両端部が前面パネル差込溝141,241の下端に載置されることにより、第1パネル保持部材14および第2パネル保持部材24に保持される。なお前面パネル30は、後述するように、ネジにより各パネル保持部材に固定される。
【0019】
背面パネル40は、本実施の形態ではアルミニウム製の押出形材であり、正面視で略矩形状の板状に形成される。背面パネル40は、前面パネル30との間に間隔をあけて設けられる。背面パネル40は、左右方向の両端部がそれぞれ第1パネル保持部材14の背面パネル差込溝142、第2パネル保持部材24の背面パネル差込溝242に収容されることにより、第1パネル保持部材14および第2パネル保持部材24に保持される。具体的には背面パネル40は、左右の両端部が背面パネル差込溝142,242にそれらの上端開口から差し込まれ、下方にスライドされる。そして背面パネル40は、左右の両端部が背面パネル差込溝142,242の下端に載置されることにより、第1パネル保持部材14および第2パネル保持部材24に保持される。
【0020】
天板50は、本実施の形態ではアルミダイカスト製であり、平面視で略矩形状に形成される。天板50は、前面パネル30、背面パネル40、第1パネル保持部材14および第2パネル保持部材24に囲まれる空間70の上側の開口を覆う。天板50は特に、前面パネル30、背面パネル40、第1パネル保持部材14、第2パネル保持部材24、第1支柱本体および第2支柱本体の各上面を覆う。天板50は、ネジにより第1パネル保持部材14および第2パネル保持部材24に固定される。なお、空間70の下側の開口は、宅配ボックス66により覆われる。
【0021】
表札60は、前面パネル30の前面30aに固定される。インターホン62は空間70に収納されて前面パネル30に固定される。照明装置64は、前面パネル30を照らすための照明であり、前面パネル30に載置され、後述するように保持される。インターホン62および照明装置64には、第1支柱本体12または第2支柱本体22の内側を通して空間70まで引き延ばされた配線が接続される。宅配ボックス66は、第1支柱10と第2支柱20との間であって、前面パネル30および背面パネル40の下方に設けられる。
【0022】
つづいて、以上説明した門柱1の効果を説明する。
本実施の形態によれば、第1パネル保持部材14および第2パネル保持部材24が、前面パネル30および背面パネル40を保持するための保持構造(例えば溝)を有する。つまり、本実施の形態によれば、比較的大きい部材である第1支柱本体12および第2支柱本体22に保持構造を形成する必要がないため、製造コストを低減できる。また、第1支柱本体12および第2支柱本体22は押出形材であるため、第1支柱本体12および第2支柱本体22に保持構造を形成すると、第1支柱本体12および第2支柱本体22の全体に保持構造が形成されてしまい、意匠性が低下する。本実施の形態によれば、これを抑止できる。
【0023】
また本実施の形態によれば、第2支柱本体22および第2パネル保持部材24は樹脂製であるため、容易に、しかも低コストでそれらに保持構造を形成できる。そのため、第1支柱本体12および第2支柱本体22に保持構造を形成する場合と比べて、低コストできる。
【0024】
また本実施の形態によれば、前面パネル30および背面パネル40は、第1パネル保持部材14および第2パネル保持部材24に形成された差込溝に差し込んでスライドさせることで組み付けられるため、現場での門柱1の組立が容易となり、より短時間で門柱1を組み立てることができる。
【0025】
また本実施の形態によれば、第1支柱本体12、第2支柱本体22はホロー材であり、互いに対向する面の一部が切り欠かれており、その切り欠き部分に第1パネル保持部材14、第2パネル保持部材24が嵌合される。そのため、第1支柱本体12、第2支柱本体22に第1パネル保持部材14、第2パネル保持部材24を嵌合するための凹部を形成する必要がないため、製造コストを低減できる。
【0026】
つづいて、門柱1の他の特徴を説明する。
【0027】
図7(a)~(c)は、天板50と第2支柱本体22との当接部分を示す図である。
図7(a)は、天板50と第2支柱本体22との当接部分を前方から見た斜視図であり、
図7(b)は、天板50と第2支柱本体22との当接部分の正面図であり、
図7(c)は、天板50と第2支柱本体22との当接部分を右側から見た側面図である。
【0028】
各支柱本体は、それらの上端面が長手方向(上下方向)に対して45度をなすように形成されている。各支柱本体は、上述したように押出形材であるため、切削等することにより上端面が長手方向に対して45度をなすように形成される。また天板50は、それらの左右の端面が長手方向(左右方向)に対して45度をなすように形成されている。天板50の左側の端面と第1支柱本体12の上端面とが当接し、天板50の右側の端面と第2支柱本体22の上端面とが当接する。
【0029】
ところで、各支柱本体の上端面は、切削等されているため、エッジが比較的鋭利となる。ここで、仮に天板50も押出形材であり、左右の端面が切削等されている場合は、支柱本体と天板50との間に、それらの端面よりも外側に突出するように樹脂部材を挟むことで、人が各端面の鋭利なエッジに触れるのを防止できる。しかしながら、これは門柱1の意匠性を低下させる。
【0030】
これに対し、本実施の形態の天板50は、アルミダイカスト製であり、左右の端面のエッジが丸くなるように形成される。また天板50は、
図7(a)~(c)に示すように、支柱本体の上端面のエッジよりも外側に突出して支柱本体の上端面を完全に覆うように形成される。これにより、意匠性を確保しつつ、人が支柱本体の上端面の鋭利なエッジに触れるのを防止できる。
【0031】
図8は、門柱の上側部分の鉛直断面図である。
図8では、第1パネル保持部材14の取付部143を通る断面を示す。前面パネル30の背面30bには、左右に延在する2つの板状のリブ32,33が、上下に所定の間隔をあけて立設されている。第1パネル保持部材14は、2つのリブ32,33の隙間と対向する位置に挿通穴143aが形成された取付部143を有する。ネジ(不図示)を取付部143の挿通穴143aを挿通させて2つのリブ32,33の間にねじ込むと、ネジは、リブ32,33を削りながら2つのリブ32,33の間に進入し、リブ32,33に螺合する。これにより、前面パネル30が第1パネル保持部材14に固定される。同様にして、前面パネル30は第2パネル保持部材24にも固定される。この場合、前面パネル30に丸穴加工やネジ加工が不要となる。一方、リブ32,33は、押出成形時に形成できる。このため、製造コストが抑えられる。
【0032】
図9(a)、(b)はそれぞれ、第1パネル保持部材14の背面パネル差込溝142を示す。
図9(a)、(b)は、
図6(b)の点線で囲んだ部分に対応する。
図9(a)は、背面パネル40を背面パネル差込溝142に差し込む前の状態を示し、
図9(b)は、背面パネル40を背面パネル差込溝142に差し込んだ後の状態を示す。背面パネル差込溝142は、他の部分よりも幅が狭い幅狭部142aを有する。幅狭部142aの幅は、背面パネル差込溝142に背面パネル40を差し込む前の状態では、すなわち設計上は、背面パネル40の幅よりも幅が狭くなっている。幅狭部142a以外の部分の幅は、背面パネル40の幅よりも広くなっている。背面パネル40を背面パネル差込溝142に差し込むと、幅狭部142aを構成する内壁が凹むあるいは削れる等して、幅狭部142aの幅が背面パネル40の幅と実質的に同じに、言い換えると幅狭部142aと背面パネル40との隙間が実質的にゼロになる。これにより、背面パネル40のがたつきが抑止される。なお、背面パネル差込溝142が有する幅狭部の数は特に限定されない。また、ここでは代表して背面パネル差込溝142について説明したが、他の差込溝も同様の幅狭部を有する。
【0033】
図10は、門柱の上側部分の鉛直断面図である。
図10では、突出部50b(後述)を通る断面を示す。
図11は、天板50および照明装置64を下方から見た斜視図である。
図2、
図4、
図10および
図11を参照する。
【0034】
照明装置64は、ネジ等の固定部材を用いずに保持される。具体的には、照明装置64は、複数の部材が当該照明装置64に当接することによりその前後左右上下の移動が規制されることで、それら複数の部材により保持される。
【0035】
本実施の形態では、第1パネル保持部材14は、先端が照明装置64の前方に位置するように右側に突出する突出部144を有する。第2パネル保持部材24は、先端が照明装置64の前方に位置するように左に突出する突出部244を有する。これにより、照明装置の前方への移動が規制される。また天板50は、照明装置64を左右に挟み込むように下方に突出する一対の突出部50aを有する。これにより、照明装置64の左右に移動が規制される。また、天板50は、照明装置64の後端に形成された段部64aに進入する突出部50bを有する。これにより、照明装置64の上方および後方への移動が規制される。さらに照明装置64は前面パネル30に載置されているため、下方への移動が規制される。以上より、照明装置64は前後左右上下の移動が規制される。つまり、照明装置64が保持される。
【0036】
図12(a)、(b)は、第1パネル保持部材14とカバー16とを示す斜視図である。
図12(b)では、第1パネル保持部材14とカバー16とを分離させた状態を示す。
図1、
図2、
図5、
図6および
図12(a)、(b)を参照する。
【0037】
第1支柱10、第2支柱20はそれぞれ、カバー16,26をさらに備える。カバー16,26は、上下に長い部材である。カバー16,26の長手方向に沿った断面形状は、後方が開いた角張った略U字状を有する。カバー16は、前面パネル差込溝141よりも前方側の第1パネル保持部材14の部分を覆う。同様に、カバー26は、前面パネル差込溝241よりも前方側の第2パネル保持部材24の部分を覆う。カバー16,26は、支柱本体に形成された切り欠き部分から露出する。したがって、例えばカバー16,26の色およびデザインを前面パネル30の色およびデザインと同じにすることで、立体的な見た目を実現できる。もちろん、カバー16,26の色やデザインを、前面パネル30の色やデザインとも支柱本体の色やデザインとも異ならせてもよい。
【0038】
また、前面パネル30の前面30aには表札60が取り付けられ、表札60が前に突出しすぎないように、前面パネル30は支柱本体の前端から奥まった位置に取り付けられる。具体的には、第1支柱本体12および第2支柱本体22の前端から前面パネル30(言い換えると前面パネル差込溝141,241)までの前後方向の距離L1は、第1支柱本体12および第2支柱本体22の後端から後端パネル(言い換えると背面パネル差込溝142,242)までの距離L2よりも長くなる(
図5参照)。
【0039】
この場合、意匠性を確保すべく第1パネル保持部材14が露出しないように第1支柱本体12で隠そうとすると、第1支柱本体12の切り欠きを画定する前後両端の張出部12b,12c(
図5参照)について、前方側の張出部12bを、後方側の張出部12cよりも前後に長くする必要がある。同様に、意匠性を確保すべく第2パネル保持部材24が露出しないように第2支柱本体22で隠そうとすると、第2支柱本体22の切り欠きを画定する前後両端の張出部22b,22cについて、前方側の張出部22bを、後方側の張出部22cよりも前後に長くする必要がある。この場合、第1支柱本体12と第2支柱本体22とが異なる(左右対称の)形状となる。
【0040】
これに対し、本実施の形態では、前面パネル差込溝141よりも前方側の第1パネル保持部材14の部分は、カバー16で覆われているため、その部分を第1支柱本体12で隠す必要がなく、したがって、第1支柱本体12の張出部12b,12cの長さを同じにできる。同様に、背面パネル差込溝142よりも前方側の第2パネル保持部材24の部分は、カバー26で覆われているため、その部分を第2支柱本体22で隠す必要がなく、したがって、第2支柱本体22の張出部22b,22cの長さを同じにできる。つまり、第1支柱本体12と第2支柱本体22とを同一の形状(同一の部材)にできる。これにより、第1支柱本体12と第2支柱本体22の加工が共通になるため生産性が向上する。また、組み立て時に支柱本体が第1支柱本体12であるか第2支柱本体22であるかを気にする必要がないため、組み立て性が向上する。
【0041】
つづいて、門柱1の組み立て手順を説明する。ここでは、第1支柱本体12および第2支柱本体22の設置と宅配ボックス66の取り付けまでは完了しているものとする。
(1)第1支柱本体12に第1パネル保持部材14を固定し、第2支柱本体22に第2パネル保持部材24を固定する。
(2)表札60やインターホンが固定された前面パネル30を、前面パネル差込溝141,241にそれらの上端開口から挿入する。
(3)ネジで前面パネル30と第1パネル保持部材14および第2パネル保持部材24とを固定する。
(4)前面パネル30に照明装置64を配置する。
(5)第1支柱本体12または第2支柱本体22の内側を通して空間70まで引き延ばされた配線をインターホン62や照明装置64に接続する。
(6)背面パネル40を背面パネル差込溝142,242にそれらの上端開口から挿入する。
(7)天板50を被せてネジで固定する。
【0042】
なお、逆の手順で門柱1を分解することができる。
【0043】
以上、実施の形態に係る門柱について説明した。この実施の形態は例示であり、各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0044】
支柱本体がホロー形材である場合について説明したが、これに限られない。例えば、支柱本体をソリッド形材として形成し、その上端部に、パネル保持部品が嵌る凹部を形成してもよい。また例えば、内側が開いた角張ったU字状に形成してもよい。
【0045】
以上説明した実施の形態および変形例により具体化される発明を一般化すると、以下の技術的思想が導かれる。
本発明のある態様の門柱は、第1、第2支柱と、第1、第2支柱の間に設けられる第1パネルと、第1パネルと間隔をあけて設けられる第2パネルと、第1支柱、第2支柱、第1パネルおよび第2パネルに囲まれる空間の上側の開口を覆う天板と、を備える。第1、第2支柱はそれぞれ、支柱本体と、支柱本体に固定されるパネル保持部材と、を含み、第1、第2支柱の各パネル保持部材は、第1、第2パネルを保持するための保持構造を有する。この態様によると、比較的大きい部材である第1支柱本体および第2支柱本体に保持構造を形成する必要がないため、製造コストを低減できる。
【0046】
第1、第2支柱は、ホロー材で、互いに対向する面の一部が切り欠かれており、第1、第2支柱の各パネル保持部は、第1、第2支柱の切り欠き部分に嵌合されていてもよい。この態様によると、第1支柱本体にパネル保持部材を嵌合するための凹部を形成する必要がないため、製造コストを低減できる。
【0047】
第1、第2支柱の各パネル保持部材には、互いに対向する面に、上下に延びる、上端が開口し下端が塞がった溝が形成されており、第1パネルは、水平方向における両端がそれぞれ、第1、第2支柱の各パネル保持部材の各溝に収容されていてもよい。
【0048】
溝は、他の部分よりも幅狭な幅狭部を有してもよい。幅狭部の幅は、設計上、第1パネルの幅よりも狭い。この場合、第1パネルのがたつきを抑えることができる。
【0049】
前面パネルを照射するための照明装置をさらに備えてもよい。照明装置は、複数の部材によって移動が規制されることにより保持されていてもよい。この場合、ネジ等の固定部材を用いずに照明装置を保持することが可能となる。
【符号の説明】
【0050】
1 門柱、 10 第1支柱、 12 第1支柱本体、 14 第1パネル保持部材、 20 第2支柱、 22 第2支柱本体、 24 第2パネル保持部材、 30 前面パネル、 40 背面パネル、 50 天板、 70 空間。