(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】投影システム及び投影方法
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20220616BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20220616BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20220616BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20220616BHJP
G02B 5/08 20060101ALI20220616BHJP
G02B 26/02 20060101ALI20220616BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
G03B21/14 D
G09G3/20 680C
G09G3/34 D
G09G3/20 641P
G09G3/20 650M
G09G3/34 J
G09G3/20 612U
G09G3/20 641E
G09G3/20 642E
G03B21/00 F
G02B5/08 Z
G02B26/02 E
H04N5/74 D
(21)【出願番号】P 2019556586
(86)(22)【出願日】2017-07-28
(86)【国際出願番号】 CN2017094794
(87)【国際公開番号】W WO2018192130
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2019-11-19
(31)【優先権主張番号】201710249602.4
(32)【優先日】2017-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514090979
【氏名又は名称】深▲せん▼光峰科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】APPOTRONICS CORPORATION LIMITED
【住所又は居所原語表記】20F-22F, High-Tech Zone Union Tower, No.63,Xuefu Road, Yuehai Street, Nanshan District, Shenzhen,Guangdong 518000, China
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】胡 飛
(72)【発明者】
【氏名】郭 祖強
(72)【発明者】
【氏名】杜 鵬
(72)【発明者】
【氏名】李 屹
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-031846(JP,A)
【文献】特開2015-018071(JP,A)
【文献】特開2008-145508(JP,A)
【文献】特開平05-066501(JP,A)
【文献】特開2016-178487(JP,A)
【文献】特開2009-157163(JP,A)
【文献】特開2002-156951(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101600120(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/14
G09G 3/20
G09G 3/34
G03B 21/00
G02B 5/08
G02B 26/02
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影システムであって、
前記投影システムは、信号処理装置と、光源と、光中継システムと、調節部品と、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)とを備え、
前記信号処理装置は、画像データを受信し、前記画像データは、複数の階調値を含み、それぞれの階調値は、1つの画素に対応し、前記信号処理装置は、さらに前記画像データの複数の画素の階調値を高め、
前記光源は、照明光を発し、
前記光中継システムは、前記DMDが前記照明光を変調して画像の投影に必要な投影光を生成するように、前記照明光を前記DMDに供給し、
前記調節部品は、前記画像データの複数の画素の階調値が高められたときに、前記DMDに供給される照明光の光束を小さくし、前記照明光の光束が小さくされた割合は、前記画像データの階調値が高められた割合に適応し、
前記DMDは、前記調節部品よりも下流の光路に設置され、階調値が高められた前記画像データに基づき、調節された前記照明光を変調して、画像の投影に必要な投影光を生成し、
前記投影光の輝度は、前記階調値が高められる前の画像データにマッチングし、
前記調節部品は、前記光中継システムから供給されて前記DMDへ照射される照明光の発散角を減少し、前記光中継システムから供給されて前記DMDへ照射される照明光のF値を高め、前記光中継システムから供給されて前記DMDへ照射される照明光の光束を減少
し、
前記信号処理装置は、前記画像データを受信し、前記画像データは、サブフレーム画像データを含み、
前記信号処理装置は、前記サブフレーム画像データにおける各画素の最高階調値がプリセット値よりも小さいか否かを判断し、
前記信号処理装置は、前記サブフレーム画像データにおける各画素の最高階調値が前記プリセット値よりも小さいときに、前記サブフレーム画像データの各画素の階調値を高めるように制御し、
前記調節部品は、前記サブフレーム画像データにおける各画素の最高階調値が前記プリセット値よりも小さいときに、前記照明光の光束が標準光束Loよりも小さくなるように調整し、
前記信号処理装置は、前記サブフレーム画像データにおける各画素の最高階調値が前記プリセット値以上であるときに、前記サブフレーム画像データの各画素の階調値を変化させず、前記サブフレーム画像データを前記DMDに供給し、
前記光源は、前記標準光束Loの照明光を発し、前記DMDは、前記階調値が変化しないサブフレーム画像データに基づき、前記標準光束Loの照明光を変調して画像の投影に必要な投影光を生成し、
前記投影システムの達することが可能な階調極大値をG
Max
、前記プリセット値をG
R
としたときに、前記プリセット値G
R
は、前記階調極大値G
Max
以下であり、
前記プリセット値は、前記階調極大値G
Max
の90%であることを特徴とする投影システム。
【請求項2】
前記信号処理装置は、さらに、前記サブフレーム画像データにおける各画素の最高階調値が前記プリセット値よりも小さいときに、調整係数kを算出し、前記調整係数kは、G
Max/G
Lと等しく、G
Lは、前記サブフレーム画像データにおける各画素の最高階調値を示し、前記信号処理装置は、前記調整係数kに基づき、前記画像データの各画素の階調値をいずれも前記画像データの各画素の階調値のk倍に調整し、前記光源の発した照明光の光束は、標準光束Loの1/kに調整されることを特徴とする請求項
1に記載の投影システム。
【請求項3】
前記調節部品は、前記光源の発した照明光の光束を調整することを特徴とする請求項1に記載の投影システム。
【請求項4】
前記調節部品は、可変絞りを備え、前記可変絞りは、前記光中継システムの開口絞りに設けられ、前記可変絞りは、前記可変絞りに入射された照明光のビームの周辺部分を遮断することにより、前記可変絞りに入射された照明光に対する前記可変絞りから出射される照明光の発散角を小さくし、F値を高め、光束を減少することを特徴とする請求項1に記載の投影システム。
【請求項5】
前記光中継システムは、前記照明光を光均一化するための光均一化部品を備え、
前記調節部品は、液晶レンズを備え、前記液晶レンズは、前記光均一化部品の前の光路に位置し、前記液晶レンズから出射された光は、光均一化部品の入射面に照射し、
前記液晶レンズは、前記照明光の発散角を小さくすることで、前記照明光が前記光均一化部品の入射面位置に投射されたときの横断面の面積を前記入射面の面積よりも大きくさせ、前記光均一化部品に入る照明光の発散角を減少し、F値を高め、光束を減少することを特徴とする請求項1に記載の投影システム。
【請求項6】
画像データを受信するステップであって、前記画像データが複数の階調値を含み、それぞれの階調値が1つの画素に対応するステップと、
前記画像データの複数の画素の階調値を高めるステップと、
照明光を供給し、調節部品を介して、前記調節部品よりも下流の光路に設置されたDMDへ照射される前記照明光の発散角を減少し、前記DMDへ照射される前記照明光のF値を高め、又は前記DMDへ照射される前記照明光の光束を減少することで前記照明光の光束を小さくするステップであって、前記照明光の光束が小さくされた割合が、前記画像データの階調値が高められた割合に適応するステップと、
前記階調値が高められた画像データに基づき、前記小さくされた光束の照明光を変調して画像の投影に必要な投影光を生成するステップと、
前記投影光に基づいて投影画像を生成するステップであって、前記投影光の輝度が、前記階調値が高められる前の画像データにマッチングするステップと、を含
み、
前記画像データにおける各画素の最高階調値がプリセット値よりも小さいときに、前記画像データの各画素の階調値を高め、
前記画像データは、サブフレーム画像データを含み、前記サブフレーム画像データにおける各画素の最高階調値が前記プリセット値以上であるときに、前記サブフレーム画像データの各画素の階調値を変化させず、前記照明光の光束が標準光束Loとなるように制御し、前記階調値が変化しない画像データに基づき、前記標準光束Loの照明光を変調して画像の投影に必要な投影光を生成し、
前記投影方法が用いられた投影システムの達することが可能な階調極大値をG
Max
、前記プリセット値をG
R
としたときに、前記プリセット値G
R
は、前記階調極大値G
Max
以下であり、
前記プリセット値は、前記階調極大値G
Max
の90%であることを特徴とする投影方法。
【請求項7】
前記サブフレーム画像データにおける各画素の最高階調値が前記プリセット値よりも小さいときに、調整係数kを算出し、前記調整係数kは、G
Max/G
Lと等しく、G
Lは、前記サブフレーム画像データにおける各画素の最高階調値を示し、
前記調整係数kに基づき、前記画像データにおける各画素の階調値をいずれも前記画像データの各画素の階調値のk倍に調整し、即ち、前記画像データのいずれか1つの画素の階調値をGiとしたときに、前記画像データの画素の階調値Giに対応する、高められた階調値は、k*Giとなり、
前記照明光の光束は、前記標準光束Loの1/kに調整され、即ち、Lo/kとなることを特徴とする請求項
6に記載の投影方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影システム及び投影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の投影システムは、一般に光源装置、空間光変調器(例えば、LCOS空間光変調器又はDMD空間光変調器)及び投影レンズを備え、前記光源装置は、例えば赤緑青の3色の光を出射し、前記空間光変調器は、画像データに基づき、前記光源装置の発した光を画像変調し、前記投影レンズは、前記空間光変調器から出力された画像光を投影して投影画像を表示する。しかし、従来の投影システムは、コントラストが低い場合があり、改善される必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術における投影システムのコントラストが低い問題を解決するために、本発明は、コントラストの高い投影システム及び投影方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
投影システムであって、
信号処理装置と、光源と、光中継システムと、調節部品と、DMDとを備え、
前記信号処理装置は、画像データを受信し、前記画像データは、複数の階調値を含み、それぞれの階調値は、1つの画素に対応し、前記信号処理装置は、さらに前記画像データの複数の画素の階調値を高め、
前記光源は、照明光を発し、
前記光中継システムは、前記DMDが前記照明光を変調して画像の投影に必要な投影光を生成するように、前記照明光を前記DMDに供給し、
前記調節部品は、前記画像データの複数の画素の階調値が高められたときに、前記DMDに供給される照明光の光束を小さくし、前記照明光の光束が小さくされた割合は、前記画像データの階調値が高められた割合に適応し、
前記DMDは、前記階調値の高められた画像データに基づき、調節された前記照明光を変調して、画像の投影に必要な投影光を生成し、
前記投影光の輝度は、前記階調値が高められる前の画像データにマッチングする。
【0005】
1つの実施形態では、前記信号処理装置は、前記画像データを受信し、前記画像データは、サブフレーム画像データを含み、前記信号処理装置は、前記サブフレーム画像データにおける各画素の最高階調値がプリセット値よりも小さいか否かを判断し、前記信号処理装置は、前記サブフレーム画像データにおける各画素の最高階調値が前記プリセット値よりも小さいときに、前記サブフレーム画像データにおける各画素の階調値を高めるように制御し、前記発光装置は、前記サブフレーム画像データにおける各画素の最高階調値が前記プリセット値よりも小さいときに、前記照明光の光束が標準光束Loよりも小さくなるように調整し、前記信号処理装置は、前記サブフレーム画像データにおける各画素の最高階調値が前記プリセット値以上であるときに、前記サブフレーム画像データにおける各画素の階調値を変化させず、前記サブフレーム画像データを前記DMDに供給し、前記発光装置は、前記標準光束Loの照明光を発し、前記DMDは、前記階調値が変化しないサブフレーム画像データに基づき、前記標準光束Loの照明光を変調して画像の投影に必要な投影光を生成する。
【0006】
1つの実施形態では、前記投影システムの達することが可能な階調極大値をGMax、前記プリセット値をGRとしたときに、前記プリセット値GRは、前記階調極大値GMax以下である。
【0007】
1つの実施形態では、前記プリセット値は、前記階調極大値GMaxの90%である。
【0008】
1つの実施形態では、前記信号処理装置は、さらに、前記サブフレーム画像データにおける各画素の最高階調値が前記プリセット値よりも小さいときに、調整係数kを算出し、前記調整係数kは、GMax/GLと等しく、GLは、前記サブフレーム画像データにおける各画素の最高階調値を示し、前記信号処理装置は、前記調整係数kに基づき、前記画像データにおける各画素の階調値をいずれも前記画像データにおける各画素の階調値のk倍に調整し、前記発光装置の発した照明光の光束は、標準光束Loの1/kに調整される。
【0009】
1つの実施形態では、前記調節部品は、さらに前記光源の発した照明光の光束を調整する。
【0010】
1つの実施形態では、前記調節部品は、前記光中継システムから供給された照明光の発散角を減少し、前記光中継システムから供給された照明光のF値を高め、前記光中継システムから供給された照明光の光束を減少する。
【0011】
1つの実施形態では、前記調節部品は、可変絞りを備え、前記可変絞りは、前記光中継システムの開口絞りに設けられ、前記可変絞りは、前記可変絞りに入射された照明光のビームの周辺部分を遮断することにより、入射された照明光に対する前記可変絞りから出射される照明光の発散角を小さくし、F値を高め、光束を減少する。
【0012】
1つの実施形態では、前記光中継システムは、前記照明光を光均一化するための光均一化部品を備え、前記調節部品は、液晶レンズを備え、前記液晶レンズは、前記光均一化部品の前の光路に位置し、前記液晶レンズから出射された光は、光均一化部品の入射面に照射し、前記液晶レンズは、前記照明光の発散角を小さくすることで、前記照明ビームが前記光均一化部品の入射面位置に投射されたときの断面積を前記入射面の面積よりも大きくさせ、前記光均一化部品に入る照明光の発散角を減少し、F値を高め、光束を減少する。
【0013】
投影方法であって、
画像データを受信するステップであって、前記画像データが複数の階調値を含み、それぞれの階調値が1つの画素に対応するステップと、
前記画像データの複数の画素の階調値を高めるステップと、
照明光を供給し、前記照明光の光束を小さくするステップであって、前記照明光の光束が小さくされた割合が、前記画像データの階調値が高められた割合に適応するステップと、
前記階調値が高められた画像データに基づき、前記小さくされた光束の照明光を変調して画像の投影に必要な投影光を生成するステップと、
前記投影光に基づいて投影画像を生成するステップであって、前記投影光の輝度が、前記階調値が高められる前の画像データにマッチングするステップと、を含む。
【0014】
1つの実施形態では、前記投影方法では、前記画像データにおける各画素の最高階調値がプリセット値よりも小さいときに、前記画像データにおける各画素の階調値を高め、前記サブフレーム画像データにおける各画素の最高階調値が前記プリセット値以上であるときに、前記サブフレーム画像データにおける各画素の階調値を変化させず、前記照明光の光束が標準光束Loとなるように制御し、前記階調値が変化しない画像データに基づき、前記標準光束Loの照明光を変調して画像の投影に必要な投影光を生成する。
【0015】
1つの実施形態では、前記投影方法では、前記投影方法が用いられた投影システムの達することが可能な階調極大値をGMax、前記プリセット値をGRとしたときに、前記プリセット値GRは、前記階調極大値GMax以下である。
【0016】
1つの実施形態では、前記投影方法では、前記プリセット値は、前記階調極大値GMaxの90%である。
【0017】
1つの実施形態では、前記投影方法では、前記サブフレーム画像データにおける各画素の最高階調値が前記プリセット値よりも小さいときに、調整係数kを算出し、前記調整係数kは、GMax/GLと等しく、GLは、前記サブフレーム画像データにおける各画素の最高階調値を示す。
【0018】
1つの実施形態では、前記投影方法では、前記調整係数kに基づき、前記画像データにおける各画素の階調値をいずれも前記画像データにおける各画素の階調値のk倍に調整し、即ち、前記画像データのいずれか1つの画素の階調値をGiとしたときに、前記画像データにおける画素の階調値Giに対応する、高められた階調値は、k*Giとなり、前記照明光の光束は、前記標準光束Loの1/kに調整され、即ち、Lo/kとなる。
【発明の効果】
【0019】
従来技術に比べ、前記投影システム及び投影方法では、前記画像データにおける複数の画素の階調値を高め、前記照明光の光束を低下させ、上記高められた階調値の画像データに基づき光束の低下した前記照明光を変調して投影光を生成し、前記照明光の光束が小さくされた割合は、前記画像データの階調値が高められた割合に適応し、前記画像データにおける複数の画素の元の階調値を正確に復元できるだけではなく、前記階調値が高められたことによって、前記DMDのそれぞれの反射鏡の「ON」時間が増加し、「OFF」時間が減少するため、「OFF」時間で生じる迷光を減少し、投影システムのコントラストへの迷光の影響を減少して、前記投影システム及び投影方法のコントラストを向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図3】DMDの反射鏡ユニットが「OFF」状態にあるときに生じる迷光の光路模式図
【
図4】発散角が異なる照明光が同一のDMDに照射して生じる迷光の比較図
【
図6】本発明の第1実施形態の投影システムの構成模式図
【
図7】
図6の投影システムの投影シーケンスの模式図
【
図8】本発明の第2実施形態の投影システムの構成模式図
【
図9】
図8に示す調節部品の照明光に対する調節の模式図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の具体的な実施形態は、上記図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【0022】
まず、説明しなければならないことは、投影システムのコントラストとは、通常、ある1つの固定投影画面では、全白フィールド中心照度値と全黒フィールド中心照度値との比を指す。通常、全黒フィールドの時、電源を直接オフしてコントラストを仮想的に向上させることができるため、ANSIコントラストの定義もあり、そのテスト方法は、1つの画面において、4*4の全黒全白の相互に配列された領域(
図1に示すように)を示し、この画面で測定してANSIコントラストCRを取得し、具体的に、前記ANSIコントラストCRは、以下の式に合致する。
【0023】
【数1】
但し、Ebrightは、白色領域の中心照度を表し、Eblackは黒色領域の中心照度を表し、Elaは、白色領域の画面投影がされていないときの環境光の中心照度を表し、Ebaは、黒色領域の画面投影されていないときの環境光の中心照度を表し、iは、黒色領域と白色領域の番号(上記測定画面は、計8つの黒色領域及び8つの白色領域を含むため、i=1乃至8)を表す。
【0024】
一般的に、人々が日常生活でよく見かけ、且つ比較的に適応する輝度感知範囲は約0.01~1000nitであり、コントラストは100000:1程度であり、正常な空間光変調器が変調可能な範囲は、人の目の感知範囲よりも遥かに低い。人々の投影表示画像に対する要求は、自然環境への人の目の感知にできる限り近づくことが望まれており、HDR技術が提案され、投影表示システムのダイナミックレンジを向上させる。
【0025】
コントラストを向上させることが可能な方法は、一般的に3つがある。(1)1フレームの画像における最高輝度画素の輝度を保証し、他の画素の全体輝度を低下させる。(2)1フレームの画像における最低輝度画素の輝度を保証し、他の画素の全体輝度を向上させる。(3)1フレームの画像における、最高輝度と最低輝度との間に介在するある1つの画素の輝度を保証し、輝度の高い画素の全体輝度を向上させるとともに、輝度の低い画素の全体輝度を低下させる。1フレームの画像の最高輝度は、光源輝度及び光学システムの伝達効率によって制限されるため、暗い画素の光輝度を低下させてコントラストを向上させる方法はより迅速で柔軟である。
【0026】
DMD(Digital Micro―mirror Device、デジタル・マイクロミラー・デバイス)は、現在よく用いられる空間光変調器であり、それは、米国TI(Texas Instruments)社が開発した画像チップであり、投影表示業界に広く用いられている。
図2に示すように、
図2はDMDの構成模式図であり、前記DMDは、基板101及び前記基板101に設けられる複数のアレイに配列される反射鏡ユニット102を備えて構成され、前記基板101(例えば、シリコン基板)内部に、駆動回路が設けられてもよく、前記反射鏡ユニット102が速く回動するように制御し、それぞれの反射鏡ユニット102は、光スイッチであり、その反転時間は、マイクロ秒スケールであり、それぞれの反射鏡ユニット102は、「ON」状態(即ち、オン状態)と「OFF」状態(即ち、オフ状態)を含むことができ、人の目は、実際にその「ON」状態に対して生じる輝度の積分であり、「ON」状態の時間が長いほど(或いは、「OFF」状態の時間が短いほど)、輝度が高くなる。それぞれの反射鏡ユニット102の「ON」状態又は「OFF」状態の時間は、その対応する画素の階調値によって制御され、階調が高いほど、前記「ON」状態の時間が長くなり、前記「OFF」状態が短くなる。例えば、1つの画素の赤色階調値が127であり、対応する反射鏡ユニット102の「OFF」状態時間の占める割合が1/2であり、階調値が191まで増加したとき、対応する反射鏡ユニット102の「OFF」状態時間の占める割合が1/4である。
【0027】
具体的に、前記DMDが動作するとき、照明光は、一定の角度でDMDの表面に入射し、DMDの反射鏡ユニット102が「ON」状態にあるとき、DMDの反射鏡ユニット102に反射された光がレンズに入り、最終的にスクリーンに投影され、DMDの反射鏡ユニット102が「OFF」状態にあるとき、DMDの反射鏡ユニット102が反転し、反射されるビームがレンズに入ることが回避される。
【0028】
しかし、研究を経て、DMDの反射鏡ユニット102が「OFF」状態にあるとき、反射鏡ユニット102間の隙間が大きくなり、照明光がその底部基板101に入射して、その中で繰り返して反射されて、迷光が生じてレンズに入り、最終的に、前記DMDが用いられた投影システムのコントラストが低下すると見出した。具体的に、
図3を参照すると、
図3はDMDの反射鏡ユニット102が「OFF」状態にあるときに生じる迷光の光路の模式図である。
図3に示すように、照明光は、隣り合う2つの反射鏡ユニット102の間の隙間から前記基板101に入射し、前記基板101と前記反射鏡ユニット102の背部との間に繰り返して反射されて迷光を生成し、前記迷光が前記反射鏡ユニット102の辺縁から漏れ出る恐れがあり、前記DMDが用いられた投影システムのコントラストを低下させる。
【0029】
さらに、
図4を参照すると、
図4は、発散角の異なる照明光が同一のDMDに照射して生じる迷光の比較図である。その中で、左側は、発散角の大きい(F値が小さい)照明光がDMD照射して生じる迷光の模式図であり、右側は、発散角の小さい(F値が大きい)照明光がDMDに照射して生じる迷光の模式図である。当業者が理解できるように、光の発散角はビームがビームウエストから外へ発散する速度を計測するためのものであり、具体的に、ビームの発散角はビーム半径の遠視軸方向位置に対する導関数であり、すなわち、ビームウエストとの距離はレイリー長よりも遥かに大きく、
図5を参照すると、
図5は発散角の定義の模式図であり、ここで、発散角θ=tan(x/2L)であり、F値、即ちF#=1/2 Sinθであり、ここで、xは光スポットの直径を表し、Lは測定光源から前記光スポットまでの距離を表す。
【0030】
図4に示すように、DMDの反射鏡ユニット102が「OFF」状態にあるとき、反射鏡ユニット間の隙間が大きくなり、照明光がその底部基板101に入射して、その中で繰り返して反射されて迷光を生成し、ここで、隣り合う反射鏡ユニット102間の迷光が照射する領域は迷光領域であり、照明光の発散角が大きいほど(F値が小さいほど)、迷光が多くなり、投影システムのコントラストへの影響が大きくなり、即ち、対応する投影システムのコントラストがより多く低下し、
図4に示すように、「OFF」状態で、左側の発散角の大きい照明光が生じる迷光は、明らかに右側の発散角の小さい照明光が生じる迷光よりも多いため、左側の発散角の大きい照明光が対応する投影システムのコントラストは、右側の発散角の小さい照明光が対応する投影システムのコントラストよりも小さい。
【0031】
従って、コントラストを高めるために、DMDの反射鏡ユニット102が「OFF」状態にあるとき、照明光の発散角をできる限り小さく制御し、即ち、前記照明光の光束を低く制御し、即ち、光がレンズに入ってスクリーンに投影されることがなく、つまり、DMDの反射鏡ユニット102の「OFF」状態での迷光を除去し、あるいは、その「OFF」状態の時間の割合(即ち、画像信号値又は階調値を高める)を低下させることは、投影システムのコントラストの向上に有利である。
【0032】
上記分析に基づき、本発明は、高ダイナミックのコントラストの投影システム100を提供し、
図6を参照すると、
図6は、本発明に提供される第1実施形態に係る画像コントラストを向上可能な投影システム100の構成の模式図である。前記投影システム100は、発光装置110、DMD、信号源120、及び信号処理装置130を備える。前記発光装置110は照明光を発し、前記照明光を前記DMDに供給する。前記信号源120は、表示される画像データを前記信号処理装置130に供給し、前記画像データは、複数の階調値を含み、それぞれの階調値は1つの画素に対応する。前記信号処理装置130は、前記画像データの複数の画素の階調値を高め、階調値が高められた画像データを前記DMDに供給する。前記発光装置110の発した照明光の標準光束はLoであり、前記発光装置110は、さらに前記画像データの複数の画素の階調値が高められたとき、前記照明光の光束を小さくし、前記標準光束Loよりも小さく調節されると、前記照明光の光束が小さくされた割合は、前記画像データの階調値が高められた割合に適応し、前記発光装置110は、調整された照明光を前記DMDに供給する。前記DMDは、前記階調値が高められた画像データに基づき、前記調整された照明光を変調し、画像の投影に必要な投影光を生成し、ここで、前記投影光の輝度は、前記階調値が高められる前の画像データにマッチングする。
【0033】
従来技術に比べ、前記投影システム100では、前記信号処理装置130は、前記画像データの複数の画素の階調値を高め、前記発光装置110は、前記照明光の光束を低下させることができ、前記DMDは、前記階調値の高められた画像データに基づき、前記光束が低下した照明光を変調して投影光を生成し、前記画像データの複数の画素の元の階調値を正確に復元できるだけではなく、前記階調値の向上によって前記DMDのそれぞれの反射鏡の「ON」時間を増加し、「OFF」時間を減少すること、「OFF」時間で生じる迷光を減少し、迷光の投影システムコントラストへの影響を減少し、前記投影システム100のコントラストを向上させる。
【0034】
理解できるように、前記発光装置110が対応てきに前記照明光の光束を小さくすることとは、前記発光装置110が光束を調整しないときに発する標準光束Loを基準とし、前記照明光の光束を前記標準光束Loよりも小さく調整する。前記画像データの各画素の階調値が階調極大値にほぼ達し、さらに高めることが難しいとき、前記信号処理装置130が前記画像データに対して向上処理を行う必要がなく、前記画像データの各画素の階調値が変化しないように維持し、かつ、前記階調値が変化しない画像データ(即ち、元の画像データ)を前記DMDに直接供給し、それと同時に、前記発光装置110は、前記標準光束Loの照明光を前記DMDに出射し、前記DMDは、前記元の画像データに基づき前記標準光束Loの照明光を変調して投影光を生成する。
【0035】
具体的に、前記画像データは、サブフレーム画像データであってもよく、ここで、前記サブフレーム画像データは、赤色サブフレーム画像データ、緑色サブフレーム画像データ又は青色サブフレーム画像データであってもよく、前記信号処理装置130は、前記サブフレーム画像データにおける各画素の最高階調値がプリセット値よりも低いとき、前記サブフレーム画像データの複数の画素の階調値を高め、階調値が高められたサブフレーム画像データを前記DMDに供給する。
【0036】
前記発光装置110は、さらに前記サブフレーム画像データの各画素の最高階調値がプリセット値よりも小さいとき、前記照明光の光束を小さくし、前記調整された照明光の光束が前記階調値が高められた画像データに適応するようにする。具体的に、前記発光装置110は、駆動部品140と調節部品150とを備えてもよく、ここで、前記駆動部品140は、前記調節部品150が前記発光装置の発した照明光に対して光束調整を行うことを制御する。
【0037】
1つの実施形態では、前記発光装置110の駆動部品140は、画像データを直接分析し、画像データに基づき前記信号処理装置130が前記画像データの各画素の階調値を高めるか否かを判断することができ、前記発光装置110の駆動部品140が前記画像データに基づき前記信号処理装置130が前記画像データの各画素の階調値を高めると判断すると、前記発光装置110の駆動部品140は、前記調節部品150が対応的に前記照明光の光束を小さくするように制御し、具体的に、前記発光装置110の駆動部品140は、前記画像データの各画素の最高階調値が前記プリセット値よりも低いか否かを分析することができ、前記画像データの各画素における最高階調値が前記プリセット値よりも低いとき、前記発光装置110の駆動部品140は、前記調節部品150が対応的に前記照明光の光束を小さくするように制御する。
【0038】
他の1つの実施形態では、前記発光装置110の駆動部品140は、前記信号処理装置130が、前記画像データの各画素の階調値を高めたときに発した光束調整制御信号を受信することができ、前記発光装置110の駆動部品140は、前記信号処理装置130の発した光束調整信号に基づき、前記調節部品150が対応的に前記照明光の光束を小さくするように制御する。具体的に、前記信号処理装置130は、前記画像データの各画素における最高階調値が前記プリセット値よりも小さいか否かを分析することができ、前記画像データの各画素における最高階調値が前記プリセット値よりも小さいとき、前記信号処理装置130は、前記画像データの複数の画素の階調値を高め、階調値が高められた画像データを前記DMDに供給し、同時に前記光束調整信号を前記発光装置110の駆動部品140に送信することで、前記発光装置110の駆動部品140は、前記光束調整信号に基づき、前記調節部品150が対応的に前記照明光の光束を小さくするように制御する。前記サブフレーム画像データにおける各画素の最高階調値が前記プリセット値以上であるとき、前記信号処理装置130は、前記サブフレーム画像データの各画素の階調値を変化させず、前記サブフレーム画像データを前記DMDに供給し、前記発光装置110は、前記標準光束Loの照明光を発し、前記DMDは、前記階調値が変化しないサブフレーム画像データに基づき、前記標準光束Loの照明光を変調して画像の投影に必要な投影光を生成する。
【0039】
具体的に、前記投影システム100が表示可能な階調範囲を0~GMax、例えば0~(2m-1)階調とし、ここで、mは8であってもよく、前記階調範囲は、0~255階調であってもよく、GMaxは、前記投影システム100が表示可能な階調極大値を示す。前記信号処理装置130は、前記画像データの各画素における最高階調値GLを分析することができ、ここで、理解できるように、前記最高階調値は、通常前記階調極大値GMax以下であり、前記最高階調値GLと前記プリセット値GRとを比較し、ここで、前記プリセット値GRは、前記階調極大値GMax以下であってもよく、例えば、前記プリセット値は、前記階調極大値GMaxの90%であり、即ち、前記階調極大値が255階調であるとき、前記プリセット値は230階調であってもよい。前記最高階調値GLが前記プリセット値GRよりも小さいとき、前記信号処理装置130は、調整係数kを算出し、前記調整係数kに基づき前記画像データの各画素の階調値を高め、階調値が高められた画像データを前記DMDに供給する。具体的に、前記調整係数kが前記極大階調値GMaxと前記最高階調値GLとの比に等しく、前記画像データの最高階調値GLが通常、極大階調値GMaxよりも小さいため、前記kは1以上であり、前記信号処理装置は、前記画像データの各画素の階調値をいずれもk倍に調整するように制御し、前記画像データにおけるいずれか1つの画素の元の階調値をGiとするとき、調整後の前記画素の階調値はkGiとなる。
【0040】
具体的に、前記発光装置110の駆動部品140は、前記調整係数kに基づき、前記調節部品150が前記照明光の光束を前記高められた前記画像データの各画素の階調値に適応するように制御することができる。前記信号処理装置130は、前記調整係数kに基づき、前記調整係数kを示す光束調整信号を前記発光装置の駆動部品に送信することができ、前記発光装置110の駆動部品140は、前記調整係数kに基づき、前記調節部品150が前記照明光の光束を前記高められた画像データの各画素の階調値に適応するように調整すると制御することができる。具体的に、前記発光装置110の発した照明光の標準光束Loは、前記発光装置110が正常に発した照明光の光束と見なされてもよく、つまり、k=1であるときの光束であり、換言すれば、前記DMDが前記画像データの元の階調値に基づき、前記標準光束がLoである照明光を変調して取得した投影光で、ちょうど前記画像データの階調を正確に復元することができる。前記発光装置110が前記調整係数kに基づき前記照明光の光束を調整することは、前記照明光の光束を元の光束の1/kに調整することであり、即ち、前記発光装置110の発した調整後の光束は、標準光束の1/kであり、即ちLo/kである。前記DMDの各个反射鏡ユニットは、光束がLo/kである照明光を受け取り、調整後の階調値kGiに基づき、前記光束がLo/kである照明光を変調して投影光を生成し、前記投影光の光束はkGi*Lo/kであり、元の階調値Giに基づき元の光束をLoに変調して得た光束がGi*Loであることとは、同様であり、前記DMDのそれぞれの反射鏡ユニットが発した投影光は、前記画像データの各画素の階調値を正確に復元する。
【0041】
無論、変形実施形態では、前記調整係数kは実際の需要に応じて選択可能であり、例えば、前記画像データの各画素の階調値がいずれも(GMax+1)/2よりも小さいとき、前記調整係数kは、2倍とされてもよく、即ち、k=2である。1フレームの画像データを例として説明すると、前記1フレームの画像データは、赤色のサブフレーム画像データ、緑色のサブフレーム画像データ及び青色のサブフレーム画像データを含み、前記1フレームの画像データにおいて、そのうちの1つの画素の元の赤色階調値、元の緑色階調値及び元の青色階調値をそれぞれ(50、60、80)とし、前記調整システムを2倍とすることができ、これにより、前記信号処理装置130は、前記調整係数に基づき、前記画素の赤色階調値、緑色階調値及び青色階調値をいずれも元の2倍に調整し、即ち、(100、120、160)となり、なお、前記照明光の光束は、元の照明光の半分に調整されることができ、即ち、50%であり、前記画像データの階調を正確に復元する。
【0042】
さらに、
図6に示すように、前記発光装置110は、光源モジュール111と、光中継システム112とを備えてもよく、前記光源モジュール111は照明光を発し、前記光中継システム112は、前記照明光に対して光路変更、光均一化などの処理を行って、前記処理後の照明光を前記DMDに供給する。
【0043】
1つの実施形態では、前記発光装置110は、前記照明光の光束を変更し、即ち、前記調節部品150を前記光源モジュール111に設けることで、前記調節部品150は光源駆動回路であってもよく、前記光源モジュール111の発光素子(例えば、レーザ)の駆動電流を調整して前記照明光の光束を変更する。しかし、他の1つの実施形態では、前記発光装置110は、前記光中継システム112が前記照明光の発散角(あるいは、照明光のF値)を変更することにより、前記照明光の光束を調整することができ、即ち、前記調節部品150を前記光中継システム112に設け、又は、さらに1つの実施形態では、前記発光装置110は、前記光源モジュールの発した照明光の光束を変更することと、光中継システム112で前記照明光の発散角(あるいは、照明光のF値)を変更することとの組み合わせの形態で前記照明光の光束を調整して、前記調節部品150がそれぞれ前記光源モジュール111及び前記光中継システム112に設けられる。具体的に、前記発光装置110は、前記光中継システム112に供給される照明光の発散角を減少することにより、前記光中継システム112に供給される照明光のF値を高め、前記光中継システム112に供給される照明光の光束を減少する。
【0044】
本実施形態では、主に、前記発光装置110の光中継システム112が、前記照明光の発散角(あるいは、照明光のF値)を変更することで前記照明光の光束を調整することを例として説明する。具体的に、前記発光装置110の発した照明光の光束を前記標準光束Loとすると、前記発光装置110の発した照明光の基準発散角はθo(その対応するF値は基準F値Fo)であり、前記画像データの各画素の階調値が高められたとき、前記発光装置110は、前記調整係数に基づき、前記照明光の発散角を前記基準発散角よりも小さく調整し(あるいは、前記照明光のF値を前記基準F値Foよりも大きく調整し)、且つ、前記調整後の照明光の発散角と前記基準発散角との比は、前記調整係数に反比例し(前記調整後の照明光のF値と前記基準F値Foとの比は、前記調整係数kに比例する)、即ち、前記調整係数kは大きいほど、前記調整後の照明光の発散角と前記基準発散角との比は小さくなり(前記調整後の照明光のF値と前記基準F値Foとの比は大きくなる)、即ち、前記調整後の照明光の発散角は小さくなる(前記調整後の照明光のF値は大きくなる)。
【0045】
換言すれば、F値調整の観点から、前記発光装置110は、前記照明光のF値を変更することにより、前記照明光の光束を調整することができる。具体的に、前記発光装置の発した照明光の光束を前記標準光束Loとしたときに、前記発光装置110の発した照明光が対応するF値は基準F値Foであり、前記画像データの各画素の階調値が高められたときに、前記発光装置110は、前記調整係数に基づき、前記照明光のF値を前記基準F値Foよりも大きく調整し、且つ、前記調整後の照明光のF値と前記基準F値Foとの比は、前記調整係数kに比例し、即ち、前記調整係数kは大きいほど、前記調整後の照明光の発散角と前記基準発散角との比は小さくなり、且つ、前記調整後の照明光のF値と前記基準F値Foとの比は大きくなり、これによって、前記調整後の照明光の発散角は小さくなり、且つ前記調整後の照明光のF値は大きくなる。
【0046】
具体的に、前記光中継システム112には、前記調節部品150が設けられ、前記調節部品150は、前記画像データの各画素の階調値が高められたとき、前記光中継システム112の発した前記照明光の発散角(又は、F値)を調整し、前記光中継システムに供給される照明光のF値を高め、前記光中継システムに供給される照明光の光束を減少することで、前記照明光の光束が前記階調値の高められた画像データに適応するようにし、さらに、前記照明光の光束は、前記階調値が高められた画像データに適応する。
【0047】
理解できるように、
図4の分析からわかるように、前記DMDの反射鏡ユニット102に照射される発散角が大きいほど(即ち、F値が小さいほど)、前記迷光領域が大きくなり、投影システムのコントラストへの迷光の影響が大きくなり、本実施形態では、調整後の照明光の発散角を減少(即ち、F値を増大する)することで、光束を減少して反射鏡ユニット102の「ON」時間を増加して(「OFF」時間を減少)迷光を減少できるだけではなく、発散角を減少することで、迷光領域を減少して、コントラストをさらに向上させることができる。
【0048】
再び
図6を参照すると、本実施形態では、前記光中継システム112は、順次に設けられた光学システム113、光均一化デバイス114、及び中継システム115をさらに備える。
【0049】
前記光源モジュール111は、前記光学システム113へ照明光を発する。前記光源モジュール111は、発光素子と波長変換素子とを備えてもよく、前記発光素子は励起光を発し、前記波長変換素子は、カラーホイールであってもよく、その上に波長変換材料、例えば蛍光材料(赤色、黄色、緑色蛍光材料など)が設けられ、前記波長変換素子は、前記励起光を受け取り、一部の励起光を被励起光に変換することで、前記被励起光及び他の一部の励起光を前記照明光として発する。前記発光素子は、レーザ光源、例えば青色レーザ光源を備えてもよく、前記励起光は、レーザ光、例えば青色レーザ光を含んでもよい。
【0050】
前記光学システム113は、前記光源モジュール111の発した照明光を収集するなどの処理を行い、前記照明光を前記光均一化デバイス114に導く。
【0051】
前記光均一化デバイス114は、前記光学システム113の発した照明光を光均一化するとともに、前記光均一化後の照明光を前記中継システム115に供給する。前記光均一化デバイス114には、光均一化角棒が含まれてもよく、前記光学システム113の発した照明光は、前記角棒の入口を通って前記角棒に入り、前記角棒の内壁鏡面において反射又は全内反射で照明光が均一化され、そして前記角棒の出口から光均一化された照明光が出射する。理解できるように、変形実施形態では、前記光均一化デバイス114にフライアイレンズが含まれてもよい。
【0052】
前記中継システム115は、前記光均一化された照明光を前記DMDに供給する。具体的に、前記中継システム115は、主にいくつかの中継レンズ116を備え、光均一化デバイス114(角棒又はフライアイレンズ)の照明光を一定の角度でDMD表面に供給する。本実施形態では、前記調節部品150は、前記中継システム115に設けられてもよい。具体的に、前記調節部品150は可変絞りであり、前記照明光の発散角、F値及び光束を変更することに用いられ、且つ、前記可変絞りは、前記中継システム115の開口絞りにおいて設けられてもよく、前記可変絞りは、前記可変絞りに入射する照明光のビームの周辺部分を遮断することで、入射される照明光に対する前記可変絞りから出射される照明光の発散角を小さくし、F値を高めて光束を減少する。前記駆動部品140には、駆動モータが含まれてもよく、前記駆動モータは、前記可変絞りを駆動して、前記照明光の発散角、F値及び光束を制御することができる。さらに、理解できるように、前記発散角の減少及びF値の増加の幅は、減少される必要のある光束の大きさに依存し、本実施形態では、前記可変絞りによって遮断された前記可変絞りに入射する照明光の多少に依存し、即ち、前記可変絞りの絞りの大きさに依存し、つまり、光束減少の幅に基づき発散角が何度減少する必要があるかを算出し、前記可変絞りの絞りの大きさを調節することで、前記可変絞りは、前記発散角が調節の必要な角度に達するように制御する。
【0053】
具体的に、前記中継システム115は、中継レンズ116を備え、前記光均一化デバイス114(例えば、角棒)の辺縁光線の主光軸からわかるように、前記光均一化デバイス114の発した辺縁光線の主光軸と前記中継システム115の中心軸と交差する箇所は、開口絞りの位置である。具体的に、前記調節部品150の可変絞りの中心は、前記中継システム115の中心軸と重なり合い、且つ垂直に配置されている。ここで、前記光均一化デバイス114の発した辺縁光線の主光軸の位置は、前記中継レンズ116により規定することができ、例えば、前記光均一化デバイス114の上部の辺縁光線が、前記中継レンズ116を経由して、ちょうど前記DMDの下部辺縁の位置に入射し、前記光均一化デバイス114の下部辺縁の光線が、前記中継レンズ116を経由してちょうど前記DMDの上部辺縁の位置に入射することにより、前記光均一化デバイス114の発した光スポットが前記中継レンズ116を経由してちょうど前記DMDの各反射鏡を有する表面に結像される。また、理解できるように、前記調節部品150の可変絞りが実際の厚さを有することがあるが、F値の調整への影響が非常に小さく、無視可能であるため、前記可変絞りが実際の厚さを有することによる影響を考慮せず、前記可変絞りの所在する位置と前記開口絞りの位置とを重ね合わせるだけでよい。
【0054】
図7を参照すると、
図7は、前記投影システム100の動作シーケンス図である。前記投影システム100が動作するとき、前記信号源120は、表示される画像データを前記信号処理装置130に供給し、前記信号処理装置130は、前記画像データを分析し、前記画像データが第1サブフレーム画像データと第2サブフレーム画像データを含むとすると、ここで、前記第1サブフレーム画像データの複数の画素の最高階調値は、階調極大値GMax(如255階調)に達し、即ち、前記プリセット値(例えば、230階調)以上となり、前記第2サブフレーム画像データの複数の画素の最高階調値(例えば、228階調)は、階調極大値GMax(例えば、255階調)に達しておらず、且つ前記プリセット値(例えば、230階調)よりも小さく、即ち、前記プリセット値(例えば、230階調)以上となる。
【0055】
第1サブフレーム変調時間T1では、前記信号処理装置130は、前記第1サブフレーム画像データの複数の画素の最高階調値(例えば、255階調)に基づき、前記第1サブフレーム画像データについてさらに階調を高める処理が必要ではないと判断し、前記信号処理装置130は、第1時間帯で、前記第1サブフレーム画像データ(即ち、元の第1サブフレーム画像データ)を前記DMDに供給する。同時に、前記駆動部品140も、画像データに基づき判断し、又は前記信号処理装置130から出力された信号を受信し、光束の調整が必要ではないと知る。前記駆動部品140は、前記調節部品150を制御することで、前記照明光の光束が前記標準光束Loを維持し、前記標準光束Loの照明光を前記DMDに供給する。前記DMDは、前記元の第1サブフレーム画像データに基づき前記標準光束Loの照明光を変調して投影光を得る。
【0056】
第2サブフレーム変調時間T2では、前記信号処理装置130は、前記第2サブフレーム画像データの複数の画素の最高階調値(例えば、228階調、前記プリセット値の230階調よりも低い)に基づき、前記第1サブフレーム画像データについて、階調を高める処理が必要であると判断し、前記信号処理装置130は、前記最高階調値に基づき変調係数kを算出し、k=階調極大値/最高階調値であり、前記第2サブフレーム画像データの各画素の階調値にいずれも前記変調係数kを乗算して、高められた第2サブフレーム画像データの各画素の階調値を得て、前記階調が高められた第2サブフレーム画像データを前記DMDに供給する。同時に、前記駆動部品140も、画像データに基づき判断し、又は前記信号処理装置130から出力された信号を受信し、光束の調整が必要であると知る。前記駆動部品140は、前記調節部品150を制御することで、前記照明光の光束を前記標準光束Loの1/kに調整し、前記標準光束Loの1/kの光束の照明光を前記DMDに供給する。前記DMDは、前記階調が高められた第2サブフレーム画像データに基づき、前記Lo/kの光束の照明光を変調して投影光を得る。
【0057】
上記分析からわかるように、前記信号処理装置130は、前記画像データの複数の画素の階調値を高め、前記発光装置110は、前記照明光の光束を低下し、前記DMDは、前記階調値が高められた画像データに基づき、前記光束の低下した照明光を変調して投影光を生成し、前記照明光の光束が小さくされた割合は、前記画像データの階調値が高められた割合に適応し、前記画像データの複数の画素の元の階調値を正確に復元できるだけではなく、前記階調値が高められたことによって、前記DMDのそれぞれの反射鏡の「ON」時間を増加し、「OFF」時間を減少することで、「OFF」時間で生じる迷光を減少し、迷光の投影システム100コントラストへの影響を減少し、前記投影システム100のコントラストを向上させる。
【0058】
図8を参照すると、
図8は、本発明に提供される第2実施形態に係る画像コントラストを向上可能な投影システム200の構成を示す模式図である。前記第2実施形態に係る投影システム200は、第1実施形態に係る投影システム100と基本的に同様であり、つまり、上述した前記第1実施形態に係る投影システム100についての説明は、ほぼ第2実施形態に係る投影システム200に適用することが可能であるが、両者の相違点は、主に以下のとおりであり、前記第2実施形態では、調節部品250は、光学システム223に設けられ、且つ前記調節部品250は、液晶レンズであり、駆動部品240は、液晶レンズにより、前記照明光の発散角、F値及び光束を制御する。理解できるように、前記液晶レンズは、前記光学システムの最後の1枚のレンズであってもよく、前記駆動部品240は、駆動電圧の変更により、前記液晶レンズにおける液晶の配列を制御することができ、これにより、前記液晶レンズの屈折率が変化し、前記液晶レンズの焦点距離も変化し、前記照明光の発散角、F値及び光束が変化する。
【0059】
本実施形態では、前記発光装置210の光束が標準光束Loよりも小さくなるように調整されたとき、光均一化デバイス214の入射面位置に入射する照明光のビームの横断面の面積は、前記光均一化デバイス214の入射面の面積よりも大きく、即ち、前記調節部品250で上述した前記光均一化デバイス214の入射面位置に入射する照明光ビームの横断面の面積を調整することにより、前記照明光ビームの横断面の面積を前記光均一化デバイス214の入射面の面積よりも大きくし、前記照明光の光束を前記標準光束よりも小さく調整する。さらに、理解できるように、前記発散角の減少とF値の増加の幅は、減少される必要のある光束の幅に依存し、つまり、光束の減少の幅に応じて、発散角を何度減少する必要があるかを算出し、ビームの断面積が、前記光均一化デバイス214の入射面の面積を超えるようにする。
【0060】
なお、上記調節前後の液晶レンズの焦点距離は、いずれも液晶レンズと光均一化部品114の入射面との距離よりも大きい。これは、その距離よりも小さければ、照明光の発散角を小さくすることは、光均一化部品114の入射面に入射するビームの横断面を増大させることができないからである。
図9に示すように、液晶レンズの焦点距離が、液晶レンズと光均一化部品114との距離よりも小さければ、照明光の発散角が小さくされた後、その光均一化デバイス114の入射面に入射した光スポットの横断面は、かえってより小さくなる。
【0061】
図9を参照すると、
図9は、本発明の投影方法のフローチャートであり、本発明の投影方法は、上述した第1及び第2実施形態に係る投影システム100、200に用いることが可能である。具体的に、前記投影方法は、以下のステップS1、S2、S3、S4及びS5を含んでもよい。
【0062】
ステップS1において、画像データを受信し、ここで、前記画像データは複数の階調値を含み、そして、それぞれの階調値は、1つの画素に対応する。具体的に、
図6に示すように、前記ステップS1は、前記信号処理装置130によって実行することができ、即ち、前記信号処理装置130は、前記信号源120の送信する画像データを受信することができる。
【0063】
ステップS2において、前記画像データの複数の画素の階調値を高める。具体的に、前記ステップS2では、前記画像データの各画素の階調値を分析することができ、前記画像データの各画素の最高階調値がプリセット値よりも小さいとき、前記画像データの各画素の階調値を高める。具体的に、前記ステップS2は、前記信号処理装置130によって実行することができ、即ち、前記信号処理装置130は、前記信号源120の送信する画像データを受信し、前記画像データの各画素の最高階調値を分析し、前記画像データの各画素の最高階調値が前記プリセット値よりも小さいとき、前記信号処理装置130は、前記画像データの各画素の階調値を高める。具体的に、前記画像データは、サブフレーム画像データであってもよく、そして、前記サブフレーム画像データは、赤色サブフレーム画像データ、緑色サブフレーム画像データ又は青色サブフレーム画像データであってもよく、前記信号処理装置130は、前記サブフレーム画像データにおける各画素の最高階調値が前記プリセット値よりも低いとき、前記サブフレーム画像データの各画素の階調値を高め、階調値が高められたサブフレーム画像データを前記DMDに供給することができる。
【0064】
具体的に、前記投影方法が用いられる前記投影システム100、200が表示可能な階調範囲を0~GMax、例えば、0~(2m-1)階調とし、ここで、mは8であってもよく、前記階調範囲は、0~255階調であってもよく、GMaxは、前記投影システム100、200が表示可能な階調極大値を示す。前記信号処理装置130は、前記画像データの各画素における最高階調値GLを分析することができ、理解できるように、前記最高階調値は、通常前記階調極大値GMax以下であり、前記最高階調値GLと前記プリセット値GRとを比較し、ここで、前記プリセット値GRも前記階調極大値GMax以下であってもよく、例えば、前記プリセット値は前記階調極大値GMaxの90%であり、即ち、前記階調極大値が255階調であるとき、前記プリセット値が230階調であってもよい。前記最高階調値GLが前記プリセット値GRよりも小さいとき、前記ステップS2は、具体的に、以下のステップ、即ち、調整係数を算出することと、前記調整係数に基づき前記画像データの各画素の階調値を高めて、階調値の高められた画像データを前記DMDに供給することとを含むことができる。具体的に、前記調整係数kは、前記極大階調値GMax/前記最高階調値GLと等しくてもよく、前記画像データの最高階調値GLが通常極大階調値GMaxよりも小さいため、前記kは1以上であり、前記信号処理装置130は、前記画像データの各画素の階調値をいずれもk倍に調整するように制御し、前記画像データにおけるいずれか1つの画素の元の階調値をGiとすると、調整後の前記画素の階調値はkGiである。
【0065】
無論、変更実施形態では、前記調整係数kは、実際の需要に応じて選択可能であり、例えば、前記画像データの各画素の階調値がいずれも(GMax+1)/2よりも小さいとき、前記調整係数kは、2倍とされてもよく、即ち、k=2である。1フレームの画像データを例として説明すると、前記1フレームの画像データは、赤色サブフレーム画像データ、緑色サブフレーム画像データ及び青色サブフレーム画像データを含み、前記1フレームの画像データにおいてそのうちの1つの画素の元の赤色階調値、元の緑色階調値及び元の青色階調値をそれぞれ(50、60、80)とし、前記調整システムを2倍とすることができ、これにより、前記信号処理装置130は、前記調整係数に基づき、前記画素の赤色階調値、緑色階調値及び青色階調値をいずれも元の2倍に調整し、即ち、(100、120、160)となり、同時に、前記照明光の光束は、元の照明光の半分、即ち50%に調整されることができ、前記画像データの階調を正確に復元する。
【0066】
ステップS3において、照明光を供給し、前記照明光の光束を小さくし、ここで、前記照明光の光束が小さくされた割合は、前記画像データの階調値が高められた割合に適応する。具体的に、前記ステップS3は、前記発光装置によって実行することができる。
【0067】
ステップS4において、上記階調値が高められた画像データに基づき、上記光束が小さくされた照明光を変調して画像の投影に必要な投影光を生成する。具体的に、前記ステップS3は、前記DMDによって実行することができる。
【0068】
具体的に、前記ステップS3は、以下のステップを含むことができ、即ち、前記画像データの各画素における最高階調値がプリセット値よりも低いとき、前記照明光の光束を前記標準光束よりも小さく調整することで、上記調整後の照明光の光束が上記階調値の高められた画像データに適応するようにする。具体的に、前記発光装置110は、駆動部品140と調節部品150とを備えてもよく、そして、前記駆動部品140は、前記調節部品150が、前記発光装置110の発した照明光に対して光束調整を行うように制御する。
【0069】
1つの実施形態では、前記発光装置110の駆動部品140は、画像データを直接分析して、画像データに基づき、前記信号処理装置130が前記画像データの各画素の階調値を高めるか否かを判断し、前記発光装置110の駆動部品140は、前記画像データに基づき、前記信号処理装置130が前記画像データの各画素の階調値を高めると判断すると、前記発光装置110の駆動部品140は、前記調節部品150が対応的に前記照明光の光束を小さくするように制御し、具体的に、前記発光装置110の駆動部品140は、前記画像データの各画素における最高階調値が前記プリセット値よりも低いか否かを分析することができ、前記画像データの各画素における最高階調値が前記プリセット値よりも低いとき、前記発光装置110の駆動部品140は、前記調節部品150が対応的に前記照明光の光束を小さくするように制御する。
【0070】
他の1つの実施形態では、前記発光装置110の駆動部品140は、前記信号処理装置130が、前記画像データの各画素の階調値を高めたときに発した光束調整制御信号を受信することができるため、前記発光装置110の駆動部品140は、前記信号処理装置130の発した光束調整信号に基づき、前記調節部品150が対応的に前記照明光の光束を小さくするように制御する。具体的に、前記信号処理装置130は、前記画像データの各画素における最高階調値が前記プリセット値よりも低いか否かを分析することができ、前記画像データの各画素における最高階調値が前記プリセット値よりも低いとき、前記信号処理装置130は、前記画像データの複数の画素の階調値を高め、階調値が高められた画像データを前記DMDに供給し、同時に、前記光束調整信号を前記発光装置の駆動部品に送信することにより、前記発光装置110の駆動部品140は、前記光束調整信号に基づき、前記調節部品が対応的に前記照明光の光束を小さくするように制御する。具体的に、前記発光装置110の駆動部品140は、前記調整係数kに基づき、前記調節部品150が前記照明光の光束が上記高められた前記画像データの各画素の階調値に適応するように制御することができる。前記信号処理装置130は、前記調整係数kに基づき、前記調整係数kを示す光束調整信号を前記発光装置110の駆動部品140に送信することができ、前記発光装置110の駆動部品140は、前記調整係数kに基づき、前記調節部品150が、前記照明光の光束が上記高められた前記画像データの各画素の階調値に適応するように調整すると制御することができる。
【0071】
さらに、1つの実施形態では、
図7に示すように、前記調節部品150は、前記発光装置110の中継システム115に設けられる可変絞りであってもよく、前記照明光の発散角(或いは、前記照明光のF値)を変更するために用いられ、且つ、前記可変絞りは、前記中継システム115の開口絞りにおいて設けられてもよく、前記可変絞りは、前記可変絞りに入射される照明光のビームの周辺部分を遮断することにより、入射される照明光に対する前記可変絞りから出射される照明光の発散角を小さくし、F値を高め、光束を減少する。前記駆動部品140は、駆動モータを備えてもよく、前記駆動モータは、前記可変絞りを駆動して、前記照明光の発散角を制御することができる。さらに、理解できるように、前記発散角の減少とF値の増加の幅は、減少される必要のある光束の幅に依存し、本実施形態では、前記可変絞りが遮断する、上記前記可変絞りに入射される照明光の多少に依存し、即ち、前記可変絞りの絞りの大きさに依存し、つまり、光束が減少される幅に基づき発散角を何度減少する必要があるかを算出し、前記可変絞りの絞りの大きさを調節することで、前記可変絞りは、前記発散角が調節される必要のある角度に達するように制御する。
【0072】
具体的に、前記中継システム115は、中継レンズ116を備え、前記光均一化デバイス114(例えば、角棒)の辺縁光線の主光軸からわかるように、前記光均一化デバイス114の発した辺縁光線の主光軸が前記中継システム115の中心軸と交差する箇所は、開口絞りの位置である。具体的に、前記可変絞りの中心は、前記中継システム115の中心軸と重ね合わせ、且つ垂直に配置されている。そして、前記光均一化デバイス114の発した辺縁光線の主光軸の位置は、前記中継レンズ116によって規定されることができ、例えば、前記光均一化デバイス114の上部辺縁光線が、前記中継レンズ116を経由してちょうど前記DMDの下部辺縁の位置に入射し、前記光均一化デバイス114の下部辺縁光線が、前記中継レンズ116を経由してちょうど前記DMDの上部辺縁の位置に入射することで、前記光均一化デバイスの発した光スポットは前記中継レンズ116を経由して、ちょうど前記DMDの有する各反射鏡の表面に結像される。また、理解できるように、前記可変絞りが実際の厚さを有することがあるが、F値の調整への影響が非常に小さく、無視することが可能であるため、ここで、前記可変絞りが実際の厚さを有することによる影響を考慮せず、前記可変絞りの所在する位置と前記開口絞りの位置とを重ね合わせるだけでよい。
【0073】
他の1つの実施形態では、
図8に示すように、前記調節部品150は、前記光学システム113に設けられてもよく、且つ、前記調節部品150は液晶レンズであり、前記駆動部品140は、液晶レンズにより前記照明光の発散角、F値及び光束を制御する。理解できるように、前記液晶レンズは、前記光学システムの最後の1枚のレンズであってもよく、前記駆動部品140は、駆動電圧の変更により、前記液晶レンズにおける液晶の配列を制御することができ、前記液晶レンズの屈折率を変化させ、前記液晶レンズの焦点距離も変化し、前記照明光の発散角、F値及び光束も変化する。
【0074】
本実施形態では、前記発光装置210の光束が標準光束Loよりも小さくなるように調整されたとき、光均一化デバイス214の入射面位置に入射される照明光のビームの横断面の面積は、前記光均一化デバイス214の入射面の面積よりも大きく、即ち、前記調節部品250が上述した前記光均一化デバイス214の入射面位置に入射される照明光ビームの横断面の面積を調整することで、前記照明光ビームの横断面の面積を前記光均一化デバイス214の入射面の面積よりも大きくし、前記照明光の光束を前記標準光束よりも小さくするように調整する。さらに、理解できるように、前記発散角の減少とF値の増加の幅は、減少される必要のある光束の幅に依存し、つまり、光束が減少される幅に基づき、発散角を何度減少する必要があるかを算出し、ビームの断面積が前記光均一化デバイス214の入射面の面積を超えるようにする。
【0075】
なお、前記調節前後の液晶レンズの焦点距離は、液晶レンズと光均一化部品114の入射面との距離よりも大きい。これは、その距離よりも小さければ、照明光の発散角を小さくすることによって光均一化部品114の入射面に入射されるビームの横断面を増大させることができないからであり、
図10に示すように、液晶レンズの焦点距離が、液晶レンズと光均一化部品114との距離よりも小さければ、照明光の発散角が小さくされた後、その光均一化デバイス114の入射面に入射される光スポットの横断面は、かえってより小さくなる。
【0076】
具体的に、前記発光装置110の発した照明光の標準光束がLoであることも、前記発光装置110が正常に発した照明光の光束と見なされてもよく、即ち、k=1であるときの光束であり、換言すれば、前記DMDは、前記画像データの元の階調値に基づき、前記標準光束がLoである照明光を変調して得る投影光は、ちょうど前記画像データの階調を正確に復元することができる。前記発光装置110は、前記調整係数kに基づき前記照明光の光束を調整することは、前記照明光の光束を元の光束の1/kに調整し、即ち、前記発光装置の発した調整後の光束は、標準光束の1/kであり、即ち、Lo/kである。前記DMDの各反射鏡ユニットは、光束Lo/kの照明光を受け取り、調整後の階調値kGiに基づき、前記光束Lo/kの照明光を変調して投影光を生成し、前記投影光の光束はkGi*Lo/kであり、元の階調値Giに基づき、元の光束Loを変調して光束Gi*Loを得ることとは同様であり、前記DMDの各反射鏡ユニット102の発した投影光は、前記画像データの各画素の階調値を正確に復元する。
【0077】
ステップS5において、前記投影光に基づいて投影画像を生成し、そして、前記投影光の輝度は、上記階調値が高められる前の画像データにマッチングする。
【0078】
前記ステップS5は、投影レンズによって実現することができ、前記投影レンズは、前記DMDの発した投影光を受け取り、前記投影光を投影スクリーンに投影して、投影画像の表示を行う。前記照明光の光束が小さくされた割合は、前記画像データの階調値が高められた割合に適応するため、前記投影光の輝度は、前記階調値が高められる前の画像データにマッチングする。
【0079】
以上は本発明の実施例に過ぎず、本発明の特許請求の範囲を制限するものではなく、本明細書及び図面を利用して行われる均等的な構成や均等的なフロー変換、或いは、他の関連する技術分野に応用することは、いずれも本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
100、200 投影システム
102 反射鏡ユニット
101 基板
110 発光装置
111 光源
112 光中継システム
113、223 光学システム
114 光均一化デバイス
115 中継システム
116 中継レンズ
120 信号源
130 信号処理装置
140、240 駆動部品
150、250 調節部品
S1~S5 ステップ