(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】振動計の洗浄及び洗浄状態の検出
(51)【国際特許分類】
G01F 1/84 20060101AFI20220616BHJP
G01F 15/12 20060101ALI20220616BHJP
G01F 25/10 20220101ALI20220616BHJP
G01N 9/00 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
G01F1/84
G01F15/12
G01F25/10 Q
G01N9/00 D
(21)【出願番号】P 2021516675
(86)(22)【出願日】2018-10-08
(86)【国際出願番号】 US2018054844
(87)【国際公開番号】W WO2020076284
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】500205770
【氏名又は名称】マイクロ モーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドロスト, ティモシー エム.
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特許第4050900(JP,B2)
【文献】特許第4664973(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F
G01N
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動計(5)内の導管を洗浄するように構成されたメータ電子機器(20)であって、
メータ電子機器(20)に通信可能に結合されたメータアセンブリ(10)に駆動信号を供給し、メータアセンブリ(10)から1つまたは複数の
ピックオフ信号を受信するように構成されたインターフェース(201)と、
前記インターフェース(201)に通信可能に結合された処理システム(202)とを備え、
該処理システム(202)は、
前記駆動信号及び/または前記1つまたは複数の受信
ピックオフ信号からパラメータを決定し、該パラメータに基づいて、
メータアセンブリ(10)の不洗浄状態を検出し、洗浄モードに入ることと、
メータアセンブリ(10)の洗浄状態を検出し、非洗浄モードに入ること
の少なくとも1つを実行するように構成される、メータ電子機器(20)。
【請求項2】
前記処理システム(202)は更に、
パラメータの値がパラメータのベースライン値から実質的に逸脱する場合、不洗浄状態を検出し、
パラメータの値がパラメータのベースライン値に実質的に等しい場合、洗浄状態を検出するように構成され、
前記ベースライン値は、振動計(5)の以前に決定された洗浄状態に関連付けられる、請求項1に記載のメータ電子機器(20)。
【請求項3】
前記処理システム(202)の洗浄モードは、洗浄ルーチンを実行するように構成され、
該洗浄ルーチンは、
供給された前記駆動信号及び/または前記受信された1つまたは複数のピックオフ信号のパラメータの値を決定することと、
パラメータの値をパラメータのベースライン値と比較することと、
比較に基づいて不洗浄状態を検出することとを反復的且つ繰り返し実行することを含む、請求項1に記載のメータ電子機器(20)。
【請求項4】
前記処理システム(202)は更に、メータ電子機器(20)が洗浄モードにある間、メータアセンブリ(10)の洗浄状態を検出し、洗浄状態が検出された場合、非洗浄モードに入るように構成された、請求項1に記載のメータ電子機器(20)。
【請求項5】
洗浄モードに入るように構成された処理システム(202)は、処理システム(202)の洗浄モードを示す洗浄モード信号を経路(26)を介して送るように構成された、請求項1に記載のメータ電子機器(20)。
【請求項6】
前記駆動信号は、共振成分と、少なくとも1つの非共振成分とを含み、
前記1つ又は複数の
ピックオフ信号は、少なくとも1つの成分を含み、前記少なくとも1つの成分は、前記駆動信号の前記少なくとも1つの非共振成分に対応し、
前記パラメータは、前記駆動信号の前記少なくとも1つの非共振成分と、前記駆動信号の前記少なくとも1つの非共振成分に対応する前記少なくとも1つの成分とから決定され、
前記パラメータは、前記メータアセンブリ(10)の剛性、質量、及び導管(130、130')の減衰のうちの1つである、請求項1に記載のメータ電子機器(20)。
【請求項7】
受信された1つまたは複数の
ピックオフ信号は、右側ピックオフ信号及び左側ピックオフ信号のうちの少なくとも1つから構成され、前記パラメータは、右側ピックオフ信号及び左側ピックオフ信号のうちの1つに関連付けられる、請求項1に記載のメータ電子機器(20)。
【請求項8】
前記駆動信号及び/または前記1つまたは複数の
ピックオフ信号から決定されるパラメータは、1つまたは複数の
ピックオフ信号の駆動ゲインと、メータアセンブリの共振周波数とのうちの1つを含む、請求項1に記載のメータ電子機器(20)。
【請求項9】
振動計の導管を洗浄する方法であって、
メータアセンブリに駆動信号を供給するステップと、
前記メータアセンブリから1つまたは複数の
ピックオフ信号を受信するステップと、
処理システムを使用して
前記駆動信号及び/または前記1つまたは複数の受信
ピックオフ信号のパラメータを決定するステップとを含み、
パラメータに基づいて、
メータアセンブリの不洗浄な状態を検出し、処理システムを洗浄モードに設定するステップと、
メータアセンブリの洗浄状態を検出し、処理システムを非洗浄モードに設定するステップとの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項10】
不洗浄状態は、パラメータの値がパラメータのベースライン値から実質的に逸脱する場合に検出され、
洗浄状態は、パラメータの値がパラメータのベースライン値に実質的に等しい場合に検出され、
ベースライン値は、振動計の以前に決定された洗浄状態に関連付けられる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
洗浄モードは、洗浄ルーチンを含み、該洗浄ルーチンは、
前記駆動信号及び/または前記受信された1つまたは複数のピックオフ信号のパラメータの値を決定するステップと、
パラメータの値をパラメータのベースライン値と比較するステップと、
比較に基づいて未洗浄条件を検出するステップとを反復的に繰り返し実行する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
更に、洗浄モードにある間、メータアセンブリの洗浄状態を検出するステップと、
洗浄状態が検出されると、非洗浄モードに入るステップとを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
処理システムを洗浄モードに設定するステップは、処理システムが、処理システムの洗浄モードを示す信号を経路を介して送るステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記駆動信号は、共振成分と、少なくとも1つの非共振成分とを含み、
前記1つ又は複数の
ピックオフ信号は、少なくとも1つの成分を含み、前記少なくとも1つの成分は、前記駆動信号の前記少なくとも1つの非共振成分に対応し、
前記パラメータは、前記駆動信号の前記少なくとも1つの非共振成分と、前記駆動信号の前記少なくとも1つの非共振成分に対応する前記少なくとも1つの成分とから決定され、
前記パラメータは、前記メータアセンブリの剛性、質量、及び導管の減衰のうちの1つである、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
受信された1つまたは複数の
ピックオフ信号は、右側ピックオフ信号及び左側ピックオフ信号のうちの少なくとも1つから構成され、パラメータは、右側ピックオフ信号及び左側ピックオフ信号のうちの1つに関連付けられる、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記駆動信号及び/または前記1つまたは複数の
ピックオフ信号から決定されるパラメータは、1つまたは複数の
ピックオフ信号の駆動ゲインと、メータアセンブリの共振周波数とを含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に記載される実施形態は、振動計の洗浄に関し、より詳細には、振動計の洗浄及び洗浄状態の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、振動式デンシトメータ及びコリオリ流量計のような振動式センサは一般に知られており、流量計内の導管を通って流れる物質の質量流量及び他の情報を測定するために使用される。例示的なコリオリ流量計は、全てがJ.E.Smithらに帰属する米国特許第4,109,524号、米国特許第4,491,025号、及び再特許31,450号に開示されており、これらの流量計は、真っ直ぐなまたは湾曲した構成の1つまたは複数の導管を有する。コリオリ質量流量計における各導管構成は、例えば、単純な曲げ、ねじり、または結合型であってもよい一組の固有振動モードを有する。各導管は、好ましいモードで振動するように駆動される。
【0003】
流量計の入口側の接続されたパイプラインから流量計に材料が流れ込み、導管を通って導かれ、流量計の出口側を通って流量計から出る。振動系の固有振動モードは、導管の結合質量と導管内を流れる材料によって部分的に定義される。
【0004】
流量計を通る流れがない場合、導管に印加される駆動力により、導管に沿った全ての点が、同じ位相、またはゼロ流量で測定される時間遅延である小さな「ゼロオフセット」で振動される。材料が流量計を通って流れ始めると、コリオリの力により、導管に沿った各点は異なる位相を持つ。例えば、流量計の入口端部の位相は、中央駆動位置での位相より遅れ、その一方、出口端部の位相は、中央駆動位置での位相より進む。導管上のピックオフは、導管の運動を表す正弦波信号を生成する。ピックオフから出力された信号は、ピックオフ間の時間遅延を決定するために処理される。2つ以上のピックオフ間の時間遅延は、導管を流れる材料の質量流量に比例する。
【0005】
ドライバに接続されたメータ電子機器は、駆動信号を生成して、ドライバを動作させ、ピックオフから受け取った信号から材料の質量流量及び他の特性を決定する。ドライバは、多くの周知の構成のうちの1つを備えることができるが、磁石及び対向する駆動コイルは、流量計の業界にて大きな成功を収めた。導管を所望の振幅及び周波数で振動させるために、交流電流が駆動コイルに流される。このピックオフを、ドライバ装置の構成と非常に類似した磁石及びコイルの構成として提供することも、当該技術分野で公知である。しかしながら、ドライバは、動作を誘発する電流を受けている間、ピックオフは、ドライバによって提供される動作を使用して電圧を誘発することができる。ピックオフによって測定される時間遅延の大きさは非常に小さく、しばしばナノ秒で測定される。従って、トランスデューサ出力が非常に正確であることが必要である。
【0006】
しかし、振動計における不明な条件は、トランスデューサの精度に影響を及ぼす可能性がある。例えば、振動計内のコーティング(被覆)は、ピックオフ間の時間遅延を変化させる可能性がある。その結果、流量計で測定される特性が不正確になる場合がある。さらに、コーティングが検出されず、洗浄プロセスが実行されない場合、流量計による不正確な測定値も同様に検出されないことがある。さらに、洗浄プロセスが実行されるとき、流量計はオフラインであり、それによって、流量計が使用されるシステムにおいてダウンタイム(休止時間)を引き起こす。このダウンタイムは、使用者が洗浄プロセスを停止する必要があるなど、手動による介入が必要なために、不必要に長くなることがある。従って、振動計において洗浄し、洗浄状態を検出するニーズがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
振動計内の導管を洗浄するように構成されたメータ電子機器が提供される。一実施形態によると、メータ電子機器は、メータ電子機器に通信可能に結合されたメータアセンブリに駆動信号を供給し、メータアセンブリから1つまたは複数のセンサ信号を受信するように構成されたインタフェースと、インタフェースに通信可能に結合された処理システムとを備える。一実施形態によれば、処理システムは、受信された1つまたは複数のセンサ信号からパラメータを決定し、該パラメータに基づいて、メータアセンブリの不洗浄状態を検出し、洗浄モードに入り、メータアセンブリの洗浄状態を検出し、非洗浄モードに入ることの少なくとも1つを実行するように構成される。
【0008】
振動計における導管の洗浄方法が提供される。一実施形態によれば、この方法は、メータアセンブリに駆動信号を供給するステップと、メータアセンブリから1つまたは複数のセンサ信号を受信するステップと、処理システムを使用して1つまたは複数の受信したセンサ信号のパラメータを決定するステップとを含む。本実施形態によれば、本方法はまた、パラメータに基づいて、メータアセンブリの不洗浄状態を検出し、処理システムを洗浄モードに設定するステップと、メータアセンブリの洗浄状態を検出し、処理システムを非洗浄モードに設定するステップの少なくとも1つを含む。
【0009】
態様
一態様によればメータ電子機器(20)は、振動計(5)内の導管を洗浄するように構成され、メータ電子機器(20)に通信可能に結合されたメータアセンブリ(10)に駆動信号を供給し、メータアセンブリ(10)から1つまたは複数のセンサ信号を受信するように構成されたインターフェース(201)と、インターフェース(201)に通信可能に結合された処理システム(202)とを備える。処理システム(202)は、1つまたは複数の受信センサ信号からパラメータを決定するように構成される。処理システム(202)は、さらに、パラメータに基づいて、メータアセンブリ(10)の不洗浄状態を検出し、洗浄モードに入り、メータアセンブリ(10)の洗浄状態を検出し、非洗浄モードに入ることの少なくとも1つを実行するように構成される。
【0010】
好ましくは、処理システム(202)は更に、パラメータの値がパラメータのベースライン値から実質的に逸脱する場合、不洗浄状態を検出し、パラメータの値がパラメータのベースライン値に実質的に等しい場合、洗浄状態を検出するように構成される。ベースライン値は、振動計(5)の以前に決定された洗浄状態に関連付けられる。
【0011】
好ましくは、処理システム(202)の洗浄モードは、洗浄ルーチンを実行するように構成された処理システム(202)を含む。洗浄ルーチンは、受信された1つまたは複数のピックオフ信号のパラメータの値を決定することと、パラメータの値をパラメータのベースライン値と比較することと、比較に基づいて不洗浄状態を検出することを反復的且つ繰り返し実行することを含む。
【0012】
好ましくは、処理システム(202)は更に、メータ電子機器(20)が洗浄モードにある間、メータアセンブリ(10)の洗浄状態を検出するように構成され、洗浄状態が検出された場合、非洗浄モードに入る。
好ましくは、洗浄モードに入るように構成された処理システム(202)は、処理システム(202)の洗浄モードを示す洗浄モード信号を経路(26)を介して送るように構成された処理システム(202)を含む。
【0013】
前記駆動信号は、共振成分と、少なくとも1つの非共振成分とを含み、前記1つ又は複数のセンサ信号は、少なくとも1つの成分を含み、前記少なくとも1つの成分は、前記駆動信号の前記少なくとも1つの非共振成分に対応し、前記パラメータは、前記駆動信号の前記少なくとも1つの非共振成分と、前記駆動信号の前記少なくとも1つの非共振成分に対応する前記少なくとも1つの成分とから決定され、前記パラメータは、前記メータアセンブリ(10)の剛性、質量、及び導管(130、130')の減衰のうちの1つであることが好ましい。
【0014】
好ましくは、受信された1つまたは複数のセンサ信号は、右側ピックオフ信号及び左側ピックオフ信号のうちの少なくとも1つから構成され、パラメータは、右側ピックオフ信号及び左側ピックオフ信号のうちの1つに関連付けられる。
好ましくは、1つまたは複数のセンサ信号から決定されるパラメータは、1つまたは複数のセンサ信号の駆動ゲインと、メータアセンブリの共振周波数とのうちの1つを含む。
【0015】
一態様によれば、振動計の導管を洗浄する方法は、メータアセンブリに駆動信号を供給するステップと、メータアセンブリから1つまたは複数のセンサ信号を受信するステップと、処理システムを使用して1つまたは複数の受信センサ信号のパラメータを決定するステップとを含む。この方法はまた、パラメータに基づいて、メータアセンブリの不洗浄な状態を検出し、処理システムを洗浄モードに設定するステップと、メータアセンブリの洗浄状態を検出し、処理システムを非洗浄モードに設定するステップとの少なくとも1つを含む。
【0016】
好ましくは、不洗浄状態は、パラメータの値がパラメータのベースライン値から実質的に逸脱する場合に検出され、洗浄状態は、パラメータの値がパラメータのベースライン値に実質的に等しい場合に検出される。ベースライン値は、振動計の以前に決定された洗浄状態に関連付けられる。
好ましくは、洗浄モードは、受信された1つまたは複数のピックオフ信号のパラメータの値を決定するステップと、パラメータの値をパラメータのベースライン値と比較するステップと、比較に基づいて未洗浄条件を検出するステップとを反復的に繰り返し実行する洗浄ルーチンを含む。
【0017】
好ましくは、本方法は更に、洗浄モードにある間、メータアセンブリの洗浄状態を検出するステップと、洗浄状態が検出されると、非洗浄モードに入るステップとを含む。
好ましくは、処理システムを洗浄モードに設定するステップは、処理システムが、処理システムの洗浄モードを示す信号を経路を介して送るステップを含む。
【0018】
前記駆動信号は、共振成分と、少なくとも1つの非共振成分とを含み、前記1つ又は複数のセンサ信号は、少なくとも1つの成分を含み、前記少なくとも1つの成分は、前記駆動信号の前記少なくとも1つの非共振成分に対応し、前記パラメータは、前記駆動信号の前記少なくとも1つの非共振成分と、前記駆動信号の前記少なくとも1つの非共振成分に対応する前記少なくとも1つの成分とから決定され、前記パラメータは、前記メータアセンブリの導管の剛性、質量、及び減衰のうちの1つであることが好ましい。
【0019】
好ましくは、受信された1つまたは複数のセンサ信号は、右側ピックオフ信号及び左側ピックオフ信号のうちの少なくとも1つから構成され、パラメータは、右側ピックオフ信号及び左側ピックオフ信号のうちの1つに関連付けられる。
好ましくは、1つまたは複数のセンサ信号から決定されるパラメータは、1つまたは複数のセンサ信号の駆動ゲインと、メータアセンブリの共振周波数とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
全ての図面において、同じ符号は同じ要素を表す。図面は必ずしも縮尺通りではないことを理解されたい。
【
図2】振動計において洗浄し、洗浄状態を検出するためのメータ電子機器20を示す。
【
図3】振動計における不洗浄状態の検出を示すグラフ300を示す。
【
図4】振動計において洗浄状態を検出する方法400を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1乃至
図5及び以下の説明は、振動計の洗浄及び振動計における洗浄状態の検出の実施形態の最良の形態をどのように作成し、使用するかを当業者に教示するための特定の例を示す。本発明の原理を教示する目的で、一部の従来の態様が単純化又は省略されている。当業者は、本明細書の範囲内に含まれるこれらの例からの変形例を理解するであろう。当業者であれば、以下に説明する特徴を様々な方法で組み合わせて、振動計の洗浄及び洗浄状態の検出の複数の変形形態を形成することができることを理解するであろう。結果として、以下に記載される実施形態は、以下に記載される特定の例に限定されず、特許請求の範囲及びそれらの均等物によってのみ限定される。
【0022】
図1は、振動計5を示す。
図1に示すように、振動計5は、メータアセンブリ10及びメータ電子機器20を備える。メータアセンブリ10は、プロセス材料の質量流量及び密度に応答する。メータ電子機器20は、センサ信号線100を介してメータアセンブリ10に接続され、密度、質量流量、経路26上の温度情報及び/又は他の情報を提供する。
【0023】
メータアセンブリ10は、一対のマニホールド150及び150'、フランジネック110及び110'を有するフランジ103及び103'、一対の平行な導管130及び130'、ドライバ180、抵抗温度検出器(RTD)190、及び一対のピックオフセンサ170l及び170rを含む。導管130及び130'は、2つの大凡直線状の入口脚部131、131'及び出口脚部134、134'を有し、両脚部は、導管取付けブロック120及び120'で互いに向かって収束する。導管130、130'は、それらの長さに沿って2つの対称位置で曲がり、それらの長さ全体にわたって本質的に平行である。ブレースバー140及び140'は、各導管130、130'がその周りで振動する軸W及びW'を規定する役割を果たす。導管130、130'の脚部131、131'及び134、134'は、導管取付けブロック120及び120'に固定的に取り付けられ、これらのブロックは、次に、マニホールド150及び150'に固定的に取り付けられる。これは、メータアセンブリ10を通る連続的な閉鎖材料経路を提供する。
【0024】
穴102及び102'を有するフランジ103及び103'が、入口端部104及び出口端部104'を介して、測定されるべきプロセス材料を運ぶプロセスライン(図示せず)に接続されると、材料は、フランジ103のオリフィス101を通って流量計の入口端部104に入り、マニホールド150を通って、表面121を有する導管取付けブロック120に導かれる。マニホールド150内で、材料は分割され、導管130、130'を通って送られる。導管130、130'を出ると、プロセス材料は、表面121'及びマニホールド150'を有するブロック120'内で単一の流れに再結合され、その後、穴102'を有するフランジ103'によってプロセスライン(図示せず)に接続された出口端部104'に送られる。
【0025】
導管130、130'は、曲げ軸W-W及びW′-W′の周りにて実質的に同じ質量分布、慣性モーメント及びヤング率を有するように選択され、導管取付けブロック120、120'に適切に取り付けられる。これらの曲げ軸は、ブレースバー140、140'を通る。導管のヤング率が温度によって変化するほど、この変化は、流れ及び密度の計算に影響を与え、RTD190は導管130'に取り付けられて、導管130'の温度を連続的に測定する。導管130'の温度、及び導管を通過する所与の電流に対してRTD190を通って現れる電圧は、導管130'を通過する材料の温度によって支配される。RTD190の両端に現れる温度依存性の電圧は、導管の温度のあらゆる変化による導管130、130'の弾性係数の変化を補償するために、メータ電子機器20による周知の方法で使用される。RTD190は、リード線195によってメータ電子機器20に接続される。
【0026】
両導管130、130'は、夫々の曲げ軸W及びW'を中心として、反対方向にドライバ180によって駆動される、これは流量計の第1位相外れ曲げモードと呼ばれる。このドライバ180は、導管130'に取り付けられた磁石及び導管130に取り付けられた対向コイルのような多くの周知の構成のいずれか1つを含み、対向コイルを通って、両導管130、130'を振動させるために交流電流が通される。適切な駆動信号が、リード線185を介して、メータ電子機器20によってドライバ180に印加される。
【0027】
メータ電子機器20は、リード線195上のRTD温度信号、及び左右のセンサ信号165l、165rをそれぞれ搬送するセンサ信号線100上に現れる左右のセンサ信号を受信する。メータ電子機器20は、ドライバ180へのリード線185に現れる駆動信号を生成し、導管130、130'を振動させる。メータ電子機器20は、左右のセンサ信号及びRTD信号を処理して、メータアセンブリ10を通過する材料の質量流量及び密度を計算する。この情報は、他の情報と共に、信号として経路26を介してメータ電子機器20によって印加される。
【0028】
以下の方程式に従って質量流量測定
【数1A】
を生成することができる。
【数1】
【0029】
Δt項は、ピックオフセンサ信号間に存在する時間遅延を含む、動作的に導出された(即ち、測定された)時間遅延値を含み、この場合、時間遅延は、振動計5を通る質量流量に関連するコリオリ効果によるものである。測定されたΔt項は、最終的に、振動計5を通って流れる流れ材料の質量流量を決定する。Δt0項は、ゼロ流れ較正定数における時間遅延を含む。Δt0項は、一般的には工場で決定され、振動計5内にプログラムされる。流れ状態が変化している場合でも、ゼロ流れΔt0項での時間遅延は変化しない。流量較正係数FCFは、流量計の剛性に比例する。
【0030】
導管が経時的に変化することが問題であり、ここで、導管130、130'が腐食されるか、浸食されるか、または他の方法で変化するにつれて、初期の工場較正が経時的に変化し得る。結果として、導管130、130'の剛性は、振動計5の寿命にわたって、初期の代表剛性値(または元の測定された剛性値)から変化する。メータ検証は、以下に説明するように、導管130、130'の剛性のこのような変化を検出することができる。
【0031】
図2は、振動計において振動計を洗浄し、洗浄状態を検出するためのメータ電子機器20を示す。メータ電子機器20は、インターフェース201及び処理システム202を含むことができる。メータ電子機器20は、例えば、メータアセンブリ10から振動応答を受け取る。メータ電子機器20は、メータアセンブリ10を流れる流れ材料の流量特性を得るために、振動応答を処理する。
【0032】
以前に記載したように、流量較正係数FCFは、流管の材料特性及び断面特性を反映する。流量計を通って流れる流れ材料の質量流量は、測定された時間遅延(又は位相差/周波数)に流量較正係数FCFを乗じることによって決定される。流量較正係数FCFは、メータアセンブリの剛性特性に関連付けることができる。メータアセンブリの剛性特性が変わると、流量較正係数FCFも変わる。従って、流量計の剛性の変化は、流量計によって生成される流量測定値の精度に影響を及ぼすことになる。
【0033】
インターフェース201は、
図1のセンサ信号線100を介してピックオフセンサ170l、170rのうちの1つから振動応答を受信する。インターフェース201は、フォーマット、増幅、バッファリングなどの任意の方法など、任意の必要なまたは所望の信号調整を実行することができる。あるいは、信号調整の一部または全部を処理システム202で行うことができる。更に、インターフェース201は、メータ電子機器20と外部装置との間の通信を可能にすることができる。インターフェース201は、電子的、光学的、または無線通信の任意の方法が可能であり得る。インターフェース201は、振動応答に基づいて情報を提供することができる。
【0034】
一実施形態におけるインターフェース201は、デジタイザ(図示せず)と連結され、ここで、センサ信号はアナログセンサ信号を含む。デジタイザは、アナログ振動応答をサンプリングし、デジタル化し、デジタル振動応答を生成する。
処理システム202は、メータ電子機器20の動作を行い、メータアセンブリ10からの流量測定値を処理する。処理システム202は、1つまたは複数の処理ルーチンを実行し、それによって、1つまたは複数の流れ特性を生成するために流量測定値を処理する。処理システム202は、インターフェース201に通信可能に結合され、情報を受信するように構成される。
【0035】
処理システム202は、汎用コンピュータ、マイクロ処理システム、論理回路、又は他の何らかの汎用またはカスタマイズされた処理デバイスを備えることができる。追加的に又は代替的に、処理システム202は、複数の処理装置に分散させることができる。処理システム202はまた、記憶システム204のような、任意の方法の一体型または独立型の電子記憶媒体を含むことができる。
【0036】
記憶システム204は、メータ検証パラメータなどのパラメータ、及びデータ、ソフトウェアルーチン、定数値、及び変数値を記憶することができる。記憶される値は、測定値、ベースライン(基準)値等であってもよい。ベースライン値は、工場較正ルーチンなどの間など、測定値の前に決定された値であってもよい。しかしながら、任意の適切なベースライン値を使用することができる。一実施形態では、記憶システム204は、振動計5の動作ルーチン210及び検証ルーチン220など、処理システム202によって実行されるルーチンを含む。振動計5の検証ルーチン220は、測定値をベースライン値と比較することを含むことができる。検証ルーチン220は、振動計5内の導管の洗浄状態及び/又は不洗浄状態を検出することができる。記憶システムは、標準偏差、信頼区間などの統計値を記憶することもできる。
【0037】
上記の如く、検証ルーチン220は、パラメータの測定値とパラメータのベースライン値とを比較することを含む。例えば、測定値がベースライン値から実質的に逸脱している場合、振動計の洗浄されていない状態などの故障状態を検出することができる。測定値がパラメータのベースライン値に実質的に等しい場合、洗浄状態などの非故障状態を検出することができる。ベースライン値が、以前に決定された洗浄状態に関連付けられる場合、検出された故障状態は、洗浄でない状態であってもよく、検出された非故障状態は、洗浄状態であってもよい。パラメータは、検証ルーチン220中に使用することができる任意のものであってもよい。
【0038】
例えば、
図2に示されるパラメータに加えて、またはその代わりに、パラメータは、検証ルーチン220中に使用される駆動ゲインであってもよい。駆動ゲインは、コリオリ力を正確に測定するために、1つまたは複数の導管を所望の振幅に振動させるのに必要な電圧の量を測定する。「洗浄された」振動計は、動作時に安定した比較的低い駆動ゲイン値(例えば、10%未満)を有することができる。導管のコーティングは、所望の振幅を維持するために、より多くの電圧、すなわち駆動ゲインを必要とする不均衡を生成する。流量計が適切に洗浄されると、駆動ゲインは、安定化しコーティング前の値に戻ることができる。検証ルーチン220は、ベースライン駆動ゲイン及び測定された駆動ゲインを単独で、または、例えば、
図2に示されるような他のパラメータと共に、使用してもしなくてもよく、これは以下でより詳細に説明される。
【0039】
記憶システム204は、ベースラインメータ剛性値230を記憶することができる。ベースラインメータ剛性値230は、振動計5の製造又は較正中、又は以前の再較正中に決定することができる。例えば、ベースラインメータ剛性値230は、振動計5が現場に設置される前に、検証ルーチン220によって決定することができる。ベースラインメータ剛性値230は、浸食/腐食、損傷(例えば、凍結、過剰加圧など)、コーティングなどのような変化が生じる前の導管130、130'の剛性を表す。ベースラインメータ剛性値230は、複数のベースラインメータ剛性測定値の平均であってもよい。従って、ベースラインメータ剛性値230は、以下でより詳細に説明するように、関連する分散特性を有することができ、ベースラインメータ剛性測定値は変化し得る。ベースラインメータの剛性測定値が大きく変化するほど、分散は大きくなる。
【0040】
記憶システム204は、メータ剛性値232を記憶することができる。メータ剛性値232は、振動計5の動作中に生成される振動応答から決定される剛性値を含む。メータ剛性値232は、振動計5の適切な動作を確認するために生成されてもよい。メータ剛性値232は、検証プロセスのために生成することができ、ここで、メータ剛性値232は、振動計5の適切で正確な動作を検証する目的を果たす。ベースラインメータ剛性値230と同様に、メータ剛性値232は、複数のメータ剛性測定値の平均であってもよい。そのように、メータ剛性値232は、関連する分散特性を有してもよく、そこでは、メータ剛性測定値が変化する。メータ剛性測定値がばらつくほど、ばらつき特性は大きくなる。
【0041】
記憶システム204は、剛性変化値234を記憶することができる。剛性変化値234は、ベースラインメータ剛性値230とメータ剛性値232とを比較することによって決定される値とすることができる。例えば、剛性変化値234は、ベースラインメータ剛性値230とメータ剛性値232との間の差であってもよい。この例では、負の数は、流量計が現場に設置されてから、導管130、130'の剛性が増加したことを示す。正の数は、ベースラインメータ剛性値230が決定されたので、導管130、130'の物理的剛性が減少したことを示す。
【0042】
理解され得るように、比較は、様々な方法で実行され得る。例えば、剛性変化値234は、メータ剛性値232とベースラインメータ剛性値230との間の差であってもよい。従って、剛性の増加は正の数をもたらし、剛性の減少は負の数をもたらす。これに加えて、又はこれに代えて、導管の幾何学的形状、寸法等の他の値を用いる比率のような、ベースラインメータ剛性値230及び/又はメータ剛性値232から導出されるか、又はこれらに関連する値を採用することができる。
【0043】
メータ剛性値232がベースラインメータ剛性値230と実質的に同じである場合、振動計5、またはより具体的には導管130、130'は、製造時、較正時、または振動計5が最後に再較正された時から、比較的変化しない可能性があると決定される。あるいは、メータ剛性値232がベースラインメータ剛性値230と著しく異なる場合、導管130、130'が、腐食、腐食、破損(例えば、凍結、過剰加圧など)、コーティング、または他の状態によって変化した場合など、導管130、130'が劣化しており、正確かつ確実に動作していない可能性があると決定される。
【0044】
上記の如く、ベースラインメータ剛性値230及びメータ剛性値232は、左右のピックオフセンサ170l、170rの両方について決定される。即ち、ベースラインメータ剛性値230及びメータ剛性値232は、左右のピックオフセンサ170l、170rの間の導管130、130'の剛性に比例する。結果として、導管130、130'の異なる状態は、同様の剛性変化値234を引き起こし得る。例えば、浸食、腐食及び/又は導管130、130‘の損傷は、物理的剛性の同様の減少を生じさせ得、これは、負又は「低」剛性変化値234によって示され得る。従って、剛性変化値234のみに依存する場合、導管130、130'の特定の状態は、確認できない場合がある。
【0045】
しかし、左側ピックオフセンサ170l及び右側ピックオフセンサ170rは、夫々それ自体の関連する剛性値を有することができる。より具体的には、上述のように、ドライバ180は、導管130、130'に力を加え、ピックオフセンサ170l、170rは、結果として生じる撓みを測定する。ピックオフセンサ170l、170rの位置における導管130、130'の撓み量は、ドライバ180とピックオフセンサ170l、170rとの間の導管130、130'の剛性に比例する。
【0046】
従って、左側ピックオフセンサ170lに関連する剛性は、ドライバ180と左側ピックオフセンサ170lとの間の導管130、130'の物理的剛性と、右側ピックオフセンサ170rに関連する剛性とに比例する。この剛性は、ドライバ180と右側ピックオフセンサ170rとの間の導管130、130'の物理的剛性に比例する。従って、ドライバ180と、例えば、右側ピックオフセンサ170rとの間に浸食、腐食、損傷、コーティング等がある場合、右側ピックオフセンサ170rに関連する剛性は低下し得るが、左側ピックオフセンサ170lに関連する剛性は変化しない場合がある。変化を追跡するために、記憶システム204はまた、左右のピックオフセンサ170l、170rに関連付けられた剛性値を含んでもよい。
【0047】
例えば、
図2に示すように、記憶システム204は、ベースラインLPO剛性値240を含み、これは、ドライバ180と導管130、130'上の左側ピックオフセンサ170lの位置との間の導管130、130'の物理的剛性に比例する。同様に、記憶システム204は、ドライバ180と導管130、130'上の右側ピックオフセンサ170rの位置との間の導管130、130'の物理的剛性に比例するベースラインRPO剛性値250も含む。ベースラインLPO剛性値240及びベースラインRPO剛性値250は、振動計5が現場に設置される前に、例えば、振動計5の製造または較正中に、または以前の再較正中に、検証ルーチン220によって決定されてもよい。
【0048】
記憶システム204はまた、LPO剛性値242及びRPO剛性値252を含む。LPO剛性値242は、ドライバ180と左側ピックオフセンサ170lの位置との間の導管130、130'の物理的剛性に比例するが、ベースラインLPO剛性値240が決定された後である。同様に、RPO剛性値252は、ドライバ180と右側ピックオフセンサ170rの位置との間の導管130、130'の物理的剛性に比例するが、ベースラインRPO剛性値250が決定された後である。
【0049】
また、
図2に示すように、記憶システム204は、LPO剛性変化値244及びRPO剛性変化値254をさらに含む。LPO及びRPO剛性変化値244、254は、ベースラインLPO、RPO剛性値240、250とLPO、RPO剛性値242、252との間の差に比例する。例えば、負のLPO剛性変化値244は、ドライバ180と左側ピックオフセンサ170lとの間の導管130、130'の物理的剛性が増加したことを示すことができる。正のLPO剛性変化値244は、ベースラインLPO剛性値240が決定されてから、ドライバ180と左側ピックオフセンサ170lとの間の導管130、130'の物理的剛性が低下したことを示す。あるいは、LPO及びRPO剛性変化値244、254は、LPO及びRPO剛性値242、252と、ベースラインLPO及びRPO剛性値240、250との間の差であってもよい。従って、例えば、正のLPO剛性変化値244は、ベースラインLPO剛性値240が決定されてから、ドライバ180と左側ピックオフセンサ170lとの間の導管130、130'の物理的剛性が増加したことを示すことができる。LPO及びRPO剛性変化値244、254は、差から決定されるものとして記載されているが、剛性値と、導管の幾何学的形状、寸法などの他の値との比など、ベースラインLPO及びRPO剛性値240、250及びLPO及びRPO剛性値242、252から導出されるか、またはそれらに関連する任意の値を使用することができる。LPO及びRPO剛性変化値244、254は、整数、比率、パーセンテージなどの任意の適切な単位で表すことができる。
【0050】
左右のピックオフセンサ170l、170rに関連する物理的剛性の増減は、物理的剛性変化を引き起こしている導管130、130'の不洗浄状態を示すことができる。例えば、導管130、130'の内壁のコーティングは、導管130、130'の物理的剛性を増大させ得る。特に、例えば、左側ピックオフ・センサ170lとドライバ180との間の導管130、130'の内壁のコーティングは、左側ピックオフセンサ170lとドライバ180との間の導管130、130'の物理的剛性を増大させ得る。
【0051】
更に、ドライバ180と左側ピックオフセンサ170lとの間の導管130、130'の物理的剛性の相対的な増減、及びドライバ180と右側ピックオフセンサ170rとの間の導管130、130'の物理的剛性の相対的な増減は、物理的剛性の変化を引き起こす導管130、130'の内在する状態をさらに示す。物理的剛性のこの相対的な増減は、記憶システム204における剛性対称性値260によって示すことができる。
【0052】
剛性対称性値260は、例えば、LPO剛性変化値244及びRPO剛性変化値254の相対値を示す任意の適切な値とすることができる。例えば、LPO剛性変化値244及びRPO剛性変化値254は、左右のピックオフ・センサ170l、170rに関連する導管130、130'の物理的剛性が、両方とも増加したが、例えば、左側ピックオフセンサ170lに関連する物理的剛性が、右側ピックオフセンサ170rに関連する物理的剛性よりも増加したことを示すことができる。一例では、剛性対称性値260は、パーセンテージで表すことができ、次式によって求めることができる。
【数2】
ここで、SMV
stiffness,LPO%は、この例では、パーセンテージ変化で表されるLPO剛性変化値244であり、
SMV
stiffness,RPO%は、この例では、パーセンテージ変化で表されるRPO剛性変化値254である。
【0053】
上記の記載はメータ剛性に関するものであったが、他のメータ検証パラメータを追加的に又は代替的に使用することができる。例えば、残留柔軟性は、ベースライン残留柔軟性と比較されてもよい。残留柔軟性は、他の振動モードの共振周波数にある1つの振動モードに関連する周波数応答の一部として定義することができる。例えば、種々の振動モード(例えば、曲げ、ねじれなど)の周波数応答は、周波数応答関数(例えば、周波数に対する応答の大きさ)として特徴付けられる。周波数応答関数は、一般的には、共振周波数からの距離に比例して大きさが傾斜的に減少する所与の振動モードの共振周波数を中心とする。例えば、ブレースバーに位置する2つのノードを有する1次曲げモード(例えば、主位相外れ曲げモード)は、1次曲げモード共振周波数ω1を有してもよい。4つのノードを有する2次曲げモードは、1次曲げモード共振周波数ω1よりも大きい2次曲げモード共振周波数ω2を有してもよい。2次曲げモードの周波数応答関数は、1次曲げモード共振周波数ω1と重複することができる。
【0054】
従って、2次曲げモードによって生じる1次曲げモードの残留柔軟性は、1次曲げモード共振周波数ω1に存在する2次曲げモードの周波数応答関数の部分である。理解できるように、浸食、腐食、損害、コーティングなどが発生すると、各振動モードの周波数応答が変化するため、所与のモードのこの残留柔軟性値が変化する。従って、残留柔軟性は、振動計の変化を識別するためにも使用することができる。
【0055】
減衰も用いられる。例えば、メータ検証は、測定された減衰値をベースライン減衰値と比較することができる。減衰は浸食や腐食の影響を受けない可能性があるため、減衰はコーティングの検出に有用である。
同様に、左側又は右側ピックオフセンサ170l、170rに関連付けられた質量を、左側又は右側ピックオフセンサ170l、170rに関連付けられたベースライン質量と比較することができる。一例では、予想質量を使用することができる。一例では、較正された空気及び水の質量値と、プロセス流体の測定された密度または既知の密度とに基づく予想質量は、以下の式を使用して計算することができる:
【数3】
ここで、
m
expectedは、予想質量-振動計に変化が生じなかった場合に測定されるべき質量であり、
m
factory,airは、振動計が空気で満たされている場合に測定される質量であり、
ρ
airは、空気の密度であり、
ρ
waterは、水の密度値であり、
ρ
knownは、測定されるべき材料の密度である。
【0056】
予想質量m
expectedを使用して、次の式を介してパーセントで表される正規化された質量偏差を計算することができる。
【数4】
ここで、
m
measuredは、メータ検証中に測定された質量であり、
m
Deviationは、予想質量m
expectedからの測定された質量m
measuredの質量偏差である。
理解できるように、浸食、腐食、損害、コーティングなどは、振動計内の導管の質量に影響を及ぼし得る。従って、予想質量は、測定された質量と予想質量とを比較することによって、振動計の変化を検出するために使用することができる。
【0057】
上記の如く、導管の状態を決定する際に、導管の幾何学的形状も考慮されてもよい。例えば、U字形管は、例えば真っ直ぐな管と比較して、導管内の特定の位置で腐食よりも浸食しやすい場合がある。これに加えて、またはこれに代えて、幾つかのプロセス/導管の組み合わせは、特定の状態になりやすい場合がある。例えば、導管130、130'は、腐食性材料を使用する高温プロセスと比較して、窒素を使用する極低温プロセスにおいて、より損傷を受けやすい。従って、LPO剛性変化値244、RPO剛性変化値254、及び剛性対称性値260、又はこれらの値を使用する方法は、例えば、導管の形状、構造、寸法、プロセス変数等に関連する要因等の他の値を含むことができる。
【0058】
図2からも分かるように、記憶システム204はまた、剛性標準偏差値236、LPO剛性標準偏差値246、及びRPO剛性標準偏差値256を記憶することができる。これらの値は、例えば、ベースラインメータ剛性値230及びメータ剛性値232を含むメータ剛性測定値から決定することができる。例えば、剛性標準偏差値236は、プールされた標準偏差であってもよい。従って、剛性標準偏差値236は、ベースラインメータ剛性値230を構成するメータ剛性測定値を含む、メータ剛性値232がどの程度変化したかの尺度である。LPO剛性標準偏差値246及びRPO剛性標準偏差値256はまた、プールされた標準偏差であってもよい。
【0059】
図2に示す例は、剛性標準偏差を利用するが、メータ検証パラメータデータにおける変動及び分散の他の測度を採用してもよい。例えば、標準偏差の代わりに分散を用いてもよい。すなわち、剛性標準偏差値236、LPO剛性標準偏差値246、及びRPO剛性標準偏差値256は、例示的なメータ検証パラメータの分散値である。これに加えて、またはこれに代えて、ベースラインメータ剛性値230及びメータ剛性値232に使用することができる平均値の代わりに、中心傾向の他の尺度を使用することができる。従って、ベースラインメータ剛性値230及びメータ剛性値232は、例示的なメータ検証パラメータの中心傾向値である。
【0060】
記憶装置は、信頼区間270のような他の統計値を記憶することもできる。以下でより詳細に説明するように、信頼区間270は、t値272、有意レベル274、及び自由度276に基づいて計算することができる。有意レベル274は、例えば検証ルーチン220によって設定されるスカラー値であってもよい。有意レベル274は、仮説が実際に真である(例えば、振動計に変化が生じていないときに変化を検出する)ときに帰無仮説を拒絶する確率として定義することができ、典型的には、1%または0.01などの小さい値である。自由度276は、例えば、剛性標準偏差値236を決定するために使用されるサンプルの数から計算される。また、バイアス不感帯278も示されており、これは検証ルーチン220によっても設定され得るスカラー値であり、振動計におけるバイアスが誤ったフラグを誘導しないことを確実にする。
【0061】
信頼区間270は、振動計5の物理的剛性の小さな変化を検出することができ、一方、例えば、メータ検証において以前に使用された所定の限界と比較して、誤警報の数を減らすこともできる。加えて、信頼区間270は、比較的単純な数学的演算を使用して計算することができ、それによって、処理システム202は、比較的単純な埋め込みコードを使用する検証ルーチン220を使用して、頑強な統計技法を使用することができる。
【0062】
記憶システム204はまた、洗浄ルーチン280を記憶することができる。洗浄ルーチン280は、例えば、インターフェース201及び/又は経路26を介して洗浄モード信号を送信するなどの様々なステップを含むことができる。洗浄モード信号は、例えば、洗浄液を振動計に供給するために、メータ電子機器20及び/又は振動計5の外部装置によって使用されてもよい。さらに、または代替として、インターフェース201は、例えば、洗浄溶液が振動計5に提供されていることを伝える洗浄溶液信号を受信することができる。洗浄溶液信号は、溶液が提供されていること、洗浄溶液の濃度、密度、温度などを含む組成、及び/又は洗浄溶液に関する他のデータを示す。従って、振動計5の洗浄を完全に自動化することができる。洗浄ルーチンは、以下の説明が示すように、メータアセンブリ10の洗浄状態及び/又は不洗浄状態を検証することができる検証ルーチン220を実行することも含む。
【0063】
図3は、振動計における不洗浄状態の検出を示すグラフ300を示す。
図3に示すように、グラフ300は、メータ検証カウンタ軸310と、パーセント変化軸320とを含む。メータ検証カウンタ軸310は、0から約280の範囲であり、パーセント変化軸320は、約-6%から約6%の範囲である。グラフ300はまた、出口剛性プロット330a及び入口剛性プロット330bを示す。出口及び入口剛性プロット330a、330bは、それぞれ、左側ピックオフセンサ170l及び右側ピックオフセンサ170rと関連付けられてもよい。従って、出口及び入口剛性プロット330a、330bは、夫々
図2を参照して説明したLPO剛性変化値244及びRPO剛性変化値254に対応してもよい。
【0064】
図3から分かるように、出口及び入口剛性プロット330a、330bは、約225の検証カウントで発散する。理解できるように、出口剛性プロット330aは増加し、メータアセンブリ10の出口の周りの剛性が増加した可能性があることを示している。入口剛性プロット330bは減少し、メータアセンブリ10の入口の周りの剛性が減少した可能性があることを示している。上述したように、これは、コーティングのような洗浄でない状態がメータアセンブリ10内に存在することを意味すると解釈される。上述したように、メータ電子機器20は、洗浄ルーチン280が、洗浄モード信号の送信、洗浄液信号の受信、及び/又は検証ルーチン220の実行などのステップを実行することができる洗浄モードに入る。
【0065】
図4は、振動計において洗浄な状態を検出する方法400を示す。
図4に示されるように、方法400は、ステップ410において駆動信号を供給することを含む。駆動信号は、例えば、メータ電子機器20によって、
図1に示すメータアセンブリ10に供給されてもよい。ステップ420において、方法400は、メータアセンブリから1つまたは複数のセンサ信号を受信する。受信されたセンサ信号は、
図1を参照して上述したセンサ信号100であってもよい。例えば、受信されたセンサ信号は、左右のセンサ信号165l、165rを含むことができる。ステップ430で、方法400は、処理システムを使用して、受信された1つ以上のセンサ信号のパラメータを決定する。パラメータは、メータ剛性値232、剛性変化値234、LPO剛性値242、LPO剛性変化値244、RPO剛性値252、及び/又はRPO剛性変化値254を含んでもよい。理解されるように、パラメータはまた、
図2に示される値のような他の値を含んでもよい。これに加えて、またはこれに代えて、パラメータは、上述の駆動ゲインのような駆動ゲインであってもよい。ステップ440において、方法400は、パラメータに基づいて、メータアセンブリの洗浄状態を検出し、処理システムを非洗浄モードに設定する。非洗浄モードは、例えば、
図2を参照して上述した動作ルーチン210を実行することを含むことができる。理解できるように、動作ルーチン210は、振動計を洗浄するように、メータアセンブリ10内の不洗浄状態を検出するために、検証ルーチン220を実行することを含んでもよい。
【0066】
図5は、振動計を洗浄する方法500を示す。
図5に示すように、方法500は、ステップ510において、メータアセンブリに駆動信号を供給する。駆動信号は、例えば、メータ電子機器20によって、
図1に示すメータアセンブリ10に供給されてもよい。ステップ520において、方法500は、メータアセンブリから1つまたは複数のセンサ信号を受信してもよい。受信されたセンサ信号は、
図1を参照して上述したセンサ信号100であってもよい。例えば、受信されたセンサ信号は、左右のセンサ信号165l、165rを含むことができる。ステップ530で、方法500は、処理システムを使用して、受信された1つ以上のセンサ信号のパラメータを決定する。パラメータは、メータ剛性値232、剛性変化値234、LPO剛性値242、LPO剛性変化値244、RPO剛性値252、及び/又はRPO剛性変化値254を含んでもよい。理解されるように、パラメータはまた、
図2に示される値のような他の値を含んでもよい。ステップ540において、方法500は、パラメータに基づいて、メータアセンブリの不洗浄状態を検出し、処理システムを洗浄モードに置く。洗浄モードは、例えば、
図2を参照して上述した洗浄ルーチン280を実行することを含むことができる。理解されるように、洗浄ルーチン280は、検証ルーチン220を実行してメータアセンブリ10内の洗浄状態を検出することを含むことができる。
【0067】
理解されるように、方法400、500は、パラメータの値がパラメータのベースライン値から実質的に逸脱する場合、不洗浄状態を検出することができ、及び/又はパラメータの値がパラメータのベースライン値に実質的に等しい場合、洗浄状態を検出することができる。上述したように、ベースライン値は、以前に決定された振動計の洗浄状態に関連付けることができる。処理システム202の洗浄モードは、洗浄ルーチンを実行するように構成された処理システム202を含む。洗浄ルーチンは、受信された1つまたは複数のピックオフ信号のパラメータの値を決定することと、パラメータの値をパラメータのベースライン値と比較することと、比較に基づいて不洗浄状態を検出することを反復的且つ繰り返し実行することを含む。
【0068】
理解されるように、駆動信号は、共振成分と、少なくとも1つの非共振成分とを含む。1つ又は複数のセンサ信号は、少なくとも1つの成分を含んでもよく、少なくとも1つの成分は、駆動信号の少なくとも1つの非共振成分に対応する。従って、パラメータは、駆動信号の少なくとも1つの非共振成分と、駆動信号の少なくとも1つの非共振成分に対応する少なくとも1つの成分とから決定することができる。追加的に又は代替的に、1つ以上のセンサ信号から決定されたパラメータは、1つ以上のセンサ信号の駆動ゲイン及びメータアセンブリの共振周波数のうちの1つを含むことができる。パラメータは、例えば、メータアセンブリの剛性、質量、及び導管の減衰のうちの1つであってもよいが、任意の適切なパラメータを使用してもよい。
【0069】
上記は振動計5、特にメータ電子機器20を、メータアセンブリ10を洗浄し、メータアセンブリ10の洗浄状態を洗浄して検出するように構成したものとして説明している。従って、メータ電子機器20又は処理システム202は、洗浄モードに入り、ここで、洗浄ルーチン280は、例えば、洗浄モード信号を送ることができ、及び/又は洗浄溶液信号を受信することができる。従って、洗浄ルーチン280は、振動計5の洗浄の一部又は全部を自動化することができる。即ち、ユーザの振動計5に対する相互作用及び/または介入を低減または排除することができ、振動計5及び振動計5を使用するシステムのより効率的な利用につながる。
【0070】
上記の実施形態の詳細な説明は、本記載の範囲内にあるべき、本発明者らによって企図されている全ての実施形態の包括的な説明ではない。事実、当業者であれば、上述した実施形態の特定の要素は、さらなる実施形態を作成するために様々に組み合わせ、又は、なくすことができ、そのようなさらなる実施形態が本出願の範囲及び教示の中に入ることは認識されよう。上述した実施形態は、本記載の範囲及び教示内の追加の実施形態を作成するために全体的に又は部分的に組み合わせることができることも、当業者には諒解されよう。
【0071】
このように、特定の実施形態が説明の目的で記載されているが、関連技術の熟練者が認識するように、種々の均等な修正が本記載の範囲内で可能である。ここに付与された開示は他の振動計の洗浄及び振動計の洗浄状態の検出に適用され得て、上記の記載及び添付の図面に示す実施形態のみに適用されるのではない。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲から決定されるべきである。