(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】インサート付きグリップアシスト装置
(51)【国際特許分類】
A63B 71/14 20060101AFI20220616BHJP
A41D 13/08 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
A63B71/14 Z
A41D13/08 102
(21)【出願番号】P 2021504538
(86)(22)【出願日】2018-08-02
(86)【国際出願番号】 US2018044901
(87)【国際公開番号】W WO2020027838
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】521034018
【氏名又は名称】パワー グリップス ユーエスエー,インク.
【氏名又は名称原語表記】POWER GRIPPS USA, INC.
【住所又は居所原語表記】41 Pomola Ave, Sorrento, Maine 04677 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】パーカー,マイケル エス.
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/109116(WO,A2)
【文献】米国特許第03606319(US,A)
【文献】米国特許第05581809(US,A)
【文献】特表2011-518593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 71/14
A41D 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエイトリフティングのためのグリップアシスト装置であって、使用者の親指の動きを妨げないように、少なくとも1本の指から手首関節の下まで使用者の手掌を覆うように寸法決めされており、前記手
掌は、親指脂肪体、小指脂肪体、中手骨脂肪体シリーズ、およびそれらの間の脆弱性領域からなるグリップアシスト装置において、
同じ形状と大きさの平坦な材料の第1の半体と第2の半体を、前記第1の半体と前記第2の半体が面一になるように互いに貼り合わせることによって形成されたグリップ部であって、
手指端部と、
第1
の手首端フランクおよび第2の手首端フランクから構成されている、前記手指端部とは反対側の手首端部と、
前記手首端部の前記第1の手首端フランクに隣接して配置された第1の付着エッジと、
前記手首端部の前記第2の手首端フランクに隣接して配置された第2の付着エッジと、
前記グリップアシスト装置が意図されたように前記手掌に装着されたときに、使用者の親指の動きを妨げないように、それぞれが前記第1および第2の付着エッジに近接した凹状の輪郭を有し、前記第1および第2の付着エッジと前記手指端部との間に延びる第1
の側部および第2の側部と
、
前記第1の半体と前記第2の半体との間に配置されて間隙を含むU字形インサートであって、前記U字形インサートが前記第1の半体と前記第2の半体との間に配置されたときに、
前記グリップ部は、前記
U字形インサートの前記間隙が前記第1の半体と前記第2の半体の間に配置されている位置を除く前記グリップ部のすべての位置において、前記第1の半体、前記
U字形インサート、および前記第2の半体からなる3層で構成されており、
前記グリップ部は、前記
U字形インサートの前記間隙が前記第1の半体と前記第2の半体の間に配置されている位置において、前記第1の半体と前記第2の半体からなる2層のみで構成されており、
前記グリップアシスト装置が意図されたように前記手掌に装着されたとき、前記間隙は、前記中手骨脂肪体シリーズに近接し、前記中手骨脂肪体シリーズから前記小指脂肪体および前記親指脂肪体に向かって延びる脆弱性領域の少なくとも一部の上に配置され、且つ
前記U字形インサートは、
第1のU字形外側部、
前記第1のU字形外側部とは反対側の第1のU字形内側部、および
前記第1のU字形外側部と前記第1のU字形内側部を連結する第1のU字形頂部から構成されている第1のU字形側部と、
第2のU字形外側部、
前記第2のU字形外側部とは反対側の第2のU字形内側部、および
前記第2のU字形外側部と前記第2のU字形内側部を連結する第2のU字形頂部から構成されている第2のU字形側部と、
前記第1および第2のU字形側部を連結する連結部であって、
前記第1および第2のU字形側部の前記第1および第2のU字形外側部と交差している手首端側部、
前記第1および第2のU字形側部の前記第1および第2のU字形内側部と交差している間隙側部、および
前記第1のU字形側部と前記第2のU字形側部との間に形成された前記間隙から構成されている連結部と、
を備えており、
前記グリップアシスト装置が意図されたように前記手掌に装着されたときに、
前記連結部の前記手首端側部は、前記グリップ部の前記手首端部に近接し、
前記第1のU字形外側部は、前記グリップ部の前記第1の側部の前記輪郭をなぞり、
前記第2のU字形外側部は、前記グリップ部の前記第2の側部の前記輪郭をなぞり、
前記第1および第2のU字形頂部の少なくとも一部は、前記中手骨脂肪体シリーズの少なくとも一部の上に配置されており、
前記第1および第2のU字形側部の一方の少なくとも一部は、前記小指脂肪体の少なくとも一部の上に配置されており、
前記第1および第2のU字形側部の他方の少なくとも一部は、前記親指脂肪体の少なくとも一部の上に配置されており、および
前記連結部の少なくとも一部は、前記小指脂肪体および親指脂肪体の少なくとも一部の上に配置されているU字形インサートと、
を備えるグリップ部と、
第1のストラップと第2のストラップからなる手首部であって、
前記第1のストラップと前記第2のストラップのそれぞれは、付着端部と自由端部から構成されており、
前記第1のストラップの前記付着端部は、前記グリップ部の前記第1の付着エッジから延びており、
前記第2のストラップの前記付着端部は、前記グリップ部の前記第2の付着エッジから延びている手首部と、
前記グリップアシスト装置が使用者の手首の周りに固定されるように、前記第1のストラップを前記第2のストラップに固定するための寸法および形状を有し、前記第1および第2のストラップに取り付けられた解放可能な手首ファスナーと、
を備えるグリップアシスト装置。
【請求項2】
前記グリップ部を形成する前記平坦な材料が、第1および第2の平坦な材料の面からなり、前記第1および第2の平坦な材料の面の少なくとも一方が滑り止め材料である、請求項1に記載のグリップアシスト装置。
【請求項3】
前記グリップ部の前記手指端部における前記第1の半体と前記第2の半体の間に配置されたエンドピースをさらに備える、請求項1に記載のグリップアシスト装置。
【請求項4】
前記第1の半体と前記第2の半体を互いに対して保持し、前記第1の半体と前記第2の半体との間で前記U字形インサートを所定の位置に保持するための縫い合わせをさらに含み、前記縫い合わせが、少なくとも、
前記グリップ部の前記第1の側部と前記U字形インサートの前記第1のU字形側部の前記第1のU字形外側部との間にある第1の外側区分であって、前記グリップ部の前記第1の側部の前記輪郭をなぞっており、前記第1および第2の半体のみを通って縫合される第1の外側区分と、
前記グリップ部の前記第2の側部と前記U字形インサートの前記第2のU字形側部の前記第2のU字形外側部との間にある第2の外側区分であって、前記グリップ部の前記第2の側部の前記輪郭になぞっており、前記第1および第2の半体のみを通って縫合される第2の外側区分と、
前記第1の外側区分と平行な第1の内側区分であって、前記第1の内側区分の少なくとも一部が、前記第1および第2の半体ならびに前記U字形インサートの前記第1のU字形側部の前記第1のU字形外側部を通って縫合される第1の内側区分と、
前記第2の外側区分と平行な第2の内側区分であって、前記第2の内側区分の少なくとも一部が、前記第1および第2の半体ならびに前記U字形インサートの前記第2のU字形側部の前記第2のU字形外側部を通って縫合される第2の内側区分と、
前記U字形インサートの前記第1および第2のU字形側部の前記第1および第2のU字形頂部の上方にある第1および第2の頂部区分であって、前記第1および第2の半体のみを通って縫合される第1および第2の頂部区分と、
前記第1および第2のU字形側部の前記第1および第2のU字形内側部ならびに前記U字形インサートの前記連結部の前記間隙側部に隣接する間隙画定区分であって、前記第1および第2の半体のみを通って縫合される間隙画定区分と、
を備える請求項1に記載のグリップアシスト装置。
【請求項5】
前記グリップ部の前記第1および第2の付着エッジのそれぞれが、前記手首部の前記第1のストラップおよび前記第2のストラップが、前記手首ファスナーを介して使用者の手首の周りに固定されたときに、前記第1および第2のストラップならびに前記グリップ部が、手首および手の付け根の周りに漏斗状の囲いを形成し、前記囲いが、近位端よりも遠位端において大きい開口部を有するように角度がつけられている請求項1に記載のグリップアシスト装置。
【請求項6】
前記手首部の前記第1のストラップおよび前記第2のストラップが、それぞれ実質的に長方形の形状をしている、請求項1に記載のグリップアシスト装置。
【請求項7】
前記グリップ部が、前記グリップアシスト装置が装着された人の手によって前記グリップ部が操作できるように、自己支持性を有し、手掌および指の前で延在したままになるような剛性を有するとともに、前記グリップアシスト装置が装着された人の手の少なくとも1本の指の先端のみを使用して、前記グリップ部をリフティングバーに簡単に巻き付けることができるように十分な柔軟性を有する請求項1に記載のグリップアシスト装置。
【請求項8】
前記グリップ部が、
前記手指端部と前記手首端部との間の幅狭部と、
前記幅狭部と前記手指端部との間の第1の幅広部、および
前記幅狭部と前記手首端部との間の第2の幅広部
から構成されているように、前記輪郭を有する請求項1に記載のグリップアシスト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋力トレーニングおよびウエイトリフティングの分野に関し、特に、当該分野で使用するためのグリップアシスト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
筋力トレーニングは、男女ともに広く実践されるようになった。筋力トレーニングは、それ自体がスポーツであることに加えて、サッカーやバスケットボール、野球などの他のスポーツのコンディショニングや強化運動としても活用されている。また、テニス選手のように俊敏性を重視するスポーツ選手にも筋力トレーニングは役立つことがある。
【0003】
スポーツでは、参加者の怪我を防ぐために保護具が利用される。筋力トレーニングでは、身体のすべての関節に大きな力がかかるため、保護具も必要になる。特に手首関節は、筋力トレーニング中に手がウエイトバーを使用すると、常にこのような極端な力を受けることになる。
【0004】
ウエイトリフティング中に手掌を保護することも重要である。これは、ベンチプレスのように、重量挙げ選手がウエイトを体から離して押しているウエイトリフティング運動の際には特に当てはまる。
図1は手の骨格図である。交差線部分の骨は、第1の608、第2の606、第3の604、第4の602、および第5の600中手骨からなる中手骨を形成している。手首付近の斜線部分は手根骨614である。線612、610は、それぞれ、深掌弓および浅掌弓の大まかな寸法を示している。手掌は、中手骨600~608からなる中手骨によって骨格的に形成されている。中手骨は、指骨(指の骨)と、前腕との連結部を形成する手根骨614との間に位置する手の骨格の中間部である。中手骨は、遠位の手根骨の剛性の列が固定されている横アーチを形成している。(親指608と小指600の)末梢の中手骨は、一緒にされると、掌側溝のくぼみの側面を形成し、この凹みを深める。これらの骨の上の手掌の形状は、主に深掌弓612および浅掌弓610を形成する橈骨動脈および尺骨動脈によって形成される。浅掌弓610は中手骨の約中央で頂点に達し、深掌弓612は中手骨の上の手根骨614と指骨の間の約4分の1の位置で頂点に達する。特に尺骨神経、橈骨神経および正中神経は、手掌への圧力によって影響を受ける。これらの神経に大きな圧力をかける運動によって、重量挙げ選手は手根管症候群やギヨン管症候群のような傷害や症候群の影響を受けやすくなる。
【0005】
次に、
図2を参照すると、人の手の図が提供されている。重ねて表示されているのは、親指脂肪体200、小指脂肪体202、および中手骨脂肪体シリーズ204のおおよその位置である。これらの脂肪体は、手掌を効果的に縁取る皮下脂肪沈着物である。親指脂肪体200は、親指の下に位置し、ほぼ手首まで延びている。本明細書で使用される用語「親指脂肪体」は、図示されているように位置すると理解される。中手骨脂肪体シリーズ204は、中手骨600、602、604、606(
図1に示されているように)の頂部をほとんど覆っている一連のより小さい脂肪体であって、一緒に指の下の手掌の頂部を横切って延びるものである。本明細書で使用される用語「中手骨脂肪体シリーズ」は、図示されているように位置すると理解される。小指脂肪体202は、中手骨脂肪体シリーズ204および小指の下に位置し、親指脂肪体200と同様に、ほぼ手首まで延びる。本明細書で使用される「小指脂肪体」という用語は、図示されているように位置すると理解される。これらの脂肪体200、202、204は、点線の脆弱性領域206を取り囲む。脆弱性領域206は、脂肪体200、202、204のような脂肪沈着物を含まず、したがって、手掌の残りの部分と比べて比較的保護されていない。
図1および
図2を比較すると、この脆弱性領域206は、浅掌弓および深掌弓に対応する線610、612内で定義された領域にほぼ対応する。本明細書で使用される「脆弱性領域」という用語は、脂肪体200、202、204の間に位置し、図示されるように、線610、612内で定義された領域におおよそ対応すると理解される。ウエイトリフティング、とりわけ押し動作をする間に最も怪我をしやすいのは、手掌のこの比較的保護されていない部分である。
【0006】
本発明者に発行された米国特許第5,813,950号は、重量挙げ選手の手掌を覆う柔軟なグリップ部が、重量挙げ選手がウエイトバーを握っていないときに手の自由な動きを可能にするように縫合された粘着性のある滑り止め材料で形成されているグリップアシスト装置の新規な開発を記載している。このグリップアシストは、重量挙げ選手の手首から指先まで延び、手の付け根を覆うグリップ部からなり、手首のサポートを提供する漏斗状のデザインのリストストラップに連結されている。米国特許第5,813,950号に記載されたこのグリップアシスト装置の特徴と利点としては、グリップストラップが、同じ手の指先でリフティングバーに容易に巻き付けられるように、手の前で自由に立ち上がることができることが挙げられる。上述した本発明のグリップ部は、押す運動と引っ張る運動の両方に使用することができ、手掌を摩擦から保護することができる。本発明者は、米国特許第5,813,950号に記載されたこのグリップアシスト装置が、医療分野において、整形外科のリハビリテーションおよび健康関連の応用のために大きく貢献できることを発見した。これらの用途では、任意の押し動作に対する更なる保護が望まれている。
【0007】
米国特許第5,771,901号は、手掌の形に合わせて作られたプレートであって、支持縁を有する掌弓支持体を開示している。本特許の発明は、手掌を支持することは可能であるが、筋力トレーニング中に影響を受ける可能性のある手または手首の他の部分を保護するものではなく、筋力トレーニング中に好ましいようなグリップ補助を提供するものでもない。さらに、それは特定の手に使われるものであるため、各手のために1個ずつ購入しなければならない。
【0008】
米国特許第4,374,439号は、手の周りに巻き付けられるように適合された柔軟な本体と、それを所定の位置に保持するための手首ストラップと、手掌に位置するパッドを収めるポケットとを含む、ボウラーの手首支持体を開示している。パッドは、手掌とボールの表面との間の空間を埋めることで、ボールとのより良い接触を提供し、より良い制御を可能にするものである。パッドは、ある程度の反発力を有する発泡プラスチック材料である。パッドの形状は、パッドが最も厚い部分である丸みを帯びた角の部分で、比較的直線的な2つのエッジが合流するようになっている。パッドのこの部分は、手の付け根にフィットする。パッドの円弧状のエッジは、その最小寸法まで先細りになっており、直線状の端部の一方から延びており、手首支持体が使用されているときには、手掌の指の付け根のすぐ下に位置している。円弧状エッジの他方の端部からは、手の側部に隣接する短い直線状エッジが延びており、この直線状エッジは、親指の付け根付近に延びる別の直線状エッジに接続している。本発明は、ボウリングを補助することは可能であるものの、ウエイトリフティング目的のための手掌サポートを提供するのには不向きである。具体的には、パッドの柔軟性が圧力の変化に合わせて調整されるため、バーへのグリップ力の変化が困難である。また、手掌に沿った形状であるため、特定の手に特化した形状となっている。多くのボウラーが片手しか使わないボウリングでは問題にならないが、ウエイトリフティングでは、どのグリップがどの手に使われているかを再度判断しなければならず、二人で一対を使用することができなくなる。
【0009】
米国特許第8,065,749号は、低刺激性接着剤を用いた手の保護シートを開示している。長方形のシートは、指が滑り込むための切り欠きを有して半分に折り畳まれている。本発明の側部は、親指の動きの妨げにならないために開放されている。また、本発明では、グリップ形成の際に手を湾曲させたときに素材の皺ができないように、手の付け根に切り欠きを設けている。また、本発明は、手袋の下に着用することができ、手掌の掌部に表面のシミが発生する可能性のあるあらゆる活動に使用することができる。低刺激性シートは、手、特に手掌部分を摩擦による皮膚病変から保護するが、本発明は、手の脆弱な部分を内傷や手根管症候群から保護するものではない。
【0010】
米国特許第6,154,882号は、激しい衝撃時に手および腕の怪我のリスクおよび影響を軽減することを意図した保護装置を開示している。この装置は、ナックルプロテクターとグリップ要素という2つの要素から構成されている。グリップ要素は、手掌側部に配置されており、本発明は、いくつかの設計を支持している。米国特許第6,154,882号のグリップ部のデザインの全ては、落下時に屈曲可能でスライド可能な動きのための層を利用した材料を含んでいる。すべての設計は、衝撃時に手がグリップ部の周りを握るように促す。グリップ部の設計のすべては、転倒時、すなわちスキー事故時に、手がグリップ位置にある場合、前腕、手首、手の小骨または指の怪我の危険性が実質的に低減されるという同じ理解に基づいている。本発明は、転倒による重い衝撃から使用者を保護するものでありながら、押し動作のための怪我を防止し、強度を増進するための整形外科的治療を補助するものではない。
【0011】
米国特許第4,546,495号は、ウエイトリフティングでプレスが行われるときに使用するために、手の付け根から手掌の内側に向かって延びる先細りのくさびを含むウエイトリフティング用グローブ器具を開示している。本発明のくさびは、手がバーをグリップするときに手と一緒に曲線を描くか、または曲がるように、ある程度柔軟である。このくさびは、手の付け根から手掌に向かって上方に延びる一般的に平坦な基部を含む。基部の2つの端部の間には、くさびの外周を描く、丸みを帯びたエッジがある。くさびの頂部または上部は、一般的に滑らかに連続した凹部である。くさびには、基部から遠位端に向かって外向きに延びる、滑らかに連続した先細りの凸状の底部がある。遠位端は、基部から離れている。くさびの厚さは、基部の最大値から遠位端部の最小値まで変化する。凹状の頂部と凸状の底部は、基部から遠位端に向かって互いに先細りがあるが、互いに幾分平行であり、また、凹状の頂部と凸状の底部は共に遠位端に向かって先細りがある。本特許のくさびは、ウエイトリフティング向けのものであるが、依然として欠点がある。具体的には、圧力の変化に応じて柔軟性が変化するため、バーへのグリップの変更が困難である。また、手の比較的大きな面積をカバーし、手にフィットするように設計されているため、特定の手に特化した形状となり、それぞれの手に合ったものを購入しなければならない。
【0012】
どちらの手にも装着することができる手の装置に関する先行技術がある。例えば、米国特許第6,102,880号は、手掌に沿って延び、ポケット内で補強部材を受ける可撓性基部を有し、右手または左手のいずれかに装着することが可能な軽量手首装具を開示している。この手首装具は、用途によっては有用であるが、ウエイトリフティングには不向きである。具体的には、手首の動きを抑制することを目的として設計されたものであるが、ウエイトリフティングの際には、手首の動きをフルに使えることが望ましい。また、手のごく一部しか保護しないため、ウエイトリフティングの影響を受ける可能性のある手の多くの部位を露出させることになる。また、手の周りに巻き付けられ、手の背側領域を横切って互いに接続される2つのハンドストラップを含むので、自由なグリップがウエイトリフティングにおいて非常に重要であるにもかかわらず、それは手のグリップ動作を不当に制限する可能性がある。
【0013】
米国特許第5,620,399号は、手で対象物をしっかりとグリップするためのグリッピングスリーブを開示している。このグリッピングスリーブは、しっかりとグリップするかまたはしがみつくための材料で形成されたプレートから形成されており、このプレートは、連結ウェブによってリストバンドに接続されている。このグリップスリーブは、プレートが手掌に位置するように、リストバンドを使用者の手首に装着することができる。好ましくは、このプレートは、円の形状をしている。この発明は、握力補助を提供することができ、いずれの手にも装着することができるが、欠点もある。それは、プレート自体の範囲を超える、追加的な手掌の支持を提供しないことである。狭いウェブのみが手の基部を覆い、手の基部の大部分が露出したままになり、炎症および/または怪我を起こしやすい。
【0014】
Mah(以下「Mah」という)に対する米国特許5,581,809号は、着用者の手に使用するために、手背部、手掌部、および手背部と手掌部との間から遠位に突出した複数のデジタルシースを有する保護手袋を開示している。保護手袋は、衝撃を吸収するための複数の柔軟で弾力性のあるパッドを提供し、そのような複数の柔軟で弾力性のあるパッドが、手の屈曲時にエッジ接触関係で互いに隣接し、手の中手骨領域を覆う、実質的に連続した折り目のない衝撃吸収層を形成するように、互いに間隔をおいて重ならない位置関係で、また、近位手指皮線、遠位手掌横断皮線、および長手方向に延びる母指球皮線に隣接し、実質的に重ならない位置関係で手袋の手掌部上に配置される。したがって、この手袋は、手掌への衝撃を吸収するように設計されており、手掌の特定の部分への圧力を完全に回避するためには設計されていない。この手袋はまた、弾力性のあるパッドが手掌の皮線を越えてはならないが、手が屈曲したときにパッドが手掌の皮線の中に折り込まれるように、それぞれの手掌皮線の周りに特別に配置されていることを具体的に教示している。
【0015】
Mahによれば、第6欄の43~45行目には、「弾力性のあるパッド34、46、48、50、52は、手掌部24と裏地64との間に保持されている」と記載されている。このように、Mahのパッドのうちの1つがどこに配置された場合でも、パッド自体、掌側部、および裏地の3つの層が存在するわけである。これらのパッドのうちのいくつかは、
図2に示すように、脆弱性領域206の上に配置されている。Mahのパッドは実質的にその手掌部を覆っており、手掌部は、パッドが配置されている少なくとも3つの層を含む。
【0016】
Mahの手根骨パッド34は、少なくとも緩やかなU字形であるインサートである。この緩やかなU字形の手根骨パッドの頂部は、中手骨脂肪体シリーズ204の近くのどこにも配置されていない。Mahは、その頂部が中手骨脂肪体シリーズの上に配置されるために上方に伸びるように、その手根骨パッド34を修正することから遠ざかることを教示している。Mahは、「本発明の改良は...複数の可撓性手段の位置決めおよび構成にある...(これらの可撓性手段は)手の主要な皮線に隣接しながら、実質的には重ならないように間隔をおいて配置されている」[強調は筆者により付加、Mah、第4欄、第9-19行目]と強調している。Mahは、様々なパッドが様々な手掌皮線の周りに特別に配置されているので、手が屈曲しているとき、パッドは手掌皮線の中に折り込まれると説明している[Mah、第4欄,第47行目-第5欄,第20行目]。Mahの手根骨パッド34が、その緩やかなU字形の手根骨パッドの頂部が中手骨脂肪体シリーズの上に配置されるように、手掌の上まで十分に伸びるためには、手根骨パッドは手のいくつかの皮線に重ならなければならないであろうが、Mahはそうしないように教示している。
【0017】
注目すべき点は、Mahの三日月形の弾力性のある手根骨パッド34が、緩やかなU字形のインサートの頂部が中手骨脂肪体の上に配置されるように、手袋の中でより高い位置に配置されていた場合、パッドが手掌の皮線に重ならないようにというMahの教示に適合するために、パッドの連結部が手首端部に近接して配置されることはないだろうということである。前記の議論は、使用者の手の大きさに関係なく有効である。すべての手には、中手骨脂肪体シリーズと手首部との間に手掌の皮線があり、Mahは、それらの手掌の皮線が重ならないことを常に要求する。
【0018】
Mahが開示しているのは手袋であるため、Mahの手掌部にはエッジがない。Mahの手掌部は、手掌の周りならびに指の上方および指の間に延びているので、Mahの手掌部には、構造的な切り落としやエッジがない。さらに、Mahの手袋が使用者の手の周りをすべて包み込むので、掌側部のいずれの側のエッジの輪郭取りを含むこともできない。というのは、Mahの手袋にはそのようなエッジがないためである。
【0019】
したがって、どちらの手にも装着でき、掌の保護を含み、ウエイトリフティング中に影響を受ける手の部分を適切に保護し、手のグリップ運動を不当に制限しない、グリップ補助装置が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、整形外科のリハビリテーション分野で促進されるあらゆる押し動作のために、手の脆弱性領域を保護するアーチサポートインサートを内蔵したグリップアシスト装置である。本発明の好ましいグリップアシスト装置は、手首部から延びるグリップ部と、解放可能な手首ファスナーとを含む。米国特許第8,581,950号および米国特許出願第12/660,856号に開示された本発明者の関連発明は、参照により本明細書に組み込まれている。当業者は、本明細書では論じられていないが、これらの開示の各々で論じられている、いくつかの点または詳細が、本発明に適用可能であることを認識するであろう。
【課題を解決するための手段】
【0021】
好ましいグリップアシスト装置は、意図されたように装着されたときに、少なくとも手掌を覆うグリップ部と、グリップ部に取り付けられた手首部とを含む。手首部は、ストラップと、手首部を使用者の手首の周りに固定するための固定手段とを含み、それによって、それに取り付けられたグリップ部が使用者の手によって保持されることを可能にする。好ましいグリップ部は、少なくとも2つの半体または層で形成されている。好ましいグリップアシスト装置のグリップ部は、好ましくは、第1の対称性の線に沿って折り畳まれた単一の平板状の材料で作られている。しかしながら、このグリップ部は、2つの半体の間に1つ以上のインサートが含まれていてもよい場合を除き、互いに面一になるように貼着された2つの別々の材料片で作られていてもよいことが理解される。好ましいグリップアシスト装置のグリップ部は、手首端部のストラップを取り付けるための、頂部にある手指端部、手指端部とは反対側の手首端部と、手首端部近傍の付着エッジと、手指端部と付着エッジとの間の第1の側部および第2の側部とを有している。
【0022】
好ましいグリップアシスト装置のグリップ部はまた、2つの半体の間に挿入されたアーチサポート構造であるインサートを含み、ここでインサートは間隙を含む。このインサートが2つの半体の間に配置されると、それによって、そのグリップ部は、間隙を除いてどこにおいても3つの層を有するようになり、間隙では、グリップ部は依然として2層のみを有することになる。この間隙は、使用者がグリップアシスト装置を装着したときに使用者の手の脆弱性領域を覆うように、インサート内に配置される。グリップアシスト装置が装着されたときに、間隙が使用者の手の脆弱性領域の少なくとも一部を覆うように配置され、また、インサートが使用者の手の親指脂肪体、小指脂肪体、および中手骨脂肪体シリーズの少なくとも一部を覆うように配置されている限り、インサートは、どのような形状であってもよい。この形状は、上述したように中間部の間隙が適切に配置されている限り、例えば、丸みを帯びたまたは長方形のドーナツ状のいずれであってもよい。また、このインサートは、間隙を挟んで平行な短冊状の2本のインサートであってもよく、この短冊状のインサートは、グリップアシスト装置が装着されたときに脆弱性領域の上下または脆弱性領域のいずれか一方の側に配置されている。当業者は、脆弱性領域の上に間隙を形成するために、インサートが多数の形状および構成を有していてもよいことを認識するであろう。
【0023】
しかしながら、2つの半体の間に配置されるインサートがU字形であることが好ましい。U字形インサートは、親指脂肪体、小指脂肪体、および中手骨脂肪体シリーズの少なくとも一部を覆う。U字形インサートの2つの側部間の間隙は、前記グリップアシスト装置が意図されたように手の手掌部分に装着されたときに、前記中手骨脂肪体シリーズに近接し、前記中手骨脂肪体シリーズから小指脂肪体および親指脂肪体に向かって延びる脆弱性領域を覆っている。U字形インサートの追加支持体は、あらゆる押し動作の間に追加の圧力を受け、脆弱性領域が押されているバーと接触しないようにすることで、脆弱性領域へのストレスや怪我を防止し、制限されない血液循環を促進する。
【0024】
前記U字形インサートは、前記グリップ部の第1の側部に近い第1のU字形側部と、前記グリップ部の第2の側部に近い第2のU字形側部と、前記第1のU字形側部と前記第2のU字形側部とを連結し、前記グリップ部の手首端部に近い位置にある連結部とを有している。前記U字形インサートが配置されている場合には、前記グリップ部は、前記U字形インサートと前記2つの半体との、少なくとも3つの層を有している。第1のU字形側部と第2のU字形側部との間には、グリップ部が2つの層、すなわち2つの半体だけの層を有する間隙がある。U字形インサートは、グリップアシスト装置が装着されたときに、U字形インサートが親指脂肪体、小指脂肪体、および中手骨脂肪体シリーズの少なくとも一部を覆うように、グリップ部に配置されている。間隙は、脆弱性領域を覆う。U字形インサートの追加支持体は、リフティング中に追加の圧力を受け、脆弱性領域がリフティングバーと接触しないようにすることによって、脆弱性領域へのストレスや怪我を防止する。U字形インサートは、小指脂肪体、親指脂肪体、中手骨脂肪体シリーズを強化してサポートすることで、手掌にかかる圧力が脆弱性領域に接触しないようにする。
【0025】
アーチサポートインサートを内蔵したグリップアシスト装置は、治療的リハビリテーションに適している。グリップ部が滑り止め材料で作られ、材料の2つの半体の間にあるグリップ部の手指端部にエンドピースが含まれていることが好ましい。本発明のグリップ部の第1および第2の付着エッジは、手首部のための第1および第2のストラップが手首ファスナーを介して使用者の手首の周りに固定されたときに、第1および第2のストラップおよびグリップ部が手首および手の付け根の周りに漏斗状の囲いを形成するように角度が付けられており、ここで、囲いは、その遠位端において近位端よりも大きい開口部を有している。手首部の第1および第2のストラップは、実質的に長方形である。なお、「実質的に」とは、ここでは、角が完全な直角ではなく、丸みを帯びていてもよいことを意味する。本発明のグリップアシスト装置のストラップを手首の周りに固定するための手段は、第1のストラップの端部にリングを含み、第2のストラップにフックおよびループ型ファスナーの区分を含むことが好ましく、これにより、第2のストラップは、第1のストラップのフックに通され、その後、そのフックおよびループ型ファスナーの区分を介してそれ自身に固定されてもよい。グリップアシスト装置のグリップ部は、自己支持性を有し、使用者の掌および指の前で延在したままであるような剛性を有し、それが装着されている手そのものによって操作されることを可能にする。グリップアシスト装置のグリップ部は、それ自体が容易に棒に巻き付けられ、グリップアシスト装置のグリップ区分を形成する2つの半体が、それらを縫い合わせることによって固定されるように、十分に柔軟である。
【0026】
請求項のグリップアシスト装置のためのU字形の内蔵されたアーチサポート構造インサートは、いかなる押し動作に対しても、使用者の手掌の脆弱性領域を保護し、それにより、使用者を怪我や手根管症候群から保護し、使用者がそれ以上怪我をしないように注意しながら上半身の筋肉を鍛えなければならない整形外科治療においては有用である。なお、医師によるいくつかの研究もあり、この内蔵されたアーチサポートインサートが、手首や手の怪我から回復する患者に対して肯定的な結果をもたらしたことが認められている。U字形の内蔵されたアーチサポートは、小指脂肪体、親指脂肪体および中手骨脂肪体を造ることによって手掌の脆弱な領域を保護する、しっかりした柔軟な材料で作られている。さらに、前記内蔵されたアーチサポートは、正中神経への圧迫を防止することにより、循環を促進する。
【0027】
好ましい実施形態では、グリップアシスト装置は対称的であり、したがって、左右のどちらの手にも装着可能である。この好ましい実施形態では、互いに面一になるように貼られた半体または層のそれぞれは、第2の対称性の線を有する。グリップアシスト装置が左右のどちらの手にも装着可能にするのはこの第2の対称性の線である。第1の側部および第2の側部は、いずれか一方の側部で親指が移動可能にするための鏡像輪郭を含む。
【0028】
グリップ部は、滑り止め材料で作られていることが好ましい。材料の2つの半体の間にある好ましいグリップアシスト装置のグリップ部の手指端部には、エンドピースが含まれていることが好ましい。好ましいグリップアシスト装置のグリップ部の第1および第2の付着エッジは、手首部の第1および第2のストラップが手首ファスナーを介して使用者の手首の周りに固定されたときに、第1および第2のストラップおよびグリップ部が手首および手の付け根の周りに漏斗状の囲いを形成するように角度が付けられていることが好ましく、ここで、囲いは近位端よりも遠位端において大きい開口部を有している。手首部の第1および第2のストラップは、実質的に長方形であることが好ましい。ここでいう「実質的に」とは、角が完全な直角ではなく、丸みを帯びていてもよいことを意味する。好ましいグリップアシスト装置のストラップを手首の周りに固定するための手段は、第1のストラップの端部にリングを含み、第2のストラップにフックおよびループ型ファスナーの区分を含むことが好ましく、これにより、第2のストラップは、第1のストラップのフックに通され、その後、そのフックおよびループ型ファスナー区分を介してそれ自身に固定されることができる。好ましいグリップアシスト装置のグリップ部は、自己支持性を有し、それが装着されている手そのものによって操作されることを可能にするために、使用者の掌および指の前で延在したままとなるような剛性を有することが好ましい。さらに、好ましいグリップアシスト装置のグリップ部は、それが装着されている手の指の先端のみを使用して、それ自体がリフティングバーに容易に巻き付けられることを可能にするような、十分な柔軟性を有することが好ましい。また、好ましいグリップアシスト装置のグリップ部を形成する2つの半体の材料は、縫い合わせることによって固定されていることが好ましい。また、前記縫い合わせは、U字形インサートを所定の位置に保持し、間隙の境目を定義するのに役立つことが好ましい。
【0029】
グリップアシスト装置の代替的な実施形態では、グリップ部は、ウエイトリフティング用グローブに一体化されている。そのような実施形態では、手首部は除去され、使用者の掌および各指の少なくとも一部を覆うような形状および寸法を有する、柔軟性のある材料で作られた手袋に置き換えられる。他のすべての実施形態と同様に、グリップ部は、意図されたように着用されたときに少なくとも手掌を覆い、材料の2つの層と、これらの層に配置されたインサートとを含む。
【0030】
いくつかのそのような実施形態では、使用者の掌を覆う手袋材料は、グリップ部の第1の層を形成し、前記インサートは、親指脂肪体、小指脂肪体、および中手骨脂肪体シリーズの少なくとも一部を覆うように、この層の上に配置され、なお、グリップアシスト装置が着用されたときにグリップ部の外層を形成する別個の層の材料によって手袋材料に固定される。しかしながら、他の実施形態では、前記グリップ部は、その間の所望の位置にインサートと一緒に固定される2つの別個の層を含み、このグリップ部は、使用者の掌を覆う手袋材料に固定される。
【0031】
グリップアシスト装置は、手首と手のサポートを提供することによって重量挙げ選手のグリップを強化するように設計されている。柔軟なグリップ部は、手掌を覆って保護する。グリップ部は、多くの場合、半分に折り畳まれた対称的な材料の一片で作られている。手首ストラップは、グリップ材料の基部に接続され、手首のサポートを提供する。好ましいグリップアシスト装置のグリップ部はまた、グリップ材料の2つの半体の間に挿入されたアーチサポート構造を含む。グリップ部の2つの半体の間に配置された内蔵のアーチサポートインサートは、U字形であることが好ましい。内蔵のアーチサポートインサートは、使用者の掌の脆弱性領域に追加の保護を提供する。内蔵のアーチサポートインサートは、重量が均等に分散され、使用者の掌の脆弱性領域が押されているバーとは接触しないように、任意の押し動作の間にも追加の圧力を受けることになるので、脆弱性領域へのストレスおよび怪我を防ぐことができる。本発明のU字形アーチサポートインサートは、一般的に理学療法における治療的用途のために設計されてもよい。
【0032】
アーチサポートインサートは、グリップアシスト装置に使用され、使用者を怪我や手根管症候群の発症から保護する。本発明は、例えば、整形外科のリハビリテーションで促進される押し動作に適用可能である。手掌の脆弱性領域に直接圧迫を伴う任意の押し動作は、手根管症候群の発症に寄与し得る。長時間の押圧は、正中神経を圧迫し、血流を低下させることになる。
【0033】
好ましいグリップアシスト装置のU字形アーチサポートインサートは、親指と小指のすぐ下に見られる屈筋と外転筋の密度を増進することによって設計されている。手の側部を強化することにより、U字形インサートはアーチサポートとして機能し、手掌の脆弱性領域に直接圧力がかかるのを防ぎ、それにより、制限を受けない血液循環と正中神経の保護につながる。
【0034】
整形外科のリハビリテーションでは、押し動作は、使用者の上半身の強度を増進するために、多くの場合、ウエイトバーを含むであろう。好ましいグリップアシスト装置のU字形インサートは、バランスを取り、手全体に均等に体重を分散させ、使用者が従来の握りこぶしを握った状態ではなく、自然に手を伸ばした状態に保つことを可能にする独自のアーチサポートを生み出す。手を開いた状態で、グリップしない位置にすることで、ウエイトバーを手の下の方に置き、手首に近づけることができる。この手の位置は、前腕の骨の上にウエイトバーを置くことで、ウエイトを押しやすくし、したがって、力の伝達を向上させる。U字形アーチサポートのユニークなデザインによって、使用者の手掌の側部が強化され、スペースが作り出され、ウエイトバーの圧力を偏向させ脆弱性領域から離れさせ、これにより、正中神経を保護する。U字形アーチサポートインサートに内蔵されたアーチサポートは、正中神経を保護し、手への制限を受けない血液循環を可能にするとともに、脆弱な手根管領域の上でウエイトバーを運ぶ「橋のような構造」になる。
【0035】
好ましい手袋は、ハーフフィンガーデザインのウエイトリフティング用グローブであって、少なくとも部分的には通気性のある材料から作られているものである。しかしながら、いくつかの実施形態では、前記手袋は、作業または寒冷地での使用に適応されたホイルフィンガーデザインのものである。
【0036】
したがって、本発明の目的は、使用者の手掌の脆弱性領域を保護し、手根管症候群から防護し、怪我を防止するアーチサポート構造を有するグリップアシスト装置を提供することである。
【0037】
本発明のさらなる目的は、任意の押し動作を実行する際に、使用者の手掌の中手骨領域をさらに保護することを提供することである。
【0038】
本発明のさらに別の目的は、任意の押し動作を行う際に、尺骨神経、橈骨神経、および正中神経の保護を提供し、それによって、使用者の手首から指先への血液循環を促進することである。
【0039】
本発明のこれらの側面は、排他的であることを意図したものではなく、本発明の他の特徴、側面、および利点は、以下の説明および添付の図面と併せて読めば、当業者には容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図2】
図2は、手の脂肪体のおおよその位置を描いた人の手の斜視図である。
【
図3A】
図3Aは、本発明のグリップアシスト装置の正面透視図である。
【
図4】
図4は、グリップ部を展開した状態の図である。
【
図5】
図5は、グリップ部を手の上に重ね合わせた図である。
【
図6】
図6は、グリップ部の縫い合わせの詳細図である。
【
図7】
図7は、本発明のグリップアシスト装置の漏斗状の開口部を示す等角図である。
【
図8A】
図8Aは、本発明のグリップアシスト装置をバーと使用者の手の間に挟んで、バーをゆるく握っている人の手の正面図である。
【
図8B】
図8Bは、使用者の手と本発明のグリップアシスト装置との間にバーがある状態で、バーをゆるく保持している人の手の正面図である。
【
図9A】
図9Aは、
図8Bに示されているような本発明のグリップアシスト装置の手指端部をバーの周りで手に向かって屈曲させた人の手の側面図である。
【
図9B】
図9Bは、
図9Aに示されているような本発明のグリップアシスト装置をグリップしている人の手の透視図である。
【
図10】
図10は、グリップ部が人の手に装着されたウエイトリフティング用グローブに組み込まれている、本発明の別の実施形態の正面図である。
【
図11A】
図11Aは、2層の材料を接着して、インサートをその間に挟むことによって形成されたグリップ部の組立図である。
【
図11B】
図11Bは、2層の材料を接着して、インサートをその間に挟むことによって形成されたグリップ部の分解非組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
最初に
図3Aを参照すると、本発明を実施するための最良の形態であると本発明者が考えるものを具現化した本発明の好ましいグリップアシスト装置10が描かれている。好ましいグリップアシスト装置10は、グリップ部12、手首部28、および手首ファスナー36を含む。示された実施形態が好ましい実施形態であることは理解されるが、示されたすべての特徴が、本発明の基本的な実施形態に必要なものであるわけではない。
【0042】
グリップ部12は、親指の動きを妨げることなく、指から手首関節の下まで人の手を覆うように寸法決めされている。グリップ部12は、グリップアシスト装置10が装着されている手の指だけで簡単にリフティングバーに巻き付けられるように、十分に柔軟であるが、好ましくは、グリップアシスト装置10が装着されている手によって操作されていない場合には、自己支持性があり、掌および指の前で延在したままになるような剛性を有している。
【0043】
図3Aの好ましい実施形態では、グリップ部12は、手指端部18、手首端部70、第1の付着エッジ72、第2の付着エッジ74、第1の側部76、および第2の側部78を含む。手指端部18、第1の側部76、および第2の側部78はまた、第1、第2、および第3のグリップ部エッジ706、708、710としてラベル付けされる。これは、これらがグリップ部12のエッジであること、すなわち、グリップ部12がこれらのエッジ706、708、710よりもさらに延びてはおらず、これらのエッジ706、708、710において他の構造には接続されていないことを示す。手袋は、その性質上、手の周りをすべて包み込むことから、どのような種類の手袋であっても、そのようなエッジを含まないであろうことは注目すべきである。手指端部18および手首端部70は、それぞれ、グリップ部12の頂部および底部において互いに対向している。手首端部70は、第1のストラップ30に向かう側に第1の手首端フランク500を有し、第2のストラップ31に向かう側に第2の手首端フランク502を有する。第1および第2の手首端フランク500、502は、手首端部70のいずれかの側を示すことが理解される。「フランク」は、この文脈では、「側部」の同義語として使用されているが、本発明者は、自ら用語を創り出す者として、本明細書の他の文脈で使用される「側部」という単語との混同を避けるために、ここでは「フランク」を使用することを選択した。第1および第2の付着エッジ72、74は、手首端部70の第1および第2の手首端フランク500、502に隣接して配置されている。第1および第2の側部76、78は、手指端部18と第1および第2の付着エッジ72、74との間に延びている。第1および第2の側部76、78はそれぞれ、使用者の親指を収容する輪郭形成部16を含む。凹状の輪郭形成部16は、第1および第2の側部76、78における幅狭部702、幅狭部702と手指端部18との間の第1の幅広部700、および幅狭部702と手首端部70との間の第2の幅広部704をもたらす。以下でより詳細に論じられるように、第1および第2の付着エッジ72、74は、第1および第2のストラップ30、31がグリップ部12から延びるところである。
【0044】
いずれかの手に装着されてもよい実施形態では、グリップ部12は、第2の対称性の線14を含む。第2の対称性の線14は、グリップ部12を見ることで容易に明らかになるような構造ではなく、むしろ、グリップ部12の全長に渡る架空の線である。グリップ部12の対称性は、好ましいグリップアシスト装置10を左右のいずれかの手に装着することを可能にする。グリップ部12の平面を通る対称性も含めて、第2の対称性の線14に沿った少なくとも2つの対称性があることが理解されるが、本明細書で使用されるように、「第2の対称性の線」とは、第2の対称性の線14に沿ってグリップ部12を折り畳む場合に明らかになる対称性のみを指すことが理解される。グリップ部12の「第1の」特徴が右側に示され、グリップ部12の「第2の」特徴が左側に示されているが、グリップ部12が対称であり、グリップ部12のすべての「第1の」特徴および「第2の」特徴が、第2の対称性の線14を挟んで他の部の鏡像であることから、これらの指定は任意であることがさらに理解されよう。
【0045】
グリップ部12は、
図3Bに詳細に示されているように、U字形インサート80を含む。U字形インサート80は、本発明の好ましい形状のインサートであるが、グリップアシスト装置10の着用者の脆弱性領域の少なくとも一部の上に配置される間隙104を含む、任意のインサートでも十分であることが理解されよう。U字形インサート80は、グリップ部12の半体71、73(
図4に最も明確に示されている)の間に配置されている。U字形インサート80は、第1および第2のU字形側部82、90を含み、それぞれが、U字形外側部84、92;U字形内側部86、94;およびU字形頂部88、96を含む。第1および第2のU字形側部82、90は、グリップ部12の手首端部70に近い手首端側部100と、間隙104に近い間隙側部102とを有する連結部98によって連結されている。手首端側部100は、第1および第2のU字形側部82、90のU字形外側部84、92を連結する。間隙側部102は、第1および第2のU字形側部82、90のU字形内側部86、94を連結する。間隙104は、第1および第2のU字形側部82、90と連結部98との間の空間である。第1および第2のU字形外側部84、92は、グリップ部12の第1および第2の側部76、78の凹状の輪郭16をなぞるように輪郭付けされている。第1および第2のU字形側部82、90および連結部98は、U字形インサート80が半体71、73の間に配置されたときに、グリップ部12が第1および第2のU字形側部82、90および連結部98において3層の材料を含むように、U字形インサート80を形成する。間隙104において、グリップ部12は、2層の材料、すなわち半体71、73のみを含む。
【0046】
グリップ部12は、使用者の指を覆うグリップ部12の端部である手指端部18を含む。エンドピース20は、好ましいグリップ部12の手指端部18に配置されている。エンドピース20は、好ましくは剛性でありながら可撓性であり、好ましくは長方形である。エンドピース20は、本技術分野で一般的に使用されている任意の手段によってグリップ部12内に配置されるが、好ましくは、エンドピース20の周囲を縫い合わせ、接着剤を使用して所定の位置に貼着することによってグリップ部12の層間に保持される。しかしながら、
図4を参照して以下に論じるように、本発明の成形された実施形態では、エンドピース20は、グリップ部12と一体的に成形されている。
【0047】
グリップアシスト装置10が使用されているとき、手首部28は、使用者の手首の周りに固定的かつ解放可能に巻き付けられる。手首部28は、好ましくは長方形の形状をしている第1および第2のストラップ30、31を含む。第1のストラップ30は、自由端部34と、グリップ部12の第1の付着エッジ72に取り付けられた付着端部32とを有する。第2のストラップ31は、自由端部35と、グリップ部12の第2の付着エッジ74に取り付けられた付着端部33を有する。ストラップ付着端部32、33は、本技術分野で一般的に使用されている任意の手段によって付着エッジ72、74に取り付けられてもよいが、好ましくは、付着エッジ72、74において、グリップ部12の半体71、73の間にストラップ付着端部32、33を挿入し、そしてストラップ付着端部32、33を縫い合わせや接着剤、または他の粘着手段によって付着させることによって取り付けられる。
【0048】
ストラップ30、31は、好ましくは約120°の角度Aでグリップ部12に取り付けられる。しかしながら、角度Aは、使用者の手に応じて、120°より大きくてもよく、または120°より小さくてもよい。角度Aは、使用者の手に最適にフィットし、左右のいずれかの手に快適にフィットするようにカスタマイズされてもよい。好ましい実施形態では、ストラップ30、31は同一ではないが、グリップ部12の対称性のため、ストラップ30もストラップ31も、付着エッジ72、74のどちらに取り付けられてもよい。好ましい実施形態では、ストラップ30、31は、使用者の快適性のためにクッションパッド38を含む。クッションパッド38は、好ましくは、低摩擦の織物で覆われた発泡ゴムで形成される。これは、発泡ゴムの上を覆う織物が、ストラップ30、31がクッションパッド38の上を滑ることを可能にし、発泡ゴムをグリップすることを防止するために好ましい。
【0049】
ストラップ30、31はまた、手首部28を使用者の手首の周りに固定するための手首ファスナー36を含む。手首ファスナー36は、好ましくは、第1のストラップ30の一方のストラップ自由端部34にリング44を含む第1の区分42を含む。手首ファスナー36はまた、好ましくは、第2のストラップ31に第2の区分46を含み、この第2の区分46は、手首部28を固定するためにリング44を介して挿入されてもよい。第2の区分46は、好ましくは、第2の区分46が配置されている第2のストラップ31がリング44を通して挿入されたときに、第1の長さ48と第2の長さ50とが結合されて解放可能に固定されてもよいように、ループ型ファスナーの第1の長さ48とフック型ファスナーの第2の長さ50とを含む。
【0050】
次に、
図4を参照して、折り畳まれる前の好ましいグリップ部12が図示されている。グリップ部12は、好ましくは、グリップ部12が、使用中に滑り回るのではなく、使用者の掌に付着することを可能にするために、ベトベトと粘着性を持った表面を提供するクロロブチルゴムといった、滑り止め片の材料40で作られている。材料40は、第1の平坦な材料の面504と第2の平坦な材料の面とを含み、第2の平坦な材料の面は、面504の反対側の面であり、したがって、観察者からすれば、背面を向いていることが理解される。材料40の小片は、少なくとも材料40が折り畳まれたときに外側に向く側に滑り止めが施されている。すなわち、折り畳まれてそれ自体と面一になる材料40の面は、滑り止め材料であってもよいし、そうでなくてもよいが、外側に面していて使用者の手および/またはバー66と接触する側(
図8Aおよび
図8Bに示されているように)は、好ましくは滑り止め材料である。グリップ部12は、好ましくは、適切な寸法および形状の滑り止め材料の2つの層71、73を一緒に接着することによって形成され、なお、好ましくは、第1の対称性の線41に沿って滑り止め材料40の1つの部分の上に折り重ねて、2つの半体71、73を一緒に縫合することによって形成される。第1の平坦な材料の面504が第1の第1の対称性の線41に沿って折り畳まれると、層71、73の両方が外側を向いてしまい、第2の平坦な材料の面はそれ自体を向いて、見えなくなってしまうことになる。このようなシナリオでは、外を向いている第1の平坦な材料の面504は、好ましくは滑り止めである。しかし、一実施形態では、材料は、少なくとも滑り止めグリップ部12の形状に成形された、ウレタン、成形ゴムなどの成形可能な材料である。第1の対称性の線41に沿って折り畳まれたとき、グリップ部12は、グリップアシスト装置10が装着された人の手によってグリップ部12が操作されることを可能にするために、自己支持性を有し、掌および指の前で延在したままになるような剛性を有する。このような剛性にもかかわらず、グリップ部12は、それ自体が指の先端のみを使用してリフティングバー66に容易に巻き付けられることを可能にするのに十分な柔軟性を有する。
【0051】
次に、
図5を参照すると、グリップ部12は、手の上に重ねて示されている。明確にするために、手首部28は、
図5には含まれていないが、
図3Aに示されているように存在すると理解される。U字形インサート80は、半体71、73の間に配置されていることが理解されるが、グリップ部12内での位置を示すために概略的に示されている。
図2と
図5を比較すると、グリップ部12が意図されたように手掌に置かれたとき、以下の4点が明らかである:(1)第1および第2のU型頂部88、96の少なくとも一部が中手骨脂肪体シリーズ204の少なくとも一部の上に配置される。(2)第1のU字形側部82の少なくとも一部が小指脂肪体202の少なくとも一部の上に配置される。(3)第2のU字形側部90の少なくとも一部が親指脂肪体200の少なくとも一部の上に配置される。(4)連結部98の少なくとも一部が小指脂肪体202および親指脂肪体200の両方の少なくとも一部の上に配置される。ここでも、U字形インサート80を含むグリップ部12が第2の対称性の線14に沿って対称であることから、親指脂肪体200または小指脂肪体202の上に配置されるのが、第1または第2のU字形側部82、90のいずれであるかは任意である。さらに、重要なことに、間隙104の少なくとも一部は、脆弱性領域206の少なくとも一部の上に配置されている。U字形インサート80の様々な部分にかかるこれらの配置によって、より多くの圧力は、手のより脂肪の多い部分、すなわち親指脂肪体200、小指脂肪体202、および中手骨脂肪体シリーズ204に確実にかかるように確保される。U字形インサート80によって補強された領域によって囲まれた間隙104は、バー66が脆弱性領域206に接触するのを防ぎ、それによって、手のこの保護されていない、クッション性のない部分への圧力を排除し、怪我を防止する。
【0052】
今、
図6を参照すると、好ましい縫い合わせ106が図示されている。縫い合わせ106は、半体71、73を互いに確実に固定するための好ましい方法である。接着剤または他の粘着手段のような他の一般的に使用される貼付方法も使用され得る。グリップ部12が単一の成形片である実施形態では、そのような貼付は必要ない。
図6において、グリップ部12の周囲を除いて、実線は、縫い合わせ106の線を示す。点線は、第2の対称性の線14、エンドピース20の位置、U字形インサート80の位置、ならびに第1および第2のストラップ30、31を示す。縫い合わせ106は、少なくとも第1の外側区分108、第2の外側区分110、第1の内側区分112、第2の内側区分114、第1の頂部区分116、第2の頂部区分118、および間隙画定区分120を含む。示されているように、第1および第2の外側区分108、110が下方に延びて、グリップ部12の手首端部70の近辺で会合し、ストラップ30、31を第1および第2の付着エッジ72、74に固定するための縫い合わせをさらに含むことも好ましい。第1および第2の外側区分108、110は、グリップ部12の第1および第2の側部76、78の凹状の輪郭16に沿っており、手指端部18に向かって上向きに延び、第1および第2の付着エッジ72、74および手首端部70に向かって下向きに延びている。第1の外側区分108は、グリップ部12の第1の側部76とU字形インサート80の第1のU字形外側部84との間にある。したがって、第1の外側区分108は、第1および第2の半体71、73のみを通って縫合されている。第2の外側区分110は、グリップ部12の第2の側部78とU字形インサート80の第2のU字形外側部92との間にある。したがって、第2の外側区分110は、第1および第2の半体71、73のみを通って縫合されている。第1の内側区分112は、U字形インサート80の第1のU字形外側部84の内側にある。したがって、第1の内側区分112は、U字形インサート80、ならびに、第1および第2の半体71、73を通って縫合されている。第2の内側区分114は、U字形インサート80の第2のU字形外側部92の内側にある。したがって、第2の内側区分114は、U字形インサート80、ならびに、第1および第2の半体71、73を通って縫合されている。第1および第2の頂部区分116、118は、それぞれ第1および第2のU字形頂部88、96のすぐ上に縫合されており、したがって、第1および第2の半体71、73のみを通って縫合されている。最後に、間隙画定区分120は、間隙104内で第1のU字形内側部86、間隙側部102、および第2のU字形内側部94に沿っており、したがって、間隙画定区分120もまた、第1および第2の半体71、73のみを通って縫合されている。縫合部108~120の組み合わせ、特に、他のすべての区分が半体71、73のみを貫通しているのに対して、U字形インサート80および半体71、73を貫通している第1および第2の内側部分112、114は、U字形インサート80を所定の位置に保持し、半体71、73を互いに確実に保持し、間隙104を明確に規定することができる。
【0053】
次に、
図7を参照すると、ストラップ30、31は、角度A(
図3Aに示す)でグリップ部12に取り付けられているため、それらが互いに取り付けられたときに漏斗状の開口部60を形成する。漏斗状の開口部60は、筋力トレーニング中にしっかりとしたサポートを提供するために、使用者の手首をつかむ役割を果たす。漏斗状の開口部60は、使用者の手の付け根の周りに配置された遠位端62と、使用者の手首の周りに配置された近位端64とを有する。遠位端62が近位端64よりも大きいことから、手の付け根の擦れが防止される。さらに、漏斗状の開口部60は、その性質上、グリップアシスト装置10が使用者の手首にしっかりと取り付けられることを可能にしながら、使用者の手の中での血液循環が制限されることを防止する。漏斗状の開口部60を手の付け根の周りに配置することは、グリップアシスト装置が引っ張り運動の間に使用される場合に好ましいことに留意されたい。しかしながら、押し運動を行うときには、漏斗状の開口部60は、好ましくは、使用者の手首の周りに配置され、手首の支持を提供するために締め付けられる。
【0054】
次に、
図8Aおよび8Bを参照すると、グリップアシスト装置10でバーをゆるく握っている人の手の正面図が提供されている。
図8Aでは、グリップ部12は、バー66と使用者の手68との間にある。
図8Bでは、バー66は、グリップ部12と使用者の手68との間にある。このように、使用者は、グリップアシスト装置10の使用を、自分にとって最も快適なものにカスタマイズすることができる。特に、
図8Aに示された使用は、ベンチプレスまたはチェストプレスのような押し運動に対してより快適かもしれない。
図8Bに示された使用は、チンアップまたはラットプルダウンのような引張運動に対しては、より快適であるかもしれない。
【0055】
次に、
図9Aおよび9Bを参照すると、
図8Bによる使用の進行が提供される。
図9Bでは、グリップ部12の手指端部18をバー66の周りで手68に向かって屈曲させている人の手68の側面図が提供されている。
図9Bにおいて、
図9Aに示された位置の後に、バー66の周りのグリップ部12をグリップしている人の手68の透視図が提供される。バー66と手68との間にグリップ部12を有する
図9Aに示された使用から開始して、同様の使用の進行が起こり得ることが理解される。言い換えれば、使用者は、
図8Aによって示唆されたように、グリップ部12が手68から離れて屈曲した状態でバー66をグリップするか、または
図9Aおよび9Bに示されたように、手68に向かって屈曲した状態でバー66をグリップするかの選択肢を有する。
【0056】
ここで
図10を参照すると、グリップ部12がウエイトリフティング用グローブ300に一体化されている本発明の代替的な実施形態が示されている。このような実施形態では、他の実施形態の手首部は除去され、使用者の掌および各指の少なくとも一部を覆うような形状および寸法を有する可撓性材料で作られたグローブ300に置き換えられる。
図10の実施形態では、手袋は
【0057】
図10の実施形態では、使用者の手掌を覆う手袋材料302は、グリップ部12の第1の層を形成し、インサート80は、グリップ部12内でのその位置を示すために輪郭が描かれており、手袋材料302のこの層の上に配置され、外層43によって前記の層上の位置に固定されている。
図2と
図10を比較すると、グローブ300が着用されるときに、グリップ部12が掌の上方に配置されることにより、以下のことが明らかになる:(1)第1および第2のU字形頂部88、96の少なくとも一部が中手骨脂肪体シリーズ204の少なくとも一部の上方に配置される。(2)第1のU字形側部82の少なくとも一部は小指脂肪体202の少なくとも一部の上に配置される。(3)第2のU字形側部90の少なくとも一部は、親指脂肪体200の少なくとも一部の上に配置される。(4)連結部98の少なくとも一部は、小指脂肪体202および親指脂肪体200の両方の少なくとも一部の上に配置される、および(5)間隙104の少なくとも一部は、脆弱性領域206の少なくとも一部の上に配置されている。U字形インサート80の様々な部分のこれらの配置は、より多くの圧力が手のより脂肪の多い部分、すなわち親指脂肪体200、小指脂肪体202、および中手骨脂肪体シリーズ204上に確実にかかるように確保される。U字形インサート80によって補強された領域によって囲まれた間隙104は、バー66が脆弱性領域206に接触するのを防ぎ、それによって、手のこの保護されていない、クッション性のない部分への圧力を排除し、怪我を防止する。
【0058】
次に、
図11Aおよび1IBを参照すると、グリップ部12がウエイトリフティング用グローブ300に一体化されているいくつかの実施形態では、グリップ部12は、適切な寸法および形状の滑り止め材料の2つの層71、73を、その間に配置されたインサート80と共に接着することによって形成されている。
図11Bに示されているように、外層73は、それがインサート80の上に巻き付けられて内層71に固定されることを可能にするために、より広いシート状の材料から製造される。いったん固定されると、グリップ部12は、
図10に示された位置で手袋材料302に取り付けられる。
図10および
図11Aは、U字形インサート80を示していることに留意されたい。しかしながら、本明細書に開示されたインサート形状のいずれでも、同様の結果を達成するために代用されることができることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0059】
前述の説明から明らかなように、本発明は、産業界での利用が可能なアーチサポートインサートを内蔵したグリップアシスト装置である。本発明のグリップアシスト装置の製造方法およびその使用方法は、上記の説明から容易に理解できよう。本発明は、その特定の好ましい形態を参照してかなり詳細に説明されてきたが、他の形態は、当業者であれば容易に明らかになるであろう。したがって、本明細書の趣旨および特許請求の範囲は、本明細書に含まれる好ましい形態の説明に限定されるべきではない。