(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】計時装置、計時システム、及び計時方法
(51)【国際特許分類】
G04G 5/00 20130101AFI20220616BHJP
G04G 21/00 20100101ALI20220616BHJP
G04G 21/04 20130101ALI20220616BHJP
【FI】
G04G5/00 J
G04G21/00 L
G04G21/04
(21)【出願番号】P 2018104084
(22)【出願日】2018-05-30
【審査請求日】2021-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】500198210
【氏名又は名称】セイコータイムクリエーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】今村 美由紀
(72)【発明者】
【氏名】細貝 則充
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-257487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04G 5/00- 5/04
G04R 20/00-40/06
H04L 7/00- 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計時の基準時刻を示す基準時刻情報を含む基準時刻信号を受信する受信部と、
所定の受信
頻度に基づいて、前記受信部による前記基準時刻信号の受信タイミングを制御する受信タイミング制御部と、
前記受信部が前記基準時刻信号を最後に受信してからの経過時間を計測する経過時間計測部と、
前記経過時間計測部によって計測された前記経過時間が所定の時間以上である場合に、前記受信
頻度をより
高い頻度に変更する受信間隔変更部と、
前記受信部が受信した前記基準時刻信号に基づいて、現在時刻を示す計時データを修正する修正部と、
前記修正部が修正した前記計時データを示す修正時刻情報を含む修正時刻信号を他の計時装置に送信する送信部と、
を備える計時装置。
【請求項2】
前記受信間隔変更部は、前記受信
頻度をより
高い頻度に変更した後に前記受信部が前記基準時刻信号を受信した場合、前記
高い頻度に変更した前記受信
頻度をより
低い頻度に変更する
請求項1に記載の計時装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の計時装置と、
前記計時装置から前記修正時刻信号を受信し、受信した前記修正時刻信号に含まれる前記修正時刻情報に基づいて自装置の前記計時データを修正する子計時装置と
を備える計時システム。
【請求項4】
計時の基準時刻を示す基準時刻情報を含む基準時刻信号を受信する受信過程と、
所定の受信
頻度に基づいて、前記受信過程による前記基準時刻信号の受信タイミングを制御する受信タイミング制御過程と、
前記受信過程において前記基準時刻信号が最後に受信されてからの経過時間を計測する経過時間計測過程と、
前記経過時間計測過程によって計測された前記経過時間が所定の時間以上である場合に、前記受信
頻度をより
高い頻度に変更する受信間隔変更過程と、
前記受信過程が受信した前記基準時刻信号に基づいて、現在時刻を示す計時データを修正する修正過程と、
前記修正過程が修正した前記計時データを示す修正時刻情報を含む修正時刻信号を他の計時装置に送信する送信過程と、
を有する計時方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計時装置、計時システム、及び計時方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の計時装置を配置し、親機である計時装置から子機である計時装置へと時刻情報を送信し、子機である計時装置の時刻修正を行なうことが可能な計時システムが知られている。そのような計時システムでは、無線通信を用いてネットワークを構築することが行われる。
【0003】
無線通信を用いてネットワークを構築する場合、Wi-Fi(登録商標)などの様に互いのIPアドレスを識別する方法や、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信を用いた双方向通信によってペアリングする方法が用いられる。そのような方法では、制御が複雑になると共にユーザの手間がかかっていた。
また、ビーエルイー(Bluetooth(登録商標) Low Energy:BLE)を用いてメッシュ型のネットワークを形成する場合は、全ての端末がノードを形成する複数の計時装置から時刻情報を受信する必要がある。そのため、メッシュ型のネットワークでは、送受信のタイミング制御が複雑になると共に多くの消費電力を必要としていた。
【0004】
複数の計時装置を階層化して、上位階層の計時装置から一段下位階層の計時装置へ順次リレー式に時刻情報を送信して、各階層の計時装置の時刻修正を行なうことが可能な計時システムが知られている。このような計時システムでは、一方向通信により、時刻情報を上位階層の計時装置である親機から下位階層の計時装置である子機に伝えるものである。この一方向通信には、例えば、近距離無線通信が用いられる。子機は、送信データに時刻情報とともに含まれる送信タイミング情報を参照して、親機から以降において送信データを受信するための自動受信タイミングを決定する。
このような計時システムでは、計時装置同士をペアリングする双方向通信に比べて容易にネットワークの構築が可能である。例えば、計時装置同士の間に適切なリンク関係を自動的に構築可能な計時装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
親機が近距離無線通信を用いてスマートフォンと接続して時刻情報を取得する場合、受信する頻度が低いと、ユーザが帰宅してから親機の時刻が合うまでに時間が掛かるという課題がある。つまり、時刻同期に失敗してしまう場合があった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、時刻同期に失敗することを減らすことができる計時装置、計時システム、及び計時方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、計時の基準時刻を示す基準時刻情報を含む基準時刻信号を受信する受信部と、所定の受信頻度に基づいて、前記受信部による前記基準時刻信号の受信タイミングを制御する受信タイミング制御部と、前記受信部が前記基準時刻信号を最後に受信してからの経過時間を計測する経過時間計測部と、前記経過時間計測部によって計測された前記経過時間が所定の時間以上である場合に、前記受信頻度をより高い頻度に変更する受信間隔変更部と、前記受信部が受信した前記基準時刻信号に基づいて、現在時刻を示す計時データを修正する修正部と、前記修正部が修正した前記計時データを示す修正時刻情報を含む修正時刻信号を他の計時装置に送信する送信部と、を備える計時装置である。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記の計時装置において、前記受信間隔変更部は、前記受信頻度をより高い頻度に変更した後に前記受信部が前記基準時刻信号を受信した場合、前記高い頻度に変更した前記受信頻度をより低い頻度に変更する。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記の計時装置と、前記計時装置から前記修正時刻信号を受信し、受信した前記修正時刻信号に含まれる前記修正時刻情報に基づいて自装置の前記計時データを修正する子計時装置とを備える計時システムである。
【0011】
また、本発明の一態様は、計時の基準時刻を示す基準時刻情報を含む基準時刻信号を受信する受信過程と、所定の受信頻度に基づいて、前記受信過程による前記基準時刻信号の受信タイミングを制御する受信タイミング制御過程と、前記受信過程において前記基準時刻信号が最後に受信されてからの経過時間を計測する経過時間計測過程と、前記経過時間計測過程によって計測された前記経過時間が所定の時間以上である場合に、前記受信頻度をより高い頻度に変更する受信間隔変更過程と、前記受信過程が受信した前記基準時刻信号に基づいて、現在時刻を示す計時データを修正する修正過程と、前記修正過程が修正した前記計時データを示す修正時刻情報を含む修正時刻信号を他の計時装置に送信する送信過程と、を有する計時方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、時刻同期に失敗することを減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る計時システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係るスマートフォンのペアリングのための画面の一例を示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る修正時刻情報及び通信チャネルの一例を示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る計時装置の構成の一例を示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る表示装置の表示パネルPの表示の一例を示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る制御部の構成の一例を示す図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る時刻情報受信のための前処理の一例を示す図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態に係る親機モード近距離通信処理の一例を示す図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態に係る基準時刻信号を受信するタイミングチャートの第1の例を示す図である。
【
図10】本発明の第1の実施形態に係る基準時刻信号を受信するタイミングチャートの第2の例を示す図である。
【
図11】本発明の第1の実施形態に係る子機モードにおける近距離受信処理の一例を示す図である。
【
図12】本発明の第1の実施形態に係る修正時刻信号送信処理の一例を示す図である。
【
図13】本発明の第1の実施形態に係る子機モードにおける通常時の時刻修正のための処理の一例を示す図である。
【
図14】本発明の第1の実施形態に係る通常時の計時処理の一例を示す図である。
【
図15】本発明の第2の実施形態に係る制御部の構成の一例を示す図である。
【
図16】本発明の第2の実施形態に係る親機モード近距離通信処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本実施形態に係る計時システムSの構成の一例を示す図である。計時システムSでは、複数の計時装置C1~C6を備え、それら計時装置C1~C6がツリー型のネットワークを構成している。
以下では、計時装置C1~C6のうちの1つを計時装置Cと呼ぶことがある。
【0015】
このネットワークにはレイヤにより示される階層があり、最上位レイヤの計時装置Cが時刻情報を取得して、上位レイヤの計時装置Cから下位レイヤの計時装置Cへと時刻情報が順次送信される。ここで最上位レイヤの計時装置Cが取得する時刻情報とは、スマートフォンSMから受信する受信信号に含まれる基準となる時刻を示す情報である。各レイヤの計時装置Cは、上位レイヤの計時装置Cから時刻情報を受信すると、自装置の時刻を修正する。これにより、計時システムSを構成する計時装置C1~C6は正確な時刻を維持する。
【0016】
計時システムSに備えられる計時装置C1~C6とは、例えば、住宅やオフィスビルや工場などに設置される電波時計である。電波時計では、設置場所によっては、スマートフォンSMから受信信号を受信できない場合がある。
そのため計時システムSでは、計時装置C1~C6は、スマートフォンSMから基準時刻信号を受信する親機と、親機から修正時刻信号を受信する子機とに分けられる。ここで基準時刻信号とは、計時の基準時刻を示す基準時刻情報を含む信号である。また、修正時刻信号とは、時刻修正のための時刻情報である修正時刻情報Mを含む信号である。
【0017】
親機となる計時装置C1は、スマートフォンSMから受信信号を受信しやすい場所に設置されることが好ましい。ここでスマートフォンSMから受信信号を受信しやすい場所は、ユーザの生活パターンによって異なるが、ユーザがスマートフォンSMを充電する場所や、スマートフォンSMを携帯したまま居続ける時間が長い場所である。一方、子機となる計時装置C2及び計時装置C3は、親機である計時装置C1から修正時刻信号を受信することができる場所に設置される。子機となる計時装置C2及び計時装置C3は、親機である計時装置C1から修正時刻信号を受信できれば、例えば、建物の奥側に設置されてよい。
計時システムSにおいて計時装置Cが親機と子機とのいずれとして機能するかはユーザにより設定される。
【0018】
親機モードでリセットすると、計時装置C1はアドバタイジングを開始する。計時装置C1は、アドバタイジングの動作においてアドバタイズメントパケットをスマートフォンSMに送信する。
【0019】
スマートフォンSMには専用のアプリケーションがインストールされている。スマートフォンSMは、アプリケーションを起動した状態において、計時装置C1からアドバタイズメントパケットを受信すると、画面にペアリング開始画面PI1を表示する。
図2は、スマートフォンSMのペアリングのための画面の一例を示す図である。ペアリング開始画面PI1において、計時装置C1とペアリング可能である旨のメッセージ、およびペアリングボタンPB1が表示される。ここでペアリングボタンPB1がタップされると、スマートフォンSMは、計時装置C1と接続してペアリングすると共にタイムプロファイルを用いて時刻情報を計時装置C1へ送信する。スマートフォンSMは、計時装置C1と接続してペアリングすると、画面にペアリング完了画面PI2を表示し、ペアリング完了画面PI2においてペアリングが完了したことを示すメッセージを表示する。
以降、親機は3時間毎など定期的にアドバタイジングを行いスマートフォンSMとの接続を試み、スマートフォンSMが接続圏内であった場合にはスマートフォンSMと接続して時刻情報を取得する。
【0020】
図1においては、親機は計時装置C1のみであるが、複数の親機が接続圏内である場合、スマートフォンSMは複数の親機とペアリング可能である。複数の親機がリセットされた場合、スマートフォンSMは、
図2のペアリングボタンPB1がタップされることにより複数の親機とペアリングされる。
【0021】
ここでユーザが外出や旅行などに出かけて、所定時間(例えば3時間)スマートフォンと接続できない状態が続くと、親機はアドバタイジングの間隔を所定時間から3時間から10分間に変更する。その後ユーザが帰宅してスマートフォンSMが接続圏内になれば、最大でも10分以内にスマートフォンSMと時刻同期して計時装置C1の時刻は修正される。計時装置C1は、時刻同期後は再び3時間毎にアドバタイジングを行う。
アドバタイズメントパケットの送信動作は非常に短時間で行われるため、10分間隔でアドバタイジングを行っても計時装置C1の電池の寿命に大きく影響する事は無い。
【0022】
計時システムSでは、計時装置Cは、上位レイヤの計時装置Cから修正された時刻を示す受信信号を受信すると、以降も所定の受信タイミングにおいて、この上位レイヤの計時装置Cから受信信号を受信する。
【0023】
計時システムSでは、送信時は近距離無線通信における一方向通信を用いている。この近距離無線通信とは、一例としてビーエルイー(Bluetooth(登録商標) Low Energy:BLE)である。送信データにはネットワークの階層を示すレイヤ情報が含まれる。計時装置C2~C6は、初期受信時に受信したレイヤの値に1を加えて自装置のレイヤとする。計時装置C2~C6は、以降、自装置のレイヤの値より1小さいレイヤの値を有する送信データのみを取得し、ツリー型のネットワークが構築される。
【0024】
計時システムSでは、一方向通信を用いることにより近距離通信におけるペアリングや、一般的なネットワークにおけるIPアドレス設定などの手間を省き、それらに比べて容易に親子時計システムを実現できる。
【0025】
親機である計時装置C1は、近距離無線通信によりスマートフォンSMから時刻情報を取得する。ここで近距離無線通信とは、一例としてBLEである。
【0026】
計時装置C1は、取得した時刻情報に基づいて、自装置の計時データを修正する。計時装置C1は、修正した計時データに基づき修正時刻情報Mを生成する。計時装置C1は、生成した修正時刻情報Mを含む修正時刻信号を、下位レイヤの計時装置C2及び計時装置C3に送信チャネル0により送信する。
【0027】
ここで
図3を参照し、修正時刻情報M及び通信チャネルについて説明する。
図3は、本実施形態に係る修正時刻情報M及び通信チャネルの一例を示す図である。修正時刻情報Mは、レイヤ情報M1、送信チャネル情報M2、時刻情報M3、時刻情報源M4、及びカレンダー情報M5を含む。
【0028】
レイヤ情報M1は、修正時刻信号を送信した計時装置Cが位置するレイヤを特定するための情報である。レイヤ情報M1は、例えば、0~99の範囲をとる。
【0029】
送信チャネル情報M2は、修正時刻信号が送信される通信チャネルを特定する情報である。通信チャネルが、例えば、60チャネル用意されている場合には、送信チャネル情報M2には、例えば、0~59の値のうち通信チャネルに対応するものが設定される。
【0030】
時刻情報M3は、年・月・日・時・分・秒・曜日等の時刻を示す情報である。
時刻情報源M4は、時刻情報M3がどの情報源に基づいて修正されたのかを示す情報である。時刻情報源M4は、スマートフォン、及び手動調整時の別を示す情報である。
カレンダー情報M5は、カレンダーを示す情報である。
【0031】
図1に戻り、計時システムSの説明を続ける。
計時システムSでは、混信を防ぐために10秒毎のタイムスロットTSを設けてレイヤ、及び送信CHから修正時刻信号の送信タイミングを決定し、複数の送信装置間において送信タイミングが重なることを防いでいる。ここで送信CHは、周波数ではなく時分割したタイムスロットを意味し、番号0~59からランダムに設定される。送信タイミングの一例は、式(1)により表される。
【0032】
【0033】
周波数ホッピングにより混信を防ぐBLEの双方向通信と異なり、BLEの一方向通信では、送信装置であるブロードキャスターが送信データであるアドバタイズメントパケットを送信する際は3つの周波数を順次切替えて送信するため、タイミングが重なると混信する可能性が高くなる。計時システムSでは、式(1)により送信タイミングが重なることを防いでいる。
【0034】
さらに式(1)によれば、レイヤに比例して送信するタイミングが遅くなる。そのため、計時システムSでは、各計時装置Cは、必ず上位レイヤの計時装置Cから受信信号を受信した後に下位レイヤの計時装置Cに送信信号を送信する。したがって、計時システムSでは、精度の高い時刻情報を伝達可能である。
【0035】
計時装置Cは、リセット後の初期受信において受信した受信信号に含まれる修正時刻情報Mに基づき自機の受信チャネルおよびレイヤを記憶し、上位レイヤの計時装置Cの送信タイミングに合わせて、以降上位レイヤの計時装置Cから受信信号を受信するためのスキャンを開始する所定のタイミングを算出する。
【0036】
レイヤの値が1の計時装置C2は、レイヤの値が0の計時装置C1から修正時刻情報Mを受信する。計時装置C2は、修正時刻情報Mに含まれる時刻情報M3に基づいて自装置の計時データを修正する。計時装置C2は、修正した計時データに基づき修正時刻情報Mを生成する。計時装置C2は、生成した修正時刻情報Mを、レイヤの値が2の計時装置C4に送信する。ここで計時装置C2は、上位レイヤの計時装置C1が用いている送信チャネル0とは異なる送信チャネル3を送信に用いる。
【0037】
以下、同様にして、各レイヤの計時装置Cは、レイヤの値が1だけ小さいレイヤの計時装置Cから修正時刻信号を受信し、受信した修正時刻信号に含まれる修正時刻情報Mに基づいて自装置の計時データを修正する。ここで各レイヤの計時装置Cは、修正時刻情報Mに含まれる時刻情報M3に基づいて自装置の計時データを修正する。計時装置Cは、修正した計時データに基づき修正時刻情報Mを生成する。計時装置Cは、レイヤの値が1だけ小さい上位レイヤの計時装置Cが用いている送信チャネルとは異なる送信チャネルを用いて、生成した修正時刻情報Mを修正時刻信号に含めて、レイヤの値が1だけ大きい下位レイヤの計時装置Cに送信する。
【0038】
なお、計時システムSには、計時装置C以外に、修正時刻情報Mを送信する機能を有しない計時装置も必要に応じて配置されてよい。
【0039】
次に、
図4を参照し、計時装置Cの構成について説明する。
図4は、本実施形態に係る計時装置Cの構成の一例を示す図である。計時装置Cは、電源回路2と、コネクタ3と、主装置4と、表示装置5とを備える。
図4に示す構成は、スマートフォンSMと通信を行う最上位のレイヤ0の計時装置C1と、他のレイヤの計時装置C2~C6とにおいて共通である。
【0040】
電源回路2は、AC(交流)アダプタ接続プラグ21と、バッテリ22とを備え、ACアダプタまたはバッテリ22からの直流電力を、コネクタ3を介して主装置4に供給する。
【0041】
表示装置5は、セグメント構成の表示パネルP(例えば、液晶表示パネル)を備え、時刻情報、電波送受信状況、等の情報を表示する。
【0042】
ここで
図5を参照し、表示装置5の表示パネルPの表示について説明する。
図5は、本実施形態に係る表示装置5の表示パネルPの表示の一例を示す図である。表示パネルPは、午前表示セグメントP1、午後表示セグメントP2、TLマークセグメントP3、時間表示セグメントP4、区切りセグメントP5、分表示セグメントP6、秒表示セグメントP7、親機子機モードマークセグメントP8、BLEマークセグメントP10、アンテナマークセグメントP11、受信レベルセグメントP12、バッテリマークセグメントP13、月表示セグメントP14、日表示セグメントP15、曜日表示セグメントP16を備える。
【0043】
午前表示セグメントP1、及び午後表示セグメントP2は、時刻が12時間表示の場合に、午前と午後の別を表示する。
TLマークセグメントP3は、上位レイヤの計時装置Cから修正時刻信号を受信できていることなどを表示するための表示セグメントである。また、このTLマークセグメントP3の表示態様の切り替えにより、受信中であること、送信中であることなどを表示する。
時間表示セグメントP4と、区切りセグメントP5と、分表示セグメントP6と、秒表示セグメントP7とは、現在時刻を「時:分秒」の形式において表示する。
【0044】
親機子機モードマークセグメントP8は、計時装置Cが親機モードに設定されているか子機モードに設定されているかを表示する。計時装置Cが親機モードに設定されている場合、親機子機モードマークセグメントP8の「P」の文字が点灯する。一方、計時装置Cが子機モードに設定されている場合、親機子機モードマークセグメントP8の「C」の文字が点灯する。
【0045】
BLEマークセグメントP10は、スマートフォンSMからBLEなどの近距離無線通信により時刻情報を受信しているか否かを表示する。
アンテナマークセグメントP11と受信レベルセグメントP12とは、受信電波の強度
を表示するためのセグメントである。
バッテリマークセグメントP13は、バッテリ22の電圧状態を表示するためのセグメントである。
月表示セグメントP14と、日表示セグメントP15と、曜日表示セグメントP16と
は、月日と曜日とを表示するためのセグメントである。
【0046】
図4に戻って、計時装置Cの構成の説明を続ける。
主装置4は、電圧デテクタ6と、レギュレータ7と、スイッチ群8と、近距離無線通信モジュール9と、通信モジュール水晶振動子10と、制御部水晶振動子11、制御部12とを備える。
【0047】
電圧デテクタ6は、電源回路2の出力電圧を検出し、検出値を制御部12に供給する。
レギュレータ7は、電源回路2から供給される電圧を安定化して、主装置4内に供給する。
【0048】
スイッチ群8は、RESETスイッチ、RECVスイッチ、及びMODEスイッチ、などの複数のスイッチを備える。スイッチ群8は、ユーザの操作によるスイッチのオン/オフ、オン時間の長さなどに応じて、様々な情報や指示を制御部12に供給する。
【0049】
RESETスイッチが操作されると、制御部12は初期状態となる。
RECVスイッチが操作されると、所定時間、修正時刻信号を受信する手動受信処理が実行される。
MODEスイッチが操作されると、スマートフォンSMからBLEによる受信により基準時刻情報を取得する親機モードと、上位レイヤの計時装置Cから修正時刻情報Mを取得する子機モードとの2つのモードが切り替わる。
【0050】
近距離無線通信モジュール9は、制御部12の制御下に、スマートフォンSMから基準時刻情報を含む受信信号である基準時刻信号を受信信号として受信する。また、近距離無線通信モジュール9は、制御部12の制御下に、上位レイヤの計時装置Cが送信する修正時刻情報Mを含む受信信号である修正時刻信号を受信信号として受信する。近距離無線通信モジュール9は、受信した受信信号を復調して制御部12に出力する。また、近距離無線通信モジュール9は、受信チャネルとは異なる送信チャネルを使用して修正時刻情報Mを下位レイヤの計時装置Cに送信する。
【0051】
通信モジュール水晶振動子10は、所定の発振周波数で発振し、発振信号を近距離無線通信モジュール9に供給する。
制御部水晶振動子11は、所定の発振周波数で発振し、発振信号を制御部12に供給する。
制御部12は制御部水晶振動子11により計時を行う。一方、近距離無線通信モジュール9は通信モジュール水晶振動子10により計時を行う。計時装置Cでは、制御部12と近距離無線通信モジュール9とは独立に計時を行う。
【0052】
制御部12は、計時装置Cの動作全体を制御する。制御部12は、制御部水晶振動子11の発振信号に基づく計時動作、スマートフォンSMから受信する基準時刻信号の受信間隔の変更、上位レイヤの計時装置Cから受信した修正時刻信号に基づく時刻データの修正動作、修正した時刻データに基づく基準時刻情報の近距離無線通信モジュール9を介した送信、表示装置5への種々の情報の表示制御、スイッチ群8の操作入力に応答する処理などを行う。
【0053】
ここで
図6を参照し、制御部12の構成について説明する。
図6は、本実施形態に係る制御部12の構成の一例を示す図である。制御部12は、プロセッサ20と、計時データ取得部30と、エンコーダ40と、デコーダ50と、キー入力部60と、電圧データ入力部70と、レジスタ群80とを備える。
【0054】
プロセッサ20は、修正部201と、計時部202と、親機子機モード制御部203と、通信制御部204と、経過時間計測部205と、受信間隔変更部206と、表示制御部207とを備える。プロセッサ20は、修正部201と、計時部202と、親機子機モード制御部203と、通信制御部204と、経過時間計測部205と、受信間隔変更部206と、表示制御部207とにそれぞれ処理を行わせる。
プロセッサ20は、CPU、RAM、及びROMなどにより実現される。
【0055】
修正部201は、近距離無線通信モジュール9が受信した受信信号である基準時刻信号に含まれる基準時刻情報に基づいて、計時データを修正する。また、修正部201は、近距離無線通信モジュール9が受信した受信信号である修正時刻信号に含まれる修正時刻情報Mに基づいて、計時データを修正する。
計時部202は、修正部201が修正した計時データに基づき計時を行う。
親機子機モード制御部203は、キー入力部60が供給する親機モードと子機モードとを切り替える信号に基づいて、親機子機モードレジスタ801に記憶される親機子機モード設定情報を変更する。
【0056】
通信制御部204は、所定の受信間隔に基づいて、近距離無線通信モジュール9による基準時刻信号の受信タイミングを制御する。
また、通信制御部204は、近距離無線通信モジュール9による受信信号の受信、及び近距離無線通信モジュール9による修正時刻信号の送信を制御する。通信制御部204は、所定の受信間隔に基づいて、近距離無線通信モジュール9による修正時刻信号の受信タイミングを制御する。
【0057】
経過時間計測部205は、近距離無線通信モジュール9が基準時刻信号を最後に受信してからの経過時間を計測する。
受信間隔変更部206は、基準時刻信号を受信する受信間隔を変更する。
表示制御部207は、表示装置5への種々の情報の表示制御を行う。
【0058】
計時データ取得部30は、制御部水晶振動子11からの発振信号をカウントして、一定時間毎に計時データを取得し、プロセッサ20に計時割込信号を出力する。ここで一定時間とは、例えば、100msである。
【0059】
エンコーダ40は、プロセッサ20から供給された送信対象のデータ、例えば、修正時刻情報Mをエンコードしてベースバンド信号を生成し、近距離無線通信モジュール9に供給する。
デコーダ50は、近距離無線通信モジュール9が受信した受信信号をデコードして、例えば、基準時刻情報や修正時刻情報Mのベースバンド信号を復調し、プロセッサ20に供給する。
【0060】
キー入力部60は、スイッチ群8の操作に従って入力されるオン・オフ信号をデコードして、プロセッサ20に供給する。
電圧データ入力部70は、電圧デテクタ6が検出した電圧値をプロセッサ20に出力する。
【0061】
レジスタ群80は、親機子機モードレジスタ801と、計時データレジスタ802と、受信チャネルレジスタ803と、送信チャネルレジスタ804と、レイヤレジスタ805と、経過時間レジスタ806とを備える。
【0062】
親機子機モードレジスタ801は、親機子機モード設定情報を記憶する。親機子機モード設定情報は、計時装置Cが親機モードと、子機モードとのいずれに設定されているかを示す。
計時データレジスタ802は、計時装置Cが計時している現在時刻を示す情報を計時データとして記憶する。ここで現在時刻を示す情報とは、月・日・時・分・秒・曜日を示す情報である。
【0063】
受信チャネルレジスタ803は、上位レイヤの計時装置Cから基準時刻情報を受信する通信チャネルを指定する受信チャネル指定データ(例えば、前述の0~59のいずれかの値)及び受信したデータ等を記憶する。なお、上位レイヤの計時装置Cが存在しないレイヤの値が0の計時装置C1の場合には、受信チャネルレジスタ803は、時刻情報が取得された情報源を示す情報を記憶する。ここで時刻情報が取得された情報源を示す情報とは、スマートフォンSMや調整時を示す情報である。
【0064】
送信チャネルレジスタ804は、下位レイヤの計時装置Cに基準時刻信号を送信する送信チャネルを指定する送信チャネル指定データ(例えば、前述の0~59のいずれかの値)を記憶する。送信チャネルレジスタ804に記憶されているチャネル指定データは、修正時刻情報M内の送信チャネル情報M2として送信される。
【0065】
レイヤレジスタ805は、計時装置Cが、複数のレイヤのどのレイヤに位置するかを示すレイヤデータ(例えば、前述のレイヤ情報M1がとる範囲である0~99のいずれかの値)を記憶する。
経過時間レジスタ806は、近距離無線通信モジュール9が基準時刻信号を最後に受信してからの経過時間を記憶する。
【0066】
(配置)
ユーザは、計時システムSを構成する複数の計時装置Cを、近距離無線通信モジュール9による通信が可能な距離範囲において配置し、電源を投入する。
【0067】
(初期動作)
計時装置Cは、電源が投入されると他の初期化動作と共に時刻情報を受信するための前処理を開始する。この前処理は、スイッチ群8のRESETスイッチが操作され制御部12が初期状態となった場合にも開始される。
【0068】
図7は、本実施形態に係る時刻情報受信のための前処理の一例を示す図である。
ステップS100:親機子機モード制御部203は、計時装置Cが親機モードに設定されているか否かを判定する。
【0069】
親機子機モード制御部203は、親機子機モードレジスタ801から、親機子機モード設定情報を取得する。親機子機モード制御部203が、取得した親機子機モード設定情報が、親機モードを示すと判定する場合(ステップS100;YES)、プロセッサ20はステップS101の処理を実行する。
【0070】
一方、親機子機モード制御部203が、取得した親機子機モード設定情報が、親機モードを示さないと判定する場合(ステップS100;NO)、プロセッサ20はステップS102の子機モード近距離受信処理を実行する。子機モード近距離受信処理については、
図11を参照し後述する。
【0071】
ステップS100において、親機子機モード制御部203は、表示制御部207に親機子機モード設定情報を供給する。表示制御部207は、親機子機モード制御部203が供給する親機子機モード設定情報に応じて、表示装置5に親機子機モードマークセグメントP8を用いて、計時装置Cが親機モードに設定されているか、子機モードに設定されているかを表示させる。
【0072】
ステップS101:プロセッサ20は親機モード近距離通信処理を実行する。親機モード近距離通信処理については、
図8~10を参照し説明する。
【0073】
図8は、本実施形態に係る親機モード近距離通信処理の一例を示す図である。
図8に示す処理は、
図7に示したステップS101の親機モード近距離通信処理である。
図9は、本実施形態に係る基準時刻信号を受信するタイミングチャートの第1の例を示す図である。
図10は、本実施形態に係る基準時刻信号を受信するタイミングチャートの第2の例を示す図である。
【0074】
ステップS200:通信制御部204は、近距離無線通信モジュール9を起動する。
ステップS202:通信制御部204は、時刻同期タイミングが到来したか否かを判定する。ここで時刻同期タイミングとは、受信タイミングが到来する所定の時間より前に、近距離無線通信モジュール9が制御部12と時刻同期を行うタイミングである。時刻同期タイミングは、一例として、受信タイミングの4分55秒前である。
通信制御部204は、時刻同期タイミングが到来したと判定する場合(ステップS202:YES)、ステップS204の処理を行う。一方、通信制御部204は、時刻同期タイミングが到来していないと判定する場合(ステップS202:NO)、ステップS202の処理を繰り返す。
【0075】
ステップS204:近距離無線通信モジュール9は、制御部12と時刻同期を行う。ここで近距離無線通信モジュール9は、制御部12の通信制御部204から時刻情報を取得することにより時刻同期を行う。上述したように、制御部12と近距離無線通信モジュール9とはそれぞれ水晶振動子を用いて独立した計時動作を行っている。制御部12が制御部水晶振動子11により計時する時刻の方が、近距離無線通信モジュール9が通信モジュール水晶振動子10により計時する時刻よりも精度は高い。
【0076】
図9の例では、近距離無線通信モジュール9は、2:50:05から3時間毎に制御部12から時刻情報を取得して時刻同期する。計時装置Cは2:55:00~2:55:10の10秒間に受信動作を行う。この受信動作の前の時刻同期タイミングは、2:55:00の4分55秒前の2:50:05である。近距離無線通信モジュール9は、時刻同期タイミングである2:50:05に制御部12と時刻同期を行う。
また、計時装置Cは5:55:00~5:55:10の10秒間に受信動作を行う。この受信動作の前の時刻同期タイミングは、5:55:00の4分55秒前の5:50:05である。近距離無線通信モジュール9は、時刻同期タイミングである5:50:05に制御部12と時刻同期を行う。
なお、
図9の例では、3:00:05と、6:00:05とにおいて、近距離無線通信モジュール9は、後述する修正時刻信号を子機に送信している。
【0077】
ステップS210:通信制御部204は、スマートフォンSMから基準時刻信号を受信する受信タイミングが到来したか否かを判定する。通信制御部204は、受信タイミングが到来したと判定する場合(ステップS210:YES)、ステップS220の処理を実行する。一方、通信制御部204は、受信タイミングが到来していないと判定する場合(ステップS210:NO)、ステップS210の処理を繰り返す。
ここで受信間隔は、一例として3時間毎であり、受信タイミングは、例えば、2時55分、5時55分、8時55分、11時55分などである。
【0078】
ステップS220:通信制御部204は、近距離無線通信モジュール9に、近距離通信波長において所定時間だけ、スマートフォンSMから基準時刻信号を受信させる。ここで所定時間とは、例えば10秒間である。近距離無線通信モジュール9は、所定時間だけスマートフォンSMにアドバタイジング信号を間欠的に送信する。アドバタイジング信号を間欠的に送信するとは、例えば、アドバタイジング信号を200ミリ秒毎に送信することである。
【0079】
近距離無線通信モジュール9は、3つの周波数を順次切替えて、アドバタイジング信号の送信と、スマートフォンSMからのアドバタイジング信号に対する応答を示す信号の受信とを、短時間に3回ずつ繰返す。スマートフォンSMから応答を示す信号を受信すると、近距離無線通信モジュール9はスマートフォンSMと通信接続を開始し、基準時刻信号の受信が可能となる。
【0080】
なお、近距離無線通信モジュール9は受信動作を開始すると、受信動作を開始したことを通信制御部204に通知する。ここで受信動作とは、アドバタイジング信号を送信することである。通信制御部204は、受信動作を開始したことを近距離無線通信モジュール9から通知されると、表示制御部207を介して、表示装置5にBLEマークセグメントP10を点滅させる。
【0081】
近距離無線通信モジュール9がスマートフォンSMから受信信号を受信すると、デコーダ50は、近距離無線通信モジュール9が受信した受信信号をデコードし基準時刻情報を取り出し、修正部201に供給する。
また、近距離無線通信モジュール9がスマートフォンSMから受信信号を受信すると、近距離無線通信モジュール9は、基準時刻信号の受信に成功したことを通信制御部204に通知する。さらに、通信制御部204は、基準時刻信号の受信に成功したことを経過時間計測部205に通知する。経過時間計測部205は、基準時刻信号の受信に成功したことを通信制御部204から通知されると、経過時間レジスタ806に記憶される経過時間をリセットする。ここで経過時間とは、最後に基準時刻信号を受信してから経過した時間である。
経過時間計測部205は、表示制御部207を介して、表示装置5にBLEマークセグメントP10を点滅の状態から点灯の状態に切り替えさせる。
【0082】
一方、近距離無線通信モジュール9は、10秒間スマートフォンSMからの応答がない場合、タイムアウトし受信動作を終了する。近距離無線通信モジュール9は、基準時刻信号の受信に失敗したことを通信制御部204に通知する。さらに通信制御部204は、基準時刻信号の受信に失敗したことを経過時間計測部205に通知する。
経過時間計測部205は、最後に基準時刻信号を受信してから、例えば、24時間以内である場合、表示制御部207を介して、表示装置5のBLEマークセグメントP10を点滅の状態から点灯の状態に切り替えさせる。経過時間計測部205は、最後に基準時刻信号を受信してから、例えば、24時間を超えている場合、BLEマークセグメントP10を消灯させる。
【0083】
ステップS230:通信制御部204は、近距離無線通信モジュール9がスマートフォンSMから受信信号を受信したか否かを判定する。
通信制御部204は、近距離無線通信モジュール9がスマートフォンSMから受信信号を受信したと判定する場合(ステップS230;YES)、ステップS260の処理を実行する。
【0084】
一方、通信制御部204は、近距離無線通信モジュール9がスマートフォンSMから受信信号を受信していないと判定する場合(ステップS230;NO)、ステップS240の処理を実行する。
【0085】
ステップS240:経過時間計測部205は、近距離無線通信モジュール9が基準時刻信号を最後に受信してから所定の時間が経過したか否かを判定する。ここで所定の時間とは、例えば3時間である。
図8の例では、所定の時間は受信間隔と同じ3時間としているが、所定の時間は受信間隔と同じである必要はない。
【0086】
経過時間計測部205が、近距離無線通信モジュール9が基準時刻信号を最後に受信してから所定の時間が経過したと判定する場合(ステップS240;YES)、受信間隔変更部206はステップS250の処理を実行する。
一方、経過時間計測部205が、近距離無線通信モジュール9が基準時刻信号を最後に受信してから所定の時間が経過していないと判定する場合(ステップS240;NO)、通信制御部204は、ステップS202の処理を繰り返す。
【0087】
ステップS250:受信間隔変更部206は、基準時刻信号を受信する受信間隔を、3時間から、10分間に切り替える。つまり、受信間隔変更部206は、経過時間計測部205によって計測された経過時間が所定の時間以上である場合に、基準時刻信号を受信する受信間隔をより短い間隔に変更する。
その後、通信制御部204は、ステップS202の処理を繰り返す。
【0088】
図10に示す例では、近距離無線通信モジュール9は、2時55分に受信処理を開始し、10秒間だけアドバタイジング信号をスマートフォンSMに送信するが、この10秒間においてスマートフォンSMに接続できない。つまり、近距離無線通信モジュール9の受信処理はタイムアウトとなる。
ただし、
図10に示す例では、2時55分において、スマートフォンSMから最後に基準時刻信号を受信してから3時間が経過している。したがって、ステップS250の処理において、受信間隔変更部206は、基準時刻信号を受信する受信間隔を、3時間から10分間に切り替える。近距離無線通信モジュール9は、以後10分間毎に受信処理を行う。
2時55分の10分後は、3時05分である。近距離無線通信モジュール9は、3時05分に受信処理を行うが、10秒間においてスマートフォンSMに接続できずタイムアウトとなる。
ステップS260、及びステップS270の処理において、受信間隔変更部206は、基準時刻信号を受信する受信間隔を、10分間から3時間に変更する。
【0089】
ステップS260:受信間隔変更部206は、基準時刻信号を受信する受信間隔が3時間より短いか否かを判定する。受信間隔変更部206は、基準時刻信号を受信する受信間隔が3時間より短いと判定する場合、ステップS270の処理を実行する。一方、受信間隔変更部206は、基準時刻信号を受信する受信間隔が3時間より短くないと判定する場合、ステップS280の処理を実行する。
【0090】
ステップS270:受信間隔変更部206は、基準時刻信号を受信する受信間隔を3時間に切り替える。ここで基準時刻信号を受信する受信間隔は、最初3時間であり、ステップS230、ステップS240、及びステップS250において、基準時刻信号を最後に受信してから3時間が経過した場合、受信間隔変更部206により10分間に変更された後、再び3時間に変更されている。
【0091】
図10に示す例では、近距離無線通信モジュール9は、3時05分の10分後である3時15分に受信処理を行い、10秒間においてスマートフォンSMと接続し、基準時刻信号を受信する。受信間隔変更部206は、基準時刻信号を受信した後は、受信間隔を10分間から3時間に変更する。したがって、基準時刻信号を受信する受信間隔が3時間に変更された場合、3時15分の次回の受信タイミングは、2時55分の3時間後である5時55分となる。つまり、受信タイミングは、受信間隔変更前の3時間毎の受信タイミングに戻る。
【0092】
なお、本実施形態では、受信間隔変更部206が、基準時刻信号を受信する受信間隔を10分間から3時間に切り替える場合、受信タイミングは、受信間隔変更前の3時間毎の受信タイミングに戻るが、これに限らない。受信間隔変更部206が、基準時刻信号を受信する受信間隔を10分間から3時間に切り替える場合、受信タイミングは、最後に基準時刻信号を受信してから3時間毎の時間であってもよい。
図10に示す例では、3時15分に基準時刻信号を受信しているから、以降の受信タイミングは、6時15分、9時15分、12時15分などとなる。
【0093】
このように、受信間隔変更部206は、受信間隔をより短い間隔に変更した後に近距離無線通信モジュール9が基準時刻信号を受信した場合、短い間隔に変更した受信間隔をより長い間隔に変更する。
【0094】
ステップS280:修正部201は、受信した基準時刻信号に含まれる基準時刻情報が示す時刻情報に基づいて計時データレジスタ802の計時データを修正する。つまり、修正部201は、近距離無線通信モジュール9が受信した基準時刻信号に基づいて、現在時刻を示す計時データを修正する。
【0095】
ステップS290:プロセッサ20は、近距離通信初期設定処理を実行する。ここで、通信制御部204は、受信チャネルレジスタ803に時刻種類にスマートフォンSMから受信した時刻であることを示す情報を設定する。また、通信制御部204は、レイヤレジスタ805にレイヤの値として0を設定する。
【0096】
また、表示制御部207は、表示装置5に、計時データレジスタ802に記憶されている計時データ、受信状態、バッテリ状態を示す情報を表示させる。表示装置5の表示パネルPの表示内容には、例えば、午前表示セグメントP1、及び午後表示セグメントP2による午前・午後の表示、時間表示セグメントP4、区切りセグメントP5、分表示セグメントP6、秒表示セグメントP7、月表示セグメントP14、日表示セグメントP15、及び曜日表示セグメントP16による年月日時分秒曜日の表示、BLEマークセグメントP10によるスマートフォンから時刻情報を取得したことの表示、受信レベルセグメントP12による近距離通信電波の受信状況の表示、及び電圧データ入力部70を介して取り込んだ電圧デテクタ6の検出値に基づいた電源状態の表示、などを含む。
プロセッサ20が近距離通信初期設定処理を実行した後、通信制御部204は、ステップS202の処理を繰り返す。
【0097】
なお、
図8に示したステップS200からステップS280の処理は、計時装置Cの電源がオフになると終了する。
【0098】
(子機の動作)
図11は、本実施形態に係る子機モードにおける近距離受信処理の一例を示す図である。
図11に示す近距離受信処理は、レイヤ1の計時装置C2及び計時装置C3、レイヤ2の計時装置C4、計時装置C5、及び計時装置C6に共通である。
【0099】
ステップS300:通信制御部204は、近距離無線通信モジュール9を起動する。ここで通信制御部204は、消費電力を抑えるため通常の自動受信時は上位レイヤの計時装置Cの送信タイミングの2秒前からスキャンを開始し、スキャンは最大4秒間継続する。
【0100】
ステップS310:通信制御部204は、近距離無線通信モジュール9が近距離時刻信号を受信したか否かを判定する。通信制御部204が、近距離無線通信モジュール9が近距離時刻信号を受信したと判定する場合(ステップS310;YES)、デコーダ50から修正時刻情報Mを取得する。その後、プロセッサ20はステップS320の処理を実行する。
一方、通信制御部204が、近距離無線通信モジュール9が近距離時刻信号を受信していないと判定する場合(ステップS310;NO)、プロセッサ20はステップS330の処理を実行する。
【0101】
ステップS320:修正部201は、計時データを修正する。修正部201は、通信制御部204から修正時刻情報Mを取得する。修正部201は、取得した修正時刻情報Mに含まれる時刻情報に基づいて、計時データレジスタ802に記憶されている計時データを修正する。
【0102】
ステップS330:通信制御部204は、近距離無線通信モジュール9を起動させてから所定時間が経過したか否かを判定する。ここで所定時間とは、例えば、24時間である。ただし、所定時間は、計時システムSのレイヤの数により変更されてよい。
通信制御部204は、近距離無線通信モジュール9を起動させてから所定時間が経過したと判定する場合(ステップS330;YES)、ステップS340の処理を実行する。一方、通信制御部204は、近距離無線通信モジュール9を起動させてから所定時間が経過していないと判定する場合(ステップS330;NO)、ステップS310の処理を繰り返す。
【0103】
ステップS340:通信制御部204は、タイムアウト処理を実行する。通信制御部204は、表示制御部207に受信信号の受信に失敗したことを示す信号を供給する。
表示制御部207は、通信制御部204が供給する信号に基づいて、アンテナマークセグメントP11と受信レベルセグメントP12とを用いて、受信信号の受信に失敗したことを表示装置5に表示させる。ここで表示装置5は、例えば、アンテナマークセグメントP11を点滅させ、受信レベルセグメントP12を消灯させる。ユーザは、計時装置Cが受信信号の受信に失敗したことに応じて、計時装置Cの位置を変えて設置し直してもよい。
その後、通信制御部204は、ステップS310の処理を繰り返す。
【0104】
(親機の動作)
上位レイヤの計時装置Cは、修正時刻情報Mを生成し、生成した修正時刻情報Mを修正時刻信号に含めて送信する。修正時刻情報Mには、修正部201が修正した計時データを示し、下位レイヤの計時装置Cが計時データを修正するための時刻情報が含まれる。
図12は、本実施形態に係る修正時刻信号送信処理の一例を示す図である。
図12に示す処理は、最上位のレイヤ0の計時装置C1、レイヤ1の計時装置C2及び計時装置C3に共通である。
【0105】
ステップS410:通信制御部204は、現在時刻が修正時刻信号の送信タイミングであるか否かを判定する。
ここで、通信制御部204は、レイヤレジスタ805に記憶される自装置のレイヤの値と、送信チャネルレジスタ804に記憶される送信チャネルとに基づいて、上述した式(1)から送信タイミングを算出する。送信タイミングとは、上位レイヤの計時装置Cが下位レイヤの計時装置Cに修正時刻信号を送信する送信タイミングである。
【0106】
通信制御部204は、現在時刻が修正時刻信号の送信タイミングであると判定する場合(ステップS410;YES)、ステップS420の処理を実行する。一方、通信制御部204は、現在時刻が修正時刻信号の送信タイミングでないと判定する場合(ステップS410;NO)、修正時刻信号送信処理を終了する。
【0107】
ステップS420:計時部202は、修正時刻情報Mを生成する。計時部202は、レイヤレジスタ805に記憶されるレイヤ情報が示すレイヤの値、送信チャネルレジスタ804に記憶される送信チャネル指定データが示す送信チャネル、計時データレジスタ802に記憶される計時データが示す時刻情報、及び受信チャネルレジスタ803に記憶される時刻情報の情報源を示す情報などに基づいて、修正時刻情報Mを生成する。
計時部202は、生成した修正時刻情報Mを通信制御部204に供給する。
【0108】
ステップS430:通信制御部204は、近距離無線通信モジュール9に修正時刻信号を送信させる。ここで通信制御部204は、計時部202が供給する修正時刻情報Mを、エンコーダ40にエンコードさせて、近距離無線通信モジュール9に供給する。
したがって、近距離無線通信モジュール9は、修正部201が修正した計時データを示す修正時刻情報Mを含む修正時刻信号を他の計時装置Cに送信する。
その後、プロセッサ20は、基準時刻信号送信処理を終了する。
【0109】
(子機の通常時の時刻修正動作)
図13は、本実施形態に係る子機モードにおける通常時の時刻修正のための処理の一例を示す図である。
ステップS500:通信制御部204は、リルート条件が満たされたか否かを判定する。ここでリルート条件とは、例えば、修正時刻信号を上位レイヤの計時装置Cから所定の時間以上受信できないことである。ここで所定の時間とは、例えば、24時間である。上位レイヤの計時装置Cから所定の時間以上受信できない場合とは、例えば、上位レイヤの計時装置Cに故障や電池切れなどの障害が発生した場合である。
なお、リルート条件は、修正時刻信号を上位レイヤの計時装置Cから受信することを、所定の回数以上失敗することであってもよい。ここで所定の回数とは、例えば、8回である。
【0110】
通信制御部204は、リルート条件が満たされたと判定する場合(ステップS500;YES)、ステップS570の処理を実行する。一方、通信制御部204は、リルート条件が満たされていないと判定する場合(ステップS500;NO)、ステップS510の処理を実行する。
【0111】
ステップS510:通信制御部204は、現在時刻が修正時刻信号の受信タイミングであるか否かを判定する。
ここで、通信制御部204は、レイヤレジスタ805に記憶される自装置のレイヤの値と、受信チャネルレジスタ803に記憶される受信チャネルとに基づいて、上述した式(1)から受信タイミングを算出する。受信タイミングとは、上位レイヤの計時装置Cの送信タイミングである。
【0112】
通信制御部204は、計時データレジスタ802に記憶される計時データを取得する。通信制御部204は、算出した受信タイミングと、取得した計時データが示す現在時刻とを比較し、現在時刻が受信タイミングの所定の時間だけ前であるか否かを判定する。ここで所定の時間とは、例えば、2秒である。
【0113】
通信制御部204は、現在時刻が修正時刻信号の受信タイミングであると判定する場合(ステップS510;YES)、ステップS520の処理を実行する。一方、通信制御部204は、現在時刻が修正時刻信号の受信タイミングでないと判定する場合(ステップS510;NO)、ステップS540の処理を実行する。
【0114】
ステップS520:通信制御部204は、近距離無線通信モジュール9に修正時刻信号を受信させる。ここで通信制御部204は、例えば最大4秒間、近距離無線通信モジュール9に修正時刻信号を受信させる。
通信制御部204は、デコーダ50から修正時刻情報Mを取得する。
【0115】
ステップS530:修正部201は、通信制御部204が供給する修正時刻情報Mに基づいて、計時データレジスタ802に記憶される計時データを更新する。
【0116】
ステップS540:通信制御部204は、現在時刻が修正時刻信号の送信タイミングであるか否かを判定する。
ここで、通信制御部204は、レイヤレジスタ805に記憶される自装置のレイヤの値と、送信チャネルレジスタ804に記憶される送信チャネルとに基づいて、上述した式(1)から送信タイミングを算出する。通信制御部204は、計時データレジスタ802に記憶される計時データを取得する。通信制御部204は、算出した送信タイミングと、取得した計時データが示す現在時刻とを比較し、現在時刻が修正時刻信号の送信タイミングかである否かを判定する。
【0117】
通信制御部204は、現在時刻が修正時刻信号の送信タイミングであると判定する場合(ステップS540;YES)、ステップS550の処理を実行する。一方、通信制御部204が、現在時刻が修正時刻信号の送信タイミングでないと判定する場合(ステップS540;NO)、プロセッサ20は処理を終了する。
【0118】
ステップS550:計時部202は、修正時刻情報Mを生成する。計時部202は、レイヤレジスタ805に記憶されるレイヤ情報が示すレイヤの値、送信チャネルレジスタ804に記憶される送信チャネル指定データが示す送信チャネル、計時データレジスタ802に記憶される計時データが示す時刻情報、及び受信チャネルレジスタ803に記憶される時刻情報の情報源を示す情報などに基づいて、修正時刻情報Mを生成する。
計時部202は、生成した修正時刻情報Mを通信制御部204に供給する。
【0119】
ステップS560:通信制御部204は、近距離無線通信モジュール9に修正時刻信号を送信させる。ここで通信制御部204は、計時部202が供給する修正時刻情報Mを、エンコーダ40にエンコードさせて、近距離無線通信モジュール9に供給する。
【0120】
ステップS570:プロセッサ20は、リルート処理を実行する。リルート処理とは、上位レイヤの計時装置Cとの接続が途絶えた場合に、新たに受信信号を受信し、この受信信号を送信した送信装置を、修正時刻信号を受信するための計時装置Cであると新たに決定する処理である。リルート処理の具体例については、
図11において説明した子機モードにおける近距離受信処理と同様である。
プロセッサ20は、リルート処理を実行すると、ステップS510の処理を実行する。
【0121】
(通常時の計時動作)
通常の動作時において、制御部12の計時データ取得部30は、制御部水晶振動子11の発振信号を用いて一定時間(例えば、50ms)を計時する毎に、計時時刻を更新するための計時割込信号をプロセッサ20に供給する。この計時信号に応答して、プロセッサ20は、
図14に示す処理を開始する。
図14は、本実施形態に係る通常時の計時処理の一例を示す図である。
【0122】
ステップS600:計時部202は、計時データレジスタ802に記憶されている計時データを修正する。
したがって、計時システムSは、計時装置C1と、計時装置C1から修正時刻信号を受信し、受信した修正時刻信号に含まれる修正時刻情報Mに基づいて自装置の計時データを修正する子計時装置(計時装置C2~計時装置C6)を備える。
ステップS610:計時部202は、表示制御部207に表示装置5の表示情報の更新などの処理を実行させる。
【0123】
以上に説明したように、本実施形態に係る計時装置C1は、受信部(近距離無線通信モジュール9)と、受信タイミング制御部(通信制御部204)と、経過時間計測部205と、受信間隔変更部206と、修正部201と、送信部(近距離無線通信モジュール9)とを備える。
受信部(近距離無線通信モジュール9)は、計時の基準時刻を示す基準時刻情報を含む基準時刻信号を受信する。
受信タイミング制御部(通信制御部204)は、所定の受信間隔に基づいて、受信部(近距離無線通信モジュール9)による基準時刻信号の受信タイミングを制御する。
経過時間計測部205は、受信部(近距離無線通信モジュール9)が基準時刻信号を最後に受信してからの経過時間を計測する。
受信間隔変更部206は、経過時間計測部205によって計測された経過時間が所定の時間以上である場合に、受信間隔をより短い間隔に変更する。
修正部201は、受信部(近距離無線通信モジュール9)が受信した基準時刻信号に基づいて、現在時刻を示す計時データを修正する。
送信部(近距離無線通信モジュール9)は、修正部201が修正した計時データを示す修正時刻情報Mを含む修正時刻信号を他の計時装置Cに送信する。
【0124】
この構成により、本実施形態に係る計時装置C1では、基準時刻信号を最後に受信してからの経過時間が所定の時間以上である場合に受信間隔をより短い間隔に変更できるため、時刻同期に失敗することを減らすことができる。
【0125】
スマートフォンSMと計時装置C1の位置関係は常に変動する。例えば、一般家庭ではユーザが居間から寝室へ移動したり、オフィスでは管理者が社内で移動したり食事に出かけたりすることなどが考えられる。このため3時間毎に1回10秒間のアドバタイジングでは時刻同期できない可能性がある。本実施形態に係る計時装置C1では、スマートフォンSMからの基準時刻信号の自動受信に失敗すると、アドバタイジングの間隔を10分間に切替えるため、時刻同期に失敗することを減らすことができる。
【0126】
また、本実施形態に係る計時装置C1では、受信間隔変更部206は、受信間隔をより短い間隔に変更した後に受信部(近距離無線通信モジュール9)が基準時刻信号を受信した場合、短い間隔に変更した受信間隔をより長い間隔に変更する。
この構成により、本実施形態に係る計時装置C1では、短い間隔に変更した受信間隔をより長い間隔に変更できるため、受信間隔を短い間隔に変更したままにする場合に比べて、受信動作に伴う消費電力を低くすることができる。
【0127】
また、本実施形態に係る計時システムSは、上記の計時装置C1と、子計時装置(計時装置C2~計時装置C6)とを備える。子計時装置(計時装置C2~計時装置C6)は、計時装置C1から修正時刻信号を受信し、受信した修正時刻信号に含まれる修正時刻情報Mに基づいて自装置の計時データを修正する。
【0128】
この構成により、本実施形態に係る計時システムSでは、双方向通信により時刻情報を送信するシステムに比べて容易にネットワークを構築することができる。双方向通信により時刻情報を送信するシステムでは、システムに含まれる計時装置同士は、例えば、互いのIDを記憶することが求められる。本実施形態に係る計時システムSでは、計時装置C1がスマートフォンSMと双方向通信を行う以外は、一方向通信により時刻情報が送信、及び受信されるため、計時装置C1~計時装置C6同士が互いのIDを記憶する必要がない。そのため、本実施形態に係る計時システムSでは、システムに含まれる子機の台数は、少なくともIDの記憶のための記憶容量による制限を受けずに増やすことができる。
【0129】
なお、
図4において説明したように、計時装置Cの構成は、スマートフォンSMと通信を行う最上位のレイヤ0の計時装置C1と、他のレイヤの計時装置C2~C6とにおいて共通である。したがって、本実施形態に係る計時装置Cでは、スマートフォンSMからの基準時刻信号の受信と、上位レイヤの計時装置Cからの修正時刻信号の受信とを共通の近距離無線通信モジュール9により行うことができる。
【0130】
従来、親子時計のシステムの計時装置は、近距離無線通信モジュールとは別に、標準電波を受信するために長波受信モジュールを備えていた。また、子機は長波受信モジュールが不要であるため、子機のコストを下げるためには、子機を親機とは別の構成において製造する必要があった。これに対し、本実施形態に係る計時装置Cでは、従来の親子時計のシステムの計時装置に比べてコストを下げることができる。
【0131】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第2の実施形態について詳しく説明する。
上記第1の実施形態では、最上位の計時装置は、スマートフォンから最後に基準時刻信号を受信してからの経過時間に基づいて、基準時刻信号の受信間隔をより短い間隔に変更する場合について説明をした。本実施形態では、最上位の計時装置は、スマートフォンから基準時刻信号の受信に失敗した回数に基づいて、基準時刻信号の受信間隔をより短い間隔に変更する場合について説明をする。
本実施形態に係る計時システムを計時システムSaといい、計時装置を計時装置C1aという。計時システムSaは、
図1の計時システムSにおいて計時装置C1が計時装置C1aに置き換わった点以外は、
図1の計時システムSと同様である。以下の第2の実施形態の説明では、第1の実施形態とは異なる部分を中心に説明する。
【0132】
計時装置C1aの構成は、
図4の計時装置Cの構成において、制御部12の代わりに制御部12aが備えられる点を除いて、
図4の計時装置Cの構成と同様である。
図15は、本実施形態に係る制御部12aの構成の一例を示す図である。制御部12aは、プロセッサ20aと、計時データ取得部30と、エンコーダ40と、デコーダ50と、キー入力部60と、電圧データ入力部70と、レジスタ群80aとを備える。
【0133】
プロセッサ20aは、修正部201と、計時部202と、親機子機モード制御部203と、通信制御部204と、受信間隔変更部206と、受信間隔変更部206と、表示制御部207と、連続受信失敗回数カウント部208とを備える。
連続受信失敗回数カウント部208は、近距離無線通信モジュール9が基準時刻信号の受信に連続して失敗した回数である連続受信失敗回数をカウントする。
【0134】
レジスタ群80aは、親機子機モードレジスタ801と、計時データレジスタ802と、受信チャネルレジスタ803と、送信チャネルレジスタ804と、レイヤレジスタ805と、連続受信失敗回数レジスタ807とを備える。
連続受信失敗回数レジスタ807は、連続受信失敗回数を記憶する。
【0135】
図16は、本実施形態に係る親機モード近距離通信処理の一例を示す図である。
図16に示す処理は、
図7に示した第1の実施形態のステップS101の親機モード近距離通信処理に対応する。
なお、ステップS700~ステップS730、及びステップS750~ステップS790の各処理は、
図7におけるステップS200~ステップS230、及びステップS250~ステップS290の各処理と同様であるため、説明を省略する。
【0136】
ステップS732:連続受信失敗回数カウント部208は、連続受信失敗回数レジスタ807に記憶される連続受信失敗回数の値を1だけ増やす。
ステップS740:連続受信失敗回数カウント部208は、連続受信失敗回数レジスタ807に記憶される連続受信失敗回数が所定の回数以上であるか否かを判定する。ここで所定の回数とは、例えば、2回である。
【0137】
なお、所定の回数は、受信間隔と、所定の時間とに基づいて決定されてもよい。例えば、所定の回数は、受信間隔と所定の回数との積により示される時間が、所定の時間以上となる条件に基づいて決定されてもよい。この場合、例えば、受信間隔が3時間であり、所定の時間が3時間である場合、所定の回数は1回としてよい。
【0138】
連続受信失敗回数カウント部208が連続受信失敗回数レジスタ807に記憶される連続受信失敗回数が所定の回数以上であると判定する場合(ステップS740;YES)、受信間隔変更部206はステップS750の処理を実行する。
一方、連続受信失敗回数カウント部208が連続受信失敗回数レジスタ807に記憶される連続受信失敗回数が所定の回数以上でないと判定する場合(ステップS740;NO)、通信制御部204は、ステップS702の処理を繰り返す。
【0139】
なお、上述した実施形態における計時装置C1~C6、計時装置C1a、の一部、例えば、修正部201、計時部202、親機子機モード制御部203、通信制御部204、経過時間計測部205、受信間隔変更部206、表示制御部207、及び連続受信失敗回数カウント部208をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、計時装置C1~C6、計時装置C1aに内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
また、上述した実施形態における計時装置C1~C6、計時装置C1aの一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。計時装置C1~C6、計時装置C1aの各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【0140】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0141】
S、Sa…計時システム、C、C1、C2、C3、C4、C5、C6…計時装置、SM…スマートフォン、2…電源回路、21…AC(交流)アダプタ接続プラグ、22…バッテリ、3…コネクタ、4…主装置、5…表示装置、6…電圧デテクタ、7…レギュレータ、8…スイッチ群、9…近距離無線通信モジュール、10…通信モジュール水晶振動子、11…制御部水晶振動子、12、12a…制御部、20、20a…プロセッサ、201…修正部、202…計時部、203…親機子機モード制御部、204…通信制御部、205…経過時間計測部、206…受信間隔変更部、207…表示制御部、208…連続受信失敗回数カウント部、30…計時データ取得部、40…エンコーダ、50…デコーダ、60…キー入力部、70…電圧データ入力部、80、80a…レジスタ群、801…親機子機モードレジスタ、802…計時データレジスタ、803…受信チャネルレジスタ、804…送信チャネルレジスタ、805…レイヤレジスタ、806…経過時間レジスタ、807…連続受信失敗回数レジスタ、P…表示パネル