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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】インライン比色テスター付き吸引器
(51)【国際特許分類】
   A61J 15/00 20060101AFI20220616BHJP
   A61M 25/095 20060101ALI20220616BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
A61J15/00 Z
A61M25/095
A61B10/00 500
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019529700
(86)(22)【出願日】2017-08-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-31
(86)【国際出願番号】 GB2017052390
(87)【国際公開番号】W WO2018029492
(87)【国際公開日】2018-02-15
【審査請求日】2020-08-14
(31)【優先権主張番号】1613893.5
(32)【優先日】2016-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519047255
【氏名又は名称】アスピレイト エヌ ゴー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ギャラガー、ジョージ
【審査官】佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-66503(JP,A)
【文献】米国特許第5800779(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 15/00
A61M 25/095
A61B 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インラインテスター(10)であって、
使用時には吸引チューブ(18)に接続可能な入口(38)と、
使用時に真空源に接続可能な出口(33)と、
前記入口(38)と前記出口(33)との間に配置されたチャンバ(14)とを備え、 前記チャンバ(14)は、
標的物質の存在下で色の変化を示すように適合された第1の非色物質を含む第1のテスター(48)であって、前記真空源によって前記チャンバ(14)内に引き込まれた流体が接触するように配置されている第1のテスター(48)
を備え、
前記インラインテスター(10)は、乾燥時には前記入口(38)から前記出口(33)へのガスの通過を許容するが、液体で濡れた場合には前記入口(38)から前記出口(33)への流体の通過を阻止または防止する液体停止装置(52)をさらに備え、
前記チャンバ(14)は、
二酸化炭素の存在下で色の変化を示す比色カプノメータを含む第2のテスター(64)であって、前記真空源によって前記チャンバ(14)内に引き込まれた流体が通過するように配置された第2のテスター(64)、および、
前記第1のテスター(48)と前記第2のテスター(64)との間に配置されたリザーバ
さらに備え
記第2のテスター(64)は、液体停止装置(52)の下流かつ前記出口(33)の前に配置されていることを特徴とする、インラインテスター(10)。
【請求項2】
前記標的物質が酸を含み、前記比色物質が酸塩基指示薬を含む、請求項1に記載のインラインテスター(10)。
【請求項3】
前記酸塩基指示薬がリトマス紙またはブロモチモールスルホンフタレインを含む、請求項2に記載のインラインテスター(10)。
【請求項4】
前記標的物質が胃関連マーカーを含み、前記胃関連マーカーが、すべて患者の胃の中に見られる、化合物;細胞または細胞片などの生物学的構造;酵素;および化学物質、および、胃酵素;酵素基質;胃リパーゼ;胃ホルモン;ペプシン;ペプシノゲン;内因子(IF);ビタミンB12-IF複合体;ムチン;ガストリン;およびトリプシンを含む群のうちのいずれか1つまたは複数を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のインラインテスター(10)。
【請求項5】
前記標的物質が胃リパーゼを含み、前記比色物質がトリブチリンを含み、これにより、酪酸の生成によって引き起こされる色の変化によってトリブチリンの代謝を検出する、請求項4に記載のインラインテスター(10)。
【請求項6】
2つまたは3つ以上の胃関連マーカーの存在を検出するための手段を含み、2つまたは3つ以上の胃関連マーカーの存在を検出するための前記手段が前記第1のテスターの上または中に配置されており、前記第1のテスター(52)が別々の領域に分割された液体吸収層(48)を含み、各別々の領域が異なる標的物質の存在下で色の変化を示すように適合された異なる比色物質を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のインラインテスター(10)。
【請求項7】
前記液体吸収層(48)が、使用中に前記インラインテスターに引き込まれる吸引物の酸性度/アルカリ度に従って色の変化を示すように適合された第1の比色物質を含み、標的胃関連マーカーの存在下で酸を生成するように適合された第2の比色物質を含む前記液体吸収層の領域をさらに含む、請求項6に記載のインラインテスター(10)。
【請求項8】
前記液体吸収層(48)がpH指示薬紙を含み、前記pH指示薬紙の領域がトリブチリンで被覆または含浸されており、胃リパーゼの存在下で、前記トリブチリンがアルコールおよび酪酸を生成し、前記酪酸が前記pH指示薬紙と相互作用してその色を酸性pHの読み取り値に対応させることができる、請求項7に記載のインラインテスター(10)。
【請求項9】
前記比色カプノメータ(64)が、二酸化炭素の存在下で色を変化させる染料で被覆または含浸された紙基材を含み
前記染料は、随意的に、5%を超える二酸化炭素の存在下で色を変化させる、請求項1から8のいずれか一項に記載のインラインテスター(10)。
【請求項10】
前記出口に、または前記出口(33)の下流に一方向弁(130)をさらに備え、前記一方向弁(130)の所与のガスに対するクラッキング圧力が、同じガスを前記液体停止装置(48,50)に押し込むのに必要な圧力よりも小さく、正のガス圧力が前記出口(33)で印加されたときに、ガスは前記インラインテスターを通って戻るのではなく、前記一方向弁(130)を通って優先的に排出される、請求項1からのいずれか一項に記載のインラインテスター(10)。
【請求項11】
前記チャンバを形成するために互いに嵌合する2つの部分を備える本体を備え、前記2つの部分はそれぞれ、互いに協働する合わせ面(166)を有し、これは他方の部品の前記合わせ面に接して配置されたときに液密シールを形成し、前記2つの部分の一方または両方が、それらの合わせ面に形成された凹部、溝または他のボイド(112)を含み、前記凹部、溝または他のボイドは、前記インラインテスター(10)の内部チャンバおよび流体通路を形成する、請求項1から10のいずれか一項に記載のインラインテスター(10)。
【請求項12】
チャンバ内に少なくとも部分的に配置されたインサートをさらに含み、前記インサートは、前記第1のテスターを支持する入口と、第1の通気開口とを含み、前記第1の通気開口は、前記比色カプノメータ上の前記インラインテスターを通過するガスの流れを導くように配列されている、請求項11に記載のインラインテスター(10)。
【請求項13】
前記第1(52)または第2のテスター(64)と前記液体停止装置とが互いに接触している、または結合されて積層構造を形成する、請求項1から12のいずれか一項に記載のインラインテスター(10)。
【請求項14】
前記液体停止装置が、細孔または穿孔を含む疎水性層(50)を含み、これは、乾燥時には空気を通過させることを可能にするが、液体で濡れたときには前記液体が前記疎水性層(50)の表面からはじかれ、前記細孔または穿孔の開口部を覆うように強制され
前記疎水性層(50)の前記細孔または穿孔は、液滴のサイズよりも小さい、請求項1から13のいずれか一項に記載のインラインテスター(10)。
【請求項15】
前記液体停止装置は、それを通る水蒸気の通過を許容するが、それを通る液滴の通過を防止または阻止する、請求項1から14のいずれか一項に記載のインラインテスター(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインラインテスターに関し、特に、経鼻胃(以下「NG」)チューブの正しい配置について試験するためにNG吸引器と共に使用することができるインラインテスターに関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
吸引器は、例えば診断、サンプリングおよび/または治療目的のために、体腔内から流体を引き出す必要がある広範囲の医療処置において使用される。
【0003】
吸引器は一般に、体腔内に挿入または供給することができる管に接続された真空源を備える。真空源は、シリンジ;シリンジベースの手動ポンプ(公開された英国特許第2523591B号に開示されているものなど);または電動真空ポンプ(例えば、公開された英国特許出願第2547012号明細書に記載されているもの)などの任意の適切な種類のものであり得る。
【0004】
真空がチューブの自由端に適用されると、もちろんチューブの先端が吸引されるべき流体内に位置するという条件で、真空はチューブを通して体腔から流体を引き込む。吸引された液体が真空源に引き込まれるのを防止し、それによって真空源を損傷および/または汚染する可能性を低減するために、液体トラップが通常チューブと真空源との間に挿入される。
【0005】
液体トラップの一例は、公開された英国特許第2523591B号に開示されており、そこではガスを通過させるために多孔質または穿孔膜が使用されるが、吸引された液体によって湿潤されると吸引物の通過を阻止する。
【0006】
吸引器を使用するときは、真空度が高すぎないようにし、吸引の量と速度を監視するように注意する必要がある。これを容易にするために、また経験豊富なオペレータの手動介入を容易にするために、監視および制御回路がしばしば使用され得る。
【0007】
NG供給チューブの先端が正しく位置決めされているかどうかを判断するのを助けるために吸引器を使用することは一般的である。NG供給チューブを使用して患者に栄養を与えるときは、NGチューブの先端が患者の肺の中ではなく患者の胃の中に位置するように注意する必要がある。これが重要である理由は、NGチューブが患者の鼻を介して患者ののどに供給され、食道および気管への患者ののどの分岐のために、NGチューブの先端が患者の肺の中に位置する結果となる食道(つまり間違った方法)ではなく、気管内に、NGチューブの先端が供給されることが可能であることである。NGチューブを患者の肺に挿入した状態で栄養補給を開始した場合、結果は非常に深刻になる可能性がある。
【0008】
したがって、医療プロトコルは、NG供給が始まる前に、NG供給チューブ先端の正しい位置決めが決定されることを必要とする。NG供給チューブの正しい配置を決定する唯一の決定的な方法は胸部X線または他の画像化手順によるものである。しかしながら、胸部X線は、ある場合には、決定的なものではないことが判明している。なぜなら、露光角度、露光レベル、患者の位置および放射線技師の技能は、目的に合う診断的X線画像を得るのに重要であるからである。さらに、X線が予約され、実施され、処理され、報告されるのにかかる時間はかなり異なり得、その間、被験者は摂食を拒否され、被験者は危険な状態にある可能性が最も高い。さらに、特に新生児の場合、対象は関連する潜在的に負の結果を伴う放射線に曝されることになる。
【0009】
NGチューブの正しい位置決めを確認するもう1つの方法は、供給前にNGチューブを介して流体サンプルを吸引してテストすることである。これは実際、英国における現在の臨床標準であり、それによって流体はNGチューブを介して吸引され、pH紙を用いて酸性度について検査される。酸性pHを示す色の変化は、NGチューブが正しい位置にあることを示す指標であると考えられ(胃内容物は酸性であるが肺液はそうではないと仮定されている)、それで供給を始めることができる。
【0010】
しかしながら、塩基性(アルカリまたはpH>5.5)のpH読み取り値が得られた場合には、チューブの位置は胃の中にはなく、NGチューブは引き抜かれそしてさらなるpH試験が行われる前に再挿入されるであろうと仮定する。
【0011】
しかしながら、例えば、患者が逆流を防止するために制酸剤を服用している場合、pH試験は偽陰性結果を生じ得る限りにおいて信頼性が低いことが見出されている。この場合、NGチューブが胃の中にあるか否かにかかわらず、現在の臨床標準を用いて得られた任意のサンプルから塩基性または中性のpHが示されるであろう。
【0012】
したがって、現在のガイドラインでは、酸性のpH読み取り値が得られた場合には栄養補給を開始するのが安全であるが、塩基性(アルカリ)pH読み取り値が得られた場合にはさらなる調査が必要であると定めている。したがって、基本的な「経験則」は次のとおりである:酸性=栄養補給;アルカリ/中性=栄養補給しない。
【0013】
しかしながら、現在のpH試験プロトコルは、偽陽性の結果(すなわち、酸ではあるが、栄養補給するのに安全ではない)の可能性を考慮に入れることができず、それは患者の健康にとって問題があるか、または極端な場合には致命的である。NGチューブの先端が患者の肺に位置しているが、患者が逆流に苦しんでいていくらかの胃内容物が肺に吸い込まれ/存在している場合、偽陽性が起こり得る。明らかに、この場合、吸引されたサンプルのpHが酸性になる可能性があり、これは現在の臨床プロトコルによれば、NGチューブの先端が正しい位置、すなわち胃にあることを示しており、そのため栄養補給が始まる。しかし、この例では、NGチューブが正しく配置されていないため、栄養補給開始の結果が非常に深刻になる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】英国特許第2523591B号
【文献】英国特許出願第2547012号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
前述のプロトコル、装置および方法は理想的ではなく、したがって改良されたおよび/または代替のプロトコル、装置および/もしくは方法に対する必要性が存在することが理解されるであろう。
【0016】
本発明は添付の独立請求に記載されている。本発明の好ましいまたは任意の特徴は、添付の従属請求項に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
インラインテスターは、NG吸引器と共に使用するのに適しており、すなわち、使用時にその入口をNGチューブの出口に接続可能であり、使用時にその出口を真空源に接続可能である。したがって、適切には、入口または出口は、アイテムをそれに解放可能に接続するためのコネクタ、例えば雄型または雌型の「ルアーロック」コネクタ、バヨネット型継手、ねじ山、押し込み型コネクタを含むことができる。このような構成は、インラインテスターへのアイテムの取り付けおよび取り外しを適切に容易にする。
【0018】
適切には、入口は、雌型ルアーまたは雌型ルアーロックコネクタなどの、経腸またはNGチューブのコネクタに入口を接続するためのコネクタを含む。適切には、出口は、それを経腸シリンジに接続するのに適したコネクタ、例えば雄型ルアー、雄型ルアーロック、または「ENFit」コネクタを含む。
【0019】
液体停止装置は、多孔質の穿孔ディスクを適切に含み、それは少なくとも部分的に疎水性材料から製造されるか、もしくはそれで被覆されているか、またはその上に疎水性層を有する。そのような液体停止装置の機能は本質的に、それが乾燥しているとき、ガス(空気を含む)がその中の細孔または穿孔を通過することができ、したがって液体停止装置を通るガス/空気の通過または変換を可能にすることである。しかしながら、液体停止装置が液体、この場合は吸引された液体によって濡らされると、液体停止装置の疎水性により、液体はその表面から疎水性ではない細孔/穿孔に向かってはじかれる。この結果、液体が液体停止装置の細孔/穿孔を優先的に覆い、それによってガス/空気がそれを通過するのを妨げる。したがって、例えば、空気が主としてNGチューブを通して吸い上げられる吸引の初期段階の間に液体停止装置が乾燥しているとき、吸引された空気は液体停止装置を通過することができる。しかしながら、その後、液体が吸引されるときに、その液体が最終的に液体停止装置に達すると、それは濡れ、それによって流体(すなわち液体またはガス)が液体停止装置をそれ以上通過するのを妨げる。
【0020】
本発明の1つの可能な実施形態では、液体停止装置は、流体流路に沿ったある点で入口を出口から隔てる多孔質または穿孔要素を含む。したがって、インラインテスター内に引き込まれた流体(液体またはガス)は、ある時点で多孔質または穿孔要素と接触しなければならない。1つの可能な実施形態では、液体停止装置は、疎水性プラスチックバッキング層を有する小片のpH指示薬紙を含む。したがって、インラインテスターに引き込まれた液体は、pH紙によってpHを試験することができるが、pH紙が濡れると、その液体はその後ろの疎水性層も濡らし、それによって流体経路を閉鎖する。他の実施形態では、pH紙は、二酸化炭素の存在下などで色を変化させるカプノメトリー指示薬紙の代わりに使用することができる。
【0021】
試験トリップ(pHまたはCO2)および疎水性層は、例えば試験ストリップを疎水性層に積層または結合することによって一体的に形成することができる。他の場合では、それらは別々のコンポーネントであり得、それらは単に一緒に配置される。あるいは、さらなる実施形態では、それらは、試験ストリップまたはテスターと液体停止装置との間において、完全に分離している、すなわち、任意のサイズの有限のギャップを有することができる。
【0022】
液体停止装置は、入口から出口への流体の通過を阻止または防止し、それによって効果的に弁として作用し、液体と接触すると入口と出口との間の流体通路を自動的に閉じる。
【0023】
これは、ガス(胃/肺からの空気/ガス)が通常液体の前に吸引されるNG吸引器用途において特に有益である。したがって、比色カプノメータを液体停止装置の下流かつ出口の前に配置することによって、連続的な試験が可能であり得る。具体的には、本発明のインラインテスターをNG吸引器と共に使用すると、通常、液体がNGチューブを通して吸い上げられる前にガスが吸引される。最初は、液体停止装置は乾燥していて、これにより、吸引ガスがそれを通過して比色カプノメータと接触することが可能になるので、吸引物中の二酸化炭素を検査する。その後、液体を吸引することができ、これが起こると、液体は第1の要素と接触し、それによって標的物質について試験される。結局、液体停止装置が吸引された液体によって濡れたとき、それはそれを通る液体の通過を阻止または防止し、それによって比色カプノメータを乾燥状態に保つ。
【0024】
適切には、一方向弁がインラインテスターの出口またはその下流に設けられ、それが設けられている場合、吸引ガスのサンプルは、(今は濡れている)液体停止装置と一方向弁との間でチャンバ内に捕捉/保持され得る。比色カプノメータは比較的短時間の後にそれらの初期色に戻る傾向があるので、これは比色カプノメトリーを使用するときに特に有益である。しかしながら、液体停止装置と一方向逆止弁との間のチャンバ内に、吸引ガスのサンプルを効果的に捕捉することによって、比色カプノメータの色のその初期状態への逆転は遅くなるかまたは阻止される。
【0025】
第1のテスターは、標的物質の存在下で色の変化を示すようになっている。標的物質は、適切には患者の胃の中に見出される物質である。
【0026】
標的物質は、胃酸(例えば、HCl)であり得、その場合、第1のテスターは、例えばその液体吸収層上に、リトマス紙またはブロモチモールスルホンフタレインを含む紙のような酸塩基指示薬である比色物質を含み得る。
【0027】
追加的または代替的に、標的物質は、好ましくは患者の肺ではない、患者の胃内に見られる細胞もしくは細胞断片、酵素、化学物質などのような任意の化合物または生物学的構造を含み得る胃関連マーカーであり得る。
【0028】
本発明の特定の実施形態では、胃関連マーカーは、胃酵素(またはその基質);胃ホルモン;ペプシン;ペプシノゲン;内因子(IF);ビタミンB12-IF複合体;ムチン;ガストリン;胃リパーゼ;およびトリプシンを含む群のうちのいずれか1つまたは複数を含み得る。
【0029】
一実施形態では、インラインテスターは胃リパーゼの検出手段を含む。胃リパーゼの検出手段はトリブチリンを含み得る。
【0030】
装置は、2つまたは3つ以上の胃関連化合物の存在を検出するための手段を含み得る。有利には、装置は2つの胃関連マーカーを検出するための手段を含む。
【0031】
したがって、適切には、インラインテスターは、第2の標的物質の存在下で色の変化を示すようになっているさらなる比色物質を有するさらなるテスターを含み得る。特定の実施形態では、第1およびさらなるテスターは単一の装置に組み込まれてもよく、すなわち別々の領域に分割され、各別々の領域は異なる標的物質の存在下で色の変化を示すようになっている適した異なる比色物質を含む。
【0032】
適切には、多孔質または穿孔要素の出口は入口を出口から密封的に分離する。
【0033】
適切には、液体停止装置は、細孔または穿孔を含む疎水性層を含み、これは、乾燥時には空気が通過することを可能にするが、液体で濡れたときには、疎水性層の疎水性によりその表面から液体がはじかれ、細孔または穿孔の開口部の方向に押しやられる。
【0034】
比色カプノメータは二酸化炭素を検出するのに適しており、これは二酸化炭素の存在下で例えば紫から黄色に色を変える染料を含浸させた特別に適合した形の指示薬紙を使用することにより可能である。NGチューブの位置をチェックするための二酸化炭素モニタリングが提案されている(Thomas and Falcone、J Am Coll Nutr 1998、17(2):195-7)。様々な試験がカプノグラフィー(直接二酸化炭素測定)または比色カプノメトリー(スルホンフタレインによる適合pH紙の色変化に基づく)のいずれかを使用した。胃の吸引物から得られるあらゆる空気と比較して、肺からの呼気中にはより高濃度の二酸化炭素が存在することがすでに示されている。しかしながら、二酸化炭素を測定することの使用は胃腸管内でのチューブの配置についての情報を提供せず、そして経腸栄養の投与は食道に送達され得、それは肺への誤嚥の危険性を増大させる。
【0035】
出願人は、先行技術に関連する問題を特定し、驚くべきことに、少なくとも1つの胃関連マーカーと二酸化炭素を検出することができることの組み合わせが、例えば被験者におけるNG供給チューブの位置を決定するためのはるかに信頼できる手段を提供することを発見した。
【0036】
二酸化炭素のための検出手段および胃関連マーカーのための少なくとも1つの検出手段は、少なくとも1つの基材上に配置されてもよい。
【0037】
基材はマトリックスを含み得る。有利には、基材はセルロース系マトリックスを含む。基材は、それを通る流体の流れを可能にするために多孔質であり、かつ/または穿孔されていてよい。
【0038】
一実施形態では、装置は、胃関連マーカーのための2つまたは3つ以上の検出手段を含む。2つまたは3つ以上の検出手段は、同じ基板上に配置されても異なる基板上に配置されてもよい。
【0039】
基材は、二酸化炭素の存在下で紫から黄色に色を変える染料を含浸させたpH濾紙の適合形態であり得る。あるいは、基材は、酸塩基指示薬であるスルホンフタレインまたはブロモチモールスルホンフタレインを担持する適合pH紙を含んでもよい。
【0040】
二酸化炭素のための検出手段は、存在する二酸化炭素のレベルを識別することが可能であり得る。既知の二酸化炭素検出器(Mercury Medical社 http://www.mercurymed.com//catalogs/ADR_CarbonDioxideDetector.pdfから入手可能)は、存在する二酸化炭素のレベルに応じて色が変わる。サンプル中に検出された5%の二酸化炭素は、通常の呼気値を示し、NGチューブが被験者の肺に位置していることを示すであろう。それより低いレベルは、NGチューブが肺の中にないか、または被験者が他の医学的問題を経験している可能性があることを示し、特に胃関連マーカーが検出されない場合、チューブが恐らく肺の中にあり得ることを示す。
【0041】
被験者は哺乳動物であり得る。有利には、被験者はヒトである。
【0042】
本発明の好ましい実施形態は、添付の実施例および図面を参照して、ほんの一例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明によるインラインテスターの第1の実施形態の斜視図である。
図2図1のインラインテスターの分解組立図である。
図3図1のインラインテスターの断面図である。
図4図1のインラインテスターと共に使用するのに適したデカールの平面図である。
図5図1のインラインテスターと共に使用するのに適したデカールの平面図である。
図6】本発明によるインラインテスターの第2の実施形態の概略平面図である。
図7図6のVII-VII線に沿う概略断面図である。
図8図6のVIII-VIII線に沿う概略断面図である。
図9図6のIX-IX線に沿う概略断面図である。
図10図9の分解組立図である。
図11図1図3のインラインテスターの実施形態の概略回路図である。
図12図6図9のインラインテスターの実施形態の概略回路図である。
図13図6に示すインラインテスターの概略外観図である。
図14】粗い液体停止装置を組み込んだ、図12の回路の変形例を示す概略回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図面の図1図5を参照すると、インラインテスター10は、ABSなどの透明材料からプラスチック射出成形プロセスによって製造された本体12を含む。本体12は、中空の内部チャンバ14を画定し、使用時にNGチューブ18に接続可能な入口16と、使用時に真空源(例えば真空ポンプ;または図1に示すようなシリンジ22)に接続可能な出口20とを有する。インラインテスター10の出口20に真空を適用して、NGチューブ18を介して患者の体内から吸引物のサンプル(ガスおよび/または液体)を吸引し、吸引物を、入口16を介してインラインテスター10の中空の内部チャンバ14に入れる。
【0045】
特に図2および図3を参照すると、本体12は、3つの主要部分、すなわち、ほぼ皿状の第1の部分30と、環状バックプレートディスク32と、インサート34と、によって形成されている。
【0046】
入口16は、ほぼ皿状の第1の部分30の外面36から同心円状に延びる管状のスピゴットとして形成されている。入口16は、本体12の内部への流体連通経路を提供する貫通孔38を有し、またNGチューブ18の端部でルアー型コネクタ42の相補的な雌ねじ構造に係合するための雄ねじ構造40を有する。
【0047】
インサート34は大部分がほぼ皿状の第1の部分30内に配置されているが、それと一体的に形成された出口スピゴット20を有し、出口スピゴット20は環状バックプレートディスク32のテーパ状中央貫通孔42を通って密封的に延びる。出口スピゴットは、その中の止まり穴33(以下により詳細に説明される)および平らな外面を有し、それはシリンジ22の入口または真空ポンプ(図示せず)に接続することができる。
【0048】
図2および図3を比較することによって分かるように、ほぼ皿状の第1の部分30は、環状バックプレートディスク32の外周に(例えば、接着または溶接によって)密封的に接続される平坦な周縁44を有する。したがって、インサート34はその場で保持される。
【0049】
インサート34は、摩擦係合によって円形の多孔質または穿孔要素48(液体停止装置を組み込んだ第1のテスター)を保持する、内側に折り返されたリップ(internally-rebated lip)46を有するほぼ円形の皿状の外形を有する。リップ46の寸法は、多孔質または穿孔要素が密封的に着座する弁座を形成するように寸法決めされている。必要ならば、シール剤または接着剤のビード(図示せず)を使用してシールを完成させることができる。
【0050】
図面から分かるように、多孔質または穿孔要素48は、空気を通過させるが流体は通過させない空気透過膜を含む。図示の実施形態では、多孔質または穿孔要素48は、pHテスターおよび液体停止装置の両方であり、したがって2つの構成要素、すなわち(入口16に最も近い位置にある)紙などの液体吸収層50と、(液体吸収層50の下流の)多孔質または穿孔疎水性層52とを含む。2つの層50、52は結合されて積層構造を形成するが、それらは等しく固定されているかまたは他の方法で一緒に保持されていてもよい。2つの層を極めて接近させるか、または互いに接触させることの主な利点は、液体吸収層50をすぐにではないにしても非常に速く濡らすことにより、液体停止装置、すなわち多孔質または穿孔疎水性層52も濡らすことである。したがって、第1の層50が濡れると、液体停止層52はほぼ即座に自動的に閉じる。しかしながら、他の実施形態では、これら2つの層50、52の間に分離があってもよく、あるいは実際、それらはインラインテスター10の全く異なる領域に配置されてもよい。
【0051】
この実施形態では、液体停止装置、すなわち疎水性層52は、乾燥時に空気がそれらを通過する(すなわち疎水性層52を通過する)ことを可能にする孔または穿孔を含む。しかしながら、液体で濡れると、例えば液体吸収層50によって液体が吸収されると、液体は疎水性層52の表面からはじかれ、疎水性がより低い領域、すなわち孔または穿孔の開口部を覆うように強制される。疎水性層52の孔または穿孔が十分に小さい(すなわち、液滴のサイズよりもかなり小さい)場合、孔または穿孔を覆う液体は孔または穿孔を効果的に遮断し、かくして空気または液体がそれらを通過するのを阻止または防止する。
【0052】
最も好ましくは、孔および/または穿孔のサイズは、液体停止装置を通る蒸気の通過を可能にするがより大きな液滴は通過させないように選択される。その理由は、特定のCO2試験紙では、色の変化を引き起こす反応を起こすためにCO2を「湿ったサンプル」にする必要があるためである。したがって、多くのCO2試験紙は、「呼気」サンプル、すなわち、CO2と少量の水蒸気を含むガスサンプル中のCO2を検出するように構成されている。このため、本発明の液体停止装置は、水蒸気(患者の呼気サンプルに見られるものなど)を通過させることができるが、実際の液体サンプル(例えば、生理食塩水、液体水、液体飼料、胃酸、胆汁など)が吸引されている場合と同様に、特定のサイズを超える液滴は通過させないように適切に構成される。
【0053】
前述の構成は、インラインテスター10を、多孔質または穿孔要素48が乾燥しているときには空気またはガス(場合によっては水蒸気を含む)が通過することを可能にするが、多孔質または穿孔要素48が湿っているときには流体が通ってさらに下流に通過するのを防ぐために自己シールする、自動閉鎖弁へと都合よく変換する。
【0054】
一旦液体停止装置が吸引された液体サンプルによって濡らされると、装置は液圧的にロックし、それによって液体またはガスのさらなる吸引を防止することが理解されるであろう。したがって、液体停止装置は、「粗いフィルター」および「細かいフィルター」を含むことが好ましく、後者は、多くの場合、本明細書に記載の多孔質または穿孔疎水性膜/要素/ディスクである。粗い液体停止装置は、細かいフィルターが誤って吸引された液体で跳ね上がるのを防止または阻止するバッフル設備または曲がりくねった流体経路であり得る。この詳細な説明は、添付図面の図14を参照して以下に提供される。
【0055】
図示の実施形態では、液体吸収層50は、異なる標的物質の存在下で色の変化を示すようになっている異なる比色物質によって、2つの別々の領域54、56に被覆または含浸されている。
【0056】
一実施形態では、本明細書に記載されるように、第1の領域54は、吸引された液体のpHに従って色を変えるように構成され、第2の領域56は、標的胃関連マーカーの存在下で色を変えるように構成される。2つの領域54、56の色は、透明なほぼ皿状の第1の部分30を介してテスター10なしで見ることができる。そのまたは各比色物質に対応するカラーチャートを含むほぼC字形のデカール56が、ほぼ皿状の第1の部分30の外面36に固定されている。図示の実施形態では、ほぼC字形のデカール56が多孔質または穿孔要素48を囲み、わずかに重なっているので、多孔質または穿孔要素48の色をデカール56と視覚的に比較することができる。
【0057】
一実施形態では、液体吸収層はリトマス紙で製造され、これが第1の領域54を形成し、それによって吸引物の酸性度/アルカリ度を試験することができる。しかしながら、第2の領域56は胃関連マーカー検出器であり、これは胃リパーゼについて試験するトリブチリンで被覆または含浸されている。トリブチリンは胃リパーゼと接触するとアルコールと酪酸を生成し、酪酸はリトマス紙のpHを下げ、酸性のpH読み取り値を示す。この方法は制酸剤を服用している患者からの胃吸引物中の比較的高いpHの「偽陰性」を効果的に補正することができる。
【0058】
多孔質または穿孔要素48の下方(下流)で、インサート36は、吸引ガスが多孔質または穿孔要素48を通過した後に中に放出される内部チャンバ58を含む。インサート34の側壁は、使用時に、吸引ガスが通って排出される1つまたは2つ以上の貫通開口60を含む。開口はインサート34の棚部62の少し上に配置され、その上には5%を超えるCO2の存在下で色の変化を受ける物質を含浸させた紙試験ストリップの形態の比色カプノメータ64が配置される。棚部62は、ベース63と2つの側壁65とを有し、これらは装置が組み立てられたときに比色カプノメータ試験ストリップ64を摩擦保持するのに役立つ。この特定の構成は、吸引ガスを有効に濃縮し、比色カプノメータ試験ストリップ64の表面上に通気させるので、比色カプノメータ64が吸引ガス中の比較的低濃度のCO2の存在についてより効果的に試験することを可能にする。
【0059】
比色カプノメータ試験ストリップ64は、染料を担持する基材(例えば、Mercury Medical社の二酸化炭素検出器 http://www.mercurymed.com/catalogs/ADR_CarbonDioxideDetector.pdfで使用される)を含み、これは、被験者からの二酸化炭素の呼気中に形成された酸を検出することによって機能する。指示薬の色は次の状態を示す:青色-CO2が存在しない;緑色-1%~2%のCO2が存在する;黄色-5%以上のCO2が存在する。
【0060】
次いで、吸引ガスは、出口20を介してインラインテスター10から流出し、これは、環状バックプレートディスク32の上流で出口スピゴット20の側壁を貫通する貫通孔66を設けることによって達成される。
【0061】
吸引物の流路は、図3において、鎖線の矢印70によって概略的に示されている、すなわち、入口16を介して、多孔質または穿孔要素を通り、開口60を通って比色カプノメータ64を越えて、インサート34の下で、貫通孔66を通り、出口33、20を通って外に出る。
【0062】
使用時には、入口16はNGチューブ18に接続され、吸引物がNGチューブ18を通って装置10内に引き込まれる。最初に、二酸化炭素を含有するガスが患者から装置に流れ込み、多孔質pH指示薬260基材を通過し、孔223を通って二酸化炭素検出基材280と接触する。二酸化炭素レベルが呼気を示すために所定の閾値より上である場合、色変化が二酸化炭素検出基材内で生じ、これは、陽性である場合、NGチューブが患者の肺に位置していることを示す。
【0063】
その後の吸引は、液体吸収層によって吸収される液体が装置に入ることをもたらす。胃酸が存在する場合、pH検出器は酸の存在を示すために色を変え、そして胃の酵素または他の標的胃関連物質が存在する場合は、酸が触媒されてpH指示薬に酸の存在を示させる。
【0064】
前述のデカール56は、図面の図4に示すように異なる色比較領域を有し、使用時に医療従事者がそれぞれの比色試験ストリップをこれと比較することができる。図4に示す例では、4つの領域がある。第1の領域80は、多孔質または穿孔要素48の第1の領域54に対応するカラーチャートを含む。第2の領域82は、多孔質または穿孔要素48の第2の領域56に対応するカラーチャートを含む。第3の領域84(切欠き86の両側に位置する)は比色カプノメータに対応する。したがって、施術者は3つの比色試験ストリップ/領域の各々をそれらの対応するカラーチャートと比較することができる。テキスト、ロゴ、指示、CEマーキングなどを表示するための外周領域88も設けられる。
【0065】
別の実施形態では、図5に示すように、デカール56は本体の上面の大部分/全部を覆うようになっている。この実施形態では、その色は各試験についての「不合格」色(デカール56の異なる領域において異なる色であり得る)に対応する。デカール56には、チェックマーク形状の貫通開口が切り込まれているので、3つの比色試験のそれぞれを用いて「陽性」試験結果が確認されると、各切欠き90を囲むデカール56の領域と比較して、色の違いによりそれぞれの試験トリップ/領域が見えるようになる。
【0066】
本発明の前述の実施形態は、臨床試験および試験において、本開示の導入部で概説された問題の1つまたは複数に対する解決策、すなわち患者内の吸引チューブの先端の正しい位置決めなどのための、二重または三重チェックを提供することが分かった。ただし、特定の状況によっては、プラクティス/プロトコルによって他のNGチューブの使用方法が決まる。例えば、特定の病院/環境では、栄養が与えられるたびに患者に挿管される。この場合、清潔で空のNGチューブが各栄養補給の直前に患者に挿入され、各栄養補給の後、NGチューブは引き抜かれてから廃棄される。これらの状況では、NGチューブはガス/液体の吸引前は空であり、その場合、本発明の前述の実施形態は十分に機能することが示されている。
【0067】
しかし、他の病院/環境では、栄養補給プロトコルは多少異なる場合がある。一例として、患者が継続的な経鼻胃栄養補給を受けている特定の病院では、NGチューブは所定の位置に保持され、特定の間隔で引き抜かれる/交換されるだけである。したがって、最終的に廃棄され交換される前に、同じNGチューブを使用して患者に数回栄養補給することができる。このような状況では、NGチューブを初めて使用する場合を除いて、NGチューブには必然的に何らかの液体が含まれ、これは、胃液、前の栄養補給からの残留栄養、または生理食塩水洗浄液である。このように、NGチューブが続いて使用されそして吸引物が取られるとき、吸引物の最初の数滴はNGチューブの先端を囲む液体を表すのではなく、むしろNGチューブの残留内容物を表すことができる。本発明の前述の実施形態が使用されるとき、これらの状況では、吸引試験手順が、時期尚早に、例えば、一滴の生理食塩水洗浄液、またはチューブ内からの残留栄養がpH試験ストリップ上に吸引されるとき、停止され得、その結果、前述の実施形態によれば、インラインテスターが濡れてきた液体停止装置によって「液圧的にロック」されることになる。したがって、これらの状況では、前述のインラインテスターは、その自己閉鎖機能のために、NGチューブの先端を囲む領域からの吸引物のサンプルを試験することができず、むしろ、試験開始前にすでにNGチューブに入っていた吸引物を単に試験するので、幾分効果的でないかもしれない。したがって、この特定の問題に対処する本発明のさらなる実施形態に対する必要性が存在する。
【0068】
ここで図面のうち図6図10を参照すると、本発明によるインラインテスター100の別の実施形態が示されている。この実施形態では、インラインテスター100は、やはりABSなどの透明材料からプラスチック射出成形プロセスによって製造された本体12を備える。本体12は、以下に説明するように、中空の内部チャンバ14を画定する。
【0069】
インラインテスターは、使用時に、ルアーコネクタ102を介してNGチューブ18に接続可能である入口16を有する。入口16は、NGチューブ18をチャンバ14の第1の部分104に接続する。図7に断面図で示されているチャンバ14の第1の部分104は、pH指示薬紙108の小さいストリップを支持する底壁106を含む。pH試験ストリップ108の一方の側にキャビティ110が設けられ、それにより、入口16を介してインラインテスター100に入る流体が少なくとも1つの表面またはその一部と接触することができるようになる。
【0070】
第1のチャンバ部104は出口112を有し、この出口112はチャンバ14のリザーバ部114に通じている。
【0071】
入口16は、好ましい実施形態ではベンチュリ116の形態の絞りを含み、それはNGチューブ18を通して吸い上げられた液体をpH試験ストリップ108の露出面上に「噴霧」させる。狭窄部またはベンチュリ116を設けることは、入ってくる液体が第1のチャンバ部104に入るときにそれを「広げ」、それによってpH試験ストリップ108の適切な領域が入ってくる液体によって確実に濡れるようにするのに役立つ。
【0072】
第1のチャンバ部104の出口112は、チャンバ14のリザーバ部分114に通じている。図示の実施形態では、リザーバ114は本体12内に蛇行経路を含み、これは一杯になると約4mLの液体を保持することができる。リザーバ114の容量は、理想的には、NGチューブ18の内部容量よりもわずかに大きくなるように選択され、したがってリザーバの正確な容量は一定ではない。リザーバ114を設ける理由は、後で明らかとなる理由により、NGチューブ18内のある量の液体をインラインテスター110の本体12内に蓄積することを可能にするためである。
【0073】
チャンバ14のリザーバ部114は出口118を含み、この出口118はチャンバ14のさらなる試験チャンバ部120に供給される。さらなる試験チャンバ部120が図面の図8に断面図で示されており、そこから、リザーバの出口118は、その周縁部によって本体12の上部と下部との間に閉じ込められた小型ディスクテスター122と流体連通していることが分かる。試験ディスク122は、二酸化炭素の存在下で色の変化を示すCO2テスターである。
【0074】
試験ディスク122は、出口126を介してさらなる経路128内へと出る前に、その出口118を介してリザーバ114を出るガスが、試験ディスク122を通過して第2の試験チャンバ120の下部124に入ることを可能にする、穿孔疎水性材料から製造され得る。
【0075】
ガスがNGチューブ18を通って吸引されると、それらは第1のチャンバ部104を通り、リザーバ部114を通って最終的に第2の試験チャンバ120に入り、そこで試験ディスク122と相互作用する。ガスが二酸化炭素を含む場合、それは試験ディスク122を変色させ、それはインラインテスター110を観察するユーザ(図示せず)にその透明な本体の部分を通して見えるようになる。吸引ガスは、接続された真空源、図示の例ではシリンジ22内に引き込まれることができ、したがって吸引ガスは二酸化炭素の存在またはそうでなければ二酸化炭素について試験されることができる。
【0076】
本発明の他の実施形態では、試験ディスク122は、2つの部分、すなわち下流の比色試験ディスク122と、疎水性材料52を含む上流の多孔質または穿孔要素とから形成される。本発明のこの実施形態では、2つの部分は、前述のように、すなわち比色試験ディスク122がCO2の存在を試験することができ、多孔質または穿孔疎水性層52が比色カプノメータの上流で液体停止装置52として機能することで協働する。また、2つの層122、52は、必ずしも互いに密接に接触している必要はないが、これはある状況においては有益であり得る。それにもかかわらず、CO2テスターの上流に位置する液体停止装置52があり、それは、試験が完了したとき、すなわち吸引された液体のサンプルが多孔質または穿孔疎水性層52と接触するときに、インラインテスター100が本質的に液圧的にロックされ、それによってさらなる吸引を防止することを意味する。その間に、吸引ガスのサンプルは液体停止装置52の下流に捕捉され、それによって比色カプノメータにおける何らかの色の変化の逆転を一定期間阻止するかまたは遅くする。
【0077】
インラインテスターの出口を真空ポンプに、または好ましい実施形態ではシリンジ22に接続することが可能である。
【0078】
小さいシリンジ22が使用される場合、NGチューブ18を介して十分な試験容量を得るためにシリンジプランジャ(図示せず)を繰り返し引き出すことが必要であり得る。これを達成するために、インラインテスター110は、一方向弁130が接続されている二次出口128を備えている。シリンジ22および一方向弁130は、インラインテスター100の本体12に形成されたチャンバ132を介して動作可能に相互接続されている。一方向弁130は特定の「クラッキング圧力」を有し、それより上では、弁はインラインテスターからガスを排出させる(134)ことを可能にするように開く。一方向弁130のクラッキング圧力は、シリンジプランジャ(図示せず)を押し下げると、図6の矢印134によって示されるように、流体がシリンジ22からチャンバ132を介して、一方向逆止弁130を介して外へ押し出されるように、液体停止装置の透過性より低くなるように設計されている。しかしながら、プランジャを引き抜くと、一方向逆止弁130が閉じ、それにより、矢印136で示されるように、流体がNGチューブを通ってインラインテスター100を通って、そして最終的にはシリンジ内に吸い上げられることが可能になる。
【0079】
本発明のこの特定の構成の利点は多種多様である。
【0080】
特に、インラインテスター100の本体12は透明プラスチック材料から製造されているので、ユーザ(図示せず)はテスター100を通して吸引された流体の進行を観察することが可能である。これにより有効には、装置のユーザは、例えば、いつ生理食塩水洗浄が吸引され、続いて胃の内容物が吸引されたかを、例えばリザーバの色の変化により、「見る」ことができるようになる。
【0081】
NGチューブ18が最初に空である第1の例では、シリンジ22のプランジャを繰り返し引き抜いて圧縮すると、流体は前述の方法でNGチューブを通って「汲み上げられる」。NGチューブ18は最初は空であるので、インラインテスター100内に引き込まれることになる第1の流体は、NGチューブ自体または患者の胃/肺の内部からのガス/空気となる。このガス/空気は、単に、第1のチャンバ部を通ってpH試験ストリップ108を越えてリザーバ114を通って流れ、そこで最終的に接触し、CO2試験ディスク122を通過する。
【0082】
ユーザは、CO2試験ディスク122の色を観察することによって、例えば、それが空気/胃のガスサンプルであるかどうか、またはそれが患者の肺から吸引された空気の「呼気」サンプルであるかどうかを確かめることができる。
【0083】
最終的には、液体(できれば胃液)がNGチューブ18の上方に吸引され、そこで入口16を介してインラインテスター100に入る。吸引された液体は、テスター入口116でベンチュリ116によって「噴霧」され、ベンチュリ116の設計は、吸引された液体がpH試験ストリップ108の露出面上に噴霧/分配されるようになっている。pH試験ストリップ108の色の変化を観察することによって、ユーザ(図示せず)は、酸性(例えば、胃液)のサンプルが吸引されたかどうか、または何か他のものが吸引されたかどうかを判断することができる。
【0084】
その後、液体はリザーバ114内に引き込まれ、そこでリザーバを徐々に満たし、ユーザは液体がリザーバ内に引き込まれるにつれて液体の進行を観察することができるようになる。
【0085】
第2の状況では、例えば使用前にNGチューブ18が水または食塩水で洗い流された場合、それは最初に、ある量、典型的には4mLの生理食塩水または水を含むであろう。この状況では、pH試験ストリップ108と接触する「第1の液体」は中性であるべきであり、これは通常、患者の胃の中にNGチューブの先端が正しく配置されていないことを示し得る。しかし、吸引される第1の液体は、実際には胃液ではなく生理食塩水であるため、これは単純な「偽陰性」になる可能性がある。したがって、NGチューブ18内の洗浄液が回収されるまで試験を継続する必要があり、それには胃液のサンプルが続くことが望ましい。
【0086】
したがって、本発明は、この最初の液体を貯留することができるリザーバ114を含む。ここで、リザーバ114の容量は、リザーバが一杯になったときに、試験されているのは洗浄液ではなく胃液であるはずであることをユーザが知ることができるように、NGチューブ18の内部容量よりわずかに大きい。したがって、ユーザ(図示せず)は、透明なプラスチックから製造されているためにインラインテスター100の外側から見えるリザーバを観察することによって、システムを通る洗浄液の進行を観察し、最終的には、その後胃液サンプルのpHを試験することができる。
【0087】
明確にするために図6には示されていないが、インラインテスター100は適切には1つまたは複数のデカールを含み、各デカールは、そのまたは各比色物質に対応するカラーチャートを含む。1つまたは複数のデカールは、テスター108、122に隣接するが、好ましくはわずかに重なるようにインラインテスター100の外面に適切に取り付けられ、それによって、テスター108、122の色とデカールの色または他の表示とを視覚的に比較することができる。
【0088】
図面の図6図7および図8に示されているインラインテスター100は、図6のIX-IX断面図である図9の断面図に概略的に示されている。
【0089】
本発明の好ましい実施形態では、インラインテスター100の本体12は、図6に概略的に示される装置を形成するために互いに嵌合する2つのプラスチック射出成形部品から製造される。2つの部品の合わせ面に凹部または溝を設けることによって、様々なチャンバ104、120、132を簡単に形成することができる。
【0090】
図面の図9および図10を参照すると、図10図9の分解組立図であるが、入口16が本体部分160、162のそれぞれから2つの半分に形成されている。2つの部分160、162は平らな合わせ面164を有し、これは一緒に押されると2つの部分160、162の間に液密シールを形成する。インラインテスター100内のチャネルまたはキャビティは、それらの合わせ面164のそれぞれに凹部またはキャビティを設けることによって形成することができる。
【0091】
図9および図10を参照すると、ベンチュリ116は、本体部分160、162のそれぞれに形成された一対の対向する傾斜面166によって形成されていることが分かる。pH試験ストリップ108を収容する第1のキャビティ104には、同様に、pH試験ストリップ108を位置決めし保持するために、部分162のうちの1つに形成された追加の凹部168が形成されている。
【0092】
第1のチャンバ部104の出口112は、各部分160、162に形成された相補的な凹部によって形成されている。
【0093】
蛇行リザーバ114は、本体部分162の1つに形成された対応する形状の蛇行溝によって形成されている。
【0094】
同様に、第2のチャンバ120は、第2の本体部分162内の比較的深い窪みによって形成され、それによって、co2試験ディスク122をその中に収容することが可能になる。本体部分160、162に形成されたさらなる凹部は、図9および図10に概略的に示されるように、他の様々なチャネル/キャビティを形成する。
【0095】
2つの本体部分160、162は、例えば本体12内に液密キャビティ/チャネルを形成するために閉鎖線に沿って接着剤または溶接を使用することによって、互いに接着することができ、あるいは合わせ面164が十分に平らおよび/または密接な場合、このような封止は、2つの本体部分160、162を単に締め付けるか、クリッピングするか、または他の方法で一緒に保持することによって達成され得る。
【0096】
例として、図面の図6図10を参照して上述したものと同様のインラインテスター100を図13に示し、ここでは、部分的に透明なデカール56がインラインテスター100の前面を覆っている。デカール56は、pH試験ストリップ108の観察窓を囲む第1の部分562を有する。第1の部分562は、2つの異なる色の領域564、566に分割され、それらは、「不合格」/「栄養補給しない」、または「合格」状態がそれぞれ検出されるときにpH紙108の色と一致するように着色されている。誤解を避けるために、2つの領域はそれぞれ「X」印および「胃」印によって示されている。
【0097】
インラインテスター100の貯蔵部114は、デカール56の透明部分568を通して見ることができる。吸引された液体の容量を示す目盛り570が任意に設けられる。
【0098】
デカール56の第3の部分572は、CO2試験ストリップ122の観察窓を囲む。第3の部分572は、2つの異なる色の領域574、576に分割され、それらは、「不合格」/「栄養補給しない」、または「合格」状態がそれぞれ検出されるときにCO2紙122の色と一致するように着色されている。誤解を避けるために、2つの領域574、576はそれぞれ「チェックマーク」印および「肺」印によって示されている。
【0099】
ここで図面の図11および図12を参照すると、これらはそれぞれ上記の図1図3および図6図9に示されているインラインテスター10、100の概略回路図である。
【0100】
図11では、インラインテスター10は、その入口16でNGチューブ18に取り付けられ、その出口20でシリンジ22に取り付けられている。NGチューブの先端は、患者(図示せず)の胃13内に配置される。
【0101】
インラインテスター10は、吸引された液体で濡れたときに閉じてさらなる吸引を停止/抑制する、液体停止装置、すなわち穿孔プラスチックの疎水性ディスク52で裏打ちされた、第1のテスター、すなわちpH試験紙(例えばリトマス紙)50のディスクを収容するチャンバ14を備える。流体通路15は、チャンバ14を、比色カプノメータ64、この場合はCO2の存在下で色を変えるCO2感受性指示薬紙のストリップを収容するさらなるチャンバに接続する。
【0102】
シリンジのプランジャは、NGチューブ18を介してインラインテスター10の中に、胃から流体のサンプルを吸引するために引き出すことができる。
【0103】
吸引ガスはpH試験紙50および液体停止装置52を通過し、そこでそれは比色カプノメータ64と接触して、吸引ガスサンプル中のCO2の有無を示す。
【0104】
その後、NGチューブ18を介して液体を胃13から吸引することができ、そこで液体は第1のテスター50と接触し、標的物質、例えば、胃酸および/または胃13にのみ見出される物質(例えばタンパク質)の存在または非存在を示す。吸引された液体は液体停止装置52に接触し、インラインテスター10を液圧的にロックさせ、それによって処置の終了を示す。
【0105】
一方向弁130は、シリンジ22と出口20との間で分岐した分岐点に任意に設けられてもよい。これにより、シリンジプランジャを押し下げ、シリンジ22内の流体を一方向弁132を介して排出することができる。この構成により、十分な量の吸引物を得るために比較的大きいシリンジを使用する必要があるのではなく、比較的小さいシリンジ22をポンプの一部として使用することが可能になる。
【0106】
ここで図12を参照すると、インラインテスター100は、その入口16でNGチューブ18に取り付けられ、その出口20でシリンジ22に取り付けられている。NGチューブの先端は、患者(図示せず)の胃13内に配置される。インラインテスター100は、いくつかの部分を有するチャンバ14を備える。
【0107】
第1のチャンバ部104は、第1のテスター、例えば、pH試験紙(例えば、リトマス紙)108のストリップおよび/または標的物質の存在下で色が変わる他の指示薬紙のストリップを収容する。
【0108】
第1のチャンバ部104は、ある量の吸引された液体を貯留することができるリザーバ114に接続されている。
【0109】
リザーバ114は、吸引された液体によって濡れたときに閉じてさらなる吸引を停止/抑制する、液体停止装置52、すなわち、穿孔プラスチックの疎水性ディスクを収容するさらなるチャンバ120に接続する。
【0110】
液体停止装置52の下流には、比色カプノメータ122、この場合はCO2の存在下で色を変えるCO2感受性指示薬紙のディスク、が設けられている。
【0111】
一方向弁130は、シリンジ22と出口20との間で、例えばチャンバ132を介して、分岐した分岐点に設けられている。
【0112】
シリンジのプランジャは、NGチューブ18を介してインラインテスター10の中に、胃から流体のサンプルを吸引するために引き出すことができる。吸引ガスは第1のテスター108および液体停止装置52を通過し、そこでそれは比色カプノメータ122と接触して、吸引ガスサンプル中のCO2の有無を示す。
【0113】
その後、NGチューブ18を介して液体を胃13から吸引することができ、そこで液体は第1のテスター104と接触し、標的物質、例えば、胃酸および/または胃13にのみ見出される物質(例えばタンパク質)の存在または非存在を示す。吸引された液体は次に、最終的に液体停止装置52に接触するまでリザーバ114を満たし、インラインテスター10を液圧的にロックさせ、それによって処置の終了を示す。
【0114】
一方向弁130により、押し下げられるシリンジプランジャ、およびシリンジ22内の流体は、チャンバ132および一方向弁132を介して排出され得る。この構成により、十分な量の吸引物を得るために比較的大きいシリンジを使用する必要があるのではなく、比較的小さいシリンジ22をポンプの一部として使用することが可能になる。
【0115】
ここで図面の図14を参照すると、図12に示される回路図のわずかな変形例が記載されている。同一の特徴を識別するために、繰り返しを避けるために、そして明確にするために、同一の参照符号が使用されてきた。図14において、インラインテスター100は、前述の多孔質または穿孔疎水性膜/ディスク52の上流に配置された粗い液体停止装置520を追加することによって修正されていることが分かる。粗い液体停止装置520は、リザーバ114の出口に接続された入口524を有するチャンバ522と、チャンバ120の入口に接続された出口526とを備える。バッフル526がチャンバ522内に設けられて、液滴が誤って出口526上にはねかけられるか、または出口526に達するのを防止する。ここで、リザーバ114が一杯になったときに起こり得るように、液体およびガスを粗い液体停止装置520内に引き込むことができ、粗い液体停止装置520は、液滴が、粗い液体停止装置520を通ってその下流の多孔質または穿孔疎水性膜/ディスク52へと通過するのではなく、チャンバ522内に集められるので、多孔質または穿孔疎水性膜/ディスク52が濡れるのを防ぐためのさらなる手段を提供する。
【0116】
粗い液体停止装置520の主な目的は、リザーバ114が吸引された液体、例えば生理食塩水洗浄液で一杯になっている場合に、それにもかかわらず多孔質または穿孔疎水性膜/ディスク52を介してCO2試験ストリップ122へ空気/気泡の通過を可能にすることである。これは、NGチューブが以前に使用されたことがあり、したがって生理食塩水洗浄液を含む場合に発生する可能性がある。しかし、患者が食道からNGチューブを「吐く」場合に起こり得るように、何らかの理由で、NGチューブが誤って配置された場合は、次にNGチューブを使用する必要があるときに、正しい配置を確認する。ここで、吸引物の最初の数ミリリットルは、生理食塩水洗浄液、またはNGチューブ内の残留供給物であり、そしてこの液体は、リザーバ114を満たすか、または部分的に満たす。その後の吸引は最終的にNGチューブ18を空にし、その結果、ガスは今や最後に吸引される。この吸引ガスは、すでにリザーバ内にある液体を通って泡立ち、粗い液体停止装置520が存在しないと、液体は多孔質または穿孔疎水性膜/ディスク52上にはねかけられる傾向があり、それによってそれが濡れて、インラインテスター100を液圧的にロックさせる。しかしながら、多孔質または穿孔疎水性膜/ディスク52の上流に粗い液体停止装置520を配置することによって、吸引ガスは、CO2紙122に達する前に、リザーバ、および多孔質または穿孔疎水性膜/ディスク52を通過することができ、はねかけられた液体は粗い液体停止装置520によって効果的に濾過されて除去される。これにより、ユーザは、すでに液体サンプルを吸引した後でも、吸引ガスサンプルを確実に試験することができる。
【0117】
粗い液体停止装置520は、設けられる場合、所望に応じて、リザーバ114内またはチャンバ120内に組み込むことができる。
【0118】
実施例1:
サンプルを使用して、pH検出、酵素検出および二酸化炭素検出のための手段を有する本発明による装置を現在の臨床標準(pH紙)と比較して以下の真理値表を作成した。
【0119】
3つのシナリオがあった:1)胃の中の正常なpH含有量;2)制酸剤投与中の患者;3)肺の中の胃内容物。各方法および装置を使用し、そして結果を以下に記載する。
【表1】
【0120】
実施例2:
サンプルを使用して、pH検出、酵素検出および二酸化炭素検出のための手段を有する本発明による装置を現在の臨床標準(pH紙)と比較して以下の真理値表を作成した。この実施例では、本発明による装置において試験された3つのマーカーは、本発明による装置の利点をより明確に示すために分離されている。
【0121】
3つのシナリオがあった:1)胃の中の正常なpH含有量;2)制酸剤投与中の患者;3)肺の中の胃内容物。3つのマーカーの有無が分かり、各方法および装置が使用され、そして結果は以下に示される。
【表2】
【0122】
例えば、患者が制酸剤を服用しているかまたは肺に胃内容物がある複雑な状況では、本発明による装置のみが経腸栄養のためのNGチューブの実際の位置を確認するであろう。既知の装置および方法は、患者が正常な胃のpHを有する場合にのみ位置の正確な指示を与えるであろう。他のすべてのシナリオでは、既知の装置を使用することによる結果は危険である可能性があり、チューブの誤った配置が誤って胃の中にあると示された場合にチューブを介した供給が開始されると、致命的結果を招く可能性がある。
【0123】
本発明は、本発明の単なる例示である前述の実施形態の詳細に限定されない。例えば、任意の形状、サイズ、相対寸法などは例示的であり、限定的ではなく、任意の材料選択および/または設計上の選択(例えば逆止弁の種類)も同様である。
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