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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】人工医療デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/06 20130101AFI20220616BHJP
【FI】
A61F2/06
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020528049
(86)(22)【出願日】2017-12-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-06
(86)【国際出願番号】 US2017064137
(87)【国際公開番号】W WO2019108217
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2020-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1 Becton Drive Franklin Lakes NEW JERSEY 07417 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【弁理士】
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】ハリス、キース
(72)【発明者】
【氏名】ボイル、ケビン
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-139500(JP,A)
【文献】特表2001-507256(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0149939(US,A1)
【文献】米国特許第06022374(US,A)
【文献】特表2014-533189(JP,A)
【文献】特表2009-504349(JP,A)
【文献】特表2015-514544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/00 - 2/97
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工医療デバイスであって、
調整可能な長さ部分に沿って第1の直径から第1の直径よりも小さい第2の直径に調整可能な構成を有しており、体内に移植された後で第2の直径を生体内において維持することで、人工医療デバイスに流れが制限された通路を形成し、人工医療デバイスは、
状移植片であって、開放端、および長手方向軸に沿って内腔を囲む連続する外壁を有しており、外壁は近位部分、遠位部分および中間部分のそれぞれにおいて前記第1の直径を有しており、中間部分は前記調整可能な長さ部分を有しており、外壁は前記調整可能な長さ部分に沿って周方向に離間する少なくとも2列の受容部を有している、管状移植片と、
前記少なくとも2列の受容部を通って交差パターンまたはジグザグパターンを形成する縫合糸であって、第1の自由端および第2の自由端を有しており、第1の自由端および第2の自由端が前記少なくとも2列の受容部から離れるように移動することによって、前記調整可能な長さ部分を前記第1の直径を有する第1の構成から前記第2の直径を有する第2の構成へ移行させる、縫合糸と、を備えている、人工医療デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも2列の受容部が複数の対の受容部を含み、複数の対の受容部の各々が軸方向に離間している、請求項1に記載の人工医療デバイス。
【請求項3】
前記複数の対の受容部の各々が周方向に整列している、請求項2に記載の人工医療デバイス。
【請求項4】
前記複数の対の受容部の各々が軸方向に互い違いに配置されている、請求項2に記載の人工医療デバイス。
【請求項5】
前記縫合糸の第1の自由端が前記調整可能な長さ部分の第1の端部分で最も外側の受容部から延び、前記縫合糸の第2の自由端が前記調整可能な長さ部分の第2の端部分で最も外側の受容部から延びている、請求項1に記載の人工医療デバイス。
【請求項6】
前記縫合糸の第1の自由端および第2の自由端が前記少なくとも2列受容部の端部でそれぞれの最も外側の受容部から延びている、請求項1に記載の人工医療デバイス。
【請求項7】
前記少なくとも2列の受容部が第1の列の受容部と第2の列の受容部を含み、第1の列の受容部前記縫合糸が緩められた状態で第2の列の受容部からより離間するように配置されており前記縫合糸が締め付けられた状態で第2の列の受容部により近接した間隔で配置されている、請求項1に記載の人工医療デバイス。
【請求項8】
前記少なくとも2列の受容部が前記調整可能な長さ部分が前記第2の直径に移行すると砂時計の形を作るように、前記管状移植片の中間部分に設けられている、請求項1に記載の人工医療デバイス。
【請求項9】
前記少なくとも2列の受容部の各受容部がアイレットを含む、請求項1に記載の人工医療デバイス。
【請求項10】
前記少なくとも2列の受容部の各受容部が前記外壁からの突起によって形成されている、請求項1に記載の人工医療デバイス。
【請求項11】
突起が前記外壁に接続されたリングレットによって作成されている、請求項10に記載の人工医療デバイス。
【請求項12】
前記突起が、前記管状移植片の壁に固定された第2の縫合糸によって形成されたループを含む、請求項10に記載の人工医療デバイス。
【請求項13】
前記少なくとも2列の受容部が前記管状移植片の壁に取り付けられた玉縁によって形成されている、請求項1に記載の人工医療デバイス。
【請求項14】
前記少なくとも2列の受容部が前記管状移植片の補強領域に形成された穴を含む、請求項1に記載の人工医療デバイス。
【請求項15】
前記補強領域が、前記管状移植片のの厚くなった領域である、請求項14に記載の人工医療デバイス。
【請求項16】
前記補強領域が、前記管状移植片の壁の焼結領域である、請求項14に記載の人工医療デバイス。
【請求項17】
前記縫合糸が放射線不透過性材料を含む、請求項1に記載の人工医療デバイス。
【請求項18】
前記少なくとも2列の受容部が放射線不透過性材料を含む、請求項1に記載の人工医療デバイス。
【請求項19】
前記管状移植片が延伸ポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項1に記載の人工医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、人工医療デバイス(prosthetic medical device)に関し、特に、使用者および関連する方法によって独自に内径を縮小させる(custom reduced inner diameter)ことができる調整可能な血管移植片に関する。
【背景技術】
【0002】
血管移植片(vascular graft)は、罹患した血管の修復または置換の過程で吻合を形成するため、または血液透析の目的(動静脈瘻の形成を伴う場合があり、この場合、血管外科医が移植片を使用して動脈と静脈を結合させる)のためなど、さまざまな医療処置において使用される人工医療デバイスである。典型的な移植片は、生体適合性材料で作られた可撓性のある長尺状の管状構造であり、したがって、修復または接続される血管を模倣して設計されている。典型的な移植片Gの例を図1に示す。これは、使用目的に応じてさまざまな直径と長さを持つ極めて単純な長尺状の管状または筒状の構造体である。
【0003】
吻合を形成する過程で、移植片を通る流体の流れを調節するために、直径が減少した部分を作製することが望まれることがあり、この部分により、血管系の他の部分での循環障害の発生を回避することができる。このような直径が減少した部分を形成するための従来の方法の一つは、血管外科医が中間部分に沿って長手方向に移植片を切断し、切断された部分を重ね、それらを縫い合わせて移植片全体に所望の直径が減少した部分を設けることである。明らかに、これは他の方法では医学的に複雑な処置において面倒で時間のかかる工程であり、完了するまでに数時間かかる可能性があり、血管外科医の技能に大きく依存する。さらに、結果として得られる移植片は、時間の経過とともに縫合がほどけた場合、またはおそらく必要な切断に起因する移植片材料の脆弱化によって裂け目が生じた場合でも、次善の結果をもたらす可能性がある。
【0004】
これらの制約を回避するために、いわゆる「フロー制限移植片」Fについて提案がなされ、その例を図2に示す。この移植片は、図1に示したものと同じ管状の可撓性の構造体であるが、内径の望ましい縮小(たとえば、7ミリメートルから3または4ミリメートル)を提供するネック部分Nを有している。このデバイスは、移植片を切断して行う手作業による縮小に関する上記の問題を解決するが、特定の患者のニーズまたは移植片が使用される用途に応じて、直径のさまざまな縮小が必要になる可能性を考慮していない。明らかに、手元の流れ制限移植片によって提供されるものとは異なる減少した直径が望まれる場合、手動による再構成が必要となることがあり、これは前述の問題につながる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、使用者が簡単かつ再現性の高い方法で独自の内径の縮小を行うことができる調整可能な血管移植片を提供することが望ましい。このような移植片は様々な用途で有用であり、異なる大きさの移植片を使えるように用意しておくという従来の必要性が回避できる。また、移植片の大幅な改造の必要やその結果生じ得る問題がなくなり、直径を迅速に減少させることが可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、臨床医が独自に内径の縮小を選択できるようにする調整可能な血管移植片を提供することである。
そのような目的を踏まえて、本開示の第1の態様によれば、人工医療デバイスは、開口端と、略連続した側壁に形成された少なくとも2列の受容部(側壁は受容部によってのみ中断され得る)とを有する管状移植片を備える。少なくとも2列の受容部は、側壁の連続する部分に沿って円周方向に離間している。縫合糸は、受容部を通過し、第1および第2の端部を有する。第1および第2の端部を引っ張るなどして縫合糸を引き締めると、移植片が締め付けられて、管状移植片の内径が減少する。これにより、移植片に減少した流れ部分が形成され、この部分は、移植片を長手方向に切断して直径を減少させる必要なしに選択的に調整することができる。
【0007】
一実施形態では、少なくとも2列の受容部は、複数の対の受容部を含み、各対の受容部は軸方向に離間している。各対の受容部は、周方向に整列させることができ、各対の受容部は、軸方向に互い違いにすることができる。
【0008】
縫合糸の第1および第2の端部は、各列の1つの受容部から延びている。一実施形態では、縫合糸の第1の端部は、管状移植片の第1の端部分の最も外側の受容部から延び、縫合糸の第2の端部は、管状移植片の第2の端部分の最も外側の受容部から延びる。別の実施形態では、縫合糸の第1の端部は、少なくとも2つの列の同じ端部で最も外側の受容部から延びる。受容部は、砂時計形状が締め付け工程から生じるように、移植片の中間部分のみに沿って提供されてもよい。
【0009】
縫合糸は受容部を通って交差パターンを形成する。あるいは、縫合糸は受容部を通ってジグザグパターンを形成してもよい。いずれの場合でも、少なくとも2列の受容部には、1列目の受容部と2列目の受容部を含めることができ、1列目の受容部は、縫合糸が緩められた状態で2列目の受容部からさらに離間し、縫合糸が締め付けられた状態で2列目の受容部により近接した間隔で配置される。
【0010】
実施形態のいずれにおいても、各受容部は、縫合糸を受け入れるためのアイレットまたはリングレットを含んでいてもよい。アイレットは、その軸が移植片の軸方向に略垂直になるように配向され、リングレットは、その軸が移植片の軸方向に略平行になるように配向される。受容部は、移植片の側壁を通って延在し、所定の位置に固定された別の縫合糸によって形成されたループなどの、移植片の側壁からの突起を備えてもよい。受容部はまた、移植片の側壁に取り付けられた玉縁(beading)によって形成されてもよい。受容部は、移植片の補強領域に形成された穴を備えてもよく、そのような穴は、移植片の側壁のより厚い領域または焼結領域であってもよい。
【0011】
前述の実施形態のいずれかにおいて、縫合糸は、放射線不透過性材料を含む。受容部もまた、放射線不透過性材料を含む。マンドレルを備えることもでき、マンドレルは、管状移植片の独自の減少した直径に対応する減少した直径の部分を含み、したがって、砂時計の形状を有することができる。
【0012】
前述の実施形態のいずれかにおいて、管状移植片は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(「ePTFE」)を含むが、他の材料を使用することも可能である(例えば、細胞外マトリックス、または「ECM」)。
【0013】
本開示の第2の態様によれば、人工医療デバイスが提供される。このデバイスは、管状移植片を備え、管状移植片は、開口端と、管状移植片を通る流れを制限するために大きな内径から小さな内径に減少するように適合された開口端の中間にある調整可能部分とを含む。一実施形態では、調整可能部分は、調整可能部分の側壁を通過し、縫合糸(任意で放射線不透過性材料を含む)によって接続される複数の受容部(アイレットを含む)を備え、縫合糸を締め付けることによって、より小さい直径を有する調整可能部分を形成する。マンドレルには、管状移植片の独自の内径の寸法に対応する縮径部分を設けることもできる。
【0014】
本開示のさらに別の態様は、開口端と、アイレットまたはリングレットを備えることができる複数の受容部を含む側壁とを備える管状移植片に関する。縫合糸はまた、複数の受容部を通過することができる。
【0015】
本開示のさらに別の態様は、管状移植片を形成する方法に関する。この方法は、管状移植片の中間部分の複数の受容部を通って縫合糸を延在させることを含み、縫合糸が締め付けられると、移植片の少なくとも一部に沿って内径が減少する。この方法はさらに、減少するステップの前に、中間部分の独自の内径に対応する外径を有するマンドレルを管状移植片に挿入するステップを含むことができる。
【0016】
この方法は、移植片の補強領域に穴を形成することにより、移植片に受容部の列を形成するステップをさらに含むことができる。この方法はまた、移植片の側壁から突起を形成することにより、移植片に受容部の列を形成することを含むことができる。さらに、この方法は、アイレット、リングレット、または玉縁を管状移植片の側壁に接続することによって受容部の列を形成することを含むことができる。
【0017】
本明細書に開示される発明による上記の利点およびさらなる利点は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することによってよりよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】先行技術の移植片の斜視図である。
図2】直径が一定のくびれ部分を有する先行技術の流れ制限移植片の斜視図である。
図3】開示の一態様による調整可能な移植片の上面斜視図である。
図4図1の移植片の拡大上面図である。
図5】調整可能な移植片に関連して任意で使用するためのアイレットの上面図である。
図5A】調整可能な移植片に関連して任意で使用するためのアイレットの側面図である。
図5B】調整可能な移植片に関連して任意で使用するためのアイレットの断面図である。
図6】取り付けられた状態のアイレットの部分的に切り取った一部断面図である。
図7】本開示による調整可能な移植片の代替の実施形態の上面図である。
図8】本開示の別の態様によるマンドレルの斜視図である。
図9】マンドレルが中にある調節可能な移植片および引き締められた状態の付随する縫合糸を示す図である。
図10】別の実施形態を示す図である。
図10A】別の実施形態を示す図である。
図11】補強領域に形成された穴を含む移植片の側壁の部分断面図である。
図12】連続する壁厚を有する管を形成するための先行技術のダイおよびマンドレルの配置を示す概略図である。
図13】補強領域を有する管を押し出す際に使用するためのダイおよびマンドレルを示す概略図である。
図14】補強領域を有する管を押し出す際に使用するためのダイおよびマンドレルを示す概略図である。
図15】縫合糸を受容するための受容部を形成するために移植片の側壁に取り付けられた玉縁を示す、部分的に切り取った一部断面図である。
図16】受容部を形成するための縫合糸の使用を示す、部分的に切り取った一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面は必ずしも比例的または一定の縮尺で描かれているわけではない。例えば、いくつかの要素の寸法は、明確にするために他の要素に対して誇張されている場合があり、またはいくつかの物理的構成要素が1つの機能ブロックまたは要素に含まれている場合がある。さらに、対応するまたは類似の要素を示すために、図面間で参照番号が繰り返される場合がある。
【0020】
以下の詳細な説明では、開示された概念の完全な理解を提供するために、多くの特定の詳細が示されている。当業者には、開示された発明がこれらの特定の詳細なしで実施可能であることが分かるであろう。他の例では、開示された発明を明確にするために、周知の方法、手順、構成要素、または構造が、詳細に説明されていない場合がある。
【0021】
以下に提供される説明および図に関しては、特に明記しない限りすべての実施形態に適用され、各実施形態に共通の特徴は同様に示され、番号が付けられている。
最初に図3および4を参照すると、調整可能な血管内移植片10の一実施形態が示されている。移植片10は、開放端または端部分12、14および側壁16を有する可撓性の長尺状の管状体を含む。開放端12、14は、動脈や静脈等の他の血管、他の移植片、またはそれらの任意の組み合わせ等と接続するための大きさおよび形状であってもよい(そして、それらは適所で縫合されて、移植片10との接続部を形成することができる)。開放端12、14も「カフ付き」にすることができる。その例は、ディスタフロ(Distaflo(登録商標))およびダイナフロ(Dynaflo(登録商標))カフ付き移植片であり、アリゾナ州テンプルのバード ペリフェラル バスキュラー社(Bard Peripheral Vascular、Inc.)から流通されており、また米国特許出願公開第2010/0280598号明細書に記載されており、同文献の開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。移植片10は、所望の長さまたは直径を有していてもよく、以下でより詳細に考察されるように、血管内で使用できるように、様々な生体適合性材料から製造されてもよい。
【0022】
開口端12、14の間には、開口端12、14から内側に間隔を置いて、移植片10の中間部分18があり、中間部分18は、中間部分18に沿って内径を調整して流れが制限された通路を作ることができるように適合される。一実施形態では、この中間部分18に沿った側壁16は、縫合糸22を通すことができる開口部を形成する複数の受容部20を含む。例えば、図4に示されるように、受容部20は、円周方向Cおよび軸方向または長手方向Lの両方で離間され得る、受容部の対を備えることができる。図示の実施形態では、受容部20は、受容部R、Rの略平行な2つの列に配置され、個々の受容部は、整列しないように周方向に互い違いにまたはずらして(offset)配置されている。受容部20は、非常に小さいものでよく、縫合糸22が十分に通過できるような大きさであればよい。
【0023】
縫合糸22は、第1の自由端22aが最も外側の受容部20aから一方向に延び、第2の自由端22bが最も外側の受容部20bから他の(反対)方向に延びるように、受容部20に通すことができる。受容部20a、20bの間で、縫合糸22が通された部分は、「ジグザグ」パターンを形成するように配置され、縫合糸が交互に通される部分(alternating passes)は、それぞれ側壁16の内部または外部に沿って(すなわち、移植片10の中間部分18の内面または外面に沿って)延びる。縫合糸をすべての受容部20に通す必要はなく、臨床医は、形成すべき縮径部分の所望の長さに基づいて、使用される受容部の数を選択することができる。
【0024】
したがって、縫合糸22の自由端22a、22bは、最も外側の受容部20a、20bから延びる場合は、(動作矢印AおよびBによって示されるように)反対方向に引っ張られる。その結果、(緩められた状態の縫合糸と比較すると、すなわち、図3(緩められた状態)と図9(締め付けてられて「砂時計」の形をした移植片10が提供される)とを比較すると、)受容部20の列R、Rが互いに向かって移動して、引っ張られた状態で縫合糸22が通された部分を縮めることでより近くなる。この引っ張りにより、側壁16の一部が受容部20の列の間で内向きに湾曲し、移植片10の少なくとも中間部分18の内径を減少させて、端部12、14の直径を変えることなく所望の流れ制限(中間)部分を作り出すという効果をもたらす。側壁16は結果として「略連続した」状態のままであり(受容部20によって形成される小さな開口部を除いて)、受容部20によって形成される開口部の間に中断されない材料のストリップPが提供される。
【0025】
直径の減少量は、縫合糸22の自由端22a、22bがそれぞれの方向に引っ張られる量を調整することによって制御することができる。目視検査の結果、減少が大きすぎると判断した場合、自由端22a、22bの張力が緩和される。いったん所望の減少が達成されると、縫合糸22の位置は、例えば、結び目によって固定され、減少した直径の中間部分18を有する移植片10を使用して、所望した流れの減少が生じる。当然のことであるが、その後の調整は、縫合糸に再度張力をかけるだけで行うことができる。
【0026】
受容部20は、縫合糸22の動きに対応するのに十分頑丈なように、任意選択で補強材を備えてもよく、一形態ではアイレット24を含んでもよい。図5、5A、および5Bに示されるように、各アイレット24は、剛性材料(ポリマーまたはプラスチック、金属、縫合材料など)で形成された略円形の構造を含んでいてもよい。アイレット24は、縫合糸が自由に通過できるような中空内部26と、外側溝またはチャネル28とを有しており、外側溝またはチャネル28は、側壁16を形成する材料を受け入れ、よってアイレットを所定の位置にしっかりと保持するように適合される。したがって、アイレット24は本質的にグロメットであってもよく、単に周囲の側壁16との機械的係合によって保持されるが、安全で生体適合性のある方法で、2つの構造を固定するための接着剤、溶接(超音波または熱)、または他の既知の代替手段を使用することにより、安全性を高めることができる。
【0027】
調整可能な内径を有する中間部分18を形成する別の方法を提供することもできる。例えば、図7に示されるように、中間部分18に沿った側壁16の受容部20の対は、円周方向Cに略整列され、軸方向Lに離間されてもよい。縫合糸22は、横切るまたは交差する方法で受容部20に通されてもよく、縫合糸が連続して通される部分は、側壁16の内部または外部にある。縫合糸22の自由端22a、22bがこのように同じ方向Dに引っ張られると、受容部20の列が一緒に引き寄せられ、移植片10の材料が中間部分18に沿って所望の減少した直径となるまで締め付けられる。
【0028】
直径の減少は生体内(in vivo)で行われるが、使用前に、直径が減少した移植片10を用意することも可能である。これを容易にするために、所望する独自の減少した直径に近い減少した直径部分30aを含むマンドレル30を提供することも可能である。図示の実施形態では、縮径部分30aは、移植片10の内径よりも少なくともわずかに小さい外径を依然として有する大径部分30bと境を接している(その外径は、適用事例に応じて、各部分30bと同じでも異なっていてもよい)。
【0029】
したがって、図9に示されるように、マンドレル30は、縮径部分30aが「非締め付け」状態で移植片10の中間部分18と整列するように、移植片10に挿入されてもよい。次に、縫合糸22に張力をかけて、移植片10の内径を減少させることができるが、減少量はマンドレル30の外径によって制限される。さらに、縫合糸22は、結ぶことなどによって固定され、マンドレルが(溶解または溶融することなどによって)取り除かれる。
【0030】
これに代えて、マンドレル30は、モジュール式に作製されてもよく、縮径部分30aの寸法を、特定の移植片10または所望の独自の縮小内径に合わせて選択することができる。より大きな直径の部分30bは、ピンを使用することなどによって、直径の減少した部分30aに取り外し可能に取り付けられ、容易に組み立ておよび分解すること(独自の内径が得られると、移植片10からマンドレル30を取り外すことを含む)ができる。おそらく最も単純な形態では、マンドレル30はまた、その外径として、所望の独自の縮小内径を有する円筒管またはロッドを含むこともでき、その周りで縫合糸22を使用して締め付けたときに中間部分18と適合する。
【0031】
側壁16内の受容部20が側壁16からの突起によって形成される代替の実施形態を示す図10および10Aも参照する。図示の実施形態では、受容部20は、少なくとも部分的に側壁16に埋め込まれ、離間した列状に配置されたリングレット34によって形成される。アイレット24と同様に、リングレット34は、側壁16を通して挿入された剛性(金属)リングを含み、側壁16と一緒に成形され、または受容部を形成する突起は、(成形などによって)側壁に一体的に形成される。図10Aに示されるように、リングレット34は、移植片10の半径に整列または移植片10の半径と略平行である半径方向Rを有し、したがって縫合糸22は、軸方向Lに略整列した方向でその軸に沿って各リングレットを通過する。
【0032】
リングレット34は、図示された方法で縫合糸22を受け入れることができ、これは基本的に前述した交差構成である。自由端22a、22bが引っ張られると、リングレット34の列が互いにより近くに移動する。その結果、所望の締め付け効果および中間部分18の直径の減少が達成される(想像線で示される側壁16’の陥没した部分に注意されたい、これは、アイレット24を使用する実施形態に関連して達成されるものと同様である)。リングレット34は、リングレットを軸方向および円周方向に互い違いにすることにより、上述の「ジグザグ」パターンなどの締め付け効果を依然として達成するように異なる方法で配置することができる。
【0033】
受容部20を形成する他の方法も提案されている。図11を参照して、穴パンチまたは穴ドリルを使用することなどによって、移植片10の側壁16に穴35を形成することができる。次に、穴35を直接取り囲む領域を補強することができる。この補強は、「硬質焼結」、または焼結(溶融なしの加熱)工程中に穴35を囲む移植片材料を加圧することによって達成することができる。得られる材料はより密度が高く、したがってより強く/より硬くなる。その結果、縫合糸保持強度は、受容部20を含む中間部分18に沿って増加するが、移植片10の残りの部分は、可撓性で多孔性のままである。
【0034】
図12、13および14を参照すると、ダイ10およびマンドレルMの形状を変えることにより、移植片10の特定の領域の壁厚を形成工程中に増加させることもできる。通常の移植片の場合、図12に示すように、ダイEの内径とマンドレルMの外径はどちらも円形である。得られる移植片の断面は、ダイEとマンドレルMとの間の空間部分(open space)である。図13および14に示すように、マンドレルMとダイEのいずれかの形状を変更すると、その領域の移植片10の厚さが変化する(ただし、ダイE内でマンドレルMをずらして配置することによって同じ結果を得ることができる)。次に、得られた管状構造に穴(図示せず)を(パンチまたはドリルなどによって)形成して、受容部を作成することができる。必要に応じて、この実施形態に関連して焼結工程を使用することもできる。
【0035】
さらに別の可能性は、図15に示すように、移植片10に外部玉縁36を使用して受容部20を形成することである。この玉縁36は、玉縁36の部分36aが側壁16の材料の上に隆起して縫合糸(図示せず)の受容部20を形成するように、移植片10に沿って(螺旋構成などで)配置されてもよい。玉縁36は、(例えば、溶接または他の結合によって)しっかりと固定して取り付けられるように、加工工程を使用して局所領域に取り付けられてもよく、したがって、縫合糸の所望の保持点を提供する。この玉縁36の2つの離間した列を適用して、受容部20の所望の列を達成することができる。玉縁36はまた、X線透視下での容易な視覚化を可能にするために、放射線不透過性材料(例えば、金属またはドープされたポリマー)を含んでもよい。
【0036】
さらに別の選択肢は、図16に示されるように、縫合糸または縫合糸様材料などの可撓性材料の受容部20を形成することである。具体的には、縫合糸38は、受容部20を形成するために、側壁16の材料を介して縫い付けられるか、または側壁16の材料を挿通させることができる。移植片10内の縫合糸38の端部は、結び目または留め具などのアンカー40によって機械的に固定されてもよい。ここでも、縫合糸38で形成された2つの円周方向に間隔を置いた列の受容部20を設けて、移植片10の締め付け、したがって、内径の所望の少なくとも部分的な減少を可能にすることができる。
【0037】
達成される最大の締め付けの程度は、受容部20の列の間隔に基づいて制御することができ、間隔を大きくすると、直径をより小さくすることができる。移植片10の公称内径が約7ミリメートルであり、所望の縮小が約3~4ミリメートルである典型的な場合については、受容部は、円周方向に約10~12ミリメートル離間される。当然のことであるが、所望する縮小の程度に応じて、より大きいまたはより小さい間隔を使用することができる。同様に、受容部20を含む中間部分18の長さは、図面に示されているものと異なっていてもよい。中間部分18に沿ったすべての受容部が縫合糸22を受け入れるわけではない構成を使用することができる(これは、締め付け時に、中間部分18の一部のみが減少した直径を有することを意味する)。
【0038】
本開示による血管移植片10は、様々な材料で作製することができる。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、生体適合性が極めて高く、人体内に配置したときに免疫原性反応がほとんどないか、まったくないため、血管移植片または人工器官(prostheses)の材料として非常に有利であることが証明されている。延伸PTFE(ePTFE)の好ましい形態では、材料は軽く、多孔性であり、生きている細胞が容易にコロニーを形成するため、体の恒久的な部分になる。血管移植片レベルのePTFEを作製する方法は、当業者によく知られている。PTFEを延伸してePTFEを作製することは、制御された長手方向の延伸を伴い、PTFEは元の長さの数百パーセントまで引き延ばされる。ePTFE移植片の例は、米国特許第5,641,443号明細書、同第5,827,327号明細書、同第5,861,026号明細書、同第5,641,443号明細書、同第5,827,327号明細書、同第6,203,735号明細書、同第6,221,101号明細書、同第6,436,135号明細書、および同第6,589,278号明細書に記載されており、これら文献のそれぞれは参照によりその全体が組み込まれる。利用されているePTFE以外の材料から作られた移植片には、例えば、ダクロン(Dacron(登録商標))メッシュで補強された臍組織、ウシコラーゲン、ポリエステル編コラーゲン(polyester knitted collagen)、含浸トリコット編ポリエステルコラーゲン(tricot knitted polyester collagen impregnated)、およびポリウレタン(ベクトラ(Vectra(登録商標))で入手可能)が含まれる。移植片10はまた、1つまたは複数のコラーゲン、タンパク質、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、および体内のすべての軟組織および臓器の構造的および機能的構成要素を形成する細胞によって生成される他の生物学的材料の組み合わせを含み得る、「細胞外マトリックス」またはECMを含んでいてもよい。
【0039】
縫合糸22は、ポリプロピレン、ナイロン(ポリアミド)、ポリエステル、PVDF、絹または金属(例えば、ステンレス鋼)などの任意の既知の生体適合性の縫合糸材料で製造されてもよい。1つの特定の実施形態において、縫合糸22は、放射線不透過性である材料を含んでもよく、それにより、蛍光透視下で縫合糸を確認することができる。これにより、臨床医は、生体内で移植片10の直径が減少した中間部分18に沿って縫合糸22の状態を観察することができる。放射線不透過性材料は、様々な既知の放射線不透過性金属(例えば、プラチナ、ステンレス鋼、金、タンタルなど)のいずれでもよいが、内部に放射線不透過剤を含むポリマー繊維(例えば、ダイニーマ ピュリティ(Dyneema Purity(登録商標))放射線不透過性ファイバー)を含んでいてもよい。放射線不透過性縫合糸の特定の例は、米国特許出願公開第2015/0327861号明細書にも記載されており、この文献の開示は参照により本明細書に組み入れられる。
【0040】
受容部20は、部分的または完全に放射線不透過性にすることもできる。アイレット24またはリングレット34は、上記で参照した材料などの放射線不透過性材料から製作することによって得ることができる。あるいは、上述の技術のいずれかを使用して受容部20を形成するときに、放射線不透過性材料をポリマー材料に埋め込むことができる。図16の実施形態の縫合糸38を放射線不透過性にすることも可能である。
【0041】
要約すると、調整可能な血管移植片10は、移植片の一部に沿った流れの独自の減少を生成するために提供される。具体的には、移植片10の中間部分18は、アイレット24、リングレット34、穴35、玉縁36、または縫合糸38で形成されたループなどの補強材を含む、側壁16の小さな受容部20を通過する縫合糸22を引っ張ることにより、内径を減少させることができる。マンドレル30はまた、血管外科医が高度に再現可能な方法で独自の減少した内径を得られるように提供することができ、直径の減少を得るために移植片10を切断および修復するという従来の必要性なしに、時間の大幅な節約を可能にする。受容部20は、移植片10の強度または弾性を著しく損なうことを回避するために十分に小さくてもよい。様々な用途向けに一連の定形寸法を作成できるため、異なる大きさの移植片10を在庫品として持つ必要もなくなる。これにより、使用の融通性が向上し、さらにコストが削減される。
【0042】
本明細書で使用される単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」の各用語は、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」を意味する。本明細書での「1つまたは複数」という語句の使用は、「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」の意図された意味を変更しない。したがって、本明細書で使用される「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」という用語は、本明細書で特に明確に定義または述べられない限り、または、文脈が明らかにそうではないものを示さない限り、記載された複数の実体または物体(entity or object)を参照しかつ包含する。たとえば、「ユニット」、「デバイス」、「アセンブリ」、「メカニズム」、「コンポーネント」、「要素」、および「ステップまたは手順」という語句は、本書で使用されているように、複数のユニット、複数のデバイス、複数のアセンブリ、複数の機構、複数のコンポーネント、複数の要素、および複数のステップまたは手順をそれぞれ指しかつ包含する。
【0043】
以下の各用語、「含む(includes)」、「含む(including)」、「持っている(has)」、「持っている(having)」、「備える(comprises)」、および「備える(comprising)」、および本明細書で使用されるそれらの言語的/文法的変形、派生物、および/または結合は、「含むがこれに限定されない(including,but not limited to)」ことを意味し、指定されたコンポーネント、機能、特性、パラメータ、整数、またはステップを指定するものと見なさる。また、1つ以上の追加のコンポーネント、機能、特性、パラメータ、整数、ステップ、またはそれらの群の追加を排除するものではない。これらの各用語は、「本質的に構成される(consisting essentially of)」という語句と同等の意味であると見なされる。本明細書で使用される「からなる(consisting of)」および「からなる(consists of)」という語句のそれぞれは、「含むおよび限定される(including and limited to)」ことを意味する。「から本質的になる(consisting essentially of)」という語句は、記載された実体または部材(entity or item)(システム、システムユニット、システムサブユニットデバイス、アセンブリ、サブアセンブリ、メカニズム、構造、コンポーネント要素、または周辺機器ユーティリティ、アクセサリ、または材料、方法またはプロセス、ステップまたは手順、サブステップまたはサブ手順)が、開示された発明の例示的な実施形態の全体または一部であり、または/および開示された発明の例示的な実施形態を実装するために使用されるものであり、システム、ユニットシステム、サブユニットデバイス、アセンブリ、サブアセンブリ、メカニズム、構造、コンポーネントまたは要素、または周辺機器ユーティリティ、アクセサリ、または材料、ステップまたは手順、サブステップまたはサブ手順である少なくとも1つの追加の特徴また特性を含んでもよいことを意味するが、そのような追加の特徴または特性のそれぞれが、クレームされた部材の基本的な新規性および進歩性のある特性または特別な技術的特徴を実質的に変更しない場合に限る。
【0044】
本明細書で使用する「方法」という用語は、所与のタスクを達成するためのステップ、手順、方法、手段、および/または技法を指し、開示された発明の関連分野の実務者に既知のまたはそのような実務者によって容易に開発されたこれらのステップ、手順、方法、手段、または/および技法を含むがこれらに限定されない。
【0045】
本明細書で使用される「約(about)」、「略(substantially)」、「およそ(approximately)」などの近似を意味する用語は、記載された数値の±10%を指す。平行または垂直という用語の使用は、特に指定のない限り、この条件をほぼ満たすことを意味する。
【0046】
明確にするために、複数の別個の実施形態の文脈または構成で例示的に説明および提示されている本発明の特定の態様、特性、および特徴は、単一の実施形態の文脈または構成において適切に組み合わせまたは部分的に組み合わせて例示的に説明および提示されてもよい。逆に言えば、単一の実施形態の文脈または構成において組み合わせてまたは部分的に組み合わせて例示的に説明および提示される、本発明のさまざまな態様、特性、および特徴は、複数の別個の実施形態の文脈または構成で例示的に説明および提示されてもよい。
【0047】
この開示の発明は、特定の例示的な実施形態およびその例によって例示的に説明および提示されてきたが、その多くの代替、修正、および/または変形が当業者に明らかであることは明白である。そのようなすべての代替、修正、および/または変形は、添付の特許請求の範囲の精神に含まれ、その広い範囲に含まれることが意図されている。
【0048】
以下の項目も本発明に関連している。
項目1.人工医療デバイスであって、
開放端および少なくとも2列の受容部を有する管状移植片であって、少なくとも2列の受容部は、これら受容部を除いて連続的であることが好ましい、側壁の略連続的する部分に沿って周方向に離間している、管状移植片と、
少なくとも2列の受容部を通過する縫合糸と、を備え、
人工医療デバイスは、縫合糸を締め付けることにより管状移植片の内径が減少するように構成される、人工医療デバイス。
【0049】
項目2.少なくとも2列の受容部が複数の対の受容部を含み、各対が軸方向に離間している、項目1の人工医療デバイス。
項目3.各対の受容部が円周方向に整列している、項目1または2の人工医療デバイス。
【0050】
項目4.各対の受容部が軸方向に互い違いに配置されている、項目2または3の人工医療デバイス。
項目5.縫合糸の第1および第2の端部が、受容部の各列の1つの受容部から延びる、項目1~4のいずれかの人工医療デバイス。
【0051】
項目6.縫合糸の第1の端部が、管状移植片の第1の端部分で最も外側の受容部から延び、縫合糸の第2の端部が、管状移植片の第2の端部分で最も外側の受容部から延びる、項目1~5のいずれかの人工医療デバイス。
【0052】
項目7.縫合糸の第1および第2の端部が、少なくとも2つの列の同じ端部で最も外側の受容部から延びる、項目1~6のいずれかの人工医療デバイス。
項目8.縫合糸が受容部を通って交差パターンを形成する、項目1~7のいずれかの人工医療デバイス。
【0053】
項目9.縫合糸が受容部を通ってジグザグパターンを形成する、項目1~8のいずれかの人工医療デバイス。
項目10.少なくとも2列の受容部が第1の列の受容部と第2の列の受容部を含み、第1の列の受容部が、縫合糸が緩められた状態で第2の列の受容部からさらに離間し、第1の列の受容部が、縫合糸が締め付けられた状態で第2の列の受容部により近接した間隔で配置される。項目1~9のいずれかの人工医療デバイス。
【0054】
項目11.側壁全体が略連続している、項目1~10のいずれかの人工医療デバイス。

項目12.受容部の列が、縫合糸が締められたときに任意で砂時計の形を作るように、管状移植片の中間部分に設けられている、項目1~11のいずれかの人工医療デバイス。
【0055】
項目13.各受容部がアイレットを含む、項目1~12のいずれかの人工医療デバイス。
項目14.各受容部が側壁からの突起によって形成される、項目1~13のいずれかの人工医療デバイス。
【0056】
項目15.突起が側壁に接続されたリングレットによって作成される、項目15の人工医療デバイス。
項目16.突起が、管状移植片の側壁に固定された別の縫合糸によって形成されたループを含む、項目14または15の人工医療デバイス。
【0057】
項目17.受容部が管状移植片の側壁に取り付けられた玉縁によって形成される、項目1~16のいずれかの人工医療デバイス。
項目18.受容部が管状移植片の補強領域に形成された穴を含む、項目1~17のいずれかの人工医療デバイス。
【0058】
項目19.補強領域が、管状移植片の側壁のより厚い領域である、項目18の人工医療デバイス。
項目20.補強領域が、管状移植片の側壁の焼結領域である、項目18の人工医療デバイス。
【0059】
項目21.縫合糸が放射線不透過性材料を含む、項目1~20のいずれかの人工医療デバイス。
項目22.受容部が放射線不透過性材料を含む、項目1~21のいずれかの人工医療デバイス。
【0060】
項目23.管状移植片の独自の減少した内径に対応する減少した直径部分を含むマンドレルをさらに備える、項目1~22のいずれかの人工医療デバイス。
項目24.マンドレルが砂時計の形状を有する、項目23の人工医療デバイス。
【0061】
項目25.管状移植片が延伸ポリテトラフルオロエチレンを含む、項目1~24のいずれかの人工医療デバイス。
項目1から25の人工医療デバイスは、項目26から36の特徴を備えていてもよい。
【0062】
項目26.人工医療デバイスであって、
管状移植片であって、開放端と、開放端の中間にある調整可能部分であって、管状移植片を通る流れを制限するために大きな内径から小さな内径に減少するように構成された調整可能部分と、を有する管状移植片を含む、人工医療デバイス。
【0063】
項目27.調整可能部分が、調整可能部分の連続する側壁の両側に縫合糸によって接続された複数の受容部を含み、縫合糸を締め付けることによって、調整可能部分がより小さい直径をとる、項目26の人工医療デバイス。
【0064】
項目28.縫合糸が放射線不透過性材料を含む、項目26または27の人工医療デバイス。
項目29.複数の受容部のそれぞれが、軸方向に略垂直な軸を有するアイレットを含む、項目26~28のいずれかの人工医療デバイス。
【0065】
項目30.複数の受容部のそれぞれが、軸方向に略平行な軸を有するリングレットを含む、項目26~28のいずれかの人工医療デバイス。
項目31.受容部のそれぞれが、管状移植片の側壁に固定された別の縫合糸によって形成されたループを含む、項目26~30のいずれかの人工医療デバイス。
【0066】
項目32.受容部が管状移植片の側壁に取り付けられた玉縁によって形成される、項目26~31のいずれかの人工医療デバイス。
項目33.受容部が管状移植片の補強領域に形成された穴を含む、項目26~32のいずれかの人工医療デバイス。
【0067】
項目34.補強領域が、移植片の側壁のより厚い領域である、項目33の人工医療デバイス。
項目35.補強領域が、移植片の側壁の焼結領域である、項目33または34の人工医療デバイス。
【0068】
項目36.管状移植片の独自の内径と寸法が対応する縮経部分を含むマンドレルをさらに備える、項目26~35のいずれかの人工医療デバイス。
項目26~36の人工医療デバイスは、項目1~25の特徴を備えていてもよい。
【0069】
項目37.開口端と、複数の受容部を含む略連続した側壁と、を含む管状移植片。
項目38.複数の受容部を通過する縫合糸をさらに含む、項目37の管状移植片。
項目39.受容部が、管状移植片の側壁によって保持され、かつ、管状移植片の軸を略横切る方向に軸を有するアイレットを含む、項目37または38の管状移植片。
【0070】
項目40.受容部が、管状移植片の側壁に少なくとも部分的に埋め込まれ、かつ、管状移植片の軸に略整列する軸を有するリングレットを含む、項目37または38の管状移植片。
【0071】
項目41.受容部が、管状移植片の側壁を通って延びる別の縫合糸によって形成されたループを含む、項目37または38の管状移植片。
項目42.受容部が管状移植片の側壁に取り付けられた玉縁によって形成される、項目37~41のいずれかの管状移植片。
【0072】
項目43.受容部が管状移植片の補強領域に形成された穴を含む、項目37~42のいずれかの管状移植片。
項目44.補強領域が、管状移植片の側壁のより厚い領域である、項目43の管状移植片。
【0073】
項目45.補強領域が、管状移植片の側壁の焼結領域である、項目43の管状移植片。
項目46.管状移植片を形成する方法であって、
管状移植片の連続部分の両側に設けられた、周方向に間隔を置いて配置された少なくとも2列の受容部を通して縫合糸を延ばすことを含み、
縫合糸を締め付けることにより、管状移植片の少なくとも一部の内径が少なくとも部分的に減少する、方法。
【0074】
項目47.締め付けステップの前に、中間部分の減少した内径に対応する外径を有するマンドレルを管状移植片に挿入するステップをさらに含む、項目46の方法。
項目48.管状移植片の補強領域に穴を形成することによって、管状移植片に受容部の列を形成するステップをさらに含む、項目46または47の方法。
【0075】
項目49.管状移植片の側壁から突起を形成することによって、管状移植片に受容部の列を形成するステップをさらに含む、項目46、47または48の方法。
項目50.受容部の列を形成するステップが、アイレット、リングレット、または玉縁を管状移植片の側壁に接続することを含む、項目46~49のいずれかの方法。
【0076】
項目46~50の方法は、前述の項目のいずれかの管状移植片または人工医療器具を形成するために使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図10A
図11
図12
図13
図14
図15
図16