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特許7090144コレステロール低減作用を有するビフィズス菌BZ25発酵乳
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】コレステロール低減作用を有するビフィズス菌BZ25発酵乳
(51)【国際特許分類】
   A23C 9/13 20060101AFI20220616BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20220616BHJP
   C12N 1/20 20060101ALN20220616BHJP
【FI】
A23C9/13
A23L33/135
C12N1/20 E
C12N1/20 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020202210
(22)【出願日】2020-12-04
(65)【公開番号】P2022024959
(43)【公開日】2022-02-09
【審査請求日】2020-12-04
(31)【優先権主張番号】202010686420.5
(32)【優先日】2020-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【微生物の受託番号】CGMCC  CGMCC 10225
(73)【特許権者】
【識別番号】519401712
【氏名又は名称】オクスロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】堺 孝子
(72)【発明者】
【氏名】ヨン リー
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ ウェイ
【審査官】福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105852099(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104560829(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102140142(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105039170(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105901678(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108651997(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106039196(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107647397(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A23C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量部で、
ビフィドバクテリウム・アニマリスであるプロバイオティクス5~35部と、
マツタケ15~70部及びフィトステロール10~40部を含むアジュバントと、
を含むことを特徴とする、コレステロール低減機能を有する発酵乳
【請求項2】
前記発酵乳において、重量部で、前記プロバイオティクスが10~30部であり、前記アジュバントが前記マツタケ20~65部及び前記フィトステロール20~30部を含むことを特徴とする、請求項1に記載の発酵乳
【請求項3】
前記発酵乳において、重量部で、前記プロバイオティクスが10~20部であり、前記アジュバントが前記マツタケ25~40部及び前記フィトステロール20~25部を含むことを特徴とする、請求項2に記載の発酵乳
【請求項4】
前記プロバイオティクスは、受託番号がCGMCC No.10225であるビフィドバクテリウム・アニマリスBZ25であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の発酵乳
【請求項5】
前記マツタケにおけるマツタケ多糖の含有量が14.5%~18.0%であり、及び/または
前記フィトステロールが大豆由来のものであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の発酵乳
【請求項6】
前記アジュバントが、重量部で、亜麻仁油10~50部、紅麹粉末5~40部、パントテン酸5~40部、ニコチン酸5~25部及びプレバイオティクス5~35部を更に含むことを特徴とする、請求項5に記載の発酵乳
【請求項7】
前記プレバイオティクスは、フラクトオリゴ糖、難消化性デキストリン、キシロオリゴ糖、イヌリン、スタキオース、ガラクトオリゴ糖、グルカン、キトサン、イソマルトオリゴ糖から選ばれる1種または多種であり、好ましくはイヌリンまたは難消化性デキストリンから選ばれる1種または2種であることを特徴とする、請求項6に記載の発酵乳
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の発酵乳の、コレステロール低減機能を有する食品、医薬品または保健品の調製における使用であって、好ましくは、前記食品、医薬品または保健品が、コレステロール、トリグリセリド、低密度リポタンパク質コレステロールを低減する機能と、高密度リポタンパク質コレステロールを向上する機能とを有する、使用。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載の発酵乳を活性成分とし、更に粘着剤、崩壊剤、充填剤、甘味剤、安定剤、色素、エッセンスから選ばれる1種または多種を含み、
剤形として、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、乳剤、懸濁剤または発酵剤から選ばれる1種または多種であることを特徴とする、コレステロール低減製剤。
【請求項10】
請求項7に記載の発酵乳を活性成分とし、
受託番号がCGMCC No.10225であるビフィドバクテリウム・アニマリスBZ25を含むコレステロール低減作用を有するビフィズス菌BZ25発酵乳における、前記活性成分の質量百分率が15~50%であることを特徴とする、コレステロール低減作用を有するビフィズス菌BZ25発酵乳。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物製品の技術分野に関し、特にコレステロール低減作用を有するビフィズス菌BZ25発酵乳に関する。
【背景技術】
【0002】
高脂血とは、血中脂質レベルが高すぎることであり、人の健康を著しく損なう多種の病気、例えば、アテローム性動脈硬化、冠状動脈性心疾患、膵炎などを直接に引き起こす。血液脂質レベルは、一般的に、コレステロール(TC)、トリグリセリド(TG)、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)及び高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-C)という四つの物質のレベルにより検出される。通常は、高脂血の人の体内では、コレステロール、トリグリセリド及び低密度リポタンパク質コレステロールのレベルが高く、高密度リポタンパク質コレステロールのレベルが低い。
【0003】
現在では、高脂血による多種の疾病のリスクを低減させるために、体重コントロール、運動トレーニングまたは飲食コントロール、コレステロール及び飽和脂肪酸の含有量の高い食物の摂取制限、或いは医薬品による治療などの手段が用いられている。従来技術では、コレステロール低減機能を有する漢方薬や西洋薬が多種ある。西洋薬では、フィブラート系やスタチン系のコレステロール低減用医薬品が広く応用され、例えば、ベザフィブラート、フェノフィブラート、プラバスタチン、アトルバスタチンなどが挙げられる。しかしながら、これらの医薬品は、使用中に多種の副作用、主に肝臓及び腎臓に対する損害が伴われるが、更にうつ病、血管神経性浮腫、脱毛などの有害反応を引き起こす可能性もある(非特許文献1)。それに対して、漢方薬では、副作用が少ないものの、効果の発揮がゆるやかで、適応性が劣る(特許文献1)。このような矛盾を緩和するために、従来技術では、プロバイオティクスでコレステロール低減機能を有する医薬品または食品を調製する。例えば、プロバイオティクスを乳製品に添加し、コレステロール低減機能を有するプロバイオティクスにより人体内の血中脂質濃度を低減させるもの(特許文献2)がある。その大部分は、プロバイオティクスのコレステロール低減機能のみを利用しているが、実際の応用においてその効果が良好とは言えなく、予想のコレステロール低減効果に達することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】中国特許出願第201610589923.4号
【文献】中国特許出願第201710773744.0号
【非特許文献】
【0005】
【文献】杜暁春ら、スタチン系医薬品による有害反応[J]、世界最新医学情報ダイジェスト、2019、19(72):155
【発明の概要】
【0006】
従来技術の問題を解決するために、本発明は、コレステロール低減作用を有するビフィズス菌BZ25発酵乳を提供する。
【0007】
本発明は、第1、重量部で、ビフィドバクテリウム・アニマリスであるプロバイオティクス5~35部と、マツタケ15~70部及びフィトステロール10~40部を含むアジュバントとを含むコレステロール低減機能を有する組成物を提供する。
【0008】
更に、前記組成物において、重量部で、前記プロバイオティクスが10~30部であり、前記アジュバントがマツタケ20~65部及びフィトステロール20~30部を含む。
【0009】
前記プロバイオティクスが10~20部であり、前記アジュバントがマツタケ25~40部及びフィトステロール20~25部を含むことが好ましい。
【0010】
本発明に用いるプロバイオティクス、フィトステロール、マツタケなどのアジュバントは、いずれも当分野の通常の方法により調製されるか、或いは市販により入手される。
【0011】
前記プロバイオティクスは、ビフィドバクテリウム・アニマリスBZ25(受託番号:CGMCC No.10225、出願番号が201510018130.2である中国特許に由来する)であることが好ましく、当該菌株はコレステロール低減能力が高いとともに、耐酸性、胆汁酸塩耐性、酸素耐性にも優れ、プロバイオティクス特性を有し、プロバイオティクスの増殖をより促進できる。
【0012】
前記アジュバントとしてのマツタケは、マツタケ多糖含有量が14.5%~18.0%であるものが好ましい。
【0013】
前記フィトステロールは、大豆から抽出され、ステロールの含有量が95%~99%であるものが好ましい。
【0014】
従来技術では、一部のプロバイオティクス株は、コレステロールを分解する機能や、腸によるコレステロールの吸収を抑制する機能を有するため、人体のコレステロールのレベルを更に低減する機能を有し、異なる菌株において、有機体のコレステロールのレベルを低減するメカニズムも異なっている。本発明に係るプロバイオティクスBZ25は、主に、コレステロールの吸収・粘着によってコレステロール低減作用を発揮するものである。本発明では、大量な研究を重ねた結果、プロバイオティクスをフィトステロール、マツタケなどのアジュバントと配合することで、プロバイオティクスのコレステロール低減機能がより向上され、これは、主にフィトステロール、マツタケなどのアジュバントがプロバイオティクスBZ25の増殖に対して促進作用を有するためであり、プロバイオティクスをフィトステロール、マツタケなどと併用した後、コレステロールに対するプロバイオティクスの吸収・粘着作用が顕著に強化され、腸によるコレステロールの吸収が減少・阻止されることが見出された。
【0015】
プロバイオティクスのコレステロール低減効果をより発揮させるために、アジュバントにおいて、重量部で、亜麻仁油10~50部、紅麹粉末5~40部、パントテン酸5~40部、ニコチン酸5~25部及びプレバイオティクス5~35部が含まれる。
【0016】
その中で、プレバイオティクスは、フラクトオリゴ糖、難消化性デキストリン 、キシロオリゴ糖、イヌリン、スタキオース、ガラクトオリゴ糖、グルカン、キトサンまたはイソマルトオリゴ糖であり、好ましくはイヌリンまたは難消化性デキストリンであり、これにより、組成物におけるプロバイオティクスの増殖を顕著に促進することができる。
【0017】
さらに、本発明では、前記組成物の、コレステロール低減機能を有する食品添加剤または医薬品の調製における使用を提供する。
【0018】
具体的には、前記組成物は、コレステロール、トリグリセリド及び低密度リポタンパク質コレステロールのレベルを低減するとともに、高密度リポタンパク質コレステロールのレベルを向上することができる。
【0019】
さらに、本発明では、前記組成物を活性成分とし、さらに製剤の形態に応じて、粘着剤、崩壊剤、充填剤、甘味剤、安定剤、色素、エッセンスから選ばれる1種または多種を添加してもよいコレステロール低減製剤を提供する。
【0020】
前記コレステロール低減製剤の剤形は、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、乳剤、懸濁剤または発酵剤から選ばれる1種または多種であってもよい。
【0021】
好ましくは、コレステロール低減作用を有するビフィズス菌BZ25発酵乳における前記活性成分の質量百分率が15~50%である。
【0022】
好ましい実施形態として、本発明では、下記の重量部の成分からなる、コレステロール低減作用を有するビフィズス菌BZ25発酵乳を提供する。
ビフィドバクテリウム・アニマリスBZ25 10~20部
マツタケ 25~40部
フィトステロール 20~25部
亜麻仁油 15~30部
紅麹粉末 10~25部
パントテン酸 5~20部
ニコチン酸 5~20部
イヌリン 5~25部。
【0023】
更に、前記マツタケにおけるマツタケ多糖の含有量が15%~20%である。
【0024】
更に、前記フィトステロールが大豆由来のフィトステロールである。
【0025】
本発明の有益な効果は下記の通りである。
【0026】
本発明では、プロバイオティクスと選別されたアジュバントとを配合した後、プロバイオティクスの増殖・繁殖が顕著に促進され、プロバイオティクスのコレステロール低減機能が向上される。さらに、配合成分を発酵乳にして、動物実験に供し、高リポタンパク飼料を投与したとともに本発明の発酵乳を投与したところ、マウスのコレステロール、トリグリセリド、低密度リポタンパク質コレステロール及び高密度リポタンパク質コレステロールのレベルは、一般的な飼料のみが投与されたマウスと近似し、西洋薬であるロバスタチンによる効果と近似したため、本願の発酵乳はコレステロールレベルを顕著に低減させる機能を有し、高コレステロールの問題を解决するためには、重大な意義を有することが示された。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲はそれらに制限されるものではない。
【0028】
実施例1
本実施例は、下記の重量部の成分を含む、コレステロール低減機能を有する組成物を提供する:
プロバイオティクス5~35部、フィトステロール10~40部、マツタケ15~70部、亜麻仁油10~50部、紅麹粉末5~40部、パントテン酸5~40部、ニコチン酸5~25部及びプレバイオティクス5~35部。
【0029】
当該組成物を活性成分とし、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、乳剤、懸濁剤または発酵剤のような多種の剤形に調製されてもよい。
【0030】
コレステロール低減効果が顕著である形態として、本実施例は、当該組成物をさらに下記の成分を含む発酵乳に調製する:
ビフィドバクテリウム・アニマリス 10部
マツタケ 25部
フィトステロール 25部
亜麻仁油 15部
紅麹粉末 10部
パントテン酸 5部
ニコチン酸 5部
イヌリン 5部
【0031】
上記の成分において、ビフィドバクテリウム・アニマリスがビフィドバクテリウム・アニマリスBZ25である(受託番号:CGMCC No.10225、出願番号が201510018130.2である中国特許に由来する)。
【0032】
具体な調製方法において、上記の重量部の成分を量り(1部が1.0gを示す)、混合した後、動物の乳50部を添加し、攪拌混合してから発酵させ、充填して、発酵乳を調製した。
【0033】
実施例2
本実施例は、下記の重量部の成分を含む、コレステロール低減機能を有する発酵乳を提供する:
マツタケ 40部
ビフィドバクテリウム・アニマリス 10部
フィトステロール 20部
亜麻仁油 15部
紅麹粉末 10部
パントテン酸 5部
ニコチン酸 5部
キトサン 5部
【0034】
上記の成分において、ビフィドバクテリウム・アニマリスがビフィドバクテリウム・アニマリスBZ25である(受託番号:CGMCC No.10225、出願番号が201510018130.2である中国特許に由来する)。
調製方法は実施例1と同じである。
【0035】
実施例3
本実施例は、下記の重量部の成分を含む、コレステロール低減機能を有する発酵乳を提供する:
ビフィドバクテリウム・アニマリス 10部
フィトステロール 25部
マツタケ 25部
【0036】
上記の成分において、ビフィドバクテリウム・アニマリスがビフィドバクテリウム・アニマリスBZ25である(受託番号:CGMCC No.10225、出願番号が201510018130.2である中国特許に由来する)。
調製方法は実施例1と同じである。
【0037】
実施例4
本実施例は、下記の重量部の成分を含む、コレステロール低減機能を有する発酵乳を提供する:
ビフィドバクテリウム・アニマリス 20部
フィトステロール 25部
マツタケ 25部
亜麻仁油 15部
紅麹粉末 10部
パントテン酸 5部
ニコチン酸 5部
イヌリン 5部
【0038】
上記の成分において、ビフィドバクテリウム・アニマリスがビフィドバクテリウム・アニマリスBZ25である(受託番号:CGMCC No.10225、出願番号が201510018130.2である中国特許に由来する)。
調製方法は実施例1と同じである。
【0039】
比較例1
本比較例は、下記の成分を含む、コレステロール低減機能を有する発酵乳を提供する:
フィトステロール 25部
マツタケ 25部
亜麻仁油 15部
紅麹粉末 10部
パントテン酸 5部
ニコチン酸 5部
イヌリン 5部
調製方法及び使用量は実施例1と同じである。
【0040】
比較例2
本比較例は、下記の成分を含む、コレステロール低減機能を有する発酵乳を提供する:
ビフィドバクテリウム・アニマリス 10部
マツタケ 25部
亜麻仁油 15部
紅麹粉末 10部
パントテン酸 5部
ニコチン酸 5部
イヌリン 5部
【0041】
上記の成分において、ビフィドバクテリウム・アニマリスがビフィドバクテリウム・アニマリスBZ25であり(受託番号:CGMCC No.10225、出願番号が201510018130.2である中国特許に由来する)、調製方法及び使用量は実施例1と同じである。
【0042】
比較例3
本比較例は、下記の成分を含む、コレステロール低減機能を有する発酵乳を提供する:
ビフィドバクテリウム・アニマリス 10部
フィトステロール 25部
亜麻仁油 15部
紅麹粉末 10部
パントテン酸 5部
ニコチン酸 5部
キトサン 5部
【0043】
上記の成分において、ビフィドバクテリウム・アニマリスがビフィドバクテリウム・アニマリスBZ25であり(受託番号:CGMCC No.10225、出願番号が201510018130.2である中国特許に由来する)、調製方法は実施例1と同じである。
【0044】
比較例4
本比較例は、下記の成分を含む、コレステロール低減機能を有する発酵乳を提供する:
ラクトバチルス 10部
フィトステロール 25部
マツタケ 25部
亜麻仁油 15部
紅麹粉末 10部
パントテン酸 5部
ニコチン酸 5部
イヌリン 5部
【0045】
上記の成分において、ラクトバチルスが市販の通常のラクトバチルスである。
調製方法は実施例1と同じである。
【0046】
比較例5
本比較例は、下記の成分を含む、血中脂質低減機能を有する発酵乳を提供する:
マツタケ 25部
酵母菌 10部
フィトステロール 25部
亜麻仁油 15部
紅麹粉末 10部
パントテン酸 5部
ニコチン酸 5部
イヌリン 5部
【0047】
上記の成分において、酵母菌は市販の通常の酵母菌である。
調製方法は実施例1と同じである。
【0048】
比較例6
本比較例は、下記の成分を含む、血中脂質低減機能を有する発酵乳を提供する:
マツタケ 25部
酢酸菌 5部
フィトステロール 25部
亜麻仁油 15部
紅麹粉末 10部
パントテン酸 5部
ニコチン酸 5部
イヌリン 5部
【0049】
上記の成分において、酢酸菌は市販により得られたものである。
調製方法は実施例1と同じである。
【0050】
比較例7
ビフィドバクテリウム・アニマリス 10部
亜麻仁油 15部
紅麹粉末 10部
パントテン酸 5部
ニコチン酸 5部
イヌリン 5部
【0051】
上記の成分において、ビフィドバクテリウム・アニマリスがビフィドバクテリウム・アニマリスBZ25であり(受託番号:CGMCC No.10225、出願番号が201510018130.2である中国特許に由来する)、調製方法は実施例1と同じである。
【0052】
試験例1
本試験例において、動物実験により、上記の実施例及び比較例で調製された発酵乳の効果を検証した。実験方法は「保健用食品検査及び評価技術規範(2003版)」に準拠して行われた。
【0053】
具体的には、正常なSDラットグループを選択し、それらを実験群と対照群に分け、さらに、実験群を実験群1~11に分け、対照群をブランク対照群1、ブランク対照群2、陽性対照群に分け、上記の各群においてSDラットを8匹にした。実験群1~4では、それぞれ高リポタンパク飼料を投与したとともに実施例1~4で得られた発酵乳を投与した。実験群5~11では、それぞれ高リポタンパク飼料を投与したとともに比較例1~7で得られた発酵乳を投与した。ブランク対照群1では、通常の飼料を投与した。ブランク対照群2では、高リポタンパク飼料を投与した。陽性対照群では、高リポタンパク飼料を投与したとともにコレステロール低減用医薬品であるロバスタチン錠(北京万生薬業株式会社により調製される)を投与した。
【0054】
ここで、陽性対照群において、ロバスタチン錠の投与量が1kg体重あたり2.8mgであった。実験群1~11において、発酵乳の投与量が1kg体重あたり10.3mgであった。30日連続投与した後、生化学的指標分析装置により実験ラットの血液におけるTC、TG、LDL-C、HDL-Cの濃度を検出した。
【0055】
実験の検出結果を表1及び表2に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
注:「*」は、ブランク対照群と比べて、P<0.05、有意差があることを示し、「+」は、陽性対照群と比べて、P<0.05、有意差があることを示している。
【0058】
表1、2の実験結果により、下記のような結論が推定される。
【0059】
1、実験群1、2、3、4及び陽性対照群は、異なる生化学的指標の実験結果の分析において差異があるが、コレステロール低減効果において全体的に近似しているため、実施例1、2、3、4の組成物がロバスタチン錠に類似する、コレステロール、トリグリセリド及び低密度コレステロールの低減効果を奏したことが示された。
【0060】
2、実験群5~11において、実験群1、2、3、4と比べて、実験群11のコレステロール低減効果が大きく低下した。これにより、プロバイオティクスBZ25のみを使用する場合はある程度のコレステロール低減効果を有するが、フィトステロール、マツタケなどのアジュバントと配合した後、コレステロール低減効果が顕著に向上されたことが示された。
【0061】
3、実験群8~10は、いずれも、血中脂質低減機能を有すると主張する様々な市販プロバイオティクスを使用したが、それらをマツタケとフィトステロールと配合した場合、血中脂質低減効果が明らかではない。
【0062】
以上のように、本発明では、上記の研究により、プロバイオティクスとフィトステロール、マツタケなどのアジュバントとを配合して使用した後、プロバイオティクスのコレステロール低減機能が更に向上されたことが見出された。これは、主にフィトステロール、マツタケなどのアジュバントがプロバイオティクスBZ25の増殖に対して促進作用を有するため、プロバイオティクスを活発的な状態に到達させることができ、プロバイオティクスをフィトステロール、マツタケなどとを併用した後、プロバイオティクスによるコレステロールの吸収、粘着及び沈殿作用が顕著に強化され、腸によるコレステロールの吸収が減少・阻止され、良好なコレステロール低減作用を有するためである。
【0063】
試験例2
アジュバントであるマツタケにおける各成分の、プロバイオティクスBZ25発酵乳の効果に対する影響。
【0064】
マツタケにおける各成分のプロバイオティクスBZ25発酵乳の効果に対する影響を更に研究するために、本発明は、実施例2で調製されたプロバイオティクスBZ25発酵乳を実験群12として、異なる種類のマツタケで実験を行い、方法が試験例1と同じ、これらのマツタケの差異は主にマツタケ多糖成分の含有量が異なることであり、下記の表に示す実験結果が得られた。
【0065】
【表3】
注:「*」は、実験群12と比べて有意差があることを示している。
【0066】
上記の表により、マツタケ多糖含有量が10.1%である場合(対照群2)、当該発酵乳のコレステロール低減作用と実験群12との差異が顕著であるが、マツタケ多糖含有量が15.4%である場合(対照群1)、当該発酵乳のコレステロール低減作用と実験群12との差異が顕著ではないことが明らかとなった。マツタケ多糖含有量が19%である対照群3の発酵乳のコレステロール低減作用と実験群12との差異が顕著ではないことから、マツタケ多糖含有量がある程度となると、組成物のコレステロール低減作用がマツタケ多糖の増加に伴って向上することではなく、抑制の効果が生じる可能性が非常に高いことが示された。なお、マツタケ多糖含有量が18%以上であるマツタケも簡単に得られるものではない。
【0067】
試験例3
アジュバントであるフィトステロールにおける各成分のプロバイオティクスBZ25発酵乳の効果に対する影響。
【0068】
フィトステロールにおける各成分(或いは由来が異なるフィトステロール)による影響を更に研究するために、本発明は実施例2で調製されたプロバイオティクスBZ25発酵乳を実験群12として、由来が異なるフィトステロールで実験を行い、方法が試験例1と同じ、これらの由来が異なるフィトステロールがいずれも市販により得られてもよく、得られた実験結果を下記の表に示す。
【0069】
【表4】
注:「*」は、実験群12と比べて有意差があることを示している。
【0070】
上記の表により、多種の由来のフィトステロール(対照群4~6)は、配合後の効果が近似するが、大豆に由来するフィトステロールのBZ25発酵乳のコレステロール低減効果が最も優れることが示された。
【0071】
上記において、一般的な説明及び具体的な実施形態で本発明を詳しく説明したが、本発明に基づき、いくつかの修正や改善を行い得ることは、当業者にとって明らかである。従って、本発明の趣旨から逸脱しない範疇で行ったこれらの修正や改善は、いずれも本発明の保護しようとする範囲に属する。