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特許7090094眼内でレンズを切断するための方法及びデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】眼内でレンズを切断するための方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20220616BHJP
【FI】
A61F9/007 130Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019545885
(86)(22)【出願日】2017-10-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 US2017058330
(87)【国際公開番号】W WO2018081295
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-10-05
(31)【優先権主張番号】62/413,424
(32)【優先日】2016-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519152940
【氏名又は名称】カール・ツァイス・メディテック・キャタラクト・テクノロジー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Carl Zeiss Meditec Cataract Technology Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】ルーク・ダブリュー・クラウゾン
(72)【発明者】
【氏名】スコット・チャムネス
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ピー・シャラー
(72)【発明者】
【氏名】イェンス・フーケンデイク
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0074220(US,A1)
【文献】米国特許第04732150(US,A)
【文献】米国特許第04331130(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/007
A61B 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
白内障手術においてレンズを切断するためのデバイスであって、
近位端と、長手方向軸の方向に沿って前記近位端と反対側の遠位端と、を有し、前記近位端と前記遠位端との間で前記長手方向軸に沿って延びる支持シャフトと、
前記支持シャフトに連結された細長い要素とを含み、
前記細長い要素は、第1端部及び第2端部を有し、
前記第1端部及び前記第2端部の少なくとも1つは、少なくとも部分的に前記細長い要素によって形成されたループのサイズを変えるように他方の端部に対して移動可能であり、
前記ループは、潰れた位置から拡張位置へ移動可能であり、
前記ループは、目の中に案内するステップの間は前記潰れた位置にあり、前記ループが前記レンズの周囲に配置された場合は前記拡張位置にあり、
前記レンズは、前記ループが前記レンズの周囲に配置された場合に、前記ループのサイズを縮小することによって切断され、
前記細長い要素は、前記第1端部に肘部を有し、前記肘部は、前記ループが前記拡張位置にある場合、前記支持シャフトから延び、
前記肘部は、非円形の断面を有するリビングヒンジを有し、
前記肘部は、ポリマ製であり、
前記細長い要素は、前記ループを形成し、前記拡張位置においてループ面が規定され、
前記ループ面は、任意の平面のうち、前記拡張位置にある前記ループによって前記平面から区切られた部分の面積が最大となるように選択された平面であり、
前記肘部は、前記ループ面を横切る方向に向けられた横方向の力が前記肘部の先端部に加えられた場合と比較して、前記ループ面内にある力が前記肘部の前記先端部に加えられた場合に、少なくとも2倍大きく曲がる、
デバイス。
【請求項2】
前記細長い要素の前記第2端部は、前記支持シャフトとの連結を解除されて前記支持シャフトから放さるように構成され、前記第2端部の連結の解除及び解放により、前記支持シャフトを前記目から引き抜くことなく、前記目から前記第2端部を引き抜くことができる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記ループが前記拡張位置にある場合、前記肘部は、前記支持シャフトの遠位端から、前記支持シャフトの外側であって、前記近位端と前記遠位端との間の位置まで延びる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記リビングヒンジは、ひだが形成された部分を形成する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記細長い要素は、前記支持シャフトから離れた前記肘部を用いて形成され、
前記肘部は、前記支持シャフトを前記長手方向軸の周りに回転させることと、回転時に前記レンズを嵌め込むことと、によって、前記支持シャフトに向けて撓むことができる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記細長い要素は、前記ループが前記拡張位置にある場合に前記支持シャフトに対して無作為の位置を有する前記肘部を用いて形成され、
前記肘部は、前記ループが前記拡張位置にある場合、前記支持シャフトの遠位方向から90~180度の方向である先端部の方向を有する前記先端部を有し、
前記遠位方向は、前記近位端から前記遠位端に向かう方向である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記ループが前記拡張位置にある場合、前記細長い要素は、アンシェイプド部分とプリシェイプド部分とを有し、
前記細長い要素の前記第2端部は、前記ループのサイズを変更させるように前記支持シャフトに対して相対的に移動可能であり
記ループが前記拡張位置にある場合、前記細長い要素は、前記細長い要素の露出した長さによって規定される全長を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記支持シャフトは、前記長手方向軸に対して傾斜した傾斜先端部を有する第1チューブを含み、
前記傾斜先端部は、前記長手方向軸に沿って延びる近位部分と、前記近位部分から前記長手方向軸に対して傾斜した方向に延びて前記傾斜先端部の遠位端で終了する遠位部分とを有し、
前記近位部分は、前記第1チューブの前記近位部分の第1ルーメンが延びる方向に沿った近位軸によって規定された近位方向を有し、前記遠位部分は、前記第1チューブの前記遠位部分の第1ルーメンが延びる方向に沿った遠位軸によって規定された遠位方向を有し、
前記近位方向及び前記遠位方向は、ワーク面内にあり、ワーク面を規定し、
前記ループは、ループ面を形成し、
前記ループ面は、任意の平面のうち、前記拡張位置にある前記ループによって前記平面から区切られた部分の面積が最大となるような平面である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記ループが前記レンズの周囲で前記拡張位置にあり、ループ面が前記レンズの中央平面に対して垂直である場合、前記斜先端部の遠位端は、前記ループから離れる方向に向けられる、請求項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記支持シャフトが水晶体乳化術デバイスの先端部である水晶体乳化術デバイスを更に含み、
前記水晶体乳化術デバイスは、ハウジングを有し、前記ハウジングは、前記ハウジングから前記支持シャフトの遠位端まで延びる前記先端部を有し、
前記先端部は、前記ハウジングに搭載された、前記先端部を振動させるための振動要素に連結され、
第1ルーメンは、前記先端部を通って延びるとともに、前記遠位端に開口部を有し、
前記第1ルーメンは、吸引源に連結され、前記第1ルーメンを通してレンズの破片を吸引する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記細長い要素は、前記ループが前記拡張位置に向かって移動する場合、前記水晶体乳化術デバイスの先端部から延びる、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記先端部は、前記遠位端に延びる第1チューブを含み、
前記第1チューブは、前記第1ルーメンを有し、
前記先端部は、前記第1チューブの周囲に配置された第2チューブを更に含み、
前記第2チューブは、第2ルーメンを有し、
前記細長い要素は、前記先端部から延びるように外向きに移動可能である、請求項10に記載のデバイス。
【請求項13】
前記第2ルーメンは、前記第1チューブと前記第2チューブとの間に空間を形成し、
前記細長い要素は、前記空間を通って延び、前記空間内に前記細長い要素を引き込むことによって、前記目から除去されることができる、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
第1脚部と第2脚部とに分岐する主ルーメンを有する流体Y字形アームを更に含み、前記主ルーメンは、水晶体乳化術デバイスのハンドピースの中のルーメンに連結された、請求項10に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この出願は、2016年10月26日に出願された“眼内でレンズを切断するためのデバイス及び方法(Devices and Methods for Cutting a Lens in an Eye)”と題する米国仮出願第62/413,424の優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本技術は、一般的に、医療デバイス及び方法に関し、特に眼内でレンズを切断するための方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書には、眼内でレンズを切断するための方法及びデバイスを記載する。これらは、白内障手術を行うのに有用であり得る。記載されているデバイス及び方法は、(水晶体嚢内の)水晶体嚢(endocapsular)レンズの切断に特に有用である。本明細書に記載のデバイスは水晶体嚢の外側でレンズを切断するのにも有用であり得ることが理解されるであろう。
【0004】
水晶体の切断及び除去は、白内障手術において時間がかかりかつ困難な部分となり得る。特に、レンズは傷つきやすい繊細な水晶体嚢の中に含まれている。レンズ切断デバイス及び方法は、2016年3月17日に出願された米国特許第9,629,747号、水晶体組織を切断するためのデバイス及び方法(DEVICES AND METHODS FOR CUTTING LENTICULAR TISSUE)に記載されている。これは、その全体が参照によって本明細書に取り込まれる。記載されたデバイスは、拡張してループを形成する細長い要素(elongate element)を有する。ループは、レンズの周辺に配置されることができ、ループがレンズの周辺に配置されると、サイズが減少してレンズを切断することができる。ループは、制御された方法でレンズの周りで操作され、レンズを囲む水晶体嚢への損傷を防ぐ。
【発明の概要】
【0005】
第1態様では、白内障手術においてレンズを切断する方法が記載される。この方法は、目の中にレンズ切断デバイスを案内することを含む。レンズ切断デバイスは、支持シャフトに連結された細長い要素を有する。細長い要素は、第1端部及び第2端部を有し、第1端部及び第2端部の少なくとも1つは、少なくとも部分的に細長い要素によって形成されたループのサイズを変えるように他方に対して移動可能である。ループは、潰れた(collapsed)位置から拡張位置へ移動可能である。ループは、案内ステップの間は潰れた位置にある。この方法は、拡張位置にあるループをレンズの周囲に配置する配置ステップと、配置ステップの後に、ループのサイズを縮小することによってレンズを切断する切断ステップと、を更に含む。
【0006】
配置ステップの実行において、レンズは水晶体嚢の中に配置され、細長い要素は水晶体嚢とレンズとの間を前進することができる。この方法は、切断ステップの後に、第1端部及び第2端部の少なくとも1つを解放する解放ステップと、切断ステップ及び解放ステップの後に、少なくとも1つの端部を目から引き抜くステップと、を更に含んでもよい。配置ステップの実行において、細長い要素は、第1端部に肘部を有し、肘部は、ループが拡張位置にある場合、支持シャフトから延びることができる。配置ステップの実行において、ループが拡張位置にある場合、肘部は、支持シャフトから近位方向に延びることができる。配置ステップの実行において、ループは、一般的に、拡張位置においてループ面を形成し、肘部は、肘部の先端部に加えられてループ面を横切る方向に向けられた横方向の力と比較して、肘部の先端部に加えられてループ面内にある力に対して少なくとも2倍柔軟に曲がることができる。案内ステップの実行において、肘部は、リビングヒンジを有することができる。案内ステップの実行において、リビングヒンジは、ひだが形成された部分(crimped portion)であってもよい。案内ステップの実行において、肘部は、支持シャフトと一体的に形成されてもよい。案内ステップの実行において、肘部は、ポリマ製であってもよい。
【0007】
この方法は、支持シャフトを回転させて、回転時にレンズを嵌め込むことによって、肘部を支持シャフトに向けて撓ませるステップを更に含むことができ、肘部は、切断ステップの前に、支持シャフトとレンズとの間の位置に移動する。配置ステップの実行において、ループが拡張位置にある場合、肘部は、支持シャフトに対して無作為の(unbiased)位置を有することができる。肘部は、ループが拡張位置にある場合、支持シャフトの遠位方向から90~180度の方向である先端部の方向を有する先端部を有してもよい。遠位方向は、支持シャフトの遠位端における支持シャフトの長手方向軸の方向であってもよい。案内ステップの実行において、細長い要素の第1端部は、肘部を有することができる。肘部は、ループが拡張位置にある場合に肘部を支持シャフトに対して近位に向ける無作為形状を有してもよい。案内ステップの実行において、ループが潰れた位置にある場合に、細長い要素は、可撓性部分で折り曲げられてもよい。案内ステップの実行において、可撓性部分は、U字形に折り畳まれることができる。U字形の第1側部は、第1端部まで延び、U字形の第2側部は、第2端部まで延びてもよい。案内ステップの実行において、支持シャフトは、ルーメンを有することができ、可撓性部分は、ループが潰れた位置にある場合、ルーメンの中に含まれてもよい。案内ステップの実行において、潰れた位置にある場合、可撓性部分は、0.012インチ未満の曲率半径を有することができる。案内ステップの実行において、ループが拡張位置にある場合、可撓性部分は、細長い要素の第1端部及び第2端部より少なくとも2倍柔軟に曲がることができ、可撓性部分は、0.003インチ以下の最大外形寸法を有することができる。配置ステップの実行において、ループが拡張位置にある場合、細長い要素は、第1端部から中間点まで延びて第1長さを規定する前半部(first half)と、第2端部から中間点まで延びて第2長さを規定する後半部(second half)とを有することができ、細長い要素は、拡張位置において全長を有することができる。配置ステップの実行において、全長の半分が展開された場合、中間ループを形成できる。中間ループは、支持シャフトの遠位端に対して遠位に配置されてもよい。
【0008】
案内ステップの実行において、細長い要素の第1端部及び第2端部の両方は、支持シャフトに対して相対的に移動可能であり、ループを潰れた位置から拡張位置に移動させることができる。第1端部は、ループが拡張位置にある場合に支持シャフトから延びる肘部を有してもよい。配置ステップは、肘部がまだ中間位置に展開されないように実行されることができる。配置ステップの実行において、肘部は、レンズと水晶体嚢との間で部分的に展開されるとともに、移動することができる。配置ステップは、レンズが肘部の先端を支持シャフトに向けて撓ませるように、レンズに肘部を接触させながら肘部を移動させることによって実行されてもよい。配置ステップの実行において、支持シャフトと肘部との間の角度が少なくとも30度減少するように、肘部が移動してもよい。配置ステップの実行において、肘部は、支持シャフトの回転によって移動できる。配置ステップの実行において、肘部が移動した場合、肘部は、支持シャフトとレンズとの間の位置に移動することができる。配置ステップは、中間位置において、水晶体嚢とレンズとの間で、第2端部を反対側の縁部位置に遠位方向に前進させることによって実行されてもよい。反対側の縁部位置は、レンズの半径の少なくとも90%であり、かつ、反対側の縁部の60度以内である。反対側の縁部は、レンズの軸に沿って見た場合に、支持シャフトの長手方向軸の、レンズの外周への投影として規定される。
【0009】
案内ステップの実行において、第1端部及び第2端部は、同時に前進することができる。案内ステップの実行において、ループが拡張位置にある場合、細長い要素は、アンシェイプド部分とプリシェイプド部分とを有することができる。細長い要素の第2端部は、ループのサイズを変更させるように支持シャフトに対して相対的に移動可能である。ループが開位置(open position)にある場合、細長い要素は、第1端部から中間点まで延びる前半部と、第2端部から中間点まで延びる後半部とを有する。ループが拡張位置にある場合、細長い要素は、細長い要素の露出した長さによって規定される全長を有する。案内ステップの実行において、シェイプド部分は、細長い要素の全長の40%~75%であってもよい。案内ステップの実行において、アンシェイプド部分は、全長の25%~60%であってもよい。案内ステップの実行において、シェイプド部分は、少なくとも全長の50%であり、アンシェイプド部分は、少なくとも全長の25%であってもよい。案内ステップの実行において、アンシェイプド部分の少なくとも80%は、後半部に沿っていてもよい。案内ステップの実行において、シェイプド部分の少なくとも80%は、前半部に沿っていてもよい。案内ステップの実行において、細長い要素の全長の半分が展開された場合、アンシェイプド部分は、25%以下だけ展開されることができる。案内ステップの実行において、第1端部は、潰れた位置と拡張位置との間でシャフトを移動させるように支持シャフトに対して相対的に移動可能であってもよい。案内ステップの実行において、シェイプド部分の少なくとも80%は、後半部に沿っていてもよい。案内ステップの実行において、第1端部は、支持シャフトに取り付けられ、第1端部は、ループが拡張位置にある場合、支持シャフトから近位方向に延びる肘部を有することができる。案内ステップの実行において、支持シャフトは、流体操作デバイスの一部であり、流体操作デバイスは、第1流体ルーメンを有することができる。配置ステップの実行において、細長い要素は、流体操作デバイスからレンズと水晶体嚢との間の空間内に延びることができる。
【0010】
この方法は、切断ステップの後、細長い要素が流体操作デバイスの第1流体ルーメン内に配置されず、かつ、流体操作デバイスを目から離さないように、細長い要素を流体操作デバイス内に引き込むステップを更に含む。案内ステップの実行において、流体操作デバイスは、第2流体ルーメンを有することができる。案内ステップの実行において、支持シャフトは、第1チューブと第2チューブとを有し、第1チューブは、第1流体ルーメンを有し、第2チューブは、第2流体ルーメンを有することができる。案内ステップの実行において、第1チューブは、第2流体ルーメンを通って延びることができる。案内ステップの実行において、第1端部は、第1チューブに連結され、第2端部は、潰れた位置と拡張位置との間でループを移動させるように支持シャフトに対して相対的に長手方向に移動可能であってもよい。案内ステップの実行において、第1端部及び第2端部は、潰れた位置と拡張位置との間でループを移動させるように支持シャフトに対して相対的に移動可能であってもよい。案内ステップの実行において、第1端部は、第1ルーメンを通って延び、第2端部は、第2ルーメンを通って延びることができる。案内ステップの実行において、細長い要素の第1端部は、第2チューブに取り付けられてもよい。案内ステップの実行において、第2端部は、第1チューブと第2チューブとの間の空間を通って延び、第2端部は、ループのサイズを変更するように空間の中で移動可能であってもよい。
【0011】
この方法は、第1流体ルーメン及び第2流体ルーメンのうちの一方で目を灌流する(irrigating)ステップと、第1流体ルーメン及び第2流体ルーメンのうちの他方で目を吸引するステップと、を更に含むことができる。この方法は、流体操作デバイスの第1流体ルーメンで目を灌流するステップを更に含むことができる。この方法は、第1流体ルーメンで目を吸引するステップを更に含むことができる。この方法は、切断ステップの後に、細長い要素の第1端部及び第2端部のうちの1つの端部を解放する解放ステップと、流体操作デバイスを通して1つの端部を引き抜くステップと、を更に含むことができる。この方法は、切断ステップの後、第1ルーメンが細長い要素によって塞がれないように、第1ルーメンから細長い要素を引き抜くステップを更に含むことができる。引き抜くステップは、目から支持シャフトを除去することなく実行できる。
【0012】
配置ステップの実行において、支持シャフトは、傾斜した先端部を有する第1チューブを含むことができる。傾斜した(angled)先端部は、近位部分と、遠位方向に延びて傾斜した先端部の遠位端で終了する遠位部分とを有してもよい。近位部分は、第1チューブの中の第1ルーメンの近位軸によって規定された近位方向を有し、遠位部分は、第1チューブの中の第1ルーメンの遠位軸によって規定された遠位方向を有してもよい。近位方向及び遠位方向は、ワーク面(working plane)内にあり、ワーク面を形成してもよい。ループは、一般的に、拡張位置においてループによって区切られた面積を最大にする方向によって決定されるループ面を形成してもよい。配置ステップの実行において、ループが拡張位置にあり、ループ面がレンズの中央平面に平行である場合、ワーク面は、ループ面から45度未満の方向を向いてもよい。配置ステップの実行において、ループが拡張位置にあり、ループ面がレンズの中央平面に平行である場合、ワーク面は、ループ面から20度未満の方向を向いてもよい。配置ステップの実行において、ループがレンズの周囲で拡張位置にあり、ループ面が中央平面に対して垂直である場合、傾斜した先端部の遠位端は、ループから離れる方向に向けられてもよい。配置ステップの実行において、切断ステップの前にループがレンズの周囲の位置に動かされる場合、傾斜した先端部の遠位端は、レンズから離れるとともに、少なくとも45度の角度を掃引することができる。案内ステップの実行において、支持シャフトは、水晶体乳化術(phacoemulsification)デバイスの先端部であってもよい。水晶体乳化術デバイスは、ハウジングを有し、ハウジングは、ハウジングから遠位端まで延びる先端部を有してもよい。先端部は、ハウジングに搭載された、先端部を振動させるための振動要素に連結されてもよい。第1ルーメンは、先端部を通って延びるとともに、遠位端に開口部を有することができる。
【0013】
この方法は、振動要素を振動させることで切断要素を振動させ、先端部でレンズを割るステップを更に含むことができる。この方法は、第1ルーメンを用いて流体とレンズの破片とを除去するステップを更に含むことができる。配置ステップにおいて、細長い要素は、水晶体乳化術デバイスの先端部から延びることができる。配置ステップは、先端部の中の第1ルーメンから外側に細長い要素を移動させることによって実行されてもよい。案内ステップにおいて、先端部は、遠位端へ延び、第1ルーメンを有する第1チューブを含み、先端部は、第1チューブの周囲に配置された第2チューブを更に含み、第2チューブは、第2ルーメンを有してもよい。配置ステップは、細長い要素を先端部から延ばすように外向きに移動させることによって実行されてもよい。案内ステップにおいて、第2チューブは、ポリマのシースであり、第1チューブは、金属管であってもよい。
【0014】
この方法は、目から先端部の遠位端を引き抜くことなく、目から細長い要素を除去する除去ステップを更に含むことができる。この方法は、ループのサイズを変更するように操作可能なコントローラを細長い要素に連結する連結ステップを更に含むことができる。連結ステップの実行において、コントローラと細長い要素とは、初めは分離されてもよい。細長い要素は、案内部(introducer)に結合され、案内部は、案内部が先端部の遠位端でルーメンの中の開口部から延びるまで、第1ルーメンを通して遠位方向に進められてもよい。細長い要素は、アクチュエータがルーメンの遠位端から延びる場合、案内部に連結されてもよい。細長い要素は、案内部をルーメン内で近位方向に移動させることによって、ルーメンの遠位端を通して近位方向にルーメン内に案内されてもよい。切断ステップの実行において、細長い要素は、第1端部に止め部を有し、止め部は、切断ステップ中は第1チューブに接触し、細長い要素の第1端部を固定することができる。この方法は、切断ステップの後に、細長い要素を第1ルーメン内に引き込む引込みステップを更に含むことができる。細長い要素が第1ルーメン内に引き込まれた場合、止め部は、寸法が減少し、第1チューブとの接触を減少させることができる。引込みステップは、第1ルーメンから細長い要素を完全に除去することによって実行されてもよい。この方法は、引込みステップの後に、第1ルーメンを通してレンズの破片を吸引するステップを更に含むことができる。
【0015】
配置ステップの実行において、細長い要素の第1端部は、第2チューブに接続されてもよい。配置ステップの実行において、第1端部及び第2端部の両方は、第2チューブに接続されてもよい。案内ステップの実行において、支持シャフトの第2チューブは、第2ルーメンの中に開口部を有することができる。配置ステップの実行において、細長い要素の第1端部は、第2ルーメンの中の開口部を通って延びることができる。案内ステップの実行において、第1チューブは、第2チューブの中の第2ルーメンを通って延びることができる。除去ステップは、第2ルーメンを通して細長い要素を引き抜くことによって実行されてもよい。案内ステップの実行において、第2ルーメンは、第1チューブと第2チューブとの間の空間によって形成されてもよい。除去ステップは、空間を通して細長い要素を引き抜くことによって実行されてもよい。
【0016】
この方法は、空間を通して目に流体を供給するステップを更に含むことができる。配置ステップの実行において、支持シャフトは、傾斜した先端部を有する第1チューブを含むことができる。傾斜した先端部は、近位部分と、遠位方向に延びて傾斜した先端部の遠位端で終了する遠位部分とを有してもよい。近位部分は、第1チューブの中の第1ルーメンの近位軸によって規定された近位方向を有し、遠位部分は、第1チューブの中の第1ルーメンの遠位軸によって規定された遠位方向を有してもよい。近位方向及び遠位方向は、ワーク面内にあり、ワーク面を形成してもよい。ループは、一般的に、拡張位置においてループによって区切られた面積を最大にする方向によって決定されるループ面を形成してもよい。配置ステップの実行において、ループが拡張位置にあり、ループ面がレンズの中央平面に平行である場合、ワーク面は、ループ面から45度未満の方向を向くことができる。配置ステップの実行において、ループが拡張位置にあり、ループ面がレンズの中央平面に平行である場合、ワーク面は、ループ面から20度未満の方向を向くことができる。配置ステップの実行において、ループがレンズの周囲で拡張位置にあり、ループ面が中央平面に対して垂直である場合、傾斜した先端部の遠位端は、ループから離れる方向に向けられてもよい。配置ステップの実行において、切断ステップの前にループがレンズの周囲の位置に動かされる場合、傾斜した先端部の遠位端は、レンズから離れるとともに、少なくとも45度の角度を掃引することができる。配置ステップの実行において、細長い要素の第1端部は、固定端であってもよく、第2端部は、可動端であってもよい。配置ステップの実行において、細長い要素は、細長い要素が膨張した形状に向かって自然に拡張することによって、水晶体嚢とレンズの前部(anterior side)との間の空間の中で拡張することができる。
【0017】
この方法は、切断ステップの前に、水晶体嚢からレンズを切り離すために、レンズの後面と水晶体嚢との間で細長い要素を移動させるステップを更に含むことができる。切断ステップは、切断ステップの前において完全(whole)であったレンズを用いて実行され、切断ステップの実行において、レンズを切断するときに、ループは、後面及び前面の周囲に延びることができる。配置ステップは、水晶体嚢とレンズとの間に第2端部を前進させ、その後、水晶体嚢とレンズとの間に第1端部を前進させることによって実行されてもよい。切断ステップの実行において、ループは、前面及び後面の周囲に配置されてもよい。配置ステップの実行において、細長い要素は、支持シャフトとともにループを形成することができる。案内ステップの実行において、支持シャフトは、水晶体乳化術ハンドピースの先端部であり、ハンドピースは、先端部を振動させるために先端部に連結された振動要素を有することができる。配置ステップの実行において、支持シャフトは、支持シャフトの長手方向軸に対して横方向に測定した場合に拡大した拡大部分を有することができる。案内ステップの実行において、細長い要素の第1端部は、支持シャフトに取り付けられてもよい。支持シャフトの拡大部分は、細長い要素が取り付けられた支持シャフトの一部によって形成されてもよい。この方法は、支持シャフトの拡大部分のサイズを減少させるステップを更に含み、拡大部分は、支持シャフトとルーメンとの間の噛合いを減少させることができる。減少させるステップの実行において、支持シャフトの拡大部分は、細長い要素が支持シャフトのルーメン内に引き込まれた場合にサイズが縮小されるように移動可能である。細長い要素は、拡大部分の一部を、ルーメンの壁から半径方向内側に離れて変位させることができる。案内ステップの実行において、流体Y字形アームは、第1脚部と第2脚部とに分岐する主ルーメンを有し、Y字形アームは、先端部を通って延びるルーメンのためのコネクタに連結されてもよい。案内ステップの実行において、コントローラは、潰れた位置と拡張位置との間で細長い要素を移動させるように細長い要素に連結されたアクチュエータを有することができる。案内ステップの実行において、ハンドピースはハンドルを有することができる。配置ステップの実行において、コントローラは、ハンドピースのハンドルから近位に延びるチューブに取り付けられ、コントローラは、チューブに取り付けられた場合にハンドルに対して近位に配置されてもよい。配置ステップの実行において、コントローラは、コントローラをチューブに取り付けるクリップを含むことができる。
【0018】
相互に関連する態様では、白内障手術においてレンズを切断するためのデバイスが記載される。本デバイスは、支持シャフトと、支持シャフトに連結された細長い要素とを含む。細長い要素は、第1端部及び第2端部を有する。第1端部及び第2端部の少なくとも1つは、少なくとも部分的に細長い要素によって形成されたループのサイズを変えるように他方の端部に対して移動可能である。ループは、潰れた位置から拡張位置へ移動可能である。ループは、目の中に案内される間は潰れた位置にあり、ループがレンズの周囲に配置された場合は拡張位置にある。レンズは、ループがレンズの周囲に配置された場合に、ループのサイズを縮小することによって切断される。
【0019】
拡張位置にある場合、細長い要素は、第1端部から第2端部へ延びることができ、第1端部及び第2端部は、拡張位置において露出されてもよい。細長い要素の第2端部は、支持シャフトに解放可能に連結され、第2端部の解放により、目から第2端部を引き抜くことができる。細長い要素は、第1端部に肘部を有し、肘部は、ループが拡張位置にある場合、支持シャフトから延びることができる。ループが拡張位置にある場合、肘部は、支持シャフトから近位方向に延びることができる。細長い要素は、ループを形成し、拡張位置においてループ面が規定されてもよい。肘部は、肘部の先端部に加えられてループ面を横切る方向に向けられた横方向の力と比較して、肘部の先端部に加えられてループ面内にある力に対して少なくとも2倍柔軟に曲がることができる。細長い要素は、リビングヒンジを有する細長い要素によって形成された肘部を用いて形成されてもよい。細長い要素は、ひだが形成された部分であるリビングヒンジを含むことができる。細長い要素は、支持シャフトと一体的に形成された肘部を用いて形成されてもよい。細長い要素は、ポリマ製である肘部を用いて形成されてもよい。細長い要素は、支持シャフトから離れた肘部を用いて形成されてもよい。肘部は、支持シャフトを回転させることと、回転時にレンズを嵌め込むことと、によって、支持シャフトに向けて撓むことができる。細長い要素は、ループが拡張位置にある場合に支持シャフトに対して無作為の位置を有する肘部を用いて形成されてもよい。肘部は、ループが拡張位置にある場合、支持シャフトの遠位方向から90~180度の方向である先端部の方向を有する先端部を有してもよい。遠位方向は、支持シャフトの遠位端における支持シャフトの長手方向軸の方向であってもよい。細長い要素は、肘部を有する細長い要素の第1端部を用いて形成されてもよい。肘部は、ループが拡張位置にある場合、肘部を支持シャフトに対して近位に向ける無作為形状を有することができる。案内の実行において、ループが潰れた位置にある場合、細長い要素は、可撓性部分で折り曲げられてもよい。可撓性部分は、第1端部まで延びる第1側部と、第2端部まで延びる第2側部と、を有するU字形に折り畳まれてもよい。支持シャフトは、ルーメンを有することができる。ループが潰れた位置にある場合、可撓性部分は、ルーメンの中に含まれてもよい。潰れた位置にある場合、可撓性部分は、0.012インチ未満の曲率半径を有することができる。
【0020】
ループが拡張位置にある場合、細長い要素の可撓性部分は、細長い要素の第1端部及び第2端部より少なくとも2倍柔軟に曲がることができる。可撓性部分は、長手方向軸に対する断面において0.003インチ以下の最大外形寸法を有することができる。ループが拡張位置にある場合、細長い要素は、第1端部から中間点まで延びて第1長さを規定する前半部と、第2端部から中間点まで延びて第2長さを規定する後半部とを有してもよい。細長い要素は、拡張位置において全長を有することができる。全長の半分が展開された場合、細長い要素は、中間ループを形成してもよい。中間ループは、支持シャフトの遠位端に対して遠位に配置されてもよい。細長い要素の第1端部及び第2端部の両方は、ループを潰れた位置から拡張位置に移動させるように支持シャフトに対して相対的に移動可能であってもよい。第1端部は、ループが拡張位置にある場合に支持シャフトから延びる肘部を有してもよい。肘部は、中間位置に展開されない。細長い要素の肘部は、可撓性であり、レンズが肘部の先端を撓ませるように、肘部がレンズに接触して移動できる。細長い要素の肘部は、支持シャフトと肘部との間の角度が少なくとも30度減少するように移動可能であってもよい。第2端部は、支持シャフトに対して相対的に移動可能であってもよい。第2端部は、移動して、ループのサイズを増加させ、それにより、細長い要素は、中間位置において、水晶体嚢とレンズとの間で、反対側の縁部位置に向かって遠位方向に前進することができる。反対側の縁部位置は、レンズの半径の少なくとも90%であり、かつ、反対側の縁部の60度以内であってもよい。反対側の縁部は、レンズの軸に沿って見た場合に、支持シャフトの長手方向軸の、レンズの外周への投影として規定されてもよい。細長い要素は、第1端部及び第2端部が同時に前進するように操作可能であってもよい。
【0021】
ループが拡張位置にある場合、細長い要素は、アンシェイプド部分とプリシェイプド部分とを有してもよい。細長い要素の第2端部は、ループのサイズを変更させるように支持シャフトに対して相対的に移動可能であってもよい。ループが拡張位置にある場合、細長い要素は、第1端部から中間点まで延びる前半部と、第2端部から中間点まで延びる後半部とを有してもよい。ループが拡張位置にある場合、細長い要素は、細長い要素の露出した長さによって規定される全長を有することができる。細長い要素のシェイプド部分は、細長い要素の全長の40%~75%であってもよい。細長い要素のアンシェイプド部分は、全長の25%~60%であってもよい。細長い要素のシェイプド部分は、全長の少なくとも50%であり、アンシェイプド部分は、全長の少なくとも25%であってもよい。細長い要素は、アンシェイプド部分の少なくとも80%が細長い要素の後半部に沿うように形成されてもよい。細長い要素は、シェイプド部分の少なくとも80%が前半部に沿うように形成されてもよい。細長い要素は、細長い要素の全長の半分が展開された場合に25%以下だけ展開されるアンシェイプド部分を用いて形成されてもよい。細長い要素の第1端部は、潰れた位置と拡張位置との間でループを移動させるように支持シャフトに対して相対的に移動可能であってもよい。細長い要素は、シェイプド部分の少なくとも80%が後半部に沿うように形成されてもよい。細長い要素の第1端部は、支持シャフトに取り付けられ、第1端部は、ループが拡張位置にある場合、支持シャフトから近位方向に延びる肘部を有することができる。
【0022】
支持シャフトは、流体操作デバイスの一部であり、流体操作デバイスは、第1流体ルーメンを有することができる。細長い要素は、流体操作デバイスからレンズと水晶体嚢との間の空間内に延びることができる。細長い要素は、流体操作デバイスに対して相対的に移動可能であり、細長い要素は、流体操作デバイスを目から離すことなく、細長い要素を流体操作デバイス内に引き込むように移動可能であってもよい。流体操作デバイスは、第2流体ルーメンを有することができる。支持シャフトは、第1チューブと第2チューブとを有し、第1チューブは、第1流体ルーメンを有し、第2チューブは、第2流体ルーメンを有することができる。第1チューブは、第2流体ルーメンを通って延びることができる。細長い要素の第1端部は、第1チューブに連結され、第2端部は、潰れた位置と拡張位置との間でループを移動させるように支持シャフトに対して相対的に長手方向に移動可能であってもよい。第1端部及び第2端部は、潰れた位置と拡張位置との間でループを移動させるように支持シャフトに対して相対的に移動可能であってもよい。細長い要素の第1端部は、第1ルーメンを通って延び、第2端部は、第2ルーメンを通って延びることができる。細長い要素の第1端部は、第2チューブに取り付けられてもよい。細長い要素の第2端部は、第1チューブと第2チューブとの間の空間を通って延び、第2端部は、ループのサイズを変更するように空間の中で移動可能であってもよい。第1流体ルーメン及び第2流体ルーメンのうちの一方は、流体源に連結され、第1流体ルーメン及び第2流体ルーメンのうち他方は、吸引源に連結されてもよい。第1端部及び第2端部の少なくとも1つは、第1端部及び第2端部の少なくとも1つを流体操作デバイス内に引き込むように移動可能であってもよい。細長い要素は移動可能であり第1ルーメン内に配置され、細長い要素は、第1ルーメンが細長い要素によって塞がれないように、第1ルーメンから除去可能であてもよい。細長い要素は、流体操作デバイスを目から離すことなく、細長い要素を流体操作デバイス内に引き込むように、第1ルーメン内で移動可能であってもよい。
【0023】
支持シャフトは、傾斜した先端部を有する第1チューブを含むことができる。傾斜した先端部は、近位部分と、遠位方向に延びて傾斜した先端部の遠位端で終了する遠位部分とを有してもよい。近位部分は、第1チューブの中の第1ルーメンの近位軸によって規定された近位方向を有し、遠位部分は、第1チューブの中の第1ルーメンの遠位軸によって規定された遠位方向を有してもよい。近位方向及び遠位方向は、ワーク面内にあり、ワーク面を規定してもよい。ループは、一般的に、拡張位置においてループによって区切られた面積を最大にする方向によって規定されるループ面を形成することができる。
【0024】
ループが拡張位置にあり、ループ面がレンズの中央平面に平行である場合に、傾斜した先端部は、ループ面から45度未満の方向を向くワーク面を用いて形成されてもよい。ループが拡張位置にあり、ループ面がレンズの中央平面に平行である場合に、傾斜した先端部は、ループ面から20度未満の方向を向くワーク面を用いて形成されてもよい。ループがレンズの周囲で拡張位置にあり、ループ面が中央平面に対して垂直である場合、傾斜した先端部の遠位端は、ループから離れる方向に向けられてもよい。傾斜した先端部は、レンズの切断の前にループがレンズの周囲の位置に動かされる場合に、傾斜した先端部の遠位端が、レンズから離れた方向を向くとともに、少なくとも45度の角度を掃引するように形成されてもよい。
【0025】
本デバイスは、支持シャフトが水晶体乳化術デバイスの先端部である水晶体乳化術デバイスを更に含むことができる。水晶体乳化術デバイスは、ハウジングを有してもよい。ハウジングは、ハウジングから遠位端まで延びる先端部を有してもよい。先端部は、ハウジングに搭載された、先端部を振動させるための振動要素に連結されてもよい。第1ルーメンは、先端部を通って延びるとともに、遠位端に開口部を有してもよい。先端部は、先端部でレンズを割る場合に先端部が振動するように振動要素に連結されてもよい。第1ルーメンは、第1ルーメンを通して流体とレンズの破片とを除去するための吸引源に連結されてもよい。細長い要素は、ループが拡張位置に向かって移動する場合、水晶体乳化術デバイスの先端部から延びることができる。細長い要素は、ループが潰れた位置から拡張位置に移動する場合、先端部の中の第1ルーメンから外側に移動可能であってもよい。先端部は、遠位端に延びる第1チューブを含むことができる。第1チューブは、第1ルーメンを有してもよい。先端部は、第1チューブの周囲に配置された第2チューブを更に含んでもよい。第2チューブは、第2ルーメンを有してもよい。細長い要素は、先端部から延びるように外向きに移動可能であってもよい。第2チューブは、ポリマのシースであり、第1チューブは、金属管であってもよい。細長い要素は、目から先端部の遠位端を引き抜くことなく、目から細長い要素を引き抜くように移動可能であってもよい。
【0026】
本デバイスは、細長い要素に連結されたコントローラを更に含むことができる。コントローラは、ループのサイズを変更するように操作可能であってもよい。コントローラと細長い要素とは、初めは分離されていてもよい。細長い要素は、案内部に結合され、案内部は、案内部が先端部の遠位端でルーメンの中の開口部から延びるまで、第1ルーメンを通して遠位方向に進められてもよい。細長い要素は、アクチュエータがルーメンの遠位端から延びる場合、案内部に連結されてもよい。細長い要素は、案内部を第1ルーメン内で近位方向に移動させることによって、第1ルーメンの遠位端を通して近位方向に第1ルーメン内に案内されてもよい。細長い要素は、第1端部に止め部を有することができる。止め部は、切断中は第1チューブに接触し、細長い要素の第1端部を固定することができる。細長い要素は、第1ルーメン内で移動可能であってもよい。細長い要素は、細長い要素を第1ルーメン内に引き込むように第1ルーメン内で移動可能であってもよい。細長い要素が引き込まれた場合、細長い要素は、止め部の中の寸法を減少させ、第1チューブとの接触を減少させることができる。細長い要素は、第1ルーメンから細長い要素を完全に除去するように移動可能であってもよい。第1ルーメンは、吸引源に連結され、第1ルーメンを通してレンズの破片を吸引することができる。細長い要素の第1端部は、第2チューブに連結されてもよい。細長い要素の第1端部及び第2端部の両方は、第2チューブに接続されてもよい。
【0027】
支持シャフトの第2チューブは、第2ルーメンの中に開口部を有することができる。細長い要素の第1端部は、ループが拡張位置にある場合、第2ルーメンの中の開口部を通って延びることができる。第1チューブは、第2チューブの中の第2ルーメンを通って延びることができる。細長い要素は、第2ルーメンを通して細長い要素を引き抜くように移動可能であってもよい。第2ルーメンは、第1チューブと第2チューブとの間に空間を形成することができる。細長い要素は、空間を通って延び、空間内に細長い要素を引き込むことによって、目から除去されることができる。第2チューブの第2ルーメンは、流体供給に連結され、第2ルーメンを通して目に流体を供給することができる。
【0028】
支持シャフトは、傾斜した先端部を有する第1チューブを含むことができる。傾斜した先端部は、近位部分と、遠位方向に延びて傾斜した先端部の遠位端で終了する遠位部分とを有してもよい。近位部分は、第1チューブの中の第1ルーメンの近位軸によって規定された近位方向を有し、遠位部分は、第1チューブの中の第1ルーメンの遠位軸によって規定された遠位方向を有してもよい。近位方向及び遠位方向は、ワーク面内にあり、ワーク面を規定してもよい。ループは、一般的に、拡張位置においてループによって区切られた面積を最大にする方向によって決定されるループ面を形成することができる。
【0029】
傾斜した先端部の近位方向及び遠位方向によって形成されたワーク面は、ループが拡張位置にあり、ループ面がレンズの中央平面に平行である場合に、ループ面から45度未満の方向を向くことができる。傾斜した先端部の近位方向及び遠位方向によって形成されたワーク面は、ループが拡張位置にあり、ループ面がレンズの中央平面に平行である場合に、ループ面から20度未満の方向を向くことができる。ループが拡張位置にある場合、傾斜した先端部の遠位端は、ループから離れる方向に向けられてもよい。レンズの切断の前にループがレンズの周囲の位置に動かされる場合、傾斜した先端部の遠位端は、レンズから離れてもよい。細長い要素の第1端部は、固定端であり、第2端部は、可動端であってもよい。細長い要素は、細長い要素が拡張形状に向かって自然に拡張することによって、水晶体嚢とレンズの前部との間の空間の中で拡張することができる。ループは、レンズの前面及び後面の周囲に配置されるように寸法決め及び構成され、レンズは、レンズの切断の前において完全であることができる。細長い要素の第2端部は、水晶体嚢とレンズとの間で前進することができ、その後、ループが中間位置にある場合、第1端部を水晶体嚢とレンズとの間に前進させてもよい。細長い要素は、支持シャフトとともにループを形成することができる。
【0030】
支持シャフトは、水晶体乳化術ハンドピースの先端部であり、ハンドピースは、先端部を振動させるために先端部に連結された振動要素を有することができる。
【0031】
支持シャフトは、支持シャフトの長手方向軸に対して横方向に測定した場合に拡大した拡大部分を有することができる。細長い要素の第1端部は、支持シャフトに取り付けられてもよい。支持シャフトの拡大部分は、細長い要素が取り付けられた支持シャフトの一部によって形成されてもよい。支持シャフトの拡大部分は、サイズが縮小されるように移動可能であり、支持シャフトと流体ルーメンとの間の噛合いを減少させることができる。支持シャフトの拡大部分は、細長い要素が支持シャフトのルーメン内に引き込まれた場合にサイズが縮小されるように移動可能であり、細長い要素は、拡大部分の一部を、ルーメンの壁から半径方向内側に離れて変位させることができる。
【0032】
本デバイスは、第1脚部と第2脚部とに分岐する主ルーメンを有する流体Y字形アームを更に含むことができる。主ルーメンは、ハンドピースの中のルーメンに連結されてもよい。本デバイスは、潰れた位置と拡張位置との間で細長い要素を移動させるように細長い要素に連結されたアクチュエータを有するコントローラを更に含むことができる。本デバイスは、ハンドルを有することができる。コントローラは、ハンドルから近位に延びるチューブに取り付けられてもよい。コントローラは、チューブに取り付けられた場合にハンドルに対して近位に配置されてもよい。コントローラは、コントローラをチューブに取り付けるクリップを含むことができる。本デバイスは、主ルーメンと第1脚部と第2脚部とを有する流体Y字形アームを更に含むことができる。本デバイスは、第1脚部及び第2脚部のうちの1つに取り付けられたコントローラを更に含むことができる。コントローラは、細長い要素を操作するための細長い要素に連結されたアクチュエータを有してもよい。
【0033】
本デバイスは、灌流液源(source of irrigation fluid)を更に含むことができる。灌流液源は、支持シャフトの中のルーメンに流体的に連結されてもよい。灌流液源は、第1チューブに流体的に連結され、第1チューブは、灌流液を供給するために水晶体乳化術先端部の上に配置されるように構成できる。細長い要素は、可撓性部分を含むことができる。可撓性部分は、潰れた位置にある場合の可撓性部分の外形寸法の2.5倍以下の折り畳み横方向寸法を有してもよい。傾斜した先端部は、ループ面に対して90~180度のオフセット角度を有するように方向付けられることができる。オフセット角度は、ループ面がワーク面に平行である原点位置から先端部が回転する角度であり、先端部は、原点位置においてループに向けられる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
これらの態様及び他の態様は、以下の図面を参照して詳細に説明される。一般的に言えば、これらの図は、絶対的な意味でも比較的にも縮尺通りではなく、例示的であることが意図される。また、特徴及び要素の相対的な配置は、例示的な明確さの目的のために修正され得る。
【0035】
図1】灌流ルーメン及び吸引ルーメンを用いて眼内でレンズを切断するためのデバイスを示す図である。
図2】ループを形成している図1の細長い要素を示す図である。
図3図2のループの側面図である。
図4図3のA-A断面図である。
図5】レンズの側面図である。
図6】レンズを切断するための他のデバイスであって、細長い要素に沿った肘部を有するものを示す図である。
図7】肘部と肘部の縮れた部分とを示す図6のデバイスの側面図である。
図8】肘部がレンズに接触している間に支持シャフトが回転した場合に、肘部が近位方向に撓むことを示す図である。
図9】細長い要素の第1端部のための第1アクチュエータと、第2端部のための第2アクチュエータとを有する、レンズを切断するための他のデバイスを示す図である。
図10】ループが広がった状態の図9のデバイスを示す図である。
図11図10のデバイスの断面図である。
図12図10のデバイスの代替的な断面図である。
図13図10のデバイスの更なる他の代替的な断面図である。
図14】図示のように折り曲げられてルーメンの中に収容できる可撓性部分を有する細長い要素を有する支持シャフトの端部を示す図である。
図15】ループのシェイプド部分とアンシェイプド部分とを示す図である。
図16A】傾斜した先端部から遠ざかるように広がるループを有する2ルーメン設計を示す図である。
図16B図16Aのループの側面図である。
図16C図1は、細長い要素が第1チューブと第2チューブとの間の空間を通って延びる同軸設計を示す図である。
図17】水晶体乳化術に関して、ループを有する、レンズを切断するためのデバイスを示す図である。
図18】吸引ルーメンに取り付けられたコントローラと、支持シャフトの後方への装填の前における支持シャフトとを示す図である。
図19】吸引ルーメンの中の遷移を示す断面図である。
図20】支持シャフトを案内部に取り付ける前に取り外すことができる誘導フィラメントを有する案内部を示す図である。
図21】支持シャフトが割れた状態の支持シャフトの近位端を示す図である。
図22】支持シャフトによって保持されたカプラを示す図21の断面図である。
図23】割れ目に沿って支持シャフトの近位端を開くための位置に移動した解放アームを示す図である。
図24】細長い要素を有する支持シャフトの遠位端を示す図である。
図25】支持シャフトの寸法を減少させて支持シャフトの引き込みを可能にする、ルーメン内に引き込まれた細長い要素を示す図である。
図26図25の断面図である。
図27】寸法の減少を示す支持シャフトの断面図である。
図28】コントローラを示す図である。
図29】コントローラの端面図である。
図30】コントローラの側面図である。
図31】ハンドピースから近位に延びるチューブに取り付けられたコントローラを示す図である。
【0036】
図面は単なる例示であり、縮尺通りであることを意味しないことが理解されるであろう。本明細書に記載のデバイスは、各図に示されていない特徴を含んでもよいことが理解されなければならない。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本明細書に記載されているのは、白内障手術においてレンズを切断するための方法及びデバイスである。本明細書に記載のデバイスは、第1ルーメンを有し得る支持シャフトに連結された細長い要素を有することができる。細長い要素は、第1端部及び第2端部を有し、第1端部及び第2端部の少なくとも一方は、ループのサイズを変えるように他方に対して移動可能である。ループは、少なくとも部分的に細長い要素によって形成され、また、部分的に支持シャフトによって形成されてもよい。ループは、潰れた位置から拡張位置へ移動可能であり、案内中にはループは潰れた位置にあることができる。ループは、潰れた位置において、第1ルーメン内などのデバイス内に完全に収容されてもよい。あるいは、ループは、潰れた位置において露出される小さなループを形成してもよい。
【0038】
使用時には、展開すると、ループは水晶体嚢とレンズとの間で拡張及び前進する。ループが拡張位置に達するまで、ループは前進するとともに拡張する。次に、シャフトを回転させることによって、ループは、レンズの後部に移動する。この領域を介してループを掃引することによって、ループを使用してレンズの後面と水晶体嚢とを分離することができる。次に、ループは、レンズの周囲の所望の位置に配置され、第1切込みを形成する。次に、ループのサイズを縮小してレンズを切断する。
【0039】
細長い要素は、第1端部に肘部を有してもよい。ループが拡張されると、肘部は、支持シャフトから近位方向に延びてもよい。肘部は、ループ面内で肘部の先端部に加えられた力に対して、先端部に加えられた(ループ面を横切る方向に加えられる)横方向の力と比較して少なくとも2倍柔軟に曲がることができる。ループは、概して、拡張位置においてループ面を形成する。ループ面は、ループの面積を最大にする向きによって規定される。肘部は、リビングヒンジなどのヒンジを有し、必要な柔軟性を提供してもよい。リビングヒンジは、肘部にひだを作ることによって、又は、所望の性質を有する非円形断面などの任意の他の適切な方法で、形成されてもよい。肘部は、ポリマ製であり、支持シャフトに取り付けられてもよく、又は、図示のように支持シャフトと一体的に形成されてもよい。
【0040】
一態様では、肘部は、最初にループを拡張させるときに肘部を支持シャフトに向かって撓ませるようにシャフトを回転させることによって、支持シャフトとレンズとの間に配置されてもよい。肘部の先端部は、ループが拡張した場合、支持シャフトの遠位方向から90~180度の方向を有する。
【0041】
細長い要素は、可撓性部分を有してもよい。可撓性部分により、細長い要素は、ループが折り畳まれるときに、第1ルーメン内に折り畳まれて収容されることができる。可撓性部分は、U字形に折り畳まれる。U字形の第1側部は第1端部に向かって延び、U字形の第2側部は第2端部に向かって延びる。ルーメンの中に折り畳まれた場合、可撓性部分は、0.012インチ未満の曲率半径を有することができる。可撓性部分は、細長い要素の第1端部及び第2端部より少なくとも2倍柔軟に曲がってもよい。可撓性部分は、細長い要素の長手方向軸に対して横方向に測定した場合に0.003インチ以下の最大外形寸法を有してもよい。可撓性部分は、モノフィラメント又はその他の適切な材料であってもよい。
【0042】
細長い要素は、ループが拡張された場合に、中間点から第1端部に向かって延びる前半部(これは、細長い要素の第1長さを規定する)と、中間点から第2端部に向かって延びる後半部(これは、細長い要素の第2長さを規定する)と、を有する。全長の半分が展開された場合、ループは、中間ループを形成するとともに、中間位置にある。この目的で使用される「展開」は、細長い要素の露出した部分を意味する。
【0043】
中間ループは、支持シャフトの遠位端に対して遠位に配置され、これにより、ループは、支持シャフトから遠位に展開されてもよい。肘部を用いる場合、肘部は、支持シャフトに取り付けられるのではなく、展開されてもよい。例えば、第1端部と第2端部とが同時に(又は独立に)前進する場合、肘部は、中間位置においてルーメン内に留まってもよい。後述するように、ループは部分的に展開され、肘部はレンズと水晶体嚢との間で移動し、又は肘部はレンズと水晶体嚢との間に押し込まれる。
【0044】
細長い要素の第1端部は、支持シャフトに対して相対的に移動可能であり、潰れた位置と拡張位置との間でシャフトを移動させることができる。第1端部は、支持シャフトに取り付けられてもよく、第1端部は、ループが拡張された場合、支持シャフトから近位方向に延びる肘部を有してもよい。肘部は、肘部をレンズに接触させること、及び支持シャフトを回転させることによって、レンズによって撓ませられてもよい。レンズは、肘部の先端部を支持シャフトに向けて撓ませ、これにより、支持シャフトと肘部との間の角度は、少なくとも30度減少する。
【0045】
ループが中間位置にある場合、ループは、レンズと水晶体嚢との間で、反対側の縁部位置に遠位方向に第2端部を前進させることによって展開されてもよい。反対側の縁部位置は、レンズの半径の少なくとも90%であり、かつ、反対側の縁部の60度以内である。反対側の縁部は、レンズの中心軸に沿って見た場合に、支持シャフトの長手方向軸の、レンズの外周への投影として規定される。このようにしてループを展開すると、まずループの遠位側が確立され、続いてループの近位の拡張が確立される。
【0046】
ループが拡張位置にある場合、細長い要素は、プリシェイプド部分及びアンシェイプド部分の両方を有してもよい。シェイプド部分は、細長い要素の全長の40%~75%であってもよく、アンシェイプド部分は、全長の25%~60%であってもよい。他の態様では、シェイプド部分は、少なくとも全長の50%であり、アンシェイプド部分は、少なくとも全長の25%である。更に他の態様では、アンシェイプド部分の少なくとも80%は、前半部又は後半部のいずれかに沿っていてもよい。更に他の態様では、細長い要素の全長の半分が展開された場合、アンシェイプド部分は、25%以下だけ展開されることができる。端部の一方、例えば第1端部は、レンズの切断後に解放されてもよく、細長い要素は、デバイス内に引き込まれる。
【0047】
特定の態様では、デバイスは、流体操作デバイスに連結されてもよい。流体操作デバイスは、灌流及び/又は吸引(aspiration)デバイス、又は水晶体乳化術デバイスであってもよい。水晶体乳化術デバイスは、ループによって形成されたレンズの破片を、より小さな小片に分割する。小片は、水晶体乳化術デバイスの中のルーメンを通して従来の方法で吸引される。切断デバイスは、灌流及び/又は吸引デバイスと一緒に使用されてもよい。
【0048】
本明細書に記載されたデバイス及び方法の利点は、レンズ切断デバイスの除去、並びに他のデバイスの導入及び交換が不要であることである。これにより、デバイスの先端が目の中に残るので、流体の損失及びデバイスの交換に関して起こり得る問題が回避される。例えば、支持シャフトは、灌流又は吸引のための第1ルーメンを有してもよい。細長い要素は、ループを展開及び操作するために第1ルーメンの中に配置されてもよい。レンズの切断の後、細長い要素は、デバイス内に引き込まれてもよく、これにより、細長い要素は、第1ルーメンを通る流れを妨げないように、第1ルーメンの中に配置されない。細長い要素はまた、目から流体操作デバイスの先端部を除去することなく、引き込まれてもよい。
【0049】
吸引及び灌流を伴うデバイスの場合、支持シャフトは、第1チューブと第2チューブを有し、第1チューブは第1ルーメンを有し、第2チューブは第2ルーメンを有してもよい。第1チューブはまた、第2流体ルーメンを通って延びてもよく、又は、(例えば隣り合うように)独立であってもよい。
【0050】
細長い要素の第1端部は、第1チューブに連結され、第2端部は、潰れた位置と拡張位置との間でループを移動させるように支持シャフトに対して相対的に移動可能であってもよい。あるいは、第1端部及び第2端部の両方は、移動可能であってもよく、第1端部は第1ルーメンを通って延び、第2端部は第2ルーメンを通って延びてもよい。更に代替的には、細長い要素の第1端部は、第2チューブに取り付けられてもよく、第2端部は、第1チューブと第2チューブとの間の空間を通って伸びてもよい。
【0051】
流体操作デバイスは、目の灌流及び/又は吸引のために使用されてもよい。この目的のために、流体は、第1流体ルーメン及び第2流体ルーメンのうちの一方を通って流れてもよく、他方のルーメンは、流体及びレンズの破片を吸引するために使用される。細長い要素は、細長い要素が吸引又は灌流を妨げないように、流体ルーメンから細長い要素を除去するために引き抜かれてもよい。
【0052】
本デバイスは、傾斜した先端部を有する支持シャフトを有してもよい。傾斜した先端部は、近位方向を有する近位部分と、遠位方向を有する遠位部分とを有する。近位方向及び遠位方向は、ワーク面内にあり、かつ、ワーク面を規定する。ワーク面は、ループが拡張された場合、ループ面から45度未満、又は20度未満の方向を向く。さらに、傾斜した先端部の遠位端は、ループが拡張された場合、ループから離れる方向に向けられる。言い換えれば、レンズの切断のためにループがレンズの周囲の位置に動かされた場合に、傾斜した先端部の遠位端は、レンズから離れた方向を向く。このようにループに対して先端部を向けることは、ループを操作する場合に先端部で目を損傷する可能性を低減するのに役立ち得る。
【0053】
本明細書に記載されたデバイスは、水晶体乳化術デバイスとともに使用されてもよい。水晶体乳化術デバイスは、先端部を有するハウジングを有する。先端部は、ハウジングから遠位端へ延びる。先端部は、振動要素に連結される。振動要素は、先端部を振動させるように作動され、レンズを小片に分割する。第1ルーメンは、先端部を通って延び、かつ、遠位端に開口部を有する。流体及び材料は、既知の方法により、第1ルーメンを通して吸引されてもよい。支持シャフトは、ポリマのシースであり得る第2チューブを含んでもよく、第1チューブは、金属チューブであってもよい。両者は、水晶体乳化術デバイスの分野においてよく知られたものである。
【0054】
デバイスは、潰れた位置と拡張位置との間で細長い要素を操作するとともに、ループのサイズを変更するための、細長い要素に連結されたコントローラを含む。コントローラ及び細長い要素は、初めは分離されている。細長い要素は、案内部に連結され、ルーメンの遠位端を通してバックロードされる。案内部が遠位端から延びるまで、案内部は、第1ルーメンを通して遠位方向に進められる。次に、アクチュエータがルーメンの遠位端から延びた場合、細長い要素は、案内部に連結される。次に、支持シャフトがほとんど完全にルーメン内に入るまで案内部を近位に引くことによって、細長い要素は、ルーメンの遠位端を通って、ルーメン内にバックロードされる。本明細書で使用される「バックロード(backload)」又は「バックロードされた(backloaded)」という用語は、作業端に向かうものとして定義される遠位を、ハンドルに向かうことを指す近位方向に装填する(load)ことを意味する。
【0055】
細長い要素は、ループを展開及び操作する場合、並びにレンズを切断する場合に、細長い要素(及びしたがってループ)を固定することを助ける止め部を第1端部に有する。止め部は、切断ステップの間、第1チューブに接触し、細長い要素(及びしたがってループ)を固定する。細長い要素は、レンズを剪断した後、第1ルーメン内に引き込まれてもよい。細長い要素が第1ルーメン内に引き込まれた場合、止め部の寸法は(例えば細長い要素の長手方向軸に対して横方向に)減少し、第1チューブとの接触を減少させ、これにより、止め部は、第1ルーメンを通って引き込まれる。
【0056】
ループは、本明細書に記載されたものと同様の方法で使用され、そのような方法はすべてここに組み込まれる。ループを用いてレンズを切断し、ルーメンから細長い要素を引き抜いた後、水晶体乳化術デバイスは、既知の方法で使用されてもよい。例えば、先端部は、振動し、レンズの破片を破砕するために使用され、第1ルーメンを通して流体を吸引する。
【0057】
水晶体乳化術デバイスは、傾斜した先端部を有してもよい。傾斜した先端部は、傾斜した先端部を有する灌流及び吸引デバイスに関して上述した特徴を用いて方向付けられ、及び成形されてもよい。傾斜した先端部は、吸引及び灌流デバイスに関して上述したように、ループに対して方向付けられてもよい。
【0058】
使用時には、細長い要素が拡張形状に向かって自然に拡張することによって、ループは、水晶体嚢とレンズの前部との間の空間の中で拡張することができる。レンズを切断する前に、水晶体嚢からレンズを切り離すために、細長い要素は、レンズの後面と水晶体嚢との間で移動してもよい。本明細書に記載されたデバイスは、水晶体嚢から水晶体を取り出す場合に水晶体を切断するために使用されてもよい。特に、水晶体嚢から水晶体を取り出すことなく水晶体を切断するのに有用である。さらに、レンズは、初めは完全であり、レンズが切断された場合にループが後面及び前面の周囲に延びてもよい。
【0059】
ここで、図面に関して、図1~4は、レンズを切断するためのデバイス40を示している。デバイス40は、ハンドピース45と、ハンドピース45の遠位端から延びた支持シャフト12に連結された細長い要素16とを含んでもよい。ハンドピース45は、細長い要素を作動させるための1つ以上のアクチュエータ44を含んでもよい。デバイス40は、独立に使用されてもよく、あるいは、灌流及び/又は吸引を提供するように構成された流体操作デバイス140の一部として、又はこれと組み合わされて使用されてもよい。
【0060】
細長い要素16は、第1端部17及び第2端部19を有することができ、第1端部17及び第2端部19の少なくとも一方は、細長い要素16によって少なくとも部分的に形成されたループ21のサイズを変えるように他方に対して移動可能である。ループ21は、潰れた位置(図1の実線の位置)から拡張位置(図1の点線の位置)に移動可能である。ループ21は、目の中に案内される際には、潰れた位置にあり、レンズを切断する前にレンズの周囲に配置された際には、拡張位置にある。レンズは、潰れた位置に向かってループ21のサイズを減少させることによって切断される。ループ21は、目の中に案内される場合(後述)、支持シャフト12の中に完全に収容されてもよい。あるいは、ループ21は、図1の点線で示された潰れた位置への案内中、部分的に形成及び露出されてもよい。ループ21は、専ら細長い要素16によって形成されてもよく、又は、細長い要素16と支持シャフト12とによって形成されてもよい。
【0061】
支持シャフト12は、第1ルーメン24を有する第1チューブ22と、第2ルーメン28(図4参照)を有する第2チューブ26とを有することができる。細長い要素16の第2端部19は、点線位置において第1チューブ22と第2チューブ26との間の空間を通って延び、又は、実線位置で示したように第1ルーメンの中を通って延びることができる。細長い要素16の第2端部19は、ループ21のサイズを変更させるように長手方向に移動可能である。細長い要素16の第1端部17は、第1チューブ22に連結され、第2端部は、第1チューブ22及び第2チューブ24に対して相対的に長手方向に移動可能であり、潰れた位置と拡張位置との間でループ21を移動させることができる。デバイス40は、本技術分野において既知のように目を灌流及び/又は吸引するために使用されてもよい。この目的のために、目は、第1ルーメン24及び第2ルーメン28のうちの一方を用いて灌流され、他方のルーメンを用いて吸引されてもよい。灌流源142は第2ルーメン28に連結され、吸引源144は第1ルーメン24に連結されてもよい(図1参照)。真空源144及び灌流源142は、コンピュータ制御、ユーザ制御のフットペダル作動、及び従来の重力送りの灌流バッグを含む任意の適切なシステムであってもよい。
【0062】
図5は、レンズの概要を示している。レンズは、中心軸CAと、後面PSと、前面ASとを有し、これらの面は、レンズLの外周Cで交差又は離間する。外周Cは、レンズLの中央平面M内にあり、中央平面Mを規定する。レンズLは水晶体嚢(図示せず)の中に存在し、水晶体嚢は、(水晶体嚢と角膜との間に位置する)前房(anterior chamber)から後部硝子体腔を分離する。
【0063】
再び図2を参照すると、ループ21が拡張位置にある場合、細長い要素16は、プリシェイプド部分32と、アンシェイプド部分34とを有してもよい。本明細書で使用される「拡張位置(expanded position)」という用語は、レンズLを切断する直前にレンズLの周りに配置されたときのループ21の状態を指す。ループ21がアンシェイプド部分34を含む場合、ループ21は、拡張位置において、拡張位置又は拡張形状の意味から逸脱することなく、様々な形状を取ることができる。「アンシェイプド(un-shaped)」という用語は、縫合糸などの細い糸又はフィラメントのように無形(shapeless)又は直線であり、無作為の(すなわち非拘束の)位置においては特定の形状を有しないことを意味する。「プリシェイプド(pre-shaped)」という用語は、明確に特定されない限り、直線以外の無作為の位置における任意の予め定められた形状を意味する。時には、「直線(straight)」という用語は、シェイプド部分がプリシェイプド部分であることを意図しているという点で、シェイプド部分に関連して使用される。この場合において、直線が明確に主張されているときは、「無形(shapeless)」という用語は、その意味に「直線」を含まない。
【0064】
アンシェイプド部分34を使用すると、展開中のループ21の可撓性が高まるとともに、ループ21が最初に水晶体嚢とレンズとの間の位置に前進した場合に水晶体嚢を損傷する可能性を低減するのに役立つことができる。アンシェイプド部分34はまた、展開された場合にループ21がやや異なる形状及び方向を取るのを助けて、異なる接近角度、幾何学的形状、及びユーザによるループ21の操作における変動に適応することができる。一方、プリシェイプド部分32は、レンズの周囲にループ21を展開するために、及びループ21の幾分かの予め定められた拡張を提供するために、十分な強度及び形状を提供することができる。シェイプド部分32はまた、切断部材の座屈又は湾曲に依存するのではなく、ループ21の自然な拡張によって、幾分制御された方法でループ21を展開することを助けることができる。
【0065】
図2を参照すると、シェイプド部分32は、全長の40%~75%であってもよく、アンシェイプド部分は、全長の25%~60%であってもよい。言い換えれば、シェイプド部分32は、少なくとも全長の50%であり、アンシェイプド部分34は、少なくとも全長の25%であってもよい。全長は、拡張位置において展開され又は露出された細長い要素16の長さである。細長い要素16は、中間点35から第1端部17に向かって延びる前半部33と、中間点35から第2端部19に向かって延びる後半部37と、を有することができる。シェイプド部分32は、実質的に前半部33に沿って展開され又は配置されてもよく、これにより、プリシェイプド部分32の少なくとも80%が前半部33に沿う一方で、アンシェイプド部分34の少なくとも80%は、後半部37に沿っていてもよい。他の態様では、全長の半分が展開された場合、アンシェイプド部分34は、10%以下だけ展開されてもよい。シェイプド部分32及びアンシェイプド部分34は、1つ以上の区分の中にあってもよく、区分は、シェイプド部分32又はアンシェイプド部分34の量又は割合を評価する場合に、一緒に追加される。
【0066】
使用時、デバイス40は、従来の方法で目の中に案内されてもよい。例えば、嚢切開による開口部又は任意の他のアクセス開口部などの開口部が、水晶体嚢に形成されてもよい。細長い要素16によって形成されたループ21は、ループ21が比較的小さいサイズの状態(潰れた位置にあるか、又は潰れた位置からいくらか拡張されていてもよい)で水晶体嚢とレンズとの間に押し込まれてもよい。展開される細長い要素16の前半部33は、ループ21の近位端を確立し維持するための成形部分32とすることができる。次に、アンシェイプド部分34は展開され、細長い要素16は、最終段階において展開されたシェイプド部分32(直線を含む形状)を有してもよく、アンシェイプド部分34を移動させてループ21の遠位の後半部37を形成することができる。図2においてやや曲がったものとして図示された直線部分32は、無作為の状態では実質的に直線であってもよい。
【0067】
図6~8は、レンズを切断するための関連したデバイスを示している。本デバイスは、支持シャフト12に取り付けられ、又はこれと一体的に形成されるように構成された肘部50を有する細長い要素16を含む。デバイス40は、本明細書の他の箇所に記載されているような灌流機能及び吸引機能と、1つ以上のアクチュエータ44と、を含んでもよい。支持シャフト12は、第1ルーメン24を有する第1チューブ又は内管22と、第2ルーメン28を有する第2チューブ又は外管26と、を有することができる。細長い要素16の第2端部19は、内管22と外管26との間の空間(図4の点線位置を参照)を通って、又は第1ルーメン24(実線位置)を通って、延びる。細長い要素16は、プリシェイプド部分32とアンシェイプド部分34とを有してもよく、プリシェイプド部分とアンシェイプド部分と直線部分とを有するこのデバイス及び実施形態、並びに他のすべてのデバイス及び実施形態のために組み込まれた、本明細書に記載されたすべての特徴及び態様を有することができる。
【0068】
細長い要素16は、第1端部17に肘部50を有する。ループ21が拡張位置にあり、及び選択的に潰れた位置にある場合、肘部50は、支持シャフト12から近位に延びる。肘部50は、加えられた力の方向に応じて異なる剛性応答を有利に提供する。ループ21は、一般的に、拡張位置にあるループ面LPを規定する。ループ面LPは、拡張位置にあるループ21のサイズを最大にする方向によって規定される。肘部50は、肘部50の先端部52に加えられてループ面LPを横切る方向に向けられた力と比較して、肘部50の先端部52に加えられてループ面LP内にある力に対して少なくとも2倍柔軟に曲がることができる。このようにして、肘部50は柔軟であり、支持シャフト12に向かって曲がることができる。これにより、肘部50は、後述のように支持シャフト12とレンズLとの間に「押し込まれ」てもよい。一方、レンズLの周囲でループ21を操作する場合、特に、レンズLの後部の周囲でループ21を掃引して水晶体嚢からレンズLの後部PSを切り離す場合、肘部50は、(ループ面に対して)横方向にはより堅く、細長い要素16(及びループ21の端部)に強度を提供する。
【0069】
肘部50は、任意の適切なポリマで作製されてもよく、肘部50をひだを作ってひだが形成された部分を形成することによって形成された、好ましくは少なくとも2つのリビングヒンジを含んでもよい(図7及び図8)。肘部50は、(第2チューブ26などの)支持シャフト12に取り付けられてもよく、又は図示のように支持シャフト12と一体的に形成されてもよく、又は後述のように支持シャフト12を通って前進してもよい。肘部50は、無作為形状を有し、これにより、肘部50は、ループ21が拡張位置にあり、肘部50がデバイスによって加えられた拘束力から解放された場合、支持シャフト12に対して近位方向に移動する。言い換えれば、肘部50は、拡張位置及び選択的に潰れた位置における遠位端における支持シャフト12の長手方向軸Aによって規定された、支持シャフト12の遠位方向から90~180度の方向に向けられる。使用時、支持シャフト12は、レンズLに肘部50を接触させた状態で、長手方向軸Aの周りに矢印Rの方向に回転してもよい。このようにして支持シャフト12を回転させると、肘部50が支持シャフト12に向かって撓み、ループ21が近位に変位する。また、このようにして支持シャフト12を回転させると、肘部50が支持シャフト12とレンズLとの間の位置に移動する。肘部50は、先端部の向きと支持シャフト12の長手方向軸Aによって規定される近位方向との間の角度を小さくすることなどによって、より近位の向きになるように撓む。図8は、角度DAによってこの角度の減少を示している。肘部50は、シャフト12に向かって曲がる際の柔軟性を高め、支持シャフト12と肘部50との間の角度を少なくとも30度小さくすることができる。肘部50はレンズに接触することができ、これにより、肘部50の先端部52を支持シャフト12に向かって、かつ支持シャフト12とレンズとの間の位置まで、レンズが撓むことができる。
【0070】
図9~15は、細長い要素16を有するデバイス40の関連した実施例を示している。前述のように、細長い要素16は、第1端部17及び第2端部19を有することができ、これらは両方とも支持シャフト12に対して移動可能であり、ループ21を潰れた位置と拡張位置との間で移動させることができる。第1及び第2端部17,19は、1つ又は複数のアクチュエータ44によって操作可能である。アクチュエータ44は多様であり、ボタン、スライダ、つまみ、又は他の機構を含む。いくつかの実施例では、アクチュエータ44は、それぞれ第1コントローラ44a及び第2コントローラ44bを含むことができる。支持シャフト12は、様々な異なる断面構成を有してもよい。図11は、第1ルーメン24を有する第1チューブ22と、第2ルーメン28を有する第2チューブ26とを示す。第1チューブ22は、第2チューブ26を通って延びる。図12は、第1ルーメン24を有する第1チューブ22と、第2ルーメン28を有する第2チューブ26とを示す。これらは独立し、又は並んでいる。図13を参照すると、第1チューブ22は、第1ルーメン24を有する。細長い要素16の両端部17,19は、第1ルーメン24を通って延びる。図14を参照すると、支持シャフト12の遠位端14が断面で示されている。細長い要素16は、細長い要素16が可撓性部分36で折り畳まれ、第1ルーメン24内に完全に収容されている。二重の動きを有する実施形態のうちの1つを論じる場合、すべての態様がその他に等しく適用可能であり、かつそれぞれに明白に組み込まれることが理解される。
【0071】
可撓性部分36は、ループ21が図14に示したような潰れた位置にある場合、U字形に折り畳まれる。可撓性部分36は、図示のように第1ルーメン24内に適合するように十分に小さくてもよい。可撓性部分36が分離したルーメンを通って延びる場合であっても、それらは一緒に近接して配置されることができ、それによって依然としてデバイス40の全体サイズを縮小するのを助ける。可撓性部分36は、細長い要素16の第1端部17に向かって延びる前半部33と、第2端部19に向かって延びる後半部37とを有する。支持シャフト12は、第1ルーメン24を含むことができる。可撓性部分36は、ループ21が潰された場合に、開口部27の近くの第1ルーメン24内に収容される。可撓性部分36は、潰れた位置にある場合、0.012インチ未満の曲率半径を有することができる。可撓性部分36は、細長い要素16の第1端部17及び第2端部19の少なくとも2倍柔軟に曲がることができる。可撓性部分36は、0.003インチ以下の最大外形寸法を有してもよく、約0.005インチの直径を有するニチノールワイヤなどの超弾性要素に結合されたモノフィラメントであってもよい。本明細書では、列挙されたものよりも大きいサイズを含む、他の適切な材料、断面及びサイズが考慮される。可撓性部分36はまた、折り畳み部の両側の外形寸法の2.5倍以下である折り畳み横方向寸法を有すると定義することもできる。一例として、直径0.010インチのワイヤが使用される場合、折り畳まれた横方向寸法は0.025以下であり、その結果、0.005インチ以下の隙間が生じる。さらに別の言い方をすれば、ルーメン24は、折り畳まれて組み合わせられた2つの半部33,37の外形寸法の2.5倍以下の内径を有することができる。
【0072】
デバイス40はまた、展開の初期にループ21の遠位部分を確立するように前進させることができる。図15に示すように、ループ21が拡張されると、細長い要素16は、全長を有することができる。全長は、第1端部17から中間点35まで延びる(かつ、第1長さを規定する)前半部33と、第2端部19から中間点35まで延びる(第2長さを規定する)後半部37とに分割できる。さらに、全長の半分が展開された場合、中間ループが形成されてもよい。中間位置にある場合、ループ21全体は、支持シャフト12の遠位端14に対して遠位に配置されてもよい。細長い要素16の第1端部17及び第2端部19の両方は、支持シャフト12に対して移動可能であり、ループ21を潰れた位置から拡張位置へ移動させることができる。ループ21を遠位に展開する場合、細長い要素16の一方の端部だけを動かすことができるが、他方の端部も動かすことができる。
【0073】
中間位置にある前方に延びるループ21は、水晶体嚢とレンズとの間で、第2端部19を反対側の縁部位置に向かって遠位方向に前進させることによって形成できる。反対側の縁部位置は、レンズの半径の少なくとも90%であってもよく、また、レンズLの中心軸CAに沿って見た場合の、支持シャフト12の長手方向軸Aの、レンズLの外周Cへの投影として規定される、反対側の縁部の60度以内にあってもよい。
【0074】
さらに図15を参照すると、デバイスの細長い要素16は、プリシェイプド部分32とアンシェイプド部分34とを有してもよく、本明細書に記載のプリシェイプド部分32及びアンシェイプド部分34のすべての態様は、ここでも適用可能である。例えば、シェイプド部分32は、全長の40%~75%であり、アンシェイプド部分は、全長の25%~60%であってもよい。さらに、細長い要素16は、アンシェイプド部分34の少なくとも80%が前半部に沿うように形成されてもよい。細長い要素16は、拡張位置において全長を有し、中間点35から第1端部17に向かって延びる前半部と、中間点35から第2端部19に向かって延びる後半部とを有する。シェイプド部分32は、実質的に(プリシェイプされた肘部50を含み得る)後半部に沿って展開されてもよく、これにより、プリシェイプド部分32の少なくとも80%が後半部に沿い、アンシェイプド部分34の少なくとも80%が前半部に沿っていてもよい。前半部は、主としてループ21の近位側の半分を含み、後半部は、主としてループ21の遠位側の半分を含み、これは長手方向軸Aに対して横方向の境界で幾何学的に分割されている。中間位置では、後半部の展開された部分は、全体にわたって成形されることができ、前半部は、中間位置においてアンシェイプド部分34の少なくとも一部を含むことができ、中間位置において少なくとも50%が未成形であってもよい。
【0075】
本明細書に記載の他の実施例と同様に、第1端部17も、ループ21が拡張位置にある場合に支持シャフト12から近位に延びる肘部50を含むことができ、かつ、肘部50のすべての態様及び使用は、ここに明示的に組み込まれる。ループ21が中間位置にある場合、肘部50はまだ展開されていないので、前方に延びる中間ループが妨げられることはない。肘部50が部分的に展開されると、肘部50は、レンズと水晶体嚢との間に慎重に押し込まれる。支持シャフト12を回転させて細長い要素16の肘部50を変位させることによって、肘部50は、水晶体嚢とレンズとの間の空間内に近位方向に撓むことができる。肘部50が回転すると、レンズは、肘部50を撓ませて支持シャフト12に対してより近位に向ける。細長い要素16の第1端部17は、支持シャフト12を回転させながら前進させられてもよい。
【0076】
上述のように、アクチュエータ44は、第1コントローラ44aと第2コントローラ44bとを含むことができる。第1コントローラ44a及び第2コントローラ44bはまた、同時動作のために一緒に動かされ、又は一緒に固定されてもよい。本明細書では、細長い要素16の両端部の動きが考慮されることが理解されるであろう。例えば、両端部17,19を同時に前進させても、中間位置に関連して上述した態様を満足する中間位置が依然として得られる。
【0077】
細長い要素16はまた、デバイス40から、特に第1ルーメン24及び/又は第2ルーメン26から取り外されてもよく、第1ルーメン24及び/又は第2ルーメン26は、灌流及び/又は吸引のために使用されてもよい。このために、第1端部17及び第2端部19の少なくとも一方は、アクチュエータ44から解放可能であり、かつ、他方の端部を操作することによって引き込まれて、自由端をデバイス40内に引き込むことができる。細長い要素16は、細長い要素16がルーメン内に配置されないように、第1ルーメン24及び/又は第2ルーメン26から完全に除去されてもよい。このようにして、第1ルーメン24及び第2ルーメン26は、吸引及び/又は注入について細長い要素16によって塞がれない。細長い要素16は、支持シャフト12を目から取り除くことなく引き込まれてもよい。デバイス40が目から除去され、細長い要素16が取り除かれるとともに、同様のデバイス40が再案内され、又は別のデバイスが案内されてもよい。
【0078】
図16A及び図16Bは、支持シャフト12の遠位端の近くに傾斜部分42を有するデバイス40を示している。傾斜部分42は、傾斜した遠位先端部43を有する。傾斜部分42の傾斜した遠位先端部43は、開口部27の遠位に延び、この開口部27を通って細長い要素16が支持シャフト12から出ている。傾斜部分42は、(近位方向に延びる)近位部分と、(遠位方向に延びる)遠位部分とを有し、傾斜した先端部43で終端する。近位部分は、第1チューブ22の中の第1ルーメン24の近位軸105によって規定された近位方向を有し、遠位部分は、遠位軸110によって規定された遠位方向を有する。第2ルーメン28を有する第2チューブ26は、第1チューブ22の上で延び、第2ルーメン28は、目を灌流するために使用される。近位方向及び遠位方向は、ワーク面WP内にあり、ワーク面WPを規定する。
【0079】
支持シャフト12は、第2チューブ26に平行に延び、第2チューブ26の近位部分の真下に配置されて、並んでいるルーメンと比較して視野の閉塞を低減する。支持シャフト12は、使用時にループ21が近位部分の真下に延びるように、近位部分に隣接してある程度オフセットした位置まで延びる。ループ21は、一般的に、拡張したループ21によって囲まれる面積を最大にする向きでループ面LPを規定する。ループ21が拡張位置にある場合、ループ21は、ワーク面WPがループ面LPから45度未満、又は20度未満の向きになるようにレンズLの周囲に配置される。言い換えれば、傾斜部分42は、ループ21を操作する際に、ループ21及びレンズLから離れる方向に向けられ、鋭利な先端部43が目を損傷する可能性を低減する。
【0080】
図16Cを参照すると、デバイス40は、傾斜部分42を含む支持シャフト12を有してもよい。傾斜部分42は、(近位方向に延びる)近位部分と、(遠位方向に延びる)遠位部分とを有し、傾斜した先端部43で遠位方向に終端する。近位部分は、近位軸105によって規定された近位方向を有し、遠位部分は、遠位軸110によって規定された遠位方向を有する。支持シャフト12はまた、第2ルーメンを有する第2チューブを含んでもよく、第1チューブは、本明細書の他の箇所に記載されているように、第2ルーメンを通って延びてもよい。細長い要素16(及びループ21)は、開口部27を通って前進し、引き込まれる。近位方向及び遠位方向は、ワーク面WP内にあり、ワーク面WPを規定することができる。ループ21は、一般的に、拡張したループ21によって囲まれる面積を最大にする向きでループ面LPを規定する。ループ21が拡張位置にある場合、ループ21は、ワーク面WPがループ面LPから45度未満、又は20度未満の向きになるようにレンズLの周囲に配置される。先に述べた理由により、傾斜した先端部43の遠位端は、ループ21及びレンズLから離れる方向に向けられてもよい。
【0081】
さらに図16A~16Cに関して、デバイス40はまた、ループ21が潰れた位置にある場合、折り畳まれて折り畳まれた部分を形成する可撓性部分36を含むことができ、これにより、折り畳まれた部分は、第2ルーメン28内に適合するように十分に小さくなることができる。デバイス40はまた、(図15に関して上で述べたように)展開の初期にループ21の遠位部分を確立するように進められ、このような方法はすべて、ここに、並びに、細長い要素16のシェイプド部分32とアンシェイプド部分34とに関する分布及び態様を含むこの方法を組み込むことができる他のすべての実施形態に、明示的に組み込まれる。ループ21が拡張した場合、細長い要素16は、中間点35から第1端部17に向かって延びる(第1長さを規定する)前半部と、中間点35から第2端部19に向かって延びる(第2長さを規定する)後半部と、に分割できる全長を有することができる。さらに、図16Aに示すように、中間ループが支持シャフト12の開口部27、及び特に第2チューブ28の遠位に配置された状態で全長の半分が展開された場合、中間ループが形成される。
【0082】
細長い要素16の第1端部17及び第2端部19の両方は、支持シャフト12に対して移動可能であり、ループ21を潰れた位置から拡張位置へ移動させることができる。さらに、第1端部17も、ループ21が拡張位置にある場合に支持シャフト12から近位に延びる肘部50を含むことができ、かつ、肘部50のすべての態様及び使用は、ここに明示的に組み込まれる。例えば、肘部50は、(中間位置などで)部分的に展開され、次いでレンズと水晶体嚢との間に押し込まれてもよい。次に、肘部50は、上記のように完全に展開及び回転されて、肘部50をより近位に向けるように撓ませることができる。細長い要素16は、プリシェイプド部分32とアンシェイプド部分34とを有してもよく、本明細書に記載のプリシェイプド部分32及びアンシェイプド部分34のすべての態様は、ここでも適用可能である。例えば、シェイプド部分32は、全長の40%~75%であり、アンシェイプド部分は、全長の25%~60%であってもよい。さらに、アンシェイプド部分34の少なくとも80%が前半部に沿い、かつ、前に延びる部分とともに、プリシェイプド部分32の少なくとも80%が後半部に沿うように細長い要素が形成されてもよい。
【0083】
上述のように、本明細書に記載されているデバイスは、独立して、又は(図1に示されているように)流体操作デバイス140の一部として、若しくはそれと共に使用されてもよい。細長い要素16は、流体操作デバイス140及び特に第2ルーメン28から除去されてもよく、これにより、ルーメン28は、灌流又は吸引のために使用されてもよい。この目的のために、デバイス40は、単純に第2ルーメン28を通して引き抜かれ、かつ、第2ルーメン28から完全に除去されてもよい。デバイス40は目から除去され、細長い要素16はデバイス40から除去されてもよい。
【0084】
図17~31は、水晶体乳化術ハンドピース1745と併用して又は組み合わせて使用されるように構成された、レンズを切断するためのデバイスの相互に関連する実施例を示している。デバイス1740は、支持シャフト1712と、ループ1721を形成する細長い要素1716とを有することができる。支持シャフト1712は、ルーメン1724を有することができ、細長い要素1716は、ルーメン1724を通って延びることができる。ハンドピース1745は、先端部1743を有するハウジング1746を有することができ、先端部1743は、ハウジング1746から遠位端1714まで延びる。先端部1743は、先端部1743を振動させるためにハウジング1746に取り付けられた振動要素1748に連結されることができる。第1ルーメン1724は、先端部1743を通ってシャフト1712の遠位端1714付近の開口部1727まで延びることができる。先端部1743を振動させてレンズLを破片に分割することができる。以下に詳細に説明されるように、流体及びレンズの破片は、吸引を使用する第1ルーメン1724を使用して除去されてもよい。
【0085】
細長い要素1716は、先端部1743から、例えば第1ルーメン1724から、外向きに移動及び前進してもよい。先端部1743は、遠位端1714まで延びるとともに第1ルーメン1724を有する第1チューブ1722を含むことができる。先端部1743はまた、第1チューブ1722の周囲に配置された第2チューブ1726を含んでもよく、第2チューブ1726は第2ルーメン1728を有する。第2チューブ1726は、ポリマのシースであってもよく、第1チューブ1722は、金属管であってもよい。細長い要素1716は、先端部1743の遠位端を、目から引き抜くことなく、目から取り外すことができる。
【0086】
他の実施形態と同様に、デバイス1740は、細長い要素1716に連結されるように構成されたコントローラ1742と一体化され得る1つ以上のアクチュエータ1744を含むことができる。コントローラ1742は、細長い要素1716を操作することによってループ1721のサイズを変えるように動作可能であってもよい。コントローラ1742と細長い要素1716とは、最初は、細長い要素1716が案内部1760に連結された状態で分離されていてもよい。案内部1760は、案内部1760の遠位端が第1ルーメン1724の遠位端1714付近の開口部1727から、例えば先端部1743の遠位端に延びるまで、第1ルーメン1724を通って遠位に進められてもよい。案内部1760は、誘導フィラメント1762を有してもよい。誘導フィラメント1762は、案内部1760が遠位端1714を通って前進した場合に除去される。細長い要素1716は、カプラ1764によって遠位端1714を越えて延びる案内部1760に連結されてもよい。案内部1760を第1ルーメン1724内に近位に移動させるとともに、細長い要素1716を近位方向に引っ張ることによって、細長い要素1716は、近位方向に第1ルーメン1724内に案内されてもよい。図19に示すように、ガイド1770はまた、比較的小さい案内部1760を水晶体乳化術ハンドピース1745内の縮小した部分に向けるために使用されてもよい。案内部1760が先端部1743まで前進すると、ガイド1770を除去することができる。
【0087】
第1ルーメン1724からの細長い要素1716の除去は、レンズが切断された後にレンズの破片及び流体を除去するための第1ルーメン1724を妨げない機能を提供する。水晶体乳化術先端部1743は、ループ1721が引き抜かれて除去されている間、眼内に留まることができる。水晶体乳化術ハンドピース1745の先端部1743の除去及び再導入を必要とせずに、細長い要素1716は、それ自体で又はコントローラ1744を用いて引き抜かれることができる。
【0088】
水晶体乳化術ハンドピース1745はまた、図16A~16Cの傾斜した先端部43を組み込んでもよい。この目的のために、先端部43、ワーク面WP、及びループ面LPの向きは、すべて本明細書に組み込まれる図16A~16Cに関連する方法の他の態様とともに上述の特徴を含み得る。水晶体乳化術ハンドピース1745の支持シャフト1712は、第1ルーメン1724を有する第1チューブ1722を含む。細長い要素1716の第1端部1717及び第2端部1719は、第2チューブ1726の中の、特に第1チューブ1722と第2チューブ1726との間の空間の中の、第2ルーメン1728を通って延びる。第2チューブ1726はまた、側壁の中に開口部1727を有し、ループ1721が拡張位置にある場合、細長い要素1716の第1端部1717及び第2端部1719は、開口部1727を通って延びる。細長い要素1716をハンドピース1745内に引き込むことによって、細長い要素1716が目から取り外されてもよく、さらに第2ルーメン1728から完全に除去されてもよい。細長い要素1716が第2ルーメン1728の中に配置されている場合であっても、流体が第2ルーメン1728を介して目に供給されてもよく、これにより流体の供給に十分なルーメン領域を提供することができる。
【0089】
傾斜部分は、近位部分と遠位部分とを有することができる。遠位部分は、遠位方向に延びることができ、傾斜部分の遠位先端部1743で終端することができる。傾斜部分の近位部分は、第1ルーメン1724の近位軸によって規定される近位方向を有することができ、遠位部分は、遠位軸によって規定される遠位方向を有することができる。近位方向及び遠位方向は、ワーク面WP内にあり、ワーク面WPを規定することができる。ループ1721は、一般的に、拡張位置にあるループ1721によって囲まれる面積を最大にする向きによって決定されるループ面LPを規定する。ループ21が拡張位置にある場合、ループ21は、ワーク面WPがループ面LPから45度未満、又は20度未満の向きになる状態で配置される。ループ面LPは、レンズLの中央平面に平行である。このようにして、傾斜部分の遠位先端部1743は、ループ1721が拡張位置にある場合、ループ1721から離れる方向に向けられてもよく、レンズの周囲でループ1721を操作する場合、先端部1743を水晶体嚢から離したままにすることができる。言い換えれば、レンズを切断する前にループ1721がレンズの周囲の位置に移動した場合、ループ1721は、傾斜した先端部の遠位端がレンズLから離れる方向に向くように配置されてもよい。最後に、ワーク面WPとループ面LPとの間の関係を規定するのではなく、相対的な方向が90度から180度のオフセット角度であるとして説明されてもよい。オフセット角度は、原点(0度)位置から先端部1743が回転される角度である。原点位置は、0度において、ループ面LPがワーク面WPと実質的に平行であり、かつ、先端部1743がループ1721に向けられ、本質的にループ1721内にある位置である。先端部1743は、好ましくは、オフセット角度が90~180度であり、上述のように先端部1743を水晶体嚢から離れる方向に向けるように、方向付けられることができる。
【0090】
ループ1721はまた、上述と同じ方法で水晶体乳化術デバイスの第2チューブ1726に取り付けられた細長い要素1716の第1端部1717と共に配置されてもよく、そのような態様は、あらゆる目的でここに明示的に組み込まれる。
【0091】
図21~23を参照すると、カプラ1764は、カップリング1766を介して案内部に取り付けられてもよい。次に、案内部1760を使用して、細長い要素1716及び支持シャフト1712を第1チューブ1722の第1ルーメン1724内にバックロードすることができる。カプラ1764は、凹部1767を有するブロック1765を有することができ、凹部1767は、支持シャフト1712の内側表面上のリップ1713を受けることができる。支持シャフト1712は、後述のように、近位端で分かれてブロック1765を解放することができる。図22は、支持シャフト1712の近位端の開口部1723を示している。図23は、ブロック1765を解放するために割れ目に沿って開かれた後の、支持シャフト1712の近位端開口部1723を示している。図21は、点線位置で割れ目に沿って開かれた支持シャフト1712をも示している。支持シャフト1712は、割れ目によって規定された支持シャフト1712の両側に嵌められる解放アーム1768又は一対の解放アーム1768を用いて開かれてもよい。解放アーム1768は、支持シャフト1712に嵌め込まれて、図23に示すようにシャフト1712の両側を割れ目に沿って分離することができる。このようにして、カプラ1764をシャフト1712から解放することができる。解放アーム1768は、解放位置に移動可能であり、解放位置になると、支持シャフト1712がアーム1768と噛み合うように移動する間、解放アーム1768は静止したままであってもよい。次に、カプラ1764がコントローラ1742に固定され、これによりアクチュエータ1744を使用してカプラ1764、及び、したがって、細長い要素1716を移動させることができる。アーム1768、又はアーム1768及びシャフト1712の両方が移動可能であってもよい。カプラ1764は、他の任意の方法でシャフト1712に解放可能に取り付けられてもよい。
【0092】
ここで図24~27を参照すると、細長い要素1716は、細長い要素1716の第1端部1717を固定するために、切断ステップ中に第1チューブ1722に接触する第1端部1717に止め部1729を含むことができる。チューブ内に切断デバイスを固定することにより、外側チューブを有するデバイスの操作が可能になる。例えば、切断デバイスが水晶体乳化術デバイスのチューブ(又はカニューレなどの任意の他のチューブ)を通って延びる場合、切断デバイスをチューブで操作することが望ましい場合がある。したがって、切断デバイスを止め部1729を用いてチューブの中に固定することが有利であり得る。切断デバイスがチューブ内にバックロードされる場合、止め部1729は、チューブの中の切断デバイスの位置を積極的に決定することができる。この目的のために、止め部1729は、第1チューブ1722の内壁と適度な締まりばめができるように寸法決めされてもよい。切断デバイスが第1チューブを通って除去されるように設計されている場合、切断デバイスが第1チューブを通して引き抜かれて除去され得るように、止め部1729が第1チューブから「固定解除(unlocked)」されてもよい。ストップ1729の構成は多様である。例えば、止め部1729は、図示のように支持シャフト1712の一部を形成してもよい。あるいは、止め部1729が細長い要素1716に関連付けられて取り付けられている限り、細長い要素1716自体が止め部1729に沿ってより大きくてもよい。細長い要素1716は、第1ルーメン1724内に引き込まれてもよく、好ましくは、レンズを切断した後で目から先端部1743を除去することなく、第1ルーメン1724から完全に除去されてもよい。止め部1729のサイズが縮小されてもよい。例えば、停止部1729は、引き込まれた際に支持シャフト1712と第1チューブ1722(又は先端部)との間の接触を減少させるように減少する、幅などの寸法を有することができる。言い換えれば、支持シャフト1712は、支持シャフト12の長手方向軸Aに対して横方向に測定した場合に拡大した拡大部分1753を有することができる。拡大部分1753は、支持シャフト1712の隣接部分より大きくてもよい。細長い要素1716の第1端部1717は、停止部1729を形成する支持シャフト1712の拡大部分1753で支持シャフト1712に取り付けられてもよい。支持シャフト1712の拡大部分1753は、細長い要素1716が支持シャフト1712のルーメン1724内に引き込まれてチューブから切断デバイスを「固定解除」する場合に、半径方向に縮小したサイズ(図25参照)に移動することができる。細長い要素1716は、拡大部分1753を半径方向内向きに、かつルーメン1724の壁から離れるように、変位することができる。停止部1729は、細長い要素と支持シャフト1712とによって形成されてもよい。しかしながら、それはまた、細長い要素1716(の延長部)の一部であると定義されてもよい。例えば、支持シャフト1712の端部に接着されるエラストマカラーが細長い要素に取り付けられてもよい。停止部1729は、細長い要素1716又は支持シャフト1712の一部として規定されてもよいことが理解されるであろう。
【0093】
図28~31に最もよく示されているように、コントローラ1742は、ハンドピース1745の近位端から延びることができる流体ライン1749にコントローラ1742を取り付けるように構成されたクリップ1747を含むことができる。コントローラ1742及びその1つ又は複数のアクチュエータ1744は、人間工学的位置にあり、ユーザが見なくてもアクチュエータ1744を容易に見つけて操作することを可能にし、フリーハンドでコントローラ1742を操作することができる。支持シャフト1712がルーメン1724を通って延びてコントローラ1742に取り付けられることができるように、流体Y字形アーム1772が提供されてもよい。Y字形アーム1772は、吸引ルーメン1724などのハンドピース1745の中のルーメンに取り付けられることができる主ルーメンを含むことができる。Y字形アーム1772は、第1脚部1773と第2脚部1774とに分岐することができ、コントローラ1742は、一方の脚部(図31の1774)に取り付けられ、吸引源又は真空源1742が他方の脚部1773に連結される。
【0094】
コントローラ1742の1つ又は複数のアクチュエータ1744は、細長い要素1716に連結され、潰れた位置と拡張位置との間で細長い要素1716を移動させることができる。ハンドピース1745は、ハウジング1746を含むことができ、コントローラ1742は、1つ又は複数のクリップ1747を使用してハウジング1746から近位に延びるチューブ又は流体ライン1749に取り付けられてもよい。コントローラ1742は、ユーザがフリーハンドで操作するためにハンドピース1745に近い便利な位置に配置されてもよい。
【0095】
方法及びデバイスの態様は、各供給構造に明らかに適用可能であるから、すべてのループの態様を含めて組み合わされてもよく、したがって、すべてのループの態様は、例えば水晶体乳化術デバイスを用いて実施されてもよく、そのような組合せは本明細書に明示的に含まれることが理解される。例えば、本明細書に記載の第1チューブ又は第2チューブのいずれも、関連する細長い要素に組み合わされて、水晶体乳化術デバイス用の使い捨て製品を形成することができる(典型的には「シース(sheath)」と呼ばれる)。灌流液源が製品の一部を形成してもよく、そのようなすべての組合せも本明細書で企図されている。同様に、コントローラ及びY字形アームは、本明細書に記載のレンズを切断するためのデバイスのうちのいずれかを含む使い捨て製品の一部を形成してもよい。
【0096】
デバイスは、水晶体嚢内でレンズ全体を切断するのに有用であるものとして記載されているが、記載されたデバイス及び方法の様々な態様から逸脱することなく、他の目的に使用されてもよい。細長い要素は、細長い要素が拡張形状に向かって自然に拡張するために、水晶体嚢とレンズの前面との間に配置されて延びることができる。レンズを切断する際、ループは、後面及び前面の周囲に延びて、レンズのフルカットを形成してもよい。レンズを切断して破片にする前に、水晶体嚢からレンズを切り離すために、細長い要素は、レンズの後面と水晶体嚢との間で移動してもよい。本明細書に記載のデバイスは、レンズがまだ完全である間に嚢とレンズとの間を傷つけないように前進させるのに特に有用である。
【0097】
「第1」及び「第2」という用語は、本明細書では互換的に使用されてもよい。例えば、細長い要素の第1端部が支持シャフトに取り付けられるように示され、第2端部が支持シャフトに対して移動可能であってもよい。支持シャフトは、細長い要素との関係が同様である限り、第1チューブ、又は第2チューブ、又は傾斜した先端部などの支持シャフトのより具体的な態様のために交換可能に使用されてもよい。本明細書に記載のデバイスの任意の他の態様(任意の支持シャフト)とともに任意の細長い要素を使用することができ、そのようなすべての組み合わせが明示的に組み込まれる。例えば、細長い要素若しくはループ、又はそれらの態様のうちのいずれかが、水晶体乳化術ハンドピース又は灌流及び吸引の実施形態とともに使用されてもよい。
【0098】
本デバイス及び方法は、好ましい実施形態に関連して説明されてもよく、かつ、好ましい実施形態に対して多数の修正がなされ得ることが理解される。例えば、細長い要素は、記載された多数の態様から逸脱することなく、追加のフィラメント又はクロスフィラメントを有してもよい。
【0099】
様々な実施例において、図面を参照して説明が行われる。しかしながら、特定の実施例は、これらの特定の詳細のうちの1つ若しくは複数がなくても、又は他の既知の方法及び構成と組み合わせて、実行されてもよい。説明では、実施例の徹底的な理解を提供するために、特定の構成、寸法、及びプロセスなど、多数の特定の詳細が説明されている。他の例では、説明を不必要に曖昧にしないために、周知のプロセス及び製造技術は、特に詳細に説明されていない。本明細書を通して、「一実施形態(one embodiment)」、「ある実施形態(an embodiment)」、「一実施例(one implementation)」、「ある実施例(an implementation)」と言及した場合は、説明された特定の特徴、構造、構成、又は特性が、少なくとも1つの実施形態又は実施例に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通じて様々な箇所で使用されている「一実施形態」、「ある実施形態」、「一実施例」、「ある実施例」などの表現は、必ずしも同一の実施形態又は実施例を指すものではない。さらに、特定の特徴、構造、構成、又は特性は、1つ以上の実施例において任意の適切な方法で組み合わされてもよい。
【0100】
説明全体を通しての相対的な用語の使用は、相対的な位置又は方向を示すことがある。例えば、「遠位」は、基準点から離れる第1方向を示してもよい。同様に、「近位」は、第1方向とは反対の第2方向における位置を示してもよい。しかしながら、そのような用語は、相対的な基準系を確立するために提供されるものであり、固定的な供給システムの使用又は方向を様々な実施例で説明されている特定の構成に限定することを意図するものではない。
【0101】
本明細書は、多くの詳細を含むが、これらは、請求されているもの又は請求され得るものの範囲に対する限定として解釈されるべきではなく、むしろ特定の実施形態に特有の特徴の説明として解釈されるべきである。本明細書において別々の実施形態の文脈で説明されている特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて実施されることもできる。逆に、単一の実施形態の文脈で説明されている様々な特徴はまた、別々に又は任意の適切なサブコンビネーションで、複数の実施形態において実施されてもよい。さらに、特徴は、特定の組合せで作用するものとして上に記載され、最初にそのように請求されることはあるが、請求された組合せからの1つ又は複数の特徴は、場合によっては、組合せから削除されてもよい。請求された組合せは、サブコンビネーション又はサブコンビネーションの変形であってもよい。同様に、動作は特定の順序で図面に描かれているが、望ましい結果を達成するために、そのような動作が示された特定の順序又は順番に実行されること、又は示されたすべての動作が実行されることを必要とすると理解されるべきではない。いくつかの例及び実施例が開示されているに過ぎない。記載された例、実施例及び他の実施例に対する変形、修正及び改良は、開示されたことに基づいてなされてもよい。
【0102】
上記の説明及び請求項においては、「少なくとも1つ」又は「1つ又は複数」などの表現があり、その後に連言的な要素又は特徴の列挙が続く場合がある。用語「及び/又は」は、2つ以上の要素又は特徴の列挙の中に出現し得る。それが使用される文脈によって他に暗示的又は明示的に矛盾しない限り、そのような表現は、列挙された要素若しくは特徴のいずれかを個別に、又は列挙された要素列挙特徴のいずれかを他の列挙された要素列挙特徴のいずれかと組み合わせて意味することを意図する。例えば、「A及びBのうちの少なくとも1つ」、「A及びBのうちの1つ又は複数」、並びに「A及び/又はB」という表現はそれぞれ、「A単独、B単独、又はA及びBを一緒に」を意味することが意図されている。例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、及びCのうちの1つ又は複数」、並びに「A、B、及び/又はC」という表現はそれぞれ、「A単独、B単独、C単独、A及びBを一緒に、A及びCを一緒に、B及びCを一緒に、又はA及びB及びCを一緒に」を意味することを意図している。
【0103】
上記及び請求項における「に基づく」という用語の使用は、記載されていない特徴又は要素も許容されるように、「少なくとも部分的に基づく」ことを意味することが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31