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特許7090163電池カバープレートアセンブリ、単電池、電池モジュール、動力電池及び電気自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】電池カバープレートアセンブリ、単電池、電池モジュール、動力電池及び電気自動車
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/578 20210101AFI20220616BHJP
   H01M 50/15 20210101ALI20220616BHJP
   H01M 50/533 20210101ALI20220616BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20220616BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20220616BHJP
【FI】
H01M50/578
H01M50/15
H01M50/533
H01M50/55 101
H01M50/249
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020534589
(86)(22)【出願日】2018-12-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 CN2018122115
(87)【国際公開番号】W WO2019120225
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-07-16
(31)【優先権主張番号】201721829121.2
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】▲蒋▼露霞
(72)【発明者】
【氏名】程▲はん▼
(72)【発明者】
【氏名】周江涛
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼珂利
【審査官】宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/080518(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/049848(WO,A1)
【文献】特開2014-071953(JP,A)
【文献】特開2016-004704(JP,A)
【文献】特開2015-099766(JP,A)
【文献】特開平10-092408(JP,A)
【文献】特開2000-048801(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107123784(CN,A)
【文献】特表2012-516545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10-50/198
H01M 50/20-50/298
H01M 50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバープレート(110)と、
前記カバープレート(110)の内側に位置するインナーリード(109)と、
前記カバープレート(110)の外側に位置する電極外部端子(112)と、
電流遮断装置と、
を含み、
前記インナーリード(109)と前記電極外部端子(112)とは、前記電流遮断装置を介して、電気的に接続されており、
前記電流遮断装置は、切り込み部材(101)と、反転部材(102)とを含み、
前記反転部材(102)は、前記電極外部端子(112)に電気的に接続されており、
前記切り込み部材(101)は、前記インナーリード(109)に電気的に接続されており、
切り込み(104)は、前記切り込み部材(101)に形成され、前記反転部材(102)に電気的に接続され、
前記反転部材(102)は、気圧の作用下で動作して前記切り込み(104)を引き裂き、
前記インナーリードは、カバープレート絶縁部材(122)を介して前記カバープレート(110)に取り付けられ、
前記カバープレート絶縁部材(122)は、前記カバープレートと係合する第1の係合部(125)と、前記インナーリード(109)と係合する第2の係合部(126)とを有し、
前記カバープレート絶縁部材(122)は、前記カバープレート(110)の下表面に貼り合わられた基板(128)を含み、
前記電流遮断装置を取り付けるための取付孔(127)は、前記カバープレートに形成されており、
前記第1の係合部(125)は、前記基板(128)の上表面に接続された第1の環状突起(129)を含み、L字形断面を有し、
前記第1の係合部(125)は、前記基板(128)とともに、前記取付孔を通過した後に外へ折り返されて前記取付孔(127)の孔壁を収容する環状溝を形成する、
電池カバープレートアセンブリ。
【請求項2】
前記インナーリード(109)は、シート状構造に形成され、
前記第2の係合部(126)は、前記基板(128)の下表面に接続された第2の環状突起(130)を含み、L字形断面を有し、
前記第2の係合部(126)は、前記基板(128)とともに前記インナーリードの外周縁を収容する環状溝を形成する、
請求項に記載の電池カバープレートアセンブリ。
【請求項3】
カバープレート(110)と、
前記カバープレート(110)の内側に位置するインナーリード(109)と、
前記カバープレート(110)の外側に位置する電極外部端子(112)と、
電流遮断装置と、
を含み、
前記インナーリード(109)と前記電極外部端子(112)とは、前記電流遮断装置を介して、電気的に接続されており、
前記電流遮断装置は、切り込み部材(101)と、反転部材(102)とを含み、
前記反転部材(102)は、前記電極外部端子(112)に電気的に接続されており、
前記切り込み部材(101)は、前記インナーリード(109)に電気的に接続されており、
切り込み(104)は、前記切り込み部材(101)に形成され、前記反転部材(102)に電気的に接続され、
前記反転部材(102)は、気圧の作用下で動作して前記切り込み(104)を引き裂き、
前記インナーリードは、カバープレート絶縁部材(122)を介して前記カバープレート(110)に取り付けられ、
前記カバープレート絶縁部材(122)は、前記カバープレートと係合する第1の係合部(125)と、前記インナーリード(109)と係合する第2の係合部(126)とを有し、
前記第2の係合部(126)は、環状溝として形成され、
前記インナーリード(109)は、シート状構造を形成し、
前記第2の係合部によって形成された前記環状溝は、前記インナーリード(109)の外周縁を収容する、
電池カバープレートアセンブリ
【請求項4】
前記インナーリード(109)によって形成された前記シート状構造は、
前記切り込み部材(101)に電気的に接続された中間溶接領域(131)と、
セルに電気的に接続された縁部溶接領域(132)と、
を有し、
前記縁部溶接領域(132)は、前記第2の係合部によって形成された環状溝に係入するように前記中間溶接領域(131)の外側に位置する、
請求項に記載の電池カバープレートアセンブリ。
【請求項5】
前記縁部溶接領域(132)の厚さは、前記中間溶接領域(131)の厚さ以上である、
請求項に記載の電池カバープレートアセンブリ。
【請求項6】
前記縁部溶接領域(132)は、前記中間溶接領域(131)を囲む環状接続領域、または、前記中間溶接領域(131)の両側に位置する帯状溶接領域を形成する、
請求項に記載の電池カバープレートアセンブリ。
【請求項7】
前記切り込み部材(101)は、
切り込み(104)が形成された切り込み領域(105)と、
前記反転部材(102)に電気的に接続する第1の溶接領域(103)と、
インナーリード(109)に電気的に接続する第2の溶接領域(107)と
を含み、
前記切り込み領域(105)は、前記カバープレート(110)の長さ方向に沿って延伸する長尺状構造に形成され、
前記切り込み(104)は、前記長尺状構造の長さ方向に沿って延伸し、
前記第1の溶接領域と前記第2の溶接領域は、前記切り込み領域(105)の高さ方向に沿って、前記切り込み領域(105)の両側に配置され、それぞれ前記カバープレートの長さ方向に沿って延伸する長尺状構造を形成し、前記中間溶接領域(131)は、対応して長尺状構造を形成する、
請求項4~6のいずれか1項に記載の電池カバープレートアセンブリ。
【請求項8】
前記第2の溶接領域(107)を収容する収容溶接溝(133)は、前記中間溶接領域(131)に形成されている、
請求項に記載の電池カバープレートアセンブリ。
【請求項9】
ケース(111)と、
ケース内に収容されるセルと、
前記ケースを封止する電池カバープレートアセンブリと
を含み、
前記電池カバープレートアセンブリは、請求項1~のいずれか1項に記載の電池カバープレートアセンブリであり、
前記インナーリード(109)が前記セルに電気的に接続され、
前記反転部材(102)が前記ケースの内部ガスと連通する
単電池。
【請求項10】
内部に請求項に記載の単電池が配置されている、
電池モジュール。
【請求項11】
パック本体と、前記パック本体内に配置される電池モジュールとを含み、
前記電池モジュールは、請求項10に記載の電池モジュールである、
動力電池。
【請求項12】
請求項11に記載の動力電池が配置されている、
電気自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、ビーワイディー カンパニー リミテッドが2018年12月22日に提出した、発明の名称「電池カバープレートアセンブリ、単電池、電池モジュール、動力電池及び電気自動車」の中国特許出願第「201721829121.2」号の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、電池の分野に関し、電池カバープレートアセンブリ、該電池カバープレートアセンブリを用いる単電池、該単電池を用いる電池モジュール、該電池モジュールを用いる動力電池及び該動力電池を用いる車両に関する。
【背景技術】
【0003】
電池は、エネルギー貯蔵ユニットとして、さまざまな産業分野において重要な役割を担っている。例えば、動力電池が新エネルギー自動車の分野に広く用いられ、充放電の動作を実現するように、動力電池の電池パック内に、複数の単電池が互いに直列接続されるか又は並列接続されてなる電池モジュールを有してよい。動力電池は、充放電過程において、一般的にBMS(電池管理システム)によって電圧及び電流の変化を監視し、かつ充電状態を計算する。電圧サンプリングに問題が生じると、電池が過充電となり、特に三元系にとって過充電がある程度になると、電池が燃焼して爆発するおそれがある。
【0004】
関連技術では、電池の電圧及び電流を監視し、電流積算法及び開放電圧法により電池残量を計算して、電池の充放電を制御する。しかし、欠点があり、例えば、電池の電圧サンプリング又は電流サンプリングの故障又はソフトウェアの故障により、電池が長時間充電されて制御されていないようになり、特に充電スポットで充電する場合、充電スポットと電池マネージャとが通信不能になると、過充電が制御できなくなり、電池がある程度に充電されて電池膨れひいては爆発発火を引き起こす。
【0005】
したがって、自体が充放電回路を強制的に遮断可能な電流遮断技術を提供することは、積極的な意義を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、電池カバープレートアセンブリ、該電池カバープレートアセンブリを用いる単電池、該単電池を用いる電池モジュール、該電池モジュールを用いる動力電池及び該動力電池を用いる車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示は、カバープレートと、該カバープレートの内側に位置するインナーリードと、該カバープレートの外側に位置する電極外部端子とを含み、前記インナーリードと前記電極外部端子とが前記インナーリードに電気的に接続される切り込み部材と、前記電極外部端子に電気的に接続される反転部材とを含む電流遮断装置によって電気的に接続され、前記切り込み部材には、切り込みが形成され前記反転部材に電気的に接続され、前記反転部材が気圧の作用下で動作して前記切り込みを引き裂くことができ、前記インナーリードが前記カバープレートと係合する第1の係合部と、前記インナーリードと係合する第2の係合部とを有するカバープレート絶縁部材によって前記カバープレートに取り付けられる、電池カバープレートアセンブリを提供する。
【0008】
いくつかの実施例では、前記第1の係合部及び/又は前記第2の係合部は、環状溝として形成され、前記インナーリードは、シート状構造に形成され、前記第2の係合部が形成した前記環状溝は、前記インナーリードの外周縁を収容する。
【0009】
いくつかの実施例では、前記カバープレート絶縁部材は、前記電流遮断装置を取り付けるための取付孔が形成されている前記カバープレートの下表面に貼り合わられた基板を含み、前記第1の係合部は、前記取付孔を通過した後に外へ折り返されて前記基板とともに前記取付孔の孔壁を収容する環状溝を形成するようにL字形断面を有する、前記基板の上表面に接続された第1の環状突起を含む。
【0010】
いくつかの実施例では、前記インナーリードは、シート状構造に形成され、前記第2の係合部は、前記基板とともに前記インナーリードの外周縁を収容する環状溝を形成するようにL字形断面を有する、前記基板の下表面に接続された第2の環状突起を含む。
【0011】
いくつかの実施例では、前記インナーリードが形成した前記シート状構造は、前記切り込み部材に電気的に接続された中間溶接領域と、前記第2の係合部によって形成された環状溝に係入するように前記中間溶接領域の外側に位置する、セルに電気的に接続された縁部溶接領域とを有する。
【0012】
いくつかの実施例では、前記縁部溶接領域の厚さは、前記中間溶接領域の厚さ以上である。
【0013】
いくつかの実施例では、前記縁部溶接領域は、前記中間溶接領域を囲む環状接続領域、又は、該中間溶接領域の両側に位置する帯状溶接領域として形成される。
【0014】
いくつかの実施例では、前記切り込み部材は、切り込みが形成された切り込み領域と、前記反転部材に互いに電気的に接続するための第1の溶接領域と、インナーリードに電気的に接続するための第2の溶接領域とを含み、前記切り込み領域は、前記カバープレートの長さ方向に沿って延伸する長尺状構造に形成され、前記切り込みは、該長尺状構造の長さ方向に沿って延伸し、前記第1の溶接領域と前記第2の溶接領域は、前記切り込み領域の高さ方向の両側に設けられ、かつそれぞれ前記カバープレートの長さ方向に沿って延伸する長尺状構造に形成され、前記中間溶接領域は、対応して長尺状構造に形成される。
【0015】
いくつかの実施例では、前記中間溶接領域には、前記第2の溶接領域を収容する収容溶接溝が形成されている。
【0016】
本開示は、ケースと、ケース内に収容されるセルと、前記ケースを封止する電池カバープレートアセンブリとを含む単電池であって、前記電池カバープレートアセンブリが本開示に係る電池カバープレートアセンブリであり、前記インナーリードが前記セルに電気的に接続され、前記反転部材が前記ケースの内部ガスと連通することを特徴とする、単電池をさらに提供する。
【0017】
本開示は、内部に本開示に係る単電池が設けられている電池モジュールをさらに提供する。
【0018】
本開示は、パック本体と、該パック本体内に設けられる電池モジュールとを含み、前記電池モジュールが本開示に係る電池モジュールである動力電池をさらに提供する。
【0019】
本開示は、本開示に係る動力電池が設けられている電動自動車をさらに提供する。
【発明の効果】
【0020】
上記技術手段によれば、カバープレート絶縁部材は、係合する構造によってカバープレートに安定して取り付けられることにより、電池の使用過程において、セルからインナーリードに伝達した力をカバープレートに直接的に伝達でき、さらにセルの電極芯体振動過程によるインナーリードに接続される切り込み部材への影響を低減することにより、切り込みの意図せぬ切断を回避する。
【0021】
本開示の他の特徴及び利点については、発明を実施するための形態において詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図面は、本開示のさらなる理解を提供し、かつ本明細書の一部を構成するものであり、以下の発明を実施するための形態とともに本開示を説明するものであり、本開示を限定するものではない。図面において、
【0023】
図1】本開示に係る電池モジュールの部分分解概略斜視図である。
図2】本開示の実施形態に係る電流遮断装置の反転部材の部分立体構造概略図である。
図3】本開示の実施形態に係る電流遮断装置の反転部材の上面図である。
図4】本開示の実施形態に係る電池カバープレートアセンブリの単電池の立体構造概略図である。
図5】本開示の実施形態に係る電流遮断装置の切り込み部材の第1の構造の概略斜視図である。
図6】本開示の実施形態に係る電流遮断装置の切り込み部材の第2の構造の概略斜視図である。
図7】本開示の実施形態に係る電流遮断装置の切り込み部材の第3の構造の概略斜視図である。
図8】本開示の実施形態に係る図5に基づく切り込み部材の電池カバープレートアセンブリの断面図である。
図9】本開示の実施形態に係る図7に基づく切り込み部材の電池カバープレートアセンブリの断面図である。
図10】本開示の実施形態に係るインナーリードの部分立体構造概略図である。
図11】本開示の実施形態に係る別のインナーリードの部分立体構造概略図である。
図12】本開示の実施形態に係る第1のカバープレート絶縁部材の立体構造概略図である。
図13図12におけるカバープレート絶縁部材の別の視角からの立体構造概略図である。
図14】本開示の実施形態に係る第2のカバープレート絶縁部材の立体構造概略図である。
図15図14における線A-Aに沿った断面構造概略図である。
図16図8における電池カバープレートアセンブリのカバープレート絶縁部材を本実施形態に係る第3のカバープレート絶縁部材に置き換えた断面図である。
図17】本開示の実施形態に係る第4のカバープレート絶縁部材をカバープレートに取り付けた立体構造概略図である。
図18図17のカバープレート絶縁部材をカバープレートに取り付けた断面構造概略図である。
図19図17におけるカバープレートの部分立体構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態を詳細に説明する。ここで記述した発明を実施するための形態が本開示を説明し解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【0025】
本開示では、逆に説明しない場合に、使用される「上、下、左、右」のような方位詞は、一般的には対応する図面の図面方向を基準として定義され、「内、外」とは、対応する部材輪郭の内と外を意味する。
【0026】
図1図11に示すように、本開示は、電池カバープレートアセンブリ、電池カバープレートアセンブリにおける電流遮断装置、電流遮断装置における反転部材と切り込み部材、該電池カバープレートアセンブリを用いる単電池、該単電池を用いる電池モジュール、該電池モジュールを用いる動力電池、及び該動力電池を用いる車両の技術手段を提供する。図1に示すように、電流遮断装置は、電極外部端子112と内部セルとの間に設けられて、電池の内部及び外部の回路を遮断する。単電池において、複数の単電池を直列接続又は並列接続することにより電池モジュールを構成し、電池パック内に入れて動力電池を形成することができる。また、動力電池の分野の他、本開示に係る様々な技術手段は、他の電池の分野においても広く適用することができる。いくつかの実施例では、本開示は、2つの実施形態により、係る電流遮断装置を説明する。以下、図面を参照しながら各実施形態を詳細に説明する。
【0027】
まず、図1及び図4に示すように、本開示の実施形態は、複数の単電池を含む電池モジュールを提供し、単電池は、ケース111と、ケース111内に収容されるセルと、ケース111を封止するカバープレート110とを含んでよく、電極外部端子112は、カバープレートに設けられて、様々な電極リード119により電流の入出力を完了する。図8に示すように、電池カバープレートアセンブリは、該セルに電気的に接続されるインナーリード109をさらに有し、電流遮断装置は、電極外部端子112とインナーリード109との間に設けられて電極端子の電流の入出力を制御する。即ち、電流遮断装置は、通常状態で、セルが導通の状態にあり、この場合、電極端子は、電流の入出力を正常に行って、単電池の充放電動作を完了することができるが、危険状態で、例えば、電池が過充電されると、電流遮断装置は、電極端子の電流入力を遮断することにより電池の過充電等の問題を回避することができる。したがって、重要な安全対策として、電流遮断装置の信頼性が非常に重要となり、即ち、電流遮断装置は、速やかに応答する必要がある。
【0028】
本開示において、各実施形態における電流遮断装置は、いずれも気圧を感知する機械的構造であり、いくつかの実施例では、電流遮断装置は、単電池のケース内部のガスと連通し、かつ気圧の作用下で流れる電流を遮断することができる。いくつかの実施例では、内部の部材接続を切断して電流の伝達を遮断することにより、電池の充放電をタイムリーに遮断することができる。利用される気圧は、電池が過充電等の危険状態にある場合、電池の内部にガスが発生してケース内部の気圧が上昇するか、又は電池の使用中に異常が発生して電池の温度が上昇して電池の内部の気圧が上昇することにより、電流遮断装置を駆動する気圧動力が発生することに由来する。
【0029】
図8に示すような実施形態を例として、該電流遮断装置は、切り込み部材101と、該切り込み部材101に互いに電気的に接続される反転部材102とを有し、かつ気圧の作用下で反転部材102が切り込み部材101から電気的に切り離すことができる。本開示の実施形態では、両者のうち少なくとも一方の自体を切断し、例えば、対応する部材に脆弱な切り込みを加工して自体構造の切断を実現することにより、電気的な接続の切断を実現することができ、いくつかの実施例では、切り込み部材101に切り込み104が形成されている。即ち、内部の気圧の作用下で、反転部材102の反転動作によって切り込み104を引き裂きインナーリード109と電極外部端子112との電気的な接続の切断を実現することにより、電流の伝達を切断するという目的を達成することができる。
【0030】
このような方式を用いる原因として、例えば、動力電池の分野では、通過する電流が大きいことが考えられるため、切り込み部材101と反転部材102との溶接構造の安定性を保証し、大電流による溶接構造の溶断を回避する必要がある。このように、切り込み部材101に切り込み104を設け、即ち、対応する部分に他の領域よりも強度が小さい脆弱部を加工することにより、切り込み部材101と反転部材102の完全な切断を完了することができる。
【0031】
本開示の実施形態では、図2及び図3に示すように、反転部材102は、テーパ状に形成されたシート状構造であり、該テーパ状の小端は第1の接続領域115として形成され、大端は切り込み部材101から離れて第2の接続領域116として形成される。該テーパ状構造により、第1の接続領域115と第2の接続領域116を異なる面に設けることができ、かつ反転部材102が力を受けて上向きに反転するスペースを提供して、切り込み104を引き裂くことができる。他の可能な実施形態では、反転部材は、さらに弾性を有する平面部材等であってもよい。
【0032】
図8及び図9に示すように、本開示の実施形態では、電池内部のガスにより作用できることを保証するために、反転部材102の外周縁の下側とカバープレート110との間に支持環113が密封接続され、電極外部端子112の外周縁が反転部材102の外周縁の上側に電気的に接続され、このように電池内部から発生したガスは、反転部材102に作用して外部に漏れないようにすることができる。反転部材102を正常に動作させることができるために、図4に示すように、電極外部端子112は、キャップ構造に形成され、かつ反転部材102の動作時にガスを排出するための貫通孔118が形成されることにより、気圧の作用下で反転部材の動作に影響を与えることを回避する。また、カバープレート110の帯電と絶縁との2つの実施形態では、支持環113は、絶縁材料又は導電性材料を用いて支持されてよい。一般的には、カバープレート110が絶縁されて帯電しないように、支持環113はセラミック環であってよい。
【0033】
図2及び図3に示すように、本開示の実施形態に係る電池カバープレートアセンブリは、上記実施形態に基づき、カバープレート110の長さ方向に沿って延伸する長尺状構造に形成される反転部材102を含む。本明細書における長尺状構造は、該長尺状構造のカバープレートと平行な断面において、カバープレートに沿う方向の寸法が他の方向の寸法より大きい構造を指す。したがって、図4に示すように、反転部材102をカバープレートに沿って延伸する長尺状構造に形成するため、内部ガスとの接触面積を保証する場合、例えば、図1における該反転部材102を含む電流遮断装置のカバープレート110から露出した部分が高さ方向に沿ってカバープレート110を越える可能性を低減し、さらに図9に示すように、完全にカバープレートの範囲内に位置することにより、カバープレート110以外の他の装置への影響を回避するとともに、反転感度を確保することができる。
【0034】
図2図4に示すように、本開示の実施形態では、該長尺状構造の長さ方向に沿う端部は円弧状であり、即ち、カバープレートと平行な断面は、中間部が矩形で両端部が円弧状の構造を有することにより、カバープレート110の構造に適応するとともに、環状の反転部材及び他の対応する構造、例えば、それに嵌合する切り込み部材101、支持環113及び電極外部端子112を容易に形成する。他の実施形態では、長尺状構造は、腰形構造又は楕円形構造であってもよく、その腰形構造又は楕円形断面の長軸は、カバープレートに沿う方向である。いくつかの実施形態では、長尺状構造のカバープレートと平行な断面は、矩形断面などの他の形状に形成されてもよい。
【0035】
本開示の実施形態では、反転部材102とカバープレート110の外部で接続された部材が電極外部端子112及び支持環113であるため、両者は、同様に互いに嵌合する長尺状構造として設計されてよく、このように、部材同士の接続のために、電極外部端子112及び支持環113に接続される反転部材102のうちの第2の接続領域116が少なくとも長尺状構造に形成される。支持環113は、カバープレート110に接続されるため、形成された長尺状構造をカバープレート110の縁部、具体的には、カバープレート110の幅方向の縁部から伸び出さないように設計されてよく、いくつかの実施例では、該支持環113の幅方向の縁部はカバープレート110の縁部と面一である。これにより、反転部材102が大きな設計及び受力のスペースを得ることができる。
【0036】
本実施形態では、図2に示すように、第1の接続領域115も対応してカバープレートに沿って延伸する長尺状構造に形成される。前記長尺状構造は、長さ方向における端部が円弧状であり、前記長尺状構造は、楕円形又は腰形構造であってよい。対応する切り込み部材101は、図5図7に示すような長尺状構造に形成することができる。
【0037】
引き続き、本実施形態における反転部材102について説明し、反転部材102は、カバープレート110の上表面と垂直な方向に沿ってテーパ状のシート状構造に形成され、該テーパ状の小端が形成した第1の接続領域115は、長尺状構造に形成され、大端が切り込み部材101から離れて形成した前記第2の接続領域116は、第1の接続領域115と平行であり、長尺状構造に形成される。いくつかの実施例では、第2の接続領域106は、フランジング構造であることにより、支持環113及び電極外部端子112と同時に容易に接続される。
【0038】
本実施形態では、接続強度を保証するために、第1の接続領域115と第2の接続領域116の厚さは、それぞれ両者の間の動作領域123の厚さより大きい。いくつかの実施例では、第1の接続領域と第2の接続領域の厚さは、0.3~3mmであってよく、動作領域123の厚さは、0.05~0.3mmであってよい。該設計は、他の実施形態における反転部材102についても同様である。
【0039】
図5図7に示すように、本開示の実施形態に係る電池カバープレートアセンブリに基づき、引き続き、本開示に係る3つの切り込み部材を説明する。切り込みが環状構造に形成された従来の切り込み部材とは異なり、本実施形態に係る切り込み部材101において、切り込み104は、非閉ループの長尺状切り込みである。いくつかの実施例では、切り込み部材101のカバープレート110の長さ方向と垂直な鉛直断面において、第1の溶接領域103、切り込み領域105及び第2の溶接領域107が帯状で順に設けられ、切り込み104が切り込み領域105においてカバープレート110の長さ方向に沿って延伸する。このように、切り込み104を引き裂くことにより第1の溶接領域103と第2の溶接領域107との間の電気的な接続を同様に切断し、電流遮断の役割を果たすことができる。また、鉛直方向に帯状をなす配置方式として、切り込みの高さ方向の寸法がその幅方向の寸法より大きく、このように、切り込み部材101の幅方向の寸法を効果的に低下させることができ、電流遮断装置全体が幅方向においてカバープレート110の範囲から越えないことに役立つ。
【0040】
また、本実施形態では、切り込み領域105は、カバープレートの長さ方向に沿って延伸する長尺状構造に形成され、即ち、切り込み部材の長さ方向の寸法がその幅方向及び高さ方向の寸法より大きい。切り込み104は、該長尺状構造の長さ方向に沿って延伸することにより、非閉ループの切り込みを形成し、いくつかの実施例では、切り込み104は、直線形状の切り込みであり、他の可能な実施形態では、切り込みは、曲線又は折れ線等の長尺状切り込みであってもよい。また、切り込み104の引き裂きを実現するために、第1の溶接領域103及び第2の溶接領域107は、切り込み領域105の高さ方向の両側に設けられている。即ち、図の方位において、第1の溶接領域103、切り込み領域105及び第2の溶接領域107は、高さ方向に沿って上から下へ順に設けられ、切り込み部材101のカバープレート110と垂直な鉛直断面において直線的に分布している。これにより、従来の径方向に分布している環状切り込み部材とは異なる。このように、反転部材102が力を受けて反転した後、同様に切り込み104を引き裂くことにより、電流遮断の目的を達成することができる。
【0041】
図5及び図6に示すように、1つの実施例では、第1の溶接領域103、切り込み領域及び第2の溶接領域は、高さ方向に順に工字形構造に形成され、即ち、2つの溶接領域の両側は、いずれも切り込み領域105から突出し、それぞれ他の部材との溶接点を形成してよい。このように、反転部材と電極内部端子との溶接時には、溶接がより安定し、外力の作用下で溶接点が意図せずに切断されてしまうことを回避する。切り込み部材101は、高さ方向がその長さ方向に対するものであり、カバープレートに装着された後、その高さ方向がカバープレートに対する上下方向である。別の実施例では、第1の溶接領域103、切り込み領域105及び第2の溶接領域107は、高さ方向に順にZ字形構造に形成される。即ち、2つの溶着領域において、片側だけが切り込み領域105から突出して片側溶接点を形成でき、このように、外力による衝撃を受ける場合、Z字形構造の曲がり角が緩衝効果を有することにより、2つの溶接領域間の切り込み領域105上の切り込み104を保護し、切り込み104が意図せずに切断するおそれを低減することができる。
【0042】
また、工字形かZ字形かにかかわらず、本実施形態では、切り込み104と2つの溶接領域との溶接領域を高さ方向又は他の方向においていずれも異なる平面に設けることにより、レーザ溶接等による熱の切り込みへの影響を低減することができる。
【0043】
このような長尺状切り込み部材101に適応するために、図2に示すように、反転部材102は、カバープレートに沿って延伸する長尺状構造に形成され、かつ切り込み部材101の長尺状構造と互いに平行に設けられ、反転部材102が有する第1の接続領域115は、第1の溶接領域103に沿って延伸し互いに溶接され、該第1の接続領域は、長尺状構造に形成され、下表面に第1の溶接領域103を収容する溶接溝124が形成される。溶接溝124は、断面がn字形のn字形溝であってもよく、断面がL字形のL字形溝であってもよい。
【0044】
いくつかの実施例では、図2及び図7に示すように、切り込み部材101が工字形構造である場合、溶接溝124はn字形溝であり、該溶接溝内に収容された第1の溶接領域103の2つの側縁に溶接され、例えば、半田付けシーム溶接により溶接することにより、両者の電気的な接続が安定する。
【0045】
また、図9に示すように、切り込み部材101がZ字形構造である場合、溶接溝124は、L字形構造であってもよく、該溶接溝内に収容された第1の溶接領域の第2の溶接領域から離れた側縁に溶接され、例えば、半田付けシーム溶接により溶接する。このように、外力を受けた場合、Z字形構造の曲がり角によって切り込み領域105に対する緩衝を形成することができる。
【0046】
本実施形態では、工字形又はZ字形構造、あるいは半分が工字形で半分がZ字形であることを問わず、切り込み104は、それぞれ第1の溶接領域103及び第2の溶接領域107に平行に設けられることにより、反転部材102の反転時に切り込み104の各部にいずれも最大の垂直な引き裂き力を与えて、他の方向の分力を生じさせずに電流遮断装置の感度をすることが提供できる。
【0047】
本実施形態では、図5又は図6に示すように、切り込み104の端部は、切り込み領域105の縁部まで貫通してもよく、切り込み領域105の縁部と間隔をあけて設けられてもよい。切り込み領域105の縁部まで貫通することにより、電流遮断装置の感度を向上させることができるが、間隔をあけることにより、電池内部気圧が低い範囲内に変動する場合に、電池内部気圧が切り込み部材101の切り込み104に影響を与えず、内部気圧値が所定値を超える場合にのみ、電池内部圧力が切り込み104を引き裂くことを保証することができる。
【0048】
図6に示すように、切り込み104の端部と切り込み領域105の縁部との間が間隔を有する場合、特に両端が間隔を有する場合、切り込み104の端部と切り込み領域105の縁部との間隔を0.01~1mmに設計してよく、いくつかの実施例では、切り込み104の端部と切り込み領域105の縁部との間隔は0.05~0.5mmである。これにより、電流遮断装置の感度を保証するだけでなく、切り込みが外力又は内部気圧変動による影響を受けて意図せずに切断しないことを保証することができる。
【0049】
本実施形態の工字形及びZ字形の2つの実施例では、第1の溶接領域103及び第2の溶接領域107の厚さは、それぞれ切り込み領域105の厚さ以上である。なお、切り込み領域105は、板状構造に形成されるため、その厚さ方向が図において上下方向である2つの溶接領域の厚さ方向と一致せず、即ち、溶接溝の側縁に溶接され、カバープレート110と垂直な方向であり、切り込み領域105の厚さ方向がカバープレート110と平行な方向であり、即ち、切り込み部材全体の幅方向であることが理解され、この場合、切り込み104は、切り込み領域105の上下に延伸する側面に形成されている。
【0050】
いくつかの実施例では、第1の溶接領域103及び第2の溶接領域107の厚さは、0.4~5mmであり、切り込み領域105の厚さは、0.05~1mmである。いくつかの実施例では、第1の溶接領域103及び第2の溶接領域107の厚さは、0.8~3mmであり、切り込み領域105の厚さは、0.1~0.8mmである。したがって、切り込み領域105の厚さを2つの溶接領域の厚さ以下に設定することにより、溶接領域の溶接強度を保証するだけでなく、高品質な切り込み加工に基礎を定めることができる。
【0051】
また、第1の溶接領域103の厚さを第2の溶接領域107の厚さ以下に設計してもよい。したがって、溶接強度を保証するとともに、反転部材102の組み立てスペースを多く占用することを回避することにより、反転部材102をできる限り高さ方向において厚く設計して、大きな反転動作を行って切り込み104を引き裂くことができる。
【0052】
本実施形態では、切り込み104は、図6及び図7に示すように、切り込み領域105の片面に形成された1本であってもよく、図5に示すように、切り込み領域105の両面に形成された2本であってもよい。切り込み104が2本である場合、切り込み領域105の両面に2本の切り込みが位置合わせして設けられて、電流遮断装置の感度を向上させる。
【0053】
本実施形態では、図8及び図9に示すように、反転部材は、長尺状構造に形成される第2接続領域116を有し、第2接続領域116の下側とカバープレート110との間に支持環113が密封接続され、電極外部端子112の外周縁が第2接続領域116の上側に電気的に接続される。このように、支持環は、カバープレートに沿って延伸する長尺状構造に形成されてよく、いくつかの実施例では、図9に示すように、支持環がカバープレートの幅方向の縁部を越えないように設計されることにより、電池外部の他の装置に影響を与えることを回避することができる。
【0054】
長尺状切り込み部材101の組み立てに適応するために、本開示の実施形態に係る電池カバープレートアセンブリにおいて、図8図10及び図11に示すように、インナーリード109は、切り込み部材101に電気的に接続された中間溶接領域131と、中間溶接領域131の外側に位置し、セルに電気的に接続された縁部溶接領域132とを有するシート状構造に形成される。縁部溶接領域132の厚さは、中間溶接領域131の厚さ以上である。中間溶接領域131の厚さが小さい場合、縁部溶接領域132とともに段差構造を構成して高度差を有することができ、即ち、図8に示すように、両者は、鉛直方向において同一平面に位置せず、このように、縁部溶接領域とセルタブ又はセルの間の他のアダプタとを溶接する場合、中間溶接領域に接続された切り込み部材101に対して緩衝作用を果たす。
【0055】
いくつかの実施例では、構造強度及び緩衝作用を保証するために、いくつかの実施例では、中間溶接領域131の厚さを0.1~1mmとし、縁部溶接領域132の厚さを1~5mmとする。また、構造について、切り取られた部分の図である図10に示すように、縁部溶接領域132は、中間溶接領域131を囲む環状接続領域として形成され、環状の縁部溶接領域132により中間溶接領域131を囲むことができ、また、図11に示すように、縁部溶接領域は、該中間溶接領域131の両側に位置する帯状溶接領域であってもよい。即ち、中間溶接領域131を閉塞しないことにより、中間溶接領域の両端が開口を有し、このような変形は、いずれも本開示の保護範囲に属する。また、中間溶接領域131と縁部溶接領域132とが一体成形されてよく、このように、部材の溶接数を低下させることができ、組み立てがより簡単であり、いくつかの実施形態では、両者は、別体であってよく、例えば溶接により接続され、このように、中間溶接領域に対する緩衝作用を高めることができる。
【0056】
さらに、図8に示すように、インナーリード109の中間溶接領域には、切り込み部材101の第2の溶接領域107を収容する収容溶接溝133が形成されてよく、該収容溶接溝は、長尺状構造に形成された第2の溶接領域107に沿って延伸して同様に長尺状構造に形成され、上下方向において中間溶接領域を貫通してもよく、貫通孔構造であってもよく、貫通しなくてもよく、第2の溶接領域107との間がシーム溶接(半田付け等)により溶接されてもよい。
【0057】
本実施形態では、切り込み部材101の切り込み領域105は、カバープレート110の長さ方向に沿って延伸する長尺状構造に形成され、切り込み104は、該長尺状構造の長さ方向に沿って延伸し、かつ第1の溶接領域103及び第2の溶接領域107は、切り込み領域105の高さ方向の両側に設けられ、それぞれカバープレートの長さ方向に沿って延伸する長尺状構造に形成され、中間溶接領域131は、対応して長尺状構造に形成され、かつ第2の溶接領域107を収容する収容溶接溝133が形成されている。
【0058】
さらに、図12図19に示すように、本開示に係る様々なカバープレート絶縁部材122を詳細に説明し続ける。インナーリード109は、カバープレート110と係合する第1の係合部125と、インナーリード109と係合する第2の係合部126とを有するカバープレート絶縁部材122によってカバープレート110に取り付けられる。即ち、カバープレート絶縁部材122は、係合する構造によってカバープレート110に安定して取り付けられることにより、電池の使用過程において、セルからインナーリード109に伝達した力をカバープレート110に直接的に伝達でき、さらにセルの電極芯体振動過程によるインナーリード109に接続される切り込み部材101への影響を低減することにより、切り込み104の意図せぬ切断を回避する。
【0059】
図8図12及び図13に示すように、第1のカバープレート絶縁部材122において、第1の係合部125及び第2の係合部126は、それぞれ環状溝として形成されている。他の実施形態では、第1の係合部125又は第2の係合部126のみが環状溝として形成されてもよい。本実施形態では、2つの係合部は、いずれも環状溝として形成されるが、2つの環状溝の開口方向が逆であるという点で相違する。
【0060】
いくつかの実施例では、カバープレート絶縁部材122は、図8に示すように、電流遮断装置(切り込み部材又は反転部材)を取り付けるための取付孔127が形成されているカバープレート110の下表面に貼り合わられた基板128を含み、図12及び図13に示すように、第1の係合部125は、取付孔を通過した後に外へ折り返されて基板128とともに取付孔127の孔壁を収容する環状溝を形成するようにL字形断面を有する、基板128の上表面に接続された第1の環状突起129を含み、即ち、該環状溝の開口が径方向の外側に位置することにより、取付孔127の孔壁の挿入に用いられ、さらに該孔壁を包み込んでカバープレート110とカバープレート絶縁部材122との安定した係合を実現する。
【0061】
第1の係合部125とは異なり、上述したように、インナーリード109がシート状構造に形成されてよいため、第2の係合部126が形成した環状溝は、インナーリード109の外周縁を収容し、即ち、該環状溝の開口が径方向の内側に位置することにより、インナーリード109の外周縁が挿入して包み込まれ得て、インナーリード109の取り付けをより堅固にすることができる。いくつかの実施例では、第2の係合部126は、基板128とともにインナーリードの外周縁を収容する環状溝を形成するようにL字形断面を有して径方向の内側に位置する開口を有する、基板128の下表面に接続された第2の環状突起130を含む。いくつかの実施例では、上記シート状に形成されたインナーリード109の縁部溶接領域132は、中間溶接領域131の外側に位置して第2の係合部126によって形成された環状溝に係入する。これにより、カバープレート絶縁部材122とインナーリード109との安定した係合を完了する。
【0062】
図14及び図15に示すように、第2のカバープレート絶縁部材122は、カバープレート110と係合する第1の係合部125を有し、第1のカバープレート絶縁部材とは異なり、本実施例における第1の係合部125は、第1の逆テーパ状突起及び/又は第1の逆テーパ状溝を含み、カバープレート110には、形状に合わせて該第1の逆テーパ状突起を収容する第2の逆テーパ状溝、及び/又は形状に合わせて第1の逆テーパ状溝に嵌め込む第2の逆テーパ状突起が対応して形成されることにより、逆テーパ状突起と逆テーパ状溝との形状の合わせにより、カバープレート絶縁部材122とカバープレート110との間の係合を実現し、このような係合方式で、カバープレート絶縁部材122とカバープレート110との面接続を実現するが、他の構造を突出させないことにより、より省スペース化し、特に電流遮断装置の配置に役立つ。
【0063】
本実施例では、第1の係合部125は、複数の第1の逆テーパ状溝、例えば2つを含み、前記カバープレート110には、該第1の逆テーパ状溝と嵌合する複数の2の逆テーパ状突起が設けられている。
【0064】
別の実施形態では、第1の係合部125は、複数の第1の逆テーパ状突起を含み、対応して、前記カバープレート110には、該第1の逆テーパ状突起と嵌合する複数の第2の逆テーパ状溝が設けられている。
【0065】
別の実施形態では、第1の係合部125は、互いに平行に延伸し、隣接した第1の逆テーパ状溝の間に1つの第1の逆テーパ状突起が形成された複数の第1の逆テーパ状溝、例えば2つを含み、これに対応して、カバープレートには、隣接した第2の逆テーパ状突起の間に1つの第2の逆テーパ状溝が形成された複数の第2の逆テー状突起、例えば2つが設けられ、即、カバープレート絶縁部材122の1つの第1の逆テーパ状突起がカバープレート110上の1つの第2の逆テーパ状溝に嵌め込まれ、カバープレート110上の2つの第2の逆テーパ状突起がカバープレート絶縁部材122上の2つの第1の逆テーパ状溝に嵌め込まれることにより、溝と突起とが交差して係合する方式で、カバープレート110とカバープレート絶縁部材122との安定した接続を実現する。
【0066】
本実施例では、カバープレート絶縁部材122のインナーリード109と係合する第2の係合部126は、第1のカバープレート絶縁部材の第2の係合部と同じであり、即ち、シート状構造に形成されたインナーリード109の外周縁を収容するための、開口が径方向の内側に位置する環状溝を形成する。いくつかの実施例では、カバープレート絶縁部材122の基板128がカバープレート110下表面に貼り合わせられ、第2の係合部126の基板128の下表面に接続される第2の環状突起130は、基板128とともにインナーリードの外周縁を収容する環状溝を形成するようにL字形断面を有し、インナーリード109の縁部溶接領域132は、中間溶接領域131の外側に位置して、第2の係合部126によって形成された環状溝に係入する。
【0067】
図16に示すように、第3のカバープレート絶縁部材122は、インナーリード109と係合する第2の係合部126を有し、第2の係合部126は、第1の逆テーパ状突起及び/又は第1の逆テーパ状溝を含み、インナーリード109には、形状に合わせて該第1の逆テーパ状突起を収容する第2の逆テーパ状溝、及び/又は形状に合わせて第1の逆テーパ状溝に嵌め込む第2の逆テーパ状突起が対応して形成され、即ち、本実施例では、逆テーパ状突起と逆テーパ状溝との形状の合わせにより、カバープレート絶縁部材122とインナーリード109との間の係合を実現し、このような係合方式で、カバープレート絶縁部材122とインナーリード109との面接続を実現するが、他の構造を突出させないことにより、より省スペース化し、特に電流遮断装置の配置に役立つ。
【0068】
第2の係合部126は、複数の第1の逆テーパ状突起、例えば2つを含み、対応して、インナーリード109には、該第1の逆テーパ状突起と嵌合する複数の第2の逆テーパ状溝が設けられている。
【0069】
或いは、第2の係合部126は、複数の第1の逆テーパ状溝を含み、対応して、インナーリード109には、該第1の逆テーパ状溝と嵌合する複数の第2の逆テーパ状突起が設けられている。
【0070】
或いは、第2の係合部126は、互いに平行に延伸し、隣接した第1の逆テーパ状突起の間に1つの第1の逆テーパ状溝が形成された複数の第1の逆テーパ状突起、例えば2つを含み、これに対応して、インナーリード109には、隣接した第2の逆テーパ状溝の間に1つの第2の逆テーパ状突起が形成された複数の第2の逆テー状溝、例えば2つが設けられている。即、図16に示すように、カバープレート絶縁部材122の2つの第1の逆テーパ状突起がインナーリード109上の2つの第2の逆テーパ状溝に嵌め込まれ、インナーリード109上の1つの第2の逆テーパ状突起がカバープレート絶縁部材122上の1つの第1の逆テーパ状溝に嵌め込まれることにより、溝と突起とが交差して係合する方式で、インナーリード109とカバープレート絶縁部材122との安定した接続を実現する。
【0071】
シート状構造に形成されたインナーリード109の縁部溶接領域132には、第2の係合部126と係合する第2の逆テーパ状突起及び/又は第2の逆テーパ状溝が形成され、即ち、本実施例では、図16に示すように、上記2つの第2の逆テーパ状溝が中間溶接領域131の両側の縁部溶接領域132に形成されている。
【0072】
本実施例では、カバープレート絶縁部材122のカバープレート110と係合する第1の係合部125は、上記第1のカバープレート絶縁部材の第1の係合部125と同じであり、即ち、開口が径方向の外側に位置する環状溝を形成し、いくつかの実施例では、本実施例におけるカバープレート絶縁部材122は、電流遮断装置を取り付けるための取付孔127が形成されているカバープレート110の下表面に貼り合わられた基板128を含み、第1の係合部125は、取付孔を通過した後に外へ折り返されて基板128とともに取付孔127の孔壁を収容する環状溝を形成するようにL字形断面を有する、基板128の上表面に接続された第1の環状突起129を含む。
【0073】
図17図19に示すように、第4のカバープレート絶縁部材122は、カバープレート110と係合する第1の係合部125を有し、カバープレート110には、電流遮断装置を取り付けるための取付孔127と、該取付孔127を囲んで形成された複数の係合孔134とが形成され、カバープレート絶縁部材122は、カバープレート110の下表面と貼り合わせられた基板128を含み、第1の係合部125は、基板128の上表面から上向きに延伸して取付孔127を通過した後に外へ折り返され、かつ下向きに延伸して係合孔及び基板128を通過する係着構造を含み、このような閉鎖した係着構造によりカバープレート110とカバープレート絶縁部材122との係合が安定する。
【0074】
いくつかの実施例では、該閉鎖した係着構造は、環状突起135と、該環状突起の円周方向に沿って間隔をおいて設けられた複数の接続柱136とを含み、環状突起135は、取付孔を通過した後に外へ折り返されるようにL字形断面を有し、接続柱136は、係合孔134を通過し、環状突起135と基板128との間に接続されることにより、環状突起135、接続柱136及び基板128でそれぞれの係着構造を構成することを実現し、複数の接続柱136は、図17に示すように、均一に分布して係着構造の強度を保証することができる。いくつかの実施例では、取付孔127及び環状突起135は、それぞれ、カバープレート110の長さ方向に延伸する長尺状構造に形成され、取付孔127の幅方向の両側に位置する接続柱136の数が同じであり、かつ等間隔で設けられ、いくつかの実施例では、両側の接続柱の間隔も同じであり、即ち、両側の接続柱136が幅方向において1対1に位置合わせして設けられることにより、係着構造の強度が安定し、セルからインナーリード109に伝達した振動を縁部接接領域132によりカバープレート110に均一で効果的に伝達して、中間溶接領域131に接続された切り込み部材101に影響を与えるおそれを低減することができる。
【0075】
図18に示すように、本実施例におけるカバープレート絶縁部材122のインナーリード109と係合する第2の係合部126は、第1のカバープレート絶縁部材の第2の係合部と同じであり、即ち、開口が径方向の内側に位置する環状溝を形成する。インナーリード109は、シート状構造に形成され、該環状溝は、インナーリード109の外周縁を収容し、カバープレート絶縁部材122のカバープレート110の下表面に貼り合わせられた基板128の下表面にある第2の環状突起130は、基板128とともにインナーリードの外周縁を収容する環状溝を形成するようにL字形断面を有する。シート状構造に形成されたインナーリード109の縁部溶接領域132は、第2の係合部によって形成された環状溝に係入するように中間溶接領域131の外側に位置する。
【0076】
電池カバープレートアセンブリは、カバープレート110と、該カバープレート110の内側に位置するインナーリード109と、該カバープレート110の外側に位置する電極外部端子112とを含み、前記インナーリード109と前記電極外部端子112とは、前記インナーリードに電気的に接続される切り込み部材101と、前記電極外部端子に電気的に接続される反転部材102とを含む電流遮断装置によって電気的に接続され、前記切り込み部材には、切り込み104が形成され前記反転部材102に電気的に接続され、前記反転部材102は、気圧の作用下で動作して前記切り込み104を引き裂くことができ、反転部材102が切り込み104を引き裂いた後、インナーリード109は、電極外部端子112から電気的に切り離し、前記インナーリード109は、前記カバープレート110と係合する第1の係合部125と、前記インナーリード109と係合する第2の係合部126とを有するカバープレート絶縁部材122によって前記カバープレート110に取り付けられる。
【0077】
いくつかの実施例では、前記カバープレート絶縁部材122は、前記電流遮断装置を取り付けるための取付孔127が形成されている前記カバープレート110の下表面に貼り合わられた基板128を含み、前記第1の係合部125は、前記取付孔を通過した後に外へ折り返されて前記基板128とともに前記取付孔127の孔壁を収容する環状溝を形成するようにL字形断面を有する、前記基板128の上表面に接続された第1の環状突起129を含む。
【0078】
いくつかの実施例では、前記インナーリード109は、シート状構造に形成され、前記第2の係合部126は、前記基板128とともに前記インナーリードの外周縁を収容する環状溝を形成するようにL字形断面を有する、前記基板128の下表面に接続された第2の環状突起130を含む。
【0079】
いくつかの実施例では、前記第2の係合部126は、環状溝として形成され、前記インナーリード109は、シート状構造に形成され、前記第2の係合部が形成した前記環状溝は、前記インナーリード109の外周縁を収容する。
【0080】
いくつかの実施例では、前記インナーリード109が形成した前記シート状構造は、前記切り込み部材101に電気的に接続された中間溶接領域131と、前記第2の係合部によって形成された環状溝に係入するように前記中間溶接領域131の外側に位置する、セルに電気的に接続された縁部溶接領域132とを有する。
【0081】
いくつかの実施例では、前記縁部溶接領域132の厚さは、前記中間溶接領域131の厚さ以上である。
【0082】
いくつかの実施例では、前記縁部溶接領域132は、前記中間溶接領域131を囲む環状接続領域、又は、該中間溶接領域131の両側に位置する帯状溶接領域として形成される。
【0083】
いくつかの実施例では、前記切り込み部材101は、切り込み104が形成された切り込み領域105と、前記反転部材102に互いに電気的に接続するための第1の溶接領域103と、インナーリード109に電気的に接続するための第2の溶接領域107とを含み、前記切り込み領域105は、前記カバープレート110の長さ方向に沿って延伸する長尺状構造に形成され、前記切り込み104は、該長尺状構造の長さ方向に沿って延伸し、前記第1の溶接領域と前記第2の溶接領域は、前記切り込み領域105の高さ方向の両側に設けられ、かつそれぞれ前記カバープレートの長さ方向に沿って延伸する長尺状構造に形成され、前記中間溶接領域131は、対応して長尺状構造に形成される。
【0084】
いくつかの実施例では、前記中間溶接領域131には、前記第2の溶接領域107を収容する収容溶接溝133が形成されている。本開示に係る単電池は、ケース111と、ケース内に収容されたセルと、ケースを封止する上記電池カバープレートアセンブリとを含み、インナーリード109がセルに電気的に接続され、かつ反転部材102がケースの内部ガスと連通する。
【0085】
本開示に係る電池モジュールは、内部に上記単電池が設けられている。
【0086】
本開示に係る動力電池は、パック本体と、該パック本体内に設けられる上記電池モジュールとを含む。
【0087】
本開示に係る電動自動車は、上記動力電池が設けられている。
【0088】
以上、図面を参照しながら本開示の5つの実施形態を詳細に説明したが、本開示は、上記実施形態の具体的な内容に限定されるものではなく、本開示の技術的思想の範囲内に、本開示の技術手段に対して複数の簡単な変更を行うことができ、これらの簡単な変更がいずれも本開示の保護範囲に属する。
【0089】
なお、上記具体的な実施形態に説明された各具体的な技術的特徴は、矛盾しない場合に、いずれの適当な方式によって組み合わせることができ、不要な重複を回避するために、本開示は、可能なあらゆる組み合わせ方式を別途に説明しない。
【0090】
また、本開示の様々な実施形態は、任意に組み合わせることができ、本開示の思想から逸脱しない限り、同様に本開示に開示されている内容と見なすべきである。
図1
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