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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】半導体ウェハの集積方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20220616BHJP
   H01L 21/50 20060101ALI20220616BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
H01L23/12 501P
H01L21/50 G
H05K3/46 B
H05K3/46 Q
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020525997
(86)(22)【出願日】2018-10-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 EP2018078361
(87)【国際公開番号】W WO2019091728
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-06-23
(31)【優先権主張番号】102017126410.8
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102018211313.0
(32)【優先日】2018-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505469573
【氏名又は名称】エルペーカーエフ レーザー ウント エレクトロニクス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】オストホルト ロマーン
(72)【発明者】
【氏名】アンブロジウス ノルベルト
【審査官】庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-092107(JP,A)
【文献】特開2013-004576(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0123318(US,A1)
【文献】特開2010-205877(JP,A)
【文献】特開2014-107431(JP,A)
【文献】特開2012-256675(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0225001(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0144686(US,A1)
【文献】特開2014-131037(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0182897(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0087745(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0313226(US,A1)
【文献】国際公開第2017/159174(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H01L 21/50
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3D集積のために、限定された空間に半導体部品(9)を集積する方法であって、
キャリア基板(10)及び/又は再配線層(RDL)(13)に対して位置決めした後、注封材料(12)を導入することにより、少なくとも1つの半導体部品(9)を、それらの相対位置で保護及び固定する集積方法において、
前記注封材料(12)を導入する前に、隔壁(3)で分離された多数の切り欠き(2)を有し、それぞれ少なくとも1つの半導体部品(9)を受け入れる役割を果たすガラス基板(1)は、前記少なくとも1つの半導体部品(9)が、前記ガラス基板(1)のそれぞれの前記隔壁(3)の、前記半導体部品(9)に面する側壁面(8)によって囲まれるように配置され、
レーザー誘起ディープエッチングにより、前記隔壁(3)は壁厚(b)が100μm未満で製造されていることを特徴とする集積方法。
【請求項2】
前記複数の切り欠き(2)は、貫通穴又は止まり穴として具体化されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ガラス基板(1)に貫通穴(4)が導入され、少なくとも個々の前記貫通穴には、前記複数の切り欠き(2)内に前記半導体部品(9)を相対位置で固定する前に、スルーメッキのためのメタライゼーション(5)が施されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記半導体部品(9)は、前記注封材料(12)を導入する前に、それぞれの前記切り欠き(2)に固定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記半導体部品(9)は、少なくとも1つの側壁面(8)との接触により固定されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
それぞれの前記側壁面(8)において、1つ以上の突起(16)及び/又はばね要素(19)が、前記半導体部品(9)を固定するために使用されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
複数の凹部(17)が、前記ガラス基板(1)の前記切り欠き(2)の角領域に導入されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
透明又は透過性のポリマーが、前記注封材料(12)として使用されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ファンアウトパッケージを製造するための、3D集積で限定された空間に半導体部品を集積する方法において、
-接着層(11)を介して固定された少なくとも1つの半導体部品(9)を有するキャリア基板(10)を用意する工程と、
-少なくとも1つの切り欠き(2)を有するガラス基板(1)を用意する工程と、
-前記少なくとも1つの半導体部品(9)が、前記少なくとも1つの切り欠き(2)内に配置されるように、前記ガラス基板(1)を前記キャリア基板(10)の前記接着層(11)に位置決めする工程と、
-注封材料(12)を用いて、前記少なくとも1つの半導体部品(9)を前記少なくとも1つの切り欠き(2)に埋め込む工程と、
-キャリア基板(10)及び接着フィルム(11)を、半導体部品(9)、ガラス基板(1)、及び注封材料(12)を含む残りのパッケージから取り除く工程と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項10】
再配線層(13)及びその上の接触要素は、前記少なくとも1つの半導体ウェハと電気的に接触した状態で前記パッケージに設けられることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
製造中間製品としての集積半導体部品装置において、
-キャリア基板(10)と、
-その上に配置された接着フィルム(11)と、
-前記接着フィルム(11)上に固定された少なくとも1つの半導体ウェハと、
-前記接着フィルム(11)に固定され、間に隔壁(3)を形成する複数の切り欠き(2)を有するガラス基板(1)であって、各々の前記切り欠き(2)に1つ以上の半導体ウェハ注封材料(12)で埋め込まれているガラス基板(1)と、を備え、
レーザー誘起ディープエッチングにより、前記隔壁(3)は、100μm未満の壁厚(b)を有することを特徴とする集積半導体部品装置。
【請求項12】
ファンアウトパッケージ形態の最終製品としての集積半導体部品装置において、
-間に隔壁(3)を形成する複数の切り欠き(2)を有し、各々の前記切り欠き(2)に1つ以上の半導体ウェハが注封材料(12)で埋め込まれているガラス基板(1)と、
-前記1つ以上の半導体ウェハと電気的に接触している再配線層(13)と、
-前記再配線層(13)上の接触要素と、を備え、
レーザー誘起ディープエッチングにより、前記隔壁(3)は、100μm未満の壁厚(b)を有することを特徴とする集積半導体部品装置。
【請求項13】
前記隔壁(3)の壁厚(b)は、50μm未満であることを特徴とする請求項11又は12に記載の装置。
【請求項14】
前記隔壁(3)の壁厚(b)は、前記ガラス基板(1)の材料厚(D)よりも小さいことを特徴とする請求項11乃至13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記ガラス基板(1)の2つの切り欠き(2)間の前記隔壁(3)の最大残存壁厚(b)と前記基板の材料厚(D)の比率(b/D)が、1:1未満であることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項16】
隔壁(3)の側壁面(8)と、半導体ウェハとの間の距離は、30μm未満であることを特徴とする請求項11乃至15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
側壁面(8)の突起(16)の領域において、
隔壁(3)の側壁面(8)と、半導体ウェハとの間の距離は、ゼロであることを特徴とする請求項11乃至15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記切り欠き(2)間の前記隔壁(3)の側壁面(8)は、前記ガラス基板(1)の表面法線(F)に対して0°から10°の間のフランク角(a)を有することを特徴とする請求項11乃至17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記隔壁(3)の2つの対向する側壁面(8)は、前記半導体ウェハをそれぞれの前記切り欠き(2)に固定する突起(16)を形成するために、V字形及び/又は砂時計形のコースを形成することを特徴とする請求項11乃至18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記ガラス基板(1)は、少なくとも実質的に無アルカリガラスからなることを特徴とする請求項11乃至19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記半導体ウェハを固定するための、1つ以上の止め部(18)、突起(16)及び/又はばね要素(19)が、それぞれの側壁面(8)に配置されることを特徴とする請求項11乃至20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記ガラス基板(1)の前記切り欠き(2)の角領域に、複数の凹部(17)が導入されることを特徴とする請求項11乃至21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記ガラス基板(1)の材料厚さ(D)が500μm未満であることを特徴とする請求項11乃至22のいずれか一項に記載のガラス基板(1)を備えた装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に3D集積のために、限定された空間に半導体ウェハを集積する方法に関し、基板及び/又は再配線層(RDL)に対して位置決めした後、注封材料を導入することにより、半導体ウェハをそれらの相対位置で保護及び固定する。さらに、本発明は、この方法で使用するための装置に関し、そして製造中間製品として、及び最終製品としての対応する集積半導体ウェハ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体産業は、さまざまな電子部品の集積密度の継続的な改善により、急速な成長を遂げている。ほとんどの場合、この集積密度の改善は、最小図形寸法を繰り返し削減することで実現され、より多くの部品を特定の領域に集積できる。
【0003】
近年、小型化、高速化、及び広帯域化、そして低消費電力化の要求が高まっているため、これにより、ダイとも呼ばれる、パッケージ化されていない半導体ウェハの、より小さくより創造的なパッケージング技術の必要性が生じている。
【0004】
集積を進める過程で、以前は個別の半導体ウェハとして回路基板上に互いに隣り合って取り付けられていたアセンブリが、1つの「より大きな」半導体ウェハに結合されている。ここで、「より大きな」とは、製造工程の微細化が進む結果として絶対寸法が減少する可能性があるため、ダイ上の回路の数を意味すると解釈される。
【0005】
スタック型半導体装置では、ロジック、メモリ、プロセッサ回路などのアクティブ回路が少なくとも部分的に別々の基板上に作成され、機能装置を形成するために物理的及び電気的に互いに接合される。このような接合工程は高度に開発された技術を使用しており、改善が望まれている。
【0006】
たとえば、CPUと半導体ウェハ上のキャッシュといった、2つの相互補完的なアセンブリの組み合わせは、「オンダイ(on-die)」という用語で説明される。そのCPUは「オンダイ」キャッシュ(すなわち、同じ半導体ウェハ上に直にある)を有しており、それがデータ交換を大幅に高速化する。構成及び接続技術(CCT)は、半導体ウェハのパッケージングのさらなる処理と回路環境への集積に関係している。
【0007】
多くの集積回路は通常、単一の半導体ウェハ上に製造され、そのウェハ上の個々の半導体ウェハは、スクライブラインに沿って切断される集積回路によって個別化(単体化)される。個々の半導体ウェハは、通常、例えばマルチ半導体ウェハモジュール又は他のタイプのパッケージ(パッケージング)に個別に封入される。
【0008】
ウェハレベルパッケージ(WLP)構造は、電気製品の半導体部品のパッケージ構造として使用される。電気入出力(I/O)接点数の増加と高性能集積回路(ICs)の需要の増加は、ファンアウトタイプのWLP構造の開発につながり、電気I/O接点の中心間距離がさらに広がることになる。
【0009】
これは、1つ以上の電気的再配線層(RDLs)を備える電気的再分配構造の使用を含む。各RDLは、構造化された金属層として設計でき、カプセルに埋め込まれた電子部品を半導体部品パッケージの外部接続、及び/又は半導体部品パッケージの下側に配置された半導体ウェハの1つ以上の電極に接続するために設計された電気的相互接続として機能する。
【0010】
特許文献1は、半導体ウェハが注封材料に埋め込まれている半導体パッケージを開示している。再配線層には、半導体ウェハパッケージの表面実装用のはんだボールが設けられている。半導体パッケージを通る貫通接点は、半導体パッケージの表面にはんだ材料が設けられており、これにより、第2半導体パッケージを第1半導体パッケージにスタックできる。
【0011】
特許文献2は、表面実装用の半導体ウェハパッケージを開示している。主表面に接点が設けられており、別の半導体ウェハパッケージをその接点に取り付けることができる。
【0012】
特許文献3は、ロジック部及びパワー部を含む電子モジュールを開示している。ロジック部とパワー部が上下に並べた基板上に配置され、ポッティング(注封)して一体化されている。
【0013】
さらに、特許文献4及び特許文献5は、TSMCの3D半導体ウェハ集積について説明している。半導体ウェハは合成樹脂に注封され、スルーメッキは、貫通シリコンビア又は金属ウェブが注封材料に埋め込まれるように実装される。
【0014】
さらに、特許文献6は複雑な3D集積に関連し、特許文献7は「集積ファンアウトパッケージング」に関連している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】DE 10 2007 022 959 A1
【文献】US 6 716 670 B1
【文献】DE 10 2006 033 175 A1
【文献】US 2014/0091473 A1
【文献】US 2015/0069623 A1
【文献】US 2015/0303174 A1
【文献】US 2017/0207204 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
注封材料の導入は、半導体ウェハの相互間の相対的な変位をもたらし、また、半導体ウェハの所与の設定位置に対する相対的な変位をもたらし得る。さらに、固化による注封材料の収縮のために応力が発生し、その応力により不均一な変形が発生する可能性がある。さらに、基板上の半導体ウェハは、流入する注封材料の動的な力のためにドリフトする。裏面メタライゼーションの処理が反りの問題を引き起こす可能性があることも既に知られている。
【0017】
本発明は、それらに伴う不利な影響を回避する可能性を提供する目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この目的は、本発明によれば、請求項1の特徴による方法によって達成される。方法技術の観点から、本発明のさらなる構成は、さらなる請求項2乃至8から得ることができる。
【0019】
したがって、本発明は、注封材料を導入する前に、壁面(より適切に「隔壁」と表現される)で分離された多数の切り欠きを有し、1つ以上の半導体ウェハを受け入れる、ガラスで構成される基板が、少なくとも個々の半導体ウェハがガラス基板の隔壁によって互いに分離されるように、半導体ウェハに対して位置決め又は固定されるという方法を提供する。言い換えると、1つ以上の半導体ウェハがそれぞれの切り欠きに配置され、他の半導体ウェハからいわば分離して配置されることにより、それらは、注封材料の導入による望ましくない影響から最適に保護される。そのガラス基板が、基板の、又は半導体ウェハを載せるプラスチック基板の範囲の、主平面に平行な半導体ウェハの変位を実施形態に応じて、100μm未満、及び10μm未満に制限することが実験で既に分かっている。この目的のために、ガラス基板は、半導体ウェハに適合した切り欠きを有するマスクを形成し、それら切り欠きは、好ましくは、既に貫通穴(ガラス貫通穴:TGV)を備え、スルーメッキを可能にする。
【0020】
本発明によれば、ガラス基板は、注封材料の量が大幅に減少したため、半導体ウェハの望ましくない変位、及びキャリア基板の変形を防ぐ。さらに、膨張、特に熱膨張又は湿気変化による膨張も回避される。この場合、ガラス基板の弾性係数の増加はまた、製造プロセスとデバイス特性にプラスの影響を与える。さらに、ガラス基板を使用すると、RF特性が向上し、無線周波数技術において様々な実用的なアプリケーションとなる。
【0021】
ガラス基板が非線形自己集束によるレーザー照射によって処理され、その後、適切なエッチング速度及び持続時間でエッチングすることによって異方性材料除去されるという事実により、初めて、隔壁の実質的に平らな側壁面が、基板の切り欠きの境界面として生成される。その結果、半導体ウェハは、側壁面から、それ故隣接する半導体ウェハからも非常に短い距離で配置できる。
【0022】
ガラス基板の側壁面を形成する切り欠きの製造方法では、LIDEという名称で知られるようになったレーザー誘起ディープエッチングが使用される。この場合、LIDE法は、非常に正確な穴(ガラス貫通穴=TGV)及び構造を非常に高速で導入できるため、ガラス基板の製造に必要な要件を提供する。
【0023】
原則として、半導体ウェハがキャリア層又は再配線層(RDL)のいずれかに配置された後、ガラス基板はそれら層に接続されており、切り欠きの間の隔壁は、半導体ウェハをいずれの場合もすべての側面で囲んでいると想定される。さらに、キャリア層又は他の層とは無関係に、半導体ウェハをガラス基板に固定することも考えられ、その結果、半導体ウェハとガラス基板は、さらなる製造プロセスに使用できる構造ユニットを形成する。
【0024】
その結果として、ガラス基板の切り欠き内に半導体ウェハを注封する方法も実現できる。この目的のために、基板を任意に省略できるように、半導体ウェハをガラス基板に取り付けることができる。
【0025】
さらに、本発明による課題はまた、キャビティとも呼ばれ、半導体ウェハを小さなギャップで、又は隣接する方法で囲む多数の切り欠きを備えたガラス基板によっても達成される。ここで、それら切り欠きは、ほぼ平面のコースを有する側壁面によって境界が定められ、すなわち、特に、ガラス基板の表面間で明確に幅が減少しておらず、又は切り欠きに凸状に延びる壁面領域がない。
【0026】
この場合、壁面はV字形のコース、すなわち、切り欠きの連続的に増加する明確な幅を有することができる。ここで、その勾配は、転換点なしで一定として具体化できることが好ましい。
【0027】
透明、半透明又は透過性の注封材料(例えばポリマー)が使用されるという事実により、本発明によれば、異なる半導体ウェハ間の光学的接続を実現することも可能である。
【0028】
請求項9に記載の本発明による方法の特定の一実施形態は、以下の方法の工程:
-接着層を介して固定された少なくとも1つの半導体ウェハ、特に半導体部品を有するキャリア基板を供給する工程、
-少なくとも1つの切り欠きを有するガラス基板を供給する工程、
-少なくとも1つの半導体ウェハ、特に半導体部品が少なくとも1つの切り欠き内に配置されるように、ガラス基板をキャリア基板の接着層上に位置決めする工程、
-注封材料を用いて、少なくとも1つの半導体ウェハ、特に半導体部品を少なくとも1つの切り欠きに埋め込む工程、及び、
-半導体ウェハ、ガラス基板、及び注封材料を含む残りのパッケージから、キャリア基板及び接着フィルムを取り除く工程によって特徴付けられる。
【0029】
1つの好ましい変形例では、再配線層及びその上の接触要素、特にはんだボールを、少なくとも1つの半導体ウェハ、特に半導体部品との電気的接触を伴ってパッケージに適用できる。
【0030】
デバイス技術の観点からの好ましい変形例として、本発明による方法に従って好ましくは製造される製造中間製品としての集積半導体ウェハ装置、特に集積半導体部品配置は、以下の特徴:
-キャリア基板、
-その上に配置された接着フィルム、
-その接着フィルム上に固定された少なくとも1つの半導体ウェハ、特に半導体部品、及び、
-接着フィルムに固定され、間に隔壁を形成する複数の切り欠きを有するガラス基板であって、各切り欠きには、1つ以上の半導体ウェハ、特に半導体部品が注封材料で埋め込まれているガラス基板、によって特徴付けられる。
【0031】
それから製造できる最終製品として、本発明は、キャリア基板及び接着フィルムを除去した結果として、間に隔壁を形成する複数の切り欠きを有するガラス基板が残っており、それら切り欠きのそれぞれに、1つ以上の半導体ウェハ、特に半導体部品が注封材料で埋め込まれている集積半導体ウェハ装置を提供する。さらに、その装置は、1つ以上の半導体ウェハ、特に半導体部品と電気的に接触する再配線層と、再配線層上の接触要素、特にはんだボールとを備える。
【0032】
中間製品及び最終製品は、本発明による方法に関連して既に上記されている従来技術の欠点を回避する。従属請求項8及び13から23で請求されるさらなる好ましい実施形態は、本発明による装置の特定の特徴及びパラメータに関しており、これらは、不必要な反復を回避するために例示的な実施形態の説明においてより詳細に説明される。
【0033】
したがって、本発明は様々な実施形態を可能にする。基本原理をさらに解明するために、複数のそのような例示的な実施形態を図面に示し、以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】第1実施形態における、切り欠き及び貫通接点(TGV)を有するガラス基板の垂直断面図を示す。
図2】第2実施形態における、切り欠き及び貫通接点を有するガラス基板の水平断面図を示す。
図3】第3実施形態における、切り欠き及び貫通接点を有するガラス基板の垂直断面図を示す。
図4a】半導体ウェハ集積のための本発明による方法を実行する際のフローチャート(その1)を示す。
図4b】半導体ウェハ集積のための本発明による方法を実行する際のフローチャート(その2)を示す。
図4c】半導体ウェハ集積のための本発明による方法を実行する際のフローチャート(その3)を示す。
図4d】半導体ウェハ集積のための本発明による方法を実行する際のフローチャート(その4)を示す。
図4e】半導体ウェハ集積のための本発明による方法を実行する際のフローチャート(その5)を示す。
図4f】半導体ウェハ集積のための本発明による方法を実行する際のフローチャート(その6)を示す。
図5a】製造中間製品としての集積半導体ウェハ装置の様々な実施形態の垂直断面図(その1)を示す。
図5b】製造中間製品としての集積半導体ウェハ装置の様々な実施形態の垂直断面図(その2)を示す。
図5c】製造中間製品としての集積半導体ウェハ装置の様々な実施形態の垂直断面図(その3)を示す。
図5d】製造中間製品としての集積半導体ウェハ装置の様々な実施形態の垂直断面図(その4)を示す。
図6a】製造中間製品としての集積半導体ウェハ装置の様々なさらなる実施形態の概略垂直断面図(その1)を示す。
図6b】製造中間製品としての集積半導体ウェハ装置の様々なさらなる実施形態の概略垂直断面図(その2)を示す。
図6c】製造中間製品としての集積半導体ウェハ装置の様々なさらなる実施形態の概略垂直断面図(その3)を示す。
図7】集積半導体ウェハ装置の様々なさらなる実施形態の概略部分平面図(その1)を示す。
図8】集積半導体ウェハ装置の様々なさらなる実施形態の概略部分平面図(その2)を示す。
図9】集積半導体ウェハ装置の様々なさらなる実施形態の概略部分平面図(その3)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、本発明によるガラス基板1の最も重要な特徴を、すべての実施形態を代表する方法で示している。厚さDを有するガラス基板1には、距離bを隔てて複数の切り欠き2が設けられている。貫通穴4、いわゆる「ガラス貫通穴」(TGVと略される)は、切り欠き2を取り囲むガラス基板1の隔壁3に作られ、メタライゼーション5が通例の方法でその貫通穴に導入される。ガラス基板1は、少なくとも実質的に無アルカリガラス、特にアルミノホウケイ酸ガラス又はホウケイ酸ガラスからなる。
【0036】
図2は、同様のガラス基板1の平面図を示し、これは、平面図において長方形の切り欠き2を有する。隔壁3の領域において、図2の左側に示す切り欠き2の両側に、それの狭い側面6、7から距離をもって隣接する貫通穴4が導入される。さらに、そのような貫通穴4は、図2の右側に示す切り欠き2の下に平行な2列となっている。
【0037】
切り欠き2は、図1に示すように、途切れない貫通開口としてだけでなく、止まり穴としても具体化することができる。
【0038】
図3によるガラス基板1の実施形態では、中間隔壁3を有する切り欠き2が再び導入されている。しかし、この場合、切り欠き2の対向する側壁面8は、図1による実施形態とは異なり、ガラス基板1の主平面に対して垂直に配置されておらず、側壁面8は、ガラス基板1に対する表面法線Fに対して、最大10°、特に最大8°、又は5°であり得るフランク角aをとるという事実により、むしろ図3に関して上向きにV字形に開いている。側壁面8は必ずしも平面である必要はなく、反対側の側壁面8とで砂時計形(くびれた形)のコースを形成することもできる。
【0039】
図1及び3によるガラス基板1の場合のさらなる幾何学的比率は、それぞれ以下のように示される。その材料厚Dは、例えば、<500μmであり、好ましくは<300μmであり、又は、さらにより好ましくは<100μmであり得る。隔壁3の壁厚bは、<500μmであり、好ましい段階的変化は、<300μm、<200μm、<100μm、又は<50μmであり、好ましくは、ガラス基板1の材料厚Dよりも薄い。したがって、ガラス基板1の2つの切り欠き2の間の最大残存壁厚bと、その材料厚Dとの比b/Dは、<1:1であり、好ましくは<2:3、<1:3、又は<1:6であり得る。
【0040】
ガラス基板1の切り欠き2のサイズは、原則として、側壁面8から可能な限り短い距離で半導体部品9を受け入れることができるように選択される。切り欠き2の位置は、それらが集積半導体部品配置(いわゆる「チップパッケージ」又は「ファンアウトパッケージ」)における半導体部品9の望ましい後の配置に対応するように選択される。
【0041】
次に、図4a~図4fは、本発明によるガラス基板1がチップパッケージの製造において、どのように使用されるかを概略的に示している。図4aは、初期状態として、接着フィルム11が設けられたキャリア基板10を示しており、接着フィルム11の上には半導体部品9が配置されている。図4bでは、先に用意されたガラス基板1が接着フィルム11上に配置されている。ここで、隔壁3の側壁面8とそれらに対向する半導体部品9の側面との間の上記した短い距離は、<30μmであり、好ましくは<20μm、<10μm、又は<5μmである。
【0042】
続いて、工程c)において、半導体部品9をガラス基板1内のそれらの位置に固定するために、注封材料12が切り欠き2に注封される。工程d)では、キャリア基板10とともに接着フィルム11が分離される。したがって、ガラス基板1、そのガラス基板に導入されたメタライゼーション5を有する貫通穴4、及び注封材料12に埋め込まれた半導体部品9のコンパクトなユニットとなる。続いて、工程e)で、電子部品9が露出しているユニットの側面(これは、ユニットを反転した後の図4eの上側である。)に、再配線層13(いわゆる「RDL」)が塗布される。最後に、図4fで認識できるように、半導体部品に接触するためのはんだボール14が、再配線層13の対応する接点(図示せず)に塗布される。
【0043】
図5は、図4の工程c)までそれぞれ処理された集積半導体部品配置の様々な実施形態を示す。キャリア基板10、接着フィルム11、及び、ガラス基板1(注封材料12によって対応する切り欠き2に固定された1つ以上の半導体部品9を含む)を備える製造中間製品がこのように実装されている。図5aは単一の半導体部品9を含むガラス基板1を示し、図5bは複数の半導体部品9を含むガラス基板1を示す。図5cでは、メタライゼーション5で部分的に満たされた複数の貫通穴4が、切り欠き2に関して縁領域に生成されている。
【0044】
図5dは、透明な注封材料12の使用を示し、それにより、透過性ガラス基板1を介した半導体部品9間の光データ通信15を可能にする。
【0045】
図6aで示されている実施形態では、ガラス基板1の切り欠き2は非常に狭くカットされており、半導体部品9は実質的に隔壁3と直接接触し、キャリア基板10上でこの平面におけるその位置に予め固定される。
【0046】
図6bは、図3に示される構成を取り、ガラス基板の側壁面8は、フランク角で傾斜している。この場合、切り欠き2の開いた底面は、半導体部品9がそのベース領域で傾斜した側壁面8の下縁に当接し、部品位置の事前固定がそれ故同様に生じるような寸法に設定されている。
【0047】
図6cに示す実施形態においても、2つの対向する側壁面8にそれぞれ、その高さのおおよそ半分の位置にV字形突起16が設けられ、半導体部品9がそれら突起に当接するという事実により、同じ効果が達成される。
【0048】
ガラス基板1のそれぞれの切り欠き2に半導体部品9をきつく取り付ける過程で、部品9の傾斜/ジャミングを相殺するために、図7~9に示すように、それぞれの切り欠き2の角領域に、ガラス基板1内にある部品9の角のために凹部17を形成することができる。
【0049】
図8による実施形態では、側壁面8から突出する止め部18が、ガラス基板1にさらに配置され、これにより、切り欠き2への半導体部品9の位置固定において、いわゆる「重複決定」を回避する。
【0050】
図9による最後の実施形態では、最後に、各止め部18の反対側にあるガラス基板1の側壁面8の2つのばね要素19によって、半導体部品9の事前固定が最終的にまた、さらに最適化される。しかし、構造要素である凹部17、止め部18、及びばね要素19はまた、単独で、その都度個別に、又は、集積半導体ウェハ装置の異なる切り欠き2における様々な組み合わせで別々に使用することもできることを指摘しておくべきである。
【符号の説明】
【0051】
1 ガラス基板
2 切り欠き
3 隔壁
4 貫通穴
5 メタライゼーション
6、7 側面
8 側壁面
9 半導体部品
10 キャリア基板
11 接着フィルム
12 注封材料
13 再配線層
14 はんだボール
15 光データ通信
16 V字形突起
17 凹部
18 止め部
19 ばね要素
D 材料厚
F 表面法線
a フランク角
b 壁厚
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図4f
図5a
図5b
図5c
図5d
図6a
図6b
図6c
図7
図8
図9