(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】防護柵用照明装置及びその施工方法
(51)【国際特許分類】
E01D 19/10 20060101AFI20220616BHJP
【FI】
E01D19/10
(21)【出願番号】P 2018187168
(22)【出願日】2018-10-02
【審査請求日】2021-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000192615
【氏名又は名称】日鉄神鋼建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100109058
【氏名又は名称】村松 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】樋口 尚吾
(72)【発明者】
【氏名】神▲崎▼ 直行
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-017611(JP,A)
【文献】実開昭62-133304(JP,U)
【文献】特開平08-209638(JP,A)
【文献】特開平11-111016(JP,A)
【文献】特開2007-120162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に並んで設置された複数の支柱と、前記複数の支柱の隣り合うもの同士の間に跨るようにそれぞれ配置されて前記所定方向に延びる複数のトップビームであって各々のトップビームがその長手方向の一端において開口した第1端部とその長手方向の他端において開口した第2端部とを有するものと、前記複数のトップビームの各々の前記第1端部とその第1端部に隣接するトップビームの前記第2端部とに跨るようにその各トップビームの第1端部内とその第1端部に隣接するトップビームの第2端部内にそれぞれ挿嵌された複数のスリーブと、前記複数のトップビームの各々の前記第1端部とそれに挿嵌された前記スリーブとをそれぞれ締結する複数の第1ボルトと、前記複数のトップビームの各々の前記第2端部とそれに挿嵌された前記スリーブとを締結する複数の第2ボルトとを備えた既設の防護柵に対して取り付け可能な防護柵用照明装置であって、
前記複数の支柱のうち隣り合う任意の2つの支柱間において前記トップビームに沿って延びるように配置可能な装置本体と、
前記装置本体に設けられ、発光可能な発光装置と、
前記装置本体に設けられていて、前記装置本体が前記2つの支柱間において前記トップビームに沿って延びるように配置されたときに前記第1端部の外面に沿うように配置され、前記第1端部内に挿嵌された前記スリーブに対して前記第1ボルトにより前記第1端部とともに締結可能に構成された第1取付部と、
前記装置本体に設けられていて、前記装置本体が前記2つの支柱間において前記トップビームに沿って延びるように配置されたときに前記第2端部の外面に沿うように配置され、前記第2端部内に挿嵌された前記スリーブに対して前記第2ボルトにより前記第2端部とともに締結可能に構成された第2取付部と、を備えた、防護柵用照明装置。
【請求項2】
前記装置本体は、その長手方向の両端部が開放された筒状をなしていて前記発光装置を収容する内部空間を有し、
前記発光装置は、給電されることにより発光するように構成され、
前記防護柵用照明装置は、前記発光装置に給電するための電気配線であって前記装置本体の前記内部空間からその装置本体の前記両端部のうちのいずれか一方の端部を通って当該装置本体の外部へ延びるものと、前記電気配線が挿通された前記装置本体の端部から突出するとともに前記電気配線の周りを囲む端部カバーであって前記装置本体に対してその長手方向にスライド可能となるように前記装置本体の前記端部内に挿嵌されたものと、をさらに備える、請求項1に記載の防護柵用照明装置。
【請求項3】
所定方向に並んで設置された複数の支柱と、前記複数の支柱の隣り合うもの同士の間に跨るようにそれぞれ配置されて前記所定方向に延びる複数のトップビームであって各々のトップビームがその長手方向の一端において開口した第1端部とその長手方向の他端において開口した第2端部とを有するものと、前記複数のトップビームの各々の前記第1端部とその第1端部に隣接するトップビームの前記第2端部とに跨るようにその各トップビームの第1端部内とその第1端部に隣接するトップビームの第2端部内にそれぞれ挿嵌された複数のスリーブと、前記複数のトップビームの各々の前記第1端部とそれに挿嵌された前記スリーブとをそれぞれ締結する複数の第1ボルトと、前記複数のトップビームの各々の前記第2端部とそれに挿嵌された前記スリーブとをそれぞれ締結する複数の第2ボルトとを備えた既設の防護柵に対して防護柵照明装置を取り付けるための防護柵用照明装置の施工方法であって、
前記防護柵用照明装置として、ある方向に延びる装置本体と、前記装置本体に設けられ、発光可能な発光装置と、前記装置本体に設けられ、前記トップビームの前記第1端部内に挿嵌された前記スリーブに対して前記第1ボルトにより前記第1端部とともに締結可能に構成された第1取付部と、前記装置本体に設けられ、前記トップビームの前記第2端部内に挿嵌された前記スリーブに対して前記第2ボルトにより前記第2端部とともに締結可能に構成された第2取付部とを備えた防護柵用照明装置を用意する用意工程と、
前記用意工程により用意された前記防護柵用照明装置を、前記装置本体が前記既設の防護柵の前記複数の支柱のうち隣り合う任意の2つの支柱間において前記トップビームに沿って延びるとともに前記第1取付部が前記第1端部の外面に沿って配置され且つ前記第2取付部が前記第2端部の外面に沿って配置されるように配置する配置工程と、
前記配置工程により配置された前記防護柵照明装置の前記第1取付部を、前記トップビームの前記第1端部内に挿嵌された前記スリーブに対して前記第1ボルトにより前記第1端部とともに締結する第1締結工程と、
前記配置工程により配置された前記防護柵照明装置の前記第2取付部を、前記トップビームの前記第2端部内に挿嵌された前記スリーブに対して前記第2ボルトにより前記第2端部とともに締結する第2締結工程と、を備えた、防護柵用照明装置の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁及び道路のうちの所定箇所に設置された防護柵に対して取り付けられる防護柵用照明装置、及び、その防護柵用照明装置を防護柵に対して取り付けるための防護柵用照明装置の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、橋梁及び道路のうちの所定箇所に設置される防護柵に設けられた照明装置が知られている。例えば、下記特許文献1には、そのような照明装置の一例が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された照明装置(照明灯)は、陸橋や歩道等に設置される防護柵としての高欄に設けられるものであり、その高欄のうちの最上部に位置して横方向に延びるトップレールに設置されている。トップレールは、中空の略円筒状をなし、その長手方向に沿って延びるように形成された開口部を有する。このトップレールには、前記開口部を塞ぐように目隠しカバー及び透光性の照明板が装着されている。照明装置は、トップレール内の空間に収容されるとともに、そのトップレールの内周面から突出するフランジに対して取付板を介して取り付けられている。この照明装置から出射された光は前記照明板を透過して外部へ照射されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、既設の防護柵に対して簡単に後付け可能な照明装置が求められており、しかも、防護柵のトップビーム(トップレール)に近い位置で光が照射されることが視認性の点で好ましいことから、既設の防護柵のトップビームに沿うように配置可能で且つその防護柵に対して簡単に後付け可能な照明装置が望まれている。
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に開示された照明装置では既設の防護柵に後付けすることが非常に困難である。具体的には、前記特許文献1に開示された照明装置を既設の防護柵に後付けしようとすると、防護柵が設置された現場においてトップビームに前記開口部やその開口部の周りに前記目隠しカバー及び前記照明板を装着するための部位を加工する必要があり、そのような加工を行うことは現実的には困難である。
【0007】
また、既設の防護柵には、隣り合う支柱が比較的大きな間隔をあけて配置されたものがあり、その支柱間のスペースを有効利用して照明装置を設置したいという要望もあるが、前記特許文献1に開示された照明装置は、複数の支柱の上端上に設置されたトップビーム内に設置されるものであり、支柱間のスペースを有効利用して当該照明装置を設置することはできない。
【0008】
本発明の目的は、既設の防護柵のトップビームに沿うようにその防護柵に簡単に後付け可能で且つその既設の防護柵のうちの隣り合う支柱間のスペースを有効利用してそのスペースに設置可能な防護柵用照明装置、及び、その防護柵用照明装置を既設の防護柵に取り付けるための当該防護柵用照明装置の施工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明により提供されるのは、所定方向に並んで設置された複数の支柱と、前記複数の支柱の隣り合うもの同士の間に跨るようにそれぞれ配置されて前記所定方向に延びる複数のトップビームであって各々のトップビームがその長手方向の一端において開口した第1端部とその長手方向の他端において開口した第2端部とを有するものと、前記複数のトップビームの各々の前記第1端部とその第1端部に隣接するトップビームの前記第2端部とに跨るようにその各トップビームの第1端部内とその第1端部に隣接するトップビームの第2端部内にそれぞれ挿嵌された複数のスリーブと、前記複数のトップビームの各々の前記第1端部とそれに挿嵌された前記スリーブとをそれぞれ締結する複数の第1ボルトと、前記複数のトップビームの各々の前記第2端部とそれに挿嵌された前記スリーブとを締結する複数の第2ボルトとを備えた既設の防護柵に対して取り付け可能な防護柵用照明装置である。この防護柵用照明装置は、前記複数の支柱のうち隣り合う任意の2つの支柱間において前記トップビームに沿って延びるように配置可能な装置本体と、前記装置本体に設けられ、発光可能な発光装置と、前記装置本体に設けられていて、前記装置本体が前記2つの支柱間において前記トップビームに沿って延びるように配置されたときに前記第1端部の外面に沿うように配置され、前記第1端部内に挿嵌された前記スリーブに対して前記第1ボルトにより前記第1端部とともに締結可能に構成された第1取付部と、前記装置本体に設けられていて、前記装置本体が前記2つの支柱間において前記トップビームに沿って延びるように配置されたときに前記第2端部の外面に沿うように配置され、前記第2端部内に挿嵌された前記スリーブに対して前記第2ボルトにより前記第2端部とともに締結可能に構成された第2取付部と、を備える。
【0010】
この防護柵用照明装置によれば、既設の防護柵において元々トップビームの第1端部及び第2端部とそれらにそれぞれ挿嵌されたスリーブとを締結している第1及び第2ボルトを利用してトップビームを加工することなく当該防護柵用照明装置をトップビームに沿うように取り付けることができるとともに、既設の防護柵のうちの隣り合う任意の2つの支柱間のスペースを有効利用してそのスペースに防護柵用照明装置を設置できる。具体的には、発光装置が設けられた装置本体を既設の防護柵の隣り合う任意の2つの支柱間においてトップビームに沿って延びるように配置し、それによって装置本体に設けられた第1取付部をトップビームの第1端部の外面に沿うように配置するとともに装置本体に設けられた第2取付部をトップビームの第2端部の外面に沿うように配置し、トップビームの第1端部内に挿嵌されたスリーブに対して前記第1ボルトにより第1取付部を第1端部とともに締結するとともに、トップビームの第2端部内に挿嵌されたスリーブに対して前記第2ボルトにより第2取付部を第2端部とともに締結することによって、この防護柵用照明装置を既設の防護柵のトップビームに沿うようにその防護柵に簡単に後付けできるとともに、その既設の防護柵のうちの隣り合う支柱間のスペースを有効利用してそのスペースに当該防護柵用照明装置を設置することができる。
【0011】
前記防護柵用照明装置において、前記装置本体は、その長手方向の両端部が開放された筒状をなしていて前記発光装置を収容する内部空間を有し、前記発光装置は、給電されることにより発光するように構成され、前記防護柵用照明装置は、前記発光装置に給電するための電気配線であって前記装置本体の前記内部空間からその装置本体の前記両端部のうちのいずれか一方の端部を通って当該装置本体の外部へ延びるものと、前記電気配線が挿通された前記装置本体の端部から突出するとともに前記電気配線の周りを囲む端部カバーであって前記装置本体に対してその長手方向にスライド可能となるように前記装置本体の前記端部内に挿嵌されたものと、をさらに備えることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、発光装置を発光させるための電力を外部から発光装置で供給できるようにしつつ、その給電のための電気配線が装置本体の端部とその端部に対向する支柱との間の隙間で露出することによる美観の悪化及び外部環境に起因する当該電気配線の劣化を抑制でき、且つ、隣り合う支柱間に装置本体を配置するときの作業性が悪化するのを回避できる。具体的には、前記電気配線のうち装置本体の端部とその端部に対向する支柱との間の隙間で露出する部分の長さが大きい場合には、美感を損なうとともに、雨や日照などの外部環境により電気配線が劣化しやすくなるが、本構成では、その電気配線の露出する部分の少なくとも一部を端部カバーのうち装置本体の端部から突出する部分によって覆い隠すことができるため、そのような美観の悪化及び電気配線の劣化を抑制できる。また、電気配線の露出部分を小さくするためには例えば装置本体自体の長さを拡大することも考えられるが、その場合には装置本体を隣り合う支柱間に配置するときに装置本体の端部が支柱に接触しやすくなり、作業性が悪化する。これに対し、本構成では、端部カバーが装置本体に対してその長手方向にスライド可能であるため、装置本体を隣り合う支柱間に配置するときには、当該端部カバーを装置本体内に退入させて装置本体に端部カバーの突出部分を加えた全長を縮小することができ、その端部カバーが支柱に接触するのを回避できるため、作業性が悪化するのを回避できる。
【0013】
また、本発明により提供される防護柵用照明装置の施工方法は、所定方向に並んで設置された複数の支柱と、前記複数の支柱の隣り合うもの同士の間に跨るようにそれぞれ配置されて前記所定方向に延びる複数のトップビームであって各々のトップビームがその長手方向の一端に位置して開口された第1端部とその長手方向の他端に位置して開口された第2端部とを有するものと、前記複数のトップビームの各々の前記第1端部とその第1端部に隣接するトップビームの前記第2端部とに跨るようにその各トップビームの第1端部内とその第1端部に隣接するトップビームの第2端部内にそれぞれ挿嵌された複数のスリーブと、前記複数のトップビームの各々の前記第1端部とそれに挿嵌された前記スリーブとをそれぞれ締結する複数の第1ボルトと、前記複数のトップビームの各々の前記第2端部とそれに挿嵌された前記スリーブとをそれぞれ締結する複数の第2ボルトとを備えた既設の防護柵に対して防護柵照明装置を取り付けるための防護柵用照明装置の施工方法である。この施工方法は、前記防護柵用照明装置として、ある方向に延びる装置本体と、前記装置本体に設けられ、発光可能な発光装置と、前記装置本体に設けられ、前記トップビームの前記第1端部内に挿嵌された前記スリーブに対して前記第1ボルトにより前記第1端部とともに締結可能に構成された第1取付部と、前記装置本体に設けられ、前記トップビームの前記第2端部内に挿嵌された前記スリーブに対して前記第2ボルトにより前記第2端部とともに締結可能に構成された第2取付部とを備えた防護柵用照明装置を用意する用意工程と、前記用意工程により用意された前記防護柵用照明装置を、前記装置本体が前記既設の防護柵の前記複数の支柱のうち隣り合う任意の2つの支柱間において前記トップビームに沿って延びるとともに前記第1取付部が前記第1端部の外面に沿って配置され且つ前記第2取付部が前記第2端部の外面に沿って配置されるように配置する配置工程と、前記配置工程により配置された前記防護柵照明装置の前記第1取付部を、前記トップビームの前記第1端部内に挿嵌された前記スリーブに対して前記第1ボルトにより前記第1端部とともに締結する第1締結工程と、前記配置工程により配置された前記防護柵照明装置の前記第2取付部を、前記トップビームの前記第2端部内に挿嵌された前記スリーブに対して前記第2ボルトにより前記第2端部とともに締結する第2締結工程と、を備える。
【0014】
この施工方法によれば、前記防護柵用照明装置について説明した理由と同様の理由により、既設の防護柵のトップビームに沿うようにその防護柵に簡単に防護柵用照明装置を後付けできるとともに、既設の防護柵のうちの隣り合う支柱間のスペースを有効利用してそのスペースに防護柵用照明装置を設置できる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、既設の防護柵のトップビームに沿うようにその防護柵に簡単に後付け可能で且つその既設の防護柵のうちの隣り合う支柱間のスペースを有効利用してそのスペースに設置可能な防護柵用照明装置、及び、その防護柵用照明装置を既設の防護柵に取り付けるための当該防護柵用照明装置の施工方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態による防護柵用照明装置が取り付けられた防護柵の正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態による防護柵用照明装置の平面図である。
【
図3】
図1に示した防護柵用照明装置が取り付けられた防護柵の支柱近傍の部分の拡大図である。
【
図4】
図3中のIV-IV線に沿った防護柵及び防護柵用照明装置の断面図である。
【
図5】
図3中の防護柵用照明装置の防護柵に対する取付部近傍を部分的にさらに拡大して示す図である。
【
図6】
図5中のVI-VI線に沿った断面図である。
【
図7】
図5中のVII-VII線に沿った断面図である。
【
図8】
図2中のVIII-VIII線に沿った防護柵用照明装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態による防護柵用照明装置1(以下、単に照明装置1と称する)が取り付けられた防護柵100の正面図である。この防護柵100は、橋梁や、道路、道路に隣接する場所などの様々な場所に設置される。以下、防護柵100が橋梁に設置される場合、すなわち防護柵100が橋梁に設置される高欄である場合について説明する。
図1は、防護柵100を橋梁の幅方向の内側から外側へ向かって見た状態での正面図である。
【0019】
防護柵100は、橋梁の幅方向の端縁部上にその端縁部が延びる方向に沿って延びるように設置される。この防護柵100は、複数の支柱102と、笠木104と、複数のトップビーム106と、複数のスリーブ107と、複数のビーム固定ボルト120(
図4参照)と、複数の第1ボルト108(
図5参照)と、複数の第2ボルト109(
図5参照)と、下部ビーム110と、複数の上側レール111と、複数の下側レール112と、複数の縦桟114とを備える。
【0020】
複数の支柱102は、橋梁の幅方向の端縁部上に立設され、その橋梁の端縁部が延びる方向に沿って間隔をあけて並んで設置されている。各支柱102は、
図4に示すように、橋梁の端縁部上に立設された支柱本体116と、その支柱本体116の上端部からさらに上方に延出された延出部118とを有する。
【0021】
支柱本体116の上端部は、延出部118に対して橋梁の幅方向内側に位置するトップビーム取付部119を有する。また、支柱本体116は、内側板122と、外側板123と、中央板124とを有する。
【0022】
内側板122は、橋梁の幅方向内側に面するとともに上下方向に延びている。外側板123は、内側板122から橋梁の幅方向において間隔をあけて配置され、橋梁の幅方向外側に面するとともに上下方向に延びている。中央板124は、防護柵100の長手方向に沿う支柱本体116の幅方向の中央に位置し、上下方向に延びている。この中央板124は、内側板122と外側板123との間でそれらの内側板122及び外側板123に対して垂直に配置されて当該内側板122と外側板123とを繋いでいる。
【0023】
前記トップビーム取付部119は、内側板122、外側板123及び中央板124の各々の上端に結合し、トップビーム106をそのトップビーム106に対して橋梁の幅方向外寄りの斜め下側から受ける湾曲した板状をなしている。このトップビーム取付部119は、支柱本体116の幅方向において中央板124を中心としてその中央板124の両側へ延びている。当該トップビーム取付部119は、トップビーム106の外周面にフィットするように湾曲した受け面119aを有するとともに、トップビーム106の後述の溝106cに嵌合可能となるように前記受け面119aから突出する凸部119bを有する。また、トップビーム取付部119は、その凸部119bの位置において当該トップビーム取付部119を厚み方向に貫通する2つの挿通孔を有する。この2つの挿通孔のうち一方の挿通孔は、トップビーム取付部119のうち支柱本体116の幅方向において中央板124に対して一方側に位置する部位に設けられ、他方の挿通孔は、トップビーム取付部119のうち支柱本体116の幅方向において中央板124に対して他方側に位置する部位に設けられている。
【0024】
笠木104は、
図1に示すように、防護柵100において最上部に位置し、前記複数の支柱102が並ぶ所定方向に沿って延びている。この笠木104は、前記複数の支柱102の各々の上端、具体的には各支柱102の前記延出部118の上端に対して結合されている。
【0025】
複数のトップビーム106は、前記複数の支柱102の隣り合うもの同士の間に跨るようにそれぞれ配置されてその支柱102の前記トップビーム取付部119に後述のようにビーム固定ボルト120により固定され、前記複数の支柱102が並ぶ前記所定方向に延びている。この複数のトップビーム106は、前記笠木104から下側に間隔をおいた高さ位置で前記笠木104に対して平行に延びている。また、この複数のトップビーム106は、同心となるように配置されている。
【0026】
複数のトップビーム106の各々は、中空の筒状をなし、その長手方向の一端部であって開口された第1端部106aと、その長手方向の他端部であって開口された第2端部106bとを有する。各トップビーム106の第1端部106aと、そのトップビーム106と隣り合うトップビーム106の第2端部106bとが、前記所定方向において互いに対向し且つ隣接するように配置されている。
【0027】
また、各トップビーム106の外周面のうち下向きで橋梁の幅方向外寄りの部位には、そのトップビーム106の長手方向に延びる溝106cが形成されている。各トップビーム106の第1端部106aが支柱102のトップビーム取付部119の受け面119aにより斜め下側から受けられるとともに、その第1端部106aの溝106c内にトップビーム取付部119の凸部119bが嵌合され、その状態で第1端部106aがトップビーム取付部119に固定されている。各トップビーム106の第1端部106aの溝106c内の部位には、当該第1端部106aを内外に貫通する2つの挿通孔が形成されている。この第1端部106aの溝106c内の部位に形成された2つの挿通孔は、トップビーム106の長手方向に並んで配置されている。
【0028】
また、各トップビーム106の第2端部106bが支柱102のトップビーム取付部119の受け面119aにより斜め下側から受けられるとともに、その第2端部106bの溝106c内にトップビーム取付部119の凸部119bが嵌合され、その状態で第2端部106bがトップビーム取付部119に固定されている。各トップビーム106の第2端部106bの溝106c内の部位には、当該第2端部106bを内外に貫通する2つの挿通孔が形成されている。この第2端部106bの溝106c内の部位に形成された2つの挿通孔は、トップビーム106の長手方向に並んで配置されている。
【0029】
複数のスリーブ107(
図3参照)は、前記複数のトップビーム106の隣り合うもの同士をそれぞれ連結するためのものである。この複数のスリーブ107の各々は、筒状をなし、トップビーム106の内周形状にフィットする外周形状を有する。この複数のスリーブ107の各々は、トップビーム106の長手方向と同方向に延びるように配置されるとともに、各トップビーム106の第1端部106aとその第1端部106aに隣接する別のトップビーム106の第2端部106bとに跨るようにその各トップビーム106の第1端部106a内とその第1端部106aに隣接する別のトップビーム106の第2端部106b内に挿嵌されている。
【0030】
各スリーブ107のうちトップビーム106の第1端部106a内に挿入された部分には、第1端部106aの溝106c内の部位に形成された2つの挿通孔とそれぞれ対応する位置に、そのスリーブ107を内外に貫通する2つのボルト孔が形成されている。また、各スリーブ107のうちトップビーム106の第2端部106b内に挿入された部分には、第2端部106bの溝106c内の部位に形成された2つの挿通孔とそれぞれ対応する位置に、そのスリーブ107を内外に貫通する2つのボルト孔が形成されている。
【0031】
複数のビーム固定ボルト120は、それぞれ、複数のトップビーム106の各々の第1端部106a又は第2端部106bをその端部内に挿嵌されたスリーブ107とともに支柱102のトップビーム取付部119に締結して固定するものである。具体的に、ビーム固定ボルト120は、トップビーム取付部119に形成された挿通孔と、トップビーム106の第1端部106a又は第2端部106bに形成された2つの挿通孔のうちその第1端部106a又は第2端部106bの先端寄りに位置する方の挿通孔とに挿通され、さらにスリーブ107に形成された対応するボルト孔に螺入されている。それによって、ビーム固定ボルト120は、第1端部106a又は第2端部106bとスリーブ107とトップビーム取付部119とを締結している。
【0032】
複数の第1ボルト108は、それぞれ、複数のトップビーム106の各々の第1端部106aとその第1端部106a内に挿嵌されたスリーブ107とを締結するものである。具体的に、各第1ボルト108は、各トップビーム106の第1端部106aに形成された2つの挿通孔のうち前記ビーム固定ボルト120が挿通されていない方の挿通孔に挿通されるとともに、スリーブ107のうち第1端部106a内に挿嵌された部分に形成された2つのボルト孔のうち前記ビーム固定ボルト120が螺入されていない方のボルト孔に螺入され、それによって第1端部106aとスリーブ107とを締結している。
【0033】
複数の第2ボルト109は、それぞれ、複数のトップビーム106の各々の第2端部106bとその第2端部106b内に挿嵌されたスリーブ107とを締結するものである。具体的に、各第2ボルト109は、各トップビーム106の第2端部106bに形成された2つの挿通孔のうち前記ビーム固定ボルト120が挿通されていない方の挿通孔に挿通されるとともに、スリーブ107のうち第2端部106b内に挿嵌された部分に形成された2つのボルト孔のうち前記ビーム固定ボルト120が螺入されていない方のボルト孔に螺入され、それによって第2端部106bとスリーブ107とを締結している。
【0034】
下部ビーム110(
図1参照)は、防護柵100の下半部に位置し、トップビーム106から下側に間隔をおいた高さ位置でトップビーム106に対して平行に延びている。その状態で、下部ビーム110は、前記複数の支柱102の各々に対して結合されている。
【0035】
複数の上側レール111の各々は、隣り合う支柱102間に配置され、トップビーム106と下部ビーム110との間の高さ位置でそれらのトップビーム106及び下部ビーム110と平行に延びている。各上側レール111の長手方向の一端部と他端部はその上側レール111の両側に位置する支柱102の対応するものにそれぞれ固定され、それによってその上側レール111の両側の支柱102間に架設されている。
【0036】
複数の下側レール112の各々は、隣り合う支柱102間に配置され、下部ビーム110から下側に間隔をあけた高さ位置で下部ビーム110と平行に延びている。各下側レール112の長手方向の一端部と他端部はその下側レール112の両側に位置する支柱102の対応するものにそれぞれ固定され、それによってその下側レール112が両側の支柱102間に架設されている。
【0037】
複数の縦桟114は、上側レール111と下側レール112との間にそれらのレールが延びる方向において所定間隔で並ぶように配置され、上下方向に延びている。この複数の縦桟114の各々は、上側レール111と下側レール112との間に架設されている。
【0038】
本実施形態による照明装置1は、以上のように構成された既設の防護柵100に後付け可能であり、夜間や濃霧等の視認性の悪い状況において明かりを提供するとともに、光を発することによって防護柵100の存在を認識しやすくするためのものである。
【0039】
照明装置1は、既設の防護柵100の複数の支柱102のうち隣り合う任意の2つの支柱102間に配設されてその支柱102間のトップビーム106に沿うように且つそのトップビーム106から垂下される形態で当該トップビーム106に対して取り付けられる。本実施形態では、既設の防護柵100の全ての支柱102間のスペースにそれぞれ照明装置1が設置される。照明装置1は、既設の防護柵100のトップビーム106に対して着脱可能となっている。この照明装置1は、
図2に示すように、装置本体2と、カバー4と、第1取付部5と、第2取付部6と、2つの取付部固定ボルト7と、2つの取付部固定ナット8と、発光装置9と、発光装置取付ブラケット10と、電源装置11と、第1端部カバー12と、第2端部カバー13とを有する。
【0040】
装置本体2は、ある方向に延びる略円筒状をなし、既設の防護柵100の隣り合う2つの支柱102間においてトップビーム106の下側でそのトップビーム106の長手方向に沿って延びるように配置可能となっている。装置本体2は、例えばアルミニウム等の金属材料によって形成されている。装置本体2は、その長手方向の中央に当該装置本体2の内外を貫通するように形成された開口部16を有する。開口部16は、装置本体2の長手方向に沿って長い矩形状をなしている。また、開口部16は、照明装置1がトップビーム106に取り付けられたときに装置本体2のうち橋梁の幅方向内向きで且つ斜め下を向く部位に設けられている。
【0041】
また、装置本体2の外面には、当該装置本体2の長手方向に延びる溝14(
図7及び
図8参照)が設けられている。前記2つの取付部固定ボルト7の頭部がこの溝14内に嵌め込まれている。取付部固定ボルト7は、六角ボルトであり、その頭部が溝14内に嵌め込まれることにより当該取付部固定ボルト7が装置本体2に対して回転しないように装置本体2に装着されている。各取付部固定ボルト7の頭部は、溝14の長手方向に沿って装置本体2に対してスライド可能(位置変更可能)となっている。各取付部固定ボルト7の螺子部は、溝14から突出し、装置本体2の径方向外側へ延びている。
【0042】
カバー4(
図2及び
図8参照)は、開口部16を塞ぐように装置本体2に取り付けられている。このカバー4は、ポリカーボネート等の樹脂材料によって形成され、透光性を有する。このカバー4は、装置本体2の外周面の形状に近い湾曲した曲板状をなしている。また、このカバー4は、装置本体2に対して着脱可能に構成されており、当該カバー4を装置本体2から取り外すことにより装置本体2の外部から開口部16を通じて装置本体2内への発光装置9の設置や交換などの作業を行えるようになっている。
【0043】
第1及び第2取付部5,6は、照明装置1を防護柵100のトップビーム106に着脱可能に取り付けるためのものである。
【0044】
第1取付部5は、装置本体2の長手方向の両端のうち当該装置本体2が前記隣り合う2つの支柱102間においてトップビーム106に沿って延びるように配置されたときにそのトップビーム106の第1端部106aの近くに位置する方の一端近傍において当該装置本体2の外周面に取り付けられている。この第1取付部5は、装置本体2が前記のように配置されたときにトップビーム106の第1端部106aの外面に沿うように配置される。そして、この第1取付部5は、トップビーム106の第1端部106a内に挿嵌されたスリーブ107に対して前記第1ボルト108により第1端部106aとともに締結可能に構成されている。
【0045】
具体的に、この第1取付部5は、
図5に示すように、装置本体2の前記一端近傍の部位の外周面に沿って配置されて装置本体2に固定される装置本体側固定部18と、トップビーム106の第1端部106aとともにスリーブ107に締結されて固定されるビーム側固定部20と、装置本体側固定部18とビーム側固定部20との間でそれらを繋ぐ中間部22とを有する。装置本体側固定部18とビーム側固定部20と中間部22は一体的に形成されている。
【0046】
装置本体側固定部18は、
図7に示すように、装置本体2の外周面に沿うように湾曲した板状をなし、装置本体2に締結される。具体的には、装置本体側固定部18は、その板厚方向に当該装置本体側固定部18を貫通する孔を有し、装置本体2に装着された取付部固定ボルト7の螺子部がこの孔に挿通される。そして、この孔を通って装置本体側固定部18から突出した取付部固定ボルト7の螺子部に取付部固定ナット8が螺合され、その取付部固定ナット8が締め付けられることによって装置本体側固定部18が装置本体2に固定されている。また、装置本体2の前記溝14に沿って取付部固定ボルト7の位置を変更することにより、装置本体2に対する装置本体側固定部18の固定位置、すなわち装置本体2に対する第1取付部5の位置を装置本体2の長手方向において調節可能となっている。
【0047】
ビーム側固定部20は、
図6に示すように、トップビーム106の溝106cに嵌合可能な板状をなし、その溝106cに嵌合した状態でトップビーム106の第1端部106a及びそれに挿嵌されたスリーブ107と締結される。具体的には、ビーム側固定部20は、その板厚方向に当該ビーム側固定部20を貫通する孔を有し、前記第1ボルト108がこの孔とトップビーム106の第1端部106aに形成された挿通孔に挿通されるとともにスリーブ107のうち第1端部106a内に挿入された部分に形成されたボルト孔に螺入されて締め付けられることによって当該ビーム側固定部20がトップビーム106の第1端部106a及びスリーブ107と締結されるようになっている。
【0048】
トップビーム106の溝106cは、ビーム側固定部20に設けられた孔と第1端部106aに形成された挿通孔との位置合わせに寄与する。すなわち、トップビーム106の溝106cにビーム側固定部20を嵌合することにより、トップビーム106の周方向において第1端部106aの挿通孔とビーム側固定部20の孔の位置が揃い、その状態で溝106cの長手方向(トップビーム106の長手方向)におけるビーム側固定部20の位置を調節するだけで第1端部106aの挿通孔に対してビーム側固定部20の孔の位置を合わせることができるようになっている。
【0049】
中間部22は、前記装置本体側固定部18及び前記ビーム側固定部20に対して垂直に配置されてそれらの端部同士を繋いでいる。すなわち、前記装置本体側固定部18、前記ビーム側固定部20及び当該中間部22からなる第1取付部5は、クランク状をなしている。
【0050】
第2取付部6は、装置本体2の長手方向の両端のうち当該装置本体2が前記隣り合う2つの支柱102間においてトップビーム106に沿って延びるように配置されたときにそのトップビーム106の第2端部106bの近くに位置する方の端近傍において当該装置本体2の外周面に取り付けられている。この第2取付部6は、装置本体2が前記のように配置されたときにトップビーム106の第2端部106bの外面に沿うように配置される。そして、この第2取付部6は、トップビーム106の第2端部106b内に挿嵌されたスリーブ107に対して前記第2ボルト109により第2端部106bとともに締結可能に構成されている。
【0051】
この第2取付部6は、前記第1取付部6と同様の構成を有しており、前記第1取付部6と対称となるように配置されている。すなわち、第2取付部6は、前記第1取付部6の装置本体側固定部18、ビーム側固定部20及び中間部22に対応する装置本体側固定部28、ビーム側固定部30及び中間部32を有する(
図5参照)。前記第1取付部6の場合と同様にして、当該第2取付部6の装置本体側固定部28が取付部固定ボルト7と取付部固定ナット8により装置本体2に固定され、当該第2取付部6のビーム側固定部20がトップビーム106の溝106cに嵌合した状態で第2ボルト109によりトップビーム106の第2端部106b及びそれに挿嵌されたスリーブ107と締結される。
【0052】
発光装置9(
図2及び
図8参照)は、装置本体2内に設けられ、給電されることによって発光するように構成されている。この発光装置9は、例えばLED照明器具からなる。この発光装置9は、細長い形状をなし、装置本体2内の空間においてその装置本体2の長手方向に延びるように配置されている。また、当該発光装置9の長さは、装置本体2の長手方向に沿う方向における前記開口部16の幅よりも小さく、当該発光装置9は、装置本体2の外側から見て前記開口部16内に収まるように配置されている。また、当該発光装置9は、前記開口部16へ向かって光を出射するように配置されている。この発光装置9から出射された光は、前記カバー4を透過して装置本体2の外部へ照射されるようになっている。
【0053】
発光装置取付ブラケット10は、発光装置9を装置本体2に取り付けるための部材である。この発光装置取付ブラケット10は、板材を曲げ加工することによって形成されたL型の金具である。この発光装置取付ブラケット10は、装置本体2の内部空間に配置されて装置本体2に螺子止めされている。この発光装置取付ブラケット10に前記発光装置9が螺子止めされている。すなわち、前記発光装置9は、当該発光装置取付ブラケット10を介して装置本体9に取り付けられている。
【0054】
電源装置11(
図2参照)は、図略の外部電源から供給される交流電流を直流電流に変換して発光装置9へ供給する装置である。この電源装置11は、装置本体2内において発光装置2と並んで配置され、装置本体2に固定されている。電源装置11は、発光装置9と電気的に接続されている。また、電源装置11には、図略の外部電源からの交流電流の供給を受けるための電気配線40が接続されている。防護柵100の全ての支柱102間の各スペースに照明装置1がそれぞれ設置される場合には、それらの照明装置1の電源装置11は、直列に電気接続される。すなわち、隣り合う照明装置1の電源装置11同士が電気配線40を介して接続され、防護柵100の長手方向の最も端に位置する照明装置1の電源装置11が電気配線40を介して外部電源に接続される。各支柱102の中央板124には、隣り合う照明装置1の電源装置11同士を繋ぐ電気配線40を挿通するための配線挿通孔130(
図4参照)が設けられる。
【0055】
第1端部カバー12は、装置本体2の長手方向の一端とその一端に対向する支柱102の中央板124との間で電気配線40を露出させる隙間を小さくするためのものである。具体的に、この第1端部カバー12は、装置本体2の一端の開口からその装置本体2内に挿入可能な外形を有する。この第1端部カバー12は筒状をなし、電気配線40はこの第1端部カバー12の内側の空間を通るとともに支柱102の前記配線挿通孔130を通って隣りの照明装置1の電源装置11へ延びる。第1端部カバー12は、装置本体2の一端からそれに対向する支柱102の中央板124側へ突出し、それによって電気配線40のうち装置本体2の一端と中央板124との間で露出する部分の長さを小さくする。
【0056】
第1端部カバー12は、装置本体2の長手方向に沿って装置本体2に対してスライド可能である。そのため、装置本体2の一端からの第1端部カバー12の突出量を変更可能となっている。装置本体2を隣り合う支柱102間に配置した状態では、装置本体2から突出した第1端部カバー12の先端が支柱102の外側板123の幅方向の端縁よりも中央板124寄りに位置するように第1端部カバー12の前記突出量が設定される。
【0057】
第2端部カバー13は、前記第1端部カバー13が装着された前記一端に対して反対側の端である端装置本体2の長手方向の他端とその他端に対向する支柱102の中央板124との間で電気配線40を露出させる隙間を小さくするためのものである。具体的に、この第2端部カバー13は、装置本体2の他端の開口からその装置本体2内に挿入可能な外形を有する。この第2端部カバー13は筒状をなし、電気配線40はこの第2端部カバー13の内側の空間を通るとともに支柱102の前記配線挿通孔130を通って隣りの照明装置1の電源装置11へ延びる。第2端部カバー13は、装置本体2の他端からそれに対向する支柱102の中央板124側へ突出し、それによって電気配線40のうち装置本体2の他端と中央板124との間で露出する部分の長さを小さくする。
【0058】
第2端部カバー13は、装置本体2の長手方向に沿って装置本体2に対してスライド可能である。そのため、装置本体2の他端からの第2端部カバー13の突出量を変更可能となっている。装置本体2を隣り合う支柱102間に配置した状態では、装置本体2から突出した第2端部カバー13の先端が支柱102の外側板123の幅方向の端縁よりも中央板124寄りに位置するように第2端部カバー13の前記突出量が設定される。
【0059】
次に、本実施形態による照明装置1を既設の防護柵100に取り付けるための施工方法について説明する。
【0060】
まず、前記のように構成された照明装置1を用意する(用意工程)。
【0061】
次に、その用意した照明装置1を、その照明装置1の装置本体2が既設の防護柵100の隣り合う支柱102間においてトップビーム106に沿って延びるように配置する(配置工程)。このとき、事前に第1及び第2端部カバー12,13を装置本体2内に退入させておく。これにより、照明装置1の長手方向の端部が支柱102の内側板122及び外側板123に接触しにくくなり、作業性が悪化するのを回避できる。また、事前に、装置本体2を配置する支柱102間のトップビーム106に取り付けられた第1ボルト108及び第2ボルト109を緩めて取り外しておく。そして、この配置工程では、照明装置1の第1取付部5のビーム側固定部20をトップビーム106の第1端部106aの外面に沿うように配置するとともにそのトップビーム106の溝106cに嵌合させ、また、照明装置1の第2取付部6のビーム側固定部30をトップビーム106の第2端部106bの外面に沿うように配置するとともにそのトップビーム106の溝106cに嵌合させる。
【0062】
次に、照明装置1の第1取付部5のビーム側固定部20をトップビーム106の第1端部106a内に挿嵌されたスリーブ107に対して第1ボルト108により第1端部106aとともに締結する(第1締結工程)。
【0063】
また、照明装置1の第2取付部6のビーム側固定部30をトップビーム106の第2端部106b内に挿嵌されたスリーブ107に対して第2ボルト109により第2端部106bとともに締結する(第2締結工程)。
【0064】
そして、防護柵100の全ての支柱102間のスペースについて以上のような工程と同様の工程により照明装置1を設置する。その後、隣り合う照明装置1の電源装置11同士を電気配線40により接続する。このとき、電気配線40を第1端部カバー12又は第2端部カバー13の内側の空間に挿通させるとともに支柱102の配線挿通孔130に挿通させる。そして、防護柵100の長手方向において最も端に位置する照明装置1の電源装置11に繋がる電気配線40を外部電源に接続する。
【0065】
最後に、第1及び第2端部カバー12,13の装置本体2の各端部からの突出量を調節し、電気配線40の露出部分ができる限り小さくなるようにする。
【0066】
以上のようにして、本実施形態による照明装置1の施工が行われる。
【0067】
本実施形態による照明装置1では、発光装置9が設けられた装置本体2を既設の防護柵100のうちの隣り合う任意の2つの支柱102間においてトップビーム106に沿って延びるように配置可能であるとともに、そのように装置本体2が配置されたときにその装置本体2に設けられた第1取付部5がトップビーム106の第1端部106aの外面に沿うように配置されてその第1端部106a内に挿嵌されたスリーブ107に対して第1ボルト108により当該第1取付部6を第1端部106aとともに締結可能であり、且つ、前記のように装置本体2が配置されたときにその装置本体2に設けられた第2取付部6がトップビーム106の第2端部106bの外面に沿うように配置されてその第2端部106b内に挿嵌されたスリーブ107に対して第2ボルト109により当該第2取付部6を第2端部106bとともに締結可能である。このため、既設の防護柵100において元々トップビーム106の第1端部106a及び第2端部106bとそれらにそれぞれ挿嵌されたスリーブ107とを締結している第1及び第2ボルト108,109を利用してトップビーム106を加工することなく照明装置1をトップビーム106に沿うように取り付けることができるとともに、既設の防護柵100のうちの隣り合う2つの支柱102間のスペースに照明装置1を設置できる。従って、本実施形態では、照明装置1を既設の防護柵100のトップビーム106に沿うようにその防護柵100に簡単に後付けすることができるとともに、その既設の防護柵100のうちの隣り合う支柱102間のスペースを有効利用してそのスペースに照明装置1を設置することができる。
【0068】
また、本実施形態による照明装置1では、発光装置9を発光させるための電力を装置本体2の外部から供給できるようにしつつ、その給電のための電気配線40が装置本体2の端部とその端部に対向する支柱102の中央板124との間の隙間で露出することによる美観の悪化及び外部環境に起因する当該電気配線40の劣化を抑制でき、且つ、隣り合う支柱102間に装置本体2を配置するときの作業性が悪化するのを回避できる。
【0069】
具体的には、電気配線40のうち装置本体2の端部とその端部に対向する支柱102の中央板124との間の隙間で露出する部分の長さが大きい場合には、美感を損なうとともに、雨や日照などの外部環境により電気配線40が劣化しやすくなる。しかしながら、本実施形態による照射装置1では、その電気配線40の露出部分の少なくとも一部を第1及び第2端部カバー12,13のうち装置本体2の端部から突出する部分によって覆い隠すことができるため、そのような美観の悪化及び電気配線40の劣化を抑制できる。
【0070】
また、電気配線40の露出部分を小さくするためには例えば装置本体2自体の長さを拡大することも考えられるが、その場合には装置本体2を隣り合う支柱102間に配置するときに装置本体2の端部が支柱102に接触しやすくなる。特に、装置本体2の端部を支柱102の内側板122と外側板123との間に配置するときにその装置本体2の端部が内側板122又は外側板123に接触しやすくなる。このため、装置本体2の配置の作業性が悪化する。これに対し、本実施形態による照射装置1では、第1及び第2端部カバー12,13が装置本体2に対してその長手方向にスライド可能であるため、装置本体2を隣り合う支柱102間に配置するときには、当該第1及び第2端部カバー12,13を装置本体2内に退入させて装置本体2に第1及び第2端部カバー12,13の突出部分を加えた全長を縮小することができ、その第1及び第2端部カバー12,13が支柱102の内側板122又は外側板123に接触するのを回避できるため、作業性が悪化するのを回避できる。
【0071】
本発明による防護柵用照明装置は、前記のような構成のものに必ずしも限定されない。例えば、本発明による防護柵用照明装置に以下のような構成を採用可能である。
【0072】
前記実施形態では、橋梁に設置される防護柵に取り付けられる照明装置について説明したが、本発明による照明装置が取り付けられる防護柵は、道路や道路に隣接する場所、例えば道路の幅方向の端縁部や車道と歩道との間の境界部や中央分離帯などに設置されるものであってもよい。
【0073】
また、本実施形態による防護柵用照明装置は、必ずしも防護柵の全ての支柱間のスペースに設置されなくてもよい。例えば、防護柵の全ての支柱間のスペースのうち防護柵の長手方向に沿って所定数置きのスペースにそれぞれ防護柵用照明装置を設置してもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 防護柵用照明装置
2 装置本体
5 第1取付部
6 第2取付部
9 発光装置
12 第1端部カバー
13 第2端部カバー
40 電気配線
100 防護柵
102 支柱
106 トップビーム
106a 第1端部
106b 第2端部
107 スリーブ
108 第1ボルト
109 第2ボルト