(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】特定のVMAT2インヒビターを投与するための方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4745 20060101AFI20220616BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20220616BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20220616BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20220616BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220616BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
A61K31/4745
A61K9/20
A61K9/48
A61P1/16
A61P25/00
A61P43/00 111
(21)【出願番号】P 2020520311
(86)(22)【出願日】2017-10-10
(86)【国際出願番号】 US2017055907
(87)【国際公開番号】W WO2018140093
(87)【国際公開日】2018-08-02
【審査請求日】2020-10-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 刊行物等1.2017年10月5日に公開されたINGREZZA処方情報
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 刊行物等2.2017年4月11日に公開されたINGREZZA処方情報
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 刊行物等3.2017年6月1日に公開されたEvaluation of the Potential for Concomitant Medications to Affect Valbenazine Pharmacokinetics
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 刊行物等4.2017年5月31日に公開されたEvaluation of the Potential for Valbenazine to Elicit Drug Interactions
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 刊行物等5.2017年9月17日に公開されたEvaluation of Potential Drug Interactions With Valbenazine
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 刊行物等6.2017年5月22日に公開されたSingle Dose and Repeat Once-Daily Dose Safety,Tolerability and Pharmacokinetics of Valbenazine in Healthy Male Subjects
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 刊行物等7.2017年6月21日に公開されたEvaluation of the Potential for Concomitant Medications to Affect Valbenazine Pharmacokinetics
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 刊行物等8.2017年6月21日に公開されたEvaluation of the Potential for Valbenazine to Elicit Drug Interactions
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 刊行物等9.2017年5月24日に公開されたPharmacologic Characterization of Valbenazine(NBI-98854)and Its Metabolites
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 刊行物等10.2017年9月21日に公開されたEvaluation of Potential Drug Interactions With Valbenazine
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 刊行物等11.2017年8月1日に公開されたSingle Dose and Repeat Once-Daily Dose Safety,Tolerability and Pharmacokinetics of Valbenazine in Healthy Male Subjects
(73)【特許権者】
【識別番号】398005054
【氏名又は名称】ニューロクライン バイオサイエンシーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】オブライエン, クリストファー エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ボゼジアン, ヘイグ ピー.
【審査官】大島 彰公
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/210180(WO,A2)
【文献】特表2016-506957(JP,A)
【文献】特表2010-509366(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0346270(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0108645(US,A1)
【文献】Safety and Tolerability of Valbenazine(NBI-98854) in Subjcts with Tardive Dyskinesia: Results of Long-Term Exposure Data From Three Studies,Neuropsychopharmacology,2016年12月05日,Vol.41,S212-S213
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61K 9/00- 9/72
A61P 1/00- 1/18
A61P 25/00-25/36
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,l-a]イソキノリン-2-イルエステル、およびその薬学的に受容可能な塩から選択される治療上有効な量の小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを含む、神経学的または精神的な疾患または障害を有する患者を処置するための組成物であって、
前記患者は重度肝障害を有し、
前記組成物は前記患者に経口投与される
ものである、組成物。
【請求項2】
前記組成物が、錠剤またはカプセル剤の形態で投与される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記VMAT2インヒビターが、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,l-a]イソキノリン-2-イルエステルの塩である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記VMAT2インヒビターが、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,l-a]イソキノリン-2-イルエステルの二トシル酸塩である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記患者が、10~15のChild-Pughスコアを有する、請求項1~
4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記患者が、同量の前記VMATインヒビターを投与された通常の肝機能を有する患者における曝露と比較して、より高い(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,l-a]イソキノリン-2-イルエステルおよびその代謝産物(+)-α-HTBZの曝露を有する、請求項1~
4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記曝露が、C
maxまたはAUC
0-∞により測定される、請求項
6に記載の組成物。
【請求項8】
前記神経学的または精神的な疾患または障害が、運動亢進性運動障害、気分障害、双極性障害、統合失調症、統合失調感情障害、気分障害における躁状態、気分障害における鬱状態、難治性強迫障害、レッシュ・ナイハン症候群と関連する神経機能障害、アルツハイマー病と関連する興奮、脆弱X症候群もしくは脆弱X関連振戦-失調症候群、自閉症スペクトラム障害、レット症候群、または舞踏病有棘赤血球増加である、請求項1~
7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記神経学的または精神的な疾患または障害が、運動亢進性運動障害である、請求項1~
8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記運動亢進性運動障害が、遅発性ジスキネジアである、請求項
9に記載の組成物。
【請求項11】
前記運動亢進性運動障害が、トゥレット症候群である、請求項
9に記載の組成物。
【請求項12】
前記運動亢進性運動障害が、ハンチントン病である、請求項
9に記載の組成物。
【請求項13】
前記運動亢進性運動障害が、チックである、請求項
9に記載の組成物。
【請求項14】
前記運動亢進性運動障害が、ハンチントン病と関連する舞踏病である、請求項
9に記載の組成物。
【請求項15】
前記治療上有効な量が、1日1回の、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,l-a]イソキノリン-2-イルエステルの遊離塩基で測定された場合の約40mgに等価な量である、請求項1~
14のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ドパミン作動性システムの調節不全は、いくつかの中枢神経系(CNS)障害(神経学的および精神的な疾患および障害が挙げられる)に不可欠である。これらの神経学的および精神的な疾患および障害としては、運動亢進性運動障害、ならびに統合失調症および気分障害のような状態が挙げられる。そのトランスポータータンパク質である、小胞モノアミントランスポーター-2(VMAT2)は、シナプス前ドパミン放出において重要な役割を果たし、貯蔵および放出のために、細胞質からシナプス小胞へのモノアミン取り込みを調節する。
【0002】
この分野でなされた進歩にも拘わらず、神経学的および精神的な疾患および障害、ならびに本明細書で記載される他の関連疾患または状態の処置に有用な、新たな治療生成物が未だに必要である。1つのこのような薬剤は、バルベナジンであり、これは、以下の化学構造を有する:
【化1】
【0003】
バルベナジン:4-トルエンスルホネート(1:2)(本明細書で「バルベナジン二トシル酸塩(valbenazine ditosylate)」といわれる)の製剤は、FDA承認薬物表示Ingrezza(登録商標)において以前に報告されている。
【0004】
肝障害は、正常な肝機能が低減している状態である。肝障害は、急速な開始を伴う急性であり得るか、または慢性であり得る。慢性肝障害、または肝硬変は、アルコールの過剰消費、肝炎、自己免疫疾患、遺伝、もしくは代謝のような多くの原因から起こり得るか、または特発性であり得る。肝損傷は概して不可逆的であり、処置は、進行の防止および症状の処置からなる。重症例では、肝移植が唯一の選択肢である。肝障害は、顕著な症状を示さない可能性があるか、または血液を凝固させる能力の低減(凝固障害)および脳機能障害(脳症)、腹腔中の体液貯留、増大した感染リスク、性腺機能低下症、肝臓サイズの変化、黄疸、および医薬への感受性の増大のような症状によって特徴づけられ得る。
【0005】
肝障害を有する患者における薬物動態パラメーター(例えば、薬物および/またはその代謝産物のAUC、Cmax、t1/2)の変化は、多くの問題をもたらし得る(用量調節の必要性、処方する際の医師にとっての複雑化、肝機能検査の必要性、正確な用量の利用可能性の欠如、肝障害を有する者へのある種の薬物療法の利用可能性の欠如、および過剰投与が挙げられる)。
【0006】
VMAT2インヒビター(例えば、バルベナジンまたは(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアント)を、それを必要とする患者(ここで上記患者は肝障害を有する)に投与するための方法には、重大な未だ満たされていない必要性が存在する。本開示は、以下の開示を参照して明らかなように、これらおよび他の必要性を満たす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
簡潔な要旨
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター(vesicular monoamine transport)2(VMAT2)インヒビターを、それを必要とする患者に投与するための方法が提供され、ここで上記患者は軽度肝障害を有し、上記方法は、治療上有効な量の上記VMAT2インヒビターを、上記軽度肝障害を有する患者に投与する工程を包含する。
【0008】
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを、それを必要とする患者に投与するための方法がまた提供され、上記方法は、治療上有効な量の上記VMAT2インヒビターを上記患者に投与する工程、上記患者が、軽度肝障害を有することを後に決定する工程、および上記患者への治療上有効な量の上記VMAT2インヒビターの投与を継続する工程を包含する。
【0009】
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを、それを必要とする患者に投与するための方法がまた提供され、ここで上記患者は、中程度または重度の肝障害を有し、上記方法は、約40mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量の前記VMAT2インヒビターを、上記中程度または重度の肝障害を有する患者に1日に1回投与する工程、を包含する。
【0010】
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを、それを必要とする患者に投与するための方法がまた提供され、ここで上記患者は、中程度または重度の肝障害を有し、上記方法は、治療上有効な量の上記VMAT2インヒビターを、上記中程度または重度の肝障害を有する患者に投与する工程を包含し、ここで上記VMAT2インヒビターの治療上有効な量は、中程度または重度の肝障害を有しない患者に投与される量より少ない。
【0011】
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを、それを必要とする患者に投与するための方法もまた提供され、上記方法は、上記患者に治療上有効な量の上記VMAT2インヒビターを投与する工程、上記患者が、中程度または重度の肝障害を有することを後に決定する工程、および約40mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量の上記VMAT2インヒビターを、上記患者に1日に1回投与する工程を包含する。
【0012】
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを、それを必要とする患者に投与するための方法がまた提供され、上記方法は、治療上有効な量の上記VMAT2インヒビターを上記患者に投与する工程、上記患者が、中程度または重度の肝障害を有することを後に決定する工程、および上記VMAT2インヒビターを、中程度または重度の肝障害を有しない患者に投与されるものより少ない量で投与する工程を包含する。
【0013】
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを、それを必要とする患者に投与するための方法がまた提供され、ここで上記患者は、中程度または重度の肝障害を有し、上記方法は、治療上有効な量の上記VMAT2インヒビターを、上記中程度または重度の肝障害を有する患者に投与する工程を包含し、ここで上記投与は、中程度または重度の肝障害のない患者の平均バルベナジンCmaxより約2~約3倍高い平均バルベナジンCmaxを生じる。
【0014】
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを、それを必要とする患者に投与するための方法がまた提供され、ここで上記患者は、中程度または重度の肝障害を有し、上記方法は、治療上有効な量の上記VMAT2インヒビターを、上記中程度または重度の肝障害を有する患者に投与する工程を包含し、ここで上記投与は、中程度または重度の肝障害のない患者の平均(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール AUC0-∞より約3~約4倍高い平均(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール AUC0-∞を生じる。
【0015】
本発明のこれらのおよび他の局面は、以下の詳細な説明を参照すると明らかである。この目的のために、ある種のバックグラウンド情報、手順、化合物、および/または組成物をより詳細に記載する種々の参考文献が、本明細書で示され、各々、それらの全体において本明細書に参考として援用される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
以下の説明において、ある種の具体的詳細が、種々の実施形態の徹底した理解を提供するために示される。しかし、当業者は、本発明が、これらの詳細なしに実施され得ることを理解する。他の場合には、周知の構造が、その実施形態の不必要に不明瞭な説明を回避するために詳細に示されても記載されてもいない。状況が別段要求しなければ、本明細書および以下に続く特許請求の範囲全体を通じて、語句「含む、包含する(comprise)」およびそのバリエーション(例えば、「含む、包含する(comprises)」および「含む、包含する(comprising)」)は、開放系の包括的な意味において、すなわち、「が挙げられるが、これらに限定されない(including, but not limited to)」として解釈されるべきである。さらに、本明細書で提供される見出しは、便宜のために過ぎず、特許請求された発明の範囲または意味を解釈することにはならない。
【0017】
本明細書全体を通じて、「1つの実施形態(one embodiment)」または「一実施形態(an embodiment)」または「いくつかの実施形態(some embodiments)」または「ある種の実施形態(a certain embodiment)」への言及は、その実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造または特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書全体を通じて種々の場所での語句「1つの実施形態において」または「一実施形態において」または「いくつかの実施形態において」または「ある種の実施形態において」の出現は、必ずしも全て同じ実施形態に言及しているわけではない。さらに、その特定の特徴、構造、または特性は、1またはこれより多くの実施形態において任意の適切な様式で組み合わされ得る。
【0018】
また、この明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの、ある(a)」、「1つの、ある(an)」、および「上記、この、その(the)」は、状況が明らかに別のことを規定しなければ、複数形を包含する。
【0019】
本明細書で使用される場合、「バルベナジン(valbenazine)」とは、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,l-a]イソキノリン-2-イルエステル;またはL-バリン,(2R,3R,11bR)-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-2H-ベンゾ[a]キノリジン-2-イルエステルもしくはNBI-98854といわれ得る。
【0020】
本明細書で使用される場合、「(+)-α-HTBZ」とは、構造:
【化2】
を有するバルベナジンの活性代謝産物である化合物を意味する。(+)-α-HTBZは、(2R,3R,11bR)もしくは(+)-α-DHTBZ、または(+)-α-HTBZ、またはR,R,R-DHTBZ、または(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール;または(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはNBI-98782といわれ得る。
【0021】
本明細書で使用される場合、「NBI-136110」とは、構造:
【化3】
を有するバルベナジンの代謝産物である化合物を意味する。
【0022】
本明細書で使用される場合、「同位体バリアント(isotopic variant)」とは、このような化合物を構成する原子のうちの1個またはこれより多くにおいて天然ではない割合の同位体を含む化合物を意味する。ある種の実施形態において、化合物の「同位体バリアント」は、天然でない割合の1またはこれより多くの同位体(水素(1H)、重水素(2H)、トリチウム(3H)、炭素-11(11C)、炭素-12(12C)、炭素-13(13C)、炭素-14(14C)、窒素-13(13N)、窒素-14(14N)、窒素-15(15N)、酸素-14(14O)、酸素-15(15O)、酸素-16(16O)、酸素-17(17O)、酸素-18(18O)、フッ素-17(17F)、フッ素-18(18F)、リン-31(31P)、リン-32(32P)、リン-33(33P)、硫黄-32(32S)、硫黄-33(33S)、硫黄-34(34S)、硫黄-35(35S)、硫黄-36(36S)、塩素-35(35Cl)、塩素-36(36Cl)、塩素-37(37Cl)、臭素-79(79Br)、臭素-81(81Br)、ヨウ素-123(123I)、ヨウ素-125(125I)、ヨウ素-127(127I)、ヨウ素-129(129I)、およびヨウ素-131(131I)が挙げられるが、これらに限定されない)を含む。ある種の実施形態において、化合物の「同位体バリアント」は、安定な形態にある、すなわち、非放射性である。ある種の実施形態において、化合物の「同位体バリアント」は、天然でない割合の1またはこれより多くの同位体(水素(1H)、重水素(2H)、炭素-12(12C)、炭素-13(13C)、窒素-14(14N)、窒素-15(15N)、酸素-16(16O)、酸素-17(17O)、および酸素-18(18O)が挙げられるが、これらに限定されない)を含む。ある種の実施形態において、化合物の「同位体バリアント」は、不安定な形態にある、すなわち、放射性である。ある種の実施形態において、化合物の「同位体バリアント」とは、天然でない割合の1またはこれより多くの同位体(トリチウム(3H)、炭素-11(11C)、炭素-14(14C)、窒素-13(13N)、酸素-14(14O)、および酸素-15(15O)が挙げられるが、これらに限定されない)を含む。本明細書で提供されるとおりの化合物において、当業者の判断に従って実現可能である場合、任意の水素が、例として2Hであり得るか、または任意の炭素が、例として13Cであり得るか、または任意の窒素が、例として15Nであり得、そして任意の酸素が、例として18Oであり得ることは、理解される。ある種の実施形態において、化合物の「同位体バリアント」は、天然でない割合の重水素を含む。
【0023】
本明細書で提供される化合物に関して、特定の原子位置が重水素または「D」または「d」を有すると指定される場合、その位置における重水素の存在量が、重水素の天然の存在量(これは、約0.015%である)より実質的に多いことは、理解される。重水素を有するとして指定される位置は、代表的には、各指定された重水素位置において、ある種の実施形態において、少なくとも1000(15% 重水素組み込み)、少なくとも2000(30% 重水素組み込み)、少なくとも3000(45% 重水素組み込み)、少なくとも3500(52.5% 重水素組み込み)、少なくとも4000(60% 重水素組み込み)、少なくとも4500(67.5% 重水素組み込み)、少なくとも5000(75% 重水素組み込み)、少なくとも5500(82.5% 重水素組み込み)、少なくとも6000(90% 重水素組み込み)、少なくとも6333.3(95% 重水素組み込み)、少なくとも6466.7(97% 重水素組み込み)、少なくとも6600(99% 重水素組み込み)、または少なくとも6633.3(99.5% 重水素組み込み)の最小の同位体濃縮係数(isotopic enrichment factor)を有する。本明細書で提供される化合物の同位体濃縮は、当業者に公知の従来の分析法(質量分析法、核磁気共鳴分光法、および結晶学が挙げられる)を使用して決定され得る。
【0024】
本明細書で使用される場合、「肝障害(hepatic impairment)」とは、肝細胞(肝臓)機能障害を意味する。
【0025】
本明細書で使用される場合、「Child-Pughスコア(Child-Pugh Score)」とは、肝障害の5つの臨床尺度(総ビリルビン、血清アルブミン、PT INR、腹水、および肝性脳症のレベルが挙げられる)に基づくスコアである。各尺度は、1、2、または3というランク付けを与えられ、その5つのランク付けの合計が、Child-Pughスコアである。そのChild-Pughスコアは、被験体をChild-Pugh群の中に配置することによって、肝障害を分類するために使用され得る。
【0026】
本明細書で使用される場合、「軽度肝障害(mild hepatic impairment)」とは、5~6というChild-Pughスコアに基づく肝障害のレベルのランク付けをいう。
【0027】
本明細書で使用される場合、「中程度肝障害(moderate hepatic impairment)」とは、7~9というChild-Pughスコアに基づく肝障害のレベルのランク付けをいう。
【0028】
本明細書で使用される場合、「重度肝障害(severe hepatic impairment)」とは、10~15というChild-Pughスコアに基づく肝障害のレベルのランク付けをいう。
【0029】
本明細書で使用される場合、「運動亢進性障害(hyperkinetic disorder)」または「運動亢進性運動障害(hyperkinetic movement disorder)」または「運動亢進(hyperkinesia)」とは、過剰な、異常な、不随意の運動によって特徴づけられる障害または疾患をいう。これらの神経学的障害としては、振戦、ジストニア、ミオクローヌス、アテトーシス、ハンチントン病、遅発性ジスキネジア、トゥレット症候群、ジストニア、片側バリスム、舞踏病、老年舞踏病、またはチックが挙げられる。
【0030】
本明細書で使用される場合、「遅発性症候群(tardive syndrome)」とは、遅発性ジスキネジア、遅発性ジストニア、遅発性アカシジア、遅発性チック、ミオクローヌス、振戦および離脱-出現症候群(withdrawal-emergent syndrome)を包含するが、これらに限定されない。遅発性ジスキネジアは、顔面、四肢、または体幹の急激な、反復性の、常同的な、不随意の運動によって特徴づけられる。
【0031】
本明細書で使用される場合、「約(about)」とは、述べられた値の±20%を意味し、より具体的には、述べられた値の±10%、±5%、±2%および±1%の値を含む。
【0032】
本明細書で使用される場合、「AUC」とは、投薬事象後の経時的な活性な薬学的成分または代謝産物の血漿濃度の曲線下面積、または積分をいう。
【0033】
本明細書で使用される場合、「AUC0-t」とは、時間0(投薬)から時間「t」までの血漿濃度曲線下の積分である。
【0034】
本明細書で使用される場合、「AUC0-∞」とは、時間0(投薬)から時間無限大までのAUCである。別段述べられなければ、AUCとは、AUC0-∞をいう。しばしば薬物は、塩形態(例えば、バルベナジン二トシル酸塩)でパッケージされ、その投与形態強度は、この塩形態の質量またはその相当する遊離塩基であるバルベナジンの等価な質量に言及する。
【0035】
本明細書で使用される場合、Cmaxは、活性な薬学的成分の送達後に観察された最大の血漿濃度を示す薬物動態パラメーターである。Cmaxは、最大血漿濃度の時間、tmaxにおいて起こる。
【0036】
本明細書で使用される場合、「共投与する(co-administer)」および「共投与(co-administration)」およびこれらの変形は、少なくとも2種の薬物を、その後に、同時に、または結果的に互いに時間が近接して(例えば、その同日内に、または1週間または30日間の期間、またはその少なくとも2種の薬物の各々が血漿中で同時に検出され得るほど十分に近接して)かのいずれかで、患者に投与することを意味する。共投与される場合、2種もしくはこれより多くの活性薬剤は、同じ組成物の一部として共製剤化されるか、または別個の製剤として投与される、これはまた、「付随(concomitant)」投与またはその変形と本明細書でいわれ得る。
【0037】
本明細書で使用される場合、「投与を調節する(adjusting administration)」、「投与を変化させる(altering administration)」、「投薬を調節する(adjusting dosing)」、または「投薬を変化させる(altering dosing)」とは、全て等価であり、その物質の用量を徐々に減らす(tapering off)、減少させる、もしくは増大させる、その患者へのその物質の投与を中止する、またはその物質の代わりに異なる活性薬剤を使用する、を意味する。
【0038】
本明細書で使用される場合、「患者に投与する(administering to a patient)」とは、当該分野で認識される導入手段を介して、その患者に組成物または投与形態を導入するプロセスをいう。
【0039】
本明細書で使用される場合、用語「障害(disorder)」とは、概して同義語であることが意図され、正常な機能を損なうヒトもしくは動物の身体またはその部分のうちの1つの異常な状態を反映し、代表的には、区別可能な徴候および症状が現れるという点で、用語「疾患(disease)」、「症候群(syndrome)」、および「状態(condition)」(医学的状態におけるように)と全て交換可能に使用される。
【0040】
本明細書で使用される場合、「用量(dose)」とは、患者が一度に摂取する、活性薬剤の測定された量を意味する。その活性薬剤がバルベナジン遊離塩基ではないある種の実施形態において、その量は、バルベナジン遊離塩基の相当量に対するモル当量である。例えば、しばしば薬物は、薬学的に受容可能な塩形態(例えば、バルベナジン二トシル酸塩)でパッケージされ、強度に関するその投与量は、相当する遊離塩基であるバルベナジンのモル当量の質量に言及する。一例として、73mgのバルベナジントシル酸塩は、40mgのバルベナジン遊離塩基のモル当量である。
【0041】
本明細書で使用される場合、「投薬レジメン(dosing regimen)」とは、患者が最初に摂取した活性薬剤の用量およびその活性薬剤の任意のその後の用量をその患者が摂取する間隔(時間または対症)(例えば、1日に1回約20~約160mg、例えば、1日に1回約20mg、約40mg、約60mg、約80mg、約100mg、約120mg、または約160mg)を意味する。その活性薬剤のさらなる用量は、その最初に摂取した用量とは異なり得る。
【0042】
本明細書で使用される場合、薬剤、化合物、薬物、組成物または組み合わせの「有効量(effective amount)」および「治療上有効な量(therapeutically effective amount)」とは、被験体または患者(例えば、ヒト被験体または患者)への投与の際に、ある所望の治療効果を生じるために非毒性でかつ有効である量である。被験体のためのその正確な治療上有効な量は、例えば、その被験体のサイズおよび健康状態、その状態の性質および程度、投与のために選択される治療剤または治療剤の組み合わせ、ならびに当業者に公知の他の変数に依存し得る。所定の状況に関する有効量は、慣用的実験法によって決定され、臨床医の判断内である。
【0043】
本明細書で使用される場合、「知らせる(informing)」とは、公開された資料に言及するもしくはこの資料を提供すること、例えば、活性薬剤を公開された資料とともにユーザーに提供すること;あるいは口頭で、例えば、セミナーでのプレゼンテーション、カンファレンス、もしくは他の教育プレゼンテーションによって、医薬情報担当者と医療従事者との間の会話によって、または医療従事者と患者との間の会話によって情報を提示すること;あるいは理解する目的で、ユーザーに意図した情報を示すことを意味する。
【0044】
本明細書で使用される場合、「表示する(labeling)」とは、全てのラベル、あるいは薬学的製品もしくは投与形態上にあるかまたはこのような薬学的製品もしくは投与形態に付随する、書面による、印刷による、図式による、電子的な、言語による、または例証による伝達の他の手段を意味する。
【0045】
本明細書で使用される場合、「医療従事者(medical care worker)」とは、その投与形態を含む活性薬剤に関する情報(安全性、有効性、投薬、投与、または薬物動態に関する情報を含む)を必要とし得るかまたは利用し得る医療分野の従事者を意味する。医療従事者の例としては、医師、薬剤師、医師アシスタント、看護師、補佐人(aides)、世話人(家族のメンバーまたは保護者を含み得る)、救急救命士(emergency medical worker)、および獣医師が挙げられる。
【0046】
本明細書で使用される場合、「薬物適用ガイド(Medication Guide)」とは、21 CFR 208に示される仕様に準拠した薬学的製品のFDA承認患者表示および患者が薬学的製品を安全に使用する方法に関する情報を含む他の適用可能な規則を意味する。薬物適用ガイドは、科学的に正確であり、そして21 CFR 201.57の下でその薬学的製品に関する承認された専門的表示に基づき、かつこれと矛盾しないが、その文言は、これが相当する承認された表示のセクションと同一である必要はない。薬物適用ガイドは代表的には、特別なリスク管理情報を伴う薬学的製品に関して入手可能である。
【0047】
本明細書で使用される場合、「患者(patient)」または「個体(individual)」または「被験体(subject)」とは、治療が所望される哺乳動物(治療が所望されるヒトが挙げられる)を意味し、一般には、その治療のレシピエントをいう。
【0048】
本明細書で使用される場合、「患者パッケージ挿入物(patient package insert)」とは、患者がFDA承認表示の一部である薬学的製品を安全に使用する方法に関する情報を意味する。それは、その製品が分与される場合に患者に配布され得る、その製品についての消費者向けの情報を素人が解る言葉で提供する薬学的製品の専門的表示の延長であり、例えば、それは、利益、リスク、どのようにしてリスク、投与量、または投与を認識するかを記載し得る。
【0049】
本明細書で使用される場合、「薬学的に受容可能な(pharmaceutically acceptable)」とは、生物学的にまたは他の点で望ましくないものではない物質に言及する。すなわち、その物質は、その物質が中に含まれる組成物の他の構成要素のうちのいずれとも、有害な様式で任意の望ましくない生物学的効果もしくは相互作用を引き起こすことなく、患者に投与される薬学的組成物へと組み込まれ得る。用語「薬学的に受容可能な」が薬学的キャリアまたは賦形剤に言及するために使用される場合、そのキャリアまたは賦形剤が、毒物学および製造試験の要求される標準を満たしているか、またはそれが米国食品医薬品局によって用意されたInactive Ingredient Guideに含まれることを示唆する。「薬理学的に活性な(pharmacologically active)」(または「活性な(active)」)誘導体またはアナログにおけるように、「薬理学的に活性な」(または単に「活性な」)は、親化合物と同じタイプの薬理学的活性を有し、程度がおよそ等価である誘導体またはアナログをいう。用語「薬学的に受容可能な塩(pharmaceutically acceptable salt)」とは、例えば、塩酸もしくはリン酸のような無機酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などのような有機酸で形成される酸付加塩を含む。遊離カルボキシル基で形成される塩はまた、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、または水酸化鉄のような無機塩基、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどのような有機塩基から得られ得る。
【0050】
本明細書で使用される場合、「製品(product)」または「薬学的製品(pharmaceutical product)」とは、活性薬剤の投与形態と公開された資料、および必要に応じてパッケージングを意味する。
【0051】
本明細書で使用される場合、「製品挿入物(product insert)」とは、その薬学的製品の専門的表示(処方薬情報)、その薬学的製品の患者パッケージ挿入物、またはその薬学的製品の薬物適用ガイドを意味する。
【0052】
本明細書で使用される場合、「専門的表示(professional labeling)」または「処方薬情報(prescribing information)」とは、その薬学的製品の市場での売買を規制する規制当局(例えば、FDAまたはEMEA)によって承認された薬学的製品の公的説明を意味し、これは、その薬物の安全かつ有効な使用に必要な必須の科学的情報の概要(例えば、適応症および使用法;投与量および投与;その薬物を摂取するべきひと;有害事象(副作用);特別な集団(妊婦、小児、老人など)における使用のための指示;患者に対する安全性情報などのような)を含む。
【0053】
本明細書で使用される場合、「公開された資料(published material)」とは、情報を提供する媒体(印刷による、音声の、視覚的な、または電子媒体(例えば、フライヤー、広告、製品挿入物、印刷による表示、インターネットウェブサイト、インターネットウェブページ、インターネットのポップアップウインドウ、ラジオもしくはテレビ放送、コンパクトディスク、DVD、音響記録、または他の記録媒体もしくは電子媒体)が挙げられる)を意味する。
【0054】
または医療処置から生じる他の望ましくない転帰の確率または可能性を意味する。「許容可能なリスク」とは、個体または群によって許容されると思われる医療処置から生じる危害、傷害、または疾患のリスクの尺度を意味する。リスクが「許容可能である」か否かは、そのリスクをとることと引き換えに得られ得るとその個体または群が理解する利点、そのリスクの大きさについてどんな科学的アドバイスまたは他のアドバイスが提供されるのかを彼らが許容するか否か、ならびに多くの他の因子(政治的および社会的両方)に依存する。有害反応の「許容可能なリスク」は、その有害反応が、その発生確率が小さいか、またはその結果が非常に軽微であるか、またはその活性薬剤の利益(理解されるかまたは現実の)が非常に大きいものであることから、社会における個体または群が、有害反応が起こり得るというリスクをとるかまたはそのリスクに従う意思があることを意味する。有害反応の「許容不能なリスク」とは、社会における個体または群が、その有害反応の発生確率、その有害反応の結果、およびその活性薬剤の利益(理解されるかまたは現実の)に重きを置いたときに、その有害反応が起こり得るというリスクをとるかまたはそのリスクに従う意思がないことを意味する。「リスクにある」とは、高レベルのリスクまたは感受性によって表される状況(state)または状態を意味する。リスク評価は、製品の使用と関連するリスクの性質、頻度、および重篤度を同定および特徴づけることからなる。
【0055】
本明細書で使用される場合、「安全性(safety)」とは、活性薬剤の投与と関連する有害事象(患者関連因子(例えば、年齢、性別、民族性、人種、標的疾患、腎機能もしくは肝機能の異常、併存する疾病、遺伝的特性(例えば、代謝状態)、または環境)、および活性薬剤関連因子(例えば、用量、血漿レベル、曝露継続時間、または併用薬)と関連する有害効果が挙げられる)の発生率または重篤度を意味する。
【0056】
本明細書で使用される場合、「tmax」とは、活性な薬学的成分を送達した後の最大血漿濃度までの時間を規定する薬物動態パラメーターである。
【0057】
本明細書で使用される場合、「t1/2」または「血漿半減期(plasma half-life)」または「消失半減期(elimination half-life)」などは、みかけの血漿終末相半減期(plasma terminal phase half-life)を規定する薬物動態パラメーター、すなわち、薬物の吸収および分布が完了した後、血漿濃度が半分になるまでの時間である。
【0058】
本明細書で使用される場合、「処置する(treating)」または「処置(treatment)」とは、障害の進行を遅らせるかもしくは停止する治療的適用、障害の発生を防止する予防的適用、および/または障害の逆転をいう。障害の逆転は、逆転させる方法を用いると、障害の進行を完全に停止させるのみならず、細胞の挙動がある程度、その障害の非存在下で観察される正常な状況に向かって動くという点で、障害を遅らせるかまたは停止する治療的適用とは異なる。
【0059】
本明細書で使用される場合、「VMAT2」とは、ヒト小胞モノアミントランスポーターアイソフォーム2(モノアミン、特に、神経伝達物質(例えば、ドパミン、ノルエピネフリン、セロトニン、およびヒスタミン)を細胞の細胞質からシナプス小胞へと輸送するように作用する内在性膜タンパク質)をいう。
【0060】
本明細書で使用される場合、用語「VMAT2インヒビター」、「VMAT2を阻害する」、または「VMAT2の阻害」とは、本明細書で開示される化合物がVMAT2の機能を変化させる能力に言及する。VMAT2インヒビターは、そのインヒビターとVMAT2との間に可逆的もしくは不可逆的な共有結合を形成することによって、または非共有結合した複合体の形成を通じて、VMAT2の活性を遮断または低減し得る。このような阻害は、特定の細胞タイプにおいてのみ現れ得るか、または特定の生物学的事象に左右され得る。用語「VMAT2インヒビター」、「VMAT2を阻害する」または「VMAT2の阻害」はまた、VMAT2と天然の基質との間で複合体が形成する確率を減少させることによって、VMAT2の機能を変化させることに言及する。
【0061】
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを、それを必要とする患者に投与するための方法が提供され、その患者は、中程度または重度の肝障害を有し、その方法は、約40mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量のVMAT2インヒビターを、その中程度または重度の肝障害を有する患者に1日に1回投与する工程を包含する。
【0062】
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを、それを必要とする患者に投与するための方法がまた提供され、ここでその患者は、中程度または重度の肝障害を有し、その方法は、治療上有効な量のVMAT2インヒビターを、その中程度または重度の肝障害を有する患者に投与する工程を包含し、ここでそのVMAT2インヒビターの治療上有効な量は、その中程度または重度の肝障害を有しない患者に投与される量より少ない。
【0063】
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを、それを必要とする患者に投与するための方法がまた提供され、その方法は、その患者に、治療上有効な量のVMAT2インヒビターを投与する工程、その患者が、中程度または重度の肝障害を有することを後に決定する工程、および約40mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量のVMAT2インヒビターを、その患者に1日に1回投与する工程を包含する。
【0064】
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを、それを必要とする患者に投与するための方法がまた提供され、その方法は、治療上有効な量のVMAT2インヒビターをその患者に投与する工程、その患者が、中程度または重度の肝障害を有することを後に決定する工程、そのVMAT2インヒビターを、中程度または重度の肝障害を有しない患者に投与されるものより少ない量で投与する工程を包含する。
【0065】
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを、それを必要とする患者に投与するための方法がまた提供され、ここでその患者は、中程度または重度の肝障害を有し、その方法は、治療上有効な量のVMAT2インヒビターを、その中程度または重度の肝障害を有する患者に投与する工程を包含し、ここでその投与は、中程度または重度の肝障害のない患者の平均バルベナジンCmaxより約2~約3倍高い平均バルベナジンCmaxを生じる。
【0066】
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを、それを必要とする患者に投与するための方法がまた提供され、ここでその患者は、中程度または重度の肝障害を有し、その方法は、治療上有効な量のVMAT2インヒビターを、その中程度または重度の肝障害を有する患者に投与する工程を包含し、ここでその投与は、中程度または重度の肝障害のない患者の平均(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール AUC0-∞より約3~約4倍高い平均(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール AUC0-∞を生じる。
【0067】
ある種の実施形態において、その方法は、その患者が、中程度または重度の肝障害を有するか否かを決定する工程をさらに包含する。
【0068】
ある種の実施形態において、その方法は、その患者または医療従事者に、中程度から重度の肝障害を有する患者へのVMAT2インヒビターの投与が、正常な肝機能を有する患者へのVMAT2インヒビターの投与より高いバルベナジンおよび/または(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オールの曝露を生じることを知らせる工程をさらに包含する。
【0069】
ある種の実施形態において、その方法は、その患者または医療従事者に、中程度から重度の肝障害を有する患者へのそのVMAT2インヒビターの投与が、正常な肝機能を有する患者へのそのVMAT2インヒビターの投与より、1またはこれより多くの曝露関連有害反応の増大したリスクを生じ得ることを知らせる工程をさらに包含する。
【0070】
ある種の実施形態において、その1またはこれより多くの曝露関連有害反応は、傾眠、抗コリン作用、平衡障害または転倒、頭痛、アカシジア、嘔吐、悪心、関節痛、QT延長、血中グルコースの上昇、体重の増大、呼吸器感染、流涎、ジスキネジア、錐体外路症状(非アカシジア)、不安、不眠症、プロラクチンの上昇、アルカリホスファターゼの上昇、およびビリルビンの上昇から選択される。ある種の実施形態において、その1またはこれより多くの曝露関連有害反応は、傾眠、抗コリン作用、平衡障害または転倒、頭痛、アカシジア、嘔吐、悪心、関節痛、およびQT延長から選択される。ある種の実施形態において、その1またはこれより多くの曝露関連有害反応は、傾眠およびQT延長から選択される。
【0071】
ある種の実施形態において、その方法は、その患者または医療従事者に、中程度から重度の肝障害を有する患者へのそのVMAT2インヒビターの投与が、正常な肝機能を有する患者への前記VMAT2インヒビターの投与より、その患者のQT間隔を延長し得ることを知らせる工程をさらに包含する。
【0072】
ある種の実施形態において、その患者は中程度肝障害を有する。
【0073】
ある種の実施形態において、その患者は重度肝障害を有する。
【0074】
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを、それを必要とする患者に投与するための方法がまた提供され、ここでその患者は、軽度肝障害を有し、その方法は、治療上有効な量のVMAT2インヒビターを、その軽度肝障害を有する患者に投与する工程を包含する。
【0075】
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを、それを必要とする患者に投与するための方法がまた提供され、その方法は、治療上有効な量のVMAT2インヒビターをその患者に投与する工程、その患者が軽度肝障害を有することを後に決定する工程、およびその患者への治療上有効な量のVMAT2インヒビターの投与を継続する工程を包含する。
【0076】
ある種の実施形態において、その方法は、その患者が軽度肝障害を有するか否かを決定する工程をさらに包含する。
【0077】
ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターは、神経学的または精神的な疾患または障害を処置するためにその患者に投与される。ある種の実施形態において、その神経学的または精神的な疾患または障害は、運動亢進性運動障害、気分障害、双極性障害、統合失調症、統合失調感情障害、気分障害における躁状態、気分障害における鬱状態、難治性強迫障害、レッシュ・ナイハン症候群と関連する神経機能障害、アルツハイマー病と関連する興奮、脆弱X症候群もしくは脆弱X関連振戦-失調症候群、自閉症スペクトラム障害、レット症候群、または舞踏病有棘赤血球増加である。
【0078】
ある種の実施形態において、その神経学的または精神的な疾患または障害は、運動亢進性運動障害である。ある種の実施形態において、その運動亢進性運動障害は、遅発性ジスキネジアである。ある種の実施形態において、その運動亢進性運動障害は、トゥレット症候群である。ある種の実施形態において、その運動亢進性運動障害は、ハンチントン病である。ある種の実施形態において、その運動亢進性運動障害は、チックである。ある種の実施形態において、その運動亢進性運動障害は、ハンチントン病と関連する舞踏病である。ある種の実施形態において、その運動亢進性運動障害は、運動失調、舞踏病、ジストニア、ハンチントン病、ミオクローヌス、不穏下肢症候群、または振戦である。
【0079】
ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターは、経口投与される。
【0080】
ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターは、錠剤またはカプセル剤の形態で投与される。
【0081】
ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターは、食品とともにまたは食品を伴わずに投与される。
【0082】
ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターは、バルベナジンまたはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントである。ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターは、バルベナジンまたはその薬学的に受容可能な塩である。ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターはバルベナジントシル酸塩である。ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターは、バルベナジンの二トシル酸塩である。
【0083】
ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターは、L-バリン,(2R,3R,11bR)-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-9,10-ジ(メトキシ-d3)-3-(2-メチルプロピル)-2H-ベンゾ[a]キノリジン-2-イルエステルまたはその薬学的に受容可能な塩である同位体バリアントである。
【0084】
ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターは、約20mg~約160mgの間のバルベナジン遊離塩基に等価な量で投与される。ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターは、約20mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量で投与される。ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターは、約40mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量で投与される。ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターは、約60mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量で投与される。ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターは、約80mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量で投与される。ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターは、約120mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量で投与される。ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターは、約160mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量で投与される。
【0085】
ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターは、(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントである。
【0086】
ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターは、(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩である。
【0087】
ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターは、(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジ(メトキシ-d3)-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オールまたはその薬学的に受容可能な塩である同位体バリアントである。
【0088】
ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターは、第1の期間にわたって第1の量で投与され、次いで、その量は、第2の量へと増大される。ある種の実施形態において、その第1の期間は1週間である。ある種の実施形態において、その第1の量は、約40mgのバルベナジン遊離塩基に等価である。ある種の実施形態において、その第2の量は、約80mgのバルベナジン遊離塩基に等価である。
【0089】
ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターは、血漿1mLあたり約15ng~約60ngの間の(+)-α-DHTBZの最大血漿濃度(Cmax)および8時間の期間にわたって血漿1mLあたり少なくとも15ngの(+)-α-DHTBZの最小血漿濃度(Cmin)を達成するために十分な量で投与される。
【0090】
ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターは、血漿1mLあたり約15ng~約60ngの間の(+)-α-DHTBZの最大血漿濃度(Cmax)および12時間の期間にわたっておよそそのCmaxの少なくとも約33%~50%の間の最小血漿濃度(Cmin)を達成するために十分な量で投与される。
【0091】
ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターは、(i)血漿1mLあたり約15ng~約60ngの(+)-α-DHTBZの治療濃度範囲;および(ii)約8時間~約24時間の期間にわたって血漿1mLあたり少なくとも15ngの(+)-α-DHTBZの閾値濃度、を達成するために十分な量で投与される。
【0092】
ある種の実施形態において、神経学的または精神的な疾患または障害を処置するための方法が本明細書で提供され、上記方法は、被験体にそのVMAT2インヒビターを含む薬学的組成物を、血漿1mLあたり約15ng~約60ngの間のR,R,R-DHTBZの最大血漿濃度(Cmax)および8時間の期間にわたって血漿1mLあたり少なくとも15ngのR,R,R-DHTBZの最小血漿濃度(Cmin)を達成するために十分な量で投与する工程を包含する。
【0093】
ある種の実施形態において、R,R,R-DHTBZのCmaxは、約15ng/mL、約20ng/mL、約25ng/mL、約30ng/mL、約35ng/mL、約40ng/mL、約45ng/mL、約50ng/mL、約55ng/mL、または約60ng/mL 血漿である。ある種の実施形態において、R,R,R-DHTBZのCminは、8時間、12時間、16時間、20時間、24時間、28時間、または32時間の期間にわたって、少なくとも15ng/mL、少なくとも20ng/mL、少なくとも25ng/mL、少なくとも30ng/mL、または少なくとも35ng/mL 血漿である。ある種の実施形態において、R,R,R-DHTBZのCminは、約15ng/mL~約35ng/mLの間である。
【0094】
ある種の実施形態において、その薬学的組成物は、約15ng/mL~約60ng/mL 血漿のR,R,R-DHTBZのCmaxおよび24時間の期間にわたっておよそそのCmaxの少なくとも33%のCminを提供するために十分な量で投与される。ある種の実施形態において、その薬学的組成物は、約15ng/mL~約60ng/mL 血漿のR,R,R-DHTBZのCmaxおよび24時間の期間にわたっておよそそのCmaxの少なくとも50%のCminを提供するために十分な量で投与される。ある種の実施形態において、その薬学的組成物は、約15ng/mL~約60ng/mL 血漿のR,R,R-DHTBZのCmaxおよび24時間の期間にわたっておよそそのCmaxの少なくとも約33%~50%の間のCminを提供するために十分な量で投与される。
【0095】
ある種の実施形態において、その薬学的組成物は、約15ng/mL~約60ng/mL 血漿のR,R,R-DHTBZのCmaxおよび12時間の期間にわたっておよそそのCmaxの少なくとも33%のCminを提供するために十分な量で投与される。ある種の実施形態において、その薬学的組成物は、約15ng/mL~約60ng/mL 血漿のR,R,R-DHTBZのCmaxおよび12時間の期間にわたっておよそそのCmaxの少なくとも50%のCminを提供するために十分な量で投与される。ある種の実施形態において、その薬学的組成物は、約15ng/mL~約60ng/mL 血漿のR,R,R-DHTBZのCmaxおよび12時間の期間にわたっておよそそのCmaxの少なくとも約33%~50%の間のCminを提供するために十分な量で投与される。
【0096】
ある種の実施形態において、その薬学的組成物は、被験体に、約15ng/mL~約60ng/mL 血漿のR,R,R-DHTBZのCmaxおよび24時間の期間にわたって約5ng/mL~約30ng/mL 血漿の間のCminを提供するために十分な量で投与される。ある種の実施形態において、その薬学的組成物は、約15ng/mL~約60ng/mL 血漿のR,R,R-DHTBZのCmaxおよび24時間の期間にわたって約7.5ng/mL~約30ng/mL 血漿の間のCminを被験体に提供する量で投与される。
【0097】
ある種の実施形態において、神経学的または精神的な疾患または障害を処置するための方法が本明細書で提供され、上記方法は、被験体に、活性な薬学的成分としてそのVMAT2インヒビターを含む薬学的組成物を(i)血漿1mLあたり約15ng~約60ngのR,R,R-DHTBZの治療濃度範囲;および(ii)約8時間~約24時間の期間にわたって血漿1mLあたり少なくとも15ng R,R,R-DHTBZの閾値濃度、を提供するために十分な量で投与する工程を包含する。
【0098】
ある種の実施形態において、上記治療濃度範囲は、血漿1mLあたり約15ngから約35ngまで、約40ngまで、約45ngまで、約50ngまで、または約55ngまでのR,R,R-DHTBZである。
【0099】
ある種の実施形態において、R,R,R-DHTBZの閾値濃度は、約8時間、約12時間、約16時間、約20時間、約24時間、約28時間、または約32時間の期間にわたって、約15ng/mL、約20ng/mL、約25ng/mL、約30ng/mL、約35ng/mL、約40ng/mL、約45ng/mL、約50ng/mL、約55ng/mLまたは約60ng/mL 血漿である。ある種の実施形態において、R,R,R-DHTBZの閾値濃度は、約8時間~約24時間の期間にわたって、約15ng/mL~約35ng/mLの間である。
【0100】
血漿濃度は、当該分野で公知の方法によって、および概してタンデム質量分析法によって測定され得る。
【0101】
ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターの治療上有効な量は、中程度または重度の肝障害のない患者に投与される量より10~90%少ない。
【0102】
ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターの治療上有効な量は、中程度または重度の肝障害のない患者に投与される量より20~80%少ない。
【0103】
ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターの治療上有効な量は、中程度または重度の肝障害のない患者に投与される量より30~70%少ない。
【0104】
ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターの治療上有効な量は、中程度または重度の肝障害のない患者に投与される量より40~60%少ない。
【0105】
ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターの治療上有効な量は、中程度または重度の肝障害のない患者に投与される量より約50%少ない。
【0106】
例えば、中程度または重度の肝障害のない患者に投与される投与量が、40mg/日である場合、個体は、4~36mg/日、例えば、8~32mg/日(例えば、12~28mg/日)、例えば、16~24mg/日、またはある種の実施形態において、約20mg/日の低減した投与量を受け得る。同様に、中程度または重度の肝障害のない患者に投与される投与量は、80mg/日であり、個体は、8~72mg/日、例えば、16~64mg/日(例えば、24~56mg/日)、例えば、32~48mg/日、またはある種の実施形態において、約24mg/日の低減した投与量を受け得る。
【0107】
ある種の実施形態において、患者に投与されるVMAT2インヒビターの用量は、中程度または重度の肝障害のない患者に投与される量の例えば、75%以下、50%以下、または25%以下に低減される。例えば、中程度または重度の肝障害のない患者に投与される量が40mg/日である場合、個体は、30mg/日、20mg/日、または10mg/日の低減した投与量を受け得る。同様に、中程度または重度の肝障害のない患者に投与される量が80mg/日である場合、個体は、60mg/日、40mg/日、または20mg/日の低減した投与量を受け得る。
【0108】
それを必要とする患者において神経学的または精神的な疾患または障害を処置するための方法において使用するための、バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターがまた提供され、ここでその患者は、以前に中程度または重度の肝障害を有したことがあると決定されており、上記方法は、約40mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量のVMAT2インヒビターを、中程度または重度の肝障害を有する患者に1日に1回投与する工程を包含する。
【0109】
それを必要とする患者において神経学的または精神的な疾患または障害を処置するための方法において使用するための、バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターがまた提供され、上記方法は、その患者の肝障害のレベルを決定する工程;その決定された肝障害のレベルが、中程度および重度の肝障害からなる肝障害レベルの群内にある場合に、処置についてその患者を選択する工程;ならびに約40mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量のVMAT2インヒビターを、1日に1回その選択された患者に投与する工程を包含する。ある種の実施形態において、その方法は、その決定された肝障害のレベルが、正常および軽度からなる肝障害レベルの群内にある場合に、処置についてその患者を選択しない工程をさらに包含する。
【0110】
それを必要とする患者において神経学的または精神的な疾患または障害を処置するための方法において使用するための、バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターがまた提供され、その方法は、その患者に、治療上有効な量のVMAT2インヒビターを投与する工程、その患者の肝障害のレベルを後に決定する工程;その決定された肝障害のレベルが、中程度および重度の肝障害からなる肝障害レベルの群内にある場合に、処置についてその患者を選択する工程、ならびに約40mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量のVMAT2インヒビターを、1日に1回その選択された患者に投与する工程を包含する。
【0111】
それを必要とする患者において神経学的または精神的な疾患または障害を処置するための方法において使用するための、バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターがまた提供され、ここでその患者は、以前に軽度肝障害を有したことがあると決定されており、上記方法は、治療上有効な量のVMAT2インヒビターを、その軽度肝障害を有する患者に投与する工程を包含する。
【0112】
それを必要とする患者において神経学的または精神的な疾患または障害を処置するための方法において使用するための、バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターがまた提供され、上記方法は、その患者の肝障害のレベルを決定する工程;その決定された肝障害のレベルが軽度肝障害である場合に、処置についてその患者を選択する工程;および治療上有効な量のVMAT2インヒビターを投与する工程を包含する。ある種の実施形態において、その方法は、その決定された肝障害のレベルが、中程度および重度からなる肝障害レベルの群内にある場合に、処置についてその患者を選択しない工程をさらに包含する。
【0113】
それを必要とする患者において神経学的または精神的な疾患または障害を処置するための方法において使用するための、バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターがまた提供され、上記方法は、その患者に、治療上有効な量のVMAT2インヒビターを投与する工程、その患者の肝障害のレベルを後に決定する工程;その決定された肝障害のレベルが軽度肝障害である場合に、処置についてその患者を選択する工程、および治療上有効な量のVMAT2インヒビターを、その選択された患者に投与する工程を包含する。
【0114】
それを必要とする患者において神経学的または精神的な疾患または障害を処置するための方法において使用するための、バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターがまた提供され、ここでその患者は、以前に中程度または重度の肝障害を有すると決定されており、上記方法は、その患者に、治療上有効な量のVMAT2インヒビターを投与する工程、1またはこれより多くの曝露関連有害反応に耐えられない患者を後に選択する工程、および低減した量のVMAT2インヒビター(例えば、1日に1回、40mg)を、その患者に投与する工程を包含する。
【0115】
それを必要とする患者において神経学的または精神的な疾患または障害を処置するための方法において使用するための、バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターがまた提供され、ここでその患者は、以前に中程度または重度の肝障害を有すると決定されており、上記方法は、その患者に、治療上有効な量のVMAT2インヒビターを投与する工程、1またはこれより多くの曝露関連有害反応に耐え得る患者を後に選択する工程、および治療上有効な量のVMAT2インヒビターをその患者に投与し続ける工程を包含する。
【0116】
バルベナジンは、米国特許第8,039,627号および同第8,357,697号(これら各々の開示は、その全体において本明細書に参考として援用される)に従って調製され得る。テトラベナジンは、PCT公開WO 2010/018408、WO 2011/019956、およびWO 2014/047167(これら各々の開示は、その全体において本明細書に参考として援用される)に開示される製剤を含む種々の方法によって投与され得る。ある種の実施形態において、本明細書で提供される組成物および方法における使用のためのバルベナジンは、米国特許出願第15/338,214号(その開示は、その全体において本明細書に参考として援用される)に開示されるとおりの多形体Iにある。
【0117】
薬学的組成物
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを必要とし、かつ中程度または重度の肝障害を有する患者を処置するための組成物がまた提供され、その組成物は、VMAT2インヒビターを含み、その組成物は、VMAT2インヒビターの、約40mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量で、中程度または重度の肝障害を有する患者に1日に1回投与されるという点で特徴づけられる。
【0118】
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを必要とし、かつ中程度または重度の肝障害を有する患者を処置するための組成物がまた提供され、その組成物は、治療上有効な量のVMAT2インヒビターを含み、ここでそのVMAT2インヒビターの治療上有効な量は、中程度または重度の肝障害を有しない患者に投与される量より少ない。
【0119】
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを必要とする患者を処置するための組成物がまた提供され、その組成物は、VMAT2インヒビターを含み、約40mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量のVMAT2インヒビターを含むその組成物は、治療上有効な量のVMAT2インヒビターを含む組成物の投与後に、中程度または重度の肝障害を有すると後に決定される患者に1日に1回投与されるという点で特徴づけられる。
【0120】
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを必要とする患者を処置するための組成物がまた提供され、その組成物は、VMAT2インヒビターを含み、中程度または重度の肝障害を有しない患者に投与されるものより少ない量のVMAT2インヒビターを含むその組成物は、治療上有効な量のVMAT2インヒビターを含む組成物の投与後に、中程度または重度の肝障害を有すると後に決定される患者に投与されるという点で特徴づけられる。
【0121】
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを必要とし、かつ中程度または重度の肝障害を有する患者を処置するための組成物がまた提供され、その組成物は、治療上有効な量のVMAT2インヒビターを含み、ここでその組成物の投与は、中程度または重度の肝障害のない患者の平均バルベナジンCmaxより約2~約3倍高い平均バルベナジンCmaxを生じる。
【0122】
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを必要とし、かつ中程度または重度の肝障害を有する患者を処置するための組成物がまた提供され、その組成物は、治療上有効な量のVMAT2インヒビターを含み、ここでその組成物の投与は、中程度または重度の肝障害のない患者の平均(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール AUC0-∞より約3~約4倍高い平均(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール AUC0-∞を生じる。
【0123】
ある種の実施形態において、その患者は中程度肝障害を有する。
【0124】
ある種の実施形態において、その患者は重度肝障害を有する。
【0125】
ある種の実施形態において、その患者または医療従事者は、中程度から重度の肝障害を有する患者へのその組成物の投与が、正常な肝機能を有する患者へのその組成物の投与より高いバルベナジンおよび/または(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オールの曝露を生じることを知らされる。
【0126】
ある種の実施形態において、その患者または医療従事者は、中程度から重度の肝障害を有する患者へのその組成物の投与が、正常な肝機能を有する患者へのその組成物の投与より、1またはこれより多くの曝露関連有害反応の増大したリスクを生じ得ることを知らされる。
【0127】
ある種の実施形態において、その1またはこれより多くの曝露関連有害反応は、傾眠、抗コリン作用、平衡障害または転倒、頭痛、アカシジア、嘔吐、悪心、関節痛、QT延長、血中グルコースの上昇、体重の増大、呼吸器感染、流涎、ジスキネジア、錐体外路症状(非アカシジア)、不安、不眠症、プロラクチンの上昇、アルカリホスファターゼの上昇、およびビリルビンの上昇から選択される。
【0128】
ある種の実施形態において、その1またはこれより多くの曝露関連有害反応は、傾眠、抗コリン作用、平衡障害または転倒、頭痛、アカシジア、嘔吐、悪心、関節痛、およびQT延長から選択される。
【0129】
ある種の実施形態において、その1またはこれより多くの曝露関連有害反応は、傾眠およびQT延長から選択される。
【0130】
ある種の実施形態において、その患者または医療従事者は、中程度から重度の肝障害を有する患者へのその組成物の投与が、正常な肝機能を有する患者へのその組成物の投与より、その患者のQT間隔を延長し得ることを知らされる。
【0131】
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを必要とし、かつ軽度肝障害を有する患者を処置するための組成物がまた提供され、その組成物は、治療上有効な量のVMAT2インヒビターを含む。
【0132】
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを必要とする患者を処置するための組成物がまた提供され、その組成物は、VMAT2インヒビターを含み、治療上有効な量のVMAT2インヒビターを含むその組成物は、治療上有効な量のVMAT2インヒビターを含むその組成物の投与後に、軽度肝障害を有すると後に決定される患者に投与されるという点で特徴づけられる。
【0133】
ある種の実施形態において、その組成物は、神経学的または精神的な疾患または障害を処置するためのものである。
【0134】
ある種の実施形態において、その組成物は経口投与される。
【0135】
ある種の実施形態において、その組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態で投与される。
【0136】
ある種の実施形態において、その組成物は、食品とともにまたは食品を伴わずに投与される。
【0137】
ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターは、バルベナジンまたはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントである。
【0138】
ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターは、バルベナジンまたはその薬学的に受容可能な塩である。
【0139】
ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターはバルベナジントシル酸塩である。
【0140】
ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターは、バルベナジンの二トシル酸塩である。
【0141】
ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターは、L-バリン、(2R,3R,11bR)-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-9,10-ジ(メトキシ-d3)-3-(2-メチルプロピル)-2H-ベンゾ[a]キノリジン-2-イルエステルまたはその薬学的に受容可能な塩である同位体バリアントである。
【0142】
ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターは、(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントである。
【0143】
ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターは、(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩である。
【0144】
ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターは、(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジ(メトキシ-d3)-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オールまたはその薬学的に受容可能な塩である同位体バリアントである。
【0145】
ある種の実施形態において、その組成物は、そのVMAT2インヒビターの、約20mg~約120mgの間のバルベナジン遊離塩基に等価な量で投与される。ある種の実施形態において、その組成物は、そのVMAT2インヒビターの、約20mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量で投与される。ある種の実施形態において、その組成物は、そのVMAT2インヒビターの、約40mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量で投与される。ある種の実施形態において、その組成物は、そのVMAT2インヒビターの、約60mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量で投与される。ある種の実施形態において、その組成物は、そのVMAT2インヒビターの、約80mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量で投与される。ある種の実施形態において、その組成物は、そのVMAT2インヒビターの、約120mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量で投与される。
【0146】
ある種の実施形態において、その組成物は、第1の期間にわたって第1の量のVMAT2インヒビターで投与され、次いで、その量は、第2の量へと増大される。ある種の実施形態において、その第1の期間は1週間である。ある種の実施形態において、その第1の量は、約40mgのバルベナジン遊離塩基に等価である。ある種の実施形態において、その第2の量は、約80mgのバルベナジン遊離塩基に等価である。
【0147】
ある種の実施形態において、その組成物は、血漿1mLあたり約15ng~約60ngの間の(+)-α-DHTBZの最大血漿濃度(Cmax)および8時間の期間にわたって血漿1mLあたり少なくとも15ngの(+)-α-DHTBZの最小血漿濃度(Cmin)を達成するために十分な量で投与される。
【0148】
ある種の実施形態において、その組成物は、血漿1mLあたり約15ng~約60ngの間の(+)-α-DHTBZの最大血漿濃度(Cmax)および12時間の期間にわたっておよそそのCmaxの少なくとも約33%~50%の間の最小血漿濃度(Cmin)を達成するために十分な量で投与される。
【0149】
ある種の実施形態において、その組成物は、(i)血漿1mLあたり約15ng~約60ngの(+)-α-DHTBZの治療濃度範囲;および(ii)約8時間~約24時間の期間にわたって血漿1mLあたり少なくとも15ngの(+)-α-DHTBZの閾値濃度、を達成するために十分な量で投与される。
【0150】
ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターの治療上有効な量は、中程度または重度の肝障害のない患者に投与される量より10~90%少ない。ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターの治療上有効な量は、中程度または重度の肝障害のない患者に投与される量より20~80%少ない。ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターの治療上有効な量は、中程度または重度の肝障害のない患者に投与される量より30~70%少ない。ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターの治療上有効な量は、中程度または重度の肝障害のない患者に投与される量より40~60%少ない。ある種の実施形態において、そのVMAT2インヒビターの治療上有効な量は、中程度または重度の肝障害のない患者に投与される量より約50%少ない。
【0151】
神経学的または精神的な疾患または障害を処置することにおける使用のための薬学的組成物がまた本明細書で提供され、その薬学的組成物は、1またはこれより多くの薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤と組み合わせて、活性な薬学的成分としてそのVMAT2インヒビターを含む。
【0152】
賦形剤の選択は、大部分は、特定の投与様式、その活性成分の溶解度および安定性に対するその賦形剤の効果、ならびにその投与形態の性質のような要因に依存する。
【0153】
本明細書で提供される薬学的組成物は、単位投与形態または複数投与形態で提供され得る。単位投与形態は、本明細書で使用される場合、ヒトおよび動物被験体への投与に適しており、当該分野で公知であるように個々にパッケージされた物理的に別個の単位に言及する。各単位用量は、その必要とされる薬学的キャリアまたは賦形剤と関連付けて、その望ましい治療効果を生じるために十分な所定の量の活性成分を含む。単位投与形態の例としては、アンプル、シリンジ、ならびに個々にパッケージされた錠剤およびカプセル剤が挙げられる。単位投与形態は、その分数または倍数で投与されてもよい。複数投与形態は、分離した単位投与形態において投与されるように、単一の容器中にパッケージされた、同一の複数の単位投与形態である。複数単位投与形態の例としては、バイアル、錠剤もしくはカプセル剤のボトル、またはパイントボトル(bottle of pint)もしくはガロンボトル(bottle of gallon)が挙げられる。
【0154】
本明細書で提供される薬学的組成物は、単独で、または1もしくはこれより多くの他の本明細書で提供される化合物、1もしくはこれより多くの他の活性成分と組み合わせて、投与され得る。本明細書で提供される薬学的組成物は、経口、非経口、および局所投与のための種々の投与形態で製剤化され得る。その薬学的組成物はまた、改変された放出投与形態(遅延された、長期間の(extended)、延長した(prolonged)、持続した(sustained)、拍動性の(pulsatile)、制御された(controlled)、加速された(accelerated)、および迅速な(fast)、標的化された、プログラムされた放出の、ならびに胃貯留(gastric retention)の投与形態が挙げられる)として製剤化され得る。これらの投与形態は、当業者に公知の従来の方法および技術に従って調製され得る。本明細書で提供される薬学的組成物は、一度に、または時間間隔をあけて複数回、投与され得る。処置の正確な投与量および継続時間が、処置されている患者の年齢、体重、および状態とともに変動し得、公知の検査プロトコルを使用して経験的に、またはインビボまたはインビトロでの検査または診断データからの外挿によって決定され得ることは、理解される。任意の特定の個体のために、具体的な投薬レジメンが、その個体の必要性、その製剤を投与する人またはその投与を監督する人の専門的判断に従って時間を経て調節されるべきであることは、さらに理解される。
【0155】
経口投与
本明細書で提供される薬学的組成物は、経口投与のための固体、半固体、または液体の投与形態で提供され得る。本明細書で使用される場合、経口投与としてはまた、口内、舌、および舌下投与が挙げられる。適切な経口投与形態としては、錠剤、カプセル剤、丸剤、トローチ、ロゼンジ、芳香錠(pastille)、カシェ剤、ペレット、薬用チューインガム(medicated chewing gum)、顆粒剤、バルク散剤、発泡性もしくは非発泡性の散剤もしくは顆粒剤、液剤、エマルジョン、懸濁物、液剤、ウェハ、散剤(sprinkle)、エリキシル剤、およびシロップ剤が挙げられるが、これらに限定されない。その活性成分に加えて、その薬学的組成物は、1またはこれより多くの薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤(結合剤、充填剤、希釈剤、崩壊剤、湿潤剤、滑沢剤、流動促進剤(glidant)、着色剤、色素移動インヒビター(dye-migration inhibitor)、甘味剤、および矯味矯臭剤が挙げられるが、これらに限定されない)を含み得る。
【0156】
結合剤または造粒剤(granulator)は、錠剤に粘着性を付与して、その錠剤が、圧縮後に無傷なままであることを担保する。適切な結合剤または造粒剤としては、デンプン(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、およびα化デンプン(例えば、STARCH 1500));ゼラチン;糖(例えば、スクロース、グルコース、デキストロース、糖蜜、およびラクトース);天然および合成のガム(例えば、アカシア、アルギン酸、アルギネート、アイリッシュモス抽出物、パンワールガム(Panwar gum)、ガティーガム(ghatti gum)、インドオオバコ種皮の粘着物(mucilage of isabgol husk)、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン(PVP)、Veegum、カラマツアラボガラクタン)(larch arabogalactan)、粉末化トラガカント、およびグアーガム);セルロース(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC);微結晶性セルロース(例えば、AVICEL-PH-101、AVICEL-PH-103、AVICEL RC-581、AVICEL-PH-105(FMC Corp.、Marcus Hook, PA);ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。適切な充填剤としては、タルク、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、粉末化セルロース、デキストレート(dextrate)、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、α化デンプン、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。その結合剤または充填剤は、本明細書で提供される薬学的組成物中に約50重量%~約99重量%存在し得る。
【0157】
適切な希釈剤としては、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、ソルビトール、スクロース、イノシトール、セルロース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、および粉糖が挙げられるが、これらに限定されない。ある種の希釈剤(例えば、マンニトール、ラクトース、ソルビトール、スクロース、およびイノシトール)は、十分量で存在する場合、いくらかの圧縮した錠剤に、噛むことによって口中での崩壊を可能にする特性を付与し得る。このような圧縮された錠剤は、チュアブル錠として使用され得る。
【0158】
適切な崩壊剤としては、アガー;ベントナイト;セルロース(例えば、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース);木質製品;天然のスポンジ;カチオン交換樹脂;アルギン酸;ガム(例えば、グアーガムおよびVee gum HV);柑橘類の髄(citrus pulp);架橋セルロース(例えば、クロスカルメロース);架橋ポリマー(例えば、クロスポビドン);架橋デンプン;炭酸カルシウム;微結晶性セルロース(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム);ポラクリリンカリウム;デンプン(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン、およびα化デンプン);クレイ;アルギン(aligns);およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で提供される薬学的組成物中の崩壊剤の量は、製剤のタイプに応じて変動し、当業者によって容易に認識できる。本明細書で提供される薬学的組成物は、約0.5~約15重量%または約1~約5重量%の崩壊剤を含み得る。
【0159】
適切な滑沢剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ステアリン酸カルシウム;ステアリン酸マグネシウム;鉱油;軽油(light mineral oil);グリセリン;ソルビトール;マンニトール;グリコール(例えば、ベヘン酸グリセロールおよびポリエチレングリコール(PEG));ステアリン酸;ラウリル硫酸ナトリウム;タルク;水素添加植物油(ラッカセイ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、およびダイズ油が挙げられる);ステアリン酸亜鉛;オレイン酸エチル;ラウリン酸エチル;アガー;デンプン;ヒカゲノカズラ(lycopodium);シリカもしくはシリカゲル(例えば、AEROSIL(登録商標)200(W.R. Grace Co., Baltimore, MD)およびCAB-0-SIL(登録商標)(Cabot Co. of Boston, MA));ならびにこれらの混合物。本明細書で提供される薬学的組成物は、約0.1~約5重量%の滑沢剤を含み得る。適切な流動促進剤としては、コロイド性二酸化ケイ素、CAB-0-SIL(登録商標)(Cabot Co. of Boston, MA)、およびアスベスト非含有タルクが挙げられる。着色剤としては、承認された、認定された、水溶性のFD&C色素、および水酸化アルミニウムに懸濁された水に不溶性のFD&C色素、およびレーキ着色料(color lake)ならびにこれらの混合物のいずれかが挙げられる。レーキ着色料は、水溶性色素を重金属の含水酸化物に吸着させ、その色素の不溶性形態を生じることによる組み合わせである。矯味矯臭剤としては、植物(例えば、果実)から抽出された天然のフレーバー、および心地の良い味覚を生じる化合物の人工的なブレンド(例えば、ペパーミントおよびサリチル酸メチル)が挙げられる。甘味剤としては、スクロース、ラクトース、マンニトール、シロップ、グリセリン、および人工甘味料(例えば、サッカリンおよびアスパルテーム)が挙げられる。適切な乳化剤としては、ゼラチン、アカシア、トラガカント、ベントナイト、および界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(TWEEN(登録商標) 20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート80(TWEEN(登録商標) 80)、およびトリエタノールアミンオレエートが挙げられる。懸濁剤および分散剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、トラガカント、Veegum、アカシア、カルボメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンが挙げられる。保存剤としては、グリセリン、メチルパラベンおよびプロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウムおよびアルコールが挙げられる。湿潤剤としては、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレート、およびポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられる。溶媒としては、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコール、およびシロップが挙げられる。エマルジョンにおいて利用される非水性液体の例としては、鉱油および綿実油が挙げられる。有機酸としては、クエン酸および酒石酸が挙げられる。二酸化炭素の供給源としては、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムが挙げられる。
【0160】
多くのキャリアおよび賦形剤は、同じ製剤内ですら、いくつかの機能を果たし得ることは、理解されるべきである。本明細書で提供される薬学的組成物は、圧縮錠剤、錠剤粉砕物(tablet triturate)、チュアブルロゼンジ、迅速に溶解する錠剤、多重圧縮錠剤(multiple compressed tablet)、または腸溶性コーティング錠剤、糖コーティングもしくはフィルムコーティング錠剤として提供され得る。腸溶性コーティングされた錠剤は、胃酸の作用に耐えるが、腸では溶解または崩壊し、従って、その活性成分を胃の酸性環境から守る物質でコーティングされた圧縮錠剤である。腸溶性コーティングとしては、脂肪酸、脂肪、フェニルサリチレート、ワックス、シェラック、アンモニア処理シェラック(ammoniated shellac)、および酢酸フタル酸セルロースが挙げられるが、これらに限定されない。糖コーティング錠剤は、糖コーティングによって囲まれた圧縮錠剤であり、これは、不愉快な味または臭いを包み隠し、その錠剤を酸化から守るにあたって有益であり得る。フィルムコーティング錠剤は、水溶性材料の薄い層またはフィルムで覆われた圧縮錠剤である。フィルムコーティングとしては、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000、および酢酸フタル酸セルロースが挙げられるが、これらに限定されない。フィルムコーティングは、糖コーティングと同じ一般的特性を付与する。多重圧縮錠剤は、1回より多くの圧縮サイクルによって作製された圧縮錠剤(層化錠剤が挙げられる)、および圧縮コーティングされた(press-coated)錠剤または有核錠(dry-coated tablet)である。
【0161】
その錠剤投与形態は、粉末化された、結晶性の、または顆粒状の形態にある活性成分から、単独でまたは本明細書で記載される1もしくはこれより多くのキャリアもしくは賦形剤(結合剤、崩壊剤、制御放出ポリマー、滑沢剤、希釈剤、および/または着色剤が挙げられる)と組み合わせて、調製され得る。矯味矯臭剤および甘味剤は、チュアブル錠およびロゼンジの形成において特に有用である。
【0162】
本明細書で提供される薬学的組成物は、軟質および硬質のカプセル剤として提供され得、これは、ゼラチン、メチルセルロース、デンプン、またはアルギン酸カルシウムから作製され得る。その硬質ゼラチンカプセル剤(乾式充填カプセル剤(DFC)としても公知)は、2つのセクションからなり、一方を他方に被せ、従って、その活性成分を完全に封入する。その軟カプセル剤(SEC)は、軟らかい球状の殻(例えば、ゼラチン殻)であり、この殻は、グリセリン、ソルビトール、または類似のポリオールの添加によって可塑化されている。その軟質のゼラチン殻は、微生物の増殖を防止するために保存剤を含み得る。適切な保存剤は、本明細書で記載されるとおりのもの(メチルパラベンおよびプロピルパラベン、ならびにソルビン酸が挙げられる)である。本明細書で提供される液体、半固体、および固体の投与形態は、カプセル剤中に被包され得る。適切な液体および半固体の投与形態としては、プロピレンカーボネート、植物油、またはトリグリセリド中の液剤および懸濁物が挙げられる。そのカプセル剤はまた、その活性成分の溶解を改変または持続するために、当業者によって公知のようにコーティングされ得る。
【0163】
本明細書で提供される薬学的組成物は、液体および半固体の投与形態(エマルジョン、液剤、懸濁物、エリキシル剤、およびシロップ剤が挙げられる)において提供され得る。エマルジョンは、2層システムであり、このシステムにおいて一方の液体は、もう一方の液体全体の中に小さな球状物の形態で分散され、水中油型または油中水型であり得る。エマルジョンは、薬学的に受容可能な非水性の液体または溶媒、乳化剤、および保存剤を含み得る。懸濁物は、薬学的に受容可能な懸濁剤および保存剤を含み得る。水性アルコール性液剤は、薬学的に受容可能なアセタール(例えば、低級アルキルアルデヒド(用語「低級(lower)」とは、1~6個の間の炭素原子を有するアルキルを意味する)のジ(低級アルキル)アセタール(例えば、アセトアルデヒドジエチルアセタール));および1またはこれより多くのヒドロキシル基を有する水混和性溶媒(例えば、プロピレングリコールおよびエタノール)を含み得る。エリキシル剤は、透明な、甘味のある、含水アルコール液剤である。シロップ剤は、糖(例えば、スクロース)の濃縮水性溶液であり、保存剤も含み得る。液体投与形態に関しては、例えば、ポリエチレングリコール中の液剤は、投与のために便利に測定されるのに十分な量の薬学的に受容可能な液体キャリア(例えば、水)で希釈され得る。
【0164】
他の有用な液体および半固体の投与形態としては、本明細書で提供される活性成分を含むもの、およびジアルキル化モノまたはポリアルキレングリコール(1,2-ジメトキシメタン、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、ポリエチレングリコール-350-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-550-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-750-ジメチルエーテルが挙げられ、ここで350、550、および750とは、ポリエチレングリコールのおよその平均分子量に言及する)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの製剤は、1またはこれより多くの抗酸化剤(例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、ビタミンE、ヒドロキノン、ヒドロキシクマリン、エタノールアミン、レシチン、セファリン、アスコルビン酸、リンゴ酸、ソルビトール、リン酸、ビスルファイト、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオジプロピオン酸およびそのエステル、ならびにジチオカルバメートをさらに含み得る。
【0165】
経口投与のための本明細書で提供される薬学的組成物はまた、リポソーム、ミセル、マイクロスフェア、またはナノシステムの形態で提供され得る。
【0166】
本明細書で提供される薬学的組成物は、液体投与形態へと再構成されるように、非発泡性または発泡性の、顆粒剤および散剤として提供され得る。非発泡性の顆粒剤または散剤において使用される薬学的に受容可能なキャリアおよび賦形剤は、希釈剤、甘味剤、および湿潤剤を含み得る。発泡性の顆粒剤または散剤において使用される薬学的に受容可能なキャリアおよび賦形剤は、有機酸および二酸化炭素の供給源を含み来る。着色剤および矯味矯臭剤は、上記の投与形態の全てにおいて使用され得る。本明細書で提供される薬学的組成物は、即時放出または改変された放出投与形態(遅延された、持続した、拍動型の(pulsed)、制御された、標的化された、およびプログラムされた放出の形態が挙げられる)として製剤化され得る。
【0167】
本明細書で提供される薬学的組成物は、望ましい治療作用を損なわない他の活性成分と、または望ましい作用を補う物質(例えば、制酸薬、プロトンポンプインヒビター、およびH2-レセプターアンタゴニスト)と、共製剤化され得る。
【0168】
本明細書で提供される薬学的組成物は、局所または全身投与のために、注射、注入、または移植によって非経口投与され得る。非経口投与としては、本明細書で使用される場合、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、髄腔内投与、脳室内(intraventricular)投与、尿道内投与、胸骨内投与、頭蓋内投与、筋肉内投与、滑液包内投与、および皮下投与が挙げられる。
【0169】
非経口投与
本明細書で提供される薬学的組成物は、非経口投与に適した任意の投与形態(液剤、懸濁物、エマルジョン、ミセル、リポソーム、マイクロスフェア、ナノシステム、および注射前に液体中の液剤もしくは懸濁物に適した固体形態が挙げられる)において製剤化され得る。このような投与形態は、薬学の当業者に公知の従来の方法に従って調製され得る。
【0170】
非経口投与が意図された薬学的組成物は、1またはこれより多くの薬学的に受容可能なキャリアおよび賦形剤(水性ビヒクル、水混和性ビヒクル、非水性ビヒクル、微生物の増殖に対する抗微生物剤または保存剤、安定化剤、溶解増強剤、等張剤(isotonic agent)、緩衝化剤、抗酸化剤、局所麻酔剤、懸濁剤および分散剤、湿潤剤または乳化剤、錯化剤、封鎖剤またはキレート化剤、凍結保護物質(cryoprotectant)、凍結乾燥保護物質(lyoprotectant)、濃化剤、pH調節剤、および不活性ガスが挙げられるが、これらに限定されない)を含み得る。
【0171】
適切な水性水性ビヒクルとしては、水、食塩水、生理食塩水またはリン酸緩衝化食塩水(PBS)、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、等張性デキストロース注射液、注射用滅菌水、デキストロースおよび乳酸添加リンゲル注射液が挙げられるが、これらに限定されない。非水性ビヒクルとしては、植物起源の不揮発性油、ヒマシ油、コーン油、綿実油、オリーブ油、ラッカセイ油、ペパーミント油、ベニバナ油、ゴマ油、ダイズ油、水素添加植物油、水素添加ダイズ油、およびココナツ油の中鎖トリグリセリド、およびパーム核油(palm seed oil)が挙げられるが、これらに限定されない。水混和性ビヒクルとしては、エタノール、1,3-ブタンジオール、液体ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール300およびポリエチレングリコール400)、プロピレングリコール、グリセリン、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルアセトアミド、およびジメチルスルホキシドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0172】
適切な抗微生物剤または保存剤としては、フェノール、クレゾール、水銀含有物質(mercurial)、ベンジルアルコール、クロロブタノール、p-ヒドロキシ安息香酸メチルおよびp-ヒドロキシ安息香酸プロピル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、メチルパラベンおよびプロピルパラベン、ならびにソルビン酸が挙げられるが、これらに限定されない。適切な等張剤としては、塩化ナトリウム、グリセリン、およびデキストロースが挙げられるが、これらに限定されない。適切な緩衝化剤としては、ホスフェートおよびシトレートが挙げられるが、これらに限定されない。適切な抗酸化剤は、本明細書で記載されるもの(ビスルファイトおよびメタ重亜硫酸ナトリウムが挙げられる)である。適切な局所麻酔剤としては、塩酸プロカインが挙げられるが、これらに限定されない。適切な懸濁剤および分散剤は、本明細書で記載されるもの(カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンが挙げられる)である。適切な乳化剤としては、本明細書で記載されるもの(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート80、およびトリエタノールアミンオレエートが挙げられる)が挙げられる。適切な封鎖剤またはキレート化剤としては、EDTAが挙げられるが、これらに限定されない。適切なpH調節剤としては、水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸、および乳酸が挙げられるが、これらに限定されない。適切な錯化剤としては、シクロデキストリン(α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、およびスルホブチルエーテル7-β-シクロデキストリン(CAPTISOL(登録商標), CyDex, Lenexa, KS)が挙げられる)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0173】
本明細書で提供される薬学的組成物は、単一投与量または複数投与量の投与のために製剤化され得る。その単一投与製剤は、アンプル、バイアル、またはシリンジにパッケージされる。その複数投与量の非経口製剤は、静菌性または静真菌性の濃度で抗微生物剤を含まなければならない。全ての非経口製剤は、当該分野で公知かつ実施されるように、無菌でなければならない。
【0174】
ある種の実施形態において、その薬学的組成物は、使用準備のできた滅菌液剤として提供される。ある種の実施形態において、その薬学的組成物は、使用前にビヒクルで再構成されるように、滅菌乾燥可溶性製品(凍結乾燥散剤および皮下錠剤(hypodermic tablet)が挙げられる)として提供される。ある種の実施形態において、その薬学的組成物は、使用準備のできた滅菌懸濁物として提供される。ある種の実施形態において、その薬学的組成物は、使用前にビヒクルで再構成されるように、滅菌乾燥不溶性製品として提供される。ある種の実施形態において、その薬学的組成物は、使用準備のできた滅菌エマルジョンとして提供される。
【0175】
本明細書で提供される薬学的組成物は、即時放出または改変された放出投与形態(遅延された、持続した、拍動型の、制御された、標的化された、およびプログラムされた放出の形態が挙げられる)として製剤化され得る。
【0176】
その薬学的組成物は、移植されるデポーとしての投与のために、懸濁物、固体、半固体、またはチキソトロピー液体として製剤化され得る。ある種の実施形態において、本明細書で提供される薬学的組成物は、固体不活性マトリクス中に分散され、これは、体液に不溶性であるが、その薬学的組成物中の活性成分がそれを通って拡散することを可能にする外側ポリマー膜によって囲まれている。
【0177】
適切な内側マトリクスとしては、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化もしくは非可塑化ポリビニルクロリド、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン-ビニルアセテートコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカーボネートコポリマー、親水性ポリマー(例えば、アクリル酸およびメタクリル酸のエステルのヒドロゲル、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコール、および架橋された部分加水分解ポリビニルアセテート)が挙げられる。
【0178】
適切な外側ポリマー膜としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、エチレン/ビニルアセテートコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリビニルクロリド、ビニルアセテート、ビニリデンクロリド、エチレンおよびプロピレンとのビニルクロリドコポリマー、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/ビニルアセテート/ビニルアルコールターポリマー、ならびにエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマーが挙げられる。
【0179】
局所投与
本明細書で提供される薬学的組成物は、皮膚、開口部、または粘膜に局所投与され得る。その局所投与としては、本明細書で使用される場合、(皮内)経皮投与、結膜投与、角膜内投与、眼内投与、眼投与、耳投与、経皮投与、鼻投与、膣投与、尿道(uretheral)投与、呼吸器投与、および直腸投与が挙げられる。
【0180】
本明細書で提供される薬学的組成物は、局所効果または全身効果のために、局所投与に適している任意の投与形態(エマルジョン、液剤、懸濁物、クリーム剤、ゲル、ヒドロゲル、軟膏剤、散剤(dusting powder)、包帯剤、エリキシル剤、ローション剤、懸濁物、チンキ剤、パスタ剤、泡沫物、フィルム、エアロゾル、灌注(irrigation)、スプレー、坐剤、包帯、皮膚パッチが挙げられる)で製剤化され得る。本明細書で提供される薬学的組成物の局所製剤はまた、リポソーム、ミセル、マイクロスフェア、ナノシステム、およびこれらの混合物を含み得る。
【0181】
本明細書で提供される局所製剤における使用に適した薬学的に受容可能なキャリアおよび賦形剤としては、水性ビヒクル、水混和性ビヒクル、非水性ビヒクル、微生物の増殖に対する抗微生物剤もしくは保存剤、安定化剤、溶解増強剤、等張剤、緩衝化剤、抗酸化剤、局所麻酔剤、懸濁剤および分散剤、湿潤剤もしくは乳化剤、錯化剤、封鎖剤もしくはキレート化剤、浸透増強剤、凍結保護物質、凍結乾燥保護物質、濃化剤、ならびに不活性ガスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0182】
薬学的組成物はまた、エレクトロポレーション、イオン導入、フォノフォレシス、ソノフォレシスおよびマイクロニードルまたは針なし注射(例えば、POWDERJECTTM(Chiron Corp.,Emeryville,CA)、ならびにBIOJECTTM(Bioject Medical Technologies Inc.,Tualatin,OR)によって局所投与され得る。
【0183】
本明細書で提供される薬学的組成物は、軟膏剤、クリーム剤、およびゲルの形態で提供され得る。適切な軟膏ビヒクルとしては、油性または炭化水素基剤(例えば、ラード、安息香ラード(benzoinated lard)、オリーブ油、綿実油、および他の油、白色ワセリンが挙げられる);乳化可能もしくは吸収基剤(例えば、親水性ワセリン、ヒドロキシステアリンスルフェート(hydroxystearin sulfate)、および無水ラノリン);水分除去可能基剤(water-removable base)(例えば、親水性軟膏剤);水溶性軟膏基剤(種々の分子量のポリエチレングリコールが挙げられる);エマルジョン基剤、油中水(W/O)型エマルジョンまたは水中油(O/W)型エマルジョンのいずれか(セチルアルコール、グリセリルモノステアレート、ラノリン、およびステアリン酸を含む)が挙げられる。これらのビヒクルは、皮膚を柔らかくするが、概して抗酸化剤および保存剤の添加を要する。
【0184】
適切なクリーム基剤は、水中油型または油中水型であり得る。クリームビヒクルは、水で洗浄可能であり得、油相、乳化剤、および水相を含み得る。その油相はまた、「内部」相といわれ、この相は概して、ワセリンおよび脂肪アルコール(例えば、セチルアルコールまたはステアリルアルコール)から構成される。その水相は通常、必ずしもではないものの、容積においてその油相を上回り、概して保水剤を含む。クリーム製剤中の乳化剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、または両性の界面活性剤であり得る。
【0185】
ゲルは、半固体の懸濁物タイプシステムである。単相ゲルは、液体キャリア全体に実質的に均一に分散した有機高分子を含む。適切なゲル化剤は、架橋アクリル酸ポリマー(例えば、カルボマー、カルボキシポリアルキレン、Carbopol(登録商標));親水性ポリマー(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー、およびポリビニルアルコール);セルロースポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、およびメチルセルロース);ガム(例えば、トラガカントおよびキサンタンガム);アルギン酸ナトリウム、およびゼラチンが挙げられる。均一なゲルを調製するために、分散剤(例えば、アルコールまたはグリセリン)が添加され得るか、またはそのゲル化剤は、研和、機械的混合、および/または撹拌によって分散され得る。
【0186】
本明細書で提供される薬学的組成物は、直腸に、尿道に、膣に、または膣周辺に、坐剤、ペッサリー、ブジー、湿布またはパップ剤、パスタ剤、散剤、包帯剤、クリーム剤、硬膏、避妊薬、軟膏剤、液剤、エマルジョン、懸濁物、タンポン、ゲル、泡沫物、スプレー、または浣腸の形態で投与され得る。これらの投与形態は、従来のプロセスを使用して製造され得る。
【0187】
直腸、尿道、および膣の坐剤は、身体の開口部へと挿入するための固体本体であり、これは、通常の温度では固体であるが、体温で融解または軟らかくなって、その活性成分をその開口部の内部へと放出する。直腸および膣坐剤において利用される薬学的に受容可能なキャリアとしては、硬化剤(stiffening agent)(これは、本明細書で提供される薬学的組成物とともに製剤化される場合に、体温付近では融点を生じる);および本明細書で記載されるとおりの抗酸化剤(ビスルファイトおよびメタ重亜硫酸ナトリウムが挙げられる)のようなビヒクルが挙げられる。適切なビヒクルとしては、カカオ脂(cocoa butter)(カカオ脂(theobroma oil))、グリセリン-ゼラチン、カルボワックス(ポリオキシエチレングリコール)、鯨蝋、パラフィン、白色ワックス(white wax)および黄色ワックス(yellow wax)、ならびに脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリドの適切な混合物、ヒドロゲル(例えば、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリル酸);グリセリンゼラチン(glycerinated gelatin)が挙げられるが、これらに限定されない。種々のビヒクルの組み合わせが使用され得る。直腸および膣坐剤は、圧縮法または成形によって調製され得る。直腸および膣坐剤の代表的重量は、約2~3gである。
【0188】
本明細書で提供される薬学的組成物は、液剤、懸濁物、軟膏剤、エマルジョン、ゲル形成液剤、液剤のための粉末、ゲル、眼内挿入物、ならびに移植物の形態で眼に投与され得る。
【0189】
本明細書で提供される薬学的組成物は、気道へと鼻内にまたは吸入によって投与され得る。その薬学的組成物は、単独で、もしくは適切な噴霧体(例えば、1,1,1,2-テトラフルオロエタンまたは1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン)と組み合わせて、加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(例えば、電気流体力学を使用して、微細なミストを生成するアトマイザー)、またはネブライザーを使用する送達のためのエロゾルまたは液剤の形態で提供され得る。その薬学的組成物はまた、単独でまたは不活性キャリア(例えば、ラクトースまたはリン脂質)との組み合わせで、吹送のための乾燥散剤;および点鼻剤として提供され得る。鼻内使用のために、その散剤は、生体接着剤(キトサンまたはシクロデキストリンが挙げられる)を含み得る。
【0190】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザーまたはネブライザーにおける使用のための液剤または懸濁物は、本明細書で提供される活性成分を分散、可溶化またはその放出を長期化するためのエタノール、水性エタノール、もしくは適切な代替の薬剤、溶媒としての噴霧体;および/または界面活性剤、例えば、ソルビタントリオレエート、オレイン酸、またはオリゴ乳酸を含むように製剤化され得る。
【0191】
本明細書で提供される薬学的組成物は、吸入による送達に適したサイズ(例えば、50マイクロメートル以下、または10マイクロメートル以下)へと微粒子化され得る。このようなサイズの粒子は、当業者に公知の粉砕法(例えば、スパイラルジェットミリング、流動床ジェットミリング、ナノ粒子を形成する超臨界流体プロセシング、高圧ホモジナイゼーション、または噴霧乾燥)を使用して調製され得る。
【0192】
吸入器または注入器(insufflator)における使用のためのカプセル剤、ブリスターおよびカートリッジは、本明細書で提供される薬学的組成物;適切な散剤基剤(例えば、ラクトースまたはデンプン);および性能改変物質(performance modifier)(例えば、/-ロイシン、マンニトール、またはステアリン酸マグネシウム)の散剤混合物を含むように製剤化され得る。そのラクトースは、無水であってもよいし、一水和物の形態にあってもよい。他の適切な賦形剤としては、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロース、およびトレハロースが挙げられる。吸入/鼻内投与のための本明細書で提供される薬学的組成物は、適切なフレーバー(例えば、メントールおよびレボメントール)、または甘味料(例えば、サッカリンまたはサッカリンナトリウム)をさらに含み得る。
【0193】
局所投与のための本明細書で提供される薬学的組成物は、即時放出または改変された放出(遅延された、持続した、拍動型の、制御された、標的化された、およびプログラムされた放出が挙げられる)であるように製剤化され得る。
【0194】
改変された放出
本明細書で提供される薬学的組成物は、改変された放出投与形態として製剤化され得る。本明細書で使用される場合、用語「改変された放出」とは、その活性成分の放出の速度または場所が同じ経路によって投与される場合の即時投与形態のものとは異なる投与形態に言及する。改変された放出投与形態としては、遅延された、長期間の、延長した、持続した、拍動性のもしくは拍動型の、制御された、加速された、および迅速な、標的化された、プログラムされた放出の、ならびに胃貯留の投与形態が挙げられる。
【0195】
改変された放出投与形態における薬学的組成物は、当業者に公知の種々の改変された放出デバイスおよび方法(マトリクス制御放出デバイス、浸透圧制御放出デバイス、多重微粒子制御放出デバイス(multiparticulate controlled release device)、イオン交換樹脂、腸溶性コーティング、多層化コーティング、マイクロスフェア、リポソーム、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない)を使用して調製され得る。その活性成分の放出速度はまた、その活性成分の粒子サイズおよび多形を変動させることによって改変され得る。
【0196】
改変された放出投与形態における本明細書で提供される薬学的組成物は、当業者に公知のマトリクス制御放出デバイスを使用して製作され得る。
【0197】
ある種の実施形態において、改変された放出投与形態における本明細書で提供される薬学的組成物は、侵食性マトリクスデバイス(これは、水で膨潤可能であるか、侵食性であるか、または可溶性のポリマーであり、合成ポリマー、ならびに天然に存在するポリマーおよび誘導体(例えば、ポリサッカリドおよびタンパク質)が挙げられる)を使用して製剤化され得る。
【0198】
侵食性マトリクスを形成するにあたって有用な材料としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:キチン、キトサン、デキストラン、およびプルラン;ガム アガー(gum agar)、アラビアガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、トラガカントガム、カラギーナン、ガティーガム(gum ghatti)、グアーガム、キサンタンガム、およびスクレログルカン;デンプン(例えば、デキストリンおよびマルトデキストリン);親水性コロイド(例えば、ペクチン);ホスファチド(例えば、レシチン);アルギネート;プロピレングリコールアルギネート;ゼラチン;コラーゲンおよびセルロース質(cellulosic)(例えば、エチルセルロース(EC)、メチルエチルセルロース(MEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、CMEC、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、酢酸セルロース(CA)、プロピオン酸セルロース(CP)、酪酸セルロース(CB)、酢酸酪酸セルロース(CAB)、CAP、CAT、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、HPMCP、HPMCAS、酢酸トリメリット酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAT)、およびエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC));ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコール;ポリビニルアセテート;グリセロール脂肪酸エステル;ポリアクリルアミド;ポリアクリル酸;エタクリル酸またはメタクリル酸のコポリマー(EUDRAGIT(登録商標)(Rohm America, Inc., Piscataway, NJ));ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート);ポリラクチド;L-グルタミン酸およびエチル-L-グルタメートのコポリマー;分解性乳酸グリコール酸コポリマー;ポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸;ならびに他のアクリル酸誘導体(例えば、ブチルメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、(2-ジメチルアミノエチル)メタクリレート、および(トリメチルアミノエチル)メタクリレートクロリドのホモポリマーおよびコポリマー)。
【0199】
ある種の実施形態において、その薬学的組成物は、非侵食性マトリクスデバイスで製剤化される。その活性成分は、不活性マトリクス中に溶解または分散され、一旦投与された後に、主にその不活性マトリクス全体への拡散によって放出される。非侵食性マトリクスデバイスとしての使用に適した材料としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:不溶性プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、塩素化ポリエチレン、ポリビニルクロリド、メチルアクリレート-メチルメタクリレートコポリマー、エチレン-ビニルアセテートコポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、ビニルアセテート、ビニリデンクロリド、エチレンおよびプロピレンとのビニルクロリドコポリマー、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴム エピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/ビニルアセテート/ビニルアルコールターポリマー、ならびにエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマー、ポリビニルクロリド、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカーボネートコポリマー、ならびに親水性ポリマー(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、クロスポビドン、および架橋された部分加水分解ポリビニルアセテート);ならびに脂肪化合物(例えば、カルナウバ蝋、マイクロクリスタリンワックス、およびトリグリセリド)。
【0200】
マトリクス制御放出システムでは、所望の放出動態は、例えば、使用されるポリマータイプ、ポリマー粘性、そのポリマーおよび/またはその活性成分の粒子サイズ、そのポリマーに対する活性成分の比、ならびにその組成物中の他の賦形剤を介して制御され得る。
【0201】
改変された放出投与形態における本明細書で提供される薬学的組成物は、当業者に公知の方法(直接圧縮、乾式造粒もしくは湿式造粒に続いて圧縮、溶融造粒に続いて圧縮が挙げられる)によって調製され得る。
【0202】
改変された放出投与形態における本明細書で提供される薬学的組成物は、浸透圧制御放出デバイス(1チャンバシステム、2チャンバシステム、非対称膜技術(asymmetric membrane technology)(AMT)、および押し出しコアシステム(extruding core system)(ECS)が挙げられる)を使用して製作され得る。一般に、このようなデバイスは、少なくとも2つの構成要素:(a)その活性成分を含むコア;および(b)少なくとも1つの送達ポートを有する半透膜(これは、そのコアを被包する)を有する。その半透膜は、その送達ポートを通じた押し出しによる薬物放出を引き起こすために、水性の使用環境からそのコアへの水の流入を制御する。
【0203】
その活性成分に加えて、その浸透デバイスのコアは、浸透圧作用物質(osmotic agent)(これは、その使用環境からそのデバイスのコアへの水の輸送の駆動力を作り出す)を必要に応じて含む。浸透圧作用物質の1つのクラスである水膨潤性親水性ポリマー(これはまた、「浸透ポリマー(osmopolymer)」および「ヒドロゲル」ともいわれる)としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:親水性ビニルおよびアクリルポリマー、ポリサッカリド(例えば、アルギン酸カルシウム)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(アクリル)酸、ポリ(メタクリル)酸、ポリビニルピロリドン(PVP)、架橋PVP、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA/PVPコポリマー、疎水性モノマー(例えば、メチルメタクリレートおよびビニルアセテート)とのPVA/PVPコポリマー、大きなPEOブロックを含む親水性ポリウレタン、クロスカルメロースナトリウム、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)およびカルボキシエチルセルロース(CEC)、アルギン酸ナトリウム、ポリカルボフィル、ゼラチン、キサンタンガム、ならびにデンプングリコール酸ナトリウム。
【0204】
他のクラスの浸透圧作用物質は、オスモゲン(osmogen)であり、これは、水を吸収して、周りのコーティングの障壁を横断して浸透圧勾配に影響を及ぼし得る。適切なオスモゲンとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:無機塩(例えば、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、塩化カリウム、および硫酸ナトリウム);糖(例えば、デキストロース、フルクトース、グルコース、イノシトール、ラクトース、マルトース、マンニトール、ラフィノース、ソルビトール、スクロース、トレハロース、およびキシリトール);有機酸(例えば、アスコルビン酸、安息香酸、フマル酸、クエン酸、マレイン酸、セバシン酸、ソルビン酸、アジピン酸、エデト酸、グルタミン酸、p-トルエンスルホン酸、コハク酸、および酒石酸);尿素;およびこれらの混合物。
【0205】
異なる溶解速度の浸透圧作用物質は、どのようにして迅速にその活性成分をその投与形態から最初に送達するかに影響を及ぼすために使用され得る。例えば、無定形糖(例えば、Mannogeme EZ(SPI Pharma, Lewes, DE))は、最初の2~3時間の間のより迅速な送達を提供して、所望の治療効果を適切に生じ、そして徐々にかつ連続して残りの量を放出して、長期間にわたって所望のレベルの治療効果もしくは予防効果を維持するために使用され得る。この場合、その活性成分は、代謝されかつ排出された活性成分の量を置き換えるために、このような速度で放出される。
【0206】
そのコアはまた、その投与形態の性能を高めるか、または安定性もしくは加工処理を促進するために、本明細書で記載されるとおりの広く種々の他の賦形剤およびキャリアを含み得る。
【0207】
半透膜を形成するにあたって有用な材料としては、種々のグレードのアクリル物質、ビニル、エーテル、ポリアミド、ポリエステル、および生理学的に関連するpHにおいて水透過性かつ水不溶性であるか、または化学変化(例えば、架橋)によって水不溶性にされやすいセルロース誘導体が挙げられる。コーティングを形成するにあたって有用な適切なポリマーの例としては、以下が挙げられる:可塑化、非可塑化、および強化された酢酸セルロース(CA)、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、CAプロピオネート、硝酸セルロース、酢酸酪酸セルロース(CAB)、CAエチルカルバメート、CAP、CAメチルカルバメート、CAスクシネート、酢酸トリメリット酸セルロース(CAT)、CAジメチルアミノアセテート、CAエチルカーボネート、CAクロロアセテート、CAエチルオキサレート、CAメチルスルホネート、CAブチルスルホネート、CA p-トルエンスルホネート、アガーアセテート、三酢酸アミロース、βグルカンアセテート、βグルカントリアセテート、アセトアルデヒドジメチルアセテート、ローカストビーンガムのトリアセテート、ヒドロキシル化エチレン-ビニルアセテート、EC、PEG、PPG、PEG/PPGコポリマー、PVP、HEC、HPC、CMC、CMEC、HPMC、HPMCP、HPMCAS、HPMCAT、ポリ(アクリル)酸およびエステルならびにポリ(メタクリル)酸およびエステルならびにそのコポリマー、デンプン、デキストラン、デキストリン、キトサン、コラーゲン、ゼラチン、ポリアルケン、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリビニルハライド、ポリビニルエステルおよびエーテル、天然ワックスおよび合成ワックス。
【0208】
半透膜はまた、疎水性の微孔質膜であり得、ここでその孔は、ガスで実質的に充填され、水性媒体で湿らされないが、米国特許第5,798,119号に開示されるように水に透過性である。このような疎水性であるが、水透過性の膜は代表的には、疎水性ポリマー、例えば、ポリアルケン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリル酸誘導体、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリビニルハライド、ポリビニリデンフルオリド、ポリビニルエステルおよびエーテル、天然ワックス、および合成ワックスから構成される。その半透膜上の送達ポートは、機械的またはレーザー穿孔によってコーティング後に形成され得る。送達ポートはまた、水溶性材料のプラグの浸食によって、またはコアにおける凹み(indentation)の上の膜の薄い部分を破ることによって、その場で形成され得る。さらに、送達ポートは、コーティングプロセスの間に形成され得る。
【0209】
放出される活性成分の総量および放出速度は、その半透膜の厚みおよび多孔度、そのコアの組成、ならびにその送達ポートの数、サイズ、および位置を介して実質的に調節され得る。
【0210】
浸透圧制御放出投与形態における薬学的組成物は、その製剤の性能または加工処理を促進するために、本明細書に記載されるとおりのさらなる従来の賦形剤をさらに含み得る。
【0211】
その浸透圧制御放出投与形態は、当業者に公知の従来の方法および技術に従って調製され得る。
【0212】
ある種の実施形態において、本明細書で提供される薬学的組成物は、AMT制御放出投与形態として製剤化され、これは、その活性成分および他の薬学的に受容可能な賦形剤を含むコアをコーティングする非対称浸透膜を含む。そのAMT制御放出投与形態は、当業者に公知の従来の方法および技術(直接圧縮、乾式造粒、湿式造粒、および浸漬コーティング法が挙げられる)に従って調製され得る。
【0213】
ある種の実施形態において、本明細書で提供される薬学的組成物は、ESC制御放出投与形態として製剤化され、これは、その活性成分、ヒドロキシルエチルセルロース、および他の薬学的に受容可能な賦形剤を含むコアをコーティングする浸透膜を含む。
【0214】
改変された放出投与形態における本明細書で提供される薬学的組成物は、多重微粒子制御放出デバイスとして製作され得、これは、直径が約10pm~約3mm、約50pm~約2.5mm、または約100pm~1mmの範囲に及ぶ、多数の粒子、顆粒、またはペレットを含む。このような多重微粒子は、当業者に公知のプロセス(湿式および乾式造粒、押し出し/球形化、ローラー圧縮、融解-凝固が挙げられる)によって、およびシードコアをスプレーコーティングすることによって、作製され得る。
【0215】
本明細書で記載されるとおりの他の賦形剤は、その多重微粒子を加工処理および形成することを補助するために、その薬学的組成物とブレンドされ得る。その得られた粒子は、それ自体、多重微粒子デバイスを構成し得るか、または種々のフィルム形成材料(例えば、腸溶性ポリマー、水膨潤可能なポリマー、および水溶性ポリマー)によってコーティングされ得る。その多重微粒子は、カプセル剤または錠剤としてさらに加工処理され得る。
【0216】
標的化送達
本明細書で提供される薬学的組成物はまた、処置されるべき被験体の特定の組織、レセプター、または身体の他の領域に標的化されるように製剤化され得る(リポソームベースの、再シールされた(resealed)赤血球ベースの、および抗体ベースの送達システムが挙げられる)。
【0217】
投与量
チック障害または他の状態、VMAT2阻害と関連する障害または疾患の1またはこれより多くの症状の処置、防止、または改善において、適切な投与量レベルは、一般に、約0.001~100mg/kg 患者体重/日(mg/kg/日)、約0.01~約80mg/kg/日、約0.1~約50mg/kg/日、約0.5~約25mg/kg/日、または約1~約20mg/kg/日であり、これは、単一用量または複数用量で投与され得る。この範囲内では、その投与量は、0.005~0.05mg/kg/日、0.05~0.5mg/kg/日、または0.5~5.0mg/kg/日、1~15mg/kg/日、1~20mg/kg/日、または1~50mg/kg/日であり得る。ある種の実施形態において、その投与量レベルは、約0.001~100mg/kg/日である。
【0218】
ある種の実施形態において、その投与量レベルは、約25~100mg/kg/日である。ある種の実施形態において、その投与量レベルは、約0.01~約40mg/kg/日である。ある種の実施形態において、その投与量レベルは、約0.1~約80mg/kg/日である。ある種の実施形態において、その投与量レベルは、約0.1~約50mg/kg/日である。ある種の実施形態において、その投与量レベルは、約0.1~約40mg/kg/日である。ある種の実施形態において、その投与量レベルは、約0.5~約80mg/kg/日である。ある種の実施形態において、その投与量レベルは、約0.5~約40mg/kg/日である。ある種の実施形態において、その投与量レベルは、約0.5~約25mg/kg/日である。ある種の実施形態において、その投与量レベルは、約1~約80mg/kg/日である。ある種の実施形態において、その投与量レベルは、約1~約75mg/kg/日である。ある種の実施形態において、その投与量レベルは、約1~約50mg/kg/日である。ある種の実施形態において、その投与量レベルは、約1~約40mg/kg/日である。ある種の実施形態において、その投与量レベルは、約1~約25mg/kg/日である。
【0219】
ある種の実施形態において、その投与量レベルは、約5.0~150mg/日であり、ある種の実施形態において、10~100mg/日である。ある種の実施形態において、その投与量レベルは、約80mg/日である。ある種の実施形態において、その投与量レベルは、約40mg/日である。
【0220】
経口投与に関しては、その薬学的組成物は、その処置されるべき患者に対するその投与量の対症的調節のために、1.0~1,000mgの活性成分、特に、約1mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約45mg、約50mg、約75mg、約80mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約750mg、約800mg、約900mg、および約1,000mgの活性成分を含む錠剤の形態で提供され得る。ある種の実施形態において、その薬学的組成物は、約100mgの活性成分を含む錠剤の形態で提供され得る。ある種の実施形態において、その薬学的組成物は、約80mgの活性成分を含む錠剤の形態で提供され得る。ある種の実施形態において、その薬学的組成物は、約75mgの活性成分を含む錠剤の形態で提供され得る。ある種の実施形態において、その薬学的組成物は、約50mgの活性成分を含む錠剤の形態で提供され得る。ある種の実施形態において、その薬学的組成物は、約40mgの活性成分を含む錠剤の形態で提供され得る。ある種の実施形態において、その薬学的組成物は、約25mgの活性成分を含む錠剤の形態で提供され得る。その組成物は、1~4回/日のレジメン(1回、2回、3回、および4回/日が挙げられる)で投与され得る。
【0221】
しかし、任意の特定の患者に対する投与量の具体的な投与レベルおよび頻度が変動し得、使用される具体的な化合物の活性、その化合物の代謝安定性および作用の長さ、年齢、体重、全般的な健康状態、性別、食餌、投与様式および投与時間、排出速度、薬物の組み合わせ、その特定の状態の重篤度、ならびに治療を受けている宿主を含む種々の要因に依存することは、理解される。
【0222】
本明細書で提供される化合物はまた、本明細書で提供される化合物が有用である、その疾患または状態(一般には抗精神病薬薬物適用で処置されるチック障害および他の状態が挙げられる)の1またはこれより多くの症状の処置、防止、または改善において有用な他の薬剤と合わされ得るか、または組み合わせて使用され得る。
【0223】
ある種の実施形態において、本明細書で提供される化合物はまた、代表的な抗精神病薬と合わされ得るか、または組み合わせて使用され得る。ある種の実施形態において、その代表的な抗精神病薬は、フルフェナジン、ハロペリドール、ロキサピン、モリンドン、ペルフェナジン、ピモジド、スルピリド、チオリダジン、またはトリフルオペラジンである。ある種の実施形態において、その抗精神病薬は、非典型的抗精神病薬である。ある種の実施形態において、その非典型的抗精神病薬は、アリピプラゾール、アセナピン、クロザピン、イロペリドン、オランザピン、パリペリドン、クエチアピン、リスペリドン、またはジプラシドンである。ある種の実施形態において、その非典型的抗精神病薬は、クロザピンである。
【0224】
このような他の薬剤、または薬物は、その一般に使用される、経路によっておよび量で、本明細書で提供される化合物と同時にまたは逐次的に投与され得る。本明細書で提供される化合物が1またはこれより多くの他の薬物と同時に使用される場合、本明細書で提供される化合物に加えてこのような他の薬物を含む薬学的組成物は、利用され得るが、要求はされない。よって、本明細書で提供される薬学的組成物は、本明細書で提供される化合物に加えて、1またはこれより多くの他の活性成分または治療剤も含むものを含む。
【0225】
本明細書で提供される化合物 対 その第2の活性成分の重量比は変動し得、各成分の有効用量に依存する。一般に、各々の有効用量が使用される。従って、例えば、本明細書で提供される化合物がその第2の薬物、またはそのような他の薬物を含む薬学的組成物と組み合わせて使用される場合、微粒子物 対 その第2の薬物の重量比は、約1,000:1~約1:1,000、または約200:1~約1:200の範囲に及び得る。
【0226】
本明細書で提供される微粒子物および他の活性成分の組み合わせはまた、一般に、前述の範囲内であり得るが、各場合において、各活性成分の有効用量が使用されるべきである。
【0227】
本開示の実施形態の例は、以下の実施例において提供される。以下の実施例は、例証によって、および本開示を使用するにあたって当業者を補助するために提示されるに過ぎない。実施例は、本開示の範囲を限定するとは決して意図されない。
【実施例】
【0228】
実施例1
軽度、中程度、または重度の肝不全を有する被験体におけるNBI-98854の単一用量の安全性、耐容性、および薬物動態を評価するフェーズ1試験
これは、正常な肝機能を有する被験体に対して、軽度、中程度、および重度の肝障害を有する被験体におけるNBI-98854 50mgの単一用量およびその代謝産物の安全性、耐容性、およびPKを評価するためのフェーズI単一用量非盲検試験であった。全体として、24名の男性および女性の被験体を登録した(正常な肝機能を有する6名の被験体(群I)、軽度の安定な肝障害を有する6名の被験体(群II)、中程度の安定な肝障害を有する6名の被験体(群III)、および重度の安定な肝障害を有する6名の被験体(群IV)を含む)。正常な肝機能で登録した被験体は、年齢、性別、人種および体重において、肝障害を有するそのおよそ18名の被験体に類似であることとした。全ての被験体を遺伝子型決定して、彼らのシトクロムP450 2D6(CYP2D6)状態を決定した。
【0229】
Child-Pughスケールを使用して、軽度(5~6のスコア)、中程度(7~9のスコア)、および重度(10~15のスコア)の肝障害群に割り当てるために、肝障害の程度を分類した。
【0230】
インフォームド・コンセントを提供した後に、被験体を、1日目に、28日間の試験薬の投薬内の適格性に関してスクリーニングした。適格な被験体を、投薬日前の朝(-1日目)に施設に入れ、施設に4日間留まらせた。被験体は、72時間のPKサンプルの回収および安全性評価の後、4日目に解放された。5日目および6日目の朝に、被験体は、PKサンプル回収および安全性評価のために施設へと戻った;最後の試験訪問は、8日目に行った(投薬後7日)。
【0231】
1日目に、NBI-98854 50mgの単一用量をおよそ0800時に投与し、NBI-98854およびその代謝産物のPK分析のための血液サンプルを、投薬のおよそ45分前および投薬の120時間後までに集めた。本試験を通して予定された時間に安全性評価を行った。
【0232】
NBI-98854 50mg カプセルを経口投与した。各カプセルは、50mgのNBI-98854遊離塩基を二トシル酸塩として含んだ。NBI-98854ロット番号1560.002を、本試験において使用した。
【0233】
薬物動態
1日目に、NBI-98854およびその代謝産物のPK分析のための血液サンプルを、投薬のおよそ45分前、および投薬の0.25時間後、0.5時間後、0.75時間後、1時間後、1.25時間後、1.5時間後、2時間後、3時間後、4時間後、6時間後、8時間後、10時間後、12時間後、16時間後、24時間後、36時間後、48時間後、72時間後、96時間後、および120時間後に集めた。以下のPKパラメーターを、計算した:
・ 0~24時間の血漿濃度 対 時間曲線下の面積(AUC0-24)
・ 時間0から最後の定量可能濃度の時間までの血漿濃度 対 時間曲線下の面積(AUC0-tlast)
・ 時間0から無限大までの血漿濃度 対 時間曲線下の面積(AUC0-∞)、
・ AUC0-tlastからAUC0-∞までの外挿したAUCのパーセンテージ(AUCextr)
・ 最大血漿濃度(Cmax)
・ 最大血漿濃度を達成するまでの時間(tmax)
・ 投薬時から測定可能な試験物質の出現時間までの遅れ(Tlag)
・ 見かけ上の終末半減期(terminal half-life)(t1/2)
・ 見かけ上の終末速度定数(terminal rate constant)(λz)
・ 見かけ上の平均滞留時間(MRT)および
・ 代謝産物NBI-98782およびNBI-136110 対 親薬物NBI-98854のモルAUC0-∞比。
【0234】
以下のPKパラメーターを、NBI-98854に関してのみ計算した:
・ 経口投与後の見かけ上の全身クリアランス(CL/F)
・ 経口投与後の終末相の間の見かけ上の分布容積(Vz/F)
【0235】
肝障害群によるNBI-98854、NBI-98782、およびNBI-136110に関する血漿PKパラメーターを、以下にまとめる。
【0236】
tmax、Tlag、t1/2、MRT、およびVz/FのPKデータを、有効数字2桁へと丸め、全ての他のパラメーター(AUC0-24、AUC0-tlast、AUC0-∞、Cmax、およびCL/F)を、有効数字3桁に丸めた。最後の有効数字は、その右側にある数字が≧5である場合には切り上げ、その右側の数字が≦4である場合には切り捨てた。
【0237】
薬物動態結果
NBI-98854は、0.17~0.38時間という平均Tlag値によって示されるとおり、全ての群にわたって経口投薬後短時間で血漿中に出現した。肝障害の正常群(233ng/mL)と比較して、平均Cmax値は、軽度(384ng/mL)、中程度(556ng/mL)、および重度(631ng/mL)の肝障害群にわたってより高かった。その平均t1/2は、軽度、中程度または正常の群(範囲: 21~22時間)より、重度群(28時間)において長かった。そのMRT時間は、23~30時間の範囲に及び、重度肝臓群において時間が最長であった。平均AUC0-∞値は、正常肝臓群(2680ng×時間/mL)より、軽度(3510ng×時間/mL)、中程度(5550ng×時間/mL)、および重度(6430ng×時間/mL)の肝臓群において高かった。
【0238】
NBI-98782は、0.42~0.67時間という平均Tlag値によって示されるように、全ての群にわたってNBI-98854の経口投薬後短時間で血漿中に出現した。その平均Cmax値は、軽度(10.6ng/mL)または正常(8.61ng/mL)の肝臓群より、中程度(20.0ng/mL)および重度(19.2ng/mL)の肝臓群において高かった。NBI-98782についてのメジアンtmaxは、軽度肝障害および正常群(ともに6.0時間)より、中程度(16時間)および重度(14時間)の肝障害群において長かった。平均t1/2は、中程度(24時間)、軽度(23時間)、または正常(23時間)の群より、重度群(32時間)において長かった。MRT時間は、36~53時間の範囲に及び、重度肝障害群において時間が最長であった。
【0239】
NBI-136110は、0.33~0.54時間という平均Tlag値によって示されるように、全ての群にわたって、NBI-98854の経口投薬後短時間で血漿中に出現した。NBI-136110のメジアンtmaxは、群をわたって類似であった(範囲: 2.5~4.0時間)。平均Cmaxは、軽度(25.0ng/mL)または正常(23.1ng/mL)の群より、中程度(32.5ng/mL)および重度(36.5ng/mL)の群において高かった。平均の見かけ上の終末半減期(t1/2)は、軽度、中程度または正常の群(範囲: 33~36時間)より、重度群(57時間)において長かった。そのMRT時間は、51~81時間の範囲に及び、重度肝障害群において時間が最長であった。
【0240】
NBI-98782 対 NBI-98854に関する血漿AUC
0-∞の平均モル比は、16.5~27.8%の範囲に及び、中程度肝臓群において最も高かった。NBI-136110 対 NBI-98854に関する血漿AUC
0-∞の平均モル比は、28.3~37.3%の範囲に及び、正常機能群において最も高かった。
肝障害群によるNBI-98854血漿薬物動態パラメーター
【表1-1】
【表1-2】
肝障害群によるNBI-98782血漿薬物動態パラメーターおよびパラメーター比
【表2-1】
【表2-2】
肝障害群によるNBI-136110血漿薬物動態パラメーターおよびパラメーター比
【表3】
【0241】
PK曝露パラメーター、AUC0-∞およびCmaxに関するNBI-98854、NBI-98782、およびNBI-136110の幾何平均比を以下に提供する。
【0242】
NBI-98854: NBI-98854の平均AUC0-∞値は、正常肝臓群と比較して、軽度(1.23倍高い)、中程度(1.88倍高い)、および重度(2.37倍高い)の群においてより高かった;そのLS平均差は、正常群に対して、中程度(p=0.026)および重度(p<0.001)の肝臓群において統計的に有意であった。
【0243】
NBI-98854の平均Cmax値は、正常肝臓群と比較して、軽度(1.44倍高い)、中程度(1.99倍高い)、および重度(2.50倍高い)の群においてより高く、そのLS平均差は、正常群に対して、重度(p=0.005)肝臓群において統計的に有意であった。
【0244】
NBI-98782: NBI-98782の平均AUC0-∞値は、正常肝臓群と比較して、軽度(1.23倍高い)、中程度(2.77倍高い)、および重度(3.43倍高い)の群においてより高かった;そのLS平均差は、正常群に対して、中程度(p=0.013)および重度(p<0.001)の群において統計的に有意であった。
【0245】
NBI-98782の平均Cmax値は、正常肝臓群と比較して、軽度(1.20倍高い)、中程度(2.09倍高い)、および重度(2.17倍高い)の群においてより高かった;そのLS平均差は、正常群に対して、中程度(p=0.014)および重度(p<0.001)の肝臓群において統計的に有意であった。
【0246】
NBI-136110: NBI-136110の平均AUC0-∞値は、正常肝臓群と比較して、軽度(1.08倍高い)、中程度(1.41倍高い)、および重度(1.87倍)の群においてより高かった;そのLS平均差は、正常群に対して、重度(p<0.001)群において統計的に有意であった。
【0247】
NBI-136110の平均C
max値は、正常肝臓群と比較して、軽度(1.07倍高い)、中程度(1.32倍高い)、および重度(1.58倍高い)の群においてより高かった;そのLS平均差は、正常群に対して、重度(p=0.002)肝臓群において統計的に有意であった。
AUC
0-∞およびC
maxに関するNBI-98854、NBI-98782、およびNBI-136110肝障害群の幾何平均比
【表4-1】
【表4-2】
a.幾何最小二乗(LS)平均の比は、対数変換した(底10)データを使用する分散分析モデルに基づいた。
b.その幾何平均比の90% 信頼区間(CI)は、対数変換した(底10)データを使用するLS平均に基づいた。
c.P値は、処置LS平均を比較する両側検定に由来した。
【0248】
半減期およびtmaxに関するNBI-98854、NBI-98782、およびNBI-136110のLS平均群差を、以下に提供する。NBI-98854、NBI-98782、およびNBI-136110に関して、t1/2のLS平均差は、正常肝臓群に対して、重度肝臓群において統計的に有意であった。
【0249】
NBI-98854、NBI-98782、およびNBI-136110に関して、t
maxのLS平均差は、正常肝臓群に対して、いずれの肝障害群(軽度、中程度、および重度)においても統計的に有意でなかった。
肝障害群によるNBI-98854、NBI-98782、およびNBI-136110の半減期およびt
maxのLS平均差
【表5-1】
【表5-2】
a.t
1/2に関しては分散分析モデルからの最小二乗平均差;t
maxに関してはHodges-Lehmann推定量。
b.t.
/2に関しては最小二乗平均差のおよびt
maxに関してはHodges-Lehmann推定量の90% 信頼区間。
c.t
1/2に関しては最小二乗平均およびt
maxに関してはWilcoxon順位和検定に基づく、群間の差の検定の両側のp値。
【0250】
肝障害は、NBI-98854およびその代謝産物、NBI-98782、およびNBI-136110において、ピーク(Cmax)および全曝露(AUC)の増大と関連した。CmaxおよびAUC0-∞(<2倍)における控えめな増大は、NBI-98854およびNBI-98782に関して軽度肝障害群において観察された。NBI-98854 Cmax(およそ2~3倍)およびNBI-98782 AUC0-∞(およそ3.5倍)における顕著な増大は、中程度および重度の肝障害群において観察された。NBI-136110 CmaxおよびAUC0-∞(<2倍)の控えめな増大は、軽度、中程度、および重度肝障害群において観察された。
【0251】
肝障害は、NBI-98854、NBI-98782、およびNBI-136110に関して、tmaxおよびt1/2(<2倍増大)に顕著に影響を及ぼさなかった。
【0252】
安全性
安全性を、有害事象(AE)、臨床検査(血液、血清化学、および尿分析を含む)、バイタルサイン(血圧および脈拍の起立での測定を含む)、身体検査、および12誘導心電図(ECG)記録に基づいて評価した。
【0253】
安全性結果
1日目に投与したNBI-98854 50mgは、全ての被験体において十分に耐容性を示した。死亡、重篤なまたは重度の治療により発生した有害事象(TEAE)は報告されず、TEAEに起因して本試験を中止した被験体はいなかった。各肝障害群において2名(33.3%)の被験体が少なくとも1つのTEAEを経験し、>1名の被験体が経験した事象はなかった。本研究の間の臨床検査、バイタルサイン測定値、またはECGパラメーターの臨床的に有意な変化はなく、臨床上重大な差異も群にわたって特に言及されなかった。
【0254】
各群において2名(33.3%)の被験体が、少なくとも1つのTEAEを経験した。群によって報告されたTEAEのまとめを、以下に提供する。
有害事象のまとめ
【表6-1】
【表6-2】
【0255】
本研究の間の全てのTEAEは、その調査者が強度において軽度と判断した。治療関連AE(おそらくまたは確実に試験薬と関連すると考えられる)は、4名の被験体において報告された(腹部不快感(正常な肝機能)、頭痛(軽度肝障害)、便秘(中程度肝障害)、および消化不良(重度肝障害)を含む)。全てのこれらのAEは、おそらく試験薬と関連すると判断された。
【0256】
死亡、重篤なTEAE、またはAEに起因する中止は、本研究において報告されなかった。
【0257】
結論
肝障害は、NBI-98854およびその代謝産物、NBI-98782、およびNBI-136110において、ピーク(Cmax)および全曝露(AUC)の増大と関連した。
【0258】
CmaxおよびAUC0-∞(<2倍)における控えめな増大は、NBI-98854およびNBI-98782に関して軽度肝障害を有する被験体において観察され、NBI-98854 Cmax(およそ2~3倍)およびNBI-98782 AUC0-∞(およそ3.5倍)における顕著な増大は、中程度または重度の肝障害を有する被験体において観察された。NBI-136110 CmaxおよびAUC0-∞(<2倍)の控えめな増大は、軽度、中程度、および重度の肝障害群において観察された。
【0259】
NBI-98854 50mgは、正常被験体および肝障害を有する被験体において十分に耐容性を示した。
【0260】
肝障害は、NBI-98854およびその代謝産物、NBI-98782、およびNBI-136110において、ピーク(Cmax)および全曝露(AUC)の増大と関連した。CmaxおよびAUC0-∞(<2倍)における控えめな増大は、NBI-98854およびNBI-98782に関して軽度肝障害群において観察された。NBI-98854 Cmax(およそ2~3倍)およびNBI-98782 AUC0-∞(およそ3.5倍)における顕著な増大は、中程度および重度の肝障害群において観察された。NBI-136110 CmaxおよびAUC0-∞(<2倍)の控えめな増大は、軽度、中程度、および重度の肝障害群において観察された。
【0261】
肝障害は、NBI-98854、NBI-98782、およびNBI-136110に関して、tmaxおよびt1/2に顕著に影響を及ぼさなかった。
【0262】
実施例2:バルベナジン、テトラベナジン、およびこれらの代謝産物の薬理学的特徴付け
経口投与の際に、TBZは、還元されて、4種の別個の異性体二次アルコール代謝産物(まとめて、ジヒドロテトラベナジン(DHTBZ)といわれる)を形成し、TBZは、3個の不斉炭素中心(C-2、C-3、およびC-11β)を含み、仮定としては8種の立体異性体を生じ得る。しかし、C-3およびC-11β炭素は相対的配置が固定されているので、4種の立体異性体のみが可能である:(R,R,R-DHTBZもしくは(+)-α-DHTBZ(代替の命名法)またはNBI-98782(研究室での命名法);S,S,S-DHTBZもしくは(-)-α-DHTBZまたはNBI-98771;S,R,R-DHTBZもしくは(+)-β-DHTBZまたはNBI-98795;およびR,S,S-DHTBZもしくは(-)-β-DHTBZまたはNBI-98772。
【0263】
各化合物の親和性を、ラット前脳膜への[
3H]-DHTBZ結合の阻害によって測定した。R,R,R-DHTBZと比べた親和性も計算して示す。データを、両方とも、平均およびSEMを決定するために使用した正規分布した結合パラメーターでの統計計算のためにKiの負の対数(pKi)として報告する。そのKi値を、平均pKiから10(-pKi)として決定した。そのR,R,R-DHTBZ立体異性体は、ラットおよびヒト両方のVMAT2に最高の親和性で結合する(Ki=1.0~4.2nM)。比較すると、その残りの3種のDHTBZ立体異性体(S,R,R-DHTBZ、S,S,S-DHTBZ、R,S,S-DHTBZ)は、それぞれ、9.7nM、250nM、および690nMのKi値でVMAT2に結合する。
ラット前脳におけるインビトロVMAT2結合親和性
【表7】
a R,R,R-DHTBZに対する親和性を、同じ試験において決定したK
i値を使用して計算した。
【0264】
バルベナジン(VBZ、NBI-98854)の一次代謝クリアランス経路は、加水分解(R,R,R-DHTBZを形成する)およびモノ酸化(代謝産物NBI-136110を形成する)である。R,R,R-DHTBZおよびNBI-136110(VBZの最も豊富な2種の循環代謝産物)は、徐々に形成され、それらの血漿濃度は、VBZに類似の半減期を伴って減少する。
【0265】
VBZおよびその代謝産物であるR,R,R-DHTBZおよびNBI-136110を、それらが細胞株または天然の組織において、VMAT2への[3H]-DHTBZの結合を阻害する能力に関して試験した。各化合物の親和性を、ヒト血小板またはラット線条体膜のいずれかへの[
3H]-DHTBZ結合の阻害によって測定した。R,R,R-DHTBZと比べた親和性も計算して示す。データを、両方とも、平均およびSEM(各組織において各化合物に関してn=4)を決定するために使用した正規分布した結合パラメーターでの統計計算のために、K
i(pKi)の負の対数として報告する。そのK
i値を、平均pKiから10
(-pKi)として決定した。その一次代謝産物R,R,R-DHTBZは、ラット線条体およびヒト血小板ホモジネートにおいてVMAT2の最も強力なインヒビターであった。
バルベナジンおよびその代謝産物のインビトロVMAT2結合親和性
【表8】
【0266】
VBZおよびNBI-136110は、VMAT2阻害に対して類似の効果を有したが、Ki値は、R,R,R-DHTBZのKi値(より低い親和性)のおよそ40~65倍であった。これらの結果を、ラット前脳におけるDHTBZ立体異性体(すなわち、TBZ代謝産物)の放射リガンド結合アッセイによって確証したところ、これはまた、R,R,R-DHTBZがVMAT2の最も強力なインヒビターであり、S,R,R-DHTBZが続くことを示した。比較してみると、S,S,S-DHTBZおよびR,S,S-DHTBZ、TBZの他の2つの一次代謝産物は、R,R,R-DHTBZよりおよそ60倍および160倍弱い親和性を有する不十分なVMAT2インヒビターであることが見出された。
【0267】
VMAT2を超える、他の標的に対するVBZならびにその代謝産物であるR,R,R-DHTBZおよびNBI-136110の親和性を、GPCR、細胞表面モノアミントランスポーター、および心臓カリウムチャネル、ヒトエーテル-a-go-go-関連遺伝子(HERG)を含むイオンチャネルを含むタンパク質標的の多数のクラスの広範なCerepスクリーニングにおいて評価した。
【0268】
これらの化合物に関する80を超える標的のマルチ標的活性スクリーニング(Cerepスクリーニング)は、VBZならびにその代謝産物であるR,R,R-DHTBZおよびNBI-136110が、その標的のうちのいずれかへの同族リガンドの結合を、1~10μMの濃度において50%を超えて阻害しないことを示した。対照的に、他の3種のDHTBZ立体異性体(S,R,R-DHTBZ、S,S,S-DHTBZ、R,S,S-DHTBZ(これらは、TBZの代謝産物であるが、VBZの代謝産物ではない))は、セロトニン、ドパミンおよびアドレナリン作動性レセプターを含む多くのレセプターサブタイプへのリガンド結合の>50%阻害を示した。結果は、コントロールの特異的結合のパーセント:(試験した化合物の特異的結合/コントロールの特異的結合)×100として表した。全ての化合物を、1μMまたは10μMの最終濃度において試験した。結果は、Cerepにおける最初のスクリーニングとして行ったより大きな80の標的パネルの抜粋である(各標的における各化合物につきn=2)。太字の結果(>50%)は、標的レセプターでの活性を示す。
ドパミン、セロトニン、およびアドレナリン作動性レセプターでのバルベナジンおよびDHTBZ立体異性体のインビトロ活性
【表9】
a 広いパネルスクリーンを目的として、そのS,S,S-代謝産物およびR,S,S-代謝産物を、50/50混合物として試験した。
【0269】
モノアミンシステムをより詳細に記載するために、詳細な放射リガンド結合アッセイを、TBZおよびVBZの共通する代謝産物(R,R,R-DHTBZ)ならびにTBZおよびVBZに特有の他の関連代謝産物に対して、ドパミン、セロトニンおよびアドレナリン作動性レセプターサブタイプ、ならびにドパミン(DAT)、セロトニン(SERT)、およびノルエピネフリン(NET)についてのトランスポーターに関して行った。詳細な分析から、VMAT2トランスポーターに対するR,R,R-DHTBZの高い特異性および他のTBZ代謝産物の非特異的活性(ドパミンおよびセロトニンレセプターサブタイプに対する比較的高い親和性を含む)が明らかになった。興味深いことに、そのR,R,R-DHTBZ代謝産物は、モノアミンレセプターに関して最も大きな非選択性を示した。TBZまたはVBZ代謝産物のいずれも、モノアミントランスポーターDAT、SERTまたはNETに対していかなる親和性をも有しなかった。VMAT2に関する選択性プロフィールを完成させるために、これらの化合物のヒトVMAT1トランスポーターに対する機能的活性を、VMAT1を発現する細胞において試験した。VMAT1の非選択的な不可逆的高親和性取り込みインヒビターであるレセルピンは、VMAT1を通じた取り込みを実質的に阻害したが、10μMまでの濃度において、TBZ、VBZ、またはその代謝産物R,R,R-DHTBZもしくはNBI-136110の有意な阻害活性は存在しなかった。VMAT1およびVMAT2の両方に関して、取り込みを、トランスフェクトしていない宿主細胞において測定したところ、過剰なレセルピンの存在下でトランスフェクトした細胞に類似であることが見出された。
【0270】
放射リガンド結合アッセイおよび広いパネルスクリーニングは、VMAT2トランスポーターにおける種々の効力に加えて、TBZの他のDHTBZ代謝産物のうちの2種(S,S,S-DHTBZおよびR,S,S-DHTBZ)が、D1レセプターおよびD2レセプターと相互作用することを示す。VBZは、これらDHTBZ立体異性体のいずれにも代謝されないことから、直接的または間接的のいずれかでその代謝産物を通じたシナプス後ドパミンレセプターに対するその効果は、存在しない。
【0271】
さらに、広いパネルスクリーニングからの結果は、VBZおよびその主要な代謝産物(R,R,R-DHTBZおよびNBI-136110)が、レセプター、モノアミントランスポーター、およびイオンチャネルを含め、80を超える結合部位に対してほとんど~全く親和性を有しないことを示す。このプロフィールは、薬理学的なオフターゲット効果の低い可能性を示唆する。さらに、TBZ、VBZならびにその代謝産物であるR,R,R-DHTBZおよびNBI-136110を使用する取り込み研究は、これらの化合物が、レセルピン(公知のVMAT1/VMAT2インヒビター)と比較して、VMAT1を通じたモノアミンの取り込みに対して顕著な影響を有しないことから、VMAT2に対するこれらの化合物の選択性を確認した。
【0272】
VBZの選択性および特異性は、薬理学的効果の2つのインビボ代替尺度を使用して、区別して示した。眼瞼下垂(アドレナリン作動性活性化および下垂体からのプロラクチン放出を介して起こることが公知であり、D2ドパミンレセプターを通じて調節される)は、TBZおよびVBZでの処置の間の差異を示した。TBZ、VBZおよびR,R,R-DHTBZは、等しい様式で眼瞼下垂を誘導した。このことは、TBZもしくはVBZを投薬することによって形成される代謝産物、またはその活性な代謝産物自体(R,R,R-DHTBZ)の投薬が、全て、シナプス前モノアミン放出に影響を及ぼすVMAT2において、この場合、眼瞼下垂を誘導するために特異的にノルエピネフリン放出に関する活性を有することを確認する。類似の処置(しかし、今回はドパミン作動性調節のための代替物としてプロラクチン放出を使用する)後に、R,R,R-DHTBZおよびVBZ(より低い程度まで)は、血清プロラクチンレベルにおいてTBZと類似の増大を誘導した。
【0273】
上記で記載される種々の実施形態は、さらなる実施形態を提供するために組み合わされ得る。本明細書で言及されるおよび/または出願データシートに列挙される米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許刊行物の全ては、それらの全体において本明細書に参考として援用される。その実施形態の局面は、なおさらなる実施形態を提供するために、種々の特許、出願および刊行物の概念を使用することが必要であれば、改変され得る。
【0274】
これらおよび他の変更は、上記の詳細な説明に鑑みて、その実施形態に対して行われ得る。一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される文言は、その特許請求の範囲を、本明細書および特許請求の範囲に開示される具体的実施形態に限定するとは解釈されるべきではなく、このような特許請求の範囲に権利が付与される均等物の全範囲とともに、全ての可能な実施形態を含むと解釈されるべきである。よって、特許請求の範囲は、開示によって限定されない。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを、それを必要とする患者に投与するための方法であって、ここで前記患者は、中程度または重度の肝障害を有し、前記方法は、
約40mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量の前記VMAT2インヒビターを、中程度または重度の肝障害を有する前記患者に1日に1回投与する工程、
を包含する、方法。
(項目2)
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを、それを必要とする患者に投与するための方法であって、ここで前記患者は、中程度または重度の肝障害を有し、前記方法は、
治療上有効な量の前記VMAT2インヒビターを、中程度または重度の肝障害を有する前記患者に投与する工程、
を包含し、ここで前記VMAT2インヒビターの前記治療上有効な量は、中程度または重度の肝障害を有しない患者に投与される量より少ない、方法。
(項目3)
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを、それを必要とする患者に投与するための方法であって、前記方法は、
前記患者に治療上有効な量の前記VMAT2インヒビターを投与する工程、
前記患者が、中程度または重度の肝障害を有することを後に決定する工程、および
約40mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量の前記VMAT2インヒビターを、前記患者に1日に1回投与する工程、
を包含する、方法。
(項目4)
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを、それを必要とする患者に投与するための方法であって、前記方法は、
治療上有効な量の前記VMAT2インヒビターを前記患者に投与する工程、
前記患者が、中程度または重度の肝障害を有することを後に決定する工程、
前記VMAT2インヒビターを、中程度または重度の肝障害を有しない患者に投与されるものより少ない量で投与する工程、
を包含する、方法。
(項目5)
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを、それを必要とする患者に投与するための方法であって、ここで前記患者は、中程度または重度の肝障害を有し、前記方法は、
治療上有効な量の前記VMAT2インヒビターを、中程度または重度の肝障害を有する前記患者に投与する工程、
を包含し、ここで前記投与は、中程度または重度の肝障害のない患者の平均バルベナジンC
max
より約2~約3倍高い平均バルベナジンC
max
を生じる、方法。
(項目6)
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを、それを必要とする患者に投与するための方法であって、ここで前記患者は、中程度または重度の肝障害を有し、前記方法は、
治療上有効な量の前記VMAT2インヒビターを、中程度または重度の肝障害を有する前記患者に投与する工程、
を包含し、ここで前記投与は、中程度または重度の肝障害のない患者の平均(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール AUC
0-∞
より約3~約4倍高い平均(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール AUC
0-∞
を生じる、方法。
(項目7)
前記患者は中程度の肝障害を有する、項目1~6のいずれか1項に記載の方法。
(項目8)
前記患者は重度の肝障害を有する、項目1~6のいずれか1項に記載の方法。
(項目9)
前記患者または医療従事者に、中程度から重度の肝障害を有する患者への前記VMAT2インヒビターの投与が、正常な肝機能を有する患者への前記VMAT2インヒビターの投与より高いバルベナジンおよび/または(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オールの曝露を生じることを知らせる工程をさらに包含する、項目1~8のいずれか1項に記載の方法。
(項目10)
前記患者または医療従事者に、中程度から重度の肝障害を有する患者への前記VMAT2インヒビターの投与が、正常な肝機能を有する患者への前記VMAT2インヒビターの投与より、1またはこれより多くの曝露関連有害反応の増大したリスクを生じ得ることを知らせる工程をさらに包含する、項目1~9のいずれか1項に記載の方法。
(項目11)
前記1またはこれより多くの曝露関連有害反応は、傾眠、抗コリン作用、平衡障害または転倒、頭痛、アカシジア、嘔吐、悪心、関節痛、QT延長、血中グルコースの上昇、体重の増大、呼吸器感染、流涎、ジスキネジア、錐体外路症状(非アカシジア)、不安、不眠症、プロラクチンの上昇、アルカリホスファターゼの上昇、およびビリルビンの上昇から選択される、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記1またはこれより多くの曝露関連有害反応は、傾眠、抗コリン作用、平衡障害または転倒、頭痛、アカシジア、嘔吐、悪心、関節痛、およびQT延長から選択される、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記1またはこれより多くの曝露関連有害反応は、傾眠およびQT延長から選択される、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記患者または医療従事者に、中程度から重度の肝障害を有する患者への前記VMAT2インヒビターの投与が、正常な肝機能を有する患者への前記VMAT2インヒビターの投与より、前記患者のQT間隔を延長し得ることを知らせる工程をさらに包含する、項目1~13のいずれか1項に記載の方法。
(項目15)
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを、それを必要とする患者に投与するための方法であって、ここで前記患者は、軽度肝障害を有し、前記方法は、
治療上有効な量の前記VMAT2インヒビターを、軽度肝障害を有する前記患者に投与する工程、
を包含する、方法。
(項目16)
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを、それを必要とする患者に投与するための方法であって、前記方法は、
治療上有効な量の前記VMAT2インヒビターを前記患者に投与する工程、
前記患者が軽度肝障害を有することを後に決定する工程、および
前記患者への前記治療上有効な量の前記VMAT2インヒビターの投与を継続する工程、
を包含する、方法。
(項目17)
前記VMAT2インヒビターは、神経学的または精神的な疾患または障害を処置するために前記患者に投与される、項目1~16のいずれか1項に記載の方法。
(項目18)
前記神経学的または精神的な疾患または障害は、運動亢進性運動障害、気分障害、双極性障害、統合失調症、統合失調感情障害、気分障害における躁状態、気分障害における鬱状態、難治性強迫障害、レッシュ・ナイハン症候群と関連する神経機能障害、アルツハイマー病と関連する興奮、脆弱X症候群もしくは脆弱X関連振戦-失調症候群、自閉症スペクトラム障害、レット症候群、または舞踏病有棘赤血球増加である、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記神経学的または精神的な疾患または障害は、運動亢進性運動障害である、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記運動亢進性運動障害は遅発性ジスキネジアである、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記運動亢進性運動障害は、トゥレット症候群である、項目19に記載の方法。
(項目22)
前記運動亢進性運動障害はハンチントン病である、項目19に記載の方法。
(項目23)
前記運動亢進性運動障害はチックである、項目19に記載の方法。
(項目24)
前記運動亢進性運動障害は、ハンチントン病と関連する舞踏病である、項目19に記載の方法。
(項目25)
前記運動亢進性運動障害は、運動失調、舞踏病、ジストニア、ハンチントン病、ミオクローヌス、不穏下肢症候群、または振戦である、項目19に記載の方法。
(項目26)
前記VMAT2インヒビターは経口投与される、項目1~25のいずれか1項に記載の方法。
(項目27)
前記VMAT2インヒビターは、錠剤またはカプセル剤の形態で投与される、項目1~26のいずれか1項に記載の方法。
(項目28)
前記VMAT2インヒビターは、食品とともにまたは食品を伴わずに投与される、項目1~27のいずれか1項に記載の方法。
(項目29)
前記VMAT2インヒビターは、バルベナジンまたはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントである、項目1~28のいずれか1項に記載の方法。
(項目30)
前記VMAT2インヒビターは、バルベナジンまたはその薬学的に受容可能な塩である、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記VMAT2インヒビターは、バルベナジントシル酸塩である、項目30に記載の方法。
(項目32)
前記VMAT2インヒビターは、バルベナジンの二トシル酸塩である、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記VMAT2インヒビターは、L-バリン、(2R,3R,11bR)-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-9,10-ジ(メトキシ-d
3
)-3-(2-メチルプロピル)-2H-ベンゾ[a]キノリジン-2-イルエステルまたはその薬学的に受容可能な塩である同位体バリアントである、項目29に記載の方法。
(項目34)
前記VMAT2インヒビターは、約20mg~約160mgの間のバルベナジン遊離塩基に等価な量で投与される、項目1~33のいずれか1項に記載の方法。
(項目35)
前記VMAT2インヒビターは、約20mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量で投与される、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記VMAT2インヒビターは、約40mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量で投与される、項目34に記載の方法。
(項目37)
前記VMAT2インヒビターは、約60mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量で投与される、項目34に記載の方法。
(項目38)
前記VMAT2インヒビターは、約80mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量で投与される、項目34に記載の方法。
(項目39)
前記VMAT2インヒビターは、約120mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量で投与される、項目34に記載の方法。
(項目40)
前記VMAT2インヒビターは、第1の期間にわたって第1の量で投与され、次いで、前記量は、第2の量へと増大される、項目1~33のいずれか1項に記載の方法。
(項目41)
前記第1の期間は1週間である、項目38に記載の方法。
(項目42)
前記第1の量は、約40mgのバルベナジン遊離塩基に等価である、項目38または39に記載の方法。
(項目43)
前記第2の量は、約80mgのバルベナジン遊離塩基に等価である、項目38~40のいずれか1項に記載の方法。
(項目44)
前記VMAT2インヒビターは、血漿1mLあたり約15ng~約60ngの間の(+)-α-DHTBZの最大血漿濃度(C
max
)および8時間の期間にわたって血漿1mLあたり少なくとも15ngの(+)-α-DHTBZの最小血漿濃度(C
min
)を達成するために十分な量で投与される、項目1~33のいずれか1項に記載の方法。
(項目45)
前記VMAT2インヒビターは、血漿1mLあたり約15ng~約60ngの間の(+)-α-DHTBZの最大血漿濃度(C
max
)および12時間の期間にわたっておよそ前記C
max
の少なくとも約33%~50%の間の最小血漿濃度(C
min
)を達成するために十分な量で投与される、項目1~33のいずれか1項に記載の方法。
(項目46)
前記VMAT2インヒビターは、(i)血漿1mLあたり約15ng~約60ngの(+)-α-DHTBZの治療濃度範囲;および(ii)約8時間~約24時間の期間にわたって血漿1mLあたり少なくとも15ngの(+)-α-DHTBZの閾値濃度、を達成するために十分な量で投与される、項目1~33のいずれか1項に記載の方法。
(項目47)
前記VMAT2インヒビターの前記治療上有効な量は、中程度または重度の肝障害のない患者に投与される量より10~90%少ない、項目1~33のいずれか1項に記載の方法。
(項目48)
前記VMAT2インヒビターの前記治療上有効な量は、中程度または重度の肝障害のない患者に投与される量より20~80%少ない、項目1~33のいずれか1項に記載の方法。
(項目49)
前記VMAT2インヒビターの前記治療上有効な量は、中程度または重度の肝障害のない患者に投与される量より30~70%少ない、項目1~33のいずれか1項に記載の方法。
(項目50)
前記VMAT2インヒビターの前記治療上有効な量は、中程度または重度の肝障害のない患者に投与される量より40~60%少ない、項目1~33のいずれか1項に記載の方法。
(項目51)
前記VMAT2インヒビターの前記治療上有効な量は、中程度または重度の肝障害のない患者に投与される量より約50%少ない、項目1~33のいずれか1項に記載の方法。
(項目52)
前記VMAT2インヒビターは、(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントである、項目1~28のいずれか1項に記載の方法。
(項目53)
前記VMAT2インヒビターは、(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩である、項目52に記載の方法。
(項目54)
前記VMAT2インヒビターは、(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジ(メトキシ-d
3
)-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オールまたはその薬学的に受容可能な塩である同位体バリアントである、項目52に記載の方法。
(項目55)
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを必要とし、かつ中程度または重度の肝障害を有する患者を処置するための組成物であって、前記組成物は、前記VMAT2インヒビターを含み、前記組成物が、前記VMAT2インヒビターの、約40mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量で中程度または重度の肝障害を有する前記患者に1日に1回投与されるという点で特徴づけられる、組成物。
(項目56)
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを必要とし、かつ中程度または重度の肝障害を有する患者を処置するための組成物であって、前記組成物は、治療上有効な量の前記VMAT2インヒビターを含み、
ここで前記VMAT2インヒビターの前記治療上有効な量は、中程度または重度の肝障害を有しない患者に投与される量より少ない、組成物。
(項目57)
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを必要とする患者を処置するための組成物であって、前記組成物は、前記VMAT2インヒビターを含み、
約40mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量の前記VMAT2インヒビターを含む前記組成物は、治療上有効な量の前記VMAT2インヒビターを含む前記組成物の投与後に、中程度または重度の肝障害を有すると後に決定される前記患者に1日に1回投与されるという点で特徴づけられる組成物。
(項目58)
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを必要とする患者を処置するための組成物であって、前記組成物は、前記VMAT2インヒビターを含み、
中程度または重度の肝障害を有しない患者に投与されるものより少ない量の前記VMAT2インヒビターを含む前記組成物は、治療上有効な量の前記VMAT2インヒビターを含む前記組成物の投与後に、中程度または重度の肝障害を有すると後に決定される前記患者に投与されるという点で特徴づけられる、組成物。
(項目59)
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを必要とし、かつ中程度または重度の肝障害を有する患者を処置するための組成物であって、前記組成物は、治療上有効な量の前記VMAT2インヒビターを含み、
ここで前記組成物の投与は、中程度または重度の肝障害のない患者の平均バルベナジンC
max
より約2~約3倍高い平均バルベナジンC
max
を生じる、組成物。
(項目60)
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを必要とし、かつ中程度または重度の肝障害を有する患者を処置するための組成物であって、前記組成物は、治療上有効な量の前記VMAT2インヒビターを含み、
ここで前記組成物の投与は、中程度または重度の肝障害のない患者の平均(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール AUC
0-∞
より約3~約4倍高い平均(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール AUC
0-∞
を生じる、組成物。
(項目61)
前記患者は中程度肝障害を有する、項目55~61のいずれか1項に記載の組成物。
(項目62)
前記患者は重度肝障害を有する、項目55~61のいずれか1項に記載の組成物。
(項目63)
前記患者または医療従事者は、中程度から重度の肝障害を有する患者への前記組成物の投与が、正常な肝機能を有する患者への前記組成物の投与より高いバルベナジンおよび/または(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オールの曝露を生じることを知らされる、項目55~62のいずれか1項に記載の組成物。
(項目64)
前記患者または医療従事者は、中程度から重度の肝障害を有する患者への前記組成物の投与が、正常な肝機能を有する患者への前記組成物の投与より、1またはこれより多くの曝露関連有害反応の増大したリスクを生じ得ることを知らされる、項目55~63のいずれか1項に記載の組成物。
(項目65)
前記1またはこれより多くの曝露関連有害反応は、傾眠、抗コリン作用、平衡障害または転倒、頭痛、アカシジア、嘔吐、悪心、関節痛、QT延長、血中グルコースの上昇、体重の増大、呼吸器感染、流涎、ジスキネジア、錐体外路症状(非アカシジア)、不安、不眠症、プロラクチンの上昇、アルカリホスファターゼの上昇、およびビリルビンの上昇から選択される、項目64に記載の組成物。
(項目66)
前記1またはこれより多くの曝露関連有害反応は、傾眠、抗コリン作用、平衡障害または転倒、頭痛、アカシジア、嘔吐、悪心、関節痛、およびQT延長から選択される、項目65に記載の組成物。
(項目67)
前記1またはこれより多くの曝露関連有害反応は、傾眠およびQT延長から選択される、項目66に記載の組成物。
(項目68)
前記患者または医療従事者は、中程度から重度の肝障害を有する患者への前記組成物の投与が、正常な肝機能を有する患者への前記組成物の投与より、前記患者のQT間隔を延長し得ることを知らされる、項目55~67のいずれか1項に記載の組成物。
(項目69)
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを必要とし、かつ軽度肝障害を有する患者を処置するための組成物であって、前記組成物は、治療上有効な量の前記VMAT2インヒビターを含む、組成物。
(項目70)
バルベナジンおよび(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントから選択される小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)インヒビターを必要とする患者を処置するための組成物であって、前記組成物は、前記VMAT2インヒビターを含み、
治療上有効な量の前記VMAT2インヒビターを含む前記組成物は、前記治療上有効な量の前記VMAT2インヒビターを含む前記組成物の投与後に、軽度肝障害を有すると後に決定される前記患者に投与されるという点で特徴づけられる、組成物。
(項目71)
前記組成物は、神経学的または精神的な疾患または障害を処置するためのものである、項目55~70のいずれか1項に記載の組成物。
(項目72)
前記神経学的または精神的な疾患または障害は、運動亢進性運動障害、気分障害、双極性障害、統合失調症、統合失調感情障害、気分障害における躁状態、気分障害における鬱状態、難治性強迫障害、レッシュ・ナイハン症候群と関連する神経機能障害、アルツハイマー病と関連する興奮、脆弱X症候群もしくは脆弱X関連振戦-失調症候群、自閉症スペクトラム障害、レット症候群、または舞踏病有棘赤血球増加である、項目71に記載の組成物。
(項目73)
前記神経学的または精神的な疾患または障害は、運動亢進性運動障害である、項目72に記載の組成物。
(項目74)
前記運動亢進性運動障害は遅発性ジスキネジアである、項目73に記載の組成物。
(項目75)
前記運動亢進性運動障害はトゥレット症候群である、項目73に記載の組成物。
(項目76)
前記運動亢進性運動障害はハンチントン病である、項目73に記載の組成物。
(項目77)
前記運動亢進性運動障害はチックである、項目73に記載の組成物。
(項目78)
前記運動亢進性運動障害は、ハンチントン病と関連する舞踏病である、項目73に記載の組成物。
(項目79)
前記運動亢進性運動障害は、運動失調、舞踏病、ジストニア、ハンチントン病、ミオクローヌス、不穏下肢症候群、または振戦である、項目73に記載の組成物。
(項目80)
前記組成物は、経口投与されるという点で特徴づけられる、項目55~79のいずれか1項に記載の組成物。
(項目81)
前記組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態で投与されるという点で特徴づけられる、項目55~80のいずれか1項に記載の組成物。
(項目82)
前記組成物は、食品とともにまたは食品を伴わずに投与されるという点で特徴づけられる、項目55~81のいずれか1項に記載の組成物。
(項目83)
前記VMAT2インヒビターは、バルベナジンまたはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントである、項目55~82のいずれか1項に記載の組成物。
(項目84)
前記VMAT2インヒビターは、バルベナジンまたはその薬学的に受容可能な塩である、項目83に記載の組成物。
(項目85)
前記VMAT2インヒビターはバルベナジントシル酸塩である、項目84に記載の組成物。
(項目86)
前記VMAT2インヒビターは、バルベナジンの二トシル酸塩である、項目85に記載の組成物。
(項目87)
前記組成物は、前記VMAT2インヒビターの、約20mg~約120mgの間のバルベナジン遊離塩基に等価な量で投与されるという点で特徴づけられる、項目55~86のいずれか1項に記載の組成物。
(項目88)
前記組成物は、前記VMAT2インヒビターの、約20mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量で投与されるという点で特徴づけられる、項目87に記載の組成物。
(項目89)
前記組成物は、前記VMAT2インヒビターの、約40mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量で投与されるという点で特徴づけられる、項目87に記載の組成物。
(項目90)
前記組成物は、前記VMAT2インヒビターの、約60mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量で投与されるという点で特徴づけられる、項目87に記載の組成物。
(項目91)
前記組成物は、前記VMAT2インヒビターの、約80mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量で投与されるという点で特徴づけられる、項目87に記載の組成物。
(項目92)
前記組成物は、前記VMAT2インヒビターの、約120mgのバルベナジン遊離塩基に等価な量で投与されるという点で特徴づけられる、項目87に記載の組成物。
(項目93)
前記組成物は、第1の期間にわたって前記VMAT2インヒビターの第1の量で投与され、次いで、前記量は、第2の量へと増大されるという点で特徴づけられる、項目55~86のいずれか1項に記載の組成物。
(項目94)
前記第1の期間は1週間である、項目93に記載の組成物。
(項目95)
前記第1の量は、約40mgのバルベナジン遊離塩基に等価である、項目93または94に記載の組成物。
(項目96)
前記第2の量は、約80mgのバルベナジン遊離塩基に等価である、項目93~95のいずれか1項に記載の組成物。
(項目97)
前記組成物は、血漿1mLあたり約15ng~約60ngの間の(+)-α-DHTBZの最大血漿濃度(C
max
)および8時間の期間にわたって血漿1mLあたり少なくとも15ngの(+)-α-DHTBZの最小血漿濃度(C
min
)を達成するために十分な量で投与されるという点で特徴づけられる、項目55~86のいずれか1項に記載の組成物。
(項目98)
前記組成物は、血漿1mLあたり約15ng~約60ngの間の(+)-α-DHTBZの最大血漿濃度(C
max
)および12時間の期間にわたっておよそ前記C
max
の少なくとも約33%~50%の間の最小血漿濃度(C
min
)を達成するために十分な量で投与されるという点で特徴づけられる、項目55~86のいずれか1項に記載の組成物。
(項目99)
前記組成物は、(i)血漿1mLあたり約15ng~約60ngの(+)-α-DHTBZの治療濃度範囲;および(ii)約8時間~約24時間の期間にわたって血漿1mLあたり少なくとも15ngの(+)-α-DHTBZの閾値濃度、を達成するために十分な量で投与されるという点で特徴づけられる、項目55~86のいずれか1項に記載の組成物。
(項目100)
前記VMAT2インヒビターの前記治療上有効な量は、中程度または重度の肝障害のない患者に投与される量より10~90%少ないという点で特徴づけられる、項目55~86のいずれか1項に記載の組成物。
(項目101)
前記VMAT2インヒビターの前記治療上有効な量は、中程度または重度の肝障害のない患者に投与される量より20~80%少ないという点で特徴づけられる、項目55~86のいずれか1項に記載の組成物。
(項目102)
前記VMAT2インヒビターの前記治療上有効な量は、中程度または重度の肝障害のない患者に投与される量より30~70%少ないという点で特徴づけられる、項目55~86のいずれか1項に記載の組成物。
(項目103)
前記VMAT2インヒビターの前記治療上有効な量は、中程度または重度の肝障害のない患者に投与される量より40~60%少ないという点で特徴づけられる、項目55~86のいずれか1項に記載の組成物。
(項目104)
前記VMAT2インヒビターの前記治療上有効な量は、中程度または重度の肝障害のない患者に投与される量より約50%少ないという点で特徴づけられる、項目55~86のいずれか1項に記載の組成物。
(項目105)
前記VMAT2インヒビターは、L-バリン、(2R,3R,11bR)-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-9,10-ジ(メトキシ-d
3
)-3-(2-メチルプロピル)-2H-ベンゾ[a]キノリジン-2-イルエステルまたはその薬学的に受容可能な塩である同位体バリアントである、項目83に記載の組成物。
(項目106)
前記VMAT2インヒビターは、(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩および/もしくは同位体バリアントである、項目55~82のいずれか1項に記載の組成物。
(項目107)
前記VMAT2インヒビターは、(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、またはその薬学的に受容可能な塩である、項目106に記載の組成物。
(項目108)
前記VMAT2インヒビターは、(+)-α-3-イソブチル-9,10-ジ(メトキシ-d
3
)-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オールまたはその薬学的に受容可能な塩である同位体バリアントである、項目106に記載の組成物。