(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】UV-LEDフォトリアクタ中の流体に対する放射線量を制御するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
B01J 19/12 20060101AFI20220616BHJP
C02F 1/32 20060101ALI20220616BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
B01J19/12 C
C02F1/32
A61L9/20
(21)【出願番号】P 2018555797
(86)(22)【出願日】2017-01-19
(86)【国際出願番号】 CA2017050060
(87)【国際公開番号】W WO2017124190
(87)【国際公開日】2017-07-27
【審査請求日】2020-01-16
(32)【優先日】2016-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505093792
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティ オブ ブリティッシュ コロンビア
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF BRITISH COLUMBIA
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】ファリボルツ、タギープール
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/115146(WO,A1)
【文献】特表2009-506860(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0114912(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 10/00-12/02
14/00-19/32
C02F 1/20- 1/26
1/30- 1/38
A61L 2/00- 2/28
9/00- 9/22
11/00-12/14
B01D 46/00-46/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
UV放射線で流体を照射する紫外線(UV)リアクタであって、
流体入口、流体出口、および前記入口と前記出口との間に配置された長手方向に延伸する流体流路を備える流体導管であって、前記流体流路は、前記流体が前記長手方向に流れることを可能にするために長手方向に延伸する、流体導管と、
ソリッドステートUVエミッタであって、前記ソリッドステートUVエミッタの放出領域から放射経路に沿って放射線を放出するように構成されている、ソリッドステートUVエミッタと、
前記流体流路内に前記放射線の少なくともいくつかを方向付けるために前記放射経路内に位置決めされている1つまたは複数のレンズを備える放射線集束素子と
を備え、
前記1つまたは複数のレンズは、焦点距離を有し、前記ソリッドステートUVエミッタの前記放出領域から前記焦点距離と異なる距離離間して位置されていて、前記ソリッドステートUVエミッタが前記放射線を放出するときに、前記ソリッドステートUVエミッタの前記放出領域から放出された少なくともいくつかの放射線は、前記1つまたは複数のレンズによって前記流体流路内へと屈折さ
れ、
前記流体が前記流体流路を通過するとき、前記流体流路は、前記流体流路の断面の部分にわたった前記流体流路の長手方向寸法にわたる平均長手方向流体速度プロファイルを規定し、前記平均長手方向流体速度プロファイルは平均放射線フルエンス率プロファイルと正の相関を有する、UVリアクタ。
【請求項2】
前記放射線集束素子は、放射線フルエンス率プロファイルを変更するように調整可能である、請求項1に記載のUVリアクタ。
【請求項3】
前記ソリッドステートUVエミッタの前記放出領域および前記1つまたは複数のレンズは、前記ソリッドステートUVエミッタの前記放出領域から放出され且つ前記1つまたは複数のレンズによって前記流体流路内へと屈折される前記放射線が、前記流体流路の断面の一部分にわたる、前記流体流路内の楕円放物体形状と正の相関を有するように位置されている、請求項1または2に記載のUVリアクタ。
【請求項4】
前記断面の前記部分が、前記流体流路の全断面の表面積の70%を超える面積を含む、請求項3に記載のUVリアクタ。
【請求項5】
前記ソリッドステートUVエミッタの前記放出領域および前記1つまたは複数のレンズは、前記放射経路の中心軸が長手方向に平行であるように位置されている、請求項1から
4のいずれか一項に記載のUVリアクタ。
【請求項6】
前記楕円放物体の軸は前記放射経路の中心軸および前記流体流路の中心軸と整列している、請求項3
または4に記載のUVリアクタ。
【請求項7】
前記放射線集束素子が複数のレンズを含み、前記UVリアクタが複数のソリッドステートUVエミッタを含み、前記複数のレンズが、前記複数のソリッドステートUVエミッタの各々に対応するレンズを含み、前記複数のソリッドステートUVエミッタの対応する1つから放出された放射線を前記流体流路内に方向付けるように位置されている、請求項1から
4のいずれか一項に記載のUVリアクタ。
【請求項8】
前記UVリアクタが複数のソリッドステートUVエミッタを含み、前記1つまたは複数のレンズが、前記複数のソリッドステートUVエミッタからの前記放射線が前記流体流路内に方向付けられるように前記複数のソリッドステートUVエミッタに対して位置された少なくとも1つの共有されるレンズを含む、請求項1から
4のいずれか一項に記載のUVリアクタ。
【請求項9】
前記ソリッドステートUVエミッタの前記放出領域および前記1つまたは複数のレンズは、前記ソリッドステートUVエミッタが前記放射線を放出するときに、前記流体流路の断面中心に相対的に近接する断面位置における前記長手方向寸法にわたる前記放射線の第1の平均放射線フルエンス率プロファイルは、前記流体流路の前記断面中心から相対的に離れた断面位置における前記放射線の前記長手方向寸法にわたる第2の平均放射線フルエンス率プロファイルより大きくなるように位置されている、請求項1から
8のいずれか一項に記載のUVリアクタ。
【請求項10】
前記ソリッドステートUVエミッタが少なくとも1つのUV発光ダイオード(UV-LED)または少なくとも1つの誘電体薄膜のうちの1つ以上を含む、請求項1から
9のいずれか一項に記載のUVリアクタ。
【請求項11】
前記1つまたは複数のレンズが、収束レンズ、発散レンズ、またはコリメートレンズのうちの1つまたは複数を含む、請求項1から
10のいずれか一項に記載のUVリアクタ。
【請求項12】
放射線フルエンス率プロファイルは、前記放射経路の中心領域において最大放射線フルエンス率を有する、請求項1から
11のいずれか一項に記載のUVリアクタ。
【請求項13】
前記流体流路内に配置され且つ前記流体流路に流れる前記流体の長手方向速度プロファイルを制御するように成形された1つまたは複数の流れ制約要素を備え、
前記1つまたは複数の流れ制約要素は、静的ミキサ、ボーテックスジェネレータ、バッフル、穿孔材料、多孔性材料のうちの1つ以上を含む、請求項1から
12のいずれか一項に記載のUVリアクタ。
【請求項14】
前記ソリッドステートUVエミッタは、
第1のエミッタから第1の放射経路に沿って第1の放射線を放出するように構成された第1のソリッドステートUVエミッタ、および
第2のエミッタから第2の放射経路に沿って第2の放射線を放出するように構成された第2のソリッドステートUVエミッタを含む、請求項1から
13のいずれか一項に記載のUVリアクタ。
【請求項15】
前記1つまたは複数のレンズは、
第1の収束レンズである第1のレンズ、および
第2の収束レンズである第2のレンズを含む、請求項1から
14のいずれか一項に記載のUVリアクタ。
【請求項16】
前記1つまたは複数のレンズは、
収束レンズである第1のレンズ、および
コリメートレンズである第2のレンズを含む、請求項1から
14のいずれか一項に記載のUVリアクタ。
【請求項17】
前記第1のレンズは、前記ソリッドステートUVエミッタを含むデバイスに一体化される、請求項
15または
16に記載のUVリアクタ。
【請求項18】
前記第2のレンズは、前記デバイスから離間される、請求項
17に記載のUVリアクタ。
【請求項19】
前記流体流路の内壁は、UV反射材料を含むかUV反射材料によってコーティングされ、前記ソリッドステートUVエミッタが放射線を放出したときに、前記内壁からの前記放射線の反射が放射線フルエンス率プロファイルに寄与する、請求項1
から18のいずれか一項に記載のUVリアクタ。
【請求項20】
前記1つまたは複数のレンズが収束レンズを含む、請求項1から
19のいずれか一項に記載のUVリアクタ。
【請求項21】
前記放出領域は、前記流体流路の前記長手方向の前記1つまたは複数のレンズから離間され、前記放出領域および前記1つまたは複数のレンズは、前記流体流路の共通の長手方向軸上にある、請求項1から
20のいずれか一項に記載のUVリアクタ。
【請求項22】
請求項1に記載のUVリアクタの使用方法であって、
流体流が前記流体導管を通って流れるようにすることであり、結果、前記流体流が、前記流体流路の前記断面の前記部分にわたって、前記流体流路の前記長手方向寸法にわたる平均長手方向流体速度プロファイルを有するようになることと、
前記ソリッドステートUVエミッタの前記放出領域から放出される少なくともいくつかの放射線を、少なくとも1つのレンズを通じて、流体流路へと通過させることであり、結果、前記流体流路の前記断面の前記部分にわたる平均放射線フルエンス率プロファイルを生成させ、前記流体流路の前記断面の前記部分にわたる前記平均放射線フルエンス率プロファイルは、前記平均長手方向流体速度プロファイルと正の相関を有することと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2016年1月19日に出願された「METHODS AND APPARATUS FOR CONTROLLING RADIATION DOSE TO FLUIDS IN UV-LED PHOTOREACTORS」と題する米国特許出願第62/280,637号の優先権を主張する。米国のために、本出願は、2016年1月19日に出願された「METHODS AND APPARATUS FOR CONTROLLING RADIATION DOSE TO FLUIDS IN UV-LED PHOTOREACTORS」と題する米国特許出願第62/280,637号の、米国特許法第119条に基づく利益を主張する。米国特許出願第62/280,637号は、あらゆる目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、紫外線(UV)フォトリアクタに関し、より詳細には、紫外線発光ダイオード(UV-LED)によって動作するUVリアクタに関する。特定の実施形態は、UV-LEDフォトリアクタを通って移動する流体への放射線量の送達を制御するための方法および装置を提供する。
【背景技術】
【0003】
紫外線(UV)リアクタ、UV放射線を投射するリアクタ、は、多くの光反応、光触媒反応、および光開始反応に適用される。UVリアクタの用途の1つは、水および空気の浄化である。特に、近年、UVリアクタは、水処理の最も有望な技術の1つとして台頭している。従来技術のUVリアクタシステムは、典型的には、UV放射線を発生させるために低および中圧水銀ランプを使用する。
【0004】
発光ダイオード(LED)は、典型的には、LEDによって放出される放射線が(多くの用途のために)単色(すなわち単一波長)であると考えられるような狭い帯域幅の放射線を放出する。LED技術の最近の進歩により、LEDは、DNA吸収のための波長および光触媒活性化のために使用することができる波長を含む種々の波長のUV放射線を生成するように設計することができる。
【0005】
UV-LEDリアクタは、一般に、水の殺菌などの用途で流体を照射するために使用され得る。しかしながら、典型的なUV-LEDリアクタでは、放射力分布の相当の変動があり、放射フルエンス率分布が不均一になり、これは場合によってはかなり大きくなる可能性がある。フルエンス率(W/m2単位)は、全方向から断面積dAの極小球を通過する放射束(強度)をdAで除算したものである。さらに、典型的には流体速度分布に変動があり、リアクタ内の流体の滞留時間の分散を引き起こす。フルエンス率分布および速度分布のこれらの2つの現象のいずれか、またはこれらの2つの現象の組み合わせは、リアクタを通過する際に流体要素の相当に広い範囲のUV線量分布をもたらす可能性がある。UVフルエンス率分布および速度分布(滞留時間分布に関連する速度分布)における変形形態は、十分なUV線量(UVフルエンス率と滞留時間との積)を受けることなく、流体の一部分にUVリアクタを通過させることがあり、これは、UVリアクタの技術分野における既知の問題であり、「短絡」と呼ばれることがある。短絡は、UVリアクタの性能に著しく好ましくない影響を与える可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
関連技術の前述の例およびこれに関連する制限は、例示的であり排他的ではないことを意図している。関連技術の他の制限は、明細書の読解および図面の検討を受けて当業者に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下の実施形態およびその態様は、例示的かつ説明的なものであり、範囲を限定するものではないことが意図されたシステム、ツールおよび方法と関連して説明および図示されている。様々な実施形態において、上記の問題の1つまたは複数が低減または排除されており、一方で、他の実施形態は他の改善に関する。
【0008】
本発明の1つの態様は、流体環境と光学環境の両方を正確に制御するUV-LEDリアクタを提供する。UV-LEDリアクタは、有利には、小さなフットプリントで流体流に高く均一な放射線曝露を与え、有利には、少なくともいくつかの従来技術のリアクタよりも効率的でコンパクトなUV-LEDリアクタを提供することができる。UV-LEDリアクタは、例えば、UVベースの水処理など(以下でさらに詳細に説明する)を含む、様々なUV光反応用途のためのデバイスに組み込むことができる。
【0009】
本発明の1つの態様は、流体流を輸送するための流体導管と、ソリッドステートUVエミッタ(例えば、紫外線発光ダイオードすなわちUV-LED)と、1つまたは複数のレンズを備える放射線集束素子とを備える紫外線(UV)リアクタを提供する。流体導管は、流体入口および流体出口、ならびに、流体入口と流体出口との間に配置された、長手方向に延伸する流体流路を備えることができ、流体流路は、流体が流体流路を長手方向に流れることを可能にするために、長手方向に延伸する。1つまたは複数のレンズは、ソリッドステートUVエミッタからの放射線を流体流路を流れる流体に衝突させるように方向付けるために、ソリッドステートUVエミッタから放出される放射線の放射経路内に位置決めすることができる。1つまたは複数のレンズは、流体流路の空孔の断面の一部分にわたる、流体流路の長手方向寸法にわたる平均放射線フルエンス率プロファイルを提供するように構成することができ、これは、流体流路の空孔の断面の一部分にわたる、流体流路の長手方向寸法にわたる平均長手方向流体速度プロファイルと正の相関を有する。1つまたは複数のレンズは、断面の一部分にわたる、長手方向寸法にわたる平均長手方向の流体速度プロファイルと正の相関を有する、断面の一部分にわたる、長手方向寸法にわたる平均放射線フルエンス率プロファイルを提供するために、様々なレンズタイプ、1つまたは複数のレンズの形状、1つまたは複数のレンズの位置および1つまたは複数のレンズの屈折率の中からの1つまたは複数のレンズの選択の1つまたは複数によって構成することができる。
【0010】
放射線集束素子は、ソリッドステートUVエミッタに近接して配置されている、集束レンズ、または2つ以上の集束レンズの組み合わせを含むことができる。集束レンズ(複数可)は、収束レンズ、発散レンズ、コリメートレンズ、または、コリメートレンズ、収束レンズ、発散レンズもしくは任意の他のタイプのレンズの任意の組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、集束レンズは、UVエミッタに光学的に隣接する収束レンズ、および、収束レンズから何らかの適切な距離だけ離れているコリメートレンズを含むことができる。
【0011】
例えば、流体流路の空孔の断面の一部分内の任意の断面位置において、本技術の実施形態は、長手方向寸法にわたる平均長手方向流体速度がより高い場合にはより高くなり得、平均長手方向流体速度がより低い場合にはより低くなり得る、長手方向寸法にわたる平均放射線フルエンス率、すなわち、平均放射線フルエンス率と平均長手方向速度との間の正の相関を提供する。例えば、流体流路の空孔の断面の部分内の任意の位置において、本技術の実施形態は、長手方向寸法にわたる平均長手方向流体速度がより高くなり得る空孔の中心において相対的に高くなり得、長手方向寸法にわたる平均長手方向流体速度がより低くなり得る流体流路の空孔の縁部付近で、または断面の中心から離れた他の位置で相対的に低くなり得る、長手方向寸法にわたる平均放射線フルエンス率を提供する。一般に、平均放射線フルエンス率と平均長手方向速度との間の正の相関は、断面の中心において平均長手方向速度がより高い状況に限定されず、レンズ(複数可)の適切な構成を使用して、他の平均長手方向速度断面プロファイルに対してこの正の相関を確立することができる。いくつかの実施形態では、流体流導管の空孔の断面の部分内の平均放射線フルエンス率と平均長手方向流体速度との間のこの正の相関が、平均長手方向流体速度に対する平均放射線フルエンス率のほぼ比例の関係であることが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、流体流路の空孔の断面の部分内の平均長手方向流体速度に対する平均放射線フルエンス率のこの比例関係は、正確な比例関係である必要はなく、代わりに、断面の部分にわたって±50%未満変化する比例定数を有するように比例であってもよい。いくつかの実施形態では、この比例定数は±25%未満変化する。いくつかの実施形態では、この比例定数は±15%未満変化する。いくつかの実施形態では、この比例定数は±10%未満変化する。上述の比例関係が存在する流体流路の空孔の断面の部分は、いくつかの実施形態では流体流路の空孔の全断面積の50%より大きくてもよく、いくつかの実施形態では、流体流路の空孔の全断面積の75%より大きくてもよく、いくつかの実施形態では、流体流路の空孔の全断面積の85%より大きくてもよい。
【0012】
さらに、長手方向に延伸する流体流路の空孔の断面の一部分内の任意の特定の放射線フルエンス率プロファイルに対して、長手方向に延伸する流体流路の空孔内の流体流を抑制するために、1つまたは複数の流れ制約要素を、流体流路に配備することができ、長手方向に延伸する流体流路の空孔の断面の一部分にわたる平均(長手方向寸法にわたる)放射線フルエンス率プロファイルと正の相関を有する、長手方向に延伸する流体流路の空孔の断面の部分にわたる平均(長手方向寸法にわたる)長手方向速度プロファイルを提供するための形状および/または位置にすることができる。
【0013】
例えば、平均放射線フルエンス率が流体流路の空孔の断面の中心において相対的に高い特定の場合において、中心に開口を有するリングバッフルが、平均放射線フルエンス率がより高い、流体流路の空孔の断面の中心において相対的に高い平均長手方向速度を提供し、平均放射線フルエンス率がより低い、流体流路の空孔の断面の縁部付近において相対的に低い平均長手方向速度を提供するために、開口が空孔の断面中央にあるように配備され得る。バッフル形状および/または位置は、(前述の比例関係が存在する)流体流路の空孔の断面の一部分にわたって平均放射線フルエンス率分布と正の相関を有する平均長手方向速度分布を提供するように調整することができる。いくつかの実施形態では、流体流導管の空孔の断面の部分内の平均長手方向流体速度と平均放射線フルエンス率との間のこの正の相関が、平均放射線フルエンス率に対する平均長手方向流体速度のほぼ比例の関係であることが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、流体流路の空孔の断面の部分内の平均放射線フルエンス率に対する平均長手方向流体速度のこの比例関係は、正確な比例関係である必要はなく、代わりに、断面の部分にわたって±50%未満変化する比例定数を有するように比例であってもよい。いくつかの実施形態では、この比例定数は±25%未満変化する。いくつかの実施形態では、この比例定数は±15%未満変化する。いくつかの実施形態では、この比例定数は±10%未満変化する。上述の比例関係が存在する流体流路の空孔の断面の部分は、いくつかの実施形態では流体流路の空孔の全断面積の50%より大きくてもよく、いくつかの実施形態では、流体流路の空孔の全断面積の75%より大きくてもよく、いくつかの実施形態では、流体流路の空孔の全断面積の85%より大きくてもよい。
【0014】
バッフル(または他の流れ制約要素(複数可))は静的であってもよい。バッフル(または他の流れ制約要素(複数可))はまた、流体流路内のUV放射線フルエンス率プロファイルに合致するように、様々な入来する流動様式に適応するように動的に調整することもできる。例えば、流体流の長手方向に対するバッフルの角度は、旋回軸を中心にバッフルを回転させることによって変化させることができ、またはその長手方向および/または横方向の寸法(s0を、バッフルの伸長可能な部分(複数可)の適切な調整具をスライドさせることによって調整することができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、リアクタは、長手方向に延伸する流体流路のアレイを含むことができ、その任意の数は、本明細書に記載の長手方向に延伸する流体流路と同様の特性を含み得る。いくつかの実施形態では、このような流体流路の各々は、対応する放射線集束素子を介して1つまたは複数の対応するソリッドステートUVエミッタによって照射することができる。対応するソリッドステートUVエミッタおよび/または対応する放射線集束素子は、それらの対応する長手方向に延伸する流体流路の長手方向端部に位置決めすることができ、その結果、照射方向は、一般に、流体流に(ならびに、流体流の方向および/または流体流の反対の方向に)(すなわち、長手方向に)に平行である。リアクタは、異なるUV波長を放出する複数のUV-LEDを備えることができる。リアクタは、リアクタ内の構造上に支持された光触媒を備えることができる。リアクタは、リアクタに添加される化学物質を備えることができる。UV-LEDは、外部信号によって自動的にオン/オフすることができる。リアクタは、静的ミキサ、ボーテックスジェネレータ、バッフル等のような、導管内の流体流を抑制するための1つまたは複数の構成要素を含むことができる。
【0016】
別の態様では、本発明は、流体入口および流体出口、ならびに、流体入口と流体出口との間に配置された、長手方向に延伸する流体流路を備える導管を通る流体流内でUV光反応またはUV光開始反応を得る方法を提供し、流体流路は、流体が流体流路を長手方向に流れることを可能にするために、長手方向に延伸する。これは、長手方向に延伸する流体流路を通じて長手方向に流体を流すことと、少なくとも1つのソリッドステートUVエミッタの放射経路内に1つまたは複数のレンズを含む放射線集束素子を位置決めすること、および、ソリッドステートUVエミッタからの集束放射線が、長手方向に延伸する流体流路内の長手方向に流れる流体に衝突するように(例えば、長手方向に)方向付けられるように、1つまたは複数のレンズを位置決めすることによって達成される。方法は、流体流路の空孔の断面の一部分にわたる、流体流路の長手方向寸法にわたる平均放射線フルエンス率プロファイルを提供するように、1つまたは複数のレンズを構成することを含むことができ、放射線フルエンス率プロファイルは、流体流路の空孔の断面の一部分にわたる、流体流路の長手方向寸法にわたる平均長手方向流体速度プロファイルと正の相関を有する。1つまたは複数のレンズを構成することは、複数のレンズタイプの中から1つまたは複数のレンズを選択すること、1つまたは複数のレンズを成形すること、1つまたは複数のレンズを位置決めすること、および、屈折率を有する材料から1つまたは複数のレンズを製造することを含む。いくつかの実施形態では、流体流導管の空孔の断面の部分内の平均放射線フルエンス率と平均長手方向流体速度との間のこの正の相関が、平均長手方向流体速度に対する平均放射線フルエンス率のほぼ比例の関係であることが望ましい場合がある。上述の比例関係が存在する流体流路の空孔の断面の部分内の平均放射線フルエンス率プロファイルと平均長手方向流体速度プロファイルとの間の関係は、本明細書において上記または他の箇所に記載の特性のいずれかを有することができる。光触媒を使用して、流体中の光触媒反応を促進することができる。UV反応性化学物質を使用して、光開始反応を促進することができる。
【0017】
また別の態様では、本発明は、水または空気のような流体の処理のための方法を提供し、流体は、流体入口および流体出口、ならびに、流体入口と流体出口との間に配置された、長手方向に延伸する流体流路を備える導管を通じて流れ、流体流路は、流体が流体流路を長手方向に流れることを可能にするために、長手方向に延伸する。これは、長手方向に延伸する流体流路を通じて長手方向に流体を流すことと、少なくとも1つのUV発光ダイオード(UV-LED)の放射経路内に放射線集束素子を位置決めすること、および、UV-LEDからの集束放射線が、長手方向に延伸する流体流路内の長手方向に流れる流体に衝突するように(例えば、長手方向に)方向付けられるように、放射線集束素子を構成(例えば、適切な屈折率を有する材料から選択、成形、位置決め、作製など)することによって達成される。放射線集束素子は、長手方向に延伸する流体流路の空孔の断面の一部分にわたる平均(長手方向に延伸する流体流路の長手方向寸法にわたる)長手方向流体速度プロファイルと正の相関を有する、長手方向に延伸する流体流路の空孔の断面の一部分にわたる平均(長手方向に延伸する流体流路の長手方向寸法にわたる)放射線フルエンス率プロファイルを提供するように構成(例えば、適切な屈折率を有する材料から選択、成形、位置決め、作製など)することができる。いくつかの実施形態では、流体流導管の空孔の断面の部分内の平均放射線フルエンス率と平均長手方向流体速度との間のこの正の相関が、平均長手方向流体速度に対する平均放射線フルエンス率のほぼ比例の関係であることが望ましい場合がある。上述の比例関係が存在する流体流路の空孔の断面の部分内の平均放射線フルエンス率プロファイルと平均長手方向流体速度プロファイルとの間の関係は、本明細書において上記または他の箇所に記載の特性のいずれかを有することができる。流体流中の微生物汚染物質および化学汚染物質は、紫外線放射が流体流中に放出される間、不活性化および/または除去することができる。
【0018】
UVリアクタの効率は、リアクタ内の流体に供給される放射曝露である全UVフルエンスによって決定することができる。UVフルエンスは、UVフルエンス率の積であり、入射放射強度(放射方向のすべての方向から、断面積dAの極小球を通過する放射強度の積分をdAで除算した値)を含むかまたはそれに関連するUVフルエンス率と、曝露時間との積である。UVリアクタのフルエンス率は、リアクタ内のUV-LED放射強度プロファイルを調整することによって制御することができ、曝露時間は、リアクタを通って移動する流体のリアクタ流体力学を調整することによって制御することができる。本発明のいくつかの実施形態のUV-LEDリアクタは、リアクタを通って移動する流体の放射強度プロファイルおよび流体力学の両方の正確な制御によって、高いリアクタ性能を提供する。さらに、本発明のいくつかの実施形態のUV-LEDリアクタは、リアクタ内で処理されている流体に対するUV線量(フルエンス)分布の均一性を高め、UV放射線エネルギーをリアクタ壁へと失う代わりに、UV放射線の大部分を流体に直接供給することによって、効率を改善することができる。
【0019】
一変形形態では、本発明の一態様は、流体中に光反応または光開始反応を引き起こすために、1つまたは複数の紫外発光ダイオード(UV-LED)によって動作するリアクタを提供する。UV-LEDリアクタは、1つのUV-LEDまたはUV-LEDのアレイのいずれかによって照射される流体が対応する長手方向に流れる単一または一連の長手方向に延伸する流体流路(導管、チューブ)を備える。リアクタは、単一の長手方向に延伸する流体流路、一連の平行な流体流路、または複数の流体流路からなるスタックを備えることができる。マルチチャネルリアクタでは、流体流は、チャネルを並列または直列(流路がそれらの端部において流体連通している場合、流体流は一方の流路から他方の流路へ進む)に進むことができる。流体は、主に長手方向に延伸するチャネルの長手方向に流れることができる。UV-LED放射線は、1つもしくは複数の収束レンズ、1つもしくは複数のコリメートレンズ、または1つもしくは複数の集束レンズと1つもしくは複数のコリメートレンズとの組み合わせなどの放射線集束素子を介して集束される。いくつかの実施形態では、集束素子は、UVエミッタに光学的に隣接する収束レンズ、および、収束レンズから何らかの適切な距離だけ離れているコリメートレンズを含むことができる。リアクタチャネル内の長手方向に流れる流体は、チャネルの長手方向においてUV-LEDからの集束放射によって照射される。LEDは、流路の一端または両端に位置決めすることができる。流体に供給される全UV線量(UVフルエンス)は、流体流量を調整すること、および/または、UV-LED放射強度を調節すること、および/または、複数のUV-LEDをオン/オフすることによって制御することができる。本発明のいくつかの実施形態によるリアクタ構成は、すべて一体化された構成要素を有する効率的でコンパクトなUVリアクタの設計および製造を容易にする。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態では、放射線集束素子は、UV-LEDに近接して位置決めされた1つもしくは複数のコリメートレンズまたは1つもしくは複数の収束レンズなどの1つまたは複数の集束レンズを含む。各レンズは、独立型レンズまたはUV-LEDデバイスに一体化されたレンズのいずれかであってもよい。レンズは、石英または別のUV透過性材料から作成されてもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のコリメートレンズと1つまたは複数の収束レンズとの組み合わせを使用することができる。放射線集束素子は、流体が一般的により高い速度(およびより低い滞留時間)を有する、長手方向に延伸する流路の空孔の中心においてより高いフルエンス率を提供し、流体が一般的により低い速度(およびより高い滞留時間)を有する、チャネル壁の近く(空孔の縁部)においてより低いフルエンス率を提供するように調整することができる。結果として、流体がリアクタまたは長手方向に延伸する流体流路を離れる時間までに、流体の各成分は、類似または同等のUV線量を受けている。実際には、これを実現できる1つの方法は、速度プロファイルに基づいてチャネル内で放射線フルエンス率を集束させるために、放射線集束素子として1つまたは複数の集束レンズを使用することである(例えば、必ずしも放射線源に対するその焦点距離内に位置決めされるとは限らない、収束レンズまたは収束レンズとコリメートレンズとの組み合わせ)ように実現されてもよい。速度プロファイルに従ってUV-LED放射を調整することを含む、UV-LEDリアクタのこの特定の構成は、UV-LED放射強度のより有効な利用をもたらすことができ、リアクタ性能を改善する。
【0021】
平均流体速度に比例する平均放射線フルエンス率の概念を説明するために、ここで、非限定的な例を提供する。円筒形の流体流路(すなわち、円形断面を有する空孔を有する)の場合、流体の速度プロファイルは、チャネル断面の半径Rに対応する半径rを有する楕円放物体(三次元放物形)であってもよい。長手方向に延伸する流路の長さが0.2mであり、チャネル空孔の断面の中心(r=0)における平均(流路の長手方向長さにわたる)速度が0.2m/sである場合、r=0で移動する流体の滞留時間(長手方向に延伸する流体流路内の)は1秒である。例えば、r=0.5Rでの平均速度が0.1m/sであると仮定すると、r=0.5Rで移動する流体の滞留時間(長手方向に延伸する流体流路内の)は2秒である。UV線量(UVフルエンス)は、滞留時間(曝露時間)にUVフルエンス率を乗算した積であるため、r=0およびr=0.5Rにおいて移動する部分が同じ線量を受けるようにするために、r=0において、平均(流路の長手方向長さにわたる)放射線フルエンス率がr=0.5Rにおける値の約2倍になるように、放射線フルエンス率を調整することが望ましい。例えば、r=0におけるフルエンス率が2mJ/cm2である場合、r=0.5Rにおけるその値は1mJ/cm2である。これは、流体の断面(例えば、半径方向の)混合が最小限である場合に特に有利である。放射線フルエンス率を速度プロファイルに正確に比例させるように調整することは、常に容易に達成可能または実用的であるとは限らない場合がある。いくつかの実施形態では、平均長手方向流体速度が平均放射線フルエンス率に対して、流体流路の空孔の断面の表面領域の適切な部分(または流体流路の空孔の容積の適切な部分)にわたって正の相関を有することで十分である。速度およびフルエンス率の正の相関が存在する流体流路の空孔の断面の部分は、いくつかの実施形態では、流体流路の空孔の全断面の50%より大きくてもよく、いくつかの実施形態では、流体流路の空孔の全断面の75%より大きくてもよく、いくつかの実施形態では流体流路の空孔の全断面の85%より大きくてもよい。流体流路の空孔の断面の部分内の平均放射線フルエンス率に対する平均長手方向流体速度のこの比例関係は、正確な比例関係である必要はなく、代わりに、断面の部分にわたって±50%未満変化する比例定数を有するように比例であってもよい。いくつかの実施形態では、この比例定数は±25%未満変化する。いくつかの実施形態では、この比例定数は±15%未満変化する。いくつかの実施形態では、この比例定数は±10%未満変化する。しかしながら、いくつかの実施形態では、フルエンス率の±50%以内の許容レベルが適切であり得る。例えば、上記の例では、r=0.5Rにおけるフルエンス率は、0.75mJ/cm2と1.25mJ/cm2との間であり得る。
【0022】
上記の概念を代替的に説明するために、チャネルの長手方向長さにわたって平均化されるとき、チャネルの空孔の断面内の流体の速度プロファイルが、高さh、半長径a、および半短径b(aおよびbは円形断面では同じである)の楕円放物体の形状(楕円形断面を有する二次曲面)を有する場合、チャネルの空孔の任意の断面における平均UVフルエンス率(長手方向に延伸するチャネルの長さにわたって平均されたもの)は、同じh、a、およびbパラメータを有する楕円放物体の同じ形状を有することになる。完全一致は容易に実現可能でも実用的でもない可能性が高いため、完全一致値の±50%の閾値をフルエンス率値に適用することができる。流体流路の空孔の断面の部分内の平均放射線フルエンス率に対する平均長手方向流体速度のこの比例関係は、正確な比例関係である必要はなく、代わりに、断面の部分にわたって±50%未満変化する比例定数を有するように比例であってもよい。いくつかの実施形態では、この比例定数は±25%未満変化する。いくつかの実施形態では、この比例定数は±15%未満変化する。いくつかの実施形態では、この比例定数は±10%未満変化する。平均フルエンス率および平均速度のこの比例関係は、長手方向に延伸する流体流路の空孔の断面の一部分にわたって真であり得る。流体流路の空孔の断面のそのような部分は、いくつかの実施形態では流体流路の空孔の全断面の50%より大きくてもよく、いくつかの実施形態では、流体流路の空孔の全断面の75%より大きくてもよく、いくつかの実施形態では、流体流路の空孔の全断面の85%より大きくてもよい。
【0023】
流体の(リアクタまたはリアクタの一部分における)滞留時間は、照射中に流体が(リアクタまたはリアクタの部分の内部で)過ごす時間として定義される。任意の流体流導管内の速度プロファイルが与えられると、通常、流体の各部分は、リアクタ内で異なる時間量を過ごし、結果として、流体の異なる部分は、リアクタ内で異なる滞留時間を有する(平均滞留時間を計算するために平均することができる滞留時間分布がある)。主にチャネルの中心を移動する流体の一部分は、典型的には、より速い速度を有し、したがって、チャネル内の滞留時間がより短い。
【0024】
本発明のUV-LEDリアクタは、多くの光反応、光触媒反応および光開始反応に使用することができる。1つの特定の用途は、水の浄化または他のUV透過性流体の浄化である。
【0025】
本発明のいくつかの態様は、水を処理するためのUV-LEDリアクタ、および水を処理するためにUV-LEDリアクタを使用する方法を提供する。これらのUV-LEDリアクタおよび対応する方法は、上記または本明細書の他の箇所に記載のものと類似の特徴を有することができる。水処理は、直接光反応、光触媒反応および/または光開始酸化反応による、微生物(例えば細菌およびウイルス)の不活性化および化学汚染物質(例えば毒性有機化合物)などの微小汚染物質の分解によって達成され得る。水は、電気ポンプなどの流体移動デバイスの使用によってUV-LEDリアクタを通って流れることができる。UV-LEDは、壁プラグまたは電池によって給電することができる。妥当な場合、光触媒は、流体が通過する中実基板、および/または例えばメッシュ、スクリーン、金属フォーム、布もしくはそれらの組み合わせを含む、流体が通過する有孔基板上に固定化され得る。固体および/または有孔基板上に支持された光触媒は、長手方向に延伸する流体流路内に位置決めすることができる。光触媒はまた、断面を部分的または全体的に覆うように、流体流路の断面内に位置決めすることもできる。光触媒が流路の断面全体を覆う場合、流体が光触媒基板を通過することを可能にするために有孔基板を使用することができる。光触媒はUV-LEDからの集束UV放射線を照射され、UV-LED光触媒リアクタが提供される。光触媒は、二酸化チタンTiO2、または任意の他の光触媒を含んでもよい。特定の実施形態では、1つまたは複数の光触媒、触媒担体および共触媒の組み合わせが、固体および/または有孔基板(複数可)上に設けられる。妥当な場合、化学酸化剤のような化学反応剤をUVリアクタに注入することができる。化学酸化剤は、過酸化水素H2O2、オゾンO3、または他の化学物質を含んでもよい。
【0026】
本明細書に記載のUV-LEDリアクタのいくつかの用途では、UV-LEDリアクタは、使用場所での適用、特に低~中程度の流動適用において、水を処理するために使用され得る。例えば、UV-LEDリアクタは、人間が消費するために水または水ベースの流体(例えば、コーヒーまたは他の飲料)を施与または使用する機器に組み込むことができる。そのような機器は、冷蔵庫、冷凍庫、製氷機、冷凍飲料機、水冷器、コーヒーメーカ、自動販売機などを含んでもよい。本明細書に記載のUV-LEDリアクタの他の用途は、医療関連デバイスで使用される水の処理を含む。このような装置は、例えば、血液透析器、結腸洗浄治療機器などを含んでもよい。上述の機器またはデバイスのいずれかに組み込まれたリアクタのUV-LEDは、機器またはデバイス内で使用され、または機器またはデバイスから施与される水を処理するために、水が流れ始めるかまたは停止すると自動的にオンおよびオフにすることができる。UV-LEDリアクタは、(消費または使用のための)送水管から出る水の中の微生物汚染を減少させ、感染リスクを低下させる。UV-LEDリアクタは、ろ過などの他の形態の水浄化方法と共にこれらのデバイスに組み込まれてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、静的ミキサ、ボーテックスジェネレータ、バッフルなどを長手方向に延伸する流体流路に配備して、流体流路を通過する際に混合を増加させ、かつ/または流れを回転させることができる。これは、より均一なUV線量を送達することによって、またはリアクタ内で光触媒が存在する光触媒表面付近の物質移動を改善することによって、UV-LEDリアクタの性能を向上させることができる。静的ミキサ、ボーテックスジェネレータ、バッフルなどはまた、本明細書に記載のように流体流路内のUV放射線フルエンス率プロファイルに合致するように、様々な入来する流動様式に適応するように動的に調整することができる流れ制約要素としての役割を果たすこともできる。
【0028】
いくつかの実施形態において、リアクタは、異なるUV波長を放出する複数のUV-LEDを備える。これは、相乗効果をもたらし、光反応および光触媒反応の速度を増加させることができる。
【0029】
いくつかの実施形態は、パルスモードで動作するUV-LEDを含む。例えば、LEDは高周波でパルスされてもよい。この動作モードは、光触媒効率を高めるために光反応速度および光触媒の電子-正孔再結合に影響を及ぼし得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、UV-LEDは自動的にオンおよびオフするようにプログラムすることができる。例えば、流体流がリアクタ内での移動を開始または停止するとき(使用場所での適用における水浄化に有用であり得る)、または特定の時間間隔をおいてUV-LEDをオン/オフすることが望ましい場合がある。UV-LEDのオン/オフ状態を制御するために、流体流路内の流体の動きを検出するためにセンサを使用することができる。代替的に、ユーザは、直接的に(例えば、スイッチをオンまたはオフにすることによって)、または間接的な動作として(例えば、タップをオンおよびオフにすることによって)、センサを物理的に起動することができる。この特徴は、有利にはリアクタによって使用されるエネルギーを節約することができる。別の例として、微生物の可能性のある成長、未処理の上流の流体からの微生物の拡散を防止するために、および/または、任意のバイオフィルム形成を防止するために、UVリアクタチャンバがある時間作動していないときにUVリアクタチャンバを洗浄するために、特定の時間間隔をおいてUV-LEDをオン/オフすることが望ましい場合がある。UV-LEDのオン/オフ状態を制御するために、マイクロコントローラを適用して、特定の時間間隔をおいて(例えば数時間に一度)、UV-LEDを一定時間(例えば数秒間)にわたってオンにするように、プログラムすることができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、UV-LEDの少なくともいくつかは、信号を受信することに応答して、その出力を調整するように、または自動的にオンもしくはオフにするようにプログラムすることができる。この信号は、例えば、UV-LEDリアクタを通過する流体の流量(または他の測定可能な特性)が変化するときに生成されてもよい。流体が水である実施形態では、測定可能な特性は、水質または汚染物質の濃度を示すものであり得る。水質指標の例には、UV透過率および濁度が含まれる。この構成は、特定の動作条件に基づいて適切な放射線エネルギーが流体に向けられることを促進することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、例えば液晶ディスプレイ(LCD)または光信号(有色LEDなど)などの視覚インジケータをUV-LEDリアクタ上に、または別の目に見える場所(例えば、用途が水処理の場合はタップ)を使用して、リアクタおよびUV-LEDの状態をユーザに通知することができる。一例として、UV-LEDがオンであるときに、LCD上の標識を表示することができ、または、UV-LEDの「オン」状態をユーザに示す有色LEDをオンにすることができる。
【0033】
UV-LEDの寿命を延長または維持するために、流体流路を流れる流体は、LEDによって生成される熱を伝達することによって、UV-LEDの熱管理に使用されてもよい。UVリアクタは、流体の一部がUV-LEDまたはUV-LED回路基板の近傍で循環するように、および/または、流体流路の壁に熱伝導材料を組み込むことによって構成されてもよい。
【0034】
上述の例示的な態様および実施形態に加えて、さらなる態様および実施形態が、図面を参照し、以下の詳細な説明を検討することによって明らかになるであろう。
【0035】
例示的な実施形態が、図面の参照される図に示されている。本明細書に開示される実施形態および図は、限定的ではなく例示的なものと考えられることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1A】コリメート光学レンズを通過するUV-LED放射ビームを示す図である。
【
図1B】収束光学レンズを通過するUV-LED放射ビームを示す図である。
【
図2A】例示的な実施形態によるUV-LEDリアクタの特定の構成の長手方向に延伸する流体流路の一部分の概略側面図である。
【
図2B】例示的な実施形態によるUV-LEDリアクタの特定の構成の長手方向に延伸する流体流路の一部分の概略側面図である。
【
図2C】例示的な実施形態によるUV-LEDリアクタの一構成の長手方向に延伸する流体流路の一部分の概略側面図である。
【
図3】例示的な実施形態によるUV-LEDリアクタの特定の構成の長手方向に延伸する流体流路の一部分の変形形態の概略側面図である。
【
図3A】例示的な実施形態によるUV-LEDリアクタの特定の構成の長手方向に延伸する流体流路の一部分の変形形態の概略側面図である。
【
図4】例示的な実施形態によるUV-LEDリアクタの概略斜視図である。
【
図5A】
図4に示すUV-LEDリアクタの概略上面図である。
【
図5B】
図4に示すUV-LEDリアクタの概略側面図である。
【
図5C】
図4に示すUV-LEDリアクタの概略側面図である。
【
図6】特定の例示的な実施形態によるUV-LEDリアクタの概略上面図である。
【
図7】流路内の流体を照射する、1つまたは複数のレンズを各々が有する複数のUV-LEDを備える特定の実施形態によるUV-LEDリアクタの長手方向に延伸する流体流路の一部の概略側面図である。
【
図8】流路内の流体を照射する、1つまたは複数のレンズを各々が有する複数のUV-LEDを備える特定の実施形態によるUV-LEDリアクタの長手方向に延伸する流体流路の一部の概略側面図である。
【
図9】複数の出口を備える例示的な実施形態によるUV-LEDリアクタを示す図である。
【
図10】流れ分配器を備える例示的な実施形態によるUV-LEDリアクタを示す図である。
【
図11】流路内の流体を照射する、複数のUV-LEDによって共有される1つまたは複数のレンズを備える特定の実施形態によるUV-LEDリアクタの長手方向に延伸する流体流路の一部の概略側面図である。
【
図12】流路内の流体を照射する、複数のUV-LEDによって共有される1つまたは複数のレンズを備える特定の実施形態によるUV-LEDリアクタの長手方向に延伸する流体流路の一部の概略側面図である。
【
図13A】UV-LEDリアクタの例示的な実施形態の部分概略側面図である。
【
図13B】UV-LEDリアクタの例示的な実施形態の部分概略側面図である。
【
図13C】UV-LEDリアクタの例示的な実施形態の部分概略側面図である。
【
図13D】UV-LEDリアクタの例示的な実施形態の部分概略側面図である。
【
図13E】UV-LEDリアクタの例示的な実施形態の部分概略側面図である。
【
図14A】UV-LEDリアクタの例示的な実施形態の部分概略側面図である。
【
図14B】UV-LEDリアクタの例示的な実施形態の部分概略側面図である。
【
図15A】UV-LEDリアクタの例示的な実施形態の部分概略上面図である。
【
図15B】UV-LEDリアクタの例示的な実施形態の部分概略側面図である。
【
図15C】UV-LEDリアクタの例示的な実施形態の部分概略斜視図である。
【
図16A】UV-LEDリアクタの例示的な実施形態の部分概略上面図である。
【
図16B】UV-LEDリアクタの例示的な実施形態の部分概略側面図である。
【
図16C】UV-LEDリアクタの例示的な実施形態の部分概略斜視図である。
【
図17A】UV-LEDリアクタの例示的な実施形態の部分概略斜視図である。
【
図17B】UV-LEDリアクタの例示的な実施形態の部分概略斜視図である。
【
図18A】UV-LEDリアクタの例示的な実施形態の部分概略斜視図である。
【
図18B】UV-LEDリアクタの例示的な実施形態の部分概略斜視図である。
【
図19】水処理に適用されるUV-LEDリアクタの例示的な実施形態の部分概略斜視図である。
【
図20】例示的な実施形態によるUV-LEDリアクタを組み込んだ冷蔵庫の部分概略斜視図である。
【
図21】例示的な実施形態によるUV-LEDリアクタを組み込んだ血液透析器の部分概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下の説明全体を通して、特定の詳細が、当業者により完全な理解を提供するために記載される。しかしながら、周知の要素は、本開示を不必要に不明瞭にすることを避けるために詳細に図示または説明されていないことがある。したがって、説明および図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で考慮されるべきである。
【0038】
本技術は、流体中の光反応を引き起こすためにUV放射線を放出する、1つまたは複数のソリッドステートUVエミッタ(例えば、紫外線発光ダイオードすなわちUV-LED、UVを放出する誘電体薄膜など)によって動作するリアクタ(フォトリアクタ)を対象とする。UVによって活性化される1つまたは複数の光触媒構造を、光触媒反応のためにフォトリアクタに使用することができる。UV放射線と反応させて、光開始酸化反応のためのヒドロキシルラジカルなどの高活性ラジカルを生成するために、化学酸化剤をリアクタに添加することもできる。本明細書に記載のUV-LEDリアクタの実施形態は、構成要素を一体化することによって、効率的かつコンパクトであり得、それらの流体環境および光学環境の両方を正確に制御することができる。UV-LEDリアクタは、1つまたは複数の特別に設計された流路と、流路を流れる流体を照射するように構成されたUV LEDのアレイとを備える。放射線集束素子が、UV LEDに一体化されるか、または、UV LEDの近くに配置することができ、(例えば、(例えば、複数のレンズタイプ、構築方法などの中から)レンズ(複数可)を適切に選択すること、レンズ(複数可)を位置決めすること(配向することを含む)、レンズ(複数可)を成形すること(サイジングを含む)、適切な屈折率を有する材料からレンズ(複数可)を作成することなどによって)UV LEDによって放出されるUV放射線を集束させて、長手方向に延伸する流体流路(またはその一部分)の空孔の断面内の平均(長手方向に延伸する流体流路の長手方向寸法にわたる)長手方向流体速度プロファイルと正の相関を有する、長手方向に延伸する流体流路(またはその一部分)の空孔の断面にわたる平均(長手方向に延伸する流体流路の長手方向寸法にわたる)放射線フルエンス率プロファイルを提供するように構成することができる。いくつかの実施形態において、この正の相関は、長手方向に延伸する流体流路(またはその一部分)の空孔の断面内の平均(長手方向に延伸する流体流路の長手方向寸法にわたる)長手方向流体速度プロファイルにほぼ比例する、長手方向に延伸する流体流路(またはその一部分)の空孔の断面内の平均(長手方向に延伸する流体流路の長手方向寸法にわたる)放射線フルエンス率プロファイルを含んでもよい。これらのパラメータ(放射線フルエンス率および流体速度)は、流体流路の長手方向寸法にわたって平均化された場合に、これらの特徴(正の相関および/または概略的な比例関係)を呈し得るが、いくつかの実施形態では、これらのパラメータ(放射線フルエンス率および流体速度)は、流体流路の長手方向寸法の一部分にわたる各断面においてこれらの特徴(正の相関および/または概略的な比例関係)を呈し得る。UV-LEDリアクタは、流れの流体力学を変えてUV-LEDリアクタの性能を高めるために、バッフル、ボーテックスジェネレータ、静的ミキサなど(例えば、他の流れ制約要素)を含むことができる。特に、バッフル、ボーテックスジェネレータ、または静的ミキサは、流体流路内のUV放射線フルエンス率プロファイルと正の相関を有するように、様々な入来する流動様式に適応するように動的に調整することができる。
【0039】
UV-LEDリアクタの実施形態は、直接光反応、および/または光触媒反応、および/または光開始酸化によって微生物(例えば、細菌、ウイルスなど)を不活性化し、および/または化学汚染物質(例えば、有害な有機化合物など)などの微小汚染物質を分解することによって、水を浄化するために使用することができる。流体(例えば、水)は、例えば、電気ポンプを使用して強制対流によってUV-LEDリアクタを流れる。UV-LEDは、壁プラグ、太陽電池または電池によって給電することができる。UV-LEDは、流体が流れるかまたは流れるのを止めると、自動的にオンおよびオフにすることができる。二酸化チタンTiO2または他の適切な光触媒のような光触媒を、中実基板(流体が基板上を通過する)または穿孔基板(流体が基板を通過する)上に固定することができる。いくつかの実施形態では、光触媒、触媒担体、および/または共触媒の組み合わせを、流体流路内の基板に配置することができる。妥当な場合、化学酸化剤を付加的にまたは代替的にリアクタに注入することができる。化学酸化剤は、過酸化水素H2O2、またはオゾンO3、または他の化学物質を含んでもよい。妥当な場合、化学還元剤を付加的にまたは代替的にリアクタに注入することができる。化学酸化剤または化学還元剤は、電気化学的方法または他の方法によって、UVリアクタの上流またはUVリアクタの内部で生成されてもよい。
【0040】
UV放射線源としてUV-LEDを用いて動作するリアクタは、限定ではなく、コンパクトで堅牢な設計、より低い電圧および電力要件、ならびに高い周波数によってオンおよびオフする能力を含む、従来の水銀UVランプに優る利点を有する。UVランプとは異なり、UV-LEDは個々の小さなサイズの放射線源である。それらは、UVランプの配置と比較して、より高い自由度(例えば、より高い精度)でリアクタ内に位置決めすることができる。さらに、UV-LEDリアクタの性能は、本明細書に記載のリアクタ幾何形状、リアクタ流体力学、およびUV放射線分布に対する最適化によって改善され得る。特に、本明細書に記載のUV-LEDリアクタの実施形態は、UV-LED放射パターンと流動場流体力学との組み合わせに基づいて最適化することができ、それによって、流体へのUV線量供給の改善を促進する。
【0041】
図1Aおよび
図1Bは、UV-LEDコリメート放射11(
図1A)および収束放射12(
図1B)の概略側面図である。
図1Aは、コリメートレンズ15を通過した後にLED14から放出される放射ビーム13を示す。
図1Bは、収束レンズ18を通過した後にLED17から放出される放射ビーム16を示す。
図1Aおよび
図1Bに示す矢印は、放射ビームの主方向を示している。
【0042】
図2Aおよび
図2Bは、例示的な実施形態による2つの対応するUV-LEDリアクタ構成の長手方向に延伸する流体流路の部分側面図を示す。
図2Aおよび
図2Bは、それらの長手方向端部の1つから照射されている例示的な流路を示す。一般に、
図2A~
図2Bの長手方向に延伸するチャネルが配備されているUV-LEDリアクタのチャネルは、流体流路の長手方向の一端または両端から照射することができる。一般に、
図2A~
図2Bの長手方向に延伸するチャネルが配備されるUV-LEDリアクタは、単一チャネルリアクタ(すなわち、
図2A~
図2Bに示されるものと同様の単一チャネルを有する)または
図2Aもしくは
図2Bのリアクタの長手方向に延伸するチャネルと同様の複数の長手方向に延伸するチャネルを有するマルチチャネルリアクタを含んでもよい。入口および出口の向きならびにそれらの流体流方向は、マルチチャネルリアクタの場合では、単一チャネルリアクタの場合と比較して異なる場合がある。
図2Aおよび
図2Bに示す直線矢印は、流体流路が延伸する同じ長手方向にある流体流の主方向を示している。
【0043】
図2Aは、長手方向に延伸する流体流路101およびUV-LED106を有するUV-LEDリアクタ30の一部分の側面図を示し、流体(図示せず)が、流体流路101の空孔の断面にわたって変化する長手方向速度プロファイル102で移動している。特に、
図2Aの実施形態の流体は、流体流路101の断面の中心にまたはその近傍に最大速度(u
max)を有し、流体流路101の断面の中心から離れた位置ではより低い速度を有する。UV-LED106から放出された放射線105は、放射線集束素子104(1つまたは複数のレンズを含み得る)を通過し、(103において)集束されて、長手方向に延伸する流路101の空孔内で長手方向に移動している流体に衝突する。放射線集束素子104は、流体が相対的に高い長手方向速度を有する流体流路101の空孔の断面の中心において相対的に高い放射線フルエンス率を提供するように、UV-LED106からの放射線を集束させるように(例えば、適切な屈折率を有する材料から選択、位置決め、成形、作製などされるレンズ(複数可)によって)構成することができる。逆に、放射線集束素子104は、流体流路101の空孔の断面の中心から離間した位置において相対的に低い放射線フルエンス率を提供するように、UV-LED106からの放射線を集束させるように(例えば、適切な屈折率を有する材料から選択、位置決め、成形、作製などされるレンズ(複数可)によって)構成することができる。適切に構成された放射線集束素子104によって(例えば、適切な屈折率を有する材料から選択、成形、位置決め、作製などされるレンズ(複数可)によって)、長手方向に延伸する流体流路101の空孔の断面(またはその一部分)にわたる平均(長手方向に延伸する流体流路101の長手方向寸法にわたる)放射線フルエンス率プロファイルは、長手方向に延伸する流体流路101の空孔の断面(またはその一部分)内の平均(長手方向に延伸する流体流路101の長手方向寸法にわたる)長手方向速度流体速度プロファイルと正の相関を有することができ、またはいくつかの実施形態においては、概略的に比例することができる。したがって、流体がリアクタを出る(または流体流路101を出る)時点までに、流体の各成分は、類似または同等の総UV放射線量を受けることができる。
【0044】
実際には、これは、上述の特性を達成するように、チャネル101内の流体の予測される速度プロファイルに基づいて、放射線を流体流路101の空孔に集束させる1つまたは複数の集束レンズ(複数可)を含むように放射線集束素子104を構成することによって達成され得る。いくつかの実施形態では、そのような集束レンズ(複数可)は、必ずしもUV放射線源に対してその焦点距離に位置決めされていなくてもよい
図1Bに示すような収束レンズ18および/または
図1Aに示すコリメートレンズ15を含むことができるが、所望の放射線フルエンス率プロファイルを達成するために、1つまたは複数の収束レンズ、発散レンズ、および/またはコリメートレンズの他の組み合わせも使用されてもよい)。
図2Aの例示的な実施形態では、1つの集束レンズしか示されていないが、これは例示の便宜のためにすぎない。いくつかの実施形態では、
図2Aに示す集束素子104は、(収束レンズ、コリメートレンズ、それらの組み合わせなどを含む)複数のレンズを含むことができる。いくつかの実施形態(
図7および
図8を参照して後述するものなど)では、上述した特性を達成するように、チャネル101内の流体の予想される速度プロファイルに基づいて、放射線を流体流路101の空孔に集束させる放射線集束素子として、複数の集束レンズ(収束レンズ、コリメートレンズ、それらの組み合わせなどを含む)が設けられてもよい。
図2Aの例示の実施形態では、流体流路101の空孔内の流体の長手方向速度プロファイル102を観察することができるように、流体流路101の空孔の内部の放射線103が半透明であるように示されている。
【0045】
図2Bは、長手方向に延伸する流体流路111およびUV-LED116を有するUV-LEDリアクタ40の一部分の側面図を示し、流体(図示せず)が、流体流路101の空孔の断面にわたって変化する長手方向速度プロファイル112で移動している。特に、
図2Bの実施形態の流体は、流体流路111の断面の中心にまたはその近傍に最大速度(u
max)を有し、流体流路111の断面の中心から離れた位置ではより低い速度を有する。
図2Aおよび
図2Bの例示の実施形態を比較すると、
図2Bの実施形態の流体速度プロファイルは、チャネル101の断面にわたる
図2Aの実施形態の流体速度プロファイルの変動よりも、チャネル111の断面にわたってより大きい相対量だけ変動する。すなわち、
図2Aの実施形態では、チャネル101の断面の中心における最大速度と、チャネル101の断面の中心から離れた位置における速度との間の差は相対的に小さく、一方、
図2Bの実施形態では、チャネル111の断面の中心における最大速度と、チャネル111の断面の中心から離れた位置における速度との間の差は相対的に大きい。
【0046】
図2Aの実施形態と同様に、
図2Bの実施形態において、UV-LED116から放出された放射線115は、放射線集束素子114(1つまたは複数のレンズを含み得る)を通過し、(113において)集束されて、長手方向に延伸する流路111の空孔内で長手方向に移動している流体に衝突する。放射線集束素子114は、流体がより高い相対長手方向速度を有する流体流路111の空孔の断面の中心においてより高い相対放射線フルエンス率を提供するように、UV-LED116からの放射線を集束させるように(例えば、適切な屈折率を有する材料から選択、位置決め、成形、作製などされるレンズ(複数可)によって)構成することができる。逆に、放射線集束素子114は、流体流路111の空孔の断面の中心から離間した位置においてより低い相対放射線フルエンス率を提供するように、UV-LED116からの放射線を集束させるように(例えば、適切な屈折率を有する材料から選択、位置決め、成形、作製などされるレンズ(複数可)によって)構成することができる。適切に構成された放射線集束素子114によって(例えば、適切な屈折率を有する材料から選択、成形、位置決め、作製などされるレンズ(複数可)によって)、長手方向に延伸する流体流路111の空孔の断面(またはその一部分)にわたる平均(長手方向に延伸する流体流路111の長手方向寸法にわたる)放射線フルエンス率プロファイルは、長手方向に延伸する流体流路111の空孔の断面(またはその一部分)内の平均(長手方向に延伸する流体流路111の長手方向寸法にわたる)長手方向速度流体速度プロファイルと正の相関を有することができ、またはいくつかの実施形態においては、概略的に比例することができる。
図2Bの実施形態の結果は、
図2Aの実施形態の結果と同じである。すなわち、流体がリアクタを出る(または流体流路111を出る)時点までに、流体の各成分は、類似または同等の総UV放射線量を受けることができる。
【0047】
実際には、これは、上述の特性を達成するように、チャネル111内の流体の予測される速度プロファイルに基づいて、放射線を流体流路111の空孔に集束させる1つまたは複数の集束レンズ(複数可)を含むように放射線集束素子114を構成することによって達成され得る。いくつかの実施形態では、そのような集束レンズ(複数可)は、必ずしもUV放射線源に対してその焦点距離に位置決めされていなくてもよい
図1Bに示すような収束レンズ18および/または
図1Aに示すコリメートレンズ15を含むことができるが、所望の放射線フルエンス率プロファイルを達成するために、1つまたは複数の収束レンズ、発散レンズ、および/またはコリメートレンズの他の組み合わせも使用されてもよい)。
図2Bの実施形態の例示的な実施形態では、1つの集束レンズしか示されていないが、これは例示の便宜のためにすぎない。いくつかの実施形態では、
図2Bに示す集束素子114は、(収束レンズ、コリメートレンズ、それらの組み合わせなどを含む)複数のレンズを含むことができる。いくつかの実施形態(
図7および
図8を参照して後述するものなど)では、上述した特性を達成するように、チャネル111内の流体の予想される速度プロファイルに基づいて、放射線を流体流路111の空孔に集束させる放射線集束素子として、複数の集束レンズ(収束レンズ、コリメートレンズ、それらの組み合わせなどを含む)が設けられてもよい。
図2Bの例示の実施形態では、流体流路111の空孔内の流体の長手方向速度プロファイル112を観察することができるように、流体流路111の空孔の内部の放射線113が半透明であるように示されている。
【0048】
図2Cは、長手方向に延伸する流体流路121およびUV-LED126を有するUV-LEDリアクタ50の一部分の側面図を示し、流体(図示せず)が、流体流路121の空孔の断面にわたって変化する長手方向速度プロファイル122で移動している。特に、
図2Cの実施形態の流体は、流体流路121の断面の中心にまたはその近傍に最大速度(u
max)を有し、流体流路121の断面の中心から離れた位置ではより低い速度を有する。UV-LED126から放出された放射線125は、放射線集束素子124(1つまたは複数のレンズを含み得る)を通過し、(123において)集束されて、長手方向に延伸する流体流路121の空孔内で長手方向に移動している流体に衝突する。放射線集束素子124は、最初に(放射線集束素子124の1つまたは複数のレンズを通過する結果として)収束し、その後、(すべて収束し、光子がそれらの経路に沿って移動し続けるのを受けて)自然に発散することによって、流体が相対的に高い長手方向速度を有する流路121の空孔の断面の中心において相対的に高い放射線フルエンス率を提供するように、UV-LED126からの放射線を集束させるように(例えば、適切な屈折率を有する材料から選択、成形、位置決め、作製などされるレンズ(複数可)によって)構成することができる。逆に、放射線集束素子124は、流体流路121の空孔の断面の中心から離間した位置において相対的に低い放射線フルエンス率を提供するように、UV-LED126からの放射線を集束させるように(例えば、適切な屈折率を有する材料から選択、成形、位置決め、作製などされるレンズ(複数可)によって)構成することができる。適切に構成された放射線集束素子124によって(例えば、適切な屈折率を有する材料から選択、成形、位置決め、作製などされるレンズ(複数可)によって)、長手方向に延伸する流体流路121の空孔の断面(またはその一部分)にわたる平均(長手方向に延伸する流体流路121の長手方向寸法にわたる)放射線フルエンス率プロファイルは、長手方向に延伸する流体流路121の空孔の断面(またはその一部分)内の平均(長手方向に延伸する流体流路121の長手方向寸法にわたる)長手方向速度流体速度プロファイルと正の相関を有することができ、またはいくつかの実施形態においては、概略的に比例することができる。
図2Cの実施形態の結果は、
図2Aの実施形態および
図2Bの実施形態の結果と同じである。すなわち、流体がリアクタを出る(または流体流路121を出る)時点までに、流体の各成分は、類似または同等の総UV放射線量を受けることができる。
【0049】
実際には、これは、上述の特性を達成するように、チャネル121内の流体の予測される速度プロファイルに基づいて、放射線を流体流路121の空孔に集束させる1つまたは複数の集束レンズ(複数可)を含むように放射線集束素子124を構成することによって達成され得る。いくつかの実施形態では、そのような集束レンズ(複数可)は、必ずしもUV放射線源に対してその焦点距離に位置決めされていなくてもよい
図1Bに示すような収束レンズ18および/または
図1Aに示すコリメートレンズ15を含むことができるが、所望の放射線フルエンス率プロファイルを達成するために、1つまたは複数の収束レンズ、発散レンズ、および/またはコリメートレンズの他の組み合わせも使用されてもよい)。
図2Cの例示的な実施形態では、1つの集束レンズしか示されていないが、これは例示の便宜のためにすぎない。いくつかの実施形態では、
図2Cに示す集束素子124は、(収束レンズ、コリメートレンズ、それらの組み合わせなどを含む)複数のレンズを含むことができる。いくつかの実施形態(
図7および
図8を参照して後述するものなど)では、上述した特性を達成するように、チャネル121内の流体の予想される速度プロファイルに基づいて、放射線を流体流路121の空孔に集束させる放射線集束素子として、複数の集束レンズ(収束レンズ、コリメートレンズ、それらの組み合わせなどを含む)が設けられてもよい。
図2Cの例示の実施形態では、流体流路121の空孔内の流体の速度プロファイル122を観察することができるように、流体流路の空孔の内部の放射線123が半透明であるように示されている。
【0050】
図2Bの実施形態の速度プロファイル112は、
図2Aの速度プロファイル102とは異なる。
図2Bにおいて、流体流路111の断面にわたる速度変化は、
図2Aの実施形態の速度変化と比較したときにより大きい(すなわち、
図2Bの実施形態の、流体流路111の空孔の断面の中心における最大速度u
maxと、流体流路111の空孔の断面の中心から離間した位置における速度との間の流体速度の変動は、
図2Aの実施形態の、流体流路101の空孔の断面の中心における最大速度u
maxと、流体流路101の空孔の断面の中心から離間した位置における速度との間の流体速度の変動よりも大きい)。このように、
図2Bの実施形態の放射線集束素子114は、
図2Aの実施形態のフルエンス率変動と比較して、
図2Bの実施形態の空孔111の断面にわたって著しく高いフルエンス率変動をもたらす(すなわち、
図2Bの実施形態の、流体流路111の空孔の断面の中心と、流体流路111の空孔の断面の中心から離間した位置との間の放射線フルエンス率の変動が、
図2Aの実施形態の、流体流路101の空孔の断面の中心と、流体流路101の空孔の断面の中心から離間した位置との間の放射線フルエンス率の変動よりも大きい)ように、放射線を集束させるように(例えば、適切な屈折率を有する材料から選択、位置決め、成形および/または作製されるレンズ(複数可)を用いて)構成される。
図2Bの実施形態のUV放射線は、空孔の断面の中心から離れた位置よりも、空孔の断面の中心に著しく集束され得る。
【0051】
これと比較して、
図2Aの実施形態では、速度は、流体流路101の空孔の断面の中心において適度に高いだけである。このように、
図2Aの実施形態の放射線集束素子104は、
図2Bの実施形態のフルエンス率変動と比較して、
図2Aの実施形態の空孔101の断面にわたって中程度に高いフルエンス率変動をもたらす(すなわち、
図2Aの実施形態の、流体流路101の空孔の断面の中心と、流体流路101の空孔の断面の中心から離間した位置との間の放射線フルエンス率の変動が、
図2Bの実施形態の、流体流路111の空孔の断面の中心と、流体流路111の空孔の断面の中心から離間した位置との間の放射線フルエンス率の変動よりも小さい)ように(例えば、適切な屈折率を有する材料から選択、位置決め、成形および/または作製されるレンズ(複数可)を用いて)構成される。
図2Aの実施形態のUV放射線は、空孔の断面の中心から離れた位置よりも、空孔の断面の中心において中程度により多く集束され得る。
【0052】
本明細書で説明されるようなUV-LEDリアクタの実施形態に組み込まれる放射線集束素子(複数可)は、空孔の断面内の異なる位置において相対的に異なる大きさの放射線フルエンス率を提供することができるように、かつ、そのような放射線フルエンス率の変動が、空孔の断面にわたる流体速度プロファイルに依存し得るように、放射線を集束させるように(例えば、適切な屈折率を有する材料からの適切なレンズ(複数可)の選択、レンズ(複数可)の成形、レンズ(複数可)の位置決め、および/または、レンズ(複数可)の作製によって)構成することができることは理解されたい。したがって、例えば
図2Bに示すように、速度が空孔の断面の中心において著しく高い場合、UV放射線は、流体流路の空孔の断面の中心において著しくより高いフルエンス率をもたらすように、流体流路の空孔の断面の中心に著しく集束され得る。
【0053】
図3は、長手方向に延伸する流体流路133、UV-LED136、およびUV透過窓135を有するUV-LEDリアクタ60の一部分の側面図を示し、流体(図示せず)が、矢印131によって示されている長手方向速度プロファイルで移動している。LED136から放出される放射線は、例示の実施形態において、流体流路133の断面の中央において相対的に高いフルエンス率であり、流体流路133の断面の中心から離れた位置では相対的に低いフルエンス率である、特定の放射線フルエンス率プロファイルを有する。流れ制約要素132が、流体流路133内に配置され、流体が相対的に高い放射線フルエンス率に曝露される流路133の空孔の断面の中心においては相対的に高い長手方向流速(および速度)を提供し、流体流路133の空孔の断面の中心から離れた位置においては相対的に低い速度をもたらすように構成(例えば、成形など)されている。適切な形状の流れ制約要素132を適用することによって、流路133の空孔の断面(またはその一部分)にわたる平均(長手方向に延伸する流路133の長手方向寸法にわたる)長手方向速度プロファイルが、流路133の空孔の断面(またはその一部分)にわたる平均(流れの長手方向に延伸する流路133の長手方向寸法にわたる)放射線フルエンス率プロファイルと正の相関を有することができ、またはいくつかの実施形態においては、概略的に比例することができるように、流体流路133の空孔内で長手方向に流れる流体の平均(流れの長手方向に延伸する流路133の長手方向寸法にわたる)断面速度プロファイルの改変をもたらすことができる。したがって、流体がリアクタ(または流体流路133)を出る時点までに、流体の各成分は、類似または同等のUV放射線量を受けることができる。
【0054】
実際には、これは、バッフルまたは他の流れ制約要素132を使用して、放射線フルエンス率プロファイルに基づいて流体流路133の空孔を流れる流体の長手方向速度プロファイルを修正することによって達成され得る。例えば、放射線フルエンス率が空孔の中心から離れた位置よりも流体流路133の空孔の中心において著しく高い場合、流体をチャネル133の空孔の断面の中心により多く誘導し、チャネル133の空孔の断面の中心においてより高い流体速度を提供するために、(
図3に示すような)円錐台形状のバッフル132を適用することができる(その軸線は、長手方向に配向されたチャネル軸と整列している)。断面の中心に開口を有する他の形状を有する流れ抑制デバイスを使用して、チャネル133の空孔の断面の中央でより高い流体速度を提供することができることが理解されよう。他方で、放射線フルエンス率がチャネル133’の空孔の断面にわたって相対的に均一に分布している場合、流体をチャネル133’の空孔の断面の縁部により多く誘導し、それによって、チャネルの長手方向長さにわたって平均されたときに断面の中心から離れた位置において速度を増加させるように(断面での速度に対して)、(
図3Aに示すような)小さな円形または円錐形のバッフル132’を、チャネル133’の空孔の断面の中心において使用する(小さいホルダによってチャネル壁に保持する)ことができる。断面の中心から離れた開口を有する他の形状を有する流れ抑制デバイスを使用して、チャネル133の空孔の断面の中心から離れた位置において相対的により高い流体速度を提供することができることが理解されよう。
【0055】
上述の概念は、以下に記載するように、マルチチャネルリアクタ(例えば、複数の長手方向に延伸するチャネルを有するリアクタ、そのような各チャネルは
図2A、
図2B、
図2Cおよび
図3に示すチャネルに類似する)の各チャネルにも適用することができる。
図4~
図6の例示的な実施形態に記載されたUV-LEDリアクタについて、LEDの放射パターンは、UV-LEDに一体化されているか、またはその近くに配置された適切な光学レンズを適用することによって集束され得る。
図4~
図6の例示的な実施形態におけるUV-LED放射線を集束するために使用される光学レンズは、説明の便宜のために、またリアクタの概念をより明瞭に視覚化するために、図面には明示的に示されていない。
【0056】
図4および
図5は、例示的な実施形態によるUV-LEDリアクタ10の概略斜視図(
図4)、上面図(
図5A)および側面図(
図5Bおよび
図5C)を示す。UV-LEDリアクタ10は、ハウジング31と、長手方向に流体(例えば水)を搬送するためのチャネル壁37を有する、長手方向に延伸する流路32と、流体を入れるための入口33と、流体を出すための出口34と、LEDハウジング38内に配置された1つまたは複数のUV-LED35と、LEDハウジング38と流路32との間に配置された石英窓などのUV透過窓36とを備える。UV-LED35は、プリント回路基板(図示せず)上に搭載することができる。当業者には理解されるように、UV-LEDリアクタ10は、1つまたは複数のヒートシンク、UV-LED35の駆動回路、マイクロコントローラおよび他の電子機構、電源ポート、およびオン/オフスイッチを備えることができる。例示を簡単にするために、これらの構成要素は、
図4および
図5には示されていない。コリメートレンズ、収束レンズ、および/もしくは他のレンズ、またはそれらの組み合わせを含む1つまたは複数のレンズ(
図4および
図5には明示的に示されていない)を、リアクタ10内でUV-LED35と流体流路32との間に配置して、UV-LED放射パターンを、長手方向に延伸する流路32の各々へと集束させることができる。内部の隣接する流路32の各対は、流体が1つの流路32から隣接する流路32に進むためにリアクタ10の一方の端部において流体連通している(流体は、リアクタ10を通る過程において複数の流体流路32を通過する)。流体流が入口33からリアクタ10に入り、長手方向に延伸するチャネル32を通って流れ、隣接する内側チャネル32の端部において旋回し、出口34から出ることを示す矢印によって、主な流体流方向が
図4および
図5に示されている。
【0057】
図4および
図5の実施形態では、流体は、UV-LEDリアクタ10を出入りして流れ、長手方向に延伸するチャネル32を通過し、UV-LED35からのUV放射線によって照射される。LED(複数可)35は、流路32の一端に位置決めされている。放射ビームおよび流れの主方向は、長手方向に延伸する流体流路32の長手方向に沿って前後に(例えば、長手方向軸と整列した方向に)ある。リアクタ10は、流体流中でUV光反応(複数可)を達成するために使用されてもよい。リアクタ10はまた、水の処理のような、流体の処理のために使用されてもよい。UV-LED35は、流体流量を検出する装置からの信号などの外部信号によって自動的にオン/オフすることができる。
【0058】
図6は、本発明の例示的な実施形態によるUV-LEDリアクタ20を示す。
図6の例示の実施形態では、UV-LEDリアクタ20は、ハウジング54と、(水などの流体を長手方向に搬送するための対応する長手方向に延伸する流体流路53を画定する)流路壁55と、流体を入れるための入口56および流体を出すための出口57と、LED58と、LED58と長手方向に延伸するチャネルとの間に配置されたUV透過窓59とを備えている。。コリメートレンズ、収束レンズ、および/もしくは他のレンズ、またはそれらの組み合わせを含む1つまたは複数のレンズ(
図6には明示的に示されていない)を、リアクタ20内でUV-LED58と流体流路53との間に配置して、UV-LED放射パターンを、長手方向に延伸する各流路53の各々へと集束させることができる。UV-LEDリアクタ20は、マルチチャネルリアクタであり、流体流がリアクタチャネル53を通って移動するとき、流体流は、いくつかの長手方向に延伸するチャネル53Aにおいては一端から(
図6の実施形態のリアクタ20の側面の2つの外側チャネル53A)から、いくつかのチャネル53Bにおいては2つの端部から(
図6の実施形態のリアクタ20の2つの内側チャネル53B)から、UV-LEDによって照射される。上述の実施形態のいずれかと同様に、一般に、リアクタ20の流体流路53のいずれかは、それらの長手方向端部の一方または両方から照射することができる。いくつかの実施形態では、これは、流れが出入りするチャネルの長手方向両端にLED58を配置することができるように、長手方向に対して入口56および出口57を適切に配向させることを含むことができる。図リアクタ20の主な流体流方向は矢印で示されている。
【0059】
図2A、
図2B、
図2Cおよび
図3に関連して上述した概念は、
図4~
図6に示す実施形態のマルチチャネルリアクタの各チャネルに適用することができる。特に、適切に構成された放射線集束素子によって(例えば、適切な屈折率を有する材料から選択、成形、位置決め、作製などされるレンズ(複数可)によって)、および/または、流れ制御要素(複数可)の適切な選択によって、長手方向に延伸する流体流路の空孔の断面(またはその一部分)にわたる平均(長手方向に延伸する各流体流路の長手方向寸法にわたる)放射線フルエンス率プロファイルは、長手方向に延伸する流体流路の空孔の断面(またはその一部分)内の平均(長手方向に延伸する流体流路の長手方向寸法にわたる)長手方向速度流体速度プロファイルと正の相関を有することができ、またはいくつかの実施形態においては、概略的に比例することができる。
【0060】
UV-LEDリアクタのいくつかの実施形態は、長手方向に延伸する各流体流路を流れる流体を照射する複数のUV-LED(すなわち、多対1の比率のLEDと流体流路)を備える。
図7および
図8に示すようないくつかの実施形態(後述)では、複数の集束素子(各UV-LEDに1つの集束素子)が組み込まれ、各UV-LEDからの放射線は、その対応する集束素子によって集束され、その対応するチャネルに導かれる。
図11および
図12に示すような他の実施形態(後述)では、1つまたは複数の集光素子(またはその部分)が複数のUV-LED間で共有され、複数のUV-LEDからの放射線が、1つまたは複数の集束素子を通過してそれらの対応するチャネルに入る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のLEDから成るグループが、任意の適切な内容で、1つまたは複数の対応する集束素子(または1つまたは複数の対応する集束素子内からの1つまたは複数の対応するレンズ)から成るグループを共有することができる。例えば、合計9個のLEDおよび3個のレンズがあってもよく、LEDは3つのLEDから成る3つのグループにグループ化され、3つのLEDから成る各グループからの放射が、LEDグループに対応する単一のレンズを通過する。複数のUV-LEDを組み込んだUV-LEDリアクタが、相対的に大きな断面を有する空孔を有する流体流路に特に適し得る。複数のUV-LEDは、流体流路を照射するために単一のUV-LEDによって操作される実施形態と比較して、そのような流体流路における放射照度を増加させることによって照射範囲を最大にするのを助けることができる。
【0061】
図7および
図8は、長手方向に延伸する各流体流路を照射するための複数のUV-LED(すなわち、多対1の比率のLEDおよび流体流路)と、複数の集束素子(すなわち、1対1の比率のLEDおよび集束素子、集束素子は実際には複数のレンズを含んでもよいことは理解されたい)とを備える、実施形態によるUV-LEDリアクタ300、400を示す。UV-LEDリアクタ300,400は、いくつかの点で、
図2Aおよび
図2Bのリアクタ30,40と類似している。しかしながら、UV-LEDリアクタ300,400は、UV-LEDリアクタ300,400が、各UV-LEDリアクタ300,400の長手方向に延伸する流体流路301,401内の流体を照射するためにUV放射線を放出するための複数のLED集束素子アセンブリ308,408を備えるという点で、UV-LEDリアクタ30,40と異なる。各LED集束素子アセンブリ308,408は、UV-LED306,406と、1つまたは複数の集束レンズ304,404を備える対応する放射線集束素子307,407とを備える。例示の実施形態では、集束素子308,408は、各UV-LED306,406の1つのレンズ304,404を含むように示されている。レンズ304,404は、対応するUV-LED306,406内に一体化されてもよく、または近接もしくは隣接して配置されてもよい。いくつかの実施形態では、集束素子308,408は、1つまたは複数のレンズ304,404を備えることができ、それらの各々が、対応するUV-LED306,406に一体化されてもよく、または近接もしくは隣接して配置されてもよい。LED集束素子アセンブリ308,408と流体流路301,401との間に、石英窓などのUV透過窓318,418を配置することができる。
【0062】
UV-LEDリアクタ300,400において、流体(図示せず)は、流体流路301,401の空孔の断面にわたって(破線319,419によって示すように)変化する長手方向速度プロファイル312,412で移動している。UV-LED306、406から放出される放射線315、415は、集束素子307、407(各集束素子307、407は、UV-LED306、406のうちの対応する1つに対応する)を通過し、集束されて、長手方向に延伸する流路301、401の空孔内で長手方向に移動している流体に衝突する。集束素子307、407および/またはそれらの集束レンズ304、404は、流体がより高い相対長手方向速度を有する流体流路301、401の空孔の断面の中心においてより高い相対放射線フルエンス率を提供するように(例えば、適切な屈折率を有する材料から選択、位置決め、成形、作製などされるレンズ(複数可)によって)構成することができる。逆に、集束素子307、407および/またはそれらの集束レンズ304、404は、流体流路301、401の空孔の断面の中心から離間した位置においてより低い相対放射線フルエンス率を提供するように(例えば、適切な屈折率を有する材料から選択、位置決め、成形、作製などされるレンズ(複数可)によって)構成することができる。適切に構成された放射線集束素子307、407によって(例えば、適切な屈折率を有する材料から選択、成形、位置決め、作製などされるレンズ(複数可)304、404によって)、長手方向に延伸する流体流路301、401の空孔の断面(またはその一部分)にわたる平均(長手方向に延伸する流体流路301、401の長手方向寸法にわたる)放射線フルエンス率プロファイルは、長手方向に延伸する流体流路301、401の空孔の断面(またはその一部分)内の平均(長手方向に延伸する流体流路301、401の長手方向寸法にわたる)長手方向速度流体速度プロファイルと正の相関を有することができ、またはいくつかの実施形態においては、概略的に比例することができる。したがって、流体がリアクタを出る(または流体流路301、401を出る)時点までに、流体の各成分は、類似または同等の総UV放射線量を受けることができる。
【0063】
実際には、例えば、これは、上述の特性を達成するように、チャネル301、401内の流体の予測される速度プロファイルに基づいて、放射線を流体流路301、401の空孔に集束させる1つまたは複数の集束レンズ304、404を含むように集束素子307、407の各々を構成することによって達成され得る。いくつかの実施形態では、そのような集束レンズ(複数可)は、必ずしも(UV放射線源に対して)その焦点距離に位置決めされない
図1Bに示すような収束レンズ18および/もしくは
図1Aに示すようなコリメートレンズ15、または、所望の放射線フルエンス率プロファイルを達成するために、予測される速度プロファイルに基づいて流体流路301、401の空孔へと放射線を集束させるための任意の他の適切なレンズ(複数可)もしくはレンズの組み合わせを含んでもよい。
図7および
図8の例示の実施形態では、流体流路301、401の空孔内の流体の長手方向速度プロファイル312、412を観察することができるように、流体流路301、401の空孔の内部の放射線315、415が半透明であるように示されている。
【0064】
図7の実施形態の速度プロファイル312は、
図8の実施形態の速度プロファイル412とは異なる。
図7において、流体流路301の断面にわたる速度変化319は、
図8の実施形態の速度変化419と比較したときにより大きい(すなわち、
図7の実施形態の、流体流路301の空孔の断面の中心における最大速度と、流体流路301の空孔の断面の中心から離間した位置における速度との間の流体速度の変動は、
図8の実施形態の、流体流路401の空孔の断面の中心における最大速度と、流体流路401の空孔の断面の中心から離間した位置における速度との間の流体速度の変動よりも大きい)。このように、
図7の実施形態の集束素子307および/または集束レンズ304は、
図8の実施形態のチャネル401の空孔の断面にわたるフルエンス率変動と比較して、
図7の実施形態のチャネル301の空孔の断面にわたって相当に高いフルエンス率変動をもたらす(すなわち、
図7の実施形態の、流体流路301の空孔の断面の中心と、流体流路301の空孔の断面の中心から離間した位置との間の放射線フルエンス率の変動が、
図8の実施形態の、流体流路401の空孔の断面の中心と、流体流路401の空孔の断面の中心から離間した位置との間の放射線フルエンス率の変動よりも大きい)ように、放射線を集束させるように(例えば、適切な屈折率を有する材料から選択、位置決め、成形および/または作製されるレンズを用いて)構成される。
図7の実施形態のUV放射線は、空孔の断面の中心から離れた位置よりも、空孔の断面の中心に著しく集束され得る。
【0065】
これと比較して、
図8の実施形態では、速度は、流体流路401の空孔の断面の中心において適度に高いだけである。このように、
図8の実施形態の集束素子407および/または集束レンズ404は、
図7の実施形態のフルエンス率変動と比較して、
図8の実施形態の空孔401の断面にわたって中程度に高いフルエンス率変動をもたらす(すなわち、
図8の実施形態の、流体流路401の空孔の断面の中心と、流体流路401の空孔の断面の中心から離間した位置との間の放射線フルエンス率の変動が、
図7の実施形態の、流体流路301の空孔の断面の中心と、流体流路301の空孔の断面の中心から離間した位置との間の放射線フルエンス率の変動よりも小さい)ように、(例えば、適切な屈折率を有する材料から選択、位置決め、成形および/または作製されるレンズを用いて)構成される。UV放射線は、
図8の実施形態の空孔401の断面の中心から離れた位置よりも、空孔401の断面の中心において中程度により多く集束され得る。
【0066】
図9は、
図7および
図8に示されるUV-LEDリアクタ300,400と同様に、流体入口533を有する長手方向に延伸する流体流路501を照射する複数のLEDレンズアセンブリ508を含むUV-LEDリアクタ500の上面斜視図である。
図9の実施形態では、各LEDレンズアセンブリ508は、
図7および
図8の実施形態に関して上述したLEDレンズアセンブリ308,408と同様の構成要素を有することができ、(流体の相対長手方向速度がより大きい)流体流路501の空孔の断面の中心においてより高い相対放射線フルエンス率を提供し、流体流路501の空孔の断面の中心から離間した位置(流体の相対長手方向速度がより低い)においてより低い相対放射線フルエンス率を提供するように、予想される速度プロファイルに基づいて流体流路501の空孔へと放射線を集束させる放射線集束素子を含む。
図9には具体的に示されていないが、明瞭にするために、各LEDレンズアセンブリ508の構成要素が存在する。LEDレンズアセンブリ508と流体流路501との間に配置されてもよいUV透過窓も図示されていない。適切に構成された放射線集束素子によって(例えば、適切な屈折率を有する材料から選択、成形、位置決め、作製などされるレンズ(複数可)によって)、長手方向に延伸する流体流路501の空孔の断面(またはその一部分)にわたる平均(長手方向に延伸する流体流路501の長手方向寸法にわたる)放射線フルエンス率プロファイルは、長手方向に延伸する流体流路501の空孔の断面(またはその一部分)内の平均(長手方向に延伸する流体流路501の長手方向寸法にわたる)長手方向速度流体速度プロファイルと正の相関を有することができ、またはいくつかの実施形態においては、概略的に比例することができる。
図9の実施形態では、複数の流体出口534が、流体流路501の、照射される流体が存在する一端に配置されている。
図9に示す複数の出口の構成は、流体流路501の断面にわたって、特に相対的に大きな断面を有する空孔を有する流体流路に対して相対的により均一な速度分布を促進することができる。
【0067】
図10は、流体入口633を有する長手方向に延伸する流体流路601を照射する複数のLEDレンズアセンブリ608(各々がUV-LEDアセンブリ308、408と同様の構成要素を備える)を含むUV-LEDリアクタ600の上面斜視図である。リアクタ600は、
図9のUV-LEDリアクタ500に類似している。しかし、UV-LEDリアクタ600は、UV-LEDリアクタ600が入口633の近くに流れ分配器674をも備えるという点において、UV-LEDリアクタ500とは異なる。流れ分配器674は、静的ミキサ、ボーテックスジェネレータ、バッフル等のような1つまたは複数の流れ制約要素を含むことができる。流れ分配器674は、付加的または代替的に、穿孔(例えば、多孔性)が分配器674の本体を通じて均一または不均一に分布する穿孔(例えば、多孔性)材料を含むことができる。流れ分配器674の多孔性は、流体流路601の断面内の流体速度のより均一な分布をもたらし、より均一な速度分布が望ましい場合には、流体流路601の空孔の断面と比較して、小さい断面を有する入口633によって生成される噴流の影響を排除することができる。流れ分配器674は、長手方向に延伸する流体流路601の空孔内の流体流を抑制するために、流体流路601に配備することができ、所望の速度プロファイルを達成し、かつ/または、長手方向に延伸する流体流路601の空孔の断面(またはその一部分)にわたる平均(チャネル601の長手方向寸法にわたる)放射線フルエンス率プロファイルと相関する、長手方向に延伸する流体流路601の空孔の断面(またはその一部分)にわたる平均(長手方向に延伸する流体流路601の長手方向寸法にわたる)長手方向速度プロファイルを提供するように(例えば、適切な形状、サイズ、密度、多孔性などによって)構成することができる。
【0068】
図11および
図12は、長手方向に延伸する各流体流路を照射するための複数のUV-LED706,806を含む(すなわち、多対1の比率のLEDおよび流体流路)実施形態によるUV-LEDリアクタ700,800を示す。
図11および
図12の実施形態では、複数のLED706,806が、放射線集束素子707,807(すなわち、多対1のLEDおよび放射線集束素子の比率)またはその一部分を共有する。
図11および
図12の例示の実施形態では、各集束素子707,807は、単一のレンズ704,804を含むものとして示されている。これは必須ではない。いくつかの実施形態では、各集束素子707,807は、複数のレンズ704,804を含んでもよい。いくつかのこのような実施形態では、複数のLED706,806は、放射線集束素子707,807の部分(例えば、集束素子707,807内からの1つまたは複数のレンズ704,804)を共有することができる。UV-LEDリアクタ700,800は、いくつかの点で、
図7および
図8のUV-LEDリアクタ300,400と類似している。例えば、UV-LEDリアクタ300,400と同様に、UV-LEDリアクタ700,800は、複数のUV-LED706,806を含む。しかしながら、UV-LEDリアクタ700,800は、UV-LEDリアクタ700,800が、放射線集束素子707,807またはその部分を共有する複数のLED706,806を含む(すなわち、多対1のLEDおよび放射線集束素子の比率)という点において、UV-LEDリアクタ300,400とは異なる。放射線集束素子707,807は、各UV-LEDリアクタ700,800の長手方向に延伸する流体流路701,801内の流体を照射するために、UV-LED706,806によって放出されたUV放射線を集束させる。例示の
図7および
図8の実施形態では、複数のUV-LED706,806からの放射線は、共用されている集束素子707,807(またはその部分)を通過する。集束素子707、807と流体流路701,801との間に、石英窓などのUV透過窓718,818を配置することができる。
【0069】
UV-LEDリアクタ700,800において、流体(図示せず)は、流体流路701,801の空孔の断面にわたる対応する変動719、819を有する長手方向速度プロファイル712,812で移動している。UV-LED706、806から放出される放射線715、815は、集束素子707、807を通過し、長手方向に延伸する流路701、801の空孔内で長手方向に移動している流体に衝突する。集束素子707、807のレンズ704、804は、流体がより高い相対長手方向速度を有する流体流路701、801の空孔の断面の中心においてより高い相対放射線フルエンス率を提供するように、適切な屈折率を有する材料から選択、位置決め、成形、作製などされ得る。逆に、集束素子707、807および/または集束レンズ704、804は、流体流路701、801の空孔の断面の中心から離間した位置においてより低い相対放射線フルエンス率を提供するように構成(例えば、適切な屈折率を有する材料から選択、位置決め、成形、作製)することができる。適切に構成された放射線集束素子707、807によって(例えば、適切な屈折率を有する材料から選択、成形、位置決め、作製などされるレンズ(複数可)704、804によって)、長手方向に延伸する流体流路701、801の空孔の断面(またはその一部分)にわたる平均(長手方向に延伸する流体流路701、801の長手方向寸法にわたる)放射線フルエンス率プロファイルは、長手方向に延伸する流体流路701、801の空孔の断面(またはその一部分)内の平均(長手方向に延伸する流体流路701、801の長手方向寸法にわたる)長手方向速度流体速度プロファイルと正の相関を有することができ、またはいくつかの実施形態においては、概略的に比例することができる。したがって、流体がリアクタを出る(または流体流路701、801を出る)時点までに、流体の各成分は、類似または同等のUV放射線量を受けることができる。
【0070】
実際には、これは、上述の特性を達成するように、放射線を流体流路701、801の空孔に集束させる1つまたは複数のレンズ704、804を含むように集束素子707、807を構成することによって達成され得る。いくつかの実施形態では、そのような集束レンズ(複数可)は、必ずしも(UV放射線源に対して)その焦点距離に位置決めされない
図1Bに示すような収束レンズ18および/もしくは
図1Aに示すようなコリメートレンズ15、または、所望の放射線フルエンス率プロファイルを達成するために、予測される速度プロファイルに基づいて流体流路701、801の空孔へと放射線を集束させるための任意の他の適切なレンズ(複数可)もしくはレンズの組み合わせを含んでもよい。
図11および
図12の例示の実施形態では、流体流路701、802の空孔内の流体の長手方向速度プロファイル712、812を観察することができるように、流体流路701、801の空孔の内部の放射線715、815が半透明であるように示されている。
【0071】
図11の実施形態の速度プロファイル712は、
図12の実施形態の速度プロファイル812とは異なる。
図11において、流体流路701の断面にわたる速度変化719は、
図12の実施形態の速度変化819と比較したときにより大きい(すなわち、
図11の実施形態の、流体流路701の空孔の断面の中心における最大速度と、流体流路701の空孔の断面の中心から離間した位置における速度との間の流体速度の変動は、
図12の実施形態の、流体流路801の空孔の断面の中心における最大速度と、流体流路801の空孔の断面の中心から離間した位置における速度との間の流体速度の変動よりも大きい)。このように、
図11の実施形態の集束素子707および/または集束レンズ(複数可)704は、
図12の実施形態のチャネル801の空孔の断面にわたるフルエンス率変動と比較して、
図11の実施形態のチャネル701の空孔の断面にわたって相当に高いフルエンス率変動をもたらす(すなわち、
図11の実施形態の、流体流路701の空孔の断面の中心と、流体流路701の空孔の断面の中心から離間した位置との間の放射線フルエンス率の変動が、
図12の実施形態の、流体流路801の空孔の断面の中心と、流体流路801の空孔の断面の中心から離間した位置との間の放射線フルエンス率の変動よりも大きい)ように、放射線を集束させるように(例えば、適切な屈折率を有する材料から選択、位置決め、成形および/または作製されるレンズ704を用いて)構成される。
図11の実施形態のUV放射線は、空孔の断面の中心から離れた位置よりも、空孔の断面の中心に著しく集束され得る。
【0072】
これと比較して、
図12の実施形態では、速度は、流体流路801の空孔の断面の中心において適度に高いだけである。このように、
図8の実施形態の集束素子807および/またはレンズ804は、
図11の実施形態のフルエンス率変動と比較して、
図12の実施形態の空孔801の断面にわたって中程度に高いフルエンス率変動をもたらす(すなわち、
図12の実施形態の、流体流路801の空孔の断面の中心と、流体流路801の空孔の断面の中心から離間した位置との間の放射線フルエンス率の変動が、
図11の実施形態の、流体流路701の空孔の断面の中心と、流体流路701の空孔の断面の中心から離間した位置との間の放射線フルエンス率の変動よりも小さい)ように(例えば、適切な屈折率を有する材料から選択、位置決め、成形および/または作製されるレンズ(複数可)を用いて)構成される。UV放射線は、
図12の実施形態の空孔801の断面の中心から離れた位置よりも、空孔801の断面の中心において中程度により多く集束され得る。
【0073】
本明細書に記載されるリアクタおよびリアクタを使用する方法は、任意のUV活性化光反応または光触媒反応に適用され得る効率的でコンパクトなUV-LEDリアクタを提供することができる。これらの用途の1つは、UVベースの水処理、特に微生物のUV不活性化による水の浄化または消毒および化学汚染物質のUVベースの分解である。例えば、いくつかの実施形態は、以下の説明を含めて、本明細書の他の箇所に記載されているように、使用場所または取水場所の水浄化用途のような水の低~中程度の流量を処理するのに特に適している。さらに、本明細書に記載されるリアクタおよびリアクタを使用する方法は、既存のUV-LEDリアクタと比較して優れた(または少なくとも相対的により一貫した)流体に対するUV線量供給をもたらすために、UV-LED放射パターンおよび流動場流体力学の組み合わせに基づいて最適化することができる。
【0074】
本発明のいくつかの態様は、リアクタが、流体流路の空孔を通じて移動する流体成分のすべて(または実質的にすべて)に対して同様のまたは同等のUV線量(放射線フルエンス率と滞留時間との積)を与えるように、長手方向に延伸する流体流路の空孔の断面(または断面の一部分)にわたる平均(長手方向に延伸するチャネルの長手方向寸法にわたる)放射線フルエンス率分布および/または平均(長手方向に延伸するチャネルの長手方向寸法にわたる)長手方向速度分布を制御するように設計されているリアクタを提供する。上述したように、これらのパラメータ(断面(またはその一部分)にわたる平均放射線フルエンス率分布および/または断面(またはその一部分)にわたる平均長手方向流体速度)の一方または両方は、チャネルの空孔の断面(またはその一部分)にわたる平均速度プロファイルと正の相関を有し、いくつかの実施形態では概略的に比例する平均放射線フルエンス率を達成するように制御することができる。簡潔にするために、これらの特性(本明細書の他の箇所でより詳細に記載されているような)は、速度-フルエンス率マッチングとして参照される場合がある。いくつかの実施形態では、このような速度-フルエンス率マッチングは、流体が長手方向に延伸する流体流路の長手方向の寸法を越えるときに、流体要素のすべてに対して同様のまたは同等のUV線量を達成することができる。長手方向に延伸する流体流導管の空孔内を移動する流体の断面長手方向速度プロファイルは、流体流路の空孔の特性および流体速度とともに、流体特性の材料特性である流体のレイノルズ数に依存することが理解されよう。任意の流体要素の長手方向流体流速は一定である必要はなく、流体が流路の長手方向寸法に沿って移動するにつれて変化し得る(例えば、流体成分は、流路を通るその移動の間に、断面内のより高速の中心位置から断面の中心から離れたより低速の位置へ、またはその逆に移動し得る)ことがさらに理解されよう。
【0075】
本発明の前述の説明は、現在最良の形態であると考えられるものを当業者が作成し使用することを可能にするが、当業者は、本明細書における特定の実施形態、方法、および実施例の変形、組み合わせ、および均等物が存在することを理解し、諒解するであろう。したがって、本発明は、上述の実施形態、方法、および実施例によって限定されるべきではない。
【0076】
上述した放射線量制御方法および装置(
図1~
図12を参照)を組み込むことができるUV-LEDベースのフォトリアクタのさらなる例示的な実施形態を以下に説明する。
【0077】
例えば、例示的な実施形態によるUV-LEDリアクタの様々なチャネル構成を、
図13~
図18を参照して以下で説明する。これらの実施形態では、UV-LEDリアクタは、放射線量制御方法および装置(本明細書の他の箇所に記載されるような放射線集束素子および/または流れ制約要素など)を、たとえそのような放射線集束素子および/または流れ制約要素が図面に具体的に図示または記載されていない場合であっても、組み込むことができる。
【0078】
図13A~
図13Eは、例示的な実施形態による単一チャネルUV-LEDリアクタ構成の側面図を示す。一般に、これらの構成は、単一チャネルUV-LEDリアクタとマルチチャネルUV-LEDリアクタの両方に適用することができる。入口および出口の向きならびにそれらの流体流方向は、マルチチャネルリアクタの場合では、単一チャネルリアクタの場合と比較して異なる場合がある。直線状の黒色の矢印は、リアクタとリアクタの入口および出口の両方における流れの主な方向を示す。
【0079】
図13Aは、ハウジング61と、UV-LED62と、UV透過窓63とを備えるUV-LEDリアクタ70Aの側面図である。この単一チャネルリアクタは、流路の一端のみから照射され、出口方向における柔軟性を提供する。所望の光反応を引き起こすために、化学物質(図示せず)を流体流と共にリアクタに添加することができる。速度-フルエンス率マッチングを、
図13Aの実施形態において、本明細書に記載の技術のいずれかを使用して達成することができる。
【0080】
図13Bは、ハウジング64と、2つ以上のUV-LED65と、UV透過窓66とを備えるUV-LEDリアクタ70Bの側面図である。UV-LEDリアクタ70Bは、(各端に位置する少なくとも1つのUV-LED65によって)流路の両端から照射され、一方の端部のみから照射される
図7Aの構成と比較してより高い放射線フルエンスを提供する。各UV-LED65は、特定の波長(同じであっても異なっていてもよい)のUV放射線を放出することができる。各UV-LED65の波長が異なる場合、
図13Bの実施形態は、流体流を照射する異なる波長の組み合わせを提供することができ、これらの波長の1つ(または両方)は、速度-フルエンス率マッチングを呈することができる。各UV-LED65の波長が同じである場合、
図13Bの実施形態におけるUV-LED65の組み合わせからの放射線は、速度-フルエンス率マッチングを呈することができる。
【0081】
図13Cは、ハウジング71と、UV-LED72と、UV透過窓73と、静的ミキサ74または流体流を制約する他のこのような要素とを備えるUV-LEDリアクタ70Cの側面図である。湾曲した黒色の矢印は、静的ミキサ74を通過した後の流体の混合を示す。静的ミキサ74は、UV-LEDリアクタの流体力学の改善のために、混合および潜在的な渦の発生を促進するために適用される。他の方向の速度成分は相対的に均一ではない場合があるが、混合すると、長手方向流体速度の相対的により均一な分布が得られ得る。長手方向流体速度の相対的により均一な分布を提供することにより、対応するフルエンス率分布を実施することを容易にし、最終的に速度-フルエンス率マッチングを達成することをより容易にすることができる。
【0082】
図13Dは、ハウジング81と、1つまたは複数のUV-LED82と、UV透過窓83と、支持構造84上に固定された光触媒とを備えるUV-LEDリアクタ70Dの側面図である。光触媒は、UV-LEDからのUV放射線によって活性化されて、UV-LEDリアクタ内で光触媒反応を開始する。速度-フルエンス率マッチングを、
図13Dの実施形態において、本明細書に記載の技術のいずれかを使用して達成することができる。
【0083】
図13Eは、ハウジング85と、UV-LED86と、UV透過窓87と、有孔支持構造88上に固定された光触媒とを備えるUV-LEDリアクタ70Eの側面図である。光触媒は、UV-LEDからのUV放射線によって活性化されて、光触媒反応を開始する。光触媒がリアクタチャネル断面内に配置されるこの構成は、光触媒に対して高い放射束を提供することができる。速度-フルエンス率マッチングを、
図13Eの実施形態において、本明細書に記載の技術のいずれかを使用して達成することができる。
【0084】
図14Aおよび
図14Bは、長手方向に延伸する流体流路のスタックを備える例示的な実施形態による2つのUV-LEDリアクタ80および90の側面図(第3の寸法の方向を示す点線を有する)である。
図14Aは、ハウジング91と、各々が矩形断面を有する、長手方向に延伸する流体流路92のスタックと、複数のUV LED93とを備えるUV-LEDリアクタ80の側面図を示す。
図14Bは、ハウジング95と、各々が三角形断面を有する、長手方向に延伸する流体流路96のスタックと、複数のUV LED97とを備えるUV-LEDリアクタ90の側面図を示す。これらの実施形態のいずれにおいても、流体は、長手方向に延伸する流体流路のスタックを通って移動する際に、UV LEDによって照射される。速度-フルエンス率マッチングを、
図14Aおよび
図14Bの実施形態の流路の各々において、本明細書に記載の技術のいずれかを使用して達成することができる。そのような構成は、高いUVフルエンス(線量)および/または高いスループットをもたらすことができるUV-LEDリアクタの製造を容易にする。流体流路の断面は、長方形(
図14A)、三角形(
図14B)、または別の形状であってもよい。主な流体流方向が矢印で示されている。UV透過窓などを含むUV-LEDリアクタ80,90の他の構成要素は、図解において残りの構成要素を不明瞭にしないように示されていない。
【0085】
図15A~
図15Cは、例示的な実施形態によるUV-LEDリアクタ1110の上面図(
図15A)、側面図(
図15B)、および斜視図(
図15C)を示す。UV-LEDリアクタ1110は、ハウジング1119と、長手方向に流体(例えば水)を搬送するためのチャネル壁1114を有する、一対の隣接する長手方向に延伸する流体流路1113と、流体を入れるための入口1111と、流体を出すための出口1112とを備える。UV-LEDリアクタ1110はまた、回路基板1116に搭載された2つ(またはそれ以上の)UV-LED1106と、回路基板1116と流体流路1113との間に配置された石英窓などのUV透過窓1118と、オン/オフスイッチ1121と、電源ポート1122とを備える。UV-LED、マイクロコントローラ、および他の電子機構(図示せず)のための駆動回路は、LED回路基板1116とオン/オフスイッチ1121との間の電子ハウジング1123内に配置することができる。コリメートレンズ、収束レンズ、発散レンズおよび/もしくは他のレンズ(図示せず)のような種々のレンズ(図示せず)を、リアクタ1110内でUV-LED1106と長手方向に延伸する流体流路1113との間に配置して、UV-LED放射パターンを、流体流路1113へと集束させることができる。流体流路1113は、流体が一方のチャネル1113から隣接するチャネル1113へ移動するために、一端において流体連通している。主な流体流の方向を示す矢印によって示されるように、流体は入口1111からリアクタ1110に入り、第1の長手方向に延伸する流体流路1113を通って流れ、隣接する内側チャネル1113の端部において旋回した後、引き続き第2の長手方向に延伸する流体流路1113を通った後、出口1112から出る。流体は、UV-LEDリアクタ1110に出入りして流れ、チャネル1113を通過し、UV-LED1106からのUV放射線によって照射される。速度-フルエンス率マッチングを、
図15A~
図15Cの実施形態の流路の各々において、本明細書に記載の技術のいずれかを使用して達成することができる。
【0086】
図16A~
図16Dは、例示的な実施形態によるUV-LEDリアクタ1120の上面図(
図16Aおよび
図16D)、側面図(
図16B)、および斜視図(
図16C)を示す。UV-LEDリアクタ1120は、ハウジング1139と、長手方向に流体(例えば水)を搬送するためのチャネル壁1134を有する、一対の隣接する長手方向に延伸する流体流路1133と、流体を入れるための入口1131と、流体を出すための出口1132と、回路基板1136上に搭載されているUV-LED1135とを備える。コリメートレンズは1137であり、リアクタ1120内のフレーム1144上でUV-LED1135と流体流路1133との間に配置されて、UV-LED放射パターンを、長手方向に延伸する流体流路1133へと集束させることができる。リアクタ1120はまた、コリメートレンズ1137を保持するフレーム1144と流体流路1133との間に配置された石英窓のようなUV透過窓1138を備える。リアクタ1120は、オン/オフスイッチ1141および電源ポート1142を備える。UV-LED、マイクロコントローラ、および他の電子機構(図示せず)のための駆動回路は、LED回路基板1136とオン/オフスイッチ1141との間の電子ハウジング1143内に配置することができる。コリメートレンズ1137は、UV-LED1135からのUV放射線を流体流路へとコリメートする。いくつかの実施形態では、UV-LED1135は、LEDに一体化された収束レンズを有することができる。UV-LED1135の前面に配置された収束レンズおよびコリメートレンズの両方が存在することによって、流体流を照射するより効果的な方法を提供することができる。
図16Dを参照すると、UV-LED1135から放出され、コリメートレンズ1137を通過してコリメート光線1146になるUV光線1145が示されている。流体は、UV-LEDリアクタ1120に出入りして流れ、チャネル1133を通過し、リアクタチャネル1133内でUVコリメート光線1146によって照射される。このリアクタ構成は、円形断面の流路を有してもよい。UV光線の主な方向が破線の矢印で示されている。速度-フルエンス率マッチングを、
図16A~
図16Dの実施形態の流路の各々において、本明細書に記載の技術のいずれかを使用して達成することができる。
【0087】
図17Aおよび
図17Bは、UV-LEDによって照射される、長手方向に延伸する流体流路の長さを通じて配置されているUV-LEDリアクタの2つの構成の部分概略斜視図を示す。本明細書で説明される概念をより明確に図解するために、これらの図には、UV-LEDリアクタのUV-LED、UV-LED基板、および光触媒構造のみが示されている。
図17Aは、その上にUV-LED1152が搭載されている一連の有孔基板1153を含むUV-LEDリアクタ1130を示し、長手方向に延伸する流体流路1151内の流体流(図示せず)がUV-LED1152によって照射される。
図17Bは、その上にUV-LED1155が搭載されている一連の有孔基板1156と、一連の光触媒構造1157とを含むUV-LEDリアクタ1140を示し、長手方向に延伸する流体流1154内の流体流(図示せず)および光触媒構造がUV-LED1155によって照射される。矢印はUV-LEDおよび光触媒構造を通過するときの流体流の全体的な方向を示す。流体流は、LED有孔基板および光触媒構造を通過する。この構成は、流体中の光反応および光触媒反応を引き起こすことができる。速度-フルエンス率マッチングを、
図17Aおよび
図17Bの実施形態において、本明細書に記載の技術のいずれかを使用して達成することができる。
【0088】
図18Aおよび
図18Bは、UV-LEDによって照射される、流体流路の長さ全体を通じて配置されているUV-LEDリアクタの2つの構成の部分概略斜視図を示す。本明細書で説明される概念をより明確に図解するために、これらの図には、UV-LEDリアクタのUV-LED、UV-LED基板、および光触媒部分のみが示されている。
図18Aは、その上にUV-LED1162が搭載されている一連の中実基板1163を含むUV-LEDリアクタ1160を示し、長手方向に延伸する流体流路1161内の流体流(図示せず)がUV-LED1162によって照射される。
図18Bは、その上にUV-LED1165が搭載されている一連の中実基板1166と、一連の光触媒構造1167とを含むUV-LEDリアクタ1170を示し、長手方向に延伸する流体流路1164内の流体流(図示せず)および光触媒構造がUV-LED1165によって照射される。矢印はUV-LED1162、1165および光触媒構造1167を通過する流体流の全体的な方向を示す。湾曲した矢印によって示されるように、流体流は、LED基板の開放側(UV-LED基板によって占有されていないチャネルの一部分)上で、光触媒構造を通過する。この構成は、流体中の光反応および光触媒反応を引き起こすことができる。速度-フルエンス率マッチングを、
図18Aおよび
図18Bの実施形態において、本明細書に記載の技術のいずれかを使用して達成することができる。
【0089】
図17および
図18に示されるUV-LEDリアクタ構成では、流体流および光触媒構造は、片側または両側からUV-LEDによって照射することができる。したがって、UV-LEDは、LED基板の片面または両面に搭載されてもよい。さらに、
図17および
図18に示すいずれの構成においても、静的ミキサ(図示せず)をリアクタ内に配置して、流体流の流体力学を変更することができる。
【0090】
本明細書に記載の長手方向に延伸する流体流路は、円形、半円形、正方形、矩形、三角形、台形、六角形などを含むが、これらに限定されない任意の適切な形状をとることができる断面を有する。これらの断面は、特定の流体流条件およびUV-LED放射パターンを所与として、リアクタ流体力学および/または放射線分布を改善することによって、リアクタ性能を向上させることができる。例えば、円形断面を有する流体流路は、UV-LEDコリメート放射線について流体への最適な放射線伝達を提供することができる。
【0091】
本明細書に記載の技術の実施形態は、流体中の様々なUV活性化光反応または光触媒反応に適用可能な効率的でコンパクトなUV-LEDリアクタを提供することを対象とする。例えば、本明細書に記載のように、これらの用途の1つは、微生物のUV不活性化による水の浄化および化学汚染物質のUVベースの分解である。
【0092】
UV-LEDリアクタの特定の用途は、例えば、使用場所の用途における、低~中程度の流量の水の処理および処置を含む。さらに、本明細書に記載の実施形態によるUV-LEDリアクタは、そのコンパクトな構成および高い効率に起因して、器具(例えば、冷蔵庫、冷凍庫、水冷器、コーヒーマシン、給水器、製氷機など)、健康管理または医療デバイスまたは設備、歯科用機器、および清潔な水の使用を必要とする任意の他のデバイスに組み込むことができる。UV-LEDリアクタは、デバイスに組み込まれてもよく、既存のデバイスに追加物として適用されてもよい。例えば、UV-LEDリアクタは、UV-LEDリアクタがデバイス内で使用される(例えば、デバイスの送水管を通過する)水を処理するように、送水管のいずこかに位置決めされてもよい。これは、パイプを通過する間に流体が照射/処理されることが望ましい場合、またはパイプの内部に潜在的な微生物バイオフィルムの形成を防止することが望まれる場合、または使用前にパイプラインの端部において流れが処理されることが望ましい場合に、特に興味深いものであり得る。UV-LEDリアクタは、1つまたは複数の他の形態の水浄化方法(ろ過など)と共にデバイスに組み込まれてもよい。次に、UV-LEDリアクタの例示的な使用場所の流体処理応用形態を、
図19~
図21を参照して説明する。
【0093】
図19は、入口パイプ201、出口パイプ202、および給水栓205を備え、水の処理のためにUV-LED204によって操作されるUV-LEDリアクタ203を組み込んだ水処理システム200を示す。水は、入口201を介してリアクタ203に入り、UV-LEDリアクタ203を通過し、一般的な使用のために出口パイプ202から出て給水栓205に進む前にUV-LED204から放出されるUV放射線によって照射される。概略的な流体流方向が矢印で示されている。
【0094】
いくつかの実施形態では、UV-LEDリアクタは、冷凍庫、水冷器、コーヒーメーカ、自動販売機などのような、人間による消費のために水(または水ベースの流体)を分配または使用する器具に組み込まれてもよい。人間による消費に使用される水は高度の浄化が必要である。例えば、冷蔵庫、冷凍庫、および水冷器の主な給水設備は、有害な病原体を含む可能性がある。これは、水道網に分配される前に水が適切に処理されない可能性のある途上国および遠隔地において特に懸念される。さらに、その特定の構造に起因して、冷蔵庫/冷凍庫の送水管は、バイオフィルムおよび微生物汚染を起こしやすいものであり得る。一般的に、ポリマーチューブが、屋外の氷および飲料水において使用されるために、水を主給水設備から冷蔵庫に移送する。特に水が使用されていないとき、細菌性バイオフィルムが送水管内に形成する可能性がある(例えば、バイオフィルムは8時間以内に形成する可能性がある)。間欠的な水使用パターンは、水柱全体が、日中長時間にわたって送水管内に停滞する原因となる。給水管が、表面上の細菌のコロニー形成およびバイオフィルムの形成を受けやすいことは、よく認識されている問題である。
【0095】
水の流れの開始および停止に応答して、リアクタのUV-LEDを自動的にオンおよびオフにすることができる。センサは、流体流を検出し、UV-LEDをオンまたはオフにするためにリアクタに信号を送信するために使用することができる。UV-LEDリアクタは、(消費のための)送水管から出る水の中の微生物汚染を減少させ、感染リスクを低下させることができる。これは、UV-LEDの動作条件によって容易になる。例えば、UV-LEDは様々な温度で動作することができ、高い頻度でオンとオフとを切り替えることができ、これは特に冷蔵庫および水冷器用途にとって重要である。
【0096】
人間による消費を意図した水または水ベースの流体(例えば、コーヒーまたは他の飲料)を分配または使用する任意の器具は、水を処理するために本明細書に記載の実施形態によるUV-LEDリアクタを組み込むことができる。例えば、
図20は、本体211と、水/氷ディスペンサ214に水を送るためのパイプ213とを備える冷蔵庫210を示す。冷蔵庫210には、UV-LEDリアクタ212が組み込まれている。パイプ213内を流れる水はUV-LEDリアクタ212を通過し、水/氷ディスペンサ214に入る前にUV放射線によって照射される。概略的な流体流方向が矢印で示されている。同様に、UV-LEDリアクタを組み込むことから利益を得ることができる他の器具には、冷凍庫、製氷機、冷凍飲料機、水冷器、コーヒーメーカ、自動販売機などが含まれるが、これらに限定されない。
【0097】
本明細書に記載された実施形態によるUV-LEDリアクタの他の用途には、手術、洗浄または清浄な水を必要とする別の目的のために、健康管理または歯科関連または医療用デバイスまたは設備内でまたはそれによって使用される水または他の流体の処理が含まれる。特に、多くの健康管理用途では、水質が飲料水よりも高い水準であることが要求される。本明細書に記載されるUV-LEDリアクタの効率およびコンパクト性は、それらのリアクタを、医療機器における実施のための従来のUVランプリアクタよりも魅力的にすることができる。
【0098】
例えば、
図21は、本体221と、UV-LEDリアクタ222を収容するパイプ223とを含む血液透析器を示す。パイプ223を流れる水は、血液透析器での使用に先立ち、処理のためにUV-LEDリアクタ222を通過する。同様に、UV-LEDリアクタを組み込むことから利益を得ることができる他の器具には、限定されるものではないが、結腸洗浄治療機器、および洗浄または手術のために水を供給する歯科機器などが含まれる。
【0099】
歯科機器の用途に関して、歯科ユニットウォーターライン(DUWL)の調査は、バイオフィルムの形成が問題であり、DUWLにおいて同定された細菌の大部分が遍在するものであることを示している。このような細菌は家庭の水分配システムでは少ない数しか存在しないかもしれないが、歯科ユニットの、空孔の狭い送水管の内腔表面にバイオフィルムとして繁栄する可能性がある。汚染されたDUWLからの微生物は、作業ユニットハンドピースによって生成されるエアロゾルおよび跳ねによって転移する。様々な研究は、DUWLにおける微生物汚染の低減の必要性を強調している。
【0100】
いくつかの実施形態では、ユニットに使用される水を処理するためにUV-LEDリアクタを歯科ユニットに組み込むことができる。UV-LEDリアクタは、歯科ユニット(歯科用椅子など)に一体化されてもよく、またはUV-LEDリアクタは、使用前に水を処理するために、水スプレーを保持する歯科用椅子のトレイ(アシスタントトレイ)内、もしくは、水スプレーハンドル内、もしくは、送水管を通じた他のいずこかに配置されてもよい。インスタントオンおよびオフを含む機能が、歯科ユニットに組み込まれたUV-LEDリアクタに含まれてもよい。
【0101】
速度-フルエンス率マッチングを、
図19~
図21の実施形態のいずれかのリアクタにおいて、本明細書に記載の技術のいずれかを使用して達成することができる。
【0102】
本明細書に記載のUV-LEDリアクタの実施形態の本体またはハウジングは、アルミニウム、ステンレス鋼、または金属、合金、高強度プラスチックなどのような他の十分に剛性で強固な材料から作成されていてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、パイプに類似した単一チャネルリアクタはまた、UV耐性PVCなどの可撓性材料から作成されてもよい。また、UV-LEDリアクタの様々な構成要素は、異なる材料から作成されてもよい。さらに、光触媒構造を、UV活性化光触媒反応のためにリアクタに使用することができる。光触媒は、流体が通過する有孔基板上に固定されること、および/または流体が通過する中実基板上に固定されることによって、リアクタに組み込むことができる。リアクタの流体力学を変更するために、静的ミキサまたは他の形態の流動改変装置を適用することができる。さらに、異なる設計概念の組み合わせが使用されてもよい。例えば、光触媒と共に静的ミキサを使用することができる。
【0103】
本明細書に記載された実施形態は、特定の特徴および流体流路構成またはレンズ構成などを有して提示されているが、本明細書に記載の特徴または構成の任意の他の適切な組み合わせがUV-LEDリアクタに存在し得ることを理解されたい。
【0104】
さらに、UV-LEDリアクタは、異なるピーク波長のUV-LEDを組み込んで、相乗効果を引き起こして光反応効率を高めることができる。
【0105】
様々な実施形態の流路およびUV-LEDアレイは、流れが所望の数のLEDに曝露されるように配置され得る。設計は、単一流路、一連の平行な流路、または複数の流路からなるスタックであってもよい。流体に供給される全UV線量は、流量を調整すること、および/または、UV-LED強度を調節すること、および/または、複数のUV-LEDをオン/オフすることによって制御することができる。この設計は、薄い平らなUV-LEDリアクタの製造を可能にする。例えば、いくつかの実施形態では、UV-LEDリアクタは、流体のための入口ポートおよび出口ポートを有し、形状および寸法の点で、スマートフォンのサイズとほぼ同じであってもよい。
【0106】
チャネルの内壁は、流体への放射線伝達を促進し、本明細書に記載された速度-フルエンス率マッチングを達成するのを助けるために、高いUV反射率を有する材料から作成されるか、またはそれによってコーティングされ得る。適切な反射材料は、例として、アルミニウム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、石英などを含んでもよい。流体が1つのチャネルから別のチャネルに移動するために、2つの隣接する流体流路が一端において接続されていてもよい(流体はリアクタを多段に通過する)。UV-LED放射パターンを調整するために、コリメートレンズ、発散レンズ、収束レンズ、および他のレンズを含む種々のレンズをUV-LEDリアクタに設置することができる。レンズは、本明細書の他の場所に記載されているように、速度-フルエンス率マッチングを提供するように構成することができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、放射線フルエンス率がほとんどまたはまったくないリアクタの部分は、流体がこれらの領域を流れないように遮蔽(例えば充填)されてもよい。この(流体流路を効果的に成形する)ことは、そのような領域において滞留時間の一部分を費やす結果として、流体の一部分が低線量を受けるのを防止するのに役立ち得る。例えば、フルエンス率がない(またはほとんどない)領域については、
図2Cの実施形態でこれを行うことができる。
【0108】
本明細書で説明される実施形態の多くは、流体流導管の空孔の断面またはその一部分を参照する。いくつかの実施形態では、文脈がそうでないと指示しない限り、流体流路の空孔の断面またはそのような断面の一部分への参照は、流体流路の空孔の全断面の表面積の50%を超える面積を組み込む断面の一部分を意味するものとして理解されるべきである。いくつかの実施形態では、文脈がそうでないと指示しない限り、流体流路の空孔の断面またはそのような断面の一部分への参照は、流体流路の空孔の全断面の表面積の75%を超える面積を組み込む断面の一部分を意味するものとして理解されるべきである。いくつかの実施形態では、文脈がそうでないと指示しない限り、流体流路の空孔の断面またはそのような断面の一部分への参照は、流体流路の空孔の全断面の表面積の85%を超える面積を組み込む断面の一部分を意味するものとして理解されるべきである。いくつかの実施形態では、文脈がそうでないと指示しない限り、流体流路の空孔の断面またはそのような断面の一部分への参照は、流体流路の空孔の全断面の表面積の95%を超える面積を組み込む断面の一部分を意味するものとして理解されるべきである。
【0109】
本明細書に記載される実施形態の多くは、(例えば、適切なレンズ選択、レンズ形状、レンズ位置および/または特定のレンズ(複数可)の屈折率によって、長手方向に延伸する流路の空孔の断面にわたる放射線フルエンス率プロファイルが、長手方向に延伸する流路の長さにわたって平均化されたときに、流路の空孔の断面(またはその一部分)にわたる、長手方向に流れる流体の断面速度プロファイルに概略的に比例するように、1つまたは複数のUV-LEDからの放射を集束させるように構成されている集束素子を備える。いくつかのそのような実施形態では、「概略的に比例する」という語句は、流路の空孔の断面にわたる放射線フルエンス率プロファイルが、長手方向に延伸する流路の長さにわたって平均化されたときに、流路の空孔の断面(またはその一部分)にわたる、長手方向に流れる流体の断面速度プロファイルに、断面(またはその一部)にわたって50%未満だけ変化する比例定数によって比例することを意味し得る。いくつかの実施形態では、この比例定数は、長手方向に延伸する流路の長さにわたって平均化されたときに、断面(またはその一部分)にわたって25%未満だけ変化する。いくつかの実施形態では、この比例定数は、長手方向に延伸する流路の長さにわたって平均化されたときに、断面(またはその一部分)にわたって15%未満だけ変化する。いくつかの実施形態では、この比例定数は、長手方向に延伸する流路の長さにわたって平均化されたときに、断面(またはその一部分)にわたって10%未満だけ変化する。
【0110】
いくつかの例示的な態様および実施形態が上記で議論されてきたが、当業者は、それらの特定の変更、置換、追加および部分組み合わせを認識するであろう。したがって、添付の特許請求項の範囲および今後導入される特許請求項は、実施例に記載された実施形態によって限定されるべきではなく、明細書全体と一致する最も広い解釈を与えられるべきであることが意図される。
【図 】