(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20220616BHJP
【FI】
G06Q30/02 398
(21)【出願番号】P 2020105872
(22)【出願日】2020-06-19
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】319013263
【氏名又は名称】ヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】小川 知紘
(72)【発明者】
【氏名】河原 鷹志
(72)【発明者】
【氏名】廣▲瀬▼ 雄規
(72)【発明者】
【氏名】舛田 恵一
【審査官】関 博文
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-38760(JP,A)
【文献】特開2016-61987(JP,A)
【文献】特表2013-519161(JP,A)
【文献】特開2020-64575(JP,A)
【文献】特開2017-27147(JP,A)
【文献】特開2000-315215(JP,A)
【文献】特開2015-114755(JP,A)
【文献】特開2015-197778(JP,A)
【文献】米国特許第8112308(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの行動に係る行動履歴であって、コンテンツを制作するクリエイター及び前記コンテンツのいずれかに関連する行動履歴と、前記ユーザの位置の履歴である位置履歴とを、複数の前記ユーザから取得する履歴取得部と、
前記行動履歴に基づいて、前記クリエイターに対する前記ユーザの興味度を、複数の前記クリエイターについてそれぞれ算出する興味度算出部と、
複数の前記ユーザのうち、所定の第一クリエイターに関する前記興味度が所定値以上である前記ユーザを対象ユーザとして抽出するユーザ抽出部と、
前記対象ユーザの前記位置履歴に基づいて、前記第一クリエイター及び前記第一クリエイターが制作した第一コンテンツの少なくともいずれかを紹介する広告を配信する配信場所を選択する選択部と、
前記配信場所に存在する広告表示装置に前記広告を配信する配信部と、を備える
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記選択部は、さらに、前記広告の配信時間帯を選択し、
前記配信部は、選択された前記配信時間帯に、前記広告を配信する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の情報処理装置において、
前記配信部は、前記配信場所に予め設置された前記広告表示装置に、前記広告を配信する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記配信部は、前記対象ユーザが所有するユーザ端末を前記広告表示装置として、前記ユーザが前記配信場所を中心とした所定範囲内に移動した場合に、前記広告を配信する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記広告表示装置は、移動体に設けられ、
前記配信部は、前記移動体が前記配信場所を中心とした所定範囲内に移動した場合に、前記広告を配信する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記行動履歴は、ネットワーク上の前記第一コンテンツに対する課金履歴、前記第一クリエイターに関連する商品またはサービスの検索履歴または購買履歴、前記第一クリエイターまたは前記第一コンテンツに関連するカテゴリの商品またはサービスの検索履歴または購買履歴の少なくとも一つを含む
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の情報処理装置において、
所定施設における前記ユーザの待ち時間を取得する待機時間取得部を備え、
前記配信部は、前記待ち時間が前記広告に応じた所定の時間より長い場合に前記広告を配信する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータにより広告を広告表示装置に配信する情報処理方法であって、
前記コンピュータは、履歴取得部、興味度算出部、ユーザ抽出部、選択部、及び配信部を備え、
前記履歴取得部が、ユーザの行動に係る行動履歴であって、コンテンツを制作するクリエイター及び前記コンテンツのいずれかに関連する行動履歴と、前記ユーザの位置の履歴である位置履歴とを、複数の前記ユーザから取得する履歴取得ステップと、
前記興味度算出部が、前記行動履歴に基づいて、前記クリエイターに対する前記ユーザの興味度を、複数の前記クリエイターについてそれぞれ算出する興味度算出ステップと、
前記ユーザ抽出部が、複数の前記ユーザのうち、所定の第一クリエイターに関する前記興味度が所定値以上である前記ユーザを対象ユーザとして抽出するユーザ抽出ステップと、
前記選択部が、前記対象ユーザの前記位置履歴に基づいて、前記第一クリエイター及び前記第一クリエイターが制作した第一コンテンツの少なくともいずれかを紹介する広告を配信する配信場所を選択する選択ステップと、
前記配信部が、前記配信場所に存在する広告表示装置に前記広告を配信する配信ステップと、
を実施することを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータにより読み込み実行される情報処理プログラムであって、
前記コンピュータを、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の情報処理装置として機能させる
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告を広告表示装置に配信する情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インターネットを介して様々な情報が提供されている。提供される情報は企業や組織などにより制作されるものに限らず、個人により制作されるものも多い(例えば、非特許文献1参照)。
非特許文献1には、各分野で活躍するクリエイターが、自身の作品や動画コンテンツを投稿するプラットフォームが紹介されている。このようなプラットフォームでは、個人により制作された情報の提供や発信を容易に行うことが可能となり、クリエイターの活躍範囲の拡大を支援することが可能となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】“「個人」の発信の価値を高める――ヤフーが“クリエイター”のプラットフォームを作るまで”、[online]、newsHACK、[令和2年4月20]、インターネット(URL:https://news.yahoo.co.jp/newshack/inside/creators.html)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、クリエイターにより制作される記事等のコンテンツを効果的に発信するためには、当該情報に対して興味を有するユーザに紹介する必要がある。上記非特許文献1では、プラットフォーム上で、ユーザに対して、当該ユーザが興味を有するコンテンツを紹介することができるが、より広い場面でコンテンツを紹介する技術が求められている。
【0005】
本発明は、クリエイターや、クリエイターが制作したコンテンツを紹介する広告を効果的に配信することができる情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報処理装置は、ユーザの行動に係る行動履歴であって、コンテンツを制作するクリエイター及びコンテンツのいずれかに関連する行動履歴と、ユーザの位置の履歴である位置履歴とを、複数のユーザから取得する履歴取得部と、行動履歴に基づいて、クリエイターに対するユーザの興味度を、複数のクリエイターについてそれぞれ算出する興味度算出部と、複数のユーザのうち、所定の第一クリエイターに関する興味度が所定値以上であるユーザを対象ユーザとして抽出するユーザ抽出部と、対象ユーザの位置履歴に基づいて、第一クリエイター及び第一クリエイターが制作した第一コンテンツの少なくともいずれかを紹介する広告を配信する配信場所を選択する選択部と、記配信場所に存在する広告表示装置に広告を配信する配信部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、ユーザの行動履歴及び位置履歴に基づいて、広告を配信する配信場所を選択し、広告を配信することができる。これによって、クリエイターや、クリエイターが制作したコンテンツを紹介する広告を効果的に配信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第一実施形態の情報処理システムの概略構成を示す概略図。
【
図2】第一実施形態の情報処理システムの概略構成を示すブロック図。
【
図3】第一実施形態における情報処理方法を示すフローチャート。
【
図4】第二実施形態の情報処理システムの概略構成を示すブロック図。
【
図5】第二実施形態における情報処理方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態について図面に基づいて説明する。
[情報処理システムの全体構成]
図1は、本実施形態の情報処理システムを示す概略図である。
本実施形態の情報処理システム1は、
図1に示すように、情報処理装置であるサーバ装置10、サーバ装置10に対してインターネットを介して接続された複数の端末装置20(ユーザ端末)及び複数の広告表示装置30を備える。
本実施形態では、サーバ装置10は、広告を広告表示装置30に配信する。本実施形態では、クリエイターや、クリエイターが制作したコンテンツを紹介する広告が広告表示装置30に配信されるものを例示する。
以下、このような情報処理システム1について、特に、情報処理装置であるサーバ装置10の構成及び処理を中心に説明する。
【0010】
[サーバ装置10の概略構成]
図2は、サーバ装置10の概略構成を示すブロック図である。
サーバ装置10は、一般的なコンピュータにより構成されており、
図2に示すように、通信部11、記憶部12、プロセッサ13等の、コンピュータを構成する各部を備えている。なお、サーバ装置10を構成するコンピュータの数は特に限定されない。例えば、1台のコンピュータによってサーバ装置10が構成されてもよく、複数のコンピュータをネットワークで接続して構築されるクラウドサーバをサーバ装置10としてもよい。
通信部11は、インターネットに接続され、インターネットを介して端末装置20及び広告表示装置30等の各装置と通信する。
【0011】
記憶部12は、サーバ装置10を制御するための各種情報や情報処理プログラムを記録する。
また、記憶部12は、ユーザに関する情報を記録するユーザ情報記録部121、広告表示装置30に配信する広告の情報を記録する広告情報記録部122、及び広告表示装置30に関する情報を記録する広告表示装置情報記録部123等のデータベースを備えている。
なお、ここでは、サーバ装置10の記憶部12に、ユーザ情報記録部121、広告情報記録部122、広告表示装置情報記録部123等の各種データベースが設けられる例を示すが、サーバ装置10とネットワークを介して通信可能に接続された他のデータサーバやクラウドストレージに、これらの情報が記録される構成としてもよい。
【0012】
ユーザ情報記録部121は、ユーザに関する各種情報を記録したデータベースであり、ユーザ毎のユーザ情報が記憶されている。ユーザ情報には、ユーザID、ユーザ属性等が含まれる。
ユーザIDは、ユーザを識別するための識別情報である。
ユーザ属性は、ユーザの性別や年齢層等の個人情報、行動履歴、位置履歴の他、ユーザの趣味、特技、職業等のユーザの様々な詳細な情報である。
【0013】
行動履歴とは、例えば、ネットワーク上のコンテンツに対する課金履歴、コンテンツを制作したクリエイターに関連する商品またはサービスの検索履歴または購買履歴、クリエイターまたはコンテンツに関連するカテゴリの商品またはサービスの検索履歴または購買履歴等である。
コンテンツを制作したクリエイターに関連する商品またはサービスの検索履歴または購買履歴とは、例えば、ユーザがクリエイターA、またはクリエイターAによって制作されたコンテンツCAを閲覧した場合、クリエイターAの著作物、クリエイターAに関するグッズなどの商品に関す検索履歴または購買履歴や、クリエイターAに関連する会員制サービス(メールマガジン、オンラインサロン、ファンクラブ等)に関する検索履歴または購買履歴等の履歴情報である。また、クリエイターまたはコンテンツに関連するカテゴリの商品またはサービスの検索履歴または購買履歴とは、例えば、ユーザがクリエイターAまたは上述したコンテンツCAを閲覧した場合、クリエイターAの職業や属性、及びコンテンツCAのテーマ、ジャンルなどの特徴を示すカテゴリの著作物やグッズなどの商品に関する検索履歴または購買履歴や、上述したカテゴリに関連する会員制サービスの検索履歴または購買履歴等の履歴情報である。
【0014】
位置履歴とは、ユーザの位置の履歴であり、例えば、端末装置20に備えられるGPS装置等により得られる。また、位置履歴は、例えば、始点から終点までの移動経路を探索するナビゲーションアプリケーション等により得られてもよい。ナビゲーションアプリケーションの検索結果に基づいてユーザが移動した場合、例えば、始点、終点、中継地点等の地点や、経路探索を行った日時等が位置履歴として記録される。
【0015】
広告情報記録部122には、広告表示装置30に配信する広告情報が記憶される。
広告情報は、上述したように、サーバ装置10から広告表示装置30に配信される広告の情報であり、本実施形態では、クリエイターやクリエイターが制作したコンテンツを紹介する広告の情報である。この広告情報には、広告ID、及び広告内容情報等が含まれる。
広告IDは、広告情報を識別する識別情報である。
広告内容情報は、広告表示装置30に配信される広告の情報であり、具体的には、広告の対象であるクリエイターやコンテンツに関するURL、QRコード(登録商標)やバーコードなどのコード情報、紹介記事などの情報である。
【0016】
広告表示装置情報記録部123には、広告の配信先である広告表示装置30に関する広告表示装置情報が記憶される。広告表示装置情報としては、各広告表示装置30の位置や設置場所等が記録される。
【0017】
プロセッサ13は、CPU等の演算回路、RAM等の記録回路により構成される。プロセッサ13は、記憶部12に記録されている情報処理プログラムをRAMに展開し、RAMに展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
そして、プロセッサ13は、情報処理プログラムを読み込み実行することで、
図2に示すように、履歴取得部131、興味度算出部132、ユーザ抽出部133、選択部134、及び配信部135等として機能する。
【0018】
履歴取得部131は、ユーザの行動に係る行動履歴と、ユーザの位置の履歴である位置履歴とを取得する。行動履歴及び位置履歴は、記憶部12のユーザ情報記録部121に記録されている各ユーザのユーザ情報から取得してもよい。また、端末装置20において、行動履歴に該当するユーザの行動、及び移動履歴に該当するユーザの位置の移動が行われる毎に、端末装置20から当該行動履歴及び位置履歴が送信されてもよい。そして、履歴取得部131は、ユーザ情報記録部121の行動履歴及び位置履歴を更新する。
【0019】
興味度算出部132は、履歴取得部131により取得したユーザの行動履歴に基づいて、クリエイターに対するユーザの興味度を、複数のクリエイターについてそれぞれ算出する。
ユーザ抽出部133は、ユーザ情報記録部121にユーザ情報が記録されたユーザのうち、所定のクリエイター(第一クリエイター)に関する興味度が所定値以上であるユーザを対象ユーザとして抽出する。本実施形態において、所定のクリエイターとは、コンテンツとして記事や書籍などを制作するライター、作家等のオーサーである。
【0020】
選択部134は、ユーザ抽出部133で抽出した対象ユーザの位置履歴に基づいて、上述した所定のクリエイター、及び所定のクリエイターが制作したコンテンツ(第一コンテンツ)の少なくともいずれかを紹介する広告を配信する配信場所を選択する。また、選択部134は、広告を配信する配信時間帯を選択する。
配信部135は、選択部134が選択した配信場所に存在する広告表示装置30に広告を送信する。
なお、本実施形態では、上述したように、所定のクリエイターは、コンテンツとして記事や書籍などを制作するライター、作家等のオーサーであり、配信される広告は、オーサー、及びオーサーが制作した記事や書籍などのコンテンツを紹介する広告である。
各機能構成の詳細な動作については後述する。
【0021】
[端末装置20の構成]
端末装置20は、ユーザが管理するコンピュータであり、例えばスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等により構成されている。
端末装置20の具体的な構成の図示は省略するが、端末装置20は、一般的なコンピュータが有する基本的なハードウェア構成を有する。すなわち、端末装置20は、操作者の操作を受け付ける入力操作部、画像情報を表示させるディスプレイ、各種情報を記録する記録装置、各種情報を演算処理する演算回路(CPU等)を備えている。また、端末装置20は、GPS装置等により構成された位置を測定する測位センサー、端末装置20に係る加速度等の動作を計測するモーションセンサー等を備える。
【0022】
[広告表示装置30の構成]
広告表示装置30は、サーバ装置10から配信される広告を表示する表示装置である。本実施形態では、広告表示装置30は、店舗、街頭等、複数の配信場所に予め設置される。
広告表示装置30の具体的な構成の図示は省略するが、広告表示装置30は、一般的なコンピュータが有する基本的なハードウェア構成を有する。すなわち、広告表示装置30は、操作者の操作を受け付ける入力操作部、画像情報を表示させるディスプレイ、各種情報を記録する記録装置、各種情報を演算処理する演算回路(CPU等)を備えている。
なお、広告表示装置30のディスプレイは、その他の部分と一体となって構成されてもよく、その他の部分と分離して構成されてもよい。例えば、建造物の壁面などに設置される広告表示装置30においては、ディスプレイのみが壁面に設置され、その他の部分はディスプレイと分離して設置されてもよい。また、広告表示装置30は、複数のディスプレイを備え、配信された1つの広告を同時に表示する構成であってもよい。
【0023】
[情報処理方法]
次に、本実施形態の情報処理システムにおける広告の配信方法(情報処理方法)について説明する。
図3は、本実施形態の情報処理方法を示すフローチャートである。
なお、本実施形態において、サーバ装置10による広告の配信処理は、配信する広告毎に行われる。また、履歴取得部131は、端末装置20から、ユーザ属性等の基本的なユーザに関する情報を予め取得しており、ユーザ情報がユーザ情報記録部121に記録(登録)されているものとする。
【0024】
本実施形態のサーバ装置10の履歴取得部131は、端末装置20から行動履歴及び位置履歴を受信する(ステップS1:履歴取得ステップ)。なお、取得された行動履歴及び位置履歴は、ユーザ情報記録部121に蓄積される。
【0025】
ステップS1で行動履歴及び位置履歴を受信すると、サーバ装置10の興味度算出部132は、ユーザ情報記録部121に蓄積された過去の行動履歴と、ステップS1で受信したユーザの行動履歴とに基づいて、クリエイターに対するユーザの興味度を、複数のクリエイターについてそれぞれ算出する(ステップS2:興味度の算出ステップ)。
興味度は、クリエイターに対する興味の度合いを示し、例えば、ネットワーク上のコンテンツに対する課金履歴、コンテンツを制作したクリエイターに関連する商品またはサービスの検索履歴または購買履歴、クリエイターまたはコンテンツに関連するカテゴリの商品またはサービスの検索履歴または購買履歴等に基づいて算出することができる。
例えば、クリエイターBに対する興味の度合いは、ネットワーク上のコンテンツのうち、クリエイターBにより制作されたコンテンツCBに対する課金回数HB1、クリエイターBに関連する商品またはサービスの検索回数HB2または購買回数HB3、クリエイターBまたはコンテンツCBに関連するカテゴリの商品またはサービスの検索回数HB4または購買回数HB5等に基づいて算出することができる。
興味度算出部132は、各行動履歴を変数とし、それぞれの変数を重みづけ加算し、興味度を算出する。各変数の重み値は、予め定められてもよく、ユーザにより設定可能であってもよい。興味度算出部132は、例えば、興味度IをI=k1×HB1+k2×HB2+k3×HB3+k4×HB4+k5×HB5により算出する。なお、k1,k2,k3,k4,k5はそれぞれ重み値である。
このようにして算出される興味度は、対象のクリエイターに対する興味が深いほど大きい値となる。興味度算出部132は、複数のクリエイターについて、興味度をそれぞれ算出する。
【0026】
次に、サーバ装置10のユーザ抽出部133は、ステップS1で履歴取得部131が行動履歴及び位置履歴を取得したユーザ、及びユーザ情報記録部121にユーザ情報が記録された複数のユーザのうち、所定のクリエイター(第一クリエイター)に関する興味度が所定値以上であるユーザを対象ユーザとして抽出する(ステップS3:対象ユーザの抽出ステップ)。
ユーザ抽出部133は、上述したように、コンテンツとして記事や書籍などを制作するライター、作家等のオーサー(第一クリエイター)に関する興味度が所定値以上であるユーザを対象ユーザとして抽出する。より具体的には、ユーザ抽出部133は、ステップS2で興味度を算出した複数のクリエイターのうち、第一クリエイターに関する興味度と、所定の閾値と比較し、第一クリエイターに関する興味度が所定値以上であるユーザを対象ユーザとして抽出する。
抽出される対象ユーザは、第一クリエイターに関して一定以上の興味を有するユーザであり、例えば、紙媒体であってもネットワーク上の媒体であっても、書籍や記事などのコンテンツを購読する習慣及び意欲があるユーザである。したがって、これらの対象ユーザは、本実施形態で配信する広告の配信先として有望なユーザである。
【0027】
次に、サーバ装置10の選択部134は、ステップS3で抽出した対象ユーザの位置履歴に基づいて、広告の配信場所を選択する(ステップS4:配信場所の選択ステップ)。
選択部134は、例えば、対象ユーザの位置履歴に基づいて、当該対象ユーザの多くが共通してよく訪れるエリア、場所などを配信場所として選択することができる。なお、選択部134は、配信場所として1以上のエリア、場所を選択する。
また、選択部134は、例えば、対象ユーザの課金履歴に基づいて、課金対象のクリエイターに関連するエリア、場所などを配信場所として選択してもよく、対象ユーザの検索履歴または購買履歴に基づいて、検索または購買の対象となった商品やサービスのクリエイターに関連するエリア、場所などを配信場所として選択してもよく、対象ユーザの検索履歴または購買履歴に基づいて、上述したクリエイターの職業や当該クリエイターが制作する記事のテーマ、ジャンルなどの特徴を示すカテゴリに関連するエリア、場所などを配信場所として選択してもよい。
このように、第一クリエイターに関する興味度が所定値以上である対象ユーザの位置履歴に基づいて配信場所を選択することにより、潜在的に需要があると予測できるユーザをターゲットとして、広告の配信場所を選択することができる。
【0028】
この後、選択部134は、広告の配信時間帯を選択する(ステップS5:広告の配信時間帯の選択ステップ)。配信時間帯は、広告を配信する日時、曜日(平日又は週末等)である。
選択部134は、例えば、対象ユーザの位置履歴に基づいて、当該対象ユーザの多くが共通して配信場所を訪れる時刻や曜日を、広告の配信時間帯として選択する。なお、ステップS4において複数の配信場所が選択された場合、選択部134は、各配信場所について広告の配信時間帯を選択する。
【0029】
配信部135は、ステップS5で選択した配信時間帯であるか否かを判定する(ステップS6)。なお、ステップS4において複数の配信場所が選択され、ステップS5において各配信場所について広告の配信時間帯が選択された場合、配信部135は、各配信場所について配信時間帯であるか否かを判定する。
【0030】
ステップS6でYESと判定される場合、配信部135は、広告を広告表示装置30に配信する(ステップS7:広告の配信ステップ)。この時、配信部135は、ステップS3で選択された配信場所に存在する広告表示装置30に、広告を配信する。つまり、配信部135は、ステップS5で選択された配信時間帯になると、広告表示装置30に広告を配信する。なお、ステップS4において複数の配信場所が選択された場合、各部は、各配信場所についてステップS5からステップS7の処理を実行する。
配信部135は、広告表示装置情報記録部123に記録された広告端末情報に基づいて、ステップS3で選択された配信場所に設置された広告表示装置30を特定し、当該広告表示装置30に対して、広告を配信する。なお、配信部135は、ステップS3で選択された配信場所を中心とした所定範囲内に存在する広告表示装置30に広告を配信してもよい。
【0031】
広告表示装置30は、広告を受信すると、広告をディスプレイに表示させる(ステップS21)。
【0032】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態では、サーバ装置10は、ユーザの行動に係る行動履歴であって、コンテンツを制作するクリエイター及びコンテンツのいずれかに関連する行動履歴と、ユーザの位置の履歴である位置履歴とを、複数のユーザから取得する履歴取得部131と、行動履歴に基づいて、クリエイターに対するユーザの興味度を、複数のクリエイターについてそれぞれ算出する興味度算出部132と、複数のユーザのうち、所定の第一クリエイターに関する興味度が所定値以上であるユーザを対象ユーザとして抽出するユーザ抽出部133と、対象ユーザの位置履歴に基づいて、第一クリエイター及び第一クリエイターが制作した第一コンテンツの少なくともいずれかを紹介する広告を配信する配信場所を選択する選択部134と、配信場所に存在する広告表示装置30に広告を配信する配信部135と、を備える。
このような本実施形態では、ユーザの行動履歴に基づいて対象ユーザを抽出し、第一クリエイターに関する興味度が所定値以上である対象ユーザの位置履歴に基づいて広告の配信場所を選択する。したがって、複数の広告表示装置30に同様の広告を配信してプロモーションを行うのではなく、広告によるプロモーションの効果がより期待できるユーザが存在する可能性が高い配信場所に広告を配信することができる。これによって、ネットワーク上のコンテンツを紹介する広告を効果的に配信することができる。
【0033】
本実施形態では、選択部134は、さらに、広告の配信時間帯を選択し、配信部135は、選択された配信時間帯に広告を配信する。
これにより、広告によるプロモーションの効果が期待できるユーザが存在する可能性が高い配信時間帯に広告を配信することができる。より効果的なタイミングで広告を配信することができる。
【0034】
本実施形態では、配信部135は、配信場所に予め設置された広告表示装置30に広告を配信する。
これにより、広告表示装置30の設置場所に応じて、効果が期待できる広告を配信することができる。
【0035】
本実施形態では、行動履歴は、ネットワーク上のコンテンツに対する課金履歴、第一クリエイターに関連する商品またはサービスの検索履歴または購買履歴、第一クリエイターまたは第一コンテンツに関連するカテゴリの商品またはサービスの検索履歴または購買履歴の少なくとも一つを含む。
これにより、ユーザの行動を数値化して把握し、ターゲットとして適切なユーザを対象ユーザとして抽出することができる。
【0036】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態について説明する。
第二実施形態では、所定施設におけるユーザの待ち時間を取得し、待ち時間に応じた処理を行う点で、上記第一実施形態と相違する。
なお、以降の説明にあたり、既に説明した事項については同一符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
【0037】
本実施形態のサーバ装置10は、
図4に示すように、第一実施形態と略同様の構成を有する。また、プロセッサ13は、第一実施形態と同様に、履歴取得部131、興味度算出部132、ユーザ抽出部133、選択部134、及び配信部135等として機能するとともに、さらに、待機時間取得部136として機能する。本実施形態の待機時間取得部136は、所定施設におけるユーザの待ち時間を取得する。
【0038】
次に、本実施形態の情報処理システムにおける広告の配信方法(情報処理方法)について説明する。
図5は、本実施形態の情報処理方法を示すフローチャートである。
本実施形態のサーバ装置10の履歴取得部131は、第一実施形態と同様に、端末装置20から行動履歴及び位置履歴を受信する(ステップS1:履歴取得ステップ)。
次に、サーバ装置の待機時間取得部136は、ステップS1で取得したユーザの行動履歴に基づいて、所定施設におけるユーザの待ち時間を取得する(ステップS31:待機時間取得ステップ)。なお、取得された待ち時間を示す情報は、ユーザ情報記録部121に蓄積される。
【0039】
そして、サーバ装置10の各部が、第一実施形態のステップS3からステップS5と同様の処理を行った後、配信部135は、ステップS4で選択した配信場所に関して、その場所を所定施設とした待ち時間と、配信する広告が紹介するコンテンツの長さに応じた所定の時間とを比較する。そして、配信部135は、待ち時間が、配信する広告が紹介するコンテンツの長さに応じた所定の時間より長いか否かを判定する(ステップS32)。ステップS32でYESと判定される場合、配信部135は、第一実施形態のステップS6およびステップS7と同様の処理を行い、広告表示装置は、第一実施形態のステップS21と同様の処理を行う。なお、ステップS32でNOと判定される場合、サーバ装置10は広告の配信を行わずに一連の処理を終了する。
【0040】
上記のような第二実施形態では、ユーザに待ち時間が発生している状態で、その待ち時間にふさわしい広告を配信することができる。また、本実施形態では、ユーザに十分な待ち時間がない場合に広告を配信することを回避することができる。
【0041】
[変形例]
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で、以下に示される変形をも含むものである。
【0042】
[変形例1]
上記実施形態において、サーバ装置10のユーザ抽出部133は、配信対象である広告に応じて対象ユーザをさらに絞り込み、選択部134は、絞り込んだ対象ユーザの位置履歴に基づいて、配信場所を選択してもよい。
例えば、配信する広告がビジネスに関するコンテンツを紹介する広告である場合、ユーザ抽出部133は、ユーザ情報記録部121に記録されたユーザ情報に基づいて、ビジネスに関するユーザ情報を有するユーザを対象ユーザとして絞り込んでもよい。
これにより、選択部134は、第一クリエイターに関する興味が深く、かつ、ビジネスに関するユーザ情報を有する対象ユーザの位置履歴に基づいて、広告の配信場所を選択することができる。つまり、配信する広告の特性に応じて、例えば、オフィス街やファミリー向け施設など、その広告によりふさわしい配信場所を選択することができる。
【0043】
[変形例2]
上記実施形態において、広告表示装置30は、店舗、街頭等、複数の配信場所に予め設置される例を示したが、この例に限定されない。
例えば、端末装置20を本発明の広告表示装置30として機能させてもよい。この場合、配信部135は、例えば、ステップS3で抽出された対象ユーザが所有する端末装置(ユーザ端末)20を広告表示装置30として機能させるために、対象ユーザがステップS4で選択された配信場所を中心とした所定範囲内に移動した場合に、広告を配信してもよい。
これにより、ユーザの行動に応じて、ユーザが所有するユーザ端末に効果的に広告を配信することができる。
【0044】
[変形例3]
上記実施形態において、広告表示装置30は、店舗、街頭等、複数の配信場所に予め設置される例を示したが、この例に限定されない。
広告表示装置30は、例えば、電車、自動車、飛行機、バス等の移動体に設けられたサイネージであってもよい。この場合、配信部135は、例えば、広告表示装置30が設けられた移動体がステップS4で選択された配信場所を中心とした所定範囲内に移動した場合に、広告を配信してもよい。
これにより、移動体に設けられた広告表示装置30に対しても、効果的に広告を配信することができる。
【0045】
[変形例4]
上記実施形態では、対象ユーザを抽出し、抽出した対象ユーザの位置履歴に基づいて、広告の配信場所を選択する例を示したが、抽出した対象ユーザの行動履歴及び位置履歴を、広告のプロモーション戦略の策定の参考にしてもよい。例えば、対象ユーザの行動履歴及び位置履歴に基づいて、広告を配信するターゲットの選定や広告のフレーズの選定等を行ってもよい。より具体的には、対象ユーザを抽出した際のクエリであるクリエイターのコンテンツから抽出されるフレーズ、当該クリエイターによりよく使われるフレーズ等を、予め記憶しておいてもよく、広告対象のコンテンツからフレーズを抽出し、これらのフレーズを用いた広告を行ってもよい。
さらに、クリエイターまたはコンテンツに関連するカテゴリの商品またはサービスの検索履歴または購買履歴として、クリエイターの職業や属性、及びコンテンツのテーマ、ジャンル等の特徴を示すカテゴリを例示したが、例えば、コンテンツに含まれるフレーズと共起するテーマ、ジャンル等に対して興味度が高いユーザを、対象ユーザとして抽出することにより、広告を配信するターゲットとしてもよい。
【0046】
[変形例5]
上記実施形態では、対象ユーザを抽出し、抽出した対象ユーザの位置履歴に基づいて、広告の配信場所を選択する例を示したが、これに限定されない。例えば、所定のエリア、場所をよく利用するユーザを第二対象ユーザとして抽出し、複数の第二対象ユーザに関して共通するクリエイターを抽出する。そして、当該エリア、場所を配信場所として、その配信場所に配信する広告を、抽出したクリエイターに応じて選択してもよい。なお、抽出されるクリエイターが複数である場合には、それぞれのクリエイターに応じた複数種類の広告を選択して配信してもよい。さらに、第二対象ユーザの行動履歴に基づいて、配信時間帯を選択してもよい。このように、所定のエリア、場所をよく利用するユーザを第二対象ユーザとし、複数の第二対象ユーザに関して共通するクリエイターを抽出して広告を選択することにより、その配信場所に潜在的に需要があると予測できるクリエイターに応じた広告を選択して配信することができる。
【0047】
[変形例6]
上記実施形態では、配信する広告として、第一クリエイター及び第一クリエイターが制作した第一コンテンツの少なくともいずれかを紹介する広告を例示したが、これに限定されない。例えば、上記以外の商品やサービスを紹介する広告であってもよい。
【符号の説明】
【0048】
1…情報処理システム、10…サーバ装置、11…通信部、12…記憶部、13…プロセッサ、20…端末装置、30…広告表示装置、121…ユーザ情報記録部、122…広告情報記録部、123…広告表示装置情報記録部、131…履歴取得部、132…興味度算出部、133…ユーザ抽出部、134…選択部、135…配信部、136…待機時間取得部。