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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】ノズル体
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/00 20060101AFI20220616BHJP
【FI】
A47K3/00 Q
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018071967
(22)【出願日】2018-04-03
(65)【公開番号】P2019180559
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】501362906
【氏名又は名称】積水ホームテクノ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【弁理士】
【氏名又は名称】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 浩之
(72)【発明者】
【氏名】能登 健治
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 将一
(72)【発明者】
【氏名】木下 将晃
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-237436(JP,A)
【文献】特開平11-313771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00、3/02、4/00
A47L 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水口が形成された底壁部の上面に、当該排水口に向かって下方に傾斜する傾斜面が形成された浴槽において、前記傾斜面に形成された貫通孔から洗浄水を噴出するように構成された自動洗浄装置に設けられるノズル体であって、
前記貫通孔から前記浴槽の下方に延び、前記洗浄水を供給するための供給路が形成されている、固定部材と、
前記固定部材における、前記貫通孔から露出する部分に着脱自在に固定され、前記洗浄水の噴出口が形成された噴出部材と、
を備え、
前記噴出部材は、前記固定部材から供給される前記洗浄水を第1方向に流す第1流路と、前記第1流路と連結され、当該第1流路を流れる前記洗浄水を前記噴出口から放射状に広がるように噴出する第2流路とを有し、
前記噴出部材は、前記固定部材に対し、前記第1流路が鉛直方向を向くように取り付けられるように構成されており、
前記固定部材は、
前記噴出部材が取り付けられる取付口を備え、
前記取付口が鉛直方向に延びるように、前記浴槽に取り付けられるように構成されており、
前記噴出部材は、
前記固定部材の取付口に取り付けられ、前記第1方向に延びる取付部と、
前記取付部に連結され、前記噴出口が形成された噴出部と、
を備え、
前記噴出部は、前記第1方向と直交する方向に、前記取付部よりも大径となるように延びており、
前記固定部材は、
前記取付口が開口し、前記貫通孔よりも大径に形成され、前記浴槽の底壁部の上面に沿うように配置される係合部と、
前記係合部に連結され、前記貫通孔に挿通される挿通部と、
を備え、
前記係合部は、
前記底壁部の傾斜面と平行な下面と、
水平方向に延びる上面と、
を備えており、
前記噴出部の下面は、前記係合部の上面と平行となるように形成されている、ノズル体。
【請求項2】
前記底壁部の貫通孔を挟んで、前記底壁部の上面に接するように配置される第1部位と、前記底壁部の下面に接するように配置される第2部位と、を有し、前記第1部位及び第2部位が前記貫通孔を介して一体的に連結されている、シール部材をさらに備えている、請求項に記載のノズル体。
【請求項3】
排水口が形成された底壁部の上面に、当該排水口に向かって下方に傾斜する傾斜面が形成された浴槽において、前記傾斜面に形成された貫通孔から洗浄水を噴出するように構成された自動洗浄装置に設けられるノズル体であって、
前記貫通孔から前記浴槽の下方に延び、前記洗浄水を供給するための供給路が形成されている、固定部材と、
前記固定部材における、前記貫通孔から露出する部分に着脱自在に固定され、前記洗浄水の噴出口が形成された噴出部材と、
を備え、
前記噴出部材は、前記固定部材から供給される前記洗浄水を第1方向に流す第1流路と、前記第1流路と連結され、当該第1流路を流れる前記洗浄水を前記噴出口から放射状に広がるように噴出する第2流路とを有し、
前記噴出部材は、前記固定部材に対し、前記第1流路が鉛直方向を向くように取り付けられるように構成されており、
前記固定部材は、
前記噴出部材が取り付けられる取付口を備え、
前記取付口が鉛直方向に延びるように、前記浴槽に取り付けられるように構成されており、
前記噴出部材は、
前記固定部材の取付口に取り付けられ、前記第1方向に延びる取付部と、
前記取付部に連結され、前記噴出口が形成された噴出部と、
を備え、
前記噴出部は、前記第1方向と直交する方向に、前記取付部よりも大径となるように延びており、
前記噴出部は、前記貫通孔よりも大径に形成されており、
前記噴出部と前記底壁部の傾斜面との間に配置され、前記噴出部材の取付部が挿通される貫通孔が形成されている上側シール部材をさらに備え、
前記上側シール部材は、
前記底壁部の傾斜面と平行な下面と、
水平方向に延びる上面と、
を備えており、
前記噴出部の下面は、前記上側シール部材の上面と平行に形成されているノズル体。
【請求項4】
前記上側シール部材と対向するように、前記底壁部の下面に接するように配置される下側シール部材をさらに備えている、請求項に記載のノズル体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水口が形成された底壁部の上面に、当該排水口に向かって下方に傾斜する傾斜面が形成された浴槽において、前記傾斜面に形成された貫通孔から洗浄水を噴出するように構成された自動洗浄装置に設けられるノズル体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、浴槽の自動洗浄を行う種々の自動洗浄装置が提案されている。例えば、特許文献1の自動洗浄装置では、浴槽に風呂蓋が取り付けられた状態で、洗浄が行われる。すなわち、浴槽の底面に取り付けられたノズル体から浴槽の内壁面及び風呂蓋に向けて洗浄水を噴出し、浴槽の内壁面に付着した汚れを洗浄するように構成されている。また、風呂蓋に向かって噴出された洗浄水は、蓋から跳ね返って浴槽の内壁面に飛散し、これによっても内壁面が洗浄される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3509089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、高齢者介護施設のような様々な人々が同居する施設の一部においては、衛生面を考慮して、入浴者が変わるたびに浴槽の洗浄及び湯の入れ替えが行なわれる。このように、入浴者が変わるたびに湯の入れ替えが行なわれる場合には、湯の保温が必要ないため、風呂蓋が使用されない。
【0005】
風呂蓋が使用されない場合に、上記特許文献1に開示されているような浴槽の自動洗浄装置が用いられると、洗浄水が浴槽の外部に飛び散ってしまう可能性がある。そこで、洗浄水が浴槽の外部に飛び散らないように、洗浄水の噴出角度や水圧を調整する必要がある。しかしながら、ノズル体が取り付けられる浴槽の底面は、傾斜しているため、このような傾斜面にノズル体を設けると、ノズル体から噴出される洗浄水も傾斜してしまう。そのため、浴槽の内壁面に対し、洗浄水を付着させることができる高さにバラツキが生じるおそれがあり、これに起因して洗浄にムラが生じる可能性があった。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、浴槽の内壁面に対し、洗浄水を付着できる高さをできるだけ均一にすることが可能なノズル体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るノズル体は、
排水口が形成された底壁部の上面に、当該排水口に向かって下方に傾斜する傾斜面が形成された浴槽において、前記傾斜面に形成された貫通孔から洗浄水を噴出するように構成された自動洗浄装置に設けられるノズル体であって、前記貫通孔から前記浴槽の下方に延び、前記洗浄水を供給するための供給路が形成されている、固定部材と、前記固定部材における、前記貫通孔から露出する部分に着脱自在に固定され、前記洗浄水の噴出口が形成された噴出部材と、を備え、前記噴出部材は、前記固定部材から供給される前記洗浄水を第1方向に流す第1流路と、前記第1流路と連結され、当該第1流路を流れる前記洗浄水を前記噴出口から放射状に広がるように噴出する第2流路とを有し、前記噴出部材は、前記固定部材に対し、前記第1流路が鉛直方向を向くように取り付けられるように構成されている。
【0008】
上記ノズル体において、前記固定部材は、前記噴出部材が取り付けられる取付口を備え、前記固定部材は、前記取付口が鉛直方向に延びるように、前記浴槽に取り付けられるように構成することができる。
【0009】
上記ノズル体において、前記噴出部材は、前記固定部材の取付口に取り付けられ、前記第1方向に延びる取付部と、前記取付部に連結され、前記噴出口が形成された噴出部と、を備え、前記噴出部は、前記第1方向と直交する方向に、前記取付部よりも大径となるように延びるように形成することができる。
【0010】
上記ノズル体において、前記固定部材は、前記取付口が開口し、前記貫通孔よりも大径に形成され、前記浴槽の底壁部の上面に沿うように配置される係合部と、前記係合部に連結され、前記貫通孔に挿通される挿通部と、を備え、前記係合部は、前記底壁部の傾斜面と平行な下面と、水平方向に延びる上面と、を備えており、前記噴出部の下面は、前記係合部の上面と平行となるように形成することができる。
【0011】
上記ノズル体においては、前記底壁部の貫通孔を挟んで、前記底壁部の上面に接するように配置される第1部位と、前記底壁部の下面に接するように配置される第2部位と、を有し、前記第1部位及び第2部位が前記貫通孔を介して一体的に連結されている、シール部材をさらに備えることができる。
【0012】
上記ノズル体において、前記噴出部は、前記貫通孔よりも大径に形成されており、前記噴出部と前記浴槽の底面の傾斜面との間に配置され、前記噴出部材の取付部が挿通される貫通孔が形成されている上側シール部材をさらに備え、前記上側シール部材は、前記底壁部の傾斜面と平行な下面と、水平方向に延びる上面と、を備えており、前記噴出部の下面は、前記上側シール部材の上面と平行に形成することができる。
【0013】
上記ノズル体においては、前記上側シール部材と対向するように、前記底壁部の下面に接するように配置される下側シール部材をさらに備えることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るノズル体によれば、浴槽の内壁面に対し、洗浄水を付着できる高さをできるだけ均一にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るノズル体が取り付けられた自動洗浄装置を含む風呂システムの第1実施形態の概略構成を示す図である。
図2図1の浴槽の平面図である。
図3】ノズル体の分解側面図である。
図4】ノズル体の浴槽への取付を説明する側面図である。
図5】ノズル体の浴槽への取付を説明する側面図である。
図6】ノズル体の浴槽への取付を説明する側面図である。
図7】洗浄水の軌道を説明するための浴槽の平面図である。
図8図7のA-A線断面図である。
図9図7のB-B線断面図である。
図10】風呂システムにおける自動洗浄の流れを示すフローチャートである。
図11】高齢者介護施設における介護作業者の作業及び風呂システムの動作を示すタイムチャートである。
図12図3のノズル体による洗浄水の噴射経路を説明する浴槽の断面図である。
図13】第2実施形態に係るノズル体の分解側面図である。
図14図13のノズル体の浴槽への取付を説明する側面図である。
図15図13のノズル体の浴槽への取付を説明する側面図である。
図16】洗浄水の軌道を説明するための他の浴槽の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(1.第1実施形態)
以下、本発明に係るノズル体が設けられる自動洗浄装置の第1実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
(1-1.風呂システムの構成)
図1は、本実施形態に係る自動洗浄装置を含む風呂システムの概略構成を示す図、図2図1の平面図である。
【0018】
図1に示すように、風呂システム1は、浴槽100を含む浴室10と、制御機200と、リモコン400とを備えている。詳細については後述するが、風呂システム1においては、制御機200に含まれるポンプによって、湯及び洗浄水が浴槽100に供給される。風呂システム1においては、制御機200がリモコン400から制御信号を受信して各種制御を実行することによって、浴槽100の排水、洗浄及び湯はりが自動的に行なわれる。
【0019】
上述のように、浴室10は、少なくとも浴槽100を含んでいる。浴室10は、壁パネル、天井パネル及び防水パン等から構成されるユニット室である。図2に示すように、浴槽100は、直方体状に形成され、底壁部103と、一対の第1側壁部101と、一対の第2側壁部102とが連結されることで、湯がためられる内部空間を形成している。そして、一対の第1側壁部101は、浴槽100の短手方向の両端において対向するように配置されている、一方、一対の第2側壁部102は、浴槽100の長手方向の両端において対向するように配置されている。また、浴槽100には、蛇口110と、洗剤タンク120と、排水口130と、ノズル体5とが設けられている。
【0020】
蛇口110は、制御機200から湯の供給を受けて、浴槽100に湯をはるように構成されている。蛇口110は、浴槽100の框上面に設けられている。そして、蛇口110の吐水口は、浴槽100のあふれ面よりも上方に設けられている。したがって、風呂システム1においては、蛇口110の吐水口から湯が制御機200側に逆流することがないため、蛇口110からの湯の逆流を防止するための逆流防止タンクを設ける必要がない。
【0021】
洗剤タンク120は、浴槽100の洗浄時に使用される液状の洗剤を貯えるように構成されている。詳細については後述するが、洗剤タンク120に貯えられた洗剤は、制御機200を経由して、ノズル体5に接続された給水管190に供給される。洗剤タンク120の本体は、浴槽100の框の下方に取り付けられ、浴槽本体とエプロン125、浴室壁との間に収められている。洗剤タンク120の蓋122は、浴槽100の框の上方に突出している。例えば、介護作業者は、蓋122を開けることによって、洗剤タンク120内に洗剤を注入することができる。
【0022】
図2に示すように、浴槽100の底壁部103には、長手方向の中央付近で、且つ短手方向の一端部付近に排水口130が形成されている。排水口130は、大口径であって下方開放された浴槽排水口である。排水口130は、制御機200からの制御信号S1に従って自動的に開閉するように構成されている。自動開閉のための機構は、通水面積の減少を抑制するために、コンパクトに形成されている。排水口130が閉鎖された状態で、蛇口110から湯が供給されると浴槽100内に湯が貯えられる。一方、浴槽100内に湯が貯えられた状態で、排水口130が開放されると、浴槽100内の湯が排水される。
【0023】
そして、排水口130に向かって湯がスムーズに流れるように、底壁部103の上面には、傾斜面が形成されている。すなわち、この傾斜面は、図2に示すように、底壁部103の周縁の端部から排水口130に向かって傾斜するように形成されている。なお、図2において底壁部103に描かれている矢印は、下方に向かう傾斜面の方向を示している。傾斜面の勾配は、例えば、25/1000にすることができるが、これに限定されず、適宜変更することができる。
【0024】
ノズル体5は、浴槽100の底壁部103に形成された貫通孔105に取り付けられ、制御機200から供給される洗浄水を放射状に噴出するように構成されている。この貫通孔105は、底壁部103において、長手方向及び短手方向の概ね中央に形成されている。より詳細には、図2に示すように、短手方向に延びる傾斜面の途中に形成されている。このノズル体5には、浴槽100の下方に配置された給水管190から洗浄水及び濯ぎ水が供給されるようになっている。なお、ここでいう洗浄水とは、浴槽の壁面を洗浄する液体であり、界面活性剤や洗剤を含む液体が好ましいが、常温や高温の水であってもよい。
【0025】
ここで、「噴出」とは、液体を噴き出すことをいい、霧状及び粒状の液体を噴き出すことを含む。本実施形態1においては、ノズル体5から噴出される洗浄水や濯ぎ水によって、浴槽100の自動洗浄が行なわれる。浴槽100の自動洗浄においては、ノズル体5から浴槽100の各側壁部101,102の内壁面に向かって洗浄水が放射状に噴出され、その後、ノズル体5から浴槽100の内壁面に向かって濯ぎ水を放射状に噴出される。これによって、浴槽100の内壁面の汚れが落とされる。なお、ノズル体5の詳細は、後述する。
【0026】
また、図2に示すように、蛇口110及び洗剤タンク120の各々は、浴槽100の角部分に設けられている。
【0027】
再び図1を参照して、制御機200は、各種ポンプ210と、逆流防止タンク220と、受信部230と、制御機本体240とを含んでいる。制御機200は、例えば、浴室10の天井裏に設置されている。
【0028】
各種ポンプ210の説明をする前に、風呂システム1における配管のうち、図1において省略されている配管の一部について説明する。風呂システム1においては、上述した給水管190のほか、例えば、各種ポンプ210のいずれかと蛇口110とをつなぐ配管、及び、各種ポンプ210のいずれかと洗剤タンク120とをつなぐ配管が設けられている。
【0029】
各種ポンプ210は、1又は複数のポンプを含み、例えば、以下の機能を実現するように構成されている。各種ポンプ210は、例えば、給湯器300に接続された湯配管305から供給された湯と、水配管310から供給された水とを混ぜることによって温度が調整された湯を蛇口110に供給する機能を有する。なお、給湯器300としては、公知の種々の給湯器を用いることが可能である。
【0030】
また、各種ポンプ210は、洗剤タンク120から供給された洗剤と、湯配管305から供給された湯とを混ぜることによって生成された洗浄水を給水管190に供給する機能を有する。また、各種ポンプ210は、湯配管305から供給された湯を濯ぎ水として給水管190に供給する機能を有する。例えば、各種ポンプ210は、洗浄水及び濯ぎ水を一定水圧で給水管190に供給するように構成されている。
【0031】
逆流防止タンク220は、ノズル体5からの湯の逆流を防止するために設けられたタンクである。逆流防止タンク220は、いわゆる、シスターンタンクである。
【0032】
受信部230は、リモコン400と通信するように構成されている。受信部230は、例えば、リモコン400から赤外線を受信し、受信された信号を電気信号に変換して、受信結果を制御機本体240に送信する。例えば、受信部230は、介護作業者がリモコン400を介して浴槽100の自動洗浄やお湯はりの開始指示を行なった場合に、所定の信号を受信し、受信結果を制御機本体240に送信する。
【0033】
制御機本体240は、図示しないCPU(Central Processing Unit)及び内部メモリを含み、内部メモリに記憶された情報や各センサ(不図示)からの信号等に基づいて各種ポンプ210及び排水口130等を制御するように構成されている。
【0034】
(1-2.浴槽の自動洗浄)
風呂システム1が設置される高齢者介護施設等の一部においては、衛生面を考慮して、入浴者(要介護者)が変わるたびに浴槽100の洗浄及び湯の入れ替えが行なわれる。このように、入浴者が変わるたびに湯の入れ替えが行なわれる場合には、湯の保温が必要ないため、風呂蓋が使用されない。
【0035】
風呂蓋が使用されない状態で浴槽100の自動洗浄が行なわれる場合に、仮にノズル体5からの洗浄水の噴出角度が大きすぎると、洗浄水が浴槽100の外部に飛び散ってしまう可能性がある。また、高齢者介護施設において、介護作業者は、高齢者の介護で手が離せないため、浴槽100の自動洗浄だけのために浴槽に風呂蓋をすることが困難な場合もある。
【0036】
本実施の形態1において、ノズル体5による洗浄水の噴出角度は、噴出された洗浄水が浴槽100の内壁面の最上部を越えない角度である。すなわち、本実施形態においては、洗浄水が浴槽100の内壁面の最上部を越えない。したがって、本実施形態によれば、風呂蓋が使用されなくても、洗浄水が浴槽100の外部に飛び散る可能性を低減することができる。
【0037】
(1-3.ノズル体の構成)
次に、ノズル体について、詳細に説明する。以下では、まず、ノズル体を構成する各部材について説明し、その後、ノズル体の浴槽への取付について説明する。図3はノズル体の分解断面図である。
【0038】
図3に示すように、ノズル体5は、給水管190と接続される固定部材6と、この固定部材6に取り付けられ、洗浄水や濯ぎ水を噴出する噴出部材7と、を備えている。また、固定部材6と噴出部材7との間には第1シール部材91が取り付けられ、浴槽100の底壁部103の貫通孔105には第2シール部材(シール部材)8が取り付けられている。さらに、固定部材6を底壁部103に固定するために、締付部材92が設けられている。以下、各部材について詳細に説明する。
【0039】
噴出部材7は、洗浄水や濯ぎ水を噴出させる噴出口711が形成された平面視円形の噴出部71と、この噴出部71の下面に連結された円柱状の取付部72と、を備え、これらは一体的に形成されている。噴出部71の上面712は、球面状に形成され、その中央に噴出口711が形成されている。一方、噴出部71の下面713は、平坦に形成されている。また、取付部72は噴出部71よりも小径の円柱状に形成され、外周面に雄ネジが形成されている。
【0040】
また、噴出部材7の内部には、洗浄水等を流す流路が形成されている。すなわち、取付部72の下端部から上方(第1方向)に延びる円筒状の第1流路701と、この第1流路701の上端に連結され、噴出口711に通じる第2流路702とを有している。第2流路702は、第1流路701を通った洗浄水等を噴出口711から上方に向けて放射状に噴出するように形成されている。例えば、第1流路701を通過した洗浄水等をらせん状に回転させつつ、噴出口711から充円錐または空円錐を描くように洗浄水等を噴出させる。ここで、放射状とは、噴出口711から洗浄水が上方に向かって噴出され、且つノズル体5の周囲約360度に亘って噴出されることをいう。そして、ノズル体5の第2流路702の構成によっては、噴出口711から円錐の外面に沿うように洗浄水が噴射されたり(空円錐)、あるいは円錐の外面だけでなく、円錐の内部にも洗浄水が噴射されるように(充円錐)することができる。但し、噴出された洗浄水が、厳密な円錐を描かなくてもよく、少なくともノズル体5から上方に向かって、放射状に噴出されればよい。このように、洗浄水等を放射状の噴出させるための第2流路702の構成は、公知のものを利用することができ、特には限定されない。
【0041】
次に、固定部材6について説明する。固定部材6は、底壁部103の貫通孔105に挿通される円筒状の挿通部61と、この挿通部61の上端に取り付けられ、挿通部61よりも大径の係合部62と、挿通部61の下端に取り付けられ、給水管190が連結される円筒状の連結部63と、を備えている。挿通部61の内部には、上下方向に延びる供給路601が形成されており、この供給路601の内壁面には、噴出部材7の雄ネジがねじ込まれる雌ネジが形成されている。この供給路601は、固定部材6が浴槽100に取り付けられたときには、鉛直方向を向くように形成されている。なお、この供給路601が、本発明の取付口にも相当する。
【0042】
また、この供給路601の下端部には、上述した連結部63が連結され、給水管190から供給される洗浄水等が、連結部63を介して供給路601に流れ込むようになっている。さらに、挿通部61の外周面の上端部付近には、上述した締付部材92を固定するための雄ネジ64が形成されている。
【0043】
係合部62は、平面視円形状の板状に形成され、その下面621は底壁部103の傾斜面に沿うようになっている。一方、係合部62の上面622は水平方向に延びるようになっている。したがって、係合部62の下面621は、上面622に対して傾斜している。そのため、固定部材6が、底壁部103に取り付けられたときには、係合部62の上面622が水平に延びるように配置されるようになっている。
【0044】
次に、第1シール部材91について説明する。第1シール部材91は、平面視円形の板状に形成され、噴出部材7の取付部72が挿通される貫通孔911が形成されている。そして、この第1シール部材91は、噴出部材7の噴出部71の下面713と、固定部材6の係合部62の上面622との間に配置され、両者の間を液密にシールするようになっている。したがって、第1シール部材91は、ゴムなどの弾性部材によって形成されている。この点は、後述するすべてのシール部材について同様である。
【0045】
第2シール部材8は、底壁部103の貫通孔105に取り付けられるものであり、貫通孔105の内壁面に取り付けられる円筒状の中央部位80と、この中央部位80の上端に連結された円板状の第1部位81と、中央部位80の下端に連結された円板状の第2部位82と、を備え、これらが一体的に形成されている。中央部位80の軸方向の長さは貫通孔105の軸方向の長さと概ね同じである。そのため、第1部位81は底壁部103の上面に接し、第2部位82は底壁部103の下面に接するようになっている。そして、この第2シール部材8には、これら第1部位81、中央部位80、及び第2部位82を貫通する貫通孔83が形成されており、この貫通孔83に、固定部材6の挿通部61が挿通される。
【0046】
この貫通孔83は、上下方向に延びているが、第1部位81及び第2部位82は、底壁部103の上面及び下面に沿うように形成されている。したがって、側面視では第1部位81及び第2部位82は、貫通孔83に対して傾斜している。
【0047】
締付部材92は、円板状に形成され、固定部材6の挿通部61が挿通される貫通孔921が形成されている。また、この貫通孔921には、固定部材6の挿通部61の雄ネジ64に螺合する雌ネジが形成されている。そして、第2シール部材8の下面に当接し、固定部材6に螺合することで、第2シール部材8を下方から締め付けるように構成されている。
【0048】
続いて、ノズル体5の組み立てについて、図4図6を参照しつつ説明する。図4及び図5は、ノズル体を組み立てて底壁部に取り付ける手順を示す断面図である。
【0049】
図4に示すように、まず、底壁部103の貫通孔105に第2シール部材8を取り付ける。つまり、第2シール部材8の中央部位80が貫通孔105に嵌まるように取り付ける。これにより、第1部位81が底壁部103の上面に接し、第2部位82が底壁部103の下面に接する。
【0050】
次に、図5に示すように、固定部材6を第2シール部材8に取り付ける。つまり、固定部材6の挿通部61を,第2シール部材8の貫通孔83に挿通し、係合部62の下面621が第2シール部材8の第1部位81の上面と接するようにする。これに続いて、締付部材92の貫通孔921に固定部材6の挿通部61を挿通するとともに、締付部材92を挿通部61の雄ネジ64に螺合させる。これにより、固定部材6の係合部62と締付部材92とによって第2シール部材8が上下から押圧される。その結果、第2シール部材8の第1部位81が上方から押圧され、第1部位81と底壁部103の上面、及び係合部62と第1部位81との間が液密にシールされる。同様に、第2シール部材8の第2部位82が下方から締付部材92によって押圧され、第2部位82と底壁部103の下面、及び締付部材92と第2部位82との間が液密にシールされる。
【0051】
次に、図6に示すように、第1シール部材91の貫通孔911に、噴出部材7の取付部72を挿通し、さらにこの取付部72を、固定部材6の供給路601に螺合させる。これにより、噴出部材7の第1流路701と、固定部材6の供給路601とが連通する。また、第1シール部材91が噴出部71と固定部材6の係合部62との間で押圧され、両者が液密に固定される。
【0052】
このように取り付けられたノズル体5に対しては、給水管190から洗浄水等が圧送され、固定部材6の供給路601、噴出部材7の第1流路701を鉛直方向に洗浄水が通過する。そして、第2流路702において、洗浄水等が放射状に噴出される。すなわち、図6の破線矢印のように洗浄水等が噴出される。なお、破線矢印L1は、ノズル体5から噴出される洗浄水等の軌道の一部を示す。破線矢印L1は、放物線である。また、破線L2は、破線矢印L1の接線である。本実施形態における洗浄水の「噴出角度」は、水平面S(係合部62の上面及び噴出部71の下面)と破線L2とがなす角An1である。すなわち、ノズル体5による洗浄水の噴出角度は、水平よりも上向きである。
【0053】
(1-4.洗浄水の軌道及び到達位置)
次に、洗浄水の軌道及び到達位置について、図7図9を参照しつつ説明する。図7は、洗浄水の軌道を説明するための浴槽100の平面図である。図8は、図7のA-A線断面図である。図9は、図7のB-B線断面図である。図7図9において、破線矢印は、ノズル体5が噴出する洗浄水の軌道の一部を示す。図7に示すように、ノズル体5は、ノズル体5の外周方向全体に洗浄水を噴出する。
【0054】
図8及び図9に示すように、水位106は、要介護者が浴槽100に入る前の水位である。例えば、浴槽100には水位106(所定水位)まで自動的に湯をはる機能が搭載されており、水位106は、例えば水位107(あふれ面)の70%~80%の水位である。ノズル体5から噴出された洗浄水は、水位106と水位107との間の領域A1にかかる。
【0055】
浴槽100においては、内壁面のうち、人が入っていない状態の水位(水位106)と人が入った状態の水位(水位107)との間の領域A1が最も汚れやすい。この浴槽100においては、洗浄水が浴槽100の内壁面のうち人が入っていない状態の水位(水位106)よりも高い位置にかけられる。
【0056】
すなわち、ノズル体5における洗浄水の噴出角度は、噴出された洗浄水が、水位106より高い位置、かつ、水位107を越えない位置にかけられる角度(An1(図6))となっている。さらに、各種ポンプ210のうちノズル体5に洗浄水を供給するポンプは、ノズル体5から噴出された洗浄水が水位106より高い位置、かつ、水位107を越えない位置にかかる程度の水圧をかけることが可能なように構成されている。そして、ノズル体5の第1流路701及び第2流路702の構成は、洗浄水が水位106より高い位置、かつ、水位107を越えない位置にかかる程度の水圧がかかるように設定されている。したがって、ノズル体5によれば、浴槽100の内壁面のうち汚れが強い位置に洗浄水を適切にかけることができる。そして、浴槽100の内壁面に向かって噴出された洗浄水は内壁面において下方に垂れるため、浴槽100を全体的に洗浄することができる。
【0057】
(1-5.自動洗浄の流れ)
図10は、風呂システム1における自動洗浄の流れを示すフローチャートである。図10のフローチャートに示される処理は、浴槽100に風呂蓋が置かれていない状態で、介護作業者がリモコン400を介して浴槽100の自動洗浄・お湯はりの開始指示を行なうと開始される。
【0058】
図10に示すように、介護作業者によって自動洗浄・お湯はりの開始指示が行なわれると、制御機200は、開放状態となるように排水口130を制御する(ステップS100)。
【0059】
その後、制御機200は、所定時間が経過したかを判定する(ステップS110)。所定時間は、予め定められた時間であり、例えば、水位106まで貯められた湯の排水が終了する時間にマージンを加えた時間である。所定時間が経過するまで、制御機200は待機する(ステップS110のNO)。
【0060】
所定時間が経過したと判定されると(ステップS110のYES)、湯の排水が完了しているため、制御機200は、ノズル体5に洗浄水を供給し、浴槽100の洗浄を開始する(ステップS120)。例えば、制御機200は、洗浄水のノズル体5への供給と、濯ぎ水のノズル体5への供給とを複数回繰り返すことによって、浴槽100の洗浄を行なう。
【0061】
浴槽100の洗浄が完了すると、制御機200は、閉鎖状態となるように排水口130を制御する(ステップS130)。その後、制御機200は、蛇口110に湯を供給することによって、浴槽100への給水を開始する(ステップS140)。水位106までの給水が終了することによって、本フローチャートに示される処理は終了する。
【0062】
このように、本実施形態においては、浴槽100における排水、洗浄及び給水が自動的に行われる。次に、風呂システム1が高齢者介護施設に導入された場合の効果について説明する。
【0063】
(1-6.高齢者介護施設に導入した場合の効果)
図11は、高齢者介護施設における介護作業者の作業及び風呂システムの動作を示すタイムチャートである。図11を参照して、横軸は時間を示す。縦軸の上方は、風呂システム1が導入されていない施設における介護作業及び風呂システム(風呂システム1とは異なる風呂システム)の動作を示し、縦軸の下方は、風呂システム1が導入されている施設における介護作業及び風呂システム1の動作を示す。
【0064】
図11の上方を参照して、風呂システム1が導入されていない高齢者介護施設においては、例えば、入浴者が変わるたびの湯の入れ替え及び浴槽の洗浄が介護作業者によって手動で行なわれる。したがって、入浴が終わった要介護者の拭き取り、脱衣所への移動、着衣等の介護作業を一通り終えた後に、浴槽の洗浄及び浴槽の湯はりが介護作業者によって手動で行なわれる。
【0065】
一方、図11の下方を参照して、風呂システム1が導入されている高齢者介護施設においては、上述のように、介護作業者がリモコン400を操作するだけで(SW(スイッチ)操作)、浴槽100における湯の排水、洗浄及び湯はりが自動的に行なわれる。したがって、風呂システム1が導入されている施設においては、要介護者の入浴が終わった場合に、介護作業者が、要介護者の拭き取り等を行なう前に、リモコン400の操作だけを行なえば、要介護者の拭き取り等と浴槽100の自動洗浄等とを並列的に進めることができる。
【0066】
したがって、例えば高齢者介護施設においては、風呂システム1を導入することによって、一部の作業を並列的に進めることができるため、要介護者の入浴後、次の要介護者の入浴を開始するまでの時間を短縮することができる。
【0067】
(1-7.特徴)
以上のように、本実施形態によれば、ノズル体5による洗浄水の噴出角度は、噴出された洗浄水が浴槽100の内壁面の最上部を越えない角度である。すなわち、本実施形態においては、洗浄水が浴槽100の内壁面の最上部を越えない。したがって、風呂蓋が使用されなくても、洗浄水が浴槽100の外部に飛び散る可能性を低減することができる。
【0068】
特に、本実施形態においては、噴出部材7の第1流路701が鉛直方向に延びるように、ノズル体5が浴槽100に取り付けられ、これによって噴出部材7からは、鉛直方向に圧送される洗浄水を放射状に噴出させることができる。したがって、ノズル体5が底壁部103の傾斜面に配置されていても、例えば、図9に示すように、短手方向で対向する第1側壁部101a,101bに対して、同じ高さDまで洗浄水を付着させることができる。
【0069】
一方、図12に示すように、傾斜面に垂直な方向に圧送される洗浄水を放射状に噴出すると、傾斜面の下端側の第1側壁部101aに対して付着する洗浄水の高さD2は、傾斜面の上端側の第1側壁部101bに対して付着する洗浄水の高さD1より低くなってしまう。これにより、洗浄にムラが生じるおそれがある。これに対して、本実施形態に係るノズル体は、上記のように、傾斜面の下る方向を挟んで対向する側壁部に対して、同じ高さまで洗浄水を付着させることができるため、側壁部の洗浄を均一に行うことができる。
【0070】
(2.第2実施形態)
次に、本発明に係るノズル体の第2実施形態について説明する。本実施形態では、ノズル体以外の風呂システム1の構成は、第1実施形態と同じであるため、以下では、ノズル体についてのみ説明する。
【0071】
以下では、まず、ノズル体を構成する各部材について説明し、その後、ノズル体の浴槽への取付について説明する。図13はノズル体の分解断面図である。
【0072】
図13に示すように、ノズル体5は、給水管190と接続される固定部材6と、この固定部材6に取り付けられる噴出部材7と、を備えている。また、固定部材6と噴出部材7との間には第3シール部材(上側シール部材)93と、第4シール部材(下側シール部材)94とが取り付けられている。以下、各部材について詳細に説明する。
【0073】
噴出部材7は、第1実施形態と同じ構成であるため、説明を省略する。
【0074】
次に、固定部材6について説明する。固定部材6は、第1実施形態と概ね同様の構成であるが、係合部の構成が相違しているため、主として係合部について説明する。
【0075】
係合部65は、円板状に形成され、その上面651が、第4シール部材94を介して、底壁部103の下面に沿うように形成されている。そして、係合部65の上面651及び下面652は、供給路601の軸方向に対して水平よりもやや傾斜している。
【0076】
次に、第3シール部材93について説明する。第3シール部材93は、平面視円形の板状に形成され、噴出部材7の取付部72が挿通される貫通孔931が形成されている。また、第3シール部材93の下面933は底壁部103の傾斜面に沿うようになっている。一方、第3シール部材93の上面932は水平方向に延びるようになっている。したがって、第3シール部材93の下面933は、上面932に対して傾斜している。そのため、第3シール部材93が、底壁部103の上面に接するように取り付けられたときには、第3シール部材93の上面932が水平に延びるように配置される。
【0077】
続いて、第4シール部材94について説明する。第4シール部材94は、円板状に形成され、噴出部材7の取付部72が挿通される貫通孔941が形成されている。そして、この第4シール部材94は、底壁部103の下面と、固定部材6の係合部65の上面651との間に配置され、両者の間を液密にシールするようになっている。
【0078】
続いて、ノズル体5の組み立てについて、図14及び図15を参照しつつ説明する。図14及び図15は、ノズル体5を組み立てて底壁部103に取り付ける手順を示す断面図である。
【0079】
図14に示すように、まず、底壁部103の上面に、貫通孔105を塞ぐように、第3シール部材93を取り付ける。次に、底壁部103の下面に貫通孔105を塞ぐように、第4シール部材94を取り付け、さらに第4シール部材94の下面に、固定部材6の係合部65の上面651を当接させる。
【0080】
続いて、図15に示すように、噴出部材7の取付部72を、第3シール部材93の貫通孔931、底壁部103の貫通孔105、第4シール部材94の貫通孔941に順次挿通し、固定部材6の供給路601の雌ネジに螺合させる。これにより、噴出部材7の噴出部71の下面713が第3シール部材93を上側から押圧し、噴出部材7の下面713と第3シール部材93の上面932、及び第3シール部材93と底壁部103の上面とが液密にシールされる。同様に、固定部材6の係合部65の上面651が第4シール部材94を下側から押圧し、底壁部103の下面と第4シール部材94の上面942、及び第4シール部材94の下面943と係合部65の上面651とが液密にシールされる。
【0081】
このように取り付けられたノズル体5からは、第1実施形態と同様に、破線矢印のように洗浄水等が噴出される。
【0082】
このように、本実施形態においても、噴出部材7の第1流路701が鉛直方向に延びるように、ノズル体5が浴槽100に取り付けられ、これによって噴出部材7からは、鉛直方向に圧送される洗浄水を放射状に噴出させることができる。したがって、本実施形態に係るノズル体5も、傾斜面の下る方向を挟んで対向する側壁部101a,101bに対して、同じ高さまで洗浄水を付着させることができるため、側壁部101a,101bの洗浄を均一に行うことができる。
【0083】
[3.変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。以下、変形例について説明する。但し、以下の変形例は適宜組合せ可能である。
【0084】
(3-1)
上記実施形態においては、介護作業者がリモコン400を操作することによって、浴槽の自動洗浄が開始されることとした。しかしながら、自動洗浄の開始のきっかけは、リモコン400の操作に限定されない。例えば、浴室10に人感センサが設置され、人感センサによって介護作業者及び要介護者の浴室10からの退室が検知された場合に、自動洗浄が開始されるようにしてもよい。これにより、介護作業者がリモコン400の操作を忘れることによって、湯はりが行なわれないという事態を回避することができる。
【0085】
(3-2)
上記実施形態においては、制御機200が浴室10の天井裏に設置された。しかしながら、制御機200の設置場所はこれに限定されない。例えば、制御機200は、浴室10の内部に設置されてもよいし、浴室10に隣接する脱衣所に設置されてもよい。
【0086】
(3-3)
上記実施形態においては、洗剤タンク120は、浴槽に取り付けられた。しかしながら、洗剤タンク120の設置位置はこれに限定されない。例えば、洗剤タンク120は、浴室10に隣接する脱衣所に設置されてもよいし、制御機200の内部に設けられてもよい。
【0087】
(3-4)
上記実施形態においては、制御機200に湯配管305と水配管310とが接続された。しかしながら、制御機200が浴槽100に一定温度の湯を供給すれば足りる場合には、水配管310は、必ずしも制御機200に接続されなくてもよい。
【0088】
(3-5)
上記実施形態では、浴槽の短手方向に延びる傾斜面を形成しているが、これに限定されるものではない。すなわち、図16に示すように、浴槽の長手方向の端部に排水口130を形成し、これに向かって長手方向に延びる傾斜面を形成することもできる。図16で示す矢印は、下方に向かって傾斜面の延びる方向である。なお、ノズル体5の配置される位置は、この例においても、底壁部103の中央である。そして、上述したノズル体5は、このような傾斜面に取り付けられても、噴出部材7の第1流路701が鉛直方向を向くように構成することができる。
【0089】
(3-6)
ノズル体5の構成は、特には限定されず、噴出部材7の第1流路701が鉛直方向を向くように取り付けられ、第2流路702において、放射状に噴射されるように構成されていればよい。したがって、第1流路701が鉛直方向を向くように取り付けられれば、噴出部材7及び固定部材6の構成も特には限定されない。
【符号の説明】
【0090】
100 浴槽
5 ノズル体
6 固定部材
61 挿通部
62 係合部
65 係合部
601 供給路
7 噴出部材
71 噴出部
72 取付部
701 第1流路
702 第2流路
711 噴出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16