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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】ライン光照射装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20220616BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20220616BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20220616BHJP
   F21Y 101/00 20160101ALN20220616BHJP
   F21Y 103/10 20160101ALN20220616BHJP
【FI】
F21S2/00 312
F21S2/00 340
F21S2/00 375
F21V29/503 100
F21V19/00 150
F21Y101:00 100
F21Y103:10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018223156
(22)【出願日】2018-11-29
(65)【公開番号】P2020087808
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】596099446
【氏名又は名称】シーシーエス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(72)【発明者】
【氏名】八木 一乃大
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-122437(JP,U)
【文献】特開2004-055289(JP,A)
【文献】特開2016-201360(JP,A)
【文献】特開2010-110938(JP,A)
【文献】特開2012-205520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 29/503
F21V 19/00
F21Y 101/00
F21Y 103/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のハロゲン電球と、
各ハロゲン電球がそれぞれ取り付けられるものであり、直線状に並べて設けられた複数のソケットと、
前記複数のソケットと配線を介して接続される基板と、
前記複数のハロゲン電球、前記複数のソケット、及び、前記基板が内部に収容される筺体と、を備え、
前記筺体が、
前記複数のハロゲン電球から射出された光が通過し、前記筺体の外部へ射出される光射出口と、
前記ソケットの配列方向に沿って延び、内面側に前記複数のソケット、及び、前記基板が取り付けられた放熱側面板と、を具備することを特徴とするライン光照射装置。
【請求項2】
前記放熱側面板において前記光射出口側に前記複数のソケットが取り付けられており、
前記放熱側面板において前記光射出口とは反対側に前記基板が取り付けられている請求項1記載のライン光照射装置。
【請求項3】
前記筺体が、
前記放熱側面板の対向面をなし、着脱可能に構成されたカバー側面板、を具備する請求項1又は2記載のライン光照射装置。
【請求項4】
前記筺体内において前記複数のハロゲン電球、前記基板、前記カバー側面板とで囲われた空洞部が形成された請求項3記載のライン光照射装置。
【請求項5】
前記複数のハロゲン電球から射出された光を前記光射出口側へと反射する反射構造をさらに備え、
前記反射構造が、筺体内を前記複数のハロゲン電球が配置された光射出部と、前記基板が配置された空洞部とに仕切る請求項1乃至4いずれかに記載のライン光照射装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハロゲン電球を用いたライン光照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハロゲン電球等のようにフィラメントを発光させる方式の光源は、波長領域が広く、赤外領域まで高い強度を有する光を射出し、この点において、LEDよりも優れている。このため現在においても、赤外カメラを用いた異物混入検査や外観検査等において、検査対象に対し赤外光を照射するための光源としてハロゲン電球等が使用されている。
【0003】
従来のハロゲン電球を用いたライン光照射装置としては、例えば特許文献1に開示されるように、フィラメントを有する発光部からソケットに接続される端子が伸びる複数のハロゲン電球を一列に並べてなる光源列型のものがある。
【0004】
ところで、各ハロゲン電球を所定の明るさで制御し続けたり、故障等が生じにくくしたりするには、各ソケットだけでなく、各ソケットに対して給電する基板も十分な放熱性を実現しなくてはならない。
【0005】
また、ハロゲン電球のフィラメントが切れた場合にはライン光の均一性が保たれるように容易に交換できる必要がある。
【0006】
しかしながら、従来のハロゲン電球等を用いたライン光照射装置ではこれらの機能が簡素な構成で実現できておらず、仕様要求に見合った製品が供給されていないのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実開昭56-60949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述したような問題に鑑みてなされたものであり、簡素な構造でありながら、ソケット及び基板の放熱性とハロゲン電球の交換容易性を実現したライン光照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明に係るライン光照射装置は、複数のハロゲン電球と、各ハロゲン電球がそれぞれ取り付けられるものであり、直線状に並べて設けられた複数のソケットと、前記複数のソケットと配線を介して接続される基板と、前記複数のハロゲン電球、前記複数のソケット、及び、前記基板が内部に収容される筺体と、を備え、前記筺体が、前記複数のハロゲン電球から射出された光が通過し、前記筺体の外部へ射出される光射出口と、前記ソケットの配列方向に沿って延び、内面側に前記複数のソケット、及び、前記基板が取り付けられた放熱側面板と、を具備することを特徴とする。
【0010】
このようなものであれば、前記放熱側面板に前記複数のソケット、及び、前記基板が直接取り付けられているので、放熱効率を高めることができ、両者について十分な放熱性を実現することが可能となる。
【0011】
また、前記放熱側面板に他の部品と比較して体積の大きい前記複数のソケットと前記基板を集約できるので、前記筺体内において例えば前記放熱側面板の対面側にスペースを形成しやすくなる。このため、前記複数のハロゲン電球を交換する際に作業者が手を入れやすいように設計しやすい。
【0012】
これらのことから、本発明に係るライン光照射装置は簡素な構成としながらも、前記複数のソケット、及び、前記基板の放熱性を十分に実現しながら、ハロゲン電球の交換作業を容易にすることができる。
【0013】
前記光射出口に対して前記複数のハロゲン電球を近づけて配置することができ、前記光射出口から十分な強度のライン光が射出されるようにするには、前記放熱側面板において前記光射出口側に前記複数のソケットが取り付けられており、前記放熱側面板において前記光射出口とは反対側に前記基板が取り付けられていればよい。
【0014】
例えば前記光射出口側に設けられた光学系を取り外すことなく、前記複数のハロゲン電球のいずれかの交換作業を行えるようにするには、前記前記筺体が、前記放熱側面板の対向面をなし、着脱可能に構成されたカバー側面板、を具備するものであればよい。
【0015】
例えば前記光射出口側に設けられた光学系に干渉することなく、前記複数のハロゲン電球の交換作業を行えるように十分な作業スペースを前記筐体内に形成できるようにし、交換作業をさらに容易にするには、前記筺体内において前記複数のハロゲン電球、前記基板、前記カバー側面板とで囲われた空洞部が形成されたものであればよい。
【0016】
前記複数のハロゲン電球から射出された光を無駄なく前記光射出口側へと導くことができるとともに、前記複数のハロゲン電球で発生する熱については前記基板には伝導しにくくするには、前記複数のハロゲン電球から射出された光を前記光射出口側へと反射する反射構造をさらに備え、前記反射構造が、筺体内を前記複数のハロゲン電球が配置された光射出部と、前記基板が配置された空洞部とに仕切るものであればよい。
【発明の効果】
【0017】
このように本発明に係るライン光照射装置によれば、前記放熱側面板に前記複数のソケット、及び、前記基板が直接取り付けられているので、それぞれの放熱部分を共通化しつつ、放熱効率を大きくすることができる。このため、前記筐体内に前記ハロゲン電球の交換作業のためのスペースを確保しつつ、全体の構成を簡素にしやすい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係るライン光照射装置を示す模式的斜視図。
図2】同実施形態のライン光照射装置からカバー側面板を取り外した状態を示す模式的斜視図。
図3】同実施形態のライン光照射装置からカバー側面板、シリンドリカルレンズ、端面板を取り外した状態を示す模式的斜視図。
図4】同実施形態のライン光照射装置からカバー側面板、シリンドリカルレンズ、端面板、第1ミラーを取り外した状態を示す模式的斜視図。
図5】同実施形態のライン光照射装置の模式的横断面図。
図6】同実施形態のライン光照射装置における放熱側面板の詳細を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態に係るライン光照射装置100は、例えば、赤外カメラを使用して異物混入検査や外観検査等を実施する場合に、検査対象に対して赤外光を照射するための光源として使用されるものである。なお、本発明に係るライン光照射装置100の用途は、前記検査用の光源に限定されず、その他の用途にも使用でき、また、照射される光の波長も何ら限定されるものではない。
【0020】
ライン光照射装置100は、図1乃至図5に示すように、内部からライン光が射出される光射出口17が形成された概略直方体状の筺体1を備えたものである。筺体1内には、ハロゲン電球2をソケット3に接続してなる光源ユニットを一列に並べた光源列と、各ソケット3に対して配線で接続される基板4と、各光源から射出される光を集光するシリンドリカルレンズ5と、が収容されている。
【0021】
筺体1は、複数枚の板によって構成されており、図2乃至図4に示すように、シリンドリカルレンズ5を軸方向に挟持し、筺体1の端面を形成する一対の端面板11と、複数のソケット3及び基板4が取り付けられる放熱側面板12と、放熱側面板12の対向面をなし、着脱可能に構成されたカバー側面板13と、一対の端面板11及びカバー側面板13とともに光射出口17を形成する前面板14と、底面を封止する底面板15と、を備えている。
【0022】
一対の端面板11において光射出口17側には、図2に示すように、シリンドリカルレンズ5の端面が差し込まれて取り付けられる円形状の凹部16が形成されている。
【0023】
放熱側面板12は、図3及び図4に示すように光射出口17が延びる方向を長手方向とする長尺状の金属板であり、放熱する必要がある各ソケット3、及び、基板4が内面側に取り付けられるものである。放熱側面板12において光射出口17側には長手方向に沿って各ソケット3が一列に配列されている。これらの各ソケット3にそれぞれハロゲン電球2が取り付けられることによって光源列が形成される。
【0024】
ハロゲン電球2は、フィラメントを封入した発光部21と、フィラメントの両端から伸びる導入線の一端に接続されて発光部21の外側へ引き出される一対の端子23とを備えた構成になっている。なお、発光部21は、少なくともフィラメント封入部がガラスによって形成され、発光部21の一端には、チップガラス融着部が突出し、発光部の他端には、導入線及び端子の接合部分を挟み込んで封止する扁平状の封止部22が形成されている。また、フィラメントは、一対の端子23が延びる方向に垂直に配置される。本実施形態では図5に示すようにハロゲン電球2がソケット3に取り付けられた状態で光射出口17に対して発光部21の側面側が向くように配置される。
【0025】
さらに、図6に示すように放熱側面板12において光射出口17とは反対側には長方形状の複数の基板4が取り付けられている。この基板4は例えば外部からの入力線が接続される外部接続コネクタ42と、各ソケット3に配線を介して接続される内部接続コネクタ41と、を備えている。外部接続コネクタ42を介して外部から供給される電力や制御信号等は基板4において内部接続コネクタ41を介して各ソケット3に対して分配される。また、外部接続コネクタ42と内部接続コネクタ41と間は各内部接続コネクタ41の設置間隔よりも広く設定されている。
【0026】
このようにライン光照射装置100において放熱が必要な部材である各ソケット3及び基板4については放熱側面板12の内面以外には接触しないように取り付けられている。この結果、放熱面積を大きくし、それぞれの部材について十分な放熱が行われるようにしてある。
【0027】
図5に示すようにカバー側面板13は、シリンドリカルレンズ5及び各ハロゲン電球2の先端部にその内面が近接するように配置されるものである。したがって、筺体1内において光射出口17側には部材が密集しているが、筺体1内において光射出口17とは反対側には各ハロゲン電球2、放熱側面板12、カバー側面板13、底面板15によって囲われた空洞部72が形成されている。
【0028】
さらに図5に示すように、筺体1内はハロゲン電球2において光射出口17とは反対側とハロゲン電球2のソケット3側が反射機構6により覆われており、筺体1内は反射機構6によって光射出部71と空洞部72に仕切られている。
【0029】
反射機構6は、図3及び図5に示すように、放熱側面板12において各ソケット3のハロゲン電球2が取り付けられる側に設けられた長方形状の第1ミラー61と、カバー側面板13に設けられた横断面がL字状の第2ミラー62と、を備えている。カバー側面板13が端面板11及び底面板15に取り付けられている状態では、第2ミラー62は各ハロゲン電球2の先端側と光射出口17とは反対側を覆うように配置される。したがって、第1ミラー61及び第2ミラー62によって、ハロゲン電球2から射出される光のうち光射出口17以外の方向に射出される光は、反射されてその一部は光射出口17へと導かれる。各ハロゲン電球2から射出された光はシリンドリカルレンズ5に入射し、集光されて光射出口17からライン光として射出される。
【0030】
また、第1ミラー61及び第2ミラー62はそれぞれ別々のミラーとして構成されているため、図2に示すようにカバー側面板13を外すと第2ミラー62もともに取り外され、各ハロゲン電球2が外部に露出するように構成されている。
【0031】
このように構成された本実施形態のライン光照射装置100であれば、放熱側面板12に複数のソケット3、及び、基板4が直接取り付けられているので、放熱効率を高めることができる。また、ソケット3の配列方向に沿って延びる放熱側面板12であれば、ライン光照射装置100としての幅寸法を大きくせずに高さ方向の寸法を大きくして放熱面積をより大きくしてさらに放熱性を高めることができる。これらのことから、ライン光照射装置100の幅寸法についてはほぼハロゲン電球2とソケット3の大きさ程度の寸法内に抑えてコンパクトなものにしつつ、十分な放熱性を実現することができる。
【0032】
また、放熱側面板12に他の部品と比較して体積の大きい複数のソケット3と前記基板4を集約できる。このため、筺体1内においては光射出口17とは反対側に空洞部72を形成し、カバー側面板13を取り外した状態でこの空洞部72が外部に露出するように構成することができる。したがって、ハロゲン電球2を交換する際には作業者はこの空洞部72に手を入れて、交換作業を行いやすくすることができる。また、このような空洞部72を形成できるのは筺体1内において光射出口17側に光学機器が集約されており、筺体1内において光射出口17とは反対側、即ち、底面板15側には板状で放熱側面板12からの突出量を小さくできる基板4のみが配置しているからである。
【0033】
これらのことから、本実施形態のライン光照射装置100は簡素な構成でありながらも、複数のソケット3、及び、基板4の放熱性を十分に実現しながら、ハロゲン電球2の交換作業を容易にすることができる。
【0034】
加えて、反射機構6によって筺体1内が光射出部と空洞部72の2つに仕切られているので、光射出口17以外に射出される光が空洞部72側や放熱側面板12側へと入射するのを防ぐことができる。したがって、ハロゲン電球2から射出される赤外線等により各ソケット3、基板4、及び、筺体1自体が加熱されるのを防ぎ、放熱性が低下するのを防ぐことができる。
【0035】
その他の実施形態について説明する。
【0036】
放熱側面板に取り付けられる部材は、ソケット、及び、基板のみに限られず、その他の放熱を必要とする部材を取り付けても良い。また、放熱側面板におけるソケット及び基板の配置については前記実施形態に示した物に限られない。例えば光射出口側に基板が取り付けられて、光射出側とは反対側にソケットが配置されるようにしてもよい。
【0037】
基板については外部からの入力を各ソケットへ中継する中継基板としての機能を有する物に限られず、例えば調光機能等の制御ロジックが実測された制御基板であっても構わない。
【0038】
各ハロゲン電球から射出される光によってライン光を形成するための集光部材としての光学機器はシリンドリカルレンズに限られるものではない。例えば凹面鏡等を用いてライン光を形成してもよい。
【0039】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、各構成要素を変形したり、様々な実施形態の構成要素同士を組み合わせたりしても構わない。
【符号の説明】
【0040】
100・・・ライン光照射装置
1 ・・・筺体
12 ・・・放熱側面板
13 ・・・カバー側面板
17 ・・・光射出口
2 ・・・ハロゲン電球
3 ・・・ソケット
4 ・・・基板
72 ・・・空洞部
図1
図2
図3
図4
図5
図6