(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】内視鏡装置、内視鏡装置の作動方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20220616BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
A61B1/00 735
G02B23/24
G02B23/24 A
(21)【出願番号】P 2020528602
(86)(22)【出願日】2018-07-04
(86)【国際出願番号】 JP2018025368
(87)【国際公開番号】W WO2020008564
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2020-10-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 翔
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-082804(JP,A)
【文献】特開2010-005180(JP,A)
【文献】国際公開第2018/011857(WO,A1)
【文献】特開2015-062469(JP,A)
【文献】特開2014-004156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00- 1/32
G02B 23/24-23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡と、前記内視鏡が接続されるプロセッサと、を備える内視鏡装置であって、
前記内視鏡に設けられたレンズと、
前記内視鏡に設けられた、前記レンズを駆動するアクチュエータと、
前記プロセッサに設けられた、前記アクチュエータに信号を送信して前記アクチュエータを駆動する駆動回路と、
前記内視鏡に設けられた、前記アクチュエータと前記駆動回路との少なくとも一方の異常を判定するための
前記内視鏡に係る第1の判定情報を記憶する第1の記憶部と、
前記プロセッサに設けられた、前記アクチュエータと前記駆動回路との少なくとも一方の異常を判定するための、前記第1の判定情報とは異なる
前記プロセッサに係る第2の判定情報を記憶する第2の記憶部と、
前記プロセッサに設けられ、前記駆動回路から前記アクチュエータへ送信する前記信号の情報と、前記第1の記憶部から読み出された前記第1の判定情報、および前記第2の記憶部から読み出された前記第2の判定情報と、を用いて、前記アクチュエータと前記駆動回路との少なくとも一方に異常があるか否かを判定する異常判定部と、
を備えることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記第1の記憶部は、前記駆動回路から前記アクチュエータへ送信する定電圧の第1信号の電流の異常を判定するための第1電流閾値と、前記駆動回路から前記アクチュエータへ送信する定電流の第2信号の電圧の異常を判定するための第2電圧閾値と、を含む前記第1の判定情報を記憶し、
前記第2の記憶部は、前記第1信号の電圧の異常を判定するための第1電圧閾値と、前記第2信号の電流の異常を判定するための第2電流閾値と、を含む前記第2の判定情報を記憶し、
前記異常判定部は、前記駆動回路から前記アクチュエータへ送信する信号の電流値と電圧値との少なくとも一方を取得して、前記第1信号の電流値を取得した場合には前記第1電流閾値と比較し、前記第1信号の電圧値を取得した場合には前記第1電圧閾値と比較し、前記第2信号の電圧値を取得した場合には前記第2電圧閾値と比較し、前記第2信号の電流値を取得した場合には前記第2電流閾値と比較することにより、前記異常があるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記第1の記憶部は、前記駆動回路から前記アクチュエータへ送信する可変電圧かつ可変電流の第3信号の電圧の異常を判定するための第3電圧閾値と、前記第3信号の電流の異常を判定するための第3電流閾値と、を含む前記第1の判定情報を記憶し、
前記異常判定部は、前記駆動回路から前記アクチュエータへ送信する信号の電流値と電圧値との少なくとも一方を取得して、前記第3信号の電圧値を取得した場合には前記第3電圧閾値と比較し、前記第3信号の電流値を取得した場合には前記第3電流閾値と比較することにより、前記異常があるか否かを判定することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記内視鏡の前記アクチュエータの近傍に設けられた温度センサをさらに備え、
前記第1の記憶部は、前記アクチュエータの発熱の異常を判定するための温度閾値を含む前記第1の判定情報を記憶し、
前記異常判定部は、前記温度センサから温度情報を取得して、前記温度情報が示す温度を前記温度閾値と比較することにより、前記異常があるか否かを判定することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項5】
前記アクチュエータは、前記レンズを駆動するモータと、前記モータにより駆動される前記レンズの位置を検出する位置検出部と、を備え、
前記モータは前記第3信号を送信され、前記位置検出部は前記第1信号および前記第2信号を送信されることを特徴とする請求項3に記載の内視鏡装置。
【請求項6】
前記位置検出部は、ホール素子と、差動増幅部と、を備え、
前記ホール素子は前記第2信号を送信され、前記差動増幅部は前記第1信号を送信されることを特徴とする請求項5に記載の内視鏡装置。
【請求項7】
前記第1の記憶部は、前記駆動回路から前記アクチュエータへ送信する可変電圧かつ可変電流の第3信号の電力の異常を判定するための電力閾値を含む前記第1の判定情報を記憶し、
前記異常判定部は、前記駆動回路から前記アクチュエータへ送信する前記第3信号の電力値を取得して、前記電力閾値と比較することにより、前記異常があるか否かを判定することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記内視鏡が接続された状態で起動した場合、または起動した状態で前記内視鏡が接続された場合に、前記第1の記憶部からの前記第1の判定情報の読み出しを行い、前記第1の判定情報の読み出しに失敗した場合は、前記アクチュエータの駆動を禁止することを特徴する請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項9】
前記異常判定部は、前記プロセッサが、前記第1の記憶部から前記第1の判定情報を読み出し、かつ前記第2の記憶部から前記第2の判定情報を読み出すまでは、前記アクチュエータと前記駆動回路との少なくとも一方の異常を判定するための判定情報を、前記第1の判定情報および前記第2の判定情報よりも小さい値に設定することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項10】
内視鏡と、前記内視鏡が接続されるプロセッサと、を備える内視鏡装置の作動方法であって、
前記内視鏡に設けられたアクチュエータが、前記内視鏡に設けられたレンズを駆動し、
前記プロセッサに設けられた駆動回路が、前記アクチュエータに信号を送信して前記アクチュエータを駆動し、
前記内視鏡に設けられた第1の記憶部が、前記アクチュエータと前記駆動回路との少なくとも一方の異常を判定するための
前記内視鏡に係る第1の判定情報を記憶し、
前記プロセッサに設けられた第2の記憶部が、前記アクチュエータと前記駆動回路との少なくとも一方の異常を判定するための、前記第1の判定情報とは異なる
前記プロセッサに係る第2の判定情報を記憶し、
前記プロセッサに設けられた異常判定部が、前記駆動回路から前記アクチュエータへ送信する前記信号の情報と、前記第1の記憶部から読み出された前記第1の判定情報、および前記第2の記憶部から読み出された前記第2の判定情報と、を用いて、前記アクチュエータと前記駆動回路との少なくとも一方に異常があるか否かを判定することを特徴とする内視鏡装置の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズを駆動するアクチュエータを備える内視鏡を、プロセッサにより駆動する内視鏡装置、内視鏡装置の作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、内視鏡装置は、医療分野、工業分野、学術分野などの各種の分野で広く用いられている。こうした内視鏡装置において、光学性能の向上が求められており、レンズを駆動する機構を備える装置が提案されている。具体的に、レンズを駆動するアクチュエータを内視鏡に搭載すると共に、アクチュエータへ電力を供給して駆動する駆動回路をプロセッサに搭載する構成が提案されている。
【0003】
例えば、日本国特許第4339823号公報には、内視鏡に搭載されたアクチュエータの、短絡、開放、発熱などの異常検知を、内視鏡に接続されたプロセッサにより行う技術が記載されている。ここに、プロセッサは、内視鏡に搭載された撮像素子により取得された撮像信号を処理するものである。そして、異常を検知するための閾値などの判定条件は、プロセッサが記憶している。
【0004】
ところで、内視鏡とプロセッサとは、様々に組み合わせて使用される。例えば、1つのプロセッサには、複数種類の内視鏡が接続される。内視鏡に搭載されるアクチュエータの種類は、内視鏡の種類に応じて変わり、例えば内視鏡のサイズ等によって変わる。アクチュエータの種類が異なると、異常と判定すべき電圧閾値および電流閾値も異なる。従って、プロセッサのみで異常を判定する構成である場合に、プロセッサに接続される内視鏡の種類によっては内視鏡に搭載されたアクチュエータの異常判定を適切に行うことができないことがある。具体的に、正常範囲内であるのに異常であると判定する、または、異常範囲内であるのに正常であると判定する、等である。
【0005】
また、1つの内視鏡は、複数種類のプロセッサに接続される。プロセッサに搭載される駆動回路の種類は、プロセッサの種類によって変わる。駆動回路の種類が異なると、駆動回路から送信される信号の規格、精度等も異なる。従って、内視鏡のみで異常を判定する構成である場合に、上述と同様に、内視鏡が接続されるプロセッサの種類によってはプロセッサに搭載された駆動回路の異常判定を適切に行うことができないことがある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、複数種類の内視鏡と複数種類のプロセッサとの組み合わせに対応して、内視鏡のアクチュエータとプロセッサの駆動回路との少なくとも一方の異常を適切に判定することができる内視鏡装置、内視鏡装置の作動方法を提供することを目的としている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様による内視鏡装置は、内視鏡と、前記内視鏡が接続されるプロセッサと、を備える内視鏡装置であって、前記内視鏡に設けられたレンズと、前記内視鏡に設けられた、前記レンズを駆動するアクチュエータと、前記プロセッサに設けられた、前記アクチュエータに信号を送信して前記アクチュエータを駆動する駆動回路と、前記内視鏡に設けられた、前記アクチュエータと前記駆動回路との少なくとも一方の異常を判定するための前記内視鏡に係る第1の判定情報を記憶する第1の記憶部と、前記プロセッサに設けられた、前記アクチュエータと前記駆動回路との少なくとも一方の異常を判定するための、前記第1の判定情報とは異なる前記プロセッサに係る第2の判定情報を記憶する第2の記憶部と、前記プロセッサに設けられ、前記駆動回路から前記アクチュエータへ送信する前記信号の情報と、前記第1の記憶部から読み出された前記第1の判定情報、および前記第2の記憶部から読み出された前記第2の判定情報と、を用いて、前記アクチュエータと前記駆動回路との少なくとも一方に異常があるか否かを判定する異常判定部と、を備える。
【0008】
本発明の他の態様による内視鏡装置の作動方法は、内視鏡と、前記内視鏡が接続されるプロセッサと、を備える内視鏡装置の作動方法であって、前記内視鏡に設けられたアクチュエータが、前記内視鏡に設けられたレンズを駆動し、前記プロセッサに設けられた駆動回路が、前記アクチュエータに信号を送信して前記アクチュエータを駆動し、前記内視鏡に設けられた第1の記憶部が、前記アクチュエータと前記駆動回路との少なくとも一方の異常を判定するための前記内視鏡に係る第1の判定情報を記憶し、前記プロセッサに設けられた第2の記憶部が、前記アクチュエータと前記駆動回路との少なくとも一方の異常を判定するための、前記第1の判定情報とは異なる前記プロセッサに係る第2の判定情報を記憶し、前記プロセッサに設けられた異常判定部が、前記駆動回路から前記アクチュエータへ送信する前記信号の情報と、前記第1の記憶部から読み出された前記第1の判定情報、および前記第2の記憶部から読み出された前記第2の判定情報と、を用いて、前記アクチュエータと前記駆動回路との少なくとも一方に異常があるか否かを判定する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態1における内視鏡装置の外観を示す図。
【
図2】上記実施形態1における内視鏡装置の基本的な構成を示すブロック図。
【
図3】上記実施形態1における内視鏡装置の具体的な構成例を示すブロック図。
【
図4】上記実施形態1において、内視鏡記憶部とプロセッサ記憶部とに記憶される判定情報を信号の種類に応じて示す図表。
【
図5】上記実施形態1において、プロセッサ記憶部と内視鏡記憶部とに記憶される判定情報の具体例を示す図表。
【
図6】上記実施形態1の内視鏡装置におけるプロセッサの動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
図1から
図6は本発明の実施形態1を示したものであり、
図1は内視鏡装置1の外観を示す図である。
【0012】
本実施形態の内視鏡装置1は、内視鏡2と、内視鏡2が接続されるプロセッサ3と、を備え、さらに例えばプロセッサ3に接続されるモニタ4も備えている。ただし、モニタ4は、内視鏡装置1に固有の構成である必要はなく、内視鏡装置1とは別途のモニタを利用しても構わない。
【0013】
内視鏡2は、被検体内に導入可能であって、被検体内を光学的に観察するためのものである。ここに、内視鏡2が導入される被検体は、人体、人体以外の生体、機械および建造物などの人工物、等の何れであっても構わない。
【0014】
また、本実施形態においては、内視鏡2が被検体の光学像を撮像する電子内視鏡であることを想定しているが、これに限定されるものではない。内視鏡2は、例えば光学内視鏡であっても構わない。
【0015】
内視鏡2は、先端側に先端部2aを備える挿入部2bと、この挿入部2bの基端に位置する操作部2cと、この操作部2cの側部から延出するユニバーサルコード2dと、ユニバーサルコード2dの端部に設けられたコネクタ部2eと、を備えている。
【0016】
先端部2aには、後述するレンズ21および撮像素子22を含む撮像部23(
図2等参照)が配置されていて、被検体の光学像を取り込むようになっている。また、先端部2aには、レンズ21を駆動するための後述するアクチュエータ24(
図2等参照)も配置されている。さらに、図示はしないが、照明光を被写体へ照射するための照明光学系等も先端部2aに配置されている。
【0017】
挿入部2bは、被検体の内部に導入される部位である。ここに、挿入部2bは、可撓性を有する軟性タイプと、可撓性を有しない硬性タイプと、の何れでも構わない。また、挿入部2bは、先端部2aの方向を変化させるための湾曲部等を備えていても構わない。挿入部2b内には、撮像素子22へ接続される信号線、アクチュエータ24へ接続される信号線、および照明光を伝送するファイババンドル等で構成されたライトガイドなどが配置されている。
【0018】
操作部2cは、内視鏡2を把持して操作するための部位である。挿入部2bに湾曲部が設けられている場合には、湾曲部の湾曲操作は、操作部2cに設けられているアングル操作ノブ等により行われる。また、撮像に関する操作、送気・送水に関する操作等も、操作部2cに設けられた操作スイッチ等で行うことが可能である。そして、内視鏡2に関する情報を記憶する、後述する内視鏡記憶部25(
図2等参照)は、例えば、操作部2c内に設けられている(ただし、操作部2c内に設けるに限定されるものではない)。
【0019】
ユニバーサルコード2dおよびコネクタ部2eは、内視鏡2をプロセッサ3へ接続するための部位である。ユニバーサルコード2dおよびコネクタ部2e内には、上述した信号線およびライトガイド等が配置されている。
【0020】
そして、内視鏡2は、コネクタ部2eをプロセッサ3のコネクタ受けに接続することにより、プロセッサ3と電気的および光学的に接続される。
【0021】
プロセッサ3は、内視鏡2を制御し、内視鏡2の撮像素子22から得られた撮像信号を画像処理して、表示用の画像信号、あるいは記録用の画像信号を生成するものである。また、プロセッサ3は、例えば内部に光源装置を備えており、ライトガイドへ照明光を供給する(ただし、光源装置をプロセッサ3と別体に設けても勿論構わない)。さらに、プロセッサ3は、上述した内視鏡2のアクチュエータ24を駆動するための駆動回路として、後述するアクチュエータ駆動回路34(
図2等参照)を備えている。
【0022】
モニタ4は、モニタケーブルを経由してプロセッサ3に接続されている。そして、モニタ4は、プロセッサ3から表示用の画像信号を受信して、内視鏡画像を表示し、内視鏡2およびプロセッサ3に関連する情報等も表示する。
【0023】
図2は、内視鏡装置1の基本的な構成を示すブロック図である。なお、上述したように、モニタ4は内視鏡装置1に必須の構成ではないために、この
図2、および後述する
図3等においては明示していない。
【0024】
内視鏡2は、レンズ21および撮像素子22を含む撮像部23と、レンズ21を駆動するアクチュエータ24と、内視鏡記憶部25とを備えている。
【0025】
レンズ21は、被検体の光学像を結像して、撮像素子22の撮像面に結像する。レンズ21は、一般的に複数のレンズ群により構成されていて、例えば少なくとも1つのレンズ群が光軸方向に移動可能となっている。具体的に、レンズ21が、例えば焦点調節可能である場合には、フォーカスに関連するレンズ群が移動可能である。また、レンズ21が、例えばズーム可能である場合には、ズームに関連するレンズ群が移動可能である。従って、レンズ21は、例えばフォーカスとズームとの少なくとも一方が可能な対物光学系として構成されている。また、レンズ21内には、図示はしないが、光学絞りも配設されている。
【0026】
撮像素子22は、レンズ21により結像された被検体の光学像を光電変換して、電気的な撮像信号を生成する。ここで生成された撮像信号は、上述したように、プロセッサ3へ送信されて画像処理される。
【0027】
アクチュエータ24は、レンズ21の少なくとも1つのレンズ群を光軸方向に移動して、フォーカス動作とズーム動作との少なくとも一方を行う。
【0028】
内視鏡記憶部25は、不揮発性のメモリ等で構成され、内視鏡2に係る情報を記憶する第1の記憶部である。内視鏡記憶部25は、アクチュエータ24とアクチュエータ駆動回路34との少なくとも一方の異常を判定するための第1の判定情報を記憶する。具体的に、内視鏡記憶部25は、定電圧信号電流閾値(第1電流閾値)と、定電流信号電圧閾値(第2電圧閾値)と、可変電圧可変電流信号電圧閾値(第3電圧閾値)と、可変電圧可変電流信号電流閾値(第3電流閾値)と、を第1の判定情報として記憶する。
【0029】
ここに、
図4は、内視鏡記憶部25とプロセッサ記憶部35とに記憶される判定情報を信号の種類に応じて示す図表である。
【0030】
定電圧信号電流閾値は、アクチュエータ駆動回路34からアクチュエータ24へ送信する定電圧信号(第1信号)の電流の異常を判定するための閾値である。
【0031】
定電流信号電圧閾値は、アクチュエータ駆動回路34からアクチュエータ24へ送信する定電流信号(第2信号)の電圧の異常を判定するための閾値である。
【0032】
可変電圧可変電流信号電圧閾値は、アクチュエータ駆動回路34からアクチュエータ24へ送信する可変電圧可変電流信号(第3信号)の電圧の異常を判定するための閾値である。
【0033】
可変電圧可変電流信号電流閾値は、上述した可変電圧可変電流信号の電流の異常を判定するための閾値である。
【0034】
さらに、内視鏡記憶部25は、内視鏡2に係る一般的な情報、例えば、内視鏡2の型番や製造番号、撮像部23に係る情報なども記憶している。
【0035】
プロセッサ3は、定電圧回路31、定電流回路32、および可変電圧可変電流回路33を含むアクチュエータ駆動回路34と、プロセッサ記憶部35と、異常判定部36と、故障処理部37と、駆動制御部38と、を備えている。
【0036】
アクチュエータ駆動回路34は、内視鏡2のアクチュエータ24に信号を送信して、アクチュエータ24を駆動するための駆動回路である。アクチュエータ駆動回路34は、アクチュエータ24によるレンズ21の駆動状態、具体的にはレンズ21の駆動位置などを把握して、把握した情報を駆動情報として駆動制御部38へ送信するようになっている。
【0037】
定電圧回路31は、一定電圧の信号(定電圧信号)をアクチュエータ24へ供給する。定電圧回路31は、アクチュエータ24へ供給する定電圧信号の電圧値および電流値の情報を異常判定部36へ送信する。
【0038】
定電流回路32は、一定電流の信号(定電流信号)をアクチュエータ24へ供給する。定電流回路32は、アクチュエータ24へ供給する定電流信号の電圧値および電流値の情報を異常判定部36へ送信する。
【0039】
可変電圧可変電流回路33は、電圧が可変であり、かつ電流が可変である信号(可変電圧可変電流信号)をアクチュエータ24へ供給する。可変電圧可変電流回路33は、アクチュエータ24へ供給する可変電圧可変電流信号の電圧値および電流値の情報を異常判定部36へ送信する。
【0040】
プロセッサ記憶部35は、不揮発性のメモリ等で構成され、プロセッサ3に係る情報を記憶する第2の記憶部である。プロセッサ記憶部35は、アクチュエータ24とアクチュエータ駆動回路34との少なくとも一方の異常を判定するための第2の判定情報を記憶する。ここに、第2の判定情報は、上述した第1の判定情報とは異なる情報である。具体的に、プロセッサ記憶部35は、
図4にも示すように、定電圧信号電圧閾値(第1電圧閾値)と、定電流信号電流閾値(第2電流閾値)と、を第2の判定情報として記憶する。
【0041】
ここに、定電圧信号電圧閾値は、上述した定電圧信号(第1信号)の電圧の異常を判定するための閾値である。
【0042】
定電流信号電流閾値は、上述した定電流信号(第2信号)の電流の異常を判定するための閾値である。
【0043】
さらに、プロセッサ記憶部35は、プロセッサ3に係る一般的な情報、例えば、プロセッサ3の型番や製造番号などの情報も記憶している。
【0044】
図4に示すように、内視鏡記憶部25に記憶する第1の判定情報と、プロセッサ記憶部35に記憶する第2の判定情報とは、信号の種類、つまり、信号が定電圧信号、定電流信号、可変電圧可変電流信号の何れの種類であるかに応じて区分けされている。この区分けは、アクチュエータ駆動回路34からアクチュエータ24へ送信する信号の電圧値と電流値とが、プロセッサ3側で支配的に決定されるか、または内視鏡2側で支配的に決定されるか、を基準として行われている。
【0045】
定電圧信号の場合に、電流値はアクチュエータ24の負荷により支配的に決まり、電圧値の精度はアクチュエータ駆動回路34の設計に応じて支配的に決まる。このために、電流異常に関する定電圧信号電流閾値(第1電流閾値)の情報を第1の判定情報として内視鏡記憶部25に記憶し、電圧異常に関する定電圧信号電圧閾値(第1電圧閾値)の情報を第2の判定情報としてプロセッサ記憶部35に記憶している。
【0046】
定電流信号の場合に、電流値の精度はプロセッサ3のアクチュエータ駆動回路34の設計に応じて支配的に決まり、電圧値はアクチュエータ24の負荷により支配的に決まる。このために、電流異常に関する定電流信号電流閾値(第2電流閾値)の情報を第2の判定情報としてプロセッサ記憶部35に記憶し、電圧異常に関する定電流信号電圧閾値(第2電圧閾値)の情報を第1の判定情報として内視鏡記憶部25に記憶している。
【0047】
可変電圧可変電流信号の場合に、電圧値および電流値はアクチュエータ24の負荷により支配的に決まる。このために、電圧異常に関する可変電圧可変電流信号電圧閾値(第3電圧閾値)の情報、および電流異常に関する可変電圧可変電流信号電流閾値(第3電流閾値)の情報を、第1の判定情報として内視鏡記憶部25に記憶している。
【0048】
異常判定部36は、アクチュエータ駆動回路34からアクチュエータ24へ送信する信号の情報と、内視鏡記憶部25から読み出された第1の判定情報、およびプロセッサ記憶部35から読み出された第2の判定情報と、を用いて、アクチュエータ24とアクチュエータ駆動回路34との少なくとも一方に異常があるか否かを判定する異常判定回路である。
【0049】
具体的に、異常判定部36は、アクチュエータ駆動回路34からアクチュエータ24へ送信する信号の電流値と電圧値との少なくとも一方(好ましくは両方)を取得して、第1の判定情報または第2の判定情報と比較することにより、アクチュエータ24とアクチュエータ駆動回路34との少なくとも一方に異常があるか否かを判定する。
【0050】
例えば、異常判定部36は、定電圧回路31から入力される定電圧信号の電圧値を取得した場合には、プロセッサ記憶部35から読み込んだ定電圧信号電圧閾値と比較して、定電圧信号の電圧値が、定電圧信号電圧閾値よりも大きい場合に、アクチュエータ24とアクチュエータ駆動回路34との少なくとも一方に異常が生じたと判定する。
【0051】
また、異常判定部36は、定電圧回路31から入力される定電圧信号の電流値を取得した場合には、内視鏡記憶部25から読み込んだ定電圧信号電流閾値と比較して、定電圧信号の電流値が、定電圧信号電流閾値よりも大きい場合に、アクチュエータ24とアクチュエータ駆動回路34との少なくとも一方に異常が生じたと判定する。
【0052】
さらに、異常判定部36は、定電流回路32から入力される定電流信号の電圧値を取得した場合には、内視鏡記憶部25から読み込んだ定電流信号電圧閾値と比較して、定電流信号の電圧値が、定電流信号電圧閾値よりも大きい場合に、アクチュエータ24とアクチュエータ駆動回路34との少なくとも一方に異常が生じたと判定する。
【0053】
そして、異常判定部36は、定電流回路32から入力される定電流信号の電流値を取得した場合には、プロセッサ記憶部35から読み込んだ定電流信号電流閾値と比較して、定電流信号の電流値が、定電流信号電流閾値よりも大きい場合に、アクチュエータ24とアクチュエータ駆動回路34との少なくとも一方に異常が生じたと判定する。
【0054】
加えて、異常判定部36は、可変電圧可変電流回路33から入力される可変電圧可変電流信号の電圧値を取得した場合には、内視鏡記憶部25から読み込んだ可変電圧可変電流信号電圧閾値と比較して、可変電圧可変電流信号の電圧値が、可変電圧可変電流信号電圧閾値よりも大きい場合に、アクチュエータ24とアクチュエータ駆動回路34との少なくとも一方に異常が生じたと判定する。
【0055】
同様に、異常判定部36は、可変電圧可変電流回路33から入力される可変電圧可変電流信号の電流値を取得した場合には、内視鏡記憶部25から読み込んだ可変電圧可変電流信号電流閾値と比較して、可変電圧可変電流信号の電流値が、可変電圧可変電流信号電流閾値よりも大きい場合に、アクチュエータ24とアクチュエータ駆動回路34との少なくとも一方に異常が生じたと判定する。
【0056】
異常判定部36は、何れかの異常が生じたと判定した場合に、判定結果を故障処理部37へ送信する。
【0057】
故障処理部37は、異常判定部36から異常が生じたとの判定結果を受信した場合に停止処理を行って、アクチュエータ24の駆動を停止するための制御信号を、アクチュエータ駆動回路34へ送信する。これにより、アクチュエータ駆動回路34からアクチュエータ24への信号の送信が停止され、アクチュエータ24の駆動が停止される。
【0058】
駆動制御部38は、アクチュエータ駆動回路34からアクチュエータ24の駆動情報を受信して、レンズ21が目標の位置に移動するように駆動量を設定し、設定した駆動量をアクチュエータ駆動回路34へ送信して駆動制御を行わせる。こうして、駆動制御部38は、アクチュエータ駆動回路34を経由して、アクチュエータ24のフィードバック制御を行うようになっている。
【0059】
図3は、内視鏡装置1の具体的な構成例を示すブロック図である。
図3に示す内視鏡装置1は、
図2の内視鏡装置1の構成をより具体的に示したものとなっている。
【0060】
内視鏡2のアクチュエータ24は、レンズ21を駆動するモータとしてのボイスコイルモータ(VCM)24aと、VCM24aにより駆動されるレンズ21の位置を検出するための位置検出部24bと、を備えている。
【0061】
VCM24aは、レンズ21を光軸方向に駆動するリニアアクチュエータである。VCM24aは、
図4に示すように、可変電圧可変電流信号を送信されて駆動される。
【0062】
位置検出部24bは、レンズ21と一体に光軸方向へ移動する磁石24cと、磁石24cから発生される磁場を検出することにより、磁石24cの光軸方向の位置、ひいてはレンズ21の光軸方向の位置を検出するホール素子24dと、ホール素子24dの出力信号を増幅するオペアンプで構成される差動増幅部24eと、を備えている。
【0063】
位置検出部24bは、定電圧信号および定電流信号を送信されて駆動される。具体的に、
図4に示すように、ホール素子24dは定電流信号を送信されて駆動され、差動増幅部24eは定電圧信号を送信されて駆動される。
【0064】
VCM24aの近傍には、VCM24aの温度を検出する温度センサ26が配置されている。
【0065】
内視鏡記憶部25は、定電圧信号電流閾値として差動増幅部電流閾値を、定電流信号電圧閾値としてホール素子電圧閾値を、可変電圧可変電流信号電圧閾値としてVCM電圧閾値を、可変電圧可変電流信号電流閾値としてVCM電流閾値を、それぞれ記憶している。
【0066】
ここに、
図5は、プロセッサ記憶部35と内視鏡記憶部25とに記憶される判定情報の具体例を示す図表である。
【0067】
さらに、内視鏡記憶部25は、VCM24aの発熱が異常であるか否かを、温度センサ26により検出された温度に基づき判定するための温度閾値を第1の判定情報として記憶している。
【0068】
そして、異常判定部36は、温度センサ26から温度情報を取得して、温度情報が示す温度を度閾値と比較することにより、アクチュエータ24とアクチュエータ駆動回路34との少なくとも一方に異常があるか否かを判定するようになっている。
【0069】
すなわち、異常判定部36は、温度センサ26から取得した温度情報が示す温度を、内視鏡記憶部25から読み込んだ温度閾値と比較して、温度情報が示す温度が温度閾値よりも高い場合に、アクチュエータ24とアクチュエータ駆動回路34との少なくとも一方に異常が生じたと判定する。
【0070】
プロセッサ3のプロセッサ記憶部35は、定電圧信号電圧閾値として差動増幅部電圧閾値を、定電流信号電流閾値としてホール素子電流閾値を、それぞれ記憶している。
【0071】
プロセッサ3は、
図2に示した可変電圧可変電流回路33の具体例としてVCMドライバ33Aを備えている。VCMドライバ33Aは、VCM24aへ可変電圧可変電流信号を送信して、VCM24aを駆動する。そして、VCMドライバ33Aは、VCM24aへ供給する可変電圧可変電流信号の電圧値および電流値の情報を異常判定部36へ送信する。
【0072】
また、プロセッサ3は、位置検出部24bへ電力を供給して、位置検出部24bから位置検出結果を取得する位置検出回路39を備えている。
【0073】
位置検出回路39は、定電流回路32を備えており、定電流回路32はホール素子24dを駆動する。定電流回路32は、ホール素子24dへ供給する定電流信号の電圧値および電流値の情報を異常判定部36へ送信する。
【0074】
また、位置検出回路39は、定電圧回路31の具体例として、差動増幅部24eを駆動する電源31Aを備えている。電源31Aは、差動増幅部24eへ供給する定電圧信号の電圧値および電流値の情報を異常判定部36へ送信する。
【0075】
さらに、位置検出回路39は、ホール素子24dから出力され、差動増幅部24eにより増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ・デジタル・コンバータ(ADC)39aを備えている。位置検出回路39は、ADC39aによりデジタル化された信号に基づき、レンズ21の位置情報を生成して、駆動制御部38へ送信する。
【0076】
駆動制御部38は、位置検出回路39からレンズ21の位置情報を取得して、レンズ21が目標位置に移動するようにVCMドライバ33Aへ指令を送信し、VCM24aを駆動させる。これによりレンズ21が駆動されて、フォーカス調整と、ズーム調整と、の少なくとも一方が行われる。
【0077】
故障処理部37は、異常判定部36から異常が生じたとの判定結果を受信した場合に停止処理を行って、VCM24aの駆動を停止するための制御信号をVCMドライバ33Aへ送信すると共に、位置検出部24bの動作を停止するための制御信号を位置検出回路39へ送信する。これにより、レンズ21の駆動および位置検出が停止される。
【0078】
また、
図5には、異常を判定するための判定情報として、各閾値(電圧閾値、電流閾値、温度閾値)だけでなく、さらに継続時間も記憶する例を示している。
【0079】
異常判定部36は、上述したように、アクチュエータ24を駆動する電圧値または電流値が閾値よりも大きい場合に、アクチュエータ24とアクチュエータ駆動回路34との少なくとも一方に異常が生じたと判定するようになっている。
【0080】
しかし、電圧値または電流値が、ごく短時間だけ閾値よりも大きい状態が生じたとしても、その後に閾値以下の状態が維持されればアクチュエータ24の駆動を停止するには及ばない。
【0081】
そこで、継続時間を設定して、閾値よりも大きい状態が継続時間よりも長い場合に、異常が生じたと異常判定部36が判定するようにするとよい。継続時間は、閾値のそれぞれに対して同一の時間を設定しても構わないが、閾値毎に個別の継続時間を設定すると、より正確に異常判定を行うことができる。
【0082】
そこで、この
図5には、閾値毎に個別の継続時間を設定する例を示している。
【0083】
すなわち、VCM電圧閾値にはVCM電圧用継続時間が、VCM電流閾値にはVCM電流用継続時間が、ホール素子電圧閾値にはホール素子電圧用継続時間が、差動増幅部電流閾値には差動増幅部電流用継続時間が、温度閾値には温度用継続時間が、ホール素子電流閾値にはホール素子電流用継続時間が、差動増幅部電圧閾値には差動増幅部電圧用継続時間が、それぞれ設定されている。
【0084】
従って、例えばVCMドライバ33AからVCM24aへ送信される信号の電圧値が、VCM電圧閾値を超える継続時間が、VCM電圧用継続時間を超えた場合に、異常判定部36は異常が生じたと判定する。他の継続時間についても同様である。
【0085】
図6は、内視鏡装置1におけるプロセッサ3の動作を示すフローチャートである。
【0086】
内視鏡2が接続された状態でプロセッサ3が起動されるか、または、プロセッサ3が起動された状態で内視鏡2が接続されると、この処理が開始される。
【0087】
この処理を開始する時点では、プロセッサ3は、少なくとも内視鏡記憶部25から第1の判定情報をまだ読み出していない。さらに、プロセッサ3自体が起動されてこの処理が開始された場合には、プロセッサ3は、プロセッサ記憶部35から第2の判定情報をまだ読み出していない。
【0088】
そこで、プロセッサ3の異常判定部36は、まず、判定情報である各閾値の初期設定として、内視鏡記憶部25に記憶されている第1の判定情報の値よりも小さく、プロセッサ記憶部35に記憶されている第2の判定情報の値よりも小さい値を設定する(ステップS1)。
【0089】
なお、ここで設定される閾値の初期値は、プロセッサ3を複数種類の内視鏡2とどのように組み合わせたとしても、第1の判定情報の値および第2の判定情報の値の何れよりも小さくなるように予め定められた値である。
【0090】
次に、プロセッサ3の異常判定部36は、内視鏡記憶部25から第1の判定情報である各閾値を読み出して受信する(ステップS2)。
【0091】
そして、異常判定部36は、内視鏡記憶部25から第1の判定情報が正常に受信されたか否かを判定する(ステップS3)。
【0092】
ここで、第1の判定情報が正常に受信されなかったと判定した場合には、異常判定部36は、異常が生じたとする判定結果を故障処理部37へ送信する。これにより、故障処理部37が停止処理を行い、アクチュエータ24の駆動が禁止される。なお、ここでの異常は、アクチュエータ24およびアクチュエータ駆動回路34に関する異常であるために、撮像素子22による撮像動作等は通常通りに実行しても構わない。
【0093】
ステップS3において、第1の判定情報が正常に受信されたと判定された場合には、異常判定部36は、ステップS1において初期設定した各閾値に代えて、内視鏡記憶部25から受信した各閾値を設定すると共に、プロセッサ記憶部35から各閾値を読み込んで設定してから、アクチュエータ駆動回路34によるアクチュエータ24の駆動を開始する(ステップS4)。
【0094】
そして、異常判定部36は、アクチュエータ駆動回路34からアクチュエータ24へ送信する信号(定電圧信号、定電流信号、および可変電圧可変電流信号)の、電圧値および電流値の情報を取得して、何れかの電圧値または電流値が、対応する閾値を超えたか否かを判定する(ステップS5)。
【0095】
さらに、このステップS5において、異常判定部36は、温度センサ26から温度情報を取得して、取得した温度情報が示す温度が温度閾値を超えたか否かを判定する。
【0096】
このステップS5において何れかの閾値を超えたと判定された場合に、異常判定部36は、閾値を超えた電圧値、電流値、または温度が、対応する継続時間を超えたか否かをさらに判定する(ステップS6)。
【0097】
ここで、継続時間を超えていないと判定された場合には、ステップS5へ戻って、電圧値、電流値、または温度が、引き続き閾値を超えているか否かを異常判定部36が判定する。
【0098】
こうして、ステップS6において、継続時間を超えたと判定された場合には、異常判定部36は、異常が生じたと判定して、判定結果を故障処理部37へ送信する(ステップS7)。これにより、故障処理部37は、故障時の停止処理を上述したように行って、アクチュエータ24の駆動を停止させる。
【0099】
一方、ステップS5において、閾値を超えていないと判定された場合には、処理を終了するか否かを判定して(ステップS8)、終了しない場合にはステップS5へ戻って、何れかの電圧値、電流値、または温度が、対応する閾値を超えたか否かを引き続き判定する。
【0100】
そして、ステップS8において、処理を終了すると判定された場合には、この処理を終える。
【0101】
なお、上述において異常判定部36は、アクチュエータ駆動回路34からアクチュエータ24へ送信する可変電圧可変電流信号の電圧値および電流値を取得して、可変電圧可変電流信号電圧閾値および可変電圧可変電流信号電流閾値と比較することにより異常の有無を判定していたが、これに限定されるものではない。
【0102】
例えば、異常判定部36は、アクチュエータ駆動回路34からアクチュエータ24へ送信する可変電圧可変電流信号の電力値を取得して、可変電圧可変電流信号の電力閾値と比較することにより、アクチュエータ24とアクチュエータ駆動回路34との少なくとも一方に異常があるか否かを判定するようにしてもよい。
【0103】
この場合に、内視鏡記憶部25は、アクチュエータ駆動回路34からアクチュエータ24へ送信する可変電圧可変電流信号の電力の異常を判定するための可変電圧可変電流信号の電力閾値を含む第1の判定情報を記憶すればよい。
【0104】
このような実施形態1によれば、第1の判定情報を内視鏡記憶部25に記憶し、第2の判定情報をプロセッサ記憶部35に記憶して、異常判定部36により、第1の判定情報および第2の判定情報を用いて、アクチュエータ24とアクチュエータ駆動回路34との少なくとも一方に異常があるか否かを判定するようにしたために、複数種類の内視鏡と複数種類のプロセッサとの組み合わせに対応して、異常を適切に判定することができる。
【0105】
アクチュエータ24の負荷により支配的に決まる定電圧信号の電流閾値と定電流信号の電圧閾値とを内視鏡記憶部25が記憶し、アクチュエータ駆動回路34の設計により支配的に決まる定電圧信号の電圧閾値と定電流信号の電流閾値とをプロセッサ記憶部35が記憶するようにしたために、信号が定電圧信号であるか定電流信号であるかに応じて、異常判定部36がより適切に異常判定を行うことができる。
【0106】
アクチュエータ24の負荷により支配的に決まる可変電圧可変電流信号の電圧閾値および電流閾値を内視鏡記憶部25が記憶するようにしたために、信号が可変電圧可変電流信号である場合に、異常判定部36が適切に異常判定を行うことができる。
【0107】
アクチュエータ24の近傍に温度センサ26を設けて、内視鏡記憶部25に温度閾値を記憶するようにしたために、異常判定部36が、アクチュエータ24の発熱の異常を適切に判定することができる。
【0108】
具体的な構成として、アクチュエータ24が、可変電圧可変電流信号を送信されるVCM24aと、定電圧信号および定電流信号を送信される位置検出部24bと、を備える場合に、内視鏡記憶部25がVCM24aに係る電圧閾値および電流閾値と、定電圧信号に係る電流閾値と、定電流信号に係る電圧閾値とを記憶し、プロセッサ記憶部35が定電圧信号に係る電圧閾値と定電流信号に係る電流閾値とを記憶することで、異常判定部36が適切な異常判定を行うことができる。
【0109】
特に、位置検出部24bが、定電流信号を送信されるホール素子24dと、定電圧信号を送信される差動増幅部24eと、を備える構成において、内視鏡記憶部25が差動増幅部24eに係る電流閾値とホール素子24dに係る電圧閾値とを記憶し、プロセッサ記憶部35が差動増幅部24eに係る電圧閾値とホール素子24dに係る電流閾値とを記憶することで、異常判定部36が適切な異常判定を行うことができる。
【0110】
また、内視鏡記憶部25が可変電圧可変電流信号の電力閾値を記憶して、異常判定部36が可変電圧可変電流信号の電力値を取得して可変電圧可変電流信号の電力閾値と比較することによっても、アクチュエータ24とアクチュエータ駆動回路34との少なくとも一方に異常があるか否かを適切に判定することができる。
【0111】
そして、内視鏡記憶部25から第1の判定情報の読み出しに失敗した場合に、アクチュエータ24の駆動を禁止するようにしたために、異常状態でアクチュエータ24が動作するのを防止することができる。
【0112】
さらに、内視鏡記憶部25から第1の判定情報を読み出し、かつプロセッサ記憶部35から第2の判定情報を読み出すまでは、アクチュエータ24とアクチュエータ駆動回路34との少なくとも一方の異常を判定するための判定情報を、第1の判定情報および第2の判定情報よりも小さい値に設定するようにしたために、第1の判定情報および第2の判定情報が読み出される前に、異常状態が正常状態であると判定されるのを防止することができる。
【0113】
なお、上述した各部の処理は、ハードウェアとして構成された1つ以上のプロセッサが行うようにしてもよい。例えば、各部は、それぞれが電子回路として構成されたプロセッサであっても構わないし、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路で構成されたプロセッサにおける各回路部であってもよい。あるいは、1つ以上のCPUで構成されるプロセッサが、記録媒体に記録された処理プログラムを読み込んで実行することにより、各部としての機能を実行するようにしても構わない。
【0114】
また、上述では主として内視鏡装置について説明したが、内視鏡装置を上述したように作動させる作動方法であってもよいし、コンピュータに内視鏡装置と同様の処理を行わせるための処理プログラム、該処理プログラムを記録するコンピュータにより読み取り可能な一時的でない記録媒体、等であっても構わない。
【0115】
さらに、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明の態様を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このように、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることは勿論である。