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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】使い捨て着用物品および製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/49 20060101AFI20220616BHJP
   A61F 13/496 20060101ALI20220616BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
A61F13/49 312Z
A61F13/496 100
A61F13/49 413
A61F13/15 311Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018551556
(86)(22)【出願日】2017-10-30
(86)【国際出願番号】 JP2017039062
(87)【国際公開番号】W WO2018092559
(87)【国際公開日】2018-05-24
【審査請求日】2020-09-01
(31)【優先権主張番号】P 2016222478
(32)【優先日】2016-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】110001265
【氏名又は名称】特許業務法人山村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅林 豊志
【審査官】津田 健嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-207973(JP,A)
【文献】特開2008-284058(JP,A)
【文献】特開2008-142342(JP,A)
【文献】特開2012-139247(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンツ型の使い捨て着用物品であって、
着用物品1は、着用者の胴を覆うように適合された前胴回り部3および後胴回り部3と、前記前後の胴回り部3に架設された吸収性本体2とを包含し、
前記前後の胴回り部3の各々は、胴回り方向Xに延びる複数の弾性部材32が2枚のシート片31の間に挟まれて形成されており、
前記2枚のシート片31同士を互いに溶着構造で接合し、前記弾性部材32を前記2枚のシート片31に接合して固定する3本以上のストライプ状の接合部41,42,43が、前記弾性部材32の伸縮方向Dfに交差する方向Dpに連続して設けられ、
前記弾性部材32が収縮している状態において、前記3本以上のストライプ状の接合部41,42,43の間に複数の襞Pが現れるように構成され、
前記前後の胴回り部3は互いに重ね合わされ、前記前胴回り部3の前記胴回り方向Xの端部E3と前記後胴回り部3の前記胴回り方向Xの端部E3とが互いにサイドシール5により溶着構造で接合されており、
前記弾性部材32を前記胴回り方向Xに引き延ばした状態で、 前記3本以上のストライプ状の接合部41,42,43のうち前記サイドシール5に最も近接した第1接合部41と前記サイドシール5との前記伸縮方向Dfの第1間隔S1が、前記3本以上のストライプ状の接合部41,42,43のうち前記胴回り部3の前記端部E3,E3間の中間部分において互いに隣り合う複数の第2接合部42同士の前記伸縮方向Dfの第2間隔S2よりも小さく、
前記弾性部材32を前記胴回り方向Xに引き延ばした状態で、 前記3本以上のストライプ状の接合部41~43のうち前記第1接合部41に隣り合う第3接合部43と前記第1接合部41との前記伸縮方向Dfの第3間隔S3が前記第2間隔S2よりも小さい、着用物品。
【請求項2】
請求項1において、
前記2枚のシート片31同士を互いに溶着構造で接合し、前記弾性部材32を前記2枚のシート片31に固定する複数の第4接合部44が、前記弾性部材32の伸縮方向Dfに交差する方向Dpに連続して設けられ、
前記サイドシール5が配置された前記端部E3のシール領域A5において、前記第4接合部44は前記サイドシール5の一部に重なるように配置されている、着用物品。
【請求項3】
請求項1において、
前記サイドシール5が配置された前記端部E3のシール領域A5において、前記3本以上のストライプ状の接合部41~43の全てが前記サイドシール5に重なることなく配置されている、着用物品。
【請求項4】
請求項3において、
前記2枚のシート片31同士を互いに溶着構造で接合し、前記弾性部材32を前記2枚のシート片31に固定する複数の第5接合部45が、前記弾性部材32の伸縮方向Dfに交差する方向Dpに連続して設けられ、
前記複数の第5接合部45は前記第3接合部43に対し前記第1接合部41とは前記伸縮方向Dfの反対側に配置され、
前記複数の第5接合部45のうち前記第3接合部43に隣り合う第5接合部45と前記第3接合部との前記伸縮方向Dfの第4間隔S4、ならびに、前記第3接合部43の近傍の前記複数の第5接合部45同士の前記伸縮方向Dfの第4間隔S4のうちの少なくとも一方が前記第2間隔S2よりも小さい、着用物品。
【請求項5】
請求項1、3および4のいずれか1項において、
前記各接合部のうち少なくとも1以上の接合部の前記伸縮方向Dfの幅Δが0.2mm以上1.0mm未満に設定されている、着用物品。
【請求項6】
請求項1、3および4のいずれか1項において、
前記各接合部のうち少なくとも前記第1接合部41の前記伸縮方向Dfの幅Δが0.2mm以上1.0mm未満に設定されている、着用物品。
【請求項7】
請求項1、3および4のいずれか1項において、
前記接合部のうち少なくとも第1および第3接合部41,43の前記伸縮方向Dfの幅Δが0.2mm以上1.0mm未満に設定されている、着用物品。
【請求項8】
請求項1の着用物品の製造方法であって、
複数の連続弾性部材Fが2枚の連続シートW4の間に挟まれ、前記前後の胴回り部3となる一対の胴回り連続体40を生成する工程と、
前記一対の胴回り連続体40を互いに平行に前記胴回り方向Xに沿った搬送方向Lに搬送する工程と、
前記搬送中に前記吸収性本体2が前記一対の胴回り連続体40に架設されるように前記吸収性本体2を配置して連続積層体W1を生成する工程と、
前記一対の胴回り連続体40同士が互いに重なるように、前記吸収性本体2において前記連続積層体W1を2つに折る折り工程と、
前記前後の胴回り部3の前記搬送方向Lの端部E3となる部位において、前記一対の胴回り連続体40同士を互いに溶着して2列の前記サイドシール5,5を次々に形成する工程と、
前記2列のサイドシール5,5の間において、前記一対の胴回り連続体40を次々に切断して、個々の着用物品1を得る工程とを備え、
前記各胴回り連続体40を生成する工程は、
前記搬送方向Lに間欠的に、かつ、前記複数の連続弾性部材Fを横断するように、ならびに、前記弾性部材32を前記胴回り方向Xに引き延ばした状態で、前記第1間隔S1が前記第2間隔S2よりも小さくなるように、かつ、前記弾性部材32を前記胴回り方向Xに引き延ばした状態で、前記第3間隔S3が前記第2間隔S2よりも小さくなるように、前記連続シートW4同士を3本以上のストライプ状の接合部41~43で互いに溶着接合する工程を含む製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はいわゆるパンツ型の使い捨て着用物品および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1の発明では、2枚のシート間に複数の弾性部材を挟み込み、弾性部材の伸縮方向と交差する方向に連続する多数の接合部において2枚のシートおよび弾性部材を溶着している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】JP2014-198180A(フロントページ)
【発明の概要】
【0004】
この先行技術の伸縮シートをパンツ型の着用物品の胴回り部に用いた場合、胴回り部の各端部において、前後の胴回り部が互いにサイドシールにより連結される。前記サイドシール後の個分け時の切断の際に、弾性部材が切断され、各端部に最も近接した接合部まで、弾性部材が収縮(いわゆるスナップバック)することがある。
【0005】
端部に最も近接した接合部において弾性部材が十分な接合力でシートに固定されていないと、スナップバックの際に、隣の接合部まで弾性部材が更に収縮してスナップバックの連鎖が生じる。このような現象で着用物品の歩留りが低下したり、品質のバラツキが生じる。
【0006】
前記先行技術では、弾性部材の固定力を確保するため、接着剤により弾性部材の固定を補強することが提案されている。しかし、接着剤を用いると、通気性が損なわれる上、胴回り部となる伸縮シートが接着剤で柔軟性を失う。そのため、着用感の低下する要因となる。
【0007】
本発明の目的は、着用物品の歩留まりの低下や品質のバラツキを抑制でき、かつ、着用感が優れた使い捨て着用物品および製造方法を提供することである。
【0008】
パンツ型の使い捨て着用物品であって、
着用物品1は、着用者の胴を覆うように適合された前胴回り部3および後胴回り部3と、前記前後の胴回り部3に架設された吸収性本体2とを包含し、
前記前後の胴回り部3の各々は、胴回り方向Xに延びる複数の弾性部材32が2枚のシート片31の間に挟まれて形成されており、
前記2枚のシート片31同士を互いに溶着構造で接合し、前記弾性部材32を前記2枚のシート片31に固定する3本以上のストライプ状の接合部41,42,43が、前記弾性部材32の伸縮方向Dfに交差する方向Dpに連続して設けられ、
前記弾性部材32が収縮している状態において、前記3本以上のストライプ状の接合部41,42,43の間に複数の襞Pが現れるように構成され、
前記前後の胴回り部3は互いに重ね合わされ、前記前胴回り部3の前記胴回り方向Xの端部E3と前記後胴回り部3の前記胴回り方向Xの端部E3とが互いにサイドシール5により溶着構造で接合されており、
前記3本以上のストライプ状の接合部41,42,43のうち前記サイドシール5に最も近接した第1接合部41と前記サイドシール5との前記伸縮方向Dfの第1間隔S1が、前記3本以上のストライプ状の接合部41,42,43のうち前記胴回り部3の前記端部E3,E3間の中間部分において互いに隣り合う複数の第2接合部42同士の前記伸縮方向Dfの第2間隔S2よりも小さい。
【0009】
本発明によれば、前記第1間隔S1が前記第2間隔S2よりも小さい。そのため、サイドシールによる弾性部材32の溶断やサイドシール後の個分けの切断の際に弾性部材がスナップバックしても、スナップバック時の収縮力が小さい。したがって、スナップバックした弾性部材32を第1接合部41で固定して、スナップバックの連鎖を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は本発明の実施例1にかかり、弾性部材を胴回り方向に引き延ばした状態で示す着用物品の正面図である。
図2図2は同着用物品の端部がサイドシールにより接合されていない展開状態で示される正面図である。
図3図3Aは着用物品の中間部分の拡大正面図、図3Cは着用物品の端部の拡大正面図、図3Bおよび図3Dは、それぞれ、前後の胴回り部の襞を示す概念的な断面図である。
図4図4は一連の製造方法を示す概略平面図である。
図5図5は胴回り連続体の生成方法を示す平面図である。
図6図6は胴回り連続体からパンツ型着用物品を生成する方法を示す平面図である。
図7図7Aは着用物品の他の例を示す正面図、図7Bは着用物品の端部の拡大正面図である。
【0011】
図1図3A図3C図7Aおよび図7Bにおいて各接合部はグレーで表記されている。
図1図2図3C図7Aおよび図7Bにおいてサイドシールはグレーで表記されている。
図4においては各接合部およびサイドシールの図示が省略されている。
図を見易くするために、各図において、サイドシールおよび接合部の数を減らして図示されている。また、各図において、着用物品の大きさに対する各接合部の幅や間隔を実際よりも大きくして図示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好ましくは、前記3本以上のストライプ状の接合部41~43のうち前記第1接合部41に隣り合う第3接合部43と前記第1接合部41との前記伸縮方向Dfの第3間隔S3が前記第2間隔S2よりも小さい。
【0013】
この場合、サイドシール近傍の接合部同士の間隔が狭い。そのため、サイドシール近傍の第1または第3接合部で弾性部材を固定することができる可能性が高い。したがって、サイドシール時のスナップバックを小さく抑制することができる。
【0014】
好ましくは、前記2枚のシート片31同士を互いに溶着構造で接合し、前記弾性部材32を前記2枚のシート片31に固定する複数の第4接合部44が、前記弾性部材32の伸縮方向Dfに交差する方向Dpに連続して設けられ、
前記サイドシール5が配置された前記端部E3のシール領域A5において、前記第4接合部44は前記サイドシール5の一部に重なるように配置されている。
この場合、スナップバックを更に抑制できるだろう。
なお、この場合、通常、サイドシール5の剛性の方が接合部の剛性よりも大きく、そのため、前記シール領域において襞は形成されないだろう。
【0015】
好ましくは、前記サイドシール5が配置された前記端部E3のシール領域A5において、前記3本以上のストライプ状の接合部41~43の全てが前記サイドシール5に重なることなく配置されている
この場合、前記端部において剛性が小さく、たとえば、着用者が横臥した際の着用感が向上するだろう。
【0016】
好ましくは、前記2枚のシート片31同士を互いに溶着構造で接合し、前記弾性部材32を前記2枚のシート片31に固定する複数の第5接合部45が、前記弾性部材32の伸縮方向Dfに交差する方向Dpに連続して設けられ、
前記複数の第5接合部45は前記第3接合部43に対し前記第1接合部41とは前記伸縮方向向Dfの反対側に配置され、
前記複数の第5接合部45のうち前記第3接合部43に隣り合う第5接合部45と前記第3接合部との前記伸縮方向Dfの第4間隔S4、ならびに、前記第3接合部43の近傍の前記複数の第5接合部45同士の前記伸縮方向Dfの第4間隔S4のうちの少なくとも一方が前記第2間隔S2よりも小さい。
たとえば前記シール領域に接合部が設けられていない場合、同領域に接合部が設けられている場合に比べ、スナップバックの際に弾性部材が前記第3接合部よりも中央側に収縮し易いかもしれない。したがって、前記第1接合部とは反対側の前記第3接合部の近傍に前記第5接合部を設けるのが好ましいだろう。
【0017】
これらの場合、サイドシール近傍の接合部同士の間隔が狭いことから、伸縮シート(2枚のシート片およびその間の弾性部材)の収縮時に形成される襞の高さは、中間部分に形成される襞に比べて、サイドシール近傍の襞の方が小さい(高さが低い)。そのため、僅かに伸縮シートを伸張させるだけでサイドシール近傍は簡単に平坦化する。したがって、サイドシール近傍においてシートを貫通する方向の通気性は、高い襞が密集する中間部分よりも良好であろう。
【0018】
好ましくは、前記接合部のうち少なくとも1以上の接合部の前記伸縮方向Dfの幅Δが0.2mm以上1.0mm未満に設定されている。
好ましくは、前記接合部のうち少なくとも前記第1接合部41の前記伸縮方向Dfの幅Δが0.2mm以上1.0mm未満に設定されている。
好ましくは、前記接合部のうち少なくとも第1および第3接合部41,43の前記伸縮方向Dfの幅Δが0.2mm以上1.0mm未満に設定されている。
【0019】
これらの場合、各接合部の幅Δが小さいため、隣り合う接合部の間で形成される襞のピッチを小さくすることができる。
【0020】
特に、接合部同士の間隔が小さいサイドシール近傍においては、前記幅Δが小さいことで、小さい襞を美しく形成することができるであろう。
【0021】
また、弾性部材は超音波溶着装置のホーンなどの溶着装置に対し所定の速度で移動しており、そのため、個々の部分を観ると、前記幅とは関係なく、一定時間だけ加熱される。しかし、前記幅が大きいと、加熱される部分が連続して長くなる。そのため、熱が蓄積されて、シートや弾性部材が過剰に加熱されるおそれがある。
【0022】
ここで、各接合部の伸縮方向の幅Δが0.2mm以上1.0mm未満とは、少なくとも弾性部材と交差する部位での接合部の幅Δが0.2mm以上1.0mm未満であって、弾性部材間においては、接合部の長さ方向の過半(半分以上)の長さの部分について前記幅Δが0.2mm以上1.0mm未満であることを意味し、好ましくは、接合部の長さ方向の大半(80%以上)の長さの部分について前記幅Δが0.2mm以上1.0mm未満に設定される。
【0023】
すなわち、接合部の幅Δは、一部において1.0mm以上であってもよい。例えば、2条の接合部が互いに交差する場合、当該交差する部分の接合部の幅Δは1.0mm以上であってもよい。
一方、接合部の幅Δは、一部において0.2mm未満であってもよい。
【0024】
図1に示すように、前記接合部の前記伸縮方向Dfの幅Δは0.2mm以上1.0mm未満に設定されている。この例の場合、接合部において2枚のシート同士やシートと弾性部材Fとが美しく均質に接合されるであろう。
【0025】
シートや弾性部材が過剰に加熱されるおそれがあるという前述の観点から、前記接合部の幅Δは0.95mm以下が好ましく、0.9mm以下がより好ましく、0.85mm以下が最も好ましいだろう。
【0026】
一方、一般に、弾性部材と両シート片との接合力はシート片同士の接合力に比べ弱いだろう。したがって、接合部の幅Δが小さすぎると、弾性部材と両シート片との接合力が不足し易い。
かかる観点から前記接合部の幅Δは0.3mm以上が好ましく、0.35mm以上がより好ましく、0.4mm以上が最も好ましいだろう。
【0027】
弾性部材は、線状または索状であってもよい。例えば、弾性部材は、複数の糸ゴム(繊維状弾性体)が束状に集合したマルチストランドであってもよい。糸ゴムの材質としては、例えば、ポリウレタンが挙げられる。
【0028】
前記弾性部材の収縮力により、各胴回り部のシート片は前記弾性部材が収縮した状態で、多数の襞Pを形成する。前記シート片は、例えば多数の熱可塑性の繊維が積層された熱可塑性の不織布であってもよい。
【0029】
本着用物品の製造方法は、複数の連続弾性部材Fが2枚の連続シートW4の間に挟まれ、前記前後の胴回り部3となる一対の胴回り連続体40を生成する工程と、
前記一対の胴回り連続体40を互いに平行に前記胴回り方向Xに沿った搬送方向Lに搬送する工程と、
前記搬送中に前記吸収性本体2が前記一対の胴回り連続体40に架設されるように前記吸収性本体2を配置して連続積層体W1を生成する工程と、
前記一対の胴回り連続体40同士が互いに重なるように、前記吸収性本体2において前記連続積層体W1を2つに折る折り工程と、
前記前後の胴回り部3の前記搬送方向Lの端部E3となる部位において、前記一対の胴回り連続体40同士を互いに溶着して2列の前記サイドシール5,5を次々に形成する工程と、
前記2列のサイドシール5,5の間において、前記一対の胴回り連続体40を次々に切断して、個々の着用物品1を得る工程とを備え、
前記各胴回り連続体40を生成する工程は、
前記搬送方向Lに間欠的に、かつ、前記複数の連続弾性部材Fを横断するように、かつ、前記第1間隔S1が前記第2間隔S2よりも小さくなるように、前記連続シートW4同士を3本以上のストライプ状の接合部41~43で互いに溶着接合する。
【0030】
2列のサイドシール5,5の間において胴回り連続体40を次々に切断する際に、連続弾性部材Fも切断される。切断された連続弾性部材Fは第1接合部41までスナップバックする。この第1接合部41の接合力が十分な大きさでない場合、前記スナップバックの連鎖が生じ易い。
これに対し前記第1間隔S1が小さいことで、前記スナップバックの連鎖を抑制し得る。
【0031】
1つの前記各実施態様または下記の実施例に関連して説明/およびまたは図示した特徴は、1つまたはそれ以上の他の実施態様または他の実施例において同一または類似な形で、および/または他の実施態様または実施例の特徴と組み合わせて、または、その代わりに利用することができる。
【実施例
【0032】
本発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施例の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかし、実施例および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。本発明の範囲は請求の範囲によってのみ定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
【0033】
以下、本発明の実施例1にかかる着用物品1の構造が図面にしたがって説明される。
図1図3Dは実施例1を示す。
【0034】
図1および図2に示すように、本実施例1の着用物品1は、左右対称の形状および構造を有し、吸収性本体2および前後の胴回り部3を備えている。前記吸収性本体2は、着用者の前胴を覆い胴回り方向Xに延びる胴部、着用者の後胴を覆い胴回り方向Xに延びる胴部、ならびに、前記両胴部の間の股間を覆う股部22を有している。
【0035】
前記股部22は前記胴回り方向Xに直交する縦方向Yに延びる。前記吸収性本体2は股部22の一部又は全部を構成する。
【0036】
図1のように、完成品の状態では、前記股部22は前記胴回り方向Xに平行なラインにおいて2つに折られている。これにより、図2の前記前後の胴回り部3の胴回り方向Xの端部E3同士が図1のように互いに重なっている。本着用物品はパンツ型であり、前胴回り部3と後胴回り部3の胴回り方向Xの端部同士が互いに溶着されている。
【0037】
図2の前記吸収性本体2には図示しない吸収コアが設けられている。この吸収コアは体液を吸収する。前記吸収コアは、トップシートとバックシートとの間で挟まれている。各シートおよび吸収コアは互いに積層されている。
【0038】
前記トップシートは透液性の薄い不織布からなり、吸収コアの肌面を覆う。このトップシートの上には、図示しないカフが設けられていてもよい。
【0039】
前記バックシートは吸収コアの非肌面を覆い、液不透過性の樹脂シートからなる。前記吸収性本体2の前記縦方向Yの各端部には、前記各胴回り部3が貼り付けられている。
【0040】
前記各胴回り部3は、前記吸収性本体2から胴回り方向Xに突出している。つまり、前記胴回り部3は、股部22よりも胴回り方向Xに突出し吸収性本体2の両縁部(胴回り方向の端部)E2から胴回り方向Xに延び出している。
【0041】
各胴回り部3には、着用物品1を着用者にフィットさせるための弾性部材32が設けられている。この弾性部材32としては、たとえば、複数本の糸ゴムや平ゴムまたは熱可塑性樹脂を含む材料などを採用することができる。また、弾性部材32は吸収性本体2と重なる部分において、無効化され(収縮力がない状態とされ)ていてもよい。各弾性部材32は互いに平行に胴回り方向Xに延びていてもよい。
【0042】
前記吸収性本体2には、着用者の脚部に沿って括れた脚回り部(図示せず)が形成されてもよい。前記脚回り部や、前記胴回り部3の脚回り部に連なる部位には、着用者の脚回りに沿うように、たとえば、糸ゴムなどからなる別の弾性部材が設けられていてもよい。
【0043】
前記吸収性本体2は前記胴回り部3の肌面に付着されている。
本明細書において、「肌面」とは着用物品1の着用時において着用者の肌に対面する面をいい、「非肌面」とは前記肌面とは反対の面をいう。
【0044】
つぎに、本着用物品1の更なる詳細について説明される。
【0045】
図2において、前記前後の胴回り部3の各々は、胴回り方向Xに延びる複数の弾性部材32が2枚の不織布シート片31の間に挟まれて形成されている。グレーで表記された多数の第1~第3および第5接合部41~43、45において、前記2枚のシート片31は互いに溶着接合されている。図3Aおよび図3Cのように、前記多数の各接合部41~43、45は前記弾性部材32に重なっており、図3Bおよび図3Dに示すように、接合部41~43、45で互いに接合された各胴回り部の2枚のシート片31は弾性部材32の収縮力により襞(ギャザー)Pを形成する。すなわち、前記弾性部材32が収縮している状態において、前記複数の接合部41,42,43,45の間に複数の襞Pが現れるように構成されている。なお、図3Bおよび図3Dにおいて2枚のシート片の間に挟まれる弾性部材の図示は省略されている。
【0046】
図2に示すように、前記多数の各接合部41~43、45は、胴回り方向X(弾性部材32の伸縮方向Df)に直交する縦方向Y(交差する方向Dp)に互いに平行に(前記胴回り方向に互いに離間して)ストライプ状に配列されている。すなわち、前記多数の各接合部41~43、45は、前記胴回り方向Xに間欠的に配置され、かつ、前記複数の弾性部材32に直交する前記縦方向Yに連続的に(連続して)配置されている。
【0047】
図1に示すように、グレーで表記した多数のサイドシール5において、前記前後の胴回り部3が互いに溶着接合されている。前記多数のサイドシール5は前記前後の胴回り部3の前記胴回り方向Xの端部E3において前記縦方向Yに間欠的に配置されている。
本例の場合、縦方向Yに延びる第1~第3、第5接合部41~43、45およびサイドシール5の各列は胴回り方向Xに互いに平行に、かつ、離間して配置されている。
【0048】
各着用物品が個々の着用物品の単位に切断される際に、弾性部材32も切断され、サイドシール5と弾性部材32とが重なっていない部位では、いわゆるスナップバックが生じ、弾性部材32が収縮する。
また、図3Cに示すように、前記サイドシール5は縦方向Y(交差する方向Dp)に密に間欠的に配置されており、一部において弾性部材32と配置が重なっている。そのため、弾性部材32はサイドシール5において溶断されている場合があり、このような場合、弾性部材32の端部は、スナップバックにより収縮する。
【0049】
図1において、第1接合部41と前記サイドシール5との間には、第1間隔S1が設定されている。第2接合部42同士の間には第2間隔S2が設定されている。
【0050】
図1の前記第1間隔S1は前記複数の接合部41,42,43,45のうち前記サイドシール5に最も近接した第1接合部41と前記サイドシール5との前記伸縮方向Dfの第1間隔S1である。前記第2間隔S2は前記複数の接合部41,42,43,45のうちの、前記胴回り部3の前記端部E3,E3間の中間部分において互いに隣り合う第2接合部42同士の前記伸縮方向Dfの第2間隔S2である。
なお、中間部分とは前記端部E3およびその近傍を除く前記胴回り部の胴回り方向Xの中央領域を意味する。たとえば、図1において、前記吸収性本体2の前記胴回り方向Xの幅に対応する前記胴回り部の領域において複数の前記第2接合部42が設けられている。
【0051】
前記第1間隔S1は前記第2間隔S2よりも小さい。なお、前記第2間隔S2は例えば4~6mm程度に設定されてもよい。
【0052】
図1において前記複数の接合部41~43のうち前記第1接合部41に隣り合う第3接合部43と前記第1接合部41との前記伸縮方向Dfの間には第3間隔S3が設定されている。また、前記第3接合部43に隣り合う第5接合部45と前記第3接合部との前記伸縮方向Dfの間、および、前記第3接合部43の近傍の前記第5接合部45同士の前記伸縮方向Dfの間には第4間隔S4が設定されている。
【0053】
これらの第3間隔S3および第4間隔S4は前記第2間隔S2よりも小さい。なお、前記第3間隔S3および第4間隔S4は例えば2~3mm程度に設定されてもよい。
【0054】
図1において、前記各接合部41~43、45の前記伸縮方向Dfの幅Δは例えば0.5~0.7mm程度に設定されてもよい。
【0055】
つぎに、本着用物品1の製造方法が説明される。
【0056】
図4に示すように、搬送方向Lに延びる複数本の連続弾性部材Fが搬送方向Lに伸張された状態で搬送方向Lに搬送される。
【0057】
図示しないニップロールは前記搬送方向Lに延びる一対の側縁部4Eを有する2枚の連続シート(例えば連続不織布)W4の間に前記連続弾性部材Fを挟むと共に、前記連続シートW4が互いに重なるように接合して連続体40を生成する。
【0058】
すなわち、図5の前記搬送方向Lに間欠的に、かつ、前記複数の連続弾性部材Fを横断するように前記複数の連続シートW4同士が多数の第1~第3、第5接合部41~43、45で互いに溶着接合される。ここで、図1に示すように、前記第1間隔S1、前記第3間隔S3および前記第4間隔S4が前記第2間隔S2よりも小さくなるように前記溶着接合が実行される。なお、この溶着接合はヒートシール(熱溶着)であってもよいし、超音波エネルギーによる溶着であってもよい。
【0059】
前記連続体40は前記吸収性本体2と重なる部位において、前記連続弾性部材Fの一部が切断等されて無効化されてもよい。なお、無効化された領域には吸収性本体2が後の工程で貼付けられる。
【0060】
図5に示すように、前記一対の側縁部4Eを有する連続体40は搬送方向Lに搬送されながら搬送方向Lに沿ってスリッタ(図示せず)でスリットされる。これにより、前記連続体40は前後の胴回り部となる一対の胴回り連続体40となる。前記スリット後、前記搬送方向Lに直交する縦方向Yに互いに離間するように、前記2つの胴回り連続体40が前記縦方向Yに相対移動される。
【0061】
その後、前記一対の胴回り連続体40が互いに概ね平行に前記搬送方向Lに搬送されながら、前記吸収性本体2が前記一対の胴回り連続体40に跨り、かつ、前記各胴回り連続体40に一部において重なるように前記吸収性本体2が配置(架設)されて、連続積層体W1が生成される。
【0062】
その後、図6に示すように、前記連続積層体W1は前記一対の胴回り連続体40同士が互いに重なるように、前記吸収性本体2において2つに折り畳まれる。
【0063】
図6に示すように、前記前後の胴回り部3となる部分の前記搬送方向Lの端部E3(図1)において、かつ、前記複数の接合部のうちの互いに隣り合う第1接合部41同士の間のサイドシール5において、前記一対の胴回り連続体40同士が互いに溶着接合される。なお、この溶着接合は超音波ホーンの超音波エネルギーによる溶着であってもよいし、ヒートシールであってもよい。
【0064】
その後、図6の前記連続積層体W1は一点鎖線で示す仮想の切断線に沿って個々の着用物品1ごとの大きさ(単位)に切り取られる。すなわち、個々の着用物品1を次々に生成するために、連続積層体W1が前記搬送方向Lに互いに隣り合う吸収性本体2同士の間において縦方向Yに次々に切断される。こうして、着用物品1の胴回り方向X(図1)の端部E3となる位置において、かつ、2列のサイドシール5,5の間において、一対の胴回り連続体40が次々に切断される。これにより、図1に示す個々のパンツ型着用物品1が得られる。
【0065】
図7Aおよび図7Bは実施例2を示す。以下、実施例1と異なる構造について主に説明し、実施例1と同様の構造については説明を省略する。
【0066】
本例の場合、図7Bに明示する第4接合部44においても、一対のシート3,3が互いに溶着されている。前記第4接合部44は前記サイドシール5と重なっている。
すなわち、前記第4接合部44は、前記2枚のシート片31同士を互いに溶着し、前記弾性部材32を前記2枚のシート片31に固定し、かつ、前記弾性部材32の伸縮方向Dfに交差する方向Dpに連続して設けられている。前記サイドシール5が配置された前記端部E3のシール領域A5において、前記第4接合部44は前記サイドシール5の一部に重なるように配置されている。なお、本例の場合、2列の前記第4接合部44が前記シール領域5Aに設けられている。
【0067】
一方、実施例1は、図2に示すように、前記サイドシール5が配置された前記端部E3のシール領域A5において、前記複数の接合部の全てが前記サイドシール5に重なることなく配置されている。
【0068】
なお、前記各例において、各接合部41~45は互いに平行に、かつ、胴回り方向Xに直交する方向に延びている。しかし、ストライプ状の接合部は直交する方向Yに対し傾いた方向に延びていてもよく、更には各接合部同士が互いに交差する方向に斜めの2方向に延びていてもよい。
【0069】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、本着用物品は、カフなどを有していなくてもよい。また、胴回り部材における吸収性本体とラップする部位以外の部位についても、弾性部材の張力が無効化されてもよい。
また、胴回り連続体40は2つにスリットされて生成されなくてもよい。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明はパンツタイプの着用物品に適用できる。
【符号の説明】
【0071】
1:着用物品 2:吸収性本体 22:股部
3:胴回り部 31:シート片 32:弾性部材 40:胴回り連続体 41:第1接合部 42:第2接合部 43:第3接合部 44:第4接合部 45:第5接合部
5:サイドシール E2:縁部 E3:端部 A5:シール領域
Df:伸縮方向 F:連続弾性部材 L:搬送方向 P:襞 S1,S2,S3:間隔 X:胴回り方向 Y:直交する方向(縦方向)
W1:連続積層体 W4:連続シート Δ:接合部の幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7