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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】竪型射出成形機、及び射出成形方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/06 20060101AFI20220616BHJP
   B29C 45/76 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
B29C45/06
B29C45/76
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018110932
(22)【出願日】2018-06-11
(65)【公開番号】P2019214135
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000222587
【氏名又は名称】東洋機械金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002608
【氏名又は名称】特許業務法人オーパス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樽家 宏治
(72)【発明者】
【氏名】中川 悟郎
(72)【発明者】
【氏名】黒田 章公
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-165922(JP,A)
【文献】特開昭63-233813(JP,A)
【文献】特開平07-009524(JP,A)
【文献】特開2008-284778(JP,A)
【文献】実開平07-043613(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
B29C 33/00-33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直軸線廻りに所定のサイクルで間欠的に回動・一時停止を繰り返すターンテーブルと、該ターンテーブル上に所定角度を置いて配置された複数種類の金型と、当該複数種類の金型に対して各々の製品の一連の射出成形動作を制御する制御手段と、を備えた竪型射出成形機であって、
前記垂直軸線の周りには、夫々の金型によって加熱樹脂材料を射出・成形する射出・成形ステージと、当該夫々の金型によって成形した製品を取り出す製品取出しステージと、を含む複数のステージが形成されており、
前記制御手段は、竪型射出成形機の定常の射出・成形動作を制御する定常動作制御モジュールと、金型交換動作を制御する金型交換制御モジュールとを備えており、
記定常動作制御モジュールは、前記ターンテーブル上の前記複数種類の金型の内の一つの金型が前記射出・成形ステージに位置する場合には、前記ターンテーブルを所定時間停止させて、当該一つの金型の射出・成形動作を制御し、前記ターンテーブル上の前記複数種類の金型の内の当該一つの金型が前記製品取出しステージに位置する場合には、前記ターンテーブルを所定時間停止させて、当該一つの金型からの製品取出し動作を制御し、それらのステージの間では前記ターンテーブルを所定時間、所定角度だけ回動するように制御しており、さらに、前記複数種類の金型の夫々において成形した製品の成形数カウントしており、
前記制御手段は、前記複数種類の金型の内の一つの金型において成形する製品の成形数が所定数に達した場合(当該一つの金型のことを、以下「交換対象金型」という。)には、前記定常動作制御モジュールから前記金型交換制御モジュールに切り替え
前記金型交換制御モジュールは、前記ターンテーブルを間欠的に回動・一時停止する定常の動作サイクルを停止することなく、前記ターンテーブルの定常の動作サイクル内の停止時間中に前記交換対象金型を別の金型に交換するように制御し、前記複数のステージの内の一のステージにおいて前記交換対象金型を前記ターンテーブルから取り出し、前記複数のステージの内の他のステージにおいて前記別の金型を前記ターンテーブルに取り付けることにより、前記交換対象金型を前記別の金型に交換することを特徴とする竪型射出成形機。
【請求項2】
前記金型交換制御モジュールは前記製品取出しステージでの製品の取り出しが完了した前記交換対象金型が次の前記射出・成形ステージに位置する場合には、前記交換対象金型に対して溶融樹脂材料を射出しない空打ち動作を行うように制御することを特徴とする請求項1記載の竪型射出成形機。
【請求項3】
前記ターンテーブル上に所定角度を置いて配置された前記複数種類の金型は4種類の金型構成であり、
前記複数のステージは、前記射出・成形ステージと前記製品取出しステージとの間に配置された、前記ターンテーブルの停止中に成形中の製品を冷却する二つの冷却ステージを含み、
前記二つの冷却ステージの一方が前記一のステージであり、他方が前記他のステージであることを特徴とする請求項2記載の竪型射出成形機。
【請求項4】
垂直軸線の周りに加熱樹脂材料を射出・成形する射出・成形ステージと、成形した製品を取り出す製品取出しステージと、を含む複数のステージが形成されており、所定のサイクルで間欠的に回動・一時停止を繰り返すターンテーブルと、該ターンテーブル上に所定角度を置いて配置された複数種類の金型と、当該複数種類の金型に対して各々の製品の一連の射出・成形動作を制御する制御手段と、を備えた竪型射出成形機を用いて多品種少量製品を成形する射出成形方法であって、
前記制御手段は、竪型射出成形機の定常の射出・成形動作を制御する定常成形動作モードと、金型交換動作を制御する金型交換動作モードを備えており、
前記制御手段は、前記定常成形作モードにおいて、前記ターンテーブル上の前記複数種類の金型の内の一つの金型が前記射出・成形ステージに位置する場合には、前記ターンテーブルを所定時間停止させて、当該一つの金型の射出・成形動作を制御し、前記ターンテーブル上の前記複数種類の金型の内の当該一つの金型が前記製品取出しステージに位置する場合には、前記ターンテーブルを所定時間停止させて、当該一つの金型からの製品取出し動作を制御し、それらのステージの間では、前記ターンテーブルを所定時間、所定角度だけ回動するように制御し、さらに、前記複数種類の金型の夫々において成形した製品の成形数カウントし
前記制御手段は、前記複数種類の金型の内の一つの金型において成形する製品の成形数が所定数に達した場合(当該一つの金型のことを、以下「交換対象金型」という。)には、前記定成形作モードから前記金型交換動作モードに切り替え
前記制御手段は、前記金型交換動作モードにおいて、前記ターンテーブルを間欠的に回動・一時停止する定常の動作サイクルを停止することなく、前記ターンテーブルの定常の動作サイクル内の停止時間中に前記交換対象金型を別の金型に交換するように制御し、前記複数のステージの内の一のステージにおいて前記交換対象金型を前記ターンテーブルから取り出し、前記複数のステージの内の他のステージにおいて前記別の金型を前記ターンテーブルに取り付けることにより、前記交換対象金型を前記別の金型に交換することを特徴とする射出成形方法。
【請求項5】
前記制御手段は、前記金型交換動作モードにおいて、前記交換対象金型から成形完了製品を取り出し、次のタイミングの前記射出・成形ステージにおいては前記交換対象金型に対して加熱樹脂材料を射出しない空打ち動作をし、前記ターンテーブルを間欠的に回動・一時停止する定常の動作サイクルを停止することなく、前記交換対象金型を前記別の金型に交換するように制御することを特徴とする請求項4記載の射出成形方法。
【請求項6】
前記ターンテーブル上に所定角度を置いて配置された複数種類の金型は4種類の金型構成であり、
前記複数のステージは、前記射出・成形ステージと前記製品取出しステージとの間に配置された、前記ターンテーブルの停止中に成形中の製品を冷却する二つの冷却ステージを含み、
前記二つの冷却ステージの一方が前記一のステージであり、他方が前記他のステージであることを特徴とする請求項5記載の射出成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竪型射出成形機及びそれを用いた射出成形方法に関し、特に、垂直軸線周りに間欠的に回動・一時停止するターンテーブル上に複数種類の金型を間隔を置いて配置した竪型射出成形機、及びそれを用いた射出成形方法に関する。さらに具体的には、成形装置での定常の成形制御動作を停止することなく、ターンテーブル上の金型の交換を可能にする竪型射出成形機、及びそれを用いた射出成形方法に関する。
【0002】
なお、本願明細書において、例えば、0時の位置、3時の位置、6時の位置、又は9時の位置とは、図示された位置関係において、ターンテーブル上にセットされる金型の配置位置を指し示すものである。
また、本願明細書において、「定常成形動作モード」とは、所定の金型セットの取付けが完了した射出成形機を「定常動作制御モジュール」により動作させて、予め定められた所定の成形プロセス、つまり、定常の成形動作により、定常の成形加工を行う動作をいう。
また、「金型交換動作モード」とは、金型交換制御モジュールを動作させて、金型を交換する動作をいう。
【背景技術】
【0003】
射出成形機としては、一般的には、横型成形機が知られており、金型は水平方向に開閉し、加熱樹脂材料は水平方向に配置された射出スクリューから射出されて成形されるものである。これに対して、設置面積等の観点から、射出スクリューを竪型に配置し、垂直方向に開閉する金型を備え、その金型に対して加熱樹脂材料を射出する竪型射出成形機も知られている。このような射出成形機には、比較的小形の成形機が多く、多品種少量生産用の成形機として用いられるものが多く知られていた。そして、この竪型射出成形機には、下記特許文献1(特開2008-284778号公報)のように、ターンテーブル上に複数の金型を備えたタイプのものが知られている。
【0004】
特許文献1は、本願発明の出願人が出願したものであり、1ロットで複数の製品を成形する際に、1台のマシンで金型交換を行うことなく、複数の製品種別の成形製品を得ることができる射出成形機を開示している。この特許文献1では、複数の製品種別毎に個別の生産数が設定可能な生産管理用画像を有している。そのために、1ロット当たりの製品種別毎の生産数の設定欄と、1ロット中における製品種別毎の現在までの生産数の表示欄と、製品種別毎の総生産数の設定欄と、製品種別毎の現在までの累積生産数の表示欄とが設けられた生産管理用画像を表示させる。また、複数の製品種別にそれぞれ対応して設けられたカウンタによって、複数の製品種別の生産数を個別に管理するものである。
【0005】
このように、ターンテーブル上に複数種類の金型を備えた竪型射出成形機において、1ロット当たりの複数の製品種別の生産数を個別に管理する技術は知られたものである。
【0006】
この特許文献1に記載された発明について開示されている金型の構成は、ターンテーブル上に2つの下金型を180°間隔で搭載し、ターンテーブルを180°ずつ正逆方向に間欠回転させることで、2つの下金型のうちの1つを交番的に1つの上金型と対向する位置に停止させるようにした2ステージタイプの、竪型締め・竪射出式の射出成形機への適用例である。この場合、ターンテーブルに搭載する金型は、型開閉時に前後進しない固定側金型であっても、型開閉時に前後進する可動側金型であってもよく、また、ターンテーブルに搭載する金型の数は2つ以外にも4つであっても良い。つまり、特許文献1の実施形態では、垂直軸線周りに回転するターンテーブル上に180°間隔で2セットの金型を配置しているが、金型の配置数は、120°間隔で3セットでも、90°間隔で4セットでも良い。また、竪型締め・横射出式の射出成形機や、横型締め・横射出式の射出成形機や、横型締め・竪射出式の射出成形機にも適用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2008-284778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、特許文献1に記載された発明には、1台のマシンで複数の製品種別の成形製品を得ることができる射出成形機において、製品種別毎の生産数の個別管理を容易に行うことができる技術が開示されている。つまり、成形数が生産予定数に達した際には、全ての金型での生産予定数の成形が終了した段階で成形プロセスを完了させて装置を停止させる竪型の射出成形機が開示されているが、それ以上の発明は記載されていない。
【0009】
この特許文献1に記載された発明には、新たに解決されるべき課題がある。つまり、特許文献1に記載された発明では、1ロットに対する連続的な成形を目的としており、1台の成形機で連続的に成形される製品種別の数は、ターンテーブル上に配置された金型の数毎で限られることになる。つまり、製品の種類が多く、別の金型により新たな製品の成形をする必要があれば、成形機を一旦停止させ、金型交換する位置にまでターンテーブルを回転させ、成形を終了した金型を取出し、次に生産する予定の金型を取り付けてから、成形を再開させる必要がでてくる。しかし、この場合の金型交換の操作手順は、自動で運転している成形機を一旦停止させてオペレータの手動操作が必須となる。
【0010】
そこで、本願発明において解決しようとする課題は、特許文献1に記載された発明における新たな課題である。つまり、ターンテーブル上に間隔を置いて複数の金型を備えた竪型射出成形機において、特定の金型での成形品が予定生産数に達した際にも、成形機の定常の成形制御動作を停止させることなく、金型を自動的に交換して成形動作を連続できる竪型射出成形機、及びそれを用いた射出成形方法を提供することである。それにより、成形が終了した金型を、定常の成形制御動作のなかで、ターンテーブル上の金型交換位置にまで自動的に回転移動させて、金型交換台車(詳細は図示しない)との信号のやり取りにより自動的に金型を交換するシステムを提供することである。
【0011】
なお、本発明が解決しようとする課題は、成形機の定常の成形制御動作を停止させることなく、金型を自動的に交換できる竪型射出成形機、及びそれを用いた射出成形方法を提供することであるが、金型交換のための手段の具体的構成に係るものではない。金型交換のための具体的構成としては、専用の金型交換手段を設けても良いし、汎用のロボットを用いても良いが、それらに関しては本願明細書においては詳細に説明することはしない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
課題を解決するための手段は、以下のとおりであるが、文章中に付された符号は、本願発明の理解を容易にするものであり、発明の技術的範囲を限定するためのものではない。
本発明の竪型射出成形機100は、垂直軸線の廻りに所定のサイクルで間欠的に回動・一時停止を繰り返すターンテーブル10と、該ターンテーブル10上に所定角度を置いて配置された複数種類の金型(A,B・・・)と、当該複数種類の金型(A,B・・・)による各々の製品の一連の射出成形動作を制御する制御手段150と、を備えた竪型射出成形機100であって、
前記垂直軸線の周りには、夫々の金型(A,B・・・)によって加熱樹脂材料を射出・成形する射出・成形ステージXと、当該夫々の金型(A,B・・・)によって成形した製品を取り出す製品取出しステージZと、を含む複数のステージが形成されており、
前記制御手段150は、竪型射出成形機100の定常の成形制御動作を制御する定常動作制御モジュール30と、金型交換動作を制御する金型交換制御モジュール40とを備えており、
記定常動作制御モジュール30は、前記ターンテーブル10上の前記複数種類の金型(A,B・・・)の内の一つの金型(例えば、金型A)が前記射出・成形ステージXに位置する場合には、前記ターンテーブル10を所定時間停止させて、当該一つの金型Aの射出・成形動作を制御し、前記ターンテーブル10上の前記複数種類の金型(A,B・・・)の内の当該一つの金型(例えば、金型A)が前記製品取出しステージZに位置する場合には、前記ターンテーブル10を所定時間停止させて、当該一つの金型(A)からの製品取出し動作を制御し、それらのステージの間では前記ターンテーブル10を所定時間、所定角度だけ回動するように制御しており、さらに、前記複数種類の金型(A,B・・・)の夫々において成形した製品の成形数をカウントしており、
前記制御手段は、前記複数種類の金型(A,B・・・)の内の一つの金型(例えば、金型A)において成形する製品の成形数が所定数に達した場合(当該一つの金型のことを、以下「交換対象金型」という。)には、前記定常動作制御モジュール30(定常成形動作モード)から前記金型交換制御モジュール40(金型交換動作モード)に切り替え
前記金型交換制御モジュール40は、前記ターンテーブル10を間欠的に回動・一時停止する定常の動作サイクルを停止することなく、前記ターンテーブル10の定常の動作サイクル内の停止時間中に当該一つの金型Aを別の金型Eに交換するように制御し、前記複数のステージの内の一のステージにおいて当該一つの金型Aを前記ターンテーブル10から取り出し、前記複数のステージの内の他のステージにおいて当該別の金型Eを前記ターンテーブル10に取り付けることにより、当該一つの金型Aを当該別の金型Eに交換することを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の竪型射出成形機100は、前記金型交換制御モジュール40は前記製品取出しステージZでの製品の取り出しが完了した前記交換対象金型が次の前記射出・成形ステージXに位置する場合には、前記交換対象金型に対して溶融樹脂材料を射出しない空打ち動作を行うように制御することを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明の竪型射出成形機100は、前記ターンテーブル10上に所定角度を置いて配置された前記複数種類の金型は4種類の金型(A,B,C,D)構成であり、前記複数のステージは、前記射出・成形ステージXと前記製品取出しステージZとの間に配置された、成形中の製品を冷却する二つの冷却ステージY,Yを含み、前記二つの冷却ステージY,Yの一方が前記一のステージであり、他方が前記他のステージであり、これらの二つの冷却ステージY,Yにおいて、金型の交換(金型A→金型E)をするように構成したことを特徴とする。
【0015】
本発明の射出成形方法は、垂直軸線の周りに加熱樹脂材料を射出・成形する射出・成形ステージXと、成形した製品を取り出す製品取出しステージZと、を含む複数のステージが形成されており、所定のサイクルで間欠的に回動・一時停止を繰り返すターンテーブル10と、該ターンテーブル10上に所定角度を置いて配置された複数種類の金型(A,B・・・)と、当該複数種類の金型(A,B・・・)に対して各々の製品の一連の射出・成形動作を制御する制御手段150と、を備えた竪型射出成形機100を用いて多品種少量製品を成形する射出成形方法であって、
前記制御手段150は、竪型射出成形機100の定常の成形制御動作を制御する定常成形動作モードと、金型交換動作を制御する金型交換動作モードとを備えており、
前記制御手段は、前記定常成形動作モードにおいて、前記ターンテーブル10上の前記複数種類の金型(A,B・・・)の内の一つの金型(例えば、金型A)が前記射出・成形ステージXに位置する場合には、前記ターンテーブル10を所定時間停止させて、当該一つの金型Aの射出・成形動作を制御し、前記ターンテーブル10上の前記複数種類の金型(A,B・・・)の内の当該一つの金型(例えば、金型A)が前記製品取出しステージZに位置する場合には、前記ターンテーブル10を所定時間停止させて、当該一つの金型Aからの製品取出し動作を制御し、それらのステージの間では、前記ターンテーブル10を所定時間、所定角度だけ回動するように制御し、さらに、前記複数種類の金型(A,B・・・)の夫々において成形した製品の成形数をカウント
前記制御手段は、前記複数種類の金型(A,B・・)の内の一つの金型(例えば、金型A)において成形する製品の成形数が所定数に達した場合には、前記定成形動作モードから前記金型交換動作モードに切り替え
前記制御手段は、前記金型交換動作モードにおいて、前記ターンテーブル10を間欠的に回動・一時停止する定常の動作サイクルを停止することなく、前記ターンテーブル10の定常の動作サイクル内の停止時間中に当該一つの金型Aを別の金型Eに交換するように制御し、前記複数のステージの内の一のステージにおいて当該一つの金型Aを前記ターンテーブル10から取り出し、前記複数のステージの内の他のステージにおいて当該別の金型Eを前記ターンテーブル10に取り付けることにより、当該一つの金型Aを当該別の金型Eに交換することを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明の射出成形方法は、前記制御手段150は、前記金型交換動作モードにおいて、前記製品取出しステージZで所定成形数に達した一つの金型Aから成形完了製品を取り出し、次のタイミングの前記射出・成形ステージXにおいては当該一つの金型Aに対して加熱樹脂材料を射出しない空打ち動作をし、前記ターンテーブル10を間欠的に回動・一時停止する定常の成形制御動作のサイクルを停止することなく、当該一つの金型Aを別の金型Eに交換するように制御することを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明の射出成形方法は、前記ターンテーブル10上に所定角度を置いて配置された複数種類の金型は4種類の金型(A,B,C,D)構成であり、前記複数のステージは、前記射出・成形ステージXと前記製品取出しステージZとの間に配置された、前記ターンテーブルの停止中に成形中の製品を冷却する二つの冷却ステージY,Y含み、冷却ステージY,Yにおいて金型を交換するように制御し、前記二つの冷却ステージの一方が前記一のステージであり、他方が前記他のステージであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本願発明の竪型射出成形機においては、各々の金型での成形品が生産予定の成形数に達した際には、定常の成形制御動作の回動・一時停止のサイクルを停止させることなく自動的に金型を交換するシステム及び成形方法が達成できる。具体的には、ターンテーブル上の金型を金型交換位置にまで自動的に回転移動させ、金型交換台車との信号のやり取りにより、無停止による金型の交換と異種類製品の連続成形が可能な竪型射出成形機、及びそれを用いた成形方法を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施態様としての、ターンテーブル上に4セットの金型を配置した竪型射出成形機の定常の射出成形動作のステップ1~4を説明する図である。(a)はステップ1、(b)はステップ2、(c)はステップ3、(d)はステップ4である。
図2】本発明の第1実施態様としての、ターンテーブル上に4セットの金型を配置した竪型射出成形機に対して、金型交換動作のステップ(ステップ2及びステップ3)を説明する図である。
図3】本発明の第2実施態様としての、ターンテーブル上に3セットの金型を配置した竪型射出成形機の定常の射出成形動作を説明する図である。
図4】本発明の第3実施態様としての、ターンテーブル上に2セットの金型を配置した竪型射出成形機の定常の射出成形動作を説明する図である。
図5】本発明の第1実施態様としての、ターンテーブル上に4セットの金型を配置した竪型射出成形機の制御シーケンスにおける定常成形動作モードを示す説明図である。
図6】本発明の第1実施態様としての、ターンテーブル上に4セットの金型を配置した竪型射出成形機の制御シーケンスにおいて、定常成形動作モードから自動的に金型交換動作モードに切り替える状態を示す説明図である。
図7】本発明の第2実施態様としての、ターンテーブル上に3セットの金型を配置した竪型射出成形機の制御シーケンスにおいて、定常成形動作モードから自動的に金型交換動作モードに切り替える状態を示す説明図である。
図8】本発明の第3実施態様としての、ターンテーブル上に2セットの金型を配置した竪型射出成形機の制御シーケンスにおいて、定常成形動作モードから自動的に金型交換動作モードに切り替える状態を示す説明図である。
図9】本発明の第1実施態様としての、ターンテーブル上に4セットの金型を配置した竪型射出成形機において、自動的に金型交換動作モードに切り替える手段の具体的構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の竪型射出成形機100は、垂直軸線廻りに所定のサイクルで間欠的に回動・一時停止を繰り返すターンテーブル10と、該ターンテーブル10上に所定角度を置いて配置された複数種類の金型(A,B・・)と、当該複数種類の金型(A,B・・)に対して各々の製品の一連の射出成形動作を制御する制御手段150とを備えている。以下の実施例では、主に、ターンテーブル10上に4セットの金型(A,B,C,D)を備えた竪型射出成形機を第1実施例として説明する。第1実施例の竪型射出成形機100の垂直軸線の周りには、夫々の金型(A,B,C,D)によって加熱樹脂材料を射出・成形する射出・成形ステージXと、製品を夫々の金型内で冷却する2箇所の冷却ステージY,Yと、夫々の金型(A,B,C,D)によって成形した製品を取り出す製品取出しステージZとが形成されている。
【0021】
図3においては、第2実施例として、ターンテーブル10上に3セットの金型(A,B,C)を備え、1箇所の射出・成形ステージXと、1箇所の冷却ステージYと、1箇所の製品取出しステージZとを設けた例を示している。
【0022】
さらに、図4においては、第3実施例として、2セットの金型(A,B)を備える場合を示す。この場合は、1箇所の射出・成形ステージXと、1箇所の製品取出しステージZとを設けた例を示している。第3実施例の場合は、適宜、特定の位置に1箇所又は2箇所の冷却ステージYを設けることも可能であるし、特定の位置に冷却ステージYを設けなくとも良い。図4に示した第2実施例では、冷却ステージYは設けていない。この場合は、射出・成形ステージXから製品取出しステージZの間に冷却が行われる。
【0023】
本願発明の第1実施例から第3実施例に共通する技術として、制御手段150は、竪型射出成形機100の定常の成形制御動作を制御する定常動作制御モジュール30と、金型交換動作を制御する金型交換制御モジュール40とを備えている。
この制御手段150の定常動作制御モジュール30の定常成形動作モードでは、ターンテーブル10上の複数の金型(A,B・・)の内の一つの金型(例えば、金型A)が射出・成形ステージXに位置する場合には、ターンテーブル10を所定時間停止させて、当該一つの金型Aの射出・成形動作を制御する。そして、ターンテーブル10上の複数の金型(A,B・・)の内の一つの金型(例えば、金型A)が製品取出しステージZに位置する場合には、ターンテーブル10を所定時間停止させて、その一つの金型Aからの製品取出し動作を制御する。
【0024】
この射出・成形ステージXと製品取出しステージZの二つのステージの間には、適宜、冷却ステージYを設けて製品を冷却することができる。通常、第1実施例の金型を4セット配置する場合には2箇所の冷却ステージY,Yを設け、第2実施例の金型を3セット配置する場合には1箇所の冷却ステージYを設ける。
【0025】
また、射出・成形ステージX、冷却ステージY、製品取出しステージZの3つのステージの間は、ターンテーブル10を所定時間で回動するように制御しており、さらに、制御手段150の定常動作制御モードでは、複数の金型(A,B・・)の夫々において成形した製品の生産数をカウントしている。
【0026】
複数の金型(A,B・・)の内の一つの金型(例えば、金型A)において成形すべき製品の成形数が所定数に達した場合には、制御手段150の定常動作制御モジュール30から金型交換制御モジュール40に切り替えることにより、金型交換動作モードを立ち上げてターンテーブル10を間欠的に回動・一時停止する定常の成形制御動作のサイクルを停止することなく、ターンテーブル10の定常の動作サイクル内の停止時間中に当該一つの金型Aを別の金型Eに交換するように制御する。
【0027】
本発明の射出成形方法は、第1実施例乃至第3実施例の竪型射出成形機100を用いて多品種少量の製品を連続的に成形する射出成形方法である。垂直軸線の周りに加熱樹脂材料を射出・成形する射出・成形ステージXと、射出成形された製品を冷却する冷却ステージYと、成形した製品を取り出す製品取出しステージZとが形成されている。制御手段150によって、所定のサイクルで間欠的に回動・一時停止を繰り返すターンテーブル10と、該ターンテーブル10上に所定角度を置いて配置された複数種類の金型(A,B・・)と、当該複数種類の金型(A,B・・)に対して各々の製品の一連の射出成形動作を制御する。前記制御手段150は、竪型射出成形機100の定常の成形制御動作を制御する定常動作制御モジュール30と、金型交換動作を制御する金型交換制御モジュール40とを備えている。
【0028】
制御手段150の定常動作制御モジュール30の定常動作制御モードでは、ターンテーブル10上の複数の金型(A,B・・)の内の一つの金型(例えば、金型A)が射出・成形ステージXに位置する場合には、ターンテーブル10を所定時間停止させて、当該一つの金型Aの射出・成形動作を制御し、ターンテーブル10上の複数の金型(A,B・・)の内の一つの金型(例えば、金型A)が製品取出しステージZに位置する場合には、ターンテーブル10を所定時間停止させて、当該一つの金型Aからの製品取出し動作を制御する。射出・成形ステージ及び製品取出しステージZの二つのステージの間では、ターンテーブル10を所定時間、所定角度回動するように制御し、適宜、製品の冷却を行う。
【0029】
制御手段150の定常動作制御モジュール30の定常動作制御モードでは、複数の金型(A,B・・)の夫々において成形した製品の生産数をカウントしており、複数の金型(A,B・・)の内の一つの金型(例えば、金型A)において成形する製品の成形数が所定数に達した場合には、制御手段150の定常動作制御モードから金型交換制御モードに切り替えることにより、金型交換制御モジュール40を立ち上げて、ターンテーブル10を間欠的に回動・一時停止する定常の動作サイクルを停止することなく、ターンテーブル10の定常の動作サイクル内の停止時間中に当該一つの金型Aを別の金型Eに交換するように制御する。
【0030】
以下、本願発明の実施形態に係る竪型射出成形機100、及びその竪型射出成形機100を用いた射出成形方法について、図面を参照して説明する。
図1図3及び図4により、ターンテーブル10上に配置された複数の金型の配置構成を示す。図1は、ターンテーブル10上に4セットの複数の金型を所定の間隔を置いて配置した第1実施例の竪型射出成形機100であり、図3は、ターンテーブル10上に3セットの金型を配置した第2実施例の竪型射出成形機100であり、図4は、ターンテーブル10上に2セットの金型を配置した第3実施例の竪型射出成形機100である。金型の数は、特に限りがあるものではない。また、本発明においては、上金型と下金型をセットで交換する竪型射出成形機100を実施例として説明しているが、上金型は共通の金型とし、下金型のみを交換する成形機に適用することもできる。
【0031】
まず、ターンテーブル10上に4セットの金型(A,B,C,D)を配置した第1実施例の竪型射出成形機100を例にとり、竪型射出成形機100の定常の成形制御動作を説明する。図1(a)に示すように、ターンテーブル10上に4セットの金型(A,B,C,D)を配置した竪型射出成形機100の0時の位置は、射出・成形ステージXであり、3時の位置及び6時の位置は、二つの冷却ステージY,Yであり、9時の位置は、製品取出しステージZである。この各ステージは、ターンテーブル10の回転によっても位置は変化しない。
【0032】
そこで、図1を用いて金型Aによる射出成形の定常な動作サイクルを説明する。金型Aは、ステップ1の図1(a)では射出・成形ステージXにあり、ステップ2及び3の図1(b)及び(c)では第1、第2の二つの冷却ステージY,Yに移動し、ステップ4の図1(d)では成形品が取り出される製品取出しステージZに移動して完成品は取り出される。次の0時の位置の射出・成形ステージXでは、金型Aからは製品が取り出された後であり、金型Aは空いているので、次の動作サイクルに移行することができる。金型Bは、金型Aに続いて同様のサイクルで動作し、金型Cは、金型Bに続いて同様の動作サイクルで動作し、金型Dは、金型Cに続いて同様の動作サイクルで動作する。これらの動作が、2種類の金型セット、3種類の金型セット及び4種類の金型セットを備えた竪型射出成形機による定常の成形制御動作である。
【0033】
図2(a)は、特定の金型での製品の所定生産数の成形が終了した金型(ここにおいては、金型Aを取り出す動作を説明するもので、図2(b)は、新しい金型(ここにおいては、金型E)をターンテーブル10に取り付ける動作を説明するものである。図2に示した金型交換台車200は、金型Aを取り出すときと、新しい金型Eを取り付けるときで夫々の冷却ステージY,Yにおいて、金型(A→E)の出し入れが垂直状態での直線運動で可能なように台車全体が移動する例を図示しているが、この金型の交換は汎用のロボット等により実施することも可能である。
【0034】
図3には、ターンテーブル10上に3セットの金型を配置した第2実施例の竪型射出成形機100の成形動作のサイクルを示す。金型Aについて、竪型射出成形機100の0時の位置は、射出・成形ステージXであり、4時の位置は、冷却ステージYであり、8時の位置は、製品取出しステージZである。つまり、図4での金型Aについての射出成形の動作サイクルを説明すると、0時の位置では射出・成形ステージXにあり、樹脂材料の射出・成形がなされ、4時の位置では冷却ステージに移動し、8時の位置の製品取出しステージでは成形品が取り出され、次の0時の位置の射出・成形ステージXで次の製品成形のサイクルに移動する。金型Bは、金型Aに続いて同様のサイクルで動作し、金型Cは、金型Bに続いて同様のサイクルで動作する。
【0035】
図4には、ターンテーブル10上に2セットの金型(A,B)を配置した第3実施例の竪型射出成形機100の成形動作サイクルを示す。金型Aは、0時の位置(射出・成形ステージX)で射出・成形動作がなされ、6時の位置の製品取出しステージZでは製品取出動作がなされる。このターンテーブル10上に2セットの金型(A,B)を配置した竪型射出成形機100の定常の成形動作のサイクルでは、0時の位置での射出・成形動作(射出・成形ステージX)と、6時の位置の製品取出動作(製品取出しステージZ)とが交互になされ、その間で製品の冷却が行われる。この場合の変形例として、0時の位置(射出・成形ステージX)で射出・成形動作がなされ、3時の位置と6時の位置はブランクステージとしてその間での冷却がなされ、9時の位置(製品取出しステージZ)で製品取出動作をするように構成しても良い。
【0036】
これらの金型の配置と定常の成形動作サイクルに関しては、従来の竪型射出成形機においても、本願発明の第1実施例から第3実施例の竪型射出成形機100においても同様のものであり、以下に、詳細に説明する。
【0037】
次に、図5を用いて、第1実施例のターンテーブル10上に4セットの金型A,B,C、Dを備えた竪型射出成形機100の定常の成形制御動作を説明する。各金型A,B,C,Dの定常の動作サイクルは、図5にA,B,C,Dの線図として並べて図示している。この線図のハイ(high:高)の部分はターンテーブル10の「回動」を表し、線図のロウ(low:低)の部分では、ターンテーブル10は停止し、夫々が順に「射出・成形」「第1の冷却」「第2の冷却」「製品取出し」の動作を表している。
【0038】
金型Aに対しては、ターンテーブル10の0時の位置で停止して射出・成形動作(射出・成形ステージX)、次いでテーブルの回転動作、3時の位置の停止中での冷却動作(第1の冷却ステージY)、次いでテーブルの回転動作、6時の位置の停止中での冷却動作(第2の冷却ステージY)、次いでテーブルの回転動作、9時の位置の停止中に製品取出し動作(製品取出しステージZ)、次いでテーブルの回転動作が繰り返し実施される。上記の射出・成形動作、冷却動作、及び製品取出し動作は、夫々ターンテーブル10が停止中に動作する(線図のロウ(low:低)の部分)。その間に、ターンテーブル10は所定角度だけ回動される(線図のハイ(high:高)の部分)。金型Aによって達成される一連の動作は、射出・成形動作(m秒停止)、テーブル回転(n秒回動)、冷却動作(m秒停止)、テーブル回転(n秒回動)、製品取出し動作(m秒停止)、テーブル回転(n秒回動)で1サイクルが完了する。これが、「定常の成形制御動作」であり、m秒及びn秒は、その製品により適宜決められるものである。
【0039】
このように、図5は、金型A,B,C及びDの定常の動作サイクルを示している。ターンテーブル10は、図示しない駆動手段により回動され、ステップ1,ステップ2,ステップ3,ステップ4の順に回動する。その後も、ターンテーブル10は、ステップ1,ステップ2,ステップ3,ステップ4の順に回動・一時停止を繰り返す。ステップ1では、金型Aは射出・成形ステージXにあり、次の金型Bは製品取出しステージZにあり、さらにその次に金型C及び金型Dは、夫々、第1及び第2の冷却ステージY,Yの位置にある。次に、ステップ2では、金型Bが射出・成形ステージXにあり、金型Cが製品取出しステージZにあり、金型A及び金型Dが夫々の冷却ステージY,Yの位置にある。さらに、ステップ3では、金型Cが射出・成形ステージXにあり、金型Dが製品取出しステージZにあり、金型A及び金型Bが、夫々冷却ステージY,Yの位置にあり、ステップ4では、金型Dが射出・成形ステージXにあり、金型Aが製品取出しステージZにあり、金型B及び金型Cが、夫々冷却ステージY,Yの位置にあり、その後は、次のサイクルのステップ1に移行する。
【0040】
図5では、垂直方向の点線から引出し線により、各ステップでの各金型A,B,C,Dの動作状態が示されており、斜めの一点鎖線により、各動作(射出・成形、冷却、製品取出し)にある金型を指し示している。
【0041】
このような竪型射出成形機100は、夫々の複数の金型(A,B・・・)の動作を制御する為に、制御手段150を用いて動作の制御を達成するものである。ここで、夫々の金型(A,B・・・)による成形に関して所定の成形数が設定されており、何れかの金型(例えば、金型A)での成形数が生産予定数に達した際には、成形機の定常の成形制御動作を一旦停止させて金型を交換することが従来の対策であった。その際は、金型交換する位置にまでターンテーブル10を回転させてから停止させ、成形を終了した金型Aを取出し、次に生産する予定の新しい金型Eに交換する必要がある。しかし、この金型交換の操作は、従来であれば、自動で運転している成形機を一旦停止させてオペレータの手動操作が必須であった。
【0042】
そこで、本願発明では、この金型交換動作をターンテーブル10の定常の動作サイクルは停止させずに、自動的に金型交換を可能とするものである。図6及び図9は、その一実施例として、4セットの金型A,B,C,Dを備えた第1実施例の竪型射出成形機100及び射出成形方法における解決手段を示している。図6は、図5に示した竪型射出成形機100での金型交換の方法を説明するものであり、図9は、金型交換台車200及び制御手段150の具体的構成を示したものである。
【0043】
図9では、ターンテーブル10上に4セットの金型A,B,C,Dを備えた第1実施例の竪型射出成形機100と、金型交換台車200と、制御手段150とを配置している。この制御手段150は、ターンテーブル10の回動に応じて、「射出・成形動作」→「回動」→「第1の冷却動作」→「回動」→「第2の冷却動作」→「回動」→「製品取出し動作」の定常の動作サイクルを繰り返す定常動作制御モジュール30と、金型交換動作を制御する金型交換制御モジュール40を備えている。また、制御手段150は、各金型A,B,C,Dの製品成形数をカウントする成形数カウンタ20を備えている。各金型A,B,C,Dは夫々所定の生産数が予め定められている。例えば、金型Aによる製品の生産数がm個とし、他の金型B,C及びDに定められた生産数は、各々n個、o個及びp個とし、mが一番小さな数として説明する。つまり、定常の動作による制御が実行されれば、最初に金型Aの交換動作が実行される。
【0044】
図6及び図9により、自動的な金型交換台車200の構成(図9)と金型交換動作の制御手法(図6)について説明する。第1実施例において、制御手段150は、各金型A,B,C,Dにおける成形数を成形数カウンタ20によりカウントしている。金型Aでの製品の成形数がm個、金型Bでの製品の成形数がn個、金型Cでの製品の成形数がo個、或いは、金型Dでの製品の成形数がp個を数えると、製品成形数完了信号発生手段25は、金型交換制御モジュール40の立上信号としての成形完了信号50を発生する。ここで、m<n,m<o,m<pとすれば、最初の金型交換のタイミングは金型Aの交換作業が最初に来ることとなる。
【0045】
成形数カウンタ20から、金型Aの動作に対して、成形完了信号50が発せられると、今までは、定常動作制御モジュール30の制御により定常の動作サイクルで制御されていたものが、金型交換制御モジュール40が立ち上げられる。金型交換指示信号60の発生により、製品の成形が完了した金型Aが、第1の冷却ステージにおいて、ターンテーブル10から金型交換台車200に対して取り出され、第2の冷却ステージにおいて、スペースの空いたターンテーブル10に対して新たな金型Eが取り付けられる。ここで、図2の(a)及び(b)で示すように、ターンテーブル10上の金型Aを金型交換台車200に対して移動してから(図2(a))、新たな金型Eをターンテーブル10に取り付ける(図2(b))。この際は、金型交換台車200は、移動して金型の交換を容易にしている。この金型交換の具体的手段は、本願発明の解決課題ではないので、これ以上の詳細な説明はしない。
【0046】
新たな金型Eの取り付けが完了すると、金型交換台車200から(或いは、竪型射出成形機100から)金型交換完了信号70が発せられる。それにより、金型交換制御モジュール40から定常動作制御モジュール30への制御切替信号80が発せられて、制御が切り替えられる。定常成形再開信号90により、金型交換制御モジュール40から定常動作制御モジュール30に切り替えられると、「射出・成形動作」→「回動」→「第1の冷却動作」→「回動」→「第2の冷却動作」→「回動」→「製品取出し動作」のサイクルを繰り返す定常動作制御モードに戻る。
【0047】
この際に、具体的な実施例として図示されてはいないが、所定数m個目の製品成形の射出・成形ステージXに続く第1の冷却ステージY、及び第2の冷却ステージYにおいて、直ちに、金型交換を行う場合には、最短のサイクルにより自動金型交換が可能なものである。勿論、この解決手法も本願発明の一つの実施例ではあるが、このように、m個目の製品の射出・成形ステージXに続く冷却ステージYにおいて金型交換を行う場合には、金型A内に製品が存在する状態で、つまり、成形製品を上下の金型に挟んだ状態の金型Aと新たな金型Eとを交換することになる。従って、金型A内の所定数m個目の製品の取出しは、別手順で行う必要がある。これは、さらに新たに解決すべき課題である。
【0048】
この課題を解決する手法として、図6~8に示す実施例を説明する。
図6に示すように、例えば、金型Aでの成形動作の制御は、定常動作制御モジュール30による定常動作制御モードにより、「射出・成形動作」→「回動」→「第1の冷却動作」→「回動」→「第2の冷却動作」→「回動」→「製品取出し動作」を繰り返して製品の成形が続けられている。その際は、金型B,金型C及び金型Dにおいても、動作制御は、定常射出・成形動作モードでの動作制御が為されている。
【0049】
ここで、金型Aでの製品の成形数が、成形数カウンタ20によりm個をカウントされると、製品成形数完了信号発生手段25により、金型交換制御モジュール40に対する立上信号として成形完了信号50が発信される。成形完了信号50が発信されると、定常動作制御モジュール30の制御動作から金型交換制御モジュール40の制御動作に切り替えられる。それにより、制御手段150の制御動作が、定常動作制御モードから金型交換制御モードに切り替えられると、金型Aにおいて成形が完了したm個目の製品は、次に続く第1及び第2の冷却ステージY,Yにおいて冷却され、その後工程での製品取出しステージZにおいて製品が取り出される。つまり、後工程での製品取出しステージZにおいてm個目の製品が取り出される前に金型Aから金型Eに交換してしまえば、後工程として、金型Aから成形されたm個目の製品を取り出す作業が必要となる。
【0050】
そこで、金型Aにおいてm個目の製品の成形の完了後に続くステージXでの射出・成形動作では、新たな溶融樹脂材料の射出は行わずに、所謂、空打ち動作をする手法が考えられる。そうすれば、このステージXでの空打ち動作を経た第1及び第2の冷却ステージY,Yの金型Aには成形製品が存在しないために、ターンテーブル10から金型Aの取出しと、新たな金型Eの取り付けが可能となる。
【0051】
つまり、第1実施例の4セットの金型A,B,C,Dを備えた竪型射出成形機100での金型Aと金型Eの金型交換動作をシーケンシャルに示せば、以下のとおりである。
(a)定常動作制御モードでの動作制御として
「射出・成形動作」→「回動」→「第1の冷却動作」→「回動」→「第2の冷却動作」→「回動」→「製品取出し動作」→(定常の成形制御動作の継続)
(b)特定の金型において、製品成形数完了信号発生手段25による立上信号としての成形完了信号50の発信
(c)金型交換制御モードの動作として
(成形完了信号50の受信後)「回動」→「(射出・成形ステージ:ステージX)空打ち」→「回動」→「(第1及び第2の冷却ステージ:ステージY,Y)金型交換」→「回動」→「(製品取出しステージ:ステージZ)――」→「回動」→
(d)金型交換完了信号70の発信、制御切替信号80の発信、定常成形再開信号90の発信
(e)定常動作制御モードでの動作制御として(定常の成形制御動作へ復帰)
「回動」→「射出・成形動作」→「回動」→「第1の冷却動作」→「回動」→「第2の冷却動作」→「回動」→「製品取出し動作」→「回動」→(定常の成形制御動作の繰り返し)
なお、上記(c)での「――」は、「金型交換」動作のタイミングとして利用することも可能であるが、当該位置が製品取出しステージ:ステージZでの操作であることを考えると、金型交換台車200を配置することが困難である。
【0052】
図3に示すように、3セットの金型A,B,Cを備えた第2実施例の竪型射出成形機100での金型Aの動作をシーケンシャルに示せば、以下のとおりである。
(a)定常動作制御モードでの動作制御として
「射出・成形動作」→「回動」→「冷却動作」→「回動」→「製品取出し動作」→(定常の成形制御動作の継続)
(b)特定の金型において、製品成形数完了信号発生手段25による立上信号として成形完了信号50の発信
(c)金型交換制御モード
(成形完了信号50の受信後)→「回動」→「(射出・成形ステージ:ステージX)空打ち」→「回動」→「(冷却ステージ:ステージY)金型交換」→「回動」→「(製品取出しステージ:ステージZ)――」→
(d)金型交換完了信号70の発信、制御切替信号80の発信、定常成形再開信号90の発信
(e)定常動作制御モードでの動作制御として
「回動」→「射出・成形動作」→「回動」→「冷却動作」→「回動」→「製品取出し動作」→「回動」→(定常の成形制御動作の繰り返し)
上記(c)での「――」は、「金型交換」動作のタイミングとして利用することも可能である。
【0053】
図4に示すように、2セットの金型A,Bを備えた第3実施例の竪型射出成形機100での金型Aの動作をシーケンシャルに示せば、以下のとおりである。
(a)定常動作制御モードでの動作制御として
「射出・成形動作」→「回動」→「製品取出し動作」→(定常の成形制御動作の継続)
冷却は、射出・成形ステージ(ステージX)と製品取出しステージ(ステージZ)との間で達成される。
(b)特定の金型において、製品成形数完了信号発生手段25による立上信号として成形完了信号50の発信
(c)金型交換制御モード
(成形完了信号50の受信後)→「回動」→「(射出・成形ステージ:ステージX)空打ち」→「回動」→「(製品取出しステージ:ステージZ)金型交換」→「回動」
(d)金型交換完了信号70の発信、制御切替信号80の発信、定常成形再開信号90の発信
(e)定常動作制御モードでの動作制御として(定常の成形制御動作へ復帰)
「回動」→「射出・成形動作」→「回動」→「製品取出し動作」→「回動」→(定常の成形制御動作の繰り返し)
【0054】
金型交換の際に、手順として時間が掛かる手順は、金型に対する配管接続の作業である。そこで、金型交換の手法として、短い時間での交換作業を達成するために、金型の取り外し、取付け動作と、配管の取り外し、取付け動作とを切り分けて別のステージで操作することが可能である。
【0055】
つまり、4セットの金型A,B,C,Dを備えた第1実施例の変形例としての竪型射出成形機100での金型Aと金型Eの金型交換動作を、金型の取り外し取付け動作と、配管の取り外し取付け動作とを切り分けてシーケンシャルに示せば、以下のとおりである。
(a)定常動作制御モードでの動作制御として
「射出・成形動作」→「回動」→「第1の冷却動作」→「回動」→「第2の冷却動作」→「回動」→「製品取出し動作」→(定常の成形制御動作の継続)
(b)特定の金型において、製品成形数完了信号発生手段25による立上信号としての成形完了信号50の発信
(c)金型交換制御モードの動作として
(成形完了信号50の受信後)「回動」→「(射出・成形ステージ:ステージX)空打ち」→「回動」→「(第1の冷却ステージ:ステージY)金型配管取り外し」→「回動」→「(第2の冷却ステージ:ステージY)金型取り外し」→「回動」→「(製品取出しステージ:ステージZ)――」→「回動」→「(第1の冷却ステージ:ステージY)金型取り付け」→「回動」→「(第2の冷却ステージ:ステージY)金型配管取り付け」→
(d)金型交換完了信号70の発信、制御切替信号80の発信、定常成形再開信号90の発信
(e)定常動作制御モードでの動作制御として(定常の成形制御動作へ復帰)
「(製品取出しステージ:ステージZ)――」→「回動」→「第1の冷却動作」→「回動」→「第2の冷却動作」→「回動」→「射出・成形動作(金型E)」→(定常の成形制御動作の復帰)
【符号の説明】
【0056】
A,B,C,D,E 金型セット
X 射出・成形ステージ(ステージX)
Y 冷却ステージ(ステージY)
Z 製品取出しステージ(ステージZ)
10 ターンテーブル
20 成形数カウンタ
25 製品成形数完了信号発生手段
30 定常動作制御モジュール(定常成形動作モード)
40 金型交換制御モジュール(金型交換動作モード)
50 成形完了信号
60 金型交換指示信号
70 金型交換完了信号
80 制御切替信号
90 定常成形再開信号
100 竪型射出成形機
150 制御手段
200 金型交換台車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9