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▶ ブイアールメコ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】ジョイスティックチェア
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/72 20060101AFI20220616BHJP
   A47C 7/50 20060101ALI20220616BHJP
   A47C 7/54 20060101ALI20220616BHJP
   A47C 7/36 20060101ALI20220616BHJP
   A47C 7/02 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
A47C7/72
A47C7/50 A
A47C7/54 G
A47C7/36
A47C7/02
A47C7/54 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020540339
(86)(22)【出願日】2018-02-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-29
(86)【国際出願番号】 RS2018000001
(87)【国際公開番号】W WO2019139495
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-02-05
(31)【優先権主張番号】P-2018/0043
(32)【優先日】2018-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RS
(73)【特許権者】
【識別番号】521295240
【氏名又は名称】ブイアールメコ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】VRMECO LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(72)【発明者】
【氏名】ゾラン・スタイッチ
(72)【発明者】
【氏名】ヴク・プシッチ
(72)【発明者】
【氏名】ラドス・ラデンコヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ネナド・ドゥニイッチ
【審査官】田中 佑果
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104095736(CN,A)
【文献】特開平06-327836(JP,A)
【文献】国際公開第2017/004580(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0086747(US,A1)
【文献】特表2008-514243(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0086252(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0105530(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/00-7/74
A63F 13/20-13/24
A47C 3/00-3/40
A47C 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフレームと、前記ベースフレームに接続される中心柱と、回転ヘッドと、それぞれ前記回転ヘッドに接続されるシート、バックレスト、およびヘッドレストとを有するチェア要素と、
前記回転ヘッドが前記中心柱に接続され、第1スライダが、プッシャシリンダ付きの第2スライダを支持する移動要素と、
を備え、
前記回転センサは、前記回転ヘッドが左又は右へ回転された場合に、左又は右に曲がる、
ジョイスティックチェア。
【請求項2】
前記回転センサは、前記回転ヘッドが回転されていない間は、曲がっておらず、
前記回転センサは、プッシャシリンダ付きの前記第2スライダの上端に取り付けられる、
請求項1に記載のジョイスティックチェア。
【請求項3】
前記回転ヘッドと前記第2スライダとの間に配置される回転センサと通信するマイクロコントローラをさらに備える、
請求項に記載のジョイスティックチェア。
【請求項4】
前記第2スライダは、プッシャシリンダをさらに備える、
請求項1に記載のジョイスティックチェア。
【請求項5】
請求項3に記載のジョイスティックチェアを制御する方法であって、
マイクロコントローラによって、左右回転のためのコマンドを、USBを通じてコンピュータに送信する、
方法。
【請求項6】
前後移動は、左および右コントローラから伝達され、
左および右コントローラセンサが前記マイクロコントローラに信号を送信する、
請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、コンピュータ入力装置の分野に属し、または、広くとらえれば、ユーザ装置とコンピュータとの間のやり取りのための入力装置または組み合わされた入出力装置の分野に属する。
【0002】
VR使用時の主要な問題は、以下の通りである。
1)怪我をする可能性をなくすことに重点を置いた装置のユーザの安全性
2)ユーザによっては吐き気を催すこと
3)現実的な移動の感覚を与え、ユーザの快適さおよび疲労の軽減を図る、仮想現実での移動の管理
【0003】
現在、仮想現実において提案されているコンテンツの移動制御および操作のための入力装置としては、以下のものが挙げられる。
【0004】
移動コマンドが手の親指を用いて実行されるゲームパッドを操作するための標準的なコントローラ。この手段では、体および頭の移動は、同期しておらず、一方側を見ながら他方側へ移動することができる。我々の発明では、このようなことが起きないように、ユーザが頭を含む体全体で向きを変えて同じ側に移動するようにする。この効果は、VRでの吐き気の低減に関与する。
【0005】
典型的なゲームパッドと似た欠点がある空間内での位置を正確に決定するために使用されるコントローラは、移動のためのコマンドを与える方法のせいで、吐き気を起こさせる。我々の装置によれば、移動のためのコマンドは、仮想現実での移動中に吐き気を減少または完全に除去するような方法で構成される。
【0006】
複雑なセットアップおよび空間が制限されるという欠点がある体の位置を認識するシステムは、怪我や疲労を起こす傾向がよりある。我々の装置は、怪我または疲労の可能性をなくし、同時に、非常に制限された空間だけでよいにも関わらずセットアップおよび使用が簡単である。
【0007】
場所での歩行の基本的な原理を用いる歩行のシミュレーションためのシステムは、非常に複雑で、使用するには快適ではない。加えて、当該システムは、移動の本当の感覚を生じないのに、大きさ空間を占有し、しばしば、疲労および/または怪我につながる。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、コンピュータおよび/またはゲーム機のための入力装置群に含まれる。さらに、本発明は、快適かつ安全に、座るか寄りかかって立つことが可能なチェアである。
【0009】
ジョイスティックチェアは、寄りかかりと座りという2つの基本的な使用位置を有する。
【0010】
立ち位置では、ユーザは骨盤ベルトおよび背中を垂直平面に対して傾けてシートに寄り掛かっている。ユーザは、立ち軸に対して90度未満で立っているグラウンド台に足を置いて立ちながら、寄り掛かる。これは、ユーザの体のサポートの安定性のおかげで、安全性を増しながらジョイスティックチェアの快適かつ長期間の使用を可能とする。
【0011】
座り位置では、ユーザは自然な座り姿勢をとることができる。
【0012】
座り位置から寄りかかり位置への移行およびその逆は、シートを下すことおよびVRグラスを外すことをしなくても、ユーザ自身によって調整される。
【0013】
ジョイスティックチェアによれば、ユーザが自身の軸の周りに回転するためのコマンドを与えるために新しい方法が適用される。回転のためのコマンドは、VRにおいて360度回転の錯覚を達成するのに十分な左または右側への体の移動によって、与えられる。シート上でユーザがとる角度は、マイクロコントローラにおいて処理され、回転および角速度を決定するために使用される。
【0014】
このタイプのコマンドのさらなる利便性は、ユーザが360度回転する必要がないことであり、これによってVRヘッドマウントディスプレイとコンピュータを接続するのに使用される装置のケーブルを常にユーザの背後に位置させることができ、装置の損傷またはユーザの怪我が防止される。
【0015】
「ジョイスティックチェア」によれば、前後方向に移動するためのコマンドを生成するために、全く新しい方法が、適用される。ユーザが指でハンドルを自身に向けて移動させることで前方向に移動する一方で、ハンドルの人間工学的な膨出部分を手のひらで押し出すことによって後方に移動する。
【0016】
「ジョイスティックチェア」によれば、ユーザが横方向および前後方向の移動を制御するために新しい方法が適用され、横方向および前後方向の移動は、意図せずに同時にコマンドを与える可能性がないように、分離される。この能力はまた吐き気の低減につながる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの上面から見た組立斜視図である。
図1B】本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの上面から見た組立斜視図である。
図2】本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの組立側面図である。
図3】aは本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの左コントローラの上面図である。bは本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの右コントローラの上面図である。
図4】aは本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの左コントローラの側面図である。bは本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの右コントローラの側面図である。
図5】aは本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの左コントローラの側方断面図である。bは本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの右コントローラの側方断面図である。
図6】aは本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの左回転コマンドの検出手段の原理を説明する図である。bは本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの右回転コマンドの検出手段の原理を説明する図である。cは本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの回転センサとマイクロコントローラとの間の接続の原理を説明する図である。
図7】aは本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの左回転コマンドの検出手段の原理を説明する図である。bは本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの右回転コマンドの検出手段の原理を説明する図である。cは本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの回転センサとマイクロコントローラとの間の接続の原理を説明する図である。
図8】aは本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアにおける台とベースフレームの後部サポートとの非折り畳み位置を示す組立側面図である。bは本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアにおける台とベースフレームの後部サポートとの半折り畳み位置を示す組立側面図である。cは本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアにおける台とベースフレームの後部サポートとの折り畳み位置を示す組立側面図である。
図9】本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの左アームレストの後方位置を示す組立斜視図である。
図10】本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの左右アームレストの後方位置を示す組立斜視図である。
図11】本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアのコントローラのつかみ方の原理を説明する図である。
図12】本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの座り姿勢の組立斜視図である。
図13】本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの立ち姿勢の組立側方断面図である。
図14】本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの組立斜視断面図である。
図15】本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの組立側方断面図である。
図16】本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアのポジションコントローラの斜視図である。
図17】本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアのマイクロコントローラとの接続の原理を説明する図である。
図18】aは本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの左コントローラでの前方コマンドの検出手段の原理を説明する図である。bは本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの左コントローラでの後方コマンドの検出手段の原理を説明する図である。cは本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの左コントローラセンサとマイクロコントローラとの間の接続の原理を説明する図である。
図19】aは本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの右コントローラでの前方コマンドの検出手段の原理を説明する図である。bは本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの右コントローラでの後方コマンドの検出手段の原理を説明する図である。cは本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの右コントローラセンサとマイクロコントローラとの間の接続の原理を説明する図である。
図20】aは本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの左ストライフ制御手段での右ストライフコマンドの検出手段の原理を説明する図である。bは本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの左ストライフ制御手段での左ストライフコマンドの検出手段の原理を説明する図である。cは本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの左ストライフ制御手段とマイクロコントローラとの間の接続の原理を説明する図である。
図21】aは本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの右ストライフ制御手段での右ストライフコマンドの検出手段の原理を説明する図である。bは本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの右ストライフ制御手段での左ストライフコマンドの検出手段の原理を説明する図である。cは本発明の一実施形態にかかるジョイスティックチェアの右ストライフ制御手段とマイクロコントローラとの間の接続の原理を説明する図である。
図22】aは本発明の一実施形態にかかるジョイスティックの立ち位置における座り機構の原理を説明する図である。bは本発明の一実施形態にかかるジョイスティックの下降中の座り機構の原理を説明する図である。cは本発明の一実施形態にかかるジョイスティックの座り位置における座り機構の原理を説明する図である。
図23】aは本発明の一実施形態にかかるジョイスティックの左ストライフ制御手段の上面図である。bは本発明の一実施形態にかかるジョイスティックの右ストライフ制御手段の上面図である。
図24A】本発明の一実施形態にかかるジョイスティックの座り機構の分解斜視背面図である。
図24B】本発明の一実施形態にかかるジョイスティックの座り機構の分解斜視前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ジョイスティックチェアは、コンピュータまたはゲーム機のための入力装置を表す。ジョイスティックチェアは、特に仮想現実になると、コンピュータゲームのより簡単で、より快適かつ効率的なプレイを可能にする。ジョイスティックチェアは、ヘッドマウントディスプレイとともに、仮想現実システムの一部となる。
【0019】
より広い視野では、VRシステムは、コンテンツを処理するためのコンピュータまたはゲーム機と、視覚野(Visual cortex)を刺激するためのヘッドマウントディスプレイ(HMD)と、聴覚野(Auditory cortex)のためのヘッドフォンと、入力のためのヒューマンマシンインタフェース(HMI)としてすぐそばの運動野(Motor cortex)に信号を生成するために体性感覚野(Somatosensory cortex)を刺激するジョイスティックチェアとで構成されることが理解できる。ジョイスティックチェアは、媒体として仮想現実への新しいアプローチのための構成要素として開発される。なぜなら、ジョイスティックチェアは、移動のための参照ハードウェアをもたらし、既存の内容およびハードウェアとの互換性をもたらす。
【0020】
これまでのところ、仮想現実の最も大きな問題は、移動にともなう吐き気である。標準的な制御方法(ゲームパッドおよび、マウス・キーボードのセット)は、全てのユーザの60%がレベルは異なるが不快さを感じ、全てのユーザの20%が吐き気を催す。そのため、既存のコンテンツ、例えば、広く人気のあるFPSゲームを利用することができず、開発者は、移動の代替的な変更(瞬間移動)を考案しなければならず、このような変更は、ほとんどの人から没入感を奪い、ゲームプレイを台無しにする。また、重要な要因は、VRセッションのためのセットアップは、複雑で面倒であり、ユーザによる装置の使用が減少していくという影響を及ぼす。
【0021】
これら問題を解決するため、我々は、新規の解決手段を提案する。コンテンツの制御を達成するために中枢神経系(central nervous)を刺激しようとする代わりに、我々は、通常のゲームパッドの模倣を達成し、同時に、前庭系(Vestibular system)に影響を与えることなしに(つまり、中耳が常に軸上にあるままで)動きの感知をもたらした。この方法で、我々は、動きによる吐き気を抑えながら、市場の全ての非VRコンテンツとの互換性および制御を達成した。学習曲線は秒単位で計測される。セッションのセットアップは、チェアに座り、帽子を被るのと同程度に簡単である。ユーザは、ケーブルが邪魔になることがないか、家具の周囲を移動しなくて済む。新しい快適さによって、使用を数時間にわたって継続することができる。我々の解決手段は、デザインに依拠せず、どのようなインテリアにも適合するように再現することができる。この解決手段は、全ての既存のVRコントローラと互換性があり、統合のいくつかのモードを有している。また、非常に重要な選択は、HMIが利用され得る仮想現実を活用することである。
【0022】
我々の所有するソフトウェアは、我々にカスタマイズする能力を与え、また吐き気の原因になる一定の動作規則を防止でき、絶えず、ユーザを背面から支える。この方法によって、既存のコンテンツと仮想現実の特殊性との間の溝が、開発者による追加のプログラミングおよび移動の調整を必要とすることなしに、埋められる。ユーザは、各コンテンツのための特定のレベルに移動パラメータを個々に調整/カスタマイズすることができる。これら全ては、ユーザの大部分に対する長期間にわたる吐き気に対する耐性の増加に非常に大きな影響を与える。
【0023】
装置は、以下の部分で構成される:
-台を有するベースフレーム、
-シートを上昇および下降させる機構、
-バックレストを有する座り機構、
-制御手段、
-マイクロコントローラ
【0024】
台付きのベースフレームは、ジョイスティックに強度と安定性を与える。ベースフレーム(1)の前側には、台(3)を2つの位置の間で回転可能とする台結合部(4)が取り付けられる。ベースフレーム(1)の後側には、ベースフレームサポート(7)を回転可能なベースフレームサポート結合部(6)が取り付けられる。この2つ折りの特徴は、ジョイスティックの足形を大きく減らすことができるから、ジョイスティックの輸送に役立つ。ベースフレームロックボルト(8)付きのベースフレームサポート(7)によれば、非常にでこぼこした面であってもジョイスティックチェアが安定するようになる。調整可能な足(2)は、安定性の良好な調整のためのものである。さらに、ベースフレーム(1)の前部には、前回転ブラケット(15)上の台(3)の角度を調整する台の角度調整用の直動アクチュエータ(16)が取り付けられる。
【0025】
シートを上昇および下降させる機構は、ユーザが、ジョイスティックチェアを、寄り掛かりと座りの2つの位置で使用することを可能にする。座り位置から寄り掛かり位置への変化は、プッシャシリンダ付きの第2スライダを上昇させるプッシャシリンダ付きの第2スライダ用の直動アクチュエータ(17)にコマンドを出力するマイクロコントローラ(30)に、ポジションコントローラ(57)を用いて、コマンドを与えることで達成される。プッシャシリンダ付きの第2スライダが移動することによって、シートの前側部分(11)付きのシートの前側部分の回転サポート(12)の後部が開放されて、シートの前側部分がほぼ垂直位置に位置する。また、プッシャシリンダ付きの第2スライダ(18)は、シート(23)をシートサポート(13)から離すように持ち上げる。シートばね(20)は、チェア回転ヘッド(27)とシート(23)との間に配置され、シート調整ボルト(24)に向けてシート(23)を引っ張る。これによって、シート(23)の角度が決定される。
【0026】
バックレスト付きの座り機構は、シート(23)と、ヘッドレスト(31)を支持するバックレスト(25)とを支持するチェア回転ヘッド(27)上にある。シート(23)の角度は、シート調整ボルト(24)によって調整され得る。バックレスト(25)の角度は、バックレスト調整ボルト(26)によって調整され得る。座り位置でのシート(23)およびバックレスト(25)の高さは、中心柱回転軸受け(9)で回転する中心柱(19)の内側にあるチェア高さ調整用の直動アクチュエータ(10)を起動することによって、調整される。チェア回転ヘッド(27)の高さは、座り位置でシートの前側部分の回転サポート(12)の移動を妨げるが寄り掛かり位置でシートの前側部分の回転サポート(12)の下降を可能とするプッシャシリンダ付きの第2スライダ(18)の高さを変化させることによって、調整され得る。シートの前側部分の回転サポート(12)は、シートの前側部分(11)を支持し、第1スライダ(5)に取り付けられて座り位置でシート(23)のサポートとなるシートサポート(13)に接続されるシートの前側部分の回転サポートの回転軸部(14)に取り付けられる。
【0027】
制御手段は、五つの部分で構成される:
-ハンドル、
-前後方向の移動の制御手段、
-左または右回転の制御手段、
-ボタン、
-ストライフ制御手段
【0028】
ハンドルは、左アームレスト結合部(37)と、右アームレスト結合部(42)と、左アームレストサポート(33)と、右アームレストサポート(38)と、左アームレスト(34)と、右アームレスト(39)と、左コントローラ(36)と、右コントローラ(41)とで構成される。左アームレスト結合部(37)と右アームレスト結合部(42)とは、左コントローラ(36)付きの左アームレストサポート(33)および右コントローラ(41)付きの右アームレストサポート(38)を、個々に、前方または後方の位置に配置可能とする。左コントローラ(36)および/または右コントローラ(41)の使用は互いに独立である。左コントローラ(36)および/または右コントローラ(41)が後方の位置にある場合、これらはコントロールプロセスからは完全に除外される。この位置では、その他の入力装置、例えば、各種の、位置認識機能がある手で持つコントローラの使用が妨げられることがない。
【0029】
前後移動の制御は、左または右コントローラ(36または41)を指で引き寄せるか、左または右コントローラ(36または41)を手のひらで押し離すことで、達成される。この力は、弾性を有する左および右側のゴムリング(44または51)を超えて伝達され、左または右センサ(45または52)で計測される。当該力は、左および右センサ(45および52)で測定され、ここから信号がマイクロコントローラ(30)に送信され、マイクロコントローラ(30)はこの情報を処理し、前後方向に移動のための新しいコマンドをコンピュータにUSBを介して送信する。
【0030】
左または右コントローラ(36または41)の前部を指で押すと、触覚小体(Tactile corpuscles)で受容される感覚、指先の球状小体(Bulbous corpuscles)からのインパルスのいくつか、および、結果として生じる論理演算は、前方に移動する体性感覚野(Somatosensory system)の求心性神経線維(afferent nerve fiber)を通じて脊髄(spinal cord)に伝達される。そこから、信号は、後柱-内側毛帯系(Posterior column-medial lemniscus pathway;PCML)(後索-内側毛帯系(Dorsal column-medial lemniscus pathway;DCML)としても知られる)を通じて、一次運動野(Primary motor cortex)のすぐ隣(後ろ)にある一次体性感覚野(Primary somatosensory cortex)の中心後回(Postcentral gyrus)(体性感覚野(Somatosensory cortex))に伝達される。それらが互いに近い結果、皮質(cortex)の重複領域のせいで、ノイズが発生する。我々は、そのようなノイズを除去するために視覚を利用する。VRが、移動の視覚的な表現を与えることで視覚野(Visual cortex)をだまし、ノイズがユーザにとって前方移動のわずかな感覚になるようにする。
【0031】
左または右回転のための制御は、回転センサ(28)に回転を伝達するチェア回転ヘッド(27)に接続されるシート(23)を回転させることによって達成される。回転センサ(28)は、移動可能なチェア回転ヘッド(27)と移動不可能なプッシャシリンダ付きの第2スライダ(18)との間に配置される。回転センサ(28)で生成される信号は、その後、マイクロコントローラ(30)に送信され、マイクロコントローラ(30)は、当該情報を処理し、左右回転のための新しいコマンドをコンピュータにUSBを介して送信する。
【0032】
ボタンは、左および右コントローラ(36および41)の内側にあり、左および右手の親指で利用可能である。
【0033】
左親指で利用可能なコマンドは、以下のボタンスイッチャである。
-左第1トリガ(58)
-左第2トリガ(59)
-左第3トリガ(60)
-方向キー 上ボタン(68)
-方向キー 下ボタン(69)
-方向キー 左ボタン(67)
-方向キー 右ボタン(70)
-スタートボタン(65)、メニューまたはスタート
【0034】
右親指で利用可能なコマンドは、以下のボタンスイッチャである。
-右第1トリガ(73)
-右第2トリガ(72)
-右第3トリガ(71)
-ボタン1(61)
-ボタン2(62)
-ボタン3(63)
-ボタン4(64)
-戻るボタン(66)、メニューに戻る
【0035】
左ストライフ制御手段(49)および右ストライフ制御手段(56)とで構成されるストライフ制御手段は、横方向の左および右移動に使用される。これらは、左コントローラ(36)および右コントローラ(41)に接続されておらず、これによって、斜め移動が防止される。
【0036】
マイクロコントローラ(30)は、以下の2つの一般的な機能を有する。
【0037】
1.チェア高さ調整用の直動アクチュエータ(10)、台の角度調整用の直動アクチュエータ(16)、およびプッシャシリンダ付きの第2スライダ用の直動アクチュエータ(17)にコマンドを与えることによる、ジョイスティックチェアの位置の決定および変更。また、前回のジョイスティックチェアの位置を記憶し、呼び出すことができる。この機能のためのコマンドは、ポジションコントローラ(57)を通じて出力される。
【0038】
ポジションコントローラ(27)用のコマンドは、以下の通りである。
-ボタン(74)を押すと、ジョイスティックチェアを座り位置から立ち位置に変更するためのコマンドが与えられる。
-ボタン(75)を押すと、ジョイスティックチェアを立ち位置から座り位置に変更するためのコマンドが与えられる。
-ボタン(76)を押すと、立ち位置と座り位置との両方において、シート(23)を上昇させるためのコマンドが与えられる。
-ボタン(79)を押すと、立ち位置と座り位置との両方において、シート(23)を下降させるためのコマンドが与えられる。
-ボタン(77)を押すと、台(3)の角度を小さくするためのコマンドが与えられる。
-ボタン(78)を押すと、台(3)の角度を大きくするためのコマンドが与えられる。
-ボタン(80)を、ポジション1(81)、ポジション2(82)、ポジション3(83)のいずれか一つと同時に押すと、ジョイスティックチェアの現在の位置を記憶するためのコマンドが与えられる。
-ボタン(80)を押してポジション1を記憶した後にボタン(81)を押すと、ジョイスティックチェアをポジション1に移行するためのコマンドが与えられる。
-ボタン(80)を押してポジション2を記憶した後にボタン(82)を押すと、ジョイスティックチェアをポジション2に移行するためのコマンドが与えられる。
-ボタン(80)を押してポジション3を記憶した後にボタン(83)を押すと、ジョイスティックチェアをポジション3に移行するためのコマンドが与えられる。
【0039】
2.マイクロコントローラ(30)の第2の機能は、標準的なゲームパッドコマンドを、PCまたはゲーム機にUSBポートを通じて与えることである。移動コマンドの全ての変更は、前後方向に移動のための左および右コントローラセンサ(45)(52)、左右回転のための回転センサ(28)、および、横方向の移動のための左右ストライフ制御手段(49)(56)から電圧を得るマイクロコントローラ(30)で実行される。これによって、コマンドが標準的なゲームパッドの形式または標準的なマウスおよびキーボードの入力で受け取られるから、コマンドが出力されるソフトウェアの変更の必要性がなくなる。この機能は、所有のソフトウェアを用いて変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の利用の仕方は、コマンドを有する出力信号が同一であるから、標準的なゲームパッドコントローラが適用される全てのそのような利用を含む。制御分野の利用ではすでに述べたが、本発明は、一か所で立つまたは座ることが必要とされるその他の利用においても快適な使用を可能にする。図示されたものに含まれ、その機能的な改善を達成するその他の構造的な改善または変化もまた本登録に含まれるとみなされる。
図1A
図1B
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6
図7
図8a
図8b
図8c
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22a
図22b
図22c
図23a
図23b
図24A
図24B