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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】タイトフレームの取付構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 3/36 20060101AFI20220617BHJP
【FI】
E04D3/36 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020010442
(22)【出願日】2020-01-25
(65)【公開番号】P2021116589
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2021-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000129079
【氏名又は名称】株式会社カナメ
(73)【特許権者】
【識別番号】391037478
【氏名又は名称】NST日本鉄板株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和浩
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3059759(JP,U)
【文献】特開2018-071110(JP,A)
【文献】特開2020-070574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 1/00- 3/40
E04D 13/00-15/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状材料から略かぎ状の切断縁になるように切り離されて複数のタイトフレームとして製造され、それぞれの長手方向端部の幅が前記タイトフレームの全幅よりも細くなっているタイトフレームであって、隣り合うタイトフレームにおいて対向する長手方向端部のうち最も外側の端縁同士の桁行位置が直線上にそろえられて取付位置が決められ、鉄骨等の構造材上に溶接によって固定されるタイトフレームの取付構造
【請求項2】
タイトフレームの長手方向端部より外側に突出するように別体である位置決め部材が一体化され、隣り合う前記位置決め部材の対向する端部同士の桁行位置が直線上にそろえられて前記タイトフレームの取付位置が決められ、前記タイトフレームが鉄骨等の構造材上に溶接によって固定されるタイトフレームの取付構造。
【請求項3】
前記タイトフレームの長手方向端部のうち最も外側の端縁、または前記位置決め部材端部に、位置決め指示部が形成された請求項1または請求項2のタイトフレームの取付構造
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、強度および施工性を下げることなく、製造コストを低減させたタイトフレームを提供することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
従来技術について、図10で説明する。
【0003】
図10は、意匠登録第1634802号公報にて公開されているタイトフレームに関する技術である。図10に示した先行技術では、屋根を葺く際に、本物品をH鋼等の母屋の上に、桁行方向に一直線に並べて設置し、溶接などで固定される。本物品を複数本並べる際に、切り欠きやマーキングの合わせ状態を確認することで、設置ミスを容易に検出できるようにした技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】意匠登録第1634802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図10に示した先行技術では、隣り合うタイトフレームの端部同士が当接されて取付位置が決められる。端部に少し切り込みがあるとはいえ、取付位置を決めるために、溶接で固定される点から外側にタイトフレームを長くする必要があった。しかし、短くしてしまうと、タイトフレームの取付位置が決めにくくなり、施工性が低下する恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は隣り合うタイトフレームにおいて対向する長手方向端部同士の桁行位置がそろえられて取付位置が決められるタイトフレームである。長手方向端部の幅がそのタイトフレームの全幅よりも細くなっている。又は、別体である位置決め部材が一体化されてそのタイトフレームの長手方向端部より外側に突出している。
【0007】
また、本願は、上記の構造に加え、そのタイトフレームの長手方向端部のうち、一端の棟側、および他端の軒側が、略かぎ状に切り欠かれている。
【0008】
さらに、本願は、上記の構造に加え、そのタイトフレームの長手方向端部、または位置決め部材端部に、位置決め指示部が形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本願のタイトフレームは、長手方向端部の幅が全幅よりも細くなっている、又は、別体である位置決め部材が一体化されて長手方向端部より外側に突出しているので、単にタイトフレームの長さをのばすよりも、コストを低く抑えることができる。また、従来どおり隣り合うタイトフレームの長手方向端部同士または位置決め部材同士が対向され、桁行位置をそろえることもできるので、施工性が低下しない。さらに、そのタイトフレームの長手方向端部、または位置決め部材端部に、位置決め指示部が形成されているので、隣り合うタイトフレーム同士の流れ方向位置を容易に合わせることができる。
【0010】
また、本願のタイトフレームは、長手方向の一端の棟側、および他端の軒側が、略かぎ状に切り欠かれた形状にすることによって、端部同士を長手方向にオーバーラップさせて製造できる。その結果、帯状材料の長さを短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本願のタイトフレームの実施例(実施例1-1)を示す説明図である。
図2】本願のタイトフレームの実施例(実施例1-1)を示す説明図である。
図3】本願のタイトフレームの実施例(実施例1-1)を示す説明図である。
図4】本願のタイトフレームの実施例(実施例1-1)を示す説明図である。
図5】本願のタイトフレームの実施例(実施例1-2)を示す説明図である。
図6】本願のタイトフレームの実施例(実施例1-2)を示す説明図である。
図7】本願のタイトフレームの実施例(実施例1-2)を示す説明図である。
図8】本願のタイトフレームの実施例(実施例1-3、1-4,1-5)を示す説明図である。
図9】本願のタイトフレームの実施例(実施例2)を示す説明図である。
図10】従来技術の説明図である。
【実施例
【0012】
本願のタイトフレームについて、図1から図9までにより説明する。図1は、本願のタイトフレームを2つ並べた実施例(実施例1-1)を示す斜視図である。図2は、図1に示したタイトフレームの長手方向端部の平面拡大図である。図3は、図1および図2に示したタイトフレームの帯状材料の切断部およびその周辺の平面拡大図である。図4は、図1から図3までで示したタイトフレームの帯状材料と、従来のタイトフレームの帯状材料を比較した平面拡大図である。図5は、本願のタイトフレームを2つ並べた実施例(実施例1-2)を示す斜視図である。図6は、図5に示したタイトフレームの長手方向端部の平面拡大図である。図7は、図5および図6に示したタイトフレームの帯状材料の切断部およびその周辺の平面拡大図である。図8は、長手方向端部の幅がタイトフレームの全幅よりも細くなっている実施例で、図1から図7まで以外のものである。図9は、本願のタイトフレームの実施例(実施例2)を示す斜視図である。
【0013】
まず、図1から図4までによって、本願のタイトフレームの実施例(実施例1-1)について説明する。本実施例のタイトフレームTは、建物の屋根に折板等の縦葺屋根材を取り付けるために用いる。本実施例のタイトフレームTに取り付けられる折板等の縦葺屋根は、山部および谷部が形成された断面形状であれば、嵌合折板、ハゼ折板、重ね折板等、種類は問わない。また、本実施例のタイトフレームTは、帯状材料が折曲加工され、山部T1および谷部T2が形成されており、1本に2山以上形成された形状であってもよい。本実施例のタイトフレームTは、鉄骨等の構造材上に溶接によって、固定される。このとき、タイトフレームTの谷部T2から山部T1が立ち上げられる部分近傍(固定部T21)が溶接される。
【0014】
本実施例のタイトフレームTは、隣り合うタイトフレームT・Tの長手方向端部T3・T3同士が対向されて、桁行位置がそろえられて取付位置が決められる。たとえば、端縁同士を突き合わせる(当接させる)、対向する長手方向端部の端縁同士を直線上にそろえるというように、位置決めされる。本実施例のタイトフレームTが、1山のみ形成された形状であっても、2山以上形成された形状であっても、タイトフレームTが並べて固定されたときに、山部T1の形成ピッチが一定になるように寸法設計されている。
【0015】
本実施例のタイトフレームT1は、長手方向端部T3・T3のうち、一端の棟側、および他端の軒側が、略かぎ状に切り欠かれたような形状になっており、長手方向端部T3の幅がタイトフレームTの全幅よりも細くなっている。長手方向端部T3が、このような形状であることによって、材料を無駄なく、略Z字状の切断部T4で切り離すことができる。そのため、図4(a)に示すように、帯状材料を長さ寸法oの分、オーバーラップして使用できる。したがって、図4(b)に示すように従来技術では長さ寸法Lが必要であったが、本実施例のタイトフレームTは長さ寸法L´で済み、帯状材料を長さ寸法Gだけ節約できる。
【0016】
本実施例のタイトフレームTの取付に際しては、対向する長手方向端部の端縁同士が対向されて、桁行位置がそろえられることによって、取付位置が決められる。このとき、タイトフレームTの谷部T2から山部T1が立ち上げられる部分近傍(固定部T21)が溶接される。そのため、長手方向端部T3は固定に用いられないので、幅が細くなっていたとしても、タイトフレームTの取付強度には影響しない。
【0017】
なお、本実施例のタイトフレームTは、強度向上のためにエンボス加工されていてもよく、長手方向端部T3の幅がタイトフレームTの全幅よりも細くなっていればよい。
【0018】
次に、図5から図7までによって、本願のタイトフレームの別実施例(実施例1-2)について説明する。長手方向端部T3・T3のうち、一端の棟側、および他端の軒側が、略かぎ状に切り欠かれた形状であるところは、本実施例と実施例1-1とにおいて共通である。本実施例と実施例1-1との違いは、長手方向端部T3・T3のうち、一端の棟側の切断部T4から棟側に形成された第一当接片T31、および他端の軒側の切断部T4から軒側に形成された第二当接片T32が形成されている点である。
【0019】
本実施例のように、この第一当接片31および第二当接片T32が形成されていることによって、鉄骨等の構造材上に固定される際に、隣り合うタイトフレームT・Tの長手方向端部の端縁同士を突き合わせる(当接させる)だけで桁行方向の取付位置が決められる。すなわち、隣り合うタイトフレームT・Tの一方の第一当接片T31が、他方の第二当接片T32が形成された長手方向端部T3の端縁に当接された状態にすることによって簡単に位置決めすることができる。
【0020】
また、本実施例は、タイトフレームTの長手方向端部T3に位置決め指示部T33が形成されている。本実施例では、隣り合うタイトフレームT・T同士において、一方の位置決め指示部T33に他方の第一当接片T31の棟側端縁または第二当接片T32の軒側端縁の位置を合わせることで、屋根の流れ方向におけるタイトフレームT・Tの取付位置をそろえることができる。
【0021】
なお、位置決め指示部T33は、図10に示したような切り欠きやマーキングであってもよいし、刻印などであってもよい。また、隣り合うタイトフレームの位置決め指示部T33・T33同士の位置を合わせるという取付構造であってもよい。
【0022】
本実施例のタイトフレームTは、長手方向端部T3・T3のうち、一端の棟側、および他端の軒側が、略かぎ状に切り欠かれたような形状になっており、長手方向端部T3の幅がタイトフレームTの全幅よりも細くなっている。このような端部形状にすることによって、帯状材料を無駄なく、略Z字状の切断部T4で切り離すことができる。そのため、図4に示した実施例1-1と同じように、帯状材料を長手方向にオーバーラップして使用できる。したがって、帯状材料の長さを節約できる。
【0023】
なお、本実施例のタイトフレームTも、強度向上のためにエンボス加工されていてもよく、長手方向端部T3の幅がタイトフレームTの全幅よりも細くなっていればよい。
【0024】
次に、図8で本願のタイトフレームの別実施例(実施例1-3、1-4、1-5)について説明する。長手方向端部T3・T3のうち、一端の棟側、および他端の軒側が、略かぎ状に切り欠かれた形状であるところは、本実施例と実施例1-1および1-2において共通である。図8(a)に示す実施例(実施例1-3)の特徴は、切断部T4が直線で構成された略Z字状であることである。図8(b)および(c)に示す実施例(実施例1-4および1-5)の特徴は、切断部T4に曲線が含まれることである。これらの実施例も、略かぎ状に切り欠かれた形状に含まれる。
【0025】
次に、図9によって、本願のタイトフレームの別実施例(実施例2)について説明する。本実施例のタイトフレームTは、長手方向端部T3に別体である位置決め部材Pが一体化されている。(a)は、1山のタイトフレームTに位置決め部材Pおよび連結部材Jが一体化される実施例である。(b)は、1山のタイトフレームTが2本に対し、1本の長尺で帯状の位置決め部材Pが一体化される実施例である。(c)は、2山のタイトフレームTの長手方向端部T3・T3両方に位置決め部材Pが一体化される実施例である。
【0026】
なお、本実施例のタイトフレームTも、強度向上のためにエンボス加工されていてもよい。
【0027】
本実施例における(a)(b)(c)いずれにおいても、薄板である別体が、位置決め部材PとしてタイトフレームTに一体化され、タイトフレームTの長手方向端部T3より外側に突出している。この別体である位置決め部材Pは、タイトフレームTと異なる断面形状でもよい。たとえば、タイトフレームTよりも薄くてもよいし、厚くてもよいし、幅広であってもよい。また、樹脂等、素材がタイトフレームTと異なってもよい。そのほか、タイトフレームTと同じ断面形状として、タイトフレームTより安い材料で長手方向端部T3を延長するように位置決め部材Pを一体化してもよい。
【0028】
本実施例は、タイトフレームTの谷部T2から山部T1が立ち上げられる部分近傍(固定部T21)が溶接されるので、位置決め部材P自体の強度、および位置決め部材PがタイトフレームTに一体化されている強度は、タイトフレームTの取付強度には全く影響しない。したがって、位置決め部材PがタイトフレームTに一体化されている強度は問わないので、接着剤や両面テープを用いた貼り付けによって一体化されていてもよい。
【0029】
本実施例では、鉄骨等の構造材上に固定される際に、隣り合うタイトフレームT・Tに一体化された位置決め部材P・Pの端部同士を突き合わせる(当接させる)ことで取付位が決められる。また、位置決め部材Pに位置決め指示部P1が形成されていてもよい。隣り合うタイトフレームT・Tに一体化された位置決め部材P・P同士において、位置決め指示部P1・P1を用いて、屋根の流れ方向におけるタイトフレームT・Tの取付位置をそろえることができる。
【符号の説明】
【0030】
T タイトフレーム
T1 山部
T2 谷部
T21 固定部
T3 端部
T31 第一当接片
T32 第二当接片
T33 位置決め指示部
T4 切断部
P 位置決め部材
P1 位置決め指示部
J 連結部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10